説明

位置検出機能付マイクロ波検出器

【課題】 誤動作源の自動登録を可能とするとともに、誤動作源の登録に対して多量のデータを記憶することがない位置検出機能付マイクロ波検出器を提供すること
【解決手段】 所定のマイクロ波の受信を判定するマイクロ波検出器本体10と、そのマイクロ波検出器本体が所定のマイクロ波を検出したときに警報を発するマイクロ波検出警報部31と、車両の位置を検出する位置検出器20と、マイクロ波検出器本体が所定のマイクロ波を受信したと判定した時に、位置検出器の出力する位置情報を誤動作源位置情報として記憶する誤動作源位置記憶部34と、位置検出器の出力と誤動作源位置記憶部の出力を基にマイクロ波検出警報手段を制御する警報制御部35を備える。警報制御部は誤動作源位置記憶部が位置検出器の出力する位置情報を記憶したときから所定の条件を満たした以降において、位置情報が前記誤動作源位置記憶部に記憶されている位置情報のいずれかの所定距離内にある場合にマイクロ波検出警報部の正規の警報動作を抑制するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出機能付マイクロ波検出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、速度測定装置が路上周辺等に多数設置されるようになっている。速度測定装置の一例を示すと、所定周波数帯域のマイクロ波を車両に向けて発射し、その反射波を受信して車両の走行スピードを測定するようになっている。そして、係る速度測定装置の存在を検出するため、その速度測定装置から発射されたマイクロ波を検出して警報を出力するように構成されたマイクロ波検出器が従来から知られている。
【0003】
ところで、速度測定装置から出力されるマイクロ波(目的とするマイクロ波)はXバンドの周波数帯を用いているが、この周波数帯はコンビニエンスストアの自動ドアや防犯用のセンサ等(誤動作源)にも用いられている。従って、同一周波数のマイクロ波を発する誤動作源からのマイクロ波を受信した場合には誤検出してしまい速度測定装置の検出のみを正確にできないという欠点がある。そのため、目的のマイクロ波を検出して報知するマイクロ波検出器においては、誤動作源から出力されるマイクロ波は報知せず、目的のマイクロ波を検出したときのみ報知することが望まれている。
【0004】
係る問題を解決するため、たとえば、誤動作源の位置情報を記憶保持させておき、GPS(Global Positioning System)情報を利用して車両の位置を測位し、現在の車両位置が記憶した誤動作源の付近にいる場合には、所定周波数のマイクロ波を受信しても報知しないようにすることにより対処できる。係る技術に基づくマイクロ波検出器としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。
【0005】
この特許文献1に開示されたマイクロ波検出器は、GPSにより現在の車両位置を測位する機能と、所定のボタンが押されたときにそのときの車両位置を記憶し、以降その位置において、マイクロ波を検出しても報知しないようにする機能を備えている。これにより、例えばユーザはマイクロ波検出器が所定周波数のマイクロ波を検出して警報を発した場合に、周囲に速度測定装置がなく、自動ドアなどの誤動作源に基づくものと確認した場合に、ユーザが所定のボタンを押す。すると、マイクロ波検出器は、誤動作源の位置を記憶し、誤動作源の位置の所定範囲(半径500m等)のマイクロ波の受信を報知しないようになるので、以後、同じ場所を通過しても、誤動作源に基づく警報は発せられない。さらに、所定のボタンを押したときの位置情報が誤動作源として記憶されるので、誤警報が発するか否かを問わず登録することができる。
【特許文献1】登録実用第3070388号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されたマイクロ波検出器の場合、ユーザが誤動作源として登録したい位置に来たときに、所定のボタンを押下しなければならないので、係る所定のボタンを押す操作が煩雑である。
【0007】
また、ユーザが誤動作源として登録したい位置に来たときに、所定のボタンを押下してその位置を記憶させるが、一度誤動作源として登録すると、その周囲の領域ではたとえマイクロ波を受信しても報知されないため、誤動作源の登録自体が間違っていると、正常な警報動作ができないという問題もある。そのためにも、間違った情報を削除等する機能が必要であるが、上記したように、マニュアル操作によって間違った誤動作源の情報を選択して削除することは困難である。
【0008】
そのため、誤動作源からのマイクロ波を受信した場合にはその位置を誤動作源位置として自動的に登録することができると好ましいが、誤動作源は町中に多数存在するため、全ての誤動作源を登録するのはメモリ容量を必要とし、また、その後の誤動作源に基づく誤警報防止の判断処理が煩雑となる。さらには、同一の誤動作源から発射されたマイクロ波であっても異なる位置で受信することが多々あるため、それら各受信した位置を記憶保持すると、記憶すべき誤動作源の位置がさらなる増加をきたし、現実的でない。
【0009】
本発明の目的は、誤動作源の自動登録を可能とするとともに、誤動作源の登録に対して多量のデータを記憶することなく、かつ、無用にキャンセル範囲を大きくすることを防止できる誤動作源自動登録型位置検出機能付きマイクロ波検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
まず本発明では、マイクロ波を受信したことに基づき、誤動作源(存在位置)を自動的に登録する機能を設けることを創案した。すなわち、速度測定装置は、所定の位置に常設されている固定式と、速度測定装置を任意の位置に移動し、その移動した位置にて車両の速度を測定するといった移動式がある。また、速度測定装置と同じ周波数帯のマイクロ波を発射する自動ドア等の誤動作源は、常設されていることが多い。
【0011】
これにより、所定の場所において始めてマイクロ波を受信したときには移動式の速度測定装置が設置されている可能性があるとして警報を発するとともに、その位置を記憶しておき、同じ場所で2度目にマイクロ波を受信した時にはコンビニエンスストアの自動ドア等(誤動作源)であると判断(移動式の速度測定装置は常設されていないため同じ場所で連続して移動式の速度測定装置が設置されている可能性は低いのに対して誤動作源は常に設置されているため同じ場所で連続してマイクロ波を受信した場合には誤動作源である可能性が高いことから判定できる)して、以後はマイクロ波の受信に伴う通常の警報を抑制するようにする。これにより、誤動作源の位置を自動的に登録することができる。
