説明

位相測定装置、方法、プログラムおよび記録媒体

二つ以上の周波数成分を有する信号を測定対象回路に与えた場合に、測定対象回路から出力される信号の歪みの位相を測定する。 二つの入力周波数成分ω10、ω20を有する入力信号を増幅器(測定対象回路)20に与えた場合の出力を測定する位相測定装置1であって、増幅器20の出力を、ω10およびω20の平均である平均周波数ω0によって直交変換する直交変換部30と、直交変換部30の出力における入力周波数成分の位相θ1、θ2および歪み成分の位相θ3を取得する位相取得部40と、θ1およびθ2が一致する一致時間Δtおよびその時のθ1(Δt)を測定する一致時間・位相測定部50と、一致時間Δtにおける歪み成分の位相θ3(Δt)を測定する歪み成分位相測定部60と、θ1(Δt)およびθ3(Δt)を表示する表示部70を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、二つ以上の周波数成分を有する信号を非線形回路(測定対象回路)に与えた場合に、非線形回路から出力される信号の歪みの位相の測定に関する。
【背景技術】
従来より、増幅器に信号を与えて増幅させることが広く行われている。増幅器は線形回路であることが理想的である。しかし、完全な線形回路であるような増幅器を製造することは困難であるため、増幅器を一種の非線形回路として扱うことになる。すなわち、増幅器に信号を与えると、増幅された信号のみならず、歪み成分もまた出力されてしまう。
このような歪み成分を測定することが、例えば特許文献1(特開2001−285211号公報(要約))に示すように行われている。
しかしながら、増幅器に二つ以上の周波数成分を有する信号を与えた場合に、増幅器から出力される歪み成分の位相を測定することは、従来、行われていない。
そこで、本発明は、二つ以上の周波数成分を有する信号を測定対象回路に与えた場合に、測定対象回路から出力される信号の歪みの位相を測定することを課題とする。
【発明の開示】
本発明の一態様による位相測定装置によれば、二つ以上の入力周波数成分を有する入力信号を測定対象回路に与えた場合の、前記測定対象回路の出力を測定する位相測定装置であって、前記入力周波数成分の平均である平均周波数に基づいて、前記入力周波数成分および歪み成分の位相を取得する位相取得部と、前記位相取得部の取得結果に基づき、前記入力周波数成分の位相が一致する一致時間を測定する一致時間測定手段と、前記位相取得部の取得結果に基づき、前記一致時間における前記歪み成分の位相を測定する歪み成分位相測定手段と、を備えて構成される。
上記のように構成された位相測定装置によれば、二つ以上の入力周波数成分を有する入力信号を測定対象回路に与えた場合の、前記測定対象回路の出力を測定する。そして、位相取得部によって、前記入力周波数成分の平均である平均周波数に基づいて、前記入力周波数成分および歪み成分の位相が取得され、一致時間測定手段によって、前記位相取得部の取得結果に基づき、前記入力周波数成分の位相が一致する一致時間が測定される。さらに、歪み成分位相測定手段によって、前記位相取得部の取得結果に基づき、前記一致時間における前記歪み成分の位相が測定される。
さらに、本発明による位相測定装置によれば、前記位相取得部が、前記測定対象回路の出力を、前記入力周波数成分の平均である平均周波数によって直交変換する直交変換手段と、前記直交変換手段の出力における前記入力周波数成分および歪み成分の位相を取得する位相取得手段と、を備えていることが好ましい。
さらに、本発明による位相測定装置によれば、前記一致時間における前記入力周波数成分の位相を測定する一致位相測定手段を備えていることが好ましい。
さらに、本発明による位相測定装置によれば、前記測定対象回路は増幅器であることが好ましい。
さらに、本発明による位相測定装置によれば、前記位相取得手段は、複素高速フーリエ変換を行う複素高速フーリエ変換手段を有することが好ましい。
さらに、本発明による位相測定装置によれば、前記複素高速フーリエ変換手段はデジタルの信号の複素ベクトルを取得することが好ましい。
さらに、本発明による位相測定装置によれば、前記歪み成分位相測定手段の測定結果を表示する表示手段を備えていることが好ましい。
