説明

位置測定システム、位置測定装置および位置測定プログラム

【課題】受信可能なTDOA測定が4つよりも少ない状態において、十分に良好な位置推定ができる位置測定システム、位置測定装置および位置測定プログラムを提供する。
【解決手段】3つ以上のランドマーク装置と、前記ランドマーク装置から送信される情報であって該ランドマーク装置の位置を示す位置情報を有する信号を受信する移動端末とを有する位置測定システムであって、前記移動端末は、該移動端末に内蔵されたセンサであって、該移動端末の移動運動を検出するセンサと、前記3つ以上のランドマーク装置のそれぞれから受信した前記位置情報と、前記センサの検出値とに基づいて、該移動端末の位置を算出する位置推定手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置測定システム、位置測定装置および位置測定プログラムに関する。より詳細には、本発明は、障害物が存在する空間において正確に移動軌跡を推定できる位置測定システム、位置測定装置および位置測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)信号が受信できない屋内等において、現在位置を測定する方法としてTDOA(Time Difference Of Arrival)システム等が知られている。TDOAシステムにおいては、適当な間隔にて設置された複数のランドマーク装置が、周期的に距離測定のための信号、例えば、音波信号と無線信号を含むTDOA信号を送信する。なお、各ランドマーク装置は、ほぼ同時にTDOA信号を送信する様に制御されており、TDOA信号に含まれる無線信号には、当該無線信号を送信したランドマーク装置の設置位置についての情報が含まれている。
【0003】
位置検出装置が、あるランドマーク装置からの無線信号を時刻t1に受信したとともに、このランドマーク装置から音波信号を時刻t2に受信したものとする。そうすると、位置検出装置と当該ランドマーク装置との距離は、音速×(時間t2−t1)で計算することができる。ランドマーク装置からの無線信号には、当該ランドマークの位置情報が含まれているため、位置検出装置は3つ以上のランドマーク装置との距離を測定することで、自身の現在位置を計算することができる。
【0004】
しかし、位置検出装置を携帯して移動しながら位置を測定する場合には、ランドマーク装置の数が5個以上要することとなる。通常、5個以上のランドマーク装置を用いて現在位置の推定を行い、推定値により補正した測定値を出力することが行われている(例えば非特許文献1,2を参照)。
【0005】
非特許文献1について
移動電話(MP)の位置問題は、推定問題として定式化される。観測空間は、1セットのTDOA距離測定であるとともに、移動電話(MP)の地理的座標が推定されために必要なパラメータである。距離測定値の統計データに関する事前情報がなければ、最小二乗(LS)推定式が移動電話(MP)の位置を判断することに使用される。すなわち、下記の数式1が使用される。
【0006】
【数1】

【0007】
ここで、Sは、1セットのランドマーク装置(LMs)を示している。riは、移動電話(MP)から第iのランドマーク装置(LM)までの測定距離である。xは、[x y] 直交座標系における移動電話(MP)位置である。
【0008】
【数2】

