位置情報を持つ複数IDのグループ化方法および動線の予測もしくは補間を行う動線管理システム
【課題】動線管理システムにおける位置情報を取得するにあたって、IDタグの数が多量になり、ネットワーク上のデータトラフィックが膨大になることによって、必要な位置情報の取得の失敗や遅延が発生してしまう問題をリアルタイム性を損なわずに解決する。
【解決手段】無線範囲内に存在する複数IDタグの中から同じ動線を辿る集団を認識する為のIDタグ間の移動速度と進行方向とIDタグ間の指定範囲を比較しグループ化判定し、グループ動線を作成する手段。外挿法により動線予測を行う手段。内挿法により動線補完を行う手段。また、動線予測補完に於ける禁止領域への干渉を外部情報を持って管理する手段。
【解決手段】無線範囲内に存在する複数IDタグの中から同じ動線を辿る集団を認識する為のIDタグ間の移動速度と進行方向とIDタグ間の指定範囲を比較しグループ化判定し、グループ動線を作成する手段。外挿法により動線予測を行う手段。内挿法により動線補完を行う手段。また、動線予測補完に於ける禁止領域への干渉を外部情報を持って管理する手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動線管理システムにおけるリアルタイム性を確保しながらもトラフィック軽減を可能にすることを目的とした、位置情報収集処理および動線の予測補間に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、動線管理システムにおける位置情報を取得するにあたって全てのIDタグについて一様に情報を取得していた。このため、IDタグの数が増えるにつれネットワーク上のデータトラフィックもまた膨大となり、ひいては必要な情報の取得に失敗したり、遅延したりする状況が発生していた。
また、ネットワーク上のデータトラフィックの増大に対して、位置情報収集の頻度を下げれば対応可能だったが、この場合は位置情報の精度(リアルタイム性)を犠牲にすることになっていた。
また、ネットワーク上のデータトラフィックの増大に関しては、データの圧縮を適用する方法もあるが、位置情報は正確にネットワーク上を伝送する必要性があるため可逆圧縮を適用せざるを得なかった。しかしながら可逆圧縮では圧縮率に限界があるので、必要な情報の取得を失敗したり、遅延したりする状況の改善には至らなかった。
【発明の開示】
【解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、動線管理システムにおける位置情報を取得するにあたって、IDタグの数が多量になり、ネットワーク上のデータトラフィックが膨大になることによって、必要な位置情報の取得の失敗や遅延が発生してしまう問題をリアルタイム性を損なわずに解決することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
RFIDを用いたIDタグの動線を管理するシステムにおいて、複数のIDタグの管理情報を各IDタグが持つID番号により識別する(以下、これを識別IDと言う。)。
識別IDと位置情報と識別IDの情報取得時刻を一定時間ごとに記録する。
IDタグの動線とは、移動速度と進行方向を時系列的に追従することをいい、IDタグが単数および複数何れについても同様である。グループ化とは、同じ動線を持ち且つ指定範囲内に存在するIDタグを同一のグループとして扱う管理方法をいう。
RFIDシステムの応答範囲に存在する複数のIDの中から、ある一定時間にグループで移動しているID群を認識する為に、互いのIDタグ間の移動速度と進行方向のデータを取得し、そのデータとあらかじめ指定された距離を比較する事でグループの決定をする。また、上述で決定されたグループから代表IDを選出する。
尚、ここでいう「代表ID」とは、グループを代表するIDタグが持つ識別IDのことをいう。代表IDの動線をグループの動線として管理するため、グループにとって代表IDは特別な意味を持つことになる。
【0005】
代表IDの動線とグループの属性情報によって、グループに所属する全てのIDタグの動線管理を行う。
上述の手段で決定されたグループに、動的な単数の識別IDと、動的な複数の識別IDの追加と、動的な単独もしくは複数グループの追加を行う。
グループ化を行った後に、そのグループから個別に離脱した識別IDをグループIDから登録を解除、つまり属性IDの管理下から離脱した識別IDを開放若しくは削除する。
グループからグループが離脱する処理においては、そのグループIDから離脱する識別IDは常に単独であり、逐次離脱の処理を追従する。
グループから離脱した後に、複数の識別ID間においてグループ化処理の適用要件が成立する場合には、同時に新規グループの代表IDの決定を行う。
【0006】
また、グループ内の複数の識別IDをグループ属性として管理する際に、属性としてグループに所属する識別IDを「属性ID」と呼び、属性IDには個別の位置情報やサンプリング周期情報等を含む属性情報を持つ仕組みを備え、それらの中で選出された代表IDをグループの代表として扱う。
グループの選出方法については、グループにおける進行方向の先頭に位置し、かつ動線管理の範囲を上面から見たときに左端に位置するものを代表IDとして選出する方法等が考えられる。
この代表IDについては、ほかの属性IDと異なり、グループに属する代表IDを除く属性IDのメンバー数の情報をもつことが考えられる。
また、代表IDに関して発行する属性IDは、固定とする。
また、ここでいう「属性ID」とは、グループ内に属する全ての識別IDに対して発行される識別子であり、それらの中で先頭には必ず代表IDを置くことを定義する。
【0007】
識別IDもしくはグループIDにおいて基本設定に従って優先度の高い設定をサンプリング間隔として設定することを通常行い、属性IDに対しては、やはり基本設定に従ってサンプリング間隔を設定するものであるが、優先度の低いサンプリング間隔を基本的に設定することが考えられる。
このときのサンプリング間隔について、優先度が高いとは短時間であることをいい、優先度が低いとは優先度が高いときのサンプリング間隔よりも長時間であることをいう。
グループの属性として管理される識別IDについては、ネットワークにおけるトラフィックの軽減を目的とし、任意に位置情報のサンプリング間隔を操作できるものとし、その設定方法としては、初期の値もしくはファイル等を用いる可変的な方法や、GUIなどの操作制御を行う機能ブロックから得られることも可能であり、任意もしくは動的に位置情報のサンプリング間隔を操作できる仕組みを備え、かつそれぞれの属性として管理される識別IDに対し個別に設定することを可能とする。
グループID内の属性については、常に上述ローカルサーバに全てのデータを転送する必要は無く、常に転送を必要とするのは、代表IDとなる識別IDのみである。
また他の属性IDに関しては、離散・集合が発生することが考えられる。
上述を起因としてグループID内のデータに変化が発生する場合、もしくはサンプリング間隔に従って各属性情報が更新される等の場合のみ転送が行われる。
ただし、このときにおいても差分の発生した属性IDについてだけデータを転送することが考えられる。
【0008】
近接するローカルエリア間においては、その一部を重複させる。これはIDタグのエリア間の移動を確実にすることを目的とする。IDタグが以前から属するローカルエリアに存在する限りは、識別IDもしくはグループIDの管理は以前から属するローカルエリアが行うものとする。このとき、一部重複する新規ローカルエリアにおいて上述のIDタグが検出されていても、これを無効とする。
進行方向に近接ローカルエリアにおけるローカルエリア間定義を超えたときに新規ローカルエリアにおける識別IDもしくはグループIDを有効とする。また、このとき以前属していたローカルエリアにて上記IDが検出されたとしたらこれを無効とする。
上述で定義されるローカルエリアを管理するローカルPCの制御によって、識別IDもしくはグループIDの移動を管理する方法をローカルエリア間定義と言う。
【0009】
上述ローカルエリア間における識別IDもしくはグループIDの制御を移動する方法において、制御の移動を完了した識別IDもしくはグループIDが逆行を行い、移動元のローカルエリアに再度移動を行う場合においても、移動履歴を持たない場合は、請求項5の処理を適用する。
【0010】
ローカルサーバにおいても、ローカルエリア間と同様にローカルエリア間の重複処理が発生する。これに対しても請求項5の手段を用いて対処することが考えられる。この結果得られた有効データに対し、各グループIDに属する属性IDと属性IDが持つ位置情報を抽出し、代表IDとの相対座標を算出し、代表IDに関しては絶対値座標を格納する。
【0011】
本発明の動線管理システムにおける動線予測の方法とは、図4に示す外挿法により動線を予測するものである。通常の動線に対しては識別IDもしくはグループIDの直近のベクトルを延長して進行方向を決定する。このときの予測位置を予測点と言う。動線予測には、一定の誤差を許容する為に範囲を持たせることが考えられるが、その範囲は三角形を代表とする多角形もしくは円および楕円の形状を有して実現することが考えられる。予測点への距離は、識別IDもしくはグループIDの速度により決定される。
【0012】
屋内屋外を問わず、本発明の動線管理システムが管理する範囲内には、動線管理上の禁止領域が存在する。禁止領域とは、例えばIDタグを取り付けた人間もしくは人間以外のものが、進入出来ないと想定される領域のことを言う。禁止領域の定義については、DXFやIGESに代表されるような、CADアプリケーションにて使用される2次元または3次元での寸法表現が可能であるファイルフォーマット、もしくは同等の情報形式による情報を用いて行い、上述で定義された禁止領域へのIDタグの干渉を管理する。
また、禁止領域近時の際に使用する動線予測の方法とは、外挿法と許容範囲により動線を予測するものである。禁止領域に接近したIDタグの動線は、識別IDもしくはグループIDの直近のベクトルによって、IDタグの現在地を基点として予測点に直角を置き方向を決定する。
予測点への距離は識別IDもしくはグループIDの速度およびサンプリング間隔により決定する。直角三角形の斜辺の向きは、禁止領域との距離によって決定する。このとき、予測点への移動をリアルタイムに監視し、予測点へ配置した直角三角形の範囲内に当該する識別IDもしくはグループIDが検出されていれば、予測点が正しいと判断する。IDの現在位置が、予測点へ配置された直角三角形の外にいる場合には、予測を一旦解除し、新たに動線予測を行なう。
ただし、このような途中解除の際には、予測点への時間経過を加味し距離の再算出を行なう。予測点へ向けて配置した前記の直角三角形を外れずに設定時間が経過した場合、最新のサンプリング結果を基に予測点を更新する。
【0013】
動線予測とは、請求項4の手段によるサンプリング間隔の優先度を下げた識別IDもしくはグループIDに対して行なうことを主に目的とした処理であり、常に更新を行わなくても動線予測を適用することにより、動線における情報品質にリアルタイム性を持たせることが可能となる。前記グループ化処理との組合せを持ってネットワーク上のトラフィック軽減に寄与するものである。ただし、優先度の低い識別IDもしくはグループIDのみに適用されるということではない。