さらに、本発明による位相測定装置によれば、前記一致位相測定手段の測定結果および前記歪み成分位相測定手段の測定結果を表示する表示手段を備えていることが好ましい。
本発明の他の態様による位相測定装置によれば、二つ以上の入力周波数成分を有する入力信号を測定対象回路に与えた場合の、前記測定対象回路の出力を測定する位相測定方法であって、前記入力周波数成分の平均である平均周波数に基づいて、前記入力周波数成分および歪み成分の位相を取得する位相取得工程と、前記位相取得工程の取得結果に基づき、前記入力周波数成分の位相が一致する一致時間を測定する一致時間測定工程と、前記位相取得工程の取得結果に基づき、前記一致時間における前記歪み成分の位相を測定する歪み成分位相測定工程と、を備えて構成される。
さらに、本発明の他の態様による位相測定装置によれば、二つ以上の入力周波数成分を有する入力信号を測定対象回路に与えた場合の、前記測定対象回路の出力を測定する位相測定装置であって、前記入力周波数成分の平均である平均周波数に基づいて、前記入力周波数成分および歪み成分の位相を取得する位相取得手段とを有する位相測定装置における位相測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記位相取得手段の取得結果に基づき、前記入力周波数成分の位相が一致する一致時間を測定する一致時間測定処理と、前記位相取得手段の取得結果に基づき、前記一致時間における前記歪み成分の位相を測定する歪み成分位相測定処理と、をコンピュータに実行させるように構成される。
さらに、本発明の他の態様による位相測定装置によれば、二つ以上の入力周波数成分を有する入力信号を測定対象回路に与えた場合の、前記測定対象回路の出力を測定する位相測定装置であって、前記入力周波数成分の平均である平均周波数に基づいて前記入力周波数成分および歪み成分の位相を取得する位相取得手段とを有する位相測定装置における位相測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、前記位相取得手段の取得結果に基づき、前記入力周波数成分の位相が一致する一致時間を測定する一致時間測定処理と、前記位相取得手段の取得結果に基づき、前記一致時間における前記歪み成分の位相を測定する歪み成分位相測定処理と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録してコンピュータによって読み取り可能▲2▼構成される。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施形態にかかる増幅器測定システムの構成を示すブロック図である。
図2は、増幅器20の動作を説明するための図であり、増幅器20に与えられる入力信号の周波数スペクトル(図2(a))、増幅器20の出力の周波数スペクトル(図2(b))、ω0(=(ω10+ω20)/2)=0とした場合の増幅器20の出力の周波数スペクトル(図2(c))を示す図である。
図3は、位相取得部40の構成を示すブロック図である。
図4は、複素ベクトルs1およびs2の初期状態(時間t=0における状態)を示す図である。
図5は、複素ベクトルs1の位相θ1および複素ベクトルs2の位相θ2の時間tとの関係を表したグラフである。
図6は、複素ベクトルs1の位相θ1、複素ベクトルs2の位相θ2および複素ベクトルs3の位相θ3の時間tとの関係を表したグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる増幅器測定システムの構成を示すブロック図である。増幅器測定システムは、入力信号生成部10、増幅器(測定対象回路)20、直交変換部30、位相取得部40、一致時間・位相測定部50、歪み成分位相測定部60、表示部70を備える。なお、直交変換部30、位相取得部40、一致時間・位相測定部50、歪み成分位相測定部60および表示部70は、位相測定装置1を構成する。
