説明

位相同期回路及びテレビジョン信号受信回路

【課題】チューニングラインに設けられるラインフィルタのフィルタ特性の低下を防止すること。
【解決手段】この位相同期回路は、チャージポンプ(35)から出力されるパルス信号を積分するローパスフィルタ(19)と、ローパスフィルタ(19)から電圧制御発振回路(17A)に対して制御電圧を供給する制御電圧供給ライン(LUHF)に設けられたラインフィルタ(20)と、を具備し、ラインフィルタ(20)のキャパシタ(C1)の一端をチャージポンプ(35)の出力端子からCP電流切替回路(36)の抵抗(r)を介してグランドに高周波的に接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御電圧に応じた局部発振信号を発生する電圧制御発振回路及び制御電圧によって周波数特性を切り替えるRFフィルタ回路に接続されるチューニングラインに対して制御電圧を印加可能な位相同期回路及びテレビジョン信号受信回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受信系統に設けられたRFフィルタ回路に対してチューニングラインを介して制御電圧を印加し、受信チャンネルに対応した周波数特性をRFフィルタ回路に設定するテレビジョン信号受信回路がある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。かかるテレビジョン信号受信回路では、RFフィルタ回路の後段に設けたミキサ回路に対して、電圧制御発振回路から受信RF信号を中間周波信号に変換する局部発振信号を入力する。電圧制御発振回路は、PLL回路から供給される制御電圧によって制御されている。
【0003】
図4は、テレビジョン信号受信回路に備えたPLL回路及びチューニングライン部分の概略構成図である。同図に示すPLL回路は、水晶発振器101の生成した発振信号を分周器102に入力して基準発振信号に変換する。一方、制御電圧によって発振周波数が制御された電圧制御発振回路(UHF/VHF発振器)100がミキサ回路へ出力する局部発振信号をプログラマブル分周器103へフィードバックして分周する。プログラマブル分周器103には受信周波数に対応した分周比が設定される。位相比較器104は、分周器102の出力する基準発振信号とプログラマブル分周器103の出力するフィードバック信号との位相誤差に応じた位相誤差信号を出力する。チャージポンプ105は、位相比較器104から入力する位相誤差信号をパルス信号に変換してローパスフィルタ106へ出力する。ローパスフィルタ106は、パルス信号を積分して直流の制御電圧に変換し、制御電圧供給ラインLを介して電圧制御発振回路100(例えば、UHF用VCO/VHF用VCO)へ供給する。
【0004】
図4に示すように、ローパスフィルタ106の出力端から電圧制御発振回路100(UHF用VCO)へ制御電圧を印加するライン上にはローパスフィルタからなるラインフィルタ107が設けられている。ラインフィルタ107は、良好な位相ノイズ特性を確保すると共に、PLL回路で生成する基準周波数(水晶振動子の原発振の1/nに相当)の漏れレベルを低減する働きがある。ラインフィルタ107は、直列接続された抵抗R1及びR2と、抵抗R1,R2の中間接続点とグランド間に接続されたキャパシタCとで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−164745号公報
【特許文献2】特開2001−203594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、抵抗R1,R2の中間接続点とグランド間に接続されたキャパシタCには、端子間に印加される直流電圧(制御電圧)の違いによって容量が変化する特性があると共に、機械的衝撃によって容量が変化する特性(圧電特性)がある。キャパシタCの端子間に印加される直流電圧の変化と機械的衝撃とが同時に生じた場合には、さらに大きな容量変化を引き起こすことになる。その結果、キャパシタCの容量が変化することでラインフィルタが設計通りの機能を十分に発揮できなくなる問題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、チューニングラインに設けられるラインフィルタのフィルタ特性の低下を防止できる位相同期回路及びテレビジョン信号受信回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の位相同期回路は、電圧制御発振回路の発振周波数を制御するための制御電圧を生成し、前記電圧制御発振回路に制御電圧を供給する位相同期回路であって、位相誤差量に比例したパルス信号を出力するチャージポンプと、前記チャージポンプから出力されるパルス信号を積分して制御電圧を生成するローパスフィルタと、前記ローパスフィルタから前記電圧制御発