【0014】
特殊な禁止領域近時の際に使用する動線予測の方法とは、請求項8に記載する方法が基本となるが、禁止領域内の障害物が、柱状や凸状、直角に代表する角度を持つ、もしくはそれらの組合せ形状等をもっていて、IDタグの移動軌跡が禁止領域を避けて弧を描くように回りこむことが想定される。この場合は、前記請求項8にて定義した直角三角形の他に円を使用することが考えられる。
したがって、上述手段によれば、IDタグの直近の動線ベクトルに従って算出した予測点へ禁止領域を回避しようとする向きに対して半円を描く軌跡を持たせることになる。
また、半円の向きは、禁止領域との干渉の度合いによって決定する。
予測点決定後は、識別IDもしくはグループIDの予測点への移動をリアルタイムに監視する。
このとき動線予測の範囲内に、上述のIDが検出されれば、予測点が正しいと判断する。
上述IDタグの現在位置が動線予測の範囲外にいる場合には、予測を一旦解除し、新たに動線予測を行なう。ただし、このような途中解除の際には、予測点への時間経過が加味され距離の再算出が行われる。
上述IDタグの現在位置が、動線予測の範囲を外れずに設定時間が経過した場合、最新のサンプリング結果を基に予測点を更新する。
(一例として半円における動線予測の方法を挙げたが、これに限定されない。)
また、上述の軌跡の傾向が予め予測されている場合などは、外部からの設定を行なうことによって、任意の角度の設定で動線予測が可能となる仕組みを備えることが考えられる。また、任意の角度の設定とは禁止領域ごと個別に設定すること、総体的に設定することが可能であることが考えられる。また、それら個別の設定と総体的な設定は重複すること、優先順位を持つことが考えられる。
【0015】
IDタグが禁止領域を回避しようとする動線の予測に関しては、予めその回避予測方法を禁止領域毎に設定し対応する手段も考えられる。この場合、禁止領域に沿って回避の予測領域を設定し、その予測領域への入射角を持って禁止領域回避の軌跡を予測することが考えられる。
また、禁止領域への接近に対しては、予め用意された禁止領域を把握し動線予測を行なう方法と、予測点の算出後にIDの移動軌跡と禁止領域の干渉を確認する機能を備える。
上述の「IDの移動軌跡と禁止領域との干渉」の本発明における定義は、禁止領域の境界との直接の干渉と、禁止領域から任意の距離のマージンをとった境界との干渉とする。
上述で定義した禁止領域への干渉を検知した場合には、直線ベクトルによる動線予測を解除し、禁止領域内の障害物の形状に依存して回折もしくは半円による回避を行なう機能を備える。
【0016】
本発明の動線補完とは、特に、請求項4により定義されるサンプリング間隔の低い設定に対して有効な手段である。表示される識別IDもしくはグループID群の中で最短サンプリング間隔を持つID群に対してはリアルタイム表示が行われるが、その他のID群は、リアルタイム性を持っていないためである。
動線補完対象の判定については、予め設定された識別子を用いて意図的に行われることとする。
本発明の動線補完の「対象ID」とは、識別IDまたはグループIDのような、表示対象となるIDデータのことを示す。
動線補完により表示処理は、最短サンプリング間隔に同期される。このとき対象IDに対しては内挿処理によって、対象IDの動線をトレースするデータが生成される。
上述の対象IDが持つ位置情報は、当然、予測点を示すものであり予測点をもとにして現在位置を求めるものとする。このため、それぞれの対象IDは位置情報と速度情報と方向情報を備え、動線補完対象の識別子と、実際のサンプリング間隔と最短のサンプリング間隔毎の比較を持って動線補完を実現する処理を言う。
【0017】
動線補完の禁止領域との干渉は、次に示す2つの方法が考えられる。一つは半円、円、楕円もしくは多角形等の形状を持って行う方法である。もう一つは禁止領域の回避傾向情報を予め設定することにより補間を行う方法である。
動線補完は、現在位置と予測位置と禁止領域の座標データを用いて行われ、現在位置と禁止領域の間が、指定範囲にかかる場合、もしくは禁止領域にかかる場合には、回避処理を行う。回避処理とは、予測位置と現在位置との距離を測定し、測定結果を基に回折回避に使用する半円の直径値とし半円の軌跡を設定する。これを動線補完の経路とすることを言う。
この方法を用いれば、上述の対象IDについても速度データを使用することにより、一定間隔の動線をディスプレイ表示上にて実現できる。
【0018】
ある狭路への変化点もしくは、直角に代表する角度を持つ曲がり角等、もしくはそれらの連続する場所において、グループが通過する際にグループに所属する属性ID間の距離を狭める等の人の流動性に則した処理を行う。これについても禁止領域データ上に情報を持ち対象IDの動線に併せて、進行方向と横方向に対してIDタグ間の距離と指定範囲の双方に対して補正係数を持って対応するものである。よって、上述手段により、狭路もしくは曲がり角への密集化に対応する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明実施例の動線管理システムの単純構成を示す図である。
本発明の1実施例である動線管理システムは、質問器、ローカルエリア、ローカルPC、ローカルサーバエリア、ローカルサーバ、GUI用PCで構成される事を示す。
【0020】
図2は、本発明の実施例の動線管理システムの構成要素と階層関係を示す図である。
各ローカルエリアで管理されている質問器から転送されるIDタグの取得データは、ローカルPCへ一旦収集され、次にローカルサーバへ移動する。また、GUI用PCで入出力が行われることを示す。
【0021】
図3は、本発明の実施例のローカルエリアおよび隣接エリアとの重複を示す図である。
まず、近接するローカルエリア間は、その一部を重複させておく。
次に、位置情報については、質問器より取得生成し、ローカルPCに送信する。ローカルPCでは、各質問器の情報を整理し、ローカルPC間定義により重複を確認した後、同一IDタグに対して3方向の距離情報から位置を算出し、2次元情報としての位置情報に変換後使用する。移動速度および移動方向に関しては、更に時系列的な2点間の情報取得を行なった後、移動距離から速度情報、移動した座標の差分から方向を算出する。このようにして、IDタグごとの位置情報と進行方向と移動速度の情報を取得する。
上述は実施例の一つであり、各処理については、状況および環境により処理階層は任意の階層へ移ることが考えられる。
【0022】
図4は、本発明の実施例の直線における動線予測補間を示すグラフである。
外挿法により動線を予測する過程の一部であり、予測点への距離は識別IDもしくはグループIDの速度により決定されることを示す。
【0023】
図5は、本発明の実施例の許容誤差を持つ動線予測補間を示すグラフである。
直角三角形によって禁止領域近時の際に使用する動線予測の方法である。外挿法と許容範囲により、禁止領域に接近したIDタグの動線は、識別IDもしくはグループIDの直近のベクトルによって、IDタグの現在地を基点として予測点に直角を置き方向が決定されることを示す。また、予測点への距離は、識別IDもしくはグループIDの速度およびサンプリング間隔により決定する。直角三角形の斜辺の向きは、禁止領域との距離によって決定する。
【0024】
図6は、本発明の実施例の半円による動線予測補間の一例を示す。
【0025】
図7は、本発明の実施例のID検出から表示までの概略処理フロー図を示す。
IDタグの検出を行った後、グループ化処理、動線予測処理、動線補完処理を経た後に、動線GUI用PCに表示される処理順序を示す。
【0026】
図8は、本発明の実施例のグループ化処理の概略処理フロー図を示す。
位置情報サンプリングの後、ID検出、グループ検出、グループ化の順に処理が行われる処理順序を示す。
ID検出がYESの場合、グループ検出へ移行する。グループ検出がNGであった場合はグループが存在しなかったという判定となり、YESの場合はグループ化処理が行われる。
【0027】
図9は、本発明の実施例の動線予測処理の概略処理フロー図を示す。
ID群の中で最短サンプリング間隔がNOの場合、動線予測フラグONとなり、禁止領域に干渉するか判定を行う。上述の判定がYESの場合には、禁止領域を迂回させる(回折)動線を行うかどうかの判定に移り、状況に応じて図5で示した三角予測処理か、図6で示した半円予測処理か選択される。
また、上述の判定がNOの場合は、予測処理が選択される。
【0028】
図10は、本発明の実施例の動線補間処理の概略処理フロー図である。
グループの場合は、属性情報を展開し予測フラグを検出する。次に禁止領域への干渉方法を判定し、適切な処理を施す処理フローである。単独の識別IDの場合には、属性展開処理を省略する。
【0029】
図11は、本発明の実施例のグループの構成を示す。
グループの構成方法については、グループ(7)は、そのグループの基点とする代表ID(5)が1つと、グループに属するその他のID(6)が1つ以上から構成される。
上述のように、識別IDのグループ化を行うことにより、グループに属する識別IDの動きはそのグループの動きでよく近似することができる。従って、グループの動きを代表IDのみ位置情報の収集頻度を高くしておけば、他の識別IDの位置情報の収集頻度を低くしても、位置情報の精度を損ねることなくトラフィック増大を減らすことが可能となる。
【0030】
図12〜14は、本発明の実施例のグループを構成するまでの過程を示す図である。
【0031】
図12は、グループ化を開始するところを示す。グループ化にあたってIDの中から代表IDを選出する。
ここでは仮に、代表IDの選出方法を進行方向の先頭且つ左端にあるものと定義する。この方法は、各システムの設置用件に任意に対応するものであり、初期設定等にて可変可能とすることが望ましい。また、一度選出後に進行方向および横方向において設定条件を外れても代表IDとして機能するものとする。一定時間毎に全ての識別IDのうち、代表でなく且つ関連付けのされていない識別IDについて、タグ間距離が指定範囲内にあり、進行方向と移動速度が共に等しく、且つ他の代表IDと関連を持っていない識別IDが周囲に存在するか確認し、それらの条件を満たす識別IDがある場合は、これを関連付ける(8)。ここで、一定期間およびタグ間距離における指定範囲について補足するが、これは任意可変な初期設定等もしくはGUI等のユーザインタフェースによる直接指定などが考えられる。これ以降に同じ表現を行なう場合、同様の意味を持つものである。この時点での関連付けは、代表IDが他の識別IDをグループ化できるか否かを判定することを目的として監視下に置くことを示しており、この時点では各IDはグループに属していない状態である。
【0032】
図13は、グループ化の途中状態を示す。代表IDが関連付けした識別IDについては、その後指定時間ごとに代表IDとの間の距離を求め、もし距離が指定範囲から外れていたら関連付けを解除する。
【0033】
図14は、グループ化の完了を示す。代表IDと関連付けられた識別IDの間で、指定時間以上関連付けが維持された場合、関連付けされた識別IDは代表IDのグループに属する。この時点でグループ化が完了する。
従って、関連付けを行なっただけの状況では、各識別IDは単独であり独立した処理を行うものである。
グループ化完了時点より、グループとして情報管理が始まる。
【0034】
