説明

位置情報収集システム

【課題】セーリング競技において、携帯電話網が届きにくい場所にある船舶などの位置情報をリアルタイムに追跡する。
【解決手段】位置情報が捕捉されるべき、トラッキング用端末100a〜100dは、定期的にGPS機能で自端末の経度緯度情報を取得しブロードキャストする。またトラッキング用端末は、自端末で保持している他のトラッキング用端末の位置情報についての端末IDと時刻情報とをブロードキャストし、当該ブロードキャストに応じて他のトラッキング用端末又は中継用端末120a〜120cから送信されてきた位置情報を要求する信号を受けて要求された位置情報を送信する。トラッキング用端末は、短距離無線により送受信を行う。中継用端末は受信したトラッキング用端末を遠距離無線でトラッキング用管理サーバ140に送信し、送信した情報はビューア端末160で表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は端末の所在位置の捕捉技術に関し、特にセーリング競技等に用いられる船舶の所在位置の追跡に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体の所在位置の捕捉の手法としては、例えば、携帯電話機にGPS(Global Positioning System)受信機を搭載し、当該携帯電話機に対して別の機器(例えば他の携帯電話機)から、その位置情報を要求し、携帯電話機は当該要求に応じてGPSによる測位を行って位置情報を取得して、位置情報を要求した機器に送信すると言った手法がある。
特許文献1には、そのような携帯電話機の一例が開示されている。特許文献1は、GPS受信機を搭載した携帯電話機が通話中にも通話相手から通話相手の位置情報を取得し、その位置の地図を表示することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−26968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、移動体の位置の捕捉手法として、例えば、セーリング競技におけるレース中のヨットの位置を捕捉するために、上述のようにヨットに乗船するユーザが保持する携帯電話機を用いて位置情報を送信することが考えられる。しかしながら、携帯電話機のサービス網は、海上では通信圏外になることもあり、その場合には、位置情報を送信できないという問題が発生する。また、例え、海上が携帯電話機の通信圏内だったとしても、セーリング競技などでは、リアルタイムに各ヨットの位置を捕捉できたほうが、レースを観戦している観客にとって、よりレースを楽しめるため、その場合には、位置情報を定期的に送信することとなるが、このときに携帯電話網を使用することとした場合には、通信コストがかかるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、海上など、携帯電話機が通信圏外となる位置にある端末の位置をリアルタイムに捕捉しつつ、携帯電話機を利用する場合よりも通信コストを抑制することができる位置情報収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の移動体端末と、中継装置と、サーバ装置とからなり、前記複数の移動体端末の位置情報を収集する位置情報収集システムであって、前記移動体端末は、自端末の位置を逐次測位して位置情報を生成する測位手段と、前記測位手段が生成した位置情報と、当該位置情報で示される位置を測位した時間と、自端末を識別する自端末識別情報とを近距離無線により逐次発信する第1発信手段と、他端末から自端末で保持していない他端末の位置情報を取得する第1取得手段と、前記第1取得手段が取得した他端末の位置情報を当該位置情報で示される位置が測位された時間と当該他端末を識別するための他端末識別情報とに対応付けて記憶する第2記憶手段と、 前記第2記憶手段に記憶されており、少なくとも他端末識別情報とそれに対応付けられている時間とを含む他端末情報を近距離無線により逐次発信する第2発信手段と、を備え、前記中継装置は、移動体端末から当該移動体端末又は当該移動体端末とは異なる他の移動体端末の位置情報と、当該位置情報で示される位置が測位された時間とを取得する第2取得手段と、前記第2取得手段が取得した位置情報と時間とこれに対応する移動体端末の識別情報とを遠距離無線により前記サーバ装置に送信する送信手段と、を備え、前記サーバ装置は、前記中継装置が発信した位置情報と時間と識別情報とを受信する受信手段と、 前記受信手段が受信した位置情報と時間と識別情報とを対応付けて記録する記録手段と、前記記録手段に記録されている位置情報と時間と識別情報とを出力する出力手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
ここで近距離無線とは、空中線電力が0.01W以下でその通信可能範囲がたかだか600mであるものをいい、遠距離無線とは、その通信範囲が1km以上であるものをいう。
【発明の効果】
【0008】
上述のような構成によって、移動体端末それぞれは、近距離無線で通信しあって、自端末及び他端末の時間ごとの位置情報を持ち合い、それを遠距離通信が可能な中継装置が拾って、サーバ装置に転送するので、携帯電話機網などのサービス網が届かない箇所にある移動体端末の位置情報を収集できるとともに、移動体端末間においては、無線通信に特別許可を必要としない近距離無線を使用することにより、移動体端末が携帯電話機網などのサービス網を利用することによって、かかる通信コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】トラッキングシステムのシステム構成を示すシステム図である。
【図2】トラッキング用端末の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】中継用端末の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図4】トラッキング情報管理サーバの機能構成を示す機能ブロック図である。
【図5】ビューア端末の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図6】トラッキング用端末が保持する自端末のトラッキング情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
【図7】トラッキング用端末が保持する他端末のトラッキング情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
【図8】トラッキング用端末が保持する自端末の通信設定情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
【図9】トラッキング用端末が自端末の位置情報を発信する場合の送信データの構成例を示すデータ概念図である。
【図10】トラッキング用端末が発信するHelloメッセージのデータ構成例を示すデータ概念図である。
【図11】トラッキング用端末が発信する送信要求応答メッセージのデータ構成例を示すデータ概念図である。
【図12】トラッキング用端末が送信する他端末の位置情報を送信する場合の送信データの構成例を示すデータ概念図である。
【図13】中継用端末が保持する中継トラッキング情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
【図14】トラッキング情報管理サーバが保持する統合トラッキング情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
【図15】ビューア端末が保持するトラッキング情報を表示するための表示方法を規定した表時設定情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
【図16】トラッキング用端末、中継用端末間の通信の一例を示すシーケンス図である。
【図17】トラッキング用端末のトラッキング情報の送信処理を示すフローチャートである。
【図18】トラッキング用端末の他の端末からのトラッキング情報の受信処理を示すフローチャートである。
【図19】トラッキング用端末のHelloメッセージの送信処理を示すフローチャートである。
【図20】トラッキング用端末のHelloメッセージ受信時の処理を示すフローチャートである。
【図21】トラッキング用端末の送信要求応答メッセージを受信したときの処理を示すフローチャートである。
【図22】中継用端末のトラッキング情報の送信処理を示すフローチャートである。
【図23】トラッキング情報管理サーバのトラッキング情報の受信処理を示すフローチャートである。
【図24】ビューア端末のトラッキング情報の表示処理を示すフローチャートである。
【図25】ビューア端末に表示される表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の位置情報収集システムの一実施形態であるトラッキングシステムについて図面を用いて説明する。
<構成>
