位置指示器、可変容量コンデンサ及び入力装置
【課題】可変容量コンデンサを確実に初期状態に戻し、可変容量コンデンサの耐久性の向上を図る。
【解決手段】筐体11と、略棒状に形成され、一端が筐体11の外側に突出して筐体11に収納された芯体12と、芯体12を介して加わる外力により電気容量が変化する可変容量コンデンサ15と、からなる。可変容量コンデンサ15は、誘電体22と、第1の電極部となる端子部材23と、導電部材26と、弾性部材27とを備えている。誘電体22は、第1の面部22a及び第2の面部22bを有している。誘電体22の第2の面部22bに対向して配置された、導電部材26を含んである第2の電極部であって、この導電部材26は、外力により第2の面部22bとの当接面積が変化するものである。更に、弾性部材27は、導電部材26を第2の面部22bから離れる方向に付勢する。
【解決手段】筐体11と、略棒状に形成され、一端が筐体11の外側に突出して筐体11に収納された芯体12と、芯体12を介して加わる外力により電気容量が変化する可変容量コンデンサ15と、からなる。可変容量コンデンサ15は、誘電体22と、第1の電極部となる端子部材23と、導電部材26と、弾性部材27とを備えている。誘電体22は、第1の面部22a及び第2の面部22bを有している。誘電体22の第2の面部22bに対向して配置された、導電部材26を含んである第2の電極部であって、この導電部材26は、外力により第2の面部22bとの当接面積が変化するものである。更に、弾性部材27は、導電部材26を第2の面部22bから離れる方向に付勢する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆圧を検出する場合に用いて好適な位置指示器、その筆圧を検出する可変容量コンデンサおよびこの位置指示器を備えて構成される入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ等の入力デバイスとして入力装置が用いられている。この入力装置は、例えば、ペン型に形成された位置指示器と、この位置指示器を用いて、ポインティング操作や文字及び図等の入力を行う入力面を有する位置検出装置から構成されている。
【0003】
そして、位置指示器の筆圧検出部には、従来から特許文献1に記載されているような可変容量コンデンサが用いられている。この特許文献1に記載された可変容量コンデンサは、誘電体の一の面に取り付けられた第1の電極と、誘電体の前記一の面と対向する他の面側に配置された可撓性を有する第2の電極を有している。そして、前記可変容量コンデンサは、第2の電極と誘電体の他の面との間をその一部を除いてわずかな間隔だけ離隔する手段と、第2の電極と誘電体との間に相対的な圧力または変位を加える手段を備えている。
【0004】
図41に、従来の可変容量コンデンサの具体的な構成を示す。図41Aは、従来の可変容量コンデンサにおける初期状態を示す図、図41Bは、圧力が加わった状態を示す図である。
【0005】
この可変容量コンデンサ200は、略円盤状の誘電体201と、誘電体201の一面201aに取り付けられた第1の電極202と、誘電体201の一面201aと対向する他面201b側に配設された第2の電極203とを有している。第2の電極203は、可撓性を有しており、リング状のスペーサ204を介して誘電体201の他面201b側に配設されている。また、第2の電極203における誘電体201と反対側には、弾性体205を介して棒状の芯体210が設けられている。
【0006】
第1の電極202の一面側には、第1の端子206が設けられている。第1の端子206は、円盤状のフランジ部206aと、このフランジ部206aの一面の略中央から延在するリード部206bとから構成されている。フランジ部206aは、筆圧が加わったときに第1の電極202の一面に接触し、この第1の電極202と電気的に接続される。
【0007】
第2の電極203の端部には、第2の端子207が設けられている。第2の端子207は、第1の端子206と同様に、円盤状のフランジ部207aと、このフランジ部207aの一面の略中央から延在するリード部207bとから構成されている。フランジ部207aは、筆圧が加わったときに第2の電極203の一面の端部に接触し、この第2の電極203と電気的に接続される。
【0008】
この可変容量コンデンサ200は、芯体210に圧力または変位が全く加わらない状態(初期状態)で、誘電体201の他面201bと第2の電極203の間にスペーサ204によって、わずかな間隔が形成されている。また、図41Bに示すように、芯体210に圧力が加わると、弾性体205と第2の電極203とが芯体210に押圧されて弾性変形する。これにより、第2の電極203が、誘電体201の他面201bに接触する。そして、この第2の電極203と誘電体201の他面201bの接触面積が増加すると、第1及び第2の端子206,207間の容量値が増加する。その結果、第1及び第2の端子206,207間の容量値の変化を検出することにより、芯体210に加わる圧力(筆圧)が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−96212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の可変容量コンデンサ200では、第2の電極203と誘電体201の間に、リング状のスペーサ204を介在させているだけで、第2の電極203を誘電体201から引き離すための構成を有していない。そのため、可変容量コンデンサ200を第2の電極203が上方に位置するように向けると、第2の電極203がその自重によって撓む。また、可変容量コンデンサ200を位置指示器に搭載した場合で、芯体210の指示部を上方に向けると、芯体210が重力によって下がり、弾性体205及び第2の電極203を押圧する。その結果、圧力(筆圧)が印加されてない状態で、第2の電極203と誘電体201が接触してしまう、という問題があった。
【0011】
また、第2の電極203と誘電体201が接触した状態で保管すると、第2の電極203と誘電体201が貼り付くおそれがあった。そのため、第2の電極203または誘電体201が劣化して、可変容量コンデンサ200の耐久性が下がる、という不具合もあった。
【0012】
また、従来の可変容量コンデンサ200は、誘電体201の一面201aには、第1の電極202を形成しておき、その形成された第1の電極に対して第1の端子206を接触させて電気的に接続させる構成である。このため、第1の電極202を誘電体の一面201aに形成する工数が必要になると共に、第1の電極202に加えて第1の端子206が必要になる。
【0013】
さらに、第1の端子206のフランジ部206aは、筆圧が加わったときに第1の電極202に接触して、第1の電極202と電気的に接続されるので、筆圧が加わる毎に、第1の電極202と第1の端子206のフランジ部206aとが衝合する。そして、一般的には、第1の電極202と第1の端子206のフランジ部206aとは点接触するように構成される。このため、従来の位置指示器は、第1の電極202の、第1の端子206のフランジ部206aとの衝合部分が徐々に磨耗してしまい、可変容量コンデンサとしての耐久性が下がるおそれがあった。
【0014】
上述の問題点にかんがみ、本発明の目的は、確実に初期状態に戻ることができると共に、製造工数の削減が可能であり、耐久性の向上を図ることができる位置指示器および可変容量コンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の位置指示器は、
筐体と、
一端が前記筐体の外側に突出する状態で前記筐体内に収納された略棒状の芯体と、
前記芯体を介して加わる外力により電気容量が変化する可変容量コンデンサと、
からなり、
前記可変容量コンデンサは、
第1の面部と、前記第1の面部に対向する第2の面部とを有する少なくとも一つの誘電体と、
前記誘電体の前記第1の面部に係合する端子部材と、
前記誘電体の前記第2の面部に対向して配置され、前記外力により前記第2の面部との当接面積が変化する導電部材を含む電極部と、
前記導電部材を前記第2の面部から離れる方向に付勢する弾性部材と、
を備えている。
【0016】
また、本発明の可変容量コンデンサは、
第1の面部と、前記第1の面部に対向する第2の面部とを有する少なくとも一つの誘電体と、
前記誘電体の前記第1の面部に係合する端子部材と、
前記誘電体の前記第2の面部に対向して配置され、前記外力により前記第2の面部との当接面積が変化する導電部材を含む電極部と、
前記導電部材を前記第2の面部から離れる方向に付勢する弾性部材と、
を備える。
【0017】
上述の構成の位置指示器および可変容量コンデンサにおいては、可変容量コンデンサは、誘電体の第1の面部側には端子部材が係合され、当該端子部材が第1の電極の役割をするように構成されている。したがって、誘電体の第1の面部側には電極を形成しなくても良く、その電極形成のための工程を省略することができると共に、端子部材と誘電体の第1の面部の電極との接触による磨耗の心配も無いので、耐久性に優れる。
【0018】
また、誘電体の第2の面部側には、第1の電極と対向する第2の電極となる電極部が設けられる。この電極部は、芯材に加わる外力により誘電体の第2の面部と当接し、かつ、その当接面積が芯材に加わる外力に応じて変化するように構成される導電部材を備える。そして、導電部材は弾性部材により第2の面部から離れる方向に付勢されている。
【0019】
したがって、電極部の導電部材が誘電体の第2の面部に貼り付いてしまう事態を防止することができ、耐久性に優れる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、確実に初期状態に戻ることができると共に、製造工数の削減が可能であり、耐久性の向上を図ることができる位置指示器および可変容量コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用した入力装置の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す位置指示器をA−A′線で断面して示す説明図である。
【図3】本発明の可変容量コンデンサの第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す可変容量コンデンサをB−B′線で断面して示す説明図である。
【図5】本発明の可変容量コンデンサに係るケースを示す斜視図である。
【図6】本発明の可変容量コンデンサに係るケースを示すもので、図6Aは正面図、図6Bは図5に示すC−C′線断面図、図6Cは図5に示すD−D′線断面図である。
【図7】本発明の可変容量コンデンサに係るケースを示すもので、図7Aは平面図、図7Bは底面図である。
【図8】本発明の可変容量コンデンサに係る誘電体を示すもので、図8Aは平面図、図8Bは正面図、図8Cは底面図である。
【図9】本発明の可変容量コンデンサに係る端子部材を示す斜視図である。
【図10】本発明の可変容量コンデンサに係る導電部材及び誘電体を保持部材に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図11】本発明の可変容量コンデンサに係る保持部材を示すもので、図11Aは斜視図、図11Bは反対側から見た斜視図である。
【図12】本発明の可変容量コンデンサに係る保持部材を示すもので、図12Aは、図11Aに示すS−S′線断面図、図12Bは図11Aに示すT−T′線断面図である。
【図13】本発明の可変容量コンデンサに係る導電部材の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図14】本発明の可変容量コンデンサに係る導電部材の他の実施の形態を示すもので、図14Aは、導電部材の平面図、図14Bは、導電部材の正面図、図14Cは、導電部材の左側面図である。
【図15】本発明の可変容量コンデンサに係る弾性部材を示すもので、図15Aは正面から見た説明図、図15Bは平面図である。
【図16】本発明の可変容量コンデンサに係る弾性部材の他の実施の形態を示す正面から見た説明図である。
【図17】芯体に圧力(筆圧)が加わった状態を示す可変容量コンデンサの断面図である。
【図18】本発明を適用した位置指示器及び位置検出装置の回路構成の模式的なブロック図である。
【図19】本発明を適用した入力装置に係る位置検出装置の処理部による処理の流れ図である。
【図20】本発明を適用した入力装置に係る位置検出装置のX軸グローバルスキャン動作における各部の波形の一例を示す図である。
【図21】本発明を適用した入力装置に係る位置検出装置のY軸グローバルスキャン動作における各部の波形の一例を示す図である。
【図22】本発明を適用した入力装置に係る位置検出装置のX軸セクタスキャン動作及びY軸セクタスキャン動作における各部の波形の一例を示す図である。
【図23】可変容量コンデンサの位相−荷重特性を示すもので、図23Aは本発明の可変容量コンデンサの位相−荷重特性を示すグラフ、図23Bは図41に示す従来の可変容量コンデンサの位相−荷重特性を示すグラフである。
【図24】本発明を適用した位置指示器に設けられる共振回路の他の実施形態を示す説明図である。
【図25】本発明を適用した位置指示器の他の実施形態を示す電気回路図である。
【図26】本発明の第2の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図27】本発明の第2の実施形態における可変容量コンデンサの一部を説明するための図である。
【図28】本発明の第3の実施形態における可変容量コンデンサの一部を説明するための図である。
【図29】本発明の第4の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図30】本発明の第4の実施形態における可変容量コンデンサの一部を説明するための図である。
【図31】本発明の第5の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図32】本発明の第5の実施形態における可変容量コンデンサの一部を説明するための図である。
【図33】本発明の第6の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図34】本発明の第6の実施形態における可変容量コンデンサの一部を説明するための図である。
【図35】本発明の第7の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図36】本発明の第7の実施形態における可変容量コンデンサの他の例の断面図である。
【図37】本発明の第8の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図38】本発明の第9の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図39】本発明の第10の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図40】本発明の第10の実施形態における可変容量コンデンサの他の例断面図である。
【図41】従来の可変容量コンデンサを模式的に説明するもので、図41Aは初期状態を示す図、図41Bは芯体に圧力(筆圧)が加わった状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施形態]
本発明の位置指示器、可変容量コンデンサ及び入力装置の第1の実施形態について、図1〜図25を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
【0023】
[入力装置]
まず、本発明の入力装置の実施形態の概略構成を図1に従って説明する。この図1は、本発明の入力装置の実施形態を示す斜視図である。
【0024】
本発明の第1の実施の形態の入力装置10は、位置検出装置1と、この位置検出装置1に情報を入力する位置指示器2とから構成されている。
【0025】
[位置検出装置1]
位置検出装置1は、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の図示しない外部装置にケーブル8を介して接続することによって、これら外部装置の入力装置として用いられるものである。なお、特に図示して説明していないが、かかる位置検出装置1をパーソナルコンピュータ等に内蔵しても良い。
【0026】
位置検出装置1は、位置指示器2で指示した位置を検出する検出部4と、この検出部4を有する中空の薄い略直方体をなす筐体5とから構成されている。筐体5は、検出部4の検出面を露出させるための開口部6を有する上部筐体7と、この上部筐体7に重ね合わされる図示しない下部筐体を有している。そして、上部筐体7は、検出部4の入力面を露出させる四角形の開口部6を有しており、この開口部6に、検出部4が嵌め込まれる。このような構成を有する位置検出装置1は、位置指示器2を介したポインティング操作による文字及び図等の入力が行われる。
【0027】
[位置指示器2]
次に、図2を参照して位置指示器2の概略構成について説明する。図2は、図1に示す位置指示器2のA−A′線断面図である。
【0028】
この位置指示器2は、電磁誘導方式により位置検出装置1に対して位置を指示するものである。すなわち、位置指示器2は、位置検出装置1から送信される特定周波数の電磁波に対して共振する共振回路を有している。そして、位置指示器2は、この共振回路で検出した共振信号を位置検出装置1に送信することにより位置検出装置1に対して位置を指示するようになっている。
【0029】
図2に示すように、位置指示器2は、筐体の一具体例を示すケース11と、芯体12と、位置指示コイル13と、可変容量コンデンサ15と、フェライトコア16と、プリント基板17とを備えて構成されている。
【0030】
ケース11は、位置指示器2の外装部として形成されている。このケース11は、一方が閉じられた有底の円筒状をなしている。そして、ケース11は、軸方向に重ね合わせて組立結合される第1のケース18と第2のケース19とから構成されている。第1のケース18は、軸方向の一端側が略円錐状をなしており、その先端に開口部18aを有している。そして、この第1のケース18の軸方向の他端は、開口している。
【0031】
第2のケース19は、軸方向の一端が開口し、かつ他端が閉じられた円筒形をなしている。第1のケース18と第2のケース19とは、同一軸線上に配置されて、接着剤や固定ねじ等の固着手段により固定されている。そして、第2のケース19に、電子部品が実装されたプリント基板17が接着剤や固定ねじ等の固着手段によって固定されており、第1のケース18には、フェライトコア16が収納されている。
【0032】
フェライトコア16は、例えば円筒形をなしており、その筒孔16aに芯体12が挿通されている。そして、フェライトコア16の軸方向の一端側から芯体12の指示部12aが突出している。更に、フェライトコア16の外周には、共振回路を構成する位置指示コイル13が巻回して装着されている。位置指示コイル13の図示しない両端は、プリント基板17上の電子部品に電気的に接続されている。プリント基板17には、共振回路を構成する電子部品が実装されている。
【0033】
芯体12は、ほぼ棒状の部材からなり、ケース11の軸方向に沿ってケース11内に収納されている。この芯体12は、その軸方向の一端にペン先の役割を有する指示部12aと、指示部12aから連続して形成された軸部12bとから構成されている。指示部12aは、略円錐状に形成されている。この指示部12aは、芯体12をケース11内に収納した際に、第1のケース18の開口部18aから外側に向けて突出する。そして、軸部12bの軸方向の他端には、可変容量コンデンサ15が取り付けられている。
【0034】
[可変容量コンデンサ15]
次に、図3〜図18を参照して、この実施形態の可変容量コンデンサ15について説明する。図3は、可変容量コンデンサ15の斜視図、図4は、図3に示す可変容量コンデンサ15のB−B′線断面図である。
【0035】
可変容量コンデンサ15は、位置指示器2に加えられた圧力(筆圧)に対応して容量値を変化させるコンデンサである。そして、この可変容量コンデンサ15は、この容量値の変化によって、芯体12に加わる筆圧を検出しており、位置指示器2の筆圧検出部として作用している。
【0036】
図3及び図4に示すように、可変容量コンデンサ15は、ホルダ21と、誘電体22と、端子部材23と、保持部材24と、導電部材26と、弾性部材27とを備えて構成されている。
【0037】
[ホルダ21]
まず、図5〜図7Bを参照して可変容量コンデンサ15のホルダ21について説明する。図5は、ホルダ21の外観斜視図、図6Aは、ホルダ21の正面図、図6Bは、図5に示すホルダ21のC−C′線断面図、図6Cは、図5に示すホルダ21のD−D′線断面図である。また、図7Aは、ホルダ21の平面図、図7Bは、ホルダ21の底面図である。
【0038】
ホルダ21は、中空の略円筒形をなしている。このホルダ21には、その側面に互いに平行に対向する2つの平面部21b,21bを有している。このホルダ21には、軸方向の一端側を4箇所切り欠くことによって、4つの突起部29,29,29,29が形成されている。そして、図4に示すように、このホルダ21に、誘電体22が取り付けられると共に、本発明の中空部の一具体例を示すホルダ21の筒孔21aに導電部材26と、弾性部材27と、保持部材24とが収納される。また、ホルダ21には、フランジ部31と、2つの係合穴32,32と、2つの係止受部33,33とが設けられている。
【0039】
図6B及び図6Cに示すように、凸部の一具体例を示すフランジ部31は、ホルダ21の半径方向の内側へ突出して配設されている。このフランジ部31は、例えばホルダ21の内壁に、その内壁の周方向に沿って連続して張り出したつば状の突出部である。そして、図4に示すように、このフランジ部31には、ホルダ21の軸方向の一端側から誘電体22が当接し、ホルダ21の軸方向の他端側から弾性部材27が当接する。さらに、図7A及び図7Bに示すように、このフランジ部31の一部を切り欠くことにより、貫通孔34が設けられている。
【0040】
なお、本例においては、凸部の一具体例としてホルダ21の内壁に、その内壁の周方向に沿って連続して突出したつば状のフランジ部として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、凸部を、ホルダ21の内壁に、その内壁の半径方向の内側へ突出する複数の突起として形成してもよい。すなわち、凸部に、誘電体22がホルダ21の軸方向の一端側から当接し、且つ弾性部材27がホルダ21の軸方向の他端側から当接すれば、どのような形状に形成してもよい。
【0041】
また、図5、図6A及び図6Bに示すように、ホルダ21には、その2つの平面部21b,21bに第1の係合部の一具体例を示す2つの係合穴32,32が設けられている。この2つの係合穴32,32は、ホルダ21の軸方向の中央から他端側寄りに設けられている。そして、2つの係合穴32,32は、例えば略四角形状に開口されている。図3及び図4に示すように、この2つの係合穴32,32に、保持部材24がホルダ21の軸方向に沿って移動可能に係合される。なお、2つの係合穴32,32は、略四角形だけでなく、略円形状に形成してもよい。また、2つの係合穴32,32は、貫通穴だけでなく、ホルダ21の内壁に設けた凹部として形成してもよい。
【0042】
更に、図5、図6A,図6Bに示すように、ホルダ21には、軸方向の一端側に2つの係止受部33,33を有している。この2つの係止受部33,33は、ホルダ21の軸方向の一端側において、2つの突起部29,29の間に位置するように設けられている(図6A参照)。図6Bに示すように、係止受部33は、ホルダ21の軸方向に切断した断面形状が略台形状に形成されている。そして、図3及び図4に示すように、端子部材23がこの2つの係止受部33,33に係止されて、ホルダ21に固定される。
【0043】
なお、このホルダ21の材質には、例えばエンジニアリングプラスチック等が用いられる。また、本例では、ホルダ21を円筒状に形成した例を説明したが、ホルダ21の形状は、例えば角筒状に形成してもよい。更に、誘電体22、導電部材26、弾性部材27及び保持部材24をホルダ21に収納した例を説明したが、このホルダ21とケース11とを一体に成形して、導電部材26、弾性部材27及び保持部材24をケース11に直接収納してもよい。
【0044】
[誘電体22]
次に、図8A〜図8Cを参照して誘電体22について説明する。図8Aは、誘電体22の平面図、図8Bは、誘電体22の正面図、図8Cは、誘電体22の底面図である。
【0045】
この誘電体22は、例えば略円盤状をなしており、略円形の第1の面部22aと、この第1の面部22aと略平行に対向する略円形の第2の面部22bとを有している。この例では、第1の面部22aおよび第2の面部22bは、共に平面形状に形成されている。そして、この例では、第1の面部22aには、電極部は設けられておらず、端子部材23が電極部をも兼用する構成とされている。また、第2の面部22bは、図8Cに示すように、例えば表面を鏡面研磨することで鏡面加工が施されている。
