説明

位置決定装置及び移動体搭載端末

【課題】携帯端末で収集した車両の外での行動履歴情報を車載端末で活用することで、駐車地点と車両外の滞在地点とを関連付ける装置の提供を目的とする。
【解決手段】車載端末200は、測位位置と測位位置が測位された測位時刻とを含む異なる測位時刻ごとの複数の行動履歴オブジェクトを入力し、入力した複数の行動履歴情報における測位位置の時間変化から測位位置が停止していると認められる位置を停止決定位置として決定するとともに、電子地図上に定義された地点を示す地点情報オブジェクト501を地点ごとに記憶する地図地点情報データベース部205から、決定した停止決定位置に対応する地点情報オブジェクト501を抽出する目的地解析部209を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置を決定する位置決定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001−50760号公報(特許文献1)において、車両の停車期間の時刻計測を行い、この車両の停車期間が所定時間以上かどうかを判断することで、単なる一時停止状態を除外するようにした旨、記載があり、設定された目的地をその駐車位置情報とともに記録するようにしたと開示されている。
【0003】
また、特開2003−172622号公報(特許文献2)においては、目的地と駐車場を関連付けて学習・記憶しておくことで、次回以降、該目的地が選択された場合にはその目的地と関連付けられた駐車場へ案内・誘導できるようにした旨、記載がある一方、具体的には、あらかじめ目的地が設定されていることを前提に、該目的地と駐車場とを距離、時間等を参考に関連付けするか否か判断している。
【特許文献1】特開2001−50760号公報
【特許文献2】特開2003−172622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車載端末では、ユーザがあらかじめ目的地を検索・設定し、車載端末の案内に従って、車両を目的地へ向かわせ、そこで利用した駐車場を該目的地と関連付けるようにしており、次のような課題がある。
【0005】
ユーザが駐車後に車両を離れ、所用を実行する際、駐車地点から徒歩で向かったところが厳密にカーナビで設定した該目的地であるとは限らない。そのため、従来技術による方法では、ユーザにとっての本来の目的地ではない地点と駐車地点とが関連付けられて記録されることになる。このため、次回以降にユーザが目的地を記録の中から選択する際には、あえて異なる目的地を選ぶことを強いられる。
【0006】
また、ユーザが本来の目的地ではない異なる該目的地の名称を覚えていない場合、ユーザは記録の中から該目的地を的確に見つけることは容易ではなく、新たに目的地を検索・設定することになる。
【0007】
また、駐車後のユーザの本来の目的地が1つであるとは限らず、ユーザが徒歩にて複数の店舗や施設等へ向かう場合には、ユーザが車載端末であえて検索・設定した該目的地とはかけ離れた結果となり、そのような該目的地と駐車地点の関連付けによる記録は、ユーザにとっては分かりづらく有効ではない。
【0008】
この発明は、携帯端末で収集した車両の外での行動履歴情報を車載端末で活用することで、駐車地点と車両外の滞在地点とを関連付ける装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の位置決定装置は、
測位位置と測位位置が測位された測位時刻とを含む異なる測位時刻ごとの複数の行動履歴情報を入力し、入力した複数の行動履歴情報における測位位置の時間変化から測位位置が停止していると認められる位置を停止決定位置として決定するとともに、電子地図上に定義された地点を示す地点情報を地点ごとに記憶する地点情報記憶部から、決定した停止決定位置に対応する地点情報を抽出する位置決定部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明により、駐車地点と車両外の滞在地点とを関連付けることを可能にする装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1〜図13を用いて実施の形態1を説明する。実施の形態1は、次のような場合を想定する。ユーザは、車両100(移動体の一例)を運転してある目的地に向かう。目的地と目的地先の駐車位置とは離れている。ユーザは、車両100をある場所に駐車し、携帯端末300を持って、車両100から離れた場所にある目的地に向かう。このとき、携帯端末300が所定の時刻ごと位置を測位し、測位位置と、この測位時刻とを含む行動履歴オブジェクト401(行動履歴情報)を複数生成し記憶する。ユーザが車両100に戻ると、車両100に搭載されている車載端末200(例えばカーナビゲーション装置。以下、カーナビという場合がある)が車両100の停止期間中における、複数の行動履歴オブジェクト401を携帯端末300から取得し、複数の行動履歴オブジェクト401から携帯端末300が停止していたと認められる位置を「停止決定位置」として決定する。そして、車載端末200は、地図情報のデータベースを参照することにより、停止決定位置が電子地図上におけるいかなる場所かを取得し、取得した場所と、自己が搭載されている車両100の停止位置とを関連付ける。このように、車両100の停止期間中におけるユーザの滞在場所と車両の停止位置とを関連付けることにより、次回以降、ユーザの指定する真の目的地(前記ユーザの目的地)に適した駐車位置に、車両100を誘導することが可能となる。以下に、実施の形態1の詳細を説明する。
【0012】
図1は、実施の形態1における位置決定システムの概要を示す図である。図1において、ユーザの車両100には車載端末200が搭載されている。この車載端末200は、主に道案内を行なうための端末である。また、ユーザは携帯端末300を所有する。図1は、カーナビである車載端末200が、例えば携帯電話である携帯端末300に行動履歴オブジェクト401(行動履歴情報)の送信を要求し、携帯端末300が車載端末200に行動履歴オブジェクト401を送信している様子を示している。なお、行動履歴オブジェクト401の詳細は、図6で述べる。
【0013】
図2は、本実施の形態1における特徴部分を説明する概念図である。実施の形態1の特徴は、車載端末200が備える目的地解析部209の動作にある。図2を用いて、目的地解析部209の動作を説明する。車載端末200は、行動履歴オブジェクト401を順次生成する携帯端末300から、車両100の移動停止状態の期間中における一連の行動履歴オブジェクト401を受信する。目的地解析部209(位置決定部)は、受信した一連の行動履歴オブジェクト401から携帯端末300の停止位置と認められる停止決定位置を決定する。そして、車載端末200は、決定した停止決定位置に対応する地点情報オブジェクト501(地点情報)を、自己の備える地図地点情報データベース部205に格納している地図地点情報データベースから抽出する。一方、車載端末200は、自己の備える測位部である車載側位置座標受信装置から自己の駐車位置(移動体側停止位置)を取得する。そして、車載端末200は、取得した駐車位置と抽出した地点情報オブジェクト501(停止決定位置に対応する場所)とを関連付ける目的地オブジェクト503(関連付け情報)を生成して記憶する。これにより、駐車位置と、この駐車位置に対応するユーザの訪問先とを関連付けることができる。
