説明

位置検知装置および位置検知プログラム

【目的】この発明は、基地局から複数のアンテナあるいは複数組のアンテナを周期的に切替えながら発信される報知情報と測定信号を含む高周波信号を携帯端末により受信し当該携帯端末の3次元の位置あるいは相互間の距離あるいは相互間の方向を高精度で検知するための位置検知装置および位置検知プログラムに関するものである。

【構成】基地局10の複数あるいは複数組のアンテナ11a〜11dから伝送経路68a〜68dを経由して伝送される高周波信号を携帯端末20により受信し、当該受信した高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の相対位相を算出することにより、当該携帯端末20の3次元の位置69を高精度で検知する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のアンテナあるいは送受波器を周期的に切替えながら超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を発信しあるいは受信する固定側の発信手段および/あるいは受信手段と、携帯端末側の受信手段および/あるいは発信手段から構成され、当該携帯端末側の受信手段および/あるいは発信手段の3次元の位置あるいは距離あるいは方向あるいはこれらの組合わせを当該携帯端末側のアンテナあるいは送受波器の高さの情報を入力することなく検知するための位置検知装置および位置検知プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は、特許文献1に記載されている従来の無線マーカの実施例である。 図6において、1は発信手段あるいは中継手段、2は受信手段、11a〜11dは指向性アンテナ、41は指向性アンテナ11aから11bを見た方向、42は発信手段のアンテナの真下からの角度、43は発信手段のアンテナの高さ、44は受信手段のアンテナの高さ、45は発信手段のアンテナの真下からの距離である。
発信手段あるいは中継手段1の指向性アンテナ11a〜11dは、発信する高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の4分の1波長の間隔で水平面あるいは一定の傾斜角を持たせて設置され、周期的に切替えられながら高周波信号を発信しているものとする。
【0003】
当該受信手段2が当該指向性アンテナ11a〜11dの真下から角度42の方向に存在するとすると、Δd(X)=(H-h)×Tan{ΔΦ(X)}、Δd(Y)=(H-h)×Tan{ΔΦ(Y)}となる。ここで、Δd(X)、Δd(Y)は当該指向性アンテナ11a〜11dの真下からの距離45、Hは当該発信手段1のアンテナ11a〜11dの高さ43、hは当該受信手段2のアンテナの高さ44、ΔΦ(X)、ΔΦ(Y)は当該指向性アンテナの真下からの角度42である。
当該指向性アンテナ11a〜11dの真下の位置を(X1、Y1)とすると、当該受信手段2のアンテナの位置(Xx、Yy)は、Xx=X1+Δd(X) Yy=Y1+Δd(Y)から位置を検知できる。
【0004】
しかしながら、従来の位置検知の方法では、当該受信手段2の高さをデフオルト値としてあらかじめ記憶しておくかその都度入力する必要があり、当該受信手段2の2次元の位置あるいは距離あるいは方向あるいはこれらの組合わせしか検知できなかったことから、当該受信手段2を携帯する歩行者等の姿勢によっては当該位置検知の精度が劣化しあるいは不安定となる問題点があった。
また、特許文献2に記載されている従来の「位置検知プログラム」では、基地局1、2、3には1基のアンテナしか塔載されておらずしかもこれらの位置が十分に離れていることが条件となっており、屋外あるいは屋内に関わらずマルチパスあるいはハイトパターンなどの影響で複数の基地局からの信号を同時に受信できない時には位置の検知が困難となるなどの問題点があった。

【特許文献1】特願2005−363171号
【特許文献2】特願2002−333422号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、携帯端末側のアンテナあるいは送受波器の主として高さに関する情報を入力することなく、当該携帯端末の3次元の位置あるいは距離あるいは方向あるいはこれらの組合わせを高い精度で検知するための位置検知装置および位置検知プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる位置検知装置および位置検知プログラムは、固定される側の発信手段あるいは受信手段に複数のアンテナあるいは送受波器が任意の組合わせの間隔を1波長以内として配置され当該アンテナあるいは送受波器の任意の組合わせが不均一な配列あるいは間隔であり、あるいは固定される側の発信手段あるいは受信手段に複数組のアンテナあるいは送受波器が任意の組合わせの間隔を1波長以上として配置され、当該複数あるいは複数組のアンテナあるいは送受波器を周期的に切替えながら超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を発信しあるいは受信することで、携帯端末側のアンテナの高さ情報を入力することなく3次元の位置あるいは距離あるいは方向あるいはこれらの組合わせを高精度で検知するためのものである。