入力信号生成部10は、二つの入力周波数成分ω1、ω2を有する入力信号を生成する。入力信号生成部10は、第一発振器12、第二発振器14、加算器16を有する。第一発振器12は、周波数ω10の信号を生成する。第二発振器14は、周波数ω20の信号を生成する。加算器16は、周波数ω10の信号および周波数ω20の信号を加算して出力する。加算器16の出力が、入力信号である。入力信号は、増幅器20に与えられる。
増幅器(測定対象回路)20は、与えられた入力信号を増幅して出力する。増幅器20の動作を図2を参照して説明する。増幅器20に与えられる入力信号の周波数スペクトルは、図2(a)に示すように、周波数ω10および周波数ω20の成分を有する。増幅器20は、入力信号を増幅して出力する。
増幅器20の出力の周波数スペクトルは、図2(b)に示すようなものである。周波数ω10および周波数ω20の成分のレベルが上昇していることがわかる。しかし、増幅器20を完全な線形回路とすることは困難なため、増幅器20は非線形回路となってしまう。よって、周波数ω10および周波数ω20の成分の他に、周波数ω30および周波数ω40の成分(歪み成分という)が出力されてしまう。
ここで、周波数ω10および周波数ω20を平均した平均周波数ω0(=(ω10+ω20)/2)を0とした場合、増幅器20の出力の周波数スペクトルは図2(c)のようになる。すなわち、ω10がω1(=ω10−ω0)に、ω20が−ω1(=ω20−ω0)に、ω30が3ω1(=ω30−ω0)に、ω40が−3ω1(=ω40−ω0)になる。
位相測定装置1は、増幅器(測定対象回路)20の出力を測定する。位相測定装置1は、直交変換部30、位相取得部40、一致時間・位相測定部50、歪み成分位相測定部60および表示部70を備える。
直交変換部30は、増幅器20の出力を、入力周波数成分(周波数ω10および周波数ω20)の平均である平均周波数ω0によって直交変換する。これにより、図2(b)に示すような増幅器20の出力の周波数スペクトルを、図2(c)に示すようなものとして取り扱うことができる。直交変換部30は、乗算器32、34を有する。乗算器32は、増幅器20の出力にcos(ω0・t)を乗算して出力する。乗算器34は、増幅器20の出力に−sin(ω0・t)を乗算して出力する。
位相取得部40は、直交変換部30の出力における入力周波数成分(±ω1)および歪み成分(+3ω1)の位相を取得する。図3は、位相取得部40の構成を示すブロック図である。位相取得部40は、ローパスフィルタ42a、b、A/D変換器44a、b、複素FFT(高速フーリエ変換)部46、位相決定部48を有する。
ローパスフィルタ42aは、乗算器32の出力の低周波成分を通過させ、高周波成分を遮断する。ローパスフィルタ42bは、乗算器34の出力の低周波成分を通過させ、高周波成分を遮断する。
A/D変換器44aは、ローパスフィルタ42aの出力をデジタル信号に変換する。A/D変換器44bは、ローパスフィルタ42bの出力をデジタル信号に変換する。ただし、A/D変換器44a、bのサンプリング周波数は、ω10−ω20=2ω1を2πで割ったものの整数倍とする。すなわち、ω1/πの整数倍とする。
複素FFT(高速フーリエ変換)部46は、A/D変換器44a、bの出力について複素高速フーリエ変換を行う。これにより、入力周波数成分(±ω1)および歪み成分(+3ω1)の複素ベクトルが得られる。
位相決定部48は、入力周波数成分(±ω1)および歪み成分(+3ω1)の複素ベクトルに基づき、各成分の位相を決定する。位相はtan−1(複素ベクトルの虚部/複素ベクトルの実部)として求めることができる。入力周波数成分+ω1の位相をθ1、入力周波数成分−ω1の位相をθ2、歪み成分+3ω1の位相をθ3とする。θ1、θ2およびθ3は、時間の関数である。以後、時間tにおける位相を例えばθ1(t)などと表記する。
図1に戻り、一致時間・位相測定部50は、位相取得部40の取得結果に基づき、入力周波数成分+ω1の位相θ1と、入力周波数成分−ω1の位相θ2とが最初に一致する一致時間Δtおよびその時の位相θ1(Δt)(=θ2(Δt))を測定する。
入力周波数成分+ω1の複素ベクトルs1および入力周波数成分−ω1の複素ベクトルs2は下記の式のように表される。
【数1】

