説明

位置情報検知システム

【課題】 時計を搭載しなICタグの位置を、探索するICタグそのものの位置として高い精度で検知することができるようにする。
【解決手段】 リーダライタは、特定のICタグに対して第1情報を受信して第2情報を返信する設定を要求する返信設定要求手段と、前記第1情報を送信して送信時刻を記憶し前記第2情報を受信して受信時刻を記憶する送受信処理手段を有し、ICタグは前記要求に対して前記設定を実行する返信設定実行手段と、前記第1情報を受信して前記第2情報を一定の遅延時間を経て送信する返信処理手段を有し、位置情報処理部は、前記リーダライタの位置と前記送信時刻と前記受信時刻と前記遅延時間とに基づいて前記ICタグの位置を導出する位置導出手段を有する、
ことを特徴とする位置情報検知システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はRFID(radio frequency identification)の技術分野に属する。特に、物品在庫管理、人員移動管理、等のため、倉庫、店舗、オフィス、等における物品、人、等の位置情報を、ICタグ、通信装置、等を用いて検知するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫内の在庫品、工場内の仕掛品、図書館内の蔵書、デパート内の商品、ホテル内の宿泊客、オフィス内の社員のような、特定の領域に存在する物品、等を探索するときには、それらの有無と存在位置を精度良く検知する技術が必要とされる。
たとえば、受信した信号が物体を代表する認識番号に一致したら音、光、応答信号を発生する手段を備えた通信タグと、その通信タグを特定する信号を発信する1台の携帯無線発信機とで構成される物体の存在位置探知システムの発明が知られている。このシステムにおいては、製品、その梱包又は保管棚等に取り付けた複数の通信タグを広範囲に一斉スキャニングして、目的の製品等に取り付けた通信タグだけが音、光、応答信号を発するようにしている(特許文献1)。
また、各エリアのゲート毎に設けられ、ゲートを通過するICタグの情報を受信するとともに、ICタグの移動方向を検出する基地局と、基地局が受信したICタグの情報とICタグの移動方向を示す情報とを受信するセンタとを備え、センタは、受信したICタグの情報とICタグの移動方向を示す情報とに基づいて、ICタグが存在するエリアを示す位置情報を作成し、この位置情報のデータベースを形成する位置検出システムの発明が知られている。このシステムにおいては、ICタグを用い、対象者の現在位置を確実かつ正確に確認することができる(特許文献2)。
また、単数もしくは複数の被探索物に設けられ、当該探索物の識別情報を発信可能な第1の無線発信機と、前記第1の無線発信機から発信された無線を受信可能で、且つ移動可能な第1の無線受信機と、前記第1の無線受信機の移動位置を検出する位置検出手段とを備え、前記第1の無線受信機を移動探索し、前記被探索物との距離が予め設定された所定の交信領域内となったとき、前記被探索物の存在を前記識別情報として前記第1の無線受信機で受信して、前記位置検出手段に送信し、前記第1の無線受信機の受信位置を前記被探索物の存在位置として前記位置検出手段で求めるようにした位置探索システムの発明が知られている。このシステムにおいては、屋内の棚等に置かれた品物毎の位置と識別情報とを、非接触、高精度検出することができる(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−23385
【特許文献2】特開2005−64725
【特許文献3】特開2005−140637
【0004】
ところで、位置情報検出システムとして最も有名なものにGPS(Global Positioning System)が挙げられる。GPSは、地球を周回するGPS衛星から発せられる電波と、受信端末に搭載された時計の時刻情報を利用して位置を特定するシステムである。カーナビや携帯電話など多くのシステムに利用されており、受信端末の現在地点を計算することが可能ではある。これらのGPSを利用するシステムでは、受信端末にある程度正確な時計を搭載しなければならず、一般的なICタグなど時計を内蔵していない対象物では位置を検知することができないという問題がある。また、受信可能な衛星の数で精度が変化する、高精度の位置検出は民生用では困難とういう問題がある。
また、上記の先行技術文献を例示したICタグを利用するシステムにおいても問題がある。特許文献1においては、音、光を発生するICタグの位置が探索するICタグの位置であって、探索するICタグの位置を位置として直接的に検知することができないという問題がある。また、特許文献2においては、探索するICタグの検知位置はゲートの配置位置であるから、ゲートの配置間隔を超える精度では検知できないという問題がある。また、特許文献3においては、探索するICタグの位置に第1の無線受信機の受信位置を接近させる必要性があるから、探索するICタグの位置が全く不明のときには検知することができないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題を解決するために成されたものである。その目的は、時計を搭載しないICタグの位置を検知することができ、受信機の位置ではなく探索するICタグそのものの位置を検知するから受信機の配置間隔の制約を受けずに高い精度で検知でき、探索するICタグの位置が不明のときにも通信領域内にあれば検知することができる位置情報検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る位置情報検知システムは、リーダライタと、ICタグと、位置情報処理部とを備える位置情報検知システムであって、リーダライタは、第1情報を送信して送信時刻を記憶し第2情報を受信して受信時刻を記憶する送受信処理手段を有し、ICタグは、前記第1情報を受信して前記第2情報を送信する返信処理手段を有し、位置情報処理部は、前記第1情報と前記第2情報のデータ長から前記送受信処理手段と前記返信処理手段によって生ずる信号の遅延時間を計算する遅延時間計算手段と、前記送信時刻と前記受信時刻と前記遅延時間と前記リーダライタの位置に基づいて前記ICタグの位置を導出する位置導出手段を有するようにしたものである。
また、本発明の請求項2に係る位置情報検知システムは、請求項1に係る位置情報検知システムにおいて、前記第1情報はそれを送信するリーダライタを特定するリーダライタIDまたはその一部であり、前記第2の情報は位置情報を検出する対象のICタグを特定するICタグIDまたはその一部であるようにしたものである。
また、本発明の請求項3に係る位置情報検知システムは、請求項1または2に係る位置情報検知システムにおいて、位置情報処理部は、前記第1情報と前記第2情報を生成する第1第2情報生成手段と、前記第1情報と前記第2情報をリーダライタとICタグに設定する第1第2情報設定手段を有するようにしたものである。
また、本発明の請求項4に係る位置情報検知システムは、請求項1〜3のいずれかに係る位置情報検知システムにおいて、前記送受信処理手段と前記返信処理手段による処理を、前記リーダライタの前記送信の搬送波に同期して行うようにしたものである。
また、本発明の請求項5に係る位置情報検知システムは、請求項1〜4のいずれかに係る位置情報検知システムにおいて、前記リーダライタにおける前記送信時刻と前記受信時刻を与える時計の規準となるクロックと、送信搬送波を生成するクロックは、同一または同期しているようにしたものである。
また、本発明の請求項6に係る位置情報検知システムは、請求項5に係る位置情報検知システムにおいて、前記リーダライタは複数であって、前記複数のリーダライタの各々における前記クロックは同一または同期しているようにしたものである。
また、本発明の請求項7に係る位置情報検知システムは、請求項1〜6のいずれかに係る位置情報検知システムにおいて、前記位置情報処理部はリーダライタを通じてリーダライタの通信領域内に存在するICタグの各々を特定するICタグIDを取得するICタグID取得手段を有し、前記位置情報処理部は前記取得したICタグIDの内から位置情報を検知する対象のICタグを決定する対象ICタグ決定手段を有するようにしたものである。
