説明

位置合わせ方法およびスクリーン印刷装置

【課題】マスクシートに対する基板重装時の位置合わせを長期的に高い精度で行う。
【解決手段】印刷装置は、マスクシート25と、移動可能な印刷ステージ3と、マスク認識カメラ41および基板認識カメラ42を備えたカメラヘッド40と、これらを制御するコントローラとを有する。コントローラは、基板認識カメラ42を用いて基板Wのマーク認識を実施するとともに、同じマスクシートが使用されている期間中は、定期的にマスク認識カメラ41を用いてマスクシート25のマーク認識を複数回実施すべくカメラヘッド40を駆動制御する。また、コントローラは、基板Wをマスクシート25に重装すべく、マスクシート25のマーク認識により取得した最新のマスク位置情報と基板の基板位置情報とに基づきマスクシート25と基板Wとの位置ずれに応じた補正量を求め、この補正量に基づき印刷ステージ3を駆動制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーム半田、導電ペースト等のペーストを基板に対して印刷するスクリーン印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ステージ上にセットした基板をマスクシートに重装し、マスクシート上に供給したクリーム半田、導電ペースト等のペーストをスキージで押圧することにより、マスクシートに形成された開口部を介して基板上の所定位置にペーストを塗布(印刷)するようにしたスクリーン印刷装置が一般に知られている。
【0003】
この種の印刷装置では、基板を支持する移動可能なステージにマスク認識カメラを上向きに搭載し、このマスク認識カメラによりマスクシートに設けられるマークを撮像する一方、装置フレームに基板認識カメラを下向きに固定的に設け、この基板認識カメラの下方にステージを移動させて基板上のマークを撮像し、これらの画像からマスクシートと基板との相対的な位置関係を調べてマスクシートと基板との位置合わせを行い、マスクシートに対して基板を重装することが行われている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特許第2682145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスクリーン印刷装置では、基板のマーク認識(基板位置情報の取得)はその被処理基板毎に実施されるが、マスクシートのマーク認識(マスク位置情報の取得)はマスクシート装着時にだけ行われるのが一般的である。これは、マスクシートの位置に変動が生じないということを前提とするものである。
【0005】
しかし、マスクシートの位置は変動せずとも、特許文献1のような装置では、ステージの駆動によりその駆動機構に熱膨張が生じる等して経時的にステージに移動誤差(理論上の移動量との誤差)が生じる場合がある。そのため、同一品種の基板を長期的に連続して生産する場合には、生産開始直後、ステージに移動誤差が生じる前に当該ステージに搭載されたマスク認識カメラにより撮像、取得したマスク位置情報と、生産が相当時間経過して上記移動誤差が生じた後のステージに保持される基板Wを固定カメラ(基板認識カメラ)により撮像、取得した基板位置情報とに基づいてマスクシートと基板との位置合わせ行うことにより上記移動誤差分だけマスクシートと基板とに位置ずれが生じ、時間経過と共に印刷ずれが発生することが考えられる。従って、この点に改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、マスクシートに対する基板重装時の位置合わせを長期的に高い精度で行うことにより印刷精度を確保することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、印刷ステージ上に保持される基板をマスクシートに重装し、このシートを介して基板上にペーストを印刷するとともに、前記重装動作に先立ち、マスクシートおよび基板を画像認識してマスク位置情報および基板位置情報を取得し、これらの情報に基づきマスクシートと基板との位置合わせを行うスクリーン印刷装置の前記位置合わせの方法であって、同一品種の基板が継続的に生産されている間、予め設定した条件に従って前記マスクシートの認識を複数回実施することによりマスク位置情報を更新的に取得し、前記重装動作の際に取得されている最新のマスク位置情報に基づき前記位置合わせを行うようにしたものである。
【0008】
このように同一品種の基板が継続的に生産されている間、つまり同じマスクシートが使用されている間、マスク位置情報を更新しながら最新のマスク位置情報を用いてマスクシートと基板の位置合わせを行うようにすれば、マスクシートと基板との相対的な位置関係をより正確に把握することが可能となり、継続的に高い精度でマスクシートと基板との位置合わせを行うことが可能となる。