【0012】
なお、同一の場所で複数回マイクロ波を受信するケースとしては、上述したように誤動作源からのマイクロ波以外にも、マイクロ波を発射する固定式の速度測定装置からの場合もある。この固定式の速度測定装置の位置情報は、予め記憶保持させておくことで、対処可能となる。つまり、仮に誤動作源として登録してマイクロ波の受信に基づく警報を抑制しても、速度測定装置の位置情報として登録しているため、その登録した位置情報に基づく警報をすることができる。もちろん、その位置情報に基づき、誤動作源として登録しないようにすることもできるし、誤動作源からのマイクロ波と、速度測定装置枷のマイクロ波の受信電界強度が相違(速度測定装置からの方が大きい)するため、その受信電界強度に基づいて、固定式等の速度測定装置からの電波等を削除することもできる。
【0013】
そして、1回目のマイクロ波の受信に伴う登録処理や、受信したマイクロ波が2回目以降のものであることを装置が自動的に認識・判断するために、以下のような各機能を設けた。
【0014】
上記した目的を達成するため、本発明に係る位置検出機能付マイクロ波検出器では、所定のマイクロ波の受信を判定するマイクロ波検出器本体と、前記マイクロ波検出器本体が所定のマイクロ波を検出したときに警報を発するマイクロ波検出警報手段と、車両の位置を検出する位置検出器と、前記マイクロ波検出器本体が所定のマイクロ波を受信したと判定した時に、前記位置検出器の出力する位置情報に基づく位置を誤動作源位置情報として記憶する誤動作源位置記憶手段と、前記位置検出器の出力と前記誤動作源位置記憶手段の出力を基に前記マイクロ波検出警報手段を制御する警報制御手段を備え、前記警報制御手段は前記誤動作源位置記憶手段が位置検出器の出力する位置情報を記憶したときから所定の条件を満たした以降において、前記位置情報が前記誤動作源位置記憶手段に記憶されている位置情報のいずれかの所定距離内にある場合に前記マイクロ波検出警報手段の正規の警報動作を抑制するようにするようにした。ここで、誤動作源位置情報として登録する位置検出器の出力する位置情報に基づく位置は、マイクロ波を受信したと判定したときに出力される位置情報そのものでも良いし、所定距離ずらした位置(通常は、進行方向前側にずらす)等各種のものがある。所定距離ずらす場合には、現在の走行方向を得る手段(現在位置情報の推移・履歴から予測しても良いし、別途走行方向を求める装置)を組み込んでも良い。検出した位置を登録するのは、誤動作源からの受信開始位置を登録するものであるが、通常、誤動作源から発射されるマイクロ波は一定の領域内に到達するため、受信開始した位置に誤動作源があることはまずない。そこで、誤動作源が存在しそうな位置(通常の到達距離等)を考慮し、現在位置よりも少し前方にずらして登録しても良い。
【0015】
すなわち、例えば、誤動作源から発射されるマイクロ波を受信する領域は一定の空間があり、例えば図2のc点に誤動作源があり、マイクロ波検出器がそこから発射されるマイクロ波をa−b間で受信するような場合、仮にその道路を初めて走行し、c点にある誤動作源からのマイクロ波をa点で受信した場合に、その受信を1回目の受信として誤動作源位置記憶手段に記憶することができる。ただし、その状態のままさらに道路を走行しつづけると、a−b間の各所においてマイクロ波を受信することになり、そのa−b間でのマイクロ波の受信が、上記の1回目の受信に継続・関連した受信なのか、それとは別の2回目以降のマイクロ波の受信であって正規の警報動作を抑制する必要があるのかが認識できない。そこで、マイクロ波の受信に伴いそのときの位置情報を誤動作源の受信開始の位置情報として記憶したならば、その後所定の条件を満たした以降において記憶している誤動作源の所定距離内に車両が存在する場合はマイクロ波の受信報知(正規の警報動作)を行なわないようにした。これにより、所定の条件を満たす前は、1回目のマイクロ波の受信中とみなして、正規のマイクロ波の受信に伴う警報を行なうことができる。
【0016】
ここで、前記所定条件としては、各種の物があるが、例えば、
・マイクロ波の受信が終了(この場合受信が一時的に途切れる場合はマイクロ波を受信しているものとしてディレイ期間を設けるなどは一般的技術で対応可能である);
・所定の距離を走行(位置情報から距離が算出できる)(誤動作源を通り越しているであろうとみなすことができる);
・所定の時間が経過(位置検出器で受信する時間情報を用いたり、別途内部時計(タイマ),カウンタをもっても良い);
などとすることができる。
【0017】
要は同一の誤動作源位置を1度目に走行したときにマイクロ波の受信において位置を誤動作源の受信開始の位置情報(誤動作源位置情報)として登録できるようにすることである。
【0018】
2度目(前記所定の条件以降)にその誤動作源内に車両が位置する場合には誤動作源位置情報から所定の距離範囲内においてマイクロ波受信の警報をキャンセルするようになる。このようにすることで、誤動作源位置情報の自動登録が可能となり運転者の車両走行時の安全が確保できる。
【0019】
正規の警報動作を抑制とは、警報動作自体を行なわないこともあれば、別の態様・方法での抑制をしたりすることを含み、さらに、警報手段に対して直接制御するのではなく、マイクロ波検出器本体側の感度の調整等し、マイクロ波を受信しない(しにくくする)等の間接的に調整するようにしてもよい。
【0020】
また前記警報制御手段は、前記位置情報が前記誤動作源位置記憶手段に記憶されている位置情報のいずれかの所定距離内にある場合に前記マイクロ波検出警報手段の動作を抑制した後、前記マイクロ波検出器が所定時間の間マイクロ波を受信しなくなるまでの問、前記マイクロ波検出警報手段の動作を抑制するようにするとよい。
【0021】
例えば、登録した誤動作源位置情報に基づく警報抑制の範囲をマイクロ波の受信区間をカバーするように大きくとると、警報抑制の範囲内に隣接する他の道路の一部が含まれることがあり、係る他の道路における警報抑制の範囲(キャンセル範囲)となってしまい、もしその別の道路のキャンセル範囲中の所定位置(例えば図2中のd,e点など)に速度測定装置が設置されていると、検出すべき対象が検出されず不都合である。
【0022】
このことを解決するためには所定範囲の大きさを小さくすることが好ましいが、上記の受信区間よりも短い範囲をキャンセルする所定範囲に設定すると、所定範囲が終了した地点(例えば、図3のf点等)においても車両は誤動作源からの電波を受信してしまい不要な警報を発してしまうことになる。そこで、本発明では、このような場合において誤動作源の受信区間中を車両が走行しているときにはマイクロ波を受信し続けていることから所定範囲外においてもマイクロ波を受信し続けている間は警報を抑制するようにした。なお、マイクロ波を受信し続けるというのは文字通り受信し続けるのに加え道路状況によりマイクロ波の受信が途切れることもあるためディレイを加えて処理し、マイクロ波を受信し続けていると判定するようにしてもよい。
