説明

位置管理システム、位置管理方法、位置管理サーバ及び位置管理サーバのプログラム

【課題】通信アドレスと位置情報とを対応付けて登録するための管理者の作業工数を抑制できる位置管理システム等を提供する。
【解決手段】自身の通信アドレスを含む通信パケットを送出する通信端末2と、通信端末2の通信アドレスと通信端末2の位置情報とを対応付けて記憶する位置管理サーバ1と、位置情報を取得して位置管理サーバ1に送出する位置情報送出端末3とを備え、位置管理サーバ1は、位置情報送出端末3から送出された位置情報と通信端末2から送信された通信パケットに含まれる通信アドレスとを対応付ける通信端末の通信条件としてpingパケットのデータ長を取得し、通信端末2からのpingパケットのデータ長が通信条件と一致する場合に、通信端末2の通信アドレスと位置情報送出端末3から送出された位置情報とを対応付けして登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末の位置を登録する位置管理システム、位置管理方法、位置管理サーバ及び位置管理サーバのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、端末の位置情報を取得する技術としては、例えば下記の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
この特許文献1に記載された発明は、端末機器と位置情報管理サーバとをスイッチングハブを介して接続されたネットワークを構築し、スイッチングハブにMACアドレスと対応ポートに基づく経路情報を記憶しておく。位置情報管理サーバには各スイッチングハブのポートとこれに接続されるスイッチングハブ若しくはアクセスポイントや端末機器の位置情報とを対応付けした記憶手段を設ける。
【0004】
これにより、この特許文献1に記載された発明では、スイッチングハブのポートと位置情報との関係から、MAC(Media Access Control)アドレスごとに通信端末の位置情報を取得している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−318432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、IPv6(Internet Protocol Version 6)によってIP通信が行われるようになると、IPv6アドレスを有する端末数が非常に多くなる。このため、通信端末のIPv6アドレスに対して位置情報を管理する工数が非常に多くなる。しかしながら、特許文献1に記載された発明では、MACアドレスごとに位置情報を管理するので、IPv6アドレスのように非常に多くの通信端末の位置情報を管理することは想定されていない。
【0007】
また、IPv6アドレスのデータ長は非常に長いので、管理者が通信端末のIPv6アドレスと位置情報を対応付けした情報を手入力することは莫大な作業工数となってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、通信アドレスと位置情報とを対応付けて登録するための管理者の作業工数を抑制できる位置管理システム、位置管理方法、位置管理サーバ及び位置管理サーバのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する第1の発明に係る位置管理システムは、自身の通信アドレスを含む通信パケットを送出する通信端末と、前記通信端末と通信可能に接続され、前記通信端末の通信アドレスと前記通信端末の位置情報とを対応付けて記憶する位置管理サーバと、位置情報を取得する位置情報取得部と、前記取得された位置情報を前記位置管理サーバに送出する位置情報送出部と、を有する位置情報送出端末とを備え、前記位置管理サーバは、前記位置情報送出端末から送出された位置情報と前記通信端末から送信された通信パケットに含まれる通信アドレスとを対応付ける前記通信端末の通信条件を取得する通信条件取得部と、前記通信端末の通信状態が前記通信条件取得部により取得された通信条件を満たす場合に、当該通信端末の通信アドレスと前記位置情報送出端末から送出された位置情報とを対応付けして登録する位置情報登録部とを備えることを特徴とする。
【0010】
第1の発明に係る位置管理システムであって、第2の発明は、前記位置情報送出端末は、前記位置情報に、前記位置管理サーバに登録される通信端末の位置情報を特定するための付加情報を付加して、前記位置管理サーバに送出し、前記位置管理サーバの前記位置情報登録部は、前記位置情報と前記通信アドレスと前記付加情報とを対応付けして登録することを特徴とする。
【0011】
第1の発明に係る位置管理システムであって、第3の発明は、前記位置情報送出端末は、前記位置情報と対応付けされる通信アドレスを有する通信端末の通信条件を送出する通信条件送出部を備え、前記位置管理サーバの通信条件取得部は、前記位置情報送出端末の通信条件送出部から送られた通信条件を取得することを特徴とする。
【0012】