【0009】
また、本発明は、マスクシートと、その下方に配置されて被処理基板を保持する移動可能な印刷ステージと、前記マスクシートと印刷ステージとが離間した状態でこれらの間を移動可能に設けられ、かつ、前記マスクシートを撮像する第1撮像部および被処理基板を撮像する第2撮像部とを一体に備えた撮像手段と、を備えたスクリーン印刷装置において、被処理基板毎に第2撮像部を用いて基板の撮像を行うとともに、同一品種の基板が継続的に生産されている間、予め設定された条件に従い第1撮像部を用いて前記マスクシートを複数回撮像すべく前記撮像手段を駆動制御する制御手段と、前記撮像の結果に基づきマスク位置および基板位置を求める演算手段と、この演算手段により求められる前記マスク位置を更新的に記憶する記憶手段と、を備え、前記制御手段が、さらに印刷ステージに保持される基板をマスクシートに重装すべく、前記演算手段により求められる基板位置と前記記憶手段に記憶されているマスク位置とに基づき前記印刷ステージを駆動制御するものである。
【0010】
この装置によると、撮像手段によるマスクシートおよび基板の撮像に基づきマスク位置および基板位置が取得され、これらの位置関係に応じて印刷ステージが駆動制御されることによりマスクシートと基板との位置合わせが行われる。この装置では、撮像手段が繰り返し駆動されると、熱膨張等の影響により撮像手段に移動誤差(理論上の移動量との誤差)が生じることが考えられるが、同一品種の基板が継続的に生産されている間は、マスクシートの認識が複数回実施されるとともにマスク位置が更新的に記憶されることにより、上記のような移動誤差を加味した上でマスクシートと基板の位置合わせを行うことが可能となる。
【0011】
また、本発明は、マスクシートと、その下方に配置されて被処理基板を保持する移動可能な印刷ステージと、この印刷ステージと一体に移動可能に設けられて前記マスクシートを撮像する第1撮像手段と、前記印刷ステージ上に保持される被処理基板を撮像する固定式の第2撮像手段と、を備えたスクリーン印刷装置において、被処理基板毎に第2撮像手段を用いて基板の撮像を行うとともに、同一品種の基板が継続的に生産されている間、予め設定された条件に従い第1撮像手段を用いて前記マスクシートを複数回撮像すべく前記印刷ステージを駆動制御する制御手段と、前記撮像の結果に基づきマスク位置および基板位置を求める演算手段と、この演算手段により求められる前記マスク位置を更新的に記憶する記憶手段と、を備え、前記制御手段は、さらに印刷ステージに保持される基板をマスクシートに重装すべく、前記演算手段により求められる基板位置と前記記憶手段に記憶されているマスク位置とに基づき前記印刷ステージを駆動制御するものである。
【0012】
この装置によると、第1撮像手段によるマスクシートの撮像および第2撮像手段による基板の撮像に基づきマスク位置および基板位置が取得され、これらの位置関係に応じて印刷ステージが駆動制御されることによりマスクシートと基板との位置合わせが行われる。この装置では、印刷ステージが繰り返し駆動されると、熱膨張等の影響により印刷ステージ(第1撮像手段)に移動誤差(理論上の移動量との誤差)が生じることが考えられるが、同一品種の基板が継続的に生産されている間は、マスクシートの認識が複数回実施されるとともにマスク位置が更新的に記憶されることにより、上記のような移動誤差を加味した上でマスクシートと基板の位置合わせを行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、同一品種の基板が継続的に生産されている間にマスクシートの認識を複数回実施し、マスク位置情報を更新しながら最新のマスク位置情報を用いてマスクシートと基板の位置合わせを行うため、基板の生産開始時に取得したマスク位置情報を同一品種の基板の生産期間中使い続ける従来のこの種の装置と比べると、マスクシートに対する基板重装時の位置合わせを長期的に高い精度で行うことが可能となる。従って、同一品種の基板を長期に亘って連続生産するような場合でも、高い印刷精度を確保することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0015】
図1及び図2は、本発明に係るスクリーン印刷装置(本発明に係る位置合わせ方法が使用されるスクリーン印刷装置)を概略的に示しており、図1はカバーを取外した状態の要部側面図で、図2は正面図でそれぞれスクリーン印刷装置を示している。
【0016】
