説明

位置検出システム、機器制御システム、及び位置検出方法

【課題】セミパッシブRFIDを用いた位置検出における検出の精度を向上させる。
【解決手段】位置検出システムは、複数のエリアごとに設置され、それぞれがエリアに対応付けられた位置情報を含む信号を周期的に送信する複数の発信部と、発信部が送信する信号を受信すると、該信号に含まれる位置情報、及び予め割り当てられている自機を識別する識別情報を含む信号を送信する電子タグ部と、電子タグ部が送信する信号を受信すると、今回受信した信号に含まれる識別情報と一致する識別情報を含む信号のうち1回前に受信した信号に含まれる位置情報である前回位置情報と、今回受信した信号に含まれる位置情報である今回位置情報と、該識別情報とを含む検出情報を出力する検出情報生成部と、検出情報に含まれる前回位置情報及び今回位置情報の組合せに基づいて、複数のエリアのうち、電子タグ部が位置するエリアを判定する位置判定部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出システム、機器制御システム、及び位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線ID(IDentification)タグを利用した様々なシステムが検討されている。例えば、RFID(Radio Frequency IDentification)タグを所持する利用者の位置や移動などを検出し、検出した情報に基づいて建物などへの入退場を管理したり、建物内に備えられている設備機器を制御したりする技術が検討されている。
例えば、特許文献1には、セミパッシブRFIDタグを用いて、セミパッシブRFIDを備えた移動体の位置を検出する技術が提案されている。
【0003】
図5は、人の位置を検出する位置検出システム90の構成例を示す概略図である。位置検出システム90は、人が所持する電子タグ93の位置を検出することにより、人の位置を検出する。同図に示すように、位置検出システム90は、LF(Low Frequency;長波)発信機91と、LFアンテナ92と、電子タグ93と、RFIDリーダ94と、サーバ装置95とを具備している。LF発信機91は、予め定められた周期ごとに、自機が設置されている位置を示す位置情報を含む長波帯の信号(以下、LF波という。)をLFアンテナ92に出力する。LFアンテナ92は、例えば、床面又は床下に設置され、LF発信機91から入力されるLF波を放射する。
【0004】
電子タグ93は、セミパッシブRFIDタグであり、LFアンテナ92から放射されるLF波を検出すると、検出したLF波に含まれるLF発信機91の位置を示す位置情報と、自機を識別する識別情報とを含む極超短波帯の信号(以下、RFID波という。)を送信する。電子タグ93がLF波を検出できる範囲であるLF波受信エリアは、LF波の送信電力や、LFアンテナ92を配置する位置及び形状などにより調節することができる。
RFIDリーダ94は、電子タグ93から送信されるRFID波を受信し、受信したRFID波に含まれる位置情報及び識別情報を組み合わせた検出情報をサーバ装置95に送信する。サーバ装置95は、RFIDリーダ94から受信する検出情報に基づいて、建物への入退場を管理や、居室内に備えられている設備機器の制御などを行う。
【0005】
位置検出システム90において、LF発信機91とLFアンテナ92とが、人の検出を行いたいエリアに対応して配置され、LF発信機91が出力するLF波に含まれる位置情報を用いて、電子タグ93を所持する人の位置するエリアを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−217496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図6は、LF発信機91とLFアンテナ92との配置の一例を示す図である。同図は、居室内を9つのエリア(識別番号:A11、A12、A13、A21、A22、A23、A31、A32、及びA33)に分割し、LF発信機91とLFアンテナ92とが各エリアに配置されている。同図において、破線で示される矩形は、各エリアのLF波受信エリアを示している。この居室において、電子タグ93がLF波を検出できない位置を生じさせないようにLF波受信エリアを設けると、各LFアンテナ92によるLF波受信エリアに重なり合う領域が生じてしまう。
【0008】
図7は、各LFアンテナ92によるLF波受信エリアが重なり合う領域(B1〜B12)を示す図である。このように、居室において、LF波受信エリアに重なり合う領域が生じた場合に、当該領域に電子タグ93が位置すると、電子タグ93がいずれのLF波受信エリアに位置するか識別できないことがある。具体的には、エリアA11とエリアA12とのLF波受信エリアが重なり合う領域B2に電子タグ93が位置する場合、電子タグ93は、エリアA11に設置されているLF発信機91が出力するLF波と、エリアA12に設置されているLF発信機91が出力するLF波とを交互に受信する。更に、電子タグ93は、エリアA11の位置情報を含むRFID波と、エリアA12の位置情報を含むRFID波とを交互に送信する。そして、RFIDリーダ94は、電子タグ93から受信するRFID波に基づいて、電子タグ93がエリアA11に位置することを示す検出情報と、電子タグ93がエリアA12に位置することを示す検出情報とを交互にサーバ装置95に送信する。
