説明

位置センサ、計測システム及び平面ステージ

【課題】本発明は、静電容量を利用して簡易な構成で計測対象の変位を計測する。
【解決手段】本発明は、固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージを有する平面ステージを提供する。本平面ステージは、移動ステージの位置を計測する位置センサであって、所定の間隔で相互に対向している第1の固定対向電極対と第2の固定対向電極対とを有する固定電極部と、第1の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第1の可動電極と、第2の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第2の可動電極50とを有する可動電極部とを有する第1のセンサを備える。第1の固定対向電極対は第1の可動電極50の挿入状態に応じて変化する第1の静電容量を有し、第2の固定対向電極対は第2の可動電極50の挿入状態に応じて変化する第2の静電容量を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式位置センサに関し、特に電極の対向面積の変化に起因する静電容量の変化を利用する平面ステージ用の位置センサに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置など製造においてウェハや基板などを最適な位置に搬送して位置決めするための装置として平面ステージが利用されている。平面ステージは、X軸(左右)方向とY軸(縦)方向にステージを駆動する平面リニアモータと、ステージの位置を計測するための位置センサとを備えている。位置センサとしては、たとえばレーザ測長器のような光学式センサを使用する光学方式(たとえば特許文献1)が一般的に普及している。しかしながら、光学方式は、高額な光学式センサを複数必要とし、ステージの可動範囲外に光学式センサを配置しなければならず、大型化の要因となっていた。一方、位置センサとして、静電容量方式の装置も提案されている(特許文献2)。特許文献2では、移動電極と複数の固定電極の間の対向面積の変動に起因する各静電容量変化に基づいてX軸、Y軸、及びXY平面に垂直な方向の軸周りの回転角θを計測可能な位置センサが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−194672号公報
【特許文献2】特開2005−168154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、静電容量に基づいてステージの位置を計測する位置センサでは、計測可能な変位量と対向電極の組み付け許容公差との間のトレードオフの問題が生じることが本発明者によって見出された。すなわち、静電容量は、電極間の対向面積だけでなく電極間の距離によっても変化するので、計測可能な変位量の増加に伴って電極の相互傾斜等に伴って電極間の距離の影響が大きくなる一方、この影響を小さくするためには対向電極の組み付け許容公差を極度に厳しくすることが要請されることが見出されたのである。
【0005】
本発明は、上述の従来の課題の少なくとも一部を解決するために創作されたものであり、静電容量を利用して簡易な構成で計測対象の変位を計測する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
【0007】
手段1.固定部と、前記固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージとを有する平面ステージにおいて、前記移動ステージの位置を計測する位置センサであって、前記固定部に接続され、所定の間隔で相互に対向している第1の固定対向電極対と第2の固定対向電極対とを有する固定電極部と、前記移動ステージに接続され、前記第1の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第1の可動電極と、前記第2の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第2の可動電極とを有する可動電極部と、を有する第1のセンサを備え、前記第1の可動電極と前記第2の可動電極とは、それぞれ共通する第1基点部から第1の方向と前記第1の方向に交差する第2の方向とに延びており、前記第1の固定対向電極対は、前記第1の可動電極の挿入状態に応じて変化する第1の静電容量を有し、前記第2の固定対向電極対は、前記第2の可動電極の挿入状態に応じて変化する第2の静電容量を有する位置センサ。
【0008】
手段1の位置センサは、固定対向電極(第1と第2の固定対向電極)への可動電極(第1と第2の可動電極)の挿入状態に応じて変化する固定対向電極の静電容量に基づいて移動ステージの位置を計測することができる。本発明者によれば、本静電容量は、固定対向電極と可動電極の平面内の相対的な位置関係の変動に応じて変化する一方、その平面に垂直な方向の位置関係の変動に応じては原理的に変化しないことを見出した。本知見は、可動電極が挿入された領域においては、固定対向電極間の距離から可動電極の厚みを減じた距離が固定対向電極の静電容量の決定要因である対向電極間距離と等価となる点に基づくものである。
【0009】
これにより、本発明者は、固定対向電極間の平行度(間隔の均一性)と可動電極の平行度(厚みの均一性)だけを高精度にすればよく、固定対向電極と可動電極の組み付け誤差に依存しないことを見出した。この結果、計測可能な変位量と対向電極の組み付け許容公差との間のトレードオフの問題が解決されたことになる。さらに、手段1の位置センサは、固定部に接続されている側の固定対向電極の静電容量を検出すればよく可動電極部側に配線を必要としないので、配線に起因する移動ステージの移動の阻害や可動電極部側に移動に起因する配線上の問題をも回避することができる。