これらの図に示すように、スクリーン印刷装置(以下、印刷装置と略す)の基台1上には、印刷ステージ3が設けられ、この印刷ステージ3を挟んでその両側にプリント基板W(以下、基板Wと略す)を印刷ステージ3上に搬入および搬出するための上流側コンベア2Aおよび下流側コンベア2Cが搬送ラインに沿って配置されている。
【0017】
なお、以下の説明では、これらコンベア2A、2Cによる基板Wの搬送方向をX軸方向、これと水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進める。
【0018】
印刷ステージ3は、基板Wを保持してこれを後記マスクシート25に対してその下側から位置決めするもので、主に後述するメインコンベア2B、昇降テーブル18およびクランプ機構4等により構成されている。
【0019】
この印刷ステージ3は、4軸ユニット10に支持されており、同ユニット10の作動によりX軸、Y軸、Z軸およびR軸(Z軸回りの回転)に移動するようになっている。
【0020】
詳しく説明すると、基台1上には、水平面内においてY軸方向に沿ってレール11が配設されるとともに、このレール11にY軸テーブル12がスライド自在に取り付けられている。そして、基台1上に設けられたボールねじ機構(図示省略)がY軸テーブル12に連結され、このボールねじ機構が駆動されることによりY軸テーブル12が基台1に対しY軸方向に移動するように構成されている。
【0021】
Y軸テーブル12上にはX軸方向に沿ってレール13が配設されるとともに、このレール13にX軸テーブル14がスライド自在に取り付けられる。そして、Y軸テーブル12上に設けられたボールねじ機構(図示省略)がX軸テーブル14に連結され、このボールねじ機構が駆動されることによりX軸テーブル14がY軸テーブル12に対しX軸方向に移動するように構成されている。
【0022】
X軸テーブル14にはZ軸方向の軸線回りに回転自在にR軸テーブル16が設けられており、このR軸テーブル16が図外の駆動手段によりX軸テーブル14に対してZ軸回りに回転駆動されるようになっている。
【0023】
R軸テーブル16にはスライド支柱17が上下方向(Z軸方向)に沿ってスライド自在に取り付けられるとともに、このスライド支柱17の上部に昇降テーブル18が取り付けられている。そして、昇降テーブル18とR軸テーブル16との間にボールねじ機構19が設けられ、このボールねじ機構19が駆動されることにより昇降テーブル18がスライド支柱17によりガイドされながらR軸テーブル16に対しZ軸方向(上下方向)に移動するよう構成されている。
【0024】
このように4軸ユニット10は、上記各テーブル12,14,16,18を個別に駆動することにより印刷ステージ3をX軸、Y軸、Z軸およびR軸(Z軸回りの回転)に移動させるように構成されている。
【0025】
昇降テーブル18上には、X軸方向に沿って一対のメインコンベア2Bが設けられるとともに、クランプ機構4、位置決め機構5および載置テーブル20等が設けられている。なお、上記の通り、当実施形態では、これら昇降テーブル18、メインコンベア2B等により、基板Wを保持するための上記印刷ステージ3が構成されている。
【0026】
メインコンベア2Bは、昇降テーブル18の昇降に伴いこれと一体に移動し、昇降テーブル18が所定のホームポジション(下降端位置であって、かつX軸、Y軸およびR軸方向の予め定められた原点位置)にセットされた状態で、上流側コンベア2Aおよび下流側コンベア2Cに対してX軸方向に並ぶように構成されている。そして、このように昇降テーブル18がホームポジションにセットされることにより上流側コンベア2Aから印刷ステージ3(メインコンベア2B)への基板Wの搬入、および印刷ステージ3から下流側コンベア2Cへの基板Wの搬出が行われるようになっている。
【0027】
クランプ機構4は、作業中、基板Wを固定的に保持するもので、Y軸方向に接離可能な一対のクランプ片4aを有し、これらクランプ片4aにより基板WをY軸方向両側から挟み込むことにより固定するように構成されている。このクランプ機構4はエアシリンダを駆動源とし、このエアシリンダの作動によりクランプ片4aが互いに接近したクランプ状態と、両クランプ片4aが互いに離間したクランプ解除状態とに切換えられるように構成されている。
【0028】
位置決め機構5は、詳しく図示していないが、上記クランプ機構4により基板Wをクランプするに先立ち、基板Wの撓み等を規制して基板Wを位置決めするものである。
【0029】
載置テーブル20は、メインコンベア2B上の基板Wをその下側から持上げることにより基板Wを支持するものである。この載置テーブル20は、スライド支柱21により昇降テーブル18上に昇降可能に支持されるとともに、同テーブル20と昇降テーブル18との間に設けられるボールねじ機構(図示省略)に連結されており、このボールねじ機構が駆動されることにより昇降テーブル18に対してZ軸方向(上下方向)に移動するよう構成されている。
