説明

位置決め装置

【課題】薄型シート状物を位置決め領域に確実に落下させながらも薄型シート状物の位置決めを正確に行う。
【解決手段】薄型シート状物を、該薄型シート状物の外形と略等しい形状を具備する位置決め領域30に落下させることによって薄型シート状物の位置決めを行う構成において、位置決め領域30の角部に第1の高さを具備して起立して設けられ、薄型シート状物の角部及び該角部を挟んだ二辺の一部に当接する枠部材10a〜10dと、2つの枠部材10a〜10d間に第1の高さ以上となる第2の高さを具備して起立して設けられ、位置決め領域30の外形上と位置決め領域30の外側との間にて往復振動する枠部材20a〜20dとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムや紙、ラベル等の薄型シート状物を位置決めする位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴い、情報が書き込まれたカードによってショッピング等を利用可能とするサービスが行われている。このようなサービスにおいては、予め所定のカードにその用途に応じて決められた情報を書き込んでおき、サービスを利用する場合に、カードに書き込まれた情報を読み取り、読み取った情報を用いてサービスの提供が行われる。昨今、このようなカードとして、カードに対して非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことが可能なICが搭載された非接触型ICカードがその優れた利便性から急速な普及が進みつつあるが、このような非接触型ICカードは、フィルム基材上に、アンテナが形成されるとともにこのアンテナを介して非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能なICチップが搭載されたインレットと呼ばれる部品が内蔵されている。
【0003】
このようなインレット等の薄型シート状物においては、製造工程において次の工程のために位置決めが要求される場合がある。その場合、例えば、薄型シート状物を案内壁によって囲まれる領域に落下させ、その案内壁によって薄型シート状物を位置決めし、その後、案内壁によって囲まれた領域から薄型シート状物を取り出すことが行われている。ところが、案内壁によって囲まれる領域が薄型シート状物の外形とほぼ同一である場合、薄型シート状物が落下する際に案内壁にひっかかって斜めの状態となってしまい、また、それを回避するために、案内壁によって囲まれる領域を薄型シート状物の外形よりも広くすると、薄型シート状物の位置決めを正確に行うことができなくなってしまう。
【0004】
ここで、案内壁に振動を加えることにより、薄型シート状物を下方に落下させていく技術が考えられている(例えば、特許文献1,2参照)。この技術を用いれば、案内壁によって囲まれる領域を薄型シート状物の外形とほぼ同一としながらも、薄型シート状物が落下する際に案内壁にひっかかって斜めの状態となってしまうことを回避できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2987135号公報
【特許文献2】実開平5−69009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したように薄型シート状物を位置決めするための案内壁に振動を加える場合、案内壁によって囲まれる領域に薄型シート状物が落下した後に案内壁の振動を停止した際、案内壁の元の位置の再現性が低くなり、薄型シート状物の位置決めを正確にできなくなってしまう虞れがある。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、薄型シート状物を位置決め領域に落下させることによって薄型シート状物の位置決めを行う構成において、薄型シート状物を位置決め領域に確実に落下させながらも薄型シート状物の位置決めを正確に行うことができる位置決め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
薄型シート状物を、該薄型シート状物の外形と略等しい形状を具備する位置決め領域に落下させることによって前記薄型シート状物の位置決めを行う位置決め装置であって、
前記位置決め領域の角部に第1の高さを具備して起立して設けられ、薄型シート状物の角部及び該角部を挟んだ二辺の一部に当接する第1の枠部材と、
2つの前記第1の枠部材間に前記第1の高さ以上となる第2の高さを具備して起立して設けられ、前記位置決め領域の外形上と前記位置決め領域の外側との間にて往復振動する第2の枠部材とを有する。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、薄型シート状物が位置決めのために位置決め領域に上方から供給されると、まず、第2の高さを具備する第2の枠部材にその端辺が当接する。第2の枠部材は、薄型シート状物と略同一の形状を具備する位置決め領域の外形と位置決め領域の外側との間にて往復振動するものであるため、第2の枠部材が位置決め領域の外側に位置する状態において、薄型シート状物は第2の枠部材に端辺がひっかかることなく当接し、第2の枠部材の振動によって斜めにならずに位置決め領域に落下していく。この際、位置決め領域に落下していく薄型シート状物は、第2の枠部材が位置決め領域の外形に位置する状態になると、第2の高さ以下となる第1の高さを具備する第1の枠部材に角部及びその角部を挟んだ二辺の一部が当接し、その状態で第2の枠部材の振動によって位置決め領域に落下していく。