説明

位置検出システム及び位置検出方法

【課題】特殊なスクリーンを用いることなく、且つ指示器のキャリブレーション処理を実行することなく、指示器の位置に応じた画像を表示することができる位置検出システム及び位置検出方法を提供する。
【解決手段】位置検出システムは、光パルスのタイミングを検出するフォトダイオード2010と、タイミングを表す信号を送信する送信部2030とを有する指示器2000と、画面を複数に分割した領域に対して、光源毎に固有のタイミングで光パルスを投射する複数の光源と、タイミングを表す信号を受信する受信部1150と、タイミングを表す信号に基づいて、指示器2000の位置を検出する制御部1110と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置を用いる位置検出システム及び位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターからスクリーンに投写された画像における任意の点を指示する指示器(電子ペン等)の位置を検出し、その位置に応じた画像を表示する入力システムが、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された入力システムは、指示器のキャリブレーション処理を事前に実行することにより、特殊なスクリーンを用いることなく、指示器の位置に応じた画像を表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−113598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、指示器のキャリブレーション処理には一定の時間を要する。このため、ユーザーは、位置検出システム(入力システム)を設置しても、指示器のキャリブレーション処理が完了するまで位置検出システムを使うことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、特殊なスクリーンを用いることなく、且つ指示器のキャリブレーション処理を実行することなく、指示器の位置に応じた画像を表示することができる画像表示装置を用いる位置検出システム及び位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、光パルスを受光し、該光パルスのタイミングを検出するセンサーと、前記タイミングを表す信号を送信する送信部と、を有する指示器と、画面を複数に分割した領域に対して、光源毎に固有のタイミングで光パルスを投射する複数の光源と、前記タイミングを表す信号を前記送信部から受信する受信部と、前記タイミングを表す信号に基づいて、画像が表示される前記画面上の前記指示器の位置を検出する制御部と、を備えることを特徴とする位置検出システムである。
この構成により、位置検出システムは、光パルスのタイミングに基づいて画面上の指示器の位置を検出するので、特殊なスクリーンを用いることなく、且つ指示器のキャリブレーション処理を実行することなく、指示器の位置に応じた画像を表示すること(インタラクティブ操作)ができる。
【0007】
また、本発明は、前記光源を有する複数の画像表示装置と、前記受信部と、前記制御部と、を有する制御装置と、を備えることを特徴とする位置検出システムである。
この構成により、位置検出システムは、光パルスのタイミングに基づいて画面上の指示器の位置を検出するので、特殊なスクリーンを用いることなく、且つ指示器のキャリブレーション処理を実行することなく、指示器の位置に応じた画像を表示すること(インタラクティブ操作)ができる。
【0008】
また、本発明は、前記受信部と、前記複数の光源と、前記制御部と、を有する画像表示装置を備えることを特徴とする位置検出システムである。
この構成により、位置検出システムは、光パルスのタイミングに基づいて画面上の指示器の位置を検出するので、特殊なスクリーンを用いることなく、且つ指示器のキャリブレーション処理を実行することなく、指示器の位置に応じた画像を表示すること(インタラクティブ操作)ができる。
【0009】
また、本発明は、前記各光源が、自光源に対応する前記領域と該領域に隣接する領域とに対して、前記光源毎に固有のタイミングで光パルスを投射し、前記制御部が、1つの光源と該光源に隣接する1つ以上の光源とからの複数の光パルスの各タイミングに基づいて、前記指示器の位置を検出することを特徴とする位置検出システムである。
この構成により、位置検出システムは、1つの光源と該光源に隣接する1つ以上の光源とからの複数の光パルスの各タイミングに基づいて、画面上の指示器の位置を検出するので、これにより、指示器の位置に応じた画像を表示することができる。
【0010】
また、本発明は、前記制御部が、隣接する複数の光源からの各光パルスの強度の比に基づいて、前記指示器の位置を検出することを特徴とする位置検出システムである。
この構成により、位置検出システムは、隣接する複数の光源からの各光パルスの強度の比に基づいて、指示器の位置を検出するので、これにより、指示器の位置に応じた画像を表示することができる。
【0011】
また、本発明は、前記制御部が、複数の光源からの第1パルスと、これに続く第2パルスとの間隔に基づいて、前記指示器の位置を検出することを特徴とする位置検出システムである。
この構成により、位置検出システムは、複数の光源からの第1パルスと、これに続く第2パルスとの間隔に基づいて、指示器の位置を検出するので、指示器の位置に応じた画像を表示することができる。
【0012】
また、本発明は、光パルスを受光し、該光パルスのタイミングを検出するセンサーと、前記タイミングに基づいて、画像が表示される画面上の自装置の位置を検出する制御部と、前記位置を表す信号を送信する送信部と、を有する指示器と、前記位置を表す信号を前記送信部から受信する受信部と、前記画面を複数に分割した領域に対して、光源毎に固有のタイミングで光パルスを投射する複数の光源と、を備えることを特徴とする位置検出システムである。
この構成により、位置検出システムは、光パルスのタイミングに基づいて画面上の指示器の位置を検出するので、特殊なスクリーンを用いることなく、且つ指示器のキャリブレーション処理を実行することなく、指示器の位置に応じた画像を表示すること(インタラクティブ操作)ができる。
【0013】
また、本発明は、前記光源を有する複数の画像表示装置と、前記受信部、を有する制御装置と、を備えることを特徴とする位置検出システムである。
この構成により、位置検出システムは、光パルスのタイミングに基づいて画面上の指示器の位置を検出するので、特殊なスクリーンを用いることなく、且つ指示器のキャリブレーション処理を実行することなく、指示器の位置に応じた画像を表示すること(インタラクティブ操作)ができる。
【0014】
