説明

位相比較器

【課題】位相比較器において、2つのフリップ・フロップの出力信号がリセットされるまでの遅延時間によって両出力信号に現れる余分な成分を取り除き、それによって生じる種々の問題を解決すること。
【解決手段】本発明の位相比較器は、比較対象の2つの入力信号が入力されて第1と第2の出力信号を出力する第1と第2のフリップ・フロップと、第1と第2の出力信号を論理積処理してリセット信号を出力する論理積処理回路と、論理積処理回路と同じ遅延時間を持ち第1遅延信号と第2遅延信号を出力する第1と第2の遅延手段と、第1遅延信号と第2遅延信号がそれぞれ入力されるとともにリセット信号によってリセットされて第3と第4の出力信号を出力する第3と第4のフリップ・フロップとを備え、位相が進んだ方の入力信号を遅延させた第1もしくは第2遅延信号が入力される第3もしくは第4のフリップ・フロップの出力信号に位相比較出力信号が出力さるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2系列のパルス信号間の位相差を検出する位相比較器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2系列のパルス信号間の位相差を検出する位相比較器の回路としては、図4に示したような一般的な回路が知られている。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−74734号公報
【発明の概要】
【0004】
図4は従来例の位相比較器10のブロック図を示したものであり、この位相比較器10は、一対のDフリップ・フロップf1,f2と、フリップ・フロップf1,f2の出力信号をリセットするために使用される論理積処理回路a1とを含んでいる。
前記位相比較器10の動作を、ハイアクティブ構成の場合を例にとって説明する。
各フリップ・フロップf1,f2は、比較対象の入力信号in1,in2を受け取る。
位相が進んだ方の入力信号、たとえば入力信号in1の立ち上がりエッジが、図5に示したように、対応するフリップ・フロップf1の出力信号f1outを”ハイ”状態にセットする。
次に、位相が遅れた方の入力信号、たとえば入力信号in2の立ち上りエッジが、第2のフリップ・フロップf2の出力信号f2outを”ハイ”状態にセットする。
これによって、2つのフリップ・フロップf1,f2の出力信号f1out,f2outが、共に”ハイ”状態に遷移するので、論理積処理回路a1の論理積出力信号a1outが”ハイ”状態になって、フリップ・フロップf1,f2のリセット端子(R)に入力されて、フリップ・フロップf1,f2の出力信号をリセットする。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図5に示したように、2つのフリップ・フロップf1,f2の出力信号f1out,f2outが同値になって論理積出力信号a1outが出力され、この論理積出力信号a1outによって出力信号f1out,f2outが実際にリセットされるまで、若干の遅れ(遅延時間t1)が生じる。
そのため、2つのフリップ・フロップf1,f2の出力信号f1out,f2outのうち、位相が遅れている方の入力信号in2が入力されるフリップ・フロップf2の出力信号f2outには比較周期ごとに遅延時間t1に相当するパルス幅の残留パルスp1が出力される。
これにより、前述したような従来の位相比較器を、図6に示したようなPLL回路(VCO、プログラマブル分周器、位相比較器、チャージポンプ、ループフィルタを含んだ構成)において使用した場合に、次のような問題が発生する。
(1)残留パルスp1によりVCOの制御端子に変調が掛けられ、その結果リファレンス・スプリアス発生の原因となる問題。
(2)残留パルスp1が出力されている時間は、チャージポンプのVDD側のFETと、GND側のFETが同時にオン状態になるため、VDDからGNDまでほぼ短絡に近い状態となり、その間、無駄な電流(貫通電流)が流れて電力を浪費するという問題。
【0006】
そこで、本発明は、2つのフリップ・フロップの出力信号がリセットされるまでの遅延時間によって両出力信号に現れる余分な成分を取り除き、それによって生じる種々の問題を解決することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1にかかる位相比較器は、
比較対象の2つの入力信号が、それぞれ入力されて第1と第2の出力信号を出力する第1と第2のフリップ・フロップと、
前記第1と第2の出力信号を論理積処理して前記2つのフリップ・フロップをリセットするリセット信号を出力する論理積処理回路と、
前記論理積処理回路と同じ遅延時間を持ち、前記2つの入力信号をぞれぞれ前記遅延時間だけ遅延させた第1遅延信号と第2遅延信号を出力する第1と第2の遅延手段と、
