位置検出システムおよび入力機能付き表示システム
【課題】光源部からの指示部材の距離にかかわらず、受光素子からの出力を適正なレベルに設定することのできる位置検出システム、および入力機能付き表示システムを提供すること。
【解決手段】位置検出システム1において、指示部材Obの外周面には再帰反射部Sbが設けられている。光源部12は、基準面41aに平行な仮想面P12に沿って検出光L2を出射する。受光素子13は、仮想面P12よりZ軸方向の一方側Z1において、受光面130に対する法線方向L130が基準面41aに交差するように配置されている。指示部材Obと光源部12との距離が長い場合には、短い場合に比して、再帰反射部Sbで反射した光が受光素子13の受光面130に効率よく入射する。
【解決手段】位置検出システム1において、指示部材Obの外周面には再帰反射部Sbが設けられている。光源部12は、基準面41aに平行な仮想面P12に沿って検出光L2を出射する。受光素子13は、仮想面P12よりZ軸方向の一方側Z1において、受光面130に対する法線方向L130が基準面41aに交差するように配置されている。指示部材Obと光源部12との距離が長い場合には、短い場合に比して、再帰反射部Sbで反射した光が受光素子13の受光面130に効率よく入射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指示部材の位置を光学的に検出する位置検出システム、および当該位置検出システムを備えた入力機能付き表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
指示部材を光学的に検出する位置検出システムとしては、例えば、複数の点光源を互いに離間した位置に設け、複数の点光源の各々から透光部材を介して指示部材に向けて検出光を出射した際に、指示部材で反射した検出光が透光部材を透過して受光素子で検出されるものが提案されている(特許文献1参照)。また、複数の点光源の各々から出射された検出光を、導光板を介して出射し、指示部材で反射した検出光を受光素子で検出する方式の位置検出システムも提案されている(特許文献2、3参照)。
【0003】
かかる位置検出システムでは、受光素子として共通のものを用い、複数の点光源のうちの一部の点光源が点灯した際の受光素子での受光強度と、他の一部の点光源が点灯した際の受光素子での受光強度との比較結果に基づいて指示部材の位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−534554号公報
【特許文献2】特開2010−127671号公報
【特許文献3】特開2009−295318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の構成では、指示部材の二次元座標データ(例えば、X座標データおよびY座標データ)を得ようとしても、検出範囲を拡張することが困難である。すなわち、検出範囲を広めると、受光素子には、受光面に対する法線方向から大きく傾いた方向から光が入射するが、受光素子は、斜め方向に対する感度が低いという指向性を有しているため、特許文献1〜3に記載の構成では検出範囲の拡大が困難である。
【0006】
ここに本願発明者は、図15に示すように、光源部12から、基準面41aに平行な仮想面P12に沿うように検出光L2を放射状に出射し、指示部材Obで反射してきた反射光L3を受光素子13で検出することにより、基準面41a内における指示部材Obの位置を、光源部12を中心とする角度位置として検出することを検討している。また、指示部材Obの外周面に再帰反射部Sbを設ける一方、受光素子13については、受光面130に対する法線方向L130が基準面41aおよび仮想面P12に平行になるように配置し、指示部材Obからの反射光L3を効率よく受光面130に入射させることを検討している。
【0007】
しかしながら、図15に示す構成では、光源部12からの距離がdである箇所に到達する検出光L2の強度Lは、下式
L=L0/d2
L0=光源部12からの出射強度
に示すように、距離dの2乗に反比例する。このため、指示部材Obと光源部12との距離dが、例えば、deで短い場合には受光素子13からの出力レベルは十分高いが、指示部材Obと光源部12との距離dが、例えば、dfで長い場合には受光素子13からの出力レベルが低くなってしまい、検出精度が低下する。かといって、光源部12からの出射強度を高めると、指示部材Obと光源部12との距離dがdeで短い場合、受光素子13からの出力レベルが高くなりすぎて、検出回路での入力許容範囲を超えてしまう。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、光源部からの指示部材の距離にかかわらず、受光素子からの出力を適正なレベルに設定することのできる位置検出システム、およびかかる位置検出システムを備えた入力機能付き表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る位置検出システムは、互いに直交する第1方向および第2方向によって規定される基準面と、前記基準面に対して前記第1方向および前記第2方向に対して直交する第3方向の一方側で対向するように設定された仮想面に沿って検出光を放射状に出射する光源部と、外周面に再帰反射部をもって前記基準面に対して前記第3方向の一方側に位置する指示部材と、該指示部材で反射した前記検出光を受光する受光素子と、該受光素子からの出力に基づいて前記基準面の面内方向における前記指示部材の位置を検出する位置検出部と、を有し、前記受光素子は、前記基準面に対して前記第3方向の一方側で、受光面に対する法線方向が前記基準面に交差するように配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明では、指示部材の外周面に再帰反射部が設けられているため、光源部から出射された検出光が指示部材で反射すると、反射光は光源部に向かって進行するとともに、反射光の一部が受光素子の受光面に入射する。その際、光源部に指示部材が近い位置にある場合、検出光の強度は高いが、受光素子の受光面に入射するのは、反射光が再帰反射する方向に対して大きな角度を成す方向であり、受光面への入射効率が低い。これに対して、光源部から指示部材が遠い位置にある場合、検出光の強度は低いが、受光素子の受光面に入射するのは、反射光が再帰反射する方向に対して小さな角度を成す方向であり、受光面への入射効率が高い。また、受光素子の受光面に対する法線方向は、基準面に交差するように傾いているため、受光素子の受光面に入射する光が、受光面に対する法線方向と成す角度を小さくすることができる。従って、指示部材が光源部に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子から出力される信号のレベル差を小さくすることができる。また、受光面に対する法線方向は、基準面と交差する方向に傾いているため、受光素子の受光面に入射する光が受光面に対する法線方向と成す角度を小さくすることができる。それ故、指示部材が光源部に近い位置にある場合、および遠い位置にある場合のいずれにおいても、受光素子から出力される信号のレベルが高い。それ故、本発明によれば、光源部からの指示部材の距離にかかわらず、受光素子からの出力を適正なレベルに設定することができ、検出精度を高めることができる。
【0011】
本発明において、前記受光面は、前記仮想面より前記第3方向の一方側に位置することが好ましい。かかる構成において、受光面に対する法線方向は、基準面と交差する方向に傾いていると、指示部材が光源部に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子から出力される信号のレベル差をより小さくすることができる。すなわち、光源部に指示部材が近い位置にある場合、検出光の強度は高いが、受光素子の受光面に入射するのは、受光面に対する法線方向から大きく傾いた方向であり、受光素子の感度が低い。これに対して、光源部から指示部材が遠い位置にある場合、検出光の強度は低いが、受光素子の受光面に入射するのは、受光面に対する法線方向から小さく傾いた方向であり、受光素子の感度が高い。従って、指示部材が光源部に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子から出力される信号のレベル差を小さくすることができる。
【0012】
本発明において、前記仮想面は、前記基準面に対して傾いていることが好ましい。かかる構成によれば、光源部に指示部材が近い位置にある場合、指示部材では、検出光が照射される面積を狭くし、光源部から指示部材が遠い位置にある場合、指示部材では、検出光が照射される面積を広くすることができる。従って、指示部材が光源部に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子から出力される信号のレベル差をより小さくすることができる。
【0013】
本発明において、前記光源部の前記第3方向における出射強度の半値角度は、前記仮想面と前記基準面とが成す角度に等しいことが好ましい。かかる構成によれば、光源部に近い位置、および光源部から遠い位置のいずれにおいても、基準面から等距離の範囲を検出対象空間として設定するのに適している。
【0014】
本発明において、前記光源部は、第1期間において前記検出光の出射角度範囲の一方側から他方側に向けて光強度を減少させ、前記第1期間と重ならない第2期間において前記検出光の出射角度範囲の他方側から一方側に向けて光強度を減少させ、前記位置検出部は、前記第1期間における前記受光素子からの出力と前記第2期間における前記受光素子からの出力との比較結果に基づいて前記基準面の面内方向における前記指示部材の位置を検出する構成を採用することができる。
【0015】
本発明に係る位置検出システムは、入力機能付き表示システムや、電子ペーパーに対する入力システムや、入力機能付きウインドウシステムや、入力機能付きアミューズメントシステム等、各種のシステムに利用することができる。
【0016】
例えば、本発明は、互いに直交する第1方向および第2方向によって規定される面内に表示面を備えた表示装置と、前記表示面に対して直交する第3方向の一方側に位置する指示部材の位置を検出する位置検出システムと、を有し、当該位置検出システムでの前記指示部材の位置検出結果に基づいて前記表示面に表示される画像が切り換えられる入力機能付き表示システムであって、前記指示部材は、外周面に再帰反射部を備え、前記位置検出システムは、前記表示面に対して前記第3方向の一方側で対向するように設定された仮想面に沿って検出光を放射状に出射する光源部と、前記指示部材で反射した前記検出光を受光する受光素子と、該受光素子からの出力に基づいて前記表示面の面内方向における前記指示部材の位置を検出する位置検出部と、を有し、前記受光素子は、前記表示面に対して前記第3方向の一方側で、受光面に対する法線方向が前記表示面に交差するように配置されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、互いに直交する第1方向および第2方向によって規定される面内にスクリーン面を備えたスクリーンと、前記スクリーン面に画像を投射する画像投射装置と、前記スクリーン面に対して直交する第3方向の一方側に位置する指示部材の位置を検出する位置検出システムと、を有し、当該位置検出システムでの前記指示部材の位置検出結果に基づいて前記表示面で表示される画像が切り換えられる入力機能付き表示システムであって、前記位置検出システムは、前記スクリーン面に対して前記第3方向の一方側で対向するように設定された仮想面に沿って検出光を放射状に出射する光源部と、前記指示部材で反射した前記検出光を受光する受光素子と、該受光素子からの出力に基づいて前記スクリーン面の面内方向における前記指示部材の位置を検出する位置検出部と、を有し、前記受光素子は、前記スクリーン面に対して前記第3方向の一方側で、受光面に対する法線方向が前記スクリーン面に交差するように配置されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムの主要部を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムの受発光ユニットの説明図である。
【図3】図2に示す受発光ユニットの主要部の構成を示す説明図である。
【図4】図3に示す受発光ユニットに構成した光源部の構成を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムの電気的構成等を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムにおける位置検出原理を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムにおいて指示部材のXY座標データを取得する原理を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムに用いた受光素子の説明図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムの受光素子の向き等の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る位置検出システムの受光素子の向き等の説明図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る位置検出システムの受発光ユニットの説明図である。
【図12】図11に示す受発光ユニットの光源部の説明図である。
【図13】本発明を適用した位置検出システムの具体例1(入力機能付き表示システム)の説明図である。
【図14】本発明を適用した位置検出システムの具体例2(入力機能付き表示システム/入力機能付き投射型表示システム)の説明図である。
【図15】参考例に係る位置検出システムの受光素子の向き等の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、互いに直交する方向をX軸方向およびY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。また、本発明における「第1方向」をX軸方向とし、「第2方向」をY軸方向とし、「第3方向」をZ軸方向として説明する。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側とし、Z軸方向の一方側をZ1側とし、他方側をZ2側として表してある。
【0020】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システムの主要部を模式的に示す説明図であり、図1(a)、(b)は、位置検出システムを検出光出射空間側の斜め方向からみたときの説明図、および位置検出システムを正面からみたときの説明図である。
【0021】
図1において、本形態の位置検出システム1は、指示部材Obの位置を検出する光学式位置検出装置10を有しており、かかる光学式位置検出装置10は、X軸方向およびY軸方向により規定される仮想のXY平面(仮想面)に沿うように放射状に出射した検出光L2を利用して、指示部材Obの位置を検出する。本形態において、位置検出システム1は、XY平面に沿って広がる視認面41をZ軸方向の一方側Z1に備えた視認面構成部材40を有しており、かかる視認面41は、指示部材Obの位置を検出する際の基準面41aとなる。
【0022】