【0046】
そして、図4に示すように、この誘電体22は、第2の面部22bをホルダ21の軸方向の他端側に向けて、フランジ部31に載置される。更に、この誘電体22は、ホルダ21のフランジ部31に載置した状態で、端子部材23によってホルダ21の軸方向の他端側へ付勢される。なお、誘電体22の形状は、略円盤状だけでなく、略四角柱や略六角柱等の板状に形成してもよい。また、第2の面部22bに鏡面加工を施した例を説明したが、第2の面部22bに鏡面加工を施さなくてもよい。
【0047】
[端子部材23]
図9は、端子部材23の外観斜視図である。この端子部材23は、導電性の金属で構成され、誘電体22の第1の面部22aと係合する面部の一例としての平坦部37と、この平坦部37から連続して形成された2つの係止部38,38と、同様に平坦部37から連続して形成されたリード片39とを有している。平坦部37は、誘電体22の第1の面部22aの形状に応じた形状とされており、この例では、第1の面部22aが平面であるので、平坦部37は、略平板状に形成されている。
【0048】
2つの係止部38,38は、平坦部37を間に挟むように設けられている。この2つの係止部38は、略J字状をなしている。ただし、平坦部37の左右の係止部38は、平坦部37を挟んで左右対称の形状とされている。そして、係止部38は、導電性金属が、平坦部37の外縁から2回折り曲げられることで形成されている。この2つの係止部38により、端子部材23の平坦部37が、係止部38の端部38bの方向に常に弾性偏倚するように、端子部材23には弾性が付与されている。そして、係止部38の端部38bには、例えば略四角形状の開口部38aが設けられている。
【0049】
また、リード片39は、係止部38の端部38bが突出する方向と反対方向に突出して設けられている。そして、このリード片39は、図2に示すプリント基板17の図示しない接点部に、例えば、抵抗溶接や超音波溶接等によって接続される。これにより、端子部材23は、プリント基板17の電子部品と電気的に接続される。なお、この端子部材23の材質としては、例えばチタン銅に銀メッキを施したもの等が挙げられる。
【0050】
また、図3及び図4に示すように、端子部材23は、2つの係止部38,38の開口部38a,38aがホルダ21の係止受部33,33に係止されてホルダ21に固定される。このとき、端子部材23の平坦部37が、誘電体22の第1の面部22aに当接する。端子部材23は、2つの係止部38,38による弾性を有しており、平坦部37は誘電体22の第1の面部22aに押圧される状態で当接する。前述したように、端子部材23の平坦部37は誘電体22の第1の面部22aの面形状に応じた面形状(この例では平面)とされているので、平坦部37と誘電体22の第1の面部22aとは隙間無く当接する状態となる。
【0051】
これにより、端子部材23の平坦部37と誘電体22の第1の面部22aとを確実に接触させることができる。更に、端子部材23は、その弾性により、誘電体22をホルダ21の軸方向の他端側に付勢するので、誘電体22がホルダ21内で傾くことを防止し又は抑制することも可能である。
【0052】
上述したように、端子部材23は、誘電体22をホルダ21側へ付勢する役割と、誘電体22の第1の面部22aに接触すると共にプリント基板17に接続される電極端子としての2つの役割を有している。なお、本例では端子部材23を一部材で形成した場合を説明したが、平坦部37及び係止部38と、リード片39をそれぞれ別部材として形成してもよい。
【0053】
[保持部材24、導電部材26および弾性部材27]
次に、図10〜図17を参照して保持部材24、導電部材26及び弾性部材27について説明する。図10は、保持部材24で導電部材26及び弾性部材27を保持した状態を示す斜視図である。図11Aは、保持部材24の外観斜視図、図11Bは、保持部材24を図11Aと反対側から見た斜視図、図12Aは、図11Aに示す保持部材24のS−S′線断面図、図12Bは、図11Aに示す保持部材24のT−T′線断面図である。
【0054】
[保持部材]
図10〜図12に示すように、保持部材24は、略角柱状の基部41と、略円筒状の嵌合部42とを有している。基部41には、略円柱状に凹んだ係合凹部43(図11参照)が設けられている。図4に示すように、この係合凹部43には、芯体12の軸部12bの軸方向の他端が挿入される。これにより、保持部材24と芯体12とが接合される。また、この基部41の側面部における互いに対向する2つの平面部には、断面形状が略三角形状の2つの係合部44,44が設けられている。そして、この2つの係合部44,44は、ホルダ21に設けた2つの係合穴32,32に係合される。これにより、保持部材24は、ホルダ21の軸方向に沿って移動可能に支持される。
【0055】
更に、基部41には、2つのスリット46,46が設けられている。この2つのスリット46,46は、それぞれ基部41の軸方向の一端から他端側へ所定の長さにわたって切り欠いて形成されている。
【0056】
また、導電部材26を保持部材に取り付けるための凹部としての嵌合部42が、基部41の他端側へ突出して形成されている。この嵌合部42には、略等角度間隔に2つの切り欠き47,47が形成されている。この2つの切り欠き47,47は、嵌合部42の軸方向の一端から基部41まで切り欠いて形成されている。なお、この切り欠き47の数は、2つに限定されるものではなく、3つ以上形成してもよく、少なくとも1つあればその目的を達成できるものである。そして、この嵌合部42に導電部材26が嵌合される。
【0057】
[導電部材26]
図4及び図10に示すように、導電部材26は、例えば砲弾型に形成されており、その軸方向の一端に曲面部26aを有している。この導電部材26は、軸方向の他端側の円柱部26bが保持部材24の嵌合部42に嵌合される。なお、この導電部材26の円柱部26bの直径は、例えば保持部材24の嵌合部42の内径よりもやや大きく設定されている。これにより、導電部材26と保持部材24の嵌合部42の嵌め合いの関係は、締まり嵌めの関係に設定されている。その結果、導電部材26が保持部材24の嵌合部42から抜け落ちることを防止し又は抑制することができる。
【0058】
そして、可変容量コンデンサ15においては、図4に示すように、導電部材26の軸方向の一端側に形成された曲面部26aは、誘電体22の第2の面部22bに対向するように配され、導電部材26は、可変容量コンデンサ15の第2の電極部を形成する。
【0059】
後述もするように、導電部材26の曲面部26aと誘電体22の第2の面部22bとは初期的には空気層を介して離れた状態となっているが、芯体12に筆圧が加えられると、両者は、接触する状態となる。
【0060】
そして、この導電部材26は、導電性を有すると共に弾性変形可能な弾性部材からなるものとされている。このような弾性部材としては、例えば、シリコン導電ゴムや、加圧導電ゴム(PCR:Pressure sensitive Conductive Rubber)などを挙げることができる。導電部材26として、かかる弾性部材を使用することで、芯体12に加えられる筆圧(圧力)の増加に伴って、誘電体22の第2の面部22bと導電部材26との接触面積が増加するようになっている。
【0061】
なお、本例では、導電部材26の形状を、その一方の端部である曲面部26aが略半球状に形成されたもので説明しているが、この導電部材の形状は、かかる形状に限定されるものではない。導電部材の形状は、芯体12に加えられる筆圧(圧力)の増加に伴って第1の電極部36と対向する面積が増加すれば、どのような形状に形成してもよい。
【0062】
次に、本例にかかる導電部材の他の実施例を図13及び図14を参照して説明する。
【0063】
図13は、導電部材の他の実施の形態を示す斜視図、図14Aは、導電部材の他の実施の形態を示す平面図、図14Bは、導電部材の他の実施の形態を示す正面図、図14Cは、導電部材の他の実施の形態を示す左側面図である。
【0064】
この他の実施の形態にかかる導電部材70は、略円柱状に形成されており、その軸方向の一端に3つの異なる曲率半径を有する曲面部71を有している。曲面部71は、導電部材70の軸方向Zと直交する第1の方向Xに対して第1の曲率半径Raを有する第1の曲面71aが形成されている。この第1の曲面71aは、導電部材70の軸方向Zと直交すると共に第1の方向Xとも直交する第2の方向Yに対して第1の曲率半径Raとは異なる第2の曲率半径Rbを有している。
【0065】
また、曲面部71は、導電部材70の軸心を通って第1の方向Xに沿って形成され、第1の方向Xに対して第1の曲率半径Raを有し、第2の方向Yに対して第1の曲率半径R1及び第2の曲率半径Rbと異なる第3の曲率半径Rcを有する第2の曲面71bが設けられている。更に、曲面部71は、導電部材70の軸心を通って第2の方向Yに沿って形成され、第2の方向Yに対して第2の曲率半径Rbを有し、第1の方向Xに対して第3の曲率半径Rcを有する第3の曲面71cが設けられている。すなわち、第2の曲面71bは、第1の曲率半径Raを有する曲面で形成される稜線に形成され、第3の曲面71cは、第2の曲率半径Rbを有する曲面で形成される稜線に形成されている。
【0066】
なお、第1の曲率半径Raは、例えば2mmに設定されており、第2の曲率半径Rbは、例えば4mmに設定されている。また、第3の曲率半径Rcは、例えば0.5mmに設定されている。
【0067】
ここで、先に説明した略砲弾型に形成した導電部材26では、製品ごとのバラツキや組み立ての際のズレによって、曲面部26aの頭頂部で誘電体22の第2の面部22bに当接しないおそれがある。しかしながら、この他の実施の形態に係る導電部材70では、製品ごとのバラツキや組み立ての際に保持部材24と導電部材70との間でズレが発生しても、確実に第2の曲面71b又は第3の曲面71cを誘電体22の第2の面部22bに確実に接触させることができる。
【0068】
なお、上述した他の実施の形態においては、導電部材70の軸方向の一端を第1の曲率半径Raと第2の曲率半径Rbを略90°に交わるように形成した例を説明したが、これらの曲率半径は、略90°にする場合に限られない。例えば、第1の曲率半径Raと第2の曲率半径Rbを互いに異なる2つの角度方向から形成し、第1の曲率半径Raを有する曲面で形成した稜線と第2の曲率半径Rbを有する曲面で形成した稜線を面取りして、丸みを設けてもよい。これによっても、製品ごとのバラツキや組み立ての際に保持部材24と導電部材との間でズレが発生しても、確実に第2の曲面又は第3の曲面を誘電体22の第2の面部22bに確実に点接触させることができる。
【0069】
[弾性部材]
図15Aは、弾性部材27の正面図、図15Bは、弾性部材27の平面図である。弾性部材27は、例えば導電性を有するコイルばねであり、弾性を有する巻回部51と、この巻回部51の一端部に端子片53と、巻回部51の他端部に接続部52とを有している。
【0070】
接続部52は、巻回部51の他端部が巻回の半径方向の内側に向けて略垂直に折り曲げられて形成されている。そして、弾性部材27は、この接続部52を保持部材24の嵌合部42に設けた切り欠き47と係合することで、保持部材24に取り付けられる。図4及び図10に示すように、弾性部材27は、保持部材24に取り付けられた際に、巻回部51が保持部材24の嵌合部42を介して導電部材26の外周を覆うように配設される。このとき、接続部52は、保持部材24と導電部材26の間に介在されて導電部材26に接触する。これにより、弾性部材27は、導電部材26と電気的に接続される。
【0071】
また、端子片53は、巻回部51の一端部が巻回方向に対して略垂直に折り曲げられて形成されている。そして、図3に示すように、この端子片53は、弾性部材27をホルダ21に収納した際に、このホルダ21に設けた貫通孔34を通って、ホルダ21の軸方向の一端側に突出する。そして、端子片53は、図2に示すように、プリント基板17の図示しない接点部に、例えば、半田付け、抵抗溶接や超音波溶接等によって接続される。これにより、弾性部材27は、プリント基板17の電子部品と電気的に接続される。この弾性部材27の材質としては、導電性を有する材質、例えばチタン銅や、ステンレス鋼等の金属が挙げられる。
【0072】
そして、図4に示すように、導電部材26及び弾性部材27は、保持部材24に取り付けられて、ホルダ21の筒孔21aに収納される。このとき、導電部材26の軸方向の一端側に形成された曲面部26aが誘電体22の第2の面部22bに対向し、導電部材26は可変容量コンデンサ15の第2の電極部として働く。
【0073】
図16は、弾性部材の他の実施の形態を示すものである。
この他の実施の形態に係る弾性部材27Aは、接続部52Aを更に巻回部51Aの巻回方向に向けて折り曲げたものである。これにより、弾性部材27Aと導電部材26を保持部材24に取り付けた際に、この接続部52Aが導電部材26の軸方向の他端に突き刺さる。その結果、確実に導電部材26と弾性部材27Aを接続させることができ、導電部材26と弾性部材27Aの接触不良を防止し又は抑制することができる。
【0074】
[可変容量コンデンサ15の組み立て]
このような構成を有する可変容量コンデンサ15は、例えば次のようにして組み立てられる。まず、図10に示すように、導電部材26と弾性部材27とを保持部材24に取り付ける。即ち、弾性部材27の接続部52を保持部材24における嵌合部42に設けた切り欠き47に係合して、弾性部材27を保持部材24に装着する。このとき、弾性部材27の巻回部51は、保持部材24の嵌合部42の外周を覆うように配置される。ここで、嵌合部42に2つの切り欠き47を設けている。これにより、切り欠き47が1つの場合に比べて、弾性部材27の接続部52と保持部材24の切り欠き47の向きを考慮することがないため、弾性部材27の取り付け作業の効率を向上させることができる。
【0075】
次に、導電部材26を保持部材24の嵌合部42に嵌め合わせる。ここで、嵌合部42と導電部材26の嵌め合いが、締まり嵌めの関係をなしているため、導電部材26が保持部材24から外れることを防止し又は抑制することができる。
【0076】
このとき、弾性部材27の接続部52が、導電部材26と保持部材24の間に介在されて、導電部材26と接続部52とが接触する。これにより、導電部材26と弾性部材27が電気的に接続される。更に、弾性部材27の巻回部51が、保持部材24の嵌合部42を間に介して導電部材26の外周を覆うように配置される。これらにより、導電部材26と、弾性部材27と、保持部材24とからなる第1の組立体が組み立てられる。
【0077】
次に、図4に示すように、誘電体22をホルダ21の軸方向の一端側から第2の面部22bをホルダ21の軸方向の他端側に向けて挿入し、ホルダ21のフランジ部31に載置する。次に、端子部材23をホルダ21に取り付ける。即ち、端子部材23の2つの係止部38,38をホルダ21の2つの係止受部33,33に係止する。このとき、端子部材23の平坦部37が、誘電体22の第1の面部22aに面接触する。これにより、端子部材23の平坦部37は、誘電体22の第1の面部22a側の第1の電極の役割をするようになる。
【0078】
ここで、端子部材23の2つの係止部38,38は、弾性を有していて、平坦部37を誘電体22の第1の面部22a側に付勢させる。これにより、端子部材23の平坦部37は、誘電体22の第1の面部22aに押圧されて確実に接触する状態になる。
【0079】
したがって、この実施形態においては、誘電体22の第1の面部22aに電極を形成しなくても、端子部材23を電極として兼用することができる。このため、誘電体22の第1の面部22a上に電極を形成する工程を削減することができる。また、誘電体22の第1の面部22aに対して端子部材23の平坦部37が常に弾性偏倚させて接触する状態とされるので、誘電体22上に形成した電極が、端子部材23との衝合による接触(特に点接触)により磨耗するという問題を解消することができる。
【0080】
また、端子部材23が有する弾性により、誘電体22は端子部材23によりホルダ21の軸方向の他端側に付勢されるので、誘電体22がホルダ21から抜け落ちることを防止することができる。更に、誘電体22がホルダ21内で傾くことを防止し又は抑制することもでき、誘電体22と導電部材26が傾くことなくバランスよく接触させることができる。これらにより、ホルダ21と、誘電体22と、端子部材23とからなる第2の組立体が完成する。
【0081】
次に、第1の組立体をホルダ21の軸方向の他端側から挿入する。このとき、弾性部材27の端子片53を、図7A及び図7Bに示すホルダ21の貫通孔34に通して、ホルダ21の軸方向の一端側から突出させる。そして、第1の組立体を構成する保持部材24の2つの係合部44,44を、ホルダ21の2つの係合穴32,32に係合させる。ここで、2つの係合穴32,32は、ホルダ21の軸方向に沿って所定の長さにわたって開口しているため、保持部材24は、ホルダ21にその軸方向に沿って移動可能に支持される。このとき、導電部材26の曲面部26aが誘電体22の第2の面部22bに近接する。
【0082】
また、保持部材24の2つの係合部44,44を、ホルダ21の2つの係合穴32,32に係合させた際に、弾性部材27の巻回部51がフランジ部31におけるホルダ21の軸方向の他端側に当接する。
【0083】
このとき、弾性部材27の巻回部51は、保持部材24とホルダ21のフランジ部31との間に若干圧縮された状態で介在する。このため、弾性部材27により、常に導電部材26は誘電体22から離反する方向に付勢される。そのため、芯体12に圧力(筆圧)が加わっていない初期状態では、導電部材26が上方に位置するように可変容量コンデンサ15の向きを逆さにしても、導電部材26と誘電体22とが接触することを防止し又は抑制することができる。その結果、導電部材26と誘電体22とが貼り付くことを防止し又は抑制することができるため、導電部材26又は誘電体22が劣化することを防止でき、可変容量コンデンサ15の耐久性を向上させることが可能である。
【0084】
以上の様にして、図3及び図4に示すような、可変容量コンデンサ15の組み立てが完了する。なお、可変容量コンデンサ15の組み立ては、上述したものに限定されるものではない。即ち、第1の組立体と第2の組立体の組み立ては、どちらを先に行ってもよい。
【0085】
[可変容量コンデンサ15の動作]
次に、図2、図4及び図17を参照して本例の可変容量コンデンサ15の動作について説明する。図17は、芯体12に圧力(筆圧)が加わった状態を示す可変容量コンデンサ15の断面図である。
【0086】
芯体12の指示部12aに対して図17に示す矢印Kの方向に圧力(筆圧)がかかると、可変容量コンデンサ15の保持部材24は、芯体12の軸部12bの他端に押圧される。これにより、図17に示すように、保持部材24は、ホルダ21の筒孔21a内をホルダ21の軸方向の一端側に移動する。そして、導電部材26の曲面部26aが誘電体22の第2の面部22bに接触する。更に芯体12の指示部12aに圧力がかかると、導電部材26は、誘電体22の第2の面部22bに押圧されて変形(扁平化)する。その結果、導電部材26と第2の面部22bとの接触面積が変化することにより、誘電体22の容量値が変化する。そして、端子部材23と弾性部材27の間でその容量値が検出される。これにより、指示部12aにかかる圧力を検出することができる。
【0087】
図4に示すように、芯体12に圧力(筆圧)が加わっていない状態(初期状態)では、導電部材26は、誘電体22の第2の面部22bから物理的に離れており、第2の面部22bと接触していない。したがって、導電部材26の曲面部26aと誘電体22の第2の面部22bとの間には空気層が存在することになる。このため、このときの誘電体22の第1の面部22a側の第1の電極(端子部材23)と、第2の電極部との間の容量値(初期容量)は、ほぼ誘電体22による容量と比誘電率1.0の空気層による容量との直列合成容量に等しくなり、かなり小さいものとなる。
【0088】
芯体12に圧力が加わると、導電部材26と誘電体22の第2の面部22bとの間の空気層の厚さは、初期状態よりも薄くなる。すると、この空気層による容量は、当該空気層の厚さに反比例して大きくなり、その分、可変容量コンデンサ15の第1の電極と第2の電極との間の合成容量値も大きくなる。
【0089】
芯体12に加わる圧力が増加して、図17に示すように、導電部材26の曲面部26aが誘電体22の第2の面部22bに接触すると、その接触部分においては、誘電体22による容量のみとなる。そして、その後、芯体12に加わる押圧力がさらに増加すると、誘電体22の比誘電率は空気よりも大きいので、可変容量コンデンサ15の第1および第2の電極間の容量値は、誘電体22と導電部材26の曲面部26aとの接触面積にほぼ比例して増加する。
【0090】
以上のことから、可変容量コンデンサ15の容量は、導電部材26の曲面部26aが誘電体22の第2の面部22bに接触するまでは、非常に小さく、筆圧により、導電部材26の曲面部26aと誘電体22の第2の面部22bとの間の空気層の厚さが徐々に小さくなるに従い大きくなる。そして、導電部材26の曲面部26aが誘電体22の第2の面部22bに接触した後には、可変容量コンデンサ15の容量は、導電部材26の曲面部26aと誘電体22の第2の面部22bとの接触面積に比例して大きくなる。
【0091】
このときの可変容量コンデンサ15の容量値の増大変化は誘電体22の第2の面部22bの研磨精度にかかっており、この実施形態では、鏡面仕上げとされているため、接触面積に正しく比例した増加変化をする。
【0092】
ここで、弾性部材27の弾性力は、芯体12にかかる圧力(筆圧)よりも小さくなるように設定して、弾性部材27の弾性力が可変容量コンデンサ15で検出される筆圧特性に影響を与えないようにしている。また、誘電体22の第2の面部22bは、鏡面加工が施されている。そのため、誘電体22の第2の面部22bと導電部材26が接触を繰り返すことによる導電部材26の摩耗の低減を図ることができる。更に、第2の面部22bに鏡面加工を施して、平滑な面にすることで、可変容量コンデンサ15の初期感度を向上させることもできる。
【0093】
また、図4に示すように、芯体12の指示部12aに圧力が加わらなくなると、保持部材24は、弾性部材27の弾性力と導電部材26の曲面部26aの復元力とによって、ホルダ21の筒孔21a内をホルダ21の軸方向の他側に移動する。そして、導電部材26は、誘電体22の第2の面部22bから離れる。
【0094】
更に、芯体12の指示部12aを上方に向けても、弾性部材27の弾性力により、保持部材24が、芯体12や保持部材24の自重によってホルダ21内を誘電体22側に移動することを防止し又は抑制することができる。その結果、芯体12に圧力が加わっていない状態で、導電部材26と誘電体22とが接触することを防止し又は抑制することができると共に、立ち下がりの応答性を向上させることが可能である。
【0095】
また、保持部材24に2つの係合部44,44を設け、ホルダ21にこの2つの係合部44,44が係合される2つの係合穴32,32を設けている。その結果、2つの係合部44,44が、ホルダ21の2つの係合穴32,32の軸方向の他端側に当接することで、保持部材24がホルダ21から抜け落ちることを防止することができる。
【0096】
[位置検出装置の回路構成]
次に、上述の実施形態の位置指示器2を用いて指示位置の検出および筆圧の検出を行う位置検出装置1の具体的な実施形態の回路構成例について、図18を参照して説明する。図18は、位置指示器2及び位置検出装置1の回路構成例を示すブロック図である。位置指示器2と位置検出装置1とにより入力装置が構成される。
【0097】
位置指示器2は、回路構成としては、位置指示コイル13と、この位置指示コイル13に接続された可変容量コンデンサ15と、この可変容量コンデンサ15に並列に接続される共振コンデンサ60aからなる共振回路61によって現される。
【0098】
一方、位置検出装置1には、X軸方向ループコイル群104aと、Y軸方向ループコイル群104bとを積層させて設けることにより、位置検出コイル101が形成されている。各ループコイル群104a,104bは、例えば、それぞれ40本の矩形のループコイルからなっている。各ループコイル群104a,104bを構成する各ループコイルは、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。
【0099】
また、位置検出装置1には、X軸方向ループコイル群104a及びY軸方向ループコイル群104bが接続される選択回路106が設けられている。この選択回路106は、2つのループコイル群104a,104bのうちの一のループコイルを順次選択する。
【0100】
