説明

位置検出装置

【課題】無線タグと位置情報との関連付けを容易化するとともに、導入時や保守時にかかる負担を軽減することが可能な位置検出装置を提供する。
【解決手段】移動経路に沿って配置され、基準位置からの配置位置の変化量に応じて順次割り当てられた番号をタグIDとして記憶する複数の無線タグと、各区間の先頭に位置する無線タグのタグIDと、当該無線タグの前記基準位置からの距離と、各区間に配置された無線タグの総数とを関連付けたテーブル情報を記憶する記憶手段と、前記移動経路を移動する移動体に設けられ、当該移動体が存在する位置に配置された前記無線タグから当該無線タグのタグIDを読み取る読取手段と、前記テーブル情報に基づいて、前記読取手段が読み取ったタグIDが所属する区間での前記無線タグの配置間隔を算出する算出手段と、前記テーブル情報と前記配置間隔とに基づいて、前記移動体の現在位置を検出する位置検出手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動経路に沿って配置された複数の無線タグを用いて位置検出を行う位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線タグに記憶された情報に基づき、移動体の現在位置を検出する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、アンテナと、当該アンテナを介して通信範囲に置かれた物品に付加された無線タグと通信する無線通信装置との間に、無線タグと無線通信装置との間の通信を遮る移動体(遮蔽体)を設け、この移動体により無線通信が遮られた無線タグの識別情報に基づいて、物品(移動体)の位置を検出する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、全ての無線タグをアンテナの通信範囲内に置く必要があるため、無線タグが長距離に亘って配列されている場合には適用することが困難である。また、この構成の場合、アンテナ自体を無線タグに沿って移動させ、無線タグから読み取った識別情報に基づいてアンテナ(移動体)の位置を検出する形態を想定することができるが、特許文献1に開示の技術では、位置を知りたい無線タグ各々について識別情報と位置情報とを記憶しておく必要があり、位置を知りたい無線タグの個数が増加するほど識別情報と位置情報との管理が煩雑となるため、導入時や保守時にかかる負担が増大するという問題がある。
【0004】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、無線タグと位置情報との関連付けを容易化するとともに、導入時や保守時にかかる負担を軽減することが可能な位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、一又は複数の区間により構成される所定の移動経路に沿って配置され、当該移動経路での基点となる基準位置からの配置位置の変化量に応じて順次割り当てられた番号をタグIDとして記憶する複数の無線タグと、前記基準位置を基点とした各区間の先頭に位置する無線タグのタグIDであるマーカータグIDと、当該無線タグの前記基準位置からの距離を表す物理位置と、当該無線タグが所属する区間に配置された無線タグの総数を表す区間タグ枚数と、を関連付けたテーブル情報を記憶する記憶手段と、前記移動経路に沿って移動する移動体に設けられ、当該移動体が存在する位置に配置された前記無線タグからタグIDを読み取る読取手段と、前記テーブル情報に基づいて、前記読取手段により読み取られたタグIDが所属する区間の区間長を算出し、当該区間の区間タグ枚数で除算することで当該区間での前記無線タグの配置間隔を算出する算出手段と、前記テーブル情報と前記配置間隔とに基づいて、前記読取手段により読み取られたタグIDと当該タグIDが所属する区間のマーカータグIDとの離間距離を算出し、この離間距離に当該マーカータグIDの物理位置を加算した値を、前記移動体の現在位置として検出する位置検出手段と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、無線タグと位置情報との関連付けを容易化するとともに、導入時や保守時にかかる負担を軽減することが可能な位置検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本実施形態に係る移動装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した移動装置を概略的に示す平面図である。