従って、光学式位置検出装置10は、視認面41に沿って検出光L2を出射し、視認面構成部材40に対して視認面41側(Z軸方向の一方側Z1)に位置する指示部材Obの基準面41a(視認面41)の面内方向における指示部材Obの位置を検出する。それ故、位置検出システム1の検出対象空間10Rは、光学式位置検出装置10において検出光L2が出射される検出光出射空間であり、検出対象空間10Rには、後述する検出光L2の光強度分布が形成される。かかる位置検出システム1は、光学式位置検出装置10によって、後述する電子黒板等の入力機能付き表示システムや入力機能付き投射型表示システム等として用いることができる。
【0023】
本形態において、指示部材Obは、外周面に再帰反射部Sbを備えており、再帰反射部Sbは、検出光L2が照射された方向に検出光を反射する。このため、指示部材Obの位置にかかわらず、指示部材Obに照射された検出光L2が反射する方向が定まっている。かかる再帰反射部Sbは、例えば、ガラスビーズ等の透光性の球体を複数、樹脂層等で固定した層によって構成されており、入射した光を、入射した角度にかかわらず、再び、入射した方向に反射する再帰反射性を有している。より具体的には、球体に入射した光は、球体に入射する際の屈折、球体内における球体と樹脂層との界面での反射、および球体から出射する際の屈折によって、入射した方向に反射する。従って、光源部12から放射状に検出光L2が出射された際、指示部材Obに照射された検出光L2は、指示部材Obがいずれの位置にあっても、指示部材Obの再帰反射部Sbにより、光源部12に向けて反射されることになる。なお、再帰反射部Sbは、半球状のガラスビーズやプリズム片の集合体等を用いて構成される場合もある。
【0024】
本形態の位置検出システム1において、光学式位置検出装置10は、視認面41(XY平面)に沿って検出光L2を放射状に出射する光源部12と、検出光L2の出射空間(検出対象空間10R)に位置する指示部材Obで反射した検出光L2(反射光L3)を受光する受光素子13とを備えており、受光素子13は、検出対象空間10Rに受光面130を向けている。
【0025】
本形態においては、光源部12として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出対象空間10Rに向く2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)が用いられており、第1光源部12Aと第2光源部12Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。また、本形態においては、受光素子13として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出対象空間10Rに向く第1受光素子13Aおよび第2受光素子13Bが用いられており、第1受光素子13Aと第2受光素子13Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。
【0026】
ここで、第1受光素子13Aは、第1光源部12Aから放射状に出射される検出光L2(検出光L2a)の放射中心位置にZ軸方向で重なる位置に配置されており、第1受光素子13Aと第1光源部12Aとは受発光ユニット15(第1受発光ユニット15A)として一体化されている。また、第2受光素子13Bは、第2光源部12Bから放射状に出射される検出光L2(検出光L2b)の放射中心位置にZ軸方向で重なる位置に配置されており、第2受光素子13Bと第2光源部12Bとは受発光ユニット15(第2受発光ユニット15B)として一体化されている。
【0027】
後述するように、2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)は各々、LED(発光ダイオード)等の発光素子からなる光源(点光源)を備えており、ピーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光からなる検出光L2(検出光L2a、L2b)を発散光として出射する。受光素子13(第1受光素子13Aおよび第2受光素子13B)は各々、フォトダイオードやフォトトランジスター等の受光素子13を備えており、本形態において、受光素子13は赤外域に感度ピークを備えたフォトダイオードである。
【0028】
第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは、視認面構成部材40よりZ軸方向の一方側Z1に突出した位置にある。また、第1受発光ユニット15Aと第2受発光ユニット15Bとは異なる期間において動作する。従って、第1受発光ユニット15Aにおいて、第1光源部12Aから検出光L2aが出射された際、第1受光素子13Aは、検出対象空間10Rに位置する指示部材Obで反射した検出光L2a(反射光L3)を受光する。かかる動作とは異なる期間において、第2受発光ユニット15Bにおいて、第2光源部12Bから検出光L2bが出射された際、第2受光素子13Bは、検出対象空間10Rに位置する指示部材Obで反射した検出光L2b(反射光L3)を受光する。
【0029】
(光源部12の具体的構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システム1の受発光ユニットの説明図である。図3は、図2に示す受発光ユニットの主要部の構成を示す説明図である。図4は、図3に示す受発光ユニットに構成した光源部12の構成を模式的に示す説明図であり、第1期間の第1点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図、および第2期間の第2点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図である。
【0030】
図2に示すように、本形態の位置検出システム1において、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは同一の構成を有しており、それ故、第1光源部12Aおよび第2光源部12Bも同一の構成を有している。より具体的には、第1受発光ユニット15Aは、Z軸方向からみたときに扇形形状を有するホルダー150を有している。かかるホルダー150は、第1ホルダー151と第2ホルダー152とがZ軸方向で重ねられた構造になっており、第1ホルダー151および第2ホルダー152は各々、扇形形状の鍔部156a、156bを備えている。鍔部156a、156bにより挟まれた部分は、第1光源部12Aから検出光L2が出射される出射部になっており、鍔部156a、156bは、Z軸方向における検出光L2の出射範囲を制限している。
【0031】
第1受発光ユニット15Aにおいて、第1光源部12Aは、検出光L2の出射部として、Z軸方向に重ねて配置された第1光源モジュール126と第2光源モジュール127とを備えている。第2受発光ユニット15Bも、第1受発光ユニット15Aと同様な構成を有しているため、説明を省略する。
【0032】
図3に示すように、第1受発光ユニット15Aにおいて、第1光源モジュール126および第2光源モジュール127はいずれも、発光ダイオード等の発光素子からなる光源120、および円弧状のライトガイドLGを備えている。第2受発光ユニット15Bにおいても、第1受発光ユニット15Aと同様、第1光源モジュール126および第2光源モジュール127はいずれも、発光ダイオード等の発光素子からなる光源120、および円弧状のライトガイドLGを備えている。
【0033】
図4に示すように、第1光源モジュール126は、光源120として、赤外光を出射する発光ダイオード等の発光素子からなる第1光源121を備えているとともに、円弧状のライトガイドLGを備えており、第1光源121は、ライトガイドLGの一方の端部LG1に配置されている。また、第1光源モジュール126は、ライトガイドLGの円弧状の外周面LG3に沿って、光学シートPSおよびルーバーフィルムLF等を備えた円弧状の照射方向設定部LEを備え、ライトガイドLGの円弧状の内周面LG4に沿って、円弧状の反射シートRSを備えている。第2光源モジュール127も、第1光源モジュール126と同様、光源120として、赤外光を出射する発光ダイオード等の発光素子からなる第2光源122を備えているとともに、円弧状のライトガイドLGを備えており、第2光源122は、ライトガイドLGの他方の端部LG2に配置されている。また、第2光源モジュール127も、第1光源モジュール126と同様、ライトガイドLGの円弧状の外周面LG3に沿って、光学シートPSおよびルーバーフィルムLF等を備えた円弧状の照射方向設定部LEを備え、ライトガイドLGの円弧状の内周面LG4に沿って、円弧状の反射シートRSを備えている。なお、ライトガイドLGの外周面LG3および内周面LG4のうちの少なくとも一方には、ライトガイドLGからの検出光L2の出射効率を調整するための加工が施されており、かかる加工手法としては、例えば反射ドットを印刷する方式や、スタンパーやインジェクションにより凹凸を付す成型方式や、溝加工方式を採用することができる。第2受発光ユニット15Bも、第1受発光ユニット15Aと同様な構成を有しているため、説明を省略する。
【0034】
(位置検出部等の構成)
図5は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システム1の電気的構成等を示す説明図であり、図5(a)、(b)は、制御用ICの構成を示す説明図、および光源に供給される駆動信号の説明図である。
【0035】
本形態の位置検出システム1に用いた光学式位置検出装置10において、図1〜図4等を参照して説明した第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは、図5(a)に示す制御用IC70に電気的接続されている。制御用IC70は、第1受発光ユニット15Aに電気的接続された第1制御用IC70Aと、第2受発光ユニット15Bに電気的接続された第2制御用IC70Bとからなり、第1受発光ユニット15Aの第1光源部12Aおよび第1受光素子13Aは、第1制御用IC70Aに電気的接続されている。また、第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bおよび第2受光素子13Bは、第2制御用IC70Bに電気的接続されている。
【0036】
第1制御用IC70Aおよび第2制御用IC70Bは、同一構成を有しており、いずれも共通の制御装置60に電気的接続されている。まず、第1制御用IC70Aは、基準クロック、A相基準パルス、B相基準パルス、タイミング制御パルス、同期クロック等を生成する複数の回路(図示せず)を有している。また、第1制御用IC70Aは、A相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75aと、B相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75bと、パルス発生器75aおよびパルス発生器75bが生成した駆動パルスを第1光源部12Aの第1光源121および第2光源122の何れに印加するかを制御するスイッチ部76とを有している。かかるパルス発生器75a、75b、およびスイッチ部76は光源駆動部51を構成している。
【0037】
また、第1制御用IC70Aは、第1受光素子13Aでの検出結果を増幅する増幅器等を備えた受光量測定部73と、受光量測定部73での測定結果に基づいてパルス発生器75a、75bを制御して第1光源部12Aの光源120(第1光源121および第2光源122)に供給する駆動パルスの駆動電流値(第1駆動電流値)を調整する調整量算出部74とを備えている。かかる受光量測定部73および調整量算出部74は、位置検出部50の一部の機能を担っている。なお、調整量算出部74は、パルス発生器75a、75bに対する制御信号を出力するアナログ−デジタル変換部等を備えている。
【0038】
第2制御用IC70Bも、第1制御用IC70Aと同様、第2受光素子13Bでの検出結果を増幅する増幅部等を備えた受光量測定部73や、受光量測定部73での測定結果に基づいてパルス発生器75a、75bを制御して第2光源部12Bの光源120(第1光源121および第2光源122)に供給する第2駆動電流値を調整する調整量算出部74等を備えている。かかる受光量測定部73および調整量算出部74は、位置検出部50の一部の機能を担っている。
【0039】
第1制御用IC70Aおよび第2制御用IC70Bは、パーソナルコンピューター等の上位の制御装置60の制御部61によって制御されており、かかる制御装置60は、受光量測定部73および調整量算出部74とともに位置検出部50を構成する座標データ取得部55を有している。従って、本形態において、位置検出部50は、制御用IC70(第1制御用IC70Aおよび第2制御用IC70B)の受光量測定部73および調整量算出部74と、上位の制御装置60(パーソナルコンピューター)の座標データ取得部55とによって構成されている。
【0040】
本形態では、光源部12として、互いに離間した位置に配置された第1光源部12Aと第2光源部12Bとを有している。従って、座標データ取得部55は、第1光源部12Aに対する駆動結果に基づいて、第1光源部12Aの放射中心に対する指示部材Obの角度位置を検出する第1角度位置検出部551と、第2光源部12Bに対する駆動結果に基づいて、第2光源部12Bの放射中心に対する指示部材Obの角度位置を検出する第2角度位置検出部552とを有している。また、座標データ取得部55は、第1角度位置検出部551で得られた指示部材Obの角度位置と、第2角度位置検出部552で得られた指示部材Obの角度位置とに基づいて指示部材ObのXY座標データを確定する座標データ確定部553を備えている。
【0041】
なお、本形態では、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bに対して1対1の関係をもって2つの制御用IC70(第1制御用IC70A、第2制御用IC70B)を用いたが、制御用IC70を多チャンネル化し、1つの制御用IC70によって第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bを駆動してもよい。
【0042】
このように構成した位置検出システム1において、第1制御用IC70Aの光源駆動部51は、図5(b)に示すように、第1期間(第1点灯動作時)では、第1光源部12Aの第1光源121に駆動パルスを印加し、第2期間(第2点灯動作時)では、第1光源部12Aの第2光源122に第1光源121に印加する駆動パルスと逆相の駆動パルスを印加する。その後、第2制御用IC70Bの光源駆動部51は、第1期間(第1点灯動作時)では、第2光源部12Bの第1光源121に駆動パルスを印加するとともに、第2期間(第2点灯動作時)では、第2光源部12Bの第2光源122に第1光源121に印加する駆動パルスと逆相の駆動パルスを印加する。なお、位置検出システム1において、光源部12に対する駆動電流値を制御するにあたっては、電圧振幅変調やパルス幅変調が行われる。
【0043】
(座標検出原理)
図4に示すように、本形態の位置検出システム1において、図5(a)を参照して説明した光源駆動部51は、光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)のいずれにおいても、検出光L2の出射強度が検出光L2の放射角度範囲の一方側から他方側に向かって減少する第1点灯動作(第1期間)と、検出光L2の出射強度が検出光L2の放射角度範囲の他方側から一方側に向かって減少する第2点灯動作(第2期間)とを行わせる。