上記の式から明らかなように、複素ベクトルs1およびs2は、大きさこそ異なるものの、同じ大きさの回転速度で逆向きに回転している。複素ベクトルs1およびs2の初期状態(時間t=0における状態)を図4に示す。図4においては、縦軸にIm(虚部)、横軸にRe(実部)をとっている。複素ベクトルs1の初期位相はθ1(0)、複素ベクトルs2の初期位相はθ2(0)である。複素ベクトルs1およびs2は、時間Δtに位相が最初に一致する。そのときの、位相θ1(Δt)(=θ2(Δt))は、下記の式のように表される。
【数2】

時間Δtに位相がθ1(Δt)となった複素ベクトルs1およびs2は、同じ大きさの回転速度で逆向きに回転しているため、複素ベクトルs1およびs2が1/2回転し、θ1(Δt)+πで位相が一致する。そのときの時間は、Δt+π/ω1である。その後、さらにθ1(Δt)で位相が一致する。そのときの時間は、Δt+2π/ω1である。このようにして、時間Δt+n・π/ω1で位相が一致し(n=0,1,2,…)、その時の複素ベクトルs1およびs2の位相はθ1(Δt)(n=0,2,4…)あるいはθ1(Δt)+π(n=1,3,5…)である。
複素ベクトルs1の位相θ1および複素ベクトルs2の位相θ2の時間tとの関係をグラフに表したものが図5である。ただし、図示の便宜上、θ1(0)=0としてある。図5からも明らかなように、時間Δt+n・π/ω1で複素ベクトルs1およびs2の位相が一致し(n=0,1,2,…)、その時の複素ベクトルs1およびs2の位相はθ1(Δt)(n=0,2,4…)あるいはθ1(Δt)+π(n=1,3,5…)である。
歪み成分位相測定部60は、位相取得部40の取得結果に基づき、一致時間Δtにおける歪み成分+3ω1の位相θ3(Δt)を測定する。一致時間Δtは、一致時間・位相測定部50から取得する。
歪み成分+3ω1の複素ベクトルs3は下記の式のように表される。
【数3】

上記の式から明らかなように、複素ベクトルs1が1回転すると、複素ベクトルs3が3回転する。複素ベクトルs1が1/2回転すると、複素ベクトルs3が3/2回転する。
よって、複素ベクトルs1が位相θ1(Δt)から1回転すると、複素ベクトルs3が3回転するので、複素ベクトルs3の位相は元に戻る。よって、複素ベクトルs1が位相θ1(Δt)からn回転すると(n=1,2,…)、複素ベクトルs3の位相は、一致時間Δtにおける歪み成分+3ω1の位相θ3(Δt)に戻る。
また、複素ベクトルs1が位相θ1(Δt)から1/2回転すると、複素ベクトルs3が3/2回転するので、複素ベクトルs3の位相はπ進む。よって、複素ベクトルs1が位相θ1(Δt)+πになると、複素ベクトルs3の位相は、θ3(Δt)+πになる。
複素ベクトルs1の位相θ1、複素ベクトルs2の位相θ2および複素ベクトルs3の位相θ3の時間tとの関係をグラフに表したものが図6である。なお、図6においては、θ1およびθ2は一点鎖線、θ3は実線で図示している。図6からも明らかなように、時間Δt+n・π/ω1(n=0,2,4…)で複素ベクトルs3の位相がθ3(Δt)となり、時間Δt+n・π/ω1(n=1,3,5…)で複素ベクトルs3の位相がθ3(Δt)+πとなる。
このように、複素ベクトルs1およびs2が一致する位相はθ1(Δt)あるいはθ1(Δt)+πといった一定の値をとる。しかも、複素ベクトルs1およびs2が一致したときの複素ベクトルs3の位相もまたθ3(Δt)あるいはθ3(Δt)+πといった一定の値をとる。よって、入力周波数成分±ω1の位相を表す値としてθ1(Δt)を、歪み成分+3ω1の位相を表す値としてθ3(Δt)を測定することは有意義である。
なお、複素ベクトルs1およびs2が一致する位相に対する、複素ベクトルs1およびs2が一致したときの複素ベクトルs3の相対位相は、一定の値θ3(Δt)−θ1(Δt)をとる。
表示部70は、一致時間・位相測定部50の測定結果θ1(Δt)および歪み成分位相測定部60の測定結果θ3(Δt)を表示する。
次に、本発明の実施形態の動作を説明する。
まず、第一発振器12から出力された周波数ω10の信号と、第二発振器14から出力された周波数ω20の信号とが、加算器16により加算され、入力信号として増幅器20に与えられる。入力信号の周波数スペクトルは図2(a)に示すようなものである。