また、本発明の請求項8に係る位置情報検知システムは、請求項1〜7のいずれかに係る位置情報検知システムにおいて、前記位置情報処理部は通信接続されているリーダライタの内から前記第1情報を送信するリーダライタを決定する送信リーダライタ決定手段を有するようにしたものである。
また、本発明の請求項9に係る位置情報検知システムは、請求項1〜8のいずれかに係る位置情報検知システムにおいて、前記位置情報処理部は通信接続されているリーダライタの内から前記第2情報を受信するリーダライタを決定する受信リーダライタ決定手段を有するようにしたものである。
また、本発明の請求項10に係る位置情報検知システムは、請求項1〜9のいずれかに係る位置情報検知システムにおいて、前記位置導出手段は、電磁波速度をc、として、(c×((受信時刻−送信時刻)−遅延時間))/2=a、を計算することにより、前記位置として、前記リーダライタを中心とする半径aの円の近傍に前記ICタグが存在することを導出し、さらに、配置位置の異なる複数の前記リーダライタによって得られる複数の円に基づいて、前記位置として前記複数の円の交点の近傍に前記ICタグが存在することを導出するようにしたものである。
また、本発明の請求項11に係る位置情報検知システムは、請求項1〜9のいずれかに係る位置情報検知システムにおいて、前記第1情報を送信して送信時刻を記憶するリーダライタは1つであり、前記第2情報を受信して受信時刻を記憶するリーダライタは複数であって、前記位置導出手段は、前記送信するリーダライタから前記ICタグまでの距離をa、前記ICタグから前記受信するリーダライタまでの距離をb、電磁波速度をc、として、(c×((受信時刻−送信時刻)−遅延時間))=a+b=L、を計算することにより、前記位置として、前記送信するリーダライタと前記受信するリーダライタを2つの焦点とし、前記送信するリーダライタと前記受信するリーダライタから前記ICタグまでの距離の和が一定のL(=a+b)である楕円の近傍に前記ICタグが存在することを導出し、さらに、配置位置の異なる複数の前記受信するリーダライタによって得られる複数の楕円に基づいて、前記位置として前記複数の楕円の交点の近傍に前記ICタグが存在することを導出するようにしたものである。
また、本発明の請求項12に係る位置情報検知システムは、請求項1〜9のいずれかに係る位置情報検知システムにおいて、前記第1情報を送信して送信時刻を記憶するリーダライタは1つであり、前記第2情報を受信して受信時刻を記憶するリーダライタは複数であって、前記位置導出手段は、前記送信するリーダライタから前記ICタグまでの距離をa、送信するリーダライタの受信時刻を受信時刻a、前記ICタグから前記受信するリーダライタまでの距離をb、受信するリーダライタ1の受信時刻を受信時刻b、電磁波速度をc、として、(c×((受信時刻b−送信時刻)−遅延時間))−(c×((受信時刻a−送信時刻)−遅延時間))/2=(a+b)−a=b、を計算することにより、前記位置として、前記受信するリーダライタを中心とし、前記受信するリーダライタから前記ICタグまでの距離がbである円の近傍に前記ICタグが存在することを導出し、さらに、配置位置の異なる複数の前記受信するリーダライタによって得られる複数の円に基づいて、前記位置として前記複数の円の交点の近傍に前記ICタグが存在することを導出するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、時計を搭載しないICタグの位置を検知することができ、受信機の位置ではなく探索するICタグそのものの位置を受信機の配置間隔の制約を受けずに高い精度で検知でき、探索するICタグの位置が不明のときにも通信領域内にあれば検知することができる位置情報検知システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の位置情報検知システムにおける全体構成の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の位置情報検知システムにおける動作原理の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の位置情報検知システムにおける構成の一例を示すブロック図(その1)である。
【図4】本発明の位置情報検知システムにおける構成の一例を示すブロック図(その2)である。
【図5】本発明の位置情報検知システムにおける送信受信における時間の経過の一例を示すチャート図である。
【図6】本発明の位置情報検知システムのリーダライタにおける送受信処理手段の構成の一例(ハードウェア構成)を示すブロック図である。
【図7】本発明の位置情報検知システムのICタグにおける返信処理手段の構成の一例(ハードウェア構成)を示すブロック図である。
【図8】本発明の位置情報検知システムにおける動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。最初に全体構成とその動作の概要を説明し詳細は後述する。本発明の位置情報検知システムにおける全体構成の一例を図1に示す。図1において、1a〜1cはリーダライタ、2a〜2fはICタグ、3は位置情報処理部である。
リーダライタ1a〜1cはICタグ2a〜2fとの間で無線通信を行う。その無線通信を通して、リーダライタ1a〜1cはICタグ2a〜2fに対する命令(コマンド)を送信し、その命令に対応した処理をさせる。たとえば、リーダライタ1a〜1cはICタグ2a〜2fのメモリに記憶されているICタグID、その他の記憶データを読み取る。また、リーダライタ1a〜1cはICタグ2a〜2fのメモリにデータを書き込む。
また、リーダライタ1a〜1cはアンチコリジョン処理機構を有しており、ICタグ2a〜2fはそのアンチコリジョン処理機構に対応している。したがって、リーダライタ1a〜1cは通信領域内に複数のICタグが同時に存在するときにも、複数のICタグとの通信が同時に起きて衝突することが避けられ、1つのICタグとの通信を選択的に行うことができる。アンチコリジョン方式としては、時分割多重方式(TDMA:time domain multiple access)、等の周知の方式、または、その変形方式を適用することができる。
【0010】
また、リーダライタ1a〜1cはICタグ2a〜2fとの間の無線通信を通して、リーダライタ1a〜1cとICタグ2a〜2fとの距離を検知するための通信を行う。その距離を検知するために、リーダライタ1a〜1cの内の1つが第1情報を送信してその送信したリーダライタはその送信時刻を記憶し、その第1情報を受信したICタグ2a〜2fの内の1つが第2情報を返信し、その送信したリーダライタがその第2情報を受信するとそのリーダライタはその受信時刻を記憶する。そのとき、そのICタグが第1情報を受信してから第2情報を返信するまでの遅延時間を計算することができる。それらを用いると、((受信時刻−送信時刻)−遅延時間)は、そのリーダライタとそのICタグとの距離を電磁波が往復するのに要した時間となる。したがって、その時間に電磁波速度を掛け算して得た値の1/2(半分)がそのリーダライタとそのICタグとの距離となる。その距離の計算は、図1に示す一例においては、位置情報処理部3が行う。そこで、そのリーダライタは計算に必要なデータとして送信時刻、受信時刻、等を、たとえばUSB(Universal Serial Bus)、LAN、等の通信機構を通じて位置情報処理部3に送信する。
なお、複数のリーダライタ1a〜1cの各々においては単一の時刻(一台の時計が刻む時刻)を共有する時計機構有している。図1に示す時刻同期接続線は複数のリーダライタ1a〜1cの各々において単一の時刻を共有するための接続線である。たとえば、1つのリーダライタによる第1情報の送信時刻と、複数のリーダライタによる第2情報の受信時刻とはその時計機構に基づく時刻、すなわち一台の時計の時刻となっている。
【0011】
ICタグ2a〜2fはリーダライタ1a〜1cとの間で無線通信を行う。その無線通信を通して、リーダライタ1a〜1cからの命令(コマンド)を受信し、その命令に対応した処理を行う。たとえば、その無線通信を通して、ICタグ2a〜2fはそのメモリに記憶されているICタグID、その他の記憶データをリーダライタ1a〜1cに送信する。また、ICタグ2a〜2fはリーダライタ1a〜1cから受信したデータをICタグ2a〜2fのメモリに書き込む。