グループの解除の方法については、グループに属する属性IDは、位置情報収集毎に代表IDとの距離を求め、もし距離が指定範囲を外れていたらグループとの関連を解除する。
この場合の指定範囲についても任意可変な初期設定等もしくはGUI等のユーザインタフェースによる直接指定などが考えられるものであり、これ以降に同じ表現を行なう場合、同様の意味を持つものである。また、上述グループ化の際の指定範囲とは異なる設定項目であることが望ましい。これは、一旦グループ化を行ったものについての結びつきの強度を可変にすることなどが容易に考えられるからである。その他、復帰待ち等の判定処理を付加することが同様に考えられる。代表IDは、指定された距離内に、代表でなく且つ関連付けのされていない識別IDが一つも無い状態になった時にそのグループの代表IDであることを解除する。代表IDが解除されることで、グループは解除される。
【0035】
図15〜17は、本発明の実施例のグループ化によって、動線管理を行う過程を示す。
グループに属するIDの位置情報収集については、グループに属するIDのうち、代表IDのみ必要な精度(リアルタイム性)の収集間隔を設定する。代表ID以外の識別IDに関しては、それまでの位置情報収集間隔を別に記録した後に、代表IDよりも長い収集間隔を新しく設定する。これによって、位置情報の収集回数を減らすことが出来る。また、代表ID以外については、図15に示す実際の位置収集の間の点を図16に示すグループの動き(位置)から図17に示す補間した位置(10)で、その位置をよく近似できるので、全体の位置情報の精度は保つことができる。
ただし、グループID毎についても位置情報収集間隔を可変可能な仕組みを持つことが可能なことは言うまでも無い。
【0036】
代表ID自体がグループから解除される場合には、属性ID解除方法と同一の過程を経る。但し、代表IDが不在となる時は、次の代表IDを選出する必要がある。この場合の代表ID選出方法は、上述の代表IDを選出をグループを解除せずに行なう方法と、一旦グループを解除した後に代表IDを選出する方法と単純な取り決めによって代表IDを選出する方法が考えられる。尚、これらの方法を持って代表ID交代の方法と言う。
【0037】
グループメンバの上限については、特にこれを規定しない。例えば、道もしくは通路等の幅いっぱいに人が並ぶことが考えられる。同じ距離・速度・方向への同一性を持つグループの成立要件を満たす状態は、正月の初詣やコンサート会場の退場時等を想定すれば容易に想定することが出来る。このような場合、グループ化のメンバ上限を設定するのは、そのシステムの構成要件に依存するべきであり、ここで上限を設定する必要性は無いものである。なぜならば、本システムのグループ化処理は、前記グループ化の解除もしくは代表ID交代の方法を組合せることにより、前記状態についても柔軟に対することが可能だからである。
【0038】
異なる移動速度でのグループ同士の接近については、移動速度の差分によりグループ化の成立要件を満たすことが無いので、グループ化処理が発生しないものである。
【0039】
図18は、本発明の実施例のグループ同士の結合を示す図である。
グループとグループの合流についても、単独の識別IDがグループIDとグループ化の処理を行なうのと同様に、移動速度、進行方向と指定範囲が一致する、つまりグループ化の成立要件が成立すればグループ化処理が適用されることとなる。このとき、合流中に各グループが停止したとしても成立要件が成立すれば、なんら支障の無いものとする。
【0040】
図19は、本発明の実施例のグループからの離脱を示す図である。
一つのグループから単独およびグループの離散が発生した場合についても、各々の現象は、各識別IDの解除方法に分解されて並行処理が実行される。
【0041】
グループ化の指定範囲については、代表IDに固定する方法と属性ID毎に適用することが考えられる。
【0042】
本発明による動線管理システムのGUI部は、スタンドアローンとして単体環境での表示を行う場合や、もしくはLAN経由にてブラウザ等の表示機能を利用して複数環境への表示を行う方法が考えられる。
【0043】
図20〜22は、本発明の実施例の対抗するグループが交差する場合を示す。
【0044】
図20に示すように相対する方向からグループ同士が接近図21および交差図22した場合については、移動方向の違いにより、グループ化処理を行わない。また、交差する際に発生する属性IDの移動については、解除指定距離の調整や特殊条件の設置を持つことで対処することが容易に考えられる。
【0045】
グループ内の一部において単数・複数を問わず移動速度が変化した場合については、グループ解除指定距離の範囲内はグループを解除しないことが考えられる。但し、必要に応じてグループ解除を積極的に行なうことも対応可能である。
【0046】
動線予測・補完における直角三角形を持つ予測範囲については、直角三角形に限定することは無く、必要性において正三角形・二等辺三角形などの対応を柔軟に行う。尚、予測範囲の設定については、形状と範囲設定を初期設定にて予め行う事も考えられる。
【0047】
動線予測においては、予測範囲内を保持した状態で予測点に到達しない場合や、サンプリング間隔に達した時点で予測点を超えてしまう場合が容易に想像できる。この場合においては、次の動線予測にて差分を吸収することにより対応する。
【発明の効果】
【0048】
本発明を用いることにより、IDタグの位置精度を損ねることなくネットワーク上のデータトラフィックを大きく減らすことが可能になる。従って、従来技術では成し得なかった大量の動線を同じシステム構成にて処理することが可能になる。
本発明は、従来技術(データ圧縮技術等)の使用に関わらず適用可能な技術であり、寧ろ併用することによって、より効果を拡大することが可能である。
本発明を用いることにより、IDタグを持っている人について高いリアルタイム性を持った大量の動線情報を取得することが可能になる。
【0049】
例えば、駅通路や空港ロビーのような大量に人が集まる場所において、人の流れを調査することが考えられる。その際に動線の性質についても同様にリアルタイム性を維持した詳細データを得ることが可能になると推測できる。
また、グループ情報は、位置情報・動線情報と併せて用いることにより、マネージメントやマーケティングに有意情報として利用することが出来る。例えば、アミューズメントパーク等において家族連れや友達のグループのよく通る傾向のあるアトラクションやコースなどの分析などは、従来では人の手で明示的に行う必要があったが、本発明を適用することにより、自動的に情報収集を行うことが可能になる。
【0050】
尚、本発明の発明は人が持つIDタグに限らずSCMなどの物流管理にも流用することが可能であることは言うまでも無い。その他、流動するものに対して動線を管理する事に対しても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の動線管理システムの単純構成を示す図。
【図2】本発明の動線管理システムの構成要素と階層関係を示す図。
【図3】本発明のローカルエリアおよび隣接エリアとの重複を示す図。
【図4】本発明の直線における動線予測補間を示すグラフである。
【図5】本発明の許容誤差を持つ動線予測補間を示すグラフである。
【図6】本発明の半円による動線予測補間を示す図。
【図7】本発明の本発明のIDタグ検出から表示までの概略処理フロー図。
【図8】本発明のグループ化処理の概略処理フロー図。
【図9】本発明の動線予測処理の概略処理フロー図。
【図10】本発明の動線補間処理の概略処理フロー図。
【図11】本発明のグループの構成を示す図。
【図12】本発明のグループを構成するまでの過程を示す図。
【図13】本発明のグループを構成するまでの過程を示す図。
【図14】本発明のグループを構成するまでの過程を示す図。
【図15】本発明のグループ化によって、データトラフィックを減らしつつ位置補間を行う過程を示す図。
【図16】本発明のグループ化によって、データトラフィックを減らしつつ位置補間を行う過程を示す図。
【図17】本発明のグループ化によって、データトラフィックを減らしつつ位置補間を行う過程を示す図。
【図18】本発明のグループ同士の結合を示す図。
【図19】本発明のグループからの離脱を示す図。
【図20】本発明の対抗するグループの交差を示す図。
【図21】本発明の対抗するグループの交差を示す図。
【図22】本発明の対抗するグループの交差を示す図。
【符号の説明】
【0052】
1 質問器エリア
2 ローカルエリア
3 ローカルサーバーエリア
4 ローカルエリア冗長部
5 代表ID
6 グループに属するID
7 グループ
8 関連付け状態
9 タグ間距離
10 グループの動きから補間したIDの位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、動線管理システムにおけるリアルタイム性を確保しながらもトラフィック軽減を可能にすることを目的とした、位置情報収集処理および動線の予測補間に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、動線管理システムにおける位置情報を取得するにあたって全てのIDタグについて一様に情報を取得していた。このため、IDタグの数が増えるにつれネットワーク上のデータトラフィックもまた膨大となり、ひいては必要な情報の取得に失敗したり、遅延したりする状況が発生していた。
また、ネットワーク上のデータトラフィックの増大に対して、位置情報収集の頻度を下げれば対応可能だったが、この場合は位置情報の精度(リアルタイム性)を犠牲にすることになっていた。
また、ネットワーク上のデータトラフィックの増大に関しては、データの圧縮を適用する方法もあるが、位置情報は正確にネットワーク上を伝送する必要性があるため可逆圧縮を適用せざるを得なかった。しかしながら可逆圧縮では圧縮率に限界があるので、必要な情報の取得を失敗したり、遅延したりする状況の改善には至らなかった。
【発明の開示】
【解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、動線管理システムにおける位置情報を取得するにあたって、IDタグの数が多量になり、ネットワーク上のデータトラフィックが膨大になることによって、必要な位置情報の取得の失敗や遅延が発生してしまう問題をリアルタイム性を損なわずに解決することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
RFIDを用いたIDタグの動線を管理するシステムにおいて、複数のIDタグの管理情報を各IDタグが持つID番号により識別する(以下、これを識別IDと言う。)。
識別IDと位置情報と識別IDの情報取得時刻を一定時間ごとに記録する。
IDタグの動線とは、移動速度と進行方向を時系列的に追従することをいい、IDタグが単数および複数何れについても同様である。グループ化とは、同じ動線を持ち且つ指定範囲内に存在するIDタグを同一のグループとして扱う管理方法をいう。
RFIDシステムの応答範囲に存在する複数のIDの中から、ある一定時間にグループで移動しているID群を認識する為に、互いのIDタグ間の移動速度と進行方向のデータを取得し、そのデータとあらかじめ指定された距離を比較する事でグループの決定をする。また、上述で決定されたグループから代表IDを選出する。
