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位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置
説明

位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置

【課題】 本発明の目的は、製膜時に溶媒を使用しない溶融流延法によって製造された位相差フィルム、特に該位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして活用した偏光板の提供、及び該偏光板を用いて表示品質が改善した液晶表示装置の提供にある。
【解決手段】 少なくとも1種の安定化剤、少なくとも1種の可塑剤及びセルロース樹脂を含むフィルム構成材料を120℃以上250℃以下の溶融温度(Tm)で加熱溶融し、溶融流延法によって製造した位相差フィルムにおいて、下記特性a、bを満たすことを特徴とする位相差フィルム。a.可塑剤の熱分解温度 Td(1.0)>Tm、b.フィルム面内リターデーション値Ro、フィルム厚み方向リターデーション値Rthが次の範囲:30(nm)<Ro≦95(nm)、70(nm)<Rth≦400(nm)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光子を保護する目的として、偏光板保護フィルムが使用されている。この偏光板保護フィルムは、偏光子の両面をサンドイッチする構成で偏光板としている。従来、位相差フィルムを貼付して視野角補償フィルムとした光学補償フィルムにより、液晶表示装置の表示品質を向上することが行われてきた。近年は偏光板保護フィルムに位相差フィルムの機能が融合されるようになり、該保護フィルムの役割が多機能化し、かつ部材が削減出来るようになってきた。
【0003】
一方、液晶表示装置の表示品質において視野角の補償が改良されつつあり、ディスコティック液晶のフィルムをツイストネマチック(TN)型液晶セルの上面と下面に配置して、液晶セルの視野角特性を改善出来ることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
液晶モードの改善による視野角改良の技術は、液晶性化合物を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる垂直配向(VA)型液晶セルを用いた液晶表示装置が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。VA型液晶は、従来のTN型液晶表示装置と比較して、視野角が広く、応答が高速であるとの特徴があるとされているが、それでもCRTと比較すれば改善が必要である。
【0005】
VA型液晶表示装置は、略垂直配向した液晶層と、この液晶層を介して互いに対向しクロスニコル状態に配置された一対の偏光板とによって黒表示を行う。従って、これらの液晶表示装置による黒表示を表面法線方向から観察すると良好な黒表示であるが、表示面法線から傾斜した方向(以下、「斜め視野角方向」ということにする。)から観察すると光漏れが発生し黒表示の品位が低下する。
【0006】
この斜め視野角方向における光漏れは、垂直配向状態の液晶層を斜め視野角方向から観察すると複屈折が生じること、及びクロスニコル状態に配置された一対の偏光板の透過軸を斜め視野角方向から観察すると、互いに直交した関係からずれることに起因する。
【0007】
これらの光学的観点から視野角の表示品質を補償する方法について、例えば特許文献3に、マルチドメイン分割したVA型であるMVA型の液晶表示装置において補償フィルムの設計値の開示されている。しかしながら、特許文献3において、具体的な樹脂を用いて作成された光学補償フィルムを備えた偏光板を用いた液晶表示装置の開示及び視野角補償において偏光板保護フィルム自身が光学補償フィルムの機能を兼ね備えた一体型の保護フィルムを有する偏光板を含む液晶表示装置については開示されていない。近年、動画像を主目的としたTV用液晶表示装置の需要が拡大に対しても、表示品質の改善と生産性に優れた偏光板を備えた液晶表示装置の開発が望まれていた。
【0008】
一方、偏光板の偏光子はヨウ素などを高分子フィルムに吸着・延伸したものである。即ち、二色性物質(ヨウ素)を含むHインキと呼ばれる溶液を、ポリビニルアルコールのフィルムに湿式吸着させた後、このフィルムを一軸延伸することにより、二色性物質を一方向に配向させたものである。
【0009】
偏光板の保護フィルムとしては、セルロース樹脂、特にセルロースアセテートの中でも特にセルローストリアセテートが用いられている。
【0010】
一般にセルロース樹脂で構成される偏光板保護フィルムは物理的に偏光板の保護のために用いられいる。しかしながら、フィルムの製造方法はハロゲン系の溶媒を用いた溶液流延法による製膜方法であるため、溶媒回収に要する費用は非常に大きい負担となっていた。そのため、ハロゲン系以外の溶媒が色々と試験されたが満足する溶解性の得られる代替物はなかった。代替溶媒以外に、冷却法等新規溶解方法も試されたが(例えば、特許文献4参照。)、工業的な実現が難しく更なる検討が必要とされている。
【特許文献1】特開平7−191217号公報
【特許文献2】特開平2−176625号公報
【特許文献3】特開2003−262869号公報
【特許文献4】特開平10−95861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、製膜時に溶媒を使用しない溶融流延法によって製造された位相差フィルム、特に該位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして活用した偏光板の提供、及び該偏光板を用いて表示品質が改善した液晶表示装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0013】
(請求項1)
少なくとも1種の安定化剤、少なくとも1種の可塑剤及びセルロース樹脂を含むフィルム構成材料を120℃以上250℃以下の溶融温度(Tm)で加熱溶融し、溶融流延法によって製造した位相差フィルムにおいて、下記特性a、bを満たすことを特徴とする位相差フィルム。
【0014】
a.可塑剤の熱分解温度 Td(1.0)>Tm
(式中、Tdは熱分解温度、Tmは溶融温度を表す。)
b.下記式(i)、(ii)で表されるフィルム面内リターデーション値Ro、フィルム厚み方向リターデーション値Rthが下記範囲
30(nm)<Ro≦95(nm)、
70(nm)<Rth≦400(nm)
式(i) Ro=(nx−ny)×d
式(ii) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さを表す。)
(請求項2)
前記位相差フィルムがフィルム面内において1方向に1.0〜2.0倍、及びそれと直交する方向に1.01〜2.5倍の範囲で少なくとも1過程で延伸処理した長尺ロールフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
【0015】
(請求項3)
前記位相差フィルムの遅相軸または進相軸がフィルム面内に存在し、該遅相軸または進相軸と製膜方向とのなす角度θ1が−1°以上+1°以下の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の位相差フィルム。
【0016】
(請求項4)
前記セルロース樹脂がセルロースの水酸基において水素原子の部分が置換もしくは無置換の脂肪族アシル基、置換もしくは無置換の芳香族アシル基の少なくともいずれか1種が置換された構造かつセルロースの単独または混合酸エステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
【0017】
(請求項5)
前記セルロース樹脂がセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及びセルロースフタレートから選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
【0018】
(請求項6)
前記位相差フィルムをクロスニコル状態の2枚の偏光板の間で、かつ光源側の偏光板の透過軸に対して該位相差フィルムの遅相軸を平行に配置して、他方の偏光板の外側表面法線方向から観察したとき、50μmを越える輝点数の和が250mm2当たり0個であり、かつ5〜50μmの輝点数の和が300個以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
【0019】
(請求項7)
請求項1〜6のいずれか1項に記載の位相差フィルムが偏光板保護フィルムであり、かつ液晶セル側に配置して用いることを特徴とする偏光板。
【0020】
(請求項8)
液晶表示セルの両面に請求項7に記載の偏光板が配置されたこと特徴とする液晶表示装置。
【0021】
(請求項9)
マルチドメイン型の垂直配向モードであることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、製膜時に溶媒を使用しない溶融流延法によって製造された位相差フィルム、特に該位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして活用した偏光板の提供、及び該偏光板を用いて表示品質が改善した液晶表示装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
従来、偏光板保護フィルムの材料としてセルロース樹脂を用いてフィルム製造する場合、該樹脂を溶媒に溶解した溶液を流延し、次いで溶媒を蒸発し乾燥することによって製膜する所謂溶液流延法が行われている。溶液流延法は、フィルム内部に残存する溶媒を除去しなければならない為、乾燥ライン、乾燥エネルギー、及び蒸発した溶媒の回収及び再生装置等、製造ラインへの設備投資及び製造コストが膨大になっており、これらを削減することが重要な課題となっている。
【0025】
そこで製膜時に蒸発及び乾燥させる溶媒がなければ、溶液流延法で抱えている課題を回避出来ると期待出来る。
【0026】
本発明は、セルロース樹脂を熱溶融することによって製膜する方法を究明するためになされたもので、最適な温度で溶融・流延することによってフィルム状に製膜し、延伸工程によって光学的な位相差フィルムの特性を付与することで、結果として特徴のある位相差フィルムが提供出来、前記位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして用いて偏光板化することで、表示品質が改善された液晶表示装置を得るに至った。
【0027】
以下、本発明を詳述する。
【0028】
本発明の偏光板保護フィルムは溶融流延によって形成されたセルロース樹脂フィルムであることを特徴とする。本発明において、前記溶液流延に用いる溶媒を用いずに、フィルム構成材料が加熱溶融され流延することを溶融流延として定義する。
【0029】
加熱溶融する成形法は、さらに詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類出来る。これらの中で、機械的強度及び表面精度などに優れる位相差フィルムを得るためには、溶融押し出し法が優れている。
【0030】
ここでフィルム構成材料が加熱されて、その流動性を発現させた後ドラム上またはエンドレスベルトに押し出し製膜することが溶融流延製膜法として本発明の溶融流延法に含まれる。
【0031】