【0010】
手段2.手段1記載の位置センサであって、前記第1の方向は、前記第2の方向と略垂直に交差し、前記第1の固定対向電極対は、前記第1の可動電極が跨ぐ位置において前記第1の方向に略垂直な方向の端部輪郭線を有し、前記第2の固定対向電極対は、前記第2の可動電極が跨ぐ位置において前記第2の方向に略垂直な方向の端部輪郭線を有する位置センサ。
【0011】
手段2の位置センサでは、第1の方向が第2の方向と略垂直に交差し、第1の固定対向電極対は第1の可動電極が跨ぐ位置において第1の方向に略垂直な方向の端部輪郭線を有するので、第1の可動電極が第2の方向へ移動しても第1の可動電極の挿入量が影響を受けないことになる。一方、第2の固定対向電極対は第2の可動電極が跨ぐ位置において第2の方向に略垂直な方向の端部輪郭線を有するので、第2の可動電極が第1の方向へ移動しても第2の可動電極の挿入量が影響を受けないことになる。
このように、手段2の位置センサでは、簡易に第1の方向と第2の方向への変位を分離して計測することができる。
【0012】
手段3.手段1記載の位置センサであって、さらに、前記固定部に接続され、前記所定の間隔で相互に対向している第3の固定対向電極対と第4の固定対向電極対とを有する固定電極部と、前記移動ステージに接続され、前記第3の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第3の可動電極と、前記第4の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第4の可動電極とを有する可動電極部と、を有する第2のセンサを備え、前記第3の可動電極と前記第4の可動電極とは、それぞれ共通する第2基点部から第3の方向と前記第3の方向に交差する第4の方向とに延びており、前記第3の固定対向電極対は、前記第3の可動電極の挿入状態に応じて変化する第3の静電容量を有し、前記第4の固定対向電極対は、前記第4の可動電極の挿入状態に応じて変化する第4の静電容量を有し、前記第3の方向は、前記第1の方向と同一の方向であり、前記第4の方向は、前記第2の方向と逆の方向であり、前記第2基点部は、前記第2の方向において前記第1基点部からシフトした位置に配置されている位置センサ。
【0013】
手段3の位置センサは、第1のセンサに加えて第2のセンサを備えている。第2のセンサは、第1のセンサの第1基点部から第2の方向にシフトした位置の第2基点部から延びている可動電極を有している。これにより、手段3の位置センサは、第2の方向にオフセットして第1の方向に平行に延びている2個の可動電極を有することになる。平行に延びている2個の可動電極は、移動ステージの回転によって相互に逆方向の動きとなるので、静電容量の変化も逆方向となる。手段3の位置センサは、これを利用してその回転角度を計測することができる。さらに、手段3の位置センサは、移動ステージの回転を許容しつつ回転による影響を効果的に排除して並進移動を正確に計測することができる。
【0014】
手段4.手段3記載の位置センサであって、前記第1の方向は、前記第2の方向と略垂直に交差し、前記第1の固定対向電極対は、前記第1の可動電極が跨ぐ位置において前記第1の方向に略垂直な方向の端部輪郭線を有し、前記第2の固定対向電極対は、前記第2の可動電極が跨ぐ位置において前記第2の方向に略垂直な方向の端部輪郭線を有し、前記第3の固定対向電極対は、前記第3の可動電極が跨ぐ位置において前記第3の方向に略垂直な方向の端部輪郭線を有し、前記第4の固定対向電極対は、前記第4の可動電極が跨ぐ位置において前記第4の方向に略垂直な方向の端部輪郭線を有する位置センサ。
【0015】
手段4の位置センサでは、第2のセンサを備えている構成において、移動ステージの回転を許容しつつ、簡易に第1の方向と第2の方向への変位と移動ステージの回転角度を分離して検出することができる。
【0016】
手段5.固定部と、前記固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージとを有する平面ステージにおいて、前記移動ステージの位置を計測する計測システムであって、手段1又は2に記載の位置センサと、前記第1の固定対向電極対の第1静電容量と、前記第2の固定対向電極対の第2静電容量とを検出する静電容量検出部と、前記第1静電容量に基づいて前記第1の方向の変位を計測し、前記第2静電容量に基づいて前記第2の方向の変位を計測する計測部と、を備える計測システム。
【0017】
手段5では、手段1又は2に記載の位置センサを効果的に使用する計測システムとして本発明が具現化されている。
【0018】
手段6.固定部と、前記固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージとを有する平面ステージにおいて、前記移動ステージの位置を計測する計測システムであって、手段3又は4に記載の位置センサと、前記第1の固定対向電極対の第1静電容量と、前記第2の固定対向電極対の第2静電容量と、前記第3の固定対向電極対の第3静電容量と、前記第4の固定対向電極対の第4静電容量と、を検出する静電容量検出部と、前記第1静電容量と前記第3静電容量の和に基づいて前記第1の方向の変位を計測し、前記第1静電容量と前記第3静電容量の差に基づいて前記移動ステージの回転角度を計測し、前記第2静電容量と前記第4静電容量の少なくとも一方と前記差に基づいて前記第2の方向の変位を計測する計測システム。
【0019】
手段6では、手段3又は4に記載の位置センサを効果的に使用する計測システムとして本発明が具現化されている。
【0020】