振回路に対して制御電圧を供給する制御電圧供給ラインに設けられたラインフィルタと、を具備し、前記ローパスフィルタは、一端が前記チャージポンプの出力端子に接続された第1のキャパシタと、一端が前記第1のキャパシタの他端に接続され、他端が前記制御電圧供給ラインに接続された、互いに並列接続された第1の抵抗と第2のキャパシタとを備えた並列接続回路と、を有し、前記ラインフィルタは、一端が前記並列接続回路の他端に接続され、他端が前記制御電圧供給ラインに接続された第2の抵抗と、前記第2の抵抗の他端と前記並列接続回路の一端との間に接続された第3のキャパシタと、を有し、前記第3のキャパシタの一端が前記第1のキャパシタを介して前記チャージポンプの出力端子からグランドに高周波的に接続されることを特徴とする。
【0009】
本発明の位相同期回路によれば、ラインフィルタの構成要素である第3のキャパシタの両端が、ローパスフィルタの構成要素である第1の抵抗とラインフィルタの構成要素である第2の抵抗とを介して直流的に接続されるので、第3のキャパシタの両電極は、ほぼ同電位であることから、受信チャンネルの違いによって、制御電圧(同調電圧)が変化しても、この第3のキャパシタに印加される電位差に変化は無く(ほぼゼロ)、印加電圧に起因する容量変化は発生しない。
【0010】
本発明は、上記位相同期回路において、前記チャージポンプの出力端子とグランドとの間に接続された第3の抵抗を有し、前記第3の抵抗の抵抗値を切り替えて前記チャージポンプに流れるチャージポンプ電流を制御するチャージポンプ電流切替回路を備え、前記第3のキャパシタの一端が前記チャージポンプ電流切替回路の前記第3の抵抗を介してグランドに高周波的に接続されることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、ラインフィルタ用として第3のキャパシタを見た場合、ローパスフィルタ用として配置されている高容量の第1のキャパシタを介し、さらにCP電流切替回路の第3の抵抗を介して接地されるので、ラインフィルタとしての機能を果たす。
【0012】
本発明は、上記位相同期回路において、前記第3の抵抗の抵抗値は、電圧制御発振回路の発振周波数に応じて選択されることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、ローパスフィルタの入力端子に流れこむパルス信号(DC電流)は、受信チャンネルに応じて、複数のスイッチによって切り替えが行われることから、ラインフィルタの設定も受信チャンネルに応じて最適化されるという相乗効果を生むことができる。
【0014】
上記位相同期回路を備えたテレビジョン信号受信回路を構成しても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、チューニングラインに設けられるラインフィルタのフィルタ特性の低下を防止できる位相同期回路及びテレビジョン信号受信回路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態に係る位相同期回路を備えたテレビジョン信号受信回路の構成図である。
【図2】本実施の形態におけるPLL回路及びラインフィルタの具体的な構成図である。
【図3】本実施の形態におけるラインフィルタの概念図である。
【図4】従来のPLL回路及びチューニングライン部分の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る位相同期回路を備えたテレビジョン信号受信回路の構成図である。本実施の形態に係るテレビジョン信号受信回路10は、テレビジョン信号である放送波を受信するアンテナ11と、アンテナ11から出力される受信信号(RF)からテレビジョン受信信号(RF信号)を抽出するアンテナ同調回路12と、抽出したテレビジョン受信信号(RF信号)を増幅する高周波増幅器13と、増幅したテレビジョン受信信号(RF信号)から受信チャンネルを含む所望帯域を抽出するRF同調回路14と、RF同調回路で抽出したテレビジョン受信信号(RF信号)を中間周波信号(IF信号)に周波数変換するミキサ回路15と、ミキサ回路15の出力信号からIF信号を抽出するIFフィルタ回路16と、抽出したIF信号を処理してテレビジョン信号を得る後段回路とを備える。
【0018】
また、本実施の形態のテレビジョン信号受信回路10は、ミキサ回路15にUHF受信用の局部発振信号を供給する電圧制御発振回路17Aと、ミキサ回路15にVHF受信用の局部発振信号を供給する電圧制御発振回路17Bと、チューニングラインLTUに対して電圧制御発振回路17A,17Bの発振周波数、アンテナ同調回路12及びRF同調回路14の同調電圧を制御する直流の制御電圧を生成するPLL回路18と、PLL回路18から出力されるパルス信号を積分して直流の制御電圧を出力するローパスフィルタ19と、を具備する。
【0019】
