説明

低いプロトン化定数のヒドロキシ酸

本発明は、硫黄含有ヒドロキシ酸、イオン含有ヒドロキシ酸の調製方法、および前記硫黄含有ヒドロキシ酸に基づく生成物、前記生成物の調製方法、および前記生成物の使用に関し、前記硫黄含有ヒドロキシ酸をポリマー系、例えばインク、コーティングおよび接着剤のような水系ポリマー系のための構成単位として用いる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、硫黄含有ヒドロキシ酸(hydroxysulphureous acid)、硫黄含有ヒドロキシ酸の調製方法、および上記硫黄含有ヒドロキシ酸をベースとした生成物、上記生成物の調製方法、および上記生成物の使用に関する。
【0002】
背景技術
水性ポリマー系、例えばインク、コーティング、および接着剤のためのポリマー分散体およびポリマー溶液は、長きに渡り知られており、通常、優れた技術的性質と高い職業上の安全を提供する。ポリマーは、多くのポリマー構成単位、例えばアルコール、酸、イソシアナート、ビニル化合物等から構築されている。ポリマー分散体の多くは典型的に、水よりも有機溶媒中により溶けやすい。環境への懸念、例えば溶媒の廃棄、安全性の問題と毒性のために、水性ポリマー分散体の開発が、この10年間の間に検討されている。水性ポリマー分散体を調製するための1つのアプローチは、イオン性構成単位をポリマー中に取り込むということである。
【0003】
しかしながら、アニオン的に安定化しているポリマー分散体の配合のための鍵となる成分は、反応性のアニオン性構成単位である。実用的な側面、例えば利用可能性および技術的性能を考慮すると、生成物の選択は、ほぼ、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸,DMPA(モノカルボン酸のジオール)、または5−スルホ−1,3−ベンゼンジカルボン酸,SIPAに帰着する。DMPAのジオール官能基は、ポリマー中への取り込みの可能性を提供する。例えば、ジオール官能基をカルボン酸またはイソシアナートと反応させることにより、それぞれエステル結合またはカルバメート結合を生じる。
【0004】
しかしながら、DMPAは、高融点、および種々の溶媒中での低い溶解性等のいくつかの不利点を有し、これはプロセス中での取り扱いを困難にしている。DMPAを溶解させるためには、扱いにくい溶媒、例えばN−メチルピロリドンまたはアセトンが用いられる。さらに、イオン性は、通常のカルボン酸基によりもたらされる。これは、例えば誘導効果により活性化されず、このことは、低い酸性度のものであり、高いプロトン化定数、pKaを有するということを意味し、イオン化させるためには高いpHの水性分散体を必要とする。さらに、SIPAは、低い反応性のために、樹脂構成ブロックとして使用するのが非常に困難であり、スルホナートベースの分散体は十分に中和できず、制御できないpHの変動を受ける。
【0005】
GB 1,455,554 は、アニオン性の構成単位、例えば硫酸基、またはスルホナート基を含有するジオールを開示している。これらのジオールは、ポリマー中に取り込まれた場合には好ましい効果を有し得る。しかしながら、主に、これらを好ましい系に取り込むことが困難であるため、市販されているスルホン化製品は多くは存在していない。ポリマー系に取り込む際の、スルホナート基を含有するジオールの問題は、pH安定性を提供するために緩衝剤を加える必要があることである。
【0006】
DMPAをベースとした、ポリウレタン分散体のような水性分散体のコーティング系を木材に塗布した際に、上面の木の層のpHは、中性でない領域にシフトし得る。
【0007】
木材は、例えばセルロース等の多糖類、リグニン等のポリ(フェニルプロパン)構造体、樹脂、油、および脂肪酸から成る非常に複雑な材料である。中性から中性以外へのpHのシフトは木材の構造に影響を及ぼし、これを望ましくない性質を示し得る。最も顕著には、pHに敏感な発色団は色をシフトさせて、コーティングされた木材に、不自然な、美しくない外観を与え得る。
【0008】
EP 605,858 および US 5,470,899 は、カルボキシラート基またはスルホナート基により安定化されているアニオン性ポリウレタン分散体のpHを、1つ以上のエステル基を有する化合物の添加により低下させるための方法を開示している。