前記第1遅延信号と第2遅延信号がそれぞれ入力されるとともに、前記リセット信号によってリセットされ、第3と第4の出力信号を出力する第3と第4のフリップ・フロップと、を備え、
前記第3もしくは第4の出力信号のうち、位相が進んだ方の入力信号を遅延させた第1もしくは第2遅延信号が入力される第3もしくは第4のフリップ・フロップの出力信号に、位相比較出力信号が出力さるように構成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項2の位相比較器では、
前記第1もしくは第2の遅延手段は、
当該遅延手段に入力される前記入力信号と常時所定の論理値の信号とを論理積処理して、前記入力信号を前記遅延時間だけ遅延させた第1遅延信号もしくは第2遅延信号として出力する論理積処理回路を含んでいる。
【0009】
請求項3の位相比較器では、
前記遅延手段は、
インバータ回路を含み、当該遅延手段に入力される前記入力信号を前記遅延時間だけ遅延させて第1遅延信号もしくは第2遅延信号として出力するように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の位相比較器は、
比較対象の2つの入力信号が、それぞれ入力されて第1と第2の出力信号を出力する第1と第2のフリップ・フロップと、
前記第1と第2の出力信号を論理積処理して前記2つのフリップ・フロップをリセットするリセット信号を出力する論理積処理回路と、
前記論理積処理回路と同じ遅延時間を持ち、前記2つの入力信号をぞれぞれ前記遅延時間だけ遅延させた第1遅延信号と第2遅延信号を出力する第1と第2の遅延手段と、
前記第1遅延信号と第2遅延信号がそれぞれ入力されるとともに、前記リセット信号によってリセットされ、第3と第4の出力信号を出力する第3と第4のフリップ・フロップと、を備え、
前記第3もしくは第4の出力信号のうち、位相が進んだ方の入力信号を遅延させた第1もしくは第2遅延信号が入力される第3もしくは第4のフリップ・フロップの出力信号に、位相比較出力信号として出力さるように構成されているので、
第3と第4の出力信号には余分な成分が含まれず、リファレンス・スプリアス発生が抑制され、位相比較器から出力される位相差信号の精度が向上するとともに、PLL回路に用いた場合には出力周波数の収束が速やかになり、チャージポンプにおける無駄な電流の消費を抑制できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にかかる位相比較器の実施例1のブロック図である。
【図2】本発明にかかる位相比較器の実施例2のブロック図である。
【図3】前記位相比較器における信号のタイムチャートである。
【図4】従来の位相比較器の構成図である。
【図5】図4に示した従来例の位相比較器における信号のタイムチャートである。
【図6】PLL回路の一例の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる位相比較器を実施するための形態を説明する。
本発明にかかる位相比較器は、
比較対象の2つの入力信号が、それぞれ入力されて第1と第2の出力信号を出力する第1と第2のフリップ・フロップと、
前記第1と第2の出力信号を論理積処理して前記2つのフリップ・フロップをリセットするリセット信号を出力する論理積処理回路と、
前記論理積処理回路と同じ遅延時間を持ち、前記2つの入力信号をぞれぞれ前記遅延時間だけ遅延させた第1遅延信号と第2遅延信号を出力する第1と第2の遅延手段と、
前記第1遅延信号と第2遅延信号がそれぞれ入力されるとともに、前記リセット信号によってリセットされ、第3と第4の出力信号を位相比較出力信号として出力する第3と第4のフリップ・フロップと、
を備えている。
上記構成によって、前記比較対象の2つの入力信号に位相差があるとき、前記第3と第4の出力信号のうち、位相の進んだ方の入力信号が入力される側のフリップ・フロップから出力される出力信号には、前記位相差に基づいたパルス幅の出力信号が出力されるので、この出力信号は位相比較出力信号として出力されている。
位相の遅れた方の入力信号が入力される側のフリップ・フロップから出力される出力信号には、従来の位相比較器の場合のような残留パルスは出力されない。
【0013】
前記第1もしくは第2の遅延手段は、
当該遅延手段に入力される前記入力信号と常時所定の論理値の信号とを論理積処理して、前記入力信号を前記遅延時間だけ遅延させた第1遅延信号もしくは第2遅延信号として出力する論理積処理回路を含んでいる構成とすることができる。
または、前記第1もしくは第2の遅延手段は、