入力信号は増幅器20により増幅される。ただし、増幅器20は非線形回路の一種であり、周波数ω10および周波数ω20の成分のみならず、歪み成分(周波数ω30および周波数ω40の成分)も出力されてしまう(図2(b)参照)。
増幅器20の出力は位相測定装置1に与えられる。位相測定装置1は、増幅器20の出力を測定するためのものである。
まず、増幅器20の出力は、直交変換部30により、入力周波数成分(周波数ω10および周波数ω20)の平均である平均周波数ω0によって直交変換される。これにより、増幅器20の出力を、入力周波数成分±ω1、歪み周波数成分±3ω1として取り扱うことができる(図2(c)参照)。直交変換部30の出力には二種類あり、乗算器32の出力と乗算器34の出力とがある。
乗算器32の出力は、ローパスフィルタ42aにより高周波成分が遮断され、A/D変換器44aによりデジタル信号に変換されてから、複素FFT部46に与えられる。乗算器34の出力は、ローパスフィルタ42bにより高周波成分が遮断され、A/D変換器44bによりデジタル信号に変換されてから、複素FFT部46に与えられる。複素FFT部46は複素高速フーリエ変換を行い、入力周波数成分(±ω1)および歪み成分(+3ω1)の複素ベクトルを得る。位相決定部48は、複素ベクトルを受け、各成分の位相を決定する。
位相決定部48の出力の内、入力周波数成分+ω1の位相θ1および入力周波数成分−ω1の位相θ2を受けて、一致時間・位相測定部50が、θ1とθ2とが最初に一致する一致時間Δtおよびその時の位相θ1(Δt)(=θ2(Δt))を測定する(図5参照)。
位相決定部48の出力の内、歪み成分+3ω1の位相θ3を受け、さらに、一致時間・位相測定部50から一致時間Δtを受け、歪み成分位相測定部60が、一致時間Δtにおける歪み成分+3ω1の位相θ3(Δt)を測定する(図6参照)。
表示部70は、一致時間・位相測定部50の測定結果θ1(Δt)および歪み成分位相測定部60の測定結果θ3(Δt)を表示する。
本発明の実施形態によれば、入力周波数成分±ω1の位相を表す値として有意義なθ1(Δt)を一致時間・位相測定部50により測定する。さらに、歪み成分+3ω1の位相を表す値として有意義なθ3(Δt)を歪み成分位相測定部60により測定する。さらに、θ1(Δt)およびθ3(Δt)を表示部70により表示する。よって、増幅器20から出力される信号の歪みおよび入力周波数成分の位相を表す値として有意義な値を測定し、かつ表示することができる。
なお、A/D変換器44a、bは、ローパスフィルタ42a、bと複素FFT部46との間に配置するかわりに、増幅器20と位相測定装置1との間に配置してもよい。
また、上記の実施形態は、以下のようにして実現できる。CPU、ハードディスク、メディア(フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROMなど)読み取り装置を備えたコンピュータのメディア読み取り装置に、上記の各部分(例えば一致時間・位相測定部50および歪み成分位相測定部60)を実現するプログラムを記録したメディアを読み取らせて、ハードディスクにインストールする。このような方法でも、上記の実施形態を実現できる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つ以上の入力周波数成分を有する入力信号を測定対象回路に与えた場合の、前記測定対象回路の出力を測定する位相測定装置であって、
前記入力周波数成分の平均である平均周波数に基づいて、前記入力周波数成分および歪み成分の位相を取得する位相取得部と、
前記位相取得部の取得結果に基づき、前記入力周波数成分の位相が一致する一致時間を測定する一致時間測定手段と、
前記位相取得部の取得結果に基づき、前記一致時間における前記歪み成分の位相を測定する歪み成分位相測定手段と、
を備えた位相測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位相測定装置であって、
前記位相取得部が、