第1の発明に係る位置管理システムであって、第4の発明は、前記通信条件及び前記通信状態は、前記通信端末から送信される通信パケットのデータ長であることを特徴とする。
【0013】
第1乃至第4の何れかの発明に係る位置管理システムであって、第5の発明は、前記通信端末の接続変更を検出する位置変更検出手段と、前記位置変更検出手段により前記通信端末の接続変更を検出した場合に、当該通信端末の接続変更を通知する通知手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第1乃至第4の何れかの発明に係る位置管理システムであって、第6の発明は、前記通信端末の接続変更を検出する位置変更検出手段と、前記位置変更検出手段により前記通信端末の接続変更を検出した場合に、当該接続変更された通信端末の位置を前記通信端末の接続される中継装置の位置情報として仮登録する位置情報仮登録手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
上記の課題を解決する第7の発明に係る位置管理方法は、通信端末の位置情報を位置管理サーバに登録する位置管理方法であって、前記位置管理サーバが、位置情報と前記通信端末から送信された通信パケットに含まれる通信アドレスとを対応付ける前記通信端末の通信条件を取得しておき、前記通信端末が、前記位置管理サーバに自身の通信アドレスを含む通信パケットを送出するステップと、前記通信端末の付近に存在する位置情報送出端末が、位置情報を取得し、当該取得された位置情報を前記位置管理サーバに送出するステップと、前記位置管理サーバが、前記通信端末の通信状態が前記通信条件を満たす場合に、前記通信端末から送信された通信アドレスと前記位置情報送出端末から送信された位置情報とを対応付けて記憶部に記憶するステップとを有することを特徴とする。
【0016】
上記の課題を解決する第8の発明に係る位置管理サーバは、自身の通信アドレスを含む通信パケットを送出する通信端末と、位置情報を取得して送出する位置情報送出端末とに通信可能に接続された位置管理サーバであって、前記通信端末の通信アドレスと前記通信端末の位置情報とを対応付けして記憶する位置情報記憶部と、前記位置情報送出端末から送出された位置情報と前記通信端末から送信された通信パケットに含まれる通信アドレスとを対応付けする通信条件を取得する通信条件取得部と、前記通信端末の通信状態が前記通信条件取得部により取得された通信条件を満たす場合に、前記通信端末の通信アドレスと前記位置情報送出端末から送出された位置情報とを対応付けして前記位置情報記憶部に登録する位置情報登録部とを備えることを特徴とする。
【0017】
上記の課題を解決する第9の発明に係る位置管理サーバのプログラムは、自身の通信アドレスを含む通信パケットを送出する通信端末と、位置情報を取得して送出する位置情報送出端末とに通信可能に接続された位置管理サーバのプログラムであって、前記位置管理サーバを、前記通信端末の通信アドレスと前記通信端末の位置情報とを対応付けして記憶する位置情報記憶部と、前記位置情報送出端末から送出された位置情報と前記通信端末から送信された通信パケットに含まれる通信アドレスとを対応付けする通信条件を取得する通信条件取得部と、前記通信端末の通信状態が前記通信条件取得部により取得された通信条件を満たす場合に、前記通信端末の通信アドレスと前記位置情報送出端末から送出された位置情報とを対応付けして前記位置情報記憶部に登録する位置情報登録部として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、位置情報送出端末から位置管理サーバに位置情報を送信し、通信端末の通信状態が通信条件を満たした場合に、通信端末の通信アドレスと位置情報とを対応付けして登録できる。これにより、本発明によれば、通信アドレスと位置情報とを対応付けて登録するための管理者の作業工数を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態として示す位置管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態として示す位置管理システムにおいて、位置管理サーバに複数台の通信端末が接続されたときの全体構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態として示す位置管理システムにおいて、管理者とpingパケットのデータ長との関係を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態として示す位置管理システムにおいて、通信条件である管理者ごとのpingパケットのデータ長を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態として示す位置管理システムにおいて、位置管理サーバが位置情報を登録するシーケンス図である。