【0044】
より具体的には、光源駆動部51は、第1光源部12Aに対して、第1点灯動作時(第1期間)には、第1光源モジュール126の第1光源121を点灯させ、検出対象空間10Rに検出光L2を出射させる。その際、第2光源122は消灯状態にある。その結果、検出対象空間10Rには、XY平面に沿って第1光強度分布LID1が形成される。かかる第1光強度分布LID1は、図4(a)に矢印の長さにより出射光の強度を示すように、一方の端部LG1に対応する角度方向から他方の端部LG2に対応する角度方向に向けて強度が単調に低下する強度分布である。
【0045】
また、光源駆動部51は、第1光源部12Aに対して、第2点灯動作時(第2期間)には、第2光源モジュール127の第2光源122を点灯させ、検出対象空間10Rに検出光L2を出射させる。その際、第1光源121は消灯状態にある。その結果、検出対象空間10Rには、XY平面に沿って第2光強度分布LID2が形成される。かかる第2光強度分布LID2は、図4(b)に矢印の長さにより出射光の強度を示すように、他方の端部LG2に対応する角度方向から一方の端部LG1に対応する角度方向に向けて強度が単調に低下する強度分布である。
【0046】
なお、第2光源部12Bにおいて、第1光源モジュール126の第1光源121が点灯した第1点灯動作時、および第2光源モジュール127の第2光源122が点灯した第2点灯動作時にも、第1光源部12Aと同様、第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2が形成される。従って、後述するように、第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2を利用すれば、第1光源部12Aおよび第2光源部12Bの中心PEの距離DS(図7参照)が固定であるので、指示部材Obの位置を検出することができる。
【0047】
(指示部材Obの角度位置の検出)
図6は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システム1における位置検出原理を示す説明図であり、図6(a)、(b)は光強度分布の説明図、および指示部材が存在する位置情報(方位情報)を取得する方法の説明図である。図7は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システム1において指示部材ObのXY座標データを取得する原理を示す説明図である。
【0048】
まず、第1光源部12Aの第1光源モジュール126において、第1光強度分布LID1を形成した際、検出光L2の照射方向と、検出光L2の強度とは、図6(a)に線E1で示す直線関係にある。また、第1光源部12Aの第2光源モジュール127において、第2光強度分布LID2を形成した際、検出光L2の照射方向と、検出光L2の強度とは、図6(a)に線E2で示す直線関係にある。ここで、図6(b)および図7に示すように、第1光源部12Aの中心PE(第1光源モジュール126の中心/検出光L2の放射中心位置)からみて角度θの方向に指示部材Obが存在するとする。この場合、第1光強度分布LID1を形成したとき、指示部材Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTaとなる。これに対して、第2光強度分布LID2を形成したとき、指示部材Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTbとなる。従って、第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光素子13Aでの検出強度と、第2光強度分布LID2を形成した際の第2受光素子13Bでの検出強度とを比較して、強度INTa、INTbの関係を求めれば、図6(b)および図7に示すように、第1光源部12Aの中心PEを基準に指示部材Obが位置する方向の角度θ(角度θ1/角度位置)を求めることができる。
【0049】
かかる原理を利用して、指示部材Obの角度位置(角度θ1)を検出するにあたって、本形態では、第1光源部12Aにおいて、第1光源モジュール126によって第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光素子13Aでの検出強度と、第2光源モジュール127によって第2光強度分布LID2を形成した際の第1受光素子13Aでの検出強度とが等しくなるように、第1光源121に対する第1駆動電流値、および第2光源122に対する第2駆動電流値を調整する。ここで、第1光源部12Aからの検出光L2の出射強度は、第1光源121に対する第1駆動電流値、および第2光源122に対する第2駆動電流値に比例する。従って、第1光源121に対する第1駆動電流値、および第2光源122に対する第2駆動電流値を調整した後の第1駆動電流値と第2駆動電流値との比や差、あるいは駆動電流値を調整した際の調整量の比や差から指示部材Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求めることができる。
【0050】
より具体的には、まず、図5に示す第1制御用IC70Aの光源駆動部51は、第1点灯動作として第1光源121を点灯させて第1光強度分布LID1を形成した後、第2点灯動作として第2光源122を点灯させて第2光強度分布LID2を形成する。この際、第1光強度分布LID1と第2光強度分布LID2とは強度変化の向きは逆向きであるが、強度レベルは同一である。そして、図5に示す位置検出部50の調整量算出部74は、第1点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTbとを比較する。その結果、第1点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTbとが等しければ、指示部材Obの角度位置は0°である。
【0051】
これに対して、受光強度INTa、INTbが相違している場合、第1点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTbとが等しくなるように、第1光源121に対する第1駆動電流値、および第2光源122に対する第2駆動電流値を調整する。そして、再度、第1点灯動作と第2点灯動作とを行った際に、第1点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTbとが等しければ、図5に示す第1角度位置検出部551は、かかる調整を行った後の第1光源121および第2光源122に対する駆動電流値の比や差、あるいは駆動電流値の調整量の比や差から指示部材Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求めることができる。
【0052】
かかる動作を第2光源部12Bにおいても行えば、図5に示す第2角度位置検出部552は、第2光源部12Bの中心PEを基準に指示部材Obが位置する方向の角度θ(角度θ2/角度位置)を求めることができる。従って、図5に示す座標データ確定部553は、第1角度位置検出部551で検出した角度位置(角度θ1の方向)と、第2角度位置検出部552で検出した角度位置(角度θ2の方向)の交点に相当する位置を指示部材Obが位置するXY座標データとして取得することができる。
【0053】
(受光素子13の構成)
図8は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システム1に用いた受光素子13の説明図であり、図8(a)、(b)は、受光素子13の説明図、および受光素子13の感度指向性を示すグラフである。
【0054】
本形態の位置検出システム1において、受光素子13は、図8(a)に示すフォトダイオードからなる。受光素子13は、全体として直方体形状の素子本体132と、素子本体132のX軸方向の両端面から突出する端子133とを備えており、素子本体132は、一方面側に受光面130を備えている。かかる受光素子13の受光感度は、図8(b)に示す入射角度依存性(感度指向性)を有しており、受光面130に対する法線方向に感度ピーク方向を有している。図8(b)からわかるように、受光素子13は、検出光L2の入射角度が受光面130に対する法線方向から60°以上傾くと、感度ピーク値に対して1/2未満の感度となり、感度が著しく低い。さらに、受光素子13は、検出光L2の入射角度が受光面130に対する法線方向から90°以上傾くと、感度が0となる。
【0055】
本形態では、図9を参照して以下に説明するように、指示部材Obの外周面に設けた再帰反射部Sb、受光素子13のレイアウト、受光素子13の向き、および受光素子13の感度指向性を利用して、光源部12からの指示部材Obの距離にかかわらず、受光素子13からの出力を適正なレベルに設定する。
【0056】
(受光素子13の向き等)
図9は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システム1の受光素子13の向き等の説明図であり、位置検出システム1のYZ断面に相当する。
【0057】
図9に示すように、本形態の位置検出システム1において、光源部12の光軸L12は、基準面41a(視認面構成部材40の視認面41)に対してZ軸方向の一方側Z1で基準面41aに平行に延びており、光源部12は、基準面41aに平行な仮想面P12に沿って検出光L2を出射する。
【0058】
本形態において、受光素子13は、仮想面P12よりZ軸方向の一方側Z1において、受光面130に対する法線方向L130が基準面41aに交差するように配置されている。
【0059】
このように構成した位置検出システム1において、光源部12から、基準面41aに平行な仮想面P12に検出光L2を放射状に出射すると、指示部材Obの再帰反射部Sbで反射した光(反射光L3)は、光源部12に向けて反射し、その一部が受光素子13に入射する。
【0060】
ここで、光源部12からの距離がdである箇所に到達する検出光L2の強度Lは、下式
L=L0/d2
L0=光源部12からの出射強度
に示すように、距離dの2乗に反比例する。このため、指示部材Obと光源部12との距離dがdeで短い場合には検出光L2の強度が高く、指示部材Obと光源部12との距離dがdfで長い場合には検出光L2の強度が低い。
【0061】
但し、光源部12に指示部材Obが近い位置にある場合、受光素子13の受光面130に入射するのは、反射光L3が再帰反射する方向に対して大きな角度θe1を成す方向であり、受光面130への入射効率が低い。例えば、受光素子13に向けて反射して受光面130に入射するのは反射光L3の50%である。
【0062】
これに対して、光源部12から指示部材Obが遠い位置にある場合、受光素子13の受光面130に入射するのは、反射光L3が再帰反射する方向に対して小さな角度θf1を成す方向であり、受光面への入射効率が高い。例えば、受光素子13に向けて反射して受光面130に入射するのは反射光L3の75%である。
【0063】
従って、指示部材Obが光源部12に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子13から出力される信号のレベル差を小さくすることができる。
【0064】
また、本形態において、受光素子13の受光面130に対する法線方向L130は、基準面41aに交差するように傾いているため、受光素子13の受光面130に入射する光が、受光面130に対する法線方向L130と成す角度を小さくすることができる。従って、受光素子13の感度が高いので、受光素子13から出力される信号のレベルが高い。
【0065】
さらに、光源部12に指示部材Obが近い位置にある場合、受光素子13の受光面130に入射するのは、受光素子13の受光面130に対する法線方向L130に対して、大きな角度θe2を成す方向であり、かかる方向に対しては、受光素子13の感度が低い。これに対して、光源部12から指示部材Obが遠い位置にある場合、受光素子13の受光面130に入射するのは、受光素子13の受光面130に対する法線方向L130に対して、小さな角度θf2を成す方向であり、かかる方向に対しては、受光素子13の感度が高い。従って、指示部材Obが光源部12に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子13から出力される信号のレベル差を小さくすることができる。
【0066】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の位置検出システム1において、光源部12は、検出光L2を放射状に出射するとともに、検出光L2の放射角度範囲において一方側から他方側に向かって強度が変化する光強度分布(第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2)を形成し、受光素子13は、光強度分布が形成された検出対象空間10Rに位置する指示部材Obで反射した検出光L2を受光する。ここで、指示部材Obで反射した検出光L2の強度は、光強度分布において指示部材Obが位置する箇所での強度に比例するので、受光素子13での受光強度は、指示部材Obの位置に対応する。従って、位置検出部50は、受光素子13での受光強度に基づいて指示部材Obの位置を検出することができる。かかる方式によれば、光源部12から放射状に出射された検出光L2の光強度分布を利用するので、広い空間にわたって光強度分布を形成することができ、検出対象空間10Rが広い。
【0067】
また、本形態においては、図9を参照して説明したように、指示部材Obが光源部12に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子13から出力される信号のレベル差が小さいとともに、受光素子13から出力される信号のレベルが高い。それ故、本形態によれば、位置検出部50での入力許容範囲を狭くすることができる分、分解能を高めることができ、検出精度を向上することができる。
【0068】
[実施の形態2]
図10は、本発明の実施の形態2に係る位置検出システム1の受光素子13の向き等の説明図であり、位置検出システム1のYZ断面に相当する。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0069】
図10に示すように、本形態の位置検出システム1において、光源部12の光軸L12は、基準面41a(視認面構成部材40の視認面41)に対して傾いており、光源部12は、基準面41aに対して交差角度θgで斜めに傾いた仮想面P12に沿って検出光L2を出射する。また、受光素子13は、仮想面P12よりZ軸方向の一方側Z1において、受光面130に対する法線方向L130が基準面41aに交差するように配置されている。
【0070】
ここで、光源部12のZ軸方向における出射強度の半値角度θhは、仮想面P12と基準面41aとが成す角度θgに等しい。このため、光源部12に近い位置、および光源部12から遠い位置のいずれにおいても、基準面41aから等距離の範囲を検出対象空間10Rとして設定するのに適している。
【0071】