【0014】
図3は、コンピュータである車載端末200のハードウェア資源の一例を示す図である。なお、携帯端末300もコンピュータであり、ハードウェア資源は、車載端末200と同様である。
【0015】
図3において、車載端末200は、プログラムを実行するCPU810(Central Processing Unit)を備えている。CPU810は、バス825を介してROM811(Read Only Memory)、RAM812(Random Access Memory)、表示部813、操作キー814、通信ボード815、測位部816、磁気ディスク装置820と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置820の代わりに、フラッシュメモリ、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などでもよい。
【0016】
RAM812は、揮発性メモリの一例であり、ROM811、磁気ディスク装置820、フラッシュメモリ等の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部、格納部、「〜データベース部」の一例である。
【0017】
通信ボード815、操作キー814などは、入力部、入力装置の一例である。また、通信ボード815、表示部813などは、出力部、出力装置の一例である。
【0018】
通信ボード815は、無線あるいは有線により、他の装置である携帯端末300等と通信を行う。
【0019】
磁気ディスク装置820には、オペレーティングシステム821(OS)、ウィンドウシステム822、プログラム群823、ファイル群824が記憶されている。プログラム群823のプログラムは、CPU810、オペレーティングシステム821、ウィンドウシステム822により実行される。
【0020】
上記プログラム群823には、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU810により読み出され実行される。
【0021】
ファイル群824には、以下に述べる実施の形態の説明において、「〜の判定結果」、「〜の算出結果」、「〜の抽出結果」、「〜の生成結果」、「〜の処理結果」として説明する情報や、データや信号値や変数値やパラメータなどが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。またファイル群824には、地図地点情報データベースや、目的地関連データベースなどが記憶される。「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU810によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・表示などのCPUの動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
【0022】
また、以下に述べる実施の形態の説明においては、データや信号値は、RAM812のメモリ、磁気ディスク装置820の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disk)等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス825や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0023】
また、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「手段」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM811に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU810により読み出され、CPU810により実行される。すなわち、プログラムは、以下に述べる「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、以下に述べる「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0024】
図4は、実施の形態1に車載端末200のブロック図である。車載端末200は、車載側位置座標受信装置201(測位部)と、目的地選択部202(目的地受け付け部)と、道案内処理部203と、地図地点情報管理部204と、地図地点情報データベース部205(地点情報記憶部)と、目的地関連データベース部206(関連付け情報記憶部)と、車載側通信装置207と、車載側通信処理部208と、目的地解析部209(位置決定部)と、位置座標取得部210と、停止状態検出部211と、不揮発性メモリ212と、表示部213とを備える。車載側通信装置207と車載側通信処理部208とは車載側通信部(受信部の一例)を構成する。
【0025】
(1)車載側位置座標受信装置201は、いわゆるGPS(Global Positioning System)を使って位置を知るための受信装置に相当するものであるが、本実施の形態1では、位置データを得る手段をGPSに限定しない。
(2)目的地選択部202は、ユーザから、目的地関連データベース部206の中から目的地の選択を受け付ける。また、ユーザは、目的地選択部202および地図地点情報管理部204を通して、地図地点情報データベース部205の中から地図上で地点を直接選択したり、あるいは多くの地点情報(地点情報オブジェクト501)の中から検索したりすることによって目的地を選択する。
(3)道案内処理部203は、いわゆるカーナビゲーションの基本機能であり、ユーザに地図を見せるとともに、電子地図上における現在位置や進行方向を図示したり、あるいは音声により目的地までの道案内を行なう。
(4)地図地点情報管理部204は、地図地点情報データベース部205に対して検索あるいは閲覧などを行う。
(5)地図地点情報データベース部205は、地図および店舗や公共施設、観光地など、地図上の数多くの地点の名称などの情報(地点情報オブジェクト501)を蓄えている。
(6)目的地関連データベース部206は、ユーザが登録した地点が蓄積されている。ユーザは、目的地選択部202を通して、目的地関連データベース部206の中から目的地を選択する。
(7)車載側通信装置207は、Bluetooth(登録商標)や無線LAN(Local Area Network)等の近距離通信や、携帯電話通信網、インターネット等の広域通信など、端末間の通信手段としてさまざまな種類があるが、本実施の形態1では、この種類を限定しない。
(8)車載側通信処理部208は車載側通信装置207を制御することにより他の装置とデータ通信を行う。
(9)目的地解析部209は、本実施の形態1の位置決定システムにおける主要部分である。目的地解析部209は、車載側通信処理部208が車載側通信装置207を介して他の装置から取得したデータ(行動履歴オブジェクト401)を解析して、その結果を目的地オブジェクト503として目的地関連データベース部206へ蓄積する。目的地解析部209の具体的な説明は、図10、図11を用いて後述する。
【0026】