【図6】本発明の一実施形態として示す位置管理システムにおける位置管理サーバ、通信端末、位置情報送出端末の内部構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態として示す位置管理システムにおいて、位置管理サーバにより位置情報を登録する処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態として示す位置管理システムにおいて、位置情報の登録結果を位置情報送出端末に送信するシーケンス図である。
【図9】本発明の一実施形態として示す位置管理システムにおいて、位置情報送出端末から位置管理サーバに付加情報として通信端末の画像を送信するものの全体構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態として示す位置管理システムにおいて、中継装置を含む構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の一実施形態として示す位置管理システムにおいて、中継装置の内部構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の一実施形態として示す位置管理システムにおいて、位置管理サーバの他の内部構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の一実施形態として示す位置管理システムにおいて、新たな通信端末がネットワークに接続されたときの通信端末、中継装置、位置管理サーバの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
本発明の実施形態として示す位置管理システムは、例えば図1に示すように構成される。位置管理システムは、位置管理サーバ1、通信端末2、及び、位置情報送出端末3を含む。この位置管理システムにおいて、位置管理サーバ1は、多数の通信端末2との間で通信が可能となっており、且つ、一又は複数の位置情報送出端末3との間で通信が可能となっている。なお、通信端末2と位置管理サーバ1とは、LAN(Local Area Network)を介して接続されていても良く、WAN(Wide Area Network)を介して接続されていても良い。
【0022】
このような位置管理システムにおいて、通信端末2は位置管理サーバ1にpingパケットを送出する。一方、位置情報送出端末3は位置管理サーバ1に位置送信メールを送信する。そして、位置管理サーバ1は、pingパケットに格納されたIPv6アドレスと位置送信メールに含まれた位置情報とを対応付けして記憶部1aに登録する。
【0023】
このような位置管理システムにおいて、位置管理サーバ1がIPv6アドレスと位置情報とを対応付けして登録するための通信端末2の通信状態を示す通信条件を設定しておく。この通信条件は、図2に示すように、通信端末2から位置管理サーバ1に送信するpingパケットのデータ長として設定されている。なお、本実施形態では、pingパケットのデータ長を通信条件としたが、これに限らず、これ以外を通信条件としても良い。例えば、他の通信条件としては、pingパケット送出時のIPヘッダのサービスタイプ(Type of Service)値を0以外の特定の値に変更しても良い。これにより、pingパケットを送出する際のIPヘッダのサービスタイプをpingパケットのデータ長と同様に事前に設定した値を使うことで、同様の効果を得ることができる。
【0024】
例えば、通信端末2aから送信するpingパケットのデータ長がNaバイト、通信端末2bから送信するpingパケットのデータ長がNbバイト、通信端末2cから送信するpingパケットのデータ長がNcバイトと設定されている。また、位置管理サーバ1には、図3に示すように、pingパケットのデータ長と管理者との関係が登録されている。例えば、データ長がNaバイトのpingパケットの通信端末2aは管理者Aによって管理される。データ長がNbバイトのpingパケットの通信端末2bは管理者Bによって管理される。データ長がNcバイトのpingパケットの通信端末2cは管理者Cによって管理されている。
【0025】
このpingパケットのデータ長は、例えば図4に示すようになる。位置情報送出端末3によって位置情報が登録される通信端末2は、通常のpingパケットのデータ長とは異なり、通常使用されないデータ長のpingパケットを生成する。通常のpingパケットのデータ長は、32バイトである。一方、位置情報を位置管理サーバ1に登録する通信端末2から送信されるpingパケットのデータ長は、通常のpingパケットとは大きく異なる、例えば、1000バイト以上とする。
【0026】
例えば、管理者Aが保有する位置情報送出端末3aが位置情報を送信する通信端末2aは、pingパケットのデータ長が1000バイトに設定される。管理者Bが保有する位置情報送出端末3bが位置情報を送信する通信端末2bは、pingパケットのデータ長が1010バイトに設定される。管理者Cが保有する位置情報送出端末3cが位置情報を送信する通信端末2cは、pingパケットのデータ長が1020バイトに設定される。
【0027】