ICタグ2a〜2fはリーダライタ1a〜1cとの間で無線通信を通じて、ICタグ2a〜2fとリーダライタ1a〜1cとの距離を検知するための通信を行う。そのために、ICタグ2a〜2fの内の1つが、第1情報を受信したときに第2情報を送信するように設定されている。その設定されたICタグは、1つのリーダライタから第1情報が送信されると、それを受信して第2情報を送信する。第1情報を受信したときに第2情報を送信する処理は、リーダライタ1a〜1cの単一の時刻を共有する時計機構に同期して動作する。ICタグ2a〜2fそのものには独自の時計機構を必要としない。そのため、その処理による遅延時間を計算することができる。したがって、上述したようにそのリーダライタとそのICタグとの距離を計算することができる。
なお、第2情報は複数のリーダライタ1a〜1cによって受信することができる。したがって、複数のリーダライタ1a〜1cに対して第2情報を受信して受信時刻を記憶するように設定しておくと、記憶された受信時刻に基づいて、その設定したリーダライタとICタグとの距離を計算することができる。
【0012】
位置情報処理部3は、図1に示す一例においては、パーソナルコンピュータのソフトウェアとハードウェアによって実現される。位置情報処理部3はリーダライタ1a〜1cとの間でUSB、LAN、等の通信機構を通じて通信を行う。その通信を通じて、位置情報処理部3はリーダライタ1a〜1cに対する命令(コマンド)を送信し、その命令に対応した処理をさせる。たとえば、その通信を通じて、位置情報処理部3はリーダライタ1a〜1cの各々の通信領域に存在するICタグ2a〜2fを検出する処理(たとえば、ポーリング処理)を行う命令を送信し、リーダライタ1a〜1cの各々が検出したICタグ2a〜2fから収集したICタグIDをリーダライタ1a〜1cの各々から受信しICタグ情報としてメモリに記憶する処理を行う。
位置情報処理部3は位置を検知する対象となるICタグの指定(決定)、第1情報と第2情報の指定(生成、設定)、第1情報を送信するリーダライタの指定(決定)、第2情報を受信するリーダライタの指定(決定)、等を行う。この指定はオペレータの指示入力にしたがって、ICタグの位置を検知する前段階の処理として行われる。そして、第1情報の送信と第2情報の受信がそれら指定したリーダライタによって行われると、位置情報処理部3はそれらのリーダライタから送信時刻、受信時刻を受信する。第1情報を受信してから第2情報を返信するまでの遅延時間は第1情報と第2情報のデータ長によって決る一定の値となる。位置情報処理部3はその遅延時間を計算する。また、位置情報処理部3はリーダライタ1a〜1cの各々位置(座標)をリーダライタ情報としてメモリに記憶している。それらのデータに基づいて、位置情報処理部3は指定したICタグの位置を計算する処理を行う。
【0013】
位置情報処理部3がICタグの位置を計算する処理について説明する。本発明の位置情報検知システムにおける動作原理の一例を説明図として図2に示す。図2(A)は第1情報と第2情報の送受信の過程を示し、図2(B)はICタグの位置を計算する過程を示す。図2(A)において、送信・受信リーダライタからICタグに第1情報が到達するまでの時間と、ICタグから送信・受信リーダライタに第2情報が到達するまでの時間は、各々が同一時間のTaである。また、ICタグが第1情報を受信して第2情報を返信するまでの遅延時間はTdである。また、ICタグから受信リーダライタに第2情報が到達するまでの時間はTbである。ここで、送信・受信リーダライタが第1情報を送信した時刻をT1、第2情報を受信した時刻をT2、受信リーダライタが第2情報を受信した時刻をT3とする。このとき、Taは、T2−T1=2Ta+Td、だから、Ta=(T2−T1−Td)/2、の数式により計算することができる。また、Tbは、T3−T1=Ta+Td+Tb、だから、Tb=T3−T1−Ta−Td=T3−T2/2−3×(T1+Td)/2、の数式により計算することができる。
【0014】
図2(B)において、位置情報処理部3は、電磁波速度をcとすると、送信・受信リーダライタからICタグまでの距離Aを、A=c×Ta、の数式を適用して計算することができる。送信・受信リーダライタの位置(座標)は固定位置で位置情報処理部3に登録された位置であるから、その位置から距離Aを半径とする円の円周上にICタグが存在することになる。同様に、位置情報処理部3は、受信リーダライタからICタグまでの距離Bを、B=c×Tb、の数式により計算することができる。受信リーダライタの位置(座標)は固定位置で位置情報処理部3に登録された位置であるから、その位置から距離Bを半径とする円の円周上にICタグが存在することになる。したがって、それら2つの円の交点の座標を計算すると、その座標はICタグが存在する位置の座標となる。
ICタグの位置を計算する処理について、送信・受信リーダライタと受信リーダライタの2つのリーダライタを使用した場合の処理を説明した。使用するリーダライタの個数をさらに増加させると、ICタグが存在する位置として3次元座標上の位置を計算することができる。また、平均値としての位置を計算することで位置情報検知の誤差を小さくすることができる。
【0015】
次に、本発明の位置情報検知システムにおけるリーダライタ、ICタグ、位置情報処理部の構成について詳細を説明する。本発明の位置情報検知システムにおける構成の一例をブロック図として図3、図4に示す。図3、図4において、1はリーダライタ、2はICタグ、3は位置情報処理部である。また、リーダライタ1において、111はICタグ無線通信手段、112はICタグリードライト手段、113は時刻管理手段、114はPCインタフェース、115は送受信処理手段、121は第1情報、122は第2情報、123は送信時刻、124は受信時刻、125はリーダライタIDである。また、ICタグ2において、211はリーダライタ無線通信手段、212は返信処理手段、221は第1情報、222は第2情報、223はICタグIDである。また、位置情報処理部3において、311はリーダライタインタフェース、312は遅延時間計算手段、313は位置導出手段、314はICタグID取得手段、315は対象ICタグ決定手段、316は送信リーダライタ決定手段、317は受信リーダライタ決定手段、318は第1第2情報生成手段、319は第1第2情報設定手段、321は遅延時間、322は第1情報、323は第2情報、324はリーダライタ情報、325はICタグ情報である。
【0016】
(リーダライタ1において、)
ICタグ無線通信手段111はリーダライタ1とICタグ2との間で情報の送信受信を行うため無線の通信手段である。ICタグ無線通信手段111は、搬送波を生成し、ICタグリードライト手段112、送受信処理手段115、等が送信のため生成した送信情報(たとえば、第1情報)によってその搬送波を変調し、アンテナから電磁波として空中に送信する。また、ICタグ無線通信手段111は、ICタグ2のから送信された電磁波をアンテナによって受信して復調し、その復調によって得られた受信情報(たとえば、第2情報)をICタグリードライト手段112、送受信処理手段115、等に受け渡す。
ICタグ無線通信手段111は、RFIDに適合する無線通信方式の無線通信手段を使用することができる。しかし、たとえばISO/IEC 18000で進められている国際規格の密着型(ISO/IEC 10536)、近接型(ISO/IEC 14443)、等は通信距離が短すぎるため本発明の使用目的に合致せず、そのままでは使用することができない。約10m〜約100mの通信距離に対応する近距離無線規格としては、ZigBee、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、UWB(Ultra Wide Band)、等が知られている。それらの規格における周波数帯域は約800MHz〜約11GHzの範囲に存在する。また、GPSでは搬送波として1.6GHzが使用されている。本発明においては、周波数帯域が約800MHz〜約11GHzの範囲の規格に基づく無線通信手段を好適に使用することができる。また、その規格を変更し本発明の使用目的により適合させた無線通信方式とした無線通信手段を使用することができる。送信と受信の搬送波の周波数を同一とし、時分割で送受信を行う構成とすることができる。また、送信と受信の搬送波の周波数を相違させ、同時に送受信を行う構成とすることができる。
