説明

位相同期ループのための線形位相周波数検出器およびチャージポンプ

【課題】位相同期ループ(PLL)における位相周波数検出器およびチャージポンプの線形動作を達成する。
【解決手段】位相周波数検出器は、基準信号とクロック信号とを受け取り、基準信号とクロック信号とに基づいて第1および第2の信号を生成し、第1の信号のみに基づいて第1および第2の信号をリセットする。第1および第2の信号は、それぞれ、upおよびdownの信号であってもよいし、それぞれ、downおよびupの信号であってもよい。位相周波数検出器は、予め定められた量の分、第1の信号を遅らせ、遅れた第1の信号と第2の信号とに基づいて、リセット信号を生成し、リセット信号を用いて第1および第2の信号をリセットすることができる。チャージポンプは、第1および第2の信号を受け取り、基準信号とクロック信号との間の位相誤差を示す出力信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して回路に関し、より具体的には、位相同期ループ(phase-locked loop)に関係する。
【背景技術】
【0002】
位相同期ループ(PLL)は、多くのエレクトロニクス回路において一般に使用されており、そして、通信回路においては、特に重要である。例えば、デジタルシステムは、同期回路、例えばフリップフロップ、をトリガするためにクロック信号を使用する。送信器システムおよび受信器は、周波数アップコンバージョン(frequency upconversion)およびダウンコンバージョン(downconversion)のために局部発振器(local oscillator)(LO)信号をそれぞれ使用する。無線通信システムにおける無線デバイス(例えば携帯電話)は、典型的に、デジタル回路のためにクロック信号を、送信器および受信器の回路のためにLO信号に使用する。クロック信号とLO信号は、PLL内で動作する電圧制御発振器(voltage-controlled oscillators)(VCO)を用いて、多くの場合生成される。
【0003】
PLLは、典型的に、位相周波数検出器(phase frequency detector)、チャージポンプ、ループフィルタ、およびVCO、を含んでいる。位相周波数検出器、チャージポンプ、ループフィルタは、共同して、基準信号とVCOから導き出されるクロック信号との間の位相誤差(phase error)を検出し、VCOのための制御信号を生成する。クロック信号が基準信号にロックされるように、制御信号はVCOの周波数を調整する。
【0004】
位相周波数検出器は、典型的に、up信号およびdown信号(up and down signals)と一般に呼ばれる一対の信号を生成する。一方の信号は、クロック信号が基準信号に対して早いのか、あるいは遅いのかに応じて、各クロックサイクルにおいて典型的により長くなる(turn on longer)。up信号およびdown信号は、チャージポンプ内の電流ソースをアウトプット(output)に結合するために使用される。理想的には、位相周波数検出器およびチャージポンプは、出力チャージ対位相誤差(output charge versus phase error)の線形の伝達関数(linear transfer function)を有する。しかしながら、チャージポンプに使用された回路のミスマッチ(mismatch)により、この線形の伝達関数は典型的には達成されない。従って、同じ大きさであるが逆極性の位相誤差のために、up信号からの出力チャージ(output change)は、down信号からの出力チャージ(output charge)とは、多くの場合等しくない。このチャージエラー(charge error)は、チャージポンプにおけるup/down電流ミスマッチ(up/down current mismatch)に起因するものであり、それは、トランジスタデバイスミスマッチ(transistor device mismatch)および他の要因で起こり得る。電流ミスマッチによるチャージポンプの非線形性は、性能を下げ得るさらなる位相ノイズを生じさせるかもしれない。
【0005】
したがって、当技術分野においては、PLLについての良い性能を提供することができる位相周波数検出器およびチャージポンプの必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
PLLにおける位相周波数検出器およびチャージポンプのための線形動作(linear operation)を達成するための技術が、ここに説明される。一態様においては、位相周波数検出器は、チャージポンプにおけるup/down電流ミスマッチが、一次の非直線歪み(non-linear distortion in the first order)に寄与しないように、up信号およびdown信号を生成する新しいタイミング/クロッキングスキームを使用する。新しいタイミングスキームは、位相周波数検出器内のフリップフロップをリセットするために、up信号をのみ、あるいは、down信号のみ、を使用する。新しいタイミングスキームを用いることで、チャージポンプにおけるup/down電流ミスマッチは、チャージポンプのアウトプットに現われない。従って、トランジスタデバイスミスマッチが存在する状態でさえ、良い性能が達成されることができる。
【0007】
1つの設計においては、PLLは位相周波数検出器およびチャージポンプを含んでいる。位相周波数検出器は、基準信号とクロック信号を受け取り、基準信号とクロック信号とに基づいて第1および第2の信号を生成し、そして、第1の信号のみに基づいて第1および第2の信号をリセットする。第1および第2の信号は、それぞれ、up信号およびdown信号であってもよい。あるいは、第1および第2の信号は、それぞれ、down信号およびup信号であってもよい。位相周波数検出器は、予め定められた量だけ、第1の信号を遅らせ、遅れた第1の信号(the delayed first signal)および第2の信号に基づいて、リセット信号を生成し、リセット信号で第1および第2の信号をリセットする。チャージポンプは、第1および第2の信号を受け取り、基準信号とクロック信号との間の位相誤差を示す出力信号を生成する。位相周波数検出器およびチャージポンプは、下記に説明されるようにインプリメントされることができる。
【0008】
本開示の種々な態様および特徴が、さらに詳細に下記に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、フラクショナルNPLL(fractional-N PLL)のブロック図を示す。
