説明

位相ベースの検知システム

【課題】運動、面の不規則性、周囲の状況、及び生理的状態を非接触で検知するシステムにおいて、使用する波長以下の分解能で検知対象物の情報を得る。
【解決手段】物体の相対運動を検知および測定するためのシステムが、信号を物体に伝送するように構成されたトランシーバ装置と、基準信号および反射信号の振幅を測定する互いに位相がずれた複数の検知器と、複数の検知器における基準信号と反射信号の変化を、対象物の相対運動により生じる位相の変化に数学的に関連づける論理を有して構成されたプロセッサとを含み、プロセッサはさらに、位相の変化を対象物の相対運動に数学的に関連付ける論理を有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、「サブミリメートルの振動および変位を測定するための位相ベースのマイクロ波バイブロメータ」と題する、同時係属している2000年11月30日に出願された米国仮出願60/250,423号の優先権と出願日の利益を請求しており、この出願を全て援用して本文の記載の一部とする。
【0002】
(技術分野)
本発明は、概して、検知システムに関し、さらに詳細には、非接触型の検知システムに関する。
【0003】
(背景技術)
検知システムは、様々な分野にて多様な目的に用いられている。例えば、運動、面の不規則性、周囲の状況、および生理的状態を検知するための検知システムが存在する。応用例は、医療、プロセス工業、航空機産業、および他の業界で用いられることができる。検知システムがこのように広く様々な目的および産業において用いられるため、システムの設計者やユーザは多くの事項について考慮する。これらの事項は、コスト、正確性、測定範囲、耐久性、メンテナンスの必要性、そして、特に、検知される物体の物理的特性も含む。
【0004】
非接触式、または非侵入性の検知システムは、直接接触式の検知システムと異なり、検知される物体、すなわち対象物と物理的に接触する(直接に、または中間物を介して)ための検知部(例えばセンサ)を必要としない。非接触式検知システムは、伝統的な直接接触検知システムと比べて多くの利益をもたらし、例えば、対象となる物体および/または状況に関する情報を、高価で侵襲的なセンサ取付け組立体を有さずに提供することができる。また、非接触システムは、接触システムと異なり、測定するシステムを変えないという利点も有する。レーダシステムは、非侵襲性検知システムの一例である。レーダシステムは、典型的には約0.9〜100ギガヘルツ(GHz)の反射電波を用いて、検知される物体の存在、位置、および速度を決定する。幾つかのレーダシステムは、一定の連続波(CW)信号またはパルス信号を伝送することにより動作する。これらのCWレーダシステムの多くは、運動により受信信号の周波数が伝送信号の周波数に対して変化するドップラー効果の原理のもとで機能する。ドップラー効果を用いるCWレーダシステムは、マイクロ波を対象物に伝送し、対象物から反射されたマイクロ波信号の周波数の変化を検知することにより移動している対象物を検知する機構を提供する。連続波レーダ技術は、非接触式で、比較的安価であり、適切な伝送周波数を用いれば、埃、ごみ、雨および他の多くの障害物による影響を比較的受けない検知機構を提供する。慣用的なレーダ検知システムは、検知されている対象物の速度、位置、および移動方向に関する限定的な情報を提供するが、「検知物体」の、波長以下(サブ波長)の高分解能による情報を提供することはできない。したがって、検知対象物に関する情報の受信を改良するレーダ検知システムが必要である。
【0005】
これまでは、産業界において、上記の欠点および不十分な点に対処する必要性が論じられていなかった。
【0006】
(発明の開示)
本発明は、特に、検知システムを提供する。概説すると、この検知システムは、特に、物体に向けて信号を伝送するように構成されたトランシーバと、伝送信号と反射信号を受信する、互いに位相がずれた複数の検知器と、物体の相対運動により生じた、伝送信号と反射信号との位相シフトを複数の検知器にて測定するロジックを有して構成されたプロセッサとを含み、プロセッサは、さらに、位相シフトを物体の相対運動に関連付けるためのロジックを有して構成されている。
【0007】
本発明は、特に、検知方法としても考察される。この方法は、概して、以下のステップを含むと見なされる。すなわち、物体の相対運動により生じた、伝送信号と反射信号との位相シフト(位相ずれ)を複数の検知器にて測定するステップと;位相シフトを物体の相対運動に関連付けるステップとである。
【0008】
本発明の他のシステム、方法、特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明を考察することにより、当業者に明らかになるであろう。このような付加的なシステム、方法、特徴および利点の全てはこの説明に含まれ、本発明の範囲内にあり、かつ、添付の請求の範囲により保護されるものとする。
【0009】
多くの本発明の態様は、以下の図面によってよりよく理解されることができる。図面の構成要素は必ずしも共通の尺度を持つわけではなく、その代わりに本願発明の原理を明らかに示すことに重点が置かれている。さらに、図面において、同類の参照番号はいくつかの図の全体を通じて類似の部分を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好ましい実施形態は、特に、位相ベースの(位相に基づく)検知(PBS)システム、または検知システムを提供する。以下に、PBSシステムに関する説明を、本発明の実施形態を示す図1〜10を参照しつつ十分に行う。図1〜3は、PBSシステムの実施例を示す。図4は、PBSシステムのブロックダイアグラムであり、PBSシステムの構成要素は、図5A,5Bおよび図10A,10Bにさらに詳細に示されている。図6A〜8Dは、PBSシステムにおいて対象物の検知がどのように電子的に示されるかを、3つの異なるシナリオに関して示す。図9は、反射信号を処理して対象物の相対運動(または、対象物の面の偏差)を示す信号を提供するときに用いられ得るステップ全体の概要を示すフローチャートである。ここで、対象物(すなわち、検知物体)の相対運動とは、検知物体が(例えば、機械または機械の一部として)、固定されたPBSシステムに対して移動している場合も、あるいは、PBSシステムを取り付けた装置が検知物体(対象物)に対して移動している場合(例えば、車両に取り付けた地形センサにより検知される地形の変化により、センサと検知される面との距離が変化する場合)も含むものであることが理解されよう。しかし、本発明は、多くの異なる形態にて具体化されることができ、本文中に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。これらの実施形態は、この開示が徹底的で完全であるように、そして、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるために提示されている。また特に、本文中に示された全ての「例」は、限定的でないものとする。
【0011】