インバータ回路を含み、当該遅延手段に入力される前記入力信号を前記遅延時間だけ遅延させて第1遅延信号もしくは第2遅延信号として出力するように構成することができる。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1の位相比較器1を示した図1において、
1は本発明に係る位相比較器であり、第1から第4までの4つフリップ・フロップf1,f2,f3,f4と、第1から第3までの3つの論理積処理(AND処理)回路a1,a2,a3から構成され、第1と第2のフリップ・フロップf1,f2に入力される2つの入力信号in1,in2の位相差に基づいたパルス幅の出力信号f3out,f4outを位相比較出力信号として出力するように構成されている。
前記第2の論理積処理回路a2は、特許請求の範囲に記載された第1の遅延手段に対応し、前記第3の論理積処理回路a3は、特許請求の範囲に記載された第2の遅延手段に対応している。
【0015】
前記第1のフリップ・フロップf1には、比較対象の一方の入力信号in1がクロック入力端子(CK)に入力され、入力端子(D)には常時“ハイレベル”の電源電圧VDDが入力され、出力端子(Q)からは第1の出力信号f1outが出力される。
前記第2のフリップ・フロップf2には、比較対象の他方の入力信号in2がクロック入力端子(CK)に入力され、入力端子(D)には常時“ハイレベル”の電源電圧VDDが入力され、出力端子(Q)からは第2の出力信号f2outが出力される。
第1の論理積処理回路a1は、前記2つのフリップ・フロップf1,f2から出力されるそれぞれの出力信号f1out,f2outを論理積処理した論理積出力信号a1outを、前記2つのフリップ・フロップf1、f2のリセット端子(R)に入力するように構成されたリセット用の論理積処理回路である。
なお、図3に示したように、第1と第2のフリップ・フロップf1,f2の出力信号f1out,f2outが同値になってから、論理積出力信号a1outが出力され、この論理積出力信号a1outによって出力信号f1out,f2outが実際にリセットされるまで、若干の遅れ(遅延時間t1)が生じる。
【0016】
第2の論理積処理回路a2は、前記第1の入力信号in1と、常時“ハイレベル”の電源電圧VDDとが入力されて、論理積処理した第1遅延信号in1_delayを出力する。
この論理積処理回路a2は、前記論理積処理回路a1における遅延時間t1と同じ遅延時間t2を持たせてある。
【0017】
第3のフリップ・フロップf3には、前記第1遅延信号in1_delayがクロック入力端子(CK)に入力され、入力端子(D)には常時“ハイレベル”の電源電圧VDDが入力され、出力端子(Q)からは第3の出力信号f3outが出力される。
なお、第3のフリップ・フロップf3のリセット端子(R)にも、前記論理積出力信号a1outが入力されている。
【0018】
第3の論理積処理回路a3は、前記第2の入力信号in2と、常時“ハイレベル”の電源電圧VDDとが入力されて、論理積処理した第2遅延信号in2_delayを出力する。
この論理積処理回路a3は、前記論理積処理回路a1における遅延時間t1と同じ遅延時間t3を持たせてある。
【0019】
第4のフリップ・フロップf4には、前記第2遅延信号in2_delayがクロック入力端子(CK)に入力され、入力端子(D)には常時“ハイレベル”の電源電圧VDDが入力され、出力端子(Q)からは第4の出力信号f4outが出力される。
なお、第4のフリップ・フロップf4のリセット端子(R)にも、前記論理積出力信号a1outが入力されている。
【0020】
以上のように構成された位相比較器1における各部の信号を、図3を参照して説明する。
図3の(A)は、始めのうちは位相が進み、後では位相が遅れる方の入力信号in1のタイムチャート、図3の(B)は、始めのうちは位相が遅れ、後では位相が進む方の入力信号in2のタイムチャートである。
図3の(C)は前記入力信号in1を第2の論理積処理回路a2によって遅延時間t2だけ遅延させた第1遅延信号in1_delayのタイムチャート、図3の(D)は前記入力信号in2を第3の論理積処理回路a3によって遅延時間t3だけ遅延させた第2遅延信号in2_delayのタイムチャートである。
なお、前記3つの遅延時間t1,t2,t3は同じ時間とされている。
【0021】
以下においては、まず、入力信号in1の方が位相が進んでいる状態での動作を説明する。
図3の(E)は、2つのフリップ・フロップf1,f2の出力信号を、第1の論理積処理回路a1によって論理積処理した論理積出力信号a1outのタイムチャートである。
この論理積出力信号a1outの立ち上がりは、本来は、第1の出力信号f1outに続いて第2の出力信号f2outが立ち上がったタイミングに一致するはずであるが、内部処理の遅延の影響により、前記遅延時間t1だけ遅れる。