【0023】
このようにすると、所定範囲を狭くすることができ他の道路に対する影響を防ぐことができるとともに警報のキャンセルを道路の影響や反射によるマイクロ波受信領域が変化したことによる警報の終了点が変わってしまったとしても柔軟に行なうことができるようになる。
【0024】
もちろん、係る発明は、所定範囲を狭くした場合に有効であるのは間違いないが、所定範囲を狭くしないものにおいても有効に機能する。すなわち、所定範囲を広くすることにより、1つの誤動作源位置情報に基づいて設定される所定範囲内に複数の誤動作源が存在する確率が高くなり、係る場合に、各誤動作源についての位置情報を登録する必要が無くなり、メモリ容量の削減に機能する。但し、そのようにすると、例えば図1のg点に誤動作源が存在する場合、そのg点の誤動作源から発射されるマイクロ波の受信区間は、a点を中心とした半径r1の円の外側に及ぶ。このような場合でも、例えば車両1が、a点に基づく所定範囲内において、g点からのマイクロ波を受信したような場合、所定範囲を出ても係るマイクロ波を受信し続けることになる。その場合に、上記の発明を利用することにより、所定範囲を出た後でも正規の警報の発生を抑制させることができる。
【0025】
また、前記誤動作源記憶手段に記憶する位置情報に、その記憶する際の車両の進行方向情報を関連付けて記憶し、前記警報制御手段は前記位置情報が前記誤動作源位置記憶手段に記憶されている位置情報のいずれかの所定距離内にあり、かつ現在の車両の進行方向と前記位置情報に関連付けて記憶されている車両の進行方向情報とのなす角度が所定の角度以上であるときにマイクロ波を受信した場合はマイクロ波を受信しなくなるまでの問、前記マイクロ波検出警報手段の動作を抑制するようにするとよい(逆進行方向の処理)。
【0026】
このようすれば既に記憶している誤動作源位置情報と反対方向に位置する開始位置を新たに記憶することなく既に記憶されている誤動作源位置情報を用いて車両の進行方向と誤動作源位置情報までの距離から誤動作源に対する警報の制御を行なうことができる。
【0027】
さらには、前記誤動作源記憶手段は前記誤動作源位置情報を記憶したときから所定の条件を満たすまでは新たな誤動作源位置情報を登録しないようにするとよい(重複登録の防止)。ここでの所定の条件も、上述したものと同様のものを用いることができるが、必ずしも両者を一致させる必要はない。
【0028】
車両が誤動作源位置情報をある地点で登録した後の所定条件を満たす前にマイクロ波の検出により新たな誤動作源位置情報を登録した場合、その誤動作源位置情報は前回登録した誤動作源位置情報と同じ誤動作源によるものの可能性が高い。したがって前記所定条件を満足した以降において新たな誤動作減位置情報の登録を行なうようにすると、誤動作源位置情報を基に警報をキャンセルする範囲を狭くしても不要な誤動作源位置情報を登録されることが無いため記憶容量の節約を行なうことができる。
【0029】
さらにまた、前記誤動作位置記憶手段は車両が前記誤動作源位置情報のいずれかの所定距離内に位置する間、前記マイクロ波検出器がマイクロ波を検出しないときに前記該当する誤動作源位置情報を削除する誤動作源位置削除手段をもつようにするとよい(速度測定装置への対処−1)。係る構成をとると、速度測定装置が設置される可能性がある場所を誤動作源として登録してしまう可能性を可及的に減少させることができる。
【0030】
また、受信したマイクロ波の電界強度を判定する電界強度判定手段を設け、前記誤動作位置記憶手段は車両が前記誤動作源位置情報のいずれかの所定距離内に位置したとき所定の条件(時間、走行距離、マイクロ波を受信しなくなるまで)を満たすまでの間、前記電界強度判定手段が受信したマイクロ波が所定値以上の電界強度であると判定した前記該当する誤動作源位置情報を削除する誤動作源位置削除手段をもつようにしても良い(速度測定装置への対処−2)。
【0031】
車両が誤動作源位置情報をa点で登録した後の所定条件内において所定の電界強度以上のマイクロ渡を受信した場合にはそのマイクロ波は速度測定装置からのものである確率が高い。通常、誤動作源であるコンビニエンスストアの自動ドアから発せられるマイクロ波は出力が小さくマイクロ波検出器が最接近しても電界強度はそれほど高くならない。一方速度測定装置のマイクロ波の出力は大きいため最接近したときの電界強度は誤動作源のそれに比べて大きくなる。そこで、マイクロ波を受信した地点を誤動作源位置情報として記憶した後、所定の時間や距離を走行している間に所定値より大きなマイクロ波を受信した場合には速度測定装置によるマイクロ波であるとみなしてa点で登録した誤動作源位置情報を削除する。このようにすれば、本来警報が必要な速度測定装置からのマイクロ波の受信による警報を誤動作源として登録してしまうことは無くなる。
【0032】
さらに、速度測定装置の位置と測定方向を記憶した警報位置記憶手段を設け、前記誤動作源位置削除手段は前記警報位置記憶手段に記憶されている誤動作源位置情報のいずれかの所定距離内にありかつ現在の車両の進行方向と前記位置情報に関連付けて記憶されている測定方向とのなす角度が所定の角度である場合には、前記誤動作源位置情報の削除を行なわないようにすることもできる(反対車線の固定速度測定装置への対処)。
【0033】
この発明によれば、固定式速度測定装置の位置情報を記憶するとともにその位置情報に対応する速度測定装置の測定方向を合わせて記憶させ、車両の進行方向と速度測定装置の測定方向から自車の走行車線が速度測定装置の測定対象車線か否かを判定し、そうでなければ誤動作源とみなして誤動作源位置情報の削除を行なわないため、走行している反対車線の車両を測定対象とした固定式速度測定装置を誤動作源として登録することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明では、誤動作源の自動登録を可能とするとともに、誤動作源の登録に対して多量のデータを記憶することなく、かつ、無用にキャンセル範囲を大きくすることを防止することかできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1は、本発明の第1の実施の形態を示している。図1に示すように、本実施の形態の位置検出機能付きマイクロ波検出器は、速度測定装置から発射されるマイクロ波を検出して報知するマイクロ波検出器本体(マイクロ波受信装置)10と、GPSにより車両の位置情報を検出する位置検出器20と、それらマイクロ波検出器本体10,位置検出器20からの検出出力に基づき警報を制御する警報制御装置30とから構成されている。