図5は、携帯端末300の構成を示す。携帯端末300は、ユーザが常に持ち歩くものであり、本位置決定システムでは、ユーザが車両100を離れるときに携帯する。携帯端末300は、携帯側位置座標受信装置301(測位部)、行動履歴処理部302(行動履歴生成部)、行動履歴データベース部303(行動履歴記憶部)、携帯側通信装置304、携帯側通信処理部305、時計機能部306を備える。携帯側通信装置304と携帯側通信処理部305とは、携帯側通信部を構成する。
【0027】
(1)携帯側位置座標受信装置301は、車載端末200の車載側位置座標受信装置201と同様に、いわゆるGPSを使って位置を知るための受信装置に相当するものであるが、本実施の形態1では位置座標を得る手段をGPSに限定しない。
(2)行動履歴処理部302は、携帯端末300がいつどこにいたか、すなわち所有しているユーザがいつどこにいたかを記録を行なう。具体的には、行動履歴処理部302は、時刻を計測する機能を有する時計機能部306から得た現在時刻と、携帯側位置座標受信装置301から得たその時点における現在位置座標とを組み合わせた行動履歴オブジェクト401を生成する。行動履歴処理部302は、生成した行動履歴オブジェクト401を行動履歴データベース部303に蓄積する。行動履歴処理部302は、行動履歴オブジェクト401の生成および行動履歴データベース部303への蓄積という一連の動作を一定間隔で繰り返す。行動履歴オブジェクト401の詳細は、図6で述べる。
(3)携帯側通信処理部305は、携帯側通信装置304を介して、行動履歴データベース部303に蓄積された行動履歴オブジェクト401を、他の装置へ送信する。この実施の形態1における送信先は、車載端末200である。
(4)携帯側通信装置304は、Bluetooth(登録商標)や無線LAN等の近距離通信や、携帯電話通信網、インターネット等の広域通信など、端末間の通信手段としてさまざまな種類があるが、本実施の形態1ではこの種類を限定しない。
【0028】
図6は、行動履歴データベース部303に蓄積される行動履歴オブジェクト401のデータ形式の例を示す。行動履歴オブジェクト401は、「ID」、年、月を含む「日時」、「位置」で構成される。行動履歴処理部302は、行動履歴オブジェクト401に対して、生成順(日時順)に、識別番号である前記「ID」を振る。「日時」および「日時」に対応する「位置」は、行動履歴処理部302が、この行動履歴オブジェクト401を生成した時刻と位置座標である。
【0029】
次に図7を用いて、位置決定システムの動作の概要を説明する。図7は、位置決定システムの動作概要を示すシーケンス図である。
【0030】
ユーザは車両100を駐車する。車両100に搭載された車載端末200は、車両100の移動停止を確認すると、確認時における位置を測位するとともに測位時の時刻(後述の停止時刻t1)を計測して、測位位置と測位時刻(後述の停止時刻t1)とを記憶する(ステップS1)。ユーザは、車両100を駐車すると、携帯端末300を持って目的地に向かう。携帯端末300の行動履歴処理部302は、ユーザが車両100を離れ、徒歩またはその他の交通手段等により移動する間にも、一定間隔で時刻と位置座標とから構成される行動履歴オブジェクト401を生成し、生成した行動履歴オブジェクト401を行動履歴データベース部303に蓄積する(ステップS2)。ユーザが車両100に戻ると(ステップS3)、携帯端末300と車載端末200とが通信を開始する(ステップS4)。通信の開始は、車載端末200から携帯端末300を呼び出してもよいし、携帯端末300から車載端末200を呼び出しても良い。以下では、車載端末200から携帯端末300を呼び出す場合で説明する。
【0031】
車載端末200の目的地解析部209が車載側通信処理部208および車載側通信装置207を介して、携帯端末300へ駐車期間中の行動履歴オブジェクト401を要求する(ステップS11)。位置座標取得部210は、図示していない車載端末200の時計機能部から車両100の停止時刻t1と現在時刻t2(行動履歴オブジェクト401の要求を送信しようとする時刻)とを取得している。目的地解析部209は、行動履歴オブジェクト401の要求に停止時刻t1と現在時刻t2とを含め、停止時刻t1〜現在時刻t2における行動履歴オブジェクト401の送信を携帯端末300に要求する。
【0032】
携帯端末300の携帯側通信処理部305は、車載端末200からの行動履歴オブジェクト401の要求を受信すると、行動履歴データベース部303から駐車期間中(停止時刻t1〜現在時刻t2)の行動履歴オブジェクト401を取り出して送信する(ステップS12)。
【0033】
車載端末200の目的地解析部209は、携帯端末300から駐車期間中の一連の行動履歴オブジェクト401を受信すると(ステップS13)、ユーザが車両100を離れてどこに行ったかの解析を行なう(ステップS14)。そして、目的地解析部209は、この解析で、図10の説明で後述する目的地オブジェクト503及び駐車地点オブジェクト502を生成し、これらを目的地関連データベース部206へ登録する(ステップS15)。
【0034】
(車載端末200による車両100の移動停止状態の検出)
図8は、車両100を駐車するときの車載端末200の動作を示すフローチャートである。図8は、図7のステップS1の内容である。車載端末200の停止状態検出部211は、車両100の移動停止状態を監視している(ステップS101)。停止状態検出部211が車両100の移動停止を検出すると(ステップS102のYes)、位置座標取得部210は、車載側位置座標受信装置201から停止状態検出時における現在位置(移動体側停止位置)を取得するとともに図示していない車載側の時計機能部から現在位置を取得した時刻を取得し、車載端末200の不揮発性メモリ212に取得した現在位置(移動体側停止位置)と現在時刻(停止時刻t1である)とを書き込む(ステップS103)。停止状態検出部211は、車載端末200への車両100からの電源供給状態を監視し、ユーザが車両100を駐車するときにエンジンを切ることにより生じる自己(車載端末200)への電源供給の中止によって車両100の移動停止を判断してもよいし、車両100のタイヤの回転検知により移動停止を検出してもよいし、あるいは、GPSによる測位位置の「位置変化なし」を検出してもよい。
【0035】
(携帯端末300による行動履歴の収集)
図9は、携帯端末300の行動履歴処理部302による行動履歴オブジェクト401の生成を説明するフローチャートである。図9は、図7のステップS2の内容である。行動履歴処理部302は起動している間、行動履歴の収集を常時行なう。
【0036】
まず、行動履歴処理部302は、一定時間待機する(ステップS201)。行動履歴処理部302は、年月日及び時刻を計測する機能を有する時計機能部306から年月日を含む現在時刻を取得する(ステップS202)。また、行動履歴処理部302は、携帯側位置座標受信装置301から現在位置座標を取得する(ステップS203)。行動履歴処理部302は、取得した現在時刻および対応する現在位置座標とを含む行動履歴オブジェクト401を生成する(ステップS204)。行動履歴処理部302は、行動履歴オブジェクト401を行動履歴データベース部303へ登録する(ステップS205)。そして再びステップS201に戻って処理を繰り返す。
【0037】