溶融流延法による製膜は、溶液流延法と著しく異なり、流延する材料に揮発成分が存在すると、フィルムや位相差フィルムとしての機能を活用するためのフィルムの平面性及び透明性確保の点から好ましくない。これは製膜されたフィルムに揮発成分が混入すると透明性が低下すること、及びダイ−スリットから押し出しされて製膜されたフィルムを得る場合、フィルム表面に筋が入る要因となり平面性劣化を誘発することがある。従って、フィルム構成材料を製膜加工する場合、加熱溶融時に揮発成分の発生を回避する観点から、製膜するための溶融温度よりも低い領域に揮発する成分が存在することは好ましくない。
【0032】
前記揮発成分とは、フィルム構成材料中のいずれかが例えば吸湿した水分、または材料の購入前または合成時に混入している溶媒が挙げられ、加熱による蒸発、昇華或いは分解による揮発が挙げられる。ここでいう溶媒とは溶液流延として樹脂を溶液として調整するための溶媒と異なり、フィルム構成材料中に微量に含まれるものである。従ってフィルム構成材料を選択することは、揮発成分の発生を回避する上で重要である。
【0033】
本発明の溶融流延に用いるフィルム構成材料は、前記水分や前記溶媒等に代表される揮発成分を、製膜する前に、または加熱時に除去することが好ましい。この除去する方法は、所謂公知の乾燥方法が適用出来、加熱法、減圧法、加熱減圧法等の方法で行うことが出来、空気中または不活性ガスとして窒素を選択した雰囲気下で行ってもよい。これらの公知の乾燥方法を行うとき、フィルム構成材料が分解しない温度領域で行うことがフィルムの品質上好ましい。
【0034】
例えば、前記乾燥工程で除去した後の残存する水分または溶媒は、各々フィルム構成材料の全体に質量に対して20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下にすることである。
【0035】
このときの乾燥温度は、製膜前に乾燥することにより、揮発成分の発生を削減することが出来、樹脂単独、または樹脂とフィルム構成材料の内樹脂以外の少なくとも1種以上の混合物または相溶物に分割して乾燥することが出来る。好ましい乾燥温度は100℃以上乾燥する材料のTg以下であることが好ましい。材料同士の融着を回避する観点を含めると、乾燥温度は、より好ましくは100℃以上(Tg−5)℃以下、さらに好ましくは110℃以上(Tg−20)℃以下である。好ましい乾燥時間は0.5〜24時間、より好ましくは1〜18時間、さらに好ましくは1.5〜12時間である。これらの範囲よりも低いと揮発成分の除去率が低いか、または乾燥の時間にかかり過ぎることがあり、また乾燥する材料にTgが存在するときには、Tgよりも高い乾燥温度に加熱すると、材料が融着して取り扱いが困難になることがある。
【0036】
乾燥工程は2段階以上の分離してもよく、例えば予備乾燥工程による材料の保管と、製膜する直前〜1週間前の間に行う直前乾燥工程を介して製膜してもよい。
【0037】
本発明において、フィルム構成材料中に、安定剤の少なくとも一種を前記セルロース樹脂の加熱溶融前または加熱溶融時に添加することが好ましい。製膜するための溶融温度においても安定化剤自身が分解せずに機能することが求められる。
【0038】
上記安定化剤は次に挙げられる効果に用いるがこれらに限定されるものではない。
【0039】
ヒンダードフェノール酸化防止剤、酸捕捉剤、ヒンダードアミン光安定剤、過酸化物分解剤、ラジカル捕捉剤、金属不活性化剤、アミン類などが挙げられる。これらは、特開平3−199201号公報、特開平5−1907073号公報、特開平5−194789号公報、特開平5−271471号公報、特開平6−107854号公報などに記載がある。これらの中で、本発明の目的のためには、安定化剤としてヒンダードフェノール酸化防止剤、酸捕捉剤、ヒンダードアミン光安定剤の内少なくとも1種、フィルム構成材料中の含むことにある。
【0040】
フィルム構成材料の酸化防止、分解して発生した酸の捕捉、光または熱によるラジカル種基因の分解反応を抑制または禁止する等、解明出来ていない分解反応を含めて、着色や分子量低下に代表される変質や材料の分解による揮発成分の生成を抑制するために安定化剤を用いる。
【0041】
一方、フィルム構成材料を加熱溶融すると分解反応が著しくなり、この分解反応によって着色や分子量低下に由来した該構成材料の強度劣化を伴うことがある。またフィルム構成材料の分解反応によって、本発明の目的において、分解反応によって生じる好ましくない揮発成分の発生も併発することもある。
【0042】
フィルム構成材料は、材料の変質や吸湿性を回避する目的で、構成する材料が一種または複数種のペレットに分割して保存することが出来る。ペレット化は、加熱時の溶融物の混合性または相溶性が向上出来、または得られたフィルムの光学的な均一性が確保出来ることもある。
【0043】
フィルム構成材料を加熱溶融するとき、上述の安定化剤が存在することは、材料の劣化や分解に基づく強度の劣化を抑制すること、または材料固有の強度を維持出来る観点で優れている。
【0044】
本発明の位相差フィルムを製造出来る観点から上述の安定化剤が存在することが必要である。フィルム製造時、位相差フィルムとしてのリターデーションを付与する工程において、該フィルム構成材料の強度の劣化を抑制すること、または材料固有の強度を維持出来ることにある。このことはフィルム製膜時の延伸工程において、本発明の目的のリターデーションを付与する観点で好ましい。フィルム構成材料が著しい劣化によって脆くなると、該延伸工程において破断が生じやすくなり、目的の位相差フィルムとしてのリターデーション値が発現出来なくなることがあるためである。
【0045】
また、上述の安定化剤の存在は、加熱溶融時において可視光領域の着色物の生成を抑制すること、または揮発成分がフィルム中に混入することによって生じる透過率やヘイズ値といった位相差フィルムとして好ましくない性能を抑制または消滅出来る点で優れている。
【0046】
本発明において液晶表示画像の表示画像は、本発明の構成で位相差フィルムを用いるとき1%を超えると影響を与えるため、好ましくはヘイズ値は1%未満、より好ましくは0.5%未満である。
【0047】
上述のフィルム構成材料の保存或いは製膜工程において、空気中の酸素による劣化反応が併発することがある。この場合、上記安定化剤の安定化作用とともに、空気中の酸素濃度を低減させる効果を用いることも本発明を具現化する上で併用出来る。これは、公知の技術として不活性ガスとして窒素やアルゴンの使用、減圧〜真空による脱気操作、及び密閉環境下による操作が挙げられ、これら3者の内少なくとも1つの方法を上記安定剤の存在させる方法と併用することが出来る。フィルム構成材料が空気中の酸素と接触する確率を低減することにより、該材料の劣化が抑制出来、本発明の目的のためには好ましい。
【0048】
本発明の位相差フィルムは、偏光板保護フィルムとして活用するため、本発明の偏光板及び偏光板を構成する偏光子に対して経時保存性を向上させる観点からも、フィルム構成材料中に上述の安定化剤の存在が重要な役割を発現する。
【0049】
本発明の偏光板を用いた液晶表示装置において、本発明の位相差フィルムに上述の安定化剤が存在するため、上記の変質や劣化を抑制する観点から位相差フィルムの経時保存性が向上出来るとともに、液晶表示装置の表示品質向上においても位相差フィルムが付与された光学的な補償設計が長期にわたって機能発現出来る点で優れている。
【0050】
本発明において、フィルム構成材料の熱溶融時の安定化のために用いる化合物として有用なヒンダードフェノール酸化防止剤化合物は既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12〜14欄に記載されているものなどの、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物が含まれる。このような化合物には、以下の一般式式(1)のものが含まれる。
【0051】
【化1】

【0052】
上式中、R1、R2及びR3は、さらに置換されているかまたは置換されていないアルキル置換基を表す。ヒンダードフェノール化合物の具体例には、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリトリトール−テトラキス−[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトール−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。上記タイプのヒンダードフェノール系酸化防止剤化合物は、例えば、Ciba Specialty Chemicalsから、“Irganox1076”及び“Irganox1010”という商品名で市販されている。
【0053】
本発明において、フィルム構成材料の熱溶融時の安定化のために用いる化合物として有用な酸捕捉剤は、米国特許第4,137,201号明細書に記載されている酸捕捉剤としてのエポキシ化合物を含んでなるのが好ましい。このような酸捕捉剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシドなどの縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテルなど、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(即ち、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、2〜22この炭素原子の脂肪酸の4〜2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)など)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリドなど(例えば、エポキシ化大豆油などの組成物によって代表され、例示され得る、エポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらは時としてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している))が含まれる。特に好ましいのは、市販のエポキシ基含有エポキシド樹脂化合物 EPON 815c、及び一般式(2)の他のエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生成物である。
【0054】
【化2】

【0055】
上式中、nは0〜12に等しい。用いることが出来るさらなる可能な酸捕捉剤としては、特開平5−194788号公報の段落87〜105に記載されているものが含まれる。
【0056】
本発明において、フィルム構成材料の熱溶融時の安定化のために用いる化合物として、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)化合物が挙げられ、これは既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄及び米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、またはそれらの酸付加塩もしくはそれらと金属化合物との錯体が含まれる。このような化合物には、以下の一般式(3)のものが含まれる。
【0057】
【化3】

【0058】