【0036】
マイクロ波検出器本体10は、受信アンテナ11と、マイクロ波受信器12と、マイクロ波検出部13を備えている。受信アンテナ11で捕捉したマイクロ波をマイクロ波受信器12で受信し、そのマイクロ波受信部12からの受信出力に基づき、マイクロ波検出部13が、所望の周波数のマイクロ波を検波する。つまり、所定のマイクロ波を受信しているか否かをマイクロ波検出部により検出する。このマイクロ波検出部13から出力される検波信号は、例えば、所望の周波数のマイクロ波を受信している間はHighになるパルス信号である。また、受信したマイクロ波の電界強度(Sメータ信号)も出力される。
【0037】
なお、このマイクロ波検出部13では、単に検波信号を出力するのではなく、目的のマイクロ波と同一周波数のマイクロ波を受信したか否かを判断する機能を備えてもよい。つまり、上記の検波出力(検波していること=検波信号がHigh)と受信時間に基づき、検波信号がHighの状態が所定時間継続している場合に、目的のマイクロ波を受信したと判断するようにし、その判断結果を出力するようにしても良い。
【0038】
位置検出器20は、位置検出の方法としてGPS衛星の電波を受信して車両の位置情報を検出するようになっている。具体的には、受信アンテナ21,GPS受信機22にて、複数の衛星から発せられるGPS信号を受信し、その受信した信号をGPS情報検出部23に与え、そこにおいて受信情報に基づいて現在位置(経度,緯度情報)を算出する。なお、受信した信号(電波)に基づく現在位置の算出アルゴリズムは、公知のものをそのまま用いることができるので、その詳細な説明を省略する。なお、位置検出は、上記したGPSによる方法以外にも自立航法を含んだカーナビゲーションなどからの位置信号を使用してもよいし、ITS等から位置を特定するような情報を得るなどしてもよい。
【0039】
警報制御装置30は、まず、マイクロ波検出器本体10にて所定のマイクロ波を検出したことに基づいて警報を発するマイクロ波検出警報部31を備えている。また、警報制御装置30は、検出対象の速度測定装置に関する設置場所(位置情報)等を格納する位置情報記憶部32と、位置検出器20で検出した現在の位置情報と、その位置情報記憶部32に格納された速度測定装置の位置情報に基づいて警報を発する位置情報警報部33を備えている。
【0040】
このように、本発明の位置検出機能付きマイクロ波検出器は、上述したマイクロ波をマイクロ波受信器12により受信して所定のマイクロ波を受信しているか否かをマイクロ波検出部13により検出するマイクロ波検出器本体10と、複数のGPS衛星からの信号をGPS受信機22により受信してその受信信号からGPS情報(位置情報、時刻等)を検出するGPS情報検出部23をもつ位置検出器20とをもち、さらに、マイクロ波検出部13からのマイクロ波の検出により警報を行なうマイクロ波検出警報部31とGPS情報検出器23にて検出した位置情報と、予め警報対象の速度測定装置の設置場所が記憶されている位置情報記憶部32からの位置情報から自車が位置情報記憶部の所定の範囲内に存在する場合に自車の近辺に速度測定装置が存在することを報知する位置情報警報部33をもつことを基本構成としている。
【0041】
この基本構成により位置検出器20により固定設置型の速度測定装置(マイクロ波を発射する方式か否かを問わず)の存在を知らせるとともに、マイクロ波検出器本体10により移動式の速度測定装置の存在を知らせることができる。これにより位置検出機能付きマイクロ波検出器は、速度測定装置の検出を漏れなく行なえる。
【0042】
本実施の形態では上記の基本的構成に加えマイクロ波検出器本体10がコンビニエンスストアの自動ドア等の速度測定装置以外の誤動作源から発射されたマイクロ波を検出した場合に、ユーザが特段の指示を装置に対して行なうことなくこれらの誤動作源位置情報を記憶しマイクロ波の報知を行なわないようにするための機能を加えている。
【0043】
具体的には、マイクロ波検出器本体10が所定のマイクロ波を受信したと判定した時に、位置検出器20の出力する位置情報を誤動作源位置情報として記憶する誤動作源位置記憶部34と、その位置検出器20の出力と誤動作源位置記憶部34の出力を基にマイクロ波検出警報部31の警報動作を制御する警報制御部35を備えている。
【0044】
すなわち、この誤動作源位置記憶部34に対する位置情報(誤動作源位置情報)の記憶であるが、基本的な動作としては、誤動作源位置情報記憶部34はマイクロ波を受信した時に、その位置が誤動作源位置情報記憶部34にすでに登録されているか否かを判断し、登録されていない場合(実際には、登録済みの位置情報と一定の範囲内であれば同一と判断する)にはその位置を誤動作源位置情報として記憶(1回目:仮記憶)する。つまり、図2に示すように、誤動作源(c点)が設置されている道路R1を走行中の車両1がa点で誤動作源からのマイクロ波を検出した場合には、そのa点の位置情報を誤動作源情報として記憶する。
【0045】
そして目的地への帰り道や、別の日に誤動作源位置情報記憶部34に記憶されている誤動作源位置情報に対してa点(所定範囲内を含むようにしても可)でマイクロ波を受信した場合には、上記の1回目として記憶した位置情報は、誤動作源位置情報と判断でき、その後はマイクロ波受信警報を抑止するようにする。
【0046】
すなわち、1回目のマイクロ波の受信においてはマイクロ波の発信源が誤動作源によるものなのか、速度測定装置(移動式)によるものなのかは判断できないためマイクロ波の受信報知は行なうようにした。このとき、誤動作源のおそれがあるため、位置情報は記憶する。そして、通常のマイクロ波検出報知により報知される速度測定装置は移動式であるため(固定式の速度測定装置は位置検出警報によリカバーできる)、車両が2回目に同一位置を通過する場合にその移動式の速度測定装置が同様に設置されている可能性は低い。そのため警報制御部35は誤動作源位置情報の所定範囲内(誤動作源位置情報が存在するということは2回目以降の通行ということになる)においてマイクロ波を受信した場合には、誤動作源から発射されたマイクロ波とみなし、マイクロ波報知を抑制するようにしている。
【0047】
つまり警報制御部35は、マイクロ波の検出報知の制御を行なうもので、本実施の形態では、マイクロ波を受信した時の位置を誤動作源位置情報として記憶する誤動作源位置情報記憶部34に登録済みのいずれかの誤動作源位置の所定範囲内に自車両が位置した場合にマイクロ波を検出した際の警報を行なわせないようにしている。なお、この例では警報を行なわせないように制御しているが、警報度を低くし、例えば警報音の種類を変えたり、光による警報のみにすることでもよい。またマイクロ波検出警報部31ではなくマイクロ波検出器本体10に対する電源供給を中止したり感度を下げたりすることでも誤動作源範囲内でのマイクロ波の受信による警報を抑止することが可能である。