【0009】
上述のように、電子タグ93が、各エリアに対応するLF波受信エリアが重なり合う領域に位置する場合、サーバ装置95における入退場の管理や、設備機器の制御が適切に行えないことがある。例えば、サーバ装置95が設備機器としての照明器具を制御する場合、電子タグ93を所持している人が、エリアA11とエリアA12とが重なり合う領域に位置するとき、エリアA11の照明器具と、エリアA12の照明器具とが点灯と消灯とを交互に繰り返してしまい視環境を損なってしまうことがある。また、サーバ装置95が入退場を管理する場合、電子タグ93を所持している人が、エリアA11とエリアA12とが重なり合う領域に留まっているにも関わらず、エリアA11とエリアA12との間を行き来している記録が残ってしまうことがある。
すなわち、セミパッシブRFIDである電子タグ93の位置を検出する位置検出システムにおいて、電子タグ93がLF波を検出できない位置を生じさせないようにLF波受信エリアを設けた場合、電子タグ93の位置を正しく検出できないことがある。
【0010】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、セミパッシブRFIDを用いた位置検出における検出の精度を向上させることができる位置検出システム、及び位置検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題を解決するために、本発明は、複数のエリアごとに設置され、それぞれがエリアに対応付けられた位置情報を含む信号を周期的に送信する複数の発信部と、前記発信部が送信する信号を受信すると、該信号に含まれる位置情報、及び予め割り当てられている自機を識別する識別情報を含む信号を送信する電子タグ部と、前記電子タグ部が送信する信号を受信すると、今回受信した信号に含まれる識別情報と一致する識別情報を含む信号のうち1回前に受信した信号に含まれる位置情報である前回位置情報と、今回受信した信号に含まれる位置情報である今回位置情報と、該識別情報とを含む検出情報を出力する検出情報生成部と、前記検出情報に含まれる前回位置情報及び今回位置情報の組合せに基づいて、前記複数のエリアのうち、電子タグ部が位置するエリアを判定する位置判定部とを備えていることを特徴とする位置検出システムである。
【0012】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前回位置情報と今回位置情報との組合せごとに、前記複数のエリアのうち前記電子タグ部が位置するエリアを示す情報を対応付けたエリアテーブルを予め記憶しているエリアテーブル記憶部を更に備え、前記位置判定部は、前記検出情報生成部が出力する検出情報に含まれる前回位置情報及び今回位置情報に対応するエリアを示す情報を前記エリアテーブルから読み出し、読み出した情報が示すエリアを前記電子タグ部が位置するエリアとすることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記に記載の発明における位置検出システムと、前記複数のエリアごとに設置されている設備機器と、前記位置検出システムが検出した前記電子タグ部が位置するエリアに基づいて、前記設備機器の運転を制御する設備機器制御部とを具備することを特徴とする機器制御システムである。
【0014】
また、本発明は、複数のエリアごとに設置されている発信部であってそれぞれがエリアに対応付けられた位置情報を含む信号を周期的に送信する発信部が送信する信号を受信すると、該信号に含まれる位置情報、及び予め割り当てられている自機を識別する識別情報を含む信号を送信する電子タグ送信ステップと、前記電子タグ送信ステップにおいて送信された信号を受信すると、今回受信した信号に含まれる識別情報と一致する信号のうち1回前に受信した信号に含まれる位置情報である前回位置情報と、今回受信した信号に含まれる位置情報である今回位置情報と、該識別情報とを含む検出情報を出力する検出情報生成ステップと、前記検出情報に含まれる前回位置情報及び今回位置情報の組合せに基づいて、前記複数のエリアのうち、前記検出情報に含まれる識別情報が示す電子タグ部が位置するエリアを検出する位置検出ステップとを有すことを特徴とする位置検出方法である。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、位置判定部が、電子タグ部が今回検出されたエリアを示す今回情報と、電子タグ部が前回検出されたエリアを示す前回情報との組合せに基づいて、現在電子タグ部が位置しているエリアを検出する。これにより、電子タグ部が位置した前回のエリアと、今回のエリアとの変化に基づいて現在電子タグ部が位置するエリアを検出することができるので、隣接するエリアを示す情報が交互に検出される場合には、当該隣接するエリアを行き来していると判定しないようにすることができ、位置検出における検出の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態における機器制御システム1の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】実施例1における電子タグ13を所持している利用者が居室内を移動した軌跡である移動経路を示す図である。
