説明

位置推定装置、位置推定方法およびプログラム

【課題】位置推定装置、位置推定方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】基地局の位置情報を記憶している基地局情報記憶部と、前記基地局情報記憶部に記憶されている位置情報が制限範囲内である基地局の位置情報、および当該基地局から送信された無線信号の信号強度の測定情報に基づき、前記無線信号の測定位置を推定する位置推定部と、を備える位置推定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置推定装置、位置推定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近日、衛星から送信された無線信号を受信可能な受信装置が車や携帯電話などの移動体に搭載されている。GPS(Global Positioning System)測位によれば、かかる受信装置を搭載した移動体の位置を推定することが可能である。このような受信装置を用いた位置推定技術は、ナビゲーション、セキュリティーまたは娯楽などの多岐にわたる分野において重要な共通基盤技術である。しかし、GPS測位に基づく位置推定技術は、起動時に同期補足のために要する時間が長く、また、衛星からの無線信号が届かない屋内や地下での利用が困難であった。
【0003】
また、例えば特許文献1に記載されているように、無線LAN(Local Area Network)の基地局から送信される無線信号の無線端末における信号強度に基づいて無線端末の位置を推定する方法も提案されている。具体的には、事前に登録された各基地局の位置情報と、無線信号の信号強度から算出される各基地局および無線端末間の距離とに基づいて無線端末の位置を推定することができる。無線LANの基地局は屋内や地下にも設置されるので、この推定方法によれば、GPS測位に基づく位置推定技術では困難であった屋内や地下での位置推定を行うことも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−104029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、基地局の移動などにより、登録されている基地局位置情報が誤った情報になってしまう場合が想定される。このような誤った基地局位置情報に基づいて位置推定を行うと、位置推定の精度が劣化してしまう。近日、ユーザにより携帯される移動基地局の普及により、上記懸念は一層高まりつつある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、位置推定の精度劣化を抑制することが可能な、新規かつ改良された位置推定装置、位置推定方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、基地局の位置情報を記憶している基地局情報記憶部と、前記基地局情報記憶部に記憶されている位置情報が制限範囲内である基地局の位置情報、および当該基地局から送信された無線信号の信号強度の測定情報に基づき、前記無線信号の測定位置を推定する位置推定部と、を備える、位置推定装置が提供される。
【0008】
前記位置推定装置は、前記基地局から送信された無線信号の信号強度を測定する測定部をさらに備えてもよい。
【0009】
前記位置推定装置は、前記位置推定部により前回推定された位置を基準にして前記制限範囲を判断する制限範囲判断部をさらに備えてもよい。
【0010】
前記位置推定装置は、前記位置推定装置の動きを検出する動き検出部と、前記動き検出部による検出結果から、前記位置推定部による前回の位置推定時からの前記位置推定装置の移動距離を算出する移動距離算出部と、を備え、前記制限範囲判断部により判断される前記制限範囲は、前記位置推定部により前回推定された位置から、前記移動距離算出部により算出された移動距離以下の範囲を含んでもよい。
【0011】
前記制限範囲判断部は、前記位置推定部により前回推定された位置から、前記移動距離算出部により算出された移動距離と所定距離の加算値以下の範囲を前記制限範囲として判断してもよい。
【0012】
前記位置推定装置は、前記位置推定部と異なる方法で前記位置推定装置の位置を判断する位置判断部と、前記位置判断部により判断された位置を基準にして前記制限範囲を判断する制限範囲判断部と、をさらに備えてもよい。
【0013】
前記制限範囲判断部は、前記位置判断部により判断された位置から、前記位置判断部による判断誤差量および所定距離の加算値以下の範囲を前記制限範囲として判断してもよい。
【0014】
前記位置推定装置は、前記基地局情報記憶部に記憶されている位置情報が前記制限範囲外である基地局の無線信号が測定された場合に、当該基地局を示す履歴情報を記憶する履歴情報記憶部と、前記履歴情報に基づいて前記基地局が移動基地局であるか否かを判断する移動基地局判断部と、前記移動基地局判断部により前記移動基地局であると判断された基地局を示す情報を記憶する移動基地局情報記憶部と、をさらに備えてもよい。
【0015】
前記移動基地局判断部は、前記基地局情報記憶部に記憶されている位置情報が前記制限範囲外である基地局の無線信号が所定頻度、または所定回数を超えて測定された場合に前記基地局が移動基地局であると判断してもよい。
【0016】
前記位置推定部は、前記移動基地局情報記憶部に移動基地局として記憶されていない基地局の測定結果を用いて前記無線端末の位置を推定してもよい。
【0017】
前記位置推定装置は、基地局から送信された無線信号の信号強度を測定する無線端末から前記測定情報を受信する受信部と、前記位置推定部により推定された位置情報を前記無線端末に送信する送信部と、を備えてもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、基地局から送信された無線信号の信号強度の測定情報を取得するステップと、基地局の位置情報を記憶している記憶媒体から、前記測定情報に関する基地局のうちで、前記記憶媒体に記憶されている位置情報が制限範囲内である基地局を判断するステップと、前記記憶媒体に記憶されている位置情報が制限範囲内である基地局の位置情報、および測定情報に基づいて前記無線信号の測定位置を推定するステップと、を含む位置推定方法が提供される。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、基地局の位置情報を記憶している基地局情報記憶部と、前記基地局情報記憶部に記憶されている位置情報が制限範囲内である基地局の位置情報、および当該基地局から送信された無線信号の信号強度の測定情報に基づき、前記無線信号の測定位置を推定する位置推定部と、として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、位置推定の精度劣化を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態による位置推定システムの構成を示した説明図である。