上式中、R1及びR2は、Hまたは置換基である。ヒンダードアミン光安定剤化合物の具体例には、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−アリル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ベンジル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(4−t−ブチル−2−ブテニル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−エチル−4−サリチロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル−β(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1−ベンジル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルマレイネート(maleinate)、(ジ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−アジペート、(ジ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−セバケート、(ジ−1,2,3,6−テトラメチル−2,6−ジエチル−ピペリジン−4−イル)−セバケート、(ジ−1−アリル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−フタレート、1−アセチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセテート、トリメリト酸−トリ−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)エステル、1−アクリロイル−4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ジブチル−マロン酸−ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−ピペリジン−4−イル)−エステル、ジベンジル−マロン酸−ジ−(1,2,3,6−テトラメチル−2,6−ジエチル−ピペリジン−4−イル)−エステル、ジメチル−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オキシ)−シラン,トリス−(1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ホスフィット、トリス−(1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ホスフェート,N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレン−1,6−ジアミン、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレン−1,6−ジアセトアミド、1−アセチル−4−(N−シクロヘキシルアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン、4−ベンジルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N’−ジブチル−アジパミド、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N’−ジシクロヘキシル−(2−ヒドロキシプロピレン)、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−p−キシリレン−ジアミン、4−(ビス−2−ヒドロキシエチル)−アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−メタクリルアミド−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、α−シアノ−β−メチル−β−[N−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)]−アミノ−アクリル酸メチルエステル。好ましいヒンダードアミン光安定剤の例には、以下のHALS−1及びHALS−2が含まれる。
【0059】
【化4】

【0060】
上記フィルム構成材料中の安定化剤は、少なくとも1種以上選択出来、添加する量は、セルロース樹脂の質量に対して、安定化剤の添加量は0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、より好ましくは0.005質量%以上3質量%以下であり、さらに好ましくは0.01質量%以上0.8質量%以下である。
【0061】
安定化剤の添加量が上記添加量の範囲よりも少ないと、熱溶融時の材料の安定化作用が低いために安定化剤の効果が得られず、また上記添加量の範囲よりも多いと樹脂への相溶性の観点から位相差フィルムとしての透明性の低下を引き起こし、またフィルムが脆くなることもあるために好ましくない。
【0062】
本発明のセルロース樹脂は、セルロースエステルの構造を示し、脂肪酸アシル基、置換もしくは無置換の芳香族アシル基の中から少なくともいずれかの構造を含む、セルロースの前記単独または混合酸エステルである。
【0063】
以下、本発明の目的を満たす上で有用なセルロース樹脂について例示するがこれらに限定されるものではない。
【0064】
芳香族アシル基において、芳香族環がベンゼン環であるとき、ベンゼン環の置換基の例としてハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基及びアリールオキシスルホニル基、−S−R、−NH−CO−OR、−PH−R、−P(−R)2、−PH−O−R、−P(−R)(−O−R)、−P(−O−R)2、−PH(=O)−R−P(=O)(−R)2、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)(−O−R)、−P(=O)(−O−R)2、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)2−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)(−O−R)、−O−P(=O)(−O−R)2、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)(−O−R)、−NH−P(=O)(−O−R)2、−SiH2−R、−SiH(−R)2、−Si(−R)3、−O−SiH2−R、−O−SiH(−R)2及び−O−Si(−R)3が含まれる。上記Rは脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基である。置換基の数は、一個〜五個であることが好ましく、一個〜四個であることがより好ましく、一個〜三個であることがさらに好ましく、一個または二個であることが最も好ましい。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基及びウレイド基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基及びカルボンアミド基がより好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基及びアリールオキシ基がさらに好ましく、ハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基が最も好ましい。
【0065】
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が含まれる。上記アルキル基は、環状構造或いは分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル及び2−エチルヘキシルが含まれる。上記アルコキシ基は、環状構造或いは分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基は、さらに別のアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ、ブチルオキシ、ヘキシルオキシ及びオクチルオキシが含まれる。
【0066】
上記アリール基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリール基の例には、フェニル及びナフチルが含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシ基の例には、フェノキシ及びナフトキシが含まれる。上記アシル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アシル基の例には、ホルミル、アセチル及びベンゾイルが含まれる。上記カルボンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。カルボンアミド基の例には、アセトアミド及びベンズアミドが含まれる。上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド及びp−トルエンスルホンアミドが含まれる。上記ウレイド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。ウレイド基の例には、(無置換)ウレイドが含まれる。
【0067】
上記アラルキル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アラルキル基の例には、ベンジル、フェネチル及びナフチルメチルが含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルが含まれる。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニルが含まれる。上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8〜20であることが好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例には、ベンジルオキシカルボニルが含まれる。上記カルバモイル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。カルバモイル基の例には、(無置換)カルバモイル及びN−メチルカルバモイルが含まれる。上記スルファモイル基の炭素原子数は、20以下であることが好ましく、12以下であることがさらに好ましい。スルファモイル基の例には、(無置換)スルファモイル及びN−メチルスルファモイルが含まれる。上記アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシ及びベンゾイルオキシが含まれる。
【0068】
上記アルケニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルケニル基の例には、ビニル、アリル及びイソプロペニルが含まれる。上記アルキニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルキニル基の例には、チエニルが含まれる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。
【0069】
本発明のセルロース樹脂において、セルロースの水酸基部分の水素原子が脂肪族アシル基との脂肪酸エステルであるとき、脂肪族アシル基は炭素原子数が2〜20で具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等が挙げられる。
【0070】
本発明において前記脂肪族アシル基とはさらに置換基を有するものも包含する意味であり、置換基としては上述の芳香族アシル基において、芳香族環がベンゼン環であるとき、ベンゼン環の置換基として例示したものが挙げられる。
【0071】
