説明

位相制御装置

【課題】従来のこの種の装置では不可能な伝送路長の大きな変化による位相変動を調整できると同時に、検出精度を高める。
【解決手段】高周波信号である原信号を発生する原発振器1と、制御信号に基づいて原信号の通過時間を調整する移相器2と、原信号が伝送される伝送路3と、位相検出用信号を発生する位相検出用発振器4と、位相検出用信号の周波数を切り替える信号を発生する周波数切替信号発生器5と、位相検出用信号を2つに分岐して、基準信号と変調信号として出力する方向性結合器6と、方向性結合器6により分岐した変調信号が伝送される伝送路7,8と、方向性結合器6により分岐した基準信号と方向性結合器6により分岐して伝送路7,8を伝播した変調信号との位相を比較し、比較結果に応じて、原信号の通過時間を調整する制御信号を生成し移相器2に出力する位相検出器9とを備えた位相制御装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は位相制御装置に関し、特に、高周波信号の位相を自由に制御できる位相制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粒子を加速するための加速器用高周波加速装置では、一般的に高周波電圧を印加させる機構(以下ではキャビティと称する)を複数備えており、このキャビティを粒子が通ることで徐々に加速される。この場合、各キャビティにおいて印加させる高周波電圧信号の位相を合わせておく必要があり、位相にずれがある場合、加速すべき粒子が減速される可能性もある。一方、各キャビティ間の伝送路として用いられる導波管や同軸ケーブル等は、それぞれ材質固有の熱膨張を有しており、季節による温度変化や、高周波電圧信号伝送時の損失に伴い発生する熱による温度変化で、伝送路の長さが変化してしまう。これにより、各キャビティにおける上記高周波電圧信号の位相にずれが生じ、加速器としての運転効率が低下する恐れがある。したがって、伝送路の長さを一定に制御するなどの処置を施す必要がある。
【0003】
高周波信号の位相を制御するための位相制御装置としては、例えば図19のような装置がある。この装置では、原発振器からの出力信号を方向性結合器Aにより2つに分離する。分離した一方の信号については、移相器および上記と異なる方向性結合器Bを介してキャビティに伝送される。一方、方向性結合器Aで分離された上記と異なるもう一方の信号は、移相器と並列に設けられた、位相検出器に入力される。また、方向性結合器Bで分離されたキャビティへの伝送信号と異なるもう一方の信号も位相検出器に入力される。位相検出器は、入力される2つの信号の位相を比較し、キャビティへの伝送信号位相を所望の位相にするための例えば電圧値などの制御信号が出力される。この制御信号は移相器に入力され、制御信号に応じた量だけ上記伝送信号の位相がシフトされる。ここで、上記制御信号が移相器に入力されるという動作が繰り返されることで、帰還回路が構成され、この帰還回路により、伝送路長変動を補正する制御を行う(例えば、特許文献1参照。但し、図19の構成は、特許文献1の図1の(a),(b)の構成を組み合わせ、さらに一部の部品を削除して構成を簡略化したものである。)。
【0004】
ここで、図19の装置では、原発振器からの出力信号の一部を用いて位相検出を行なっており、この方式で高い検出精度を得るためには、例えば検出時の信号対雑音比(以下ではSN比と称する)を向上させる必要がある。
【0005】
そこで、図20に示すように、原発振器とは別の位相検出用発振器を備える。ここで、位相検出に用いる信号周波数を高くすると、位相が2π変動する伝送路長変化量は小さくなる、という関係から、一般的に検出精度は向上すると言える。したがって、上記位相検出用発振器の信号周波数を高くすることで、図19に対し、検出精度が向上するという効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−172000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の図19や図20の位相制御装置を用いることで、伝送路変化による位相変動を検出し、所望の位相に調整することができる。ここで、調整可能範囲は、一般的には、位相検出に用いる信号周波数と、位相検出器の有する検出位相範囲とで決定される。しかしながら、例えば電源をOFFにするなどして長期間時間が経過した後や、装置の周囲温度が急激に変化した後にこの検出を行う場合、伝送路の変化範囲が上記調整可能範囲を超えてしまい、検出不可能となる、もしくは精度が低下するといった問題点があった。
【0008】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、伝送路長の大きな変化による位相変動を調整できると同時に、検出精度を高めることが可能な、位相制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、高周波信号である第1の信号を発生する第1発振器と、入力される制御信号に基づいて、前記第1の信号の通過時間を調整する第1通過時間調整手段と、前記第1の信号が前記第1通過時間調整手段を介して伝送される第1伝送路と、位相検出に用いる信号である第2の信号を発生する第2発振器と、前記第2の信号の周波数を切り替えるための信号を発生して前記第2発振器に出力する第1周波数切替信号発生器と、前記第2の信号を2つに分岐して、第1および第2の分岐信号として出力する第1分岐器と、前記第1分岐器により分岐した第1の分岐信号が伝送される第2伝送路および第3伝送路と、前記第1分岐器から分岐した第2の分岐信号と、第2伝送路と第3伝送路を伝播した前記第1の分岐信号との位相を比較し、この比較した結果に応じて、前記第1の信号の通過時間を調整するための制御信号を生成し、前記第1通過時間調整手段に出力する位相検出器とを備え、前記第1伝送路通過後の前記第1の信号の通過時間は前記第1通過時間調整手段により制御され、前記第1周波数切替信号発生器からの信号に応じて前記第2の信号の周波数が切替可能であることを特徴とする位相制御装置である。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、高周波信号である第1の信号を発生する第1発振器と、入力される制御信号に基づいて、前記第1の信号の通過時間を調整する第1通過時間調整手段と、前記第1の信号が前記第1通過時間調整手段を介して伝送される第1伝送路と、位相検出に用いる信号である第2の信号を発生する第2発振器と、前記第2の信号の周波数を切り替えるための信号を発生して前記第2発振器に出力する第1周波数切替信号発生器と、前記第2の信号を2つに分岐して、第1および第2の分岐信号として出力する第1分岐器と、前記第1分岐器により分岐した第1の分岐信号が伝送される第2伝送路および第3伝送路と、前記第1分岐器から分岐した第2の分岐信号と、第2伝送路と第3伝送路を伝播した前記第1の分岐信号との位相を比較し、この比較した結果に応じて、前記第1の信号の通過時間を調整するための制御信号を生成し、前記第1通過時間調整手段に出力する位相検出器とを備え、前記第1伝送路通過後の前記第1の信号の通過時間は前記第1通過時間調整手段により制御され、前記第1周波数切替信号発生器からの信号に応じて前記第2の信号の周波数が切替可能であることを特徴とする位相制御装置であるので、従来のこの種の装置では不可能な伝送路長の大きな変化による位相変動を調整できると同時に、検出精度を高めることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る位相制御装置の構成を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る位相制御装置の変形例の構成を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る位相制御装置の他の変形例の構成を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る位相制御装置の構成を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係る位相制御装置の構成を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態4に係る位相制御装置の構成を示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態4に係る位相制御装置の変形例の構成を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態5に係る位相制御装置の構成を示す構成図である。
【図9】この発明の実施の形態6に係る位相制御装置の構成を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態6に係る位相制御装置の変形例の構成を示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態7に係る位相制御装置の構成を示す構成図である。
【図12】この発明の実施の形態8に係る位相制御装置の構成を示す構成図である。
【図13】この発明の実施の形態9に係る位相制御装置の構成を示す構成図である。
【図14】この発明の実施の形態9に係る位相制御装置の変形例の構成を示す構成図である。
【図15】この発明の実施の形態9に係る位相制御装置の他の変形例の構成を示す構成図である。
【図16】この発明の実施の形態9に係る位相制御装置のさらなる他の変形例の構成を示す構成図である。
【図17】この発明の実施の形態9に係る位相制御装置の別の他の変形例の構成を示す構成図である。
【図18】この発明の実施の形態9に係る位相制御装置のさらなる別の他の変形例の構成を示す構成図である。
【図19】従来の位相制御装置の一例を示す構成図である。
【図20】従来の位相制御装置の他の例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において、同一または相当する部分については、同一符号を付して説明する。また、重複する説明については省略する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る位相制御装置の構成図である。図1において、1は原発振器、2は移相器、3は伝送路、4は位相検出用発振器、5は周波数切替信号発生器、6は方向性結合器、7,8は伝送路、9は位相検出器である。
【0014】
原発振器1は移相器2に接続されており、発生した高周波信号を移相器2へ伝送する。移相器2は、位相検出器9から伝送される制御信号が入力され、それに基づいて、原発振器1からの高周波信号の位相を所定の位相に調整し、伝送路3に伝送する。この移相器2としては、例えばラインストレッチャのように伝送路長を変化させることで信号の位相を調整させるものが挙げられる。伝送路3は、移相器2からの高周波信号を伝送し、位相制御された信号として外部に出力する。以下では、原発振器1からの高周波信号を原信号、上記所定の位相を所望位相と称し、本実施の形態1では、原信号を所望位相に制御することを目的とする。なお、伝送路3に使用されるものとしては、例えば同軸ケーブルなどが挙げられる。
【0015】
一方、位相検出用発振器4は位相検出に用いる信号を発生し、方向性結合器6へ伝送する。また、位相検出用発振器4は、周波数切替信号発生器5からの信号に応じて、発生する信号の周波数を可変できるものとする。なお、位相検出用発振器4から方向性結合器6へ出力される信号を以下では位相検出用信号と称する。周波数切替信号発生器5は、位相検出用発振器4から発生される信号の周波数を切り替えるための信号を位相検出用発振器4へ伝送する。なお、周波数切替信号発生器5から位相検出用発振器4へ出力される信号を以下では周波数切替用信号と称する。
【0016】
方向性結合器6は、位相検出用発振器4から入力される位相検出用信号を2つに分岐し、一方の信号を伝送路7に伝送し、他方の信号を位相検波器9に伝送する。ここで、位相検波器9に伝送される信号を以下では基準信号と称する。伝送路7および伝送路8は方向性結合器6からの信号を位相検出器9へ伝送する。ここで、方向性結合器6から、伝送路7,8を介して、位相検出器9に伝送される信号を以下では変調信号と称する。
【0017】
位相検出器9は、基準信号と変調信号の位相を比較し、変調信号の位相が所定の位相と一致するように移相器2で原信号の位相を調整するための例えば電圧値などの制御信号を生成し、移相器2に伝送する。
【0018】
また、伝送路3、伝送路7、伝送路8は同一の長さ、同一線膨張係数を有しているとし、並列に近接して配置されているとする。さらにこの条件から、各伝送路3,7,8の環境温度変化等による変動長が同一であると仮定する。なお、この仮定は、以降の他の実施の形態においても当てはまるとする。この仮定が成り立つとすると、位相検出器9で検出される伝送路7と伝送路8の変動で生じる位相変化量は、伝送路3の変動で生じる位相変化量の2倍になる。したがって、移相器2では、位相検出器9で検出した位相変化量の半分を補正するように調整を行えばよい。この関係から、変調信号の位相を所定の位相に一致させることと、原信号の位相を所望位相に一致させることは同義であると言える。
【0019】
次に、図1の位相制御装置の動作について説明する。まず、原発振器1から原信号が発生され、移相器2および伝送路3を通過して、外部に出力される。
【0020】
一方、位相検出用発振器4から位相検出用信号が発生され、方向性結合器6へ伝送される。方向性結合器6に入力された信号は、2つに分岐された後、一方は基準信号として位相検波器9に伝送され、他方は変調信号として伝送路7および伝送路8を通過して位相検出器9に伝送される。
【0021】
ここで、変調信号は位相検出器9により基準信号の位相と比較され、この位相が予め設定された所定の位相と一致するように移相器2で位相を調整するための例えば電圧値などの制御信号が移相器2に伝送される。
【0022】
移相器2は、入力された制御信号に応じて、原信号の位相を調整する。この動作、すなわち、位相検波器9での位相比較により得られる制御信号が移相器2に入力され、移相器2がこの制御信号に応じて原信号の位相を調整するという動作が繰り返されることにより、帰還回路が構成される。この帰還回路により、周囲の温度変化等による伝送路長の変動を補正する制御を行う。したがって、伝送路3から外部に出力された信号は、高い安定度で所望位相に制御される。
【0023】
また、移相検出用発振器4から出力される位相検出用信号の周波数を変更したい場合、周波数切替信号発生器5から位相検出用発振器4へ周波数切替用信号を伝送させる。その後、位相検出用発振器4から周波数が変更された位相検出用信号が発生され、方向性結合器6へ伝送される。それ以降の動作は前述と同様であるため省略する。これにより、変更された周波数でも伝送路長の変動を補正する制御を行い、伝送路3から外部に出力された信号は、所望位相に制御される。
【0024】
次に、図1の位相制御装置における効果について説明する。例えば、従来構成である図19の構成では、原発振器の一部の信号を用いて位相検出を行っており、この方式で高い検出精度を得るためには、検出信号のSN比の向上が必要となる。これに対し、この発明に係る図1の構成では、原発振器7とは別の位相検出用発振器4を用意しているので、当該位相検出用発振器4の信号周波数を、原発振器1の信号周波数と異なる値に設定することができる。