また、本発明は、前記受信部と、前記複数の光源と、を有する画像表示装置を備えることを特徴とする位置検出システムである。
この構成により、位置検出システムは、光パルスのタイミングに基づいて画面上の指示器の位置を検出するので、特殊なスクリーンを用いることなく、且つ指示器のキャリブレーション処理を実行することなく、指示器の位置に応じた画像を表示すること(インタラクティブ操作)ができる。
【0015】
また、本発明は、前記指示器が、複数備えられることを特徴とする位置検出システムである。
この構成により、位置検出システムは、複数の指示器の位置に応じた画像を表示することができる(マルチタッチ化)。
【0016】
また、本発明は、位置検出システムにおける位置検出方法であって、指示器が備えるセンサーが、光パルスを受光し、該光パルスのタイミングを検出するステップと、指示器が備える送信部が、前記タイミングを表す信号を送信するステップと、複数の光源が、画面を複数に分割した領域に対して、光源毎に固有のタイミングで光パルスを投射するステップと、受信部が、前記タイミングを表す信号を前記送信部から受信するステップと、制御部が、前記タイミングを表す信号に基づいて、画像が表示される前記画面上の前記指示器の位置を検出するステップと、
を有することを特徴とする位置検出方法である。
この方法により、位置検出システムは、光パルスのタイミングに基づいて、画面上の指示器の位置を検出するので、特殊なスクリーンを用いることなく、且つ指示器のキャリブレーション処理を実行することなく、指示器の位置に応じた画像を表示することができる。
【0017】
また、本発明は、前記複数の光源として、複数の画像表示装置に備えられた光源と、前記受信部として、制御装置に備えられた受信部と、前記制御部として、制御装置に備えられた制御部と、を用いることを特徴とする位置検出方法である。
この方法により、位置検出システムは、光パルスのタイミングに基づいて、画面上の指示器の位置を検出するので、特殊なスクリーンを用いることなく、且つ指示器のキャリブレーション処理を実行することなく、指示器の位置に応じた画像を表示することができる。
【0018】
また、本発明は、前記受信部として、画像表示装置に備えられた受信部と、前記複数の光源として、画像表示装置に備えられた複数の光源と、前記制御部として、画像表示装置に備えられた制御部と、を用いることを特徴とする位置検出方法である。
この方法により、位置検出システムは、光パルスのタイミングに基づいて、画面上の指示器の位置を検出するので、特殊なスクリーンを用いることなく、且つ指示器のキャリブレーション処理を実行することなく、指示器の位置に応じた画像を表示することができる。
【0019】
本発明によれば、位置検出システムは、光パルスのタイミングに基づいて、画面上の指示器の位置を検出するので、特殊なスクリーンを用いることなく、且つ指示器のキャリブレーション処理を実行することなく、指示器の位置に応じた画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態における、位置検出システムの構成を表す図である。
【図2】本発明の第1実施形態における、投射部の構成を表す図である。
【図3】本発明の第1実施形態における、赤色光源部の構成を表す図である。
【図4】本発明の第1実施形態における、光源毎に固有のタイミングで投射される光パルスを表す図である。
【図5】本発明の第1実施形態における、画面位置と光強度との関係を表す図である。
【図6】本発明の第1実施形態における、領域と投射範囲との位置関係を表す図である。
【図7】本発明の第1実施形態における、液晶ライトバルブに投射された光パルスと、スクリーンに投射された光パルスとの関係を表す図である。
【図8】本発明の第1実施形態における、スクリーンに投射された光パルスを表す図である。
【図9】本発明の第1実施形態における、指示位置に応じたベクトルの傾きを検出する方法を説明するための図である。
【図10】本発明の第1実施形態における、指示位置を検出する方法を説明するための図である。
【図11】本発明の第1実施形態における、位置検出システムが指示位置を検出する手順を表すフローチャートである。
【図12】本発明の第3実施形態における、位置検出システムの構成を表す図である。
【図13】本発明の第3実施形態における、投射部の構成を表す図である。
【図14】本発明の第3実施形態における、画像表示装置の配置例を表す上面図である。
【図15】本発明の第3実施形態における、画面位置と光強度との関係を表す図である。
【図16】本発明の第3実施形態における、液晶ライトバルブに投射された光パルスと、スクリーンに投射された光パルスとの関係を表す図である。
【図17】本発明の第3実施形態における、投射範囲と光パルスとの関係を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について図面を参照して詳細に説明する。位置検出システムにおいて、指示器は、画面上において光パルスを受光し、受光した光パルスのタイミングを表す信号を送信する。また、位置検出装置は、光パルスのタイミングを表す信号を受信し、受信した信号に基づいて、画面上における指示器の位置を検出する。また、画像表示装置は、検出された指示器の位置に応じた画像を表示する。
【0022】
図1には、位置検出システムの構成が表されている。位置検出システムは、画像表示装置1000と、指示器2000とを備える。指示器2000は、画面上の位置を指示するためのポインティング・デバイス(例えば、電子ペン)である。指示器2000は、フォトダイオード2010と、A/D変換部2020と、送信部2030とを備える。
【0023】
フォトダイオード2010は、光パルスを受光し、受光した光パルスの強度を検出する。A/D変換部2020は、フォトダイオード2010が検出した光パルスのタイミングを表すデジタル信号を出力する。ここで、光パルスのタイミングは、例えば、受光量に応じた電圧差に基づいて検出される。
【0024】
送信部2030は、光パルスのタイミングを表す信号を送信する。なお、指示器2000は、位置検出システムに複数備えられていてもよい(マルチタッチ化)。この場合、送信部2030は、各指示器を識別するための識別番号を送信する。
【0025】
画像表示装置1000は、位置検出装置1100と、投射部1200とを備える。位置検出装置1100は、制御部1110と、液晶駆動部1120と、信号生成部1130と、赤色光源駆動部1140Rと、緑色光源部1140Gと、青色光源駆動部1140Bと、受信部1150とを備える。
【0026】
受信部1150は、光パルスのタイミングを表す信号を、指示器2000の送信部2030から受信して、制御部1110に転送する。指示器2000が位置検出システムに複数備えられている場合、受信部1150は、受信した識別番号毎に、光パルスのタイミングを表す信号を制御部1110に転送する。