電圧制御発振回路17Aは、アノードがグランドに接続された可変容量素子のバラクタダイオード21、バラクタダイオード21のカソードに一端が接続されたキャパシタ22、バラクタダイオード21及びキャパシタ22に対して並列に接続されたインダクタ23からなり制御電圧によって共振周波数が変化するLC共振回路と、LC共振回路の共振周波数によって発振して局部発振信号を出力する出力回路24とを備える。LC共振回路のバラクタダイオード21のカソードに電圧供給ラインラインLUHFの一端が接続されている。もう一方の電圧制御発振回路17Bも電圧制御発振回路17Aと同様に構成されている。なお、電圧供給ラインラインLUHFはチューニングラインLTUの一部であるが、本例では一方の電圧制御発振回路17Aに制御電圧を供給するラインにラインフィルタ20を設けているので、チューニングラインLTUとは呼び方を変えている。
【0020】
ローパスフィルタ19は、キャパシタC0(第1のキャパシタ)と、互いに並列接続された抵抗25(第1の抵抗)及びキャパシタ26(第2のキャパシタ)からなる並列回路27とを有する。キャパシタC0の一端がPLL回路18のチャージポンプ出力端子CPに接続され、キャパシタC0の他端が並列回路27の一端に接続されている。並列回路27の他端は電圧供給ラインLUHFに接続されている。
【0021】
本実施の形態は、ローパスフィルタ19から電圧制御発振回路17AのLC共振回路に制御電圧を供給する電圧供給ラインLUHFに対してラインフィルタ20が設けられている。ラインフィルタ20は、電圧供給ラインLUHFに直列に挿入された抵抗R1(第2の抵抗),抵抗R2と、抵抗R1と抵抗R2との中間接続点に一方の端子が接続されたキャパシタC1(第3のキャパシタ)とを備える。なお、キャパシタC1の容量値はローパスフィルタ19のキャパシタC0に比べて十分に小さい値に設定される。ラインフィルタ20に設けられたキャパシタC1の両端子は、ラインフィルタ20の抵抗R1及びローパスフィルタ19の抵抗25を直列に介して直流的に接続されるので、キャパシタC1の両端子は同電圧に維持される。しかも、後述するように、キャパシタC1の一端、すなわちキャパシタC0に接続されている側の端子であるが、キャパシタC0を介してPLL回路18のチャージポンプ出力端子CPに接続されて、そこからPLL回路18内のスイッチ及び抵抗を介してグランドに接続されるように構成されている。
【0022】
図2はPLL回路18及びラインフィルタ20の具体的な構成図である。PLL回路18は、IC外部に設けた水晶振動子Xtalから原発振信号を取り込んで基準信号を発振する水晶発振器31と、基準信号を1/M分周する分周器32と、外部CPUから分周比(1/N)を設定可能で電圧制御発振回路17A/17B(UHF/VHF発振器)からフィードバックした局部発振信号を1/N分周するプログラマブル分周器33とを有する。また、PLL回路18は、分周器32から入力する基準信号(1/M分周)とプログラマブル分周器33から入力する局部発振信号(1/N分周)の位相誤差を検出して位相誤差量を示す信号を出力する位相比較器34と、位相誤差量に比例する正または負の電流パルス列に変換するチャージポンプ35と、チャージポンプ35に流れるチャージポンプ電流を受信周波数に応じて切り替えるCP電流切替回路36と、チャージポンプ35の出力信号を増幅するオペアンプ37と、オペアンプ37の出力端子がベースに接続されカソードがグランドに接続されたトランジスタ38と、を有する。チャージポンプ35の出力端子はチャージポンプ出力端子CPに接続され、トランジスタ38のコレクタは出力端子VTUに接続されている。チャージポンプ出力端子CPには、IC外部に設けられたローパスフィルタ19の入力端子が接続され、出力端子VTUにはIC外部に設けられたチューニングラインLTUが接続されている。
【0023】
CP電流切替回路36は、並列に設けられた複数のスイッチSW1〜SW_Nからなるスイッチ群41と、各スイッチSW1〜SW_Nの一端とグランドとの間に設けられた複数の抵抗r1〜r_Nからなる電流設定用抵抗群42とから構成される。スイッチSW1〜SW_Nのもう一方の端子はチャージポンプ出力端子CPに接続されている。チャージポンプ35は、低周波数域から高周波数域までの広帯域で良好な選局特性を実現するために、受信周波数に応じてチャージポンプ35に流れる電流(チャージポンプ電流)を切り替えている。CP電流切替回路36は、受信周波数に応じてチャージポンプ35に流れるチャージポンプ電流を切り替えるための制御回路である。CP電流切替回路36において、複数のスイッチ41の中の任意のスイッチが受信周波数に応じてON動作し、ONしたスイッチSWに接続された抵抗r(第3の抵抗)を介してチャージポンプ電流が流れるので、ON動作するスイッチSWを選択することでチャージポンプ電流を切り替えることができる。
【0024】