【図3】図3は、移動経路の区間構成の一例を示す図である。
【図4】図4は、移動経路の区間構成の一例を示す図である。
【図5】図5は、マーカータグテーブルの一例を示す図である。
【図6】図6は、位置検出制御部が実行する位置検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、移動制御部が実行する移動速度制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る位置検出装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下では本発明に係る位置検出装置を物体の運搬を行う移動装置に適用した例について説明するが、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、移動装置100を概略的に示す斜視図であり、図2は、移動装置100を概略的に示す平面図である。移動装置100は、例えば製鉄所等に設けられるクレーン装置であり、移動経路10を構成する一対の線路11、12と、線路11、12上を移動可能に設けられたクレーン車等の移動体20と、移動経路10に沿って配置された複数の無線タグ30と、を備えている。
【0010】
移動体20は、線路11、12に係合して線路11、12上を移動経路10に沿って移動する。移動体20は、移動経路10上での位置検出にかかる機能部として、アンテナ21と、タグリーダ部22と、位置検出情報記憶部23と、位置検出制御部24とを備えている。また、移動体20は、移動経路10上での移動にかかる機能部として、操作入力部25と、移動制御情報記憶部26と、移動制御部27とを備えている。
【0011】
アンテナ21は、移動体20の無線タグ30に対向する側面に設けられており、タグリーダ部22の制御に従い所定周波数の電波を照射することで、無線タグ30に記憶された所定の情報を読み取る。
【0012】
無線タグ30は、ICチップやアンテナ等(何れも図示せず)を有し、アンテナ21との交信によりICチップ内に記憶された所定の情報をアンテナ21に送出する。ここで、無線タグ30の配置間隔(以下、タグ間隔という)は、使用環境等に応じて区分けされた所定の区間単位で異なっている。以下、移動経路10を構成する各区間と、無線タグ30のタグ間隔との関係について説明する。
【0013】
図3は、移動経路10の区間構成の一例を示す図であって、移動経路10を9つの区間(区間1〜区間9)に区分けした例を示している。なお、同図では、移動体20及び線路11、12の図示を省略している。
【0014】
区間1、区間5及び区間9(以下、総称して狭配置区間という)は、移動体20の停止位置又は移動開始位置となるエリアA1〜A3の搬入口又は入り口部分に設けられている。この狭配置区間では、より高精度の位置検出精度が求められるため、無線タグ30のタグ間隔が他の区間と比較して狭くなっている(例えば、5cm間隔)。
【0015】
区間3及び区間7(以下、総称して広配置区間という)は、狭配置区間の間に設けられており、主に狭配置区間間の移動通路として用いられる。この広配置区間では、大凡の位置が分かればよいため、無線タグ30のタグ間隔は狭配置区間と比較して広くなっている(例えば、100cm間隔)。
【0016】
また、区間2、区間4、区間6及び区間8(以下、総称して中配置区間という)は、狭配置区間と広配置区間との間に設けられており、主に移動体20の加速又は減速区間として用いられる。この中配置区間に配置される無線タグ30のタグ間隔は、狭配置区間よりも広く且つ広配置区間よりも狭くなっている(例えば、10cm間隔)。
【0017】
移動経路10の一端には、当該移動経路10における位置測定の際の基点となる基準位置Bが設定されており、この基準位置Bからの距離として移動体20の位置が定まるよう構成されている。各無線タグ30には、基準位置Bの位置を“1”とし当該基準位置Bからの配置位置の変化量に応じて順次割り当てられたシーケンシャルな番号がタグIDとして記憶されている。
【0018】
また、基準位置Bを基点とした各区間の先頭に位置する無線タグ30は、この無線タグ30が属する区間を判別するための目印(マーカー)として機能する。後述するマーカータグテーブル231には、マーカーとなる各無線タグ30のタグIDと、当該無線タグ30の基準位置Bからの距離(以下、物理座標という)とが関連付けて記憶されている。なお、以下では、各区間のマーカーとなる無線タグ30をマーカータグ31と表記し、マーカータグ31に記憶されたタグIDをマーカータグIDと表記する。