【0017】
ICタグリードライト手段112はICタグ2a〜2fのメモリに記憶されているICタグID、その他の記憶データをICタグ無線通信手段111を通じて受信し読み取る。また、ICタグリードライト手段112はICタグ無線通信手段111を通じて送信しICタグ2a〜2fのメモリにデータを書き込む。また、ICタグリードライト手段112は、メモリへの読み取り書き込みだけでなくプログラム(図示せず)等にしたがって、リーダライタ1とICタグ2との間の通信によって行う処理(たとえば、認証処理、アンチコリジョン処理、等)を実行する。
【0018】
時刻管理手段113は複数のリーダライタ1の各々において単一の時刻(一台の時計が刻む時刻)を共有するための時計機構である。時刻を決定する原クロックは1つであり、その1つの源信号に同期して複数のリーダライタ1の各々において時刻が刻まれる。原クロックはリーダライタ1の内部に備えても、リーダライタ1の外部に備えていてもよい。リーダライタ1の内部に原クロックを備えるときには、複数のリーダライタ1の1つが備える原クロックに他のリーダライタ1が同期する(または、原クロックを他のリーダライタ1が共有する)構成とする。原クロックとしては、恒温槽によって温度を一定化した高精度の水晶振動子を使用することができる。勿論、GPSのように、より高い精度を有する原始時計を使用してもよい。
時刻管理手段113は単一の時刻を共有するために、同期だけでなく複数のリーダライタ1の各々に対して時刻合わせを行う。たとえば、原クロックとともにトリガー信号を時刻同期接続線(図1参照)に重畳し、トリガー信号の受信に同期して複数のリーダライタ1の各々の時計の時刻を設定する。トリガー信号が時刻同期接続線を通じて複数のリーダライタ1の各々に達する時間(トリガー信号遅延時間)はその時刻同期接続線の経路長によって相違する。したがって、トリガー信号遅延時間を考慮した時刻を複数のリーダライタ1の各々に対して設定する。なお、GPS衛星の相対運動、宇宙空間と地上との重力差、等によって生じる相対性理論的効果に対する補正は、GPSでは必要とされるが、本発明においては地上の静止系であるから必要としない。
時刻管理手段113は原クロックからICタグ無線通信手段111の搬送波のクロックを生成する。本発明の目的を達成するための搬送波の周波数はGHz帯が適合する。原クロックの周波数と搬送波の所望の周波数が一致しないときには、原クロックの周波数を分周または逓倍することにより搬送波の所望の周波数を生成する。すなわち、原クロックと搬送波が同期することになる。また、後述するように、ICタグの位置情報を検知するときに行われる第1情報121を受信し第2情報122を送信する処理は、リーダライタ1の搬送波に同期した処理として行われる。したがって、ICタグの位置情報を検知するための信号処理の全体は原クロックに同期している。
【0019】
PCインタフェース114はリーダライタ1が位置情報処理部3との間で情報の送受信を行うためのインタフェースである。図1に示す一例において、位置情報処理部3をパーソナルコンピュータで実現する構成を示したのでPCインターフェースという語句が使用される。PCインタフェース114としてはUSB、LAN、等を使用することができる。PCインタフェース114を通じて、リーダライタ1は位置情報処理部3からの命令(コマンド)を受信しその命令の対応する処理を行う。たとえば、リーダライタID125、ICタグID223、送信時刻123、受信時刻124、第1情報121、第2情報123、等の送受信を行う。
送受信処理手段115は位置情報を検知する対象のICタグ2に対して第1情報を送信して送信時刻を記憶し第2情報を受信して受信時刻を記憶する処理を行う。送受信処理手段115が行うその処理は、時刻管理手段113の管理下において行われる。送受信処理手段115の具体的な構成の一例については詳細を後述する。
【0020】
第1情報121はICタグ2に対して位置情報を検知するためにリーダライタ1が送信する情報である。この第1情報121に対しては位置情報を検知する対象のICタグ2だけが応答、すなわち第2情報122の返信を行う。第1情報121は他の情報と区別を可能とするデータ長を必要とするがその内容については特に限定がない。たとえば、第1情報121はそれを送信するリーダライタ1を特定するリーダライタIDまたはその一部とすることができる。第1情報121をリーダライタIDまたはその一部とすると、リーダライタIDはリーダライタ1に固有のものであるから、位置情報処理部3による第1情報121の生成と設定を行わなくて済む。
第2情報122はリーダライタ1による第1情報の送信に対するICタグ2の返信としてリーダライタ1が受信する信号において第2情報が受信されたか否かをリーダライタ2が比較照合するため情報である。
【0021】
送信時刻123はリーダライタ1が第1情報を送信したときの時刻管理手段113が出力する時刻である。送信開始から送信終了までには第1情報のデータ長によって決る所定の時間が経過するがその時間は一定である。通常は、送信開始のトリガー信号によって送信が開始されるから、そのトリガー信号によって時刻管理手段113が出力する時刻を読み取れば(たとえばラッチする)、送信時刻123は送信開始時刻である。勿論、第1情報のデータ長から計算した送信終了時刻としてもよく、位置情報処理部3は送信時刻123がいずれであるかを考慮して位置を計算する。
受信時刻124はリーダライタが第2情報を受信したときの時刻管理手段113が出力する時刻である。受信開始から受信終了までには第2情報のデータ長によって決る所定の時間が経過するがその時間は一定である。通常は、受信終了によって受信したことが検出されるから、受信時刻124は受信終了時刻である。勿論、第2情報のデータ長から計算した受信開始時刻としてもよく、位置情報処理部3は受信時刻123がいずれであるかを考慮して位置を計算する。
リーダライタID125は複数のリーダライタ1の各々にユニークに割り当てられたID(identification)である。リーダライタID125は位置情報処理部3において複数のリーダライタの内から1つを特定するために使用される。
【0022】
(ICタグ2において、)
リーダライタ無線通信手段211はICタグ2がリーダライタ1との間で情報の送受信を行うための無線通信手段である。このリーダライタ無線通信手段211を通じて、リーダライタ1からICタグ2に送信された命令に対応する処理をICタグ2は行う。たとえば、第1情報、第2情報、ICタグID、等の送受信を行う。リーダライタ無線通信手段211としては、リーダライタ1のICタグ無線通信手段111に適合する無線通信方式の無線通信手段を使用することができる。
返信処理手段212は位置情報を通知するためにリーダライタ1が送信する第1情報121を受信して第2情報222を送信する処理を行う。送受信処理手段115が行うその処理は、リーダライタ1のICタグ無線通信手段111による送信の搬送波に同期して行われる。返信処理手段212の具体的な構成の一例については詳細を後述する。
【0023】
第1情報221はリーダライタ1による第1情報の送信に対して、ICタグ2が受信する信号において第1情報が受信されたか否かをICタグ2が比較照合するための情報である。
第2情報222はリーダライタ1が送信した第1情報121に応答してICタグが返信する情報である。この第2情報222は位置情報を検知する対象のICタグ2だけが保持すればよい。第2情報222は他の情報と区別を可能とするデータ長を必要とするがその内容については特に限定がない。たとえば、第2情報222はそれを送信するICタグ2を特定するICタグIDまたはその一部とすることができる。第2情報22をICタグIDまたはその一部とすると、ICタグIDはICタグ2に固有のものであるから、位置情報処理部3による第2情報222の生成と設定を行わなくて済む。
ICタグID223は複数のICタグ2の各々にユニークに割り当てられたID(identification)である。ICタグID223はリーダライタ1において複数のICタグID223の内から1つを特定するために使用される。
【0024】
(位置情報処理部3において、)