【0027】
図2には、投射部の構成が表されている。投射部1200は、クロスダイクロイックプリズム400と、投写光学系500とを備える。また、投射部1200は、赤色光源部(R−LEDアレイ)100Rと、赤色光用コリメーター光学系200Rと、赤色光用液晶ライトバルブ300Rとを備える。また、投射部1200は、緑色光源部(G−LEDアレイ)100Gと、緑色光用コリメーター光学系200Gと、緑色光用液晶ライトバルブ300Gとを備える。また、投射部1200は、青色光源部(B−LEDアレイ)100Bと、青色光用コリメーター光学系200Bと、青色光用液晶ライトバルブ300Bとを備える。なお、各光源部は、投射部1200でなく位置検出装置1100に備えられていてもよい。
【0028】
図3には、赤色光源部の構成が表されている。赤色光源101R〜112Rは、例えば、LED(Light Emitting Diode)であり、赤色光LRを投射する。各光源は、スクリーン3000を複数に分割した領域(図5及び6を用いて後述する)のうち、自光源に対応する領域と該領域に隣接する領域とに対して、光源毎に固有のタイミングで光パルスを投射する。
【0029】
赤色光源101R〜112Rは、赤色光用液晶ライトバルブ300R(図2を参照)と相似する形状となるように配列される。図3に表されている例では、赤色光源101R〜112Rは、3行4列に配列されている。なお、緑色光源部100G及び青色光源部100Bは、赤色光源部100Rと同形状を有する。
【0030】
図2に戻り、投射部の構成の説明を続ける。赤色光用コリメーター光学系200Rは、複数のレンズを有し、赤色光源部100Rが投射した赤色光LRの照度分布を、赤色光用液晶ライトバルブ300Rにおいて均一化させる。緑色光用コリメーター光学系200G及び青色光用コリメーター光学系200Bについても同様である。
【0031】
赤色光用液晶ライトバルブ300R、緑色光用液晶ライトバルブ300G、及び青色光用液晶ライトバルブ300Bは、光変調素子である。赤色光用液晶ライトバルブ300Rにより変調された赤色光LRは、クロスダイクロイックプリズム400に入射する。また、緑色光用液晶ライトバルブ300Gにより変調された緑色光LGは、赤色光LRとは異なる方向から、クロスダイクロイックプリズム400に入射する。また、青色光用液晶ライトバルブ300Bにより変調された青色光LBは、赤色光LR及び緑色光LGとは異なる方向から、クロスダイクロイックプリズム400に入射する。
【0032】
クロスダイクロイックプリズム400は、直角プリズムが貼り合わされた構造を有し、その構造の内面には、赤色光LRを反射するミラー面と、青色光LBを反射するミラー面とが、十字状に形成されている。赤色光LR、緑色光LG及び青色光LBは、これらのミラー面を通過することにより合成される。合成された光は、画像を形成する。
【0033】
投写光学系500は、投写レンズを有する。クロスダイクロイックプリズム400により形成された画像は、投写レンズによりスクリーン3000に拡大投写される。このようにして、投射部1200は、各光源部の発光を利用して、スクリーン3000(画面)に画像を投写する。
【0034】
図1に戻り、位置検出システムの構成の説明を続ける。制御部1110には、画像信号と、制御信号とが入力される。制御部1110は、制御信号に基づいて、画像信号に所定の信号処理を施す。制御部1110は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)である。また、制御部1110は、画像の表示タイミングに同期した同期信号を信号生成部1130に出力する。ここで、同期信号は、例えば、垂直同期信号(Vsync)である。
【0035】
制御部1110には、光パルスのタイミングを表す信号が、受信部1150から入力される。また、位置検出システムに指示器2000が複数備えられている場合、制御部1110には、各指示器を識別するための識別番号が、受信部1150から入力される。制御部1110は、光パルスのタイミングを表す信号に基づいて、指示器2000が指示した画面上の位置(以下、「指示位置」という)を検出する。ここで、制御部1110は、1つの光源と該光源に隣接する1つ以上の光源とからの複数の光パルスの各タイミングに基づいて、指示位置を検出する。指示位置を検出する方法については、図4、図9〜11などを用いて後述する。
【0036】
制御部1110は、指示位置に応じた画像(インタラクティブ画像)を表す画像信号を、液晶駆動部1120に出力する。例えば、制御部1110は、指示位置にカーソルが表示されるよう、指示位置にカーソルが重畳された画像を表す画像信号を、液晶駆動部1120に出力する。
【0037】
液晶駆動部(光変調素子駆動部)1120は、指示位置に応じた画像を表す画像信号に応じて、各液晶ライトバルブ(光変調素子)(図2を参照)を駆動する。信号生成部1130は、同期信号に同期して、赤色光源駆動部1140R、緑色光源駆動部1140G及び青色光源駆動部1140Bを制御する。
【0038】
赤色光源駆動部1140Rは、信号生成部1130による制御に応じて、赤色光源部100Rを駆動する。ここで、赤色光源駆動部1140Rは、赤色光源101R〜112R(図3を参照)毎にタイミングが固有である光パルスを、自光源に対応するスクリーン3000上の領域に対して、各光源から個別に投射させる。緑色光源駆動部1140G及び青色光源駆動部1140Bについても同様である。
【0039】
次に、光パルスについて説明する。
図4には、光源毎に固有のタイミングで投射される光パルスが表されている。光パルスにおいて、スタートパルスとこれに続く位置検出パルスとの間隔は、光源毎に固有である。ここで、各スタートパルスは、各光源から同じタイミングで投射される。
【0040】
図4に表されている例では、赤色光源101Rから射出された光パルスは、スタートパルスと位置検出パルスとの間隔が最も短い。また、赤色光源112Rから射出された光パルスは、スタートパルスと位置検出パルスとの間隔が最も長い。ここで、スタートパルスと位置検出パルスとが最も長い間隔は、全ての位置検出パルスを検出するために必要とされる時間として、予め定められるものとする。以下、光パルスは、各光源から同じ強度で射出されたものとして説明を続ける。なお、光パルス以外のタイミングでは、光の強度(レベル)は、例えば、画面に表示される画像に応じて変化してもよい。
【0041】
また、画像が表示される画面上の指示位置(座標)は、光パルスのタイミングを表す信号に基づいて、制御部1110により検出される。光パルス同士の時間間隔は、所定周期でカウンタが更新されることにより、制御部1110により計測される。ここで、スタートパルスと次のスタートパルスとの間隔(検出周期)は、1フレーム画像の表示周期よりも短く、例えば、1[ms]である。1フレーム画像の表示周期よりも検出周期が短いので、これにより、制御部1110は、指示位置を短時間で検出することができる。また、ユーザーは、光パルスによる光量変化の影響をほとんど受けることなく、投写画像を観ることができる。