【発明の効果】
【0007】
従来の位置検知装置あるいは位置検知プログラムでは、固定される側の発信手段あるいは受信手段に接続する複数のアンテナあるいは送受波器の任意の組合わせの配列あるいは間隔が均一であるため、携帯端末側の受信手段あるいは発信手段のアンテナあるいは送受波器の少なくとも高さをデフオルト値として予め入力しておく必要があり、2次元の位置あるいは距離あるいは方向あるいはこれらの組合わせしか検知できない問題点がある。
本発明の位置検知装置および位置検知プログラムでは当該携帯端末側の受信手段あるいは発信手段のアンテナあるいは送受波器の高さをデフオルト値として入力することなく当該携帯端末の高さを含めた3次元の位置あるいは距離あるいは方向あるいはこれらの組合わせを高精度で検知することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明に係わる位置検知装置および位置検知プログラムは、図1に示すように基地局10の3次元の位置69から携帯端末20の3次元の位置70を検知するために準備される。
基地局10には、図2あるいは図4に示すように、複数のアンテナ11a〜11dあるいは複数組のアンテナ11a〜11dが接続され、図2の場合には複数のアンテナ11a〜11dの任意の組合わせの間隔が1波長以内であり図3に示すように任意の組合わせ間の配列あるいは間隔が不均一となっており、図4の場合には複数組のアンテナ11a〜11dの任意の組合わせの間隔が1波長以上であり、これらの複数あるいは複数組のアンテナ11a〜11dが周期的に切替えられて高周波信号を発信しあるいは受信している。
一方、携帯端末20には1基のアンテナが接続されている。
【0009】
前記の図1、図2、図3あるいは図4に示す複数あるいは複数組のアンテナの構成と配列から、図5に示すように複数あるいは複数組のアンテナ11a〜11dの3次元の位置69a〜69d(X1a、Y1a、Z1a)〜(X1d、Y1d、Z1d)から携帯端末20の3次元の位置70(X2、Y2、Z2)へ、伝送経路68a〜68dを経由して高周波信号が伝送され、当該高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号のタイミングあるいは振幅あるいは周波数あるいは位相あるいは位相を主とするこれらの組合わせを検出することにより、当該携帯端末20のアンテナの高さ情報を入力することなく3次元の位置70あるいは距離あるいは方向あるいはこれらの組合わせを高精度で算出する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の一実施例を示す概念図である。図1において、10は基地局、11a、11b、11c、11dは複数あるいは複数組のアンテナ、20は携帯端末、68a、68b、68c、68dは当該アンテナ11a〜11dと携帯端末20の間の高周波信号の伝送路、69は基地局10の3次元の位置、70は携帯端末20の3次元の位置である。
3次元の位置69に設置された基地局10の発信手段および/あるいは受信手段には周期的に切替えられている複数あるいあ複数組のアンテナ11a〜11dが接続されており、発信手段が搭載されている場合には報知情報および位置を測定するための測定信号を含む高周波信号を間欠的に発信している。
一方、3次元の位置に居る携帯端末20には発信手段および/あるいは受信手段が搭載され少なくとも1基のアンテナが搭載されており、当該携帯端末10に発信手段が搭載されている場合には識別信号および位置を測定するための測定信号を含む高周波信号を間欠的に発信している。
【0011】
当該基地局10から発信される報知情報には少なくとも識別信号およびアンテナの位置および/あるいはアンテナの設置状況に関する情報が含まれており、当該基地局10の発信手段から発信される高周波信号を当該携帯端末20の受信手段により受信して当該携帯端末20の3次元の位置70あるいは距離あるいは方向あるいはこれらの組合わせを高精度で検知し、あるいは当該携帯端末20の発信手段から発信される高周波信号を当該基地局10の受信手段により受信して当該携帯端末20のアンテナ高さの情報を入力することなく3次元の位置70あるいは距離あるいは方向あるいはこれらの組合わせを高精度で検知する。
ここで、当該基地局10の複数あるいは複数組のアンテナ11a〜11dと携帯端末20のアンテナとを結ぶ伝送路68a〜68dを通じて当該高周波信号が送受信されるが、周辺に反射物があるとマルチパスあるいはハイトパターンなどにより当該高周波信号が打ち消されて消滅してしまうことがあるが、全ての伝送路において同時にマルチパスあるいはハイトパターンの影響を受けることはないので、いずれかの伝送路で当該高周波信号が正常に伝送されるので、高精度の位置あるいは距離あるいは方向あるいはこれらの組合わせの検知が可能となる。