【0030】
一方、印刷ステージ3等の上方には、マスク保持ユニット6、スキージユニット7、撮像ユニット8およびクリーナー9等が配置されている。
【0031】
マスク保持ユニット6は、マスクシート25を保持するものである。このマスク保持ユニット6は、図3および図4に示すように、基台1上に支持される高架状の一対のフレーム30にそれぞれ固定されるマスク支持台26を有し、これらマスク支持台26に設けられたマスククランプ27によってマスクシート25の枠部をクランプすることにより、前記印刷ステージ3の上方において、マスクシート25を水平に張り渡した状態で保持するように構成されている。
【0032】
スキージユニット7は、クリーム半田、導電ペースト等のペーストをマスクシート25上でローリング(混練)させながら拡張するものである。
【0033】
このスキージユニット7は、前記各フレーム30上にそれぞれ固定され、Y軸方向に延びるレール31と、これらレール31に跨った状態で装着され、図外の駆動機構によりY軸方向に移動するビーム32と、マスクシート25上でペーストを拡張させるための一対のスキージ33,33と、ビーム32に設けられてこれらスキージ33,33を個別に昇降させる昇降機構とを備えており、印刷時には、ビーム32がY軸方向に往復移動しながらこれらスキージ33,33を交互にマスクシート25の表面に沿って摺動させることにより、マスクシート25上でペーストを拡張するように構成されている。
【0034】
撮像ユニット8は、基板Wおよびマスクシート25を撮像するためのもので、マスク保持ユニット6の下側に設けられている。
【0035】
撮像ユニット8は、マスク認識カメラ41および基板認識カメラ42を一体的に備えたカメラヘッド40(本発明に係る撮像手段に相当する)と、このカメラヘッド40を移動させる駆動機構とを有しており、前記カメラヘッド40をX軸方向およびY軸方向に平面的に移動させることによりマスクシート25および基板Wを撮像するように構成されている。
【0036】
具体的には、前記各フレーム30の下面には、それぞれY軸方向に延びる一対のレール35が設けられ、これらレール35にX軸方向に延びるビーム36が移動可能に装着されるとともに、フレーム30に支持され、かつモータ37により回転駆動されるボールねじ軸38がこのビーム36の図外のナット部分に螺合挿入されている。また、ビーム36にX軸方向に延びる一対のレール39が設けられ、これらレール39にカメラヘッド40が移動可能に装着されるとともに、ビーム36に搭載されるモータ駆動の図外のボールねじ軸がカメラヘッド40の図外のナット部分に螺合挿入されている。すなわち、前記各ボールねじ軸の回転に伴い、ビーム36が前記フレーム30に対してY軸方向に、カメラヘッド40がビーム36に対してX軸方向にそれぞれ移動することにより、カメラヘッド40が後述する印刷作業エリアWEとその外側のエリア(退避エリア)とに亘って平面的に移動するように構成されている。
【0037】
マスク認識カメラ41および基板認識カメラ42は、共に照明を備えたCCDカメラ等から構成されている。これらのカメラのうち、マスク認識カメラ41(本発明に係る第1撮像部に相当する)は、マスクシート25の下面に設けられる位置認識用のマーク(図示省略)を撮像するとともに、必要に応じてマスクシート25の汚れ等を撮像すべく上向きに設けられている。一方、基板認識カメラ42(本発明に係る第2撮像部に相当する)は、基板Wに設けられる位置認識用のマークを撮像すべく下向きに設けられている。なお、これらのカメラ41,42は、光軸が同軸上に並ぶように上下対称にカメラヘッド40に設けられており、これによってX−Y座標平面上の同じ位置(座標位置)で上下相異なる対象物を撮像できるようになっている。
【0038】
クリーナー9は、マスクシート25をその下面側から清掃するもので、撮像ユニット8の前記ビーム36に一体に取付けられている。
【0039】
クリーナー9は、図外の駆動機構により昇降駆動されるクリーニングヘッド44を有しており、清掃時には、このクリーニングヘッド44を上昇位置にセットすることにより、前記ビーム36の移動に伴いこのヘッド44をマスクシート25に摺接させて清掃を行うように構成されている。なお、詳しく図示していないが、クリーニングヘッド44は、拭き取りペーパーを巻回したロールを保持しており、このロールから引出される拭き取りペーパーによりマスクシート下面および開口部の残留ペースト等を吸い出しながら拭き取るように構成されている。