図1は、PBSシステムの実施例の概略図である。この例において、PBSシステム100は、移動している自動車のタイヤの直ぐ前方の道路/地形面を非接触式に測定するために用いられる。PBSシステム100は、図中に単一のユニットとして示されているが、互いに電気的に接続した複数の部品の形であってよく、各部品は、PBSシステムを用いる車両またはシステムに近位に配置されるか、または、車両またはシステムの全体に空間的に分離して配置される。PBSシステム100は、路面の変化を測定するために、マイクロ波信号を、路面に対して下向きに(直交するように、したがって、以下に説明するようにドップラー式でなく)発信する。本文において、直交する、または直交するように向けられた信号とは、対象物(例えば、路面、または、過度の運動などを監視される機械)の相対移動に対して直交することを意味すると理解されたい。センサが、1以上のタイヤ(またはトラクト(地面)、スレッド、もしくは、車両と面接触を生じるあらゆるもの)の前に置かれると、センサは、路面に関する情報を、タイヤおよびサスペンションシステム、または、事前に得られる検知情報を利用できる他のシステムよりも先に提供することができる。この情報は、サスペンションシステム(または他のシステム)が、道路または地形の障害の可能性に対して事前に適合することができるように十分に迅速に得られる。他の実施形態において、このような情報は、特別な用途の車両、例えば、射撃武器システムが備えられた軍用車において提供され、それにより、前方の地形の測定に基づいて射撃方法を変えるための制御信号を発信することができる。別の実施形態において、PBSシステム100を用いて、あらゆるタイプの面を走査および画像化してサブ波長分解を行うことができる。
【0012】
図2は、PBSシステム100のエンジンモニタリングの実施例の構成図と信号プロットとを合わせたものである。PBSシステム100によって振動測定が得られ、回転機械、例えば、タービンエンジン210のエンジンブレードの健全性を示すことができる。PBSシステム100は、PBSシステム100、または、PBSシステム100の伝送−検知部(以下に説明する)を、レーダ透過性材料(例えば、セラミック、プラスチック、または非金属複合材料)が充填されたキャビティに配置することにより設置することができる。次いで、検知信号を、導波管、ケーブル、または他のマイクロ波エネルギーのための標準的な導管を介してエンジン210に「有線送信」して、エンジンの振動を検知することができる。PBSシステム100または検知部をキャビティ内に配置することにより、検知は非侵入的であり、干渉作用を受けず、また、振動をエンジン210内の深部で測定することができる。図2に示されるように、PBSシステム100からの信号出力を解釈して、ブレードの状態に関する情報を提供することができる。例えば、ブレードがセンサに近づいたことを示す測定値は、ブレードが取付け地点から伸び、または弛んでいることを示すことができる。さらに、他の信号の周期と比較して遅い、または早い信号は、ブレードが折曲がり、または振動していることを示すことができる。一実施例において、この測定は、信号をブレードのエッジに伝送し、反射された信号を受信することにより直接的に行われる。
【0013】
図3は、PBSシステム100による別の振動測定の実施例である。図3は、PBSシステム100により過度の運動を監視されているポンプ302を示す。PBSシステム100は、付近の好都合な位置にあるいずれの構造物にも取り付けられる。この実施例は、PBSシステム100の別の利点、すなわち、伝送される信号の波長よりもかなり小さいスケール(例えば、ミリメータ〜マイクロメータの範囲)の運動を検知できることを強調する。種々の機械、例えば、遠心ポンプ、工業用旋盤、または、他の工場、オフィス、もしくは研究所の設備機器による動きを測定して、切迫した故障およびメンテナンスの必要性の指摘を提供することができ、または、他の状況および応用物における制御システムへの入力として指示を提供することができる。これらのレベルの運動検知は、振動測定だけでなく、部品寸法の測定(例えば点検)を含む様々な量の正確な測定を可能にする。以下に説明するように、PBSシステム100は、ドップラー効果をベースにした測定と対照的に、位相変調を用いた検知および測定を提供する。PBSシステム100は、多くの異なるタイプのアンテナ、または、コヒーレント位相トランシーバ(すなわち、空間的または電気的に独立した複数の信号検知器を有するトランシーバ)を有して、いずれの検知用途においても用いられることができ、レーダベースの検知システムにおいては前例のなかった正確な測定を可能にする。
【0014】
図4は、本発明の一実施形態に従う図1〜3の検知システムの例のブロックダイアグラムである。PBSシステム100は、センサ‐検知ユニット(SDU)410、および、処理システム、すなわち信号処理ユニット(SPU)420を含む。PBSシステム100全体の動作は、SPU420内に配置された動作ソフトウェア(図示せず)により制御されることができ、または、ハードウェア、ソフトウェア、もしくはハードウェアとソフトウェアの組合せで実行される外部制御回路(図示せず)に、ネットワークで接続され、または統合されることができる。外部制御回路は、PBSシステム100の伝送および受信機能を処理機能と調和させることができる。SDU410はトランシーバタイプの装置であってよく、特には、伝送信号源、例えば、ガン発振器、デジタル共振発振器検知器、または他のマイクロ波信号発生源を、ダイオード、ミキサ、または他の位相検知装置から成るレシーバと共に用いる。SDU410は、好ましくは、対象物に対して直交するように向けられたマイクロ波を放出する。対象物は、先に示したように、振動する物体、もしくは路面、または、運動測定が必要とされる物体であってよい。反射されたマイクロ波は、SDU410内の2つの検知器により受信される。他の実施形態において、より多数の検知器をSDU410内で用いて、対象物の運動に関する情報の量を増やし、それにより、注目すべき利点として、SPU420の出力における測定分解能を高めることができる。検知器は、空間的に分離されており、好ましくは90度分離され、これにより、2つの検知器の場合、同相信号(I)と直角位相(直交)信号(Q)をもたらす。これに関しては以下にさらに詳細に説明する。他の実施形態において、検知器は、電気的に分離され、および/または空間的に分離されることができる。
【0015】
検知された信号はSPU420に送られ、SPU420は、好ましい実施形態に従って2つの信号を結合して、対象物の変位または相対運動を示す単一の信号を生成する。2つの信号(例えば、IとQ)を用いるシステムが情報を提供して、独特の方法で(数学的に)相対運動が画定される。3つ以上の検知器信号を有するシステムを、相対運動の最適評価を提供するシステムへの入力として用いることができる。こうして、PBSシステム100は、ドップラー効果ではなくPBSシステム100の位相変調機構を介して、マイクロ波を用いて対象物の相対移動(または変化)を測定することができ、対象物の移動は、伝送波の長さとほぼ同じでも、またはそれよりも短くても、長くてもよい。当業者は、標準的な信号処理ハードウェア、ソフトウェアまたはハードウェアとソフトウェアの組合せが、フィルタリング、アンチエイリアシングのために、例えば、検知器の各々の復調出力をフィルタリングするために、また、出力を、SPU420に到達する前にデジタル化するために用いられ、これらが、図には示されていないがPBSシステム100内に含まれることを理解するであろう。
【0016】