(車載端末200による行動履歴オブジェクト401の解析処理)
次に、図10と図11とを用いて、車載端末200における行動履歴オブジェクト401の解析処理を説明する。図10は、目的地解析部209が行なう行動履歴オブジェクト401の解析処理を示すフローチャートであり、図7のステップS14、S15の内容である。また、図10の動作の主体は、目的地解析部209である。図11は、0番目から19番目までの20個の行動履歴オブジェクト401を示している。
【0038】
行動履歴オブジェクト401は外部端末等から得られるもので、この実施の形態1の場合は、携帯端末300から通信によって得られる。車両100の駐車期間中に携帯端末300で蓄積された行動履歴オブジェクト401の総数をNとする(ステップS301)。本設例では、N=100とする。行動履歴オブジェクト401の配列位置を指定するための変数I,Kを定義し、初期値をI=0,K=1とする(ステップS302)。KがN以下なら、ステップS304に進む。図11の例ではI=0、N=100であるので、ステップS304に進む。ステップS304では、目的地解析部209は、I番目とK番目の行動履歴オブジェクト401に含まれる位置座標を比較する。両者の位置座標が同じ場合(ステップS305のYES)、Kをインクリメントし(S306)、さらにステップS303に進む(ステップS306)。両者の位置座標が違う場合(ステップS305のNO)、I番目と(K−1)番目の行動履歴オブジェクト401それぞれに含まれる時刻の時差を算出する(ステップS308)。
【0039】
図11の例で説明する。S304において、目的地解析部209は、0番目(I=0)と1番目(K=1)の行動履歴オブジェクト401の位置座標を比較する。0番目と1番目の位置座標は「P0」で同じであるので、ステップS305からS306に進みKがインクリメントされてK=2となる。
【0040】
(I=0,K=2)
そして、ステップS306から、S303、S304に進む。S304において、目的地解析部209は、0番目(I=0)と2番目(K=2)の行動履歴オブジェクト401の位置座標を比較する。0番目と2番目の位置座標はともに「P0」で同じである。よって、ステップS305、S306と進みKがインクリメントされてK=3となる。
【0041】
(I=0、K=3)
そして、ステップS306からS303、S304に進む。S304において、目的地解析部209は、0番目(I=0)と3番目(K=3)の行動履歴オブジェクト401の位置座標を比較する。0番目と3番目の位置座標は、「P0」、「P1」であり、異なる。よって、ステップS305からS308に進む。
【0042】
S308では、目的地解析部209は、I番目と(K−1)番目の行動履歴オブジェクト401の時差を算出する。図11の設例では、現在、I=0、K=3である。よって、目的地解析部209は、0番目と2番目の行動履歴オブジェクト401の時差を算出する。即ち、目的地解析部209は、「T2−T0=△t2」を算出する。
【0043】
(S309のNo)
S309において、目的地解析部209は、算出した時間差が予め定められた設定値以上かどうかを判定する。目的地解析部209は、算出した時差が一定時間未満であればステップS307へ進み(ステップS309のYes)、IにKの値を代入する(ステップS307)。そしてステップS306へ進み、再びステップS303から繰り返す(ステップS306)。目的地解析部209が算出した「T2−T0=△t2」は、設定値を下回るとする。その場合、S307に進み、目的地解析部209はIにKの値を代入する。さらにS307に進み、目的地解析部209はKをインクリメントする。これによりI=3、K=4となる。
【0044】
(I=3、K=4)
I=3、K=4の状態でS303、S304に進む。S304において、目的地解析部209は、3番目(I=3)と4番目(K=4)の行動履歴オブジェクト401の位置座標を比較する。3番目と4番目の位置座標は、「P1」、「P2」であり、異なる。よって、ステップS305からS308に進む。S308では、目的地解析部209は、3番目と3番目の行動履歴オブジェクト401の時差を算出する。この場合、「T3−T3=0」を算出する。よってS309、S307、S306に進み、I=4、K=5となる。
【0045】
(I=4、K=5)
I=4、K=5の状態でS303、S304に進み、S304において、目的地解析部209は、4番目と5番目の行動履歴オブジェクト401の位置座標を比較する。4番目と5番目の位置座標は、「P2」、「P3」であり、異なる。よって、ステップS305からS308に進む。S308では、目的地解析部209は、4番目と4番目の行動履歴オブジェクト401の時差を算出する。この場合、「T4−T4=0」を算出する。よってS309、S307、S306に進み、I=5、K=6となる。
【0046】
(I=5、K=6)
I=5、K=6の状態でS303、S304に進み、S304において、目的地解析部209は、5番目と6番目の行動履歴オブジェクト401の位置座標を比較する。5番目と6番目の位置座標は、「P3」、「P4」であり、異なる。よって、ステップS305からS308に進む。S308では、目的地解析部209は、5番目と5番目の行動履歴オブジェクト401の時差を算出する。この場合、「T5−T5=0」を算出する。よってS309、S307、S306に進み、I=6、K=7となる。
【0047】
(I=6、K=7)
I=6、K=7の状態でS303、S304に進み、S304において、目的地解析部209は、6番目と7番目の行動履歴オブジェクト401の位置座標を比較する。6番目と7番目の位置座標は、いずれも「P4」である。よって、ステップS306に進む。S306では、目的地解析部209は、Kをインクリメントする。よって、I=6、K=8となる。
【0048】
(I=6、K=8)
S306からS303、S304と進み、S304において、I=6、K=8であるので、目的地解析部209は、6番目と8番目の行動履歴オブジェクト401の位置座標を比較する。図11では、6番目から16番目めでの位置座標が「P4」である。よって、目的地解析部209は、図10における破線で囲んだループを繰り返し処理する。すなわち、目的地解析部209は、破線で囲んだループにおいて、
K=7の場合のループで6番目と7番目の行動履歴オブジェクト401の位置座標を比較し、
K=8の場合のループで6番目と8番目の行動履歴オブジェクト401の位置座標を比較し、
K=9の場合のループで6番目と9番目の行動履歴オブジェクト401の位置座標を比較し、
以降同様に、K=16の場合のループで6番目と16番目の行動履歴オブジェクト401の位置座標を比較する。そしてK=17の場合、S304において、6番目と17番目の行動履歴オブジェクト401の位置座標を比較する。この場合、6番目の位置座標は「P4」であり、17番目の位置座標は「P5」であり、異なる。よってS305からS308に進む。ここでは、I=6、K=17である。
【0049】
(S308:I=6、K=17)
S308において、目的地解析部209は、6番目と16番目の行動履歴オブジェクト401の時間差を算出する。すなわち、目的地解析部209は、「T16−T6=△t10」を算出する。「T16−T6=△t10」は、S309において、設定値を越えるとする。その場合、処理はS310に進む。