【0009】
は、移動電話(MP)の位置の推定値である。Xiは、[Xi Yi]直交座標系における第iの基地局(BS)の位置の座標ベクトルである。
【0010】
データセットの中にNLOS距離測定値があるとき、推定の誤差は、NLOS距離測定値がないときの誤差よりもかなり良くなる傾向がある。例えば、5つのTOA測定値がある場合、16の組合せが可能である。5つのTOA測定値の全てを選択でき、または5つのTOA測定値のうちの4つを選択でき、または5つのTOA測定値のうちの3つを選択できる。すなわち、
5つのうちの5つ:C(5):1つの組合せ
5つのうちの4つ:C(5,4):5つ組合せ
5つのうちの3つ:C(5,3):10つの組合せ
【0011】
最小二乗(LS)推定式を適用した後に、16個の位置を得ることができるとともに、中間的な位置として示される。最終的なRwgh位置推定は、前記中間的な位置の線形結合である。前記中間的な位置は、それらの正規化された誤差に反比例した重みを加えて推定されたものである。
【0012】
非特許文献2について
非特許文献2では、事実上、LOSおよびNLOS距離情報の両方をノードの位置の推定に組み込む、新規な計算効率の良い線形計画(LP)法を提示している。NLOS測定を捨て去るかわりに、正確にそれらを取り込み位置決定システムの総合性能を改良することが可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Kegen Yu and Y. J. Guo, "NLOS Error Mitigation for Mobile Location Estimation in Wireless Networks," Vehicular Technology Conference, 2007. VTC2007-Spring. IEEE 65th, pp. 1071-1075, 2007.
【非特許文献2】S. Venkatesh and R. M. Buehrer, "NLOS Mitigation Using Linear Programming in Ultrawideband In Location-Aware Networks," Vehicular Technology, IEEE Transactions on, vol. 56, pp. 3182-3198, 2007.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図1は、NLOSシナリオの説明図である。典型的な屋内TDOA位置測定システムは、ランドマーク装置(LMs)と移動電話(MP)ユーザとを含んでいる。移動電話(MP)の位置は、該MPと数個のランドマーク装置(LMs)との間の距離測定によって計算される。図1に示されているように、NLOSエラーは、ランドマーク装置LM2と移動電話(MP)との間における、ダイレクト信号の阻害から又はマルチパス信号の反射から生じる。NLOSエラーは、主要な誤差源である。
【0015】
TDOA位置測定システムは、多くのLOS測定値およびNLOS測定値をもっている。測定値についての先験的情報がないとき、LOS/NLOS測定値を分類することは困難である。したがって、ユーザ(移動電話)の位置精度を保証することができない。
【0016】
研究者の中には、NLOS測定を捨て去るかわりにLOS測定およびNLOS測定を組み込むことによって正確に位置測定システムの総合性能を改良するための線形計画法を提案する者もいた。しかしながら、これらの方法は、受信可能なランドマーク装置(LMs)の数が4つ以上あることを必要とする。屋内環境では、より少ないTDOA測定が受信可能となる場合がある(例えば、N=3)。したがって、この従来技術では、適切な位置情報を生成することは困難である。
【0017】
本発明の目的は、受信可能なTDOA測定が4つよりも少ない状態において、十分に良好な位置推定ができる位置測定システム、位置測定装置および位置測定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、3つ以上のランドマーク装置と、前記ランドマーク装置から送信される情報であって該ランドマーク装置の位置を示す位置情報を有する信号を受信する移動端末とを有する位置測定システムであって、前記移動端末は、該移動端末に内蔵されたセンサであって、該移動端末の移動運動を検出するセンサと、前記3つ以上のランドマーク装置のそれぞれから受信した前記位置情報と、前記センサの検出値とに基づいて、該移動端末の位置を算出する位置推定手段とを有することを特徴とする位置測定システムである。
【0019】
また、本発明の位置測定システムにおいて、前記ランドマーク装置は、TDOAシステムで使用されるランドマーク装置であり、前記ランドマーク装置から送信される位置情報を有する信号は、音波信号および無線信号を含むTDOA信号として送信されるものであり、前記移動端末に内蔵されたセンサは、加速度センサおよび地磁気センサを含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の位置測定システムにおいて、前記位置推定手段は、前記移動端末が4つ以上の前記ランドマーク装置から前記位置情報を受信できるとき、該位置情報のみを使用して該移動端末の位置を算出し、前記移動端末が4つ未満の前記ランドマーク装置から前記位置情報を受信できるとき、該位置情報と前記センサの検出値と使用して該移動端末の位置を算出することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の位置測定システムにおいて、前記位置推定手段は、前記移動端末が4つ以上の前記ランドマーク装置から前記位置情報を受信できるとき、該位置情報のみを使用して該移動端末の位置を算出し、前記移動端末が4つ未満の前記ランドマーク装置から前記位置情報を受信できるとき、該位置情報と前記センサの検出値と該移動端末の過去の位置を示す情報とを使用して該移動端末の位置を算出することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の位置測定システムにおいて、前記位置推定手段は、前記センサの出力に基づいて、該移動端末のユーザの歩幅を所定時間毎に算出する手段と、前記算出された歩幅に基づいて、第1の時間から第2の時間までの前記移動端末の移動距離を算出する手段と、前記算出された移動距離に所定割合のプラスの誤差値を加えた第1の修正移動距離