【図2】図2は、PLLのための位相周波数検出器およびチャージポンプを示す。
【図3】図3は、図2における位相周波数検出器のタイミング図を示す。
【図4A】図4Aは、図2におけるチャージポンプの電荷移動関数(charge transfer function)を示す。
【図4B】図4Bは、図2におけるチャージポンプの利得関数(gain function)を示す。
【図5A】図5Aは、線形位相周波数検出器(linear phase frequency detector)およびチャージポンプ(charge pump)を示す。
【図5B】図5Bは、別の線形位相周波数検出器およびチャージポンプを示す。
【図6】図6は、図5Aにおける位相周波数検出器用のタイミング図を示す。
【図7】図7は、PLLを動作させるプロセスを示す。
【図8】図8は、無線通信デバイスのブロック図を示す。
【詳細な説明】
【0010】
ここに説明される技術は、整数NPLL(integer-N PLLs)、フラクショナルNPLL(fractional-N PLLs)、マルチモジュラス分周器(multi-modulus dividers)(MMD)、シグマデルタ周波数シンセサイザ(sigma-delta frequency synthesizers)などのような様々なタイプの回路に使用されることができる。整数NPLLは、VCOからの発振器信号(oscillator signal)の周波数を、整数分周比N(integer divider ratio N)で、分周する(divides)、なお、この場合、N≧1。フラクショナルNPLLは、発振器信号の周波数を、非整数分周比R(non-integer divider ratio R)で、例えば、あるときはNで、また、他のときはN+1で(by N some of the time and by N+1 some other time)、分周する、なお、この場合、N<R<N+1。シグマデルタ周波数シンセサイザは、フラクショナルNPLLの非整数分周比Rを生成するために、シグマ−デルタ変調器(sigma-delta modulator)を利用する。
【0011】
図1は、フラクショナルNPLL110およびシグマ−デルタ変調器170を備えたシグマデルタ周波数シンセサイザ100の設計のブロック図を示す。PLL110は、位相周波数検出器120、チャージポンプ130、ループフィルタ140、電圧制御発振器(VCO)150および分周器160を含んでいる。
【0012】
位相周波数検出器120は、基準発振器(図1においては示されない)から基準信号を受け取り、分周器160からクロック信号を受け取り、2つの信号の位相を比較し、基準信号とクロック信号との間の位相誤差/相違(phase error/difference)を示すup信号およびdown信号を供給する。クロック信号はまた、分割されたクロック信号(divided clock signal)、フィードバック信号などと呼ばれてもよい。up信号およびdown信号はまた、early信号およびlate信号(early and late signals)、advance信号およびretard信号(advance and retard signals)などと、一般に呼ばれる。チャージポンプ130は、up信号およびdown信号を受け取り、検出された位相誤差を示す電流ICPである出力信号を生成する。
【0013】
ループフィルタ140は、チャージポンプ130からの出力信号をフィルタにかけ、VCO150のための制御信号VCTRLを生成する。ループフィルタ140は、クロック信号の位相あるいは周波数が基準信号の位相あるいは周波数にロックされるように、制御信号を調整する。ループフィルタ140は、PLL110の望ましい閉ループ応答(desired closed-loop response)を達成するために典型的に選択されている周波数応答(frequency response)を有している。例えば、ループフィルタ140の周波数応答は、獲得およびトラッキング性能(acquisition and tracking performance)とPLLノイズ性能(PLL noise performance)との間のトレードオフに基づいて選択されることができる。
【0014】
VCO150は、ループフィルタ140からの制御信号によって決定される周波数を有している発振器信号を、生成する。分周器160は、NおよびN+1の整数係数(integer factors)によって発振器信号を分周し、クロック信号を供給する。一般に、Nは任意の正の整数値であってよい。シグマ−デルタ変調器170は分周比Rを受け取る、なお、Rは次のように表されることができる:
【数1】

【0015】
但し、fvcoはVCO150の望ましい周波数であり、
refは基準信号の周波数である。
【0016】
シグマ−デルタ変調器170は、分周比Rを達成するために分周器160のための分周器制御を生成する。この分周器制御は、分周器160にNかN+1のいずれかによって分周するように命じる1ビットの制御(1-bit control)であってもよい。例えば、分周器制御上の論理low(logic low)(「0」)は、Nによる分周に対応することができ、また、分周器制御上の論理high(logic high)(「1」)は、N+1による分周に対応することができる。分周器制御上のゼロ(zeros)および1(ones)のパーセンテージは、分周比Rによって決定される。しかしながら、量子化雑音がより高い周波数へシフトされ、VCO150からの発振器信号について良好な位相ノイズ特性が達成されることができるような方法で、ゼロは、分周器制御上で分布される。
【0017】
図1は、PLLおよび周波数シンセサイザの一例の設計を示す。一般に、PLLおよび周波数シンセサイザは、図1において示されるものよりは、より少ない回路ブロック、追加の回路ブロック、および/または、異なる回路ブロックで、インプリメントされることができる。例えば、VCO150は、電流デジタル/アナログ変換器(iDAC)および電流制御発振器(ICO)に取り替えられてもよい。分周器160は、固定整数N分周器 (fixed integer-N divider)であってもよい。ループフィルタ140は、変数ループ応答を有する適応ループフィルタであってもよく、それは、PLLループ帯域幅および/またはダンピング(damping)を変更するために使用されることができる。他の関心ある周波数(other frequencies of interest)で1つ以上のさらなるクロック信号を生成するために発振器信号を分周するのに、1つ以上のさらなる分周器もまた使用されることができる。