図1は、トラッキングシステムのシステム構成を示すシステム図である。本トラッキングシステムは、セーリング競技におけるヨットの所在位置をリアルタイムに捕捉するための各ヨットのトラッキングを行うことを想定しており、本実施例においても、これに沿って説明する。
【0011】
トラッキングシステムは、ヨットやブイに搭載されたトラッキング用端末100a〜100dと、審判船などの運営船に搭載された中継用端末120a〜120cと、トラッキング情報管理サーバ140と、セーリング競技の観戦会場などに設置されるビューア端末160とを含んで構成される。なお、図1に示すトラッキング用端末や中継用端末の個数は、図1に示す個数に限定されるものではなく、これ以外の個数であってよい。
【0012】
図1に示すように、トラッキング用端末(100a〜100d)間、そして、トラッキング用端末(100a〜100d)−中継用端末間(120a〜120c)においては、近距離無線による通信を行って、自端末及び他端末の位置情報の送受信を行う。当該近距離無線には、429MHz帯を使用するものとし、その最大通信距離は約600mであるとする。また、トラッキング用端末間、トラッキング用端末−中継用端末間の通信においては、所謂モバイルアドホックネットワーク(MANET:Mobile Ad Hoc Network)で使用される通信規格に従った通信プロトコルでの通信を行う。
【0013】
また、中継用端末(120a〜120c)間、中継用端末(120a〜120c)−トラッキング情報管理サーバ140間では、無線LANのアドホックモードを使用した遠距離無線による通信を行って中継用端末から位置情報を送信する。当該遠距離無線には、2.4GHz帯を使用する。中継用端末120a〜120cは、携帯電話網及びインターネット網180を介してもトラッキング情報管理サーバ140に位置情報を送信する。中継用端末は、携帯電話網に接続可能な範囲、あるいは、無線LANのアドホックモードにおける通信範囲内(およそ200m)にあるように設置される。中継用端末−トラッキング情報管理サーバ間の無線LANの通信では、例えばIEEE802.11bの通信規格に従った通信を実行する。
【0014】
トラッキング用情報管理サーバ140は、ビューア端末160に接続されており、ビューア端末160は、レースに参加するヨットの位置を地図上に表示する。
図2は、トラッキング用端末100aの機能構成を示した機能ブロック図である。各トラッキング用端末は、全て同等の構成を備えるので、ここでは、トラッキング用端末100aの機能構成の説明のみ行い、他のトラッキング用端末の機能構成の説明については割愛する。
【0015】
図2に示すようにトラッキング用端末100aは、GPS受信部101と、センサー部102と、小電力無線部103と、情報蓄積部104と、端末制御部106とを含んで構成される。
GPS受信部101は、GPS衛星からの信号を受信して、経度緯度情報を算出して、トラッキング用端末100aの経度と緯度の情報である位置情報を生成して端末制御部106に伝送する機能を有する。GPS受信部101は、予め定められた周期毎(例えば5秒おき)に測位を行うものとし、測位して得られた経度緯度情報を当該経度緯度情報の測位を行ったタイミングの時刻情報を端末制御部106に伝送する。GPS受信部101は、UTC(Coordinated Universal Time)に精度よく同期して動作するので、GPS受信部101の動作クロックを用いて、端末制御部106での各種処理のタイミングの同期処理を行うものとする。また、GPS受信部101が出力する時刻情報はUTCに基づく時刻であるので、トラッキングシステム全体における時間の整合も精度よくとることができ、時刻情報の信頼性を高めるのに一役を担う。GPS受信部101には、一般的なGPS受信機(例えばGPSロガー)を用いてもよい。
【0016】
センサー部102は、例えば、加速度センサなどのセンサー類(図示せず)を含んで構成され、ヨットの傾きや、加速度方向、風速や、風向きなどの情報を取得し、取得したセンシングデータを端末制御部106に伝送する機能を有する。なお、当該センシングの手法については、従来からも行われている手法を用いるものとし、その詳細な手法については割愛する。センサー部102は、センシングデータをGPS受信部101が時刻情報と位置情報とを出力するタイミングに同期して出力する。
【0017】
小電力無線部103は、429MHz帯を用いた近距離無線による通信を実行する機能を有し、端末制御部106から伝送されてきた信号を変調して無線送信する機能と、受信した信号を復調して端末制御部106に伝送する機能とを有する。当該通信は、端末制御部106から設定される通信チャンネル、トラッキング用端末100aからの信号であることを他端末が識別するための自端末IDや、送信先のトラッキング用端末や中継用端末を識別する送信先端末IDなどに従って行われる。また、小電力無線部103は、受信する可能性のあるメッセージについて、そのメッセージがどの種別のメッセージであるかを識別するためにメッセージIDとメッセージ種別とを対応付けた情報を記憶しており、当該情報に基づいて受信したメッセージの種別を解析できる。具体的には、メッセージIDについて、「01」のメッセージは、自端末トラッキング情報メッセージであり、「02」のメッセージは、Helloメッセージであり、「03」のメッセージは、送信要求応答メッセージであり、「04」は他端末トラッキング情報メッセージである。各メッセージの詳細については後述する。
【0018】
情報蓄積部104は、端末制御部106の指示になる情報を外部メモリ105に書き込む機能と、外部メモリ105に記憶されている情報を読み出して端末制御部106に伝送する機能とを有する。
外部メモリ105は、トラッキング用端末100aに着脱自在なUSBフラッシュメモリなどに代表される可搬型の不揮発性メモリである。外部メモリ105は、トラッキング用端末100aの通信パラメータを定めた通信設定情報600と、トラッキング用端末100aの位置情報を当該位置情報が測位された時刻情報に対応付けた自端末トラッキング情報700(図7参照)と、トラッキング用端末100a以外のトラッキング用端末から取得した他端末の位置情報と当該位置情報が測位された時刻情報に対応付けられた他端末トラッキング情報800(図8参照)とを記憶する。
【0019】
端末制御部106は、トラッキング用端末100aの各部を制御する機能を有し、具体的には以下の(a)〜(d)に示す機能を有する。
(a)GPS受信部101から、位置情報と時刻情報とを、センサー部102からセンシングデータを受け付けた場合に、これらの情報を対応付けて自端末トラッキング情報700に追加する指示を情報蓄積部104に出力するとともに、当該位置情報と時刻情報とセンシングデータとを対応付けた自端末トラッキング情報メッセージのブロードキャストを小電力無線部103に指示する。
【0020】
(b)所定時間ごと(例えば、5秒おき)に情報蓄積部104に外部メモリ105が保持している他端末トラッキング情報800の読み出しを要求し、当該他端末トラッキング情報800から、現在から過去一定時間内(例えば、1分以内)の時刻情報を有する他端末トラッキング情報を抽出して、その抽出した他端末トラッキング情報の時刻情報と端末IDとを対応付けたリストを作成し、作成したリストをHelloメッセージに含めてブロードキャストする指示を小電力無線部103に出力する。
【0021】
そして、端末制御部106は、当該Helloメッセージに応じて送信されてきた送信要求応答メッセージで指定される他端末トラッキング情報を他端末トラッキング情報800から抽出して、小電力無線部103に送信させる。
なお、本明細書においては詳細には記していないが、Helloメッセージは、MANETの通信で規定されるHelloメッセージとしても用いられる。
【0022】
(c)小電力無線部103から他のトラッキング用端末の自端末トラッキング情報または他端末トラッキング情報を受け付けた場合に、当該他端末トラッキング情報が、外部メモリ105に記録されている他端末トラッキング情報800に登録されているかどうかを検出し、登録されていなかった場合には、小電力無線部103から受け付けた他のトラッキング用端末の自端末トラッキング情報または他端末トラッキング情報を他端末トラッキング情報800に追加する指示を情報蓄積部104に出力する。登録されていた場合には、小電力無線部103から受け付けた他端末トラッキング情報をそのまま破棄する。小電力無線部103から受け付けた他端末トラッキング情報が他端末トラッキング情報800に登録されているかどうかの検出は、他端末トラッキング情報で示される端末IDと時刻情報との両者が一致する他端末トラッキング情報が他端末トラッキング情報800にあるかどうかを以って行われる。
【0023】