リーダライタインタフェース311は位置情報処理部3がリーダライタ1との間で情報の送受信を行うためのインタフェースである。リーダライタインタフェース311としてはUSB、LAN、等を使用することができる。リーダライタインタフェース311を通じて、位置情報処理部3はリーダライタ1への命令(コマンド)を送信しその命令の対応する処理をリーダライタ1にさせる。たとえば、リーダライタID125、ICタグID223、送信時刻123、受信時刻124、第1情報121、第2情報123、等の送受信を行う。
遅延時間計算手段312は第1情報322と第2情報323のデータ長から送受信処理手段115と返信処理手段212によって生ずる信号の遅延時間321を計算する。本発明の位置情報検知システムにおける送信受信における時間の経過の一例をチャート図として図5に示す。時刻管理手段113の原クロックと同期させるため、原クロックと同期する搬送波を分周して生成したデータ転送クロックを使用し、たとえば、M(bps:bits per second)のデータ転送速度で送受信が行われるとする。また、第1情報322のデータ長がN1(bit)、第2情報323のデータ長がN2(bit)であるとする。このとき1回の送信または受信の開始から終了までに、第1情報322ではN1/M(sec)の時間を必要とし、第2情報323ではN2/M(sec)の時間を必要とする。また、受信したことを検知してから送信を開始するまでには、同期処理回路において、通常は、データ転送クロックのnクロック分(n=1,2,3,・・・)を必要とする。したがって、図5に示すように、返信処理手段212は、受信終了から送信開始までの遅延時間はn/M(sec)であり、受信開始から送信開始までの遅延時間は(N1+n)/M(sec)であり、受信終了から送信終了までの遅延時間は(N2+n)/M(sec)であり、受信開始から送信終了までの遅延時間は(N1+N2+n)/M(sec)である、というように計算する。また、送受信処理手段115は、送信開始から送信終了までの遅延時間はN1/M(sec)であり、受信開始から受信終了までの遅延時間はN2/M(sec)であるというように計算する。
【0025】
位置導出手段313は送受信処理手段115における送信時刻123と受信時刻124、リーダライタ1の位置、遅延時間321に基づいてICタグ2の位置を導出する。
位置導出の第1の方法は、第1情報を送信して送信時刻を記憶するリーダライタ1が第2情報を受信して受信時刻を記憶する場合の方法である。この場合において、位置導出手段313は、電磁波速度をc、として、(c×((受信時刻−送信時刻)−遅延時間))/2=a、を計算する。この計算により、位置導出手段313は位置として、リーダライタ1を中心とする半径aの円の近傍にICタグ2が存在することを導出したことになる。さらに、配置位置の異なる複数のリーダライタ1によって得られる複数の円に基づいて、位置導出手段313は位置として複数の円の交点を計算する。この計算により、位置導出手段313はその交点の近傍たとえば交点の平均値の座標にICタグ2が存在することを導出したことになる。たとえば、送信時刻を送信開始時刻、受信時刻を受信終了時刻とすると、位置導出手段313は遅延時間として(N1+N2+n)/M(sec)を適用してICタグ2の位置を導出する(図2、図5参照)。
【0026】
また、位置導出の第2の方法は、第1情報を送信して送信時刻を記憶するリーダライタ1は1つであり、第2情報を受信して受信時刻を記憶するリーダライタ1は複数である場合の方法である。この場合において、送信するリーダライタ1からICタグ2までの距離をa、ICタグ2から受信するリーダライタ1までの距離をb、電磁波速度をc、とする。位置導出手段313は、(c×((受信時刻−送信時刻)−遅延時間))=a+b=L、を計算する。この計算により、位置導出手段313は位置として、送信するリーダライタ1と受信するリーダライタ1を2つの焦点とし、送信するリーダライタ1と受信するリーダライタ1からICタグまでのの和が一定のL(=a+b)である楕円の近傍にICタグが存在することを導出したことになる。さらに、配置位置の異なる複数の受信するリーダライタ1によって得られる複数の楕円に基づいて、位置導出手段313は位置として複数の楕円の交点を計算する。この計算により、位置導出手段313はその交点の近傍たとえば交点の平均値の座標にICタグ2が存在することを導出したことになる。たとえば、送信時刻を送信終了時刻、受信時刻を受信終了時刻とすると、位置導出手段313は遅延時間として(N2+n)/M(sec)を適用してICタグ2の位置を導出する(図2、図5参照)。
【0027】
また、位置導出の第3の方法は、第1情報を送信して送信時刻を記憶するリーダライタ1は1つであり、第2情報を受信して受信時刻を記憶するリーダライタ1は複数である場合(第2の方法の場合と同一)の方法である。この場合において、位置導出手段313は、送信するリーダライタ1からICタグ2までの距離をa、送信するリーダライタ1の受信時刻を受信時刻a、ICタグ2から受信するリーダライタ1までの距離をb、受信するリーダライタ1の受信時刻を受信時刻b、電磁波速度をc、とする。位置導出手段313は、(c×((受信時刻b−送信時刻)−遅延時間))−(c×((受信時刻a−送信時刻)−遅延時間))/2=(a+b)−a=b、を計算する。この計算により、位置導出手段313は位置として、受信するリーダライタ1を中心とし、受信するリーダライタ1からICタグ2までの距離がbである円の近傍にICタグ2が存在することを導出したことになる。さらに、配置位置の異なる複数の前記受信するリーダライタ1によって得られる複数の円に基づいて、位置導出手段313は位置として複数の円の交点の近傍にICタグ2が存在することを導出したことになる。たとえば、送信時刻を送信終了時刻、受信時刻aを受信終了時刻、受信時刻bを受信終了時刻、とすると、位置導出手段313は遅延時間としてn/M(sec)を適用してICタグ2の位置を導出する(図2、図5参照)。
【0028】
ICタグID取得手段314はリーダライタ1を通じてリーダライタ1の通信領域内に存在するICタグ2の各々を特定するICタグIDを取得する。通信領域内に複数のICタグ2が存在するときに複数のICタグ2との通信が同時に起きて衝突することを避けるため、複数のリーダライタ1の各々はポーリング処理、アンチコリジョン処理、等を行う。この処理の過程において、ICタグID取得手段314はリーダライタ1の各々を通じてICタグIDを取得する。ICタグID取得手段314は取得したICタグIDを、それを検出したリーダライタ1を特定するリーダライタIDと紐付けしてICタグ情報325に記憶する。
対象ICタグ決定手段315は取得したICタグIDの内から位置情報を検知する対象のICタグ2を決定する。たとえば、対象ICタグ決定手段315は、ICタグ情報324をリストとして位置情報処理部3のディスプレイ(図示せず)に表示させ、そのリストの内からオペレータが指定入力したICタグIDを位置情報を検知する対象のICタグ2とする。
【0029】
送信リーダライタ決定手段316は通信接続されているリーダライタ1の内から第1情報321を送信するリーダライタ1を決定する。位置情報処理部3は、パーソナルコンピュータのオペレーティングシステムが行うポーリング処理、等により、通信接続されたリーダライタのリーダライタIDを取得する。送信リーダライタ決定手段316はその情報をリーダライタ情報323として記憶する。
受信リーダライタ決定手段317は通信接続されているリーダライタ1の内から第2情報322を受信するリーダライタ1を決定する。たとえば、受信リーダライタ決定手段317は、リーダライタ情報323をリストとして位置情報処理部3のディスプレイ(図示せず)に表示させ、そのリストの内からオペレータが指定入力したリーダライタIDを位置情報を検知する対象のリーダライタ1とする。このとき、受信リーダライタ決定手段317がリストとしてディスプレイに表示するリーダライタ情報323は、対象ICタグ決定手段315が位置情報を検知する対象として決定したICタグ2を検出可能なリーダライタ1に限定する。