【0018】
図2は、位相周波数検出器120aおよびチャージポンプ130aの一設計を示しており、それらは、それぞれ、図1における、位相周波数検出器120およびチャージポンプ130に使用されることができる。
【0019】
位相周波数検出器120a内では、基準信号とクロック信号とが、それぞれ、Dフリップフロップ220aおよび220bのクロックインプットに供給される。フリップフロップ220aおよび220bのデータ(D)インプットは、電源に結合され、論理highを受け取る。フリップフロップ220aおよび220bのデータ(Q)アウトプットは、それぞれ、up信号およびdown信号(up and down signals)を供給する。up信号(up signal)は、基準信号がクロック信号に対して早いことを示す。down信号(down signal)は、基準信号がクロック信号に対して遅いことを示す。ANDゲート222は、up信号およびdown信号を受け取り、2つの信号に対して論理ANDを行なう。遅延ユニット224は、ANDゲート222のアウトプットを、予め定められた量の時間TONだけ遅らせ、フリップフロップ220aおよび220bのリセット(R)インプットにリセット信号を供給する。
【0020】
チャージポンプ130a内では、電流ソース230aおよび230bとスイッチ232aおよび232bとが、電源と回路グラウンドとのの間で、直列に結合される。電流ソース230aは、IUPの電流を供給し、電流ソース230bは、IDOWNの電流を供給する。スイッチ232aは、up信号を受け取り、up信号上の論理highによってonとなるとき、電流ソース230aをチャージポンプ130aのアウトプットに結合する。スイッチ232bは、down信号を受け取り、down信号上で論理highによってonとなるとき、電流ソース230bをチャージポンプ130aのアウトプットに結合する。
【0021】
ユニット224によるTON遅延は、チャージポンプ中のデッドゾーンに対処する(combat)ために使用される。電流ソース230aおよび230bは、onおよびoffとするために、ある量の時間を必要とする。遷移時間(transition time)の間、up信号およびdown信号においての位相情報が失われるので、この遷移時間は、デッドゾーンと呼ばれる。TON遅延はデッドゾーンに対処する。
【0022】
図3は、図2における位相周波数検出器120aの動作を説明するタイミング図を示す。最初、up信号およびdown信号は、論理lowにある。時間T11で、基準信号は、論理lowから論理highへ遷移し、フリップフロップ220aがトリガされ、そして、up信号が論理highへ遷移する。時間T12で、クロック信号が、論理lowから論理highへ遷移し、フリップフロップ220bがトリガされ、そしてdown信号が論理highへ遷移する。up信号およびdown信号が両方とも論理highにあるとき、ANDゲート222のアウトプットは、論理highへ遷移する。T12よりほぼTON遅い時間T13で、リセット信号は、論理highへ遷移し、フリップフロップ220aおよび220bは、両方ともリセットされ、そして、up信号およびdown信号は、論理lowへ遷移する。
【0023】
時間T14で、クロック信号は、論理lowから論理highへ遷移し、フリップフロップ220bがトリガされ、そして、down信号が論理highへ遷移する。時間T15で、基準信号が、論理lowから論理highへ遷移し、フリップフロップ220aがトリガされ、そして、up信号が論理highへ遷移する。up信号およびdown信号が、両方とも論理highにあるとき、ANDゲート222のアウトプットは、論理highへ遷移する。T15よりほぼTON遅い時間T16で、リセット信号は、論理highへ遷移し、フリップフロップ220aおよび220bは、両方ともリセットされ、そして、up信号およびdown信号は、論理lowへ遷移する。
【0024】
図3において示されるように、各クロックサイクルにおいて、up信号およびdown信号上で、2つのパルスが生成される。基準信号がクロック信号に対して早いとき、up信号が、down信号をリードし、より長いパルスを有する。反対に、基準信号がクロック信号に対して遅いとき、down信号が、up信号をリードし、より長いパルスを有する。各クロックサイクルにおいて、より早い立ち上がりエッジ(earlier rising edge)を備えた信号が、そのフリップフロップを最初にセットする(sets)。そして、より遅い立ち上がりエッジ(later rising edge)を備えた信号が、両方のフリップフロップをリセットする。このようにして、基準信号は、それがクロック信号より遅いとき、両方のフリップフロップをリセットし、そして、クロック信号は、それが基準信号より遅いとき、両方のフリップフロップをリセットする。
【0025】
図3はまた、図2の中のチャージポンプ130aの動作を説明する。up信号がdown信号をリードするとき、電流ソース230aは、時間T11から時間T13のIUPのソーシング電流(sourcing current)を供給し、そして、電流ソース230bは、時間T12から時間T13のIDOWNのシンキング電流(sinking current)を供給する。ネット出力電流(net output current)は、時間T11から時間T13のソーシング電流とシンキング電流との間の差である。
【0026】
down信号がup信号をリードするとき、電流ソース230bは、時間T14から時間T16のIDOWNのシンキング電流を供給し、そして、電流ソース230aは、時間T15から時間T16のIUPのソーシング電流を供給する。ネット出力電流は、時間T14から時間T16のソーシング電流とシンキング電流との間の差である。
【0027】
理想的には、電流ソース230aおよび230bは、IUP=IDOWNであるように同じ量の電流を供給するべきである。しかしながら、トランジスタデバイスミスマッチおよび他の要因により、IUPは、典型的に、IDOWNと等しくない。IUPとIDOWNの間のミスマッチは、IDOWN=I、IUP=I+ΔIとしてモデル化される(modeled)ことができる、ただし、Iは名目上の電流(nominal current)であり、ΔIは電流ミスマッチの量である。
【0028】
up信号がdown信号をリードするとき、例えば、時間T11から時間T13まで、チャージポンプ130aからのネット出力チャージ(net output charge)は、次のように表されることができる。