(d)小電力無線部103から他端末からのHelloメッセージを受け付けた場合に、当該Helloメッセージに含まれる他端末トラッキング情報のリストを抽出し、当該リストに含まれる全ての端末IDと時刻情報との対について、他端末トラッキング情報800に登録されているかどうかを検出する。当該検出も端末IDと時刻情報との両者の一致を以って行われる。そして、端末制御部106は、登録されていない端末IDと時刻情報とがあった場合に、これに対応するトラッキング情報を要求するための送信要求応答メッセージの送信を小電力無線部103に指示する。当該送信要求応答メッセージは、ブロードキャストではなく、受信したHelloメッセージを送信したトラッキング用端末宛に送信する。そして、当該送信要求応答メッセージに応じて送信されてくる他端末トラッキング情報を小電力無線部103から受け付けて、他端末トラッキング情報800への登録を情報蓄積部104に指示する。
【0024】
図3は、中継用端末120aの機能構成を示した機能ブロック図である。各中継用端末は、全て同等の構成を備えるので、ここでは、中継用端末120aの機能構成の説明のみ行い、他の中継用端末120b、120cの機能構成の説明については割愛する。
図3に示すように中継用端末120aは、無線LANネットワーク部121と、携帯電話ネットワーク部122と、小電力無線部123と、情報蓄積部124と、中継制御部126とを含んで構成される。
【0025】
無線LANネットワーク部121は、中継制御部126から受け付けたトラッキング情報を2.4GHz帯を使用する無線LANのアドホックモードでトラッキング情報管理サーバ140に送信する機能を有する。
携帯電話ネットワーク部122は、中継制御部126受け付けたトラッキング情報を携帯電話網を介してトラッキング情報管理サーバ140に送信する機能を有する。
【0026】
小電力無線部123は、429MHz帯を用いた近距離無線による通信を実行する機能を有し、中継制御部126から伝送されてきた信号を変調して無線送信する機能と、受信した信号を復調して中継制御部126に伝送する機能とを有する。当該通信は、中継制御部126から設定される通信チャンネル、中継用端末120aからの信号であることをトラッキング用端末が識別するための自端末IDや、送信先のトラッキング用端末を識別する送信先端末IDに従って行われる。また、小電力無線部123は、受信する可能性のあるメッセージについて、そのメッセージがどの種別のメッセージであるかを識別するためにメッセージIDとメッセージ種別とを対応付けた情報を記憶しており、当該情報に基づいて受信したメッセージの種別を解析できる。具体的には、メッセージIDについて、「01」のメッセージは、自端末トラッキング情報メッセージであり、「02」のメッセージは、Helloメッセージであり、「03」のメッセージは、送信要求応答メッセージであり、「04」は他端末トラッキング情報メッセージである。各メッセージの詳細については後述する。
【0027】
情報蓄積部124は、中継制御部126の指示になる情報を外部メモリ125に書き込む機能と、外部メモリ125に記憶されている情報を読み出して端末制御部126に伝送する機能とを有する。
外部メモリ125は、中継用端末120aに着脱自在なUSBフラッシュメモリなどに代表される可搬型の不揮発性メモリである。外部メモリ125は、中継用端末120aの通信パラメータを定めた通信設定情報600と、トラッキング用端末から取得した他端末の位置情報と当該位置情報が測位された時刻情報と当該他端末の識別情報とが対応付けられたトラッキング情報1300(図13参照)とを記憶する。
【0028】
中継制御部126は、中継用端末120aの各部を制御する機能を有し、トラッキング用端末の端末制御部106と同様に、自端末トラッキング情報メッセージ受信時及び他端末トラッキング情報メッセージ受信時の処理(上記(c)参照)、Helloメッセージの受信時の処理(上記(d)参照)を実行する機能を有し、更に、以下の機能を有する。中継制御部126は、所定時間ごと(例えば1分おき)に、情報蓄積部124から自端末で保持しているトラッキング情報1300を受け取り、その中から送信フラグが「0」のトラッキング情報を抽出し、無線LANネットワーク部121と携帯電話ネットワーク部122とに、抽出したトラッキング情報をトラッキング情報管理サーバ140に送信させる機能を有する。
【0029】
図4は、トラッキング情報管理サーバ140の機能構成を示した機能ブロック図である。
図4に示すように、トラッキング情報管理サーバ14は、無線ネットワーク部141と、有線ネットワーク部142と、ビューア端末通信部143と、情報蓄積部144と、サーバ管理部146とを含んで構成される。
【0030】
無線ネットワーク部141は、2.4GHz帯を使用する無線LANのアドホックモードで中継用端末からトラッキング情報を受信する機能を有する。
有線ネットワーク部142は、携帯電話網、インターネット網を有線により、中継用端末からトラッキング情報を受信する機能を有する。
ビューア端末通信部143は、サーバ管理部146からの指示により、統合トラッキング情報をビューア端末160に送信する機能を有する。
【0031】
情報蓄積部144は、トラッキング用端末の位置情報と時刻情報とセンシングデータを対応付けた統合トラッキング情報1400を蓄積する機能を有し、サーバ管理部146からの指示に従い蓄積している統合トラッキング情報1400を出力する機能を有する。
サーバ管理部146は、トラッキング情報管理サーバ140の各部を制御する機能を有し、具体的には各中継用端末から送信され、受信したトラッキング情報の中から自装置で保持していないものを抽出して情報蓄積部144に蓄積する機能と、保持しているトラッキング情報のうち、各端末IDの最新のものをビューア端末160にビューア端末通信部143を介して送信する機能を有する。
【0032】
図5は、ビューア端末160の機能構成を示した機能ブロック図である。
図5に示すようにビューア端末160は、トラッキング情報通信部161と、航跡処理部162と、入力操作部163と、表示部164と、ビューア端末制御部166とを含んで構成される。
トラッキング情報通信部161は、トラッキング情報管理サーバ140から定期的に送信されてくる最新のトラッキング情報を受信する機能を有し、受信したトラッキング情報をビューア端末制御部166に伝送する機能を有する。
【0033】
航跡処理部162は、各トラッキング用端末の前回のトラッキング情報と、通信部161で受け付けた最新のトラッキング情報とから、各トラッキング用端末の進行方向を特定する機能を有し、特定した進行方向をビューア端末制御部166に伝送する機能を有する。具体的には、あるトラッキング用端末についての前回のトラッキング情報の経度緯度情報で示される位置から、当該トラッキング用端末の今回のトラッキング情報の経度緯度情報で示される位置に対する方向が、当該トラッキング用端末の進行方向であると特定する。
【0034】
入力操作部163は、オペレータからの操作を受け付ける機能を有し、例えば、表示設定情報を編集したり、表示の更新処理の実行指示を受け付けたりする。
表示部164は、ビューア端末160に備えられたモニタ、若しくはビューア端末に接続されたモニタにビューア端末制御部166からの指示になる描画データを出力して、表示させる機能を有する。当該描画データにより表示される画像は、例えば、図25に示されるような、地図と各トラッキング用端末の位置とを示した画像である。モニタとしては、例えばLCD(Liquid Crystal Display)あるいはPDP(Plasma Display Panel)などがある。
【0035】
ビューア端末制御部166は、ビューア端末160の各部を制御する機能を有し、トラッキング情報通信部161から最新トラッキング情報を受け取るたびに、航跡処理部162に各トラッキング用端末の進行方向を特定させ、最新トラッキング情報で示される各トラッキング用端末の経度緯度情報で示される地図上に各トラッキング用端末を識別するマーカーを航跡処理部162が特定した進行方向に従って示した描画データを生成して、表示部164に表示させる機能を有する。
<データ>
ここから本実施の形態に係るトラッキングシステムにおいて用いられる各種データについて説明する。
【0036】
図6(a)は、トラッキング用端末100a〜100dあるいは中継用端末120a〜120cに装着される外部メモリ105、125に予め格納されている小電力無線による通信の通信パラメータを定めた通信設定情報600のデータ構成例を示す概念図である。当該通信設定情報600は、トラッキング用端末100a〜100dあるいは中継用端末120a〜120cの起動時に端末制御部106あるいは中継制御部126の指示に従い情報蓄積部104、124によって読み出され、各通信パラメータは、小電力無線部103、123に設定される。
【0037】
図6(a)に示すように通信設定情報600は、端末ID610と、通信チャンネル620と、送信間隔630と、送信スロット640と、送信先端末ID650とを含む。
端末ID(IDentifier)610は、自端末を特定し、他端末が自端末からの信号を識別する、あるいは、送信のあて先として指定するための識別子である。端末ID610は、自端末から信号を送信する場合の送信元IDとして使用される。
【0038】
通信チャンネル620は、自端末で小電力無線通信において使用する通信のチャンネルの情報であり、自端末は通信の際には当該チャンネルを使用することが定められている。