、および前記算出された移動距離に所定割合のマイナスの誤差値を加えた第2の修正移動距離を算出する手段と、前記移動端末が4つ未満の前記ランドマーク装置から前記位置情報を受信できるとき、該位置情報と前記第1の修正移動距離と前記第2の修正移動距離と該移動端末の過去の位置を示す情報とを使用して該移動端末の位置を算出することを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、3つ以上のランドマーク装置のそれぞれから送信される情報であって該ランドマーク装置の位置を示す位置情報を有する信号を受信して、該位置情報を使用して移動端末の位置を算出する手段を有する位置測定装置であって、前記移動端末に内蔵されたセンサであって、該移動端末の移動運動を検出するセンサと、前記3つ以上のランドマーク装置のそれぞれから受信した前記位置情報と、前記センサの検出値とに基づいて、該移動端末の位置を算出する位置推定手段とを有することを特徴とする位置測定装置である。
【0024】
また、本発明は、3つ以上のランドマーク装置のそれぞれから送信される情報であって該ランドマーク装置の位置を示す位置情報を有する信号を受信して、該位置情報を使用して移動端末の位置を算出する処理をコンピュータに実行させるための位置測定プログラムであって、前記3つ以上のランドマーク装置のそれぞれから受信した前記位置情報と、前記該移動端末に内蔵されたセンサによって検出された該移動端末の移動運動を示す検出値とに基づいて、該移動端末の位置を算出する位置推定処理をコンピュータに実行させるための位置測定プログラムである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、従来のアルゴリズムと比較して、ランドマーク装置(LMs)から移動端末が受信した受信信号が4未満であるときに、NLOSによって影響を受ける位置誤差を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】NLOSエラーの説明図である。
【図2】本発明の一実施形態による位置測定システムの構成図である。
【図3】本発明の一実施形態による位置情報履歴判定方法の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態による位置推定方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
本発明は、携帯電話などの移動端末でのTDOA測定値と該移動端末に内蔵されたセンサの測定値とを組合わせて、該移動端末の位置を推定するものである。移動端末は、受信可能な複数のランドマーク(LMs)からTDOA信号を受信する。また、移動端末は、該移動端末に内蔵されたセンサからユーザの歩幅であるステップサイズを推定する。移動端末におけるTDOA測定値が4よりも大きい場合、該移動端末は位置を推定するためにTDOA信号を使用する。移動端末におけるTDOA測定値が4未満である場合、該移動端末は位置を推定するために、過去に推定した移動端末の位置と、TDOA測定値と、現在のステップサイズと組み合わせたものを使用して該移動端末の現在の位置を算出する。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態による位置測定システムの構成図である。本実施形態の屋内位置測定システムは、複数のTDOAランドマーク装置LMs(既知の位置で無線/音波信号を配信する)(図2におけるa1)と、3軸加速度センサおよび磁気センサが内蔵された移動端末である移動電話(図2におけるa2)とを有している。前記移動電話は、データ入力部10と、信号組合せ部20と、位置推定部30とを有している
【0029】
データ入力部10は、複数のTDOAランドマーク装置LMsから送信されたTDOA信号を受信する(図2におけるa1)とともに、前記3軸加速度センサおよび磁気センサの検出値に基づいて移動電話のユーザの歩幅であるステップサイズを所定時間毎に算出する(図2におけるa2)。
【0030】
信号組合せ部20は、移動電話の位置を推定するために、複数のTDOA信号のそれぞれに含まれるTDOA距離測定値を組合せる。複数のTDOA信号のみで移動電話の位置を推定する場合、少なくとも、4つのランドマーク(LMs)からのTDOA距離測定値が必要とされる(図2におけるa3)。また、TDOA距離測定値の数が4よりも少ない場合、信号組合せ部20は、移動電話の位置を推定するために、前記センサからの情報とTDOA信号の情報とを組み合わせる(図2におけるa4)。
【0031】
位置推定部30は、少なくとも4つのTDOA測定値が取得された場合、該少なくとも4つのTDOA測定値を使用することによって移動電話の位置を推定する(図2のa5)。また、位置推定部30は、4つ未満のTDOA測定値が取得された場合、該4つ未満のTDOA測定値と前記センサの情報との両方を使用することによって移動電話の位置を推定する(図2のa6)。
【0032】
次に、本実施形態の位置測定システムの動作について説明する。図3は、本実施形態の位置測定システムで使用される位置情報履歴判定方法の説明図である。3つのランドマーク装置LM1,LM2,LM3のそれぞれから時刻(t0)でTDOA(t0)信号を移動電話が受信することで、時刻(t0)における位置(t0)が推定できる。また、。3つのランドマーク装置LM1,LM2,LM3のそれぞれから時刻(t1)でTDOA(t1)信号を移動電話が受信することで、時刻(t1)における位置(t1)が推定できる。時刻(t0)での位置(t0)と時刻(t1)での位置(t1)の間隔が移動電話の移動した距離dである、と推定できる。ここで、距離dは、移動電話に内蔵された前記センサの検出値に基づいて算出されたユーザのステップサイズすなわち歩幅を使用して算出される。
【0033】
図4は、本実施形態の位置測定システムに適用される位置推定方法のフロー図である。先ず、移動電話のデータ入力部10は、受信可能なランドマーク装置(LMs)からTDOA信号を受信する(図4のステップS1)。
次に、移動電話は、受信可能なランドマーク装置(LMs)の数をチェックする(ステップS2)。ここで、受信可能なランドマーク装置(LMs)の数が4以上である場合はステップS3にいき、受信可能なランドマーク装置(LMs)の数が4未満である場合はステップS6にいく。
【0034】
ステップS3では、移動電話の信号組合せ部20が、
【0035】
【数3】