【0025】
ここで、伝送路の誘電率は1であると仮定し、光速をc[m/s]、位相検出用発振器4から出力される信号周波数をf[Hz]、伝送路7と伝送路8の変動長の合計をΔL[m]、伝送路長の変動による検出位相変化量をΔθ[rad]とおくと、ΔLは次式(1)で表される。
【0026】
【数1】

【0027】
また、位相検出器9で検出可能な位相分解能をθres[rad]とし、この分解能で検出できる伝送路長変動量をΔLres[m]とすると、ΔLresは次式(2)で表される。
【0028】
【数2】

【0029】
式(2)より、fを大きくすることでΔLresを小さくすることができる、つまり、伝送路長変動量の検出精度を高めることができる。
【0030】
一方、検出可能な位相変化量を2π[rad]とし、検出可能な伝送路長変動量をΔLmax[m]とすると、ΔLmaxは次式(3)で表される。
【0031】
【数3】

【0032】
式(3)より、fを大きくするとΔLmaxは小さくなる。ここで、例えば、本実施の形態に係る位相制御装置の電源をOFFにして長期間時間が経過した後や、環境温度が急激に変化した後に、この検出を行う場合、ΔLがΔLmaxを超えてしまい、検出不可能となる可能性がある。
【0033】
そこで、図1のように、位相検出用発振器4から出力される位相検出用信号の周波数を変更できるようにし、fを小さい値に変更することで、ΔLmaxが増加し、上記のような大きな伝送路長変動が生じた場合でも、検出が可能になるという効果が得られる。
【0034】
さらに、位相検出用発振器4から出力される位相検出用信号の周波数を段階的に増加させることで、前述したとおり、伝送路長変動量の検出精度を段階的に高めることができる。したがって、電源をOFFにした後や環境温度の急激な変化が生じた場合でも、十分位相検出が可能であるように、初期の位相検出用信号周波数は小さくしておき、このときの検出値から移相器2による調整を行った後、周波数を増加させて、上記と同様の動作を行う。これを繰り返すことで、大きな伝送路長変動量も調整できると同時に、高い検出精度が得られることから位相安定性が向上するという効果も得られる。
【0035】
また、移相器2は伝送路3の後に接続されていてもよい。このことは、以降の他の実施の形態においても当てはまることである。
【0036】
また、伝送路3、伝送路7、伝送路8は同一の長さ、同一線膨張係数を有しており、並列に近接して配置されていると仮定したが、この仮定は必ずしも成立していなくてもよい。このことは、以降の他の実施の形態においても当てはまることである。
【0037】
また、本実施の形態1に係る位相制御装置では、伝送路3、伝送路7、伝送路8の長さの変動を調整するものであることから、伝送路3、伝送路7、伝送路8に接続されている移相器2等の部品の長さは、伝送路3、伝送路7、伝送路8の長さに比べて無視できる程度である方が好ましい。また、原信号が通過する伝送路3以外の経路と、位相検出用信号が通過する経路と、変調信号が通過する伝送路7および伝送路8以外の経路は、できるだけ短い方が好ましい。このことは、以降の他の実施の形態においても当てはまることである。
【0038】
また、図2に示すように、伝送路7と伝送路8との間に方向性結合器10を設けて、当該方向性結合器10を用いて伝送路7からの信号を2つに分岐し、一方の信号だけを伝送路8を介して位相検出器9に伝送させ、他方は外部等に出力するようにしてもよい。このことは、以降の他の実施の形態においても当てはまることである。
【0039】
また、図3に示すように、位相検出用発振器4と方向性結合器6との間に移相器11を設けるとともに、位相検出器9が移相器11で位相検出用信号の位相を調整するための制御信号も出力できるようにし、この制御信号を移相検出器9から移相器11に伝送することで、位相検出用信号の位相を調整させてもよい。このことは、以降の他の実施の形態においても当てはまることである。
【0040】
以上のように、本実施の形態1によれば、第1の信号としての高周波信号を発生する第1発振器としての原発振器1と、入力される制御信号に基づいて、第1の信号の通過時間を調整する第1通過時間調整手段としての移相器2と、第1の信号が前記第1通過時間調整手段を介して伝送される第1伝送路としての伝送路3と、位相検出に用いる信号である第2の信号を発生する第2発振器としての位相検出用発振器4と、第2の信号の周波数を切り替えるための信号を発生して位相検出用発振器4に出力する第1周波数切替信号発生器としての周波数切替信号発生器5と、第2の信号を2つに分岐して第1および第2の分岐信号として出力する第1分岐器としての方向性結合器6と、方向性結合器6により分岐した第1の分岐信号を伝播する第2伝送路および第3伝送路として伝送路7,8と、方向性結合器6から分岐した基準信号としての第2の分岐信号と伝送路7,8を伝播した第1の分岐信号との位相を比較し、この比較した結果に応じて、原発振器1から出力される高周波信号の通過時間を調整するための制御信号を移相器2に出力する位相検出器9とを備えるようにしたので、位相検出器9が、他の伝送路7,8を実際に通過した信号の位相と基準信号としての伝送路を通過しない信号との位相比較に基づいて、移相器2により位相調整を行うための制御信号を生成するため、移相器2において、伝送路3,7,8を取り巻く周囲の温度変化等による伝送路長の変動を補正する制御を行うことができ、伝送路3の通過後に外部に出力される高周波信号の通過時間を高い安定度で制御することができる。
【0041】
また、本実施の形態1においては、周波数切替信号発生器5を設けて、それからの信号に応じて位相検出用発振器4の信号の周波数を切り替えることができるようにしたため、位相検出用信号の周波数を小さい値に変更するようにすれば、大きな伝送路長変動が生じた場合でも、検出が可能になるという効果が得られる。さらに、位相検出用信号の周波数を初期の段階では小さくしておいて大きな伝送路長変動の検出に対応させておき、当該検出値に基づいて移相器2による調整を行った後に、位相検出用信号の周波数を段階的に増加させるようにすれば、伝送路長変動量の検出精度を段階的に高めることができる。これを繰り返すことにより、大きな伝送路長変動量も調整できると同時に、高い検出精度が得られることから位相安定性が向上するという効果も得られる。
【0042】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2に係る位相制御装置の構成図である。図4において、12は、周波数切替判定器である。
【0043】
図4の構成と図1の構成との違いは、図4の構成においては、周波数切替判定器12が設けられている点であり、当該周波数切替判定部12は位相検出器9と周波数切替信号発生器5とに接続されている。
【0044】
周波数切替判定器12は、位相検出器9からの検出した位相の情報を含んだ信号を受信し、あらかじめ設定している判定基準に基づいて、位相検出用信号の周波数を切り替えるか切り替えないかの判定を行い、周波数切替を実施するか否かを示す判定信号を周波数切替信号発生器5へ伝送する。周波数切替信号発生器5は、周波数切替判定器12からの判定信号に基づいて位相検出用発振器4へ周波数切替用信号を伝送する。その他の構成については、前述の実施の形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0045】
次に、図4の位相制御装置の動作について説明する。なお、前述の実施の形態1と同様の動作については、説明を省略する。位相検出器9で位相が比較され、移相器2で位相を調整するための制御信号を移相器2に伝送されるまでは、前述の実施の形態1と同様の動作である。本実施の形態では、位相検出器9で検出した位相の情報を含んだ信号が、周波数切替判定器12へ伝送される。周波数切替判定器12では位相検出器9からの信号が受信された後、あらかじめ設定している判定基準に基づいて、位相検出用信号の周波数を切り替えるか切り替えないかの判定がされ、周波数切替を実施するか否かを示す判定信号が周波数切替信号発生器5へ伝送される。
【0046】
その後、周波数切替判定器12からの判定信号に基づいて、当該判定信号が周波数切替を実施することを示す信号であった場合には、周波数切替信号発生器5から位相検出用発振器4へ周波数切替用信号が伝送される。一方、当該判定信号が周波数切替を実施のしないことを示す信号であった場合には、周波数切替信号発生器5は位相検出用発振器4へ信号を伝送しない。その後の動作は前述の実施の形態1と同様である。
【0047】
次に、図4の位相制御装置における効果で、実施の形態1で記載していない点について説明する。図4の構成は周波数切替判定器12を設け、あらかじめ設定している判定基準に基づいて、位相検出用信号の周波数を切り替えるか切り替えないかの判定を行っている。これにより、検出位相の値に応じて自動的に調整できるという効果が得られる。この効果が得られる理由について、以下で簡単な動作例を示して説明する。
【0048】
例えば、周波数切替判定器12で位相検出用信号の周波数を切り替えるか否かの判定基準として、所望位相と検出位相との差に関するしきい値をあらかじめ設定する。位相検出用信号の設定周波数をf、検出位相をθdet、所望位相をθdes、設定するしきい値をθthとすると、θdetが式(4)の条件を満足したとき、周波数切替判定器12で周波数切り替えの判定を行うものとする。
【0049】
【数4】

【0050】
また、式(4)を満足した場合に切り替える設定周波数をfとし、設定周波数がfに切り替わる直前の検出位相を、式(4)からθdes+θthと仮定する。また、設定周波数がfに切り替わった直後の検出位相をθdet´とすると、式(1)において、設定周波数切り替え直前と直後でΔLは一致しているという条件から、θdet´は式(5)で表すことができる。
【0051】
【数5】

【0052】
式(5)から、f<fの設定とすると、θdet´とθthとの関係は、必ず式(6)を満足することになる。
【0053】
【数6】

【0054】
したがって、設定周波数がfに変更した後は、周波数切替判定器12で周波数切り替えの判定はされず、式(7)を満足するまで、移相器2で原信号位相が調整されることになる。
【0055】
【数7】

【0056】
また、設定周波数f、検出位相がθdes+θthのときの所望の伝送路長と実際の伝送路長との差をΔL、設定周波数f、検出位相がθdes+θthのときの所望の伝送路長と実際の伝送路長との差をΔLとすると、式(1)からΔLとΔLはそれぞれ式(8)および式(9)で表される。
【0057】
【数8】

【0058】
【数9】

【0059】
式(8)および式(9)とf<fの関係から、ΔLとΔLは式(10)の関係を必ず満足することになる。
【0060】
【数10】

【0061】
上記のような考察から、式(4)のような判定基準で切り替える設定周波数を高くすると、自動的に所望の伝送路長つまり所望位相に調整されることになり、高い設定周波数を用いるほど、所望位相への調整の精度が向上することになる。
【0062】
以上のように、本実施の形態2においては、上述の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態においては、位相検出器9で検出した位相の情報を含んだ信号に基づいて、あらかじめ設定された判定基準で、周波数の切替を実施するか否かを判定する周波数切替判定器12を設けるようにしたので、自動的に所望の伝送路長つまり所望位相に調整されることになり、また、判定基準として高い設定周波数を用いるほど、所望位相への調整の精度が向上するという効果が得られる。
【0063】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3に係る位相制御装置の構成図である。図5において、21はサーキュレータ、22は方向変換器である。
【0064】
図5の構成と図1の構成との違いは、図5の構成においては、伝送路8を設けず、サーキュレータ21、方向変換器22を設けている。サーキュレータ21は方向性結合器6と伝送路7の方向性結合器6側の一端との間に接続され、方向変換器22は伝送路7のもう一方の端に接続されている。
【0065】
サーキュレータ21は方向性結合器6からの変調信号を伝送路7に伝送し、伝送路7からの変調信号を位相検出器9に伝送する。方向変換器22は伝送路7からの変調信号の方向を逆方向に変換させて、再度伝送路7に伝送する。その他の構成については、前述の実施の形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0066】
次に、図5の位相制御装置の動作について説明する。原信号の動作は前述の実施の形態1と同様であり、説明を省略する。また、位相検出用信号が方向性結合器6に到達するまでの動作は前述の実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
【0067】
方向性結合器6からの変調信号は、サーキュレータ21の第1のポートから入力され、サーキュレータ21の第2のポートから出力されて伝送路7に伝送され、方向変換器22の1つのポートに入力される。方向変換器22では、変調信号の進行方向を入力方向と逆方向に変換した後、入力されたポートと同一のポートから出力され、伝送路7に伝送される。それにより、当該変調信号は再度伝送路7に今度は逆の方向に伝送され、サーキュレータ21の第2のポートに入力される。その後、当該変調信号は、サーキュレータ21を通過して、サーキュレータ21の第3のポートから出力され、位相検出器9に伝送される。位相検出器9以降の動作は前述の実施の形態1と同様であるため省略する。
【0068】
次に、図5の位相制御装置における効果で、実施の形態1で記載していない点について説明する。図1の構成では、方向性結合器6からの変調信号は、伝送路7および伝送路8を通過して位相検出器9に伝送されている。一方、図5の構成では、変調信号は、サーキュレータ21および伝送路7を通過して方向変換器22に到達し、再度、伝送路7およびサーキュレータ21を通過して位相検出器9に伝送されている。したがって、図5では伝送路8が不要となり、低コスト化が可能となり、かつ、小型化が可能となるという効果が得られる。また、図1の構成では、伝送路3、伝送路7、伝送路8の3つの伝送路長を一致させないと検出精度が劣化してしまうが、図1の構成では、伝送路3と伝送路7の2つの伝送路長を一致させればよい。したがって、図5の方が高い検出精度が得やすいという効果も有している。
【0069】
以上のように、本実施の形態3においては、上述の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態3においては、伝送路8を設けずに、第2及び第3の伝送路として単一の伝送路7を用いて、伝送路7により伝送された変調信号の進行方向を方向変換器22で逆向きに変えて、同一の伝送路7で再度逆方向に伝送し、位相検出器9まで伝送するようにしたので、伝送路8が不要となり、低コスト化および小型化が可能となるという効果が得られる。
【0070】
実施の形態4.