【実施例2】
【0012】
図2は、本発明の基地局の実施例を示す構成図であり、10は基地局、11a、11b、11c、11dは複数のアンテナ、31a、31b、31c、31dは伝送線路、32はアンテナスイッチ、33は発信手段、34は基準発振器、35は制御部である。
基地局10の複数のアンテナ11a〜11dは伝送線路31a〜31dを介してアンテナスイッチ32に接続されており、制御部35によって基準発振器37に同期して周期的に切換えられている。発信手段33からは報知情報を含む高周波信号がバースト状に発信され、アンテナスイッチ32により周期的に切換えられ、伝送線路31a〜31dを経由して当該複数のアンテナ11a〜11dから空間に放射されている。
当該伝送線路31a〜31dは線路長が不均一に構成されるため、アンテナ11a〜11dから放射される高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号の位相は不均一となっている。
【0013】
例えば、伝送線路31aが他に比べて長い場合、アンテナ11aから放射される高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号の位相が遅れとなり、等価的に当該アンテナ11aは他のアンテナ11b〜11dに比べて奥まった間隔で設置されるのと等価になり、同様に、伝送線路31b〜31dの長さを調節することによってアンテナ11b〜11dの相対的な間隔が調節される。
前記のように配列すれば、アンテナ11a〜11dが同一面で下方向に向いて設置され携帯端末が当該アンテナ11a〜11dの真下に位置する場合でも、携帯端末と各アンテナ11a〜11dの間で高周波信号の伝送距離が同一でなく不均一となるので当該携帯端末の3次元の位置あるいは相互間の距離あるいは相互間の方向が検知できることになる。
【0014】
ここで、アンテナ11a〜11dの相対的な奥行き方向の間隔を調節するために伝送線路31a〜31dを挿入する例を示したが、固定あるいは可変の移相器あるいは遅延手段を用い、あるいはアンテナ11a〜11dの放射位相特性を不均一とする等の等価な方法を用いることができる。
また、アンテナ11a〜11dを切換える周期に合わせて、当該アンテナ11a〜11dから放射される高周波信号の搬送波周波数あるいは副搬送波周波数を変化させ、あるいは変調信号を変化させ、あるいは拡散符号を変化させるなどにより相対的な奥行き方向の間隔を調節するのと等価な効果が得られる。
【実施例3】
【0015】
図3は本発明のアンテナの実施例を示す断面図であり、81は複数のアンテナ11a〜11dを組み立てたアンテナ部、82はアンテナ11aとアンテナ11dの上下方向の間隔、83はアンテナ11cと11dの左右方向の間隔、84はアンテナ11bとアンテナ11cの上下方向の間隔、85はアンテナ11aと11bの左右方向の間隔、86はアンテナ11cとアンテナ11dの前後方向の間隔、87はアンテナ11aと11bの前後方向の間隔、88はアンテナ11bと11dの前後方向の間隔である。
【0016】
アンテナ部81の各間隔82〜88の一部あるいは全部を不均一としおよび/あるいは当該アンテナ部81を水平面に対して下向き方向あるいは上向き方向あるいは横向き方向に対して傾斜角を持たせあるいはこれらを組合わせて設置される。
前記のように配列すれば、アンテナ部81が下方向に向いて設置され携帯端末が当該アンテナ部81の真下に位置する場合でも、携帯端末と当該アンテナ部81の各アンテナ11a〜11dの間で高周波信号の伝送距離が同一でなく不均一となるので当該携帯端末の3次元の位置あるいは相互間の距離あるいは相互間の方向が検知できることになる。
【0017】
ここで、各アンテナ11a〜11dの配列および間隔は一例を示したものであり、任意の組合わせで配列することができる。
また、当該複数のアンテナ11a〜11dの一部あるいは全部の接続端子に高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の位相を進めあるいは遅らせるための固定あるいは可変の移相手段を接続し、等価的に当該アンテナ11a〜11dの一部あるいは全部の伝送線路長を不均一にすることで同様な効果が得られる。
また、当該複数のアンテナ11a〜11dの一部あるいは全部から放射される高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の位相あるいは遅延時間あるいはこれらの両方が等価的に不均一になることでも同様な効果が得られる。
【実施例4】
【0018】
図4は、本発明の基地局の他の実施例を示す構成図であり、10は基地局、11a、11b、11c、11dは複数組のアンテナ、11a1〜11a4、11b1〜11b4、11c1〜11c4、11d1〜11d4は各組内の複数のアンテナ、31a、31b、31c、31dは伝送線路、32はアンテナスイッチ、33は発信手段、34は基準発振器、35は制御部である。