また、本形態では、光源部12の光軸L12(仮想面P12)が基準面41a(視認面構成部材40の視認面41)に対して傾いているため、光源部12に指示部材Obが近い位置にある場合、指示部材Obには検出光L2が照射されない領域が発生する。従って、指示部材Obが光源部12に近い位置にある場合は、指示部材Obにおいて検出光L2が照射される面積が狭く、光源部12から指示部材Obが遠い位置にある場合、指示部材において検出光L2が照射される面積が広い。従って、指示部材Obが光源部12に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子13から出力される信号のレベル差をより小さくすることができる。その他の構成は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
[実施の形態1、2の変形例]
上記実施の形態1、2では、2つのライトガイドLGの各々に光源120を設けたが、1つのライトガイドLGの両端に光源120を設け、光源120を交互に点灯させて、第1期間と第2期間とにおいて互いに逆向きの光強度分布を形成してもよい。
【0073】
[実施の形態3]
図11は、本発明の実施の形態3に係る位置検出システム1の受発光ユニットの説明図である。図12は、図11に示す受発光ユニットにおける光源部の説明図であり、図12(a)、(b)は、第1期間の第1点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図、および第2期間の第2点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図である。
【0074】
実施の形態1では、光源部12にライトガイドLGを用いたが、本形態では、ライトガイドを用いずに、実施の形態1と同様な原理で指示部材ObのXY座標を検出する。より具体的には、図11に示すように、本形態の位置検出システム1の光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)はいずれも、複数の光源120(第1光源121および第2光源122)と、複数の光源120が実装された帯状のフレキシブル基板180と、長さ方向(円周方向)で湾曲した形状をもって延在する凸曲面155を備えた扇形形状のホルダー150とを備えている。本形態において、凸曲面155は、その長さ方向(円周方向)で円弧形状に湾曲した形状を有している。
【0075】
本形態においては、フレキシブル基板180として、帯状の第1フレキシブル基板181(第1光源モジュール)と、第1フレキシブル基板181に対して幅方向(Z軸方向)で並列する帯状の第2フレキシブル基板182(第2光源モジュール)とが用いられている。第1フレキシブル基板181には、その長さ方向に、複数の光源120として、複数の第1光源121が実装されており、第2フレキシブル基板182には、その長さ方向に、複数の光源120として、複数の第2光源122が実装されている。光源120にはいずれも、LEDが用いられている。
【0076】
また、2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)のいずれにおいても、ホルダー150は、第1ホルダー151と第2ホルダー152とがZ軸方向で重ねられた構造になっており、第1ホルダー151と第2ホルダー152とはZ軸方向で互いに対称な構成を有している。第1ホルダー151は、凸曲面155の下半部を構成する円弧状の凸曲面155aと、凸曲面155aにおいて第2ホルダー152が位置する側とは反対側の端部で凸曲面155aから突出する扇形形状の鍔部156aとを備えており、凸曲面155aに第1フレキシブル基板181が重ねて配置されている。第2ホルダー152は、凸曲面155の上半部を構成する円弧状の凸曲面155bと、凸曲面155bにおいて第1ホルダー151が位置する側とは反対側の端部で凸曲面155bから突出する扇形形状の鍔部156bとを備えており、凸曲面155bに第2フレキシブル基板182が重ねて配置されている。
【0077】
このように構成した位置検出システム1において、検出対象空間10Rにおける指示部材Obの位置を検出するには、第1フレキシブル基板181に実装されている複数の第1光源121と、第2フレキシブル基板182に実装されている複数の第2光源122とを異なる期間において点灯させる。その際、複数の第1光源121を全て点灯させ、複数の第2光源122を全て消灯させる第1点灯動作(第1期間)では、図12(a)に出射強度の高低を矢印Paで示すように、第1フレキシブル基板181の長さ方向の一方側の端部181fが位置する側から他方側の端部181eが位置する側に向かって第1光源121の出射強度を減少させる。従って、検出対象空間10Rに出射される検出光L2の第1光強度分布LID1では、第1フレキシブル基板181の長さ方向の一方側の端部181fが位置する角度方向では光強度が高く、そこから、他方側の端部181eが位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。
【0078】
これに対して、複数の第2光源122を全て点灯させ、複数の第1光源121を全て消灯させる第2点灯動作(第2期間)では、図12(b)に出射強度の高低を矢印Pbで示すように、第2フレキシブル基板182の長さ方向の一方側の端部182fが位置する側から他方側の端部182eが位置する側に向かって第2光源122の出射強度を増大させる。従って、検出対象空間10Rに出射される検出光L2の第2光強度分布LID2では、第2フレキシブル基板182の長さ方向の他方側の端部182eが位置する角度方向では光強度が高く、そこから、一方側の端部182fが位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。
【0079】
それ故、第1点灯動作および第2点灯動作を第1光源部12Aおよび第2光源部12Bの各々において実行すれば、実施の形態1と同様な原理で指示部材Obの位置(XY座標)を検出することができる。その際、複数の第1光源121に供給する駆動電流の和(第1駆動電流値)、および複数の第2光源122に供給する駆動電流の和(第2駆動電流値)に基づいて指示部材Obの角度位置を検出すればよい。また、複数の光源120の出射強度を変えるにあたっては、抵抗素子等により、駆動電流を光源120毎に変えればよい。
【0080】
[実施の形態3の変形例]
上記実施の形態2では、2系統の光源120を設けたが、1系統の光源120を設け、第1期間と第2期間とにおいて、複数の光源120に供給する駆動電流の大小関係を反転させて第1期間と第2期間とにおいて互いに逆向きの光強度分布を形成してもよい。
【0081】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、2つの受発光ユニット15を用いたが、1つの受発光ユニット15を用いて指示部材Obの位置を検出する場合に本発明を適用してもよい。また、3つ以上の受発光ユニット15を用いて指示部材Obの位置を検出する場合に本発明を適用してもよい。また、上記実施の形態では、受光素子13と光源部12とによって受発光ユニット15を構成したが、受光素子13と光源部12とを別体で構成した場合に本発明を適用してもよい。
【0082】
[位置検出システムの構成例]
(位置検出システム1の具体例1)
図13は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例1(入力機能付き表示システム)の説明図である。なお、本形態の入力機能付き表示システムにおいて、位置検出システム1および位置検出システム1の構成は、図1〜図12を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0083】
上記実施の形態に係る位置検出システム1において、図13に示すように、視認面構成部材40として表示装置110を用い、かかる表示装置110に、図1〜図12を参照して説明した位置検出システム1を設ければ、電子黒板やデジタルサイネージ等といった入力機能付き表示システム100として用いることができる。ここで、表示装置110(表示部)は、直視型表示装置や、視認面構成部材40をスクリーンとする背面型投射型表示装置である。
【0084】
かかる入力機能付き表示システム100において、位置検出システム1は、表示面110a(視認面41/基準面41a)に沿って検出光L2を出射するとともに、指示部材Obで反射した検出光L2(反射光L3)を検出する。このため、表示装置110で表示された画像の一部に指示部材Obを接近させれば、かかる指示部材Obの位置を検出することができるので、指示部材Obの位置を画像の切り換え指示等といった入力情報として利用することができる。
【0085】
(位置検出システム1の具体例2)
図14を参照して、視認面構成部材40としてスクリーンを用い、位置検出機能付き投射型表示システムを構成した例を説明する。図14は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例2(入力機能付き表示システム/入力機能付き投射型表示システム)の説明図である。なお、本形態の位置機能付き投射型表示システムにおいて、位置検出システム1および位置検出システム1の構成は、図1〜図12を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0086】
図14に示す入力機能付き投射型表示システム200(入力機能付き表示システム)では、液晶プロジェクターあるいはデジタル・マイクロミラー・デバイスと称せられる画像投射装置250(画像生成装置)からスクリーン80(視認面構成部材40)に画像が投射される。かかる入力機能付き投射型表示システム200において、画像投射装置250(投射表示部)は、筐体240に設けられた投射レンズ系210からスクリーン80に向けて画像表示光Piを拡大投射する。ここで、画像投射装置250は、Y軸方向に対してわずかに傾いた方向から画像表示光Piをスクリーン80に向けて投射する。従って、スクリーン80において画像が投射されるスクリーン面80aによって、情報が視認される視認面41(基準面41a)が構成されている。
【0087】
かかる入力機能付き投射型表示システム200において、位置検出システム1は、画像投射装置250に付加されて一体に構成されている。このため、位置検出システム1は、投射レンズ系210とは異なる箇所から、スクリーン面80aに沿って検出光L2を出射するとともに、指示部材Obで反射した反射光L3を検出する。このため、スクリーン80に投射された画像の一部に指示部材Obを接近させれば、かかる指示部材Obの位置を検出することができるので、指示部材Obの位置を画像の切り換え指示等といった入力情報として利用することができる。
【0088】
なお、位置検出システム1とスクリーン80とを一体化させれば、入力機能付きスクリーン装置を構成することができる。
【0089】
(位置検出システム1の他の具体例)
本発明において、視認面構成部材40は、展示品を覆う透光部材である構成を採用することができ、この場合、視認面41は、透光部材において展示品が配置される側とは反対側で展示品が視認される面である。かかる構成によれば、入力機能付きウインドウシステム等として構成することができる。
【0090】
また、視認面構成部材40は、移動する遊技用媒体を支持する基盤である構成を採用することができ、この場合、視認面41は、基盤において基盤と遊技用媒体との相対位置が視認される側の面である。かかる構成によれば、パチンコ台やコインゲーム等のアミューズメント機器を入力機能付きアミューズメントシステム等として構成することができる。
【符号の説明】
【0091】
1・・位置検出システム、10・・光学式位置検出装置、10R・・検出対象空間、12・・光源部、13・・受光素子、15・・受発光ユニット、40・・視認面構成部材、41・・視認面、41a・・基準面、50・・位置検出部、80・・スクリーン、80a・・スクリーン面(視認面、基準面)、100・・入力機能付き表示システム、110・・表示装置、110a・・表示面(視認面、基準面)、130・・受光面、200・・入力機能付き投射型表示システム、250・・画像投射装置、Ob・・指示部材、Sb・・再帰反射部
【技術分野】
【0001】
本発明は、指示部材の位置を光学的に検出する位置検出システム、および当該位置検出システムを備えた入力機能付き表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
指示部材を光学的に検出する位置検出システムとしては、例えば、複数の点光源を互いに離間した位置に設け、複数の点光源の各々から透光部材を介して指示部材に向けて検出光を出射した際に、指示部材で反射した検出光が透光部材を透過して受光素子で検出されるものが提案されている(特許文献1参照)。また、複数の点光源の各々から出射された検出光を、導光板を介して出射し、指示部材で反射した検出光を受光素子で検出する方式の位置検出システムも提案されている(特許文献2、3参照)。
【0003】
かかる位置検出システムでは、受光素子として共通のものを用い、複数の点光源のうちの一部の点光源が点灯した際の受光素子での受光強度と、他の一部の点光源が点灯した際の受光素子での受光強度との比較結果に基づいて指示部材の位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−534554号公報
【特許文献2】特開2010−127671号公報
【特許文献3】特開2009−295318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の構成では、指示部材の二次元座標データ(例えば、X座標データおよびY座標データ)を得ようとしても、検出範囲を拡張することが困難である。すなわち、検出範囲を広めると、受光素子には、受光面に対する法線方向から大きく傾いた方向から光が入射するが、受光素子は、斜め方向に対する感度が低いという指向性を有しているため、特許文献1〜3に記載の構成では検出範囲の拡大が困難である。
【0006】
ここに本願発明者は、図15に示すように、光源部12から、基準面41aに平行な仮想面P12に沿うように検出光L2を放射状に出射し、指示部材Obで反射してきた反射光L3を受光素子13で検出することにより、基準面41a内における指示部材Obの位置を、光源部12を中心とする角度位置として検出することを検討している。また、指示部材Obの外周面に再帰反射部Sbを設ける一方、受光素子13については、受光面130に対する法線方向L130が基準面41aおよび仮想面P12に平行になるように配置し、指示部材Obからの反射光L3を効率よく受光面130に入射させることを検討している。
【0007】
しかしながら、図15に示す構成では、光源部12からの距離がdである箇所に到達する検出光L2の強度Lは、下式
L=L0/d2
L0=光源部12からの出射強度