送信間隔630は、自端末から信号を送信する際の信号の送信間隔を示す情報であり、一度情報を送った後に次の情報を送信するタイミングを示す情報である。
送信スロット640は、送信間隔で示される間隔の中に含まれる複数のスロットの中で自端末がどのスロットを用いるのかを特定するための情報である。
【0039】
送信先端末ID650は、送信先となり得る端末に与えられることになる端末の識別子情報である。
図6(b)は、図6(a)に示した送信間隔とスロットとを説明するための図であり、送信間隔で定まる時間内には、複数のスロット(図6の事例で言えば5スロット)が設けられており、この複数のスロットが送信間隔630で示される周期で繰り返される。そして、送信スロット640は、当該送信間隔内のどのスロットにおいて自端末がデータを送信できるかを定めている(図6の事例で言えば5スロット中の3スロット目)。また、1スロットの時間については予め定められていることとする。図6の場合で言えば1スロットの時間は1秒と定められている。仮に、1スロットの時間を0.5秒とすれば、送信間隔間のスロット数は10スロットとなる。
【0040】
図7は、自端末トラッキング情報700の構成例を示したデータ概念図である。各トラッキング用端末は、自身の位置情報を示す自端末トラッキング情報700を保持している。
自端末トラッキング情報700は、時刻情報710と、経度緯度情報720と、センシングデータ730とを対応付けた情報の集合である。
【0041】
時刻情報710は、当該トラッキング情報で示される経度緯度情報とセンシングデータが測定された時間を示す情報である。時刻情報は、上2桁が時間を、中2桁が分を、下2桁が秒を表している。
経度緯度情報720は、GPS受信部101が測位した自端末の経度と緯度とを示す情報である。
【0042】
センシングデータ730は、センサー部102が出力するセンシングデータであり、ここでは、その一例として、風向きと風速とを示している。
図8は、他端末トラッキング情報800の構成例を示したデータ概念図である。各トラッキング用端末は、自端末以外のトラッキング用端末のトラッキング情報を保持している。
【0043】
他端末トラッキング情報800は、端末ID810と、時刻情報820と、経度緯度情報830と、センシングデータ840とを対応付けた情報の集合である。
端末ID810は、当該トラッキング情報がどのトラッキング用端末のものであるかを特定するための識別子である。
時刻情報820は、当該トラッキング情報が測位された時間を示す情報である。
【0044】
経度緯度情報830は、他端末において測位された他端末の経度と緯度とを示す情報である。
センシングデータ830は、他端末でセンシングされたセンシングデータであり、ここでは、その一例として、風向きと風速とを示している。
図9は、各トラッキング用端末が送信する自端末の位置情報を示す自端末トラッキング情報メッセージのデータ構成例を示すデータ概念図である。上段はその概念を下段は、一具体例を示している。
【0045】
図9に示すように、自端末トラッキング情報メッセージ900は、メッセージID910と、送信元端末ID920と、時刻情報930と、経度緯度情報940と、センシングデータ950とからなる。
メッセージID910は、当該メッセージがどのメッセージであるかを受信側で識別するための情報であり、メッセージの種別を示している。自端末トラッキング情報メッセージの場合の、メッセージIDは、「01」であり、トラッキング用端末は、自端末トラッキング情報メッセージを発信する場合には、メッセージID910を「01」としたメッセージを送信する。
【0046】
送信元ID920は、自端末トラッキング情報メッセージを発信するトラッキング用端末の端末ID、即ち自端末のIDの情報である。当該送信元ID920には、通信設定情報600で設定されている端末IDが設定される。
時刻情報930は、位置情報を測位した時間を示す情報である。
経度緯度情報940は、当該トラッキング情報の経度と緯度とを示す情報である。
【0047】
センシングデータ930は、時刻情報930で示される時間においてセンサー部102でセンシングして得られたセンシングデータである。
図10は、トラッキング用端末が定期的(例えば5秒おき)に発信するHelloメッセージの構成例を示したデータ概念図である。
図10に示されるように、Helloメッセージ1000は、メッセージID1010と、送信元端末ID1020と、所持情報一覧1030とから成る。
【0048】
メッセージID1010は、当該メッセージがどのメッセージであるかを受信側で識別するための情報であり、メッセージの種別を示している。自端末トラッキング情報メッセージの場合の、メッセージIDは、「02」であり、トラッキング用端末は、Helloメッセージを発信する場合には、メッセージID1010を「02」としたメッセージを送信する。
【0049】
送信元端末ID1020は、Helloメッセージを発信するトラッキング用端末の端末ID、即ち自端末のIDの情報である。当該送信元端末ID1020には、通信設定情報600で設定されている端末IDが設定される。
所持情報一覧1030は、トラッキング用端末が保持している現在から一定時間過去までの保持している他端末の位置情報を示す情報の一覧であり、具体的には一つの端末IDと、時刻情報とが対になった情報が連続する構成となっている。
【0050】
図11は、送信要求応答メッセージの構成例を示したデータ概念図である。
送信要求応答メッセージ1100は、メッセージID1110と、送信先端末ID1120と、送信元端末ID1130と、要求情報一覧1140とから成る。
メッセージID1110は、当該メッセージがどのメッセージであるかを受信側で識別するための情報であり、メッセージの種別を示している。送信要求応答メッセージの場合の、メッセージIDは、「03」であり、トラッキング用端末は、送信要求応答メッセージ1100を発信する場合には、メッセージID1110を「03」としたメッセージを発信する。
【0051】
送信先端末ID1120は、当該送信要求応答メッセージ1100がどのトラッキング用端末に当てられたものであるのかを示す情報であり、送信要求応答メッセージはHelloメッセージに対する応答でもあるので、送信先端末ID1120には、当該Helloメッセージの送信元ID1020で示されるIDが挿入される。
送信元端末ID1130は、送信要求応答メッセージ1100を送信するトラッキング用端末の端末IDのことである。
【0052】
要求情報一覧1140は、受信したHelloメッセージのリスト一覧に含まれていた情報であって、自端末で保持していないトラッキング情報についての端末IDと時刻情報との対の情報である。
図12は、他端末トラッキング情報メッセージの1200構成例を示したデータ概念図である。
【0053】
他端末トラッキング情報メッセージ1200は、トラッキング用端末が自身で発信したHelloメッセージに対する応答である送信要求応答メッセージを受信して、当該送信要求応答メッセージにおいて、他端末のトラッキング情報を要求されていた場合に送信する他端末のトラッキング情報を示すメッセージである。他端末トラッキング情報メッセージは一つのトラッキング情報についてのメッセージであり、送信要求応答メッセージにおいて、複数のトラッキング情報を要求されている場合には、複数の他端末トラッキング情報メッセージを送信することになる。
【0054】
図12に示すように他端末トラッキング情報メッセージ1200は、メッセージID1210と、送信先端末ID1220と、送信元端末ID1230と、端末ID1240と、時刻情報1250と、経度緯度情報1260と、センシングデータ1270とから成る。
メッセージID1210は、当該メッセージがどのメッセージであるかを受信側で識別するための情報であり、メッセージの種別を示している。他端末トラッキング情報メッセージの場合の、メッセージIDは、「04」であり、トラッキング用端末は、他端末トラッキング情報メッセージ1200を送信する場合には、メッセージID1210を「04」としたメッセージを送信する。
【0055】
送信先端末ID1220は、他端末トラッキング情報メッセージ1200の送信先のトラッキング用端末または中継用端末の端末IDを示す情報である。
送信元端末ID1230は、他端末トラッキング情報メッセージ1200を送信するトラッキング用端末の端末IDを示す情報である。
端末ID1240は、他端末トラッキング情報メッセージ1200で送信するトラッキング情報がどの端末のものであるのかを識別するための情報である。端末ID1240は、送信要求応答メッセージで示される要求情報一覧1140で示される端末IDのうちのいずれかの端末IDである。
【0056】
時刻情報1250は、位置情報が測位された時間を示す情報であり、送信要求応答メッセージで示される要求情報一覧1140で示される時刻情報のうち端末ID1240で示される端末IDに対応する時刻情報でもある。
経度緯度情報1260は、端末ID1240と時刻情報1250で示される情報に対応する位置情報のことである。