【図2】無線端末が記憶している各基地局の位置情報の具体例を示した説明図である。
【図3】測定情報の具体例を示した説明図である。
【図4】推定方法ごとの推定結果例を示した説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態による無線端末の構成を示した機能ブロック図である。
【図6】推定結果記憶部が記憶する位置推定結果の具体例を示した説明図である。
【図7】参照エリアの具体例を示した説明図である。
【図8】第1の実施形態による無線端末の動作を示したフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態による無線端末の構成を示した機能ブロック図である。
【図10】参照エリアの具体例を示した説明図である。
【図11】第2の実施形態による無線端末の動作を示したフローチャートである。
【図12】本発明の第3の実施形態による無線端末の構成を示した機能ブロック図である。
【図13】低信頼性基地局情報記憶部が記憶する低信頼性基地局情報の具体例を示した説明図である。
【図14】移動基地局情報記憶部が記憶する移動基地局情報の具体例を示した説明図である。
【図15】第3の実施形態による無線端末の動作例を示したフローチャートである。
【図16】第3の実施形態による無線端末の動作例を示したフローチャートである。
【図17】第4の実施形態による位置推定システムの構成を示した説明図である。
【図18】第4の実施形態による位置推定装置の構成を示した機能ブロック図である。
【図19】第4の実施形態による位置推定システムの動作を示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて基地局30A、30Bおよび30Cのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、基地局30A、30Bおよび30Cを特に区別する必要が無い場合には、単に基地局30と称する。
【0024】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.位置推定システムの基本構成
2.第1の実施形態
2−1:第1の実施形態による無線端末の構成
2−2:第1の実施形態による無線端末の動作
3.第2の実施形態
3−1:第2の実施形態による無線端末の構成
3−2:第2の実施形態による無線端末の動作
4.第3の実施形態
4−1:第3の実施形態による無線端末の構成
4−2:第3の実施形態による無線端末の動作
5.第4の実施形態
5−1:第4の実施形態による位置推定システムの構成
5−2:第4の実施形態による位置推定装置の構成
5−3:第4の実施形態による位置推定システムの動作
6.まとめ
【0025】
<1.位置推定システムの基本構成>
本発明は、一例として「2.第1の実施形態」〜「5.第4の実施形態」において詳細に説明するように、多様な形態で実施され得る。また、各実施形態による位置推定装置20または無線端末40は、
(1)基地局の位置情報を記憶している基地局情報記憶部(216、416)と、
(2)基地局情報記憶部に記憶されている位置情報が制限範囲内である基地局の位置情報、および当該基地局から送信された無線信号の信号強度の測定情報に基づき、無線信号の測定位置を推定する位置推定部(236、436)と、を備える。
【0026】
以下では、まず、このような各実施形態において共通する基本構成について図1〜図3を参照して説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態による位置推定システム1の構成を示した説明図である。図1に示したように、本発明の実施形態による位置推定システム1は、複数の基地局30と、無線端末40と、を備える。
【0028】
基地局30は、空間的に散在する通信装置間の通信を制御する。例えば、基地局30は、それぞれの電波到達範囲内にある無線端末40と他の無線端末(図示せず。)との無線通信を制御したり、無線端末40と基地局30に有線で接続された通信装置との通信を制御したりすることができる。具体的には、基地局30は、WiFi(Wireless Fidelity)規格に基づく無線LAN(Local Area Network)の基地局であってもよいし、LTE(Long Term Evolution)の基地局であってもよいし、GSM(Global System for Mobile Communications)の基地局であってもよいし、Bluetooth(登録商標)の基地局であってもよい。
【0029】
また、基地局30は、例えばビーコン信号を定期的に送信することにより無線ネットワークを形成する。このビーコン信号は、基地局30を識別する基地局IDを含むビーコン信号を含む。このため、無線端末40は、受信したビーコン信号に含まれる基地局IDから、当該ビーコン信号の送信元の基地局30を特定することが可能である。
【0030】
無線端末40は、基地局30による制御に従って各種データを無線で送受信することができる。例えば、無線端末40は、基地局30を介してコンテンツ配信サーバ(図示せず。)からコンテンツデータを受信したり、他の無線端末と電子メールを送受信したりすることができる。なお、コンテンツデータとしては、音楽、講演およびラジオ番組などの音声データや、映画、テレビジョン番組、ビデオプログラム、写真、絵画および図表などの映像データや、ゲームおよびソフトフェアなどの多様なデータがあげられる。
【0031】
また、このような無線端末40は、例えば、PC(Personal Computer)、家庭用映像処理装置(DVDレコーダ、ビデオデッキなど)、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、PDA(Personal Digital Assistant)、家庭用ゲーム機器、携帯用ゲーム機器、または家電機器などの情報処理装置であってもよい。