また、上記セルロース樹脂のエステル化された置換基が芳香環であるとき、芳香族環に置換する置換基Xの数は0または1〜5個であり、好ましくは1〜3個で、特に好ましいのは1又は2個である。更に、芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、互いに同じでも異なっていてもよいが、また、互いに連結して縮合多環化合物(例えばナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
【0072】
上記セルロース樹脂において置換もしくは無置換の脂肪族アシル基、置換もしくは無置換の芳香族アシル基の少なくともいずれか1種選択された構造を有する構造を有することが本発明のセルロース樹脂に用いる構造として用いられ、これらは、セルロースの単独または混合酸エステルでもよく、本発明の位相差フィルムとして、光学的に制御する観点から2種以上のセルロース樹脂を混合して用いてもよい。
【0073】
本発明の位相差フィルムを構成する前記セルロース樹脂において、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及びセルロースフタレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0074】
これらの中で特に好ましいセルロース樹脂は、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートが挙げられる。
【0075】
混合脂肪酸エステルの置換度として、さらに好ましいセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートの低級脂肪酸エステルは炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロース樹脂である。
【0076】
式(I) 2.6≦X+Y≦3.0
式(II) 0≦X≦2.5
この内特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも1.9≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦0.9であることが好ましい。上記アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているのものである。これらは公知の方法で合成することが出来る。
【0077】
本発明で用いられるセルロース樹脂の原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロース樹脂は適宜混合して、或いは単独で使用することが出来る。
【0078】
本発明で用いられるセルロース樹脂はフィルムにしたときの輝点異物が少ないものであることが好ましい。輝点異物とは、2枚の偏光板を直交に配置し(クロスニコル)、この間にセルロースエステルフィルムを配置して、一方の光源側の偏光板の透過軸に前記偏光板保護フィルムの遅相軸が平行に位置するとき他方の偏光板の外側の面に垂直な位置で観察したときの光が漏れてくることを意味する。このとき評価に用いる偏光板は輝点異物がない保護フィルムで構成されたものであることが望ましく、偏光子の保護にガラス板を使用したものが好ましく用いられる。輝点異物はセルロース樹脂に含まれる水酸基のエステル化部分が未反応であることがその原因の1つと考えられ、輝点異物の少ないセルロース樹脂を用いることと、加熱溶融したセルロース樹脂を濾過することによって除去し、低減することが出来る。また、フィルム膜厚が薄くなるほど単位面積当たりの輝点異物数は少なくなり、フィルムに含まれるセルロース樹脂の含有量が少なくなるほど輝点異物は少なくなる傾向がある。
【0079】
上記は、輝点の個数としては、面積250mm2当たり、偏光クロスニコル状態で認識される大きさが5〜50μmの輝点が、フィルムを観察時のとして300個以下、50μm以上の輝点が0個であることが好ましい。更に好ましくは、5〜50μmの輝点が200個以下である。
【0080】
輝点が多いと、液晶ディスプレイの画像に重大な悪影響を及ぼす。本発明は位相差フィルム自身が偏光板保護フィルムとして機能するため、この輝点の存在は複屈折の乱れの要因であり、画像に及ぼす悪影響は大きなものとなる点で好ましくない。
【0081】
輝点異物を濾過によって除去する場合、本発明において、セルロース樹脂を溶融することが出来る。本工程で輝点異物の除去し、連続して溶融流延の製膜工程が実施される場合、加熱溶融時のセルロース樹脂は安定化剤が存在することで上記劣化が回避出来る点で優れている。
【0082】
熱溶融による輝点異物の濾過工程を含む溶融流延法は、後述の可塑剤とセルロース樹脂の組成物とした場合、可塑剤が添加しない系と比較して熱溶融温度を低下させる観点から輝点異物の除去効率の向上と熱分解の回避の観点から好ましい方法である。また、後述する他の添加剤として紫外線吸収剤、やマット材も適宜混合したものを同様に濾過することも出来る。
【0083】
濾材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂等の従来公知のものが好ましく用いられるが、特にセラミックス、金属等が好ましく用いられる。絶対濾過精度としては50μm以下のものが好ましく用いられ、30μm以下のものが更に好ましく、10μm以下のものが更に好ましく、5μm以下のものが更に好ましく用いられる。これらは適宜組み合わせて使用することも出来る。濾材はサーフェースタイプでもデプスタイプでも用いることが出来るが、デプスタイプの方が比較的目詰まりしにくく好ましく用いられる。
【0084】
別の実施態様では、加熱してフィルム構成材料を溶融する前に、該構成材料の少なくともセルロース樹脂においては、該材料の合成後期の過程や沈殿物を得る過程の少なくともいずれかにおいて、一度溶液状態として同様に濾過工程を経由して輝点異物を除去することも出来る。前記溶液状態を除去する過程を経由することは、溶融温度よりも低い領域で、樹脂以外のフィルム構成材料と混合、または相溶させることが出来るため、上記劣化を回避出来る点で優れている。このとき、好ましくはセルロース樹脂に安定化剤が存在することが好ましく、また後述する可塑剤、或いはその他の添加剤として紫外線吸収剤、マット剤等または後述する本分類の化合物の内少なくとも1つ以上と共に溶媒に溶解させた後、溶媒を除去し乾燥することによってセルロース樹脂を主体としたフィルム構成材料の固形分を得ることも出来る。
【0085】
また、上記溶液状態とするために該構成材料の溶媒への溶解の過程で−20℃以下に冷却した工程を介することも出来る。セルロース樹脂への安定剤、可塑剤、その他添加剤のいずれか一種以上の添加を行うときは、本発明に用いるセルロース樹脂の合成工程過程において、特に限定はないが該樹脂の合成工程後期までに少なくとも一度溶液状態で輝点異物や不溶物を濾別するために濾過を行い、その後他の添加剤の添加を行い、溶媒の除去または酸析によって固形分を分離して乾燥してもよく、ペレット化するときに粉体混合したフィルム構造材料を得てもよい。
【0086】
フィルム構成物のセルロース樹脂以外の構成材料を該樹脂と均一に混合することは、加熱時の溶融性において均一な溶融性を与えることに寄与出来る。
【0087】
セルロース樹脂に添加する安定化剤、可塑剤及び上記その他添加剤を添加するときは、それらを含めた総量が、セルロース樹脂の質量に対して1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
【0088】
本発明の位相差フィルムはセルロース樹脂以外の高分子材料やオリゴマーを適宜選択して混合してもよい。前述の高分子材料やオリゴマーはセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにしたときの透過率が80%以上、更に好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上であることが好ましい。セルロース樹脂以外の高分子材料やオリゴマーの少なくとも1種以上を混合する目的は、加熱溶融時の粘度制御やフィルム加工後のフィルム物性を向上するために行う意味を含んでいる。この場合は、上述のその他添加剤として含むことが出来る。
【0089】
以下に本発明の光学フィルムの製造方法を更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。この中で、縦方向とは、フィルムの製膜搬送する方向(長手方向)を、横方向(幅手方向)とはフィルムの製膜搬送方向と直角方向のことをいう。
【0090】
原料のセルロース樹脂またはフィルムを構成する材料の混合物をペレット状に成型し、熱風乾燥又は真空乾燥した後、溶融押し出し、Tダイよりシート状に押し出しして、静電印加法等により冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、フィルムを得る。冷却ドラムの温度は90〜150℃に維持されていることが好ましい。
【0091】
前述の冷却ドラムから剥離され、得られたフィルムを1つまたは複数のロール群及び/又は赤外線ヒーター等の加熱装置を介して長手方向に一段又は多段縦延伸することが好ましい。このとき、本発明のフィルムのガラス転移温度をTgとすると(Tg−30)℃以上(Tg+100)℃以下、より好ましくは(Tg−20)℃以上(Tg+80)℃以下の範囲内で加熱して搬送方向に延伸することが好ましい。
【0092】
次に、搬送方向に延伸されたフィルムを、(Tg−20)℃以上(Tg+20)℃以下の温度範囲内で横延伸し次いで熱固定することが好ましい。
【0093】
横延伸する場合、2つ以上に分割された延伸領域で温度差を1〜50℃の範囲で順次昇温しながら横延伸すると幅方向の厚さ及び光学的な分布が低減でき好ましい。
【0094】
また延伸工程には公知の熱固定条件、冷却、緩和処理を行ってもよく、得られた位相差フィルムの物性と液晶表示装置の視野角拡大のための位相フィルムの機能付与ために、本発明の偏光板保護フィルムの製造においては、好ましい特性を有するように適宜調整することにより決定することが出来る。
【0095】
本発明の位相差フィルムとして作成した場合、該フィルムの構成材料によってTgが異なるが、フィルムを構成する材料種及び構成する材料の比率が異なることは本発明において制御出来る領域である。本発明の用途においてはTgは120℃以上が好ましく、更に135℃以上が好ましい。これは液晶表示装置に本発明の位相差フィルムを用いた場合、該フィルムのTgが上記よりも低いと、画像の表示状態において、装置自身の温度上昇、例えば光源由来の温度上昇によって該フィルムの温度環境に変化を与える。このとき該フィルムの使用環境温度よりも該フィルムのTgが低いと、延伸によってフィルム内部に固定された分子の配向状態に由来して、位相差フィルムとしての光学的用途においては、リターデーション値及びフィルムとしての寸法形状に大きな変化を与えることとなる。逆に該フィルムのTgが高過ぎると、フィルム構成材料をフィルム化するとき温度が高くなるために加熱するエネルギー消費が高くなることが現状である。また、フィルム化するときの用いる材料自身の分解によって揮発成分の存在や着色を呈することがあり、従って、250℃以下が好ましい。このとき、フィルムのTgはJIS K7121に記載の方法にて求めることが出来る。
【0096】
本発明に係る位相差フィルムは、偏光板保護フィルムの機能を複合させるため、屈折率制御を延伸操作により行うことが好ましい。以下、その延伸方法について説明する。
【0097】
本発明の位相差フィルムの製造において、セルロース樹脂の1方向に1.0〜2.0倍及びフィルム面内にそれと直交する方向に1.01〜2.5倍延伸することで本発明のリターデーションであるRo及びRthの範囲に制御することが出来る。