【0057】
センシングデータ1270は、端末ID1240と時刻情報1250で示される情報に対応するセンシングデータのことである。
図13は、中継用端末120a〜120cが保持するトラッキング情報1300の構成例を示したデータ概念図である。
トラッキング情報1300は、端末ID1310と、時刻情報1320と、経度緯度情報1330と、センシングデータ1340と、送信フラグ1350とを対応付けた情報である。
【0058】
端末ID1310は、当該トラッキング情報がどの端末のものであるかを示すための情報である。
時刻情報1320は、当該位置情報がいつ測位されたものであるかを示す情報である。
経度緯度情報1330は、測位により得られた経度と緯度の情報である。
センシングデータ1340は、当該位置情報が測位されたときにセンサー部がセンシングした情報である。
【0059】
送信フラグ1350は、当該トラッキング情報を中継用端末がトラッキング情報管理サーバに送信しているか否かを示す情報であり、「0」は未送信を、「1」は送信済みを意味する。
図14は、トラッキング情報管理サーバが保持する統合トラッキング情報1400の構成例を示したデータ概念図である。
【0060】
統合トラッキング情報1400は、各中継用端末が送信してきたトラッキング情報を統合したものであり、その基本的な構成は中継用端末が保持しているトラッキング情報1300から、送信フラグ1350を除いた構成となっており、その他の構成はトラッキング情報と共通するので説明を割愛する。
図15は、ビューア端末160が保持するトラッキング情報の表示方法を規定した表示設定情報1500の構成例を示したデータ概念図である。
【0061】
当該表示設定情報1500を記憶していることにより、ビューア端末160は、トラッキング情報管理サーバ140から送信されてくるトラッキング情報に基づく適切な表示を行うことができる。
表示設定情報1500は、端末ID1510と、セール番号1520と、表示・非常時1530と、表示色1540とを対応付けた情報である。
【0062】
端末ID1510は、どのトラッキング用端末に関する表示設定であるかを示す情報であり、トラッキング情報に含まれる端末IDと対応する。
セール番号1520は、端末ID1510で示されるトラッキング用端末に対して、他のトラッキング端末との区別をするために付与されている番号である。セーリング競技で各ヨットを識別するための番号が端末IDと一致するとは限らないので、そのために端末IDとセール番号とを対応付けている。
【0063】
表示・非表示1530は、その端末IDについての情報を表示するか否かを規定した情報であり、図15においては、「表示」「非表示」で示しているが、実際には、「0」(表示)か「1」(非表示)で示される。表示設定情報1500は、入力操作部163を介して、オペレータがいつでも編集でき、例えば、競技からリタイアしたヨットについての情報を表示から非表示に変えることで、表示される情報を見やすくしたりすることができる。
【0064】
表示色1540は、その端末IDの情報をどの色を用いて表示するのかを規定した情報である。これにより、各ヨットを一目で識別可能に表示できる。
<動作>
次に、本実施の形態における各機器の動作を図16に示すシーケンス図や図17〜図24に示すフローチャートを用いて説明する。
【0065】
図16は、トラッキング用端末間、あるいはトラッキング用端末−中継用端末間のHelloメッセージの送信に伴う通信の一例を示すシーケンス図であり、トラッキング用端末が保持する他のトラッキング用端末のトラッキング情報が伝播されていく様子を示した図である。
図16に示すシーケンス図では、トラッキング用端末100cがHelloメッセージをブロードキャストし、トラッキング用端末100a及び中継用端末120aが受信する事例を示している。
【0066】
トラッキング用端末100cは、自端末の送信タイミングで、自端末で保持している現在から一定時間過去までの他端末のトラッキング情報についての、他端末の識別情報と時刻情報とを含むHelloメッセージを送信する(ステップS1600)。
Helloメッセージを受信したトラッキング用端末100aは、当該Helloメッセージに含まれる所持情報一覧の中の端末IDと時刻情報との対に対応するトラッキング情報を所持しているかどうかを検出し、所持していないトラッキング情報に対応する端末IDと時刻情報との対の情報を含む送信要求応答メッセージを生成し、トラッキング用端末100aが許されている送信タイミングで当該送信要求応答メッセージを送信する(ステップS1601)。
【0067】
トラッキング用端末100aからの送信要求応答メッセージを受信したトラッキング用端末100cは、当該送信要求応答メッセージで指定されている端末IDと時刻情報とに対応するトラッキング情報を外部メモリから読み出し、その端末IDと時刻情報と位置情報とを含む他端末トラッキング情報メッセージを送信する(ステップS1602)。なお、図16においては、1回のみの送信であるかのように記載しているが、実際には、送信要求応答メッセージで要求されているトラッキング情報の数だけの他端末トラッキング情報メッセージを送信する。
【0068】
トラッキング用端末100cからの他端末トラッキング情報メッセージを受信したトラッキング用端末100aは、当該他端末トラッキング情報メッセージで示される端末IDと時刻情報と位置情報とを対応付けて外部メモリの他端末トラッキング情報800に追加、登録する。
一方、同様にトラッキング用端末100cからのHelloメッセージを受信した中継用端末120aは、当該Helloメッセージに含まれる所持情報一覧の中の端末IDと時刻情報との対に対応するトラッキング情報を所持しているかどうかを検出し、所持していないトラッキング情報に対応する端末IDと時刻情報との対の情報を含む送信要求応答メッセージを生成し、中継用端末120aが許されている送信タイミングで当該送信要求応答メッセージを送信する(ステップS1605)。
【0069】
中継用端末120aからの送信要求応答メッセージを受信したトラッキング用端末100cは、当該送信要求応答メッセージで指定されている端末IDと時刻情報とに対応するトラッキング情報を外部メモリから読み出し、その端末IDと時刻情報と位置情報とを含む他端末トラッキング情報メッセージを送信する(ステップS1606)。なお、図16においては、1回のみの送信であるかのように記載しているが、実際には、送信要求応答メッセージで要求されているトラッキング情報の数だけの他端末トラッキング情報メッセージを送信する。
【0070】
そして、トラッキング用端末100cからの他端末トラッキング情報メッセージを受信した中継用端末120aは、当該他端末トラッキング情報メッセージで示される端末IDと時刻情報と経度緯度情報とセンシングデータとを対応付け、その送信フラグを「0」にして他端末トラッキング情報800に追加登録する(ステップS1607)。
なお、当然のことながら、トラッキング用端末間、あるいは、トラッキング用端末−中継用端末間の通信距離に応じて、メッセージの到達時間は異なる。
【0071】
図17は、トラッキング用端末のトラッキング情報の送信処理を示すフローチャートである。
GPS受信部101は予め定められた時間ごとにGPS衛星からの信号を受信して、トラッキング用端末の位置を測位し、その測位を行った時間とともに端末制御部160に伝送する(ステップS1701)。これと同時にセンサー部102は、センシングデータを端末制御部106に伝送する。
【0072】
GPS受信部101から位置情報(経度緯度情報)と時刻情報とを、センサー部102からセンシングデータを受信した端末制御部106は、情報蓄積部104にこれらの情報を伝送すると共に、対応付けて外部メモリ105の自端末トラッキング情報に追加登録することを指示する(ステップS1702)。
また、GPS受信部101から位置情報と時刻情報とを、センサー部102からセンシングデータを受信した端末制御部106は、メッセージIDを「01」とし、端末IDを、当該位置情報と時刻情報とセンシングデータに付加して自端末トラッキング情報メッセージを生成し、小電力無線部103に伝送する(ステップS1703)。
【0073】
小電力無線部103は、端末制御部106から自端末トラッキング情報メッセージを受け付けると、当該自端末トラッキング情報メッセージを送信可能かどうかを設定されている送信間隔及び送信スロットに基づいて判定する(ステップS1704)。
送信可能である場合(ステップS1704のYES)、小電力無線部103は、自端末トラッキング情報メッセージを送信して処理を終了する。送信可能でない場合には(ステップS1704のNO)、送信可能になるまで待機する。
【0074】
次に、トラッキング用端末が他の端末から自端末トラッキング情報メッセージを受信した場合の受信処理を図18に示すフローチャートを用いて説明する。
小電力無線部103は、他のトラッキング用端末から、当該他のトラッキング用端末が発信した自端末トラッキング情報メッセージを受信し(ステップS1801)、これを端末制御部106に伝送する。
【0075】