尚、ここでいう「代表ID」とは、グループを代表するIDタグが持つ識別IDのことをいう。代表IDの動線をグループの動線として管理するため、グループにとって代表IDは特別な意味を持つことになる。
【0005】
代表IDの動線とグループの属性情報によって、グループに所属する全てのIDタグの動線管理を行う。
上述の手段で決定されたグループに、動的な単数の識別IDと、動的な複数の識別IDの追加と、動的な単独もしくは複数グループの追加を行う。
グループ化を行った後に、そのグループから個別に離脱した識別IDをグループIDから登録を解除、つまり属性IDの管理下から離脱した識別IDを開放若しくは削除する。
グループからグループが離脱する処理においては、そのグループIDから離脱する識別IDは常に単独であり、逐次離脱の処理を追従する。
グループから離脱した後に、複数の識別ID間においてグループ化処理の適用要件が成立する場合には、同時に新規グループの代表IDの決定を行う。
【0006】
また、グループ内の複数の識別IDをグループ属性として管理する際に、属性としてグループに所属する識別IDを「属性ID」と呼び、属性IDには個別の位置情報やサンプリング周期情報等を含む属性情報を持つ仕組みを備え、それらの中で選出された代表IDをグループの代表として扱う。
グループの選出方法については、グループにおける進行方向の先頭に位置し、かつ動線管理の範囲を上面から見たときに左端に位置するものを代表IDとして選出する方法等が考えられる。
この代表IDについては、ほかの属性IDと異なり、グループに属する代表IDを除く属性IDのメンバー数の情報をもつことが考えられる。
また、代表IDに関して発行する属性IDは、固定とする。
また、ここでいう「属性ID」とは、グループ内に属する全ての識別IDに対して発行される識別子であり、それらの中で先頭には必ず代表IDを置くことを定義する。
【0007】
識別IDもしくはグループIDにおいて基本設定に従って優先度の高い設定をサンプリング間隔として設定することを通常行い、属性IDに対しては、やはり基本設定に従ってサンプリング間隔を設定するものであるが、優先度の低いサンプリング間隔を基本的に設定することが考えられる。
このときのサンプリング間隔について、優先度が高いとは短時間であることをいい、優先度が低いとは優先度が高いときのサンプリング間隔よりも長時間であることをいう。
グループの属性として管理される識別IDについては、ネットワークにおけるトラフィックの軽減を目的とし、任意に位置情報のサンプリング間隔を操作できるものとし、その設定方法としては、初期の値もしくはファイル等を用いる可変的な方法や、GUIなどの操作制御を行う機能ブロックから得られることも可能であり、任意もしくは動的に位置情報のサンプリング間隔を操作できる仕組みを備え、かつそれぞれの属性として管理される識別IDに対し個別に設定することを可能とする。
グループID内の属性については、常に上述ローカルサーバに全てのデータを転送する必要は無く、常に転送を必要とするのは、代表IDとなる識別IDのみである。
また他の属性IDに関しては、離散・集合が発生することが考えられる。
上述を起因としてグループID内のデータに変化が発生する場合、もしくはサンプリング間隔に従って各属性情報が更新される等の場合のみ転送が行われる。
ただし、このときにおいても差分の発生した属性IDについてだけデータを転送することが考えられる。
【0008】
近接するローカルエリア間においては、その一部を重複させる。これはIDタグのエリア間の移動を確実にすることを目的とする。IDタグが以前から属するローカルエリアに存在する限りは、識別IDもしくはグループIDの管理は以前から属するローカルエリアが行うものとする。このとき、一部重複する新規ローカルエリアにおいて上述のIDタグが検出されていても、これを無効とする。
進行方向に近接ローカルエリアにおけるローカルエリア間定義を超えたときに新規ローカルエリアにおける識別IDもしくはグループIDを有効とする。また、このとき以前属していたローカルエリアにて上記IDが検出されたとしたらこれを無効とする。
上述で定義されるローカルエリアを管理するローカルPCの制御によって、識別IDもしくはグループIDの移動を管理する方法をローカルエリア間定義と言う。
【0009】
上述ローカルエリア間における識別IDもしくはグループIDの制御を移動する方法において、制御の移動を完了した識別IDもしくはグループIDが逆行を行い、移動元のローカルエリアに再度移動を行う場合においても、移動履歴を持たない場合は、請求項5の処理を適用する。
【0010】
ローカルサーバにおいても、ローカルエリア間と同様にローカルエリア間の重複処理が発生する。これに対しても請求項5の手段を用いて対処することが考えられる。この結果得られた有効データに対し、各グループIDに属する属性IDと属性IDが持つ位置情報を抽出し、代表IDとの相対座標を算出し、代表IDに関しては絶対値座標を格納する。
【0011】
本発明の動線管理システムにおける動線予測の方法とは、図4に示す外挿法により動線を予測するものである。通常の動線に対しては識別IDもしくはグループIDの直近のベクトルを延長して進行方向を決定する。このときの予測位置を予測点と言う。動線予測には、一定の誤差を許容する為に範囲を持たせることが考えられるが、その範囲は三角形を代表とする多角形もしくは円および楕円の形状を有して実現することが考えられる。予測点への距離は、識別IDもしくはグループIDの速度により決定される。
【0012】
屋内屋外を問わず、本発明の動線管理システムが管理する範囲内には、動線管理上の禁止領域が存在する。禁止領域とは、例えばIDタグを取り付けた人間もしくは人間以外のものが、進入出来ないと想定される領域のことを言う。禁止領域の定義については、DXFやIGESに代表されるような、CADアプリケーションにて使用される2次元または3次元での寸法表現が可能であるファイルフォーマット、もしくは同等の情報形式による情報を用いて行い、上述で定義された禁止領域へのIDタグの干渉を管理する。
また、禁止領域近時の際に使用する動線予測の方法とは、外挿法と許容範囲により動線を予測するものである。禁止領域に接近したIDタグの動線は、識別IDもしくはグループIDの直近のベクトルによって、IDタグの現在地を基点として予測点に直角を置き方向を決定する。
予測点への距離は識別IDもしくはグループIDの速度およびサンプリング間隔により決定する。直角三角形の斜辺の向きは、禁止領域との距離によって決定する。このとき、予測点への移動をリアルタイムに監視し、予測点へ配置した直角三角形の範囲内に当該する識別IDもしくはグループIDが検出されていれば、予測点が正しいと判断する。IDの現在位置が、予測点へ配置された直角三角形の外にいる場合には、予測を一旦解除し、新たに動線予測を行なう。
ただし、このような途中解除の際には、予測点への時間経過を加味し距離の再算出を行なう。予測点へ向けて配置した前記の直角三角形を外れずに設定時間が経過した場合、最新のサンプリング結果を基に予測点を更新する。
【0013】
動線予測とは、請求項4の手段によるサンプリング間隔の優先度を下げた識別IDもしくはグループIDに対して行なうことを主に目的とした処理であり、常に更新を行わなくても動線予測を適用することにより、動線における情報品質にリアルタイム性を持たせることが可能となる。前記グループ化処理との組合せを持ってネットワーク上のトラフィック軽減に寄与するものである。ただし、優先度の低い識別IDもしくはグループIDのみに適用されるということではない。
【0014】
特殊な禁止領域近時の際に使用する動線予測の方法とは、請求項8に記載する方法が基本となるが、禁止領域内の障害物が、柱状や凸状、直角に代表する角度を持つ、もしくはそれらの組合せ形状等をもっていて、IDタグの移動軌跡が禁止領域を避けて弧を描くように回りこむことが想定される。この場合は、前記請求項8にて定義した直角三角形の他に円を使用することが考えられる。
したがって、上述手段によれば、IDタグの直近の動線ベクトルに従って算出した予測点へ禁止領域を回避しようとする向きに対して半円を描く軌跡を持たせることになる。
また、半円の向きは、禁止領域との干渉の度合いによって決定する。
予測点決定後は、識別IDもしくはグループIDの予測点への移動をリアルタイムに監視する。
このとき動線予測の範囲内に、上述のIDが検出されれば、予測点が正しいと判断する。
上述IDタグの現在位置が動線予測の範囲外にいる場合には、予測を一旦解除し、新たに動線予測を行なう。ただし、このような途中解除の際には、予測点への時間経過が加味され距離の再算出が行われる。
上述IDタグの現在位置が、動線予測の範囲を外れずに設定時間が経過した場合、最新のサンプリング結果を基に予測点を更新する。
(一例として半円における動線予測の方法を挙げたが、これに限定されない。)
また、上述の軌跡の傾向が予め予測されている場合などは、外部からの設定を行なうことによって、任意の角度の設定で動線予測が可能となる仕組みを備えることが考えられる。また、任意の角度の設定とは禁止領域ごと個別に設定すること、総体的に設定することが可能であることが考えられる。また、それら個別の設定と総体的な設定は重複すること、優先順位を持つことが考えられる。
【0015】
IDタグが禁止領域を回避しようとする動線の予測に関しては、予めその回避予測方法を禁止領域毎に設定し対応する手段も考えられる。この場合、禁止領域に沿って回避の予測領域を設定し、その予測領域への入射角を持って禁止領域回避の軌跡を予測することが考えられる。
また、禁止領域への接近に対しては、予め用意された禁止領域を把握し動線予測を行なう方法と、予測点の算出後にIDの移動軌跡と禁止領域の干渉を確認する機能を備える。
上述の「IDの移動軌跡と禁止領域との干渉」の本発明における定義は、禁止領域の境界との直接の干渉と、禁止領域から任意の距離のマージンをとった境界との干渉とする。
上述で定義した禁止領域への干渉を検知した場合には、直線ベクトルによる動線予測を解除し、禁止領域内の障害物の形状に依存して回折もしくは半円による回避を行なう機能を備える。
【0016】
本発明の動線補完とは、特に、請求項4により定義されるサンプリング間隔の低い設定に対して有効な手段である。表示される識別IDもしくはグループID群の中で最短サンプリング間隔を持つID群に対してはリアルタイム表示が行われるが、その他のID群は、リアルタイム性を持っていないためである。
動線補完対象の判定については、予め設定された識別子を用いて意図的に行われることとする。
本発明の動線補完の「対象ID」とは、識別IDまたはグループIDのような、表示対象となるIDデータのことを示す。
動線補完により表示処理は、最短サンプリング間隔に同期される。このとき対象IDに対しては内挿処理によって、対象IDの動線をトレースするデータが生成される。
上述の対象IDが持つ位置情報は、当然、予測点を示すものであり予測点をもとにして現在位置を求めるものとする。このため、それぞれの対象IDは位置情報と速度情報と方向情報を備え、動線補完対象の識別子と、実際のサンプリング間隔と最短のサンプリング間隔毎の比較を持って動線補完を実現する処理を言う。
【0017】