【0032】
また、無線端末40は、基地局30から送信される無線信号(例えば、ビーコン信号)を受信すると、該無線信号の信号強度を測定することができる。また、無線端末40は、各基地局30の位置情報を記憶しており、各基地局30の位置情報および無線信号の測定情報に基づき、無線端末40の位置を推定することが可能である。以下、無線端末40が記憶している各基地局30の位置情報、および測定情報の具体例を説明する。
【0033】
図2は、無線端末40が記憶している各基地局30の位置情報の具体例を示した説明図である。図2に示したように、無線端末40は、基地局IDおよび位置情報からなる複数の基地局30の基地局情報を記憶している。なお、本明細書においては、説明の便宜上、各基地局に付した符号と基地局IDが共通するものとする。
【0034】
また、図2においては位置情報を「位置情報A」「位置情報B」のように簡略化して示しているが、位置情報は、緯度経度を用いた形式、x、y座標を用いた形式、極座標を用いた形式、またはベクトルを用いた形式などにより表現されてもよい。
【0035】
図3は、測定情報の具体例を示した説明図である。図3に示したように、測定情報は、基地局30ごとの信号強度情報を含む。例えば、図3に示した例では、基地局30Aから送信された無線信号の無線端末40における信号強度が「−90dBm」である。
【0036】
本発明の実施形態による無線端末40は、上述した測定情報、および基地局30ごとの位置情報に基づき、無線端末40の位置情報を推定する。例えば、無線端末40は、以下に示す数式に従って無線端末40の位置Oを推定する。
【0037】
【数1】

【0038】
【数2】

【0039】
【数3】

【0040】
数式1において、Aiは無線端末40に登録されているi番目の基地局の位置情報を示す。したがって、基地局の位置情報が経度、緯度で表される場合、無線端末40は、数式1を経度、緯度ごとに適用する。また、Wiは、数式2に示したように、信号強度から推定される無線端末40およびi番目の基地局間の距離を示すdistS(O,Ai)基づいて得られる重み係数である。また、Wは、数式3に示したように重み係数の総和である。
【0041】
なお、無線端末40の位置推定方法は上記数式4を用いる方法に限られず、無線端末40は、例えば、無線端末40が最も高い信号強度で受信した信号の送信元の基地局30の位置を、無線端末40の位置として推定してもよい。または、無線端末40は、無線端末40が所定の値以上の信号強度で受信した信号の送信元の基地局30の中心となるような位置を、無線端末40の位置として推定してもよい。さらに、最小二乗法を適用することにより、ロバスト性の高い位置推定を実現することも可能である。
【0042】
ここで、基地局30の移動などにより、基地局30の登録されている位置情報が誤った情報になってしまう場合が想定される。このような誤った位置情報に基づいて位置推定を行うと、位置推定の精度が劣化してしまう。以下、この点について図4を参照して具体的に説明する。
【0043】
図4は、推定方法ごとの推定結果例を示した説明図である。図4においては、基地局30A〜基地局30C、基地局30Xの位置情報として、位置A〜位置C、位置Xを示す「位置情報A」〜「位置情報C」、「位置情報X」が登録されている状況を想定している。この状況において、位置Uに存在する無線端末40が、基地局30A〜基地局30C、基地局30Xから無線信号を受信し、各無線信号の信号強度情報に基づいて無線端末40の位置推定を行う場合を考える。
【0044】
なお、基地局30が送信した無線信号の信号強度は、所定の規則に従い、基地局30から離隔するにつれて減少する。すなわち、無線端末40における無線信号の信号強度は、該無線信号を送信した基地局30と無線端末40との距離に換算することが可能である。このため、図4においては、括弧内に信号強度の距離換算値を示している。また、基地局30Xは、実際には位置Xに存在せず、位置X’に移動されているものとする。
【0045】
この場合、無線端末40が仮に基地局30A〜30Cおよび基地局30Xの登録位置の重心を無線端末40の位置として推定する場合、無線端末40は、実際には位置Uに存在するにもかかわらず、無線端末40の位置として位置Sを推定してしまう。また、無線端末40が誤差の影響の少ないロバスト平均手法を用いれば、位置Sより無線端末40の実際の位置Uに近い例えば位置Tを推定結果として得ることができる。
【0046】
しかし、基地局30Xの位置情報を用いて無線端末40の位置推定を行う場合、いずれにしても位置推定結果は実際の位置から離れてしまうことが予想される。この点に関し、基地局30A〜基地局30Cと離隔する基地局30Xの位置情報を用いずに位置推定を行うことも考えられるが、実際には、基地局30Xの位置情報が正しく、基地局30A〜基地局30Cの位置情報が誤りである場合も想定される。このため、基地局30Xが単に他の基地局30と大きく離隔しているという事実のみに基づいて基地局30Xの位置情報を用いずに位置推定を行うことは適切でない。
【0047】
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態による無線端末40または位置推定装置20は、信頼性の高い基地局30の位置情報を位置推定に用いることにより、位置推定の精度劣化を抑制することが可能である。以下、このような本発明の各実施形態について詳細に説明する。
【0048】
<2.第1の実施形態>
[2−1:第1の実施形態による無線端末の構成]
図5は、本発明の第1の実施形態による無線端末40−1の構成を示した機能ブロック図である。図5に示したように、第1の実施形態による無線端末40−1は、通信部412と、測定部414と、基地局情報記憶部416と、加速度センサ420と、移動距離算出部424と、推定結果記憶部428と、参照エリア判断部432と、位置推定部436と、を備える。詳細については後述するが、第1の実施形態による無線端末40−1は、無線端末40−1の位置を推定する位置推定装置としての機能を包含する。
【0049】
通信部412は、無線端末40−1の周囲の基地局30とのインターフェースであり、基地局30から送信された無線信号を受信する受信部、および基地局30に無線信号を送信する送信部として機能する。
【0050】