次に、以上のように構成された本実施の形態に係るテレビジョン信号受信回路の動作について説明する。
【0025】
先ず、テレビジョン信号受信回路の全体的な動作について説明する。テレビジョン信号受信回路10では、アンテナ11でテレビジョン放送波を受信して受信信号であるRF信号をアンテナ同調回路12、高周波増幅器13、RF同調回路14を経由してミキサ回路15へ入力する。アンテナ同調回路12及びRF同調回路14にはチューニングラインLTUを介して受信周波数に応じた制御電圧が入力されて周波数特性が設定されている。ミキサ回路15では、RF同調回路14で抽出した受信チャンネルのRF信号に対して局部発振信号が乗算されてIF信号に変換される。UHF帯受信時は、ミキサ回路15に局部発振信号を供給している電圧制御発振回路17Aは、ラインフィルタ20の設けられた電圧供給ラインLUHFを介して発振周波数を制御する制御電圧が印加されている。VHF帯受信時は、ミキサ回路15には電圧制御発振回路17Bから局部発振信号が供給される。ミキサ回路15でIF信号に変換された受信チャンネルのテレビジョン放送信号はIFフィルタ回路16を通って後段回路へ出力される。
【0026】
次に、PLL回路18及びラインフィルタ20に関する動作について説明する。
電圧制御発振回路17Aからミキサ回路15へ出力されている局部発振信号がプログラマブル分周器33へフィードバックされる。プログラマブル分周器33には受信周波数に応じた分周比(1/N)が随時設定されていて、局部発振信号を1/Nに分周した信号を位相比較器34へ入力する。分周器32には、ミキサ回路15において希望波の受信周波数を中間周波数に周波数変換できる局部発振信号が供給されるように、基準周波数に対する分周比が設定される。分周器32は、希望波の受信周波数に対応した分周比で基本周波数を分周して得られた周波数信号を位相比較器34へ入力する。位相比較器34にて、基本周波数を分周した周波数信号と現時点の局部発振信号(1/N分周)との位相差が検出されて位相誤差量を示す位相誤差信号がチャージポンプ35へ出力される。チャージポンプ35は、位相誤差信号を受けて位相誤差量に応じたパルス信号を出力する。
【0027】
このとき、チャージポンプ35は、回路動作(選局動作)を安定化させるために、受信周波数に連動した大きさのチャージポンプ電流が流される。すなわち、CP電流切替回路36が受信周波数に応じて予め決められたスイッチ(SW1〜SW_Nの組合せ)をONして、ON動作したスイッチ(SW1〜SW_Nの組合せ)に接続された電流設定用の抵抗(r1〜r_Nの組合せ)を介してグラウンドにチャージポンプ電流が流される。本例では同時にグラウンドに接続される抵抗rの組み合わせによってチャージポンプ電流が切り替えられる。
【0028】
チャージポンプ35から出力されたパルス信号は、チャージポンプ出力端子CPからローパスフィルタ19に入力し、積分されて直流の制御電圧に変換される。その結果、受信周波数に対応した電圧値の制御電圧がローパスフィルタ19からチューニングラインLTU及び電圧供給ラインLUHFに印加される。尚、ローパスフィルタ19に、並列にオペアンプ37及びトランジスタ38を構成することにより、アクティブループフィルタの機能を持たせている。このため、ローパスフィルタ19の各定数の設定により、カットオフ周波数だけでなく、位相同期回路(PLL)の制御を安定に行うための、時定数・位相余裕、伝達特性(時定数・位相余裕)の決定を行っている。上記のようにローパスフィルタ19にアクティブループフィルタの機能を持たせることによって、出力端子VTUに充分な大きさの制御電圧を供給することができる。
【0029】
例えば、UHF帯受信時に、電圧供給ラインLUHFに印加された制御電圧はラインフィルタ20を介して電圧制御発振回路17Aに入力される。電圧制御発振回路17Aは、電圧供給ラインLUHFに印加された制御電圧によってバラクタダイオード21の容量が変化して局部発振信号の周波数が切り替えられる。電圧制御発振回路17Aからミキサ回路15へ入力する局部発振信号はプログラマブル分周器33へフィードバックされる。
【0030】
本実施の形態によれば、ラインフィルタ20に設けられたキャパシタC1は、一端が電圧供給ラインLUHFに接続され、他端はローパスフィルタ19における並列回路27の入力側端子(キャパシタC0側)に接続されるので、IC内部に配置されているCP電流切替回路36の電流設定用の抵抗rを介して接地される。したがって、キャパシタC1の一端が高周波的に接地されるので、図3に示すようなT型のローパスフィルタを構成し、ラインフィルタ本来の機能を維持することができる。
【0031】