【0098】
例えばフィルムの長手方向及びそれとフィルム面内で直交する方向、即ち幅手方向に対して、逐次または同時に延伸することが出来る。
【0099】
このとき少なくとも1方向に対しての延伸倍率が小さ過ぎると十分な位相差が得られず、大き過ぎると延伸が困難となり破断が発生してしまう場合がある。
【0100】
また、互いに直交する2軸方向に延伸することは、上記定義のフィルムの屈折率nx、ny、nzを本発明の範囲に入れるために有効な方法である。
【0101】
例えば溶融して流延した方向に延伸した場合、幅方向の収縮が大き過ぎると、nzの値が大きくなり過ぎてしまう。この場合、フィルムの幅収縮を抑制或いは、幅方向にも延伸することで改善出来る。幅方向に延伸する場合、幅手で屈折率に分布が生じる場合がある。これは、テンター法を用いた場合にみられることがあるが、幅方向に延伸したことで、フィルム中央部に収縮力が発生し、端部は固定されていることにより生じる現象で、所謂ボーイング現象と呼ばれるものと考えられる。この場合でも、該流延方向に延伸することで、ボーイング現象を抑制出来、幅手の位相差の分布を少なく改善出来るのである。
【0102】
更に、互いに直行する2軸方向に延伸することにより、得られるフィルムの膜厚変動が減少出来る。位相差フィルムの膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなり、液晶ディスプレイに用いたとき着色等のムラが問題となることがある。
【0103】
セルロースエステルフィルム支持体の膜厚変動は、±3%、更に±1%の範囲とすることが好ましい。以上の様な目的において、互いに直交する2軸方向に延伸する方法は有効であり、互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に1.0〜2.0倍、幅方向に1.01〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に1.01〜1.5倍、幅方向に1.05〜2.0倍に範囲で行うことが本発明のリターデーション値を得るためにより好ましい。
【0104】
長手方向に偏光子の吸収軸が存在する場合、幅方向に偏光子の透過軸が一致することになる。本発明の長尺状の偏光板を得るためには、本発明の位相差フィルムは、幅方向に遅相軸を得るように延伸することが好ましい。
【0105】
応力に対して、正の複屈折を得るセルロース樹脂を用いる場合、上述の構成から、幅方向に延伸することで、位相差フィルムの遅相軸が幅方向に付与することができる。この場合、本発明において、表示品質の向上のためには、位相裁フィルムの遅相軸が、幅方向にあるほうが好ましく、本発明のリターデーション値を得るためには、(幅方向の延伸倍率)>(流延方向の延伸倍率)を満たすことが必要である。
【0106】
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、或いは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。また、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことが出来、破断等の危険性が減少出来るので好ましい。
【0107】
製膜工程のこれらの幅保持或いは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
【0108】
本発明の位相差フィルムを偏光板保護フィルムとした場合、該保護フィルムの厚さは10〜500μmが好ましい。特に20μm以上、更には35μm以上が好ましい。又、150μm以下、更には120μm以下が好ましい。特に好ましくは25以上〜90μmが好ましい。上記領域よりも位相差フィルムが厚いと偏光板加工後の偏光板が厚くなり過ぎ、ノート型パソコンやモバイル型電子機器に用いる液晶表示においては、特に薄型軽量の目的には適さない。一方、上記領域よりも位相差フィルムが薄いと位相差フィルムとしてのリターデーションの発現が困難となり、加えてフィルムの透湿性が高くなり偏光子に対して湿度から保護する能力が低下してしまうために好ましくない。
【0109】
本発明の位相差フィルムの遅相軸または進相軸がフィルム面内の存在し、製膜方向とのなす角度をθ1とするとθ1は−1°以上+1°以下であることが好ましく、−0.5°以上+0.5°以下であることがより好ましい。
【0110】
このθ1は配向角として定義出来、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて行うことが出来る。
【0111】
θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制または防止することに寄与出来、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現を得ることに寄与出来る。
【0112】
本発明の位相差フィルムがマルチドメイン化されたVAモードに用いられるとき、位相差フィルムの配置は、位相差フィルムの進相軸がθ1として上記領域に配置されることが、本発明の目的である表示画質の向上のために寄与出来、偏光板及び液晶表示装置としてMVAモードとしたとき、例えば図1に示される構成をとることが出来る。
【0113】
また、セルロースエステルフィルムの面内方向のリターデーション(Ro)分布は、5%以下に調整することが好ましく、より好ましくは2%以下であり、特に好ましくは、1.5%以下である。また、フィルムの厚み方向のリターデーション(Rth)分布を10%以下に調整することが好ましいが、更に好ましくは、2%以下であり、特に好ましくは、1.5%以下である。
【0114】
上記、リターデーション分布の数値は、得られたフィルムの幅手方向に1cm間隔でリターデーションを測定し、得られたリターデーションの変動係数(CV)で表したものである。リターデーション、その分布の数値の測定方法については、例えば、面内及び厚み方向のリターデーションをそれぞれ(n−1)法による標準偏差を求め、以下で示される変動係数(CV)を求め、指標とする。測定において、nとしては、130〜140に設定して算出することも出来る。
【0115】
変動係数(CV)=標準偏差/リターデーション平均値
本発明の位相差フィルムにおいて、リターデーション値の分布変動が小さい方が好ましく、液晶表示装置に本発明の位相差フィルムを含む偏光板を用いるとき、該リターデーション分布変動が小さいことが色ムラ等を防止する観点で好ましい。
【0116】
本発明の位相差フィルムは、リターデーション値の波長分散性を有していてもよく、液晶表示素子に上記同様に用いる場合、表示品質の向上のために、該波長分散性に関して適宜選択することが出来る。ここで、本発明の位相差フィルムの590nmの測定値Roと同様に、450nmにおけるる面内リターデーションR450、650nmの面内リターデーションをR650と定義する。
【0117】
本発明において表示装置が後述のMVAに用いる場合、本発明の位相差フィルムの面内リターデーションにおける波長分散性は、好ましくは、0.7<(R450/R0)<1.0、1.0<(R650/R0)<1.5である。更に好ましくは0.7<(R450/R0)<0.95、1.01<(R650/R0)<1.2であり、特に好ましくは0.8<(R450/R0)<0.93、1.02<(R650/R0)<1.1の範囲内にあることが、表示の色再現性において有効な効果を発揮するために選択することが出来る。
【0118】
本発明の位相差フィルムはVAモードまたはTNモードの液晶セルの表示品質の向上に適したリターデーション値に調整している。その中で特にVAモードとして上記のマルチドメインに分割してMVAモードに好ましく用いられる。このとき面内リターデーションであるRoが30nmよりも大きく95nm以下であり、かつ厚さ方向のリターデーションであるRthは70nmよりも大きく400nm以下の値であることが求められる。
【0119】
上記面内リターデーションは2枚の偏光板がクロスニコルに配置され、偏光板の間に液晶セルが配置された、例えば図1の構成であるときに、表示面の法線方向から観察するときを基準にしてクロスニコル状態にあるとき、表示面の法線から斜めに観察したとき、偏光板のクロスニコル状態からのずれが生じ、これが要因となる光漏れを主に補償する。厚さ方向のリターデーションは、上記TNモードやVAモード、特にMVAモードにおいて液晶セルが黒表示状態であるときに、同様に斜めから見たときに認められる液晶セルの複屈折を主に補償するために機能出来る。この両者の挙動を融合するとRo及びRthは本発明の範囲で光学的に補償出来る。また、本発明において液晶セル自身のリターデーションに対してRo及びRthを調節することが出来る。
【0120】
液晶表示装置において液晶セルの上下に本発明の偏光板が二枚配置された構成である場合、図中の2a及び2bは、Rthの配分を選択することが出来、上記範囲を満たしかつRthの両者の合計値が140nmよりも大きくかつ500nm以下にすることが好ましい。このとき2a及び2bのRo、Rthが両者同じであることが、工業的な偏光板の生産性向上において好ましい。特に好ましくはRoが35nmよりも大きくかつ65nm以下であり、かつRthは90nmよりも大きく180nm以下で図1の構成でMVAモードの液晶セルに適用することである。
【0121】
液晶表示装置に本発明の位相差フィルムを含む偏光板が片側に配置される場合、もう一枚の偏光板は例えば本発明外の市販の偏光板保護フィルムとしてRo=0〜4nm及びRth=20〜50nmで厚さ35〜85μmのTACフィルムが図1の2bに位置しており、かつ2aは本発明の位相差フィルムを配置した構成において、Roが30nmよりも大きく95nm以下であり、かつ厚さ方向のリターデーションであるRthは140nmよりも大きく400nm以下とすることが、表示品質の向上に寄与出来、かつフィルムの生産面においても好ましい。
【0122】
〈液晶表示装置〉
本発明の位相差フィルムを含む偏光板で構成された液晶表示装置は、通常の偏光板と比較して高い表示品質を発現させるために用いる。特にマルチドメイン型の液晶表示装置、より好ましくは複屈折モードによってマルチドメイン型の液晶表示装置に使用することが本発明の効果をより発揮出来る。
【0123】
マルチドメイン化は、画像表示の対称性の向上にも適しており、種々の方式が報告されている「置田、山内:液晶,6(3),303(2002)」。該液晶表示セルは、「山田、山原:液晶,7(2),184(2003)」にも示されており、これらに限定される訳ではない。
【0124】
本発明の偏光板は垂直配向モードに代表されるMVA(Multi−domein Vertical Alignment)モード、特に4分割されたMVAモード、電極配置によってマルチドメイン化された公知のPVA(Patterned Vertical Alignment)モード、電極配置とカイラル能を融合したCPA(Continuous Pinwheel Alignment)モードに効果的に用いることが出来る。また、OCB(Optical Compensated Bend)モードへの適合においても光学的に二軸性を有するフィルムの提案が開示されており「T.Miyashita,T.Uchida:J.SID,3(1),29(1995)」、本発明の偏光板によって表示品質において、本発明の効果を発現することも出来る。本発明の偏光板を用いることによって本発明の効果が発現出来れば、液晶モード、偏光板の配置は限定されるものではない。
【0125】