図5Aは、図4のPBSシステム100のSDU410の例の断面図である。例SDU410は、トランシーバ‐ダイオードである。SDU410は、アンテナ530と、1対の検知器‐ダイオード532および534であって、空間的に分離され、好ましくは、伝送される検知信号の波長に関して位相が90度ずれているダイオード532および534と、無線周波(RF)発生ダイオード536とを含む。SDU410には、好ましくは、+5ボルトの直流電圧で電力供給され、電圧源はSDU410と一体的に、またはSDU410の外部に配置される。アンテナ530は、主に用途に応じて選択される。振動測定に関して、アンテナから発信される信号のビーム幅は、好ましくは対照領域が可能な限り小さくなるように選択される。例えば、誘電体レンズを用いて、ビームを、より狭い、すなわち、より小さい点に集束させることができる。地形の検知測定(すなわち、例えば車両に取り付けられたPBSシステム100と対象面との相対変位)に対しては、ビーム幅はより大きく、好ましくは、タイヤまたは轍などに危険や障害をもたらす可能性のある領域をカバーするのに十分に大きい。検知器から読み取られる電気信号は、対象領域内の全ての物体からの反射信号の重ね合せを示す。また、近接した検知用には、アンテナ530は、開放端を有する誘電体装荷導波管、または、マイクロストリップ付き誘電体装荷スロットであってよい。より遠い位置での変位検知には、プリント回路パッチ放射器の固定ビーム平面アレイ、または、プリント回路板固定アレイを用いることができる。本発明の好ましい実施形態が、SDU410の選択に限定されず、他のトランシーバ状の装置またはアンテナも用いられることが理解されよう。また、SDU410は、伝送および受信部が単一の部品に統合されているように示されているが、伝送装置から発信される基準信号が検知器ダイオード532および534を通過し、反射信号が検知器ダイオード532および534を通過する限りにおいて、伝送装置は、反射信号を受信する装置から独立した部品または装置であってよい。
【0017】
図5AのSDU410は、2つのキャビティ、すなわち、同調共振キャビティ540と導波路キャビティ550を含む。無線周波発生ダイオード536に、好ましくは+5ボルトの直流電圧の電圧源が供給されるが、他の電圧レベルを用いることもでき、それらの電圧は、好ましい実施形態の範囲内で、PBSシステム100の種々の実施例における無線周波発生ダイオード536のタイプおよび電力レベルに応じて決まる。無線周波発生ダイオード536は、無線周波エネルギーを同調共振キャビティ540内に放出し、これが、同調周波数のRF信号および同調周波数の高調波を共振キャビティ540内で共振させる。共振キャビティ540に導波路キャビティ550が連結されている。導波管キャビティ550は、直径の小さい部分550aと直径の大きい部分550bを有する。直径の小さい部分550aの直径は、単一の画定された周波数の信号(実質的に高調波を排除する)が共振キャビティ540から直径の大きい部分550bに伝送されるように選択された直径である。こうして、直径の小さい部分550aは、特定のマイクロ波周波数を画定するように選択される。単一周波数のRF信号が直径の大きい部分550bから対象物(検知または測定される物体)に伝送されるとき、RF信号は第1の検知器ダイオード534を通過し、次いで第2の検知器ダイオード532を通過する。第2の検知器ダイオード532は、好ましくは第1検知器ダイオード534から約90度ずれている。
【0018】
図5Bは、図5AのSDU410のアンテナ部530の水平断面図であり、2つの検知器532と534のずれを示す。同相成分と直交位相成分(すなわち、第1検知器534および第2検知器532のそれぞれからの反射出力信号)における相対位相差を調べることにより、または、適切な数式を用いることにより、検知されている物体の相対運動により生じた絶対的な位相の変化を導くことができる。位相の正確な探知は、小さい量の(1波長より短い)運動、または、より大きい量の(1波長より長い)運動に関する非常に詳細な情報をもたらし、この情報を相対運動の測定に用いることができ、そしてまた、物体の振動(または、物体の、物体が移動している面に対する相対変位)を非常に微細な分解能で測定するのに用いることができる。
【0019】
図5Aに戻ると、RF信号が第1検知器534および第2検知器532をそれぞれ通過した後、RF信号はSDU410のアンテナ530から発信される。この発信信号を基準信号とする。基準信号は対象物に対して直交するように(例えば、地形検知のためには下向きに、または、振動検知においては、機械部品の予測される移動に対して直角に)向けられ、対象物から反射し、反射信号としてSDU410の検知器ダイオード532および534に戻る。検知器ダイオード532および534は、非線形の装置として、本質的に、基準信号と反射信号との差を求める乗算、すなわち復調を行う。ダイオードを用いて記載しているが、他の非線形装置を用いてこの復調を行うこともできる。また、感度を増大するために、構造の異なるダイオード、例えば、平衡ミキサ、二重平衡ミキサ、結晶検波器、ショットキーダイオードなどを組み合わせて用いることもできる。以下に説明するように、この復調を数学的に示すことができる。
【0020】
図5Cは、2つの軸、すなわち、I(同相)軸およびQ(直交)軸を含むフェーザのダイアグラムを示す。フェーザは、復調されたレーダの同相信号と直交信号との結合を示す。したがって、検知器ダイオード532および534の各々の出力は、基準信号と受信信号の乗算の結果である。フェーザの長さは、2つの信号の大きさである。したがって、フェーザの長さは、検知されている物体(すなわち、検知されている対象物)の反射エネルギー(レーダ断面積)に比例する。ダイアグラム上のフェーザの相対位相は、対象物と検知器ダイオードとの距離の関数である。I信号とQ信号の両方の電圧が、以下の2つの方法の少なくとも1つにより変えられることに留意されたい。すなわち、(1)レーダの断面積を変え、それによりフェーザの長さを変える、または、(2)対象物が移動する(フェーザをダイアグラム上で回転させる)。
【0021】
フェーザダイアグラムを、以下に説明するように、SPU420(図4)の論理にて、アルゴリズムで、または数学的に示すことができる。PBSシステム100(図4)において、ベクトル信号Aの全長は、対象物から反射される無線周波(RF)エネルギーの量を示す。反射されるエネルギーが大きいほど、Aの長さは長くなる。位相φは、360度法で示された対象物までの距離である。例えば、用いられる周波数が24.1ギガヘルツであれば、波長λは1.24cmである。したがって、対象物がPBSシステム100に対して1/2波長、すなわちλ/2(0.0622cm)移動するごとに、フェーザは360度回転することになる。
【0022】
PBSシステム100によって測定される位相が、実際は、対象物が移動する量の2倍であることに留意されたい。これは、基準および反射信号が伝送路および受信路の両方を移動しなければならないことによる。対象物が1/4波長(90度)移動すると、伝送波が伝送路に対して90度移動し、そして、信号が対象物から反射された後の、受信路上でのさらなる1/4波長により、位相変化は全体でλ/2(180度)となる。位相が360度法で検知されるため、対象物への実際の距離または変位(範囲)はわからないが、相対運動は全て正確に測定することができる。例えば、対象物が、PBSシステム100からλの距離にあれば、フェーザは0度になる(180度の位相変化の2倍)。対象物が4λの距離にあれば、フェーザは再び0度になる。λから4λに移動するときに、位相は、再び0度に戻る前に完全に6回回転した。
【0023】
フェーザの運動は、PBSシステム100により、対象物が1波長よりも長く移動しているか、または1波長よりも短く移動しているかにより、わずかに異なって解釈される。対象物が1波長よりも長く移動すると、伝統的なドップラー効果に替わる。ドップラー効果の式において、出力信号は、伝送周波数に依存する。これは、対象物が、典型的に、センサに向って真直に移動する(車がポリスのレーダに向かって移動するように)からである。ドップラー効果の出力は、車両が1秒間に移動する波長の数に比例した周波数である。1/2波長ごとに(全路長は、伝送路と受信路があるため2倍であることに留意)、フェーザは360度回転する。I信号だけ、またはQ信号だけを見るならば、360度の1回転は、正弦波の1サイクルとなる。したがって、伝送された波長が長いほど、360度移動するのに時間がかかり、1秒あたりの正弦波がより少なくなり、ドップラーシフトがより低くなる。したがって、24.1ギガヘルツのレーダ上に1000ヘルツのドップラー効果出力を与えている車は、1秒間に1000*2*1.24cm移動していることになる。