【0042】
図5には、画面位置と光強度との関係が表されている。スクリーン3000は、各光源(図3を参照)に対応する3行4列の領域に、予め分割されている。ここで、例えば、スクリーン3000の領域1は、赤色光源101Rに対応する。また、例えば、スクリーン3000の領域2は、赤色光源102Rに対応する。同様に、スクリーン3000の領域3〜12は、赤色光源103R〜112Rにそれぞれ対応する。また、緑色光源部100G及び青色光源部100B(図2を参照)についても同様である。
【0043】
図5の下段に表されているように、光パルスは、光源に対応する領域のみならず、光源に対応する領域と該領域に隣接する領域とに対して、各光源から投射される。これにより、スクリーン3000における光強度は、ほぼ均一となる。
【0044】
なお、スクリーン3000に投射される光パルスは、赤色光源部100R、緑色光源部100G及び青色光源部100Bのいずれから投射されてもよい。以下では、一例として、スクリーン3000に投射される光パルスが、赤色光源部100Rから投射される場合について説明する。
【0045】
図6には、領域と投射範囲との位置関係が表されている。図6では、光パルスが投射される投射範囲(円形状の範囲)の中心と、対応する領域の中心とが一致するよう、赤色光源部100Rの各光源の配置(図3を参照)は、予めキャリブレーションされているものとする。領域6に示されている点(図中の矢印により示されている点)は、指示位置を表す。以下、この指示位置は、一例として、光源102Rによる投射範囲(領域2を含む円形状の範囲)と、光源106Rによる投射範囲(領域6を含む円形状の範囲)と、光源107Rによる投射範囲(領域7を含む円形状の範囲)とに含まれる位置に在るものとする。
【0046】
図7には、液晶ライトバルブに投射された光パルスと、スクリーンに投射された光パルスとの関係が表されている。図7では、赤色光用液晶ライトバルブ300Rを構成する画素領域306Rを透過した光パルスが、スクリーン3000の領域6に投射されている。以下、指示位置に投射された光パルスが液晶ライトバルブを透過した位置を「透過位置」という。
【0047】
ここで、赤色光源102Rから透過位置までの距離よりも、赤色光源106Rから透過位置までの距離のほうが短くなるよう、赤色光源部100Rの位置に対して、赤色光用液晶ライトバルブ300Rが予め配置されているものとする。これにより、赤色光源102R及び赤色光源106Rから同じ強度の光パルスが射出された場合でも、透過位置において、赤色光源102Rから投射された光パルスの強度のほうが、赤色光源106Rから投射された光パルスの強度よりも、光パルスの経路距離に応じて低くなる。
【0048】
図7に表されているように、一例として、赤色光源102Rから投射された光パルスは、透過位置において、強度が20であったとする。一方、赤色光源106Rから投射された光パルスは、透過位置において、強度が160であったとする。これらの光パルスは、透過位置において互いに重なり合う。
【0049】
ここで、画素領域306Rの透過率は、一例として、50[%](=0.50)であるとする。赤色光源102Rから投射されたスタートパルスと、赤色光源106Rから投射されたスタートパルスとが重なり合ったスタートパルスは、スクリーン3000上の指示位置において、強度が90(=(レベル20+レベル160)×透過率0.50)となる。一方、赤色光源102Rから投射された位置検出パルスは、スクリーン3000上の指示位置において、強度が10(=レベル20×0.50)となる。同様に、赤色光源106Rから投射された位置検出パルスは、スクリーン3000上の指示位置において、強度が80(=レベル160×0.50)となる。
【0050】
図8には、スクリーンに投射された光パルスが表されている。光源102Rによる投射範囲と、光源106Rによる投射範囲と、光源107Rによる投射範囲とのいずれにも、指示位置が含まれているので(図6を参照)、指示位置におけるスタートパルスは、赤色光源102Rから投射されたスタートパルスと、赤色光源106Rから投射されたスタートパルスと、赤色光源107Rから投射されたスタートパルスとが重なり合ったスタートパルスとなる。図8では、この重なり合ったスタートパルスは、強度が100(=(レベル20+レベル160+レベル20)×透過率0.50)となる。一方、各位置検出パルスは、射出されたタイミングがそれぞれ異なるので、波形が重なり合うことがない。このため、指示位置における各位置検出パルスの強度を算出するには、透過位置における強度に透過率0.50を乗算するだけでよい。
【0051】
光源102Rによる投射範囲と、光源106Rによる投射範囲と、光源107Rによる投射範囲とのいずれにも指示位置が含まれているので(図6を参照)、指示位置における位置検出パルスには、赤色光源102Rから投射された位置検出パルスと、赤色光源106Rから投射された位置検出パルスと、赤色光源107Rから投射された位置検出パルスとの3つがある。図8では、赤色光源102Rから投射された位置検出パルスの強度は、10である。また、赤色光源106Rから投射された位置検出パルスの強度は、80である。また、赤色光源107Rから投射された位置検出パルスの強度は、10である。
【0052】
したがって、図8では、重なり合ったスタートパルスの強度:赤色光源102Rからの位置検出パルスの強度:赤色光源106Rからの位置検出パルスの強度:赤色光源107Rからの位置検出パルスの強度=1.0:0.1:0.8:0.1となっている。つまり、赤色光源102Rからの位置検出パルスの強度:赤色光源106Rからの位置検出パルスの強度:赤色光源107Rからの位置検出パルスの強度=1:8:1となっている。
【0053】
図9は、指示位置に応じたベクトルの傾きを検出する方法を説明するための図である。図9に示されているベクトルは、各位置検出パルス(図8を参照)のうち、強度の比が最も大きい位置検出パルスを投射した赤色光源106Rに対応する領域6の中心から、指示位置を通るベクトルである。ここで、重なり合ったスタートパルス(図8を参照)の強度と、領域6に隣接する領域2、5、7及び10に投射された各位置検出パルス(図8を参照)の強度との比は、制御部1110により算出される。なお、重なり合ったスタートパルスの強度との比でなく、領域6に隣接する領域2、5、7及び10に投射された各位置検出パルス同士の強度の比が、算出されてもよい。
【0054】