に示すように、距離dの2乗に反比例する。このため、指示部材Obと光源部12との距離dが、例えば、deで短い場合には受光素子13からの出力レベルは十分高いが、指示部材Obと光源部12との距離dが、例えば、dfで長い場合には受光素子13からの出力レベルが低くなってしまい、検出精度が低下する。かといって、光源部12からの出射強度を高めると、指示部材Obと光源部12との距離dがdeで短い場合、受光素子13からの出力レベルが高くなりすぎて、検出回路での入力許容範囲を超えてしまう。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、光源部からの指示部材の距離にかかわらず、受光素子からの出力を適正なレベルに設定することのできる位置検出システム、およびかかる位置検出システムを備えた入力機能付き表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る位置検出システムは、互いに直交する第1方向および第2方向によって規定される基準面と、前記基準面に対して前記第1方向および前記第2方向に対して直交する第3方向の一方側で対向するように設定された仮想面に沿って検出光を放射状に出射する光源部と、外周面に再帰反射部をもって前記基準面に対して前記第3方向の一方側に位置する指示部材と、該指示部材で反射した前記検出光を受光する受光素子と、該受光素子からの出力に基づいて前記基準面の面内方向における前記指示部材の位置を検出する位置検出部と、を有し、前記受光素子は、前記基準面に対して前記第3方向の一方側で、受光面に対する法線方向が前記基準面に交差するように配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明では、指示部材の外周面に再帰反射部が設けられているため、光源部から出射された検出光が指示部材で反射すると、反射光は光源部に向かって進行するとともに、反射光の一部が受光素子の受光面に入射する。その際、光源部に指示部材が近い位置にある場合、検出光の強度は高いが、受光素子の受光面に入射するのは、反射光が再帰反射する方向に対して大きな角度を成す方向であり、受光面への入射効率が低い。これに対して、光源部から指示部材が遠い位置にある場合、検出光の強度は低いが、受光素子の受光面に入射するのは、反射光が再帰反射する方向に対して小さな角度を成す方向であり、受光面への入射効率が高い。また、受光素子の受光面に対する法線方向は、基準面に交差するように傾いているため、受光素子の受光面に入射する光が、受光面に対する法線方向と成す角度を小さくすることができる。従って、指示部材が光源部に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子から出力される信号のレベル差を小さくすることができる。また、受光面に対する法線方向は、基準面と交差する方向に傾いているため、受光素子の受光面に入射する光が受光面に対する法線方向と成す角度を小さくすることができる。それ故、指示部材が光源部に近い位置にある場合、および遠い位置にある場合のいずれにおいても、受光素子から出力される信号のレベルが高い。それ故、本発明によれば、光源部からの指示部材の距離にかかわらず、受光素子からの出力を適正なレベルに設定することができ、検出精度を高めることができる。
【0011】
本発明において、前記受光面は、前記仮想面より前記第3方向の一方側に位置することが好ましい。かかる構成において、受光面に対する法線方向は、基準面と交差する方向に傾いていると、指示部材が光源部に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子から出力される信号のレベル差をより小さくすることができる。すなわち、光源部に指示部材が近い位置にある場合、検出光の強度は高いが、受光素子の受光面に入射するのは、受光面に対する法線方向から大きく傾いた方向であり、受光素子の感度が低い。これに対して、光源部から指示部材が遠い位置にある場合、検出光の強度は低いが、受光素子の受光面に入射するのは、受光面に対する法線方向から小さく傾いた方向であり、受光素子の感度が高い。従って、指示部材が光源部に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子から出力される信号のレベル差を小さくすることができる。
【0012】
本発明において、前記仮想面は、前記基準面に対して傾いていることが好ましい。かかる構成によれば、光源部に指示部材が近い位置にある場合、指示部材では、検出光が照射される面積を狭くし、光源部から指示部材が遠い位置にある場合、指示部材では、検出光が照射される面積を広くすることができる。従って、指示部材が光源部に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子から出力される信号のレベル差をより小さくすることができる。
【0013】
本発明において、前記光源部の前記第3方向における出射強度の半値角度は、前記仮想面と前記基準面とが成す角度に等しいことが好ましい。かかる構成によれば、光源部に近い位置、および光源部から遠い位置のいずれにおいても、基準面から等距離の範囲を検出対象空間として設定するのに適している。
【0014】
本発明において、前記光源部は、第1期間において前記検出光の出射角度範囲の一方側から他方側に向けて光強度を減少させ、前記第1期間と重ならない第2期間において前記検出光の出射角度範囲の他方側から一方側に向けて光強度を減少させ、前記位置検出部は、前記第1期間における前記受光素子からの出力と前記第2期間における前記受光素子からの出力との比較結果に基づいて前記基準面の面内方向における前記指示部材の位置を検出する構成を採用することができる。
【0015】
本発明に係る位置検出システムは、入力機能付き表示システムや、電子ペーパーに対する入力システムや、入力機能付きウインドウシステムや、入力機能付きアミューズメントシステム等、各種のシステムに利用することができる。
【0016】
例えば、本発明は、互いに直交する第1方向および第2方向によって規定される面内に表示面を備えた表示装置と、前記表示面に対して直交する第3方向の一方側に位置する指示部材の位置を検出する位置検出システムと、を有し、当該位置検出システムでの前記指示部材の位置検出結果に基づいて前記表示面に表示される画像が切り換えられる入力機能付き表示システムであって、前記指示部材は、外周面に再帰反射部を備え、前記位置検出システムは、前記表示面に対して前記第3方向の一方側で対向するように設定された仮想面に沿って検出光を放射状に出射する光源部と、前記指示部材で反射した前記検出光を受光する受光素子と、該受光素子からの出力に基づいて前記表示面の面内方向における前記指示部材の位置を検出する位置検出部と、を有し、前記受光素子は、前記表示面に対して前記第3方向の一方側で、受光面に対する法線方向が前記表示面に交差するように配置されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、互いに直交する第1方向および第2方向によって規定される面内にスクリーン面を備えたスクリーンと、前記スクリーン面に画像を投射する画像投射装置と、前記スクリーン面に対して直交する第3方向の一方側に位置する指示部材の位置を検出する位置検出システムと、を有し、当該位置検出システムでの前記指示部材の位置検出結果に基づいて前記表示面で表示される画像が切り換えられる入力機能付き表示システムであって、前記位置検出システムは、前記スクリーン面に対して前記第3方向の一方側で対向するように設定された仮想面に沿って検出光を放射状に出射する光源部と、前記指示部材で反射した前記検出光を受光する受光素子と、該受光素子からの出力に基づいて前記スクリーン面の面内方向における前記指示部材の位置を検出する位置検出部と、を有し、前記受光素子は、前記スクリーン面に対して前記第3方向の一方側で、受光面に対する法線方向が前記スクリーン面に交差するように配置されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムの主要部を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムの受発光ユニットの説明図である。
【図3】図2に示す受発光ユニットの主要部の構成を示す説明図である。
【図4】図3に示す受発光ユニットに構成した光源部の構成を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムの電気的構成等を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムにおける位置検出原理を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムにおいて指示部材のXY座標データを取得する原理を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムに用いた受光素子の説明図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムの受光素子の向き等の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る位置検出システムの受光素子の向き等の説明図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る位置検出システムの受発光ユニットの説明図である。
【図12】図11に示す受発光ユニットの光源部の説明図である。
【図13】本発明を適用した位置検出システムの具体例1(入力機能付き表示システム)の説明図である。
【図14】本発明を適用した位置検出システムの具体例2(入力機能付き表示システム/入力機能付き投射型表示システム)の説明図である。
【図15】参考例に係る位置検出システムの受光素子の向き等の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、互いに直交する方向をX軸方向およびY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。また、本発明における「第1方向」をX軸方向とし、「第2方向」をY軸方向とし、「第3方向」をZ軸方向として説明する。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側とし、Z軸方向の一方側をZ1側とし、他方側をZ2側として表してある。
【0020】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システムの主要部を模式的に示す説明図であり、図1(a)、(b)は、位置検出システムを検出光出射空間側の斜め方向からみたときの説明図、および位置検出システムを正面からみたときの説明図である。
【0021】
図1において、本形態の位置検出システム1は、指示部材Obの位置を検出する光学式位置検出装置10を有しており、かかる光学式位置検出装置10は、X軸方向およびY軸方向により規定される仮想のXY平面(仮想面)に沿うように放射状に出射した検出光L2を利用して、指示部材Obの位置を検出する。本形態において、位置検出システム1は、XY平面に沿って広がる視認面41をZ軸方向の一方側Z1に備えた視認面構成部材40を有しており、かかる視認面41は、指示部材Obの位置を検出する際の基準面41aとなる。
【0022】
従って、光学式位置検出装置10は、視認面41に沿って検出光L2を出射し、視認面構成部材40に対して視認面41側(Z軸方向の一方側Z1)に位置する指示部材Obの基準面41a(視認面41)の面内方向における指示部材Obの位置を検出する。それ故、位置検出システム1の検出対象空間10Rは、光学式位置検出装置10において検出光L2が出射される検出光出射空間であり、検出対象空間10Rには、後述する検出光L2の光強度分布が形成される。かかる位置検出システム1は、光学式位置検出装置10によって、後述する電子黒板等の入力機能付き表示システムや入力機能付き投射型表示システム等として用いることができる。
【0023】
本形態において、指示部材Obは、外周面に再帰反射部Sbを備えており、再帰反射部Sbは、検出光L2が照射された方向に検出光を反射する。このため、指示部材Obの位置にかかわらず、指示部材Obに照射された検出光L2が反射する方向が定まっている。かかる再帰反射部Sbは、例えば、ガラスビーズ等の透光性の球体を複数、樹脂層等で固定した層によって構成されており、入射した光を、入射した角度にかかわらず、再び、入射した方向に反射する再帰反射性を有している。より具体的には、球体に入射した光は、球体に入射する際の屈折、球体内における球体と樹脂層との界面での反射、および球体から出射する際の屈折によって、入射した方向に反射する。従って、光源部12から放射状に検出光L2が出射された際、指示部材Obに照射された検出光L2は、指示部材Obがいずれの位置にあっても、指示部材Obの再帰反射部Sbにより、光源部12に向けて反射されることになる。なお、再帰反射部Sbは、半球状のガラスビーズやプリズム片の集合体等を用いて構成される場合もある。
【0024】
本形態の位置検出システム1において、光学式位置検出装置10は、視認面41(XY平面)に沿って検出光L2を放射状に出射する光源部12と、検出光L2の出射空間(検出対象空間10R)に位置する指示部材Obで反射した検出光L2(反射光L3)を受光する受光素子13とを備えており、受光素子13は、検出対象空間10Rに受光面130を向けている。
【0025】
本形態においては、光源部12として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出対象空間10Rに向く2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)が用いられており、第1光源部12Aと第2光源部12Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。また、本形態においては、受光素子13として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出対象空間10Rに向く第1受光素子13Aおよび第2受光素子13Bが用いられており、第1受光素子13Aと第2受光素子13Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。
【0026】
ここで、第1受光素子13Aは、第1光源部12Aから放射状に出射される検出光L2(検出光L2a)の放射中心位置にZ軸方向で重なる位置に配置されており、第1受光素子13Aと第1光源部12Aとは受発光ユニット15(第1受発光ユニット15A)として一体化されている。また、第2受光素子13Bは、第2光源部12Bから放射状に出射される検出光L2(検出光L2b)の放射中心位置にZ軸方向で重なる位置に配置されており、第2受光素子13Bと第2光源部12Bとは受発光ユニット15(第2受発光ユニット15B)として一体化されている。
【0027】
後述するように、2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)は各々、LED(発光ダイオード)等の発光素子からなる光源(点光源)を備えており、ピーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光からなる検出光L2(検出光L2a、L2b)を発散光として出射する。受光素子13(第1受光素子13Aおよび第2受光素子13B)は各々、フォトダイオードやフォトトランジスター等の受光素子13を備えており、本形態において、受光素子13は赤外域に感度ピークを備えたフォトダイオードである。
【0028】
第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは、視認面構成部材40よりZ軸方向の一方側Z1に突出した位置にある。また、第1受発光ユニット15Aと第2受発光ユニット15Bとは異なる期間において動作する。従って、第1受発光ユニット15Aにおいて、第1光源部12Aから検出光L2aが出射された際、第1受光素子13Aは、検出対象空間10Rに位置する指示部材Obで反射した検出光L2a(反射光L3)を受光する。かかる動作とは異なる期間において、第2受発光ユニット15Bにおいて、第2光源部12Bから検出光L2bが出射された際、第2受光素子13Bは、検出対象空間10Rに位置する指示部材Obで反射した検出光L2b(反射光L3)を受光する。