表示セルの表示品質は、人の観察において左右対称であることが好ましい。従って、表示セルが液晶表示セルである場合、実質的に観察側の対称性を優先してドメインをマルチ化することが出来る。ドメインの分割は、公知の方法を採用することが出来、2分割法、より好ましくは4分割法によって、公知の液晶モードの性質を考慮して決定出来る。
【0126】
該液晶表示装置はカラー化及び動画表示用の装置しても応用されつつあり、本発明における表示品質は、コントラストの改善や偏光板の耐性が向上したことにより、疲れにくく忠実な動画像表示が可能となる。
【0127】
本発明の位相差フィルムを含む偏光板を少なくとも含む液晶表示装置は、本発明の位相差フィルムを含む偏光板が、液晶セルに対して、一枚配置するか、或いは液晶セルと両側に二枚配置する。このとき偏光板に含まれる本発明の位相差フィルム側が液晶表示装置の液晶セルに面するように用いることで表示品質の向上に寄与出来る。図1においては2a及び2bのフィルムが液晶表示装置の液晶セルに面することになる。
【0128】
このような構成において、本発明の位相差フィルムの存在は、液晶セルを光学的に補償することが出来る。本発明の偏光板を液晶表示装置に用いる場合は、液晶表示装置の偏光板の内の少なくとも一つの偏光板を、本発明の偏光板とすればよい。本発明の偏光板を用いることで、表示品質が向上し、視野角特性に優れた液晶表示装置が提供出来る。
【0129】
本発明の偏光板において、偏光子からみて位相差フィルムとは反対側の面には、セルロース誘導体の偏光板保護フィルムが用いられ、汎用のTACフィルムなどを用いることが出来る。液晶セルから遠い側に位置する偏光板保護フィルムは、表示装置の品質を向上する上で、他の機能性層を配置することも可能である。
【0130】
例えば、反射防止、防眩、耐キズ、ゴミ付着防止、輝度向上のためにディスプレイとしての公知の機能層を構成物として含むフィルムや、または本発明の偏光板表面に貼付してもよいがこれらに限定されるものではない。
【0131】
一般に位相差フィルムでは、上述のリターデーション値としてRoまたはRthの変動が少ないことが安定した光学特性を得るために求められている。特に複屈折モードの液晶表示装置は、これらの変動が画像のムラを引き起こす原因となることがある。
【0132】
溶液流延法による方法によって製造された長尺状の位相差フィルムは、該フィルム中のごく微量に残留した有機溶媒量の揮発に依存して変動することがある。この長尺状の位相差フィルムは長尺の巻物(ロール)の状態で製造、保管、輸送され、偏光板製造業者等によって偏光板に加工される。従ってロールの巻きの中に行くほど、残留溶媒が存在する場合において揮発性が鈍化することがある。このため巻き外から巻き内、及び幅手方向では両端から中心にかけて微量な残留溶媒の濃度差が発生し、これらが引き金となってリターデーション値への経時的な変化と変動を与えることがあった。
【0133】
一方、本発明の長尺状の位相差フィルムは、溶融流延法によってフィルムを製造するため、溶液流延法と異なり揮発させるための溶媒が存在しないため、変動の少ないロールフィルムが得られることに優れている技術である。本発明は、溶融流延によって製造されたフィルムを、連続的に延伸処理することによって長尺状の位相差フィルムを得る点で優れている。
【0134】
溶融流延法による本発明の長尺状位相差フィルムは、セルロース樹脂を主体として構成されるため、セルロース樹脂固有のケン化を活用してアルカリ処理工程を活用することが出来る。これは、偏光子を構成する樹脂がポリビニルアルコールであるとき、従来の偏光板保護フィルムと同様に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて本発明の位相差フィルムと貼合することが出来る。このために従来の偏光板加工方法が適用出来る点に優れており、特に長尺状であるロール偏光板が得られることに優れている。
【0135】
これらの優れた効果は、特に100m以上の長尺の巻物において効果が発揮出来、1500m、2500m、5000mとより長尺化することによって、偏光板製造において効果をより発揮出来る。
【0136】
本発明の位相差フィルムにおいて、ロール長さは生産性と運搬性を考慮すると、10m以上5000m以下、好ましくは50m以上4500m以下であり、このときのフィルムの幅は、偏光子の幅や製造ラインに適した幅を選択することが出来、0.5m以上4.0m以下、好ましくは0.6m以上3.0m以下の幅で製造してロール状に巻き取り偏光板加工に用いてもよく、また、目的の倍幅以上のフィルムを製造してロールを巻き取り後断裁して目的の幅のロールとしてもよく、これらを偏光板加工に用いても良い。
【0137】
〈可塑剤〉
本発明の位相差フィルムに可塑剤として知られる化合物を添加することは、機械的性質向上、柔軟性を付与、耐吸水性付与、水分透過率の低減等のフィルムの改質の観点において好ましい。
【0138】
また本発明で行う溶融流延法においては、用いるセルロース樹脂単独のガラス転移温度よりも、可塑剤の添加によりフィルム構成材料の溶融温度を低下させる目的、または同じ加熱温度においてセルロース樹脂単独よりも可塑剤を含むフィルム構成材料の溶融粘度が低下出来る目的を含んでいる。
【0139】
ここで、本発明において、フィルム構成材料の溶融温度とは、該材料が加熱され流動性が発現された状態において、材料が加熱された温度を意味する。
【0140】
セルロース樹脂単独ではガラス転移温度よりも低いとフィルム化するための流動性は発現されない。しかしながら該樹脂は、ガラス転移温度以上において、熱量の吸収により弾性率或いは粘度が低下し、流動性が発現される。フィルム構成材料の溶融温度させるためには、添加する可塑剤がセルロース樹脂のガラス転移温度よりも低い融点またはガラス転移温度をもつことが上記目的を満たすために好ましい。
【0141】
本発明に用いる可塑剤としては、例えばリン酸エステル誘導体、カルボン酸エステル誘導体が好ましく用いられる。また、特開2003−12859号に記載の重量平均分子量が500以上10000以下であるエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、アクリル系ポリマー、芳香環を側鎖に有するアクリル系ポリマーまたはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系ポリマーなども好ましく用いられる。
【0142】
リン酸エステル誘導体としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、フェニルジフェニルホスフェート等を挙げることが出来る。
【0143】
カルボン酸エステル誘導体としては、フタル酸エステル及びクエン酸エステル等が挙げられ、フタル酸エステル誘導体としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート及びジエチルヘキシルフタレート等、またクエン酸エステルとしてはクエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチルを挙げることが出来る。
【0144】
その他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバチン酸ジブチル、トリアセチン、トリメチロールプロパントリベンゾエート等も挙げられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートもこの目的で好ましく用いられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートのアルキルは炭素原子数1〜8のアルキル基である。アルキルフタリルアルキルグリコレートとしてはメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、プロピルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等を挙げることが出来、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートが好ましく、特にエチルフタリルエチルグリコレートが好ましく用いられる。また、これらアルキルフタリルアルキルグリコレート等を2種以上混合して使用してもよい。
【0145】
これらの化合物の添加量は可塑剤がフィルムを構成する樹脂に対して、0.5質量%以上〜20質量%未満の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1質量%以上〜11質量%未満の範囲にある。これらの化合物の添加量は、上記目的の観点から調整することが出来る。
【0146】
上記可塑剤の中でも熱溶融時に揮発成分を生成しないことが好ましい。具体的には特表平6−501040号に記載されている不揮発性燐酸エステルが挙げられ、例えばアリーレンビス(ジアリールホスフェート)エステルや上記例示化合物の中ではトリメチロールプロパントリベンゾエート等が好ましいがこれらに限定されるものではない。揮発成分が上記可塑剤の熱分解によるとき、上記可塑剤の熱分解温度Td(1.0)は、1.0質量%減少したときの温度と定義すると、フィルム構成材料の溶融温度(Tm)よりも高いことが求められる。可塑剤は、上記目的のために、セルロース樹脂に対する添加量が他のフィルム構成材料よりも多く、揮発成分の存在は得られるフィルムの品質に与える劣位となる影響が大きいためである。熱分解温度Td(1.0)は、市販の示差熱重量分析(TG−DTA)装置で測定することが出来る。
【0147】
紫外線吸収剤は、偏光子や表示装置の紫外線に対する劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。本発明に用いる紫外線吸収剤において、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることが出来るが、ベンゾフェノン系化合物や着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤を用いてもよい。
【0148】
有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。
【0149】
また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(いずれもチバ−スペシャルティ−ケミカルズ社製)を用いることも出来る。
【0150】
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
【0151】
本発明においては、紫外線吸収剤は0.1〜20質量%添加することが好ましく、更に0.5〜10質量%添加することが好ましく、更に1〜5質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
【0152】
本発明の位相差フィルムは、滑り性を付与するためにマット剤等の微粒子を添加することが出来る。微粒子としては、無機化合物の微粒子又は有機化合物の微粒子が挙げられる。
【0153】
〈マット剤〉
本発明の位相差フィルムは、搬送性や巻き取りをし易くするためにマット剤を添加することが出来る。
【0154】
マット剤はできるだけ微粒子のものが好ましく、微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることが出来る。中でも、二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを低く出来るので好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下出来るため好ましい。
【0155】