Q(dt)=I*dt+ΔI*dt+ΔI*TON 式(2)
但し、dtは、基準信号の立ち上がりエッジとクロック信号の立ち上がりエッジとの間の時間差であり、
Q(dt)は、up信号がdown信号をリードする場合の出力チャージである。
【0029】
down信号がup信号をリードするとき、例えば、時間T14から時間T16まで、チャージポンプ130aからのネット出力チャージは次のように表されることができる。
Q(−dt)=−I*dt+ΔI*TON 式(3)
但し、―dtは基準信号の立ち上がりエッジとクロック信号の立ち上がりエッジとの間の時間差であり、
Q(−dt)は、down信号がup信号をリードする場合のネットチャージである。
【0030】
式(2)および(3)において、「I*dt」および「−I*dt」の項は望ましい成分(desired component)に対応し、「ΔI*dt」の項は、非直線歪み成分(non-linear distortion component)に対応し、「ΔI*TON」の項は、直流(DC)オフセットに対応する。DCオフセットは、基準信号とクロック信号との間のスタティック位相オフセットの原因となり、一般には性能に影響を与えない(does not impact performance)。しかしながら、非線形の成分は、位相ノイズを劣化させ、他の悪影響(other deleterious effects)を生じさせうる。
【0031】
図4Aは、チャージポンプ130aからの出力チャージQ 対 位相誤差dθの伝達関数 (transfer function)を示す。位相誤差と時間差は関連づけられ、次のように与えられることができる:dθ=2π*dt/TREF
但し、TREFは基準信号の1サイクルの期間である。理想的には、伝達関数は、電流Iによって決定された傾斜(slope)を持った直線であるべきである。しかしながら、電流ミスマッチΔIにより、伝達関数は、負の位相誤差の場合の1つの直線および正の位相誤差の場合の別の直線からなる。正の位相誤差の場合の直線は、図3および4Aにおいて示されるように、もしIUP>IDOWNならば、より急な傾斜を有する。
【0032】
図4Bは、チャージポンプ130a 対 位相誤差dθの利得関数(gain function)を示す。チャージポンプ利得Gは、G=dQ/dθ として与えられることができる。理想的には、チャージポンプ利得は、すべての位相誤差に対して一定であるべきである。しかしながら、電流ミスマッチΔIにより、チャージポンプ利得は、負の位相誤差の場合は1つの値であり、正の位相誤差の場合は別の値である。正の位相誤差の場合のチャージポンプ利得は、図3および4Bにおいて示されるように、もしIUP>IDOWNならば、より高い。
【0033】
電流ミスマッチΔIは、電流ソース230aおよび230bをインプリメントするために使用されるトランジスタデバイスにおけるミスマッチ、チャージポンプの電源電圧における変化、および他の要因に起因し得る。デバイスミスマッチは、大きなデバイスサイズを使用すること、および良い設計ガイドラインを使用することにより軽減されるかもしれない。しかしながら、大きなデバイスサイズは、より多くの回路エリアを占め、それは望ましくない。更に、デバイスミスマッチは、大きなデバイスサイズを用いてさえ、完全には除去されない。従って、チャージポンプが、なんらかの電流ミスマッチを持つと予想されることができる。
【0034】
一態様では、チャージポンプにおけるup/down電流ミスマッチが一次の非直線歪みに寄与しないように、位相周波数検出器は、up信号およびdown信号を生成する新しいタイミング/クロッキングスキームを使用する。新しいタイミングスキームは、位相周波数検出器内でフリップフロップをリセットするために、up信号のみ、あるいはdown信号のみを使用する。これは、図2において示されるup信号およびdown信号が両方ともフリップフロップをリセットするタイミングスキームとは、異なる。新しいタイミングスキームを用いると、チャージポンプにおけるup/down電流ミスマッチは、チャージポンプのアウトプットで現われない。従って、良い性能が、チャージポンプにおいてトランジスタデバイスミスマッチが存在する状態でさえ達成されることができる。
【0035】
図5Aは、位相周波数検出器120bおよびチャージポンプ130bの設計を示しており、それらは、それぞれ、図1における位相周波数検出器120およびチャージポンプ130に使用されることができる。位相周波数検出器120bは、単にup信号に基づいて、そのフリップフロップをリセットする。
【0036】
位相周波数検出器120b内では、基準信号とクロック信号が、Dフリップフロップ520aおよび520bのクロックインプットにそれぞれ供給される。フリップフロップ520aおよび520bのDインプットは、電源に結合される。フリップフロップ520aおよび520bのQアウトプットは、up信号およびdown信号をそれぞれ供給する。遅延ユニット522は、up信号を予め定められた量の時間Tだけ遅らせる。ANDゲート524は、遅れたup信号(delayed up signal)とdown信号とを受け取り、2つの信号に関して論理ANDを行ない、フリップフロップ520aおよび520bのRインプットにリセット信号を供給する。
【0037】
チャージポンプ130bは、電流ソース530aおよび530bと、スイッチ532aおよび532bとを含み、それらは、電源と回路グラウンドとの間で直列に結合される。スイッチ532aは、up信号を受け取り、電流ソース530aをチャージポンプアウトプットに結合する。スイッチ532bは、down信号を受け取り、電流ソース530bをチャージポンプアウトプットに結合する。
【0038】
図5Bは、位相周波数検出器120cの設計を示し、それらはまた、図1における位相周波数検出器120に使用されることができる。位相周波数検出器120cは、単にdown信号に基づいて、そのフリップフロップをリセットする。位相周波数検出器120cは、フリップフロップ520aおよび520bと、遅延ユニット522と、ANDゲート524とを含んでいる。しかしながら、図5Aとは違って、遅延ユニット522は、down信号を、予め定められた量の時間Tだけ遅らせる。ANDゲート524は、遅れたdown信号(delayed down signal)とup信号とを受け取り、リセット信号をフリップフロップ520aおよび520bに供給する。
【0039】