手段7.平面ステージであって、固定部と、前記固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージと、手段5又は6に記載の計測システムと、前記計測値に基づいて前記平面内で前記移動ステージを駆動する平面リニアモータと、を備える平面ステージ。
【0021】
手段7では、手段5又は6に記載の計測システムを効果的に使用する平面ステージとして本発明が具現化されている。
【0022】
なお、本発明は、位置センサだけでなく、計測システムや平面ステージ、計測方法、計測システムを実現するコンピュータプログラム及びそのプログラムを格納する記録媒体等の形態で実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態における平面ステージ30の外観を示す外観斜視図。
【図2】実施形態における移動部200の外観を示す外観斜視図。
【図3】実施形態における移動部200の各構成部品を示す分解斜視図。
【図4】実施形態における下部センサ120の各構成部品を示す分解斜視図。
【図5】実施形態における下部センサ120の下部移動電極220を示す斜視図。
【図6】実施形態における上部センサ140の上部移動電極240を示す斜視図。
【図7】下部センサ120のうちX軸方向の変位を計測する部分の構成を示す断面図。
【図8】実施形態における計測原理を示す模式図と計算式とを表す説明図。
【図9】実施形態における計測状態を示す模式図。
【図10】実施形態における計測状態を示す模式図。
【図11】上部センサ140と下部センサ120の位置関係を示す模式図。
【図12】実施形態における回転角度θの計測原理と補正原理とを示す模式図。
【図13】回転角度θと静電容量Cx1,Cx2の関係を正規化して示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本実施形態は、移動ステージのX軸方向とY軸方向の並進移動と回転角度θを計測する位置センサを備える平面ステージについて具体化している。以下、本発明を具体化した実施形態を以下の順序で説明する。
A.平面ステージの構成:
B.移動ステージの計測方法:
C.変形例:
【0025】
A.平面ステージの構成:
図1は、本発明の実施形態における平面ステージ30の外観を示す外観斜視図である。平面ステージ30は、製造設備(図示せず)に固定される固定部100と、固定部100に対して相対移動する移動部200とを備えている。固定部100と移動部200とは、いずれも平面視(XY面)において正方形の形状を有している。移動部200は、固定部100よりも小さな外形寸法で構成されている。移動部200は、固定部100に対してX軸方向とY軸方向の並進移動とXY平面に垂直な軸線Zの周りの回転が可能である。移動部200は、周知の電磁リニアモータ(図示省略)によって駆動される。
【0026】
図2は、本発明の実施形態における移動部200の外観を示す外観斜視図である。図3は、本発明の実施形態における移動部200の各構成部品を示す分解斜視図である。移動部200は、ワーク保持部250と、上部移動電極240と、中間支持部230と、下部移動電極220と、リニアモータ可動部210とがZ軸方向に積層された構造を有している。
【0027】
ワーク保持部250は、たとえば半導体ウェハ(図示省略)等の加工対象であるワークを保持するための保持装置(図示省略)が装着されるための部材である。上部移動電極240及び下部移動電極220は、静電容量式センサを構成するための電極であり、軸線Zの周りに相互に90度だけシフトした角度で中間支持部230に固定されている。リニアモータ可動部210は、電磁リニアモータ(図示省略)の可動子として機能する。
【0028】
図4は、本発明の実施形態における下部センサ120の各構成部品を示す分解斜視図である。図5は、本発明の実施形態における下部センサ120の下部移動電極220を示す斜視図である。なお、図4には、移動部200のリニアモータ可動部210とワーク保持部250と、固定部100が備えるリニアモータ固定部110とが仮想線で示されている。
【0029】
下部センサ120は、リニアモータ可動部210に固定されている下部移動電極220と、リニアモータ固定部110に固定されている下部固定電極群121〜126とを備えている。下部固定電極群121〜126は、第1下部固定電極121と、第2下部固定電極122と、第3下部固定電極123と、第4下部固定電極124と、第5下部固定電極125と、第6下部固定電極126と、を備えている。なお、図5では、下部移動電極220を示すために下部固定電極群123〜126の図示が省略されている。
【0030】
下部移動電極220は、X軸方向の変位を検出するためのX1電極222と、Y軸方向の変位を検出するためのY1電極221と、X1電極222とY1電極221とに接続されリニアモータ可動部210の固定端部211に固定するための第1基点部223とを備えている。X1電極222及びY1電極221は、いずれも矩形状の形状(XY平面視)を有し、第1基点部223からXY平面内において相互に略垂直な方向に延びている。第1基点部223は、リニアモータ可動部210に形成されている角柱支持部211に固定されている。
【0031】
なお、本明細書では、略垂直とは、形状公差その他の当業者が想定する範囲の垂直を意味している。また、X1電極222とY1電極221とが延びている方向は、それぞれ第1の方向と第2の方向とも呼ばれる。
【0032】
X1電極222は、第2下部固定電極122と第4下部固定電極124との間、すなわち、Z軸方向において第2下部固定電極122の上方でかつ第4下部固定電極124の下方に配置されている。これにより、下部移動電極220のX1電極222は、第2下部固定電極122と第4下部固定電極124との間にそれぞれ対向面を形成することができる。この対向面は、下部移動電極220のX軸方向の変位に応じて変化する面積を有することになる。