図6はこの発明の実施の形態4に係る位相制御装置の構成図である。図6において、31,32は合分波器である。
【0071】
図6の構成は、図5の構成に対して、さらに伝送路7も設けず、合分波器31および合分波器32を設けている。合分波器31は、移相器2と伝送路3との間に設けられるとともに、サーキュレータ21にも接続されている。また、合分波器32は、伝送路3の合分波器31側とは反対側の一端に接続されて、入力された信号を分波して、一方を外部に出力し、他方を方向変換器22に入力する。
【0072】
合分波器31は、移相器2からの原信号とサーキュレータ21からの変調信号とを合波して伝送路3に伝送するとともに、伝送路3からの変調信号をサーキュレータ21に伝送する。合分波器32は、伝送路3からの原信号と変調信号とを分波して、原信号を外部に出力し、変調信号を方向変換器22に伝送するとともに、方向変換器22で進行方向が逆向きに変更された変調信号を再度伝送路3に伝送する。その他の構成については、前述の実施の形態3と同様であり、その説明を省略する。なお、合分波器31,32は、同一の機能を有する合分波器から構成されている。
【0073】
次に、図6の位相制御装置の動作について説明する。まず、原信号が移相器2を通過するまでの動作、および、変調信号がサーキュレータ21を通過するまでの動作は前述の実施の形態3と同様であり、説明を省略する。移相器2を通過した原信号およびサーキュレータ21を通過した変調信号は、それぞれ、合分波器31の第1のポートおよび第2のポートから別個に入力される。それらの原信号および変調信号は合分波器31で合波され、合分波器31の第3のポートから伝送路3へ伝送される。当該合波信号は、伝送路3を通過した後、合分波器32の第3のポートに入力され、合分波器32でそれぞれ分離され、原信号は合分波器32の第1のポートから外部に出力され、変調信号は合分波器32の第2のポートから方向変換器22に伝送される。その後、変調信号は、方向変換器22で進行方向が逆方向に変換された後、合分波器32の第2のポートから入力され、合分波器32を通過した後、合分波器3の第3のポートから出力されて、再度伝送路3に伝送され、合分波器31およびサーキュレータ21を通過して位相検出器9に伝送される。位相検出器9以降の動作は前述の実施の形態3と同様であるため省略する。
【0074】
次に、図6の位相制御装置における効果で、実施の形態3で記載していない点について説明する。図5の構成では、原信号は伝送路3を通過し、変調信号は伝送路7を通過して位相検出器9に伝送されている。一方、図6の構成では、原信号および変調信号を合分波器31で合波し、両信号を伝送路3を通過させて、合分波器32で分離している。また、変調信号は、方向変換器22で進行方向が逆方向に変換され、再度伝送路3に伝送され、合分波器31およびサーキュレータ21を通過して位相検出器9に伝送される。したがって、図6では伝送路7がさらに不要となり、低コスト化が可能となり、かつ、小型化が可能となるという効果が得られる。また、図5の構成では伝送路3、伝送路7の2つの伝送路長を一致させないと検出精度が劣化してしまうが、図6の構成では伝送路は1つのみであり、伝送路長の違いによる検出精度の劣化は生じない。したがって、図6の方が高い検出精度が得やすいという効果も有している。
【0075】
また、図7に示すように、移相器2を合分波器31から合分波器32までの間に設置してもよい。これにより、原信号の位相とともに変調信号の位相も調整することができるという効果が得られる。このことは、以降の他の実施の形態においても当てはまることである。
【0076】
以上のように、本実施の形態4によれば、上述の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態4においては、第1〜第3の伝送路として単一の伝送路3を用いるようにしたので、低コストおよび小型化が図れるという効果が得られる。
【0077】
実施の形態5.
図8はこの発明の実施の形態5に係る位相制御装置の構成図である。
【0078】
図8の構成は、図6の構成に対して、方向性結合器201、移相器202および合波器203を設けている。方向性結合器201は、合分波器32と方向変換器22との間に設けられるとともに、移相器202にも接続されている。また、移相器202は、方向性結合器201と合波器203との間に設けられている。また、合波器203は合分波器32と移相器202に接続されている。
【0079】
方向性結合器201は、合分波器32で分波された変調信号を2つに分岐し、一方を方向変換器22に伝送し、他方を移相器202に伝送する。さらに、方向変換器22で進行方向が逆向きに変更された変調信号を再度合分波器32に伝送する。移相器202は、分岐器201からの変調信号の位相を所定の位相に調整し、合波器203に伝送する。合波器203は、合分波器32からの原信号と移相器202からの所定の位相に調整された変調信号とを合波して外部に出力する。その他の構成については、前述の実施の形態4と同様であり、その説明を省略する。
【0080】
次に、図8の位相制御装置の動作について説明する。まず、原信号および変調信号が合分波器32を通過するまでの動作は前述の実施の形態4と同様であり、説明を省略する。合分波器32で分波された原信号は、合波器203へ伝送される。合分波器32で分波された変調信号は、方向性結合器201で2つに分岐され、一方は方向変換器22へ伝送され、進行方向が逆向きに変更された後、再度方向性結合器201を通過して合分波器32に伝送される。この変調光のその後の動作は前述の実施の形態4と同様であり、説明を省略する。方向性結合器201で分岐されたもう一方の信号は、移相器202で所定の位相に調整され、合波器203に伝送される。合波器203に伝送された原信号および変調信号は合波器203で合波され、出力信号として外部へ出力される。
【0081】
次に、図8の位相制御装置における効果で、実施の形態4で記載していない点について説明する。例えば、合分波器32の第3のポートから入力された原信号および変調信号は、原信号は合分波器32の第1のポートに、変調信号は合分波器32の第2のポートに分波されるとする。このとき、実際の合分波器は、変調信号の一部が第1のポートに漏れこんでしまう。同様に原信号の一部が第2のポートに漏れこんでしまう。この漏れこみの指標を一般的にアイソレーションと呼ばれており、合分波器はアイソレーションで規定された比率で分波されることになる。
【0082】
ここで、図6の構成は、合分波器31で分波した原信号はそのまま所望の出力信号として外部へ出力される。一方、図8の構成は、変調信号については、方向性結合器201で分岐された2つの信号のうち、方向変換器22へ伝送されない方は、移相器202で位相を調整され、合波器203で原信号と合波される。このとき、合分波器31で第1のポートから出力される原信号に漏れこんだ変調信号が合波器203に到達するときの位相と、移相器202を通過した変調信号が合波器203に到達するときの位相とが逆相になるように、移相器202を通過する変調信号の位相を調整することで、原信号に漏れこんだ変調信号をキャンセルすることができ、原信号の純度を高めることができるという効果が得られる。なお、原信号に漏れこんだ変調信号を雑音成分とみなした場合、この構成を用いることで原信号のSN比を高めることができると言うこともできる。
【0083】
なお、移相器202を通過する変調信号の電力は、原信号に漏れこんだ変調信号と同程度とした方がキャンセルの度合を高めることができる。そのために、例えば方向性結合器201と移相器202の間、または移相器202と合波器203との間に増幅器もしくは減衰器を挿入した構成にしてもよい。この構成で、増幅器の利得もしくは減衰器の減衰量を調整することで、上記のように、移相器202を通過する変調信号の電力を原信号に漏れこんだ変調信号と同程度にすることができる。また、増幅器の利得もしくは減衰器の減衰量は、可変型を用いることで自在に調整が可能になるという利点が生じる。このことは、以降の他の実施の形態においても当てはまることである。
【0084】
以上のように、本実施の形態5によれば、上述の実施の形態4と同様の効果が得られるとともに、原信号の純度を高めることができるという効果が得られる。
【0085】
実施の形態6.