【0048】
また、上述した実施の形態では、マイクロ波の受信を契機にして、その受信した位置がマイクロ波の受信に基づく所定の警報抑制範囲(キャンセル範囲)か否かを判断するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、誤動作源位置情報の所定範囲内に存在中はマイクロ波の正規の警報を抑制するモードに移行するようにしてもよい。
【0049】
上述したように、1回目にマイクロ波を受信した場合にはマイクロ波検出警報部31にて所定の警報をし、同一地点(一定の範囲内)にて2回目以降もマイクロ波を受信した場合にはマイクロ波検出警報部31による通常の警報を抑制するようにすることを基本構成とする。しかし、実際の装置にとっては、現在受信したマイクロ波が、同一のマイクロ波の発信源(誤動作源等)から発射された1回目の受信なのか、2回目以降の受信なのかを判断することができない。
【0050】
すなわち、例えば図2を例にとって説明すると、初めて道路R1を走行する車両1はa点の位置に至ったときに誤動作源から発射されたマイクロ波を受信(1回目)するため、この受信した際にa点の位置を誤動作源位置情報として、誤動作源位置記憶部34に格納する。このa点でのマイクロ波の受信は、1回目とすると、誤動作源から発射されたマイクロ波か否かが不明のため、マイクロ波検出警報部31から警報が報知される。ところで、車両1が、その状態のまま道路R1を走行し続けると、例えば、a′点やa″点にてもc点にあるマイクロ波の発信源(1回目の受信であるため、その発信源が誤動作源か否かが不明)から発射されたマイクロ波を受信するが、その受信した際には、すでに誤動作源位置記憶部34にa点の位置情報が記憶されており、そのa点から一定の距離(r1)以内であるため、そのままでは警報制御部35は誤動作源からのマイクロ波の受信と判断してマイクロ波検出警報部31からの警報を抑制してしまう。すると、仮にc点のマイクロ波の発信源が移動式の速度測定装置の場合、a点で一旦マイクロ波検出警報部31で警報を発したにもかかわらず、その後のa′点,a″点などの各箇所でマイクロ波検出警報部31の警報を抑制してしまい、正しく警報することができなくなるという事態を生じてしまう。
【0051】
つまり、誤動作源位置情報として、マイクロ波を検出した時(例えばa点)に誤動作源位置情報を登録するが、何らかの条件を設けないと誤動作源位置情報の所定の範囲内であると判定されマイクロ波を検出しても報知されなくなってしまうおそれがある。すなわち、例えば図2においてa点を登録後、そのまま道路R1を走行しa′点に来たときにマイクロ波を検出した場合、a点と同じマイクロ波発信源からのマイクロ波を受信した(2回目)と判断し、それ以降はマイクロ波検出に基づく警報を抑制することになる。このとき、図1に示すように誤動作源からのものであれば結果的に問題はないが、c点に速度測定装置が設置されている場合には、本来誤動作源として登録してはいけないが、誤って誤登録してしまうおそれがある。
【0052】
そこで、初回登録後から所定の条件の間は警報制御部35が警報を抑制しないようにするようにした。ここで、その所定の条件としては、例えば以下に示す各種のものが適用できるが、要は誤動作源の受信区間を抜けたことが判別できるものであればどのような方法でも良い。
【0053】
(A)マイクロ波検出部13の出力を警報制御部35にも与え、マイクロ波を検出後、マイクロ波の受信が終了するまで(この場合受信が一時的に途切れる場合はマイクロ波を受信しているものとしてディレイ期間を設けるなどは一般的技術で対応可能である)を所定の条件とする。
【0054】
これにより、上述したように、a点でマイクロ波を最初に検出し、そのまま道路R1を走行しているような場合、a′点はもちろんのこと、a″点やb点に至るまでマイクロ波を受信し続けるため(一時的にとぎれる場合はある)、a点で受信したマイクロ波の発信源と同一の発信源からのマイクロ波を受信し続けていると判断し、点bを抜けるとマイクロ波を受信しなくなるため、a点からb点までの間は、同一の発信源(この場合、c点にある誤動作源)からマイクロ波の受信が継続していたと推定できる。よって、最初に検出したa点を誤動作源(1回目)として登録するとともに、a点からb点に移動するまでの間は、そのマイクロ波を受信していることを理由として警報制御部35が警報の制御を抑制しないようにする。
【0055】
(B)所定の距離を走行するまでを所定の条件とする。ここで、距離は位置情報の経緯(変化の履歴)から算出できるので、誤動作源を通り越しているであろうと見なすことができる距離を所定の条件とすることで対応する。
(C)所定の時間が経過したことを所定の条件とする。ここで、時間はGPSの時間情報を用いたり、別途カウンタを用いて求めることができる。
【0056】
換言すると、本実施の形態では、警報制御部35は、誤動作源位置記憶部34が位置検出器20の出力する位置情報を記憶したときから所定の条件(時間、走行距離、マイクロ波を受信しなくなるまで)を満たした以降において、位置検出器20が検出した現在の位置情報が誤動作源位置記憶部34に記憶されている位置情報のいずれかの所定距離内にある場合にマイクロ波検出警報部31の動作を抑制するようにした。つまり、所定の条件を満たすまでは、上述したように警報の抑制をせずにマイクロ波検出警報部31で警報を発することを許容する。
【0057】
尚、上記所定の条件で求められる範囲は、図2に示されるように誤動作源の受信区間(a−b)をカバーするように設定する。本実施の形態においては、受信区間の距離を400メートルとした場合、a点を中心として半径400mの円の範囲を所定範囲として設定した。ここで所定範囲を円としたのは、誤動作源のマイクロ波を受信し始める位置(a)が周囲の状況や気温などの影響で誤差は生じるためある程度の猶予を持つ必要があることと、CPUなどでの制御仕様上所定範囲を円とすることで容易に対処できるからであるが、円とすることに限定する必要が無く受信をし始める点を考慮して車両の進行方向に対して半円や扇形としたり、任意の対応を行なうことができるものである。
【0058】
