説明

位置情報提供システム

【課題】簡単なシステム構成で利用者に位置情報を提供することができる。
【解決手段】位置情報提供システム1は、施設の所定箇所に配置されるとともに位置を特定する位置情報Pを可視光信号として発信する光源部3と、光源部3から可視光信号を受信可能とされる携帯端末4とを備えている。施設の地図情報Tを携帯端末4に備えた表示部42に表示させ、携帯端末4で可視光信号を受信したときに、その可視光信号に組み込まれる位置情報Pを地図情報T上に表示させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共施設や商業施設などの利用施設に応じた道案内情報を表示する位置情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、ショッピングモールやデパートなどの大型化、複合化が進んでおり、施設の配置が複雑になっているため、利用者が目的の売場に辿り着くまでに時間がかかったり、現在位置がわからなくなるといったケースが増えている。このような施設では、利用者の現在位置や目的地を確認する際にパンフレットや施設内にある案内板や標識により認識しているのが一般的となっている。また、近年では、携帯情報端末(PDA)を利用して、利用者に地図情報を提供するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1は、施設利用者に携帯させるとともに識別情報を記憶させた無線情報端末と、無線情報端末と交信可能な位置情報管理サーバを有する売場案内板と、ネットワークによって位置情報管理サーバに接続されるとともに売場への案内地図などの画像データ(位置情報)を格納してなるデータベースとを備えた構成であって、利用者が目的の売場に行くときに、無線情報端末を売場案内板に示された目的地を指すマーク(売場表示)等に近づけることで、位置情報管理サーバに利用者の目的地の売場が入力(指定)され、その目的地に対応した画像データをデータベースから選択して無線情報端末に送信され、受信した無線情報端末に前記画像データを表示させることで、利用者を目的地へ案内させる誘導システムについて開示されたものである。
【特許文献1】特開2005−300474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の誘導システムでは、売場案内板に無線情報端末を近づけることで指定された特定の売場を画像データ(位置情報)に変換するために、売場案内板における各売場表示とその画像データとを関連付けさせたデータベースを作成する必要があるうえ、店舗が入れ替わった場合等にデータベースを更新する作業が発生していた。さらに、データベースと位置情報管理サーバとの間にネットワークを構築する必要があり、大掛かりなシステム構成になるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、簡単なシステム構成で利用者に位置情報を提供することができる位置情報提供システムおよび位置情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る位置情報提供システムでは、施設の所定箇所に配置されて可視光信号を発信する光源部と、表示部を有してその表示部に施設の地図情報を表示させるとともに、光源部から可視光信号を受信可能とされる携帯端末とを備え、可視光信号には、光源部の位置を特定する位置情報が組み込まれ、携帯端末で可視光信号を受信したときに、その可視光信号に組み込まれる位置情報を地図情報上に表示させる構成としたことを特徴としている。
本発明では、施設の所定箇所に光源部を配置させ、光源部から発信される可視光信号にこの光源部を特定する位置情報が組み込まれているため、施設の利用者が施設内を移動して利用者が携帯する携帯端末で特定の光源部の可視光信号を受信したときに、携帯端末の表示部に表示されている施設の地図情報上に、可視光信号に組み込まれた光源部の位置情報を表示させることができるため、利用者は携帯端末の表示部を見て現在位置を認識することができるとともに、目的地までの道順を確認することができる。
【0007】
また、本発明に係る位置情報提供システムでは、施設には、地図情報を格納する地図情報格納手段が設けられ、携帯端末で地図情報格納手段から地図情報を受信して表示部に表示させることが好ましい。
本発明では、例えば施設の入口部等に地図情報格納手段を設けておくことで、利用者が施設に入る際に、利用者が携帯する携帯端末によって地図情報格納手段から地図情報を受信して取り込むことができ、その地図情報を携帯端末の表示部に表示させることができる。
【0008】
また、本発明に係る位置情報提供システムでは、地図情報は、座標に基づいて形成されてなり、位置情報は、座標に対応した座標点であることが好ましい。