【0029】
(光源部12の具体的構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システム1の受発光ユニットの説明図である。図3は、図2に示す受発光ユニットの主要部の構成を示す説明図である。図4は、図3に示す受発光ユニットに構成した光源部12の構成を模式的に示す説明図であり、第1期間の第1点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図、および第2期間の第2点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図である。
【0030】
図2に示すように、本形態の位置検出システム1において、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは同一の構成を有しており、それ故、第1光源部12Aおよび第2光源部12Bも同一の構成を有している。より具体的には、第1受発光ユニット15Aは、Z軸方向からみたときに扇形形状を有するホルダー150を有している。かかるホルダー150は、第1ホルダー151と第2ホルダー152とがZ軸方向で重ねられた構造になっており、第1ホルダー151および第2ホルダー152は各々、扇形形状の鍔部156a、156bを備えている。鍔部156a、156bにより挟まれた部分は、第1光源部12Aから検出光L2が出射される出射部になっており、鍔部156a、156bは、Z軸方向における検出光L2の出射範囲を制限している。
【0031】
第1受発光ユニット15Aにおいて、第1光源部12Aは、検出光L2の出射部として、Z軸方向に重ねて配置された第1光源モジュール126と第2光源モジュール127とを備えている。第2受発光ユニット15Bも、第1受発光ユニット15Aと同様な構成を有しているため、説明を省略する。
【0032】
図3に示すように、第1受発光ユニット15Aにおいて、第1光源モジュール126および第2光源モジュール127はいずれも、発光ダイオード等の発光素子からなる光源120、および円弧状のライトガイドLGを備えている。第2受発光ユニット15Bにおいても、第1受発光ユニット15Aと同様、第1光源モジュール126および第2光源モジュール127はいずれも、発光ダイオード等の発光素子からなる光源120、および円弧状のライトガイドLGを備えている。
【0033】
図4に示すように、第1光源モジュール126は、光源120として、赤外光を出射する発光ダイオード等の発光素子からなる第1光源121を備えているとともに、円弧状のライトガイドLGを備えており、第1光源121は、ライトガイドLGの一方の端部LG1に配置されている。また、第1光源モジュール126は、ライトガイドLGの円弧状の外周面LG3に沿って、光学シートPSおよびルーバーフィルムLF等を備えた円弧状の照射方向設定部LEを備え、ライトガイドLGの円弧状の内周面LG4に沿って、円弧状の反射シートRSを備えている。第2光源モジュール127も、第1光源モジュール126と同様、光源120として、赤外光を出射する発光ダイオード等の発光素子からなる第2光源122を備えているとともに、円弧状のライトガイドLGを備えており、第2光源122は、ライトガイドLGの他方の端部LG2に配置されている。また、第2光源モジュール127も、第1光源モジュール126と同様、ライトガイドLGの円弧状の外周面LG3に沿って、光学シートPSおよびルーバーフィルムLF等を備えた円弧状の照射方向設定部LEを備え、ライトガイドLGの円弧状の内周面LG4に沿って、円弧状の反射シートRSを備えている。なお、ライトガイドLGの外周面LG3および内周面LG4のうちの少なくとも一方には、ライトガイドLGからの検出光L2の出射効率を調整するための加工が施されており、かかる加工手法としては、例えば反射ドットを印刷する方式や、スタンパーやインジェクションにより凹凸を付す成型方式や、溝加工方式を採用することができる。第2受発光ユニット15Bも、第1受発光ユニット15Aと同様な構成を有しているため、説明を省略する。
【0034】
(位置検出部等の構成)
図5は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システム1の電気的構成等を示す説明図であり、図5(a)、(b)は、制御用ICの構成を示す説明図、および光源に供給される駆動信号の説明図である。
【0035】
本形態の位置検出システム1に用いた光学式位置検出装置10において、図1〜図4等を参照して説明した第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは、図5(a)に示す制御用IC70に電気的接続されている。制御用IC70は、第1受発光ユニット15Aに電気的接続された第1制御用IC70Aと、第2受発光ユニット15Bに電気的接続された第2制御用IC70Bとからなり、第1受発光ユニット15Aの第1光源部12Aおよび第1受光素子13Aは、第1制御用IC70Aに電気的接続されている。また、第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bおよび第2受光素子13Bは、第2制御用IC70Bに電気的接続されている。
【0036】
第1制御用IC70Aおよび第2制御用IC70Bは、同一構成を有しており、いずれも共通の制御装置60に電気的接続されている。まず、第1制御用IC70Aは、基準クロック、A相基準パルス、B相基準パルス、タイミング制御パルス、同期クロック等を生成する複数の回路(図示せず)を有している。また、第1制御用IC70Aは、A相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75aと、B相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75bと、パルス発生器75aおよびパルス発生器75bが生成した駆動パルスを第1光源部12Aの第1光源121および第2光源122の何れに印加するかを制御するスイッチ部76とを有している。かかるパルス発生器75a、75b、およびスイッチ部76は光源駆動部51を構成している。
【0037】
また、第1制御用IC70Aは、第1受光素子13Aでの検出結果を増幅する増幅器等を備えた受光量測定部73と、受光量測定部73での測定結果に基づいてパルス発生器75a、75bを制御して第1光源部12Aの光源120(第1光源121および第2光源122)に供給する駆動パルスの駆動電流値(第1駆動電流値)を調整する調整量算出部74とを備えている。かかる受光量測定部73および調整量算出部74は、位置検出部50の一部の機能を担っている。なお、調整量算出部74は、パルス発生器75a、75bに対する制御信号を出力するアナログ−デジタル変換部等を備えている。
【0038】
第2制御用IC70Bも、第1制御用IC70Aと同様、第2受光素子13Bでの検出結果を増幅する増幅部等を備えた受光量測定部73や、受光量測定部73での測定結果に基づいてパルス発生器75a、75bを制御して第2光源部12Bの光源120(第1光源121および第2光源122)に供給する第2駆動電流値を調整する調整量算出部74等を備えている。かかる受光量測定部73および調整量算出部74は、位置検出部50の一部の機能を担っている。
【0039】
第1制御用IC70Aおよび第2制御用IC70Bは、パーソナルコンピューター等の上位の制御装置60の制御部61によって制御されており、かかる制御装置60は、受光量測定部73および調整量算出部74とともに位置検出部50を構成する座標データ取得部55を有している。従って、本形態において、位置検出部50は、制御用IC70(第1制御用IC70Aおよび第2制御用IC70B)の受光量測定部73および調整量算出部74と、上位の制御装置60(パーソナルコンピューター)の座標データ取得部55とによって構成されている。
【0040】
本形態では、光源部12として、互いに離間した位置に配置された第1光源部12Aと第2光源部12Bとを有している。従って、座標データ取得部55は、第1光源部12Aに対する駆動結果に基づいて、第1光源部12Aの放射中心に対する指示部材Obの角度位置を検出する第1角度位置検出部551と、第2光源部12Bに対する駆動結果に基づいて、第2光源部12Bの放射中心に対する指示部材Obの角度位置を検出する第2角度位置検出部552とを有している。また、座標データ取得部55は、第1角度位置検出部551で得られた指示部材Obの角度位置と、第2角度位置検出部552で得られた指示部材Obの角度位置とに基づいて指示部材ObのXY座標データを確定する座標データ確定部553を備えている。
【0041】
なお、本形態では、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bに対して1対1の関係をもって2つの制御用IC70(第1制御用IC70A、第2制御用IC70B)を用いたが、制御用IC70を多チャンネル化し、1つの制御用IC70によって第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bを駆動してもよい。
【0042】
このように構成した位置検出システム1において、第1制御用IC70Aの光源駆動部51は、図5(b)に示すように、第1期間(第1点灯動作時)では、第1光源部12Aの第1光源121に駆動パルスを印加し、第2期間(第2点灯動作時)では、第1光源部12Aの第2光源122に第1光源121に印加する駆動パルスと逆相の駆動パルスを印加する。その後、第2制御用IC70Bの光源駆動部51は、第1期間(第1点灯動作時)では、第2光源部12Bの第1光源121に駆動パルスを印加するとともに、第2期間(第2点灯動作時)では、第2光源部12Bの第2光源122に第1光源121に印加する駆動パルスと逆相の駆動パルスを印加する。なお、位置検出システム1において、光源部12に対する駆動電流値を制御するにあたっては、電圧振幅変調やパルス幅変調が行われる。
【0043】
(座標検出原理)
図4に示すように、本形態の位置検出システム1において、図5(a)を参照して説明した光源駆動部51は、光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)のいずれにおいても、検出光L2の出射強度が検出光L2の放射角度範囲の一方側から他方側に向かって減少する第1点灯動作(第1期間)と、検出光L2の出射強度が検出光L2の放射角度範囲の他方側から一方側に向かって減少する第2点灯動作(第2期間)とを行わせる。
【0044】
より具体的には、光源駆動部51は、第1光源部12Aに対して、第1点灯動作時(第1期間)には、第1光源モジュール126の第1光源121を点灯させ、検出対象空間10Rに検出光L2を出射させる。その際、第2光源122は消灯状態にある。その結果、検出対象空間10Rには、XY平面に沿って第1光強度分布LID1が形成される。かかる第1光強度分布LID1は、図4(a)に矢印の長さにより出射光の強度を示すように、一方の端部LG1に対応する角度方向から他方の端部LG2に対応する角度方向に向けて強度が単調に低下する強度分布である。
【0045】
また、光源駆動部51は、第1光源部12Aに対して、第2点灯動作時(第2期間)には、第2光源モジュール127の第2光源122を点灯させ、検出対象空間10Rに検出光L2を出射させる。その際、第1光源121は消灯状態にある。その結果、検出対象空間10Rには、XY平面に沿って第2光強度分布LID2が形成される。かかる第2光強度分布LID2は、図4(b)に矢印の長さにより出射光の強度を示すように、他方の端部LG2に対応する角度方向から一方の端部LG1に対応する角度方向に向けて強度が単調に低下する強度分布である。
【0046】
なお、第2光源部12Bにおいて、第1光源モジュール126の第1光源121が点灯した第1点灯動作時、および第2光源モジュール127の第2光源122が点灯した第2点灯動作時にも、第1光源部12Aと同様、第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2が形成される。従って、後述するように、第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2を利用すれば、第1光源部12Aおよび第2光源部12Bの中心PEの距離DS(図7参照)が固定であるので、指示部材Obの位置を検出することができる。
【0047】
(指示部材Obの角度位置の検出)
図6は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システム1における位置検出原理を示す説明図であり、図6(a)、(b)は光強度分布の説明図、および指示部材が存在する位置情報(方位情報)を取得する方法の説明図である。図7は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システム1において指示部材ObのXY座標データを取得する原理を示す説明図である。
【0048】
まず、第1光源部12Aの第1光源モジュール126において、第1光強度分布LID1を形成した際、検出光L2の照射方向と、検出光L2の強度とは、図6(a)に線E1で示す直線関係にある。また、第1光源部12Aの第2光源モジュール127において、第2光強度分布LID2を形成した際、検出光L2の照射方向と、検出光L2の強度とは、図6(a)に線E2で示す直線関係にある。ここで、図6(b)および図7に示すように、第1光源部12Aの中心PE(第1光源モジュール126の中心/検出光L2の放射中心位置)からみて角度θの方向に指示部材Obが存在するとする。この場合、第1光強度分布LID1を形成したとき、指示部材Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTaとなる。これに対して、第2光強度分布LID2を形成したとき、指示部材Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTbとなる。従って、第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光素子13Aでの検出強度と、第2光強度分布LID2を形成した際の第2受光素子13Bでの検出強度とを比較して、強度INTa、INTbの関係を求めれば、図6(b)および図7に示すように、第1光源部12Aの中心PEを基準に指示部材Obが位置する方向の角度θ(角度θ1/角度位置)を求めることができる。
【0049】
かかる原理を利用して、指示部材Obの角度位置(角度θ1)を検出するにあたって、本形態では、第1光源部12Aにおいて、第1光源モジュール126によって第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光素子13Aでの検出強度と、第2光源モジュール127によって第2光強度分布LID2を形成した際の第1受光素子13Aでの検出強度とが等しくなるように、第1光源121に対する第1駆動電流値、および第2光源122に対する第2駆動電流値を調整する。ここで、第1光源部12Aからの検出光L2の出射強度は、第1光源121に対する第1駆動電流値、および第2光源122に対する第2駆動電流値に比例する。従って、第1光源121に対する第1駆動電流値、および第2光源122に対する第2駆動電流値を調整した後の第1駆動電流値と第2駆動電流値との比や差、あるいは駆動電流値を調整した際の調整量の比や差から指示部材Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求めることができる。