測定部414は、通信部412により各基地局30から受信された無線信号の信号強度を、送信元の基地局30ごとに測定する。この測定部414による信号強度の測定により、例えば図3を参照して説明したような測定情報が得られる。
【0051】
基地局情報記憶部416は、例えば図2を参照して説明したように、各基地局30の基地局IDおよび位置情報からなる基地局情報を記憶する。なお、この基地局情報記憶部416は、例えば、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ディスク、およびMO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。不揮発性メモリとしては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)があげられる。また、磁気ディスクとしては、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどがあげられる。また、光ディスクとしては、CD(Compact Disc)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))などがあげられる。また、図5においては基地局情報記憶部416および推定結果記憶部428を異なる機能ブロックとして示しているが、双方の記憶部の機能は同一の記憶媒体が担ってもよいし、異なる記憶媒体が担ってもよい。
【0052】
加速度センサ420は、無線端末40−1の加速度(動き)を検出する動き検出部として機能する。移動距離算出部424は、加速度センサ420により得られた無線端末40−1の加速度の履歴から、ある期間内の無線端末40−1の移動速度を算出する。さらに、移動距離算出部424は、ある期間内の移動速度を積分することにより移動距離を算出することも可能である。なお、上記では動き検出部の一例として加速度センサ420を説明したに過ぎず、動き検出部は加速度センサ420に限定されない。例えば、コンパス、ジャイロセンサなど、他の各種センサを動き検出部として用いることも可能である。
【0053】
推定結果記憶部428は、位置推定部436による過去の無線端末40−1の位置推定結果を記憶する。以下、図6を参照し、推定結果記憶部428が記憶する位置推定結果の具体例を説明する。
【0054】
図6は、推定結果記憶部428が記憶する位置推定結果の具体例を示した説明図である。図6に示したように、推定結果記憶部428は、位置推定部436により過去に推定された無線端末40−1の位置情報と、当該推定が行われた時刻を対応付けて記憶する。
【0055】
参照エリア判断部432(制限範囲判断部)は、推定結果記憶部428から前回の推定位置情報を読出し、当該推定位置情報の示す位置を基準とする参照エリア(制限範囲)を判断する。位置推定部436は、基地局情報記憶部416に記憶されている位置情報が参照エリア内である基地局30の位置情報、および当該基地局30から送信された無線信号の信号強度情報に基づき、無線端末40−1の位置を推定する。以下、図7を参照し、この参照エリアについてより具体的に説明する。
【0056】
図7は、参照エリアの具体例を示した説明図である。図7に示した位置Nは前回の位置推定結果である。無線端末40−1は、この位置Nから、移動距離算出部424により算出される前回の位置推定時点からの推定移動距離以下である領域内(図7に示した破線領域内)に存在すると考えられる。
【0057】
したがって、現時点で無線端末40−1が受信できる無線信号の送信元基地局は、位置Nを中心とし、推定移動距離および基地局30の電波到達距離の加算値を半径とする領域内に存在すると考えられる。そこで、参照エリア判断部432は、基地局30の一般的な電波到達距離(エリア範囲)が300mである場合、図7に示したように、位置Nを中心とし、推定移動距離および300mの加算値を半径する領域を参照エリアと判断する。
【0058】
この場合、位置A〜位置Cは参照エリア内であり、位置Xは参照エリア外である。このため、位置推定部436は、基地局情報記憶部416に記憶されている位置A〜位置Cを示す基地局30A〜30Cの位置情報A〜位置情報C、および基地局30A〜30Cから送信された無線信号の信号強度情報に基づき、例えば上述した数式1に従って無線端末40−1の位置Uを推定する。
【0059】
一方、位置推定部436は、基地局情報記憶部416に記憶されている位置Xを示す基地局30Xの位置情報X、および基地局30Xから送信された無線信号の信号強度情報を無線端末40−1の位置推定に用いない。このように、本発明の第1の実施形態によれば、誤っている可能性の高い基地局30の位置情報、および当該基地局30からの無線信号の信号強度情報を位置推定に用いないことにより、位置推定精度の劣化を抑制することが可能である。
【0060】
[2−2:第1の実施形態による無線端末の動作]
以上、本発明の第1の実施形態による無線端末40−1の構成を説明した。続いて、図8を参照し、第1の実施形態による無線端末40−1の動作を説明する。
【0061】
図8は、第1の実施形態による無線端末40−1の動作を示したフローチャートである。図8に示したように、まず、無線端末40−1の測定部414が、通信部412により周囲の基地局30から受信される無線信号の信号強度を測定する(S304)。
【0062】
また、参照エリア判断部432が、推定結果記憶部428から無線端末40−1の直近の位置推定結果を検索し(S308)、移動距離算出部424が、直近の位置推定時点からの無線端末40−1の移動距離を算出する(S312)。
【0063】
続いて、参照エリア判断部432が、無線端末40−1の直近の位置推定結果、および移動距離算出部424により算出された移動距離に基づき、参照エリアを判断する(S316)。
【0064】
その後、位置推定部436は、測定部414により信号強度を測定された無線信号の送信元基地局の位置情報を基地局情報記憶部416から検索する(S320)。続いて、位置推定部436は、検索された位置情報のうちで、参照エリア外の位置情報である外れ値の判定を行う(S324)。そして、位置推定部436は、参照エリア内の基地局30の位置情報に基づいて無線端末40−1の位置情報を推定する(S328)。
【0065】
<3.第2の実施形態>