本発明では、特定された光源部の座標点を地図情報の座標上に直接落とし込んで表示部に表示させることができるので、例えば光源部から受信した位置情報に対応する地図をネットワークを使用してデータベースから取り込むといったシステム構成を構築する必要がなくなり、シンプルなシステム構成とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の位置情報提供システムによれば、利用者が携帯する携帯端末で光源部から発信される可視光信号を受信したときに、受信した可視光信号に組み込まれた光源部の位置情報を、携帯端末の表示部に表示されている施設の地図情報上に表示させることで、利用者は現在位置を認識することができるとともに、目的地までの道順を確認することができ、従来のようなネットワークを利用した複雑なシステムを構築することなく簡単なシステム構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る位置情報提供システムの実施の形態について、図1及び図2に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態による位置情報提供システムの概要を説明するための図、図2(a)〜(c)は携帯端末の表示部に表示状態を示す図である。
【0011】
図1に示すように、本位置情報提供システム1は、例えばデパートや大型ショッピングセンターなどの商業施設(以下、単に「施設」という)に採用されている。位置情報提供システム1は、施設における平面地図(フロア案内図)等の地図情報Tを格納させる地図情報格納サーバ2(地図情報格納手段)と、施設内の所定箇所に配置されるとともに可視光通信が可能な可視光信号(位置情報P)を発信する光源部3(3A、3B)と、利用者によって携帯されるとともに地図情報格納サーバ2及び光源部3から各情報T、Pを受信可能とされる携帯端末4とを備えている。
【0012】
地図情報格納サーバ2は、携帯端末4と交信可能とされ、施設入口の所定位置に設置されている。そして、地図情報格納サーバ2内に格納されている地図情報Tは、XY座標に基づいて形成された平面地図をなしている。
ここで、本実施の形態による可視光通信は、目に見える光を用い、その可視光を人が明るさの変化を感じないように周波数を変調させたり、点滅させたりする等してデータ(位置情報P)を送信する周知の通信方法とされる。
【0013】
光源部3は、照明器具、信号灯、蛍光灯、発光ダイオード(LED)等が使用されて施設の所定箇所に配置され、この光源部3から発信される可視光信号に光源部3を特定する位置情報Pを組み込ませたものである。つまり、光源部3は、その可視光を適宜変化させることで位置情報P(可視光信号)を発信するように構成されている。可視光信号として発信される位置情報Pとは、上述したように所定箇所に設けられた光源部3の位置を特定するための位置情報であって、本実施の形態では地図情報TのXY座標に対応した座標点等である。具体的に、第1光源部3Aの場合では階数F1及び第1座標点(X1、Y1)が位置情報P1となる。また、図1に示す符号3Bの第2光源部の場合には、階数F2及び第2座標点(X2、Y2)が第2光源部3Bを特定するための位置情報P2となっている。
【0014】
携帯端末4は、持ち運びが容易な小型で軽量なものが採用されている。携帯端末4は、地図情報格納サーバ2及び光源部3から無線(非接触方式)により上記地図情報T及び位置情報Pを受信するための受信部41と、これら受信した地図情報Tや位置情報Pを表示するための表示部42と、可視光信号(位置情報P)を処理するためのデータ処理部43とを有している(図2(a)〜(c)参照)。
なお、図2(a)は地図情報Tのみが表示された一例を示し、図2(b)、(c)は地図情報TのXY座標上に位置情報P1、P2による座標点等を表示させた例を示したものである。そして、携帯端末4は、受信部41が光源部3から発信される可視光信号が届く範囲内にあるとき、その可視光信号を受信できるようになっている。
【0015】
表示部42は、上述したように地図情報格納サーバ2から受信した地図情報Tを表示させ、その地図情報T上に光源部3から受信した位置情報P、すなわち特定の光源部3の位置を表示させる構成となっている。
データ処理部43は、受信部41で受信した可視光信号を電気に変換することで、予め携帯端末4の表示部42に表示されている地図情報TのXY座標上に、光源部3の座標点を表示させるように処理する機能を有している。
【0016】
次に、上述した位置情報提供システム1を用いた位置情報提供方法について図面に基づいて説明する。
先ず、図1に示すように、施設入口において、利用者Mは、携帯している携帯端末4を地図情報格納サーバ2に近づけ、自動或いは手動操作によって携帯端末4の受信部41で地図情報格納サーバ2から地図情報Tを受信して取り込むことで、携帯端末4の表示部42に地図情報Tを表示させることができる(図2(a)参照)。
【0017】
そして、利用者Mが施設内を任意に移動し、施設の所定箇所に配置されている第1光源部3Aから発信されている可視光信号の範囲内に携帯端末4の受信部41が入ったとき、その可視光信号を携帯端末4で受信し、その受信した可視光信号、つまり位置情報P1(X1、Y1、F1)を表示部42で表示されている地図情報TのXY座標上に表示させることができる(図2(b)参照)。