さらに、位置検出装置1には、発振器103と、電流ドライバ105と、切り替え接続回路107と、受信アンプ108と、検波器109と、低域フィルタ110と、サンプルホールド回路112と、A/D変換回路113と、同期検波器116と、低域フィルタ117と、サンプルホールド回路118と、A/D変換回路119と、処理部114とが設けられている。
【0101】
発振器103は、周波数f0の交流信号を発生し、電流ドライバ105と同期検波器116に供給する発振器103である。電流ドライバ105は、発振器103から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路107へ送出する。切り替え接続回路107は、後述する処理部114からの制御により、選択回路106によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子S)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ105が、受信側端子Rには受信アンプ108が、それぞれ接続されている。
【0102】
選択回路106に選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路106及び切り替え接続回路107を介して受信アンプ108に送られる。受信アンプ108は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、検波器109及び同期検波器116へ送出する。
【0103】
検波器109は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、低域フィルタ110へ送出する。低域フィルタ110は、前述した周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、検波器109の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路112へ送出する。サンプルホールド回路112は、低域フィルタ110の出力信号の所定のタイミング、具体的には受信期間中の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路113へ送出する。A/D変換回路113は、サンプルホールド回路112のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理部114に出力する。
【0104】
一方、同期検波器116は、受信アンプ108の出力信号を発振器103からの交流信号で同期検波し、それらの間の位相差に応じたレベルの信号を低域フィルタ117に送出する。この低域フィルタ117は、周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、同期検波器116の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路118に送出する。このサンプルホールド回路118は、低域フィルタ117の出力信号の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路119へ送出する。A/D変換回路119は、サンプルホールド回路118のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理部114に出力する。
【0105】
処理部114は、位置検出装置1の各部を制御する。すなわち、処理部114は、選択回路106におけるループコイルの選択、切り替え接続回路107の切り替え、サンプルホールド回路112、118のタイミングを制御する。処理部114は、A/D変換回路113、119からの入力信号に基づき、X軸方向ループコイル群104a及びY軸方向ループコイル群104bから一定の送信継続時間をもって電波を送信させる。
【0106】
X軸方向ループコイル群104a及びY軸方向ループコイル群104bの各ループコイルには、位置指示器2から送信される電波によって誘導電圧が発生する。処理部114は、この各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて位置指示器2のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。また、処理部114は、送信した電波と受信した電波との位相差に基づいて筆圧を検出する。
【0107】
次に、処理部114における処理の流れに沿った位置検出装置1の動作について、図19を参照して説明する。図19は、処理部114における処理の流れを示す図である。
【0108】
まず、処理部114は、X軸方向ループコイル群104aの各ループコイルを順次走査・選択(以下、この順次走査・選択をグローバルスキャンする)する(ステップS1)。
【0109】
このグローバルスキャンを具体的に説明すると、処理部114は、初めに、選択回路106にX軸方向ループコイル群104aのうちの1番目のループコイル、例えばループコイルX1を選択する情報を送出するとともに、切り替え接続回路107に送信側を選択する信号を送出する。これにより、発振器103からループコイルX1に周波数f0の正弦波信号が供給され、ループコイルX1が周波数f0の電波を発生する。このとき、位置検出装置1の上面300aに位置指示器2が接近或いは接触していると、ループコイルX1から発生した電波が、位置指示コイル13を有する共振回路61を励振する。その結果、共振回路61には、周波数f0の誘導電圧が発生する。
【0110】
処理部114は、切り替え接続回路107に送信側端子Tを選択する信号を所定の一定時間送出すると、切り替え接続回路107に受信側端子Rを選択する信号を送出し、ループコイルX1より発生する電波を消滅させる。この際、位置指示器2の共振コンデンサ60a及び可変容量コンデンサ15を有する共振回路61に発生した誘導電圧は、その損失に応じて徐々に減衰し、共振回路61が周波数f0の電波を発信する。この電波は、前述のループコイルX1を逆に励振し、ループコイルX1に誘導電圧を発生させる。
【0111】
処理部114は、切り替え接続回路107に受信側端子Rを選択する信号を一定時間送出すると、選択回路106にX軸方向ループコイル群104aのうちの2番目のループコイル、例えばループコイルX2を選択する情報を切り替え接続回路107に送出する。その後、処理部114が切り替え接続回路107に受信側端子Rを選択する信号を送出することにより、前述と同様な電波の送受信を行う。
【0112】
以下、処理部114が同様の処理を実行することにより、X軸方向ループコイル群104aのうちの3番目から40番目までのループコイル、例えばループコイルX3〜X40が順次走査・選択される。その結果、ループコイルX3〜X40において、電波の送受信が行われる。
【0113】
なお、ステップS1の処理において、処理部114は、X軸方向ループコイル群104aの全てのループコイルを選択することなく、選択するループコイルを1つ置き、2つ置き、というように適当に間引いてもよい。また、一のループコイルに対する電波の送受信を複数回行うようにしてもよい。さらに、各ループコイルに対する送信時間、並びに各ループコイルに対する受信時間は等しくなければならないが、送信時間と受信時間は必ずしも同一でなくてもよい。
【0114】
前述した受信期間中にX軸方向ループコイル群104aのループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号は、検波器109で検波されて直流信号に変換され、低域フィルタ110で平滑化される。そして、サンプルホールド回路112によって所定のタイミングでホールドされ、A/D変換回路113を介することにより、電圧値として処理部114へ送出される。
【0115】
図20は、前述したX軸グローバルスキャン動作(図19のステップS1)における各部の波形の一例を示すものである。図20において、(a)は位置検出コイル101から送信される電波、(b)は共振回路61に発生した誘導電圧、(c)は位置検出装置1が受信した受信信号、(d)はサンプルホールド回路112の出力信号を示している。
【0116】
ここで、サンプルホールド回路112の出力レベルは位置指示器2とループコイルとの間の距離に依存した値となる。そのため、処理部114は、サンプルホールド回路112の出力レベルの最大値が予め設定した一定値以上であるか否かを判別し(ステップS2)、位置指示器2が位置検出装置1の有効読取り高さ内にあるか否かを判定する。
【0117】
ステップS2の処理において、サンプルホールド回路112の出力レベルの最大値が予め設定した一定値以上ではない、つまり、位置指示器2が有効読取り高さ内にないと判定した場合(ステップS2の“NO”)、処理部114は、処理をステップS1に戻す。
【0118】
一方、位置指示器2が有効読取り高さ内にあると判定した場合(ステップS2の“yes”)、処理部114は、各ループコイルX1〜X40のうち最大値が得られたループコイル(以下、ピークコイルと称す。)を抽出し、その番号(本例では「X7」)を記憶する(ステップS3)。
【0119】
次に、処理部114は、Y軸方向ループコイル群104bの各ループコイルを順次走査・選(グローバルスキャン)し(ステップS4)、Y軸方向ループコイル群104bの各ループコイルにおける電波の送受信を行う。
【0120】
図21は、Y軸グローバルスキャン動作における各部の波形の一例を示すものである。図21において、(a)、(b)、(c)、(d)に示す各信号は図20の(a)、(b)、(c)、(d)に示す信号と同様の信号である。
【0121】
次に、処理部114は、各ループコイルY1〜Y40のうち最大値が得られたループコイル(以下、ピークコイルと称す。)を抽出し、その番号(本例では「Y5」)を記憶する(ステップS5)。
【0122】
次に、処理部114は、X軸方向ループコイル群104aのうちのピークコイルを中心として、そのピークコイルに隣接する所定の数のループコイル、例えば5つのループコイルについて電波の送受信を行う。この電波の送受信において、電波を送信するとき、すなわち切り替え接続回路107で送信側端子Tを選択するときには、処理部114が常にピークコイル(本例では「ループコイルX7」)を選択する。一方、電波を受信するとき、すなわち切り替え接続回路107で受信側端子Rを選択するときには、処理部114は、ループコイル(本例では5つ)を番号の小さい方から大きい方(又は大きい方から小さい方)へ順次走査・選択(セクタスキャン)する(ステップS6)。
【0123】
X軸セクタスキャン動作が終了すると、処理部114は、Y軸方向ループコイル群104bのうちのピークコイルを中心とする所定の数、例えば5つのループコイルについて電波の送受信を行う。この電波の送受信において、電波を送信するとき、すなわち切り替え接続回路107で送信側端子Tを選択するときには、処理部114が常にピークコイル(本例では「ループコイルY5」)を選択する。一方、電波を受信するとき、すなわち切り替え接続回路107で受信側端子Rを選択するときには、処理部114は、ループコイル(本例では5つ)を番号の小さい方から大きい方(又は大きい方から小さい方)へ順次走査・選択(セクタスキャン)する(ステップS7)。
【0124】
図22は、X軸セクタスキャン動作及びY軸セクタスキャン動作における各部の波形の一例を示すものである。図22において、(a)、(b)、(c)、(d)に示す各信号は図20の(a)、(b)、(c)、(d)に示す信号と同様の信号である。
【0125】
Y軸セクタスキャン動作が終了すると、処理部114は、ステップS6,S7の処理で得られた誘導電圧の最大値が予め設定した一定値以上か否かを判別し(ステップS8)、位置指示器2が位置検出装置1の有効読取り高さ内にあるか否かを判定する。
【0126】
ステップS8の処理において、サンプルホールド回路112の出力レベルの最大値が予め設定した一定値以上ではない、つまり、位置指示器2が有効読取り高さ内にないと判定した場合(ステップS8の“NO”)、処理部114は、処理をステップS1に戻す。
【0127】
一方、位置指示器2が有効読取り高さ内にあると判定した場合(ステップS8の“yes”)、処理部114は、最大の誘導電圧が得られたX軸方向のピークコイル及びY軸方向のピークコイルを抽出し、それぞれの番号を記憶する(ステップS9)。
【0128】
次に、処理部114は、X軸方向及びY軸方向のセクタスキャン毎にレベルの大きい順に複数、例えば3つの誘導電圧をそれぞれ抽出し、これらの信号に基づいて位置指示器2による指示位置のX軸方向及びY軸方向の座標値を求める(ステップS10)。このX軸方向及びY軸方向の座標値は、本出願人が先に出願した特許第2131145号で述べているような周知の座標計算を実行することにより算出することができる。
【0129】
次に、処理部114は、送信した電波と受信した電波の位相差に応じた信号のレベルから筆圧を検出する(ステップS12)。以下、位置指示器2が有効読取り高さ内にあり続ける限り、処理部114は、ステップS6〜S11の処理を繰り返し、有効読取り高さ内にないと判定した場合にステップS1の処理に復帰する。
【0130】
このように、位置検出装置1では、接近した位置指示器2の位置を処理部114で検出することができる。しかも、受信した信号の位相を検出することにより、位置指示器2の筆圧値の情報を得ることができる。
【0131】
[位置指示器2における筆圧(圧力)の検出精度]
前述したように、可変容量コンデンサ15は、位置指示器における筆圧検出部を構成するが、次に、図23A及び図23Bを参照して、上述した実施形態の可変容量コンデンサ15と従来の可変容量コンデンサによる筆圧(圧力)の検出精度について説明する。
【0132】
図23A及び図23Bは、横軸に芯体12にかかる荷重をとり、縦軸に位相(送信した電波と受信した電波との位相差)をとったときの、可変容量コンデンサの位相−荷重特性を示すグラフである。そして、図23Aは、上述した実施形態の可変容量コンデンサ15の位相−荷重特性を示すグラフ、図23Bは、図41に示した従来の可変容量コンデンサの位相−荷重特性を示すグラフである。
【0133】
実施形態の可変容量コンデンサ15は、誘電体22の第2の面部22bに鏡面加工を施し、且つ導電部材26の接触部分を曲面状に形成している。その結果、図23Aに示すように、1gの微小な荷重(圧力)を検出することが可能である。また、弾性部材27の弾性力は、例えば1g以下の芯体12にかかる圧力(筆圧)よりも非常に小さくなるように設定し、弾性部材27の弾性力が筆圧特性に影響を与えないようにしている。これに対し、図23Bに示すように、従来の可変容量コンデンサは、10g〜20gの無感領域があり、芯体にかかる微小な圧力を検出することができない。
【0134】
また、従来の可変容量コンデンサ200は、第2の電極203を誘電体201から離すための構成を有していない。また、図23Bに示すように、荷重を加えると曲線(矢印E′)のように位相が変化し、除荷すると曲線(矢印F′)のように位相が変化していることが分かる。この図23Bに示すように、ヒステリシスが大きくなり、ある荷重を加えたときと除荷した時の位相差(矢印H′)が大きく異なっている。その結果、筆圧のコントロールが難しくなり、可変容量コンデンサを位置指示器に搭載した際に、位置指示器の書き味や感触が低下していた。
【0135】
これに対し、上述の実施形態の可変容量コンデンサ15は、弾性部材27の弾性力と導電部材26の曲面部26aの復元力とによって、導電部材26を誘電体22から離す方向に付勢している。また、図23Aに示すように、荷重を加えると曲線(矢印E)のように位相が変化し、除荷すると曲線(矢印F)のように位相が変化していることが分かる。この図23Aで示すように、従来の可変容量コンデンサ200よりもヒステリシスを小さくすることができ、ある荷重を加えた時と除荷した時の位相差(矢印H′)を小さくすることができる。その結果、筆圧のコントロールが容易にすることができ、可変容量コンデンサ15を位置指示器2に搭載した際に、位置指示器の書き味や感触を向上させることができる。
【0136】
[位置指示器の他の例]
図24は、位置指示器2に設けられる共振回路の他の例(第2の例)を示す説明図である。この例の共振回路62は、位置指示コイル13と、可変容量コンデンサ15によって構成されている。共振回路の第1の例である共振回路61(図18を参照)では、可変容量コンデンサ15と共振コンデンサ60aを並列に接続して並列共振回路を構成した。しかしながら、位置指示器2の共振回路としては、図24に示すように、コンデンサとして可変容量コンデンサ15だけを用いて構成することもできる。
【0137】
次に、位置指示器の他の例について、図25を参照して説明する。図25は、他の例の位置指示器2Aを示す電気回路図である。なお、この図25の説明において、図18と対応する部分には、図18と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0138】
位置指示器2Aは、位置検出装置1に設けられた位置検出コイル101(図18を参照)から送出されるf0の周波数で共振する共振回路121を有している。この共振回路121は、位置指示コイル13と共振コンデンサ60aとによって構成されている。また、位置指示器2Aの回路基板には、周知のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)技術による集積回路(IC:Integrated Circuit)122が配置される。この集積回路122は、ダイオード123とコンデンサ124とから構成される駆動電源によって駆動される。
【0139】
このダイオード123は、共振回路121に接続されている。そして、このダイオード123には、位置検出コイル101から供給される励磁信号に基づいて共振回路121に発生する交流電圧が印加される。この交流電圧は、ダイオード123とコンデンサ124とによって整流され、さらに直流に変換されて、集積回路122の駆動電源とされる。また、共振回路121に発生した信号は、コンデンサ125を介して集積回路122にも供給される。この集積回路122は、コンデンサ125を介して供給される信号に基づいて、位置指示器2Aと位置検出装置1との間で信号の送受信を行うために使用されるクロック信号及び筆圧検出のためのクロック信号を生成する。
【0140】
可変容量コンデンサ15は、上述したように、芯体12(図2を参照)に加えられる筆圧によってその容量が変化する。この可変容量コンデンサ15は、抵抗(図示せず)と接続されて時定数回路を構成している。したがって、可変容量コンデンサ15の容量が筆圧に応じて変化すると、時定数回路の時定数が変化する。そして、この時定数は、集積回路122で、所定のビット数、例えば8ビットの筆圧値に変換される。
【0141】
このようにして求められた筆圧データ(8ビットの筆圧値)は、前述した位置検出装置1と位置指示器2Aとの間の信号の送受信に供されるクロック信号に同期して1ビットずつ集積回路122から出力される。この出力により、集積回路122は、共振回路121に並列的に接続されたスイッチ60bのON/OFFの切り替えを制御する。したがって、このスイッチ60bがオフの際には、位置検出装置1が位置指示器2Aからの信号を検出する。そして、スイッチ60bがオンの際には、共振回路121が短絡されるため、位置指示器2Aから送出された信号は、位置検出装置1で検出できない。
【0142】
これにより、位置検出装置1は、位置検出コイル101から一定時間、位置指示器2Aに電力を供給するための励磁信号を送信し、その後、位置指示器2Aから送出される信号を検出することで、芯体12に加えられる筆圧を求めることができる。
【0143】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、位置指示器の可変容量コンデンサにおいて、端子部材23の平坦部37と誘電体の第1の面部22aとの接触部の構成が第1の実施形態とは異なる。図26は、この第2の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ150の構成を示す図である。この図26の可変容量コンデンサ150において、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0144】
この第2の実施形態においては、誘電体22の第1の面部22a側に設けられる端子部材23の平坦部37は、誘電体22の第1の面部22aに直接に接触するのではなく、端子部材23の平坦部37と誘電体22の第1の面部22aとの間に、例えば導電性ゴムからなる導電性弾性部材81を介在させるようにする。
【0145】
この導電性弾性部材81は、図27に示すように、端子部材23の平坦部37にほぼ等しい、あるいは若干大きい円板状の形状とされる。そして、可変容量コンデンサ150が組み立てられたときに、端子部材23の係止部38,38による弾性偏倚力により、導電性弾性部材81が、端子部材23の平坦部37と誘電体22の第1の面部22aとの間に挟持される。
【0146】
この第2の実施形態によれば、導電性弾性部材81を介することにより、端子部材23の平坦部37の全面積部分が、誘電体22の第1の面部22aに対して確実に接触する状態になる。したがって、筆圧により誘電体22が第2の面部22b側から押圧偏倚したときにも、誘電体22の第1の面部22a側の第1の電極は、導電性弾性部材81を介した端子部材23の平坦部37と誘電体22の第1の面部22aとの接触面積からなる安定した電極面積を有するものとなる。
【0147】
なお、導電性弾性部材81は、誘電体22および端子部材23とは別部材として用意して、可変容量コンデンサ150の組立の際に、誘電体22の第1の面部22aと端子部材23の平坦部37との間に挟持させるようにしても良いが、誘電体22の第1の面部22a、あるいは、端子部材23の平坦部37に、予め接着しておくようにしても良い。
【0148】
[第3の実施形態]
第3の実施形態も、位置指示器の可変容量コンデンサにおいて、端子部材23の平坦部37と誘電体の第1の面部22aとの接触部の構成が第1の実施形態および第2の実施形態とは異なる。すなわち、この第3の実施形態においては、図28に示すように、誘電体22の第1の面部22aには、端子部材23の平坦部37が接触する面積部分と等しい領域、あるいは当該面積部分よりも大きい領域に、電極層82を形成しておく。この電極層82は、例えば、銀ペーストを誘電体22の第1の面部22aに焼結することにより形成する。その他の構成は、上述した第1の実施形態と同様とする。
【0149】
このように構成したことにより、第3の実施形態の可変容量コンデンサにおいては、端子部材23の平坦部37は、端子部材23の弾性力により押圧偏倚力を受けながら、誘電体22の第1の面部22aに所定の面積を持って接触したとき、電極層82に確実に接触する。
【0150】
そして、この第3の実施形態の場合には、誘電体22の第1の面部2a側の第1の電極の面積は、電極層82の面積で決まり、安定な電極面積となる。この第3の実施形態の場合には、電極層82が存在しても、常に端子部材23の弾性力により、当該端子部材23の平坦部37が電極層82に面接触している状態となる。したがって、端子部材23と誘電体22の第1の面部22aの電極層82との間で、従来のような衝合が生じるおそれはないので、電極層82の磨耗はほとんど無く、耐久性に優れる。
【0151】
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、誘電体22の第1の面部22aと接触する端子部材の構成が、上述の実施形態とは異なる。図29は、この第4の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ151の構成例を示すものである。この図29の可変容量コンデンサ151においても、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0152】
この第4の実施形態においては、誘電体22の第1の面部22a側に設けられる端子部材は、図29および図30に示すような端子部材400とされる。この端子部材400は、端子部材23と同様の導電性金属で構成されるもので、弾性係合部401と、リード片402とからなる。弾性係合部401は、図30Aに示すように、断面形状がU字型とされており、そのU字に折り曲げられている底部に誘電体22の第1の面部22aと接触する平坦部403を備える。
【0153】
また、リード片402は、図30A,Bに示すように、U字の一方の端部から延長して設けられている。そして、このリード片402は、図2に示したプリント基板17の図示しない接点部に、例えば、抵抗溶接や超音波溶接等によって接続される。これにより、端子部材400は、プリント基板17の電子部品と電気的に接続される。
【0154】
この実施形態では、ホルダ21の軸方向の一端側には誘電体22の第1の面部22aと対向する蓋部21cがホルダ21に固着されて設けられる。この蓋部21cには、端子部材400のリード片402が貫通する貫通孔(図示せず)が設けられている。