図9はこの発明の実施の形態6に係る位相制御装置の構成図である。
【0086】
図9の構成は、図8の構成に対して、方向性結合器401、移相器402および合波器403を設けている。方向性結合器401は、原発振器1と移相器2との間に設けられるとともに、移相器402にも接続されている。また、移相器402は、方向性結合器401と合波器403との間に設けられている。また、合波器403は位相検出器9と移相器402とサーキュレータ21とに接続されている。
【0087】
方向性結合器401は、原発振器1からの原信号を2つに分岐し、一方を移相器2に伝送し、他方を移相器402に伝送する。移相器402は、方向性結合器401からの変調信号の位相を所定の位相に調整し、合波器403に伝送する。合波器403は、サーキュレータ21からの変調信号と移相器402からの所定の位相に調整された原信号とを合波して位相検出器9に出力する。その他の構成については、前述の実施の形態5と同様であり、その説明を省略する。
【0088】
次に、図9の位相制御装置の動作について説明する。原発振器1から発生された原信号は、方向性結合器401で2つに分岐され、一方は移相器2に伝送され、他方は移相器402に伝送される。移相器2を通過した原信号のその後の動作は前述の実施の形態5と同様であり、説明を省略する。また、変調信号がサーキュレータ21を通過するまでの動作は前述の実施の形態5と同様であり、説明を省略する。移相器402を通過する原信号は、移相器402で所定の位相に調整され、合波器403に伝送される。また、サーキュレータ21を通過した変調信号も、合波器403に伝送される。合波器403に伝送された原信号および変調信号は合波器403で合波され、位相検出器9へ伝送される。この変調信号のその後の動作は前述の実施の形態5と同様であり、説明を省略する。
【0089】
次に、図9の位相制御装置における効果で、実施の形態5で記載していない点について説明する。前述したように、実際の合分波器は、分波の際に、所望の信号以外の不要な信号が漏れこんでしまう。前述の実施の形態5は、原信号に漏れこんだ変調信号をキャンセルすることで、原信号の純度を高めていたが、同様に変調信号についても、合分波器31および合分波器32の分波の際に、原信号が漏れこんでしまう。
【0090】
そこで、図9の構成は、原信号については、方向性結合器401で分岐された2つの信号のうち、外部へ出力されない方は、移相器402で位相を調整され、合波器403で変調信号と合波される。このとき、合分波器31および合分波器32での分波の際に変調信号に漏れこんだ原信号が合波器403に到達するときの位相と、移相器402を通過した原信号が合波器403に到達するときの位相とが逆相になるように、移相器402を通過する変調信号の位相を調整することで、変調信号に漏れこんだ原信号をキャンセルすることができ、変調信号の純度を高めることができるというさらなる効果が得られる。なお、変調信号に漏れこんだ原信号を雑音成分とみなした場合、この構成を用いることで変調信号のSN比を高めることができると言うこともできる。すなわち、位相検出精度が向上することになる。
【0091】
なお、前述したように、合分波器31および合分波器32での分波の際に変調信号に漏れこんだ原信号が合波器403に到達するときの位相と、移相器402を通過した原信号が合波器403に到達するときの位相とが逆相になるように、移相器402を通過する変調信号の位相を調整することができれば、移相器402は原信号が通過する伝送路のどこに設置していても構わない。このことは、以降の他の実施の形態においても当てはまることである。
【0092】
また、前述と同様の効果が得られる構成として、図10のような構成が挙げられる。図10は図9の構成に対して、方向性結合器401を設けず、合分波器501を設けている。合分波器501は、合分波器31とサーキュレータ21との間に設けられるとともに、移相器402にも接続されている。合分波器501は、サーキュレータ21を通過した変調信号を合分波器31に伝送する。さらに、合分波器501は、合分波器31で分波されて方向変換器22によって進行方向が逆向きに変更された変調信号およびこの信号に漏れこんでいる原信号を分波し、変調信号を再度サーキュレータ21に伝送し、漏れこんでいる原信号を移相器402に伝送する。ここで、合分波器31および合分波器32での分波の際に変調信号に漏れこんだ原信号がサーキュレータ21を通過して合波器403に到達するときの位相と、移相器402を通過した原信号が合波器403に到達するときの位相とが逆相になるように、移相器402を通過する変調信号の位相を調整することで、変調信号に漏れこんだ原信号をキャンセルすることができ、図9と同様の効果を得ることができる。
【0093】
なお、合分波器501は合分波器31からの変調信号に漏れこんでいる原信号を分波して取り出している。ここで、前述したように、移相器402を通過する原信号の電力は、合波器403に伝送される変調信号に漏れこんだ原信号と同程度とした方がキャンセルの度合を高めることができる。そのために、例えば合分波器501と移相器402の間、または、移相器402と合波器403との間に、増幅器もしくは減衰器を挿入した構成にしてもよい。この構成で、増幅器の利得もしくは減衰器の減衰量を調整することで、上記のような移相器402を通過する変調信号の電力を原信号に漏れこんだ変調信号と同程度にすることができる。このことは、以降の他の実施の形態においても当てはまることである。
【0094】
以上のように、本実施の形態6によれば、上述の実施の形態5と同様の効果が得られるとともに、変調信号の純度を高めることができる、すなわち、位相検出精度が向上するという効果が得られる。
【0095】
実施の形態7.
図11はこの発明の実施の形態7に係る位相制御装置の構成図である。
【0096】
図11の構成は、図6の構成に対して、方向性結合器6および位相検出器9を設けず、複数信号発生用発振器41、合波器42、分岐器43、基準信号源44、周波数シフタ45、合波器46、分波器47、周波数混合手段48、周波数混合手段49、位相検出器50、位相検出器51、位相差検出器52を設けている。
【0097】
複数信号発生用発振器41は、位相検出用発振器4からの位相検出用信号の周波数とは異なる周波数を有する信号を発生する。以下では、位相検出用発振器4からの位相検出用信号を第1位相検出用信号、複数信号発生用発振器41からの信号を第2位相検出用信号と称する。合波器42は、第1位相検出用信号と第2位相検出用信号とを合波して出力する。
【0098】
分岐器43は、合波器42からの信号を2つに分岐し、一方を合波器46に伝送し、他方をサーキュレータ21に伝送する。この合波器46に伝送される信号を以下ではローカル信号と称し、周波数混合のための信号として使用する。また、サーキュレータ21に伝送される信号を以下では参照信号と称し、周波数混合のための信号として使用する。
【0099】
基準信号源44は、ローカル信号と参照信号とを用いた周波数混合において参照信号を周波数シフトさせるときの信号を発生する。以下では、この信号を周波数シフト用基準信号と称する。周波数シフタ45は、サーキュレータ21からの参照信号を基準信号源44からの周波数シフト用基準信号に応じて周波数シフトさせ、合波器46に伝送する。
【0100】
合波器46は、分岐器43からのローカル信号と周波数シフタ45からの参照信号とを位相差90°ハイブリッドで合波し、分波器47に伝送する。分波器47は、入力された合波信号を、第1位相検出用信号と第2位相検出用信号とに分離し、周波数混合手段48もしくは周波数混合手段49にそれぞれ伝送する。以下では、第1位相検出用信号におけるローカル信号および参照信号をそれぞれローカル信号A、参照信号Aとし、第2位相検出用信号におけるローカル信号および参照信号をそれぞれローカル信号B、参照信号Bと称する。また、周波数混合手段48にはローカル信号Aおよび参照信号A、周波数混合手段49にはローカル信号Bおよび参照信号Bが伝送されるとする。ただし、このことは限定されるものではなく周波数混合手段48に伝送される信号がローカル信号Bおよび参照信号B、周波数混合手段49に伝送される信号がローカル信号Aおよび参照信号Aであっても構わない。
【0101】
周波数混合手段48は、分波器47からのローカル信号Aおよび参照信号Aを混合し、混合後に得られる参照信号Aとローカル信号Aとの差周波信号(以下では差周波信号Aと称する)を位相検出器50に伝送する。なお、差周波信号Aの周波数は、周波数シフト用基準信号の周波数と同一である。周波数混合手段49は、分波器47からのローカル信号Bおよび参照信号Bを混合し、混合後に得られる参照信号Bとローカル信号Bとの差周波信号(以下では差周波信号Bと称する)を位相検出器51に伝送する。
【0102】
位相検出器50は、基準信号源44からの周波数シフト用基準信号と、周波数混合手段48からの差周波信号Aとの位相を比較し、差周波信号Aに情報として含まれる参照信号Aの位相について、この位相の情報を含んだ例えば電圧値などの信号を位相差検出器52の第1のポートに伝送する。位相検出器51は、基準信号源44からの周波数シフト用基準信号と、周波数混合手段49からの差周波信号Bとの位相を比較し、差周波信号Bに情報として含まれる参照信号Bの位相について、この位相の情報を含んだ例えば電圧値などの信号を位相差検出器52の第2のポートに伝送する。位相差検出器52は、入力される2つの信号に情報として含まれる参照光の位相の差を検出し、この差と予め設定された所望の位相差とが一致するように移相器2で原信号の位相を調整するための例えば電圧値などの制御信号を生成し、第3のポートから出力して移相器2に伝送する。その他の構成については、前述の実施の形態4と同様であり、その説明を省略する。
【0103】
次に、図11の位相制御装置の動作について説明する。まず、原信号の動作は、前述の実施の形態4と同様であるため省略する。位相検出用発振器4からの第1位相検出用信号と、複数信号発生用発振器41からの第2位相検出用信号は、合波器42で合波された後、分岐器43により2つに分岐され、一方はローカル信号Aおよびローカル信号Bとして合波器46に伝送され、他方は参照信号Aおよび参照信号Bとしてサーキュレータ21に伝送される。参照信号Aおよび参照信号Bが、サーキュレータ21から方向変換器22を介して再度サーキュレータ21に伝送されるまでの動作は、前述の実施の形態4の変調信号の動作と同様であるため省略する。
【0104】
再度サーキュレータ21に伝送された参照信号Aおよび参照信号Bは、周波数シフタ45に伝送され、周波数シフト用基準信号の周波数だけ周波数シフトされて合波器46に伝送される。その後、分岐器43からのローカル信号Aおよびローカル信号Bと、周波数シフタ45からの参照信号Aおよび参照信号Bは、合波器46により位相差90°ハイブリッドで合波され、分波器47に伝送される。
【0105】
分波器47は、合波器46からのローカル信号Aおよび参照信号Aと、ローカル信号Bおよび参照信号Bとを分離し、ローカル信号Aおよび参照信号Aを周波数混合手段48に、ローカル信号Bおよび参照信号Bを周波数混合手段49にそれぞれ伝送する。周波数混合手段48は、分波器47からのローカル信号Aおよび参照信号Aを混合し、混合後に得られる差周波信号Aを位相検出器50に伝送する。周波数混合手段49は、分波器47からのローカル信号Bおよび参照信号Bを混合し、混合後に得られる差周波信号Bを位相検出器51に伝送する。
【0106】
位相検出器50は、周波数シフト用基準信号と、周波数混合手段48からの差周波信号Aとの位相を比較し、参照信号Aの位相の情報を含んだ例えば電圧値などの信号を位相差検出器52に伝送する。位相検出器51は、周波数シフト用基準信号と、周波数混合手段49からの差周波信号Bとの位相を比較し、参照信号Bの位相の情報を含んだ例えば電圧値などの信号を位相差検出器52に伝送する。位相差検出器52は、入力される2つの信号に情報として含まれる参照信号の位相の差を検出し、この差と予め設定された所望の位相差とが一致するように移相器2で原信号の位相を調整するための制御信号を移相器2に伝送する。その後の動作は、前述の実施の形態4と同様であるため省略する。
【0107】
ここで、第1位相検出用信号の周波数を変更して、前述のローカル信号Aとローカル信号Bとの周波数間隔を変更させたい場合、周波数切替信号発生器5から位相検出用発振器4へ周波数切替用信号を伝送させる。その後、位相検出用発振器4から周波数が変更された信号が発生される。それ以降の動作は前述と同様であり、省略する。これにより、変更された周波数でも伝送路長の変動を補正する制御を行い、合分波器32から外部に出力された信号は、所望位相に制御される。
【0108】
次に、図11の位相制御装置における効果で、実施の形態4で記載していない点について説明する。ここで、図11において伝送路の誘電率は1であると仮定し、光速をc[m/s]、前述のローカル信号Aとローカル信号B(または参照信号Aと参照信号B)との間の周波数差をΔf[Hz]、伝送路長の変動をΔL´[m]、伝送路長の変動による検出位相差変化量をΔθ´[rad]とおくと、Δθ´は伝送路長の往復の長さ2ΔL´における検出位相差変化量を表していることから、ΔL´は次式(11)で表される。
【0109】
【数11】

【0110】
また、検出可能な位相差変化量を2π[rad]とし、検出可能な伝送路長変動量をΔLmax´[m]とすると、ΔLmax´は次式(12)で表される。
【0111】
【数12】

【0112】
式(12)より、図11の構成は、Δfに応じて検出可能な伝送路長変動量を増加させることができる。そこで、図11のように、Δfを変更できるようにし、Δfを小さい値に変更することで、ΔLmax´が増加し、大きな伝送路長変動が生じた場合でも、検出が可能になるという効果が得られる。
【0113】
さらに、Δfを段階的に増加させることで、前述したとおり、伝送路長変動量の検出精度を段階的に高めることができる。したがって、電源をOFFにした後や環境温度の急激な変化が生じた場合でも、十分位相検出が可能であるように、初期の第1位相検出用信号の周波数は小さくしておき、このときの検出値から移相器2による調整を行った後、周波数を増加させて、上記と同様の動作を行う。これを繰り返すことで、大きな伝送路長変動量も調整できると同時に、高い検出精度が得られることから位相安定性が向上するという効果も得られる。
【0114】
また、図6では、位相検出器9における位相比較は、位相検出用発振器4から発生された基準信号を使用している。一方、図11では基準信号源44から発生された周波数シフト用基準信号を使用している。ここで、例えば位相検出用発振器4から発生される基準周波数を10GHzとすると、位相検出器9の応答帯域は10GHz以上が必要とされる。一方、同様の効果を得るために、図11では前述のΔfを10GHzと設定すればよいので、例えば周波数シフタ45の周波数シフト量を50MHzとすると、位相検出器50および位相検出器51の応答帯域は50MHz以上であれば十分である。したがって、図11の位相検出器50および位相検出器51の応答帯域は、図6の位相検出器9の応答帯域より狭くすることができ、一般的に応答帯域の狭い位相検出器の方が価格が安いことから、低コストになるという効果が得られる。
【0115】
なお、図11では、合分波器31および合分波器32を用いて、原信号、第1位相検出用信号および第2位相検出用信号の3つの信号を全て伝送路3により伝送させていたが、前述の実施の形態1のように、それぞれの信号を全て異なる伝送路を用いて伝送させてもよいし、前述の実施の形態3のように、第1位相検出用信号と第2位相検出用信号を同一の伝送路を用いて伝送させてもよい。このことは、以降の他の実施の形態においても当てはまることである。
【0116】
また、位相検出用発振器4の後段に、位相差検出器52から入力される制御信号に基づいて、位相検出用信号の通過時間を調整する第2通過時間調整手段としての移相器をさらに備えるようにしてもよい。このことは、以降の他の実施の形態においても当てはまることである。
【0117】
また、同様に、複数信号発生用発振器41の後段に、位相差検出器52から入力される制御信号に基づいて、複数信号発生用発振器41から発生された信号の通過時間を調整する第3通過時間調整手段としての移相器をさらに備えるようにしてもよい。このことは、以降の他の実施の形態においても当てはまることである。
【0118】
実施の形態8.