また、光源部3は、施設内の所定箇所に多数配置されている。そのため、利用者Mは、例えば第1光源部3Aから第2光源部3Bへ移動したとき、上記と同様に第2光源部3Bの可視光信号を携帯端末4によって受信することで、その位置情報P2(X2、Y2、F2)を表示部42に表示されている地図情報TのXY座標上に表示させることができる(図2(c)参照)。
【0018】
地図情報T上に表示される位置情報P1、P2は、携帯端末4を携帯している利用者Mの現在位置を示すことになり、利用者Mは携帯端末4の表示部42を見て現在位置を認識することができる。
このように、特定された光源部3の座標点等を地図情報Tの座標上に直接落とし込んで表示部42に表示させることができるので、例えば光源部3から受信した位置情報Pに対応する地図をネットワークを使用してデータベースから取り込むといったシステム構成を構築する必要がなくなり、シンプルなシステム構成とすることができる。
【0019】
上述した本実施の形態による位置情報提供システムでは、利用者Mが携帯する携帯端末4で光源部3から発信される可視光信号を受信したときに、受信した可視光信号に組み込まれた光源部3の位置情報Pを、携帯端末4の表示部42に表示されている施設の地図情報T上に表示させることで、利用者Mは現在位置を認識することができるとともに、目的地までの道順を確認することができ、従来のようなネットワークを利用した複雑なシステムを構築することなく簡単なシステム構成とすることができる。
【0020】
以上、本発明による位置情報提供システムの実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では施設の地図情報Tを格納させた地図情報格納サーバ2を施設入口等に設置しておき、利用者Mが施設内を移動する前に地図情報格納サーバ2から施設の地図情報Tを受信するようにしたシステム構成としているが、このような地図情報格納サーバ2を設けることに限定されることはなく、例えば地図情報格納サーバ2を設けずに、予め施設の地図情報Tを取り込んだ状態の携帯端末4を利用者Mに渡して携帯させるようにしてもかまわない。
そして、本実施の形態では地図情報格納サーバ2を施設の入口付近に設けているが、施設が複数階となるときには、各階にその階に対応した地図情報Tを格納した地図情報格納サーバ2を設置し、利用者Mが各階に移動したときに、その階に設置されている地図情報格納サーバ2からその階に対応した地図情報を携帯端末4で受信するようにしてもよい。
また、本実施の形態では携帯端末4に表示部42を備え、その表示部42に光源部3から受信した位置情報Pを表示させているが、この表示機能に加えて音声機能を持たせるようにしてもかまわない。
さらに、光源部3の種類、配置形態、数量などは、本実施の形態に限定されることはなく、施設の規模、店舗の配置状態などを勘案し、最適となるように設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態による位置情報提供システムの概要を説明するための図である。
【図2】(a)〜(c)は携帯端末の表示部に表示状態を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1 位置情報提供システム
2 地図情報格納サーバ(地図情報格納手段)
3 光源部
4 携帯端末
41 受信部
42 表示部
M 利用者
P 位置情報
T 地図情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の所定箇所に配置されて可視光信号を発信する光源部と、
表示部を有してその表示部に前記施設の地図情報を表示させるとともに、前記光源部から前記可視光信号を受信可能とされる携帯端末と、
を備え、
前記可視光信号には、前記光源部の位置を特定する位置情報が組み込まれ、
前記携帯端末で前記可視光信号を受信したときに、その可視光信号に組み込まれる位置情報を前記地図情報上に表示させる構成としたことを特徴とする位置情報提供システム。
【請求項2】
前記施設には、前記地図情報を格納する地図情報格納手段が設けられ、
前記携帯端末で前記地図情報格納手段から前記地図情報を受信して前記表示部に表示させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の位置情報提供システム。
【請求項3】
前記地図情報は、座標に基づいて形成されてなり、
前記位置情報は、前記座標に対応した座標点であることを特徴とする請求項1又は2に記載の位置情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−232752(P2008−232752A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71183(P2007−71183)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】