【0155】
そして、この実施形態の可変容量コンデンサ151の組立に際し、蓋部21cをホルダ21に固着する前に、この蓋部21cの貫通孔に端子部材400のリード片402を挿通しておく。そして、U字型の弾性係合部401が蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの間の空間に配置される状態で、蓋部21cをホルダ21に固着する。
【0156】
この場合、端子部材400の平坦部403の誘電体22の第1の面部22aと接触する面から、U字型の弾性係合部401の端部401aおよび401bまでの長さは、固着された蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの距離よりも長く設定されている。
【0157】
このため、蓋部21cがホルダ21に固着された状態では、端子部材400のU字型の弾性係合部401の端部401aおよび401bは、蓋部21cに当接し、弾性係合部401の弾性偏倚力により、平坦部403は誘電体22の第1の面部22a側に偏倚させられ、平坦部403は誘電体22の第1の面部22aに圧接される状態となる。
【0158】
以上のように、この第4の実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様に、端子部材400の平坦部403は誘電体22の第1の面部22aに押圧されて接触する状態になり、端子部材400は第1の電極として動作する。したがって、この第4の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0159】
なお、図29に示した可変容量コンデンサ151の例は、端子部材400の平坦部403を直接的に誘電体22の第1の面部22aに接触させるようにした場合であるが、前述した第2の実施形態のように、端子部材400の平坦部403と誘電体22の第1の面部22aとの間に、導電性弾性部材81を介在させるようにしてもよい。また、第3の実施形態のように、誘電体22の第1の面部22aに金属電極82を形成しておき、その金属電極82と端子部材400の平坦部403とを接触させるように構成しても良い。
【0160】
[第5の実施形態]
第5の実施形態も、誘電体22の第1の面部22aと接触する端子部材の構成が、上述の実施形態とは異なる。図31は、この第5の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ152の構成例を示すものである。この図31の可変容量コンデンサ152においても、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0161】
この第5の実施形態においては、誘電体22の第1の面部22a側に設けられる端子部材は、図31および図32に示すような端子部材410とされる。この端子部材410は、端子部材23と同様の導電性金属で構成されるもので、弾性係合部411と、リード片412とからなる。弾性係合部411は、図32Aに示すように、板状の金属が渦巻き状に形成されており、その底部に誘電体22の第1の面部22aと接触する平坦部413を備える。
【0162】
また、リード片412は、図32A,Bに示すように、渦巻き状の板状金属の最外周の部分の端部から延長して設けられている。そして、このリード片412は、図2に示すプリント基板17の図示しない接点部に、例えば、抵抗溶接や超音波溶接等によって接続される。これにより、端子部材410は、プリント基板17の電子部品と電気的に接続される。
【0163】
そして、この第5の実施形態においても、第4の実施形態と同様に、ホルダ21の軸方向の一端側に設けられる蓋部21cには、端子部材410のリード片412が貫通する貫通孔(図示せず)が設けられている。
【0164】
そして、この実施形態の可変容量コンデンサ152の組立に際し、蓋部21cをホルダ21に固着する前に、この蓋部21cの貫通孔に端子部材410のリード片412を挿通しておく。そして、弾性係合部411が蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの間の空間に配置される状態で、蓋部21cをホルダ21に固着する。
【0165】
この場合、端子部材410の平坦部413の誘電体22の第1の面部22aと接触する面から、前記平坦部413と対向する渦巻状の弾性係合部411の上端部411aまでの距離は、固着された蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの距離よりも大きく設定されている。
【0166】
このため、蓋部21cがホルダ21に固着された状態では、端子部材410の渦巻状の弾性係合部411の上端部411aは蓋部21cに当接し、弾性係合部411の弾性偏倚力により、平坦部413は誘電体22の第1の面部22a側に偏倚させられ、平坦部413は誘電体22の第1の面部22aに圧接される状態となる。
【0167】
以上のように、この第5の実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様に、端子部材410の平坦部413は誘電体22の第1の面部22aに押圧されて接触する状態になり、端子部材410は第1の電極として動作する。したがって、この第5の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0168】
なお、図31に示した可変容量コンデンサ152の例は、端子部材410の平坦部413を直接的に誘電体22の第1の面部22aに接触させるようにした場合であるが、前述した第2の実施形態のように、端子部材410の平坦部413と誘電体22の第1の面部22aとの間に、導電性弾性部材81を介在させるようにしてもよい。また、第3の実施形態のように、誘電体22の第1の面部22aに金属電極82を形成しておき、その金属電極82と端子部材410の平坦部413とを接触させるように構成しても良い。
【0169】
[第6の実施形態]
第6の実施形態も、誘電体22の第1の面部22aと接触する端子部材の構成が、上述の実施形態とは異なる。図33は、この第6の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ153の構成例を示すものである。この図33の可変容量コンデンサ153においても、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0170】
この第6の実施形態においては、誘電体22の第1の面部22a側に設けられる端子部材は、図33および図34に示すような端子部材420とされる。この端子部材420は、端子部材23と同様の導電性金属で構成されるもので、円板状係合部421と、棒状のリード片422とからなる。円板状係合部421は、図34に示すように、導電性金属からなる円板で構成されており、この円板状係合部421の一面421aから、当該一面421aに対して垂直な棒状片が植立されることにより、リード片422が形成されている。
【0171】
このリード片422は、図2に示したプリント基板17の図示しない接点部に、例えば、抵抗溶接や超音波溶接等によって接続される。これにより、端子部材420は、プリント基板17の電子部品と電気的に接続される。
【0172】
そして、この第6の実施形態においても、第4の実施形態と同様に、ホルダ21の軸方向の一端側に設けられる蓋部21cには、端子部材420のリード片422が貫通する貫通孔(図示せず)が設けられている。
【0173】
そして、この第6の実施形態においては、棒状のリード片422にコイルばね423が挿通して設けられ、このコイルばね423の弾性偏倚力により端子部材420の円板状係合部421の一面421aと反対側の面が、誘電体22の第1の面部22aに圧接されるようにされる。
【0174】
この第6の実施形態の可変容量コンデンサ153の組立に際しては、端子部材420の棒状リード片422にコイルばね423を挿通させた後、棒状リード片を蓋部21cの貫通孔に挿通しておく。そして、端子部材420の円板状係合部421の一面421aとは反対側の面を誘電体22の第1の面部22aと接触させ、かつ、コイルばね423を収縮させた状態で、蓋部21cをホルダ21に固着する。
【0175】
すると、蓋部21cがホルダ21に固着された状態では、コイルばね423が端子部材420の円板状係合部421を、誘電体22の第1の面部22a側に偏倚させるように働く。
【0176】
以上のように、この第6の実施形態においても、端子部材420の円板状係合部421は誘電体22の第1の面部22aに押圧されて接触する状態になり、端子部材420は第1の電極として動作する。したがって、この第6の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0177】
[第7の実施形態]
第7の実施形態も、誘電体22の第1の面部22aと接触する端子部材の構成が、上述の実施形態とは異なる。図35は、この第7の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ154の構成例を示すものである。この図35の可変容量コンデンサ154においても、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0178】
この第7の実施形態においては、誘電体22の第1の面部22a側に設けられる端子部材は、図35に示すような端子部材430とされる。この端子部材430は、この例では、1個の球形の弾性部材431と、蓋部21cと、リード片432とから構成される。弾性部材431は、例えば導電ゴムで構成される。そして、この例では、球形の弾性部材431の直径は、固着された蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの距離よりも大きく設定されている。
【0179】
そして、この第7の実施形態においては、蓋部21cが導電金属で構成され、この蓋部21cに、プリント基板17の接点部に接続するためのリード片432が接続されて設けられる。
【0180】
そして、この第7の実施形態の可変容量コンデンサ154の組立においては、弾性部材431を誘電体22の第1の面部22aと蓋部21cとの間に配した状態で、蓋部21cをホルダ21に固着する。
【0181】
すると、弾性部材431の直径が、固着された蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの距離よりも大きいので、弾性部材431は、つぶれて、誘電体22の第1の面部22aと面接触の状態で圧接される状態となる。
【0182】
以上のように、この第7の実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様に、端子部材430は、誘電体22の第1の面部22aに押圧されて面接触する状態になり、端子部材430は第1の電極として動作する。したがって、この第7の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0183】
なお、上述の第7の実施形態の説明では、端子部材430は、1個の弾性部材431を用いているが、複数個、例えば図36に示すように、2個の弾性部材431a、431bを用いるようにしても良い。
【0184】
[第8の実施形態]
第8の実施形態も、誘電体22の第1の面部22aと接触する端子部材の構成が、上述の実施形態とは異なる。図37は、この第7の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ155の構成例を示すものである。この図37の可変容量コンデンサ155においても、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0185】
この第8の実施形態においては、誘電体22の第1の面部22a側に設けられる端子部材は、図37に示すような端子部材440とされる。この端子部材440は、この例では、弾性係合部441と、リード片442とから構成される。弾性係合部441は、誘電体22の第2の面部22b側に設けられる導電部材26と同様の砲弾形状の例えば導電ゴムで構成される。そして、この例では、弾性係合部441の軸方向の長さは、固着された蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの距離よりも若干大きく設定されている。
【0186】
リード片442は、導電性金属で構成されており、弾性部材441と接続される金属板部442aと、プリント基板17の図示しない接点部に接続されるように形成される棒状片442bとからなる。蓋部21cには、リード片442の棒状片442bが貫通する貫通孔(図示せず)が設けられている。
【0187】
そして、この第8の実施形態の可変容量コンデンサ155の組立において、蓋部21cをホルダ21に固着する前に、この蓋部21cの貫通孔に端子部材440のリード片442の棒状片442bを挿通しておく。そして、砲弾型の弾性係合部441のドーム状曲面441aを、誘電体22の第1の面部22aと面接触させる状態で、蓋部21cをホルダ21に固着する。前述したように、弾性係合部441の軸方向の長さは、固着された蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの距離よりも若干大きく設定されているので、弾性係合部441のドーム状曲面441aの、誘電体22の第1の面部22aと接触する部分は弾性偏倚してつぶれた状態になり、弾性係合部441のドーム状曲面441aと誘電体22の第1の面部22aとは面接触する状態になる。
【0188】
以上のように、この第8の実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様に、端子部材440は誘電体22の第1の面部22aに押圧されて接触する状態になり、端子部材440は第1の電極として動作する。したがって、この第8の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0189】
なお、図29、図31、図33、図35、図36および図37に示した可変容量コンデンサの例は、いずれも第1の実施形態と同様に、端子部材400、410、420、430、440を直接的に誘電体22の第1の面部22aに接触させるようにした場合であるが、前述した第2の実施形態のように、端子部材400、410、420、430、440と誘電体22の第1の面部22aとの間に、導電性弾性部材81を介在させるようにしてもよい。また、第3の実施形態のように、誘電体22の第1の面部22aに金属電極82を形成しておき、その金属電極82と端子部材400、410、420、430、440とを接触させるように構成しても良い。
【0190】
[第9の実施形態]
この第9の実施形態も、誘電体22の第2の面部22b側に配される導電部材の他の例を示すものである。図38は、この第9の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ157の構成例を示すものである。この図38の可変容量コンデンサ157は、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15において、誘電体22の第2の面部22b側に配される導電部材26の代わりに、導電部材510が設けられる点が第1の実施形態の例とは異なる。なお、図38において、図4の第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0191】
この第9の実施形態における導電部材510は、導電性弾性部材511と、板ばね512と、コイルばね513とで構成される。
【0192】
板ばね512は、ホルダ21の内部空間に応じた中央部分512aを備えると共に、ホルダ21の外部に突出する大きさのフランジ部512bを備える。そして、板ばね512は、フランジ部512aがホルダ21に移動可能に係止されて、筆圧がかかる方向に弾性偏倚可能とされる。
【0193】
導電性弾性部材511は、ドーム形状の例えば導電ゴムで構成されるもので、板ばね512の中央部分512aのほぼ中央位置に、平面である底面が接着などにより固着されて、板ばね512に取り付けられる。
【0194】
そして、保持部材24の基部41の誘電体22側の先端部と、板ばね512との間にコイルばね513が設けられる。この場合、コイルばね513は、板ばね512の中央部分512aの中心位置に配置される。コイルばね513は、保持部材24が、筆圧に応じて芯体12により誘電体22側に偏倚するときに、その偏倚を板ばね512に伝達するための部材である。
【0195】
この第9の実施形態によれば、筆圧に応じて芯体12に加わる圧力が増加すると、板ばね512が偏倚して、導電性弾性部材511のドーム状曲面511aが誘電体22の第2の面部22bと接触すると共に、その接触面積が筆圧に応じて変化する。そして、筆圧が無くなって、芯体12が元に復帰すると、板ばね512の弾性復帰力により導電性弾性部材511は、誘電体22の第2の面部22bからは確実に離れるようになる。
【0196】
以上のようにして、この第9の実施形態においては、芯体12の指示部12aを上方に向けても、板ばね512の弾性力により、保持部材24が、芯体12や保持部材24の自重によってホルダ21内を誘電体22側に移動することを防止し又は抑制することができる。その結果、芯体12に圧力が加わっていない状態で、導電性弾性部材511と誘電体22とが接触することを防止し又は抑制することができると共に、立ち下がりの応答性を向上させることが可能である。
【0197】
[第10の実施形態]
この第10の実施形態も、誘電体22の第2の面部22b側に配される導電部材の他の例を示すものである。図39は、この第10の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ158の構成例を示すものである。この図39の可変容量コンデンサ158は、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15において、誘電体22の第2の面部22b側に配される導電部材26の代わりに、導電部材520が設けられる点が第1の実施形態の例とは異なる。なお、図39において、図4の第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0198】
この第10の実施形態における導電部材520は、導電性弾性部材521と、板ばね522と、導電性金属板部523とで構成される。
【0199】
板ばね522は、ホルダ21の内部空間に応じた中央部分522aを備えると共に、ホルダ21の外部に突出する大きさのフランジ部522bを備える。そして、板ばね522は、フランジ部522aがホルダ21に移動可能に係止されて、筆圧がかかる方向に弾性偏倚可能とされる。
【0200】
導電性弾性部材521は、先端521aがドーム形状の砲弾型の例えば導電ゴムで構成される。一方、この例では、板ばね522の中央部分522aの中心部には、導電性弾性部材521の直径よりも小さい貫通孔522cが設けられている。そして、導電性弾性部材521は、ドーム形状の先端51aを板ばね522の貫通孔522cから誘電体22の第2の面部22b側に突出させるようにして、板ばね522と組み合わせる。導電性弾性部材521の先端521aとは反対側は、保持部材24の基部41の嵌合凹部(図示は省略)に嵌合させる。
【0201】
導電性金属板部523は、保持部材24の基部41側に設けられている。この導電性金属板部523は導電性弾性部材521と接触して電気的に接続される。この導電性金属板部523は、導電性弾性部材521により構成される第2の電極からリード片(図示は省略)を導出するためのものである。
【0202】
この第10の実施形態によれば、筆圧に応じて芯体12に加わる圧力が増加すると、板ばね522が偏倚して、この板ばね512の貫通孔512cから突出している導電性弾性部材521の先端521aのドーム状曲面が誘電体22の第2の面部22bと接触すると共に、その接触面積が筆圧に応じて変化する。そして、筆圧が無くなって、芯体12が元に復帰すると、板ばね522の弾性復帰力により導電性弾性部材521の先端521aは、誘電体22の第2の面部22bからは確実に離れるようになる。
【0203】
以上のようにして、この第10の実施形態においても、前述した第1の実施形態及び第9の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0204】
なお、板ばね522は、そのフランジ部522bをホルダ21の外部に突出させるようにして係止させるのではなく、図40に示すように、ホルダ21内部の誘電体22の係止用のフランジ部31に係止させるようにしてもよい。
【0205】
尚、本発明は前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。端子部材にコイルばねを適用した例を説明したが、コイルばねだけでなく、板ばね等のその他各種の弾性を有する部材を端子部材に適用してもよい。また、弾性部材の接続部を導電部材の底面部に接触させる構成としたが、導電部材の側面部に接触するように弾性部材を形成してもよい。
【符号の説明】
【0206】
1…位置検出装置、 2,2A…位置指示器、 4…検出部、 10…入力装置、 11…ケース(筐体) 12…芯体、 12a…指示部、 12b…軸部、 13…位置指示コイル(コイル)、 15…可変容量コンデンサ、 21…ホルダ、 21a…筒孔、
22…誘電体、 22a…第1の面部、 22b…第2の面部、 23…端子部材、 24…保持部材、 26,70…導電部材、 26a,71…曲面部、 27,27A…弾性部材、 29…突起部、 31…フランジ部、 32…係合穴、 33…係止受部、 34…貫通孔、 37…平坦部、 38…係止部、 38a…開口部、 39…リード片、 41…基部、 42…嵌合部、 43…係合凹部、 44…係合部、 47…切り欠き、 51…巻回部、 52…接続部(第2の端子部)、 53…端子片(第1の端子部)、 101・・・位置検出コイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆圧を検出する場合に用いて好適な位置指示器、その筆圧を検出する可変容量コンデンサおよびこの位置指示器を備えて構成される入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ等の入力デバイスとして入力装置が用いられている。この入力装置は、例えば、ペン型に形成された位置指示器と、この位置指示器を用いて、ポインティング操作や文字及び図等の入力を行う入力面を有する位置検出装置から構成されている。
【0003】
そして、位置指示器の筆圧検出部には、従来から特許文献1に記載されているような可変容量コンデンサが用いられている。この特許文献1に記載された可変容量コンデンサは、誘電体の一の面に取り付けられた第1の電極と、誘電体の前記一の面と対向する他の面側に配置された可撓性を有する第2の電極を有している。そして、前記可変容量コンデンサは、第2の電極と誘電体の他の面との間をその一部を除いてわずかな間隔だけ離隔する手段と、第2の電極と誘電体との間に相対的な圧力または変位を加える手段を備えている。
【0004】
図41に、従来の可変容量コンデンサの具体的な構成を示す。図41Aは、従来の可変容量コンデンサにおける初期状態を示す図、図41Bは、圧力が加わった状態を示す図である。
【0005】
この可変容量コンデンサ200は、略円盤状の誘電体201と、誘電体201の一面201aに取り付けられた第1の電極202と、誘電体201の一面201aと対向する他面201b側に配設された第2の電極203とを有している。第2の電極203は、可撓性を有しており、リング状のスペーサ204を介して誘電体201の他面201b側に配設されている。また、第2の電極203における誘電体201と反対側には、弾性体205を介して棒状の芯体210が設けられている。
【0006】
第1の電極202の一面側には、第1の端子206が設けられている。第1の端子206は、円盤状のフランジ部206aと、このフランジ部206aの一面の略中央から延在するリード部206bとから構成されている。フランジ部206aは、筆圧が加わったときに第1の電極202の一面に接触し、この第1の電極202と電気的に接続される。
【0007】
第2の電極203の端部には、第2の端子207が設けられている。第2の端子207は、第1の端子206と同様に、円盤状のフランジ部207aと、このフランジ部207aの一面の略中央から延在するリード部207bとから構成されている。フランジ部207aは、筆圧が加わったときに第2の電極203の一面の端部に接触し、この第2の電極203と電気的に接続される。
【0008】