【0024】
ここで、振動物体(本文中、振動物体は、1波長より短い波長で移動する物体のことを意味すると理解されたい)を応答させる(検知する)とき、物体は、一方向に移動し、速度低下し、停止し、次いで別の方向に移動する。物体はこれを繰り返し、前後移動する。この方法で物体が1波長よりも大きく移動しているならば、ドップラー効果がまだ存在し、PBSシステム100は、一実施形態において、フェーザが360度を何回通過するかを「カウント」することになる。
【0025】
物体の移動が1波長よりも短いならば、同相信号および直交信号は完全な正弦波でなく、したがって、ドップラーシフトは測定されることができない。しかし、PBSシステム100はベクトルの位相を評価(以下に説明するように)して、対象とされる(例えば、振動している)物体の運動を追跡する。すなわち、運動が1波長よりも短いとき、導かれた位相信号をPBS100の論理を用いてたどることにより、伝送されたキャリア周波数とは独立の、物体が振動している周波数と実質的に同じ周波数が得られる。さらに、以下に示すように、伝送波長もまた、位相ダイアグラムが対象物の実際の物理的変位の尺度で示されることを可能にしている。
【0026】
図6A〜8Dは、オフセットされた2つの信号(すなわち、同相信号と直交信号)を用いて、対象物の相対変位または相対運動を示す結合信号(すなわち、変位信号)を生成する概念を示す。これらの例におけるPBSシステム100(図4)は、物体の運動、例えば、図3の遠心ポンプの移動を検知するために用いられる。1波長より短い波長の運動に関して説明するが、当業者は、対象物の(または、対象物に対しての)1波長より長い波長にわたる運動が、先に記載したフェーザの回転のカウントに加え、以下の説明に従って、PBSシステム100により評価されることができることを理解するであろう。図6A〜8Dにおいて、PBSシステム100はポンプに取り付けられていない。図6Aは、PBSシステム100のための第1のシナリオにおける距離対時間のプロットを示す。この状況においてポンプは休止しており(すなわち作動していない)、次いで、ポンプはオンにされて(スイッチを入れられて)、PBSシステム100に向う移動を生じ、次いで、ポンプは再び休止する(すなわち、ポンプは運動を停止する)。図6Aに示されているのは、PBSシステム100が測定しているポンプに関する、距離対時間のプロットである。図に示されているように、ポンプは、0.3秒まで全く動いていない。その後、ポンプは作動され、PBSシステム100に向って動き、次いで0.7秒にて停止する。総移動距離は0.3センチメートルである。
【0027】
図6Bは、PBSシステム100(図4)のSDU410(図5A)の検知器‐ダイオード532および534からの未処理の同相出力信号および直交出力信号のプロットを示す。図に示されるように、ポンプが作動されて動き始めるまでに一定のDC(直流)信号が存在する。動き始めるとき、電圧は2つの信号の両方に関して0.3秒にて変化し始め、次いで、0.7秒にて停止し、そのまま一定のDC信号レベルを維持する。図6Cは、SDU(図5A)の検知器‐ダイオード532および534の各々における出力信号のベクトル位置を示すポーラプロットを示す。したがって、図6Cは、図6Bに示した同相信号および直交信号に対応する位相の変化を反映している。図6Cに示した例において、センサからポンプまでの距離は、PBSシステム100に対して330度の角度にて開始し、次いで、ポンプは330度から反時計回りに、プロット上のほぼ180度の点まで移動し、結果として210度移動したことになる。210度の、360度に対する比率は、移動距離の、波長×2に対する比率と同じである。図6Dは、PBSシステム100のSPU420(図4)により発生された位相対時間のプロットを示す。これは、好ましい実施形態に従うPBSシステム100のSPU420(図4)後の出力を示し、運動を角度に換算した測定値を示す(必要であれば、先に示した比率を用いて距離に換算することもできる)。ポンプの運動がPBSシステム100のSPU420(図4)の出力と互いに関連していることに留意されたい。
【0028】
図7Aは、図6Aと同様に、第2のシナリオを示す。ここでは、ポンプは、周期的な或いは鋸歯状の運動でPBSシステム100に近づいて、またPBSシステム100から離れて移動する。このような運動の1つの例として、特に、ベアリングに欠陥が生じたためにポンプが実際に振動している状態があり得る。ポンプが、第1のシナリオにおける距離と同じ距離を移動してはいるが、PBSシステム100が、各運動を、絶えず変化する図7Bの同相信号および直交信号により示されるように検知することに留意されたい。図7Cのポーラプロットは、図6A〜Dの第1シナリオにおける距離と同じ距離を移動したことを反映している。図7Dは、PBSシステム100のSPU420(図4)の出力が、ポンプの移動と、角度を尺度としなければ合致することを示す。
【0029】
図8Aは、PBSシステム100に向う動きがまったく無いが、0.5秒にてレーダの断面が突然変化するシナリオを示す。このようなシナリオは、図8Aに真直な線で示されているように、距離対時間のプロットにおいては十分に示されることができない。このような事は、信号の吸収または反射性に影響を与える路面の変化(地形検知の例において)または材料の変化(例えば、ポンプ面にウェザーシールドを付加)があったときに起こることがあるが、PBSシステム100から対象物(例えばポンプ)への距離は変わらない。レーダ断面は0.5秒にて変化する(例えば、ポンプ本体と異なる反射性を有するポリカーボネート製のウェザーシールドをポンプに付加)。このように、PBSシステム100は、より低い反射面からより高い反射面への変化を検知している。したがって、図8Bに示されているように、同相信号および直交信号も変化する。図8Cは、ベクトルプロットが変化せず、大きさが変化する(反射面がより高く、したがって信号(すなわち、図5Cの振幅A)がより強くなる)ことを示す。しかし、PBSシステム100は、位相を、さらに言えば位相の変化を測定しているだけであるため、処理された出力はレーダ断面に関して変化しない。
【0030】
変位が小さいことと、典型的に用いられる伝送周波数とにより、PBSシステム100(図4)の未処理の出力(例えば、SDU410(図5A)の検知器ダイオード532および534からの出力)は、例えば振動測定において、実際の振動周波数に高調波が加えられて構成されることがある。対象物の位置に伝送波が直交するようなこれらの状況(すなわち、地形検知での使用(図1))において、受信される信号が伝送周波数に依存する伝統的なドップラー効果が用いられていないことに留意されたい。この効果を示すために、PBSシステム100の検知器ダイオード532および534(図5A)の一方の出力(同相信号成分または直交信号成分)を単一の正弦波に関して吟味することができる。この例は、図3に示したような振動測定に用いられるものとする(以下の数学的説明は、図1の地形検知にも、PBSシステム100のための他の用途にも同様に用いられることができるが)。PBSシステム100が以下の基準信号x(t)を伝送したとすると、
【数1】