このようにして位置決め領域に落下した薄型シート状物は、第1の枠部材に角部及びその角部を挟んだ二辺の一部が当接した状態となっているが、第1の枠部材が、薄型シート状物と略同一の形状を具備する位置決め領域の外形の角部に設けられていることにより、薄型シート状物は位置決め領域に正確に位置決めされた状態となる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明においては、薄型シート状物が位置決めのために落下する位置決め領域の角部に第1の高さを具備して起立して設けられ、薄型シート状物の角部及び該角部を挟んだ二辺の一部に当接する第1の枠部材と、2つの第1の枠部材間に第1の高さ以上となる第2の高さを具備して起立して設けられ、位置決め領域の外形上と位置決め領域の外側との間にて往復振動する第2の枠部材とを有する構成としたため、上方から供給された薄型シート状物が、第2の枠部材にその端辺が当接しながら第2の枠部材の振動によって落下していき、位置決め領域の角部に設けられた第1の枠部材に角部及びその角部を挟んだ二辺の一部が当接した状態で位置決め領域に落下することとなり、それにより、薄型シート状物を位置決め領域に落下させることによって薄型シート状物の位置決めを行う構成において、薄型シート状物を位置決め領域に確実に落下させながらも薄型シート状物の位置決めを正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の位置決め装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は上面から見た図である。
【図2】図1に示した第2の枠部材の動作を説明するための図である。
【図3】図1に示した位置決め装置にて位置決めされる薄型シート状物の一例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したインレットシートが連続状となった状態を示す図である。
【図4】図3に示したインレットシートが図1に示した位置決め装置にて位置決めされる際の動作を説明するための図であり、(a)〜(d)は位置決め装置の側面方向から説明する図、(e)〜(h)は位置決め装置の上面方向から説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の位置決め装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は上面から見た図である。
【0014】
本形態は図1に示すように、フィルムや紙、ラベル等の薄型シート状物が位置決めされる位置決め領域30が底面に設けられ、この位置決め領域30が枠部材10a〜10d,20a〜20dに囲まれ、上面が全面開口した構成となっている。
【0015】
位置決め領域30は、位置決めされる薄型シート状物の外形と略等しい形状を有して位置決め装置1の底面に設けられ、周縁部が支え部31となり、それ以外の部分が開口部32となっている。
【0016】
枠部材10a〜10dは、本発明の第1の枠部材となるものであって、直角をなす2つの平面からなり、位置決め領域30の4つの角部にてそれぞれ第1の高さh1を有して起立している。そして、枠部材10a〜10dをそれぞれ構成する2つの平面が位置決め装置1の内側にて直角を形成し、かつ、2つの平面が交差する部分が位置決め領域30の4つの角部上に配置されるように設けられている。
【0017】
枠部材20a〜20dは、本発明の第2の枠部材となるものであって、平面からなり、2つの枠部材10a〜10d間にてそれぞれ第2の高さh2を有して起立している。具体的には、枠部材20aは、枠部材10aと枠部材10cとの間に設けられ、枠部材20bは、枠部材10bと枠部材10dとの間に設けられ、枠部材20cは、枠部材10aと枠部材10bとの間に設けられ、枠部材20dは、枠部材10cと枠部材10dとの間に設けられている。
【0018】
このように、位置決め領域30が枠部材10a〜10d,20a〜20dに囲まれて構成されているが、枠部材10a〜10d,20a〜20dは、対向するものどうしの間隔が、この位置決め装置1にて位置決めされる薄型シート状物の外形に対して+0.1mm〜0.3mm程度のマージンを有しており、それにより、位置決め領域30の形状が、薄型シート状物の外形と略等しいものとなっている。また、枠部材20a〜20dの高さh2は、枠部材10a〜10dの高さh1以上となっている。
【0019】
以下に、上記のように構成された位置決め装置1の動作について説明する。
【0020】
まず、枠部材20a〜20dの動作について説明する。
【0021】
図2は、図1に示した枠部材20a〜20dの動作を説明するための図である。
【0022】
図1に示した枠部材20a〜20dは、枠部材20aと枠部材20bとが対向し、枠部材20cと枠部材20dとが対向しているが、これら対向する方向に往復振動する。具体的には、枠部材20aは枠部材20bと対向する方向に往復振動し、枠部材20bは枠部材20aと対向する方向に往復振動し、枠部材20cは枠部材20dと対向する方向に往復振動し、枠部材20dは枠部材20cと対向する方向に往復振動する。
【0023】
枠部材20a〜20dは、対向する枠部材20a〜20dに最も近づく位置に移動したときは、図2(a)に示すように位置決め領域1の外形上に位置し、対向する枠部材20a〜20dから最も離れた位置に移動したときは、図2(b)に示すように位置決め領域1の外側に位置する。すなわち、枠部材20a〜20dは、位置決め領域30の外形上と位置決め領域30の外側との間にて往復振動することになる。なお、枠部材20a〜20dの往復振動は、電気制御やエアー制御等によって行うことが考えられる。
【0024】
次に、この位置決め装置1にて位置決めされる薄型シート状物について説明する。
【0025】
図3は、図1に示した位置決め装置1にて位置決めされる薄型シート状物の一例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したインレットシート2が連続状となった状態を示す図である。
【0026】
図1に示した位置決め装置1にて位置決めされる薄型シート状物としては、例えば、図3に示すようなインレットシート2が考えられる。
【0027】