論理積出力信号a1outが立ち上がるタイミングで、前記2つのフリップ・フロップf1,f2の出力信号f1out,f2outはリセットされるので、本来は、そのタイミングで論理積出力信号a1outが立ち下がるはずであるが、前記同様の内部処理の遅延の影響により、立ち下がりも前記遅延時間t1だけ遅れる。
このようにして、前記論理積出力信号a1outには、パルス幅が前記遅延時間t1に等しいパルスが比較周期ごとに出力される。
【0022】
図3の(F)は第1のフリップ・フロップf1の出力信号f1outのタイムチャートであり、第1の入力信号in1の立ち上がりと同時に立ち上がり、論理積出力信号a1outの立ち上がりと同時にリセットされる。
【0023】
図3の(G)は第2のフリップ・フロップf2の出力信号f2outのタイムチャートである。
この出力信号f2outは、第2の入力信号in2の立ち上がりと同時に立ち上がり、論理積出力信号a1outの立ち上がりと同時にリセットされる。前記論理積出力信号a1outの立ち上がりは、前記遅延時間t1だけ遅れているので、本来は、第2の入力信号in2の立ち上がりと同時にリセットされて残留パルスは生じないはずであるが、前記遅延時間t1の影響によりリセットされるタイミングが遅れるため、パルス幅が前記遅延時間t1に等しい残留パルスp1が出力される。
【0024】
図3の(H)は第3のフリップ・フロップf3の出力信号f3outのタイムチャートである。
この出力信号f3outの立ち上がりタイミングは、第1の入力信号in1の立ち上がりより、第2の論理積処理回路a2によって前記遅延時間t2だけ遅延されている。
前記第3のフリップ・フロップf3は、前記論理積出力信号a1outによってリセットされるので、前記出力信号f3outの立ち下がりタイミングは、前記論理積出力信号a1outの立ち上がりタイミングに一致している。なお、前述したように、前記論理積出力信号a1outの立ち上がりタイミングは、前記第2の入力信号in2の立ち上がりタイミングより前記遅延時間t1だけ遅延しているので、前記第3の出力信号f3outは、第1の入力信号in1の立ち上がりタイミングより前記遅延時間t2だけ遅れて立ち上がり、前記第2の入力信号in2の立ち上がりタイミングより前記遅延時間t1だけ遅れて立ち下がることになる。
したがって、前記2つの遅延時間t1,t2を同じ時間に設定することにより、前記第3の出力信号f3outのパルス幅は、2つの入力信号in1,in2の位相差と一致するので、前記第3の出力信号f3outには、図3の(H)に示したように、2つの入力信号in1,in2の位相差に対応したパルス幅の位相比較出力信号d3が出力される。
【0025】
図3の(J)は第4のフリップ・フロップf4の出力信号f4outのタイムチャートである。この出力信号f4outは、前記第2遅延信号in2_delayの立ち上がりタイミングで立ち上がり、前記論理積出力信号a1outの立ち上がりタイミングでリセットされるものであるから、前記2つの遅延時間t1,t3を同じ時間に設定することにより、図3の(J)に示したように、第4の出力信号f4outに残留パルスp4は出力されない。
【0026】
以上においては、入力信号in1の位相の方が進んでいる状態での動作を説明したが、入力信号in2の位相の方が進んでいる状態では、図3の(J)に示したように、前記第4の出力信号f4outの方に、2つの入力信号in1,in2の位相差に対応したパルス幅の位相比較出力信号d4が出力される。このとき、図3の(H)に示したように、第3の出力信号f3outには残留パルスp3は出力されない。
以上のようにして、3つの論理積処理回路a1,a2,a3における遅延時間t1,t2,t3を同じ時間に設定することにより、位相比較器1から出力される第3と第4の出力信号f3out, f4outのうち、位相が進んだ方の入力信号を遅延させた第1もしくは第2遅延信号in1_delay,in2_delayが入力される第3もしくは第4のフリップ・フロップf3,f4の何れか一方の出力信号には、位相比較出力信号d3,d4が出力されることになる。
そして、前記何れか一方の出力信号には、位相差に一致したパルス幅の位相比較出力信号d3,d4が出力されるとともに、前記遅延時間に起因するパルス幅の残留パルスp3,p4が生じないので、リファレンス・スプリアスが無く、また、無駄な電流(貫通電流)が流れない位相比較器を実現することができる。
【実施例2】
【0027】
次に、本発明にかかる実施例2の位相比較器2を説明する。
図2は実施例2の位相比較器2のブロック図であり、この図2に示した実施例2は、前記実施例1と比較すると、実施例1における第2の論理積処理回路a2を、遅延時間t2を持つ第1の遅延回路i1に置き代え、実施例1における第3の論理積処理回路a3を遅延時間t3を持つ第2の遅延回路i2に置き代えたこと以外は同じ構成である。