【0050】
(目的地オブジェクト503の生成:S309のYES)
目的地解析部209は、算出した両者の時差が一定時間以上であれば(ステップS309のYES)、I番目の行動履歴オブジェクト401の位置座標を「停止決定位置」として決定し、この停止決定位置に相当する後述の地点情報オブジェクト501を、地図地点情報データベース部205から検索する(ステップS310)。図11の設例では、I=6である。よって、目的地解析部209は、6番目の行動履歴オブジェクト401の位置座標「P4」を「停止決定位置」として決定し、「停止決定位置」である「P4」に相当する地点情報オブジェクト501(地点情報)を、地図地点情報データベース部205の地点情報オブジェクト501から検索する。
【0051】
(地点情報オブジェクト501等について)
図12は、地点情報オブジェクト501、及び後述する駐車地点オブジェクト502と目的地オブジェクト503とを示している。図12を参照して地点情報オブジェクト501等を説明する。
(1)地点情報オブジェクト501は、地図地点情報データベース部205に格納されている情報であり、
店舗や公共施設、観光地など、電子地図上における数多くの地点の名称などの情報を含む。図12に示す例では、地点情報オブジェクト501は、地点情報オブジェクト501自身を識別する「地点ID」と、その地点に存在する店舗や公共施設等を示す「種類」と、その地点に存在する店舗や公共施設等の「名称」と、地点の位置座標を示す「位置」とから構成されている。
(2)駐車地点オブジェクト502は、目的地関連データベース部206に格納される情報であり、ステップS313にて生成される情報である。図12に示すように、駐車地点オブジェクト502は、駐車地点オブジェクト502自身を識別する「駐車地点ID」と、駐車地点を示す「位置」とから構成される。この「位置」は、図8のS103において停止状態検出部211が不揮発性メモリ212に格納した「移動体側停止位置」である。
(3)目的地オブジェクト503は、目的地関連データベース部206に格納される情報であり、地点情報オブジェクト501と駐車地点オブジェクト502とを関連付ける情報である。目的地オブジェクト503は、ステップS314にて生成される。図12に示すように、目的地オブジェクト503は、目的地オブジェクト503自身を識別する「目的地ID」と、地点情報オブジェクト501の有する「地点ID」と、駐車地点オブジェクト502の有する「駐車地点ID」とから構成される。目的地オブジェクト503は、「地点ID」と「駐車地点ID」とにより、これらを有する地点情報オブジェクト501と駐車地点オブジェクト502とを関連付けている。
【0052】
(ステップS311以降)
目的地解析部209は、現在の駐車位置座標(図8のS103で不揮発性メモリ212に格納)と同じ位置にある駐車地点オブジェクト502を目的地関連データベース部206から検索する(ステップS311)。目的地解析部209は、同じ位置座標の駐車地点オブジェクト502(過去にステップS313で生成し記憶したもの)がなければ(ステップS312)、新たに駐車地点オブジェクト502を生成し、目的地関連データベース部206へ登録する(ステップS313)。目的地解析部209は、ステップS311で得た地点情報オブジェクト501およびステップS312で得た駐車地点オブジェクト502あるいはステップS313で新たに生成した駐車地点オブジェクト502に基づいて目的地オブジェクト503を生成し、生成した目的地オブジェクト503を目的地関連データベース部206に登録する(ステップS314)。そしてステップS307へ進み、同様の処理を繰り返す。図11の場合、ステップS307でI=17となり、ステップS308でK=18となり、処理が継続される。KがN以上のとき(ステップS303)、処理が終了する。
【0053】
目的地解析部209は、行動履歴オブジェクト401の解析処理の結果、図12に示すように、目的地関連データベース部206に、生成した駐車地点オブジェクト502、目的地オブジェクト503を格納する。目的地オブジェクト503には、駐車地点オブジェクト502と地図地点情報データベース部205の地点情報オブジェクト501との参照関係が出来る。
【0054】
(目的地オブジェクト503生成後の利用について)
次に図13を参照して、生成した目的地オブジェクト503を利用する具体的な場合を説明する。
(1)S401において、ユーザは、車載端末200の目的地選択部202から、目的地(真の目的地)として、ホームセンター凸凹を入力する。
(2)S402において、目的地選択部202は、地図地点情報管理部204を介して、地図地点情報データベース部205から、ホームセンター凸凹の地点情報オブジェクト501を取得する。これにより目的地選択部202は、ホームセンター凸凹の「地点ID」を知る。
(3)S403において、目的地選択部202は、目的地関連データベース部206から、ホームセンター凸凹の地点IDを含む目的地オブジェクト503を選択する。
(4)S404において、目的地選択部202は、選択した目的地オブジェクト503に含まれる駐車地点IDから駐車地点オブジェクト502を知り、目的地関連データベース部206から、その駐車地点オブジェクト502を取得する。
(5)S405において、目的地選択部202は、ホームセンター凸凹の地点情報オブジェクト501と、これに関連付けられた駐車地点オブジェクト502とを道案内処理部203に送る。
(6)S406において、道案内処理部203は、ホームセンター凸凹の地点情報オブジェクト501と、これに関連付けられた駐車地点オブジェクト502とを受信し、ナビゲーションに利用する。
【0055】
なお、以上の説明では、車載端末200が地図地点情報データベース部205を保有している場合を説明したが、後述する実施の形態3における図21のように、サーバ装置に地図地点情報データベース部205を持たせ、車載端末200がサーバ装置の保有する地図地点情報データベース部205にアクセスするようにしても構わない。これにより、車載端末200のメモリ容量を低減することができる。
【0056】
このように、次回以降、ユーザが出発前に車載端末200の目的地選択部202で目的地オブジェクト503の中から目的地を選べるので、参照関係にある地点情報オブジェクト501にある地点の名称により、的確に目的地を理解することができる。さらに、目的地オブジェクト503と参照関係にある駐車地点オブジェクト502の位置座標により、車載端末200の道案内処理部203は、ユーザの目的地に適切な駐車地点へと案内することができる。ユーザは駐車位置を意識して目的地を選択する必要がなくなるので、使い勝手のよいナビゲーションをユーザに提供することができ、ユーザメリットが大きい。
【0057】
実施の形態1の車載端末200は、行動履歴オブジェクト401を解析して停止決定位置を決定し、決定した停止決定位置を地点情報オブジェクトに対応付ける目的地解析部209を備えたので、ユーザの滞在位置を容易に特定し、蓄積することができる。
【0058】
実施の形態1の車載端末200では、目的地解析部209が地点情報オブジェクト501と駐車地点オブジェクト502とを関連付けるので、ユーザの指定する真の目的地に適した駐車位置に、ユーザの車両を誘導することができるようになる。
【0059】
実施の形態2.