また、上記の(A)から(C)の条件のいずれかを誤動作源情報記憶部34の登録条件に設定することにより、少なくとも一度の走行においては、最初に検出したa点の位置情報を誤動作源位置情報記憶部34に登録することができるとともに、a′点,a″点などを登録することはなくなる。これにより、誤動作源位置記憶部34にこのような機能を持たせることで、同一の誤動作源についての位置情報は、可及的に1つに絞り込んで登録することができ、むやみに複数(多数)の位置情報が登録されることを抑制できるので、誤動作源位置記憶部34の記憶容量の節約を行なうことができる。
【0059】
なお、固定式の速度測定装置から発射されたマイクロ波であっても、本実施の形態では誤動作源位置記憶部34に登録され、それ以降は警報制御部35によりマイクロ波検出部31からの警報が抑制される。係る場合でも、位置情報警報部33にて警報されるため、警報漏れの問題はない。
【0060】
上述した実施の形態によれば、誤動作源の位置を自動的に登録することができる。そして、このように自動的に誤動作源を登録するようにしていくと、誤動作源は各所にあるため、登録する誤動作源の位置情報も多量なデータとなってしまう。そこで、データ量を減らすためには、誤動作源の登録位置からの所定距離(マイクロ波の警報のキャンセルする領域を特定する距離:この距離を用い例えば、登録位置から半径r1の円の範囲内がキャンセル領域となる)を大きくとる必要がある。つまり、このようにr1を大きな数値に設定することにより、キャンセル領域も大きな円となるため、その円内に存在する多数の誤動作源の位置情報を個別に登録する必要が無く、代表してその中心の1個の誤動作源の位置情報を登録すればすむのである。
【0061】
実際には、マイクロ波検出器は地図情報を持たないため、マイクロ波検出器が測位した現在位置と、誤動作源として登録された位置との距離が一定の範囲内にあるか否かにより、キャンセル範囲内か否かを判断することになる。換言すると、自車両の現在位置を中心として、所定の半径の円内のどこか一カ所でも誤動作源として登録されていると、その円内に存在する誤動作源から発射されたマイクロ波を受信しても誤動作源からのものと認識し、警報しないようにすることができる。
【0062】
従って、仮に道路R1のg点にも誤動作源が存在するような場合に、すでにc点の誤動作源に基づいてa点の位置情報が誤動作源位置記憶部34に登録されている場合、車両1が道路R1等を走行中にg点から発射されたマイクロ波を受信した場合、その受信した位置がa点を中心とした半径r1の範囲内にあると、誤動作源から発射されたマイクロ波と判断して警報を抑制することになる。つまり、g点の誤動作源に基づく誤動作源位置情報を記憶しなくても誤警報の抑制を行なうことが可能となる場合があり、必ずしも全ての誤動作源についての位置情報を登録しなくても誤警報の防止が可能となる。
【0063】
一方、図2に示すように、誤動作源の位置がc点にあり、マイクロ波検出器は誤動作源から発射されたマイクロ波をa点からb点まで受信可能とすると、道路R1を走行中の車両1に搭載されたマイクロ波検出器は、a点でマイクロ波を受信することになる。係る場合に、実際に誤動作源の位置であるc点を認識するのが煩雑であるので、最初にマイクロ波を検出した地点であるa点を誤動作源位置情報として登録するようにすると、その誤動作源位置であるa点を中心とし、a−b間を半径(rl)とする円の範囲を警報のキャンセル範囲とする必要がある。これは、位置検出機能付きのマイクロ波検出器にはコスト並びに筐体の大きさの関係から地図情報を持たせていないため、道路の先がどのようになっているか把握できないことや、またマイクロ波検出部の個体差や道路状況によるマイクロ波の反射状況を考えると記憶した位置よりある程度手前からキャンセル範囲となるようにするのが好ましいため、実際の半径はr1よりもさらに大きくすることも考えられる。
【0064】
しかしながら、係るキャンセル範囲を大きくすると、仮にc点に誤動作源がある道路R1に隣接する他の道路R2のd点や道路R3のe点に速度測定装置(特に移動式)が設置されていた場合、係る他の道路R2を走行中の車両1′や道路R3を走行中の車両1″(ともに、c点を誤動作源として登録済み)は、d点やe点の速度測定装置から発射されたマイクロ波を受信しても警報をキャンセルしてしまう。つまり、現在走行中の道路上に速度測定装置が設置されていた場合でも、別の道路に存在する誤動作源の位置情報に基づき検出すべき速度測定装置のマイクロ波を受信していながら警報を発せなくなってしまう。従って、上記の第1の実施の形態でのキャンセル範囲を特定する所定範囲は受信区間を基に設定(半径r1)したが、隣接する別の道路等に対する影響を防ぐためには、マイクロ波検出警報部31による警報を抑制する領域はなるべく小さな範囲とすることが好ましい。
【0065】
例えば図3に示すような状況において、その場合の所定範囲を半径100m(r2)の円とすると、a点を誤動作源位置情報として登録しても、道路R2のd点や道路R3のe点に設置された速度測定装置の検出に対する影響はなくなる。しかし、車両1がf点の地点にいる時にはc点にある誤動作源の受信区間であるのに警報の抑止がされなくなってしまう。
【0066】
そこで、半径r2の小さいキャンセル範囲中でマイクロ波を受信したならば、その受信したマイクロ波が継続して受信をし続けるかぎり正規な警報を抑制するようにした。この際、道路の周辺状況によりマイクロ波の受信が一時的に途絶えることがあるが、そのような場合を想定して適宜ディレイを設けると良い。これにより、警報制御部35は誤動作源の位置であるa点を中心として所定距離(r2)を出ても(離反しても)、マイクロ波検出部13がマイクロ波を検出している場合には継続してマイクロ波の報知を行なわせないようにできる。
【0067】
一方、図4に示すように、車両1がa点からb点に向かって走行しているときにa点を誤動作源位置情報として登録した場合、車両1′(車両1と同一車両であるが、時間軸が異なる)がb点からa点に向かって走行する場合には、b点に来たときにc点にある誤動作源から発射されるマイクロ波を受信してしまうとともに、その受信した位置はa点とは異なるため、係るb点を新たな誤動作源位置情報として記憶することになる。即ちc点の位置にある1つの誤動作源に対して2つの誤動作源位置情報が登録されてしまうことになる。
【0068】
これを防止するため誤動作源位置情報に、その記憶する位置情報でマイクロ波を検出した際の車両の進行方向を関連付けて記憶させるようにするとよい。このようすれば既に記憶している誤動作源位置情報と反対方向に位置する開始位置を新たに記憶することなく既に記憶されている誤動作源位置情報を用いて車両の進行方向と誤動作源位置情報までの距離から誤動作源に対する警報の制御を行なうことができる。
【0069】