【0033】
Y1電極221は、第1下部固定電極121と第3下部固定電極123との間、すなわち、第1下部固定電極121の上方でかつ第3下部固定電極123の下方に配置されている。これにより、下部移動電極220のY1電極221は、第1下部固定電極121と第3下部固定電極123との間にそれぞれ対向面を形成することができる。この対向面は、下部移動電極220のY軸方向の変位に応じて変化する面積を有することになる。
【0034】
図6は、本発明の実施形態における上部センサ140の上部移動電極240を示す斜視図である。上部センサ140は、中間支持部230に固定されている上部移動電極240と、リニアモータ固定部110に固定されている上部固定電極群141〜146とを備えている。上部固定電極群141〜146は、第1上部固定電極141と、第2上部固定電極142と、第3上部固定電極143と、第4上部固定電極144と、第5上部固定電極145と、第6上部固定電極146と、を備えている。
【0035】
なお、図6では、上部移動電極240を示すために上部固定電極群143〜146の図示が省略されている。また、下部センサ120の最上部の電極である第5下部固定電極125と、第6下部固定電極126とが見えている。
【0036】
上部移動電極240は、X軸方向の変位を検出するためのX2電極242と、Y軸方向の変位を検出するためのY2電極241と、X2電極242とY2電極241とに接続され中間支持部230に固定するための第2基点部243とを備えている。X2電極242及びY2電極241は、いずれも矩形状の形状を有し、第2基点部243からXY平面内において相互に略垂直な方向に延びている。第2基点部243は、中間支持部230に固定されている。
【0037】
上部移動電極240は、XY平面内において下部移動電極220に対して時計回りに90度回転した方向で配置され、下部移動電極220の第1基点部223からY1電極221の長さだけY軸方向にシフトした位置に上部移動電極240の第2基点部243が配置されている。なお、X2電極242とY2電極241とが延びている方向は、それぞれ第3の方向と第4の方向とも呼ばれる。
【0038】
上部移動電極240のX2電極242と、Y2電極241と、下部移動電極220のX1電極222と、Y1電極221とは、いずれも同一の寸法と形状とを有している。一方、第1基点部223と第2基点部243とは、相互に同一の寸法と形状とを有している。
【0039】
図7は、本発明の実施形態における下部センサ120のうちX軸方向の変位を計測する部分の構成を示す断面図である。第2下部固定電極122、第4下部固定電極124、及び第6下部固定電極126は、いずれもリニアモータ固定部110の固定端部111に対してXY平面に平行に固定されている。X1電極222は、リニアモータ可動部210の固定端部211にXY平面に固定されているので移動部200とともに移動する。
【0040】
第6下部固定電極126は、シールド電極126aと、リファレンス電極126cと、樹脂等の絶縁体で構成されている絶縁部材126bとを有している。第6下部固定電極126では、絶縁部材126bの上端面にシールド電極126aが接合され、絶縁部材126bの下端面にリファレンス電極126cが接合されている。シールド電極126aやリファレンス電極126cは、絶縁部材126bに機械的に装着される板材でもよく、あるいは蒸着やメッキによって構成されていても良い。この点は、他の固定電極や可動電極についても同様である。
【0041】
第4下部固定電極124は、リファレンス電極124aと、絶縁部材124bと、固定側対向電極124cとを有している。第4下部固定電極124では、絶縁部材124bの上端面にリファレンス電極124aが接合され、絶縁部材124bの下端面に固定側対向電極124cが接合されている。
【0042】
第2下部固定電極122は、固定側対向電極122aと、絶縁部材122bと、シールド電極122cとを有している。第2下部固定電極122では、絶縁部材122bの上端面に固定側対向電極122aが接合され、絶縁部材122bの下端面にシールド電極122cが接合されている。
【0043】
X1電極222は、一対の可動側電極222a,222cと、絶縁部材222bと、導体部222dとを有している。X1電極222では、絶縁部材222bの上端面に可動側電極222aが接合され、絶縁部材222bの下端面に可動側電極222cが接合されている。導体部222dは、一対の可動側電極222a,222cを電気的に相互に接続している。なお、このような電気的な接続は、スルーホール等でも可能である。
【0044】
シールド電極126a及びシールド電極122cは接地されているので、下部センサ120を外部の電界や磁界からシールドし、これにより計測精度を高めることができる。固定側対向電極122a及び固定側対向電極124cは、計測用の静電容量Cmesを有するコンデンサCxとして構成されている。コンデンサCxは、X1電極222の挿入量Lによって静電容量が変化する。リファレンス電極126cとリファレンス電極124aの対向電極は、X1電極222の挿入量Lによって静電容量が変化しない基準用の静電容量Crefを有する基準用コンデンサCrとして構成されている。
【0045】
なお、X1電極222とY1電極221は、それぞれ第1の可動電極と第2の可動電極とも呼ばれる。また、第1の可動電極が挿入される固定側対向電極122a及び固定側対向電極124cは、第1の固定対向電極対とも呼ばれる。また、第2の可動電極(Y1電極221)が挿入される一対の固定側対向電極(図示せず)は、第2の固定対向電極対とも呼ばれる。