図14〜図18を用いて実施の形態2を説明する。実施の形態2は、行動履歴オブジェクトとともに行動履歴オブジェクトに対応するデジタル画像などの対応情報を車載端末200に送信する実施形態である。行動履歴オブジェクトとともに対応情報を送信することで、携帯側停止位置を示す目的地オブジェクトと対応情報を関連付けることができ、多くの目的地の中からユーザの希望する目的地を容易に識別することが可能となる。
【0060】
図14は、実施の形態2における携帯端末300の構成を示す。図14は、図5の構成に、デジタルカメラ601、Felica(登録商標)602等の外部からなんらかのデータ入力を行なう機能部、及び周辺機能データ入力部603、アイテムデータベース部604を付加したものである。Felica(登録商標)602は、「おサイフケータイ」(登録商標)に使われている技術で、ICチップによる電子マネー等の取引を行なう機能である。
【0061】
周辺機能データ入力部603は、デジタルカメラ601からのデジタル写真や、Felica(登録商標)602からの電子マネー取引領収書などのデータ入力を管理する。ここでは、これらの入力データのことを「アイテム」(対応情報)と呼ぶ。
【0062】
(アイテム付き行動履歴オブジェクト801の生成)
ユーザが車両を離れ、風景撮影あるいは店舗での電子マネーショッピングを行なうと、デジタルカメラ601あるいはFelica(登録商標)602により、アイテム(対応情報)が周辺機能データ入力部603に送られる。周辺機能データ入力部603は、アイテムをアイテムデータベース部604に登録する。周辺機能データ入力部603は、図15に示す携帯側アイテムオブジェクト701を生成し、アイテムデータベース部604に登録する。携帯側アイテムオブジェクト701は、「アイテムID」、「種類」、「名称」で構成される。周辺機能データ入力部603は、アイテムが入力されたことを「アイテムID」とともに行動履歴処理部302へ通知する。行動履歴処理部302は、周辺機能データ入力部603から通知を受けると、図16に示す「アイテム付き行動履歴オブジェクト801」を生成する。この「アイテム付き行動履歴オブジェクト801」は、図6に示した行動履歴オブジェクト401に、さらに、「アイテムID」(識別子)を加えたものである。
【0063】
(携帯端末300と車載端末200との通信)
図17を参照して、実施の形態2における携帯端末300と車載端末200との通信を説明する。図17は、図7に対応するシーケンス図である。図17のステップS1〜S4は、図7と同様である。ユーザが車両100に戻り、携帯端末300と車載端末200が通信を開始すると、車載端末200の目的地解析部209が車載側通信処理部208および車載側通信装置207を介して、携帯端末300へ駐車期間中の行動履歴オブジェクト401やアイテム付き行動履歴オブジェクト801を要求する(ステップS501)。携帯端末300の携帯側通信処理部305は、アイテム付き行動履歴オブジェクト801(行動履歴情報)、行動履歴オブジェクト401(行動履歴情報)、及びアイテム(対応情報)を車載端末200に送信する(ステップS502)。携帯端末300から車載端末200へアイテム付き行動履歴オブジェクト801が送信されるときは、アイテム(対応情報)も同時に送信される。送信されるアイテムは、図15に示した携帯側アイテムオブジェクト701の有する「アイテムID」、「種類」、「名称」の情報を持っている。これにより、後述の車載側アイテムオブジェクト901を生成可能である。この場合、アイテム付き行動履歴オブジェクト801は、送信されるアイテムのアイテムID(識別子)を有しており、アイテム付き行動履歴オブジェクト801とアイテムとは紐付けがされている。
【0064】
車載側通信部は、携帯端末300からアイテム付き行動履歴オブジェクト801、行動履歴オブジェクト401及びアイテムを受信する(ステップS503)。続けて、実施の形態1と同様に、車載端末200の目的地解析部209が、図10に示した行動履歴オブジェクトの解析処理を実行する。実施の形態2では、目的地解析部209は、一連の行動履歴オブジェクト401及びアイテム付き行動履歴オブジェクト801から停止決定位置を決定した場合、停止決定位置とアイテムIDを含むアイテム付き行動履歴オブジェクト801の示す測位位置とに基づいて、受信したアイテムを採用するかどうかを判定する。目的地解析部209は、判定の結果、アイテムを採用すると判定した場合には、アイテムと目的地オブジェクトと駐車地点オブジェクトとを互いに関連付けるアイテム付き目的地オブジェクト902を生成する。また、目的地解析部209は、採用すると決定したアイテムから車載側アイテムオブジェクト901を生成する。
【0065】
さらに具体的に説明する。目的地解析部209は、受信した一連の行動履歴オブジェクト(行動履歴オブジェクト401及びアイテム付き行動履歴オブジェクト801)から停止決定位置を決定する。この場合、停止決定位置と、受信したアイテムとが対応しているとは限らない。そこで、目的地解析部209は、停止決定位置とアイテム付き行動履歴オブジェクト801に含まれる位置とを比較し、受信したアイテムを採用するかどうかを判定する。目的地解析部209は、判定の結果、アイテムを採用すると判定した場合には、アイテム付き行動履歴オブジェクト801に含まれる位置を参照して、アイテムと地点情報オブジェクト501とを関連付ける。また、図10の場合と同様に、目的地解析部209は、地点情報オブジェクト501と駐車地点オブジェクト502とを関連付ける。すなわち、目的地解析部209は、地点情報オブジェクト501と、駐車地点オブジェクト502とアイテムとを互いに関連付けるアイテム付き目的地オブジェクト902を生成する。
【0066】
目的地解析部209による解析処理の結果、アイテム付き行動履歴オブジェクト801の場合は、図18に示すような参照関係となる。目的地関連データベース部206には、目的地解析部209により生成された車載側アイテムオブジェクト901、アイテム付き目的地オブジェクト902及び駐車地点オブジェクト502などが格納される。また、アイテム自身も目的地解析部209により車載端末200の目的地関連データベース部206に記録される。
【0067】
アイテム付き目的地オブジェクト902において、参照先の車載側アイテムオブジェクト901がデジタルカメラ601による写真アイテムである場合、ユーザが車載端末200の目的地選択部202で目的地(対応する地点情報オブジェクト)を選択する際に、その写真が表示部213に表示されるようにする。すなわち、図4の目的地選択部202(目的地受け付け部)は、ユーザから所定の操作を受け付けると、受け付けた操作に応答して目的地関連データベース部206が記憶したアイテムオブジェクトである写真アイテム(対応情報)を表示部213に表示する。これにより、目的地が非常に分かりやすくなり、また、行きたいが地名さえ覚えていないような場合には特に便利である。
【0068】
一方、アイテム付き目的地オブジェクト902の生成において、その対象アイテムがFelica(登録商標)602による電子マネー取引領収書アイテムの場合、そのアイテムに店舗名が明示されているので、車載端末200の地図地点情報データベース部205にある地点情報の名称よりも、そのアイテムにある店舗名を優先して、アイテム付き目的地オブジェクト902に追加することも容易に実現できる。すなわち、図4の目的地選択部202(目的地受け付け部)は、ユーザから所定の操作を受け付けると、受け付けた操作に応答して目的地関連データベース部206が記憶したアイテムオブジェクトである電子マネー取引領収書アイテム(対応情報)を表示部213に表示する。この場合、ユーザが車載端末200の目的地選択部202で目的地を選択する際に、店舗名が明確になり、分かりやすい。
【0069】
以上説明したように、本実施の形態2によれば、車載端末200の目的地解析部209は、携帯端末300から受信したアイテム付き行動履歴オブジェクト801とアイテムとを用いて、アイテムと地点情報オブジェクト501と駐車地点オブジェクトとを関連付ける。このため、ユーザが過去に尋ねた目的地に関する情報を、過去に尋ねた目的地と結びつけることで、さらに利用しやすくなる効果がある。
【0070】
実施の形態3.