具体的には、図4において車両がh点に位置するときにマイクロ波を受信したとすると、その受信したマイクロ波は誤動作源cによるマイクロ波であると見なしてマイクロ波を受信しなくなるまで警報をキャンセルすればよい。この場合記憶している誤動作源位置情報と進行方向から見て、逆進行方向(処置の角度内)の所定距離内になる位置(半円(半径r3(例えば300m))内に車両が位置する場合にマイクロ波を受信した場合その受信がなくなるまでの間警報をキャンセルすることとすることができる。
【0070】
ここでr3は誤動作源位置情報からのマイクロ波受信区間の距離(a−b間)に周囲状況による受信開始位置のばらつきを考慮した距離を加えたものとすることが好ましく、ここでは受信区間の400mに100mを加えて半径500mの半円状態(所定の角度90度)に設定したが隣接する別道路を考慮して所定の角度を30度などと狭くとり扇型とするようにしても良い。
【0071】
図5は、本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態では、上述した第1の実施の形態を基本とし、さらに、誤動作源位置情報削除部36を設けた。すなわち、この誤動作源位置情報削除部36は、位置情報記憶部32の情報と位置検出器20からの位置情報とマイクロ波検出器本体10からの情報を基に車両位置に対応する誤動作源位置記憶部34に記憶されている誤動作源位置情報を削除するものである。
【0072】
すなわち、2回目に車両が誤動作源位置情報の所定範囲内(警報を抑制する範囲内)に位置する時に、マイクロ波を受信してない場合には、1回目の登録時に受信したマイクロ波は速度測定装置からのマイクロ波である可能性が高い。そこで、誤動作源位置情報削除部36は、誤動作源位置記憶部34に登録された誤動作源の位置情報に基づく所定範囲内(警報を抑制する領域内)に存在している際にマイクロ波を受信しない場合には、該当する誤動作源位置情報を削除する処理を行なう。もちろん、誤動作源からマイクロ波が発射されていたとしても、そのときの周囲の受信状況により所定範囲内であっても受信できない場合はある。従って、単純に所定範囲内でマイクロ波を受信できない場合に即削除するのではなく、例えば、一定時間存在していても受信できなかったり、警報を抑制する領域よりも狭い範囲内においてマイクロ波を受信できなかった場合等の一定の条件を具備した場合に削除するようにしてもよい。
【0073】
このようにすると、再度速度測定装置が設置された時に警報を発せられるようにすることができる。また、誤動作源位置記憶部34の記憶容量の節約にも寄与することができるので好ましい。
【0074】
図6は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態では、上述した第2の実施の形態を基本とし、マイクロ波検出器本体10に電界強度検出部14を設けている。そして、この電界強度検出部14で検出した電界強度情報も誤動作源位置情報削除部36に与えている。
【0075】
図7において車両1が誤動作源位置情報をa点で登録した後の所定条件内(時間経過、距離経過、マイクロ波の連続受信)において所定の電界強度以上のマイクロ波を受信した場合にはそのマイクロ波は速度測定装置からのものである確率が高い。すなわち、通常、誤動作源であるコンビニエンスストアの自動ドアから発せられるマイクロ波は出力が小さいため、マイクロ波検出器本体10がその誤動作源に最接近したとしてもその誤動作源から発射されるマイクロ波の電界強度はそれほど高くならない。一方、速度測定装置から発射されるマイクロ波の出力は大きいため最接近したときの電界強度は誤動作源のそれに比べて大きくなる。
【0076】
このことからマイクロ波を受信したa点を誤動作源位置情報として記憶した後、所定の時間や距離を走行している間に所定値より大きな電界強度のマイクロ波を受信した場合には速度測定装置によるマイクロ波であるとみなし、誤動作源位置情報削除部36はa点で登録した誤動作源位置情報を削除する。また、所定の条件は、上述したように時間や距離でなくマイクロ波を連続して受信している間に所定値より大きな電界強度となった場合にも同様の処理を行なうことでも対応できる。
【0077】
例えばa点においてマイクロ波を受信したことに伴い、当該位置を誤動作源情報として登録し、そのままマイクロ波を受信している状態で進行すれば速度測定装置に接近しc点において受信しているマイクロ波の電界強度は最高になる。仮に電界強度を5段階にわけて判定した場合、マイクロ波の発信源が誤動作源とするとその電界強度は受信区間において最高2程度となるが、速度測定装置の場合は3以上となるように設定する。すると、誤動作源位置情報を登録してマイクロ波を連続して受信している間において電界強度が3以上になった場合には、そのマイクロ波は速度測定装置から発射されたものと推定でき、一旦登録した誤動作源位置情報(a点)を削除する。係る削除処理は、誤動作源位置情報削除部36が行なう。
【0078】
尚、ここでは所定条件をマイクロ波の連続受信としたが、登録地点からの距離や経過時間を用いても同様の処理を行なうことができる。このようにすれば、本来警報が必要な速度測定装置からのマイクロ波の受信による警報を誤動作源として登録してしまうことを可及的に抑制できる。
【0079】
また、上述の電界強度を用いて位置情報を削除する対象となる速度測定装置は、上述した例では、誤動作源位置記憶部34に格納した主として移動式の速度測定装置であるが、固定設置式のものを含むようにしてもよい。すなわち、固定設置式の速度測定装置は上下車線毎に設置されている。たとえば下り車線の車両の速度を測定する場合には速度測定用のマイクロ波は下り車線に対して向けられている。この場合上り車線を走行している車両からはこのマイクロ波は誤動作源であるため誤動作源からのマイクロ波として排除されることが好ましい。
【0080】
しかしながら図7に示される状況において、c点にある速度測定装置が、図中矢印(右方向)を看視エリアとしている場合、車両1はc点の少し前であるa点においてc点から下り車線(b点方向)に向けられたマイクロ波の反射や、装置から漏れるマイクロ波を受信し、その位置を誤動作源位置情報として登録してしまうが、c点で受信するマイクロ波の電界強度は、所定以上となるため、誤動作源ではないと判断してa点の誤動作源位置情報は削除することになる。
【0081】
これを防ぐため図6の速度測定装置の位置情報を記憶する位置情報記憶部にその位置情報に対応する速度測定装置の測定方向を合わせて記憶させ、車両の進行方向と速度測定装置の測定方向から自車の走行車線が速度測定装置の測定対象車線か否かを判定し、そうでなければ誤動作源とみなして誤動作源位置情報の削除を行なわないようにした。
【0082】