【0040】
なお、この印刷装置は、論理演算を実行する周知のCPU等を有する図外のコントローラを有しており、前記撮像ユニット8のモータ37、カメラヘッド40をX軸方向に駆動する不図示のモータ、4軸ユニット10のX軸、Y軸、Z軸およびR軸の各駆動装置、各コンベア2A,2B,2C、スキージ33、33の昇降装置等の各種アクチュエータ等は全てこのコントローラにより統括的に制御されるようになっている。
【0041】
また、このコントローラには、前記マスク認識カメラ41および基板認識カメラ42により撮像される画像データが送信されるようになっており、この画像データに基づく各種認識、演算および記憶等の処理がこのコントローラにより行われるようになっている。すなわち、当実施形態では、このコントローラが本発明に係る制御手段、演算手段および記憶手段として機能する。
【0042】
ここで、上記コントローラによる印刷動作制御について図5、図6のフローチャートに従って説明する。
【0043】
この印刷装置において生産が開始されると、コントローラは、まず、基板Wに対応した生産プログラムを読み込み、カウンタに初期値「0」をセットする(ステップS1,S3)。この際、印刷ステージ3は、基板Wを保持しない状態でホームポジション(4軸ユニット10において昇降テーブル18が前記ホームポジションにセットされた状態)にセットされており、また、カメラヘッド40は、図7の二点鎖線に示すように、印刷作業エリアWEより外側の所定のホームポジションHPにセットされている。また、スキージユニット7も両スキージ33,33を上昇位置に保持した状態で所定のホームポジションにセットされている。
【0044】
次いで、コントローラは、上記コンベア2A,2Bを駆動して基板Wを印刷ステージ3に搬入、固定する(ステップS5)、印刷ステージ3における基板Wの固定は、まず、前記載置テーブル20を上昇させることによりメインコンベア2Bに搬入された基板Wを持上げ、位置決め機構5により基板Wを位置決めしながらクランプ機構4により基板Wを挟み付けることにより行う。これにより、図7に示すように、基板Wが載置テーブル20により下側から支持され、かつ、クランプ機構4により両側から挟み付けられた状態で水平に保持される。
【0045】
基板Wが印刷ステージ3上に固定されると、コントローラは、カメラヘッド40を駆動して基板Wのマーク認識処理を実行する(ステップS9)。この処理では、図7の実線に示すように、カメラヘッド40が前記ホームポジションHPから印刷作業エリアWEに移動し、基板Wに形成されたマークが基板認識カメラ42により撮像されるとともに、その画像データが前記コントローラに出力される。コントローラは、この画像データに基づき基板Wの位置(座標)を求める。
【0046】
次に、コントローラは、マスクシート25のマーク認識処理を実行する(ステップS11)。この処理は、図6のサブルーチンに従う。
【0047】
まず、コントローラは、マスク位置情報を既に取得しているか否か、換言すればマスクシート25のマーク認識を既に行っているか否かを判断し(ステップS31)、取得していない場合にはマスクシート25のマーク認識動作を実行する(ステップS33)。従って、マスク保持ユニット6に新たなマスクシート25がセットされて生産が開始された直後は、常にこの動作が実行されることとなる。具体的には、マスクシート25の下方にカメラヘッド40が移動することにより前記マークがマスク認識カメラ41により撮像され、その画像データが前記コントローラに出力される(図7参照)。
【0048】
コントローラは、上記マーク認識動作を実行した場合には、その画像データに基づきマスクシート25の位置(座標)を求め、これをマスク位置情報として記憶した後、本サブルーチンの処理を終了する。
【0049】
これに対して、ステップS31でNOと判断すると、コントローラは、さらにマークの再認識実行条件を満たすかを判断し(ステップS37)、満たすと判断した場合には、ステップS33に移行し、上記のマーク認識動作を実行する。この場合、コントローラは、新たに求めたマスク位置情報を上書きすることによりマスク位置情報を更新記憶する。一方、ステップS31でNOと判断した場合には、マーク認識動作を実行することなく本サブルーチンを終了する。
【0050】
なお、マークの上記再認識実行条件は、当実施形態では、同一品種の基板Wが生産されている間、つまり同じマスクシート25が継続的に使用されている間に、当該シート25のマークの認識動作が複数回実施されるように条件設定されている。具体的には、マークの認識動作を行う時間間隔が上記実行条件として設定されている。
【0051】