図8及び図9に示されている例では、重なり合ったスタートパルスの強度と、赤色光源105R(図3を参照)から投射された位置検出パルスの強度との比は、1.0:0.0である。また、重なり合ったスタートパルスの強度と、赤色光源110R(図3を参照)から投射された位置検出パルスの強度の比は、1.0:0.0である。また、重なり合ったスタートパルスの強度と、赤色光源102R(図3を参照)から投射された位置検出パルスの強度との比は、1.0:0.1である。また、重なり合ったスタートパルスの強度と、赤色光源107R(図3を参照)から投射された位置検出パルスの強度との比は、1.0:0.1である。つまり、赤色光源102Rから投射された位置検出パルスの強度と、赤色光源107Rから投射された位置検出パルスの強度とは、同じ強度である。これらの強度の比から、制御部1110は、領域6の中心からスクリーンの横方向(行方向)に対して、反時計回りにベクトルが45度傾いていることを検出する。
【0055】
図10は、指示位置を検出する方法を説明するための図である。赤色光源102Rに対応する領域2の中心から指定位置までの距離は、重なり合ったスタートパルスの強度と、赤色光源102Rから投射された位置検出パルスの強度との比が、1.0:0.1であることに基づいて、制御部1110がルックアップテーブル(Look Up Table、LUT)を参照することにより検出される。このルックアップテーブルには、位置検出パルスの強度の比と、スクリーン3000上における領域の中心からの距離との関係が、予め測定されて登録されている。
【0056】
図10に示されている例では、指示位置(座標)は、ベクトルの傾き45度と、領域2の中心から指示位置までの距離とに基づいて、制御部1110がルックアップテーブルを参照することにより検出される。なお、光パルスの強度の比が最も大きい光源が2つある場合、そのことは、指示位置がそれらの光源に対応する領域同士の境界に在ることを示す。
【0057】
次に、位置検出システムが指示位置を検出する手順を説明する。
図11は、位置検出システムが指示位置を検出する手順を表すフローチャートである。図11に表された手順は、所定の検出周期で実行される。制御部1110は、光パルスのタイミングを表す信号におけるスタートパルスを検出したとする(ステップS1)。制御部1110は、さらに位置検出パルスを検出するために、光パルス同士の間隔を計測するためのカウンタを更新する(ステップS2)。
【0058】
制御部1110は、位置検出パルスを検出したか否か、すなわち、光パルスのタイミングを表す信号に所定の電圧差があるデーターを検出したか否か判定する(ステップS3)。位置検出パルスを検出していない場合(ステップS3−NO)、制御部1110の処理は、ステップS2に戻る。一方、位置検出パルスを検出した場合(ステップS3−YES)、制御部1110は、更新したカウンタ値に基づいて、その位置検出パルスを投射した光源がいずれの光源かを検出する。また、制御部1110は、光パルスのタイミングを表す信号に基づいて、その位置検出パルスの強度を検出する(ステップS4)。
【0059】
制御部1110は、予め定められた最大値とカウンタ値とが一致したか否かを判定する(ステップS5)。予め定められた最大値とカウンタ値とが一致していない場合(ステップS5−NO)、制御部1110の処理は、ステップS2に戻る。一方、予め定められた最大値とカウンタ値とが一致した場合(ステップS5−YES)、制御部1110は、重なり合ったスタートパルスの強度と、他の位置検出パルスの強度の比を算出する。また、制御部1110は、スタートパルスの強度と、位置検出パルスの強度との比が最も大きい光源に対応する領域を検出する(図8を参照)(ステップS6)。
【0060】
制御部1110は、指示位置に応じたベクトルの傾きを検出する(図9を参照)。また、制御部1110は、ルックアップテーブルを参照し、位置検出パルスの強度との比に基づいて、領域の中心から指示位置までの距離を算出することで(図10を参照)、指示位置(座標)を検出する(ステップS7)。このように、指示位置が光パルスの強度比に基づいて検出されるので、位置検出システムは、ノイズの影響を受けることなく、指示位置に応じた画像を表示することができる。
【0061】
なお、指示位置を検出する制御部は、指示器に備えられていてもよい。この場合、位置検出システムは、光パルスを受光し、該光パルスのタイミングを検出するフォトダイオード2010と、前記タイミングに基づいて、画像が表示される画面上の自装置の位置を検出する制御部(不図示)と、前記位置を表す信号を送信する送信部2030と、を有する指示器と、前記位置を表す信号を送信部2030から受信する受信部1150と、前記画面を複数に分割した領域に対して、光源毎に固有のタイミングで光パルスを投射する複数の赤色光源部100R、緑色光源部100G及び青色光源部100Bと、を有する画像表示装置と、を備える。
【0062】
[第2実施形態]
第2実施形態では、光パルスが投射される投射範囲が、他の投射範囲とオーバーラップしていない点が、第1実施形態と異なる。第2実施形態では、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0063】
赤色光源101R〜112R(図3を参照)は、自光源に対応する領域のみに、光源毎に固有のタイミングで光パルスを投射する。すなわち、光パルスを投射する投射範囲が他の投射範囲とオーバーラップしないように、各光源は、自光源に対応する領域のみに光パルスを投射する。
【0064】
また、制御部1110は、タイミングを表す信号における、スタートパルスと位置検出パルスとの間隔のみに基づいて、指示器2000の位置を領域毎に検出する。投射範囲が互いにオーバーラップしていないので、タイミングを表す信号には、指示器2000の位置に応じた1つの位置検出パルスのみが検出される。制御部1110は、この1つの位置検出パルス対応する領域内のいずれかの位置に指示位置があることを検出する。
【0065】
この構成により、位置検出システムは、光源毎に固有のスタートパルス及び位置検出パルスの間隔に基づいて、指示器の位置を領域毎に検出するので、これにより、領域毎の指示器の指示位置に応じた画像を表示することができる。
【0066】
[第3実施形態]
第3実施形態では、位置検出システムが複数の画像表示装置(マルチプロジェクター)を備えている点が、第1及び第2実施形態と異なる。第3実施形態では、第1及び第2実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0067】
図12には、位置検出システムの構成が表されている。位置検出システムは、複数の画像表示装置1000aと、制御装置4000と、指示器2000とを備える。以下、位置検出システムには、一例として、画像表示装置1000a−1〜1000a−12が備えられているものとして説明を続ける。また、画像表示装置1000a−1〜1000a−12に共通する事項については、符号を省略して、「画像表示装置1000a」と表記する。