【0046】
B.移動ステージの計測方法:
図8は、本発明の実施形態における計測原理を示す模式図と計算式とを表す説明図である。図8には、計測用の静電容量Cmesを有するコンデンサCxの構成を示す模式図と、コンデンサCxの等価回路を示す回路図とが示されている。コンデンサCxは、3個のコンデンサC1,C2,C3の回路と等価である。2個のコンデンサC1,C2は、直列に接続されている。コンデンサC3は、コンデンサC1,C2の直列回路に対して並列に接続されている。
【0047】
コンデンサC1は、リニアモータ固定部110に固定されている固定側対向電極124c(図7参照)と、リニアモータ可動部210に固定されている可動側電極222aとによって構成されている。コンデンサC2は、リニアモータ固定部110に固定されている固定側対向電極122aと、リニアモータ可動部210に固定されている可動側電極222cとによって構成されている。2個のコンデンサC1,C2は、導体部222dで直列に接続されている。コンデンサC3は、固定側対向電極124cと固定側対向電極122aとによって構成されている。
【0048】
コンデンサCxの静電容量は、可動側電極222a,222c(X1電極222)の挿入部分の領域S1の静電容量と、非挿入部分の領域S2の静電容量の和となる。挿入部分の領域S1の静電容量C12は、コンデンサC,Cの直列回路の静電容量C12となり、計算式F1で算出することができる。したがって、コンデンサCxの静電容量は、挿入部分の領域S1の静電容量C12と、非挿入部分の領域S2の静電容量C3との和として算出することができる(計算式F2参照)。
【0049】
非挿入部分の領域S2の静電容量C3は、非挿入部分の領域S2の面積と、固定側対向電極122aと固定側対向電極124cの離隔距離と、誘電体(たとえば空気)の誘電率εとによって決定される。このように、非挿入部分の領域の静電容量は、本実施形態は、固定対向電極間の距離の均一性だけを高精度にすれば正確に計測できることが分かる。
【0050】
一方、挿入部分の領域の静電容量C12は、可動側電極222a,222c(X1電極222)の挿入部分の領域S1の面積と誘電体の誘電率εとによって決定される。挿入面積S1は、X1電極222の挿入量Lと可動側電極222a,222cの幅Wの積として決定される。このように、コンデンサCxの静電容量は、計算式F1、F2から分かるように電極間距離d1,d2の和に依存する一方、電極間距離d1,d2の各々には依存しないことが分かる。
【0051】
電極間距離d1,d2の和は、固定側対向電極122aと固定側対向電極124cの間の距離から可動側電極222a,222cの距離を減じた値である。したがって、本実施形態は、固定対向電極間の距離の均一性と可動電極の厚みの均一性だけを高精度にすればよく、固定側対向電極122a,124cと可動側電極222a,222cの組み付け誤差に依存しないことを見出した。この結果、計測可能な変位量とコンデンサ用電極の組み付け許容公差との間のトレードオフの問題が解決されたことになる。
【0052】
さらに、本実施形態の位置センサは、固定側対向電極122a,124cの静電容量を検出すればよく可動側電極222a,222c側に配線を必要としないので、配線に起因する移動ステージ20の移動の阻害や可動側電極222a,222cの移動に起因する配線上の問題をも回避することができる。
【0053】
図9及び図10は、本発明の実施形態における計測状態を示す模式図である。図9及び図10には、固定側対向電極121a,122aと、Y1電極221とX1電極222とを有する下部移動電極220とが示されている。図9(a)は、移動ステージ20が原点位置に配置された状態を示している。図9(b)は、移動ステージ20がY軸方向に移動された状態を示している。図10(a)は、移動ステージ20がX軸方向に移動された状態を示している。図10(b)は、移動ステージ20がX軸方向とY軸方向の双方に移動された状態を示している。
【0054】
固定側対向電極121aは、Y1電極221が跨ぐ位置においてX軸方向に平行な直線である端部輪郭線127を有し、Y1電極221のY軸方向の変位に応じて面積が変化する対向面S1を形成する。端部輪郭線127はX軸方向に平行な直線なので、対向面S1の面積は、Y1電極221のX軸方向の変位に応じて変化しないことが分かる。
【0055】
一方、固定側対向電極122aは、X1電極222が跨ぐ位置においてY軸方向に平行な直線である端部輪郭線128を有し、X1電極222のX軸方向の変位に応じて面積が変化する対向面S2を形成する。端部輪郭線128はY軸方向に平行な直線なので、対向面S2の面積は、X1電極222のY軸方向の変位に応じて変化しないことが分かる。
【0056】
具体的には、下部センサ120は、以下のように作動する。図9(b)に示すように移動ステージ20がY軸方向に移動すると、Y1電極221の挿入量だけが増えて、X1電極222の挿入量は変化しない。図10(a)に示すように移動ステージ20がX軸方向に移動すると、X1電極222の挿入量Lだけが増えて、Y1電極221の挿入量は変化しない。さらに、図10(b)に示すように移動ステージ20がX軸方向とY軸方向の双方に移動されると、X1電極222の挿入量LとY1電極221の挿入量の双方が増加する。
【0057】
このように、本実施形態は、移動ステージ20の並進移動におけるX軸方向とY軸方向の双方の変位量を独立して計測することができることが分かる。さらに、本実施形態は、上部センサ140を備えているので、移動ステージ20の回転を許容しつつ、移動ステージ20のXY平面内の並進移動と回転移動を計測することができる。
【0058】