となる。Aを、伝送された振幅(Aが、伝送されるパワー、アンテナ利得、および、全てのトランスミッタ損失を考慮に入れることに留意、)fを伝送周波数、tを時間(秒)とすると、第1検知器ダイオード534(図5A)にて受信される、対象物から反射された信号(反射信号)y(t)は、
【数2】

となる。第2検知器ダイオード532(図5A)にて受信される信号(反射信号)は、90度ずれており、上記の関数の、コサインをサインに替えた式になる。受信(反射)信号の振幅Bは、標準的なレーダ方程式により評価することができる。時間的に変化する(時変)位相項φ(t)は、対称物の運動による受信信号の位相の変化を示す。この運動は、バイアス項αに集中される。φ(t)は、時間的に変化する正弦波であり、検査されている物体の運動または変化を示す。定数αは、PBSシステム100と対象物との物理的な位相差(2πラジアン法の範囲)を示す。アルファ(α)は、物体が検知器ダイオードから離れている波長の完全な総数により示される位相である。したがって、離れている距離の全体はα+φ(t)であり、φ(t)は、運動の「サブ波長」部分である。他方のダイオードからの信号は、90度シフトされたy(t)となる。
【0031】
検知器ダイオード532および534(図5A)の各々にて信号が受信されたならば、次のステップは、復調である。検知器ダイオードは、先に示したように、同調キャビティ550(図5A)の、より大きい直径の部分550bの検知器ダイオード532および534(図5A)の各々を通過する基準信号、および反射信号の復調、または乗算を本質的に実行する。この乗算を、慣用の三角関数により示すことができる。第1の検知器ダイオード534(図5A)に注目すると、この乗算の出力は以下のようにされる。
【数3】

同様の三角関数を用いると、第2の検知器ダイオード532(図5A)における出力は、S2(t)=AB/2(sin(φ(t)+α))である。このようにして、受信信号は伝送信号と混合され、二重周波数項がフィルタリングされて、S1(t)、すなわちPBSシステム100(図4)の第1検知器ダイオード534(図5A)の出力が得られる。三角法の恒等式を用いると、S1を表す式は、
【数4】

となる。簡略化のために、定数C=AB/2とする。次に、対象物からのfmヘルツ(Hz)の発振がPBSシステム100の出力に、正確に、または実質的に同じ運動周波数で現れることを示すことができる。時変位相を、
【数5】

とする。ここで、βは、物体の移動における最大の位相変化(ラジアン)に対応し、実際に、広帯域周波数変調(FM)解析において用いられるような変調指数とすることができる。S1を表す式4において、φ(t)に代入すると、
【数6】

となる。S1(t)を複素指数関数で書き直すと、
【数7】

となる。次に、複素指数関数を標準フーリエ級数で展開すると、
【数8】

となる。上記の和が負の無限から正の無限にあることに留意されたい。フーリエ係数Cnは、
【数9】

であり、これは、n次の第1種ベッセル関数であり、負の(1/2)fmから正の(1/2)fmまで積分される。この結果を数8に代入すると、
【数10】

となる。最後に、三角法の角度と和の関係を用いて、以下の関係が得られる。
【数11】

式11から、PBSシステム100が、単一の周波数で振動している対象物に質問しているときに、出力は、振動基本周波数と、振幅がn次の第1種ベッセル関数により決定される高調波を含む正弦波との和であることが理解されよう。指数n=0であると、信号のDCオフセットがバイアス定数αにより決定されることに留意されたい。信号に含まれる高調波成分の量を決定するのは、このバイアス定数である。
【0032】
これにより、単一の検知器でも振動信号を受信できると考えられるかも知れない。しかし、αの値によって重大な高調波歪みが生じる可能性がある。単一の検知器ダイオードの出力は、複数の高調波を有し、したがって、応答命令信号を送られている(すなわち、検知されている)対象物の運動が正確に示されない。上記のように、これが、同相信号または直交信号を用いた単一の検知器ダイオード(図5Aの532または534)の出力であることに留意されたい。好ましい実施形態において、検知器ダイオードの出力を結合して、高調波が含まれない出力を生成することができる。第2検知器ダイオード(図5A)の出力は、
【数12】

である。これらの2つの信号S1(t)およびS2(t)を、複素指数関数と三角法の恒等式を用いて再結合して、以下のように、所望の出力φ(t)+バイアス項αを形成することができる。
【数13】

得られる位相、βsin(2πfmt)+αは、正確に、または実質的に、物体の振動を示す。したがって、PBSシステム100は、振動による実際の位相変化を、高調波成分による歪みなしで検知することができ、高度同調変位センサとして作用する。なぜなら、システムのキャリブレーションが完了し、伝送周波数が知られており、かつ、移動が1波長より短く、または対象物までの初期距離が知られていれば、直接、位相を距離に変換できるからである。
【0033】
検知器ダイオード532および534(図5A)が同相レーダ信号および直交レーダ信号を生じ、これらの信号が、好ましくは互いに対して正確に90度位相がずれており、2つの検知器からの信号のゲインが正確に、またはほぼ正確に合致することに留意されたい。周知の部品を用いた典型的な実施例においては、製造許容差が、検知器が理想的に合致すること、および/または空間的に分離されることを困難にし、したがって、システムが非線形的になることがあり、これが測定の質を低下させる。本発明の好ましい実施形態の別の態様は、この非線形的な状態を「修正する」能力である。これは、数学的に、PBSシステム100の出力を以下のように変換することにより行われる。信号z(t)が同相信号x(t)と直交信号y(t)から構成されているとすると、以下の式が与えられる。
【数14】

ここで、信号x(t)と信号y(t)の位相のずれをΦ1とし、振幅のずれをεとする。x(t)を基準信号とし、y(t)を、位相が正確に90度ずれ、かつ振幅がx(t)と釣り合うように以下の変換式を用いて変換することができる。新しい信号y’(t)は、
【数15】