前記2つの遅延回路i1,i2は、インバータを2段直列に接続することによって、前記遅延時間t2,t3を得るように構成したものである。
前記2つの遅延回路i1,i2の出力信号も、実施例1における2つの論理積処理回路a2,a3の出力信号と同じように第1遅延信号in1_delay、第2遅延信号in2_delayとした。
なお、前記第1の遅延回路i1は、特許請求の範囲に記載された第1の遅延手段に対応し、前記第2の遅延回路i2は、特許請求の範囲に記載された第2の遅延手段に対応している。
【0028】
以上の構成により、実施例2にかかる位相比較器2においても、論理積処理回路a1と2つの遅延回路i1,i2における遅延時間t1,t2,t3を同じ時間に設定することにより、位相比較器2から出力される位相比較出力信号としては、位相差に一致したパルス幅のパスル信号が得られるとともに、前記遅延時間に起因するパルス幅の残留パルスが生じないので、リファレンス・スプリアスが無く、また、無駄な電流(貫通電流)が流れない位相比較器を実現することができる。
【0029】
以上の説明においては、ハイアクティブ構成の場合で説明したが、ローアクティブ構成の場合も本願の特許請求の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明にかかる位相比較器は、PLL回路に限らず種々の位相差を比較する目的の回路に応用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 位相比較器(実施例1)
f1 第1のフリップ・フロップ
f2 第2のフリップ・フロップ
f3 第3のフリップ・フロップ
f4 第4のフリップ・フロップ
R リセット端子
CK クロック入力端子
a1 第1の論理積処理回路
a2 第2の論理積処理回路
a3 第3の論理積処理回路
in1 入力信号
in2 入力信号
f1out 第1のフリップ・フロップの出力信号
f2out 第2のフリップ・フロップの出力信号
f3out 第3のフリップ・フロップの出力信号
f4out 第4のフリップ・フロップの出力信号
a1out 論理積出力信号
in1_delay 第1遅延信号
in2_delay 第2遅延信号
d3,d4 位相比較出力信号
2 位相比較器(実施例2)
i1 第1の遅延回路
i2 第2の遅延回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
比較対象の2つの入力信号が、それぞれ入力されて第1と第2の出力信号を出力する第1と第2のフリップ・フロップと、
前記第1と第2の出力信号を論理積処理して前記2つのフリップ・フロップをリセットするリセット信号を出力する論理積処理回路と、
前記論理積処理回路と同じ遅延時間を持ち、前記2つの入力信号をぞれぞれ前記遅延時間だけ遅延させた第1遅延信号と第2遅延信号を出力する第1と第2の遅延手段と、
前記第1遅延信号と第2遅延信号がそれぞれ入力されるとともに、前記リセット信号によってリセットされ、第3と第4の出力信号を位相比較出力信号として出力する第3と第4のフリップ・フロップと、
を備え、
前記第3もしくは第4の出力信号のうち、位相が進んだ方の入力信号を遅延させた第1もしくは第2遅延信号が入力される第3もしくは第4のフリップ・フロップの出力信号に、位相比較出力信号が出力されるように構成されていることを特徴とする位相比較器。
【請求項2】
前記第1もしくは第2の遅延手段は、
当該遅延手段に入力される前記入力信号と常時所定の論理値の信号とを論理積処理して、前記入力信号を前記遅延時間だけ遅延させた第1遅延信号もしくは第2遅延信号として出力する論理積処理回路を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の位相比較器。
【請求項3】
前記第1もしくは第2の遅延手段は、
インバータ回路を含み、当該遅延手段に入力される前記入力信号を前記遅延時間だけ遅延させて第1遅延信号もしくは第2遅延信号として出力するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の位相比較器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−119828(P2012−119828A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266285(P2010−266285)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】