この可変容量コンデンサ200は、芯体210に圧力または変位が全く加わらない状態(初期状態)で、誘電体201の他面201bと第2の電極203の間にスペーサ204によって、わずかな間隔が形成されている。また、図41Bに示すように、芯体210に圧力が加わると、弾性体205と第2の電極203とが芯体210に押圧されて弾性変形する。これにより、第2の電極203が、誘電体201の他面201bに接触する。そして、この第2の電極203と誘電体201の他面201bの接触面積が増加すると、第1及び第2の端子206,207間の容量値が増加する。その結果、第1及び第2の端子206,207間の容量値の変化を検出することにより、芯体210に加わる圧力(筆圧)が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−96212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の可変容量コンデンサ200では、第2の電極203と誘電体201の間に、リング状のスペーサ204を介在させているだけで、第2の電極203を誘電体201から引き離すための構成を有していない。そのため、可変容量コンデンサ200を第2の電極203が上方に位置するように向けると、第2の電極203がその自重によって撓む。また、可変容量コンデンサ200を位置指示器に搭載した場合で、芯体210の指示部を上方に向けると、芯体210が重力によって下がり、弾性体205及び第2の電極203を押圧する。その結果、圧力(筆圧)が印加されてない状態で、第2の電極203と誘電体201が接触してしまう、という問題があった。
【0011】
また、第2の電極203と誘電体201が接触した状態で保管すると、第2の電極203と誘電体201が貼り付くおそれがあった。そのため、第2の電極203または誘電体201が劣化して、可変容量コンデンサ200の耐久性が下がる、という不具合もあった。
【0012】
また、従来の可変容量コンデンサ200は、誘電体201の一面201aには、第1の電極202を形成しておき、その形成された第1の電極に対して第1の端子206を接触させて電気的に接続させる構成である。このため、第1の電極202を誘電体の一面201aに形成する工数が必要になると共に、第1の電極202に加えて第1の端子206が必要になる。
【0013】
さらに、第1の端子206のフランジ部206aは、筆圧が加わったときに第1の電極202に接触して、第1の電極202と電気的に接続されるので、筆圧が加わる毎に、第1の電極202と第1の端子206のフランジ部206aとが衝合する。そして、一般的には、第1の電極202と第1の端子206のフランジ部206aとは点接触するように構成される。このため、従来の位置指示器は、第1の電極202の、第1の端子206のフランジ部206aとの衝合部分が徐々に磨耗してしまい、可変容量コンデンサとしての耐久性が下がるおそれがあった。
【0014】
上述の問題点にかんがみ、本発明の目的は、確実に初期状態に戻ることができると共に、製造工数の削減が可能であり、耐久性の向上を図ることができる位置指示器および可変容量コンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の位置指示器は、
筐体と、
一端が前記筐体の外側に突出する状態で前記筐体内に収納された略棒状の芯体と、
前記芯体を介して加わる外力により電気容量が変化する可変容量コンデンサと、
からなり、
前記可変容量コンデンサは、
第1の面部と、前記第1の面部に対向する第2の面部とを有する少なくとも一つの誘電体と、
前記誘電体の前記第1の面部に係合する端子部材と、
前記誘電体の前記第2の面部に対向して配置され、前記外力により前記第2の面部との当接面積が変化する導電部材を含む電極部と、
前記導電部材を前記第2の面部から離れる方向に付勢する弾性部材と、
を備えている。
【0016】
また、本発明の可変容量コンデンサは、
第1の面部と、前記第1の面部に対向する第2の面部とを有する少なくとも一つの誘電体と、
前記誘電体の前記第1の面部に係合する端子部材と、
前記誘電体の前記第2の面部に対向して配置され、前記外力により前記第2の面部との当接面積が変化する導電部材を含む電極部と、
前記導電部材を前記第2の面部から離れる方向に付勢する弾性部材と、
を備える。
【0017】
上述の構成の位置指示器および可変容量コンデンサにおいては、可変容量コンデンサは、誘電体の第1の面部側には端子部材が係合され、当該端子部材が第1の電極の役割をするように構成されている。したがって、誘電体の第1の面部側には電極を形成しなくても良く、その電極形成のための工程を省略することができると共に、端子部材と誘電体の第1の面部の電極との接触による磨耗の心配も無いので、耐久性に優れる。
【0018】
また、誘電体の第2の面部側には、第1の電極と対向する第2の電極となる電極部が設けられる。この電極部は、芯材に加わる外力により誘電体の第2の面部と当接し、かつ、その当接面積が芯材に加わる外力に応じて変化するように構成される導電部材を備える。そして、導電部材は弾性部材により第2の面部から離れる方向に付勢されている。
【0019】
したがって、電極部の導電部材が誘電体の第2の面部に貼り付いてしまう事態を防止することができ、耐久性に優れる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、確実に初期状態に戻ることができると共に、製造工数の削減が可能であり、耐久性の向上を図ることができる位置指示器および可変容量コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用した入力装置の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す位置指示器をA−A′線で断面して示す説明図である。
【図3】本発明の可変容量コンデンサの第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す可変容量コンデンサをB−B′線で断面して示す説明図である。
【図5】本発明の可変容量コンデンサに係るケースを示す斜視図である。
【図6】本発明の可変容量コンデンサに係るケースを示すもので、図6Aは正面図、図6Bは図5に示すC−C′線断面図、図6Cは図5に示すD−D′線断面図である。
【図7】本発明の可変容量コンデンサに係るケースを示すもので、図7Aは平面図、図7Bは底面図である。
【図8】本発明の可変容量コンデンサに係る誘電体を示すもので、図8Aは平面図、図8Bは正面図、図8Cは底面図である。
【図9】本発明の可変容量コンデンサに係る端子部材を示す斜視図である。
【図10】本発明の可変容量コンデンサに係る導電部材及び誘電体を保持部材に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図11】本発明の可変容量コンデンサに係る保持部材を示すもので、図11Aは斜視図、図11Bは反対側から見た斜視図である。
【図12】本発明の可変容量コンデンサに係る保持部材を示すもので、図12Aは、図11Aに示すS−S′線断面図、図12Bは図11Aに示すT−T′線断面図である。
【図13】本発明の可変容量コンデンサに係る導電部材の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図14】本発明の可変容量コンデンサに係る導電部材の他の実施の形態を示すもので、図14Aは、導電部材の平面図、図14Bは、導電部材の正面図、図14Cは、導電部材の左側面図である。
【図15】本発明の可変容量コンデンサに係る弾性部材を示すもので、図15Aは正面から見た説明図、図15Bは平面図である。
【図16】本発明の可変容量コンデンサに係る弾性部材の他の実施の形態を示す正面から見た説明図である。
【図17】芯体に圧力(筆圧)が加わった状態を示す可変容量コンデンサの断面図である。
【図18】本発明を適用した位置指示器及び位置検出装置の回路構成の模式的なブロック図である。
【図19】本発明を適用した入力装置に係る位置検出装置の処理部による処理の流れ図である。
【図20】本発明を適用した入力装置に係る位置検出装置のX軸グローバルスキャン動作における各部の波形の一例を示す図である。
【図21】本発明を適用した入力装置に係る位置検出装置のY軸グローバルスキャン動作における各部の波形の一例を示す図である。
【図22】本発明を適用した入力装置に係る位置検出装置のX軸セクタスキャン動作及びY軸セクタスキャン動作における各部の波形の一例を示す図である。
【図23】可変容量コンデンサの位相−荷重特性を示すもので、図23Aは本発明の可変容量コンデンサの位相−荷重特性を示すグラフ、図23Bは図41に示す従来の可変容量コンデンサの位相−荷重特性を示すグラフである。
【図24】本発明を適用した位置指示器に設けられる共振回路の他の実施形態を示す説明図である。
【図25】本発明を適用した位置指示器の他の実施形態を示す電気回路図である。
【図26】本発明の第2の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図27】本発明の第2の実施形態における可変容量コンデンサの一部を説明するための図である。
【図28】本発明の第3の実施形態における可変容量コンデンサの一部を説明するための図である。
【図29】本発明の第4の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図30】本発明の第4の実施形態における可変容量コンデンサの一部を説明するための図である。
【図31】本発明の第5の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図32】本発明の第5の実施形態における可変容量コンデンサの一部を説明するための図である。
【図33】本発明の第6の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図34】本発明の第6の実施形態における可変容量コンデンサの一部を説明するための図である。
【図35】本発明の第7の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図36】本発明の第7の実施形態における可変容量コンデンサの他の例の断面図である。
【図37】本発明の第8の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図38】本発明の第9の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図39】本発明の第10の実施形態における可変容量コンデンサの断面図である。
【図40】本発明の第10の実施形態における可変容量コンデンサの他の例断面図である。
【図41】従来の可変容量コンデンサを模式的に説明するもので、図41Aは初期状態を示す図、図41Bは芯体に圧力(筆圧)が加わった状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施形態]
本発明の位置指示器、可変容量コンデンサ及び入力装置の第1の実施形態について、図1〜図25を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
【0023】
[入力装置]
まず、本発明の入力装置の実施形態の概略構成を図1に従って説明する。この図1は、本発明の入力装置の実施形態を示す斜視図である。
【0024】
本発明の第1の実施の形態の入力装置10は、位置検出装置1と、この位置検出装置1に情報を入力する位置指示器2とから構成されている。
【0025】
[位置検出装置1]
位置検出装置1は、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の図示しない外部装置にケーブル8を介して接続することによって、これら外部装置の入力装置として用いられるものである。なお、特に図示して説明していないが、かかる位置検出装置1をパーソナルコンピュータ等に内蔵しても良い。
【0026】
位置検出装置1は、位置指示器2で指示した位置を検出する検出部4と、この検出部4を有する中空の薄い略直方体をなす筐体5とから構成されている。筐体5は、検出部4の検出面を露出させるための開口部6を有する上部筐体7と、この上部筐体7に重ね合わされる図示しない下部筐体を有している。そして、上部筐体7は、検出部4の入力面を露出させる四角形の開口部6を有しており、この開口部6に、検出部4が嵌め込まれる。このような構成を有する位置検出装置1は、位置指示器2を介したポインティング操作による文字及び図等の入力が行われる。
【0027】
[位置指示器2]
次に、図2を参照して位置指示器2の概略構成について説明する。図2は、図1に示す位置指示器2のA−A′線断面図である。
【0028】
この位置指示器2は、電磁誘導方式により位置検出装置1に対して位置を指示するものである。すなわち、位置指示器2は、位置検出装置1から送信される特定周波数の電磁波に対して共振する共振回路を有している。そして、位置指示器2は、この共振回路で検出した共振信号を位置検出装置1に送信することにより位置検出装置1に対して位置を指示するようになっている。
【0029】
図2に示すように、位置指示器2は、筐体の一具体例を示すケース11と、芯体12と、位置指示コイル13と、可変容量コンデンサ15と、フェライトコア16と、プリント基板17とを備えて構成されている。
【0030】
ケース11は、位置指示器2の外装部として形成されている。このケース11は、一方が閉じられた有底の円筒状をなしている。そして、ケース11は、軸方向に重ね合わせて組立結合される第1のケース18と第2のケース19とから構成されている。第1のケース18は、軸方向の一端側が略円錐状をなしており、その先端に開口部18aを有している。そして、この第1のケース18の軸方向の他端は、開口している。
【0031】
第2のケース19は、軸方向の一端が開口し、かつ他端が閉じられた円筒形をなしている。第1のケース18と第2のケース19とは、同一軸線上に配置されて、接着剤や固定ねじ等の固着手段により固定されている。そして、第2のケース19に、電子部品が実装されたプリント基板17が接着剤や固定ねじ等の固着手段によって固定されており、第1のケース18には、フェライトコア16が収納されている。
【0032】
フェライトコア16は、例えば円筒形をなしており、その筒孔16aに芯体12が挿通されている。そして、フェライトコア16の軸方向の一端側から芯体12の指示部12aが突出している。更に、フェライトコア16の外周には、共振回路を構成する位置指示コイル13が巻回して装着されている。位置指示コイル13の図示しない両端は、プリント基板17上の電子部品に電気的に接続されている。プリント基板17には、共振回路を構成する電子部品が実装されている。
【0033】
芯体12は、ほぼ棒状の部材からなり、ケース11の軸方向に沿ってケース11内に収納されている。この芯体12は、その軸方向の一端にペン先の役割を有する指示部12aと、指示部12aから連続して形成された軸部12bとから構成されている。指示部12aは、略円錐状に形成されている。この指示部12aは、芯体12をケース11内に収納した際に、第1のケース18の開口部18aから外側に向けて突出する。そして、軸部12bの軸方向の他端には、可変容量コンデンサ15が取り付けられている。
【0034】
[可変容量コンデンサ15]
次に、図3〜図18を参照して、この実施形態の可変容量コンデンサ15について説明する。図3は、可変容量コンデンサ15の斜視図、図4は、図3に示す可変容量コンデンサ15のB−B′線断面図である。
【0035】
可変容量コンデンサ15は、位置指示器2に加えられた圧力(筆圧)に対応して容量値を変化させるコンデンサである。そして、この可変容量コンデンサ15は、この容量値の変化によって、芯体12に加わる筆圧を検出しており、位置指示器2の筆圧検出部として作用している。
【0036】
図3及び図4に示すように、可変容量コンデンサ15は、ホルダ21と、誘電体22と、端子部材23と、保持部材24と、導電部材26と、弾性部材27とを備えて構成されている。
【0037】
[ホルダ21]
まず、図5〜図7Bを参照して可変容量コンデンサ15のホルダ21について説明する。図5は、ホルダ21の外観斜視図、図6Aは、ホルダ21の正面図、図6Bは、図5に示すホルダ21のC−C′線断面図、図6Cは、図5に示すホルダ21のD−D′線断面図である。また、図7Aは、ホルダ21の平面図、図7Bは、ホルダ21の底面図である。
【0038】
ホルダ21は、中空の略円筒形をなしている。このホルダ21には、その側面に互いに平行に対向する2つの平面部21b,21bを有している。このホルダ21には、軸方向の一端側を4箇所切り欠くことによって、4つの突起部29,29,29,29が形成されている。そして、図4に示すように、このホルダ21に、誘電体22が取り付けられると共に、本発明の中空部の一具体例を示すホルダ21の筒孔21aに導電部材26と、弾性部材27と、保持部材24とが収納される。また、ホルダ21には、フランジ部31と、2つの係合穴32,32と、2つの係止受部33,33とが設けられている。
【0039】
図6B及び図6Cに示すように、凸部の一具体例を示すフランジ部31は、ホルダ21の半径方向の内側へ突出して配設されている。このフランジ部31は、例えばホルダ21の内壁に、その内壁の周方向に沿って連続して張り出したつば状の突出部である。そして、図4に示すように、このフランジ部31には、ホルダ21の軸方向の一端側から誘電体22が当接し、ホルダ21の軸方向の他端側から弾性部材27が当接する。さらに、図7A及び図7Bに示すように、このフランジ部31の一部を切り欠くことにより、貫通孔34が設けられている。
【0040】
なお、本例においては、凸部の一具体例としてホルダ21の内壁に、その内壁の周方向に沿って連続して突出したつば状のフランジ部として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、凸部を、ホルダ21の内壁に、その内壁の半径方向の内側へ突出する複数の突起として形成してもよい。すなわち、凸部に、誘電体22がホルダ21の軸方向の一端側から当接し、且つ弾性部材27がホルダ21の軸方向の他端側から当接すれば、どのような形状に形成してもよい。
【0041】
また、図5、図6A及び図6Bに示すように、ホルダ21には、その2つの平面部21b,21bに第1の係合部の一具体例を示す2つの係合穴32,32が設けられている。この2つの係合穴32,32は、ホルダ21の軸方向の中央から他端側寄りに設けられている。そして、2つの係合穴32,32は、例えば略四角形状に開口されている。図3及び図4に示すように、この2つの係合穴32,32に、保持部材24がホルダ21の軸方向に沿って移動可能に係合される。なお、2つの係合穴32,32は、略四角形だけでなく、略円形状に形成してもよい。また、2つの係合穴32,32は、貫通穴だけでなく、ホルダ21の内壁に設けた凹部として形成してもよい。
【0042】
更に、図5、図6A,図6Bに示すように、ホルダ21には、軸方向の一端側に2つの係止受部33,33を有している。この2つの係止受部33,33は、ホルダ21の軸方向の一端側において、2つの突起部29,29の間に位置するように設けられている(図6A参照)。図6Bに示すように、係止受部33は、ホルダ21の軸方向に切断した断面形状が略台形状に形成されている。そして、図3及び図4に示すように、端子部材23がこの2つの係止受部33,33に係止されて、ホルダ21に固定される。
【0043】
なお、このホルダ21の材質には、例えばエンジニアリングプラスチック等が用いられる。また、本例では、ホルダ21を円筒状に形成した例を説明したが、ホルダ21の形状は、例えば角筒状に形成してもよい。更に、誘電体22、導電部材26、弾性部材27及び保持部材24をホルダ21に収納した例を説明したが、このホルダ21とケース11とを一体に成形して、導電部材26、弾性部材27及び保持部材24をケース11に直接収納してもよい。
【0044】
[誘電体22]
次に、図8A〜図8Cを参照して誘電体22について説明する。図8Aは、誘電体22の平面図、図8Bは、誘電体22の正面図、図8Cは、誘電体22の底面図である。
【0045】
この誘電体22は、例えば略円盤状をなしており、略円形の第1の面部22aと、この第1の面部22aと略平行に対向する略円形の第2の面部22bとを有している。この例では、第1の面部22aおよび第2の面部22bは、共に平面形状に形成されている。そして、この例では、第1の面部22aには、電極部は設けられておらず、端子部材23が電極部をも兼用する構成とされている。また、第2の面部22bは、図8Cに示すように、例えば表面を鏡面研磨することで鏡面加工が施されている。
【0046】
そして、図4に示すように、この誘電体22は、第2の面部22bをホルダ21の軸方向の他端側に向けて、フランジ部31に載置される。更に、この誘電体22は、ホルダ21のフランジ部31に載置した状態で、端子部材23によってホルダ21の軸方向の他端側へ付勢される。なお、誘電体22の形状は、略円盤状だけでなく、略四角柱や略六角柱等の板状に形成してもよい。また、第2の面部22bに鏡面加工を施した例を説明したが、第2の面部22bに鏡面加工を施さなくてもよい。
【0047】
[端子部材23]
図9は、端子部材23の外観斜視図である。この端子部材23は、導電性の金属で構成され、誘電体22の第1の面部22aと係合する面部の一例としての平坦部37と、この平坦部37から連続して形成された2つの係止部38,38と、同様に平坦部37から連続して形成されたリード片39とを有している。平坦部37は、誘電体22の第1の面部22aの形状に応じた形状とされており、この例では、第1の面部22aが平面であるので、平坦部37は、略平板状に形成されている。
【0048】
2つの係止部38,38は、平坦部37を間に挟むように設けられている。この2つの係止部38は、略J字状をなしている。ただし、平坦部37の左右の係止部38は、平坦部37を挟んで左右対称の形状とされている。そして、係止部38は、導電性金属が、平坦部37の外縁から2回折り曲げられることで形成されている。この2つの係止部38により、端子部材23の平坦部37が、係止部38の端部38bの方向に常に弾性偏倚するように、端子部材23には弾性が付与されている。そして、係止部38の端部38bには、例えば略四角形状の開口部38aが設けられている。
【0049】
また、リード片39は、係止部38の端部38bが突出する方向と反対方向に突出して設けられている。そして、このリード片39は、図2に示すプリント基板17の図示しない接点部に、例えば、抵抗溶接や超音波溶接等によって接続される。これにより、端子部材23は、プリント基板17の電子部品と電気的に接続される。なお、この端子部材23の材質としては、例えばチタン銅に銀メッキを施したもの等が挙げられる。
【0050】
また、図3及び図4に示すように、端子部材23は、2つの係止部38,38の開口部38a,38aがホルダ21の係止受部33,33に係止されてホルダ21に固定される。このとき、端子部材23の平坦部37が、誘電体22の第1の面部22aに当接する。端子部材23は、2つの係止部38,38による弾性を有しており、平坦部37は誘電体22の第1の面部22aに押圧される状態で当接する。前述したように、端子部材23の平坦部37は誘電体22の第1の面部22aの面形状に応じた面形状(この例では平面)とされているので、平坦部37と誘電体22の第1の面部22aとは隙間無く当接する状態となる。
【0051】
これにより、端子部材23の平坦部37と誘電体22の第1の面部22aとを確実に接触させることができる。更に、端子部材23は、その弾性により、誘電体22をホルダ21の軸方向の他端側に付勢するので、誘電体22がホルダ21内で傾くことを防止し又は抑制することも可能である。
【0052】
上述したように、端子部材23は、誘電体22をホルダ21側へ付勢する役割と、誘電体22の第1の面部22aに接触すると共にプリント基板17に接続される電極端子としての2つの役割を有している。なお、本例では端子部材23を一部材で形成した場合を説明したが、平坦部37及び係止部38と、リード片39をそれぞれ別部材として形成してもよい。
【0053】
[保持部材24、導電部材26および弾性部材27]
次に、図10〜図17を参照して保持部材24、導電部材26及び弾性部材27について説明する。図10は、保持部材24で導電部材26及び弾性部材27を保持した状態を示す斜視図である。図11Aは、保持部材24の外観斜視図、図11Bは、保持部材24を図11Aと反対側から見た斜視図、図12Aは、図11Aに示す保持部材24のS−S′線断面図、図12Bは、図11Aに示す保持部材24のT−T′線断面図である。
【0054】
[保持部材]