これにより、位置管理サーバ1は、管理者Aが保有する位置情報送出端末3aから送信された位置情報と、データ長がNaバイトのpingパケットに格納されたIPv6アドレスとを対応付けて登録する。同様に、位置管理サーバ1は、管理者Bが保有する位置情報送出端末3bから送信された位置情報と、データ長がNbバイトのpingパケットに格納されたIPv6アドレスとを対応付けて登録する。同様に、位置管理サーバ1は、管理者Cが保有する位置情報送出端末3cから送信された位置情報と、データ長がNcバイトのpingパケットに格納されたIPv6アドレスとを対応付けて登録する。
【0028】
このように、位置管理システムは、通信条件として、通信端末2から送出されるpingパケットのデータ長を設定して、当該通信条件に基づいて通信端末2のIPv6アドレスと位置情報とを対応付けできる。
【0029】
具体的には、図5に示すように、位置情報送出端末3が位置管理サーバ1に位置送信メールS2を送信する。その後に、通信端末2がpingパケットS1を送信することによって、位置管理サーバ1は、通信端末2の位置情報をIPv6アドレスに対応付けして登録できる。
【0030】
このような位置管理システムにおける位置管理サーバ1、通信端末2、及び、位置情報送出端末3は、例えば図6に示すような機能的な各部を有している。
【0031】
通信端末2は、通信パケットを送信するパケット送信部21を備えている。パケット送信部21は、自身の通信アドレスを含む通信パケットを送出する。このとき、パケット送信部21は、通信アドレスとして割り当てられているIPv6アドレスを通信パケットに格納する。
【0032】
特に、パケット送信部21は、ICMP(Internet Control Message Protocol)に従った処理を行って、位置管理サーバ1にpingパケットを送出する。このとき、パケット送信部21は、pingパケットのデータ長を、予め設定された通常のpingパケットとは大きく異なるデータ長とする。
【0033】
なお、通常のデータ長よりも長いデータ長のpingパケットを送信する処理は、位置情報を位置管理サーバ1に登録する場合のみであっても良い。例えば、管理者によって通信端末2が操作された場合にのみ通常のデータ長よりも長いデータ長のpingパケットを送信し、位置情報送出端末3によって通信条件としてのpingパケットのデータ長を位置管理サーバ1に送信する。そして、通信端末2の位置情報が位置管理サーバ1に登録された後には、通常のデータ長のpingパケットを送信するように通信端末2を設定変更する。
【0034】
位置情報送出端末3は、位置情報を取得する位置情報取得部31、取得された位置情報を位置管理サーバ1に送出する位置情報送出部32、及び、通信条件送出部33を含む。この位置情報送出端末3は、例えばGPS(Global Positioning System)機能付き携帯電話や各種の携帯端末により構成される。
【0035】
位置情報取得部31は、例えばGPS機能により実現され、GPS衛星から受信したGPS信号を解析する。これにより、位置情報取得部31は、位置情報送出端末3の現在位置を位置情報として取得する。
【0036】
通信条件送出部33は、通信条件を位置管理サーバ1に送信する。通信条件送出部33は、通信条件として、上述した通信端末2から送信するpingパケットのデータ長を送信する。位置情報送出部32は、位置情報送出端末3に対する管理者の操作に応じて、位置情報取得部31により取得した位置情報を位置管理サーバ1に送信する。
【0037】
通信条件送出部33によって送出される通信条件は、予め位置情報送出端末3に記憶されたものであっても良く、管理者の操作によって位置情報送出端末3に入力されたものであっても良い。例えば、管理者ごとに位置情報を登録する通信端末2が割り当てられている場合、予め位置情報送出端末3に通信条件を記憶させても良い。また、管理者が通信端末2に書かれた通信条件を入力しても良い。更に、管理者が通信端末2のpingパケットのデータ長を設定し、設定したpingパケットのデータ長を位置情報送出端末3から位置管理サーバ1に送信しても良い。
【0038】
位置情報送出部32及び通信条件送出部33によって位置情報及び通信条件を送信する動作は、位置情報送出端末3のメール機能によって実現される。位置情報送出端末3は、メール機能によって、宛先を位置管理サーバ1のアドレスとし、位置情報及び通信条件を含む位置送信メールを作成して、当該位置送信メールを位置管理サーバ1に送信する。
【0039】
このような位置情報送出端末3は、管理者によって通信端末2の位置情報を位置管理サーバ1に登録する場合に、管理者に所持されて通信端末2の付近に運ばれる。そして、位置情報送出端末3は、管理者の操作に応じて位置情報を取得し、当該位置情報と通信条件とをデータとして位置管理サーバ1に送信する。
【0040】