と定義される。実際に、2つの信号の差が測定されたならば、これを、当分野でよく知られた機構に従うデジタルドメイン内で実行することができる。
【0034】
上記の導出を、図9に示されているように、PBSシステム100のSPU420(図4)のPBS論理にて実行されるアルゴリズムとして示すことができる。概して、先に説明したように、PBSシステム100は、1波長よりも短い運動を測定しており、ここで、PBSシステム100の出力(すなわち、SPU420の出力)は対象物の実際の振動周波数であり、ドップラー周波数ではない。SPU420のPBS論理は、物体(検知され、または対象とされる)の、SDU410(図4)のレーダエミッタに対する実際の相対変位を測定する。これは、振動する物体の1波長より短い運動を、伝送周波数に関係なく、実質的に高調波歪みなしで測定することを含む。PBS論理は、1波長より短いミクロンオーダーの高分解能で小さい運動を測定することを可能にする。また、PBS論理が、先に記載したように1波長以上の運動の測定も可能にする(フェーザ回転の計算を加えることにより)ことに留意されたい。
【0035】
図9のフローチャートを参照すると、ステップ910は、基準信号の振幅を、互いに位相がずれた2つの検知器にて測定することを含む。ステップ920は、反射信号の振幅を、前記2つの検知器にて測定することを含む。ステップ930は、2つの検知器における基準信号と反射信号との振幅の変化を、物体の相対運動により生じた位相の変化に数学的に関連付けることを含む。ステップ940は、位相の変化を物体の相対運動に数学的に関連付けるステップを含み、これにより、物体の変位がサブ波長分解能で測定される。図9のフローチャートは、SPU420のオペレーティングソフトウェアの可能な実施例(以下に説明するように、本文においては、PBSの論理)の構成、機能、および動作を示す。これに関し、各ブロックは、コードのモジュール、セグメント、または一部を示し、これは、特定の論理機能を実行するための1以上の実行可能な命令を含む。別の実施例において、ブロックに記載された機能が図9に示した順序と異なる順序で実行され得ることにも留意されたい。例えば、図9において連続して示された2つのブロックは、実際には同時に実行されることができ、または、ブロックは、含まれる機能に応じて逆の順序で実行され得る。
【0036】
図10A〜10Bは、本発明の2つの実施形態に従う図4のPBSシステム100の例示的なSPU420(図4)のブロックダイアグラムである。SPU420は、ハードウェアとソフトウェアの組合せとして実現されることができるが、好ましくは、ソフトウェアとして実現される。概して、ハードウェアの構成に関し、図10Aおよび10Bに示されているように、SPU420は、プロセッサ(1008および/または1012)、メモリ1014、および、1以上の入力および/または出力(I/O)装置1016(または周辺機器)を含む。装置1016は、ローカルインタフェース1018を介して、出力信号、すなわちSDU410の検知器ダイオード532および534からの条件付き出力信号を受信し、変位信号を別の装置に中継するように通信接続されている。他の構成要素(図示せず)が、他の処理要素、例えば、アナログ‐デジタル変換器、フィルタなどを含み得る。ローカルインタフェース1018は、例えば、当分野で知られているように、1以上のバス、または他の有線または無線の連結部であってよいが、これらに限定されることはない。ローカルインタフェース1018は、追加の要素(図の簡略化のために省略)、例えば、通信を行うためのコントローラ、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータおよびレシーバを有し得る。さらに、ローカルインタフェースは、上記の構成要素間の適切な通信を可能にするアドレス、コントロールおよび/またはデータコネクションを含み得る。I/O装置1016は、入力および出力の両方に通じる装置、例えば、限定的ではないが、変/復調器(モデム;別の装置、システムまたはネットワークにアクセスするための)、無線周波数(RF)または他のトランシーバ、電話インタフェース、ブリッジ、ルータなどを含み得る。
【0037】
図10Aは、PBS論理1010をDSP1012内で構築された論理として実行する一具体例を示す。DSP1012は、注文製の、または市販のDSPあってよく、PBS論理1010を単独で、または、マイクロプロセッサ1008と組み合わせて実行する。マイクロプロセッサ1008は、ソフトウェアを、特にメモリ1014に記憶されるソフトウェアを実行するためのハードウェアデバイスである。マイクロプロセッサ1008は、注文製、または市販の任意のプロセッサ、中央演算処理装置(CPU)、PBS論理1010に関連した複数のプロセッサ間の補助プロセッサ、半導体ベースのマイクロプロセッサ(マイクロチップまたはチップセットの形態)、マクロプロセッサであってよく、または一般に、ソフトウェアの命令を実行するためのいずれのデバイスであってもよい。
【0038】
図10Bは、別の具体例を示す。この具体例において、PBS論理1010は、以下に説明するように、メモリ1014内のプログラミング構造物として具体化される。メモリ1014は、揮発性メモリ要素(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM,例えば、DRAM、SRAM、SDRAMなど))、および不揮発性メモリ要素(例えば、ROM、ハードドライブ、テープ、CDROMなど)のいずれか1つまたはこれらの組合せを含むことができる。さらに、メモリ1014は、電子的、磁気的、光学的、および/または他のタイプの記憶媒体を組み込み得る。メモリ1014が、種々の構成要素は互いに離れて配置されるがマイクロプロセッサ1008によりアクセス可能である分散構成を有し得ることに留意されたい。
【0039】
一実施例において、メモリ1014内のソフトウェアは、先に説明したように、位相シフト‐変位信号機能を実行するための実行可能な命令を与えるPBS論理1010を含むことができる。メモリ1014内のソフトウェアは、また、1以上の独立したプログラムを含み得る。これらのプログラムの各々が、論理機能と、オペレーティングシステム機能、例えば、他のコンピュータプログラムの実行の制御、スケジューリング、入出力制御、ファイルおよびデータ管理、メモリ管理、および通信制御、ならびに、関連するサービスとを実行するための、実行可能な命令の順序付けリスティングを含む。
【0040】
一実施例において、マイクロプロセッサ1008は、SPU420が動作中のときに、メモリ1014内に記憶されたソフトウェアを実行し、メモリ1014とデータ通信し、PBSシステム100の動作の全体をソフトウェアに従って制御するように構成される。
【0041】
PBS論理1010がソフトウェアにおいて実行されるとき、PBS論理1010が、コンピュータで読出可能な任意の媒体に記憶されて、コンピュータと関連する任意のシステムまたは方法により、あるいは、これらのシステムまたは方法と共に用いられることに留意されたい。本文において、コンピュータで読出可能な媒体は、コンピュータプログラムを含有または記憶することができる、電子的、磁気的、光学的、または他の物理的デバイスまたは手段であり、これらのデバイスまたは手段が、コンピュータと関連するシステムまたは方法により、あるいは、これらのシステムまたは方法と共に用いられる。PBS論理1010は、コンピュータで読出可能な任意の媒体として具体化されることができ、命令を実行するシステム、装置もしくはデバイス、(例えば、コンピュータベースのシステム、プロセッサ含有システム、または、命令実行システム、装置もしくはデバイスから命令を読み出して命令を実行できる他のシステム)により、または、これらのシステム、装置もしくはデバイスと連結して用いられることができる。本文において、「コンピュータで読出可能な媒体」とは、プログラムの記憶、通信、伝播または伝送を行い、命令実行システム、装置もしくはデバイスにより、またはこれらのシステム、装置もしくはデバイスと共に用いられることができる任意の手段である。コンピュータで読出可能な媒体は、例えば、電子的、磁気的、光学的、電磁気的、赤外線、または半導体のシステム、装置、デバイス、または伝播媒体であってよいが、これらに限定されない。コンピュータで読出可能な媒体の、さらに詳細な例は以下のものを含む(このリストでは網羅されないが)。これらは、1以上の結線を有する電気的連結部(電子的)、ポータブルなコンピュータフロッピー(登録商標)ディスク(磁気的)、ランダムアクセスメモリ(RAM)(電子的)、読出専用メモリ(ROM)(電子的)、消去および書込可能な読出専用メモリ(EPROM、EEPROM、またはフラッシュメモリ)(電子的)、光ファイバ(光学的)、および、ポータブルコンパクトディスク読出専用メモリ(CDROM)(光学的)である。コンピュータで読出可能な媒体が、紙、または、プログラムがプリントされる他の適切な媒体であってもよいことに留意されたい。なぜなら、プログラムは、例えば、紙または他の媒体の光学的な走査により電子的に読み取られ、次いで、コンパイル、解釈、または、必要であれば他の適切な方法で処理をされ、コンピュータのメモリに記憶されることができるからである。
【0042】