【0068】
制御装置4000は、制御部4100と、受信部4200とを備える。受信部4200は、光パルスのタイミングを表す信号を、指示器2000の送信部2030から受信して、制御部4100に転送する。指示器2000が位置検出システムに複数備えられている場合、受信部4200は、受信した識別番号毎に、光パルスのタイミングを表す信号を制御部4100に転送する。
【0069】
制御部4100には、画像信号と、制御信号とが入力される。制御部4100は、制御信号に基づいて、画像信号に所定の信号処理を施す。ここで、制御部4100は、入力された画像信号に切り出しを実行し、投写を担当する画像表示装置1000a−1〜1000a−12に、切り出した画像信号をそれぞれ分配する。制御部4100は、例えば、DSPである。
【0070】
制御部4100には、光パルスのタイミングを表す信号が、受信部4200から入力される。また、位置検出システムに指示器2000が複数備えられている場合、制御部4100には、各指示器を識別するための識別番号が、受信部4200から入力される。制御部4100は、光パルスのタイミングを表す信号に基づいて、指示位置を検出する。ここで、制御部4100は、1つの光源(画像表示装置1000a)と、該光源に隣接する1つ以上の光源(画像表示装置1000a)とからの複数の光パルスの各タイミングに基づいて、指示位置を検出する。指示位置を検出する方法は、図4、図9〜11などを用いて説明した方法と同様である。
【0071】
制御部4100は、指示位置に応じた画像(インタラクティブ画像)を表す画像信号を、画像表示装置1000aに出力する。例えば、制御部4100は、指示位置にカーソルが表示されるよう、指示位置にカーソルが重畳された画像を表す画像信号を、画像表示装置1000aに出力する。
【0072】
制御部4100は、画像表示装置1000a−1〜1000a−12の配置を示す情報を予め記憶する。画像表示装置1000a−1〜1000a−12の配置を示す情報については、図17を用いて後述する。
【0073】
なお、制御部4100は、画像表示装置1000a−1〜1000a−12のそれぞれに備えられてもよい。この場合、制御部4100は、他の画像表示装置1000aの制御部4100と互いに通信することにより、切り出した画像信号を分配し、且つ、指示位置を検出する。
【0074】
画像表示装置1000a−1〜1000a−12は同構成を有するので、以下では、画像表示装置1000a−1の構成についてのみ説明する。画像表示装置1000a−1は、位置検出装置1100a−1と、投射部1300−1とを備える。位置検出装置1100a−1は、制御部1160−1と、液晶駆動部1170−1と、信号生成部1180−1と、光源駆動部1190−1とを備える。
【0075】
制御部1160−1には、切り出した画像信号と、制御信号とが入力される。制御部1160−1は、切り出した画像信号に所定の補正を施し、補正された画像信号を液晶駆動部1170−1に出力する。制御部1160−1は、例えば、DSPである。また、制御部1160−1は、画像の表示タイミングに同期した同期信号を、信号生成部1180−1に出力する。同期信号は、例えば、垂直同期信号(Vsync)である。
【0076】
液晶駆動部1170−1は、指示位置に応じた画像を表す補正された画像信号に応じて、各液晶ライトバルブ(光変調素子)(図13を用いて後述する)を駆動する。
【0077】
信号生成部1180−1は、同期信号に同期して、光源駆動部1190−1を制御する。ここで、信号生成部1180−1は、画像表示装置1000a−1〜1000a−12毎にタイミングが固有である光パルスのタイミング情報を生成し、生成したタイミング情報を光源駆動部1190−1に出力する。光源駆動部1190−1は、自装置に対応するスクリーン3000上の領域に対して、タイミング情報に基づいて、光パルスを投射部1300−1から投射させる。
【0078】
図13には、投射部の構成が表されている。投射部1300−1は、クロスダイクロイックプリズム400と、投写光学系500とを備える。また、投射部1300−1は、赤色光源部(R−LED)600Rと、赤色光用コリメーター光学系700Rと、赤色光用液晶ライトバルブ800Rとを備える。また、投射部1300−1は、緑色光源部(G−LED)600Gと、緑色光用コリメーター光学系700Gと、緑色光用液晶ライトバルブ800Gとを備える。また、投射部1300−1は、青色光源部(B−LED)600Bと、青色光用コリメーター光学系700Bと、青色光用液晶ライトバルブ800Bとを備える。なお、各光源部は、投射部1300−1でなく位置検出装置1100a−1に備えられていてもよい。
【0079】
スクリーン3000に投射される光パルスは、赤色光源部600R、緑色光源部600G及び青色光源部600Bのいずれから投射されてもよい。以下では、一例として、スクリーン3000に投射される光パルスが、赤色光源部600Rから投射される場合について説明する。
【0080】
赤色光用コリメーター光学系700Rは、赤色光源部600Rが投射した赤色光LRの照度分布を、赤色光用液晶ライトバルブ800Rにおいて均一化させる。緑色光用コリメーター光学系700G及び青色光用コリメーター光学系700Bについても同様である。
【0081】
赤色光用液晶ライトバルブ800R、緑色光用液晶ライトバルブ800G、及び青色光用液晶ライトバルブ800Bは、光変調素子である。赤色光用液晶ライトバルブ800Rにより変調された赤色光LRは、クロスダイクロイックプリズム400に入射する。また、緑色光用液晶ライトバルブ800Gにより変調された緑色光LGは、赤色光LRとは異なる方向から、クロスダイクロイックプリズム400に入射する。また、青色光用液晶ライトバルブ800Bにより変調された青色光LBは、赤色光LR及び緑色光LGとは異なる方向から、クロスダイクロイックプリズム400に入射する。
【0082】
クロスダイクロイックプリズム400は、直角プリズムが貼り合わされた構造を有し、その構造の内面には、赤色光LRを反射するミラー面と、青色光LBを反射するミラー面とが、十字状に形成されている。赤色光LR、緑色光LG及び青色光LBは、これらのミラー面を通過することにより合成される。合成された光は、画像を形成する。
【0083】
投写光学系500は、投写レンズを有する。クロスダイクロイックプリズム400により形成された画像は、投写レンズによりスクリーン3000に拡大投写される。このようにして、投射部1200は、各光源部の発光を利用して、スクリーン3000(画面)に画像を投写する。
【0084】