位置管理サーバ1は、通信端末2と通信可能に接続され、通信端末2のIPv6アドレスと通信端末2の位置情報とを対応付けして記憶する。この位置管理サーバ1は、受信バッファを含む通信部11、通信条件取得部12、位置情報登録部13、記憶部1aに相当する位置情報記憶部14を含む。この位置管理サーバ1は、記憶部や通信I/F回路、CPU及びプログラムを含むコンピュータであり、CPUがプログラムを実行する。これにより、位置管理サーバ1のプログラムは、後述するフローチャート等によって説明する動作を行って、通信端末2のIPv6アドレスと位置情報とを対応付けて登録する。
【0041】
通信部11は、LANやWAN等の通信ネットワークを介して通信端末2との間で通信パケットの授受が可能となっている。また、通信部11は、移動体通信ネットワーク等を介して位置情報送出端末3との間で通信パケットの授受が可能となっている。通信部11は、通信端末2及び位置情報送出端末3から受信した通信パケットを通信条件取得部12に供給する。
【0042】
通信条件取得部12は、通信部11を介して位置情報送出端末3から送信された位置送信メールを取得する。通信条件取得部12は、取得した位置送信メールに含まれる通信条件を取得する。この通信条件とは、位置情報送出端末3から送出された位置情報と通信端末2から送信された通信パケットに含まれる通信アドレスとを対応付けする通信端末2の通信条件である。この通信条件は、例えば、上述した図4のようなpingパケットのデータ長である。
【0043】
位置情報登録部13は、通信部11を介して、位置情報送出端末3から送信された位置送信メールを受信する。また、位置情報登録部13は、通信条件取得部12によって取得された通信条件を参照する。位置情報登録部13は、通信端末2の通信状態(pingパケット)が通信条件を満たすか否かを判定する。通信端末2の通信状態が通信条件を満たす場合、位置情報登録部13は、当該通信端末2のIPv6アドレスと位置情報送出端末3から送出された位置情報とを対応付けして登録する。この登録処理は、位置情報記憶部14に対して位置情報とIPv6アドレスとを対応させて記憶することによって行われる。
【0044】
この位置管理サーバ1は、例えば図7に示すような処理手順によって動作する。
【0045】
先ず位置管理サーバ1は、ステップST1において、通信部11によって、位置情報送出端末3から送信された位置送信メールを受信する。
【0046】
次に位置管理サーバ1は、ステップST2において、通信部11によって、ステップST1にて受信した位置送信メールから位置情報及び通信条件を抽出する。通信条件は、通信条件取得部12に供給される。位置情報は、位置情報登録部13に供給される。
【0047】
次に位置管理サーバ1は、ステップST3において、位置情報登録部13によってpingパケットのアクセスログを抽出する。
【0048】
次に位置管理サーバ1は、ステップST4において、位置情報登録部13によって、pingパケットを受信したアクセスログを参照して、通信条件としてのpingパケットのデータ長と合致するpingパケットを受信したか否かを判定する。通信条件に合致するデータ長のpingパケットがアクセスログに記録されていた場合、ステップST5に処理を進める。
【0049】
次に位置管理サーバ1は、ステップST5において、位置情報登録部13によって、ステップST4にて検出されたpingパケットに含まれるIPv6アドレスを抽出する。
【0050】
次に位置管理サーバ1は、ステップST7において、位置情報登録部13によって、ステップST5にて抽出したIPv6アドレスとステップST1にて取得した位置情報とを対応付けして位置情報記憶部14に記憶させる。
【0051】
次に位置管理サーバ1は、ステップST8において、位置情報記憶部14に位置情報と通信端末2のIPv6アドレスとを対応させて登録完了したことを記述したメールを位置情報送出端末3に返信して、処理を終了する。
【0052】
一方、ステップST4にて位置送信メールに含まれた通信条件に一致するpingパケットがアクセスログに無かった場合には、ステップST6に処理を進める。このステップST6において、位置管理サーバ1は、アクセスログに通信条件に一致するpingパケットが無く、位置情報にIPv6アドレスを対応付けして登録できなかったことを記述したエラーのメールを送信する。
【0053】
この登録完了したことを記述したメールを送信する処理を含むシーケンスは、図8のようになる。位置管理サーバ1は、図8のように位置管理サーバ1から登録結果を送ることで、登録の成否を管理者認識させることができる。したがって、通信端末2の位置情報が位置管理サーバ1に登録されなかった場合には、再度位置情報送出端末3から位置送信メールを位置管理サーバ1に送信する等の再試行ができ、確実に位置情報を登録できる。
【0054】
以上のように、この位置管理システムによれば、通信条件に合致する通信状態の通信端末2のIPv6アドレスと位置情報とを対応付けして登録できる。これにより、この位置管理システムによれば、通信アドレスと位置情報とを対応付けて登録するための管理者の作業工数を抑制できる。具体的には、管理者が位置情報送出端末3を持って通信端末2の付近で位置情報をGPSによって取得し、当該位置情報送出端末3によって通信条件を入力する。