図5に戻って、マーク認識処理が終了すると、コントローラは、カメラヘッド40を印刷作業エリアWEからホームポジションHPにリセットし(図7の二点鎖線参照)、4軸ユニット10を駆動してX軸およびY軸方向におけるマスクシート25と基板Wとの位置合わせを行った後、図8に示すように、マスクシート25に対して基板Wをその下側から重装する(ステップS13)。この際、コントローラは、ステップS5で記憶した基板位置情報と、ステップS35で記憶したマスク位置情報(すなわち最新のマスク位置情報)とに基づきX軸およびY軸方向におけるマスクシート25と基板Wとの相対的な位置ずれを求めるとともにこの位置ずれに応じた補正量を演算し、この補正量に基づき4軸ユニット10等を駆動制御することによりマスクシート25に対して基板Wの位置合わせを行う。
【0052】
次いで、コントローラは、スキージユニット7を駆動して印刷動作を実行する(ステップS15)。具体的には、スキージユニット7を印所定の刷開始位置に移動させるとともに一方のスキージ33をマスクシート25表面に圧接させる。そして、マスクシート25上にペーストが供給された後、スキージ33をY軸方向に駆動してペーストを拡張し、これによりマスクシート25の開口を介して基板W上にペーストを印刷(塗布)する。
【0053】
印刷動作が終了すると、コントローラは、印刷ステージ3を少量下降させることによりマスクシート25から基板Wを離脱(版離れ)させ、その後、速やかに印刷ステージ3をホームポジションにリセットする(ステップS17)。
【0054】
印刷ステージ3がホームポジションにリセットされると、コントローラは、クランプ機構4による基板Wの固定を解除し、さらにコンベア2B,2Cを駆動して基板Wを搬出する(ステップS19,S21)。加えてマスクシート25のクリーニング動作を実行する(ステップS23)。具体的には、撮像ユニット8(ビーム36)を駆動することによりこれと一体にクリーナー9をY軸方向に往復させながらクリーニングヘッド44をマスクシート25に対してその下側から摺接させる。
【0055】
こうしてマスクシート25のクリーニング動作が終了すると、コントローラは、カウンタ値を「1」だけインクリメントし、そのカウント値が生産予定数を超えたか、つまり生産枚数の処理が完了したか否かを判断し(ステップS27)、完了していない場合には、ステップS5にリターンして次の基板Wの処理に移行し、最終的に生産予定数の処理が完了していると判断すると(ステップS27でYES)、当品種の基板Wの生産を終了する。
【0056】
以上のように、この印刷装置では、同一品種の基板Wが生産されている間、つまり同一のマスクシート25が使用されている間(生産開始〜生産終了までの間は)、所定時間が経過する毎にマスクシート25のマークの認識動作が実行されて、その認識結果(マスク位置情報)が更新的に記憶されるようになっているので(ステップS37,33,35)、生産期間が比較的長期に亘るような場合でも、マスクシート25に対する基板Wの位置合わせ精度を高く保つことができる。すなわち、従来のこの種の印刷装置のように、一度取得したマスク位置情報を生産期間中継続的に使用することも考えられるが、この場合、カメラヘッド40が繰り返し駆動されると、カメラヘッド40の駆動機構(ボールねじ軸38等)に熱膨張が生じて経時的に移動誤差(理論上の移動量との誤差)が生じることが考えられ次のような問題がある。つまり、マスクシート25のセット直後、上記移動誤差が生じる前にカメラヘッド40により撮像、取得したマスク位置情報と、生産が相当時間経過して上記移動誤差が生じた後のカメラヘッド40により撮像、取得した基板位置情報とに基づいてマスクシート25と基板Wとの位置合わせを行うとすれば、マスクシート25と基板Wとの間に上記移動誤差分の位置ずれを伴うこととなり正確な位置合わせを行うこが困難となる。この点、上記実施形態の印刷装置によると、マスクシート25のマーク認識動作が所定時間毎に実行されることによりマスク位置情報が定期的に更新されるため、上記のような移動誤差が加味された上でマスクシート25と基板Wとの位置合わせが行われることとなる。
【0057】
従って、同一品種の基板Wを長期的に、かつ連続して生産するような場合でも、マスクシートに対する基板重装時の位置合わせ精度を長期的に高く保つことができ、その結果、高い印刷精度を保つことができるようになる。
【0058】
なお、マスクシート25のマーク認識動作を基板Wのマーク認識動作と同様に基板毎に毎回実施することも考えられるが、あえて再認識実行条件を設定してこの条件が満たされた場合にだけマーク認識動作を実行しているのは、第1に、熱膨張に起因して生じるカメラヘッド40の移動誤差は短時間に大きく変動するというものではなく、一定の時間間隔で定期的にマーク認識動作を行えばマスク位置情報の信頼性を十分に確保することができること、第2に、基板毎に毎回マスクシート25のマーク認識動作を実行するとすれば、スループットが低下し、生産性がいたずらに犠牲になるためである。従って、上記の印刷装置では、印刷精度の確保と生産性の確保とを調和させて、合理的に基板Wの生産を進めることができるという利点もある。