図5Aおよび5Bにおいて示されるように、位相周波数検出器の新しいタイミングスキームは、小さな回路構成を用いてインプリメントされることができる。他の回路もまた、up信号のみ、あるいはdown信号のみに基づいて、フリップフロップをリセットするように設計されることができる。
【0040】
図6は、図5Aの中の位相周波数検出器120bの動作を説明するタイミング図を示す。最初に、up信号およびdown信号は、論理lowにある。時間T21で、基準信号は論理highへ遷移し、フリップフロップ520aがトリガされ、そして、up信号が、論理highへ遷移する。時間T22で、クロック信号は論理highへ遷移し、フリップフロップ520bがトリガされ、そして、down信号が、論理highへ遷移する。T21よりほぼT遅い時間T23で、遅れたup信号とdown信号とは、ANDゲート522のインプットにおいて、両方とも論理highにあり、そして、ANDゲート522は論理highをリセット信号上に供給する。フリップフロップ520aおよび520bは、その結果、両方ともリセットされ、そして、up信号およびdown信は、論理lowへ遷移する。
【0041】
時間T24で、クロック信号は論理highへ遷移し、フリップフロップ520bがトリガされ、そして、down信号は、論理highへ遷移する。時間T25で、基準信号は論理highへ遷移し、フリップフロップ520aがトリガされ、そして、up信号が論理highへ遷移する。T25よりほぼT遅い時間T26で、遅れたup信号とdown信号とは、ANDゲート522のインプットで、両方とも論理highにあり、そして、ANDゲート522は、リセット信号上に論理highを供給する。フリップフロップ520aおよび520bは、その結果、両方ともリセットされ、そしてup信号およびdown信号は、論理lowへ遷移する。
【0042】
図6において示されるように、基準信号またはクロック信号のどちらがより早いかにかかわらず、up信号のみが、フリップフロップをリセットする。各クロックサイクルにおいて、より早い立ち上がりエッジを備えた信号が、そのフリップフロップを最初にセットし、そして、up信号が両方のフリップフロップをリセットする。
【0043】
図6はまた、図5Aの中のチャージポンプ130bの動作を説明する。up信号がdown信号をリードするとき、例えば、時間T21から時間T23まで、チャージポンプ130bからの出力チャージは、次のように表されることができる:
Q(dt)=I*dt+ΔI*dt+ΔI*(T−dt)
=I*dt+ΔI*T 式(4) down信号がup信号をリードするとき、例えば、時間T24から時間T26まで、チャージポンプ130bからの出力チャージは、次のように表されることができる:
Q(−dt)=−I*dt+ΔI*T 式(5) 式(2)および(3)において、「I*dt」および「−I*dt」の項は望ましい成分に対応し、そして、「ΔI*T」の項はDCオフセットに対応する。その、電流ソース530aおよび530bにおけるup/down電流ミスマッチは、チャージポンプ130bのアウトプットにおいては現われない。非線形成分は、up信号の立ち上がりエッジの後に固定の遅れTを導入することにより取り消される(canceled)。非線形成分の取り消し(cancellation)は、(a)図4Aにおいて示される、理想的な伝達関数に似ている出力チャージQ 対 位相誤差dθの伝達関数、および(b)図4Bにおいて示される理想的な利得関数に似ているチャージポンプ利得、をもたらす。
【0044】
固定の遅れTは以下のように選択されることができる:
>TON+dtMAX 式(6)
但し、TONは、チャージポンプのデッドゾーンを考慮するために使用されるon時間であり、
dtMAXは、PLLがロックされる(locked)ときの、基準信号とクロック信号の立ち上がりエッジ間の予期される最大時間差である。
【0045】
位相周波数検出器およびチャージポンプによる線形動作は、通常、PLLがロックされるときにのみ必要とされる。位相ノイズ、スプリアス信号レベル(spurious signal levels)および他の仕様(other specifications)は、ロックされたPLLに対して通常適用可能である。PLLがロックされるとき、位相周波数検出器のインプットでは、基準信号とクロック信号との間に時間/位相差の範囲がある。時間/位相差のこの範囲は、様々な要因、例えば、分周器160に使用される因数N、N+1、デルタ-シグマ変調器170分周器制御(それはデルタ-シグマ変調器のトポロジあるいは設計に依存し得る)など、に依存し得る。時間/位相差の範囲は、コンピュータシミュレーション、経験に基づく測定(empirical measurements)などによって決定されることができる。例えば、時間/位相差のヒストグラムは、特定のPLLおよびデルタ-シグマ変調器の設計については、周波数ロック中の多くのクロックサイクルの間に得られるかもしれない。そのとき、dtMAXが、ヒストグラムに基づいて選択されることができ、例えば、クロックサイクルのターゲット割合(例えば99%)をカバーする時間/位相差に等しくセットされる。
【0046】
例えば、式(6)において示されるような、十分に長い固定の遅れTを選択することは、すべてのインプット状態について、チャージポンプ内の電流ソースが完全にonになることを確実にする。これはまた、PLLがロックされるときに、フリップフロップをリセットするように指定された信号(例えば図5Aの中のup信号)がTの遅れの後にフリップフロップを実際にリセットするであろうということを確実にする。固定の遅れはまた、プログラム可能な値であることができる。
【0047】
PLLがロックされないときには、時間/位相差dtは、dtMAXより大きいかもしれない。up信号がdown信号をリードするとき、down信号の立ち上がりエッジが、TONの後に、フリップフロップをリセットする。down信号がup信号をリードするとき、up信号の立ち上がりエッジが、Tの後に、フリップフロップをリセットする。位相周波数検出器およびチャージポンプは、PLLがロックされないときは、やはり適切に機能するが、線形化されていない(not linearlized)、が、これは、通常受け入れることができる動作(behavior)である。
【0048】