図11は、本発明の実施形態における上部センサ140と下部センサ120の位置関係を示す模式図である。上部センサ140の上部移動電極240は、下部センサ120の下部移動電極220に対してY軸方向にY1電極221の長さだけシフトした位置において時計回りに90度回転した状態で配置されている。
【0059】
これにより、移動ステージ20の変位は、上部移動電極240と下部移動電極220とを使用して以下の方法で検出することができる。下部移動電極220のY1電極221と上部移動電極240のY2電極241は、移動ステージ20のY軸方向(正の方向)の並進移動に対して逆方向に作動する。具体的には、移動ステージ20がY軸方向に変位すると、Y1電極221は挿入量Lyだけ挿入量が増大する一方、Y2電極241は挿入量Lyだけ挿入量が減少することになる。
【0060】
下部移動電極220のX2電極242と上部移動電極240のX1電極222は、移動ステージ20のX軸方向(負の方向)の並進移動に対して同一方向に作動する。具体的には、移動ステージ20がX軸方向(負の方向)に変位すると、X1電極222とX2電極242とは、いずれも挿入量Lxだけ挿入量が減少する。
【0061】
このように、移動ステージ20の並進移動は、上部センサ140と下部センサ120とでY軸方向において正負が逆の出力信号として検出され、X軸方向において符号が一致した出力信号として検出されることになる。
【0062】
なお、上部センサ140は、下部センサ120と同じように固定側対向電極141a,142aを有している。固定側対向電極141aは、Y2電極241が跨ぐ位置においてX軸方向に平行な直線である端部輪郭線147を有している。固定側対向電極142aは、X1電極242が跨ぐ位置においてY軸方向に平行な直線である端部輪郭線148を有している。
【0063】
なお、X2電極242とY2電極241は、それぞれ第3の可動電極と第4の可動電極と呼ばれる。また、第3の可動電極が挿入される一対の固定側対向電極(図示せず)は、第3の固定対向電極対とも呼ばれる。第4の可動電極が挿入される一対の固定側対向電極(図示せず)は、第4の固定対向電極対とも呼ばれる。
【0064】
図12は、本発明の実施形態における回転角度θの計測原理と補正原理とを示す模式図である。上部移動電極240は下部移動電極220に対して、Y1電極221が延びている方向(第2の方向)にY1電極221の長さだけシフトした位置に配置されているので、X1電極222とX2電極242は、Y1電極221の長さだけY軸方向に離隔した位置に平行に配置されていることになる。これにより、X1電極222とX2電極242は、回転角度θに対して逆方向に作動することになる。
【0065】
具体的には、X1電極222とX2電極242は、移動ステージ20が回転角度θで回転すると、X1電極222は挿入量Sx(変動面積)だけ挿入量が増大する一方、X2電極242は挿入量Sx(変動面積)だけ挿入量が減少する。これにより、移動ステージ20の回転角度θは、X1電極222が挿入されるコンデンサの静電容量Cx1と、X2電極242が挿入されるコンデンサの静電容量Cx2と、の差を利用して検出することができることが分かる。なお、静電容量Cx1と静電容量Cx2は、それぞれ第1静電容量と第3静電容量とも呼ばれる。
【0066】
移動ステージ20のX軸方向の変位は、静電容量Cx1と静電容量Cx2の和を使用して、たとえば平均値として検出することができる。静電容量Cx1と静電容量Cx2の和では、移動ステージ20の回転角度θに起因する静電容量Cx1と静電容量Cx2の変化が相殺されるので、X軸方向の変位を回転角度θの影響から分離して検出することができるからである。
【0067】
移動ステージ20のY軸方向の変位は、Y1電極221が挿入されるコンデンサの静電容量Cy1から移動ステージ20の回転角度θに起因する静電容量Cy1の変動面積Syを排除することによって検出することができる。具体的には、Y軸方向の変位は、静電容量Cy1から静電容量Cx1と静電容量Cx2の差の半分を減じた値を使用することによって検出することができる。上部移動電極240のX2電極242と、Y2電極241と、下部移動電極220のX1電極222と、Y1電極221とは、いずれも同一の寸法と形状とを有しているので、変動面積Syは変動面積Sxに一致するからである。
【0068】
なお、静電容量Cy1の代わりに静電容量Cy2を利用しても良い。また、静電容量Cy1と静電容量Cy2の和は、移動ステージ20の回転角度並びに並進移動のいずれに対しても相互に変化量が相殺され、その影響を受けないので温度等の環境変化に起因する変動(たとえば誘電率の変動)を補正するための補正用の検出値としても利用可能である。なお、静電容量Cy1と静電容量Cy2は、それぞれ第2静電容量と第4静電容量とも呼ばれる。
【0069】
図13は、本発明の実施形態における回転角度θと静電容量Cx1,Cx2の関係を正規化して示すグラフである。本グラフは、幾何学的な計算に基づく理論値である。しかし、現実の静電容量は、対向電極の面積に対して高い忠実性を有しているので、事実上は実施可能性が実証されたことになる。
【0070】
図13(a)は、回転角度θと静電容量Cx1,Cx2の各々の関係を示している。図13(b)は、回転角度θと静電容量Cx1,Cx2の差の関係を示している。図13(a)から分かるように、下部センサ120の静電容量Cx1が回転角度θの増加に応じて線形に増大する一方、上部センサ140の静電容量Cx2が回転角度θの増加に応じて線形に減少していることが分かる。これにより、図12(b)から分かるように、静電容量Cx1と静電容量Cx2の差は、回転角度θの増加に応じて線形に増大することになる。
【0071】