【図3】実施例2における機器制御システム1を適用するオフィスの概略を示す図である。
【図4】実施例2におけるエリアテーブル記憶部142に記憶されているエリアテーブルを示す図である。
【図5】人の位置を検出する位置検出システム90の構成例を示す概略図である。
【図6】LF発信機91とLFアンテナ92との配置の一例を示す図である。
【図7】各LFアンテナ92によるLF波受信エリアが重なり合う領域(B1〜B12)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における位置検出システム、機器制御システム、及び位置検出方法を説明する。
図1は、本実施形態における機器制御システム1の構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、機器制御システム1は、位置検出システム10と、制御装置20と、複数の設備機器30とを具備している。
機器制御システム1は、建物内を予め定めた複数のエリアに分け、各エリアにおける人の有無に応じて、各エリアに備えられている複数の設備機器30の運転を制御するシステムである。ここで、複数の設備機器30には、それぞれを一意に識別する識別子が予め割り当てられており、制御装置20は識別子を用いて複数の設備機器30を制御する。また、設備機器30は、例えば、照明器具や、空調設備などである。
【0018】
位置検出システム10は、LF発信機11と、LFアンテナ12と、電子タグ13と、RFIDリーダ14とを備えている。LF発信機11は、予め定められた周期ごとに、自機が設置されているエリア(位置)を示す位置情報を含む長波帯の信号(以下、LF波という。)をLFアンテナ12に出力する。LFアンテナ12は、例えば、床面又は床下に設置され、LF発信機11から入力されるLF波を放射する。また、LFアンテナ12は、建物内のエリアごとに少なくとも1つが設置される。
電子タグ13は、建物を利用する利用者が所持するセミパッシブRFIDタグであり、LFアンテナ12から放射されるLF波を検出すると、検出したLF波に含まれる位置情報と、自機を識別する識別情報とを含む極超短波帯の信号(以下、RFID波という。)を送信する。ここで、電子タグ13がLF波を検出できる範囲であるLF波受信エリアは、LF発信機11におけるLF波の送信電力やLFアンテナ12を配置する位置及びその形状などにより、広くしたり、狭くしたり、またその形状を変更するなどの調節を行うことができる。
【0019】
RFIDリーダ14は、電子タグ13から送信されるRFID波を受信し、受信したRFID波に含まれる位置情報及び識別情報に基づいて、当該識別情報で示される電子タグ13が位置するエリアを検出し、検出したエリアを示す検出情報を制御装置20に送信する。このRFIDリーダ14は、位置履歴記憶部141と、エリアテーブル記憶部142と、受信部143と、検出情報生成部144と、位置判定部145とを有している。
位置履歴記憶部141には、電子タグ13から受信されたRFID波に含まれる位置情報及び識別情報の組合せである履歴情報が、識別情報ごとに、RFID波を受信した順に記憶されている。エリアテーブル記憶部142には、今回受信したRFID波に含まれる位置情報と、前回受信したRFID波に含まれる位置情報との組合せごとに、電子タグ13が現在位置するエリアを示す情報を対応付けたエリアテーブルが予め記憶されている。すなわち、エリアテーブル記憶部142には、電子タグ13が前回送信した位置情報(エリア)と、当該電子タグ13が今回送信した位置情報(エリア)との組合せから、現在、当該電子タグ13が位置するエリアを判定するためのエリアテーブルが予め記憶されている。例えば、エリアテーブルには、電子タグ13が前回送信した位置情報と、当該電子タグ13が今回送信した位置情報とが同じエリアを示す場合、当該エリアに位置することを示す情報が記憶され、また、電子タグ13が前回送信した位置情報と、当該電子タグ13が今回送信した位置情報とが異なるエリアを示す場合、前回判定したエリアに位置することを示す情報が記憶されている。
【0020】