【0036】
個のTDOA信号測定値の組合せを形成する。各組合せは、LMインデックスセット
{Sk|k=1,2,…,N1}によって表される。
例えば、一実施例として、移動電話は4つのランドマーク装置(LMs)からTDOA信号を受信する。すると、組合せの個数は、下記数4となる。
【0037】
【数4】

【0038】
ステップS4では、移動電話の位置推定部30が、TDOA信号測定値の組合せのそれぞれに対して、重み係数を推定する。位置推定部30は、各組み合わせについて、
【0039】
【数5】

【0040】
の中間的なLS推定を計算する。この計算は下記の数6の通りである
【0041】
【数6】

【0042】
ここで、riは、ランドマーク装置LMiから移動電話までの距離測定値である。Xiはランドマーク装置LMiの位置である。xkは、組合せSkについての推定位置である。
【0043】
4つのランドマーク装置(LMs)の位置が[0,0], [50, 0], [0,50], [50,50]であると仮定する。移動電話の実際の位置は、[30,20]である。距離測定値は、下記のように得られる。
【0044】
【数7】

【0045】
ステップS5では、最小二乗法(LS)アルゴリズムを使用することによって移動電話の位置を推定する。すなわち、移動電話の位置推定部30は、ステップS4での中間的な推定の重み付け線形結合を使用することによって移動電話の位置
【0046】
【数8】

【0047】
の最終的な推定値を算出する。そして、位置推定部30は、移動電話の位置、すなわちユーザの位置として推定結果を出力する。
【0048】
【数9】

【0049】
ステップS6では、前記のステップS2の処理が初めて実行されたものか否かを判断する。すなわち、ステップS6では、既に移動電話がステップS5による位置推定を実行したことがある否かを判断する。ステップS2の処理が初めて実行されたものではなく、過去にステップS5を実行したことがある場合は、ステップS7にいく。
【0050】
ステップS7では、移動電話のデータ入力部10が、時間k-1から時間kまで、移動電話内の前記内蔵センサからステップサイズ情報s(k)を取得する。ここで、ステップサイズ情報s(k)とは、ユーザの歩幅を示す情報であって、所定時間毎(例えば、1秒毎)に取得されるものとする。そして、ステップサイズ情報s(k)の最大推定誤差は±10パーセントであると仮定する。
【0051】
ステップS8では、M個のTDOA測定値と内蔵センサの情報とを使用して、新しい信号の組合せを形成する。時間k-1での移動電話の過去の位置は、LMpastとして示された、時間kでの該移動電話のための新たなランドマーク装置(LM)とみなされる。推定誤差±10パーセントを考慮することにより、距離d1(k)および距離d2(k)がLMpastからの2つの距離測定値として扱われる。
1(k)=s(k)*(1+10%);
2(k)=s(k)*(1−10%);
【0052】
【数10】

【0053】
ここで、N2は、複数のランドマーク装置(LMs)からのTDOA信号と移動電話に内蔵されたセンサの信号とを組み合わせたセットである。例えば、
【0054】
【数11】

【0055】
となる。次いで、移動電話の位置推定部30は、下記の数12に示すように、重み係数を推定するとともに、最小二乗法アルゴリズムを使用することによって、位置情報の最終的な推定値を出す(ステップS4,ステップS5)。そして、位置推定部30は、移動電話の位置すなわちユーザの位置として、前記最終的な推定値を出力する。この出力は、例えば移動電話の表示手段に、前記最終的な推定値を表示させることとする。
【0056】
前記のステップS5の次は、ステップS2において受信可能なランドマーク装置(LMs)の数が4以上である場合はステップS1に戻る。一方、ステップS2において受信可能なランドマーク装置(LMs)の数が4未満であって、さらにステップS6がYesである場合は、ステップS5の次にステップS9に行く。ステップS9では、移動電話において過去に推定した該移動電話の位置を新たなランドマーク装置(LM)と仮定する。ステップS9の次は、ステップS1に戻る。
【0057】
【数12】