以上、本発明の第1の実施形態を説明した。次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本発明の第2の実施形態は、以下に詳細に説明するように、位置推定部436と異なる方法による位置判断結果に応じて参照エリアを判断する点で第1の実施形態と相違する。
【0066】
[3−1:第2の実施形態による無線端末の構成]
図9は、本発明の第2の実施形態による無線端末40−2の構成を示した機能ブロック図である。図9に示したように、第2の実施形態による無線端末40−2は、通信部412と、測定部414と、基地局情報記憶部416と、GPS測位部440と、参照エリア判断部444と、を備える。なお、通信部412、測定部414、および基地局情報記憶部416などの機能ブロックについては、第1の実施形態において説明した通りであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0067】
GPS測位部440は、人工衛星から航法メッセージを受信し、航法メッセージに含まれるエフェメリス情報から無線端末40−2の現在位置を測位する。なお、GPS測位部440は、位置推定部436と異なる方法で位置を判断する位置判断部の一例に過ぎず、位置判断部は多様な形態で実現することが可能である。
【0068】
参照エリア判断部444(制限範囲判断部)は、GPS測位部440により測位される無線端末40−2の現在位置を基準にして参照エリアを判断する。位置推定部436は、基地局情報記憶部416に記憶されている位置情報が参照エリア内である基地局30の位置情報、および当該基地局30から送信された無線信号の信号強度情報に基づき、無線端末40−2の位置を推定する。以下、図10を参照し、この参照エリアについてより具体的に説明する。
【0069】
図10は、参照エリアの具体例を示した説明図である。図10に示した位置OはGPS測位部440による測位結果である。無線端末40−2は、この位置Oから、GPS測位の誤差値の範囲内である領域に存在すると考えられる(図10に示した破線領域内)に存在すると考えられる。
【0070】
したがって、現時点で無線端末40−2が受信できる無線信号の送信元基地局は、位置Oを中心とし、GPS測位の誤差値および基地局30の電波到達距離の加算値を半径とする領域内に存在すると考えられる。そこで、参照エリア判断部444は、基地局30の一般的な電波到達距離(エリア範囲)が300mである場合、図10に示したように、位置Oを中心とし、GPS測位の誤差値および300mの加算値を半径する領域を参照エリアと判断する。
【0071】
この場合、位置A〜位置Cは参照エリア内であり、位置Xは参照エリア外である。このため、位置推定部436は、基地局情報記憶部416に記憶されている位置A〜位置Cを示す基地局30A〜30Cの位置情報A〜位置情報C、および基地局30A〜30Cから送信された無線信号の信号強度情報に基づき、例えば上述した数式1に従って無線端末40−2の位置Uを推定する。
【0072】
一方、位置推定部436は、基地局情報記憶部416に記憶されている位置Xを示す基地局30Xの位置情報X、および基地局30Xから送信された無線信号の信号強度情報を無線端末40−2の位置推定に用いない。このように、本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、誤っている可能性の高い基地局30の位置情報、および当該基地局30からの無線信号の信号強度情報を位置推定に用いないことにより、位置推定精度の劣化を抑制することが可能である。
【0073】
[3−2:第2の実施形態による無線端末の動作]
以上、本発明の第2の実施形態による無線端末40−2の構成を説明した。続いて、図11を参照し、第2の実施形態による無線端末40−2の動作を説明する。
【0074】
図11は、第2の実施形態による無線端末40−2の動作を示したフローチャートである。図11に示したように、まず、無線端末40−2の測定部414が、通信部412により周囲の基地局30から受信される無線信号の信号強度を測定する(S344)。また、GPS測位部440が、無線端末40−2の現在位置を測位する(S348)。なお、S344とS348の処理は並列で実施されてもよい。
【0075】
そして、参照エリア判断部444が、GPS測位部440による測位結果に基づき、参照エリアを判断する(S352)。その後、位置推定部436は、測定部414により信号強度を測定された無線信号の送信元基地局の位置情報を基地局情報記憶部416から検索する(S356)。
【0076】
続いて、位置推定部436は、検索された位置情報のうちで、参照エリア外の位置情報である外れ値の判定を行う(S360)。そして、位置推定部436は、参照エリア内の基地局30の位置情報に基づいて無線端末40−1の位置情報を推定する(S364)。
【0077】
<4.第3の実施形態>
以上、本発明の第2の実施形態を説明した。次に、図12〜図16を参照し、本発明の第3の実施形態による無線端末40−3について詳細に説明する。
【0078】
[4−1:第3の実施形態による無線端末の構成]
図12は、本発明の第3の実施形態による無線端末40−3の構成を示した機能ブロック図である。図12に示したように、第3の実施形態による無線端末40−3は、通信部412と、測定部414と、基地局情報記憶部416と、GPS測位部440と、参照エリア判断部444と、低信頼性基地局情報記憶部448と、移動基地局判断部452と、移動基地局情報記憶部456と、を備える。
【0079】
なお、通信部412、測定部414、基地局情報記憶部416、GPS測位部440、および参照エリア判断部444などの機能ブロックについては、第2の実施形態において説明した通りであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0080】
位置推定部436は、第2の実施形態などで説明したように、測定部414により信号強度を測定された無線信号の送信元基地局の位置情報を基地局情報記憶部416から検索し、検索した位置情報のうちで、参照エリア外の位置情報である外れ値の判定を行う。
【0081】
ここで、位置推定部436により外れ値として判定される位置情報は、基地局情報記憶部416への登録後に移動された基地局30の位置情報であると考えられる。このため、位置推定部436により外れ値として判定された位置情報を有する基地局30は、ユーザにより携帯される移動基地局である可能性がある。しかし、家庭用基地局であっても、ユーザの移動に伴って移動される場合がある。そこで、本実施形態においては、位置情報が外れ値として判定された頻度または回数に基づき、基地局30が移動基地局であるか否かを特定する。以下、具体的に説明する。