図12はこの発明の実施の形態8に係る位相制御装置の構成図である。
【0119】
図12の構成は、図11の構成に対して、スイッチ(a)61と、スイッチ(b)62と、スイッチ(a)・スイッチ(b)経路切替信号発生器63とを設けている。
【0120】
スイッチ(a)61はスイッチ(b)62および位相差検出器52に接続されており、入力される経路切替信号に応じて、スイッチ(a)から出力される信号の経路を、スイッチ(b)62か位相差検出器52のいずれかに切り替えて伝送させる。スイッチ(b)62はスイッチ(a)61および位相差検出器52に接続されており、入力される経路切替信号に応じて、スイッチ(b)に入力される信号の経路を、スイッチ(a)61からか位相差検出器52からかのいずれかに切り替え、いずれかより入力された信号を移相器2へ伝送させる。また、位相検出器50は、前述の実施の形態7で記載した周波数シフト用基準信号と、周波数混合手段48からの差周波信号Aとの位相を比較し、参照信号Aの位相の情報を含んだ信号を出力する、という機能に加え、位相検出器50がスイッチ(a)61およびスイッチ(b)62を介して直接移相器2に接続されている場合には、検出した参照信号Aの位相と予め設定された所望の位相とが一致するように移相器2で原信号の位相を調整するための制御信号を移相器2に伝送する機能も有しているとする。その他の構成については、前述の実施の形態7と同様であり、その説明を省略する。
【0121】
次に、図12の位相制御装置の動作について説明する。まず、原信号の動作は、前述の実施の形態7と同様であるため省略する。位相検出用発振器4からの第1位相検出用信号が位相検出器50に伝送されるまでの動作と、複数信号発生用発振器41からの第2位相検出用信号が位相検出器51に伝送されるまでの動作は、前述の実施の形態7と同様であり、説明を省略する。位相検出器51の動作も前述の実施の形態7と同様であり、説明を省略する。位相検出器50は、周波数シフト用基準信号と、周波数混合手段48からの差周波信号Aとの位相を比較し、参照信号Aの位相の情報を含んだ信号をスイッチ(a)61に伝送する。また、この信号は、検出した参照信号Aの位相と予め設定された所望の位相とが一致するように移相器2で原信号の位相を調整するための制御信号の機能も有しているとする。この機能は、例えば上記制御信号として電圧値を利用し、入力電圧値に応じて原信号の位相を調整できる移相器を移相器2として用いることで実現できる。
【0122】
ここで、スイッチ(a)・スイッチ(b)経路切替信号発生器63から切替信号が発生され、スイッチ(a)61、スイッチ(b)62で受信されると、スイッチ(a)61から直接スイッチ(b)62に接続されている経路、もしくはスイッチ(a)61から位相差検出器52を通過してスイッチ(b)62に接続されている経路のうち、受信前の経路と異なる経路に切り替えられる。なお、スイッチ(a)61から直接スイッチ(b)62に接続されている経路を伝送路長微調整用経路とし、スイッチ(a)61から位相差検出器52を通過してスイッチ(b)62に接続されている経路を伝送路長粗調整用経路とする。その後の動作は、前述の実施の形態7と同様であるため省略する。
【0123】
次に、図12の位相制御装置における効果で、実施の形態7で記載していない点について説明する。ここで、本実施の形態の作動の初期状態では、伝送路長微調整用経路を接続させるように、スイッチ(a)・スイッチ(b)経路切替信号発生器63からの切替信号を出力させる。これにより、図12は図11と同様の構成となり、図11と同様の検出精度で位相を検出して制御することができる。その後、本装置の温度変動等の擾乱による伝送路長変動が第1位相検出用信号の波長オーダーよりも小さいと判断できるような場合、伝送路長微調整用経路を接続させるように、スイッチ(a)・スイッチ(b)経路切替信号発生器63からの切替信号を出力させる。これにより、切り替え後は第1位相検出用信号の波長オーダーでの位相を検波し、伝送路長を制御することが可能となり、より正確な伝送路長制御が可能になるという効果が得られる。
【0124】
なお、図12の構成では、スイッチ(a)61およびスイッチ(b)62を、位相検出器50と移相器2との間に設けて、スイッチの切り替えにより、位相検出器50から出力される信号と位相差検出器52からの制御信号とのいずれか一方が、移相器2に入力される例について説明したが、その場合に限らず、スイッチ(a)61およびスイッチ(b)62を、位相検出器51と移相器2との間に設けて、スイッチの切り替えにより、位相検出器51から出力される信号と位相差検出器52からの制御信号とのいずれか一方が、移相器2に入力されるようにしてもよい。その場合には、位相検出器51が、基準信号源44から直接伝送される信号と、周波数混合手段49から出力される差周波信号との位相を比較し、この比較した結果に応じて、原発振器1から発振される原信号の位相を調整するための制御信号を生成し、それを移相器2に出力する。
【0125】
実施の形態9.
図13はこの発明の実施の形態9に係る位相制御装置の構成図である。
【0126】
図13の構成は、図6の構成に対して、伝送路3、サーキュレータ21、方向変換器22、合分波器31、合分波器32を設けず、レーザ光源71、光変調器72、レーザ光源73、光変調器74、光サーキュレータ75、光合分波器76、光ファイバ77、光合分波器78、光電気変換器79、光反射器80、光電気変換器81を設けている。
【0127】
レーザ光源71はレーザ光を発生し、光変調器72はレーザ光源71からのレーザ光を、原発振器1からの原信号に応じて強度変調し、変調後のレーザ光を光合分波器76に伝送する。以下では、このレーザ光を信号光と称し、本実施の形態ではこの信号光を所望位相に制御することを目的とする。なお、レーザ光に施す変調方法については、上記では強度変調としているが、特に強度変調に限定する必要はなく、レーザ光に原信号の情報を含むように変調させればよい。
【0128】
一方、レーザ光源73はレーザ光源71からのレーザ光と異なる波長のレーザ光を発生する。光変調器74はレーザ光源73からのレーザ光を、位相検出用発振器4から方向性結合器6を介して伝送される位相検出用信号に応じて強度変調し、変調後のレーザ光を光サーキュレータ75に伝送する。以下では、このレーザ光を位相検出用レーザ光と称する。光サーキュレータ75は、光変調器74からのレーザ光を光合分波器76に伝送するとともに、光合分波器76からのレーザ光を光電気変換器81に伝送する。
【0129】
光合分波器76は光変調器72からの信号光と光サーキュレータ75からの位相検出用レーザ光とを合波して光ファイバ77に伝送するとともに、光ファイバ77からの位相検出用レーザ光を光サーキュレータ75に伝送する。
【0130】
光ファイバ77は、光合分波器76からの信号光と位相検出用レーザ光とが合波された合波光を光合分波器78に伝送するとともに、光合分波器78からの位相検出用レーザ光を光合分波器76に伝送する。
【0131】
光合分波器78は、光ファイバ77からの信号光と位相検出用レーザ光とが合波された合波光を分波して、分波により得られた信号光を光電気変換器79に、位相検出用レーザ光を光反射器80に伝送するとともに、光反射器80から戻ってきた位相検出用レーザ光を光ファイバ77に伝送する。
【0132】
光電気変換器79は光合分波器78からの信号光を直接検波により電気信号に変換し、位相安定化された高周波信号として外部に出力する。一方、光反射器80は光合分波器78からの位相検出用レーザ光を反射させ、光合分波器78に伝送する。
【0133】
光電気変換器81は光サーキュレータ75からの位相検出用レーザ光を直接検波により電気信号に変換し、位相検出器9に伝送する。なお、この変換された電気信号は前述の変調信号と同一の機能を有するものとする。その他の構成については、前述の実施の形態4と同様であり、その説明を省略する。
【0134】
次に、図13の位相制御装置の動作について説明する。まず、レーザ光源71からレーザ光が発生され、光変調器72により、原発振器1から移相器2を介して伝送された原信号に応じて強度変調が施され、光合分波器76に伝送される。
【0135】
一方、レーザ光源73から、レーザ光源71のレーザ光とは異なる波長のレーザ光が発生され、光変調器74により、位相検出用発振器4から方向性結合器6を介して伝送された位相検出用信号に応じて強度変調が施され、光サーキュレータ75を介して光合分波器76に伝送される。
【0136】
光合分波器76で合波された信号光および位相検出用レーザ光は、光ファイバ77を通過した後、光合分波器78でそれぞれ分離され、信号光は光電気変換器79で電気信号である原信号に変換され、外部に出力される。位相検出用レーザ光は光反射器80で反射され、光合分波器78、光ファイバ77、光合分波器76および光サーキュレータ75を通過して光電気変換器81で電気信号に変換され、位相検出器9に伝送される。位相検出器9以降の動作は前述の実施の形態4と同様であるため省略する。
【0137】
次に、図13の位相制御装置における効果で、実施の形態4で記載していない点について説明する。図13の構成は、原発振器1からの原信号および位相検出用発振器4からの位相検出用信号を、それぞれ、強度変調されたレーザ光に変換し、光合分波器76により合波して、1本の光ファイバ77で伝送させている。光はマイクロ波・ミリ波に対し周波数が高く、広帯域伝送が実現できる。したがって、複数の信号を1本の伝送路で伝送させる場合、光ファイバの方が同軸ケーブルより容易であるという長所がある。
【0138】
また、光ファイバによる接続は、同軸ケーブル等に対し低損失であるため長距離伝送が可能である、同軸ケーブル等に対し小型化・軽量化が可能である、同軸ケーブル等の伝送に対し電磁干渉・クロストークが低減できる、信頼性が高い、取り扱いが容易である、自由性の高い配置が得られる、などの効果がある。ただし、この実施の形態9では、レーザ光の伝送路の全てを光ファイバだけを用いることに限定するものではなく、例えば空間など、他のものを用いても構わない。
【0139】
また、図13の構成では、位相検出用レーザ光の位相を所望の位相と一致させるように、原発振器1からの高周波信号の位相を調整しているが、信号光の位相を所望の位相と一致させるためには、信号光と位相検出用レーザ光の伝送経路ができるだけ一致している方が好ましい。したがって、例えば図13の構成では、信号光のみが通過する、光変調器72と光合分波器76との間、光合分波器78と光電気変換器79との間、および、位相検出用レーザ光のみが通過する、光変調器74と光サーキュレータ75との間、光サーキュレータ75と光合分波器76との間、光合分波器78と光反射器80との間、光サーキュレータ75と光電気変換器81との間は、できるだけ短い方が好ましい。
【0140】
また、実施の形態5で記載した、図8の構成により合分波器からの原信号に漏れこんだ変調信号をキャンセルすることができるという効果は、本実施の形態のようなレーザ光を用いて伝送させたときにおいても適用できる。例えば光合分波器を用いた場合、図14のように光合波器76からの変調信号を含むレーザ光を光カプラ301で2つに分岐した後、移相器202で位相を調整する方のレーザ光を光電気変換器302で電気信号に変換させることで、同様の効果が得られる。このことは、本実施の形態で記載した他の構成においても当てはまることである。
【0141】
また、図13に代わる構成として、図15のような構成を用いてもよい。図15は、図13に対し、位相検出用発振器4、周波数切替信号発生器5、方向性結合器6、位相検出器9、光変調器74、光電気変換器81の代わりに、波長可変レーザ光源91、波長切替信号発生器92、光合波器93、光分岐器94、光周波数シフタ95、光カプラ96、光分波器97、光受信器98,99を使用している。また、図11で示した、基準信号源44、位相検出器50,51、位相差検出器52も設けられている。
【0142】