【0058】
ここで、ωjは、セットN2に基づく重み係数である。例えば、ユーザの実際の位置が、時刻k-1のとき位置(30,20)であり、時刻kのとき位置(31.2, 21.2)である、と仮定する。移動電話に内蔵されたセンサによって取得されたユーザにステップサイズ(歩幅)は1.3mである、と仮定する。
【0059】
【数13】

【0060】
したがって、ランドマーク装置(LMs)からの信号と内蔵センサとを使用して算出したユーザの位置
【0061】
【数14】

【0062】
の推定結果は、ランドマーク装置(LMs)からの信号のみを使用して算出したユーザの位置
【0063】
【数15】

【0064】
の推定よりも正確である。
【0065】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0066】
また、上述した実施形態による位置測定システムは、その動作および機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることにより実現してもよい。
【0067】
ここで、「コンピュータ」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0068】
また、上述したプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上述したプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータに既に記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
10・・・データ入力部
20・・・信号組合せ部
30・・・位置推定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つ以上のランドマーク装置と、前記ランドマーク装置から送信される情報であって該ランドマーク装置の位置を示す位置情報を有する信号を受信する移動端末とを有する位置測定システムであって、
前記移動端末は、
該移動端末に内蔵されたセンサであって、該移動端末の移動運動を検出するセンサと、
前記3つ以上のランドマーク装置のそれぞれから受信した前記位置情報と、前記センサの検出値とに基づいて、該移動端末の位置を算出する位置推定手段と
を有することを特徴とする位置測定システム。
【請求項2】
前記ランドマーク装置は、TDOAシステムで使用されるランドマーク装置であり、
前記ランドマーク装置から送信される位置情報を有する信号は、音波信号および無線信号を含むTDOA信号として送信されるものであり、
前記移動端末に内蔵されたセンサは、加速度センサおよび地磁気センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の位置測定システム。
【請求項3】
前記位置推定手段は、
前記移動端末が4つ以上の前記ランドマーク装置から前記位置情報を受信できるとき、該位置情報のみを使用して該移動端末の位置を算出し、
前記移動端末が4つ未満の前記ランドマーク装置から前記位置情報を受信できるとき、該位置情報と前記センサの検出値と使用して該移動端末の位置を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の位置測定システム。
【請求項4】
前記位置推定手段は、
前記移動端末が4つ以上の前記ランドマーク装置から前記位置情報を受信できるとき、該位置情報のみを使用して該移動端末の位置を算出し、
前記移動端末が4つ未満の前記ランドマーク装置から前記位置情報を受信できるとき、
該位置情報と前記センサの検出値と該移動端末の過去の位置を示す情報とを使用して該移動端末の位置を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の位置測定システム。
【請求項5】
前記位置推定手段は、
前記センサの出力に基づいて、該移動端末のユーザの歩幅を所定時間毎に算出する手段と、
前記算出された歩幅に基づいて、第1の時間から第2の時間までの前記移動端末の移動距離を算出する手段と、
前記算出された移動距離に所定割合のプラスの誤差値を加えた第1の修正移動距離、および前記算出された移動距離に所定割合のマイナスの誤差値を加えた第2の修正移動距離を算出する手段と、
前記移動端末が4つ未満の前記ランドマーク装置から前記位置情報を受信できるとき、
該位置情報と前記第1の修正移動距離と前記第2の修正移動距離と該移動端末の過去の位置を示す情報とを使用して該移動端末の位置を算出することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の位置測定システム。
【請求項6】
3つ以上のランドマーク装置のそれぞれから送信される情報であって該ランドマーク装置の位置を示す位置情報を有する信号を受信して、該位置情報を使用して移動端末の位置を算出する手段を有する位置測定装置であって、
前記移動端末に内蔵されたセンサであって、該移動端末の移動運動を検出するセンサと、
前記3つ以上のランドマーク装置のそれぞれから受信した前記位置情報と、前記センサの検出値とに基づいて、該移動端末の位置を算出する位置推定手段と
を有することを特徴とする位置測定装置。
【請求項7】
3つ以上のランドマーク装置のそれぞれから送信される情報であって該ランドマーク装置の位置を示す位置情報を有する信号を受信して、該位置情報を使用して移動端末の位置を算出する処理をコンピュータに実行させるための位置測定プログラムであって、
前記3つ以上のランドマーク装置のそれぞれから受信した前記位置情報と、前記該移動端末に内蔵されたセンサによって検出された該移動端末の移動運動を示す検出値とに基づいて、該移動端末の位置を算出する位置推定処理をコンピュータに実行させるための位置測定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−202896(P2012−202896A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69299(P2011−69299)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】