動線補完の禁止領域との干渉は、次に示す2つの方法が考えられる。一つは半円、円、楕円もしくは多角形等の形状を持って行う方法である。もう一つは禁止領域の回避傾向情報を予め設定することにより補間を行う方法である。
動線補完は、現在位置と予測位置と禁止領域の座標データを用いて行われ、現在位置と禁止領域の間が、指定範囲にかかる場合、もしくは禁止領域にかかる場合には、回避処理を行う。回避処理とは、予測位置と現在位置との距離を測定し、測定結果を基に回折回避に使用する半円の直径値とし半円の軌跡を設定する。これを動線補完の経路とすることを言う。
この方法を用いれば、上述の対象IDについても速度データを使用することにより、一定間隔の動線をディスプレイ表示上にて実現できる。
【0018】
ある狭路への変化点もしくは、直角に代表する角度を持つ曲がり角等、もしくはそれらの連続する場所において、グループが通過する際にグループに所属する属性ID間の距離を狭める等の人の流動性に則した処理を行う。これについても禁止領域データ上に情報を持ち対象IDの動線に併せて、進行方向と横方向に対してIDタグ間の距離と指定範囲の双方に対して補正係数を持って対応するものである。よって、上述手段により、狭路もしくは曲がり角への密集化に対応する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明実施例の動線管理システムの単純構成を示す図である。
本発明の1実施例である動線管理システムは、質問器、ローカルエリア、ローカルPC、ローカルサーバエリア、ローカルサーバ、GUI用PCで構成される事を示す。
【0020】
図2は、本発明の実施例の動線管理システムの構成要素と階層関係を示す図である。
各ローカルエリアで管理されている質問器から転送されるIDタグの取得データは、ローカルPCへ一旦収集され、次にローカルサーバへ移動する。また、GUI用PCで入出力が行われることを示す。
【0021】
図3は、本発明の実施例のローカルエリアおよび隣接エリアとの重複を示す図である。
まず、近接するローカルエリア間は、その一部を重複させておく。
次に、位置情報については、質問器より取得生成し、ローカルPCに送信する。ローカルPCでは、各質問器の情報を整理し、ローカルPC間定義により重複を確認した後、同一IDタグに対して3方向の距離情報から位置を算出し、2次元情報としての位置情報に変換後使用する。移動速度および移動方向に関しては、更に時系列的な2点間の情報取得を行なった後、移動距離から速度情報、移動した座標の差分から方向を算出する。このようにして、IDタグごとの位置情報と進行方向と移動速度の情報を取得する。
上述は実施例の一つであり、各処理については、状況および環境により処理階層は任意の階層へ移ることが考えられる。
【0022】
図4は、本発明の実施例の直線における動線予測補間を示すグラフである。
外挿法により動線を予測する過程の一部であり、予測点への距離は識別IDもしくはグループIDの速度により決定されることを示す。
【0023】
図5は、本発明の実施例の許容誤差を持つ動線予測補間を示すグラフである。
直角三角形によって禁止領域近時の際に使用する動線予測の方法である。外挿法と許容範囲により、禁止領域に接近したIDタグの動線は、識別IDもしくはグループIDの直近のベクトルによって、IDタグの現在地を基点として予測点に直角を置き方向が決定されることを示す。また、予測点への距離は、識別IDもしくはグループIDの速度およびサンプリング間隔により決定する。直角三角形の斜辺の向きは、禁止領域との距離によって決定する。
【0024】
図6は、本発明の実施例の半円による動線予測補間の一例を示す。
【0025】
図7は、本発明の実施例のID検出から表示までの概略処理フロー図を示す。
IDタグの検出を行った後、グループ化処理、動線予測処理、動線補完処理を経た後に、動線GUI用PCに表示される処理順序を示す。
【0026】
図8は、本発明の実施例のグループ化処理の概略処理フロー図を示す。
位置情報サンプリングの後、ID検出、グループ検出、グループ化の順に処理が行われる処理順序を示す。
ID検出がYESの場合、グループ検出へ移行する。グループ検出がNGであった場合はグループが存在しなかったという判定となり、YESの場合はグループ化処理が行われる。
【0027】
図9は、本発明の実施例の動線予測処理の概略処理フロー図を示す。
ID群の中で最短サンプリング間隔がNOの場合、動線予測フラグONとなり、禁止領域に干渉するか判定を行う。上述の判定がYESの場合には、禁止領域を迂回させる(回折)動線を行うかどうかの判定に移り、状況に応じて図5で示した三角予測処理か、図6で示した半円予測処理か選択される。
また、上述の判定がNOの場合は、予測処理が選択される。
【0028】
図10は、本発明の実施例の動線補間処理の概略処理フロー図である。
グループの場合は、属性情報を展開し予測フラグを検出する。次に禁止領域への干渉方法を判定し、適切な処理を施す処理フローである。単独の識別IDの場合には、属性展開処理を省略する。
【0029】
図11は、本発明の実施例のグループの構成を示す。
グループの構成方法については、グループ(7)は、そのグループの基点とする代表ID(5)が1つと、グループに属するその他のID(6)が1つ以上から構成される。
上述のように、識別IDのグループ化を行うことにより、グループに属する識別IDの動きはそのグループの動きでよく近似することができる。従って、グループの動きを代表IDのみ位置情報の収集頻度を高くしておけば、他の識別IDの位置情報の収集頻度を低くしても、位置情報の精度を損ねることなくトラフィック増大を減らすことが可能となる。
【0030】
図12〜14は、本発明の実施例のグループを構成するまでの過程を示す図である。
【0031】
図12は、グループ化を開始するところを示す。グループ化にあたってIDの中から代表IDを選出する。
ここでは仮に、代表IDの選出方法を進行方向の先頭且つ左端にあるものと定義する。この方法は、各システムの設置用件に任意に対応するものであり、初期設定等にて可変可能とすることが望ましい。また、一度選出後に進行方向および横方向において設定条件を外れても代表IDとして機能するものとする。一定時間毎に全ての識別IDのうち、代表でなく且つ関連付けのされていない識別IDについて、タグ間距離が指定範囲内にあり、進行方向と移動速度が共に等しく、且つ他の代表IDと関連を持っていない識別IDが周囲に存在するか確認し、それらの条件を満たす識別IDがある場合は、これを関連付ける(8)。ここで、一定期間およびタグ間距離における指定範囲について補足するが、これは任意可変な初期設定等もしくはGUI等のユーザインタフェースによる直接指定などが考えられる。これ以降に同じ表現を行なう場合、同様の意味を持つものである。この時点での関連付けは、代表IDが他の識別IDをグループ化できるか否かを判定することを目的として監視下に置くことを示しており、この時点では各IDはグループに属していない状態である。
【0032】
図13は、グループ化の途中状態を示す。代表IDが関連付けした識別IDについては、その後指定時間ごとに代表IDとの間の距離を求め、もし距離が指定範囲から外れていたら関連付けを解除する。
【0033】
図14は、グループ化の完了を示す。代表IDと関連付けられた識別IDの間で、指定時間以上関連付けが維持された場合、関連付けされた識別IDは代表IDのグループに属する。この時点でグループ化が完了する。
従って、関連付けを行なっただけの状況では、各識別IDは単独であり独立した処理を行うものである。
グループ化完了時点より、グループとして情報管理が始まる。
【0034】
グループの解除の方法については、グループに属する属性IDは、位置情報収集毎に代表IDとの距離を求め、もし距離が指定範囲を外れていたらグループとの関連を解除する。
この場合の指定範囲についても任意可変な初期設定等もしくはGUI等のユーザインタフェースによる直接指定などが考えられるものであり、これ以降に同じ表現を行なう場合、同様の意味を持つものである。また、上述グループ化の際の指定範囲とは異なる設定項目であることが望ましい。これは、一旦グループ化を行ったものについての結びつきの強度を可変にすることなどが容易に考えられるからである。その他、復帰待ち等の判定処理を付加することが同様に考えられる。代表IDは、指定された距離内に、代表でなく且つ関連付けのされていない識別IDが一つも無い状態になった時にそのグループの代表IDであることを解除する。代表IDが解除されることで、グループは解除される。
【0035】
図15〜17は、本発明の実施例のグループ化によって、動線管理を行う過程を示す。
グループに属するIDの位置情報収集については、グループに属するIDのうち、代表IDのみ必要な精度(リアルタイム性)の収集間隔を設定する。代表ID以外の識別IDに関しては、それまでの位置情報収集間隔を別に記録した後に、代表IDよりも長い収集間隔を新しく設定する。これによって、位置情報の収集回数を減らすことが出来る。また、代表ID以外については、図15に示す実際の位置収集の間の点を図16に示すグループの動き(位置)から図17に示す補間した位置(10)で、その位置をよく近似できるので、全体の位置情報の精度は保つことができる。
ただし、グループID毎についても位置情報収集間隔を可変可能な仕組みを持つことが可能なことは言うまでも無い。
【0036】
代表ID自体がグループから解除される場合には、属性ID解除方法と同一の過程を経る。但し、代表IDが不在となる時は、次の代表IDを選出する必要がある。この場合の代表ID選出方法は、上述の代表IDを選出をグループを解除せずに行なう方法と、一旦グループを解除した後に代表IDを選出する方法と単純な取り決めによって代表IDを選出する方法が考えられる。尚、これらの方法を持って代表ID交代の方法と言う。
【0037】
グループメンバの上限については、特にこれを規定しない。例えば、道もしくは通路等の幅いっぱいに人が並ぶことが考えられる。同じ距離・速度・方向への同一性を持つグループの成立要件を満たす状態は、正月の初詣やコンサート会場の退場時等を想定すれば容易に想定することが出来る。このような場合、グループ化のメンバ上限を設定するのは、そのシステムの構成要件に依存するべきであり、ここで上限を設定する必要性は無いものである。なぜならば、本システムのグループ化処理は、前記グループ化の解除もしくは代表ID交代の方法を組合せることにより、前記状態についても柔軟に対することが可能だからである。
【0038】
異なる移動速度でのグループ同士の接近については、移動速度の差分によりグループ化の成立要件を満たすことが無いので、グループ化処理が発生しないものである。
【0039】
図18は、本発明の実施例のグループ同士の結合を示す図である。
グループとグループの合流についても、単独の識別IDがグループIDとグループ化の処理を行なうのと同様に、移動速度、進行方向と指定範囲が一致する、つまりグループ化の成立要件が成立すればグループ化処理が適用されることとなる。このとき、合流中に各グループが停止したとしても成立要件が成立すれば、なんら支障の無いものとする。
【0040】
図19は、本発明の実施例のグループからの離脱を示す図である。
一つのグループから単独およびグループの離散が発生した場合についても、各々の現象は、各識別IDの解除方法に分解されて並行処理が実行される。
【0041】