一般に、PLLは、基準信号とクロック信号とを受け取り、基準とクロック信号とに基づいて第1および第2の信号を生成し、そして、第1の信号のみに基づいて第1および第2の信号をリセットする位相周波数検出器、を含み得る。第1および第2の信号は、up信号およびdown信号にそれぞれ対応することができ、また、例えば、図5Aにおいて示されるように、基準信号とクロック信号と基づいてそれぞれ生成されることができる。あるいは、第1および第2の信号は、down信号およびup信号にそれぞれ対応することができ、また、例えば、図5Bにおいて示されるように、クロック信号と基準信号とに基づいて、それぞれ生成されることができる。位相周波数検出器は、第1の信号を予め定められた量だけ遅らせ、遅れた第1の信号と第2の信号とに基づいて、リセット信号を生成し、そして、リセット信号に基づいて、第1および第2の信号をリセットすることができる。予め定められた量の遅れは、例えば、式(6)において示されるように、選択されてもよいし、あるいはプログラム可能であってもよい。
【0049】
チャージポンプは、第1および第2の信号を受け取り、基準信号とクロック信号との間の位相誤差を示す出力信号を生成する。チャージポンプは、第1の信号に基づいて第1の電流を出力信号に供給することができ、第2の信号に基づいて第2の電流を出力信号に供給することができる、なお、第1の電流および第2の電流は逆の極性を有する。位相周波数検出器およびチャージポンプは、図5Aまたは5Bに示されるように、あるいはなんらかの他の設計で、インプリメントされることができる。
【0050】
図7は、PLLを動作させるプロセス700を示す。第1および第2の信号は、基準信号およびクロック信号に基づいて生成される(ブロック712)。第1および第2の信号は、第1の信号のみに基づいてリセットされる(ブロック714)。基準信号とクロック信号との間の位相誤差を示す出力信号は、第1および第2の信号に基づいて生成される(ブロック716)。出力信号は、VCOのための制御信号を生成するために、ループフィルタでフィルタにかけられることができる(ブロック718)。VCOからの発振器信号は、クロック信号を生成するために、複数の整数係数(例えばNとN+1)で分周されることができる(ブロック720)。非整数分周比(non-integer divider ratio)を達成するために、分周器制御(divider control)が、複数の整数係数を選択するために(例えば、シグマ−デルタ変調器によってノイズシェーピングを用いて)生成されることができる(ブロック722)。
【0051】
ここに説明される線形位相周波数検出器およびチャージポンプは、上記に示されたように、様々なタイプのPLLに使用されてもよく、また、特に、信号−デルタ フラクショナルNPLL(signal-delta fractional-N PLLs)の場合には好都合である。信号−デルタフラクショナルNPLLは、ループフィルタ140によってより容易にフィルタにかけられることができるより高い周波数へ量子化雑音(quantization noise)を押しあげる(push)ために、信号−デルタ変調器によるノイズシェーピングを使用する。チャージポンプ中の非線形は、より高い周波数ノイズをより低い周波数へ折り返す(fold back)原因となり、性能を低下させるかもしれない。上記に説明されるようなチャージポンプを線形化することは、ノイズフォールディング効果(noise folding effects)を低減させる。チャージポンプを線形化することは、また、非線形のミキシングおよび相互変調(non-linear mixing and inter-modulation)から生成されるフラクショナルスパー(fractional spurs)あるいは異質のトーン(extraneous tones)を低減させ得る。
【0052】
ここに説明される線形位相周波数検出器およびチャージポンプは、様々な利点を提供することができる。線形動作は、チャージポンプ中における電流ソースの有限出力インピーダンス(finite output impedance)およびトランジスタデバイスおよびにおけるミスマッチがある状態でさえ達成されることができる。したがって、電流ソースの電流整合要件(current matching requirements)は緩められる(relaxed)ことができ、チャージポンプの電圧適合要件(voltage compliance requirements)は改善されることができ、また、より小さなトランジスタのサイズがチャージポンプに使用されることができる。さらに、至近距離の位相ノイズ(close-in phase noise)が改善されることができ、フラクショナルスプリアス信号レベル(fractional spurious signal level)が下げられることができ、そして、全体的なPLL性能は改善されることができる。トランジスタデバイスミスマッチは、次に(now)、基準スパー(reference spurs)のみは引き起こすかもしれないが、それは、適切に設計されたフラクショナルNPLLにおけるノイズレベルよりも下に抑えられることができる。
【0053】
ここに説明された線形位相周波数検出器およびチャージポンプは、様々なエレクトロニクス回路に使用されることができる。無線通信デバイスのための線形位相周波数検出器およびチャージポンプの使用が下記に説明される。
【0054】
図8は、無線通信システムにおける無線デバイス800の一設計のブロック図を示す。無線デバイス800は、携帯電話、端末、携帯情報端末(personal digital assistant)(PDA)、ハンドセットあるいは他の何らかのデバイスであってよい。無線通信システムは、符号分割多元接続(CDMA)システム、時分割多元接続(TDMA)システム、周波数分割多元接続(FDMA)システム、グローバル移動体通信システム(Global System for Mobile Communications)(GSM(登録商標))のシステム、直交FDMA(OFDMA)システム、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)などであってよい。
【0055】
無線デバイス800は、双方向通信をサポートするデジタルプロセッサ810およびトランシーバ830を含んでいる。デジタルプロセッサ810は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)などでインプリメントされることができる。トランシーバ830は、1つ以上のRF集積回路(RFIC)などでインプリメントされることができる。
【0056】