【0055】
したがって、この位置管理システムによれば、IPv6アドレスを割り当てた通信端末2を多数設置されても、各通信端末2の位置を登録するために要する工数を抑制できる。また、この位置管理システムによれば、管理者によって通信端末2のIPv6アドレスを入力する必要なく、長いIPv6アドレスを入力するという煩雑な作業を回避できる。
【0056】
また、この位置管理システムによれば、位置情報送出端末3によって通信条件を位置管理サーバ1に送出するので、管理者によって通信条件を定めることができる。これにより、この位置管理システムによれば、通信条件の変更を最低限にして少ない工数で位置情報の登録を行うことができる。
【0057】
更に、この位置管理システムによれば、pingパケットのデータ長を通信条件としているので、位置情報をIPv6アドレスに対応付けるための通信条件を通信端末2に容易に設定できる。また、通常のpingパケットのデータ長と異なるpingパケットのデータ長を明確に設定でき、位置管理サーバ1により確実にIPv6アドレスと位置情報とを対応付けして登録できる。したがって、この位置管理システムによれば、通常には用いられないpingパケットのデータ長の範囲で細かく通信条件を設定することにより、複数の管理者によって通信端末2の位置情報の登録作業を行うことができる。
【0058】
また、この位置管理システムは、図9に示すように、位置情報送出端末3から位置管理サーバ1に送信する位置送信メールの位置情報に、位置管理サーバ1に登録される通信端末2を特定するための付加情報を付加しても良い。これに対し、位置管理サーバ1は、pingパケットのデータ長が通信条件に一致する場合に、位置情報とIPv6アドレスと付加情報とを対応付けして登録する。
【0059】
この付加情報としては、通信端末2を特定するものであれば特に限定されない。付加情報は、例えば、通信端末2の画像や、通信端末2の設置位置を表す画像が挙げられる。通信端末2の画像とした場合、位置情報送出端末3は、カメラ機能を有し、管理者の操作によって通信端末2の画像を撮像する。そして、位置情報送出端末3は、位置情報及び通信条件に、付加情報としての通信端末2の画像を付加して、位置管理サーバ1に送信する。これにより、位置管理サーバ1に登録された通信端末2のIPv6アドレス及び位置情報を確認する管理者等に、通信端末2を特定する画像も提示できる。
【0060】
このような位置管理システムによれば、例えば、建物内の通信端末2の概観の画像情報などの通信端末2を特定する付加情報を位置情報及び通信条件と同時に送出する。これにより、この位置管理システムは、位置管理サーバ1に登録される内容に基づいて現場での通信端末2の特定を容易にすることができる。
【0061】
つぎに、上述した位置管理システムにおいて、通信端末2の接続変更を検出した場合に対応できるものについて説明する。この位置管理システムは、通信端末2が移動した際における位置情報を追跡して自動的に登録するものである。なお、この位置管理システムにおいて、通信端末2は、半固定的に使用され、低頻度で移動されるものである。
【0062】
この位置管理システムは、図10に示すように、位置管理サーバ1と通信端末2との間に、中継装置としてのルータ4A,4B、ボーダルータ5が設けられている。これらのルータ4A,4B、ボーダルータ5は、各ネットワークの境界を区切るように機能する。すなわち、通信端末2は、ルータを介して他のネットワークの端末と通信可能となる。
【0063】
このルータ4A、4Bとしての中継装置4は、パケットを中継する本来的な機能に加えて、図11に示すような機能を備えている。中継装置4は、位置変更検出部41と、位置情報送出部42とを含む。なお、本実施形態では、中継装置4としてルータを示したが、これに限らず、L2スイッチ等であってもよく、ルータとL2スイッチの双方であっても良い。
【0064】
位置変更検出部41は、当該中継装置4に接続された通信端末2を検出する。例えば、位置変更検出部41は、通信端末2が新たにネットワークに接続された場合に、当該通信端末2のMACアドレスを受信する。そして、位置変更検出部41は、中継装置4に接続されているMACアドレスのリストテーブルを作成する。位置変更検出部41は、MACアドレスが送信された場合に、MACアドレスのリストテーブルに登録されていないMACアドレスである場合には、通信端末2が新規端末であると認識する。なお、MACアドレスに限らず、通信端末2を識別できるIDであっても良い。
【0065】
位置情報送出部42は、位置変更検出部41によって新規端末が検出された場合に、自己の位置情報を含む新規端末通知を位置管理サーバ1に送信する。この中継装置4の位置情報は、例えば、中継装置4の設置時に予め設定された緯度・経度情報である。
【0066】
位置管理サーバ1は、図12に示すように、通信端末2、位置情報送出端末3に加えて、中継装置4が通信可能に接続されている。位置管理サーバ1は、上述した各部に加えて、位置変更検出部15、仮位置情報登録部16、管理者通知部17を備えている。
【0067】