グループ化の指定範囲については、代表IDに固定する方法と属性ID毎に適用することが考えられる。
【0042】
本発明による動線管理システムのGUI部は、スタンドアローンとして単体環境での表示を行う場合や、もしくはLAN経由にてブラウザ等の表示機能を利用して複数環境への表示を行う方法が考えられる。
【0043】
図20〜22は、本発明の実施例の対抗するグループが交差する場合を示す。
【0044】
図20に示すように相対する方向からグループ同士が接近図21および交差図22した場合については、移動方向の違いにより、グループ化処理を行わない。また、交差する際に発生する属性IDの移動については、解除指定距離の調整や特殊条件の設置を持つことで対処することが容易に考えられる。
【0045】
グループ内の一部において単数・複数を問わず移動速度が変化した場合については、グループ解除指定距離の範囲内はグループを解除しないことが考えられる。但し、必要に応じてグループ解除を積極的に行なうことも対応可能である。
【0046】
動線予測・補完における直角三角形を持つ予測範囲については、直角三角形に限定することは無く、必要性において正三角形・二等辺三角形などの対応を柔軟に行う。尚、予測範囲の設定については、形状と範囲設定を初期設定にて予め行う事も考えられる。
【0047】
動線予測においては、予測範囲内を保持した状態で予測点に到達しない場合や、サンプリング間隔に達した時点で予測点を超えてしまう場合が容易に想像できる。この場合においては、次の動線予測にて差分を吸収することにより対応する。
【発明の効果】
【0048】
本発明を用いることにより、IDタグの位置精度を損ねることなくネットワーク上のデータトラフィックを大きく減らすことが可能になる。従って、従来技術では成し得なかった大量の動線を同じシステム構成にて処理することが可能になる。
本発明は、従来技術(データ圧縮技術等)の使用に関わらず適用可能な技術であり、寧ろ併用することによって、より効果を拡大することが可能である。
本発明を用いることにより、IDタグを持っている人について高いリアルタイム性を持った大量の動線情報を取得することが可能になる。
【0049】
例えば、駅通路や空港ロビーのような大量に人が集まる場所において、人の流れを調査することが考えられる。その際に動線の性質についても同様にリアルタイム性を維持した詳細データを得ることが可能になると推測できる。
また、グループ情報は、位置情報・動線情報と併せて用いることにより、マネージメントやマーケティングに有意情報として利用することが出来る。例えば、アミューズメントパーク等において家族連れや友達のグループのよく通る傾向のあるアトラクションやコースなどの分析などは、従来では人の手で明示的に行う必要があったが、本発明を適用することにより、自動的に情報収集を行うことが可能になる。
【0050】
尚、本発明の発明は人が持つIDタグに限らずSCMなどの物流管理にも流用することが可能であることは言うまでも無い。その他、流動するものに対して動線を管理する事に対しても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の動線管理システムの単純構成を示す図。
【図2】本発明の動線管理システムの構成要素と階層関係を示す図。
【図3】本発明のローカルエリアおよび隣接エリアとの重複を示す図。
【図4】本発明の直線における動線予測補間を示すグラフである。
【図5】本発明の許容誤差を持つ動線予測補間を示すグラフである。
【図6】本発明の半円による動線予測補間を示す図。
【図7】本発明の本発明のIDタグ検出から表示までの概略処理フロー図。
【図8】本発明のグループ化処理の概略処理フロー図。
【図9】本発明の動線予測処理の概略処理フロー図。
【図10】本発明の動線補間処理の概略処理フロー図。
【図11】本発明のグループの構成を示す図。
【図12】本発明のグループを構成するまでの過程を示す図。
【図13】本発明のグループを構成するまでの過程を示す図。
【図14】本発明のグループを構成するまでの過程を示す図。
【図15】本発明のグループ化によって、データトラフィックを減らしつつ位置補間を行う過程を示す図。
【図16】本発明のグループ化によって、データトラフィックを減らしつつ位置補間を行う過程を示す図。
【図17】本発明のグループ化によって、データトラフィックを減らしつつ位置補間を行う過程を示す図。
【図18】本発明のグループ同士の結合を示す図。
【図19】本発明のグループからの離脱を示す図。
【図20】本発明の対抗するグループの交差を示す図。
【図21】本発明の対抗するグループの交差を示す図。
【図22】本発明の対抗するグループの交差を示す図。
【符号の説明】
【0052】
1 質問器エリア
2 ローカルエリア
3 ローカルサーバーエリア
4 ローカルエリア冗長部
5 代表ID
6 グループに属するID
7 グループ
8 関連付け状態
9 タグ間距離
10 グループの動きから補間したIDの位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDを用いたIDタグの動線を管理するシステムにおいて、複数のIDタグの管理情報を各IDタグが持つID番号により識別する(以下、これを識別IDと言う。)。
識別IDと位置情報と識別IDの情報取得時刻を一定時間ごとに記録する。
IDタグの動線とは、移動速度と進行方向を時系列的に追従することをいい、IDタグが単数および複数何れについても同様である。グループ化とは、同じ動線を持ち且つ指定範囲内に存在するIDタグを同一のグループとして扱う管理方法をいう。
RFIDシステムの応答範囲に存在する複数のIDの中から、ある一定時間にグループで移動しているID群を認識する為に、互いのIDタグ間の移動速度と進行方向のデータを取得し、そのデータとあらかじめ指定された距離を比較する事でグループの決定をする。また、上述で決定されたグループから代表IDを選出する。
尚、ここでいう「代表ID」とは、グループを代表するIDタグが持つ識別IDのことをいう。代表IDの動線をグループの動線として管理するため、グループにとって代表IDは特別な意味を持つことになる。
上述手段を特徴とするグループ化処理方法。
【請求項2】
代表IDの動線とグループの属性情報によって、グループに所属する全てのIDタグの動線管理を行う。
上述の手段で決定されたグループに、動的な単数の識別IDと、動的な複数の識別IDの追加と、動的な単独もしくは複数グループの追加を行う。
グループ化を行った後に、そのグループから個別に離脱した識別IDをグループIDから登録を解除、つまり属性IDの管理下から離脱した識別IDを開放若しくは削除する。
グループからグループが離脱する処理においては、そのグループIDから離脱する識別IDは常に単独であり、逐次離脱の処理を追従する。
グループから離脱した後に、複数の識別ID間においてグループ化処理の適用要件が成立する場合には、同時に新規グループの代表IDの決定を行う。
上述手段を特徴とするグループ化処理方法。
【請求項3】
また、グループ内の複数の識別IDをグループ属性として管理する際に、属性としてグループに所属する識別IDを「属性ID」と呼び、属性IDには個別の位置情報やサンプリング周期情報等を含む属性情報を持つ仕組みを備え、それらの中で選出された代表IDをグループの代表として扱う。
グループの選出方法については、グループにおける進行方向の先頭に位置し、かつ動線管理の範囲を上面から見たときに左端に位置するものを代表IDとして選出する方法等が考えられる。
この代表IDについては、ほかの属性IDと異なり、グループに属する代表IDを除く属性IDのメンバー数の情報をもつことが考えられる。
また、代表IDに関して発行する属性IDは、固定とする。
また、ここでいう「属性ID」とは、グループ内に属する全ての識別IDに対して発行される識別子であり、それらの中で先頭には必ず代表IDを置くことを定義する。
上述手段を特徴とするグループ化処理。
【請求項4】
識別IDもしくはグループIDにおいて基本設定に従って優先度の高い設定をサンプリング間隔として設定することを通常行い、属性IDに対しては、やはり基本設定に従ってサンプリング間隔を設定するものであるが、優先度の低いサンプリング間隔を基本的に設定することが考えられる。
このときのサンプリング間隔について、優先度が高いとは短時間であることをいい、優先度が低いとは優先度が高いときのサンプリング間隔よりも長時間であることをいう。
グループの属性として管理される識別IDについては、ネットワークにおけるトラフィックの軽減を目的とし、任意に位置情報のサンプリング間隔を操作できるものとし、その設定方法としては、初期の値もしくはファイル等を用いる可変的な方法や、GUIなどの操作制御を行う機能ブロックから得られることも可能であり、任意もしくは動的に位置情報のサンプリング間隔を操作できる仕組みを備え、かつそれぞれの属性として管理される識別IDに対し個別に設定することを可能とする。
グループID内の属性については、常に上述ローカルサーバに全てのデータを転送する必要は無く、常に転送を必要とするのは、代表IDとなる識別IDのみである。
また他の属性IDに関しては、離散・集合が発生することが考えられる。
上述を起因としてグループID内のデータに変化が発生する場合、もしくはサンプリング間隔に従って各属性情報が更新される等の場合のみ転送が行われる。
ただし、このときにおいても差分の発生した属性IDについてだけデータを転送することが考えられる。
上述手段を特徴とするグループ化処理方法。
【請求項5】
近接するローカルエリア間においては、その一部を重複させる。これはIDタグのエリア間の移動を確実にすることを目的とする。IDタグが以前から属するローカルエリアに存在する限りは、識別IDもしくはグループIDの管理は以前から属するローカルエリアが行うものとする。このとき、一部重複する新規ローカルエリアにおいて上述のIDタグが検出されていても、これを無効とする。
進行方向に近接ローカルエリアにおけるローカルエリア間定義を超えたときに新規ローカルエリアにおける識別IDもしくはグループIDを有効とする。また、このとき以前属していたローカルエリアにて上記IDが検出されたとしたらこれを無効とする。
上述で定義されるローカルエリアを管理するローカルPCの制御によって、識別IDもしくはグループIDの移動を管理する方法をローカルエリア間定義と言う。上述手段を特徴とする動線管理システム。
【請求項6】
上述ローカルエリア間における識別IDもしくはグループIDの制御を移動する方法において、制御の移動を完了した識別IDもしくはグループIDが逆行を行い、移動元のローカルエリアに再度移動を行う場合においても、移動履歴を持たない場合は、請求項5の処理を適用する。
上述手段を特徴とする動線管理システム。
【請求項7】
ローカルサーバにおいても、ローカルエリア間と同様にローカルエリア間の重複処理が発生する。これに対しても請求項5の手段を用いて対処することが考えられる。この結果得られた有効データに対し、各グループIDに属する属性IDと属性IDが持つ位置情報を抽出し、代表IDとの相対座標を算出し、代表IDに関しては絶対値座標を格納する。
上述手段を特徴とする動線管理システム。
【請求項8】