【0059】
ところで、上記実施形態では、マスクシート25のマーク認識動作の実行条件(図6のステップS37の再認識実行条件)として、所定の時間が設定されており、この時間が経過する毎にマーク認識動作が実行されるようになっているが、この実行条件は次のようなものであってもよい。すなわち、1)所定回数の印刷動作を行ったか、2)カメラヘッド40が所定距離以上の軸移動を行ったか、3)カメラヘッド40が所定回数の軸移動を行ったか、4)所定温度以上の温度変化があったか、等の条件に基づいてマーク認識動作を実行するようにしてもよい。なお、上記項目4)の温度は、カメラヘッド40の駆動機構、例えばボールねじ軸38の軸受け部分の温度を検出する温度検出手段を設け、これによる検出温度に基づき判断するようにすればよい。
【0060】
また、上記実施形態は、主にカメラヘッド40を駆動する駆動機構(ボールねじ軸38等)の熱膨張による移動誤差を考慮した構成となっているが、4軸ユニット10の駆動機構(4軸ユニット10に組み込まれるボールネジ軸等)に熱膨張が生じて経時的に印刷ステージ3に移動誤差(理論上の移動量との誤差)が生じることも考えられるため、この印刷ステージ3の移動誤差をさらに考慮した構成としてもよい。
【0061】
具体的には、印刷ステージ上に少なくとも一対のマークを設けておき(基板Wに設けられるマークを利用してもよい)、カメラヘッド40を印刷作業エリアWE内に配置した状態で、印刷ステージ3側を移動させながらこれらマークを基板認識カメラ42により順次撮像し、その画像上の両マークの位置に基づき印刷ステージ3の移動誤差を求め、この移動誤差を加味した上でマスクシート25と基板Wとの位置合わせを行うようにしてもよい。この構成によれば、印刷ステージ3側の移動誤差が考慮される分、マスクシート25に対する基板重装時の位置合わせをより精度良く行うことが可能となる。この場合には、マスクシート25のマーク再認識実行条件と同じ条件、あるいはこれとは別のマーク認識実行条件を設定しておき、その条件が満たされた場合にマーク認識動作を実行し、その結果(誤差情報)を更新的に記憶することにより、最新の誤差情報を加味してマスクシート25と基板Wとの位置合わせを行うようにすればよい。
【0062】
また、上述した印刷装置では、マスク認識カメラ41と基板認識カメラ42とを一体に搭載したカメラヘッド40を設け、このカメラヘッド40を、印刷ステージ3上に保持された基板Wとマスクシート25との間の部分(印刷作業エリアWE)で移動させることにより、マスクシート25および基板Wの各マークの認識を行うようにしているが、本発明は、この構成以外に、従来技術で説明したような構成の印刷装置にも適用可能である。
【0063】
具体的には、図9に示すように(図1等に示した装置と共通する部分には同一の符号を付している)、4軸ユニット10のうち印刷ステージ3と一体に移動する部分にマスク認識用カメラ41(本発明に係る第1撮像手段に相当する)を上向きに搭載し、印刷ステージ3と一体にマスク認識用カメラ41を移動させてマスクシート25のマークを撮像、認識する一方、装置フレームに基板認識カメラ42(本発明に係る第2撮像手段に相当する)を下向きに固定的に設置し、印刷ステージ3を基板認識カメラ42の下方に移動させて基板W上のマークを撮像、認識するようなスクリーン印刷装置の構成についても本発明は適用可能である。
【0064】
すなわち、この装置の場合も、4軸ユニット10の駆動機構に熱膨張が生じる等して経時的に印刷ステージ3に移動誤差(理論上の移動量との誤差)が生じることが考えられ、この場合、マスクシート25のセット直後、印刷ステージ3に移動誤差が生じる前に当該ステージ3に搭載されたマスク認識カメラ41により撮像、取得したマスク位置情報と、生産が相当時間経過して移動誤差が生じた後の印刷ステージ3に保持される基板Wを固定カメラ(基板認識カメラ42)により撮像、取得した基板位置情報と、に基づいてマスクシート25と基板Wとの位置合わせを行うとすれば、上記移動誤差分だけマスクシート25と基板Wとに位置ずれが生じることとなる。従って、このような構成の場合にも、基本的には図5,図6のフローチャートに準じてマスクシート25のマーク認識動作を所定時間毎に実行してマスク位置情報を定期的に更新することによりマスクシート25と基板Wとの位置合わせを長期的に精度良く行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係るスクリーン印刷装置(本発明に係る重ね合わせ方法が使用されるスクリーン印刷装置)を示す側面図である。