このようにすることで、第3の実施の形態で示した処置が行われたとしても走行している反対車線の車両を測定対象とした固定式速度測定装置を誤動作源として登録することができる。
【0083】
さらにまた、位置検出機能付きマイクロ波検出器に誤動作源位置情報の登録を許可/不許可にするスイッチを設けることで不要な誤動作源位置情報の登録を防ぐようにするとよい。すなわち、車両が日常的に移動する領域は通勤等や決まった路線の往復であることが多くその領域内で誤動作源位置情報を登録できればその目的をほぼ達成できる。そのため上記のようなスイッチが許可になったときのみ誤動作源位置情報の登録を行い、ほぼ学習し終えた段階でスイッチを不許可とすると、必要十分な誤動作源の位置情報の登録をすることができる。
【0084】
また、上述した各実施の形態において、誤動作源位置記憶部34は、マイクロ波を受信した際に、その受信した位置が誤動作源位置記憶部34に未登録(登録済みの位置情報から一定の範囲内を含む)の場合に誤動作源の可能性有りとして登録するようにした。ただし、上述したように、速度測定装置は、所定の位置に常設されている固定式と、速度測定装置を任意の位置に移動し、その移動した位置にて車両の速度を測定するといった移動式がある。そして、位置情報記憶部32には、固定式の速度測定装置の設置位置を記憶している。そこで、所定周波数のマイクロ波を受信した位置が、上記の位置情報記憶部32に記憶された速度測定装置の設置位置と異なる(一定の範囲内にない)場合に、その受信した位置を誤動作源として誤動作源位置記憶部34に自動的に記憶し、2回目以降に誤動作源の所定距離内を走行する時には警報制御部35にてマイクロ波の警報をキャンセルするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に係る位置検出機能付マイクロ波検出器の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】動作原理を説明する図である。
【図3】変形例の機能を説明する図である。
【図4】変形例の機能を説明する図である。
【図5】本発明に係る位置検出機能付マイクロ波検出器の第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る位置検出機能付マイクロ波検出器の第3の実施の形態を示すブロック図である。
【図7】動作原理を説明する図である。
【符号の説明】
【0086】
10 マイクロ波検出器本体
20 位置検出器
30 警報制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のマイクロ波の受信を判定するマイクロ波検出器本体と、
前記マイクロ波検出器本体が所定のマイクロ波を検出したときに警報を発するマイクロ波検出警報手段と、
車両の位置を検出する位置検出器と、
前記マイクロ波検出器本体が所定のマイクロ波を受信したと判定した時に、前記位置検出器の出力する現在の位置情報に基づく位置を誤動作源位置情報として記憶する誤動作源位置記憶手段と、
前記位置検出器の出力と前記誤動作源位置記憶手段の出力を基に前記マイクロ波検出警報手段を制御する警報制御手段を備え、
前記警報制御手段は前記誤動作源位置記憶手段が位置検出器の出力する位置情報を記憶したときから所定の条件を満たした以降において、前記位置情報が前記誤動作源位置記憶手段に記憶されている位置情報のいずれかの所定距離内にある場合に前記マイクロ波検出警報手段の正規の警報動作を抑制するようにすることを特徴とする位置検出機能付きマイクロ波検出器。
【請求項2】
前記警報制御手段は、前記位置情報が前記誤動作源位置記憶手段に記憶されている位置情報のいずれかの所定距離内にある場合に前記マイクロ波検出警報手段の動作を抑制した後、前記マイクロ波検出器がマイクロ波を受信しなくなるまでの間、前記マイクロ波検出警報手段の動作を抑制するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の位置検出機能付きマイクロ波検出器。
【請求項3】
前記誤動作源記憶手段に記憶する位置情報に、その記憶する際の車両の進行方向情報を関連付けて記憶し、
前記警報制御手段は前記位置情報が前記誤動作源位置記憶手段に記憶されている位置情報のいずれかの所定距離内にあり、かつ現在の車両の進行方向と前記位置情報に関連付けて記憶されている車両の進行方向情報とのなす角度が所定の角度以上であるときにマイクロ波を受信した場合はマイクロ波を受信しなくなるまでの問、前記マイクロ波検出警報手段の動作を抑制するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の位置検出機能付きマイクロ波検出器。
【請求項4】
前記誤動作源記憶手段は前記誤動作源位置情報を記憶したときから所定の条件を満たすまでは新たな誤動作源位置情報を登録しないようにしたことを特徴とする請求項1に記載の位置検出機能付きマイクロ波検出器。
【請求項5】
前記誤動作位置記憶手段は車両が前記誤動作源位置情報のいずれかの所定距離内に位置する間、前記マイクロ波検出器がマイクロ波を検出しないときに前記該当する誤動作源位置情報を削除する誤動作源位置削除手段をもつことを特徴とする請求項1に記載の位置検出機能付きマイクロ波検出器。
【請求項6】
受信したマイクロ波の電界強度を判定する電界強度判定手段を設け、
前記誤動作位置記憶手段は車両が前記誤動作源位置情報のいずれかの所定距離内に位置したとき所定の条件を満たすまでの間、前記電界強度判定手段が受信したマイクロ波が所定値以上の電界強度であると判定した前記該当する誤動作源位置情報を削除する誤動作源位置削除手段をもつことを特徴とする請求項1に記載の位置検出機能付きマイクロ波検出器。
【請求項7】
速度測定装置の位置と測定方向を記憶した警報位置記憶手段を設け、
前記誤動作源位置削除手段は前記警報位置記憶手段に記憶されている誤動作源位置情報のいずれかの所定距離内にありかつ現在の車両の進行方向と前記位置情報に関連付けて記憶されている測定方向とのなす角度が所定の角度である場合には、前記誤動作源位置情報の削除を行なわないことを特徴とする請求項6に記載の位置検出機能付きマイクロ波検出器。
【請求項8】
前記所定の条件とは、「時間」,「走行距離」,「マイクロ波を受信しなくなるまで」のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1,4または6に記載の位置検出機能付きマイクロ波検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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