図15において、波長可変レーザ光源91およびレーザ光源73から発生されるレーザ光は、それぞれ異なる波長を有するとし、波長可変レーザ光源91からのレーザ光を第1位相検出用レーザ光、レーザ光源73からのレーザ光を第2位相検出用レーザ光とする。ここで、第1位相検出用レーザ光は、前述の実施の形態7に記載されている第1位相検出用信号、第2位相検出用レーザ光は前述の実施の形態7に記載されている第2位相検出用信号、信号光は前述の実施の形態7に記載されている原信号と、それぞれ、同一の役割を有していると考えると、図15は図11と同一の動作および効果を有しており、一部レーザ光による伝送を行っていることだけが異なる点である。レーザ光あるいは光ファイバ伝送の長所・効果については既に前述している。なお、光分岐器94で分岐された2つのレーザ光のうち、光カプラ96に伝送されているレーザ光(第1の分岐レーザ光)をローカル光、光サーキュレータ75に伝送されているレーザ光を参照光(第2の分岐レーザ光)と称すると、光受信器98および光受信器99はローカル光および参照光をヘテロダイン検波し、ビート信号が出力されるものとすれば、図11における周波数混合手段48および周波数混合手段49と同一の機能を有することができる。
【0143】
図15において、光合波器93は、レーザ光源73から出力される第2のレーザ光と波長可変レーザ光源91から出力される第3のレーザ光とを合波して出力する。光分岐器94は、光合波器93から出力される信号を、ローカル光および参照光の2つに分岐する。光周波数シフタ95は、基準信号源44から発生される信号の周波数に応じて、参照光を周波数シフトして出力する。なお、周波数シフタ95は、参照光ではなく、ローカル光の方を周波数シフトしてもよく、それらのうちのいずれか一方を周波数シフトすればよい。光カプラ96は、光分岐器94からローカル光が入力され、光周波数シフタ95から参照光が入力されて、それらを合波して出力する。光分波器97は、光カプラ96から出力される合波されたレーザ光のうち、光周波数シフタ95で周波数シフトされた参照光および周波数シフトされていない参照光と、光周波数シフタ95で周波数シフトされたローカル光および周波数シフトされていないローカル光とを、波長の違いで分離して出力する。光受信器98は、光分波器97から出力される光周波数シフタ95で周波数シフトされた参照光と周波数シフトされていない参照光とを混合し、混合後に得られる差周波信号を電気信号として出力する。また、光受信器99は、光分波器97から出力される光周波数シフタ95で周波数シフトされたローカル光と周波数シフトされていないローカル光とを混合し、混合後に得られる差周波信号を電気信号として出力する。位相検出器50は、基準信号源44から直接伝送される基準信号と、光受信器98から出力される第1の差周波信号とが入力された後、それぞれの信号の位相を比較することで、第1の差周波信号に情報として含まれる第2のレーザ光の位相を検出し、この位相の情報を含んだ信号を出力する。また、位相検出器51は、基準信号源44から直接伝送される基準信号と、光受信器99から出力される第2の差周波信号とが入力された後、それぞれの信号の位相を比較することで、第2の差周波信号に情報として含まれる第3のレーザ光の位相を検出し、この位相の情報を含んだ信号を出力する。
【0144】
また、図15の位相検出器50および位相検出器51の応答帯域は、図13の位相検出器9の応答帯域より狭くすることができる点については、実施の形態7において前述している。加えて、図15の光受信器98および光受信器99の受信帯域も、図13の光電気変換器81に対して狭くすることができる。ここで図15の場合、位相検出器50、位相検出器51における位相検出時の雑音成分には、光受信器98、光受信器99の熱雑音やショット雑音等の白色雑音が含まれており、これは一般的には検出帯域に比例することが知られている。したがって、位相検出時における白色雑音は、図13に対し図15の方が低くすることが可能であり、図15の方が検出精度が向上するという効果が生じる。
【0145】
また、光ファイバ等の物質中を光が伝播する場合、光の速さが光の波長(周波数)により異なる現象が生じ、これを分散と呼んでいる。一般的なシングルモードファイバ(以下、SMFと称する)の分散値は、波長1.3μm付近でほぼ0であり、波長1.55μm付近で約17ps/km/nmである。この「ps/km/nm」という単位は、波長が1nm離れた2つの光がファイバ長1kmを伝播したときに生じる伝播時間の差を表している。また、一般的に光通信などの用途で使用されるSMFは、透過損失が最も小さい1.55μm帯のものが使われることが多い。ここで、図15の構成で、第1位相検出用レーザ光におけるローカル光および参照光をそれぞれローカル光Aおよび参照光Aと称し、第2位相検出用レーザ光におけるローカル光および参照光をそれぞれローカル光Bおよび参照光Bと称する。ここで、ローカル光Aとローカル光B(または参照光Aと参照光B)の波長を1.55μm帯とし、光ファイバ77や各部品の接続に使用している光ファイバにSMFを用いた場合、参照光Aと参照光Bが光ファイバを伝送する間に、分散による位相差が生じてしまい、光ファイバ長変動による所望の位相差のみを検出できなくなる。この対処法としては、本装置で用いている光ファイバに分散シフトファイバや分散補償器を用いればよい。分散シフトファイバは、一般的にファイバ内部の屈折率を調整することで、波長1.55μm付近における分散の値を0としたファイバであり、このファイバを用いることで、分散の影響を抑圧することができる。また、分散補償器は、SMF等により生じた分散と符合が逆の分散を与えることで、伝送系全体の分散を打ち消すものであり、これを使用することで、同様に分散の影響を抑圧することができる。また、本装置において、2つのレーザ光を使用したときの分散により生じる位相差が既知である場合には、あらかじめ位相差検出器52でこの値を補償しておけば、所望の位相差を検出することができる。
【0146】
また、図15に代わる構成として、図16のような構成を用いてもよい。図16は、図15に対し、波長可変レーザ光源91、波長切替信号発生器92、光合波器93の代わりに、光変調器74、複数レーザ光発生用発振器101、周波数切替信号発生器102を使用している。図15では、レーザ光源73および波長可変レーザ光源91の2つで複数のレーザ光を発生させていたが、図16では、複数レーザ光発生用発振器101から発振されたレーザ光に対し、光変調器74による強度変調で複数のレーザ光を発生させている。これについては、例えば光変調器74にマッハツエンダー型LN強度変調器を使用すると、変調を施すことで、入力されたレーザ光に対して、スペクトル上で変調周波数分シフトしたレーザ光がサイドバンドに発生し、複数のレーザ光を発生させることが可能になる。図16のようなヘテロダイン検波を行う構成では、ローカル光と参照光との間に光路差がある場合、ヘテロダインビート信号に位相雑音が発生し、検波性能が劣化する。このビート信号のスペクトルから得られるSN比は、ローカル光と参照光との間の光路差の他に光源の線幅が影響し、光源の線幅が狭いほど高いSN比を得ることができ、検波性能が向上する(参考文献:国際公開第WO2004/107567号パンフレット等)。ただし、狭線幅の光源は、線幅が広い光源に対して通常高額となる。そこで、図16の構成では、光源が一つのみで動作可能となっており、図15に対して低コストであるという効果が得られる。また、光源が1つ不要となるため、小型化などのメリットも得られる。
【0147】
また、図15に代わる構成として、図17のような構成を用いてもよい。図17は、図15に対し、図15の光サーキュレータ75の代わりに、入射するレーザ光に対して2つの直交する偏光成分に分離して出射する偏光ビームスプリッタ111(以下ではPBS111と称する)を使用し、図15の光反射器80の代わりに、入射するレーザ光の偏光面を45°回転させて反射させる(往復で90°回転させる)ファラデーローテータ反射器112を使用している。また、光分岐器94と光カプラ96との間で偏波面が90°回転するように光ファイバを接続している。
【0148】
これにより、光ファイバに偏波面が保存されない光ファイバを使用した場合でも、高いヘテロダイン検波効率が得られるという効果がある。この理由は以下の通りである。光ヘテロダイン検波では、検波効率を最大にするためには、ローカル光と参照光の偏波面を一致させる必要がある。しかし、光ファイバ77や本装置内の各部品の光路接続に偏波面が保存されない光ファイバを使用した場合、ヘテロダイン検波効率が劣化するという欠点が生じる。この欠点を解消するためには、本装置内に用いる光ファイバに偏波面保存ファイバを使用するという方法があるが、それ以外の方法として、図17の構成を用いると、光ファイバ77に偏波面が保存されない光ファイバを使用したとしても、参照光はPBS111とファラデーローテータ反射器112との間を往復で2回通過して偏波面を90°回転しているので、PBS111とファラデーローテータ反射器112との間の偏波変動を補償することができる。さらに、前述したように、光分岐器94と光カプラ96との間で偏波面が90°回転するようにして光ファイバを接続させているため、ローカル光と参照光との偏波面が一致した状態で、ヘテロダイン検波を行う。したがって、図17の構成では、高いヘテロダイン検波効率が得られるという効果がある。
【0149】
また、図15に代わる構成として、図18のような構成を用いてもよい。図18は、図15に対し、スイッチ(a)61、スイッチ(b)62、スイッチ(a)・スイッチ(b)経路切替信号発生器63を使用している。図18は、図12と同一の動作および効果を有しており、一部レーザ光による伝送を行っていることだけが異なる点である。レーザ光あるいは光ファイバ伝送の長所・効果については既に前述している。なお、図18の構成では、経路の切り替えにより、伝送路長微調整用経路を接続させた場合、レーザ光波長オーダーでの位相を検波し、伝送路長を制御することが可能となる。したがって、図12における第1位相検出用信号にマイクロ波等の電気信号を用いた場合は、光の方が波長が小さいことから、図18の方が、分解能の高い検出が可能になるという効果が得られる。
【0150】
以上のように、本実施の形態9によれば、上述の実施の形態1または4と同様の効果が得られ、さらに、本実施の形態9においては、原発振器1からの原信号および位相検出用発振器4からの位相検出用信号をそれぞれ強度変調されたレーザ光に変換し、光合分波器76により合波して、1本の光ファイバ77で伝送させるようにしたので、光はマイクロ波・ミリ波に対し周波数が高いため、広帯域伝送が実現できるので、複数の信号を1本の伝送路で伝送させる場合、同軸ケーブルを用いたときに比べて、光ファイバの方が容易であるという効果が得られる。また、光ファイバによる接続は、同軸ケーブル等に対し、低損失であるため、長距離伝送が可能である、同軸ケーブル等に対し小型化・軽量化が可能である、同軸ケーブル等の伝送に対し電磁干渉・クロストークが低減できる、信頼性が高い、取り扱いが容易である、自由性の高い配置が得られる、などの効果が得られる。
【符号の説明】
【0151】
1 原発振器、2 移相器、3 伝送路、4 位相検出用発振器、5 周波数切替信号発生器、6 方向性結合器、7,8 伝送路、9 位相検出器、21 サーキュレータ、22 方向変換器、31,32 合分波器、41 複数信号発生用発振器、42 合波器、43 分岐器、44 基準信号源、45 周波数シフタ、46 合波器、47 分波器、48 周波数混合手段、49 周波数混合手段、50 位相検出器、51 位相検出器、52 位相差検出器、71 レーザ光源、72 光変調器、73 レーザ光源、74 光変調器、75 光サーキュレータ、76 光合分波器、77 光ファイバ、78 光合分波器、79 光電気変換器、80 光反射器、81 光電気変換器、91 波長可変レーザ光源、92 波長切替信号発生器、93 光合波器、94 光分岐器、95 光周波数シフタ、96 光カプラ、97 光分波器、98,99 光受信器、101 複数レーザ光発生用発振器、102 周波数切替信号発生器、111 偏光ビームスプリッタ(PBS)、112 ファラデーローテータ反射器、201 方向性結合器、202 移相器、203 合波器、301 光カプラ、302 光電気変換器、401 方向性結合器、402 移相器、403 合波器、501 合分波器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号である第1の信号を発生する第1発振器と、