端末制御部106は、小電力無線部103から受け付けた自端末トラッキング情報メッセージで示されるトラッキング情報を既に所持しているか否かを、自端末トラッキング情報メッセージに含まれる送信元IDと、時刻情報とに一致する他端末トラッキング情報が他端末トラッキング情報800に登録されているか否かによって判定する(ステップS1802)。
【0076】
所持している場合には、受信した自端末トラッキング情報メッセージで示されるトラッキング情報を記憶せずに破棄して(ステップS1804)処理を終了する。
所持していない場合には、端末制御部106は、情報蓄積部104に対して、自端末トラッキング情報メッセージの送信元IDを端末IDとして、これに受信した自端末トラッキング情報メッセージで示される時刻情報と、経度緯度情報と、センシングデータとを対応付けて他端末トラッキング情報800に追加登録する指示を伝送し、情報蓄積部104は伝送された情報を外部メモリ105の他端末トラッキング情報800に追加登録して(ステップS1803)処理を終了する。
【0077】
次に、トラッキング用端末のHelloメッセージの送信処理を図19に示すフローチャートを用いて説明する。
端末制御部106は、Helloメッセージを送信すべきタイミングが到来すると、自端末の外部メモリ105に保持されている他端末トラッキング情報800の読み出しを情報蓄積部104に指示する(ステップS1901)。
【0078】
当該指示に従い情報蓄積部104は他端末トラッキング情報800を外部メモリ105から読み出して、端末制御部106に伝送する。
端末制御部106は、他端末トラッキング情報800の中から現在時刻から一定時間過去(過去1分以内)までの他端末トラッキング情報を抽出する(ステップS1902)。
端末制御部106は、抽出した他端末トラッキング情報から端末IDと時刻情報とを抽出し、これの対からなる所持情報一覧を作成する(ステップS1903)。
【0079】
端末制御部106は、当該所持一覧に、メッセージIDを「02」とし、自端末のIDを送信元IDとしたHelloメッセージを生成し、その送信を小電力無線部103に指示する。
小電力無線部103は、予め設定された送信間隔及び送信スロットに従い、送信可能であるかどうかを判定し(ステップS1904)、送信可能な場合には(ステップS1904のYES)、Helloメッセージを送信する(ステップ
S1905)。送信できない場合には(ステップS1904のNO)、送信できるようになるまで待機する。
【0080】
Helloメッセージの送信後、所定時間待機した後(ステップS1906のYES)にステップS1901に戻る。
次に、トラッキング用端末のHelloメッセージ受信時の処理を図20に示すフローチャートを用いて説明する。
小電力無線部103は、他のトラッキング用端末からHelloメッセージを受信し(ステップS2001)、当該Helloメッセージを端末制御部106に伝送する。
【0081】
端末制御部106は、Helloメッセージの所持情報一覧の中から1つの端末IDと時刻情報との対について、既に所持しているかどうかを当該対で示される端末IDと時刻情報とに一致するトラッキング情報が他端末トラッキング情報800に登録されているか否かで判定する(ステップS2002)。
所持していない場合には、端末制御部106は、送信要求応答メッセージに含める要求情報一覧のリストにその端末IDと時刻情報とを追加する(ステップS2003)。所持している場合には、何もせずにステップS2004に移行する。
【0082】
端末制御部106は、所持情報一覧に含まれる全ての端末IDと時刻情報の対について、自端末で保持したかを判定する(ステップS2004)。全ての端末IDと時刻情報の対について、判定していない場合には(ステップS2004のNO)、ステップS2002に戻る。
全ての端末IDと時刻情報の対について、判定した場合には(ステップS2004のYES)、端末制御部106は、要求情報一覧にメッセージID「03」と、自端末IDとを付加し、Helloメッセージを送信してきたトラッキング用端末の端末IDを送信先IDとした送信要求応答メッセージを生成して、小電力無線部103に伝送する。
【0083】
小電力無線部103は、設定されている通信設定に従い、送信可能かどうかを判定し(ステップS2005)、送信可能な場合には(ステップS2005のYES)、小電力無線部103は、送信要求応答メッセージを送信して処理を終了する。
なお、小電力無線部103は、送信できない場合には(ステップS2005のNO)、送信できるようになるまで待機する。
【0084】
次に、トラッキング用端末の送信要求応答メッセージを受信したときの処理を図21に示すフローチャートを用いて説明する。
小電力無線部103は、他のトラッキング用端末、若しくは、中継用端末から送信要求応答メッセージ1100を受信し(ステップS2101)、端末制御部106に伝送する。
【0085】
端末制御部106は、送信要求応答メッセージの要求情報一覧1140に含まれる1つの端末IDと時刻情報の対とに対応するトラッキング情報を、情報蓄積部104が外部メモリ105から読み出した他端末トラッキング情報800から抽出する(ステップS2102)。
小電力無線部103は、端末制御部106から他端末トラッキング情報メッセージを受け付けると送信可能であるかどうかを判定する(ステップS2103)。
【0086】
そして送信可能である場合に(ステップS2103のYES)、他端末トラッキング情報メッセージを送信する(ステップS2104)。
端末制御部106は、送信要求応答メッセージで指定されている全てのトラッキング情報の送信を行ったかを判定し(ステップS2105)、行っていた場合には(ステップS2105のYES)、処理を終了する。行っていない場合には(ステップS2105のNO)、ステップS2102に戻る。
【0087】
次に、中継用端末のトラッキング情報の送信処理を図22に示すフローチャートを用いて説明する。
中継制御部126は、情報蓄積部124に、外部メモリ125からトラッキング情報1300の読み出しを指示する(ステップS2201)。
中継制御部126は、読み出されたトラッキング情報1300の中から、その送信フラグが「0」のトラッキング情報を抽出する(ステップS2202)。
【0088】
そして、中継制御部126は、無線LANネットワーク部121又は携帯電話ネットワーク部122に対して、抽出したトラッキング情報をトラッキング情報管理サーバ140宛に送信させる(ステップS2203)。
中継制御部126は、トラッキング情報を送信すると、送信したトラッキング情報の送信フラグを「1」に書き換えるよう情報蓄積部124に指示し、当該トラッキング情報の送信フラグは「1」に変更される(ステップS2204)。
【0089】
そして、所定時間が経過すると(ステップS2205のYES)、ステップS2201に戻る。所定時間が経過するまでは待機する(ステップS2205のNO)。
なお、中継用端末のHelloメッセージ受信時の処理、送信要求応答メッセージの送信処理、自端末トラッキング情報メッセージの受信時の処理、他端末トラッキング情報メッセージの受信時の処理は、トラッキング用端末における処理と略同等なので、ここではその詳細な説明は割愛する。中継用端末の場合、トラッキング用端末における各処理の説明の各機能部について、小電力無線部103を小電力無線部123に、情報蓄積部104を情報蓄積部124に、外部メモリ105を外部メモリ125に、端末制御部106を中継制御部126に、置き換えればよい。
【0090】
次に、トラッキング情報管理サーバ140のトラッキング情報の受信処理を図23に示すフローチャートを用いて説明する。
無線ネットワーク部141は、無線LANのアドホックモード通信により、中継用端末からトラッキング情報を受信する。もしくは、有線ネットワーク部142は、携帯電話網、インターネット網を介して中継用端末からトラッキング情報を受信する(ステップS2301)。
【0091】
サーバ管理部146は、受信したトラッキング情報を既に所持しているか否かを、受信したトラッキング情報で示される端末IDと時刻情報との対に対応するトラッキング情報を情報蓄積部144で記憶しているか否かで判定する(ステップS2302)。
所持していない場合には、情報記録部は、受信したトラッキング情報を統合トラッキング情報に追加登録して(ステップS2303)処理を終了する。
【0092】
所持している場合には、そのトラッキング情報を記憶せずに破棄して(ステップS2304)処理を終了する。
なお、トラッキング情報管理サーバ140のトラッキング情報の送信処理は、中継用端末の送信処理に順ずるものとし、詳細な説明を割愛する。ただし、トラッキング情報管理サーバ140は、中継用端末とは異なり、送信フラグの有無に基づいてトラッキング情報の送信を行うのではなく、保持している各端末IDのトラッキング情報について、その最新のもの、即ち現在時刻に最も近い時刻情報を有するトラッキング情報を抽出して送信することとする。
【0093】
最後に、ビューア端末160のトラッキング情報の表示処理を図24に示すフローチャートを用いて説明する。