受信部143は、電子タグ13が送信したRFID波を受信し、受信したRFID波を検出情報生成部144に出力する。検出情報生成部144は、受信部143から入力されたRFID波に含まれる位置情報及び識別情報の組合せである履歴情報を、識別情報が示す電子タグ13ごとに、RFID波を受信した順に位置履歴記憶部141に記憶させる。また、検出情報生成部144は、位置履歴記憶部141に記憶されている履歴情報のうち、受信部143から入力されたRFID波に含まれる識別情報と一致する識別情報を含み、かつ1回前に受信したRFID波に対応する履歴情報を読み出す。検出情報生成部144は、入力されたRFID波に含まれる位置情報である今回位置情報と、読み出した履歴情報に含まれる位置情報である前回位置情報と、入力されたRFID波に含まれる識別情報とを含む検出情報を生成する。
【0021】
位置判定部145は、検出情報生成部144が生成した検出情報に基づいて、検出情報に含まれる識別情報が示す電子タグ13が現在位置するエリアを判定する。具体的には、位置判定部145は、検出情報生成部144が生成した検出情報に含まれる今回位置情報及び前回位置情報の組合せに対応するエリアを示す情報を読み出し、読み出した情報が示すエリアを、電子タグ13が現在位置するエリアとして判定する。また、位置判定部145は、電子タグ13が現在位置するエリアを示す情報と、識別情報とを含む判定情報を制御装置20に送信する。
【0022】
制御装置20は、位置検出システム10が判定した電子タグ13が現在位置するエリア、すなわち電子タグ13を所持している利用者が位置するエリアに基づいて、建物内の各エリアに備えられている設備機器30を制御する。制御装置20は、設置位置記憶部21と、制御部22とを有している。設置位置記憶部21には、建物内のエリアごとに、当該エリアに設けられている設備機器30を識別する識別子が対応付けられて予め記憶されている。制御部22は、位置検出システム10から判定情報が入力され、入力された判定情報が示すエリアに対応する設備機器30の識別子を読み出し、読み出した識別子に対応する設備機器30を運転させる制御を、当該設備機器30に対して行う。
【0023】
以下、エリアテーブル記憶部142に記憶されているエリアテーブルには、今回位置情報と前回位置情報とが同じエリアの組合せに、電子タグ13が当該エリアに位置することを示す情報が対応付けられ、また、今回位置情報と前回位置情報とが異なるエリアの組合せに、電子タグ13が前回判定したエリアに位置することを示す情報が対応付けられている場合を例にして説明する。このとき、建物内のエリアは、図7に示すように9つのエリアに分けられているものとする。
【0024】
電子タグ13を所持する人が、エリアA11のLF波受信エリアからエリアA11及びエリアA12それぞれのLF波受信エリアの重なる領域B1に移動し、領域B1で止まっている場合、電子タグ13は、エリアA11のLF発信機11が出力するLF波をトリガとしてエリアA11を示す位置情報を含むRFID波と、エリアA12のLF発信機11が出力するLF波をトリガとしてエリアA12を示す位置情報を含むRFID波とを交互に送信する。このとき、検出情報生成部144は、(前回位置情報,今回位置情報)が(エリアA11,エリアA12)の組合せを含む検出情報と、(エリアA12,エリアA11)の組合せとを含む検出情報とを交互に位置判定部145に出力する。
【0025】
位置判定部145は、(エリアA11,エリアA12)の組合せと、(エリアA12,エリアA11)の組合せとに対応する情報をエリアテーブルから読み出し、読み出した情報が「電子タグ13は前回判定したエリアに位置する」であるので、電子タグ13がエリアA11に位置するという判定をし、当該判定の結果を含む判定情報を制御装置20に出力する。
このように、本実施形態の位置検出システム10は、電子タグ13の移動の履歴に基づいて、電子タグ13が位置するエリアを判定するので、電子タグ13から受信した位置情報のみを用いて電子タグ13の位置を判定する場合に比べ、電子タグ13が位置するエリアを安定して判定することができる。その結果、図7に示すようにLF波受信エリアが重なり合う領域に電子タグ13が位置する場合においても、隣接するエリアA11とエリアA12とを示す情報が交互に検出される場合にも、電子タグ13が当該隣接するエリアを行き来していると判定しないようにすることができ、位置検出における検出の精度を向上させることができる。
【実施例1】
【0026】
実施例1は、機器制御システム1を用いて、居室内に備えられている設備機器30としての照明器具を制御する場合について説明する。ここでは、図6に示した場合と同様に、居室内を9つのエリアに分け、それぞれのエリアに設備機器30としての照明器具が設置されているものとする。機器制御システム1は、電子タグ13を所持している利用者の位置するエリアを検出し、検出したエリアの照明器具を点灯させる制御を行う。また、機器制御システム1に備えられているエリアテーブル記憶部142には、今回位置情報と前回位置情報とが同じエリアの組合せに、電子タグ13が当該エリアに位置することを示す情報が対応付けられ、また、今回位置情報と前回位置情報とが異なるエリアの組合せに、電子タグ13が前回判定したエリアに位置することを示す情報が対応付けられているエリアテーブルが予め記憶されているものとする。