このインレットシート2は図3(a),(b)に示すように、フィルム基材3上に、2つの導電体部5a,5bが対向して形成されているとともに、この導電体部5a,5bに接続されるようにICチップ4が搭載されて構成されている。そして、カード基材に内蔵されたり、紙やラベル基材に貼着されたりして使用され、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、2つの導電体部5a,5bからなるアンテナ5が情報書込/読出装置からの電波に共振して電力が生じ、この電力がICチップ4に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ4に情報が書き込まれたり、ICチップ4に書き込まれた情報が情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
【0028】
このようなインレットシート2は、図3(c)に示すように、連続状となって製造され、その後、検査が行われて単片状に断裁される。そして、検査の結果、良品と判定されたもののみが、位置決め装置にて位置決めされ、その後、次の工程に送られていくことになる。
【0029】
次に、図3に示したインレットシート2が図1に示した位置決め装置1にて位置決めされる際の動作について説明する。
【0030】
図4は、図3に示したインレットシート2が図1に示した位置決め装置1にて位置決めされる際の動作を説明するための図であり、(a)〜(d)は位置決め装置1の側面方向から説明する図、(e)〜(h)は位置決め装置1の上面方向から説明する図である。
【0031】
図3に示したインレットシート2を位置決めするために、図1に示した位置決め装置1の上方からインレットシート2が供給されると、まず、枠部材20a〜20dの高さh2が枠部材10a〜10dの高さh1以上となっていることにより、供給されたインレットシートは、その端辺が枠部材10a〜10dに当接する前に枠部材20a〜20dに当接する。ここで、枠部材20a〜20dは、上述したように位置決め領域30の外形上と位置決め領域30の外側との間にて往復振動しているため、例えば、図4(a),(e)に示すように、位置決め装置1に供給されたインレットシート2が位置決め領域30にて位置決めされる位置に対して枠部材10c側にずれた場合であっても、インレットシート2が枠部材20a〜20dにひっかかることなく、枠部材20a,20dが位置決め領域30の外側に位置している状態にてその端辺が枠部材20a,20dに当接する。
【0032】
そして、枠部材20a〜20dが振動することによってインレットシート2が位置決め装置1の下方に落下している状態において、枠部材20a,20dがその振動に伴って位置決め領域30の外形上に移動すると、図4(b),(f)に示すように、枠部材20a〜20dの移動に伴って位置決め領域30の上方に移動する。これにより、インレットシート2は、角部とその角部を挟んだ二辺の一部がそれぞれ枠部材10a〜10dに当接する。
【0033】
その後、インレットシート2は位置決め装置1の下方に落下していくが、枠部材20a〜20dが振動していることにより、インレットシート2は、例え斜めになったとしても、図4(c),(g)に示すように、枠部材10a〜10d,20a〜20dに引っ掛からずに位置決め装置1の下方に落下していく。この際、インレットシート2は、角部とその角部を挟んだ二辺の一部がそれぞれ枠部材10a〜10dに当接しているため、枠部材20a〜20dがその振動によって位置決め領域30の外側に位置している状態となっても、インレットシート2は、位置決め領域30の上方に配置された状態が維持される。
【0034】
そして、図4(d),(h)に示すように、インレットシート2は、角部とその角部を挟んだ二辺の一部がそれぞれ枠部材10a〜10dに当接した状態のまま位置決め領域30に落下し、位置決め領域30において支え部31にて支えられた状態で正確に位置決めされる。
【0035】
このように、上方から供給されたインレットシート2が、枠部材20a〜20dにその端辺が当接しながら枠部材20a〜20dの振動によって落下していき、位置決め領域30の角部に設けられた枠部材10a〜10dに角部及びその角部を挟んだ二辺の一部が当接した状態で位置決め領域30に落下することにより、インレットシート2を位置決め領域30に落下させることによってインレットシート2の位置決めを行う構成において、インレットシート2を位置決め領域30に確実に落下させながらもインレットシート2の位置決めを正確に行うことができる。
【0036】
このようにしてインレットシート2が支え部31にて支えられた状態で位置決め領域30にて位置決めされると、位置決め装置1の底面に設けられたセンサ(不図示)にてその旨が検知され、位置決め装置1の下方に設けられたバキューム装置(不図示)によって、位置決め領域30にて位置決めされたインレットシート2が開口部32から吸着されて取り出されることになる。
【符号の説明】
【0037】
1 位置決め装置
2 インレットシート
3 フィルム基材
4 ICチップ
5 アンテナ
5a,5b 導電体部
6 ラベル基材
10a〜10d,20a〜20d 枠部材
30 位置決め領域
31 支え部
32 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型シート状物を、該薄型シート状物の外形と略等しい形状を具備する位置決め領域に落下させることによって前記薄型シート状物の位置決めを行う位置決め装置であって、
前記位置決め領域の角部に第1の高さを具備して起立して設けられ、薄型シート状物の角部及び該角部を挟んだ二辺の一部に当接する第1の枠部材と、
2つの前記第1の枠部材間に前記第1の高さ以上となる第2の高さを具備して起立して設けられ、前記位置決め領域の外形上と前記位置決め領域の外側との間にて往復振動する第2の枠部材とを有する位置決め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−71814(P2013−71814A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212303(P2011−212303)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】