トラッキング情報通信部161は、トラッキング情報管理サーバ140から、最新トラッキング情報を受信し(ステップS2401)、ビューア端末制御部166に伝送する。
ビューア端末制御部166は、最新トラッキング情報を航跡処理部162に伝送し、航跡処理部162は、前回のトラッキング情報と最新トラッキング情報とから各ヨットの進行方向を特定する(ステップS2402)。具体的には、前回のトラッキング情報と、最新トラッキング情報のそれぞれで同一の端末IDに対応する経度緯度情報を読み出し、前回のトラッキング情報の経度緯度情報で示される位置から、最新トラッキング情報の経度緯度情報で示される位置に向く方向を、当該端末IDで示されるトラッキング用端末を搭載したヨットの進行方向であると特定する。
【0094】
そして、ビューア端末制御部166は、地図上の最新トラッキング情報にある各端末の経度緯度情報で示される位置に、各端末IDに対応するヨットのマーカーを、航跡処理部162が特定した進行方向で配した描画データを生成して、表示部164に表示させて(ステップS2403)、処理を終了する。
当該表示処理を経て、図25に示すような画面がビューア端末のモニタあるいはビューア端末に接続されたモニタに表示される。なお、図25においては、各ヨットは、本来は色分けされて表示されるが、ここでは、便宜上、ヨットの模様によって区別をつけている。また、図25の右上には、各ヨットのセール番号と、各ヨットを示すマーク及びそれぞれの経度緯度情報が表示されている。
<補足>
上記実施の形態において、本発明の実施の手法について説明してきたが、本発明の実施形態がこれに限られないことは勿論である。以下、上記実施形態以外に本発明として含まれる各種の変形例について説明する。
(1)トラッキング用端末が自端末トラッキング情報を送信する場合には、送信先の端末IDを含めない場合を示したが、図9に示すデータに更に送信先のIDを含める構成にして、送信先の端末IDを指定して送信してもよい。
【0095】
同様に、Helloメッセージについても、送信先の端末IDを指定する構成にしてもよい。
(2)上記実施の形態においては、トラッキング情報管理サーバ140は、中継用端末から位置情報を受信する構成としたが、トラッキング情報管理サーバ140にも小電力無線部を備えて、通信距離範囲内にあるトラッキング用端末から中継用端末を介さず直接位置情報を取得する構成としてもよい。
【0096】
また、中継用端末は無線LANによる通信を用いて、トラッキング用端末と同様に保持しているトラッキング情報についての端末IDと時刻情報との対からなる所持情報一覧を含むHelloメッセージを送信してもよい。これにより、中継用端末間のトラッキング情報のやり取りが可能となる。
(3)上記実施の形態においては、送信間隔を5秒とし、当該送信間隔に含まれるスロット数を5個としたが、これは一例に過ぎず、送信間隔を例えば10秒などに設定してもよく、また、送信間隔中のスロット数も5個以外の数、例えば10個などに設定してもよい。
(4)上記実施の形態においては、時刻情報は、単純に時刻のみの情報であったが、ここに更に年月日の情報も含まれていてもよい。これは、例えばレース競技が数日に渡って行われる場合に有用となる構成である。
(5)上記実施の形態においては、ビューア端末が描画データを生成して表示することとしたが、描画データをトラッキング情報管理サーバ140が生成して出力し、ビューア端末は単純にトラッキング情報管理サーバ140が出力した描画データを表示する構成としてもよい。即ち、上記実施の形態においてビューア端末が有する描画データ生成の機能をトラッキング情報管理サーバ140が有することとしてもよい。
(6)上記実施の形態においては、特に記載していないが、中継用端末は、更に、上記実施の形態に示すようなビューア端末が保持する機能と同等の機能を備えて、自端末で保持しているトラッキング情報に基づいて、各ヨットの位置情報を図25に示すような形で表示してもよい。あるいは、単純にトラッキング情報をそのまま表示する機能を備えてもよい。
【0097】
これによって、中継用端末を搭載した審判船などに乗船する審判員などがヨットの位置情報を受信できているかどうかを確認でき、もし、受信できていなかった場合などには、審判船をヨットからの位置情報を受信できる位置にまで移動させるなどの行動をとることができる。
(7)上記実施の形態においては、Helloメッセージに所持情報一覧を含める構成とした。しかし、所持している情報の一覧は、ある過去一定時間までの位置情報に関する情報という制約があるものの、膨大になる可能性がある。
【0098】
このため場合によっては、データ長が固定長で定められているHelloメッセージに全ての送信すべき全ての情報が入りきらない可能性もある。
このような場合の対応としては、例えば以下に示すような構成としてもよい。
第1の構成としては、全ての送信すべき情報の送信をあきらめることとして、同一の端末に関する情報が重複する場合には、その古いものを定められたデータ長に納まるまで送信対象から除外していく手法がある。
【0099】
第2の構成としては、全ての送信すべき情報を複数回に分けて送信する方法である。この場合、その複数回に分けて生成されるHelloメッセージには、互いが関連しあうものであることを示す識別子を盛り込む構成としてもよい。
(8)上記実施の形態においては、センシングデータを位置情報と時刻情報とに対応付けて発信、記憶していたが、位置情報のみが必要な場合には、センシングデータは省略することとしてもよい。
(9)上記実施の形態においては、トラッキング情報管理サーバ140は、定期的に最新のトラッキング情報をビューア端末160に送信することで、ビューア端末はトラッキング情報を取得できる構成となっていたが、これは、ビューア端末側からトラッキング情報管理サーバ140に対して所望のトラッキング用端末の位置情報を要求して取得する構成としてもよい。
(10)上記実施の形態における、表示設定情報1500は、上述した情報の他にも、別の情報の表示に係る設定情報を含んでいてもよく、例えば、センシングデータの表示の有無の情報なども含んでいてもよい。
(11)上記実施の形態においては、中継用端末の配置については特に記載していないが、セーリング競技などのレース競技などの場合、ヨットの通るおおよそのコースが予め定められているので、当該コースに近接する位置、例えば、通過コースの両側に所定間隔で配するとよい。
(12)上記実施の形態においては、特に記載しなかったが、ビューア端末が表示する情報は、各トラッキング用端末から収集したデータに関連するものであれば、どのような情報を表示してもよく、例えば、センシングデータもビューア端末で表示されてもよい。例えば、各ヨットに風向きを矢印で、そして、風速をその矢印の長さで表現して表示することとしてもよい。あるいは、線サーブ102が加速度センサを備えていた場合には、船の傾き具合も表示してもよいし、加速度センサが示す加速度そのものを例えば図25に示す経度緯度情報の横に表示することとしてもよい。
【0100】
また、標記実施の形態においては、各ヨットの現在位置のみを表示する場合を図25に示したが、その他にも、これまでの各ヨットの位置のポイントを線分でつなげて、そのヨットの航跡経路も表示してもよい。
(13)上記実施の形態においては記載しなかったが、各外部メモリは、競技の終了後に回収されて、当該外部メモリに記憶されているトラッキング情報を用いて、トラッキング情報管理サーバ140が競技中に受信したトラッキング情報の整合や、受信できなかったトラッキング情報の補填を行ってもよい。
(14)上記実施の形態においては、ビューア端末160は、最新トラッキング情報を受信するたびに表示の更新処理を行っていたが、当該更新処理の実行タイミングは、最新トラッキング情報の受信に同期して行われずともよく、例えば、所定時間ごと(例えば、5秒おき)に表示更新処理を行うこととしてもよい。
(15)上記実施の形態において、進行方向を特定するに当たり、最新のトラッキング情報と前回のトラッキング情報とのみを使用する例を示した。しかし、当該進行方向は更に過去のトラッキング情報を用いて、各トラッキング情報間で求まる複数の進行方向から、その平均値を求めて特定すべき進行方向としてもよいし、複数のトラッキング情報から例えば最小二乗法により軌跡を求めて線分タイプではなく曲線タイプの進行方向を特定してもよい。
(16)上記実施の形態において示した、実行処理タイミングの時間などは、一具体例であり、その他の時間であってもよい。これらの最適な時間はトラッキングシステムのシステム規模などに応じて異なってくるため、トラッキングシステムを運用する際にオペレータなどの手によって、最適と思われる数値が設定される構成としてもよい。また、最適な時間については、実システムを作成して、運用シミュレーションを行って、通信のトラフィックの混雑度合いなどに応じて定めればよい。