図10〜図12に示すように、保持部材24は、略角柱状の基部41と、略円筒状の嵌合部42とを有している。基部41には、略円柱状に凹んだ係合凹部43(図11参照)が設けられている。図4に示すように、この係合凹部43には、芯体12の軸部12bの軸方向の他端が挿入される。これにより、保持部材24と芯体12とが接合される。また、この基部41の側面部における互いに対向する2つの平面部には、断面形状が略三角形状の2つの係合部44,44が設けられている。そして、この2つの係合部44,44は、ホルダ21に設けた2つの係合穴32,32に係合される。これにより、保持部材24は、ホルダ21の軸方向に沿って移動可能に支持される。
【0055】
更に、基部41には、2つのスリット46,46が設けられている。この2つのスリット46,46は、それぞれ基部41の軸方向の一端から他端側へ所定の長さにわたって切り欠いて形成されている。
【0056】
また、導電部材26を保持部材に取り付けるための凹部としての嵌合部42が、基部41の他端側へ突出して形成されている。この嵌合部42には、略等角度間隔に2つの切り欠き47,47が形成されている。この2つの切り欠き47,47は、嵌合部42の軸方向の一端から基部41まで切り欠いて形成されている。なお、この切り欠き47の数は、2つに限定されるものではなく、3つ以上形成してもよく、少なくとも1つあればその目的を達成できるものである。そして、この嵌合部42に導電部材26が嵌合される。
【0057】
[導電部材26]
図4及び図10に示すように、導電部材26は、例えば砲弾型に形成されており、その軸方向の一端に曲面部26aを有している。この導電部材26は、軸方向の他端側の円柱部26bが保持部材24の嵌合部42に嵌合される。なお、この導電部材26の円柱部26bの直径は、例えば保持部材24の嵌合部42の内径よりもやや大きく設定されている。これにより、導電部材26と保持部材24の嵌合部42の嵌め合いの関係は、締まり嵌めの関係に設定されている。その結果、導電部材26が保持部材24の嵌合部42から抜け落ちることを防止し又は抑制することができる。
【0058】
そして、可変容量コンデンサ15においては、図4に示すように、導電部材26の軸方向の一端側に形成された曲面部26aは、誘電体22の第2の面部22bに対向するように配され、導電部材26は、可変容量コンデンサ15の第2の電極部を形成する。
【0059】
後述もするように、導電部材26の曲面部26aと誘電体22の第2の面部22bとは初期的には空気層を介して離れた状態となっているが、芯体12に筆圧が加えられると、両者は、接触する状態となる。
【0060】
そして、この導電部材26は、導電性を有すると共に弾性変形可能な弾性部材からなるものとされている。このような弾性部材としては、例えば、シリコン導電ゴムや、加圧導電ゴム(PCR:Pressure sensitive Conductive Rubber)などを挙げることができる。導電部材26として、かかる弾性部材を使用することで、芯体12に加えられる筆圧(圧力)の増加に伴って、誘電体22の第2の面部22bと導電部材26との接触面積が増加するようになっている。
【0061】
なお、本例では、導電部材26の形状を、その一方の端部である曲面部26aが略半球状に形成されたもので説明しているが、この導電部材の形状は、かかる形状に限定されるものではない。導電部材の形状は、芯体12に加えられる筆圧(圧力)の増加に伴って第1の電極部36と対向する面積が増加すれば、どのような形状に形成してもよい。
【0062】
次に、本例にかかる導電部材の他の実施例を図13及び図14を参照して説明する。
【0063】
図13は、導電部材の他の実施の形態を示す斜視図、図14Aは、導電部材の他の実施の形態を示す平面図、図14Bは、導電部材の他の実施の形態を示す正面図、図14Cは、導電部材の他の実施の形態を示す左側面図である。
【0064】
この他の実施の形態にかかる導電部材70は、略円柱状に形成されており、その軸方向の一端に3つの異なる曲率半径を有する曲面部71を有している。曲面部71は、導電部材70の軸方向Zと直交する第1の方向Xに対して第1の曲率半径Raを有する第1の曲面71aが形成されている。この第1の曲面71aは、導電部材70の軸方向Zと直交すると共に第1の方向Xとも直交する第2の方向Yに対して第1の曲率半径Raとは異なる第2の曲率半径Rbを有している。
【0065】
また、曲面部71は、導電部材70の軸心を通って第1の方向Xに沿って形成され、第1の方向Xに対して第1の曲率半径Raを有し、第2の方向Yに対して第1の曲率半径R1及び第2の曲率半径Rbと異なる第3の曲率半径Rcを有する第2の曲面71bが設けられている。更に、曲面部71は、導電部材70の軸心を通って第2の方向Yに沿って形成され、第2の方向Yに対して第2の曲率半径Rbを有し、第1の方向Xに対して第3の曲率半径Rcを有する第3の曲面71cが設けられている。すなわち、第2の曲面71bは、第1の曲率半径Raを有する曲面で形成される稜線に形成され、第3の曲面71cは、第2の曲率半径Rbを有する曲面で形成される稜線に形成されている。
【0066】
なお、第1の曲率半径Raは、例えば2mmに設定されており、第2の曲率半径Rbは、例えば4mmに設定されている。また、第3の曲率半径Rcは、例えば0.5mmに設定されている。
【0067】
ここで、先に説明した略砲弾型に形成した導電部材26では、製品ごとのバラツキや組み立ての際のズレによって、曲面部26aの頭頂部で誘電体22の第2の面部22bに当接しないおそれがある。しかしながら、この他の実施の形態に係る導電部材70では、製品ごとのバラツキや組み立ての際に保持部材24と導電部材70との間でズレが発生しても、確実に第2の曲面71b又は第3の曲面71cを誘電体22の第2の面部22bに確実に接触させることができる。
【0068】
なお、上述した他の実施の形態においては、導電部材70の軸方向の一端を第1の曲率半径Raと第2の曲率半径Rbを略90°に交わるように形成した例を説明したが、これらの曲率半径は、略90°にする場合に限られない。例えば、第1の曲率半径Raと第2の曲率半径Rbを互いに異なる2つの角度方向から形成し、第1の曲率半径Raを有する曲面で形成した稜線と第2の曲率半径Rbを有する曲面で形成した稜線を面取りして、丸みを設けてもよい。これによっても、製品ごとのバラツキや組み立ての際に保持部材24と導電部材との間でズレが発生しても、確実に第2の曲面又は第3の曲面を誘電体22の第2の面部22bに確実に点接触させることができる。
【0069】
[弾性部材]
図15Aは、弾性部材27の正面図、図15Bは、弾性部材27の平面図である。弾性部材27は、例えば導電性を有するコイルばねであり、弾性を有する巻回部51と、この巻回部51の一端部に端子片53と、巻回部51の他端部に接続部52とを有している。
【0070】
接続部52は、巻回部51の他端部が巻回の半径方向の内側に向けて略垂直に折り曲げられて形成されている。そして、弾性部材27は、この接続部52を保持部材24の嵌合部42に設けた切り欠き47と係合することで、保持部材24に取り付けられる。図4及び図10に示すように、弾性部材27は、保持部材24に取り付けられた際に、巻回部51が保持部材24の嵌合部42を介して導電部材26の外周を覆うように配設される。このとき、接続部52は、保持部材24と導電部材26の間に介在されて導電部材26に接触する。これにより、弾性部材27は、導電部材26と電気的に接続される。
【0071】
また、端子片53は、巻回部51の一端部が巻回方向に対して略垂直に折り曲げられて形成されている。そして、図3に示すように、この端子片53は、弾性部材27をホルダ21に収納した際に、このホルダ21に設けた貫通孔34を通って、ホルダ21の軸方向の一端側に突出する。そして、端子片53は、図2に示すように、プリント基板17の図示しない接点部に、例えば、半田付け、抵抗溶接や超音波溶接等によって接続される。これにより、弾性部材27は、プリント基板17の電子部品と電気的に接続される。この弾性部材27の材質としては、導電性を有する材質、例えばチタン銅や、ステンレス鋼等の金属が挙げられる。
【0072】
そして、図4に示すように、導電部材26及び弾性部材27は、保持部材24に取り付けられて、ホルダ21の筒孔21aに収納される。このとき、導電部材26の軸方向の一端側に形成された曲面部26aが誘電体22の第2の面部22bに対向し、導電部材26は可変容量コンデンサ15の第2の電極部として働く。
【0073】
図16は、弾性部材の他の実施の形態を示すものである。
この他の実施の形態に係る弾性部材27Aは、接続部52Aを更に巻回部51Aの巻回方向に向けて折り曲げたものである。これにより、弾性部材27Aと導電部材26を保持部材24に取り付けた際に、この接続部52Aが導電部材26の軸方向の他端に突き刺さる。その結果、確実に導電部材26と弾性部材27Aを接続させることができ、導電部材26と弾性部材27Aの接触不良を防止し又は抑制することができる。
【0074】
[可変容量コンデンサ15の組み立て]
このような構成を有する可変容量コンデンサ15は、例えば次のようにして組み立てられる。まず、図10に示すように、導電部材26と弾性部材27とを保持部材24に取り付ける。即ち、弾性部材27の接続部52を保持部材24における嵌合部42に設けた切り欠き47に係合して、弾性部材27を保持部材24に装着する。このとき、弾性部材27の巻回部51は、保持部材24の嵌合部42の外周を覆うように配置される。ここで、嵌合部42に2つの切り欠き47を設けている。これにより、切り欠き47が1つの場合に比べて、弾性部材27の接続部52と保持部材24の切り欠き47の向きを考慮することがないため、弾性部材27の取り付け作業の効率を向上させることができる。
【0075】
次に、導電部材26を保持部材24の嵌合部42に嵌め合わせる。ここで、嵌合部42と導電部材26の嵌め合いが、締まり嵌めの関係をなしているため、導電部材26が保持部材24から外れることを防止し又は抑制することができる。
【0076】
このとき、弾性部材27の接続部52が、導電部材26と保持部材24の間に介在されて、導電部材26と接続部52とが接触する。これにより、導電部材26と弾性部材27が電気的に接続される。更に、弾性部材27の巻回部51が、保持部材24の嵌合部42を間に介して導電部材26の外周を覆うように配置される。これらにより、導電部材26と、弾性部材27と、保持部材24とからなる第1の組立体が組み立てられる。
【0077】
次に、図4に示すように、誘電体22をホルダ21の軸方向の一端側から第2の面部22bをホルダ21の軸方向の他端側に向けて挿入し、ホルダ21のフランジ部31に載置する。次に、端子部材23をホルダ21に取り付ける。即ち、端子部材23の2つの係止部38,38をホルダ21の2つの係止受部33,33に係止する。このとき、端子部材23の平坦部37が、誘電体22の第1の面部22aに面接触する。これにより、端子部材23の平坦部37は、誘電体22の第1の面部22a側の第1の電極の役割をするようになる。
【0078】
ここで、端子部材23の2つの係止部38,38は、弾性を有していて、平坦部37を誘電体22の第1の面部22a側に付勢させる。これにより、端子部材23の平坦部37は、誘電体22の第1の面部22aに押圧されて確実に接触する状態になる。
【0079】
したがって、この実施形態においては、誘電体22の第1の面部22aに電極を形成しなくても、端子部材23を電極として兼用することができる。このため、誘電体22の第1の面部22a上に電極を形成する工程を削減することができる。また、誘電体22の第1の面部22aに対して端子部材23の平坦部37が常に弾性偏倚させて接触する状態とされるので、誘電体22上に形成した電極が、端子部材23との衝合による接触(特に点接触)により磨耗するという問題を解消することができる。
【0080】
また、端子部材23が有する弾性により、誘電体22は端子部材23によりホルダ21の軸方向の他端側に付勢されるので、誘電体22がホルダ21から抜け落ちることを防止することができる。更に、誘電体22がホルダ21内で傾くことを防止し又は抑制することもでき、誘電体22と導電部材26が傾くことなくバランスよく接触させることができる。これらにより、ホルダ21と、誘電体22と、端子部材23とからなる第2の組立体が完成する。
【0081】
次に、第1の組立体をホルダ21の軸方向の他端側から挿入する。このとき、弾性部材27の端子片53を、図7A及び図7Bに示すホルダ21の貫通孔34に通して、ホルダ21の軸方向の一端側から突出させる。そして、第1の組立体を構成する保持部材24の2つの係合部44,44を、ホルダ21の2つの係合穴32,32に係合させる。ここで、2つの係合穴32,32は、ホルダ21の軸方向に沿って所定の長さにわたって開口しているため、保持部材24は、ホルダ21にその軸方向に沿って移動可能に支持される。このとき、導電部材26の曲面部26aが誘電体22の第2の面部22bに近接する。
【0082】
また、保持部材24の2つの係合部44,44を、ホルダ21の2つの係合穴32,32に係合させた際に、弾性部材27の巻回部51がフランジ部31におけるホルダ21の軸方向の他端側に当接する。
【0083】
このとき、弾性部材27の巻回部51は、保持部材24とホルダ21のフランジ部31との間に若干圧縮された状態で介在する。このため、弾性部材27により、常に導電部材26は誘電体22から離反する方向に付勢される。そのため、芯体12に圧力(筆圧)が加わっていない初期状態では、導電部材26が上方に位置するように可変容量コンデンサ15の向きを逆さにしても、導電部材26と誘電体22とが接触することを防止し又は抑制することができる。その結果、導電部材26と誘電体22とが貼り付くことを防止し又は抑制することができるため、導電部材26又は誘電体22が劣化することを防止でき、可変容量コンデンサ15の耐久性を向上させることが可能である。
【0084】
以上の様にして、図3及び図4に示すような、可変容量コンデンサ15の組み立てが完了する。なお、可変容量コンデンサ15の組み立ては、上述したものに限定されるものではない。即ち、第1の組立体と第2の組立体の組み立ては、どちらを先に行ってもよい。
【0085】
[可変容量コンデンサ15の動作]
次に、図2、図4及び図17を参照して本例の可変容量コンデンサ15の動作について説明する。図17は、芯体12に圧力(筆圧)が加わった状態を示す可変容量コンデンサ15の断面図である。
【0086】
芯体12の指示部12aに対して図17に示す矢印Kの方向に圧力(筆圧)がかかると、可変容量コンデンサ15の保持部材24は、芯体12の軸部12bの他端に押圧される。これにより、図17に示すように、保持部材24は、ホルダ21の筒孔21a内をホルダ21の軸方向の一端側に移動する。そして、導電部材26の曲面部26aが誘電体22の第2の面部22bに接触する。更に芯体12の指示部12aに圧力がかかると、導電部材26は、誘電体22の第2の面部22bに押圧されて変形(扁平化)する。その結果、導電部材26と第2の面部22bとの接触面積が変化することにより、誘電体22の容量値が変化する。そして、端子部材23と弾性部材27の間でその容量値が検出される。これにより、指示部12aにかかる圧力を検出することができる。
【0087】
図4に示すように、芯体12に圧力(筆圧)が加わっていない状態(初期状態)では、導電部材26は、誘電体22の第2の面部22bから物理的に離れており、第2の面部22bと接触していない。したがって、導電部材26の曲面部26aと誘電体22の第2の面部22bとの間には空気層が存在することになる。このため、このときの誘電体22の第1の面部22a側の第1の電極(端子部材23)と、第2の電極部との間の容量値(初期容量)は、ほぼ誘電体22による容量と比誘電率1.0の空気層による容量との直列合成容量に等しくなり、かなり小さいものとなる。
【0088】
芯体12に圧力が加わると、導電部材26と誘電体22の第2の面部22bとの間の空気層の厚さは、初期状態よりも薄くなる。すると、この空気層による容量は、当該空気層の厚さに反比例して大きくなり、その分、可変容量コンデンサ15の第1の電極と第2の電極との間の合成容量値も大きくなる。
【0089】
芯体12に加わる圧力が増加して、図17に示すように、導電部材26の曲面部26aが誘電体22の第2の面部22bに接触すると、その接触部分においては、誘電体22による容量のみとなる。そして、その後、芯体12に加わる押圧力がさらに増加すると、誘電体22の比誘電率は空気よりも大きいので、可変容量コンデンサ15の第1および第2の電極間の容量値は、誘電体22と導電部材26の曲面部26aとの接触面積にほぼ比例して増加する。
【0090】
以上のことから、可変容量コンデンサ15の容量は、導電部材26の曲面部26aが誘電体22の第2の面部22bに接触するまでは、非常に小さく、筆圧により、導電部材26の曲面部26aと誘電体22の第2の面部22bとの間の空気層の厚さが徐々に小さくなるに従い大きくなる。そして、導電部材26の曲面部26aが誘電体22の第2の面部22bに接触した後には、可変容量コンデンサ15の容量は、導電部材26の曲面部26aと誘電体22の第2の面部22bとの接触面積に比例して大きくなる。
【0091】
このときの可変容量コンデンサ15の容量値の増大変化は誘電体22の第2の面部22bの研磨精度にかかっており、この実施形態では、鏡面仕上げとされているため、接触面積に正しく比例した増加変化をする。
【0092】
ここで、弾性部材27の弾性力は、芯体12にかかる圧力(筆圧)よりも小さくなるように設定して、弾性部材27の弾性力が可変容量コンデンサ15で検出される筆圧特性に影響を与えないようにしている。また、誘電体22の第2の面部22bは、鏡面加工が施されている。そのため、誘電体22の第2の面部22bと導電部材26が接触を繰り返すことによる導電部材26の摩耗の低減を図ることができる。更に、第2の面部22bに鏡面加工を施して、平滑な面にすることで、可変容量コンデンサ15の初期感度を向上させることもできる。
【0093】
また、図4に示すように、芯体12の指示部12aに圧力が加わらなくなると、保持部材24は、弾性部材27の弾性力と導電部材26の曲面部26aの復元力とによって、ホルダ21の筒孔21a内をホルダ21の軸方向の他側に移動する。そして、導電部材26は、誘電体22の第2の面部22bから離れる。
【0094】
更に、芯体12の指示部12aを上方に向けても、弾性部材27の弾性力により、保持部材24が、芯体12や保持部材24の自重によってホルダ21内を誘電体22側に移動することを防止し又は抑制することができる。その結果、芯体12に圧力が加わっていない状態で、導電部材26と誘電体22とが接触することを防止し又は抑制することができると共に、立ち下がりの応答性を向上させることが可能である。
【0095】
また、保持部材24に2つの係合部44,44を設け、ホルダ21にこの2つの係合部44,44が係合される2つの係合穴32,32を設けている。その結果、2つの係合部44,44が、ホルダ21の2つの係合穴32,32の軸方向の他端側に当接することで、保持部材24がホルダ21から抜け落ちることを防止することができる。
【0096】
[位置検出装置の回路構成]
次に、上述の実施形態の位置指示器2を用いて指示位置の検出および筆圧の検出を行う位置検出装置1の具体的な実施形態の回路構成例について、図18を参照して説明する。図18は、位置指示器2及び位置検出装置1の回路構成例を示すブロック図である。位置指示器2と位置検出装置1とにより入力装置が構成される。
【0097】
位置指示器2は、回路構成としては、位置指示コイル13と、この位置指示コイル13に接続された可変容量コンデンサ15と、この可変容量コンデンサ15に並列に接続される共振コンデンサ60aからなる共振回路61によって現される。
【0098】
一方、位置検出装置1には、X軸方向ループコイル群104aと、Y軸方向ループコイル群104bとを積層させて設けることにより、位置検出コイル101が形成されている。各ループコイル群104a,104bは、例えば、それぞれ40本の矩形のループコイルからなっている。各ループコイル群104a,104bを構成する各ループコイルは、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。
【0099】
また、位置検出装置1には、X軸方向ループコイル群104a及びY軸方向ループコイル群104bが接続される選択回路106が設けられている。この選択回路106は、2つのループコイル群104a,104bのうちの一のループコイルを順次選択する。
【0100】
さらに、位置検出装置1には、発振器103と、電流ドライバ105と、切り替え接続回路107と、受信アンプ108と、検波器109と、低域フィルタ110と、サンプルホールド回路112と、A/D変換回路113と、同期検波器116と、低域フィルタ117と、サンプルホールド回路118と、A/D変換回路119と、処理部114とが設けられている。
【0101】
発振器103は、周波数f0の交流信号を発生し、電流ドライバ105と同期検波器116に供給する発振器103である。電流ドライバ105は、発振器103から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路107へ送出する。切り替え接続回路107は、後述する処理部114からの制御により、選択回路106によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子S)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ105が、受信側端子Rには受信アンプ108が、それぞれ接続されている。
【0102】
選択回路106に選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路106及び切り替え接続回路107を介して受信アンプ108に送られる。受信アンプ108は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、検波器109及び同期検波器116へ送出する。
【0103】
検波器109は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、低域フィルタ110へ送出する。低域フィルタ110は、前述した周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、検波器109の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路112へ送出する。サンプルホールド回路112は、低域フィルタ110の出力信号の所定のタイミング、具体的には受信期間中の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路113へ送出する。A/D変換回路113は、サンプルホールド回路112のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理部114に出力する。
【0104】
一方、同期検波器116は、受信アンプ108の出力信号を発振器103からの交流信号で同期検波し、それらの間の位相差に応じたレベルの信号を低域フィルタ117に送出する。この低域フィルタ117は、周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、同期検波器116の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路118に送出する。このサンプルホールド回路118は、低域フィルタ117の出力信号の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路119へ送出する。A/D変換回路119は、サンプルホールド回路118のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理部114に出力する。
【0105】
処理部114は、位置検出装置1の各部を制御する。すなわち、処理部114は、選択回路106におけるループコイルの選択、切り替え接続回路107の切り替え、サンプルホールド回路112、118のタイミングを制御する。処理部114は、A/D変換回路113、119からの入力信号に基づき、X軸方向ループコイル群104a及びY軸方向ループコイル群104bから一定の送信継続時間をもって電波を送信させる。
【0106】
X軸方向ループコイル群104a及びY軸方向ループコイル群104bの各ループコイルには、位置指示器2から送信される電波によって誘導電圧が発生する。処理部114は、この各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて位置指示器2のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。また、処理部114は、送信した電波と受信した電波との位相差に基づいて筆圧を検出する。