基地局10の複数組のアンテナ11a〜11dは、内部にアンテナスイッチを内蔵し各組内の複数のアンテナ11a1〜11a4、11b1〜11b4、11c1〜11c4、11d1〜11d4を周期的に切換えており、伝送線路31a〜31dを介してアンテナスイッチ32に接続されており、制御部35によって基準発振器37に同期して周期的に切換えられている。発信手段33からは報知情報を含む高周波信号がバースト状に発信され、アンテナスイッチ32により周期的に切換えられ、伝送線路31a〜31dを経由して当該複数組のアンテナ11a〜11dに内蔵された複数のアンテナ11a1〜11a4、11b1〜11b4、11c1〜11c4、11d1〜11d4から空間に放射されている。
【0019】
当該複数組のアンテナ11a、11b、11c、11d内の複数のアンテナ11a1〜11a4、11b1〜11b4、11c1〜11c4、11d1〜11d4の各組内での任意の組合わせの間隔が当該高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の1波長以内であり、さらに当該複数組のアンテナ11a、11b、11c、11dの任意の組合わせの間隔が当該高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の1波長以上になるように設けられ、
当該伝送線路31a〜31dの線路長は当該複数組のアンテナ11a、11b、11c、11dの設置位置で決まり、複数組のアンテナ11a〜11dから放射される高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号の位相も複数組のアンテナ11a、11b、11c、11dの設置位置で決まる。
【0020】
前記のように配列すれば、複数組のアンテナ11a〜11dが同一面で下方向に向いて設置され携帯端末が当該複数組のアンテナ11a〜11dのいずれかの真下に位置する場合でも、当該携帯端末のアンテナの高さをデフオルト値としあるいはその都度入力することなく携帯端末の3次元の位置あるいは相互間の距離あるいは相互間の方向が検知できることになる。
ここで、複数組のアンテナ11a〜11dを切換える周期に合わせて、当該複数組のアンテナ11a〜11dから放射される高周波信号の搬送波周波数あるいは副搬送波周波数を変化させ、あるいは変調信号を変化させ、あるいは拡散符号を変化させるなどにより基地局10と携帯端末との距離を検知することができる。
【0021】
また、複数組のアンテナ11a〜11dの内の少なくとも一組が複数のアンテナあるいは送受波器であり当該複数のアンテナあるいは送受波器の任意の組合わせが当該超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の1波長以内の間隔で設けられ、残りの複数組が単一のアンテナあるいは送受波器であり当該複数組の単一のアンテナあるいは送受波器の任意の組合わせが当該超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の1波長以上の間隔で設けられる場合でも同様な効果が得られる。
【実施例5】
【0022】
図5は本発明の位置検知プログラムの基本となる伝送路の概念図であり、68a、68b、68c、68dは高周波信号の伝送路、69は携帯端末20の3次元の位置、70a、70b、70c、70dは複数あるいは複数組のアンテナ11a〜11dの3次元の位置、71a、71b、71c、71dは複数のアンテナ11a〜11dを中心とする球面である。
アンテナ11aから発信され伝送路68aを経由して球面71aに到達した時の高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の位相は当該高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の波長をλとすると(2πLa/λ)であり、同様に、伝送路68bを経由して球面71bに到達した時には(2πLb/λ)、伝送路68cを経由して球面71cに到達した時には(2πLc/λ)、伝送経路68dを経由して球面71に到達した時には(2πLd/λ)となる。各アンテナ11a〜11dから発信された高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の位相は同期して切替えられているので発信された時点では同一の位相であることから、伝送路68a〜68dを経由した時の相対位相を検出できる。
【0023】