本発明の動線管理システムにおける動線予測の方法とは、外挿法により動線を予測するものである。通常の動線に対しては識別IDもしくはグループIDの直近のベクトルを延長して進行方向を決定する。このときの予測位置を予測点と言う。動線予測には、一定の誤差を許容する為に範囲を持たせることが考えられるが、その範囲は三角形を代表とする多角形もしくは円および楕円の形状を有して実現することが考えられる。予測点への距離は、識別IDもしくはグループIDの速度により決定される。
上述手段を特徴とする動線予測。
【請求項9】
屋内屋外を問わず、本発明の動線管理システムが管理する範囲内には、動線管理上の禁止領域が存在する。禁止領域とは、例えばIDタグを取り付けた人間もしくは人間以外のものが、進入出来ないと想定される領域のことを言う。禁止領域の定義については、DXFやIGESに代表されるような、CADアプリケーションにて使用される2次元または3次元での寸法表現が可能であるファイルフォーマット、もしくは同等の情報形式による情報を用いて行い、上述で定義された禁止領域へのIDタグの干渉を管理する。
また、禁止領域近時の際に使用する動線予測の方法とは、外挿法と許容範囲により動線を予測するものである。禁止領域に接近したIDタグの動線は、識別IDもしくはグループIDの直近のベクトルによって、IDタグの現在地を基点として予測点に直角を置き方向を決定する。
予測点への距離は識別IDもしくはグループIDの速度およびサンプリング間隔により決定する。直角三角形の斜辺の向きは、禁止領域との距離によって決定する。このとき、予測点への移動をリアルタイムに監視し、予測点へ配置した直角三角形の範囲内に当該する識別IDもしくはグループIDが検出されていれば、予測点が正しいと判断する。IDの現在位置が、予測点へ配置された直角三角形の外にいる場合には、予測を一旦解除し、新たに動線予測を行なう。
ただし、このような途中解除の際には、予測点への時間経過を加味し距離の再算出を行なう。予測点へ向けて配置した前記の直角三角形を外れずに設定時間が経過した場合、最新のサンプリング結果を基に予測点を更新する。
上述手段を特徴とする動線予測システム。
【請求項10】
動線予測とは、請求項4の手段によるサンプリング間隔の優先度を下げた識別IDもしくはグループIDに対して行なうことを主に目的とした処理であり、常に更新を行わなくても動線予測を適用することにより、動線における情報品質にリアルタイム性を持たせることが可能となる。前記グループ化処理との組合せを持ってネットワーク上のトラフィック軽減に寄与するものである。ただし、優先度の低い識別IDもしくはグループIDのみに適用されるということではない。
上述手段を特徴とする動線予測システム。
【請求項11】
特殊な禁止領域近時の際に使用する動線予測の方法とは、請求項8に記載する方法が基本となるが、禁止領域内の障害物が、柱状や凸状、直角に代表する角度を持つ、もしくはそれらの組合せ形状等をもっていて、IDタグの移動軌跡が禁止領域を避けて弧を描くように回りこむことが想定される。この場合は、前記請求項8にて定義した直角三角形の他に円を使用することが考えられる。
したがって、上述手段によれば、IDタグの直近の動線ベクトルに従って算出した予測点へ禁止領域を回避しようとする向きに対して半円を描く軌跡を持たせることになる。
また、半円の向きは、禁止領域との干渉の度合いによって決定する。
予測点決定後は、識別IDもしくはグループIDの予測点への移動をリアルタイムに監視する。
このとき動線予測の範囲内に、上述のIDが検出されれば、予測点が正しいと判断する。
上述IDタグの現在位置が動線予測の範囲外にいる場合には、予測を一旦解除し、新たに動線予測を行なう。ただし、このような途中解除の際には、予測点への時間経過が加味され距離の再算出が行われる。
上述IDタグの現在位置が、動線予測の範囲を外れずに設定時間が経過した場合、最新のサンプリング結果を基に予測点を更新する。
(一例として半円における動線予測の方法を挙げたが、これに限定されない。)
また、上述の軌跡の傾向が予め予測されている場合などは、外部からの設定を行なうことによって、任意の角度の設定で動線予測が可能となる仕組みを備えることが考えられる。また、任意の角度の設定とは禁止領域ごと個別に設定すること、総体的に設定することが可能であることが考えられる。また、それら個別の設定と総体的な設定は重複すること、優先順位を持つことが考えられる。
上述手段を特徴とする動線予測。
【請求項12】
IDタグが禁止領域を回避しようとする動線の予測に関しては、予めその回避予測方法を禁止領域毎に設定し対応する手段も考えられる。この場合、禁止領域に沿って回避の予測領域を設定し、その予測領域への入射角を持って禁止領域回避の軌跡を予測することが考えられる。
また、禁止領域への接近に対しては、予め用意された禁止領域を把握し動線予測を行なう方法と、予測点の算出後にIDの移動軌跡と禁止領域の干渉を確認する機能を備える。
上述の「IDの移動軌跡と禁止領域との干渉」の本発明における定義は、禁止領域の境界との直接の干渉と、禁止領域から任意の距離のマージンをとった境界との干渉とする。
上述で定義した禁止領域への干渉を検知した場合には、直線ベクトルによる動線予測を解除し、禁止領域内の障害物の形状に依存して回折もしくは半円による回避を行なう機能を備える。
上述手段を特徴とする動線予測。
【請求項13】
本発明の動線補完とは、特に、請求項4により定義されるサンプリング間隔の低い設定に対して有効な手段である。表示される識別IDもしくはグループID群の中で最短サンプリング間隔を持つID群に対してはリアルタイム表示が行われるが、その他のID群は、リアルタイム性を持っていないためである。
動線補完対象の判定については、予め設定された識別子を用いて意図的に行われることとする。
本発明の動線補完の「対象ID」とは、識別IDまたはグループIDのような、表示対象となるIDデータのことを示す。
動線補完により表示処理は、最短サンプリング間隔に同期される。このとき対象IDに対しては内挿処理によって、対象IDの動線をトレースするデータが生成される。
上述の対象IDが持つ位置情報は、当然、予測点を示すものであり予測点をもとにして現在位置を求めるものとする。このため、それぞれの対象IDは位置情報と速度情報と方向情報を備え、動線補完対象の識別子と、実際のサンプリング間隔と最短のサンプリング間隔毎の比較を持って動線補完を実現する処理を言う。
上述手段を特徴とする動線補完。
【請求項14】
動線補完の禁止領域との干渉は、次に示す2つの方法が考えられる。一つは半円、円、楕円もしくは多角形等の形状を持って行う方法である。もう一つは禁止領域の回避傾向情報を予め設定することにより補間を行う方法である。
動線補完は、現在位置と予測位置と禁止領域の座標データを用いて行われ、現在位置と禁止領域の間が、指定範囲にかかる場合、もしくは禁止領域にかかる場合には、回避処理を行う。回避処理とは、予測位置と現在位置との距離を測定し、測定結果を基に回折回避に使用する半円の直径値とし半円の軌跡を設定する。これを動線補完の経路とすることを言う。
この方法を用いれば、上述の対象IDについても速度データを使用することにより、一定間隔の動線をディスプレイ表示上にて実現できる。
上述手段を特徴とする動線補完。
【請求項15】
ある狭路への変化点もしくは、直角に代表する角度を持つ曲がり角等、もしくはそれらの連続する場所において、グループが通過する際にグループに所属する属性ID間の距離を狭める等の人の流動性に則した処理を行う。これについても禁止領域データ上に情報を持ち対象IDの動線に併せて、進行方向と横方向に対してIDタグ間の距離と指定範囲の双方に対して補正係数を持って対応するものである。よって、上述手段により、狭路もしくは曲がり角への密集化に対応する。
上述手段を特徴とする動線補完。
【請求項1】
RFIDを用いたIDタグの動線を管理するシステムにおいて、複数のIDタグの管理情報を各IDタグが持つID番号により識別する(以下、これを識別IDと言う。)。
識別IDと位置情報と識別IDの情報取得時刻を一定時間ごとに記録する。
IDタグの動線とは、移動速度と進行方向を時系列的に追従することをいい、IDタグが単数および複数何れについても同様である。グループ化とは、同じ動線を持ち且つ指定範囲内に存在するIDタグを同一のグループとして扱う管理方法をいう。
RFIDシステムの応答範囲に存在する複数のIDの中から、ある一定時間にグループで移動しているID群を認識する為に、互いのIDタグ間の移動速度と進行方向のデータを取得し、そのデータとあらかじめ指定された距離を比較する事でグループの決定をする。また、上述で決定されたグループから代表IDを選出する。
尚、ここでいう「代表ID」とは、グループを代表するIDタグが持つ識別IDのことをいう。代表IDの動線をグループの動線として管理するため、グループにとって代表IDは特別な意味を持つことになる。
上述手段を特徴とするグループ化処理方法。
【請求項2】
代表IDの動線とグループの属性情報によって、グループに所属する全てのIDタグの動線管理を行う。
上述の手段で決定されたグループに、動的な単数の識別IDと、動的な複数の識別IDの追加と、動的な単独もしくは複数グループの追加を行う。
グループ化を行った後に、そのグループから個別に離脱した識別IDをグループIDから登録を解除、つまり属性IDの管理下から離脱した識別IDを開放若しくは削除する。
グループからグループが離脱する処理においては、そのグループIDから離脱する識別IDは常に単独であり、逐次離脱の処理を追従する。
グループから離脱した後に、複数の識別ID間においてグループ化処理の適用要件が成立する場合には、同時に新規グループの代表IDの決定を行う。
上述手段を特徴とするグループ化処理方法。
【請求項3】
また、グループ内の複数の識別IDをグループ属性として管理する際に、属性としてグループに所属する識別IDを「属性ID」と呼び、属性IDには個別の位置情報やサンプリング周期情報等を含む属性情報を持つ仕組みを備え、それらの中で選出された代表IDをグループの代表として扱う。
グループの選出方法については、グループにおける進行方向の先頭に位置し、かつ動線管理の範囲を上面から見たときに左端に位置するものを代表IDとして選出する方法等が考えられる。
この代表IDについては、ほかの属性IDと異なり、グループに属する代表IDを除く属性IDのメンバー数の情報をもつことが考えられる。
また、代表IDに関して発行する属性IDは、固定とする。
また、ここでいう「属性ID」とは、グループ内に属する全ての識別IDに対して発行される識別子であり、それらの中で先頭には必ず代表IDを置くことを定義する。
上述手段を特徴とするグループ化処理。
【請求項4】
識別IDもしくはグループIDにおいて基本設定に従って優先度の高い設定をサンプリング間隔として設定することを通常行い、属性IDに対しては、やはり基本設定に従ってサンプリング間隔を設定するものであるが、優先度の低いサンプリング間隔を基本的に設定することが考えられる。
このときのサンプリング間隔について、優先度が高いとは短時間であることをいい、優先度が低いとは優先度が高いときのサンプリング間隔よりも長時間であることをいう。