位置変更検出部15は、通信部11を介して中継装置4から送信された新規端末通知が供給される。位置変更検出部15は、新規端末通知が供給された場合に、通信端末2の位置変更(接続変更)を検出する。
【0068】
仮位置情報登録部16は、位置変更検出部15により通信端末2の位置変更(接続変更)が検出された場合に、当該接続変更された通信端末2の位置を通信端末2の接続される中継装置4の位置情報として仮登録する。このとき、仮位置情報登録部16は、位置情報記憶部14に記憶された通信端末2の位置情報を、新規端末通知に含まれていた中継装置4の位置情報に変更させる。
【0069】
管理者通知部17は、新規端末通知が位置変更検出部15により検出されたことを管理者に通知する。また、この通知には、通信端末2の正確な位置を取得する要求を含んでいることが望ましい。この管理者通知部17は、例えば管理者が閲覧するディスプレイ上に通信端末2の接続変更があった旨を表示しても良く、音声で出力しても良く、管理者が保持する携帯端末にメール等で通知しても良い。また、管理者通知部17は、どの中継装置4に新たな通信端末2が接続されたかの情報や、当該中継装置4の位置情報も通知することが望ましい。
【0070】
このような位置管理システムにおいて、例えば、ルータ4Aに接続されていた通信端末2が移動されて設置位置の変更がされた結果として、ルータ4Bを含むネットワークに接続されたとする。この場合、位置管理システムは、図13に示すように動作する。
【0071】
先ず、通信端末2は、自己が新たなネットワークに接続された時に、当該ネットワークに対して自己が通信を開始するパケットS11を送信する。この通信開始パケットS11は、当該ネットワークにおける中継装置4によって受信される。
【0072】
中継装置4は、通信開始パケットS11を受信すると、自己のネットワークに新たな通信端末2が接続されたことを検出し、当該通信端末2の外部通信を遮断する。中継装置4は、位置管理サーバ1に対して新規端末通知S12を送信する。この新規端末通知S12には、上述したように中継装置4の位置情報が含まれている。
【0073】
位置管理サーバ1は、中継装置4から送信された新規端末通知S12を受信すると、その旨を管理者に通知する。また、位置管理サーバ1は、中継装置4の位置を、接続変更された通信端末2の位置として仮登録する。位置管理サーバ1は、位置情報(データベース)を更新したことの応答パケットS13を中継装置4に送信する。その後、中継装置4によって通信端末2の通信は許可されて、各種のデータS14が通信可能となる。
【0074】
以上のように、この位置管理システムによれば、通信端末2の接続変更を検出した場合に、当該通信端末の接続変更を通知するので、各ネットワークにおける中継装置4の接続状況の変化から通信端末2の位置変更を類推して管理者に知らせることができる。これにより、管理者によって早期に新たに接続変更された通信端末2の位置を更新するように対応を行うことができる。
【0075】
すなわち、管理者は、通信端末2の位置変更が通知された後に、位置情報送出端末3を携帯して位置変更がされた通信端末2の位置情報を取得して、位置管理サーバ1に送信する。その後、通信端末2から位置管理サーバ1にpingパケットが送信されることにより、位置管理サーバ1は、接続変更された通信端末2の正確な位置情報を登録できる。
【0076】
また、この位置管理システムによれば、接続変更された通信端末2の位置を通信端末2の接続される中継装置4の位置情報として仮登録するので、管理者が正しい位置情報を設定するまで、ある程度の精度を持つ位置情報を仮登録することができる。これにより、位置管理システムは、仮登録された中継装置4の位置情報付近の通信端末2が接続変更されたことを管理者に認識させ、その後に正確な通信端末2の位置情報を登録するために位置情報送出端末3を携帯して通信端末2の元に出向くことができる。
【0077】
更に、この位置管理システムによれば、通常は通信端末2の位置情報を手動で更新するが、移動された通信端末2の台数が増加すると更新のミスや手間も増加するものの、当該位置の更新を自動化することによって、ミスや手間を軽減することができる。
【0078】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0079】
1 位置管理サーバ
2 通信端末
3 位置情報送出端末
4 中継装置
11 通信部
12 通信条件取得部
13 位置情報登録部
14 位置情報記憶部
15 位置変更検出部
16 仮位置情報登録部
17 管理者通知部
21 パケット送信部
31 位置情報取得部
32 位置情報送出部
33 通信条件送出部
41 位置変更検出部
42 位置情報送出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の通信アドレスを含む通信パケットを送出する通信端末と、
前記通信端末と通信可能に接続され、前記通信端末の通信アドレスと前記通信端末の位置情報とを対応付けて記憶する位置管理サーバと、