【0050】
より具体的には、まず、図5に示す第1制御用IC70Aの光源駆動部51は、第1点灯動作として第1光源121を点灯させて第1光強度分布LID1を形成した後、第2点灯動作として第2光源122を点灯させて第2光強度分布LID2を形成する。この際、第1光強度分布LID1と第2光強度分布LID2とは強度変化の向きは逆向きであるが、強度レベルは同一である。そして、図5に示す位置検出部50の調整量算出部74は、第1点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTbとを比較する。その結果、第1点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTbとが等しければ、指示部材Obの角度位置は0°である。
【0051】
これに対して、受光強度INTa、INTbが相違している場合、第1点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTbとが等しくなるように、第1光源121に対する第1駆動電流値、および第2光源122に対する第2駆動電流値を調整する。そして、再度、第1点灯動作と第2点灯動作とを行った際に、第1点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光素子13Aの受光強度INTbとが等しければ、図5に示す第1角度位置検出部551は、かかる調整を行った後の第1光源121および第2光源122に対する駆動電流値の比や差、あるいは駆動電流値の調整量の比や差から指示部材Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求めることができる。
【0052】
かかる動作を第2光源部12Bにおいても行えば、図5に示す第2角度位置検出部552は、第2光源部12Bの中心PEを基準に指示部材Obが位置する方向の角度θ(角度θ2/角度位置)を求めることができる。従って、図5に示す座標データ確定部553は、第1角度位置検出部551で検出した角度位置(角度θ1の方向)と、第2角度位置検出部552で検出した角度位置(角度θ2の方向)の交点に相当する位置を指示部材Obが位置するXY座標データとして取得することができる。
【0053】
(受光素子13の構成)
図8は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システム1に用いた受光素子13の説明図であり、図8(a)、(b)は、受光素子13の説明図、および受光素子13の感度指向性を示すグラフである。
【0054】
本形態の位置検出システム1において、受光素子13は、図8(a)に示すフォトダイオードからなる。受光素子13は、全体として直方体形状の素子本体132と、素子本体132のX軸方向の両端面から突出する端子133とを備えており、素子本体132は、一方面側に受光面130を備えている。かかる受光素子13の受光感度は、図8(b)に示す入射角度依存性(感度指向性)を有しており、受光面130に対する法線方向に感度ピーク方向を有している。図8(b)からわかるように、受光素子13は、検出光L2の入射角度が受光面130に対する法線方向から60°以上傾くと、感度ピーク値に対して1/2未満の感度となり、感度が著しく低い。さらに、受光素子13は、検出光L2の入射角度が受光面130に対する法線方向から90°以上傾くと、感度が0となる。
【0055】
本形態では、図9を参照して以下に説明するように、指示部材Obの外周面に設けた再帰反射部Sb、受光素子13のレイアウト、受光素子13の向き、および受光素子13の感度指向性を利用して、光源部12からの指示部材Obの距離にかかわらず、受光素子13からの出力を適正なレベルに設定する。
【0056】
(受光素子13の向き等)
図9は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システム1の受光素子13の向き等の説明図であり、位置検出システム1のYZ断面に相当する。
【0057】
図9に示すように、本形態の位置検出システム1において、光源部12の光軸L12は、基準面41a(視認面構成部材40の視認面41)に対してZ軸方向の一方側Z1で基準面41aに平行に延びており、光源部12は、基準面41aに平行な仮想面P12に沿って検出光L2を出射する。
【0058】
本形態において、受光素子13は、仮想面P12よりZ軸方向の一方側Z1において、受光面130に対する法線方向L130が基準面41aに交差するように配置されている。
【0059】
このように構成した位置検出システム1において、光源部12から、基準面41aに平行な仮想面P12に検出光L2を放射状に出射すると、指示部材Obの再帰反射部Sbで反射した光(反射光L3)は、光源部12に向けて反射し、その一部が受光素子13に入射する。
【0060】
ここで、光源部12からの距離がdである箇所に到達する検出光L2の強度Lは、下式
L=L0/d2
L0=光源部12からの出射強度
に示すように、距離dの2乗に反比例する。このため、指示部材Obと光源部12との距離dがdeで短い場合には検出光L2の強度が高く、指示部材Obと光源部12との距離dがdfで長い場合には検出光L2の強度が低い。
【0061】
但し、光源部12に指示部材Obが近い位置にある場合、受光素子13の受光面130に入射するのは、反射光L3が再帰反射する方向に対して大きな角度θe1を成す方向であり、受光面130への入射効率が低い。例えば、受光素子13に向けて反射して受光面130に入射するのは反射光L3の50%である。
【0062】
これに対して、光源部12から指示部材Obが遠い位置にある場合、受光素子13の受光面130に入射するのは、反射光L3が再帰反射する方向に対して小さな角度θf1を成す方向であり、受光面への入射効率が高い。例えば、受光素子13に向けて反射して受光面130に入射するのは反射光L3の75%である。
【0063】
従って、指示部材Obが光源部12に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子13から出力される信号のレベル差を小さくすることができる。
【0064】
また、本形態において、受光素子13の受光面130に対する法線方向L130は、基準面41aに交差するように傾いているため、受光素子13の受光面130に入射する光が、受光面130に対する法線方向L130と成す角度を小さくすることができる。従って、受光素子13の感度が高いので、受光素子13から出力される信号のレベルが高い。
【0065】
さらに、光源部12に指示部材Obが近い位置にある場合、受光素子13の受光面130に入射するのは、受光素子13の受光面130に対する法線方向L130に対して、大きな角度θe2を成す方向であり、かかる方向に対しては、受光素子13の感度が低い。これに対して、光源部12から指示部材Obが遠い位置にある場合、受光素子13の受光面130に入射するのは、受光素子13の受光面130に対する法線方向L130に対して、小さな角度θf2を成す方向であり、かかる方向に対しては、受光素子13の感度が高い。従って、指示部材Obが光源部12に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子13から出力される信号のレベル差を小さくすることができる。
【0066】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の位置検出システム1において、光源部12は、検出光L2を放射状に出射するとともに、検出光L2の放射角度範囲において一方側から他方側に向かって強度が変化する光強度分布(第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2)を形成し、受光素子13は、光強度分布が形成された検出対象空間10Rに位置する指示部材Obで反射した検出光L2を受光する。ここで、指示部材Obで反射した検出光L2の強度は、光強度分布において指示部材Obが位置する箇所での強度に比例するので、受光素子13での受光強度は、指示部材Obの位置に対応する。従って、位置検出部50は、受光素子13での受光強度に基づいて指示部材Obの位置を検出することができる。かかる方式によれば、光源部12から放射状に出射された検出光L2の光強度分布を利用するので、広い空間にわたって光強度分布を形成することができ、検出対象空間10Rが広い。
【0067】
また、本形態においては、図9を参照して説明したように、指示部材Obが光源部12に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子13から出力される信号のレベル差が小さいとともに、受光素子13から出力される信号のレベルが高い。それ故、本形態によれば、位置検出部50での入力許容範囲を狭くすることができる分、分解能を高めることができ、検出精度を向上することができる。
【0068】
[実施の形態2]
図10は、本発明の実施の形態2に係る位置検出システム1の受光素子13の向き等の説明図であり、位置検出システム1のYZ断面に相当する。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0069】
図10に示すように、本形態の位置検出システム1において、光源部12の光軸L12は、基準面41a(視認面構成部材40の視認面41)に対して傾いており、光源部12は、基準面41aに対して交差角度θgで斜めに傾いた仮想面P12に沿って検出光L2を出射する。また、受光素子13は、仮想面P12よりZ軸方向の一方側Z1において、受光面130に対する法線方向L130が基準面41aに交差するように配置されている。
【0070】
ここで、光源部12のZ軸方向における出射強度の半値角度θhは、仮想面P12と基準面41aとが成す角度θgに等しい。このため、光源部12に近い位置、および光源部12から遠い位置のいずれにおいても、基準面41aから等距離の範囲を検出対象空間10Rとして設定するのに適している。
【0071】
また、本形態では、光源部12の光軸L12(仮想面P12)が基準面41a(視認面構成部材40の視認面41)に対して傾いているため、光源部12に指示部材Obが近い位置にある場合、指示部材Obには検出光L2が照射されない領域が発生する。従って、指示部材Obが光源部12に近い位置にある場合は、指示部材Obにおいて検出光L2が照射される面積が狭く、光源部12から指示部材Obが遠い位置にある場合、指示部材において検出光L2が照射される面積が広い。従って、指示部材Obが光源部12に近い位置にある場合と遠い位置にある場合とにおいて受光素子13から出力される信号のレベル差をより小さくすることができる。その他の構成は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
[実施の形態1、2の変形例]
上記実施の形態1、2では、2つのライトガイドLGの各々に光源120を設けたが、1つのライトガイドLGの両端に光源120を設け、光源120を交互に点灯させて、第1期間と第2期間とにおいて互いに逆向きの光強度分布を形成してもよい。
【0073】
[実施の形態3]
図11は、本発明の実施の形態3に係る位置検出システム1の受発光ユニットの説明図である。図12は、図11に示す受発光ユニットにおける光源部の説明図であり、図12(a)、(b)は、第1期間の第1点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図、および第2期間の第2点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図である。
【0074】
実施の形態1では、光源部12にライトガイドLGを用いたが、本形態では、ライトガイドを用いずに、実施の形態1と同様な原理で指示部材ObのXY座標を検出する。より具体的には、図11に示すように、本形態の位置検出システム1の光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)はいずれも、複数の光源120(第1光源121および第2光源122)と、複数の光源120が実装された帯状のフレキシブル基板180と、長さ方向(円周方向)で湾曲した形状をもって延在する凸曲面155を備えた扇形形状のホルダー150とを備えている。本形態において、凸曲面155は、その長さ方向(円周方向)で円弧形状に湾曲した形状を有している。
【0075】
本形態においては、フレキシブル基板180として、帯状の第1フレキシブル基板181(第1光源モジュール)と、第1フレキシブル基板181に対して幅方向(Z軸方向)で並列する帯状の第2フレキシブル基板182(第2光源モジュール)とが用いられている。第1フレキシブル基板181には、その長さ方向に、複数の光源120として、複数の第1光源121が実装されており、第2フレキシブル基板182には、その長さ方向に、複数の光源120として、複数の第2光源122が実装されている。光源120にはいずれも、LEDが用いられている。
【0076】
また、2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)のいずれにおいても、ホルダー150は、第1ホルダー151と第2ホルダー152とがZ軸方向で重ねられた構造になっており、第1ホルダー151と第2ホルダー152とはZ軸方向で互いに対称な構成を有している。第1ホルダー151は、凸曲面155の下半部を構成する円弧状の凸曲面155aと、凸曲面155aにおいて第2ホルダー152が位置する側とは反対側の端部で凸曲面155aから突出する扇形形状の鍔部156aとを備えており、凸曲面155aに第1フレキシブル基板181が重ねて配置されている。第2ホルダー152は、凸曲面155の上半部を構成する円弧状の凸曲面155bと、凸曲面155bにおいて第1ホルダー151が位置する側とは反対側の端部で凸曲面155bから突出する扇形形状の鍔部156bとを備えており、凸曲面155bに第2フレキシブル基板182が重ねて配置されている。
【0077】
このように構成した位置検出システム1において、検出対象空間10Rにおける指示部材Obの位置を検出するには、第1フレキシブル基板181に実装されている複数の第1光源121と、第2フレキシブル基板182に実装されている複数の第2光源122とを異なる期間において点灯させる。その際、複数の第1光源121を全て点灯させ、複数の第2光源122を全て消灯させる第1点灯動作(第1期間)では、図12(a)に出射強度の高低を矢印Paで示すように、第1フレキシブル基板181の長さ方向の一方側の端部181fが位置する側から他方側の端部181eが位置する側に向かって第1光源121の出射強度を減少させる。従って、検出対象空間10Rに出射される検出光L2の第1光強度分布LID1では、第1フレキシブル基板181の長さ方向の一方側の端部181fが位置する角度方向では光強度が高く、そこから、他方側の端部181eが位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。
【0078】