(17)上記実施の形態において示した、トラッキング用端末間、トラッキング用端末−中継用端末間の通信に用いられる通信プロトコル、中継用端末−トラッキング用管理サーバ間に用いられる通信プロトコルは、共に一例に過ぎず、上記実施の形態において示したトラッキング情報の送受ができるものであればよく、その他の通信プロトコルであってもよい。例えば、基本型データ転送手順、HDLC(High-level Data Link Control procedure)手順、PPP(Point-to-Point Protocol)などをデータリンク層として、IP(Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)、TCP(Transmission Control Protocol)をネットワーク層、トランスポート層として利用してもよい。
(18)上記実施の形態においては、中継用端末120a〜120cは、トラッキング情報管理サーバ140に無線LANのアドホックモード又は携帯電話のネットワークを用いて未送信のトラッキング情報を送信することとした。
【0101】
これは、この両者を用いて送信してもよいし、予め定められた優先順位に従って、利用できる方を使用することとしてもよい。例えば、通信コストを抑制したいのであれば、中継用端末は、最初に無線LANのアドホックモードを用いてトラッキング情報を送信し、当該送信に応じてトラッキング情報管理サーバ140から受信確認の応答信号が所定時間内に到来しない場合に、携帯電話のネットワークを介して送信する構成としてもよい。
(19)本発明に係る位置情報収集システムは、上記実施の形態において示したセーリング競技における利用のみに限定されるものではなく、複数の移動体端末の位置情報をなるべくリアルタイムに捕捉したい場合であって、携帯電話網などの既知のサービス網が利用しにくい場合(山岳地域や網未整備な地域、あるいは、災害などサービス網が使えないときなど)や通信コストを抑制したいシステムの利用に供することができ、例えば、砂漠におけるカーレースなどにおいての利用に供してもよいし、例えば、オリエンテーリングにおける遭難防止のためのシステムとしての利用に供されてもよい。カーレースの場合は、車両がトラッキング用端末を保持し、中継用端末は所定間隔でコース脇に設置するものとし、オリエンテーリングの場合は、競技に参加するユーザや、競技の監視員、審判員などがトラッキング用端末を保持し、中継端末は、例えば樹木に設置されたりすることとなる。
【0102】
また、その他にも、セーリング競技の選手トレーニングにおいても利用してもよい。トレーニングの場合は、選手の艇に取り付けたセンサー(風向、風速、傾斜、加速度)の情報もリアルタイムに捕捉することが可能であるため、選手のトレーニングの結果を記録するだけでなく、指導者がビューア端末を保持し、当該ビューア端末に表示されるセンサー情報を見ながら、即座に練習者に指示を出す(例えば、拡声器や携帯電話機、無線通信機などを用いて)ことができる。
(20)上述の実施形態で示したトラッキング情報の送受信に係る動作、トラッキング情報の記録処理等(図17〜図24参照)をPC端末等のプロセッサ、及びそのプロセッサに接続された各種回路に実行させるためのプログラムコードからなる制御プログラムを、記録媒体に記録すること、又は各種通信路等を介して流通させ頒布させることもできる。このような記録媒体には、ICカード、ハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM等がある。流通、頒布された制御プログラムはプロセッサに読み出され得るメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのプロセッサがその制御プログラムを実行することにより、実施形態で示したような各種機能が実現されるようになる。
(21)上記実施の形態において、トラッキング用端末100a〜100dや、中継用端末120a〜120c、トラッキング情報管理サーバ140、ビューア端末160は、上記実施の形態に示した処理をソフトウェア処理によって、実現されるコンピュータシステムであってもよいし、上記実施の形態に示した処理を実行する専用回路によって実現されてもよい。
【0103】
また、専用回路で実現する場合には、トラッキング用端末100a〜100d、中継用端末120a〜120c、トラッキング情報管理サーバ140、ビューア端末160の各機能部は、集積化されていてもよく、1または複数のLSI(Large Scale Integration)によって実現してもよい。また複数の機能部を1のLSIによって実現してもよい。なお、LSIは、集積化の度合いに応じて、IC(Integrated Circuit)、VLSI(Very Large Scale Integration)、ULSI(Ultra-Large Scale Integration)などと呼称されることもある。
【0104】
また、当然ながら、コンピュータシステムと専用回路の組み合わせにより実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明に係るトラッキングシステムは、セーリング競技におけるリアルタイムなヨットの所在位置の追跡に有用である。
【符号の説明】
【0106】
100a〜100d トラッキング用端末
101 GPS受信部
102 センサー部
103 小電力無線部
104 情報蓄積部
105 外部メモリ
106 端末制御部
120a〜120c 中継用端末
121 無線LANネットワーク部
122 携帯電話ネットワーク部
123 小電力無線部
124 情報蓄積部
125 外部メモリ
126 中継制御部
140 トラッキング情報管理サーバ
141 無線ネットワーク部
142 有線ネットワーク部
143 ビューア端末通信部
144 情報蓄積部
146 サーバ管理部
160 ビューア端末
161 トラッキング情報通信部
162 航跡処理部
163 入力操作部
164 表示部
166 ビューア端末制御部
170 基地局
180 インターネット網


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体端末と、中継装置と、サーバ装置とからなり、前記複数の移動体端末の位置情報を収集する位置情報収集システムであって、
前記移動体端末は、
自端末の位置を逐次測位して位置情報を生成する測位手段と、
前記測位手段が生成した位置情報と、当該位置情報で示される位置を測位した時間と、自端末を識別する自端末識別情報とを近距離無線により逐次発信する第1発信手段と、
他端末から自端末で保持していない他端末の位置情報を取得する第1取得手段と、
前記第1取得手段が取得した他端末の位置情報を当該位置情報で示される位置が測位された時間と当該他端末を識別するための他端末識別情報とに対応付けて記憶する第2記憶手段と、
前記第2記憶手段に記憶されており、少なくとも他端末識別情報とそれに対応付けられている時間とを含む他端末情報を近距離無線により逐次発信する第2発信手段と、
を備え、
前記中継装置は、
移動体端末から当該移動体端末又は当該移動体端末とは異なる他の移動体端末の位置情報と、当該位置情報で示される位置が測位された時間とを取得する第2取得手段と、
前記第2取得手段が取得した位置情報と時間とこれに対応する移動体端末の識別情報とを遠距離無線により前記サーバ装置に送信する送信手段と、
を備え、
前記サーバ装置は、
前記中継装置が発信した位置情報と時間と識別情報とを受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した位置情報と時間と識別情報とを対応付けて記録する記録手段と、
前記記録手段に記録されている位置情報と時間と識別情報とを出力する出力手段と
を備えることを特徴とする位置情報収集システム。
【請求項2】
前記位置情報検索システムは、さらに、
前記出力手段が出力した位置情報に基づく情報を表示する表示手段を備えたビューア端末を備える
ことを特徴とする請求項1記載の位置情報収集システム。
【請求項3】
前記移動体端末は、更に、
他の移動体端末の第2発信手段が発信した他端末情報を受信する受信手段と、
当該他端末情報で示される他端末の識別情報と、時間とに対応する位置情報が前記第2記憶手段に記憶されているか否かを検出する検出手段とを備え、
前記第1取得手段は、前記検出手段が前記第2記憶手段に記憶されていないと検出した位置情報を、前記受信手段で受信した他端末情報を送信した他の移動体端末に対して要求する要求手段を備え、
前記移動体端末は、更に、
他の移動体端末の要求手段から要求された他端末の位置情報を当該要求を行った他の移動体端末に対して送信する他端末トラッキング情報送信手段を備える
ことを特徴とする請求項2記載の位置情報収集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−170769(P2011−170769A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36190(P2010−36190)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(504145283)国立大学法人 和歌山大学 (62)
【出願人】(305061553)株式会社 宮▲崎▼エンジニアリング (1)
【Fターム(参考)】