【0082】
低信頼性基地局情報記憶部448は、位置推定部436により外れ値として判定された位置情報を有する基地局の基地局IDを記憶する。図13を参照し、低信頼性基地局情報記憶部448が記憶する低信頼性基地局情報の具体例を説明する。
【0083】
図13は、低信頼性基地局情報記憶部448が記憶する低信頼性基地局情報の具体例を示した説明図である。図13に示したように、低信頼性基地局情報記憶部448は、低信頼性基地局を示す基地局IDと、当該基地局が低信頼性基地局として報告(追加)された報告時刻を対応付けて記憶している。例えば、図13においては、基地局30Xが「2010/7/14 10:34:56」に低信頼性基地局として報告されたことが示されている。このように、低信頼性基地局情報記憶部448は、報告された低信頼性基地局情報の各々を履歴情報として記憶する履歴情報記憶部として機能する。
【0084】
移動基地局判断部452は、低信頼性基地局448を参照し、低信頼性基地局として報告される頻度の高い基地局30を移動基地局と判断する。例えば、移動基地局判断部452は、1週間、1カ月または3ヵ月などの所定期間内に、2回、5回または10回などの規定回数を超えて低信頼性基地局として報告された基地局30を移動基地局であると判断してもよい。
【0085】
より具体的に説明すると、図13に示した例では、基地局30Xが「2010/7/14」〜「2010/7/18」の間に4回も低信頼性基地局として報告されているので、移動基地局判断部452は、基地局30Xが移動基地局であると判断してもよい。
【0086】
移動基地局判断部452により移動基地局であると判断された基地局30の情報は、移動基地局情報記憶部456に追加される。例えば、移動基地局判断部452により基地局30Xが移動基地局であると判断された場合、図14に示すように、移動基地局情報記憶部456に基地局30Xの基地局IDが追加される。なお、移動基地局情報記憶部452には、ユーザ申告された基地局ID、ベンダやキャリアから報告される情報に基づき、オフラインで基地局IDが追加されてもよい。
【0087】
また、移動基地局判断部452により移動基地局であると判断された基地局30の情報は、基地局情報記憶部416から削除されてもよい。例えば、移動基地局判断部452により基地局30Xが移動基地局であると判断された場合、基地局30Xの位置情報などの基地局情報は基地局情報記憶部416から削除されてもよい。
【0088】
以上説明した移動基地局は定位置に存在しないので、無線端末40−3の位置推定に際してこのような移動基地局の情報を利用すると、位置推定の精度が劣化してしまうことが懸念される。
【0089】
そこで、第3の実施形態による位置推定部436は、位置情報が参照エリア内の位置を示す基地局30であって、かつ、移動基地局情報記憶部456に移動基地局として記憶されていない基地局30の信号強度情報、および当該基地局30の位置情報を選択的に用いて無線端末40−3の位置を推定してもよい。かかる構成により、無線端末40の位置推定の精度を向上することが可能である。
【0090】
[4−2:第3の実施形態による無線端末の動作]
以上、本発明の第3の実施形態による無線端末40−3の構成を説明した。続いて、図15および図16を参照し、第3の実施形態による無線端末40−3の動作例を説明する。
【0091】
図15および図16は、第3の実施形態による無線端末40−3の動作例を示したフローチャートである。図15に示したように、まず、無線端末40−3の測定部414が無線信号の測定情報を取得すると、位置推定部436が基地局情報記憶部416から無線信号の送信元基地局の基地局情報を取得する(S504)。
【0092】
その後、無線端末40−3は、S504において取得した各基地局情報Sに関してS508〜S520に示す処理を行う。具体的には、位置推定部436は、移動基地局情報記憶部456を参照し、基地局情報Sが移動基地局として登録されている基地局30の基地局情報であるか否かを判断する(S508)。
【0093】
また、位置推定部436は、基地局情報Sに含まれる位置情報が参照エリア内であるか否かを判断する(S512)。そして、基地局情報Sに含まれる位置情報が参照エリア外であると判断された場合、無線端末40−3は、低信頼性基地局情報記憶部448に当該基地局情報Sを追加し(S516)、当該基地局情報Sを位置推定のための利用対象から除外する(S520)。また、無線端末40−3は、S508において基地局情報Sが移動基地局として登録されている基地局30の基地局情報であると判断された場合にも、当該基地局情報Sを位置推定のための利用対象から除外する(S520)。
【0094】
そして、位置推定部436は、残った基地局情報および測定情報を利用して無線端末40−3の位置情報を推定する(S524)。
【0095】
一方、移動基地局判断部452は、所定間隔、または、低信頼性基地局情報記憶部448に新たな情報が追加された場合など、任意のタイミングで図16に示すS528〜S536の処理を実行する。
【0096】
具体的には、移動基地局判断部452は、低信頼性基地局情報記憶部448を参照し(S528)、低信頼性基地局として報告される頻度の高い基地局30があるか否かを判断する(S532)。そして、移動基地局判断部452は、低信頼性基地局として報告される頻度の高い基地局30に関する情報を移動基地局情報記憶部456に追加する(S536)。なお、移動基地局判断部452は、低信頼性基地局として報告される頻度の高い基地局30に関する情報を基地局情報記憶部416から削除してもよい。
【0097】
<5.第4の実施形態>
以上、本発明の第1〜第3の実施形態を説明した。本発明の第1〜第3の実施形態においては、基地局30の外れ値判定機能、位置推定機能、および移動基地局の判断機能などが無線端末40に実装される例を説明した。しかし、以下に第4の実施形態として説明するように、位置推定装置20にこれらの機能を実装することも可能である。
【0098】
[5−1:第4の実施形態による位置推定システムの構成]
図17は、第4の実施形態による位置推定システム2の構成を示した説明図である。図17に示したように、第4の実施形態による位置推定システム2は、位置推定装置20と、複数の基地局30と、無線端末40と、を備える。