本実施形態では、回転角度θは、並進移動に起因する静電容量の変化から分離して検出することができる。すなわち、回転角度θは、移動ステージ20の並進移動による位置変化の影響を受けることなく検出することができる。第1下部固定電極121と第1上部固定電極141は、Y1電極221とY2電極241とが跨ぐ位置において、それぞれX軸方向に平行な直線である端部輪郭線127、128を有し、第2下部固定電極122と第2上部固定電極142は、X1電極222とX2電極242とが跨ぐ位置において、それぞれY軸方向に平行な直線である輪郭線128、148を有するからである(図11及び図12参照)。
【0072】
本実施形態は、以下の効果を奏することができる。
【0073】
(1)本実施形態の下部センサ120や上部センサ140は、計測可能な変位量とコンデンサ用電極の組み付け許容公差との間のトレードオフの問題を解決し、これによりセンサとして理想的な線形特性を有している。本実施形態は、固定対向電極間の平行度(間隔の均一性)と可動電極の平行度(厚みの均一性)だけを高精度にすればよく、たとえば固定側対向電極122a,124cと可動側電極222a,222cの相対的な組み付け誤差が計測精度に影響を与えないからである。
【0074】
(2)本実施形態の下部センサ120や上部センサ140では、対向電極(たとえば固定側対向電極)の平行度や可動電極の厚みの精度が一般的な機械加工で簡易に実現できるという利点を有している。
【0075】
(3)本実施形態の下部センサ120や上部センサ140は、固定側対向電極の静電容量を検出すればよく可動側電極側に配線を必要としないので、配線に起因する移動ステージ20の移動の阻害や可動側電極に移動に起因する配線上の問題をも回避することができる。
【0076】
C.変形例:
なお、実施の形態は上記した内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0077】
(1)上記実施の形態では、下部移動電極220は、第1基点部223からXY平面内において相互に略垂直な方向に延びているX1電極222とY1電極221とを有し、上部移動電極240は、第2基点部243からXY平面内において相互に略垂直な方向に延びているX2電極242及びY2電極241とを有している。
【0078】
しかしながら、必ずしも相互に略垂直に延びている必要は無く、相互に交差する方向に延びていれば計測することができる。ただし、相互に垂直に延びているとともに、各可動電極(X1電極222、X2電極242、Y1電極221、及びY2電極241)が跨ぐ位置で各固定側対向電極が計測対象の軸に垂直な方向の端部を有していれば、各軸の変位を直接的に独立して検出することができるという利点を有している。
【0079】
(2)上記実施の形態では、固定側対向電極に対してZ軸方向に重ねて基準用の静電容量Crefを有する基準用コンデンサCrが形成されている。基準用コンデンサCrは、移動ステージ20の変位や回転によって静電容量が変化せず、温度等の環境状態に応じて固定側対向電極とともに静電容量が変化するコンデンサである。基準用コンデンサCrは、必須の構成ではないが、装備することによって環境変化に起因する計測制度を排除して計測の精度や信頼性を高めることができる。
【0080】
(3)上記実施の形態では、上部センサ140が装備されているが、たとえば下部センサ120のみで計測するように構成しても良い。ただし、上部センサ140を装備すれば、移動ステージ20の回転を許容し、その回転角度を計測することができるとともに、回転による影響を受けることなく並進移動を計測することができるという利点がある。
【0081】
(4)上記実施の形態では、固定対向電極対に対して可動電極が挿入される構成が採用されているが、たとえば可動対向電極対に対して固定電極が挿入されるように構成しても良い。ただし、上記実施形態は、固定側対向電極の静電容量を検出すればよく可動側電極側に配線を必要としないので、配線に起因する移動ステージ20の移動の阻害や可動側電極に移動に起因する配線上の問題をも回避することができるという利点を有している。
【0082】
(5)上記実施の形態では、位置センサとして実装されているが、本発明は、たとえば位置センサの静電容量に基づいて計測値を出力する電子回路を備えた計測システム、計測システムと駆動装置とを有する平面リニアモータ、あるいはこれらを備えた平面ステージとして構成することもできる。さらに、計測方法、計測システムを実現するコンピュータプログラム及びそのプログラムを格納する記録媒体等の形態で実現することもできる。
【符号の説明】
【0083】
20…移動ステージ、30…平面ステージ、100…固定部、110…リニアモータ固定部、120…下部センサ、140…上部センサ、200…移動部、210…リニアモータ可動部、220…下部移動電極、230…中間支持部、240…上部移動電極、250…ワーク保持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、前記固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージとを有する平面ステージにおいて、前記移動ステージの位置を計測する位置センサであって、
前記固定部に接続され、所定の間隔で相互に対向している第1の固定対向電極対と第2の固定対向電極対とを有する固定電極部と、
前記移動ステージに接続され、前記第1の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第1の可動電極と、前記第2の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第2の可動電極とを有する可動電極部と、
を有する第1のセンサを備え、
前記第1の可動電極と前記第2の可動電極とは、それぞれ共通する第1基点部から第1の方向と前記第1の方向に交差する第2の方向とに延びており、