当該複数のアンテナ11a〜11dの任意の組合わせの間隔を高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の波長の1波長以上として不均一な配置とし、当該複数のアンテナ11a〜11dの位置70a〜70dの座標を(X1a、Y1a、Z1a)、(X1b、Y1b、Z1b)、(X1c、Y1c、Z1c)、(X1d、Y1d、Z1d)とし携帯端末の座標を(X2、Y2、Z2)とすると、伝送路68a〜68dを経由して球面71a〜71dに到達した時の高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の位相が(2πLa/λ)、(2πLb/λ)、(2πLc/λ)、(2πLd/λ)となる関係から、連立方程式を作成し誤差が小さくなるよう線形最小二乗法の手法を用いてプログラムを構成することで、携帯端末の3次元の位置座標(X2、Y2、Z2)を求めることができる。
【0024】
このとき、例えばσを標準偏差とすると、各々の位相測定にσθa、σθb、σθc、σθdの誤差を生じるので、測定値の誤差はそれぞれ(2πLa/λ)+σθa、(2πLb/λ)+σθb、(2πLc/λ)+σθc、(2πLd/λ)+σθdとなる。位置検知演算の前に位相差の測定を複数回行った平均値を用いることで、位置検知演算処理の負荷を押さえながらも、σθa、σθb、σθc、σθdの誤差を軽減することができる。
また、複数組のアンテナ11a〜11dから発信される高周波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の位相は均一でなくても良く、各組毎のアンテナ11a1〜11a4、11b1〜11b4、11c1〜11c4、11d1〜11d4位相差が規定値以内であれば良く、各組内のアンテナ11a1〜11a4、11b1〜11b4、11c1〜11c4、11d1〜11d4間に規定値からの誤差がある場合には補正値を設けて検出した相対位相から補正値を加算あるいは減算して算出する必要がある。
【0025】
また、当該複数のアンテナ11a〜11dの任意の組合わせの配置あるいは間隔が、機械的な配置あるいは間隔と電気的な配置あるいは間隔が異なる場合にも補正係数を設けて補正する必要がある。
また、当該相対位相を算出する際に線形最小二乗法あるいは誤差の発生の少ない手法により平均値を求めることにより算出することも可能である。
また、最小二乗法により位置の検知を行った結果を時系列に記憶して位置の軌跡を求め、最小二乗法により過去の軌跡からの分散を求め、その中心となる軌跡から現在の位置を推定あるいは確定させることができる。
また、前記の携帯端末20の3次元の位置70以外にも3次元の距離あるいは方向あるいはこれらの組合わせを高精度で検知することができる。
【0026】
以上の説明では、複数回の測定値を最小二乗法で平均値を求める場合について述べたが、平均値を求める時点に近いものほど重み付けを行ういわゆる加重平均あるいは移動平均により行うことも可能である。
また、N回の平均値をとることで、位相差あるいは時間差の測定精度を、95%の確かさで、±σ/(√N)以内に予測することが可能となる。
【0027】
また、当該発信手段から超音波トランスデューサあるいは超音波送波器を用いて超音波信号を発信し、当該受信手段において超音波トランスデューサあるいは超音波受波器を用いて超音波信号を受信し、あるいは当該発信手段において発光ダイオードあるいはレーザーダイオードを用いて光信号を発信し当該受信手段においてホトダイオードを用いて光信号を受信することでも同様な効果が得られる。なお、本出願では、超音波トランスデューサあるいは超音波送受波器と発光ダイオードあるいはレーザーダイオードあるいはホトダイオードを総称して送受波器と呼称するものとする。また、送受波器の送波器あるいは受波器のみを用いる場合でも送受波器として記載している。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、上記のように構成されているため、周期的に切替えられる複数のアンテナあるいは送受波器の任意の組合わせに対して、基地局と携帯端末間の超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号の伝送路長を不均一とすることで、携帯端末の3次元の位置あるいは距離あるいは方向あるいはこれらの組合わせが高精度で検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例を示す概念図である。
【図2】本発明の基地局の実施例を示す構成図である。
【図3】本発明のアンテナの実施例を示す断面図である。
【図4】本発明の基地局の他の実施例を示す構成図である。
【図5】本発明の位置検知プログラムの基本となる伝送路の概念図である。
【図6】従来の実施例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0030】
1 無線マーカ
2 受信手段
3 携帯可能な端末の位置
10 基地局
11a、11b、11c、11d アンテナ
31a、31b、31c、31d 伝送線路
32 アンテナスイッチ
33 発信手段
34 基準発振器
35 制御部
61 アンテナ11a→アンテナ11bの方向
62 無線マーカのアンテナの垂直面からの角度
63 無線マーカのアンテナの高さ
64 受信手段のアンテナの高さ
65 無線マーカのアンテナの真下からの距離