【0019】
図4は、移動経路10の区間構成の一例を示す図である。同図において、区間1にはm枚の無線タグ30が等間隔に配置されている。この区間1では、基準位置Bに対応する物理座標“0”の位置に配置された無線タグ30が、区間1のマーカータグ31として機能する。
【0020】
また、区間2には(n−m)枚の無線タグ30が等間隔に配置されている(但しn>m)。この区間2では、基準位置Bから見て区間2の先頭に位置する物理座標5000cmの無線タグ30が、マーカータグ31として機能する。また、区間3には(o−n)枚の無線タグ30が等間隔に配置されている(但しo>n)。この区間3では、基準位置Bから見て区間3の先頭に位置する物理座標7500cmの無線タグ30が、マーカータグ31として機能する。以下、区間4〜区間9においても同様に、基準位置Bから見て各区間の先頭に位置する無線タグ30がマーカータグ31となる。
【0021】
図2に戻り、タグリーダ部22は、アンテナ21を用いて無線タグ30と交信することで、無線タグ30に記憶されたタグIDを読み取る。
【0022】
位置検出情報記憶部23は、HDDやSSD、フラッシュROM等の記憶媒体であって、位置検出制御部24が実行する各種のプログラムや各種の設定情報を予め記憶している。また、位置検出情報記憶部23は、移動経路10上での位置検出に係る設定情報を格納したマーカータグテーブル231を記憶している。
【0023】
ここで、図5は、位置検出情報記憶部23に記憶されたマーカータグテーブル231の一例を示す図である。同図に示すように、マーカータグテーブル231には、移動経路10を構成する区間毎に、マーカータグ31のマーカータグIDと、マーカータグ31の基準位置Bからの距離を表す物理座標と、区間内に配置された無線タグ30の総数(以下、区間タグ枚数という)と、が関連付けて登録されている。
【0024】
なお、図5のマーカータグテーブル231は、上述した図4の例において、m=1000、n=1250、o=1350としたものであって、マーカータグID“1”のマーカータグ31が所属する区間が区間1に、マーカータグID“1001”のマーカータグ31が所属する区間が区間2に、マーカータグID“1251”のマーカータグ31が所属する区間が区間3に、マーカータグID“1351”のマーカータグ31が所属する区間が区間4に夫々対応している。
【0025】
位置検出制御部24は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等から構成され、位置検出情報記憶部23に記憶されたプログラムとの協働により算出手段及び位置検出手段として機能し、移動体20の位置検出に係る各部の動作を統括的に制御する。
【0026】
具体的に、位置検出制御部24は、タグリーダ部22からタグIDが入力されると、マーカータグテーブル231を参照し、このタグIDの値以下で且つ最大のマーカータグIDを“所属区間マーカータグID”として特定する。ここで、所属区間マーカータグIDは、移動体20が現在所属している区間に対応する。また、位置検出制御部24は、マーカータグテーブル231を参照し、所属区間マーカータグIDと、基準位置Bから見て所属区間マーカータグIDの次の区間に対応するマーカータグID(以下、次区間マーカータグID)を特定すると、下記式(1)を用いて、現在移動体20が存在する区間に配置された無線タグ30のタグ間隔を算出する。
【0027】
【数1】

【0028】
なお、上記式(1)において、次区間マーカータグの物理位置は、次区間マーカータグIDに関連付けられた物理位置を意味する。また、所属区間マーカータグの物理位置は、所属区間マーカータグIDに関連付けられた物理位置を意味する。また、所属区間マーカータグの区間タグ枚数は、所属区間マーカータグIDに関連付けられた区間タグ枚数を意味する。
【0029】
さらに、位置検出制御部24は、上記式(1)で算出したタグ間隔に基づき、下記式(2)を算出することで、移動経路10上における移動体20の現在位置を特定する。なお、検出タグIDは、タグリーダ部22から入力されたタグIDを意味する。
【0030】
【数2】

【0031】