図14には、画像表示装置の配置例が、上面図により表されている。位置検出システムは、スクリーン3000上の領域1(図15を用いて後述する)に画像を投写可能な位置、且つ、光パルスを投射可能な位置に、画像表示装置1000a−1を配置する。また、位置検出システムは、スクリーン3000上の領域2(図15を用いて後述する)に画像を投写可能な位置、且つ、光パルスを投射可能な位置に、画像表示装置1000a−2を配置する。画像表示装置1000a−3〜1000a−12についても同様である。すなわち、画像表示装置1000a−1〜1000a−12は、スクリーン3000前に3行4列に配置される。
【0085】
図15には、画面位置と光強度との関係が表されている。スクリーン3000は、各画像表示装置1000aに対応する3行4列の領域に、予め分割されている。画像表示装置1000a−1による投射光は、その投射範囲が領域1に隣接する領域にオーバーラップするように、領域1に照射される(図15の下段「1台の画像表示装置による光強度分布(調整前)」を参照)。また、画像表示装置1000a−2による投射光は、その投射範囲が領域2に隣接する領域にオーバーラップするように、領域2に照射される(図15の下段、三角印が重ねられた実線を参照)。また、画像表示装置1000a−3による投射光は、その投射範囲が領域3に隣接する領域にオーバーラップするように、領域3に照射される(図15の下段、丸印が重ねられた実線を参照)。また、画像表示装置1000a−4による投射光は、その投射範囲が領域4に隣接する領域にオーバーラップするように、領域4に照射される(図15の下段、逆三角印が重ねられた実線を参照)。画像表示装置1000a−5〜1000a−12についても同様である。したがって、各画像表示装置1000aがエッジブレンディング(光強度分布の調整)を実行しない場合、図15の下段「全ての画像表示装置による光強度分布(調整前)」に表されているように、スクリーン3000全体は、均一な光強度分布とはならない。
【0086】
各画像表示装置1000aは、エッジブレンディングを実行する。ここで、画像表示装置1000a−1の液晶ライトバルブ800R、液晶ライトバルブ800G及び液晶ライトバルブ800B(図13を参照)の透過率は、図15の下段「1台の画像表示装置による光強度分布(調整後)」に表されているように、隣接する領域で均一な光強度分布となるように調整される。画像表示装置1000a−2〜1000a−12についても同様である。したがって、各画像表示装置1000aがエッジブレンディング(光強度分布の調整)を実行した場合、図15の下段「全ての画像表示装置による光強度分布(調整後)」に表されているように、スクリーン3000全体は、均一な光強度分布となる。また、制御部4100(図12を参照)により、画像の切り出し範囲が調整されてもよい。これにより、画像表示装置1000aは、オーバーラップしている投射範囲において、異なる画像表示装置1000aから投写された画像の境界が視認されることを防ぐことができる。
【0087】
図16には、液晶ライトバルブに投射された光パルスと、スクリーンに投射された光パルスとの関係が表されている。以下、指示位置は、一例として、赤色光源部600R−2による投射範囲(領域2を含むエッジブレンディングされた投射範囲)と、赤色光源部600R−6による投射範囲(領域6を含むエッジブレンディングされた投射範囲)とに含まれる位置に在るものとする。
【0088】
指示位置では、赤色光源部600R−2から投射された光パルスと、赤色光源部600R−6から投射された光パルスとは、互いに重なり合う。図16には、赤色光源部600R−2から投射されたスタートパルスと、赤色光源部600R−6から投射されたスタートパルスとが重なり合ったスタートパルスの強度が、スクリーン3000上の指示位置において、第1実施形態と同様に90である場合が表されている。同様に、赤色光源部600R−2から投射された位置検出パルスの強度が、スクリーン3000上の指示位置において、第1実施形態と同様に10である場合が表されている。また、赤色光源部600R−6から投射された位置検出パルスの強度が、スクリーン3000上の指示位置において、第1実施形態と同様に80である場合が表されている。
【0089】
このように、オーバーラップしている投射範囲には、異なる画像表示装置1000aから複数の光パルスが投射されるので、制御装置4000の制御部4100(図12を参照)は、図4、図9〜11などを用いて説明した方法により、複数の光パルスに基づいて指示位置を精度よく検出することができる。
【0090】
図17には、投射範囲と光パルスとの関係が表されている。図17の上段には、図16に示した場合における、光強度分布と、オーバーラップした投射範囲と、光パルスの強度とが表されている。この場合、指示位置では、赤色光源部600R−2から投射された位置検出パルスと、赤色光源部600R−6から投射された位置検出パルスとが検出される。
【0091】
一方、図17の下段には、図16に示した場合と比較して投射範囲のオーバーラップ量が少ない場合における、光強度分布と、オーバーラップした投射範囲と、光パルスの強度とが表されている。この場合、同じ指示位置でも、赤色光源部600R−2から投射された位置検出パルスが検出されない。
【0092】
このように、スクリーン3000上の同じ指示位置でも、光パルスの強度の比は、画像表示装置1000aの配置(図14を参照)に応じて変化する。そこで、制御装置4000の制御部4100(図12を参照)は、画像表示装置1000a−1〜1000a−12の配置を示す情報として、画面位置毎の光パルス波形を予め記憶する。制御部4100は、画面位置毎の光パルス波形に基づいて、指示位置を検出する。
【0093】
なお、指示位置を検出する制御部は、指示器に備えられていてもよい。この場合、位置検出システムは、光パルスを受光し、該光パルスのタイミングを検出するフォトダイオード2010と、前記タイミングに基づいて、画像が表示される画面上の自装置の位置を検出する制御部(不図示)と、前記位置を表す信号を送信する送信部2030と、を有する指示器と、前記画面を複数に分割した領域に対して、光源毎に固有のタイミングで光パルスを投射する赤色光源部600R、緑色光源部600G及び青色光源部600Bと、を有する複数の画像表示装置1000aと、前記位置を表す信号を送信部2030から受信する受信部4200を有する制御装置と、を備える。
【0094】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0095】
例えば、第1及び第2実施形態では、光源部としてLEDアレイを用いたが、光学構成は、スクリーンの領域毎に光強度を制御できる構成であれば、LEDアレイを含む構成に限らなくてよい。例えば、光学構成は、ホログラム素子(回折光学素子)により、LD(Laser Diode)からの光をスクリーンにおいて整形することが可能である構成であってもよい。これにより、位置検出システムは、レンズ光学系を用いた場合と比較して、投射範囲をオーバーラップさせながら、無駄なく均一にスクリーンを照明することができる。