【図2】スクリーン印刷装置を示す正面図である。
【図3】スクリーン印刷装置を示す斜視図である。
【図4】スキージユニット7を除いた状態のスクリーン印刷装置の斜視図である。
【図5】印刷動作制御の一例を示すフローチャート(メインルーチン)である。
【図6】印刷動作制御の一例を示すフローチャート(サブルーチン)である。
【図7】印刷動作中の一状態を示す模式図(カメラヘッドが印刷作業エリアに移動している状態)である。
【図8】印刷動作中の一状態を示す模式図(印刷準備が完了した状態)である。
【図9】本発明に係る別のスクリーン印刷装置(本発明に係る重ね合わせ方法が使用されるスクリーン印刷装置)を示す側面図である。
【符号の説明】
【0066】
3 印刷ステージ
6 マスク保持ユニット
7 スキージユニット
8 撮像ユニット
9 クリーナー
10 4軸ユニット
25 マスクシート
40 カメラヘッド
41 マスク認識カメラ
42 基板認識カメラ
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ステージ上に保持される基板をマスクシートに重装し、このシートを介して基板上にペーストを印刷するとともに、前記重装動作に先立ち、マスクシートおよび基板を画像認識してマスク位置情報および基板位置情報を取得し、これらの情報に基づきマスクシートと基板との位置合わせを行うスクリーン印刷装置の前記位置合わせの方法であって、
同一品種の基板が継続的に生産されている間に、予め設定した条件に従って前記マスクシートの認識を複数回実施することによりマスク位置情報を更新的に取得し、前記重装動作の際に取得されている最新のマスク位置情報に基づき前記位置合わせを行うことを特徴とする位置合わせ方法。
【請求項2】
マスクシートと、その下方に配置されて被処理基板を保持する移動可能な印刷ステージと、前記マスクシートと印刷ステージとが離間した状態でこれらの間を移動可能に設けられ、かつ、前記マスクシートを撮像する第1撮像部および被処理基板を撮像する第2撮像部とを一体に備えた撮像手段と、を備えたスクリーン印刷装置において、
被処理基板毎に第2撮像部を用いて基板の撮像を行うとともに、同一品種の基板が継続的に生産されている間、予め設定された条件に従い第1撮像部を用いて前記マスクシートを複数回撮像すべく前記撮像手段を駆動制御する制御手段と、
前記撮像の結果に基づきマスク位置および基板位置を求める演算手段と、
この演算手段により求められる前記マスク位置を更新的に記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、さらに印刷ステージに保持される基板をマスクシートに重装すべく、前記演算手段により求められる基板位置と前記記憶手段に記憶されているマスク位置とに基づき前記印刷ステージを駆動制御する
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項3】
マスクシートと、その下方に配置されて被処理基板を保持する移動可能な印刷ステージと、この印刷ステージと一体に移動可能に設けられて前記マスクシートを撮像する第1撮像手段と、前記印刷ステージ上に保持される被処理基板を撮像する固定式の第2撮像手段と、を備えたスクリーン印刷装置において、
被処理基板毎に第2撮像手段を用いて基板の撮像を行うとともに、同一品種の基板が継続的に生産されている間、予め設定された条件に従い第1撮像手段を用いて前記マスクシートを複数回撮像すべく前記印刷ステージを駆動制御する制御手段と、
前記撮像の結果に基づきマスク位置および基板位置を求める演算手段と、
この演算手段により求められる前記マスク位置を更新的に記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、さらに印刷ステージに保持される基板をマスクシートに重装すべく、前記演算手段により求められる基板位置と前記記憶手段に記憶されているマスク位置とに基づき前記印刷ステージを駆動制御する
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−18605(P2008−18605A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−191839(P2006−191839)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】