具体的に、位置検出制御部24は、上記式(2)の右辺第1項により検出タグIDと所属区間マーカータグIDとの離間距離を算出する。また、位置検出制御部24は、算出した離間距離に所属区間マーカータグIDの物理位置を加算した値を右辺第2項で導出すると、この値を移動経路10上における移動体20の現在位置として検出する。さらに、位置検出制御部24は、移動体20の現在位置を移動制御部27へ送出する。
【0032】
例えば、タグリーダ部22から入力されるタグID(検出タグID)が“1101”であった場合、位置検出制御部24は、図5のマーカータグテーブル231を参照し、この“1101”以下で且つ最大の所属区間マーカータグIDとして“1001”を特定するとともに、次区間マーカータグID“1251”を特定する。そして、位置検出制御部24は、上記式(1)に次区間マーカータグIDの物理位置(7500)、所属区間マーカータグIDの物理位置“5000”、及び、所属区間マーカータグIDの区間タグ枚数“250”を代入することで、タグ間隔“10”(cm)を算出する。
【0033】
さらに、位置検出制御部24は、上記式(2)に検出タグID“1101”、所属区間マーカータグID“1001”、タグ間隔“10”及び所属区間マーカータグIDの物理位置“5000”を代入することで、タグリーダ部22により読み取られた無線タグ30の物理位置、即ち移動体20の物理位置“6000”を導出する。これにより、移動体20が基準位置Bから“6000”(cm)の位置にいることを検出することができる。
【0034】
以下、移動体20の位置検出動作について説明する。ここで、図6は、位置検出制御部24が実行する位置検出処理の手順を示すフローチャートである。なお、本処理は位置検出制御部24によりタグIDが入力される毎に行われるものである。
【0035】
まず、位置検出制御部24は、タグリーダ部22で読み取られたタグIDが入力されると(ステップS11)、このタグIDの値以下で且つ最大の所属区間マーカータグIDを、マーカータグテーブル231から特定するとともに(ステップS12)、次区間マーカータグID)を特定する(ステップS13)。
【0036】
続いて、位置検出制御部24は、上記式(1)を用いることで、ステップS11で入力されたタグIDが所属する区間の区間長を、当該区間の区間タグ枚数で除算することで当該区間での無線タグ30の配置間隔を算出する(ステップS14)。
【0037】
次いで、位置検出制御部24は、上記式(2)を用いることで、ステップS11で入力されたタグIDと所属区間のマーカータグIDとの物理位置の差分値に、タグIDの物理位置を加算した値を導出すると(ステップS15)、これを移動体20の現在位置として移動制御部27に出力し(ステップS16)、本処理を終了する。
【0038】
このように、本実施形態では、各区間の先頭に位置する無線タグ30(マーカータグ31)のマーカータグIDと、物理位置と、区間タグ枚数とを関連付けたマーカータグテーブル231を用いて移動体20の位置検出を行う。これにより、無線タグ各々について位置情報を記憶する形態と比較し、移動体20の位置検出に係る情報量を削減することが可能であるため、無線タグ30と位置情報(タグID)との関連付けを容易化することができ、マーカータグテーブル231の導入時や保守時にかかる負担を軽減することができる。
【0039】
図2に戻り、操作入力部25は、ユーザが移動体20を操作するための機能部である。具体的に、操作入力部25は、アクセルやブレーキ、移動先を指示するための操作ボタン等を有し、ユーザから入力された操作内容を指示情報として移動制御部27に送出する。
【0040】
移動制御情報記憶部26は、HDDやSSD、フラッシュROM等の記憶媒体であって、移動制御部27が実行する各種のプログラムや各種の設定情報を予め記憶している。また、移動制御部27は、移動経路10を構成する各区間での移動制御に関する設定情報として、移動速度、加速度、減速度、停止位置等を記憶している。
【0041】
例えば、狭配置区間については、当該狭配置区間内での移動速度V1、停止位置となる物理位置、ブレーキポイント等が予め登録されている。ここで、ブレーキポイントとは、移動体20の制動距離及び空走距離に基づいて定められる物理位置であって、ブレーキポイントでブレーキを開始することで移動体20を狭配置区間内での所定の停止位置で停止させることが可能となっている。
【0042】
また、広配置区間については、当該広配置区間内での移動速度V2(但し、V2>V1)等が予め登録されている。また、中配置区間については、移動速度V1から移動速度V2への加速度、移動速度V2から移動速度V1への減速度等が予め登録されている。
【0043】