位置情報を取得する位置情報取得部と、前記取得された位置情報を前記位置管理サーバに送出する位置情報送出部と、を有する位置情報送出端末とを備え、
前記位置管理サーバは、前記位置情報送出端末から送出された位置情報と前記通信端末から送信された通信パケットに含まれる通信アドレスとを対応付ける前記通信端末の通信条件を取得する通信条件取得部と、前記通信端末の通信状態が前記通信条件取得部により取得された通信条件を満たす場合に、当該通信端末の通信アドレスと前記位置情報送出端末から送出された位置情報とを対応付けして登録する位置情報登録部とを備えること
を特徴とする位置管理システム。
【請求項2】
前記位置情報送出端末は、前記位置情報に、前記位置管理サーバに登録される通信端末の位置情報を特定するための付加情報を付加して、前記位置管理サーバに送出し、
前記位置管理サーバの前記位置情報登録部は、前記位置情報と前記通信アドレスと前記付加情報とを対応付けして登録すること
を特徴とする請求項1に記載の位置管理システム。
【請求項3】
前記位置情報送出端末は、前記位置情報と対応付けされる通信アドレスを有する通信端末の通信条件を送出する通信条件送出部を備え、
前記位置管理サーバの通信条件取得部は、前記位置情報送出端末の通信条件送出部から送られた通信条件を取得すること
を特徴とする請求項1に記載の位置管理システム。
【請求項4】
前記通信条件及び前記通信状態は、前記通信端末から送信される通信パケットのデータ長であることを特徴とする請求項1に記載の位置管理システム。
【請求項5】
前記通信端末の接続変更を検出する位置変更検出手段と、
前記位置変更検出手段により前記通信端末の接続変更を検出した場合に、当該通信端末の接続変更を通知する通知手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の位置管理システム。
【請求項6】
前記通信端末の接続変更を検出する位置変更検出手段と、
前記位置変更検出手段により前記通信端末の接続変更を検出した場合に、当該接続変更された通信端末の位置を前記通信端末の接続される中継装置の位置情報として仮登録する位置情報仮登録手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の位置管理システム。
【請求項7】
通信端末の位置情報を位置管理サーバに登録する位置管理方法であって、
前記位置管理サーバが、位置情報と前記通信端末から送信された通信パケットに含まれる通信アドレスとを対応付ける前記通信端末の通信条件を取得しておき、
前記通信端末が、前記位置管理サーバに自身の通信アドレスを含む通信パケットを送出するステップと、
前記通信端末の付近に存在する位置情報送出端末が、位置情報を取得し、当該取得された位置情報を前記位置管理サーバに送出するステップと、
前記位置管理サーバが、前記通信端末の通信状態が前記通信条件を満たす場合に、前記通信端末から送信された通信アドレスと前記位置情報送出端末から送信された位置情報とを対応付けて記憶部に記憶するステップと
を有することを特徴とする位置管理方法。
【請求項8】
自身の通信アドレスを含む通信パケットを送出する通信端末と、位置情報を取得して送出する位置情報送出端末とに通信可能に接続された位置管理サーバであって、
前記通信端末の通信アドレスと前記通信端末の位置情報とを対応付けして記憶する位置情報記憶部と、
前記位置情報送出端末から送出された位置情報と前記通信端末から送信された通信パケットに含まれる通信アドレスとを対応付けする通信条件を取得する通信条件取得部と、
前記通信端末の通信状態が前記通信条件取得部により取得された通信条件を満たす場合に、前記通信端末の通信アドレスと前記位置情報送出端末から送出された位置情報とを対応付けして前記位置情報記憶部に登録する位置情報登録部と
を備えることを特徴とする位置管理サーバ。
【請求項9】
自身の通信アドレスを含む通信パケットを送出する通信端末と、位置情報を取得して送出する位置情報送出端末とに通信可能に接続された位置管理サーバのプログラムであって、
前記位置管理サーバを、
前記通信端末の通信アドレスと前記通信端末の位置情報とを対応付けして記憶する位置情報記憶部と、
前記位置情報送出端末から送出された位置情報と前記通信端末から送信された通信パケットに含まれる通信アドレスとを対応付けする通信条件を取得する通信条件取得部と、
前記通信端末の通信状態が前記通信条件取得部により取得された通信条件を満たす場合に、前記通信端末の通信アドレスと前記位置情報送出端末から送出された位置情報とを対応付けして前記位置情報記憶部に登録する位置情報登録部として機能させるための位置管理サーバのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−235434(P2012−235434A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115888(P2011−115888)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】