【0027】
図2は、本実施例における電子タグ13を所持している利用者が居室内を移動した軌跡である移動経路を示す図である。同図に示すように、利用者は、居室の出入り口から入出して、エリアA11、エリアA12、エリアA13、エリアA22、エリアA32を経由して、エリアA33にある利用者自身の執務席に移動した場合を示している。
このとき、LF発信機11がLF波を出力する間隔が、適切に設定されていれば、位置検出システム10に備えられている検出情報生成部144は、次の順に検出情報を出力する。例えば、LF発信機11がLF波を出力する間隔(周期)は、利用者が歩いて1つのエリアを通過する際に要する時間よりも長く、2つのエリアを通過する際に要する時間よりも短く設定する。
【0028】
検出情報生成部144は、利用者が図2に示すように移動した場合、(前回位置情報,今回位置情報)の組合せが(エリアA11,エリアA12)、(エリアA12,エリアA13)、(エリアA13,エリアA22)、(エリアA22,エリアA32)、(エリアA32,エリアA33)、(エリアA33,エリアA33)、(エリアA33,エリアA33)、・・・の組合せを含む検出情報を位置判定部145に順に出力する。位置判定部145は、エリアテーブルにおいて、前回位置情報及び今回位置情報の組合せに対応付けられている情報に基づいて、電子タグ13を所持している利用者の位置を判定する。その結果、利用者がエリアA33にある自身の執務席に止まっている場合にのみ、エリアA33に位置することを示す判定情報を制御装置20に出力する。
制御装置20は、位置判定部145から入力される判定情報に基づいて、エリアA33に備えられている照明器具を点灯させる制御を行う。これにより、利用者の執務席における照度を確保し、執務席において作業を行える視環境を得ることができる。
【0029】
このように、位置検出システム10のエリアテーブルにおいて、前回位置情報と今回位置情報とが示すエリアが一致する場合に当該エリアに電子タグ13(利用者)が位置すると判定する対応付けを行っておくことで、利用者の止まっている位置(エリア)を把握することができる。その結果、制御装置20が、利用者が通過するエリアにおいて照明器具を点灯させず、利用者が止まっているエリアにおいて照明器具を点灯させる制御を行うことができる。利用者が通過するエリアにおいて照明器具を点灯させないので、無駄な点灯を省くことができ、省エネルギー化を図ることができる。
【実施例2】
【0030】
実施例2は、機器制御システム1を用いてオフィスに備えられている設備機器30としての照明器具を制御する場合について説明する。本実施例では、実施例1と同様に、機器制御システム1は、電子タグ13を所持している利用者の位置するエリアを検出し、検出したエリアに備えられている照明器具を点灯させる制御を行う。
図3は、実施例2における機器制御システム1を適用するオフィスの概略を示す図である。同図に示すように、機器制御システム1を適用するオフィスは、執務席、打合せ席、及び通路の3つのエリアに分けられている。図4は、実施例2におけるエリアテーブル記憶部142に記憶されているエリアテーブルを示す図である。同図に示すように、エリアテーブルには、オフィス内の各エリアの組合せごとに、電子タグ13(利用者)が位置するエリアを示す情報が対応付けられている。例えば、(前回位置情報,今回位置情報)の組合せが、(執務席,通路)の組合せに対して執務席が対応付けられている。
【0031】
図4に示すように、エリアテーブルにおいて、エリアごとに優先順位を設け、優先順位の高いエリア(執務席)では、前回位置情報と今回位置情報といずれかが優先順位の高いエリアを示している場合、当該組合せに対して優先順位の高いエリアに位置していることを示す情報を対応付け、前回位置情報と今回位置情報とが示すエリアが一致する場合、当該エリアに位置していることを示す情報を対応付けている。
このように、エリアテーブルを設定することにより、利用者が執務席から離れ、すぐにまた執務席に戻るような場合に、打合せ席や、通路に備えられている照明器具を点灯させずに、執務席に備えられている照明器具を点灯させておくことができる。その結果、利用者のちょっとした移動に応じて照明器具の点灯と消灯とを繰り返して行うことを避けて、執務席における視環境を損なわずに、省エネルギー化を図ることができる。
【0032】
なお、上述の実施例1及び実施例2では、設備機器30としての照明器具の点灯と消灯とを切り替える制御を行う場合について説明したが、これに限ることなく、照明器具の調光率を変化させるようにしてもよい。例えば、利用者が位置するエリアの照明器具の調光率を、利用者が位置しないエリアの照明器具の調光率より高くする制御を行うようにしてもよい。また、設備機器30が空調設備の場合、利用者が位置するエリアに設けられている空調設備を運転させる制御を行うようにしてもよい。