移動制御部27は、CPU、ROM及びRAM等から構成され、位置検出情報記憶部23に記憶されたプログラムとの協働により移動制御手段として機能し、移動体20の動力機関(図示せず)を制御することで、移動体20を移動経路10に沿って移動させる。
【0044】
具体的に、移動制御部27は、位置検出制御部24で検出される移動体20の物理位置と、位置検出制御部24からの指示情報で指示される移動先のエリア即ち狭配置区間とに基づき、移動制御情報記憶部26に記憶された設定情報から移動体20の移動速度を導出する。そして、移動制御部27は、導出した移動速度で移動体20を移動先へ移動させるよう動力機関を制御する。
【0045】
以下、図7を参照して、移動体20の移動速度制御について説明する。ここで、図7は、移動制御部27が実行する移動速度制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0046】
まず、移動制御部27は、操作入力部25を介して移動先となるエリア(狭配置区間)が指定されるまで待機する(ステップS21;No)。ここで、移動先の狭配置区間が指定されると(ステップS21;Yes)、移動制御部27は、この移動先の狭配置区間に向けて移動体20の移動を開始する(ステップS22)。
【0047】
続いて、移動制御部27は、ステップS22の移動に伴い位置検出制御部24で検出された移動体20の物理位置と、ステップS21で指定された移動先の狭配置位置とに基づき、移動制御情報記憶部26に記憶された設定情報から移動体20の移動速度を導出すると(ステップS23)、この導出した移動速度で移動体20を移動させる(ステップS24)。
【0048】
次いで、移動制御部27は、位置検出制御部24で検出された移動体20の物理位置が、移動先となった狭配置位置のブレーキポイントに到達したか否かを判定する(ステップS25)。ここで、ブレーキポイントに到達していないと判定した場合には(ステップS25;No)、ステップS23に再び戻る。また、ブレーキポイントに到達したと判定した場合(ステップS25;Yes)、移動制御部27は減速(ブレーキ)を開始し(ステップS26)、本処理を終了する。
【0049】
例えば、位置検出制御部24が200ミリ秒毎に移動体20の物理位置を検出する場合、区間1にある移動体20を区間9の停止位置(例えば、物理位置X)に移動させる際の動作は以下のように制御される。なお、移動経路10内には作業者等の立ち入りが行われないものとする。
【0050】
まず、移動制御部27は移動体20を区間1から区間9方向へ移動を開始する。次に移動制御部27は、この移動に伴って位置検出制御部24が検出した移動体20の物理位置と、移動制御情報記憶部26に記憶された設定情報とに基づき、移動体20の移動速度を制御する。
【0051】
具体的に、移動制御部27は、移動体20の物理位置が区間1内にあるとき、この区間1内での移動速度V1(例えば、秒速0.1m)で移動体20を移動させる。次いで、移動体20の物理位置が区間2に到達すると、移動速度V2(例えば、秒速2m)までの加速を開始し、移動体20の物理位置が区間3〜区間7の間、移動速度V2を維持する。続いて、移動体20の物理位置が区間8に到達すると、移動速度V1への減速を開始する。そして、移動体20の物理位置が区間9内のブレーキポイント(例えば、物理位置Xの1m手前)に到達すると、減速(ブレーキ)を開始することで移動体20を物理位置Xで停止させる。
【0052】
このように、移動制御部27は、位置検出制御部24により検出された物理位置に基づき、移動経路10を構成する各区間に応じて移動体20の移動速度を制御する。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲での種々の変更、置換、追加等が可能である。
【0054】
例えば、位置検出制御部24と移動制御部27とは、同一のハードウェア(CPU、ROM、RAM等)により実現される形態としてもよいし、夫々異なるハードウェアにより個別に実現される形態としてもよい。また、位置検出情報記憶部23及び移動制御情報記憶部26は、同一の記憶媒体で実現される形態としてもよいし、夫々異なる記憶媒体により個別に実現される形態としてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、移動経路10を9個の区間に区分けした例を示したがこれに限らず、例えば、移動経路10を9以外の複数の区間とする形態としてもよいし、単一の区間とする形態としてもよい。なお、単一の区間とする形態の場合、マーカータグテーブル231には、区間の先頭即ち基準位置Bに位置する無線タグ30のマーカータグID、物理座標及び区間タグ枚数に加え、区間の終端に位置する無線タグ30の物理位置を次区間マーカータグの物理位置として格納しておくものとする。