入力される制御信号に基づいて、前記第1の信号の通過時間を調整する第1通過時間調整手段と、
前記第1の信号が前記第1通過時間調整手段を介して伝送される第1伝送路と、
位相検出に用いる信号である第2の信号を発生する第2発振器と、
前記第2の信号の周波数を切り替えるための信号を発生して前記第2発振器に出力する第1周波数切替信号発生器と、
前記第2の信号を2つに分岐して、第1および第2の分岐信号として出力する第1分岐器と、
前記第1分岐器により分岐した第1の分岐信号が伝送される第2伝送路および第3伝送路と、
前記第1分岐器から分岐した第2の分岐信号と、第2伝送路と第3伝送路を伝播した前記第1の分岐信号との位相を比較し、この比較した結果に応じて、前記第1の信号の通過時間を調整するための制御信号を生成し、前記第1通過時間調整手段に出力する位相検出器と
を備え、
前記第1伝送路通過後の前記第1の信号の通過時間は前記第1通過時間調整手段により制御され、
前記第1周波数切替信号発生器からの信号に応じて前記第2の信号の周波数が切替可能である
ことを特徴とする位相制御装置。
【請求項2】
高周波信号である第1の信号を発生する第1発振器と、
入力される制御信号に基づいて、前記第1の信号の通過時間を調整する第1通過時間調整手段と、
前記第1の信号が前記第1通過時間調整手段を介して伝送される第1伝送路と、
位相検出に用いる信号である第2の信号を発生する第2発振器と、
前記第2の信号の周波数を切り替えるための信号を発生して前記第2発振器に出力する第1周波数切替信号発生器と、
前記第2の信号と異なる周波数を有する信号である第3の信号を発生する第3発振器と、
前記第2の信号と前記第3の信号とを合波して出力する第1合波器と、
前記第1合波器から出力される信号を2つに分岐して第1および第2の分岐信号として出力する第2分岐器と、
前記第2分岐器により分岐して前記第1の伝送路を往復した前記第1の分岐信号と前記第2分岐器から分岐した第2の分岐信号とを合波して出力する第2合波器と、
前記第2分岐器から前記第2合波器までの間に設けられ、前記第1の分岐信号または前記第2の分岐信号のどちらか一方の信号を、入力される基準信号の周波数に応じて、周波数シフトして出力する周波数シフタと、
前記周波数シフタで周波数シフトさせるための基準信号を発生する基準信号発生器と、
前記第2合波器から出力される信号のうち、前記周波数シフタで周波数シフトされた前記第2の信号および周波数シフトされていない前記第2の信号と、前記周波数シフタで周波数シフトされた前記第3の信号および周波数シフトされていない前記第3の信号とを、分離して出力する第1分波器と、
前記第1分波器から出力される前記周波数シフタで周波数シフトされた前記第2の信号と周波数シフトされていない前記第2の信号とを混合し、混合後に得られる第1の差周波信号を出力する第1周波数混合手段と、
前記第1分波器から出力される前記周波数シフタで周波数シフトされた前記第3の信号と周波数シフトされていない前記第3の信号とを混合し、混合後に得られる第2の差周波信号を出力する第2周波数混合手段と、
前記基準信号発生器から直接伝送される前記基準信号と、前記第1周波数混合手段から出力される前記第1の差周波信号とが入力された後、それぞれの信号の位相を比較することで、前記第1の差周波信号に情報として含まれる前記第2の信号の位相を検出し、この位相の情報を含んだ信号を出力する第1位相情報出力手段と、
前記基準信号発生器から直接伝送される前記基準信号と、前記第2周波数混合手段から出力される前記第2の差周波信号とが入力された後、それぞれの信号の位相を比較することで、前記第2の差周波信号に情報として含まれる前記第3の信号の位相を検出し、この位相の情報を含んだ信号を出力する第2位相情報出力手段と、
前記第1位相情報出力手段からの信号に情報として含まれる位相と、前記第2位相情報出力手段からの信号に情報として含まれる位相との差を検出し、この検出した結果に応じて、前記第1の信号の通過時間を調整するための制御信号を前記第1通過時間調整手段に出力する位相差検出器と
を備えたことを特徴とする位相制御装置。
【請求項3】
切り替え信号の受信に基づいて、接続されている2つの伝送路のうち、切り替え前の伝送路と異なる伝送路に変更するスイッチを、前記第1位相情報出力手段と前記第1通過時間調整手段との間に2つ設け、
前記スイッチの切り替えにより、前記第1位相情報出力手段から出力される信号と、前記位相差検出器からの制御信号とのいずれか一方が、前記第1の信号の通過時間を調整するための制御信号として、前記第1通過時間調整手段に入力され、
前記第1位相情報出力手段は、前記基準信号発生器から直接伝送される前記基準信号と、前記第1周波数混合手段から出力される第1の差周波信号との位相を比較し、この比較した結果に応じて、前記第1の信号の通過時間を調整するための制御信号を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の位相制御装置。
【請求項4】
切り替え信号の受信に基づいて、接続されている2つの伝送路のうち、切り替え前の伝送路と異なる伝送路に変更するスイッチを、前記第2位相情報出力手段と前記第1通過時間調整手段との間に2つ設け、
前記スイッチの切り替えにより、前記第2位相情報出力手段から出力される信号と、前記位相差検出器からの制御信号とのいずれか一方が、前記第1の信号の通過時間を調整するための制御信号として、前記第1通過時間調整手段に入力され、
前記第2位相情報出力手段は、前記基準信号発生器から直接伝送される前記基準信号と、前記第2周波数混合手段から出力される第2の差周波信号との位相を比較し、この比較した結果に応じて、前記第1の信号の通過時間を調整するための制御信号を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の位相制御装置。
【請求項5】
前記第2発振器の後段に設けられ、入力される前記制御信号に基づいて、前記第2の信号の通過時間を調整する第2通過時間調整手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項6】
前記第3発振器の後段に設けられ、入力される前記制御信号に基づいて、前記第3の信号の通過時間を調整する第3通過時間調整手段をさらに備えたことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項7】
前記第1伝送路の長さが、前記第2伝送路および前記第3伝送路の長さの少なくとも一方と極力一致しており、
前記第1伝送路の線膨張係数が、前記第2伝送路および前記第3伝送路の線膨張係数の少なくとも一方と極力一致しており、
前記第1伝送路が、前記第2伝送路および前記第3伝送路の少なくとも一方と並列に近接して配置されている
ことを特徴とする請求項1,5,6のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項8】
前記第1周波数切替信号発生器の前段に周波数切替判定手段を備え、
前記周波数切替判定手段は、前記第1の分岐信号の位相の情報を含んだ信号が入力されて、当該信号に基づいて、切り替えを実施するか否かの判定信号を第1周波数切替信号発生器へ出力することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項9】
前記第2および第3の伝送路は、単一の伝送路から構成されているものであって、
前記第1の分岐信号を第1のポートから入力して第2のポートへ出力し、前記第2のポートから入力される信号を第3のポートへ出力するサーキュレータと、
前記サーキュレータの前記第2のポートから出力されて前記第2伝送路を通過した信号が1つのポートから入力され、それを入力方向と逆方向に変換した後に、入力された前記ポートと同じポートからそれを出力する信号方向変換手段と
を備え、
前記サーキュレータの前記第3のポートから出力される信号が、前記位相検出器に伝送されることを特徴とする請求項1、5、7、8のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項10】
前記第1、第2、第3の伝送路は、単一の伝送路から構成されているものであって、
第1、第2、第3のポートを有し、前記第1のポートに前記第1の信号が入力され、前記第2のポートに前記サーキュレータを通過した前記第1の分岐信号が入力されたときに、これらの2つの信号を合波して前記第3のポートから前記第1の伝送路に出力し、一方、前記第3のポートに前記第1の伝送路からの信号が入力されたときに、それを前記第2のポートから前記サーキュレータに出力する第1合分波器と、
第1、第2、第3のポートを有し、第1合分波器により前記第1の信号と前記第1の分岐信号とが合波された前記信号が前記第1の伝送路から前記第3のポートに入力されたときに、それらを分波して、前記第1のポートから前記第1の信号を外部に出力し、第2のポートから前記第1の分岐信号を出力し、一方、前記第2のポートに前記第1の分岐信号が入力されたときに、それを前記第1の伝送路に出力する第2合分波器と、
前記第2合分波器の前記第2のポートから出力された前記第1の分岐信号が1つのポートから入力され、それを入力方向と逆方向に変換した後に、入力された前記ポートと同じポートからそれを出力する信号方向変換手段と
を備えたことを特徴とする請求項9に記載の位相制御装置。
【請求項11】
前記第1通過時間調整手段が、前記第1合分波器と前記第2合分波器との間に備えられていることを特徴とする請求項10に記載の位相制御装置。
【請求項12】
少なくとも、前記第1の信号のみが伝送されている前記第1発振器から前記第1合分波器までの伝送路、および、前記第2の信号および前記第3の信号のみが伝送されている前記サーキュレータから前記第1合分波器までの間の伝送路は、伝送路長が短く構成していることを特徴とする請求項10または11に記載の位相制御装置。
【請求項13】
第1、第2、第3のポートを有し、前記第1のポートに前記第2合分波器からの前記第1の分岐信号が入力されたときに、2つの信号を分岐して前記第2のポートおよび前記第3のポートから出力され、さらに前記第2のポートが前記信号方向変換手段と接続され、前記信号方向変換手段からの逆方向に変換された信号が前記第2合分波器の第2のポートに出力される第1方向性結合手段と、
前記第1方向性結合手段の第3のポートから出力される信号の通過時間を調整する第4通過時間調整手段と、
前記第2合分波器の第1のポートから出力される信号と、前記第4通過時間調整手段から出力される前記第1の分岐信号とを合波して、外部に出力する第1合波器と
を備えたことを特徴とする請求項10ないし12のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項14】
前記第1方向性結合手段と前記第4通過時間調整手段の間、もしくは前記第4通過時間調整手段と前記第1合波器との間に増幅器もしくは減衰器
を備えたことを特徴とする請求項13に記載の位相制御装置。
【請求項15】
前記増幅器の利得もしくは減衰器の減衰量が可変であることを特徴とする請求項14に記載の位相制御装置。
【請求項16】
前記第1の信号を2つに分岐して、第3および第4の分岐信号として出力する第3分岐器と、
前記第4の分岐信号の通過時間を調整する第5通過時間調整手段と、
前記サーキュレータの第3のポートから出力される信号と、前記第5通過時間調整手段から出力される前記第4の分岐信号とを合波して、前記位相検出器に伝送される第2合波器とを備え、
前記第3の分岐信号が前記第1の信号と同様の経路を伝送されることを特徴とする請求項10ないし15のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項17】
前記第3分岐器の代わりに、