【0033】
なお、上述の機器制御システム1では、RFIDリーダ14が、前回位置情報と今回位置情報との組合せに基づいて、電子タグ13が位置するエリアを判定する処理を行う構成について説明したが、これに限ることなく、制御装置20が行うようにしてもよい。また、別の装置を設けて、当該装置において、前回位置情報と今回位置情報との組合せに基づいて、電子タグ13が位置するエリアを判定する処理を行うようにしてもよい。
【0034】
上述のRFIDリーダ14及び制御装置20は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。その場合、上述した位置履歴記憶部141、エリアテーブル記憶部142、検出情報生成部144、位置判定部145、設置位置記憶部21、及び制御部22それぞれの機能をコンピュータシステムに実行させるプログラムが、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記の電子タグ13が位置するエリアを判定する処理、及び設備機器30を制御する処理が行われることになる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0035】
なお、本発明における発信部は、実施の形態におけるLF発信機11に対応する。
【符号の説明】
【0036】
1…機器制御システム、10,90…位置検出システム、11,91…LF発信機、12,92…LFアンテナ、13,93…電子タグ、14,94…RFIDリーダ、20…制御装置、21…設置位置記憶部、22…制御部、30…設備機器、95…サーバ装置、141…位置履歴記憶部、142…エリアテーブル記憶部、143…受信部、144…検出情報生成部、145…位置判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリアごとに設置され、それぞれがエリアに対応付けられた位置情報を含む信号を周期的に送信する複数の発信部と、
前記発信部が送信する信号を受信すると、該信号に含まれる位置情報、及び予め割り当てられている自機を識別する識別情報を含む信号を送信する電子タグ部と、
前記電子タグ部が送信する信号を受信すると、今回受信した信号に含まれる識別情報と一致する識別情報を含む信号のうち1回前に受信した信号に含まれる位置情報である前回位置情報と、今回受信した信号に含まれる位置情報である今回位置情報と、該識別情報とを含む検出情報を出力する検出情報生成部と、
前記検出情報に含まれる前回位置情報及び今回位置情報の組合せに基づいて、前記複数のエリアのうち、電子タグ部が位置するエリアを判定する位置判定部と
を備えていることを特徴とする位置検出システム。
【請求項2】
前回位置情報と今回位置情報との組合せごとに、前記複数のエリアのうち前記電子タグ部が位置するエリアを示す情報を対応付けたエリアテーブルを予め記憶しているエリアテーブル記憶部を更に備え、
前記位置判定部は、
前記検出情報生成部が出力する検出情報に含まれる前回位置情報及び今回位置情報に対応するエリアを示す情報を前記エリアテーブルから読み出し、読み出した情報が示すエリアを前記電子タグ部が位置するエリアとする
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の位置検出システムと、
前記複数のエリアごとに設置されている設備機器と、
前記位置検出システムが検出した前記電子タグ部が位置するエリアに基づいて、前記設備機器の運転を制御する設備機器制御部と
を具備することを特徴とする機器制御システム。
【請求項4】
複数のエリアごとに設置されている発信部であってそれぞれがエリアに対応付けられた位置情報を含む信号を周期的に送信する発信部が送信する信号を受信すると、該信号に含まれる位置情報、及び予め割り当てられている自機を識別する識別情報を含む信号を送信する電子タグ送信ステップと、
前記電子タグ送信ステップにおいて送信された信号を受信すると、今回受信した信号に含まれる識別情報と一致する信号のうち1回前に受信した信号に含まれる位置情報である前回位置情報と、今回受信した信号に含まれる位置情報である今回位置情報と、該識別情報とを含む検出情報を出力する検出情報生成ステップと、
前記検出情報に含まれる前回位置情報及び今回位置情報の組合せに基づいて、前記複数のエリアのうち、前記検出情報に含まれる識別情報が示す電子タグ部が位置するエリアを検出する位置検出ステップと
を有すことを特徴とする位置検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−185101(P2012−185101A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49628(P2011−49628)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】