【0056】
また、上記実施形態では、移動経路10を直線状としたがこれに限らず、曲線状としてもよいし、ループ状としてもよい。
【符号の説明】
【0057】
100 移動装置
10 移動経路
11 線路
12 線路
20 移動体
21 アンテナ
22 タグリーダ部
23 位置検出情報記憶部
231 マーカータグテーブル
24 位置検出制御部
25 操作入力部
26 移動制御情報記憶部
27 移動制御部
30 無線タグ
31 マーカータグ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2009−115746公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数の区間により構成される所定の移動経路に沿って配置され、当該移動経路での基点となる基準位置からの配置位置の変化量に応じて順次割り当てられた番号をタグIDとして記憶する複数の無線タグと、
前記基準位置を基点とした各区間の先頭に位置する無線タグのタグIDであるマーカータグIDと、当該無線タグの前記基準位置からの距離を表す物理位置と、当該無線タグが所属する区間に配置された無線タグの総数を表す区間タグ枚数と、を関連付けたテーブル情報を記憶する記憶手段と、
前記移動経路に沿って移動する移動体に設けられ、当該移動体が存在する位置に配置された前記無線タグからタグIDを読み取る読取手段と、
前記テーブル情報に基づいて、前記読取手段により読み取られたタグIDが所属する区間の区間長を算出し、当該区間の区間タグ枚数で除算することで当該区間での前記無線タグの配置間隔を算出する算出手段と、
前記テーブル情報と前記配置間隔とに基づいて、前記読取手段により読み取られたタグIDと当該タグIDが所属する区間のマーカータグIDとの離間距離を算出し、この離間距離に当該マーカータグIDの物理位置を加算した値を、前記移動体の現在位置として検出する位置検出手段と、
を備えたことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記読取手段により読み取られたタグIDが所属する区間のマーカータグIDに関連付けられた物理位置を、前記基準位置を基点とした当該区間の次の区間のマーカータグIDに関連付けられた物理位置から減算することで前記区間長を導出し、当該区間長を前記読取手段により読み取られたタグIDが所属する区間のマーカータグIDに関連付けられた区間タグ枚数で除算することで、前記配置間隔を算出することを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記位置検出手段は、前記読取手段により読み取られたタグIDから当該タグIDが所属する区間のマーカータグIDを減算した結果に前記算出手段により算出された配置間隔を乗算することで前記離間距離を算出し、当該離間距離に前記読取手段が読み取ったタグIDが所属する区間のマーカータグIDに関連付けられた物理位置を加算することで、前記移動体の現在位置を導出することを特徴とする請求項1又は2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記移動経路を構成する複数の区間のうち、一部又は全ての区間で前記区間タグ枚数が異なることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記移動体の各区間での移動速度に応じて、当該各区間での区間タグ枚数が定められていることを特徴とする請求項4に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記位置検出手段で検出された前記移動体の現在位置に応じて、当該移動体の移動速度を制御する移動制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−149774(P2011−149774A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10323(P2010−10323)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】