第1、第2、第3のポートを有し、前記第2のポートに前記サーキュレータからの前記第1の分岐信号が入力されたときに、前記第1のポートから前記第1光合波器に信号が伝送され、さらに前記第1のポートに前記信号方向変換手段により逆方向に変換された前記第1の分岐信号およびこの信号に含まれる第1の信号と同一の周波数を有する信号成分とが入力されたときに、それらを分波して、前記第2のポートから前記第1の分岐信号を前記サーキュレータに伝送し、前記第3のポートから前記第1の信号と同一の周波数を有する信号成分を前記第5通過時間調整手段に伝送する第3合分波器を設け、
前記第5通過時間調整手段が前記第1の信号と同一の周波数を有する信号成分の通過時間を調整することを特徴とする請求項16に記載の位相制御装置。
【請求項18】
前記第1の信号を第1の波長を有する第1のレーザ光に重畳する第1電気/光変換手段、および、前記第1の分岐信号を第2の波長を有する第2のレーザ光に重畳する第2電気/光変換手段のうち、どちらか一方を少なくとも備え、
前記第1電気/光変換手段を備えている場合には前記第1伝送路が光を伝送し、
前記第2電気/光変換手段を備えている場合には、前記第2伝送路および前記第3伝送路が光を伝送するとともに、前記第1、第2、第3伝送路の少なくとも一つを通過した前記第2のレーザ光から前記第1の分岐信号を取り出す第1光電変換器をさらに備え、前記第1光電変換器から取り出された前記第1の分岐信号が前記位相検出器へ伝送される
ことを特徴とする請求項1、5、7、8〜12のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項19】
前記第1の信号を第1の波長を有する第1のレーザ光に重畳する第1電気/光変換手段をさらに備え、
前記第2の発振器は、第2の信号として、第2のレーザ光を発生するレーザ光源から構成され、
前記第3の発振器は、第3の信号として、第3のレーザ光を発生するレーザ光源から構成され、
前記第1合波器は、前記第2のレーザ光と前記第3のレーザ光とを合波して出力し、
前記第2分岐器は、前記第1合波器からのレーザ光を分岐して、第1および第2の分岐レーザ光を生成し、
前記第2合波器は、前記第1の伝送路を往復した前記第1の分岐レーザ光と前記第2分岐器から分岐した第2の分岐レーザ光とを合波して出力し、
前記周波数シフタは、前記第2分岐器から前記第2合波器までの間に設けられ、前記第1の分岐レーザ光または前記第2の分岐レーザ光のどちらか一方の信号を、前記基準信号発生器から入力される基準信号の周波数に応じて、周波数シフトして出力し、
前記第1分波器は、前記第2合波器から出力されるレーザ光のうち、前記周波数シフタで周波数シフトされた第2のレーザ光および周波数シフトされていない第2のレーザ光と、前記周波数シフタで周波数シフトされた第3のレーザ光および周波数シフトされていない第3のレーザ光とを、分離して出力し、
前記第1周波数混合手段は、前記第1分波器から出力される前記周波数シフタで周波数シフトされた第2のレーザ光と周波数シフトされていない第2のレーザ光とを混合し、混合後に得られる差周波信号を電気信号として出力し、
前記第2周波数混合手段は、前記第1分波器から出力される前記光周波数シフタで周波数シフトされた第3のレーザ光と周波数シフトされていない第3のレーザ光とを混合し、混合後に得られる差周波信号を電気信号として出力し、
前記第1位相情報出力手段は、前記基準信号発生器から直接伝送される前記基準信号と、前記第1周波数混合手段から出力される前記第1の差周波信号とが入力された後、それぞれの信号の位相を比較することで、前記第1の差周波信号に情報として含まれる前記第2の信号の位相を検出し、この位相の情報を含んだ信号を出力し、
前記第2位相情報出力手段は、前記基準信号発生器から直接伝送される前記基準信号と、前記第2周波数混合手段から出力される前記第2の差周波信号とが入力された後、それぞれの信号の位相を比較することで、前記第2の差周波信号に情報として含まれる前記第3の信号の位相を検出し、この位相の情報を含んだ信号を出力する
ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項20】
レーザ光源から構成された前記第2の発振器は、入力される信号に応じて発生する第2のレーザ光の波長を変化させる機能を有した波長可変レーザ光源であり、
前記波長可変レーザ光源に対し、波長を変化させるための信号を出力する波長切替信号発生器をさらに備えたことを特徴とする請求項19に記載の位相制御装置。
【請求項21】
前記第2の発振器および第3の発振器は、単一の発振器から構成され、
前記第1の信号を第1の波長を有する第1のレーザ光に重畳する第1電気/光変換手段と、
前記第2および第3の発振器を構成する前記単一の発振器から出力される信号に対する強度変調で複数のレーザ光を発生させて、第2のレーザ光および第3のレーザ光として出力する第2電気/光変換手段と
をさらに備え、
前記第2分岐器は、前記第1合波器からのレーザ光を分岐して、第1および第2の分岐レーザ光を生成し、
前記第2合波器は、前記第1の伝送路を往復した前記第1の分岐レーザ光と前記第2分岐器から分岐した第2の分岐レーザ光とを合波して出力し、
前記周波数シフタは、前記第2分岐器から前記第2合波器までの間に設けられ、前記第1の分岐レーザ光または前記第2の分岐レーザ光のどちらか一方の信号を、前記基準信号発生器から入力される基準信号の周波数に応じて、周波数シフトして出力し、
前記第1分波器は、前記第2合波器から出力されるレーザ光のうち、前記周波数シフタで周波数シフトされた第2のレーザ光および周波数シフトされていない第2のレーザ光と、前記周波数シフタで周波数シフトされた第3のレーザ光および周波数シフトされていない第3のレーザ光とを、分離して出力し、
前記第1周波数混合手段は、前記第1分波器から出力される前記周波数シフタで周波数シフトされた第2のレーザ光と周波数シフトされていない第2のレーザ光とを混合し、混合後に得られる差周波信号を電気信号として出力し、
前記第2周波数混合手段は、前記第1分波器から出力される前記光周波数シフタで周波数シフトされた第3のレーザ光と周波数シフトされていない第3のレーザ光とを混合し、混合後に得られる差周波信号を電気信号として出力し、
前記第1位相情報出力手段は、前記基準信号発生器から直接伝送される前記基準信号と、前記第1周波数混合手段から出力される前記第1の差周波信号とが入力された後、それぞれの信号の位相を比較することで、前記第1の差周波信号に情報として含まれる前記第2の信号の位相を検出し、この位相の情報を含んだ信号を出力し、
前記第2位相情報出力手段は、前記基準信号発生器から直接伝送される前記基準信号と、前記第2周波数混合手段から出力される前記第2の差周波信号とが入力された後、それぞれの信号の位相を比較することで、前記第2の差周波信号に情報として含まれる前記第3の信号の位相を検出し、この位相の情報を含んだ信号を出力する
ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項22】
前記第2のレーザ光と前記第3のレーザ光がともに伝送する第1光合波器から光分波器までの間の経路に、前記第2のレーザ光と前記第3のレーザ光のそれぞれの分散の値が小さくなるように調整された分散シフト光ファイバを含むことを特徴とする請求項19ないし21のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項23】
前記第2のレーザ光と前記第3のレーザ光がともに伝送する第1光合波器から光分波器までの間の経路に、レーザ光の伝送により生じた分散と符合が逆の分散を与えることでこの分散を打ち消す分散補償器を含むことを特徴とする請求項19ないし22のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項24】
前記第2のレーザ光と前記第3のレーザ光が伝送される際に生じる分散による位相差を、前記位相差検出器において位相差を検出する際に、あらかじめ補償しておく機能を含むことを特徴とする請求項19ないし23のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項25】
前記第2および第3の伝送路は、単一の伝送路から構成されているものであって、
前記第2のレーザ光を第1のポートから入力して第2のポートへ出力し、第2のポートから入力される信号を第3のポートへ出力する光サーキュレータと、
前記光サーキュレータの第2のポートから出力され、前記第2伝送路を通過したレーザ光が1つのポートから入力され、それを入力方向と逆方向にした後に、入力された前記ポートと同じポートからそれを出力されるレーザ光方向変換手段と
を備え、
前記光サーキュレータの第3のポートから出力されるレーザ光が、前記第1光電変換器もしくは前記第2光合波器のどちらかに伝送されることを特徴とする請求項18ないし24のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項26】
前記第1、第2、第3の伝送路は、単一の伝送路から構成されているものであって、
第1、第2、第3のポートを有し、前記第1のポートに前記第1の信号が入力され、前記第2のポートに前記光サーキュレータを通過した前記第1の分岐信号が入力されたときに、これらの2つの信号を合波して前記第3のポートから前記第1の伝送路に出力し、一方、前記第3のポートに前記第1の伝送路からの信号が入力されたときに、それを前記第2のポートから前記光サーキュレータに出力する第1光合分波器と、
第1、第2、第3のポートを有し、第1光合分波器により前記第1の信号と前記第1の分岐信号とが合波された前記信号が前記第1の伝送路から前記第3のポートに入力されたときに、それらを分波して、前記第1のポートから前記第1の信号を外部に出力し、第2のポートから前記第1の分岐信号を出力し、一方、前記第2のポートに前記第1の分岐信号が入力されたときに、それを前記第1の伝送路に出力する第2光合分波器と、
前記第2光合分波器の前記第2のポートから出力された前記第1の分岐信号が1つのポートから入力され、それを入力方向と逆方向に変換した後に、入力された前記ポートと同じポートからそれを出力するレーザ光方向変換手段と
を備えたことを特徴とする請求項25に記載の位相制御装置。
【請求項27】
前記第1通過時間調整手段が、前記第1光合分波器と前記第2光合分波器の間に備えられていることを特徴とする請求項26に記載の位相制御装置。
【請求項28】
少なくとも、前記第1のレーザ光のみが伝送している前記第1電気/光変換手段から前記第1光合分波器までの伝送路、および、前記第2のレーザ光や前記第3のレーザ光のみが伝送している前記光サーキュレータから前記第1光合分波器までの間の伝送路は、伝送路長を短く構成していることを特徴とする請求項26または27に記載の位相制御装置。
【請求項29】
前記第2および第3の伝送路は、単一の伝送路から構成されているものであって、
前記第2のレーザ光を2つの直交する偏光成分に分離して出射する偏光ビームスプリッタと、
前記偏光ビームスプリッタから出力され、前記第2伝送路を通過したレーザ光が1つのポートから入力され、それを入力方向と逆方向にした後に、入力された前記ポートと同じポートからそれを出力されるファラデーローテータ反射器と
を備え、
前記偏光ビームスプリッタから出力されるレーザ光が、前記第1光電変換器もしくは前記第2光合波器のどちらかに伝送されることを特徴とする請求項18ないし24のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項30】
前記第1伝送路もしくは前記第2光合分波器から出力される前記第1のレーザ光から前記第1の信号を取り出す第2光電変換器を備えたことを特徴とする請求項18ないし29のいずれか1項に記載の位相制御装置。
【請求項31】
前記レーザ光の伝送路の少なくとも一つに光ファイバが用いられることを特徴とする請求項18ないし30のいずれか1項に記載の位相制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−5101(P2012−5101A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270165(P2010−270165)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】