また、ラインフィルタ20に設けられたキャパシタC1の両端間は、抵抗25及び抵抗R1を介して直流的に直接接続されるので、キャパシタC1の両端には同電位が印加されることになり、電位差の大小に起因するノイズ発生を抑制する作用が働く。図4に示すように、チューニングラインとGND間に電位差がある場合、接地容量(キャパシタC)に圧電耐性の良い高価なコンデンサを使用する必要があるが、本実施の形態では圧電耐性の良い高価なコンデンサを使用する必要が無いので、コストダウンを図ることができる。
【0032】
また、本実施の形態によれば、CP電流切替回路36の電流切替機能によって、IC外部に配置されるローパスフィルタ19/ラインフィルタ20と、IC内部に構成されるオペアンプ37及びトランジスタ38含むアンプ部との接続をチャージポンプ電流の切り替えによって最適化し、回路動作の安定化を図ることが出来る。このとき、電流設定用の抵抗rを介したキャパシタC1の接地については、電流設定用に設定された抵抗rが、回路動作(選局動作)を安定化させるために、受信周波数に連動して変化する性質を持ったものであり、その抵抗rを用いたラインフィルタ20のフィルタ機能には、周波数特性を微調整できるという新たな機能を提供できる。
【0033】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、以上の説明ではテレビジョン信号受信回路について説明したが、PLL回路を備えた高周波機器において同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
10…テレビジョン信号受信回路
11…アンテナ
12…アンテナ同調回路
13…高周波増幅器
14…RF同調回路
15…ミキサ回路
16…IFフィルタ回路
17A,17B…電圧制御発振回路
18…PLL回路
19,106…ローパスフィルタ
20,107…ラインフィルタ
21…バラクタダイオード
22…キャパシタ
23…インダクタ
24…出力回路
25…抵抗(第1の抵抗)
26…キャパシタ(第2のキャパシタ)
27…並列回路
31,101…水晶発振器
32,102…分周器
33,103…プログラマブル分周器
34,104…位相比較器
35,105…チャージポンプ
36…CP電流切替回路(チャージポンプ電流切替回路)
37…オペアンプ
38…トランジスタ
41…スイッチ群
42…電流設定用抵抗群
C0…キャパシタ(第1のキャパシタ)
R1…抵抗(第2の抵抗)
C1…キャパシタ(第3のキャパシタ)
r…抵抗(第3の抵抗)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧制御発振回路の発振周波数を制御するための制御電圧を生成し、前記電圧制御発振回路に制御電圧を供給する位相同期回路であって、
位相誤差量に比例したパルス信号を出力するチャージポンプと、
前記チャージポンプから出力されるパルス信号を積分して制御電圧を生成するローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタから前記電圧制御発振回路に対して制御電圧を供給する制御電圧供給ラインに設けられたラインフィルタと、
を具備し、
前記ローパスフィルタは、一端が前記チャージポンプの出力端子に接続された第1のキャパシタと、一端が前記第1のキャパシタの他端に接続され、他端が前記制御電圧供給ラインに接続された、互いに並列接続された第1の抵抗と第2のキャパシタとを備えた並列接続回路と、を有し、
前記ラインフィルタは、一端が前記並列接続回路の他端に接続され、他端が前記制御電圧供給ラインに接続された第2の抵抗と、前記第2の抵抗の他端と前記並列接続回路の一端との間に接続された第3のキャパシタと、を有し、前記第3のキャパシタの一端が前記第1のキャパシタを介して前記チャージポンプの出力端子からグランドに高周波的に接続されることを特徴とする位相同期回路。
【請求項2】
前記チャージポンプの出力端子とグランドとの間に接続された第3の抵抗を有し、前記第3の抵抗の抵抗値を切り替えて前記チャージポンプに流れるチャージポンプ電流を制御するチャージポンプ電流切替回路を備え、
前記第3のキャパシタの一端が前記チャージポンプ電流切替回路の前記第3の抵抗を介してグランドに高周波的に接続されることを特徴とする請求項1記載の位相同期回路。
【請求項3】
前記第3の抵抗の抵抗値は、電圧制御発振回路の発振周波数に応じて選択されることを特徴とする請求項2記載の位相同期回路。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の位相同期回路を備えたことを特徴とするテレビジョン信号受信回路。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−58904(P2013−58904A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196000(P2011−196000)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】