表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどが挙げられる。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。また、微粒子の二次粒子の平均粒径は0.05〜1.0μmの範囲である。好ましい微粒子の二次粒子の平均粒径は5〜50nmが好ましく、更に好ましくは、7〜14nmである。これらの微粒子はセルロースエステルフィルム中では、セルロースエステルフィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させる為に好ましく用いられる。微粒子のセルロースエステル中の含有量はセルロースエステルに対して0.005〜0.3質量%が好ましい。
【0156】
二酸化ケイ素の微粒子としては、日本アエロジル(株)製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600等を挙げることが出来、好ましくはアエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することが出来る。この場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えば、アエロジル200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲で使用出来る。
【0157】
これらのマット剤の添加方法は常法によって混練するなどによって行うことが出来る。また、別の形態として予め溶媒に分散した微粒子とセルロースエステル及び/又は可塑剤及び/又は紫外線吸収剤を混合分散させた後、溶媒を揮発または沈殿法によって分子して洗浄した固形物を得て、これをセルロースエステル溶融物の製造過程で用いることがマット微粒子がセルロース樹脂中で均一に分散出来る観点から好ましい。
【0158】
上記マット剤として用いられるフィルム中の微粒子の存在は、別の目的としてフィルムの強度向上のために用いることも出来る。
【0159】
また、本発明の位相差フィルムにおいて配向膜を形成して液晶層を設け、位相差フィルムと液晶層由来のリターデーションを複合化して光学補償能を付与して液晶表示品質の向上のために偏光板加工を行い用いてもよい。リターデーションを調節するために添加する化合物は、欧州特許911,656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物をリターデーション制御剤として使用することも出来る。また二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環が特に好ましい。
【0160】
本発明の位相差フィルムは、例えば米国特許第2,492,978号、同第2,739,070号、同第2,739,069号、同第2,492,977号、同第2,336,310号、同第2,367,603号、同第2,607,704号、英国特許第64,071号、同第735,892号、特公昭45−9074号、同49−4554号、同49−5614号、同60−27562号、同61−39890号、同62−4208号に記載の方法を参照して製膜できる。
【0161】
本発明の位相差フィルム製造に際し、延伸の前及び/又は後で帯電防止層、ハードコート層、易滑性層、接着層、防眩層、バリアー層等の機能性層を塗設してもよい。この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことが出来る。
【0162】
製膜工程において、カットされたフィルム両端のクリップ把持部分は、粉砕処理された後、或いは必要に応じて造粒処理を行った後、同じ品種のフィルム用原料として又は異なる品種のフィルム用原料として再利用してもよい。
【0163】
前述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加物濃度が異なるセルロース樹脂を含む組成物を共押し出しして、積層構造のセルロースエステルフィルムを作製することも出来る。例えば、スキン層/コア層/スキン層といった構成のセルロースエステルフィルムを作ることが出来る。例えば、マット剤は、スキン層に多く、又はスキン層のみに入れることが出来る。可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多く入れることが出来、コア層のみに入れてもよい。又、コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変更することも出来、例えば、スキン層に低揮発性の可塑剤及び/又は紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤、或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することも出来る。スキン層とコア層のガラス転移温度が異なっていても良く、スキン層のガラス転移温度よりコア層のガラス転移温度が低いことが好ましい。このとき、スキンとコアの両者のガラス転移温度を測定し、これらの体積分率より算出した平均値を上記Tgと定義して同様に扱うこともできる。又、溶融流延時のセルロースエステルを含む溶融物の粘度もスキン層とコア層で異なっていても良く、スキン層の粘度>コア層の粘度でも、コア層の粘度≧スキン層の粘度でもよい。
【0164】
本発明の位相差フィルムは、寸度安定性が、23℃55%RHに24時間放置したフィルムの寸法を基準としたとき、80℃90%RHにおける寸法の変動値が±2.0%未満であり、更に好ましくは1.0%未満であり、更に好ましくは0.5%未満である。
【0165】
本発明の位相差フィルムは偏光板の保護フィルムとして用いるために、位相差フィルム自身に上記の範囲以上の変動を有すると、偏光板としてのリターデーションの絶対値と配向角が当初の設定とずれるために、表示品質の向上能の減少或いは表示品質の劣化を引き起こすことがある。
【0166】
本発明の位相差フィルムは偏光板保護フィルム用として用いることが出来る。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することが出来る。得られた位相差フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全鹸化ポリビニルアルコール水溶液を用いて、偏光子の両面に偏光板保護フィルムを貼り合わせる方法があり、少なくとも片面に本発明の偏光板保護フィルムである位相差フィルムが偏光子に直接貼合できる観点で好ましい。
【0167】
また、上記アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、同6−118232号に記載されているような易接着加工を施して偏光板加工を行ってもよい。
【0168】
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することが出来る。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いることが出来る。
【0169】
溶融流延法による本発明の位相差フィルムにおいて、フィルム構成材料とは、以下の複数の材料によって構成されることを意味する。フィルムを構成するセルロース樹脂、可塑剤、安定剤が挙げられ、必要に応じて紫外線吸収剤、滑り剤としてマット剤やフィルムの強度や光学的の制御のために材料を添加してもよく、また上述のリターデーション制御剤を添加してもよい。フィルム構成材料に含まれるこれらの複数の材料は、本発明の範囲で選択することができる。
【0170】
フィルム構成材料は溶融及び製膜工程において、揮発成分が少ないまたは発生しないことが、求められる。これは加熱溶融時に発泡して、フィルム内部の欠陥やフィルム表面の平面性劣化を削減または回避することが出来る。
【0171】
フィルム構成材料中の安定化剤の存在は、該セルロース樹脂、可塑剤、その他必要に応じて添加する紫外線吸収剤やマット剤、リターデーション制御剤等、フィルムを構成する材料の少なくとも1種以上に対して変質や分解による揮発成分の発生を抑制または防止する観点で優れている。また安定化剤自身もフィルム構成材料の溶融温度領域において、揮発成分を発生しないことが求められる。
【0172】
フィルム構成材料が溶融されるときの揮発成分の含有量は1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、好ましくは0.2質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下のものであることが望ましい。本発明においては、示差熱重量測定装置(セイコー電子工業社製TG/DTA200)を用いて、30℃から350℃までの加熱減量を求め、その量を揮発成分の含有量とする。
【実施例】
【0173】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下の「部」は「質量部」を表す。
【0174】
先ず測定方法及び用いる素材について記載する。
【0175】
(リターデーション(Ro、Rth、配向角θ1))
自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下24時間放置したフィルムにおいて、同環境下、波長が590nmにおけるフィルムのリターデーション測定を行った。アッベ屈折率計で測定したフィルム構成材料の平均屈折率と膜厚dを入力し、面内リターデーション(Ro)及び厚み方向のリターデーション(Rth)の値を得た。また、上記装置によって3次元屈折率nx、ny、nzの値が算出される。
【0176】
式(i) Ro=(nx−ny)×d
式(ii) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さを表す。)
配向角θ1はフィルムの進相軸と製膜方向とのなす角度とした。
【0177】
(ヘイズ)
ヘイズ計(1001DP型、日本電色工業(株)製)を用いて測定した結果から、試料の厚さが80μmの場合のヘイズの値に換算して表示した。
【0178】
(試料のTgの測定)
試料を丸く切り込み、10mgをアルミ製サンプルパンに封入し、24hr以上、真空乾燥した。その後、示差走査熱量測定(DSC)((株)リガク製DSC8230型)で10℃/分で室温から300℃まで窒素ガス雰囲気中で昇温し、ガラス転移温度(Tg)を測定した。なお、TgはDSC曲線がベースラインから偏奇し始める温度を取ることにより求めた。
【0179】
(用いる素材)
〈樹脂種 100質量部〉
1 セルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:2.0,プロピオニル置換度:0.7)
2 CAP482−20(イーストマンケミカル社製)
3 CAB171−15(イーストマンケミカル社製)
〈可塑剤種 5質量部〉
1 トリメチロールプロパントリベンゾエート Td(1.0)=262℃
2 エチルフタリルエチルグリコレート Td(1.0)=172℃
3 トリフェニルフォスフェート Td(1.0)=205℃
但し、示差熱質量測定装置(セイコー電子工業社製TG/DTA200)で25℃〜300℃の範囲で10℃/minの昇温速度で測定し、加熱前の質量に対して1.0質量%減少した温度をTd(1.0)とした。
【0180】
〈安定剤〉
1 IRGANOX1010(チバスペシャルティケミカルズ社製)
2 エポキシ化タル油
3 HALS−1
実施例1
(セルロースエステルフィルム(位相差フィルム)の製造)
セルロース樹脂(上記樹脂種1)を用いて80μmのフィルムを以下の表1記載の加工条件で溶融製膜法により製造し、セルロースエステルフィルムNo.1を得た。
【0181】
(乾燥工程)