前記第1の固定対向電極対は、前記第1の可動電極の挿入状態に応じて変化する第1の静電容量を有し、
前記第2の固定対向電極対は、前記第2の可動電極の挿入状態に応じて変化する第2の静電容量を有する位置センサ。
【請求項2】
請求項1記載の位置センサであって、
前記第1の方向は、前記第2の方向と略垂直に交差し、
前記第1の固定対向電極対は、前記第1の可動電極が跨ぐ位置において前記第1の方向に略垂直な方向の端部輪郭線を有し、
前記第2の固定対向電極対は、前記第2の可動電極が跨ぐ位置において前記第2の方向に略垂直な方向の端部輪郭線を有する位置センサ。
【請求項3】
請求項1記載の位置センサであって、さらに、
前記固定部に接続され、前記所定の間隔で相互に対向している第3の固定対向電極対と第4の固定対向電極対とを有する固定電極部と、
前記移動ステージに接続され、前記第3の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第3の可動電極と、前記第4の固定対向電極対の間に部分的に挿入されている第4の可動電極とを有する可動電極部と、
を有する第2のセンサを備え、
前記第3の可動電極と前記第4の可動電極とは、それぞれ共通する第2基点部から第3の方向と前記第3の方向に交差する第4の方向とに延びており、
前記第3の固定対向電極対は、前記第3の可動電極の挿入状態に応じて変化する第3の静電容量を有し、
前記第4の固定対向電極対は、前記第4の可動電極の挿入状態に応じて変化する第4の静電容量を有し、
前記第3の方向は、前記第1の方向と同一の方向であり、
前記第4の方向は、前記第2の方向と逆の方向であり、
前記第2基点部は、前記第2の方向において前記第1基点部からシフトした位置に配置されている位置センサ。
【請求項4】
請求項3記載の位置センサであって、
前記第1の方向は、前記第2の方向と略垂直に交差し、
前記第1の固定対向電極対は、前記第1の可動電極が跨ぐ位置において前記第1の方向に略垂直な方向の端部輪郭線を有し、
前記第2の固定対向電極対は、前記第2の可動電極が跨ぐ位置において前記第2の方向に略垂直な方向の端部輪郭線を有し、
前記第3の固定対向電極対は、前記第3の可動電極が跨ぐ位置において前記第3の方向に略垂直な方向の端部輪郭線を有し、
前記第4の固定対向電極対は、前記第4の可動電極が跨ぐ位置において前記第4の方向に略垂直な方向の端部輪郭線を有する位置センサ。
【請求項5】
固定部と、前記固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージとを有する平面ステージにおいて、前記移動ステージの位置を計測する計測システムであって、
請求項1又は2に記載の位置センサと、
前記第1の固定対向電極対の第1静電容量と、前記第2の固定対向電極対の第2静電容量とを検出する静電容量検出部と、
前記第1静電容量に基づいて前記第1の方向の変位を計測し、前記第2静電容量に基づいて前記第2の方向の変位を計測する計測部と、
を備える計測システム。
【請求項6】
固定部と、前記固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージとを有する平面ステージにおいて、前記移動ステージの位置を計測する計測システムであって、
請求項3又は4に記載の位置センサと、
前記第1の固定対向電極対の第1静電容量と、前記第2の固定対向電極対の第2静電容量と、前記第3の固定対向電極対の第3静電容量と、前記第4の固定対向電極対の第4静電容量と、を検出する静電容量検出部と、
前記第1静電容量と前記第3静電容量の和に基づいて前記第1の方向の変位を計測し、前記第1静電容量と前記第3静電容量の差に基づいて前記移動ステージの回転角度を計測し、前記第2静電容量と前記第4静電容量の少なくとも一方と前記差に基づいて前記第2の方向の変位を計測する計測システム。
【請求項7】
平面ステージであって、
固定部と、
前記固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージと、
請求項5又は6に記載の計測システムと、
前記計測値に基づいて前記平面内で前記移動ステージを駆動する平面リニアモータと、
を備える平面ステージ。
【請求項8】
固定部と、前記固定部に対して平面内を相対的に移動する移動ステージとを有する平面ステージにおいて、前記移動ステージの位置を計測する位置センサであって、
前記移動ステージに接続され、所定の間隔で相互に対向している第1の可動対向電極対と第2の可動対向電極対とを有する可動電極部と、
前記固定部に接続され、前記第1の可動対向電極対の間に部分的に挿入されている第1の固定電極と、前記第2の可動対向電極対の間に部分的に挿入されている第2の固定電極とを有する可動電極部と、
を有する第1のセンサを備え、
前記第1の固定電極と前記第2の固定電極とは、それぞれ共通する第1基点部から第1の方向と前記第1の方向に交差する第2の方向とに延びており、
前記第1の可動対向電極対は、前記第1の固定電極の挿入状態に応じて変化する第1の静電容量を有し、
前記第2の可動対向電極対は、前記第2の固定電極の挿入状態に応じて変化する第2の静電容量を有する位置センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−24702(P2013−24702A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159145(P2011−159145)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000106760)CKD株式会社 (627)
【Fターム(参考)】