第1第2情報生成手段318は第1情報322と第2情報323を生成する。第1第2情報生成手段318は、リーダライタIDおよびICタグIDの一部として、または、乱数を発生させて、第1情報322と第2情報323を生成する。たとえば、リーダライタIDまたはその一部としての第1情報121、221、ICタグIDまたはその一部としての第2情報122、222、を固定値として使用したときには、それらのデータ長によってはIDが重複することによって通信において複数のICタグ2が応答し衝突(干渉)を起こす恐れがある。第1情報322と第2情報323を生成することによって、そのような問題を避けることができる。
第1第2情報設定手段319は第1情報322と第2情報323をリーダライタ1とICタグ2に設定する。第1第2情報生成手段318が生成した第1情報322と第2情報323の各々を、第1第2情報設定手段319はリーダライタ1の第1情報121と第2情報122の各々として設定する。また、第1第2情報生成手段318が生成した第1情報322と第2情報323の各々を、第1第2情報設定手段319はICタグ2の第1情報221と第2情報222の各々として、リーダライタ1を通じて、設定する。
【0030】
第1情報321は第1第2情報生成手段318が生成したデータである。第1情報321は第1第2情報設定手段319によってリーダライタ1とICタグ2の各々に設定されると第1情報121、221の各々と一致する。第1情報321はICタグ2の位置情報を検知するための送信をリーダライタ1が行うときの送信用のデータである。
第2情報322は第1第2情報生成手段318が生成したデータである。第2情報322は第1第2情報設定手段319によってリーダライタ1とICタグ2の各々に設定されると第1情報122、222の各々と一致する。第2情報322はICタグ2の位置情報を検知するための返信をICタグ2が行うときの返信用のデータである。
リーダライタ情報323はリーダライタ1に係わるデータである。たとえば、リーダライタ1を特定するリーダライタID、リーダライタ1が設置されている位置(座標)、位置情報処理部3に通信接続可能か否か、等のデータである。
ICタグ情報324はICタグ2に係わるデータである。たとえば、ICタグ2を特定するICタグID、位置情報検知データに基づくICタグが存在している位置(座標)、リーダライタ1と無線通信可能か否か、他のシステム(在庫管理システム、入退場管理システム、等)から取得した紐付けされるデータ(物品名、人名、等)、等のデータである。
【0031】
以上、全体構成について説明した。次に、本発明の位置情報検知システムのリーダライタにおける送受信処理手段の構成について説明する。リーダライタにおける送受信処理手段の構成の一例(ハードウェア構成)をブロック図として図6に示す。
図6における時刻ラッチA、時刻ラッチB、比較データレジスター、比較手段、受信データレジスター、送信データレジスターは送受信処理手段115を構成する。
また、図6における送信データレジスターは第1情報121を、図6における比較データレジスターは第2情報122を、図6における時刻ラッチAは送信時刻123を、図6における時刻ラッチBは受信時刻124を記憶(格納)する。
また、図6における受信手段、送信手段はICタグ無線通信手段111を、図6における信号処理手段、メモリはICタグリードライト手段112を、図6における時刻発生手段、クロックは時刻管理手段113を、図6におけるI/FはPCインタフェース114を構成する。なお、クロックは送信の搬送波と時刻発生手段の時刻を与えるクロック(原クロック)と、変調のタイミング(データ転送速度)を与えるクロックの2つを発生する。それら2つのクロックは同期している。
また、図6におけるメモリはリーダライタID、信号処理手段が処理するデータ、等を記憶する。
【0032】
図6において、送受信処理手段115を構成する部分の動作について説明する。
第1第2情報生成手段318は第1情報322と第2情報323を生成する。第1第2情報設定手段319はリーダライタインタフェース311を通じてリーダライタの送信データレジスターに第1情報322を第1情報121として、比較データレジスターに第2情報323を第2情報122として書き込む。
リーダライタは位置情報処理部3から送信開始の指令を受けると、送信開始のトリガー信号を生成し、送信データレジスターの第1情報を送信手段(ICタグ無線通信手段111)を通じて1ビットづつシリアルに送信する。また、そのトリガー信号を受けて、時刻発生手段が出力する時刻を時刻ラッチAが格納する(時刻の全桁をパラレルに格納する)。格納された時刻は送信時刻123(この一例では送信開始時刻)である。
一方、リーダライタの受信手段は1ビットづつシリアルに受信を行っている。その受信したデータは受信データレジスタに1ビットづつシリアルに送られる。この受信データレジスタはシフトレジスタであり、1ビットのデータを受取る度に、1ビットづつシリアルにレジスターの下位ビットから上位ビットにデータを順送りする。最上位のビットのデータは順送りにより失われる。比較手段は比較データレジスターの第2情報と受信データレジスターのデータの全桁を常に比較している。第2情報と受信データレジスターのデータの全桁が一致したとき、比較手段は一致すなわち受信終了のトリガー信号を出力する。そのトリガー信号を受けて、時刻発生手段が出力する時刻を時刻ラッチBが格納する(時刻の全桁をパラレルに格納する)。格納された時刻は受信時刻124(この一例では受信終了時刻)である。
【0033】
以上、送受信処理手段の構成について説明した。次に、本発明の位置情報検知システムのICタグにおける返信処理手段の構成について説明する。ICタグにおける返信処理手段の構成の一例(ハードウェア構成)をブロック図として図7に示す。
図7における比較データレジスター、比較手段、受信データレジスター、送信データレジスターは、返信処理手段212を構成する。また、図7における受信手段、送信手段はリーダライタ無線通信手段211を構成する。また、図7における信号処理手段、メモリは、リーダライタ1のICタグリードライト手段112による命令に対してICタグ2が応答する処理を行う。
また、図7における比較データレジスターは第1情報221を、送信データレジスターは第2情報222を、記憶(格納)する。また、メモリはICタグID、信号処理手段が処理するデータ、等を記憶する。
また、図7における第1クロック生成手段はICタグ無線通信手段111の搬送波に同期するクロックであって、送信の搬送波を与えるクロックと、変調のタイミング(データ転送速度)を与えるクロックの2つを発生する。それら2つのクロックは同期している。第1クロック生成手段は返信処理手段212とリーダライタ無線通信手段211を構成する部分に対してクロックを供給する。また、図7における第2クロック生成手段は第1クロック生成手段に同期するクロックであって、図7における信号処理手段に対してクロック供給する。一般に、第1クロック生成手段の周波数に対して第2クロックの周波数は小さくする。それにより、高速で処理する必要のない処理を低速(適正速度)で処理することが可能となる。さらに低速で処理することによりICタグ2における単位時間当たりの電源消費量を低減することができる。
また、図7における電源発生手段はICタグ2を動作させる電力を供給する。電源発生手段はICタグ無線通信手段111の搬送波を電力源として電力を発生させる構成とすることができる。図7に示す構成においては、第2クロックの周波数を小さくすることによりICタグ2における単位時間当たりの電源消費量を低減することができるが、それでも発生する電力が不足するときには、電源発生手段としてバッテリーを使用(または併用)することができる。
【0034】
図7において、返信処理手段115を構成する部分の動作について説明する。
第1第2情報生成手段318は第1情報322と第2情報323を生成する。第1第2情報設定手段319はリーダライタインタフェース311を通じてリーダライタにライト命令を出力する。それを受けてリーダライタのICタグリードライト手段112はICタグの比較データレジスターに第1情報322を第1情報221として、送信データレジスターに第2情報323を第2情報222として書き込む。