グループの属性として管理される識別IDについては、ネットワークにおけるトラフィックの軽減を目的とし、任意に位置情報のサンプリング間隔を操作できるものとし、その設定方法としては、初期の値もしくはファイル等を用いる可変的な方法や、GUIなどの操作制御を行う機能ブロックから得られることも可能であり、任意もしくは動的に位置情報のサンプリング間隔を操作できる仕組みを備え、かつそれぞれの属性として管理される識別IDに対し個別に設定することを可能とする。
グループID内の属性については、常に上述ローカルサーバに全てのデータを転送する必要は無く、常に転送を必要とするのは、代表IDとなる識別IDのみである。
また他の属性IDに関しては、離散・集合が発生することが考えられる。
上述を起因としてグループID内のデータに変化が発生する場合、もしくはサンプリング間隔に従って各属性情報が更新される等の場合のみ転送が行われる。
ただし、このときにおいても差分の発生した属性IDについてだけデータを転送することが考えられる。
上述手段を特徴とするグループ化処理方法。
【請求項5】
近接するローカルエリア間においては、その一部を重複させる。これはIDタグのエリア間の移動を確実にすることを目的とする。IDタグが以前から属するローカルエリアに存在する限りは、識別IDもしくはグループIDの管理は以前から属するローカルエリアが行うものとする。このとき、一部重複する新規ローカルエリアにおいて上述のIDタグが検出されていても、これを無効とする。
進行方向に近接ローカルエリアにおけるローカルエリア間定義を超えたときに新規ローカルエリアにおける識別IDもしくはグループIDを有効とする。また、このとき以前属していたローカルエリアにて上記IDが検出されたとしたらこれを無効とする。
上述で定義されるローカルエリアを管理するローカルPCの制御によって、識別IDもしくはグループIDの移動を管理する方法をローカルエリア間定義と言う。上述手段を特徴とする動線管理システム。
【請求項6】
上述ローカルエリア間における識別IDもしくはグループIDの制御を移動する方法において、制御の移動を完了した識別IDもしくはグループIDが逆行を行い、移動元のローカルエリアに再度移動を行う場合においても、移動履歴を持たない場合は、請求項5の処理を適用する。
上述手段を特徴とする動線管理システム。
【請求項7】
ローカルサーバにおいても、ローカルエリア間と同様にローカルエリア間の重複処理が発生する。これに対しても請求項5の手段を用いて対処することが考えられる。この結果得られた有効データに対し、各グループIDに属する属性IDと属性IDが持つ位置情報を抽出し、代表IDとの相対座標を算出し、代表IDに関しては絶対値座標を格納する。
上述手段を特徴とする動線管理システム。
【請求項8】
本発明の動線管理システムにおける動線予測の方法とは、外挿法により動線を予測するものである。通常の動線に対しては識別IDもしくはグループIDの直近のベクトルを延長して進行方向を決定する。このときの予測位置を予測点と言う。動線予測には、一定の誤差を許容する為に範囲を持たせることが考えられるが、その範囲は三角形を代表とする多角形もしくは円および楕円の形状を有して実現することが考えられる。予測点への距離は、識別IDもしくはグループIDの速度により決定される。
上述手段を特徴とする動線予測。
【請求項9】
屋内屋外を問わず、本発明の動線管理システムが管理する範囲内には、動線管理上の禁止領域が存在する。禁止領域とは、例えばIDタグを取り付けた人間もしくは人間以外のものが、進入出来ないと想定される領域のことを言う。禁止領域の定義については、DXFやIGESに代表されるような、CADアプリケーションにて使用される2次元または3次元での寸法表現が可能であるファイルフォーマット、もしくは同等の情報形式による情報を用いて行い、上述で定義された禁止領域へのIDタグの干渉を管理する。
また、禁止領域近時の際に使用する動線予測の方法とは、外挿法と許容範囲により動線を予測するものである。禁止領域に接近したIDタグの動線は、識別IDもしくはグループIDの直近のベクトルによって、IDタグの現在地を基点として予測点に直角を置き方向を決定する。
予測点への距離は識別IDもしくはグループIDの速度およびサンプリング間隔により決定する。直角三角形の斜辺の向きは、禁止領域との距離によって決定する。このとき、予測点への移動をリアルタイムに監視し、予測点へ配置した直角三角形の範囲内に当該する識別IDもしくはグループIDが検出されていれば、予測点が正しいと判断する。IDの現在位置が、予測点へ配置された直角三角形の外にいる場合には、予測を一旦解除し、新たに動線予測を行なう。
ただし、このような途中解除の際には、予測点への時間経過を加味し距離の再算出を行なう。予測点へ向けて配置した前記の直角三角形を外れずに設定時間が経過した場合、最新のサンプリング結果を基に予測点を更新する。
上述手段を特徴とする動線予測システム。
【請求項10】
動線予測とは、請求項4の手段によるサンプリング間隔の優先度を下げた識別IDもしくはグループIDに対して行なうことを主に目的とした処理であり、常に更新を行わなくても動線予測を適用することにより、動線における情報品質にリアルタイム性を持たせることが可能となる。前記グループ化処理との組合せを持ってネットワーク上のトラフィック軽減に寄与するものである。ただし、優先度の低い識別IDもしくはグループIDのみに適用されるということではない。
上述手段を特徴とする動線予測システム。
【請求項11】
特殊な禁止領域近時の際に使用する動線予測の方法とは、請求項8に記載する方法が基本となるが、禁止領域内の障害物が、柱状や凸状、直角に代表する角度を持つ、もしくはそれらの組合せ形状等をもっていて、IDタグの移動軌跡が禁止領域を避けて弧を描くように回りこむことが想定される。この場合は、前記請求項8にて定義した直角三角形の他に円を使用することが考えられる。
したがって、上述手段によれば、IDタグの直近の動線ベクトルに従って算出した予測点へ禁止領域を回避しようとする向きに対して半円を描く軌跡を持たせることになる。
また、半円の向きは、禁止領域との干渉の度合いによって決定する。
予測点決定後は、識別IDもしくはグループIDの予測点への移動をリアルタイムに監視する。
このとき動線予測の範囲内に、上述のIDが検出されれば、予測点が正しいと判断する。
上述IDタグの現在位置が動線予測の範囲外にいる場合には、予測を一旦解除し、新たに動線予測を行なう。ただし、このような途中解除の際には、予測点への時間経過が加味され距離の再算出が行われる。
上述IDタグの現在位置が、動線予測の範囲を外れずに設定時間が経過した場合、最新のサンプリング結果を基に予測点を更新する。
(一例として半円における動線予測の方法を挙げたが、これに限定されない。)
また、上述の軌跡の傾向が予め予測されている場合などは、外部からの設定を行なうことによって、任意の角度の設定で動線予測が可能となる仕組みを備えることが考えられる。また、任意の角度の設定とは禁止領域ごと個別に設定すること、総体的に設定することが可能であることが考えられる。また、それら個別の設定と総体的な設定は重複すること、優先順位を持つことが考えられる。
上述手段を特徴とする動線予測。
【請求項12】
IDタグが禁止領域を回避しようとする動線の予測に関しては、予めその回避予測方法を禁止領域毎に設定し対応する手段も考えられる。この場合、禁止領域に沿って回避の予測領域を設定し、その予測領域への入射角を持って禁止領域回避の軌跡を予測することが考えられる。
また、禁止領域への接近に対しては、予め用意された禁止領域を把握し動線予測を行なう方法と、予測点の算出後にIDの移動軌跡と禁止領域の干渉を確認する機能を備える。
上述の「IDの移動軌跡と禁止領域との干渉」の本発明における定義は、禁止領域の境界との直接の干渉と、禁止領域から任意の距離のマージンをとった境界との干渉とする。
上述で定義した禁止領域への干渉を検知した場合には、直線ベクトルによる動線予測を解除し、禁止領域内の障害物の形状に依存して回折もしくは半円による回避を行なう機能を備える。
上述手段を特徴とする動線予測。
【請求項13】
本発明の動線補完とは、特に、請求項4により定義されるサンプリング間隔の低い設定に対して有効な手段である。表示される識別IDもしくはグループID群の中で最短サンプリング間隔を持つID群に対してはリアルタイム表示が行われるが、その他のID群は、リアルタイム性を持っていないためである。
動線補完対象の判定については、予め設定された識別子を用いて意図的に行われることとする。
本発明の動線補完の「対象ID」とは、識別IDまたはグループIDのような、表示対象となるIDデータのことを示す。
動線補完により表示処理は、最短サンプリング間隔に同期される。このとき対象IDに対しては内挿処理によって、対象IDの動線をトレースするデータが生成される。
上述の対象IDが持つ位置情報は、当然、予測点を示すものであり予測点をもとにして現在位置を求めるものとする。このため、それぞれの対象IDは位置情報と速度情報と方向情報を備え、動線補完対象の識別子と、実際のサンプリング間隔と最短のサンプリング間隔毎の比較を持って動線補完を実現する処理を言う。
上述手段を特徴とする動線補完。
【請求項14】
動線補完の禁止領域との干渉は、次に示す2つの方法が考えられる。一つは半円、円、楕円もしくは多角形等の形状を持って行う方法である。もう一つは禁止領域の回避傾向情報を予め設定することにより補間を行う方法である。
動線補完は、現在位置と予測位置と禁止領域の座標データを用いて行われ、現在位置と禁止領域の間が、指定範囲にかかる場合、もしくは禁止領域にかかる場合には、回避処理を行う。回避処理とは、予測位置と現在位置との距離を測定し、測定結果を基に回折回避に使用する半円の直径値とし半円の軌跡を設定する。これを動線補完の経路とすることを言う。
この方法を用いれば、上述の対象IDについても速度データを使用することにより、一定間隔の動線をディスプレイ表示上にて実現できる。
上述手段を特徴とする動線補完。
【請求項15】
ある狭路への変化点もしくは、直角に代表する角度を持つ曲がり角等、もしくはそれらの連続する場所において、グループが通過する際にグループに所属する属性ID間の距離を狭める等の人の流動性に則した処理を行う。これについても禁止領域データ上に情報を持ち対象IDの動線に併せて、進行方向と横方向に対してIDタグ間の距離と指定範囲の双方に対して補正係数を持って対応するものである。よって、上述手段により、狭路もしくは曲がり角への密集化に対応する。
上述手段を特徴とする動線補完。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−250918(P2006−250918A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−111358(P2005−111358)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(505120032)株式会社ワイズメディアテクノロジー (12)
【出願人】(505121567)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(505120032)株式会社ワイズメディアテクノロジー (12)
【出願人】(505121567)
【Fターム(参考)】
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