データ伝送の場合は、エンコーダ812が、送信されるべきデータを処理し(例えば、フォーマットし、符号化し、インタリーブし)、そして、変調器814が、データチップを生成するために符号化データをさらに処理する(例えば、変調し、スクランブルする)。トランシーバ830内では、送信(TX)ベースバンドユニット832が、デジタル/アナログ変換、フィルタリング、増幅などのような、ベースバンド処理を行なう。ミキサ834は、ベースバンド信号を無線周波数(RF)へアップコンバートする。TX RFユニット836は、例えば、フィルタリングや電力増幅などの、信号調整(signal conditioning)を行ない、そして、アンテナ840を介して送信されるRF変調信号(RF modulated signal)を、生成する。
【0057】
データ受信の場合は、受信(RX)RFユニット842が、アンテナ840からインプットRF信号を受け取り、例えば、低ノイズ増幅やフィルタリングなどの、信号調整を行なう。ミキサ844は、調整されたRF信号を、RFからベースバンドにダウンコンバートする。RXベースバンドユニット846は、フィルタリング、増幅、アナログ/デジタル変換などのような、ベースバンド処理を行なう。復調器(Demod)816は、ユニット846からの入力サンプルを処理し(例えば、デスクランブルし(descrambles)、復調し)、そして、シンボル評価(symbol estimates)を提供する。デコーダ818は、シンボル評価を処理し(例えば、デインタリーブし、デコードし)、そして、デコードされたデータを提供する。一般に、データプロセッサ810およびトランシーバ830による処理は、無線システムの設計に依存する。
【0058】
プロセッサ820は、ビデオ、オーディオ、グラフィックスなどのような、様々なアプリケーションをサポートすることができる。コントローラ/プロセッサ860は、無線デバイス800内の様々な処理ユニット(processing units)の動作を指図する(directs)。メモリ862は、無線デバイス800のためのプログラムコードおよびデータを保存する。
【0059】
VCO/PLL822は、デジタルプロセッサ810内の処理ユニットのためのクロック信号を生成する。VCO/PLL850は、周波数アップコンバージョンのためにミキサ834によって使用される送信LO信号と、周波数ダウンコンバージョンのためにミキサ844によってに使用される受信LO信号とを、生成する。VCO/PLL822およびVCO/PLL850は、性能を改善するために、線形位相周波数検出器およびチャージポンプを各々が使用してもよい。基準発振器864は、VCO/PLL822および/またはVCO/PLL850のための基準信号を生成する。基準発振器864は、水晶発振器(XO)、電圧制御XO(VCXO)、温度補償XO(TCXO)、あるいは何らかの他のタイプの発振器であってもよい。
【0060】
ここに説明された位相周波数検出器、チャージポンプ、PLLは、アナログIC、RFIC、ASIC、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理回路(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、および他の電子ユニット、においてインプリメントされてもよい。位相周波数検出器、チャージポンプ、およびPLLは、様々なICプロセス技術、例えば、N−MOS、P−MOS、CMOS、BJT、GaAs、など、で製造されることができる。位相周波数検出器、チャージポンプ、およびPLLは、また、ディスクリートコンポーネントでインプリメントされてもよい。
【0061】
本開示の以上の説明は、いずれの当業者も本開示を作りまたは使用することを可能にするように提供されている。本開示に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであろう、また、ここに定義された総括的な原理は、本開示の精神あるいは範囲から逸脱することなく、他の変形に適用されることができる。したがって、本開示は、ここに説明された例に限定されるようには意図されておらず、ここに開示された原理と新規な特徴に整合する最も広いスコープを与えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準信号とクロック信号とを受け取るように、前記基準信号と前記クロック信号とに基づいて第1および第2の信号を生成するように、そして、前記第1の信号のみに基づいて前記第1および第2の信号をリセットするように構成された位相周波数検出器と、
前記第1および第2の信号を受け取り、そして、前記基準信号と前記クロック信号との間の位相誤差を示す出力信号を生成するように構成されたチャージポンプと、
を備えるデバイス。
【請求項2】
前記第1の信号は、前記基準信号が前記クロック信号に対して早いことを示すup信号であり、そして、前記第2の信号は、前記基準信号が前記クロック信号に対して遅いことを示すdown信号である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の信号は、前記基準信号が前記クロック信号に対して遅いことを示すdown信号であり、そして、前記第2の信号は、前記基準信号が前記クロック信号に対して早いことを示すup信号である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記位相周波数検出器は、予め定められた量だけ前記第1の信号を遅らせるように、前記遅れた第1の信号に基づいてリセット信号を生成するように、そして、前記リセット信号に基づいて前記第1および第2の信号をリセットするように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記位相周波数検出器は、さらに前記第2の信号に基づいて前記リセット信号を生成するように構成されている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記位相周波数検出器は、
前記基準信号を受け取り、前記第1の信号を供給するように構成された第1のフリップフロップと、
前記クロック信号を受け取り、前記第2の信号を供給するように構成された第2のフリップフロップと、
予め定められた量だけ前記第1の信号を遅らせるように構成された遅延ユニットと、
前記遅れた第1の信号および前記第2の信号に基づいて前記第1および第2のフリップフロップのためのリセット信号を生成するように構成された回路と、
を備える、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記位相周波数検出器は、
前記クロック信号を受け取り、前記第1の信号を供給するように構成された第1のフリップフロップと、
前記基準信号を受け取り、前記第2の信号を供給するように構成された第2のフリップフロップと、