【0096】
また、例えば、投射部1300(図13を参照)には、LEDアレイ(図3を参照)が備えられてもよい。
【0097】
なお、以上に説明した位置検出システム及び位置検出方法を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリー(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0098】
100R…赤色光源部(R−LEDアレイ)、101R〜112R…赤色光源(R−LED)、100G…緑色光源部(G−LEDアレイ)、100B…青色光源部(B−LEDアレイ)、200R…赤色光用コリメーター光学系、200G…緑色光用コリメーター光学系、200B…青色光用コリメーター光学系、300R…赤色光用液晶ライトバルブ(光変調素子)、302R,306R,310R…画素領域、300G…緑色光用液晶ライトバルブ(光変調素子)、300B…青色光用液晶ライトバルブ(光変調素子)、400…クロスダイクロイックプリズム、500…投写光学系、600R…赤色光源部(R−LED)、600G…緑色光源部(G−LED)、600B…青色光源部(B−LED)、1000…画像表示装置、1000a…画像表示装置、1100…位置検出装置、1100a…位置検出装置、1110…制御部(DSP)、1120…液晶駆動部、1130…信号生成部、1140R…赤色光源駆動部、1140G…緑色光源駆動部、1140B…青色光源駆動部、1150…受信部、1160…制御部(DSP)、1170…液晶駆動部、1180…信号生成部、1190…光源駆動部、1200…投射部、1300…投射部、2000…指示器(電子ペン)、2010…フォトダイオード、2020…A/D変換部、2030…送信部、3000…スクリーン、4000…制御装置、4100…制御部、4200…受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光パルスを受光し、該光パルスのタイミングを検出するセンサーと、
前記タイミングを表す信号を送信する送信部と、
を有する指示器と、
画面を複数に分割した領域に対して、光源毎に固有のタイミングで光パルスを投射する複数の光源と、
前記タイミングを表す信号を前記送信部から受信する受信部と、
前記タイミングを表す信号に基づいて、画像が表示される前記画面上の前記指示器の位置を検出する制御部と、
を備えることを特徴とする位置検出システム。
【請求項2】
前記光源
を有する複数の画像表示装置と、
前記受信部と、
前記制御部と、
を有する制御装置と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項3】
前記受信部と、
前記複数の光源と、
前記制御部と、
を有する画像表示装置
を備えることを特徴とする請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項4】
前記各光源は、自光源に対応する前記領域と該領域に隣接する領域とに対して、前記光源毎に固有のタイミングで光パルスを投射し、
前記制御部は、1つの光源と該光源に隣接する1つ以上の光源とからの複数の光パルスの各タイミングに基づいて、前記指示器の位置を検出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の位置検出システム。
【請求項5】
前記制御部は、隣接する複数の光源からの各光パルスの強度の比に基づいて、前記指示器の位置を検出することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の位置検出システム。
【請求項6】
前記制御部は、複数の光源からの第1パルスと、これに続く第2パルスとの間隔に基づいて、前記指示器の位置を検出することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の位置検出システム。
【請求項7】
光パルスを受光し、該光パルスのタイミングを検出するセンサーと、
前記タイミングに基づいて、画像が表示される画面上の自装置の位置を検出する制御部と、
前記位置を表す信号を送信する送信部と、
を有する指示器と、
前記位置を表す信号を前記送信部から受信する受信部と、
前記画面を複数に分割した領域に対して、光源毎に固有のタイミングで光パルスを投射する複数の光源と、
を備えることを特徴とする位置検出システム。
【請求項8】
前記光源
を有する複数の画像表示装置と、
前記受信部、
を有する制御装置と、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の位置検出システム。
【請求項9】
前記受信部と、
前記複数の光源と、
を有する画像表示装置
を備えることを特徴とする請求項7に記載の位置検出システム。
【請求項10】
前記指示器は、複数備えられることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の位置検出システム。
【請求項11】
位置検出システムにおける位置検出方法であって、
指示器が備えるセンサーが、光パルスを受光し、該光パルスのタイミングを検出するステップと、
指示器が備える送信部が、前記タイミングを表す信号を送信するステップと、
複数の光源が、画面を複数に分割した領域に対して、光源毎に固有のタイミングで光パルスを投射するステップと、
受信部が、前記タイミングを表す信号を前記送信部から受信するステップと、
制御部が、前記タイミングを表す信号に基づいて、画像が表示される前記画面上の前記指示器の位置を検出するステップと、
を有することを特徴とする位置検出方法。
【請求項12】
前記複数の光源として、複数の画像表示装置に備えられた光源と、
前記受信部として、制御装置に備えられた受信部と、
前記制御部として、制御装置に備えられた制御部と、
を用いることを特徴とする請求項11に記載の位置検出方法。
【請求項13】
前記受信部として、画像表示装置に備えられた受信部と、
前記複数の光源として、画像表示装置に備えられた複数の光源と、
前記制御部として、画像表示装置に備えられた制御部と、
を用いることを特徴とする請求項11に記載の位置検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−109390(P2013−109390A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251545(P2011−251545)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】