PBS論理1010がハードウェアで実行される別の実施形態において、PBS論理1010は、当分野でよく知られた以下の技術のいずれによっても、またはこれらの組合せにより実行されることができる。これらは、データ信号上で論理関数を実行するための論理ゲートを有する離散論理回路、組合せ可能な適切な論理ゲートを有する特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などである。
【0043】
本発明の上記の実施形態、特に、「好ましい」実施形態のいずれもが、単なる可能な実施例であり、本発明の原理の明確な理解のために説明されたに過ぎないことを強調しておく。本発明の上記の実施形態に、多くの変更および修正を、本発明の精神および原理から実質的に逸脱せずに行うことができよう。このような変更および修正の全ては、本文の開示および本発明の範囲内に含まれ、かつ特許請求の範囲により保護されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、位相ベースの検知システム(PBSシステム)の実施例のブロック図である。
【図2】図2は、位相ベースの検知システム(PBSシステム)の実施例のブロック図である。
【図3】図3は、位相ベースの検知システム(PBSシステム)の実施例のブロック図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に従う図1〜3のPBSシステムのブロック図である。
【図5A】図5Aは、本発明の一実施形態に従う図4のPBSシステムの検知検出ユニット(SDU)の例の側方断面図である。
【図5B】図5Bは、本発明の一実施形態に従う図5AのSDUの水平断面図である。
【図5C】図5Cは、本発明の一実施形態に従う図5A〜5Bの検知器からの同相信号および直交信号を示すフェーザダイアグラムの例である。
【図6】図6A〜6Dは、本発明の一実施形態に従う、検知される物体の移動に対応した距離対時間のプロット、SDUの出力信号、内的に生じたフェーザのプロット、および図4のPBSシステムの信号処理ユニット(SPU)により生じた位相シフト対時間の関係を含むダイアグラムである。
【図7】図7A〜7Dは、本発明の一実施形態に従う、検知される物体の移動に対応した距離対時間のプロット、SDUの出力信号、内的に生じたフェーザのプロット、および図4のPBSシステムの信号処理ユニット(SPU)により生じた位相シフト対時間の関係を含むダイアグラムである。
【図8】図8A〜8Dは、本発明の一実施形態に従う、検知される物体の移動に対応した距離対時間のプロット、SDUの出力信号、内的に生じたフェーザのプロット、および図4のPBSシステムの信号処理ユニット(SPU)により生じた位相シフト対時間の関係を含むダイアグラムである。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に従う図4のPBSシステムのSPUの位相ベースの信号処理アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図10A】図10Aは、本発明の一実施形態に従う図4のPBSシステムのSPUの例のブロック図である。
【図10B】図10Bは、本発明の一実施形態に従う図4のPBSシステムのSPUの例のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準信号を物体に伝送するステップと、
基準信号の振幅を、互いに位相がずれた2つの検知器にて測定するステップと、
反射信号の振幅を前記2つの検知器にて測定するステップと、
2つの検知器での基準信号と反射信号との振幅の変化を、物体の相対運動により生じる位相の変化と数学的に関連付けるステップと、
物体の変位測定にサブ波長の分解能をもたらすように、位相の変化を物体の相対運動に数学的に関連付けるステップと、
を含む、検知および測定を行う方法。
【請求項2】
伝送信号と反射信号との振幅の変化を、互いに位相がずれた複数の検知器にて測定するステップと、
振幅の変化を、物体の相対運動により生じた位相の変化と関連付けるステップと、
位相の変化を物体の運動と関連付けるステップと、
を含む、物体の相対運動を検知および測定するための方法。
【請求項3】
検知器の出力からフェーザを数学的に導くステップをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
検知器間のフェーザの角度の、完全なフェーザの回転に対する関係を用いるステップをさらに含み、フェーザの角度が、伝送信号の周波数波長に対する実際の移動距離の比率に数学的に関連付けられる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
検知器の出力を用いてフェーザの角度のための振幅の座標を導くステップをさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1波長より長い相対変位に関して、物体の相対変位をサブ波長分解能で測定するためにフェーザの回転をカウントするステップをさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項7】
位相の変化からの変位測定を、1波長より短い変位、および1波長より長い変位に対して行うステップをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項8】
伝送信号を車両から、車両の少なくとも1つの面接触点の前に位置する面へ下方に向けるステップをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記伝送信号の源に対する前記面のトポロジーを示すステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
測定ステップおよび関連付けるステップを用いて機械の移動の測定を行うステップをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項11】
測定ステップおよび関連付けるステップを用いて機械の一部の移動を測定するステップをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項12】
測定するステップおよび関連付けるステップを用いてエンジンブレードの運動の測定を行うステップをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項13】
物体の相対運動により生じた、伝送信号と反射信号との間の位相シフトを複数の検知器にて測定するステップと、
前記位相シフトを物体の相対運動に関連付けるステップと、
を含む、物体の相対運動を検知および測定するための方法。
【請求項14】
前記検知器を、互いに位相がずれるように構成するステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
伝送信号と反射信号との振幅の変化を複数の検知器にて測定するステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
振幅の変化を位相シフトに関連付けるステップと、位相シフトを物体の運動に関連付けるステップとをさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
検知器の出力からフェーザを数学的に導くステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項18】
検知器間のフェーザの角度の、完全なフェーザの回転に対する関係を用いるステップをさらに含み、フェーザの角度が、伝送信号の周波数波長に対する実際の移動距離の比率に数学的に関連付けられる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
検知器の出力を用いてフェーザの角度のための振幅の座標を導くステップをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
1波長より長い相対変位に関して、物体の相対変位をサブ波長分解能で測定するためにフェーザの回転をカウントするステップをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項21】
位相の変化からの変位測定を、1波長より短い変位、および1波長より長い変位に対して行うステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項22】
伝送信号を車両から、車両の少なくとも1つの面接触点の前に位置する面へ下方に向けるステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記伝送信号の源に対する前記面のトポロジーを示すステップをさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
測定ステップおよび関連付けるステップを用いて機械の移動の測定を行うステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項25】
測定ステップおよび関連付けるステップを用いて機械の一部の移動を測定するステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項26】