セルロース樹脂を120℃で1時間空気中で乾燥を行い、室温まで放冷した。
【0182】
(フィルム構成材料のペレット化)
乾燥済みのセルロース樹脂100質量部に対して、表1の構成でセルロース樹脂以外の添加物(可塑剤、安定剤)を添加し、ヘンシェルミキサーで混合後、押出機を用いて加熱してペレットを作製し、放冷した。
【0183】
(製膜)
上記ペレットを120℃で乾燥後、押出機を使用し、表1記載の溶融温度に加熱溶融し、T型ダイから押出成形し引き取りロールを介してロール温度が得られるフィルムのTg−5℃の温度で長手方向に延伸し、つづいて幅方向にテンターを用いて得られるフィルムのTg+5℃の温度で延伸後緩和し、得られるフィルムのTgよりも低い温度で巻き取ってロール状のフィルムを得た。
【0184】
【表1】

【0185】
(偏光板の作製)
上記及び表1に示した構成で作製したフィルム原反試料及び市販のKC8UY(コニカミノルタ社製80μmTACフィルム)を使って、下記に記載するアルカリケン化処理、偏光板の作製を行った。
【0186】
〈アルカリケン化処理〉
ケン化工程 2M−NaOH 50℃ 90秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中和工程 10質量%HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
ケン化処理後、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥を行った。
【0187】
〈偏光子の作製〉
厚さ120μmの長尺ロールポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で6倍に搬送方向に延伸して偏光子を作った。
【0188】
偏光子の液晶セル側に上記作製したフィルム原反試料、液晶セルと反対側の面にKC8UYを保護フィルムとして、アルカリ処理面を完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として両面から貼合し、保護フィルムが貼合された偏光板を作製した。
【0189】
作製した偏光板について以下の評価を実施した。
【0190】
《劣化試験》
〈輝点/高温−高湿耐性試験〉
表1の位相差フィルムを、湿熱環境を維持出来る恒温室で以下の環境下で処理したのち同様に偏光板に加工した。処理した環境は、60℃、90%RH、500時間である。
【0191】
処理後の偏光板を、室温下23℃55%RHで24時間放置後、クロスニコル状態の2枚の偏光板の間に配置された前記位相差フィルムにおいて、光源側の偏光板の透過軸に対して、前記位相差フィルムの遅相軸を平行に配置して、他方の偏光板において外側の面に対して垂直な位置で顕微鏡観察したときの輝点の直径と数をカウントした。
【0192】
表1の位相差フィルムはすべてにおいて50μmを越える輝点数の和が250mm2当たり0個であった。5〜50μmの輝点数は、
◎:100個未満で目視では認められない
○:100個以上〜300個未満で目視でごく僅かに認識されるが使用上問題ない。
【0193】
×:300個以上で液晶ディスプレイ用偏光板としては使用出来ない
《表示品質の評価:VA型液晶表示装置の視野角測定》
富士通製15型液晶ディスプレイVL−1530Sを水平面に平行になるように設置した。配置は図1に示した。該ディスプレイに予め貼合されていた偏光板を剥がし、上記作製した偏光板の透過軸が、予め貼合されていた偏光板の透過軸と同じ方向になるよう貼合した。偏光板は2枚同一品を用意し、図1で示すように液晶セルに対して観察面及びバックライトに各々1枚ずつ使用した。各々の偏光板に貼合された表1記載の位相差フィルム側を、液晶セル側に配置されるように貼合した。
【0194】
視野角評価は、上記で得られた本発明の視野角補償楕円偏光板を貼合した液晶パネルを、ELDIM社製EZ−contrastを用いて視野角を測定した。
【0195】
測定方法は、液晶パネルの白表示と黒表示時のコントラスト比が10以上を示すパネル面に対する法線方向からの傾き角の範囲を評価した。法線上を0°とすると傾き角が大きくなるほど視野角領域が広いこととなる。
【0196】
評価パネルは水平方向を0°とした時、斜め45°方位におけるコントラストの値で評価した。
【0197】
◎:パネル面に対する法線方向からの傾き角が80°以上である
○:パネル面に対する法線方向からの傾き角が70°以上80°未満である
×:パネル面に対する法線方向からの傾き角が70°に満たない
《動画観察評価》
上記と同様に富士通製15型液晶ディスプレイVL−1530Sに配置し貼合した。パーソナルコンピューターを介してTV番組の動画像を録画した動画像を同ディスプレイに表示し、比較実験を行った。ディスプレイ正面から3m離れた位置で動画像を2分間観察し、官能評価を行った。
【0198】
A:観察中、観察直後においても疲れない、または違和感がない
B:観察後やや疲れたが違和感はない
C:画像の違和感が著しく、観察中に眼が疲れた
以上の評価結果を表2に示した。
【0199】
【表2】

【0200】
上表より、セルロース樹脂である樹脂種1を用いたとき、本発明のリターデーション値を得るためには、(横方向の延伸倍率)>(縦方向の延伸倍率)の関係であると、リターデーションの値が本発明の領域に発現でき、偏光板を作製する構成においても遅相軸の方向と幅方向にあるPVA偏光子の方向と一致するために好ましい。
【0201】
また、可塑剤の分解温度Td(1.0)が、溶融温度よりも高いとヘイズの低いフィルムが得られる点で好ましい。一方、Td(1.0)<Tmの関係であるセルロースエステルフィルムNo.3、7、8においては、可塑剤の分解が製膜時に発生し、面が荒れた状態で安定なリターデーション値が測定されず、またヘイズが高く、それらを用いた偏光板を図1の構成で組み込んだ液晶表示装置は、表示品質の性能として劣っていた。
【0202】
セルロースエステルフィルムNo.13は、安定化剤を含まないために、得られたフィルムは高いヘイズであり、光学フィルムとしての使用は劣っていた。また、見かけ上褐色を呈しており、イエローインデックス値は3.5であった。このフィルムを用いた偏光板を上記と同様に含む液晶表示装置は、表示品質の性能として劣っていた。
【0203】
以上から、本発明のセルロースエステルフィルムは輝点欠陥に優れ、それを用いた偏光板、液晶表示装置はコントラスト、動画観察時の違和感に問題もなく優れた表示品質を有する液晶表示装置であることが分かる。
【0204】
実施例2
セルロース樹脂を上記樹脂1に対して樹脂2に変更して、下記リターデーション向上剤を樹脂に対して2質量%、添加剤と同様に添加した以外実施例1と同様にして行ったところ、実施例1を再現した。
【0205】
【化5】

【0206】
実施例3
セルロース樹脂を上記樹脂1に対して樹脂3に変更して、実施例1と同様に行ったところ、実施例1を再現した。
【0207】
実施例4
《TN型液晶表示装置の視野角測定》
上記で得られた本発明の偏光板を、NEC製15型液晶ディスプレイMulti Sync LCD1525Jの予め貼合されていた光学フィルム及び偏光板を剥がし、本発明の偏光板の吸収軸を予め貼合されていた偏光板の吸収軸と同じ方向になるよう貼合した。
【0208】
視野角評価は、上記で得られた本発明の視野角補償楕円偏光板を貼合した液晶パネルを、ELDIM社製EZ−contrastを用いて視野角を測定した。
【0209】
視野角の評価は、実施例1と同様に行った。視野角の尺度として、ディスプレイの水平方向を0°とした時、0°方位のコントラストを同様に評価したところ、本発明の偏光板を貼合した液晶表示装置は、実施例1を再現し表示品質を向上出来ることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】本発明の表示装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0211】
1a 保護フィルム
1b 保護フィルム
2a 位相差フィルム
2b 位相差フィルム
5a、5b 偏光子
3a、3b フィルムの遅相軸方向
4a、4b 偏光子の透過軸方向
6a、6b 偏光板
7 液晶セル
9 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の安定化剤、少なくとも1種の可塑剤及びセルロース樹脂を含むフィルム構成材料を120℃以上250℃以下の溶融温度(Tm)で加熱溶融し、溶融流延法によって製造した位相差フィルムにおいて、下記特性a、bを満たすことを特徴とする位相差フィルム。
a.可塑剤の熱分解温度 Td(1.0)>Tm
(式中、Tdは熱分解温度、Tmは溶融温度を表す。)
b.下記式(i)、(ii)で表されるフィルム面内リターデーション値Ro、フィルム厚み方向リターデーション値Rthが下記範囲
30(nm)<Ro≦95(nm)、
70(nm)<Rth≦400(nm)
式(i) Ro=(nx−ny)×d
式(ii) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さを表す。)
【請求項2】
前記位相差フィルムがフィルム面内において1方向に1.0〜2.0倍、及びそれと直交する方向に1.01〜2.5倍の範囲で少なくとも1過程で延伸処理した長尺ロールフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
【請求項3】
前記位相差フィルムの遅相軸または進相軸がフィルム面内に存在し、該遅相軸または進相軸と製膜方向とのなす角度θ1が−1°以上+1°以下の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の位相差フィルム。
【請求項4】
前記セルロース樹脂がセルロースの水酸基において水素原子の部分が置換もしくは無置換の脂肪族アシル基、置換もしくは無置換の芳香族アシル基の少なくともいずれか1種が置換された構造かつセルロースの単独または混合酸エステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
【請求項5】
前記セルロース樹脂がセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及びセルロースフタレートから選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
【請求項6】
前記位相差フィルムをクロスニコル状態の2枚の偏光板の間で、かつ光源側の偏光板の透過軸に対して該位相差フィルムの遅相軸を平行に配置して、他方の偏光板の外側表面法線方向から観察したとき、50μmを越える輝点数の和が250mm2当たり0個であり、かつ5〜50μmの輝点数の和が300個以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の位相差フィルムが偏光板保護フィルムであり、かつ液晶セル側に配置して用いることを特徴とする偏光板。
【請求項8】
液晶表示セルの両面に請求項7に記載の偏光板が配置されたこと特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
マルチドメイン型の垂直配向モードであることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−58825(P2006−58825A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243556(P2004−243556)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】