これに対して、複数の第2光源122を全て点灯させ、複数の第1光源121を全て消灯させる第2点灯動作(第2期間)では、図12(b)に出射強度の高低を矢印Pbで示すように、第2フレキシブル基板182の長さ方向の一方側の端部182fが位置する側から他方側の端部182eが位置する側に向かって第2光源122の出射強度を増大させる。従って、検出対象空間10Rに出射される検出光L2の第2光強度分布LID2では、第2フレキシブル基板182の長さ方向の他方側の端部182eが位置する角度方向では光強度が高く、そこから、一方側の端部182fが位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。
【0079】
それ故、第1点灯動作および第2点灯動作を第1光源部12Aおよび第2光源部12Bの各々において実行すれば、実施の形態1と同様な原理で指示部材Obの位置(XY座標)を検出することができる。その際、複数の第1光源121に供給する駆動電流の和(第1駆動電流値)、および複数の第2光源122に供給する駆動電流の和(第2駆動電流値)に基づいて指示部材Obの角度位置を検出すればよい。また、複数の光源120の出射強度を変えるにあたっては、抵抗素子等により、駆動電流を光源120毎に変えればよい。
【0080】
[実施の形態3の変形例]
上記実施の形態2では、2系統の光源120を設けたが、1系統の光源120を設け、第1期間と第2期間とにおいて、複数の光源120に供給する駆動電流の大小関係を反転させて第1期間と第2期間とにおいて互いに逆向きの光強度分布を形成してもよい。
【0081】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、2つの受発光ユニット15を用いたが、1つの受発光ユニット15を用いて指示部材Obの位置を検出する場合に本発明を適用してもよい。また、3つ以上の受発光ユニット15を用いて指示部材Obの位置を検出する場合に本発明を適用してもよい。また、上記実施の形態では、受光素子13と光源部12とによって受発光ユニット15を構成したが、受光素子13と光源部12とを別体で構成した場合に本発明を適用してもよい。
【0082】
[位置検出システムの構成例]
(位置検出システム1の具体例1)
図13は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例1(入力機能付き表示システム)の説明図である。なお、本形態の入力機能付き表示システムにおいて、位置検出システム1および位置検出システム1の構成は、図1〜図12を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0083】
上記実施の形態に係る位置検出システム1において、図13に示すように、視認面構成部材40として表示装置110を用い、かかる表示装置110に、図1〜図12を参照して説明した位置検出システム1を設ければ、電子黒板やデジタルサイネージ等といった入力機能付き表示システム100として用いることができる。ここで、表示装置110(表示部)は、直視型表示装置や、視認面構成部材40をスクリーンとする背面型投射型表示装置である。
【0084】
かかる入力機能付き表示システム100において、位置検出システム1は、表示面110a(視認面41/基準面41a)に沿って検出光L2を出射するとともに、指示部材Obで反射した検出光L2(反射光L3)を検出する。このため、表示装置110で表示された画像の一部に指示部材Obを接近させれば、かかる指示部材Obの位置を検出することができるので、指示部材Obの位置を画像の切り換え指示等といった入力情報として利用することができる。
【0085】
(位置検出システム1の具体例2)
図14を参照して、視認面構成部材40としてスクリーンを用い、位置検出機能付き投射型表示システムを構成した例を説明する。図14は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例2(入力機能付き表示システム/入力機能付き投射型表示システム)の説明図である。なお、本形態の位置機能付き投射型表示システムにおいて、位置検出システム1および位置検出システム1の構成は、図1〜図12を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0086】
図14に示す入力機能付き投射型表示システム200(入力機能付き表示システム)では、液晶プロジェクターあるいはデジタル・マイクロミラー・デバイスと称せられる画像投射装置250(画像生成装置)からスクリーン80(視認面構成部材40)に画像が投射される。かかる入力機能付き投射型表示システム200において、画像投射装置250(投射表示部)は、筐体240に設けられた投射レンズ系210からスクリーン80に向けて画像表示光Piを拡大投射する。ここで、画像投射装置250は、Y軸方向に対してわずかに傾いた方向から画像表示光Piをスクリーン80に向けて投射する。従って、スクリーン80において画像が投射されるスクリーン面80aによって、情報が視認される視認面41(基準面41a)が構成されている。
【0087】
かかる入力機能付き投射型表示システム200において、位置検出システム1は、画像投射装置250に付加されて一体に構成されている。このため、位置検出システム1は、投射レンズ系210とは異なる箇所から、スクリーン面80aに沿って検出光L2を出射するとともに、指示部材Obで反射した反射光L3を検出する。このため、スクリーン80に投射された画像の一部に指示部材Obを接近させれば、かかる指示部材Obの位置を検出することができるので、指示部材Obの位置を画像の切り換え指示等といった入力情報として利用することができる。
【0088】
なお、位置検出システム1とスクリーン80とを一体化させれば、入力機能付きスクリーン装置を構成することができる。
【0089】
(位置検出システム1の他の具体例)
本発明において、視認面構成部材40は、展示品を覆う透光部材である構成を採用することができ、この場合、視認面41は、透光部材において展示品が配置される側とは反対側で展示品が視認される面である。かかる構成によれば、入力機能付きウインドウシステム等として構成することができる。
【0090】
また、視認面構成部材40は、移動する遊技用媒体を支持する基盤である構成を採用することができ、この場合、視認面41は、基盤において基盤と遊技用媒体との相対位置が視認される側の面である。かかる構成によれば、パチンコ台やコインゲーム等のアミューズメント機器を入力機能付きアミューズメントシステム等として構成することができる。
【符号の説明】
【0091】
1・・位置検出システム、10・・光学式位置検出装置、10R・・検出対象空間、12・・光源部、13・・受光素子、15・・受発光ユニット、40・・視認面構成部材、41・・視認面、41a・・基準面、50・・位置検出部、80・・スクリーン、80a・・スクリーン面(視認面、基準面)、100・・入力機能付き表示システム、110・・表示装置、110a・・表示面(視認面、基準面)、130・・受光面、200・・入力機能付き投射型表示システム、250・・画像投射装置、Ob・・指示部材、Sb・・再帰反射部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する第1方向および第2方向によって規定される基準面と、
前記基準面に対して前記第1方向および前記第2方向に対して直交する第3方向の一方側で対向するように設定された仮想面に沿って検出光を放射状に出射する光源部と、
外周面に再帰反射部をもって前記基準面に対して前記第3方向の一方側に位置する指示部材と、
該指示部材で反射した前記検出光を受光する受光素子と、
該受光素子からの出力に基づいて前記基準面の面内方向における前記指示部材の位置を検出する位置検出部と、
を有し、
前記受光素子は、前記基準面に対して前記第3方向の一方側で、受光面に対する法線方向が前記基準面に交差するように配置されていることを特徴とする位置検出システム。
【請求項2】
前記受光面は、前記仮想面より前記第3方向の一方側に位置することを特徴とする請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項3】
前記仮想面は、前記基準面に対して傾いていることを特徴とする請求項1または2に記載の位置検出システム。
【請求項4】
前記光源部の前記第3方向における出射強度の半値角度は、前記仮想面と前記基準面とが成す角度に等しいことを特徴とする請求項3に記載の位置検出システム。
【請求項5】
前記光源部は、第1期間において前記検出光の出射角度範囲の一方側から他方側に向けて光強度を減少させ、前記第1期間と重ならない第2期間において前記検出光の出射角度範囲の他方側から一方側に向けて光強度を減少させ、
前記位置検出部は、前記第1期間における前記受光素子からの出力と前記第2期間における前記受光素子からの出力との比較結果に基づいて前記基準面の面内方向における前記指示部材の位置を検出することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の位置検出システム。
【請求項6】
互いに直交する第1方向および第2方向によって規定される面内に表示面を備えた表示装置と、前記表示面に対して直交する第3方向の一方側に位置する指示部材の位置を検出する位置検出システムと、を有し、当該位置検出システムでの前記指示部材の位置検出結果に基づいて前記表示面に表示される画像が切り換えられる入力機能付き表示システムであって、
前記指示部材は、外周面に再帰反射部を備え、
前記位置検出システムは、
前記表示面に対して前記第3方向の一方側で対向するように設定された仮想面に沿って検出光を放射状に出射する光源部と、
前記指示部材で反射した前記検出光を受光する受光素子と、
該受光素子からの出力に基づいて前記表示面の面内方向における前記指示部材の位置を検出する位置検出部と、
を有し、
前記受光素子は、前記表示面に対して前記第3方向の一方側で、受光面に対する法線方向が前記表示面に交差するように配置されていることを特徴とする入力機能付き表示システム。
【請求項7】
互いに直交する第1方向および第2方向によって規定される面内にスクリーン面を備えたスクリーンと、前記スクリーン面に画像を投射する画像投射装置と、前記スクリーン面に対して直交する第3方向の一方側に位置する指示部材の位置を検出する位置検出システムと、を有し、当該位置検出システムでの前記指示部材の位置検出結果に基づいて前記表示面で表示される画像が切り換えられる入力機能付き表示システムであって、
前記位置検出システムは、
前記スクリーン面に対して前記第3方向の一方側で対向するように設定された仮想面に沿って検出光を放射状に出射する光源部と、
前記指示部材で反射した前記検出光を受光する受光素子と、
該受光素子からの出力に基づいて前記スクリーン面の面内方向における前記指示部材の位置を検出する位置検出部と、
を有し、
前記受光素子は、前記スクリーン面に対して前記第3方向の一方側で、受光面に対する法線方向が前記スクリーン面に交差するように配置されていることを特徴とする入力機能付き表示システム。
【請求項1】
互いに直交する第1方向および第2方向によって規定される基準面と、
前記基準面に対して前記第1方向および前記第2方向に対して直交する第3方向の一方側で対向するように設定された仮想面に沿って検出光を放射状に出射する光源部と、
外周面に再帰反射部をもって前記基準面に対して前記第3方向の一方側に位置する指示部材と、
該指示部材で反射した前記検出光を受光する受光素子と、
該受光素子からの出力に基づいて前記基準面の面内方向における前記指示部材の位置を検出する位置検出部と、
を有し、
前記受光素子は、前記基準面に対して前記第3方向の一方側で、受光面に対する法線方向が前記基準面に交差するように配置されていることを特徴とする位置検出システム。
【請求項2】
前記受光面は、前記仮想面より前記第3方向の一方側に位置することを特徴とする請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項3】
前記仮想面は、前記基準面に対して傾いていることを特徴とする請求項1または2に記載の位置検出システム。
【請求項4】
前記光源部の前記第3方向における出射強度の半値角度は、前記仮想面と前記基準面とが成す角度に等しいことを特徴とする請求項3に記載の位置検出システム。
【請求項5】
前記光源部は、第1期間において前記検出光の出射角度範囲の一方側から他方側に向けて光強度を減少させ、前記第1期間と重ならない第2期間において前記検出光の出射角度範囲の他方側から一方側に向けて光強度を減少させ、
前記位置検出部は、前記第1期間における前記受光素子からの出力と前記第2期間における前記受光素子からの出力との比較結果に基づいて前記基準面の面内方向における前記指示部材の位置を検出することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の位置検出システム。
【請求項6】
互いに直交する第1方向および第2方向によって規定される面内に表示面を備えた表示装置と、前記表示面に対して直交する第3方向の一方側に位置する指示部材の位置を検出する位置検出システムと、を有し、当該位置検出システムでの前記指示部材の位置検出結果に基づいて前記表示面に表示される画像が切り換えられる入力機能付き表示システムであって、
前記指示部材は、外周面に再帰反射部を備え、
前記位置検出システムは、
前記表示面に対して前記第3方向の一方側で対向するように設定された仮想面に沿って検出光を放射状に出射する光源部と、
前記指示部材で反射した前記検出光を受光する受光素子と、
該受光素子からの出力に基づいて前記表示面の面内方向における前記指示部材の位置を検出する位置検出部と、
を有し、
前記受光素子は、前記表示面に対して前記第3方向の一方側で、受光面に対する法線方向が前記表示面に交差するように配置されていることを特徴とする入力機能付き表示システム。
【請求項7】
互いに直交する第1方向および第2方向によって規定される面内にスクリーン面を備えたスクリーンと、前記スクリーン面に画像を投射する画像投射装置と、前記スクリーン面に対して直交する第3方向の一方側に位置する指示部材の位置を検出する位置検出システムと、を有し、当該位置検出システムでの前記指示部材の位置検出結果に基づいて前記表示面で表示される画像が切り換えられる入力機能付き表示システムであって、
前記位置検出システムは、
前記スクリーン面に対して前記第3方向の一方側で対向するように設定された仮想面に沿って検出光を放射状に出射する光源部と、
前記指示部材で反射した前記検出光を受光する受光素子と、
該受光素子からの出力に基づいて前記スクリーン面の面内方向における前記指示部材の位置を検出する位置検出部と、
を有し、
前記受光素子は、前記スクリーン面に対して前記第3方向の一方側で、受光面に対する法線方向が前記スクリーン面に交差するように配置されていることを特徴とする入力機能付き表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図9】
【図10】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図9】
【図10】
【図15】
【公開番号】特開2013−24578(P2013−24578A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156431(P2011−156431)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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