図19〜図21を用いて実施の形態3を説明する。実施の形態3は、携帯端末300が行動履歴オブジェクト401を解析して停止決定位置を求める目的地解析部209を備える場合を説明する。実施の形態1では車載端末200の目的地解析部209が行動履歴オブジェクトを解析し、停止決定位置を決定したが、実施の形態3では、携帯端末300自身が行動履歴オブジェクトを解析し、停止決定位置を決定する。
【0071】
図19は、実施の形態3における携帯端末300のブロック図である。図5に示した実施の形態1の携帯端末300に対して、破線で囲む部分の構成が異なり、図5に対して目的地解析部209と地図地点情報データベース部205とを備える。
【0072】
図20は、実施の形態3における車載端末200と携帯端末300とのやり取りを示すシーケンス図であり、図7に対応する。図20において、ステップS1〜S4の過程は、図7と同様である。ステップS601において、車載端末200の目的地解析部209が、携帯端末300に対して行動履歴オブジェクト401の解析要求を送信する。ステップS602において、携帯側の目的地解析部209が行動履歴オブジェクト401を解析し、対応する目的地オブジェクト503を携帯端末300の備える携帯側の地図地点情報データベース部205から検索して取得する。このステップS602の処理の内容は、図10のステップS301〜S310の処理過程と同様である。ステップS603において、携帯側の目的地解析部209が、解析要求に対する応答として、検索した地点情報オブジェクト501を車載端末200に送信する。ステップS604において、車載側の目的地解析部209は駐車地点オブジェクト502を検索し、ヒットしない場合は駐車地点オブジェクト502を生成し、生成あるいはヒットした駐車地点オブジェクト502と、携帯端末300から受信した地点情報オブジェクト501とを関連付ける目的地オブジェクト503を生成し、目的地関連データベース部206に登録する。
【0073】
なお、実施の形態3の場合は、行動履歴を解析した結果として停止決定位置に対応する地点情報オブジェクト501を車載端末200に送信するが、携帯端末300が車載端末200から移動体側停止位置を取得して、駐車地点オブジェクト502及び目的地オブジェクト503を生成して記憶しても構わない。
【0074】
このように、図19の構成では携帯端末300が行動履歴オブジェクト401を解析して停止決定位置を求めるので、車載端末200の処理負荷を低減できる。
【0075】
図21は、実施の形態3における携帯端末300の別の構成を示すブロック図である。図21は、図19の携帯端末300から、地図地点情報データベース部205を除いた構成である。地図地点情報データベース部205はサーバ装置が保有しており、携帯側の目的地解析部209は、携帯側通信部を介して、サーバ装置と通信することにより、サーバ装置の保有する地図地点情報データベース部205にアクセスし、停止決定位置に対応する地点情報オブジェクト501を検索する。この例では、携帯端末300は地図地点情報データベース部205を保有する必要がないので、メモリの容量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施の形態1における位置決定システムの概要を示す図。
【図2】実施の形態1における特徴部分を説明する概念図。
【図3】実施の形態1における車載端末200のハードウェア構成を示す図。
【図4】実施の形態1における車載端末200のブロック図。
【図5】実施の形態1における携帯端末300のブロック図。
【図6】実施の形態1における行動履歴オブジェクト401を示す図。
【図7】実施の形態1における位置決定システムの動作を示すシーケンス図。
【図8】実施の形態1における移動体側停止位置を取得する動作のフローチャート。
【図9】実施の形態1における行動履歴処理部302が行動履歴オブジェクト401を生成するフローチャート。
【図10】実施の形態1における目的地解析部209の動作を示すフローチャート。
【図11】実施の形態1における一連の行動履歴オブジェクト401を示す図。
【図12】実施の形態1における行動履歴オブジェクト401の解析結果を示す図。
【図13】実施の形態1における目的地オブジェクト503の利用方法を示す図。
【図14】実施の形態2における携帯端末300を示す図。
【図15】実施の形態2におけるアイテムオブジェクト701を示す図。
【図16】実施の形態2におけるアイテム付き行動履歴オブジェクト801を示す図。
【図17】実施の形態2における位置決定システムの動作を示すシーケンス図。
【図18】実施の形態2におけるアイテム付き行動履歴オブジェクト801の解析結果を示す図。
【図19】実施の形態3における携帯端末携帯端末300のブロック図。
【図20】実施の形態3における位置決定システムのシーケンスを示す図。
【図21】実施の形態3における携帯端末携帯端末300の別のブロック図。
【符号の説明】
【0077】
100 車両、200 車載端末、201 車載側位置座標受信装置、202 目的地選択部、203 道案内処理部、204 地図地点情報管理部、205 地図地点情報データベース部、206 目的地関連データベース部、207 車載側通信装置、208 車載側通信処理部、209 目的地解析部、210 位置座標取得部、211 停止状態検出部、212 不揮発性メモリ、213 表示部、300 携帯端末、301 携帯側位置座標受信装置、302 行動履歴処理部、303 行動履歴データベース部、304 携帯側通信装置、305 携帯側通信処理部、306 時計機能部、401 行動履歴オブジェクト、501 地点情報オブジェクト、502 駐車地点オブジェクト、503 目的地オブジェクト、601 デジタルカメラ、602 Felica(登録商標)、603 周辺機能データ入力部、604 アイテムデータベース部、701 携帯側アイテムオブジェクト、801 アイテム付き行動履歴オブジェクト、901 車載側アイテムオブジェクト、902 アイテム付き目的地オブジェクト、810 CPU、811 ROM、812 RAM、813 表示部、814 操作キー、815 通信ボード、816 測位部、820 磁気ディスク装置、821 OS、822 ウィンドウシステム、823 プログラム群、824 ファイル群、825 バス、1000 位置決定システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位位置と測位位置が測位された測位時刻とを含む異なる測位時刻ごとの複数の行動履歴情報を入力し、入力した複数の行動履歴情報における測位位置の時間変化から測位位置が停止していると認められる位置を停止決定位置として決定するとともに、電子地図上に定義された地点を示す地点情報を地点ごとに記憶する地点情報記憶部から、決定した停止決定位置に対応する地点情報を抽出する位置決定部を備えたことを特徴とする位置決定装置。