66 無線マーカのアンテナの垂直面を延長した距離
67 無線マーカのアンテナの垂直面の角度
68a、68b、68c、68d アンテナ11a〜11dから携帯端末への伝送経路
69 基地局の3次元の位置
69a、69b、69c、69d 基地局のアンテナの3次元の位置
70 携帯端末の3次元の位置
71a、71b、71c、71d 伝送経路を経由して到達した時の球面
81 複数のアンテナ11a〜11dを組み立てたアンテナ部
82 アンテナ11aとアンテナ11dの上下方向の間隔
83 アンテナ11cと11dの左右方向の間隔
84 アンテナ11bとアンテナ11cの上下方向の間隔
85 アンテナ11aと11bの左右方向の間隔
86 アンテナ11cとアンテナ11dの前後方向の間隔
87 アンテナ11aと11bの前後方向の間隔
87 アンテナ11bと11dの前後方向の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を利用した検知システムにおいて、
搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはデジタル符号あるいはこれらの組合わせにより構成される超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を複数のアンテナあるいは送受波器を周期的に切替えながら発信するための第一の発信手段および/あるいは周期的に切替えながら受信するための第一の受信手段と当該第一の発信手段から発信される超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を受信するための第二の受信手段および/あるいは当該第一の受信手段に向けて超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を発信するための第二の発信手段から構成され、
当該第一の発信手段あるいは第一の受信手段の複数のアンテナあるいは送受波器の任意の組合わせが当該超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の1波長以内の間隔で設けられ当該複数のアンテナあるいは送受波器の任意の組合わせの少なくとも間隔あるいは配置あるいは接続する線路長が不均一であり、
当該第一受信手段あるいは第二の受信手段が入力信号を直接増幅しあるいは少なくとも副搬送波信号あるいは中間周波信号あるいはベースバンド信号に変換するために必要な受信機と当該受信機の出力信号を基準発振器に同期してデジタル信号に変換し当該受信機の出力信号からタイミングあるいは振幅あるいは周波数あるいは位相あるいは位相を主とするこれらの組合せを検出するための信号検出器を有し、
当該信号検出器において当該タイミングあるいは振幅あるいは周波数あるいは位相あるいは位相を主とするこれらと等価な組合せを当該第一の発信手段あるいは第一の受信手段の複数のアンテナあるいは送受波器を切替える周期に合わせて積和演算器あるいは高速フーリエ変換器あるいは同等な手段を用いてリアルタイムで検出しあるいはメモリに蓄積した後に後処理を行って検出し当該検出結果から最小二乗法あるいは双曲線航法あるいはこれらと等価な方法によって当該第二の受信手段および/あるいは第二の発信手段のアンテナあるいは送受波器に関する高さの情報を入力することなく当該第二の受信手段および/あるいは第二の発信手段の3次元の位置あるいは距離あるいは方向あるいはこれらの組合わせを検知することを特徴とする位置検知装置および位置検知プログラム
【請求項2】
超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を利用した検知システムにおいて、
搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはデジタル符号あるいはこれらの組合わせにより構成される超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を複数のアンテナあるいは送受波器を周期的に切替えながら発信するための第一の発信手段および/あるいは周期的に切替えながら受信するための第一の受信手段と当該第一の発信手段から発信される超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を受信するための第二の受信手段および/あるいは当該第一の受信手段に向けて超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を発信するための第二の発信手段から構成され、
当該第一の発信手段あるいは第一の受信手段の複数のアンテナあるいは送受波器がさらに複数組に分けられており同一組内の複数のアンテナあるいは送受波器の任意の組合わせが当該超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の1波長以内の間隔で設けられ異なる複数組の任意の組合わせが当該超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の1波長以上の間隔で設けられ、