ICタグの受信手段は1ビットづつシリアルに受信を行っている。その受信したデータは受信データレジスタに1ビットづつシリアルに送られる。この受信データレジスタはシフトレジスタであり、1ビットのデータを受取る度に、1ビットづつシリアルにレジスターの下位ビットから上位ビットにデータを順送りする。最上位のビットのデータは順送りにより失われる。比較手段は比較データレジスターの第1情報と受信データレジスターのデータの全桁を常に比較している。第1情報と受信データレジスターのデータの全桁が一致したとき、比較手段は一致すなわち受信終了のトリガー信号を出力する。
その受信終了のトリガー信号を送信開始のトリガー信号とし、送信データレジスターの第2情報を送信手段(リーダライタ無線通信手段211)を通じて1ビットづつシリアルに送信する。
図6、図7に示すようなハードウェア構成の送受信処理手段と返信処理手段送信においては、それらの処理における速度を高速化し、それらの処理における遅延時間、電力消費を最小化することができる。たとえば、受信したことを検知してから送信を開始するまでには、データ転送クロックのnクロック分(n=1,2,3,・・・)を必要とすると説明したが、n=1とすることができる。
【0035】
以上、送受信処理手段と返信処理手段の構成について説明した。次に、本発明の位置情報検知システムにおける動作について説明する。本発明の位置情報検知システムにおける動作の一例をフロー図として図8に示す。
まず、図8のステップS101(ICタグリスト表示)において、オペレータがICタグIDを取得する指示入力を行うと、位置情報処理部3のICタグID取得手段314は複数のリーダライタ1を通じてリーダライタ1の通信領域内に存在するICタグ2の各々を特定するICタグIDを取得する。ICタグID取得手段314は取得したICタグIDを、それを検出したリーダライタ1を特定するリーダライタIDと紐付けしてICタグ情報325に記憶する。
次に、ステップS102(対象ICタグの指定)において、オペレータがICタグ情報325を表示する指示入力を行うと、対象ICタグ決定手段315はICタグ情報324をリストとして位置情報処理部3のディスプレイ(図示せず)に表示させる。オペレータは、そのリストの内から位置情報を検知する対象のICタグIDを指定する。対象ICタグ決定手段315はオペレータが指定入力したICタグIDを位置情報を検知する対象のICタグ2と決定する。
【0036】
次に、ステップS103(対象リーダライタの選択)において、オペレータがリーダライタ情報325を表示する指示入力を行うと、位置情報処理部3はその位置情報を検知する対象のICタグ2を通信領域内とするリーダライタ1のリーダライタ情報325をリストとしてディスプレイに表示させる。
オペレータは、そのリストの内から送信リーダライタを指定する。送信リーダライタ決定手段316はオペレータが指定入力したリーダライタIDのリーダライタを第1情報を送信する送信リーダライタと決定する。なお、前述した位置導出の第1の方法により位置導出手段313がICタグ2の位置を導出するときには複数のリーダライタを送信リーダライタと決定する。前述した位置導出の第2の方法または位置導出の第3の方法により位置導出手段313がICタグ2の位置を導出するときには1つのリーダライタを送信リーダライタと決定する。
また、オペレータは、そのリストの内から受信リーダライタを指定する。受信リーダライタ決定手段317はオペレータが指定入力したリーダライタIDのリーダライタを第2情報を受信する受信リーダライタと決定する。なお、前述した位置導出の第1の方法により位置導出手段313がICタグ2の位置を導出するときには送信リーダライタと決定したリーダライタをそのまま受信リーダライタに決定する。また、前述した位置導出の第2の方法または位置導出の第3の方法により位置導出手段313がICタグ2の位置を導出するときには複数のリーダライタを受信リーダライタと決定する。その複数の受信リーダライタの内に、1つの送信リーダライタが含まれていてもよい。
送信リーダライタと受信リーダライタを決定した後に、オペレータは位置情報検知の指示入力を行う。
【0037】
次に、ステップS104(第1第2情報生成)において、第1第2情報生成手段318はリーダライタIDおよびICタグIDの一部として、または、乱数を発生させて、第1情報322と第2情報323を生成する。
次に、ステップS105(第1第2情報設定)において、第1第2情報生成手段318が生成した第1情報322を、第1第2情報設定手段319は送信リーダライタとして決定されたリーダライタと位置情報を検知する対象のICタグに設定する。また、第1第2情報生成手段318が生成した第2情報323を、第1第2情報設定手段319は受信リーダライタとして決定されたリーダライタと位置情報を検知する対象のICタグに設定する。ICタグへの設定はリーダライタを通じて行う。送信リーダライタに設定された(書き込まれた)第1情報322が第1情報121であり、受信リーダライタに設定された(書き込まれた)第2情報323が第1情報122である。また、対象のICタグに設定された(書き込まれた)第1情報322が第1情報221であり、受信リーダライタに設定された(書き込まれた)第2情報323が第1情報322である。なお、前述した位置導出の第1の方法により位置導出手段313がICタグ2の位置を導出するときには複数の送信リーダライタ(=受信リーダライタ)の内の1つに対して第1情報と第2情報を設定する。前述した位置導出の第2の方法または位置導出の第3の方法により位置導出手段313がICタグ2の位置を導出するときには全ての送信リーダライタと受信リーダライタに設定する。
【0038】
次に、ステップS106(第1情報送信)において、位置情報処理部3のICタグリードライト手段112は送信開始の命令を送信リーダライタとして決定されたリーダライタに送信する。その命令を受けてリーダライタは第1情報を送信する。
次に、ステップS107(送信時刻格納)において、リーダライタは送信時刻を記憶(格納)する。
次に、ステップS108(第1情報受信)において、ICタグは第1情報を受信する。このとき、対象のICタグだけではなく、通信領域内のICタグのすべてが受信する可能性を有している。
次に、ステップS109(第2情報送信(返信))において、対象のICタグだけが第2情報を送信(返信)する。
次に、ステップS110(第2情報受信)において、リーダライタは第2情報を受信する。このとき、受信リーダライタとして決定されたリーダライタだけではなく、通信領域内のリーダライタのすべてが受信する可能性を有している。
次に、ステップS111(受信時刻格納)において、受信リーダライタとして決定されたリーダライタだけが受信時刻を記憶(格納)する。
なお、前述した位置導出の第1の方法により位置導出手段313がICタグ2の位置を導出するときには送信リーダライタとして決定した複数のリーダライタの各々に対して、ステップS104〜S111のステップを繰り返す(図8における鎖線を参照)。前述した位置導出の第2の方法または位置導出の第3の方法により位置導出手段313がICタグ2の位置を導出するときにはステップの繰り返しは無い。
【0039】
次に、ステップS112(送受信時刻収集)において、位置情報処理部3は送信リーダライタとして決定されたリーダライタから送信時刻を収集し、送信リーダライタとして決定されたリーダライタから送信時刻を収集し、受信リーダライタとして決定されたリーダライタから受信時刻を収集しリーダライタ情報324に書き加える。
次に、ステップS113(リーダライタからの距離計算)において、位置情報処理部3の遅延時間計算手段312は第1情報と第2情報のデータ長から送受信処理手段115と返信処理手段212によって生ずる信号の遅延時間を計算する。また、位置情報処理部3の位置導出手段313は送信時刻と受信時刻と遅延時間とリーダライタの位置に基づいてICタグとリーダライタとの距離を導出する。
次に、ステップS114(ICタグ位置計算)において、位置情報処理部3の位置導出手段313は計算したICタグとリーダライタとの距離と、リーダライタ情報324を参照して得たリーダライタの位置に基づいてICタグの位置を導出する。リーダライタの数が3つ以上のときには、3次元の位置として検出することができる。
なお、ステップS113とS114における計算においては、前述した位置導出の第1の方法、第2の方法、第3の方法のいずれかを適用することができる。