前記測定対象回路の出力を、前記入力周波数成分の平均である平均周波数によって直交変換する直交変換手段と、
前記直交変換手段の出力における前記入力周波数成分および歪み成分の位相を取得する位相取得手段と、
を備えている位相測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の位相測定装置であって、
前記一致時間における前記入力周波数成分の位相を測定する一致位相測定手段を備えた位相測定装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の位相測定装置であって、
前記測定対象回路は増幅器である、
位相測定装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の位相測定装置であって、
前記位相取得手段は、複素高速フーリエ変換を行う複素高速フーリエ変換手段を有する、
位相測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の位相測定装置であって、
前記複素高速フーリエ変換手段はデジタルの信号の複素ベクトルを取得する、
位相測定装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の位相測定装置であって、
前記歪み成分位相測定手段の測定結果を表示する表示手段を備えた位相測定装置。
【請求項8】
請求項3に記載の位相測定装置であって、
前記一致位相測定手段の測定結果および前記歪み成分位相測定手段の測定結果を表示する表示手段を備えた位相測定装置。
【請求項9】
二つ以上の入力周波数成分を有する入力信号を測定対象回路に与えた場合の、前記測定対象回路の出力を測定する位相測定方法であって、
前記入力周波数成分の平均である平均周波数に基づいて、前記入力周波数成分および歪み成分の位相を取得する位相取得工程と、
前記位相取得工程の取得結果に基づき、前記入力周波数成分の位相が一致する一致時間を測定する一致時間測定工程と、
前記位相取得工程の取得結果に基づき、前記一致時間における前記歪み成分の位相を測定する歪み成分位相測定工程と、
を備えた位相測定方法。
【請求項10】
二つ以上の入力周波数成分を有する入力信号を測定対象回路に与えた場合の、前記測定対象回路の出力を測定する位相測定装置であって、前記入力周波数成分の平均である平均周波数に基づいて、前記入力周波数成分および歪み成分の位相を取得する位相取得手段とを有する位相測定装置における位相測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記位相取得手段の取得結果に基づき、前記入力周波数成分の位相が一致する一致時間を測定する一致時間測定処理と、
前記位相取得手段の取得結果に基づき、前記一致時間における前記歪み成分の位相を測定する歪み成分位相測定処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
二つ以上の入力周波数成分を有する入力信号を測定対象回路に与えた場合の、前記測定対象回路の出力を測定する位相測定装置であって、前記入力周波数成分の平均である平均周波数に基づいて前記入力周波数成分および歪み成分の位相を取得する位相取得手段とを有する位相測定装置における位相測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、
前記位相取得手段の取得結果に基づき、前記入力周波数成分の位相が一致する一致時間を測定する一致時間測定処理と、
前記位相取得手段の取得結果に基づき、前記一致時間における前記歪み成分の位相を測定する歪み成分位相測定処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体。

【国際公開番号】WO2004/104603
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506382(P2005−506382)
【国際出願番号】PCT/JP2004/007125
【国際出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】