予め定められた量だけ前記第1の信号を遅らせるように構成された遅延ユニットと、
前記遅れた第1の信号および前記第2の信号に基づいて前記第1および第2のフリップフロップのためのリセット信号を生成するように構成された回路と、
を備える、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記チャージポンプは、
前記出力信号に第1の電流を供給するように構成された第1の電流ソースと;
前記出力信号に第2の電流を供給するように構成された第2の電流ソースと、なお、前記第1および第2の電流は逆極性を有している;
前記第1の信号によってイネーブルにされたとき、前記第1の電流ソースを前記出力信号に結合するように構成された第1のスイッチと;
前記第2の信号によってイネーブルにされたとき、前記第2の電流ソースを前記出力信号に結合するように構成された第2のスイッチと;
を備える、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記クロック信号を生成するために、複数の整数係数によって、発振器信号を分周するように構成された分周器、
を備える請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記分周器用の前記複数の整数係数を選択するために、非整数分周比を受け取り、分周器制御を生成するように構成されたシグマ−デルタ変調器、
を備える請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記予め定められた量の遅れは、周波数ロック達成後の前記クロック信号と前記基準信号との間の予期される最大時間差よりも大きい、請求項4に記載のデバイス。
【請求項12】
前記予め定められた量の遅れは、前記チャージポンプのデッドゾーンを考慮するためのon時間と、周波数ロック達成後の前記クロック信号と前記基準信号との間の予期される最大時間差とを足したよりも大きい、請求項4に記載のデバイス。
【請求項13】
前記予め定められた量の遅れはプログラム可能である、請求項4に記載のデバイス。
【請求項14】
基準信号とクロック信号とを受け取るように、前記基準信号と前記クロック信号とに基づいて第1および第2の信号を生成するように、そして、前記第1の信号のみに基づいて前記第1および第2の信号をリセットするように構成された位相周波数検出器と、
前記第1および第2の信号を受け取り、そして、前記基準信号と前記クロック信号との間の位相誤差を示す出力信号を生成するように構成されたチャージポンプと、
を備える集積回路。
【請求項15】
前記位相周波数検出器は、予め定められた量だけ前記第1の信号を遅らせるように、前記遅れた第1の信号に基づいてリセット信号を生成するように、そして、前記リセット信号に基づいて前記第1および第2の信号をリセットするように構成されている、請求項14に記載の集積回路。
【請求項16】
基準信号とクロック信号とに基づいて第1および第2の信号を生成することと;
前記第1の信号のみに基づいて前記第1および第2の信号をリセットすることと;
前記第1および第2の信号に基づいて出力信号を生成することと、なお、前記出力信号は前記基準信号と前記クロック信号との間の位相誤差を示す;
を備える方法。
【請求項17】
前記第1および第2の信号を前記リセットすることは、
予め定められた量だけ前記第1の信号を遅らせることと、
前記遅れた第1の信号に基づいてリセット信号を生成することと、
前記リセット信号に基づいて前記第1および第2の信号をリセットすることと、
を備える、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記出力信号を前記生成することは、
前記第1の信号に基づいて、前記出力信号に第1の電流を供給することと;
前記第2の信号に基づいて、前記出力信号に第2の電流を供給することと、なお、前記第1および第2の電流は逆極性を有している;
を備える、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記クロック信号を生成するために、複数の整数係数によって、発振器信号を分周することと、
非整数分周比を達成する前記複数の整数係数を選択するために分周器制御を生成することと、
をさらに備える請求項16に記載の方法。
【請求項20】
基準信号とクロック信号とに基づいて第1および第2の信号を生成するための手段と;
前記第1の信号のみに基づいて前記第1および第2の信号をリセットするための手段と;
前記第1および第2の信号に基づいて出力信号を生成するための手段と、なお、前記出力信号は前記基準信号と前記クロック信号との間の位相誤差を示す;
を備える装置。
【請求項21】
前記第1および第2の信号を前記リセットするための前記手段は、
予め定められた量だけ前記第1の信号を遅らせるための手段と、
前記遅れた第1の信号に基づいてリセット信号を生成するための手段と、
前記リセット信号に基づいて前記第1および第2の信号をリセットするための手段と、
を備える、
請求項20に記載の装置。
【請求項22】
基準信号とクロック信号とを受け取るように、前記基準信号と前記クロック信号とに基づいて第1および第2の信号を生成するように、そして、前記第1の信号のみに基づいて前記第1および第2の信号をリセットするように構成された位相周波数検出器と、
前記第1および第2の信号を受け取り、そして、前記基準信号と前記クロック信号との間の位相誤差を示す出力信号を生成するように構成されたチャージポンプと、
を含む位相同期ループ、
を備える無線デバイス。
【請求項23】
前記位相同期ループは、
前記クロック信号を生成するために、複数の整数係数によって、発振器信号を分周するように構成された分周器と、
前記分周器用の前記複数の整数係数を選択するために、非整数分周比を受け取り、分周器制御を生成するように構成されたシグマ−デルタ変調器と、
を含む、
請求項22に記載の無線デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−59058(P2013−59058A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−231833(P2012−231833)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【分割の表示】特願2009−539444(P2009−539444)の分割
【原出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】