【0107】
次に、処理部114における処理の流れに沿った位置検出装置1の動作について、図19を参照して説明する。図19は、処理部114における処理の流れを示す図である。
【0108】
まず、処理部114は、X軸方向ループコイル群104aの各ループコイルを順次走査・選択(以下、この順次走査・選択をグローバルスキャンする)する(ステップS1)。
【0109】
このグローバルスキャンを具体的に説明すると、処理部114は、初めに、選択回路106にX軸方向ループコイル群104aのうちの1番目のループコイル、例えばループコイルX1を選択する情報を送出するとともに、切り替え接続回路107に送信側を選択する信号を送出する。これにより、発振器103からループコイルX1に周波数f0の正弦波信号が供給され、ループコイルX1が周波数f0の電波を発生する。このとき、位置検出装置1の上面300aに位置指示器2が接近或いは接触していると、ループコイルX1から発生した電波が、位置指示コイル13を有する共振回路61を励振する。その結果、共振回路61には、周波数f0の誘導電圧が発生する。
【0110】
処理部114は、切り替え接続回路107に送信側端子Tを選択する信号を所定の一定時間送出すると、切り替え接続回路107に受信側端子Rを選択する信号を送出し、ループコイルX1より発生する電波を消滅させる。この際、位置指示器2の共振コンデンサ60a及び可変容量コンデンサ15を有する共振回路61に発生した誘導電圧は、その損失に応じて徐々に減衰し、共振回路61が周波数f0の電波を発信する。この電波は、前述のループコイルX1を逆に励振し、ループコイルX1に誘導電圧を発生させる。
【0111】
処理部114は、切り替え接続回路107に受信側端子Rを選択する信号を一定時間送出すると、選択回路106にX軸方向ループコイル群104aのうちの2番目のループコイル、例えばループコイルX2を選択する情報を切り替え接続回路107に送出する。その後、処理部114が切り替え接続回路107に受信側端子Rを選択する信号を送出することにより、前述と同様な電波の送受信を行う。
【0112】
以下、処理部114が同様の処理を実行することにより、X軸方向ループコイル群104aのうちの3番目から40番目までのループコイル、例えばループコイルX3〜X40が順次走査・選択される。その結果、ループコイルX3〜X40において、電波の送受信が行われる。
【0113】
なお、ステップS1の処理において、処理部114は、X軸方向ループコイル群104aの全てのループコイルを選択することなく、選択するループコイルを1つ置き、2つ置き、というように適当に間引いてもよい。また、一のループコイルに対する電波の送受信を複数回行うようにしてもよい。さらに、各ループコイルに対する送信時間、並びに各ループコイルに対する受信時間は等しくなければならないが、送信時間と受信時間は必ずしも同一でなくてもよい。
【0114】
前述した受信期間中にX軸方向ループコイル群104aのループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号は、検波器109で検波されて直流信号に変換され、低域フィルタ110で平滑化される。そして、サンプルホールド回路112によって所定のタイミングでホールドされ、A/D変換回路113を介することにより、電圧値として処理部114へ送出される。
【0115】
図20は、前述したX軸グローバルスキャン動作(図19のステップS1)における各部の波形の一例を示すものである。図20において、(a)は位置検出コイル101から送信される電波、(b)は共振回路61に発生した誘導電圧、(c)は位置検出装置1が受信した受信信号、(d)はサンプルホールド回路112の出力信号を示している。
【0116】
ここで、サンプルホールド回路112の出力レベルは位置指示器2とループコイルとの間の距離に依存した値となる。そのため、処理部114は、サンプルホールド回路112の出力レベルの最大値が予め設定した一定値以上であるか否かを判別し(ステップS2)、位置指示器2が位置検出装置1の有効読取り高さ内にあるか否かを判定する。
【0117】
ステップS2の処理において、サンプルホールド回路112の出力レベルの最大値が予め設定した一定値以上ではない、つまり、位置指示器2が有効読取り高さ内にないと判定した場合(ステップS2の“NO”)、処理部114は、処理をステップS1に戻す。
【0118】
一方、位置指示器2が有効読取り高さ内にあると判定した場合(ステップS2の“yes”)、処理部114は、各ループコイルX1〜X40のうち最大値が得られたループコイル(以下、ピークコイルと称す。)を抽出し、その番号(本例では「X7」)を記憶する(ステップS3)。
【0119】
次に、処理部114は、Y軸方向ループコイル群104bの各ループコイルを順次走査・選(グローバルスキャン)し(ステップS4)、Y軸方向ループコイル群104bの各ループコイルにおける電波の送受信を行う。
【0120】
図21は、Y軸グローバルスキャン動作における各部の波形の一例を示すものである。図21において、(a)、(b)、(c)、(d)に示す各信号は図20の(a)、(b)、(c)、(d)に示す信号と同様の信号である。
【0121】
次に、処理部114は、各ループコイルY1〜Y40のうち最大値が得られたループコイル(以下、ピークコイルと称す。)を抽出し、その番号(本例では「Y5」)を記憶する(ステップS5)。
【0122】
次に、処理部114は、X軸方向ループコイル群104aのうちのピークコイルを中心として、そのピークコイルに隣接する所定の数のループコイル、例えば5つのループコイルについて電波の送受信を行う。この電波の送受信において、電波を送信するとき、すなわち切り替え接続回路107で送信側端子Tを選択するときには、処理部114が常にピークコイル(本例では「ループコイルX7」)を選択する。一方、電波を受信するとき、すなわち切り替え接続回路107で受信側端子Rを選択するときには、処理部114は、ループコイル(本例では5つ)を番号の小さい方から大きい方(又は大きい方から小さい方)へ順次走査・選択(セクタスキャン)する(ステップS6)。
【0123】
X軸セクタスキャン動作が終了すると、処理部114は、Y軸方向ループコイル群104bのうちのピークコイルを中心とする所定の数、例えば5つのループコイルについて電波の送受信を行う。この電波の送受信において、電波を送信するとき、すなわち切り替え接続回路107で送信側端子Tを選択するときには、処理部114が常にピークコイル(本例では「ループコイルY5」)を選択する。一方、電波を受信するとき、すなわち切り替え接続回路107で受信側端子Rを選択するときには、処理部114は、ループコイル(本例では5つ)を番号の小さい方から大きい方(又は大きい方から小さい方)へ順次走査・選択(セクタスキャン)する(ステップS7)。
【0124】
図22は、X軸セクタスキャン動作及びY軸セクタスキャン動作における各部の波形の一例を示すものである。図22において、(a)、(b)、(c)、(d)に示す各信号は図20の(a)、(b)、(c)、(d)に示す信号と同様の信号である。
【0125】
Y軸セクタスキャン動作が終了すると、処理部114は、ステップS6,S7の処理で得られた誘導電圧の最大値が予め設定した一定値以上か否かを判別し(ステップS8)、位置指示器2が位置検出装置1の有効読取り高さ内にあるか否かを判定する。
【0126】
ステップS8の処理において、サンプルホールド回路112の出力レベルの最大値が予め設定した一定値以上ではない、つまり、位置指示器2が有効読取り高さ内にないと判定した場合(ステップS8の“NO”)、処理部114は、処理をステップS1に戻す。
【0127】
一方、位置指示器2が有効読取り高さ内にあると判定した場合(ステップS8の“yes”)、処理部114は、最大の誘導電圧が得られたX軸方向のピークコイル及びY軸方向のピークコイルを抽出し、それぞれの番号を記憶する(ステップS9)。
【0128】
次に、処理部114は、X軸方向及びY軸方向のセクタスキャン毎にレベルの大きい順に複数、例えば3つの誘導電圧をそれぞれ抽出し、これらの信号に基づいて位置指示器2による指示位置のX軸方向及びY軸方向の座標値を求める(ステップS10)。このX軸方向及びY軸方向の座標値は、本出願人が先に出願した特許第2131145号で述べているような周知の座標計算を実行することにより算出することができる。
【0129】
次に、処理部114は、送信した電波と受信した電波の位相差に応じた信号のレベルから筆圧を検出する(ステップS12)。以下、位置指示器2が有効読取り高さ内にあり続ける限り、処理部114は、ステップS6〜S11の処理を繰り返し、有効読取り高さ内にないと判定した場合にステップS1の処理に復帰する。
【0130】
このように、位置検出装置1では、接近した位置指示器2の位置を処理部114で検出することができる。しかも、受信した信号の位相を検出することにより、位置指示器2の筆圧値の情報を得ることができる。
【0131】
[位置指示器2における筆圧(圧力)の検出精度]
前述したように、可変容量コンデンサ15は、位置指示器における筆圧検出部を構成するが、次に、図23A及び図23Bを参照して、上述した実施形態の可変容量コンデンサ15と従来の可変容量コンデンサによる筆圧(圧力)の検出精度について説明する。
【0132】
図23A及び図23Bは、横軸に芯体12にかかる荷重をとり、縦軸に位相(送信した電波と受信した電波との位相差)をとったときの、可変容量コンデンサの位相−荷重特性を示すグラフである。そして、図23Aは、上述した実施形態の可変容量コンデンサ15の位相−荷重特性を示すグラフ、図23Bは、図41に示した従来の可変容量コンデンサの位相−荷重特性を示すグラフである。
【0133】
実施形態の可変容量コンデンサ15は、誘電体22の第2の面部22bに鏡面加工を施し、且つ導電部材26の接触部分を曲面状に形成している。その結果、図23Aに示すように、1gの微小な荷重(圧力)を検出することが可能である。また、弾性部材27の弾性力は、例えば1g以下の芯体12にかかる圧力(筆圧)よりも非常に小さくなるように設定し、弾性部材27の弾性力が筆圧特性に影響を与えないようにしている。これに対し、図23Bに示すように、従来の可変容量コンデンサは、10g〜20gの無感領域があり、芯体にかかる微小な圧力を検出することができない。
【0134】
また、従来の可変容量コンデンサ200は、第2の電極203を誘電体201から離すための構成を有していない。また、図23Bに示すように、荷重を加えると曲線(矢印E′)のように位相が変化し、除荷すると曲線(矢印F′)のように位相が変化していることが分かる。この図23Bに示すように、ヒステリシスが大きくなり、ある荷重を加えたときと除荷した時の位相差(矢印H′)が大きく異なっている。その結果、筆圧のコントロールが難しくなり、可変容量コンデンサを位置指示器に搭載した際に、位置指示器の書き味や感触が低下していた。
【0135】
これに対し、上述の実施形態の可変容量コンデンサ15は、弾性部材27の弾性力と導電部材26の曲面部26aの復元力とによって、導電部材26を誘電体22から離す方向に付勢している。また、図23Aに示すように、荷重を加えると曲線(矢印E)のように位相が変化し、除荷すると曲線(矢印F)のように位相が変化していることが分かる。この図23Aで示すように、従来の可変容量コンデンサ200よりもヒステリシスを小さくすることができ、ある荷重を加えた時と除荷した時の位相差(矢印H′)を小さくすることができる。その結果、筆圧のコントロールが容易にすることができ、可変容量コンデンサ15を位置指示器2に搭載した際に、位置指示器の書き味や感触を向上させることができる。
【0136】
[位置指示器の他の例]
図24は、位置指示器2に設けられる共振回路の他の例(第2の例)を示す説明図である。この例の共振回路62は、位置指示コイル13と、可変容量コンデンサ15によって構成されている。共振回路の第1の例である共振回路61(図18を参照)では、可変容量コンデンサ15と共振コンデンサ60aを並列に接続して並列共振回路を構成した。しかしながら、位置指示器2の共振回路としては、図24に示すように、コンデンサとして可変容量コンデンサ15だけを用いて構成することもできる。
【0137】
次に、位置指示器の他の例について、図25を参照して説明する。図25は、他の例の位置指示器2Aを示す電気回路図である。なお、この図25の説明において、図18と対応する部分には、図18と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0138】
位置指示器2Aは、位置検出装置1に設けられた位置検出コイル101(図18を参照)から送出されるf0の周波数で共振する共振回路121を有している。この共振回路121は、位置指示コイル13と共振コンデンサ60aとによって構成されている。また、位置指示器2Aの回路基板には、周知のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)技術による集積回路(IC:Integrated Circuit)122が配置される。この集積回路122は、ダイオード123とコンデンサ124とから構成される駆動電源によって駆動される。
【0139】
このダイオード123は、共振回路121に接続されている。そして、このダイオード123には、位置検出コイル101から供給される励磁信号に基づいて共振回路121に発生する交流電圧が印加される。この交流電圧は、ダイオード123とコンデンサ124とによって整流され、さらに直流に変換されて、集積回路122の駆動電源とされる。また、共振回路121に発生した信号は、コンデンサ125を介して集積回路122にも供給される。この集積回路122は、コンデンサ125を介して供給される信号に基づいて、位置指示器2Aと位置検出装置1との間で信号の送受信を行うために使用されるクロック信号及び筆圧検出のためのクロック信号を生成する。
【0140】
可変容量コンデンサ15は、上述したように、芯体12(図2を参照)に加えられる筆圧によってその容量が変化する。この可変容量コンデンサ15は、抵抗(図示せず)と接続されて時定数回路を構成している。したがって、可変容量コンデンサ15の容量が筆圧に応じて変化すると、時定数回路の時定数が変化する。そして、この時定数は、集積回路122で、所定のビット数、例えば8ビットの筆圧値に変換される。
【0141】
このようにして求められた筆圧データ(8ビットの筆圧値)は、前述した位置検出装置1と位置指示器2Aとの間の信号の送受信に供されるクロック信号に同期して1ビットずつ集積回路122から出力される。この出力により、集積回路122は、共振回路121に並列的に接続されたスイッチ60bのON/OFFの切り替えを制御する。したがって、このスイッチ60bがオフの際には、位置検出装置1が位置指示器2Aからの信号を検出する。そして、スイッチ60bがオンの際には、共振回路121が短絡されるため、位置指示器2Aから送出された信号は、位置検出装置1で検出できない。
【0142】
これにより、位置検出装置1は、位置検出コイル101から一定時間、位置指示器2Aに電力を供給するための励磁信号を送信し、その後、位置指示器2Aから送出される信号を検出することで、芯体12に加えられる筆圧を求めることができる。
【0143】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、位置指示器の可変容量コンデンサにおいて、端子部材23の平坦部37と誘電体の第1の面部22aとの接触部の構成が第1の実施形態とは異なる。図26は、この第2の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ150の構成を示す図である。この図26の可変容量コンデンサ150において、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0144】
この第2の実施形態においては、誘電体22の第1の面部22a側に設けられる端子部材23の平坦部37は、誘電体22の第1の面部22aに直接に接触するのではなく、端子部材23の平坦部37と誘電体22の第1の面部22aとの間に、例えば導電性ゴムからなる導電性弾性部材81を介在させるようにする。
【0145】
この導電性弾性部材81は、図27に示すように、端子部材23の平坦部37にほぼ等しい、あるいは若干大きい円板状の形状とされる。そして、可変容量コンデンサ150が組み立てられたときに、端子部材23の係止部38,38による弾性偏倚力により、導電性弾性部材81が、端子部材23の平坦部37と誘電体22の第1の面部22aとの間に挟持される。
【0146】
この第2の実施形態によれば、導電性弾性部材81を介することにより、端子部材23の平坦部37の全面積部分が、誘電体22の第1の面部22aに対して確実に接触する状態になる。したがって、筆圧により誘電体22が第2の面部22b側から押圧偏倚したときにも、誘電体22の第1の面部22a側の第1の電極は、導電性弾性部材81を介した端子部材23の平坦部37と誘電体22の第1の面部22aとの接触面積からなる安定した電極面積を有するものとなる。
【0147】
なお、導電性弾性部材81は、誘電体22および端子部材23とは別部材として用意して、可変容量コンデンサ150の組立の際に、誘電体22の第1の面部22aと端子部材23の平坦部37との間に挟持させるようにしても良いが、誘電体22の第1の面部22a、あるいは、端子部材23の平坦部37に、予め接着しておくようにしても良い。
【0148】
[第3の実施形態]
第3の実施形態も、位置指示器の可変容量コンデンサにおいて、端子部材23の平坦部37と誘電体の第1の面部22aとの接触部の構成が第1の実施形態および第2の実施形態とは異なる。すなわち、この第3の実施形態においては、図28に示すように、誘電体22の第1の面部22aには、端子部材23の平坦部37が接触する面積部分と等しい領域、あるいは当該面積部分よりも大きい領域に、電極層82を形成しておく。この電極層82は、例えば、銀ペーストを誘電体22の第1の面部22aに焼結することにより形成する。その他の構成は、上述した第1の実施形態と同様とする。
【0149】
このように構成したことにより、第3の実施形態の可変容量コンデンサにおいては、端子部材23の平坦部37は、端子部材23の弾性力により押圧偏倚力を受けながら、誘電体22の第1の面部22aに所定の面積を持って接触したとき、電極層82に確実に接触する。
【0150】
そして、この第3の実施形態の場合には、誘電体22の第1の面部2a側の第1の電極の面積は、電極層82の面積で決まり、安定な電極面積となる。この第3の実施形態の場合には、電極層82が存在しても、常に端子部材23の弾性力により、当該端子部材23の平坦部37が電極層82に面接触している状態となる。したがって、端子部材23と誘電体22の第1の面部22aの電極層82との間で、従来のような衝合が生じるおそれはないので、電極層82の磨耗はほとんど無く、耐久性に優れる。
【0151】
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、誘電体22の第1の面部22aと接触する端子部材の構成が、上述の実施形態とは異なる。図29は、この第4の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ151の構成例を示すものである。この図29の可変容量コンデンサ151においても、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0152】
この第4の実施形態においては、誘電体22の第1の面部22a側に設けられる端子部材は、図29および図30に示すような端子部材400とされる。この端子部材400は、端子部材23と同様の導電性金属で構成されるもので、弾性係合部401と、リード片402とからなる。弾性係合部401は、図30Aに示すように、断面形状がU字型とされており、そのU字に折り曲げられている底部に誘電体22の第1の面部22aと接触する平坦部403を備える。
【0153】
また、リード片402は、図30A,Bに示すように、U字の一方の端部から延長して設けられている。そして、このリード片402は、図2に示したプリント基板17の図示しない接点部に、例えば、抵抗溶接や超音波溶接等によって接続される。これにより、端子部材400は、プリント基板17の電子部品と電気的に接続される。
【0154】
この実施形態では、ホルダ21の軸方向の一端側には誘電体22の第1の面部22aと対向する蓋部21cがホルダ21に固着されて設けられる。この蓋部21cには、端子部材400のリード片402が貫通する貫通孔(図示せず)が設けられている。
【0155】
そして、この実施形態の可変容量コンデンサ151の組立に際し、蓋部21cをホルダ21に固着する前に、この蓋部21cの貫通孔に端子部材400のリード片402を挿通しておく。そして、U字型の弾性係合部401が蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの間の空間に配置される状態で、蓋部21cをホルダ21に固着する。
【0156】
この場合、端子部材400の平坦部403の誘電体22の第1の面部22aと接触する面から、U字型の弾性係合部401の端部401aおよび401bまでの長さは、固着された蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの距離よりも長く設定されている。
【0157】
このため、蓋部21cがホルダ21に固着された状態では、端子部材400のU字型の弾性係合部401の端部401aおよび401bは、蓋部21cに当接し、弾性係合部401の弾性偏倚力により、平坦部403は誘電体22の第1の面部22a側に偏倚させられ、平坦部403は誘電体22の第1の面部22aに圧接される状態となる。
【0158】
以上のように、この第4の実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様に、端子部材400の平坦部403は誘電体22の第1の面部22aに押圧されて接触する状態になり、端子部材400は第1の電極として動作する。したがって、この第4の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0159】
なお、図29に示した可変容量コンデンサ151の例は、端子部材400の平坦部403を直接的に誘電体22の第1の面部22aに接触させるようにした場合であるが、前述した第2の実施形態のように、端子部材400の平坦部403と誘電体22の第1の面部22aとの間に、導電性弾性部材81を介在させるようにしてもよい。また、第3の実施形態のように、誘電体22の第1の面部22aに金属電極82を形成しておき、その金属電極82と端子部材400の平坦部403とを接触させるように構成しても良い。
【0160】
[第5の実施形態]
第5の実施形態も、誘電体22の第1の面部22aと接触する端子部材の構成が、上述の実施形態とは異なる。図31は、この第5の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ152の構成例を示すものである。この図31の可変容量コンデンサ152においても、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0161】
この第5の実施形態においては、誘電体22の第1の面部22a側に設けられる端子部材は、図31および図32に示すような端子部材410とされる。この端子部材410は、端子部材23と同様の導電性金属で構成されるもので、弾性係合部411と、リード片412とからなる。弾性係合部411は、図32Aに示すように、板状の金属が渦巻き状に形成されており、その底部に誘電体22の第1の面部22aと接触する平坦部413を備える。
【0162】
また、リード片412は、図32A,Bに示すように、渦巻き状の板状金属の最外周の部分の端部から延長して設けられている。そして、このリード片412は、図2に示すプリント基板17の図示しない接点部に、例えば、抵抗溶接や超音波溶接等によって接続される。これにより、端子部材410は、プリント基板17の電子部品と電気的に接続される。
【0163】
そして、この第5の実施形態においても、第4の実施形態と同様に、ホルダ21の軸方向の一端側に設けられる蓋部21cには、端子部材410のリード片412が貫通する貫通孔(図示せず)が設けられている。
【0164】
そして、この実施形態の可変容量コンデンサ152の組立に際し、蓋部21cをホルダ21に固着する前に、この蓋部21cの貫通孔に端子部材410のリード片412を挿通しておく。そして、弾性係合部411が蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの間の空間に配置される状態で、蓋部21cをホルダ21に固着する。
【0165】