【0099】
無線端末40は、基地局30から送信される無線信号(例えば、ビーコン信号)を受信すると、該無線信号の信号強度を測定することができる。そして、無線端末40は、測定した信号強度情報、および基地局30の基地局IDを含む測定情報を位置推定装置20に送信する。また、無線端末40は、位置推定装置20において参照エリアと特定するための参照エリア情報を送信する。なお、参照エリア情報としては、例えば第1の実施形態において説明した前回の推定位置および推定移動距離や、第2の実施形態において説明したGPSによる測位結果などが挙げられる。
【0100】
なお、信号強度情報の表現形式は特に限定されない。例えば、信号強度情報は「dBm」単位で表現されたものであってもよいし、「40%」または「80%」のように、設定値(例えば信号強度の飽和値)に対する測定値の割合で表現されたものであってもよいし、信号強度の距離換算値であってもよい。
【0101】
位置推定装置20は、各基地局30の位置情報を記憶しており、各基地局30の位置情報および無線端末40から受信される測定情報に基づき、無線端末40の位置情報を推定することができる。そして、位置推定装置20は、推定した位置情報を無線端末40に送信する。
【0102】
なお、位置推定装置20は、有線または無線の伝送路を含む通信網を介して無線端末40と通信してもよい。より詳細には、通信網は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、LTEのコアネットワーク、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、通信網は、IP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0103】
以上説明したように、第4の実施形態においては、無線端末40の位置推定が位置推定装置20において行われる。同様に、第4の実施形態においては、参照エリアの判断、外れ値判定、および移動基地局の判断なども位置推定装置20において行われる。以下、このような第4の実施形態による位置推定装置20の構成および動作を説明する。
【0104】
[5−2:第4の実施形態による位置推定装置の構成]
図18は、本発明の第4の実施形態による位置推定装置20の構成を示した機能ブロック図である。図18に示したように、第4の実施形態による位置推定装置20は、通信部212と、基地局情報記憶部216と、位置推定部236と、参照エリア判断部244と、低信頼性基地局情報記憶部248と、移動基地局判断部252と、移動基地局情報記憶部256と、を備える。
【0105】
通信部212は、無線端末40と情報を送受信するためのインターフェースである。通信部212は、例えば、無線端末40から測定情報や参照エリア情報を受信する受信部、および無線端末40に位置推定結果を送信する送信部としての機能を有する。
【0106】
基地局情報記憶部216は、第1〜第3の実施形態において説明した基地局情報記憶部416と同様に、各基地局30の基地局IDおよび位置情報からなる基地局情報を記憶する。
【0107】
参照エリア判断部244は、通信部212により無線端末40から受信される参照エリア情報に基づき、参照エリアを判断する。参照エリア情報に基づく参照エリアの判断方法については第1の実施形態および第2の実施形態において説明したので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0108】
ただし、位置推定装置20が無線端末40ごとの位置推定結果の履歴を記憶している場合、参照エリア判断部244は、位置推定装置20に記憶されている位置推定結果の履歴、および無線端末40から参照エリア情報として受信される推定移動距離に基づいて参照エリアを特定することも可能である。
【0109】
位置推定部236、低信頼性基地局情報記憶部248、移動基地局判断部252、および移動基地局情報記憶部256は、第3の実施形態で説明した位置推定部436、低信頼性基地局情報記憶部448、移動基地局判断部452、および移動基地局情報記憶部456と実質的に同一に構成することができるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0110】
要旨を説明すると、低信頼性基地局情報記憶部248には固定基地局としての信頼性が低い基地局30を示す基地局IDが記録され、移動基地局判断部252は、低信頼性基地局情報記憶部248を参照して移動基地局を判断する。移動基地局判断部252により移動基地局であると判断された基地局30に関する情報は移動基地局情報記憶部256に追加される共に、基地局情報記憶部216から削除される。
【0111】
位置推定部236は、位置情報が参照エリア内の位置を示す基地局30であって、かつ、移動基地局情報記憶部256に移動基地局として記憶されていない基地局30の測定情報、および当該基地局30の位置情報を選択的に用いて無線端末40の位置を推定する。
【0112】
[5−3:第4の実施形態による位置推定システムの動作]
以上、本発明の第4の実施形態による位置推定装置20の構成を説明した。続いて、図19を参照し、第4の実施形態による位置推定システム2の動作を説明する。
【0113】
図19は、第4の実施形態による位置推定システム2の動作を示したシーケンス図である。図19に示したように、無線端末40は、まず、周囲の基地局30から受信される無線信号の信号強度を測定する(S604)。また、無線端末40は、参照エリア情報を取得し(S608)、当該参照エリア情報およびS604において取得した測定情報を位置推定装置20に送信する(S612)。
【0114】
その後、位置推定装置20の位置推定部236は、無線端末40から受信した測定情報に関する基地局情報を基地局情報記憶部216から検索する(S616)。また、参照エリア判断部244が、無線端末40から受信される参照エリア情報に基づき参照エリアを判断する(S620)。
【0115】
さらに、位置推定部236は、上記の移動基地局判定および外れ値判定を行い(S624)、位置情報が参照エリア内の位置を示す基地局30であって、かつ、移動基地局情報記憶部256に移動基地局として記憶されていない基地局30の測定情報、および当該基地局30の位置情報を用いて無線端末40の位置を推定する(S628)。その後、通信部212が、位置推定部236により推定された無線端末40の位置情報を無線端末40に送信する(S632)。