【0009】
WO 9,806,768 は、水性ポリマー、および2.0を超えるpH安定度を有する水性スルホン化ポリマー組成物の調製方法を開示している。いくつかの系は有機溶媒を含まないことを主張しているが、プレポリマーの調製において少量の有機溶媒が必要とされる。
【0010】
アルキドのような多くの水分散性のポリエステルは問題に直面している。というのは、ポリマーのエステル結合が、加水分解に起因する分解を被るためである。インク、コーティングおよび接着剤産業において用いられる水分散性ポリマー分散体の保存寿命は、大いに、ポリマー分散体におけるエステル結合の完全性に依存する。貯蔵中のポリマー分散体におけるエステル結合の開裂は、ポリマーの分子量を低下させ、また、このポリマー分散体を含有するインク、コーティングまたは接着剤の性能を損なう。従って、ポリマー分散体の加水分解安定性を改善する方法が望まれている。
【0011】
US2004/0152830 は、二級または三級ヒドロキシル基から形成される加水分解に安定なエステル結合を含有することにより、水性分散体の向上した安定性を主張している。この発見は、ポリエステル設計者に対して非常に限定された助けとなるにすぎない。というのは、入手可能なヒドロキシ構成単位は第一級アルコールであるためである。エステルの水安定性は、pHに大いに依存する。本発明により調製することができる低いpHの水系は、エステル加水分解を抑制するのにほぼ最適である。さらに、第二級アルコールおよび第三級アルコールは、第一級アルコールと比較して、双方とも低い反応性並びに低い熱的安定性および酸安定性のものである。
【0012】
ポリウレタン分散体の製造のための溶媒の選択はN−メチルピロリドンおよびわずかな他の溶媒に主として限定される。この制限は、とりわけ、高いpHの水溶液の加水分解活性のために課せられる。現代技術を用いては、エステル溶媒および他の加水分解に敏感な添加剤は通常除かれる。
【0013】
US 6,576,702 はポリウレタン分散体を開示しており、ここではエステルのような可塑剤を、水に分散させる前にプレポリマーに加えている。
【0014】
上記の引用文献から、ポリマー系、例えば水性ポリマー系のための構成単位であって、上記した不利点を解決することができ、すなわち、水分散性、低いpHにおける安定性、自然の木材の色の保持、および適切な反応性を提供するものについての要求が存在することは明らかとなっている。
【0015】
従って、高い水安定性、原料の選択における高い自由度、および木材の色に関して最小の影響を有する水性ポリマーについての概念を発展させることは有益である。
【0016】
発明の概要
本発明の目的は、ポリマー系、例えば、インク、コーティングおよび接着剤のような水性ポリマー系のための構成単位であって、他のポリマー構成単位との良好な反応性、簡便な取扱いおよび処理性質、および水系の安定性を提供するものを提供することである。
【0017】
この目的は、一般式I
【化8】

【0018】
(式中、
zは1〜3の整数であり、
mは1〜3の範囲にある整数であり、
各xは独立して、0〜1の整数であり、Rは、
【化9】

【0019】
または少なくとも1つの末端ヒドロキシ基および2000以下の分子量を有するポリマーから成る群から選択され、
上記スペーサーは、脂肪族の、直鎖のおよび/若しくは分枝の炭素環若しくは炭素鎖、または芳香族化合物を含む)
を含み、任意に、酸素、窒素、硫黄またはハロゲンから成る群から選択されるヘテロ原子を含む硫黄含有ヒドロキシ酸、および上記硫黄含有ヒドロキシ酸の塩により達成される。
【0020】
本発明の他の目的は、水性ポリマー系であって、高い加水分解安定性、低いpHでの高い分散安定性、さらに長い保存寿命、および木材上での良好な色の保持等の魅力的な性質を提供するものを提供することである。これらの目的は、上記硫黄含有ヒドロキシ酸と当業者に既知である他の試薬との適切な反応により、上記硫黄含有ヒドロキシ酸に基づく生成物を提供することにより達成され、上記生成物は、エーテル、ポリエーテル、エステル、ポリエステル、好ましくはアルキドエマルジョン、ウレタン、ポリウレタン、好ましくは水系(waterborne)ポリウレタン、ウレタンアクリラート、ポリウレタンアクリラート、放射線硬化のためのアクリル化(acrylated)ポリウレタンまたはアクリル化ポリエステル、またはこれらの混合した誘導体であり得る。