次に、ステップS115(ICタグ位置表示)において、位置情報処理部3はそのディスプレイにICタグの位置を表示する。位置の表示は、座標だけでなく、倉庫、オフィス、等の各階の建築平面図における位置として図形表示する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
物品、人、等の位置情報を検知する管理を行う、物品在庫管理システム、生産管理システム、人員移動管理システム、等において利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 リーダライタ
111 ICタグ無線通信手段
112 ICタグリードライト手段
113 時刻管理手段
114 PCインタフェース
115 送受信処理手段
121 第1情報
122 第2情報
123 送信時刻
124 受信時刻
125 リーダライタID
2 ICタグ
211 リーダライタ無線通信手段
212 返信処理手段
221 第1情報
222 第2情報
223 ICタグID
3 位置情報処理部
311 リーダライタインタフェース
312 遅延時間計算手段
313 位置導出手段
314 ICタグID取得手段
315 対象ICタグ決定手段
316 送信リーダライタ決定手段
317 受信リーダライタ決定手段
318 第1第2情報生成手段
319 第1第2情報設定手段
321 遅延時間
322 第1情報
323 第2情報
324 リーダライタ情報
325 ICタグ情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダライタと、ICタグと、位置情報処理部とを備える位置情報検知システムであって、リーダライタは、第1情報を送信して送信時刻を記憶し第2情報を受信して受信時刻を記憶する送受信処理手段を有し、ICタグは、前記第1情報を受信して前記第2情報を送信する返信処理手段を有し、位置情報処理部は、前記第1情報と前記第2情報のデータ長から前記送受信処理手段と前記返信処理手段によって生ずる信号の遅延時間を計算する遅延時間計算手段と、前記送信時刻と前記受信時刻と前記遅延時間と前記リーダライタの位置に基づいて前記ICタグの位置を導出する位置導出手段を有することを特徴とする位置情報検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の位置情報検知システムにおいて、前記第1情報はそれを送信するリーダライタを特定するリーダライタIDまたはその一部であり、前記第2の情報は位置情報を検出する対象のICタグを特定するICタグIDまたはその一部であることを特徴とする位置情報検知システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の位置情報検知システムにおいて、位置情報処理部は、前記第1情報と前記第2情報を生成する第1第2情報生成手段と、前記第1情報と前記第2情報をリーダライタとICタグに設定する第1第2情報設定手段を有することを特徴とする位置情報検知システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにに記載の位置情報検知システムにおいて、前記送受信処理手段と前記返信処理手段による処理を、前記リーダライタの前記送信の搬送波に同期して行うことを特徴とする位置情報検知システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の位置情報検知システムにおいて、前記リーダライタにおける前記送信時刻と前記受信時刻を与える時計の規準となるクロックと、送信搬送波を生成するクロックは、同一または同期していることを特徴とする位置情報検知システム。
【請求項6】
請求項5に記載の位置情報検知システムにおいて、前記リーダライタは複数であって、前記複数のリーダライタの各々における前記クロックは同一または同期していることを特徴とする位置情報検知システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の位置情報検知システムにおいて、前記位置情報処理部はリーダライタを通じてリーダライタの通信領域内に存在するICタグの各々を特定するICタグIDを取得するICタグID取得手段を有し、前記位置情報処理部は前記取得したICタグIDの内から位置情報を検知する対象のICタグを決定する対象ICタグ決定手段を有することを特徴とする位置情報検知システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の位置情報検知システムにおいて、前記位置情報処理部は通信接続されているリーダライタの内から前記第1情報を送信するリーダライタを決定する送信リーダライタ決定手段を有することを特徴とする位置情報検知システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の位置情報検知システムにおいて、前記位置情報処理部は通信接続されているリーダライタの内から前記第2情報を受信するリーダライタを決定する受信リーダライタ決定手段を有することを特徴とする位置情報検知システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の位置情報検知システムにおいて、前記位置導出手段は、電磁波速度をc、として、(c×((受信時刻−送信時刻)−遅延時間))/2=a、を計算することにより、前記位置として、前記リーダライタを中心とする半径aの円の近傍に前記ICタグが存在することを導出し、さらに、配置位置の異なる複数の前記リーダライタによって得られる複数の円に基づいて、前記位置として前記複数の円の交点の近傍に前記ICタグが存在することを導出することを特徴とする位置情報検知システム。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の位置情報検知システムにおいて、前記第1情報を送信して送信時刻を記憶するリーダライタは1つであり、前記第2情報を受信して受信時刻を記憶するリーダライタは複数であって、前記位置導出手段は、前記送信するリーダライタから前記ICタグまでの距離をa、前記ICタグから前記受信するリーダライタまでの距離をb、電磁波速度をc、として、(c×((受信時刻−送信時刻)−遅延時間))=a+b=L、を計算することにより、前記位置として、前記送信するリーダライタと前記受信するリーダライタを2つの焦点とし、前記送信するリーダライタと前記受信するリーダライタから前記ICタグまでの距離の和が一定のL(=a+b)である楕円の近傍に前記ICタグが存在することを導出し、さらに、配置位置の異なる複数の前記受信するリーダライタによって得られる複数の楕円に基づいて、前記位置として前記複数の楕円の交点の近傍に前記ICタグが存在することを導出することを特徴とする位置情報検知システム。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれかに記載の位置情報検知システムにおいて、前記第1情報を送信して送信時刻を記憶するリーダライタは1つであり、前記第2情報を受信して受信時刻を記憶するリーダライタは複数であって、前記位置導出手段は、前記送信するリーダライタから前記ICタグまでの距離をa、送信するリーダライタの受信時刻を受信時刻a、前記ICタグから前記受信するリーダライタまでの距離をb、受信するリーダライタ1の受信時刻を受信時刻b、電磁波速度をc、として、(c×((受信時刻b−送信時刻)−遅延時間))−(c×((受信時刻a−送信時刻)−遅延時間))/2=(a+b)−a=b、を計算することにより、前記位置として、前記受信するリーダライタを中心とし、前記受信するリーダライタから前記ICタグまでの距離がbである円の近傍に前記ICタグが存在することを導出し、さらに、配置位置の異なる複数の前記受信するリーダライタによって得られる複数の円に基づいて、前記位置として前記複数の円の交点の近傍に前記ICタグが存在することを特徴とする位置情報検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−104845(P2013−104845A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250890(P2011−250890)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】