【請求項2】
前記位置決定装置は、さらに、
所定の時間ごとに位置を測位するとともに測位した測位位置と測位した測位位置に対応する測位時刻とを含む行動履歴情報を順次生成する携帯端末から順次生成された複数の行動履歴情報を受信し、受信した複数の行動履歴を出力する受信部を備え、
前記位置決定部は、
前記受信部から複数の行動履歴情報を入力することを特徴とする請求項1記載の位置決定装置。
【請求項3】
前記位置決定装置は、さらに、
所定の時刻ごとに位置を測位する測位部と、
時刻を計測する時計機能部と、
前記測位部から測位位置を取得するとともに前記時計機能部から測位位置が測位された測位時刻を取得し、取得した測位位置と測位時刻とを含む異なる測位時刻ごとの複数の行動履歴情報を生成して出力する行動履歴生成部と、
前記行動履歴生成部が出力した複数の行動履歴情報を記憶する行動履歴情報記憶部と
を備え、
前記位置決定部は、
前記行動履歴情報記憶部から複数の行動履歴情報を入力することを特徴とする請求項1記載の位置決定装置。
【請求項4】
前記位置決定装置は、
前記地点情報記憶部を備えたことを特徴とする請求項1記載の位置決定装置。
【請求項5】
前記地点情報記憶部は、
通信機能を備えた通信装置が保有し、
前記位置決定装置は、さらに、
前記通信装置と通信することにより前記地点情報記憶部にアクセス可能な通信部を備え、
前記位置決定部は、
前記通信部を介して前記地点情報記憶部にアクセスすることにより、前記地点情報記憶部から、決定した停止決定位置に対応する地点情報を抽出することを特徴とする請求項1記載の位置決定装置。
【請求項6】
前記位置決定部は、
複数の行動履歴情報に含まれる測位位置とは異なる所定の位置を入力し、入力した所定の位置と前記地点情報記憶部から抽出した地点情報とを関連付ける関連付け情報を生成することを特徴とする請求項1または2または4または5いずれかに記載の位置決定装置。
【請求項7】
前記位置決定装置は、移動体に搭載されるとともに、さらに、
位置を測位する測位部と、
前記移動体の移動停止状態を検出する停止状態検出部と、
前記停止状態検出部が前記移動体の移動停止状態を検出した場合、検出時における前記移動体の測位位置である移動体側停止位置を前記測位部から取得する位置取得部とを備え、
前記位置決定部は、
複数の行動履歴情報に含まれる測位位置とは異なる所定の位置として、移動体側停止位置を前記位置取得部から入力することを特徴とする請求項6記載の位置決定装置。
【請求項8】
前記位置決定装置は、さらに、
関連付け情報と、関連付け情報によって地点情報に関連付けられた所定の位置とを記憶する関連付け情報記憶部と、
前記地点情報記憶部が記憶している地点情報の示すいずれかの地点を目的地として受け付けるとともに、受け付けた目的地の示す地点情報に基づいて前記関連付け情報記憶部を検索し、検索の結果、受け付けた目的地の示す地点情報に対応する関連付け情報がヒットした場合には、ヒットした関連付け情報によって関連付けられている所定の位置を前記関連付け情報記憶部から抽出する目的地受け付け部と
を備えたことを特徴とする請求項6記載の位置決定装置。
【請求項9】
移動体に搭載される移動体搭載端末において、
電子地図上に定義された地点を示す地点情報を地点ごとに記憶する地点情報記憶部と、
位置を測位する測位部と、
前記移動体の移動停止状態を検出する停止状態検出部と、
前記停止状態検出部が前記移動体の移動停止状態を検出した場合、検出時における前記移動体の測位位置である移動体側停止位置を前記測位部から取得する位置取得部と、
所定の時間ごとに位置を測位するとともに測位した測位位置と測位した測位位置に対応する測位時刻とを含む行動履歴情報を順次生成する携帯端末から、前記移動体の移動停止状態の期間中における一連の行動履歴情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記移動体の移動停止状態の期間中における一連の行動履歴情報から前記携帯端末の停止位置と認められる停止決定位置を決定し、決定した停止決定位置に対応する地点情報を前記地点情報記憶部から抽出するとともに、抽出した地点情報と前記位置取得部が取得した移動体側停止位置とを関連付ける関連付け情報を生成する位置決定部と
を備えたことを特徴とする移動体搭載端末。
【請求項10】
前記移動体搭載端末は、さらに、
前記位置決定部が生成した関連付け情報と、地点情報に関連付けられた移動体側停止位置とを記憶する関連付け情報記憶部と、
前記地点情報記憶部が記憶している地点情報の示すいずれかの地点を目的地として受け付けるとともに、受け付けた目的地の示す地点情報に基づいて前記関連付け記憶部を検索し、検索の結果、受け付けた目的地の示す地点情報に対応する関連付け情報がヒットした場合には、ヒットした関連付け情報によって関連付けられている移動体側停止位置を前記関連付け情報記憶部から抽出する目的地受け付け部と、
前記目的地受け付け部が抽出した移動体側停止位置をナビゲーションに使用する道案内処理部と
を備えたことを特徴とする請求項9記載の移動体搭載端末。
【請求項11】
前記受信部は、
前記携帯端末から複数の行動履歴情報のうちいずれかの行動履歴情報に対応する対応情報を受信するとともに、対応情報を識別する識別子を含む少なくとも一つの行動履歴情報を受信し、
前記位置決定部は、
停止決定位置を決定した場合、停止決定位置と対応情報を識別する識別子を含む行動履歴情報の示す測位位置とに基づいて対応情報を採用するかどうかを判定し、判定の結果、対応情報を採用すると判定した場合には、対応情報と地点情報と移動体側停止位置とを互いに関連付ける関連付け情報を生成することを特徴とする請求項9記載の移動体搭載端末。
【請求項12】
前記移動体搭載端末は、さらに、
前記位置決定部が生成した関連付け情報と、関連付け情報により地点情報と移動体側停止位置とに関連付けられた対応情報を記憶する関連付け情報記憶部と、
情報を表示する表示部と、
所定の操作を受け付けることにより、受け付けた操作に応答して前記関連付け情報記憶部が記憶した対応情報を前記表示部に表示する目的地受け付け部と
を備えたことを特徴とする請求項11記載の移動体搭載端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−82915(P2008−82915A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263850(P2006−263850)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】