この場合、端子部材410の平坦部413の誘電体22の第1の面部22aと接触する面から、前記平坦部413と対向する渦巻状の弾性係合部411の上端部411aまでの距離は、固着された蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの距離よりも大きく設定されている。
【0166】
このため、蓋部21cがホルダ21に固着された状態では、端子部材410の渦巻状の弾性係合部411の上端部411aは蓋部21cに当接し、弾性係合部411の弾性偏倚力により、平坦部413は誘電体22の第1の面部22a側に偏倚させられ、平坦部413は誘電体22の第1の面部22aに圧接される状態となる。
【0167】
以上のように、この第5の実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様に、端子部材410の平坦部413は誘電体22の第1の面部22aに押圧されて接触する状態になり、端子部材410は第1の電極として動作する。したがって、この第5の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0168】
なお、図31に示した可変容量コンデンサ152の例は、端子部材410の平坦部413を直接的に誘電体22の第1の面部22aに接触させるようにした場合であるが、前述した第2の実施形態のように、端子部材410の平坦部413と誘電体22の第1の面部22aとの間に、導電性弾性部材81を介在させるようにしてもよい。また、第3の実施形態のように、誘電体22の第1の面部22aに金属電極82を形成しておき、その金属電極82と端子部材410の平坦部413とを接触させるように構成しても良い。
【0169】
[第6の実施形態]
第6の実施形態も、誘電体22の第1の面部22aと接触する端子部材の構成が、上述の実施形態とは異なる。図33は、この第6の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ153の構成例を示すものである。この図33の可変容量コンデンサ153においても、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0170】
この第6の実施形態においては、誘電体22の第1の面部22a側に設けられる端子部材は、図33および図34に示すような端子部材420とされる。この端子部材420は、端子部材23と同様の導電性金属で構成されるもので、円板状係合部421と、棒状のリード片422とからなる。円板状係合部421は、図34に示すように、導電性金属からなる円板で構成されており、この円板状係合部421の一面421aから、当該一面421aに対して垂直な棒状片が植立されることにより、リード片422が形成されている。
【0171】
このリード片422は、図2に示したプリント基板17の図示しない接点部に、例えば、抵抗溶接や超音波溶接等によって接続される。これにより、端子部材420は、プリント基板17の電子部品と電気的に接続される。
【0172】
そして、この第6の実施形態においても、第4の実施形態と同様に、ホルダ21の軸方向の一端側に設けられる蓋部21cには、端子部材420のリード片422が貫通する貫通孔(図示せず)が設けられている。
【0173】
そして、この第6の実施形態においては、棒状のリード片422にコイルばね423が挿通して設けられ、このコイルばね423の弾性偏倚力により端子部材420の円板状係合部421の一面421aと反対側の面が、誘電体22の第1の面部22aに圧接されるようにされる。
【0174】
この第6の実施形態の可変容量コンデンサ153の組立に際しては、端子部材420の棒状リード片422にコイルばね423を挿通させた後、棒状リード片を蓋部21cの貫通孔に挿通しておく。そして、端子部材420の円板状係合部421の一面421aとは反対側の面を誘電体22の第1の面部22aと接触させ、かつ、コイルばね423を収縮させた状態で、蓋部21cをホルダ21に固着する。
【0175】
すると、蓋部21cがホルダ21に固着された状態では、コイルばね423が端子部材420の円板状係合部421を、誘電体22の第1の面部22a側に偏倚させるように働く。
【0176】
以上のように、この第6の実施形態においても、端子部材420の円板状係合部421は誘電体22の第1の面部22aに押圧されて接触する状態になり、端子部材420は第1の電極として動作する。したがって、この第6の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0177】
[第7の実施形態]
第7の実施形態も、誘電体22の第1の面部22aと接触する端子部材の構成が、上述の実施形態とは異なる。図35は、この第7の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ154の構成例を示すものである。この図35の可変容量コンデンサ154においても、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0178】
この第7の実施形態においては、誘電体22の第1の面部22a側に設けられる端子部材は、図35に示すような端子部材430とされる。この端子部材430は、この例では、1個の球形の弾性部材431と、蓋部21cと、リード片432とから構成される。弾性部材431は、例えば導電ゴムで構成される。そして、この例では、球形の弾性部材431の直径は、固着された蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの距離よりも大きく設定されている。
【0179】
そして、この第7の実施形態においては、蓋部21cが導電金属で構成され、この蓋部21cに、プリント基板17の接点部に接続するためのリード片432が接続されて設けられる。
【0180】
そして、この第7の実施形態の可変容量コンデンサ154の組立においては、弾性部材431を誘電体22の第1の面部22aと蓋部21cとの間に配した状態で、蓋部21cをホルダ21に固着する。
【0181】
すると、弾性部材431の直径が、固着された蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの距離よりも大きいので、弾性部材431は、つぶれて、誘電体22の第1の面部22aと面接触の状態で圧接される状態となる。
【0182】
以上のように、この第7の実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様に、端子部材430は、誘電体22の第1の面部22aに押圧されて面接触する状態になり、端子部材430は第1の電極として動作する。したがって、この第7の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0183】
なお、上述の第7の実施形態の説明では、端子部材430は、1個の弾性部材431を用いているが、複数個、例えば図36に示すように、2個の弾性部材431a、431bを用いるようにしても良い。
【0184】
[第8の実施形態]
第8の実施形態も、誘電体22の第1の面部22aと接触する端子部材の構成が、上述の実施形態とは異なる。図37は、この第7の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ155の構成例を示すものである。この図37の可変容量コンデンサ155においても、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0185】
この第8の実施形態においては、誘電体22の第1の面部22a側に設けられる端子部材は、図37に示すような端子部材440とされる。この端子部材440は、この例では、弾性係合部441と、リード片442とから構成される。弾性係合部441は、誘電体22の第2の面部22b側に設けられる導電部材26と同様の砲弾形状の例えば導電ゴムで構成される。そして、この例では、弾性係合部441の軸方向の長さは、固着された蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの距離よりも若干大きく設定されている。
【0186】
リード片442は、導電性金属で構成されており、弾性部材441と接続される金属板部442aと、プリント基板17の図示しない接点部に接続されるように形成される棒状片442bとからなる。蓋部21cには、リード片442の棒状片442bが貫通する貫通孔(図示せず)が設けられている。
【0187】
そして、この第8の実施形態の可変容量コンデンサ155の組立において、蓋部21cをホルダ21に固着する前に、この蓋部21cの貫通孔に端子部材440のリード片442の棒状片442bを挿通しておく。そして、砲弾型の弾性係合部441のドーム状曲面441aを、誘電体22の第1の面部22aと面接触させる状態で、蓋部21cをホルダ21に固着する。前述したように、弾性係合部441の軸方向の長さは、固着された蓋部21cと誘電体22の第1の面部22aとの距離よりも若干大きく設定されているので、弾性係合部441のドーム状曲面441aの、誘電体22の第1の面部22aと接触する部分は弾性偏倚してつぶれた状態になり、弾性係合部441のドーム状曲面441aと誘電体22の第1の面部22aとは面接触する状態になる。
【0188】
以上のように、この第8の実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様に、端子部材440は誘電体22の第1の面部22aに押圧されて接触する状態になり、端子部材440は第1の電極として動作する。したがって、この第8の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0189】
なお、図29、図31、図33、図35、図36および図37に示した可変容量コンデンサの例は、いずれも第1の実施形態と同様に、端子部材400、410、420、430、440を直接的に誘電体22の第1の面部22aに接触させるようにした場合であるが、前述した第2の実施形態のように、端子部材400、410、420、430、440と誘電体22の第1の面部22aとの間に、導電性弾性部材81を介在させるようにしてもよい。また、第3の実施形態のように、誘電体22の第1の面部22aに金属電極82を形成しておき、その金属電極82と端子部材400、410、420、430、440とを接触させるように構成しても良い。
【0190】
[第9の実施形態]
この第9の実施形態も、誘電体22の第2の面部22b側に配される導電部材の他の例を示すものである。図38は、この第9の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ157の構成例を示すものである。この図38の可変容量コンデンサ157は、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15において、誘電体22の第2の面部22b側に配される導電部材26の代わりに、導電部材510が設けられる点が第1の実施形態の例とは異なる。なお、図38において、図4の第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0191】
この第9の実施形態における導電部材510は、導電性弾性部材511と、板ばね512と、コイルばね513とで構成される。
【0192】
板ばね512は、ホルダ21の内部空間に応じた中央部分512aを備えると共に、ホルダ21の外部に突出する大きさのフランジ部512bを備える。そして、板ばね512は、フランジ部512aがホルダ21に移動可能に係止されて、筆圧がかかる方向に弾性偏倚可能とされる。
【0193】
導電性弾性部材511は、ドーム形状の例えば導電ゴムで構成されるもので、板ばね512の中央部分512aのほぼ中央位置に、平面である底面が接着などにより固着されて、板ばね512に取り付けられる。
【0194】
そして、保持部材24の基部41の誘電体22側の先端部と、板ばね512との間にコイルばね513が設けられる。この場合、コイルばね513は、板ばね512の中央部分512aの中心位置に配置される。コイルばね513は、保持部材24が、筆圧に応じて芯体12により誘電体22側に偏倚するときに、その偏倚を板ばね512に伝達するための部材である。
【0195】
この第9の実施形態によれば、筆圧に応じて芯体12に加わる圧力が増加すると、板ばね512が偏倚して、導電性弾性部材511のドーム状曲面511aが誘電体22の第2の面部22bと接触すると共に、その接触面積が筆圧に応じて変化する。そして、筆圧が無くなって、芯体12が元に復帰すると、板ばね512の弾性復帰力により導電性弾性部材511は、誘電体22の第2の面部22bからは確実に離れるようになる。
【0196】
以上のようにして、この第9の実施形態においては、芯体12の指示部12aを上方に向けても、板ばね512の弾性力により、保持部材24が、芯体12や保持部材24の自重によってホルダ21内を誘電体22側に移動することを防止し又は抑制することができる。その結果、芯体12に圧力が加わっていない状態で、導電性弾性部材511と誘電体22とが接触することを防止し又は抑制することができると共に、立ち下がりの応答性を向上させることが可能である。
【0197】
[第10の実施形態]
この第10の実施形態も、誘電体22の第2の面部22b側に配される導電部材の他の例を示すものである。図39は、この第10の実施形態における位置指示器の可変容量コンデンサ158の構成例を示すものである。この図39の可変容量コンデンサ158は、上述した第1の実施形態における可変容量コンデンサ15において、誘電体22の第2の面部22b側に配される導電部材26の代わりに、導電部材520が設けられる点が第1の実施形態の例とは異なる。なお、図39において、図4の第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0198】
この第10の実施形態における導電部材520は、導電性弾性部材521と、板ばね522と、導電性金属板部523とで構成される。
【0199】
板ばね522は、ホルダ21の内部空間に応じた中央部分522aを備えると共に、ホルダ21の外部に突出する大きさのフランジ部522bを備える。そして、板ばね522は、フランジ部522aがホルダ21に移動可能に係止されて、筆圧がかかる方向に弾性偏倚可能とされる。
【0200】
導電性弾性部材521は、先端521aがドーム形状の砲弾型の例えば導電ゴムで構成される。一方、この例では、板ばね522の中央部分522aの中心部には、導電性弾性部材521の直径よりも小さい貫通孔522cが設けられている。そして、導電性弾性部材521は、ドーム形状の先端51aを板ばね522の貫通孔522cから誘電体22の第2の面部22b側に突出させるようにして、板ばね522と組み合わせる。導電性弾性部材521の先端521aとは反対側は、保持部材24の基部41の嵌合凹部(図示は省略)に嵌合させる。
【0201】
導電性金属板部523は、保持部材24の基部41側に設けられている。この導電性金属板部523は導電性弾性部材521と接触して電気的に接続される。この導電性金属板部523は、導電性弾性部材521により構成される第2の電極からリード片(図示は省略)を導出するためのものである。
【0202】
この第10の実施形態によれば、筆圧に応じて芯体12に加わる圧力が増加すると、板ばね522が偏倚して、この板ばね512の貫通孔512cから突出している導電性弾性部材521の先端521aのドーム状曲面が誘電体22の第2の面部22bと接触すると共に、その接触面積が筆圧に応じて変化する。そして、筆圧が無くなって、芯体12が元に復帰すると、板ばね522の弾性復帰力により導電性弾性部材521の先端521aは、誘電体22の第2の面部22bからは確実に離れるようになる。
【0203】
以上のようにして、この第10の実施形態においても、前述した第1の実施形態及び第9の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0204】
なお、板ばね522は、そのフランジ部522bをホルダ21の外部に突出させるようにして係止させるのではなく、図40に示すように、ホルダ21内部の誘電体22の係止用のフランジ部31に係止させるようにしてもよい。
【0205】
尚、本発明は前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。端子部材にコイルばねを適用した例を説明したが、コイルばねだけでなく、板ばね等のその他各種の弾性を有する部材を端子部材に適用してもよい。また、弾性部材の接続部を導電部材の底面部に接触させる構成としたが、導電部材の側面部に接触するように弾性部材を形成してもよい。
【符号の説明】
【0206】
1…位置検出装置、 2,2A…位置指示器、 4…検出部、 10…入力装置、 11…ケース(筐体) 12…芯体、 12a…指示部、 12b…軸部、 13…位置指示コイル(コイル)、 15…可変容量コンデンサ、 21…ホルダ、 21a…筒孔、
22…誘電体、 22a…第1の面部、 22b…第2の面部、 23…端子部材、 24…保持部材、 26,70…導電部材、 26a,71…曲面部、 27,27A…弾性部材、 29…突起部、 31…フランジ部、 32…係合穴、 33…係止受部、 34…貫通孔、 37…平坦部、 38…係止部、 38a…開口部、 39…リード片、 41…基部、 42…嵌合部、 43…係合凹部、 44…係合部、 47…切り欠き、 51…巻回部、 52…接続部(第2の端子部)、 53…端子片(第1の端子部)、 101・・・位置検出コイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
一端が前記筐体の外側に突出する状態で前記筐体内に収納された略棒状の芯体と、
前記芯体を介して加わる外力により電気容量が変化する可変容量コンデンサと、
からなり、
前記可変容量コンデンサは、
第1の面部と、前記第1の面部に対向する第2の面部とを有する少なくとも一つの誘電体と、
前記誘電体の前記第1の面部に係合する端子部材と、
前記誘電体の前記第2の面部に対向して配置され、前記外力により前記第2の面部との当接面積が変化する導電部材を含む電極部と、
前記導電部材を前記第2の面部から離れる方向に付勢する弾性部材と、
を備えた位置指示器。
【請求項2】
前記端子部材は、金属で構成され、前記誘電体の前記第1の面部と係合する第3の面部を備える
請求項1に記載の位置指示器。
【請求項3】
前記端子部材は、弾性を有し、前記弾性により前記端子部材が前記第1の面部に付勢されてなる
請求項1に記載の位置指示器。
【請求項4】
前記誘電体の前記第1の面部と、前記端子部材の前記第3の面部との間に、導電性弾性部材が挟まれている
請求項2に記載の位置指示器。
【請求項5】
前記端子部材の前記第3の面部と係合する前記誘電体の前記第1の面部には、導電性金属が配設されている
請求項2に記載の位置指示器。
【請求項6】
前記弾性部材は、導電性を有してなる
請求項1に記載の位置指示器。
【請求項7】
前記弾性部材は、巻回されることで弾性を有する
請求項6に記載の位置指示器。
【請求項8】
前記弾性部材は、板ばねである
請求項6に記載の位置指示器。
【請求項9】
前記誘電体の前記第2の面部には、鏡面加工が施されている
請求項1に記載の位置指示器。
【請求項10】
第1の面部と、前記第1の面部に対向する第2の面部とを有する少なくとも一つの誘電体と、
前記誘電体の前記第1の面部に係合する端子部材と、
前記誘電体の前記第2の面部に対向して配置され、前記外力により前記第2の面部との当接面積が変化する導電部材を含む電極部と、
前記導電部材を前記第2の面部から離れる方向に付勢する弾性部材と、
を備えた可変容量コンデンサ。
【請求項11】
筐体と、一端が前記筐体の外側に突出する状態で前記筐体内に収納された略棒状の芯体と、前記芯体を介して加わる外力により電気容量が変化する可変容量コンデンサとを有する位置指示器と、
前記芯体の一端により指示される検出面を有し、前記一端が指示した位置を検出する位置検出装置と、
を備え、
前記可変容量コンデンサは、
第1の面部と、前記第1の面部に対向する第2の面部とを有する少なくとも一つの誘電体と、
前記誘電体の前記第1の面部に係合する端子部材と、
前記誘電体の前記第2の面部に対向して配置され、前記外力により前記第2の面部との当接面積が変化する導電部材を含む電極部と、
前記導電部材を前記第2の面部から離れる方向に付勢する弾性部材と、
を備えた入力装置。
【請求項1】
筐体と、
一端が前記筐体の外側に突出する状態で前記筐体内に収納された略棒状の芯体と、
前記芯体を介して加わる外力により電気容量が変化する可変容量コンデンサと、
からなり、
前記可変容量コンデンサは、
第1の面部と、前記第1の面部に対向する第2の面部とを有する少なくとも一つの誘電体と、
前記誘電体の前記第1の面部に係合する端子部材と、
前記誘電体の前記第2の面部に対向して配置され、前記外力により前記第2の面部との当接面積が変化する導電部材を含む電極部と、
前記導電部材を前記第2の面部から離れる方向に付勢する弾性部材と、
を備えた位置指示器。
【請求項2】
前記端子部材は、金属で構成され、前記誘電体の前記第1の面部と係合する第3の面部を備える
請求項1に記載の位置指示器。
【請求項3】
前記端子部材は、弾性を有し、前記弾性により前記端子部材が前記第1の面部に付勢されてなる
請求項1に記載の位置指示器。
【請求項4】
前記誘電体の前記第1の面部と、前記端子部材の前記第3の面部との間に、導電性弾性部材が挟まれている
請求項2に記載の位置指示器。
【請求項5】
前記端子部材の前記第3の面部と係合する前記誘電体の前記第1の面部には、導電性金属が配設されている
請求項2に記載の位置指示器。
【請求項6】
前記弾性部材は、導電性を有してなる
請求項1に記載の位置指示器。
【請求項7】
前記弾性部材は、巻回されることで弾性を有する
請求項6に記載の位置指示器。
【請求項8】
前記弾性部材は、板ばねである
請求項6に記載の位置指示器。
【請求項9】
前記誘電体の前記第2の面部には、鏡面加工が施されている
請求項1に記載の位置指示器。
【請求項10】
第1の面部と、前記第1の面部に対向する第2の面部とを有する少なくとも一つの誘電体と、
前記誘電体の前記第1の面部に係合する端子部材と、
前記誘電体の前記第2の面部に対向して配置され、前記外力により前記第2の面部との当接面積が変化する導電部材を含む電極部と、
前記導電部材を前記第2の面部から離れる方向に付勢する弾性部材と、
を備えた可変容量コンデンサ。
【請求項11】
筐体と、一端が前記筐体の外側に突出する状態で前記筐体内に収納された略棒状の芯体と、前記芯体を介して加わる外力により電気容量が変化する可変容量コンデンサとを有する位置指示器と、
前記芯体の一端により指示される検出面を有し、前記一端が指示した位置を検出する位置検出装置と、
を備え、
前記可変容量コンデンサは、
第1の面部と、前記第1の面部に対向する第2の面部とを有する少なくとも一つの誘電体と、
前記誘電体の前記第1の面部に係合する端子部材と、
前記誘電体の前記第2の面部に対向して配置され、前記外力により前記第2の面部との当接面積が変化する導電部材を含む電極部と、
前記導電部材を前記第2の面部から離れる方向に付勢する弾性部材と、
を備えた入力装置。
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図23】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図1】
【図2】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図24】
【図25】
【図41】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図23】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図1】
【図2】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図24】
【図25】
【図41】
【公開番号】特開2011−186803(P2011−186803A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51677(P2010−51677)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000139403)株式会社ワコム (118)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000139403)株式会社ワコム (118)
【Fターム(参考)】
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