測定ステップおよび関連付けるステップを用いてエンジンブレードの運動の測定を行うステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項27】
基準信号を物体に伝送するように構成されたトランシーバ装置であって、さらに、反射信号を受信する、互いに位相がずれた2つの検知器を有して構成されたトランシーバ装置と、
基準信号の振幅を前記2つの検知器にて測定する論理を有して構成されたプロセッサと、
を含み、プロセッサが、さらに、反射信号の振幅を前記2つの検知器にて測定するための論理を有して構成され、プロセッサが、さらに、2つの検知器での基準信号と反射信号との振幅の変化を、物体の相対運動から生じた位相の変化に数学的に関連付ける論理を有して構成され、プロセッサが、さらに、位相の変化を物体の相対運動に数学的に関連付ける論理を有して構成され、これにより物体の変位測定がサブ波長の分解能で提供される、検知および測定システム。
【請求項28】
信号を物体に伝送するように構成されたトランシーバ装置と;
前記伝送信号および反射信号を受信する、互いに位相がずれた複数の信号検知器と、
伝送信号と反射信号との振幅の変化を前記複数の検知器にて測定する論理を有して構成されたプロセッサと、
を含み、プロセッサが、さらに、前記振幅の変化を、物体の相対運動から生じた位相の変化に関連付ける論理を有して構成され、プロセッサが、さらに、位相の変化を物体の運動に関連付ける論理を有して構成される、物体の相対運動を検知および測定するためのシステム。
【請求項29】
プロセッサが、さらに、検知器の出力からフェーザを数学的に導くための論理を有して構成される請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
プロセッサが、さらに、検知器間のフェーザの角度と完全なフェーザの回転との関係を用いる論理を有して構成されており、フェーザの角度が、実際の移動距離の、伝送信号の周波数波長に対する比率に数学的に関連付けられる請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
プロセッサが、さらに、検知器の出力を用いてフェーザの角度のための振幅の座標を導く論理を有して構成される請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
プロセッサが、さらに、1波長より長い相対変位に関して、物体の相対変位をサブ波長分解能で測定するためにフェーザの回転をカウントする論理を有して構成される請求項29に記載のシステム。
【請求項33】
プロセッサが、さらに、位相の変化からの変位測定を、1波長より短い変位、および1波長より長い変位に対して行う論理を有して構成される請求項28に記載のシステム。
【請求項34】
トランシーバが、さらに、伝送信号を車両から、車両の少なくとも1つの面接触点の前に位置する面へ下方に向けるように構成される請求項28に記載のシステム。
【請求項35】
プロセッサが、さらに、前記伝送信号の源に対する前記面のトポロジーを示す論理を有して構成される請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
プロセッサが、さらに、機械の移動の測定を行う論理を有して構成される請求項28に記載のシステム。
【請求項37】
プロセッサが、さらに、機械の一部の移動を測定する論理を有して構成される請求項28に記載のシステム。
【請求項38】
プロセッサが、さらに、エンジンブレードの運動の測定を行う論理を有して構成される請求項28に記載のシステム。
【請求項39】
信号を物体に伝送するように構成されたトランシーバ装置と;
伝送信号および反射信号を受信する、互いに位相がずれた複数の検知器と;
物体の相対運動から生じた、伝送信号と反射信号との位相のシフトを前記複数の検知器にて測定する論理を有して構成されたプロセッサと、
を含み、プロセッサが、さらに、位相シフトを物体の相対運動に関連付ける論理を有して構成される、物体の相対運動を検知および測定するシステム。
【請求項40】
プロセッサが、さらに、伝送信号と反射信号との振幅の変化を複数の検知器にて測定する論理を有して構成された請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
プロセッサが、さらに、振幅の変化を位相シフトに関連付け、位相シフトを物体の運動に関連付ける論理を有して構成された請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
プロセッサが、さらに、検知器の出力からフェーザを数学的に導く論理を有して構成された請求項39に記載のシステム。
【請求項43】
プロセッサが、さらに、検知器間のフェーザの角度と完全なフェーザ回転との関係を用いる論理を有して構成され、フェーザの角度が、実際の移動距離の、伝送信号の周波数波長に対する比率に数学的に関連付けられる請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
プロセッサが、さらに、検知器の出力を用いてフェーザの角度のための振幅の座標を導く論理を有して構成される請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
プロセッサが、さらに、1波長より長い相対変位に関して、物体の相対変位をサブ波長分解能で測定するためにフェーザの回転をカウントする論理を有して構成される請求項42に記載のシステム。
【請求項46】
プロセッサが、さらに、位相の変化からの変位測定を、1波長より短い変位、および1波長より長い変位に対して行う論理を有して構成される請求項39に記載のシステム。
【請求項47】
トランシーバが、さらに、伝送信号を車両から、車両の少なくとも1つの面接触点の前に位置する面へ下方に向けるように構成される請求項39に記載のシステム。
【請求項48】
プロセッサが、さらに、前記伝送信号の源に対する前記面のトポロジーを示す論理を有して構成される請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
プロセッサが、さらに、機械の移動の測定を行う論理を有して構成される請求項39に記載のシステム。
【請求項50】
プロセッサが、さらに、機械の一部の移動を測定する論理を有して構成される請求項39に記載のシステム。
【請求項51】
プロセッサが、さらに、エンジンブレードの運動の測定を行う論理を有して構成される請求項39に記載のシステム。
【請求項52】
基準信号の振幅を2つの検知器にて測定するように構成された論理と、
反射信号の振幅を2つの検知器にて測定するように構成された論理と、
2つの検知器での基準信号と反射信号との振幅の変化を、物体の相対運動により生じた位相の変化に数学的に関連付けるように構成された論理と、
物体の変位測定をサブ波長の分解能でもたらすように、位相の変化を物体の相対運動に数学的に関連付けるように構成された論理と、を含む、読み出し可能な媒体上の処理システム。
【請求項53】
物体の相対運動から生じた、伝送信号と反射信号との位相のシフトを、互いに位相がずれた複数の検知器にて測定するように構成された論理と;
位相シフトを物体の相対運動に関連付けるように構成された論理と、
を含む、読み出し可能な媒体上の処理システム。
【請求項54】
論理が、さらに、伝送信号と反射信号との振幅の変化を複数の検知器にて測定するように構成される請求項53に記載の処理システム。
【請求項55】
論理が、さらに、振幅の変化を位相シフトに関連付け、かつ位相シフトを物体の運動に関連付けるように構成される請求項54に記載の処理システム。
【請求項56】
論理が、さらに、検知器の出力からフェーザを数学的に導くように構成される請求項53に記載の方法。
【請求項57】
論理が、さらに、検知器間のフェーザの角度と完全なフェーザ回転との関係を用いるように構成され、フェーザの角度が、実際の移動距離の、伝送信号の周波数波長に対する比率に数学的に関連付けられる請求項56に記載の処理システム。
【請求項58】
論理が、さらに、検知器の出力を用いてフェーザの角度のための振幅の座標を導くように構成される請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
論理が、さらに、1波長より長い相対変位に関して、物体の相対変位をサブ波長分解能で測定するためにフェーザの回転をカウントするように構成される請求項56に記載の処理システム。
【請求項60】
論理が、さらに、位相の変化からの変位測定を、1波長より短い変位、および1波長より長い波長の変位に対して行うように構成される請求項53に記載の処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2008−256704(P2008−256704A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−119615(P2008−119615)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【分割の表示】特願2002−546242(P2002−546242)の分割
【原出願日】平成13年11月8日(2001.11.8)
【出願人】(304017373)ジョージア テック リサーチ コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】