【0116】
<6.まとめ>
以上説明したように、本発明の各実施形態によれば、参照エリア内の位置を示す基地局30の位置情報に基づいて無線端末40の位置を推定することにより、無線端末40の位置推定精度を向上することが可能である。
【0117】
さらに、本発明の第3の実施形態および第4の実施形態によれば、移動基地局である可能性の高い基地局30の位置情報を用いずに無線端末40の位置を推定することにより、位置推定の精度を一層向上することが可能である。
【0118】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0119】
例えば、本明細書の位置推定システム2、または無線端末40の処理における各ステップは、必ずしもシーケンス図またはフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、無線端末40の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0120】
また、位置推定装置20または無線端末40に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した位置推定装置20または無線端末40の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0121】
20 位置推定装置
30 基地局
40、40−1、40−2、40−3 無線端末
212、412 通信部
216、416 基地局情報記憶部
236、436 位置推定部
244、432、444 参照エリア判断部
248、448 低信頼性基地局情報記憶部
252、452 移動基地局判断部
256、456 移動基地局情報記憶部
420 加速度センサ
424 移動距離算出部
428 推定結果記憶部
440 GPS測位部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局の位置情報を記憶している基地局情報記憶部と;
前記基地局情報記憶部に記憶されている位置情報が制限範囲内である基地局の位置情報、および当該基地局から送信された無線信号の信号強度の測定情報に基づき、前記無線信号の測定位置を推定する位置推定部と;
を備える、位置推定装置。
【請求項2】
前記位置推定装置は、前記基地局から送信された無線信号の信号強度を測定する測定部をさらに備える、請求項1に記載の位置推定装置。
【請求項3】
前記位置推定装置は、前記位置推定部により前回推定された位置を基準にして前記制限範囲を判断する制限範囲判断部をさらに備える、請求項2に記載の位置推定装置。
【請求項4】
前記位置推定装置は、
前記位置推定装置の動きを検出する動き検出部と;
前記動き検出部による検出結果から、前記位置推定部による前回の位置推定時からの前記位置推定装置の移動距離を算出する移動距離算出部と;
を備え、
前記制限範囲判断部により判断される前記制限範囲は、前記位置推定部により前回推定された位置から、前記移動距離算出部により算出された移動距離以下の範囲を含む、請求項3に記載の位置推定装置。
【請求項5】
前記制限範囲判断部は、前記位置推定部により前回推定された位置から、前記移動距離算出部により算出された移動距離と所定距離の加算値以下の範囲を前記制限範囲として判断する、請求項4に記載の位置推定装置。
【請求項6】
前記位置推定装置は、
前記位置推定部と異なる方法で前記位置推定装置の位置を判断する位置判断部と;
前記位置判断部により判断された位置を基準にして前記制限範囲を判断する制限範囲判断部と;
をさらに備える、請求項2に記載の位置推定装置。
【請求項7】
前記制限範囲判断部は、前記位置判断部により判断された位置から、前記位置判断部による判断誤差量および所定距離の加算値以下の範囲を前記制限範囲として判断する、請求項6に記載の位置推定装置。
【請求項8】
前記位置推定装置は、
前記基地局情報記憶部に記憶されている位置情報が前記制限範囲外である基地局の無線信号が測定された場合に、当該基地局を示す履歴情報を記憶する履歴情報記憶部と;
前記履歴情報に基づいて前記基地局が移動基地局であるか否かを判断する移動基地局判断部と;
前記移動基地局判断部により前記移動基地局であると判断された基地局を示す情報を記憶する移動基地局情報記憶部と;
をさらに備える、請求項1に記載の位置推定装置。
【請求項9】
前記移動基地局判断部は、前記基地局情報記憶部に記憶されている位置情報が前記制限範囲外である基地局の無線信号が所定頻度、または所定回数を超えて測定された場合に前記基地局が移動基地局であると判断する、請求項8に記載の位置推定装置。
【請求項10】
前記位置推定部は、前記移動基地局情報記憶部に移動基地局として記憶されていない基地局の測定結果を用いて前記無線端末の位置を推定する、請求項9に記載の位置推定装置。
【請求項11】
前記位置推定装置は、
基地局から送信された無線信号の信号強度を測定する無線端末から前記測定情報を受信する受信部と;
前記位置推定部により推定された位置情報を前記無線端末に送信する送信部と;
を備える、請求項1に記載の位置推定装置。
【請求項12】
基地局から送信された無線信号の信号強度の測定情報を取得するステップと;
基地局の位置情報を記憶している記憶媒体から、前記測定情報に関する基地局のうちで、前記記憶媒体に記憶されている位置情報が制限範囲内である基地局を判断するステップと;
前記記憶媒体に記憶されている位置情報が制限範囲内である基地局の位置情報、および測定情報に基づいて前記無線信号の測定位置を推定するステップと;
を含む、位置推定方法。
【請求項13】
コンピュータを、
基地局の位置情報を記憶している基地局情報記憶部と;
前記基地局情報記憶部に記憶されている位置情報が制限範囲内である基地局の位置情報、および当該基地局から送信された無線信号の信号強度の測定情報に基づき、前記無線信号の測定位置を推定する位置推定部と;
として機能させるための、プログラム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−58102(P2012−58102A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202198(P2010−202198)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】