当該第一受信手段あるいは第二の受信手段が入力信号を直接増幅しあるいは少なくとも副搬送波信号あるいは中間周波信号あるいはベースバンド信号に変換するために必要な受信機と当該受信機の出力信号を基準発振器に同期してデジタル信号に変換し当該受信機の出力信号からタイミングあるいは振幅あるいは周波数あるいは位相あるいは位相を主とするこれらの組合せを検出するための信号検出器を有し、
当該信号検出器において当該タイミングあるいは振幅あるいは周波数あるいは位相あるいは位相を主とするこれらと等価な組合せを当該第一の発信手段あるいは第一の受信手段の複数のアンテナあるいは送受波器を切替える周期に合わせて積和演算器あるいは高速フーリエ変換器あるいは同等な手段を用いてリアルタイムで検出しあるいはメモリに蓄積した後に後処理を行って検出し当該検出結果から最小二乗法あるいは双曲線航法あるいはこれらと等価な方法によって当該第二の受信手段および/あるいは第二の発信手段のアンテナあるいは送受波器に関する高さの情報を入力することなく当該第二の受信手段および/あるいは第二の発信手段の3次元の位置あるいは距離あるいは方向あるいはこれらの組合わせを検知することを特徴とする位置検知装置および位置検知プログラム
【請求項3】
超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を利用した検知システムにおいて、
搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはデジタル符号あるいはこれらの組合わせにより構成される超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を複数のアンテナあるいは送受波器を周期的に切替えながら発信するための第一の発信手段および/あるいは周期的に切替えながら受信するための第一の受信手段と当該第一の発信手段から発信される超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を受信するための第二の受信手段および/あるいは当該第一の受信手段に向けて超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号を発信するための第二の発信手段から構成され、
当該第一の発信手段あるいは第一の受信手段の複数のアンテナあるいは送受波器がさらに複数組に分けられており少なくとも一組が複数のアンテナあるいは送受波器で構成され当該複数のアンテナあるいは送受波器の任意の組合わせが当該超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の1波長以内の間隔で設けられ残りの複数組が単一のアンテナあるいは送受波器で構成され当該残りの複数組の任意の組合わせが当該超音波信号あるいは高周波信号あるいは光信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号あるいは変調信号あるいはベースバンド信号の1波長以上の間隔で設けられ、
当該第一受信手段あるいは第二の受信手段が入力信号を直接増幅しあるいは少なくとも副搬送波信号あるいは中間周波信号あるいはベースバンド信号に変換するために必要な受信機と当該受信機の出力信号を基準発振器に同期してデジタル信号に変換し当該受信機の出力信号からタイミングあるいは振幅あるいは周波数あるいは位相あるいは位相を主とするこれらの組合せを検出するための信号検出器を有し、
当該信号検出器において当該タイミングあるいは振幅あるいは周波数あるいは位相あるいは位相を主とするこれらと等価な組合せを当該第一の発信手段あるいは第一の受信手段の複数のアンテナあるいは送受波器を切替える周期に合わせて積和演算器あるいは高速フーリエ変換器あるいは同等な手段を用いてリアルタイムで検出しあるいはメモリに蓄積した後に後処理を行って検出し当該検出結果から最小二乗法あるいは双曲線航法あるいはこれらと等価な方法によって当該第二の受信手段および/あるいは第二の発信手段のアンテナあるいは送受波器に関する高さの情報を入力することなく当該第二の受信手段および/あるいは第二の発信手段の3次元の位置あるいは距離あるいは方向あるいはこれらの組合わせを検知することを特徴とする位置検知装置および位置検知プログラム

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−212424(P2007−212424A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39665(P2006−39665)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(395007299)有限会社アール・シー・エス (51)
【出願人】(594032850)三菱電機情報ネットワーク株式会社 (11)
【Fターム(参考)】