【0021】
本発明の具体的な目的は、上記硫黄含有ヒドロキシ酸に基づく水性の系の調製方法を提供する。この目的は、例えば水系ポリウレタンを得るために、上記硫黄含有ヒドロキシ酸と当業者に既知である適切な試薬を反応させることにより、または上記硫黄含有ヒドロキシ酸と当業者に既知である適切な試薬を組み合わせることにより達成される。
【0022】
本発明のさらなる目的は、硫黄含有ヒドロキシ酸の製造方法を提供することである。この目的は、
a)メルカプトカルボン酸化合物を提供すること、
b)ヒドロキシアルケンまたはエポキシドを提供すること、
c)上記メルカプトカルボン酸と上記ヒドロキシアルケンまたはエポキシドとを反応させて、上記硫黄含有ヒドロキシ酸を得ること、
d)上記硫黄含有ヒドロキシ酸の硫黄原子を、スルホキシドまたはスルホンに任意に酸化すること
を含む方法により達成される。
【0023】
本発明のさらなる目的は、上記硫黄含有ヒドロキシ酸に基づく生成物の調製方法を提供することであり、ここで、当業者に既知である一般的な試薬を上記硫黄含有ヒドロキシ酸と反応させて、エーテル、ポリエーテル、エステル、ポリエステル、好ましくはアルキドエマルジョン、ウレタン、ポリウレタン、好ましくは水系ポリウレタン、ウレタンアクリラート、ポリウレタンアクリラート、放射線硬化のためのアクリル化ポリウレタンまたはアクリル化ポリエステル、またはこれらのあらゆる混合物を得る。
【0024】
他の目的は、基材、例えば好ましくは木製タイルまたは寄木張り床等の木材、金属基材、革基材、テキスタイル基材、コルク基材、プラスチック基材、例えばPVC(ポリビニルクロリド)、および紙基材のコーティングにおける、上記硫黄含有ヒドロキシ酸に基づく生成物の使用を提供することであり、ここで、上記生成物は好ましくは水系である。
【0025】
本発明のさらに他の目的は、自然乾燥アルキド樹脂、1−または2−成分ポリウレタンコーティングまたは接着剤、飽和または不飽和ポリエステル、熱硬化性樹脂および/若しくはこれらから作られる複合材料のための強化剤、無溶媒、溶媒系(solventborne)、水系(waterborne)コーティング、ポリオレフィン、および熱可塑性プラスチックのための顔料分散体、アルキドエマルジョン、アクリル分散体およびポリウレタン分散体のための水分散性樹脂、分散ポリマー若しくは樹脂、ポリオレフィンおよび熱可塑性プラスチックのための加工助剤、水硬性組成物に流動性を与えるコンクリート混和剤、またはポリウレタン発泡体の調製における使用のための上記硫黄含有ヒドロキシ酸基づく、アクリル化され得る直鎖および/または分枝のポリエステルを提供することである。直鎖および/または分枝のポリエステルがアクリル化される場合には、これらは放射線硬化コーティング、印刷インク、または接着剤において用いられ得る。
【0026】
本発明による硫黄含有ヒドロキシ酸は、水系生成物、ポリエステル製生物、例えば直鎖および/若しくは分枝のポリマー若しくはアルキド、またはポリエーテル生成物の製造に典型的には適しており、ここで硫黄含有ヒドロキシ酸は、適切な一般的な試剤と反応して、例えばポリウレタン、好ましくは水系ポリウレタン、ポリウレタンアクリラート、放射線硬化のためのアクリル化ポリウレタン若しくはアクリル化ポリエステル、ポリエステル、ポリエーテル、またはアルキドを与える。
【0027】
本発明による硫黄含有ヒドロキシ酸は、市販の出発原料から上記した方法および請求項に記載した方法により得ることが容易であるという利点を有する。本発明による硫黄含有ヒドロキシ酸の他の利点は、硫黄含有ヒドロキシ酸が低いpHで安定であること、pHを過剰に上昇させることなくそのアニオン性活性体に容易に変換され得ること、および安定な水性ポリマー系を与えることである。このことは、木材のための水系ポリウレタンにおいて用いることができ、その際、木材のpHを中性に保ち、および木の敏感な発色団が色をシフトさせて、コーティングされた木材に不自然な、美しくない外観を与えることを回避するという利点を有する。
【0028】
本発明の硫黄含有ヒドロキシ酸のさらなる利点は、これらは非常に用途が広く、幅広い種類の用途のための多くの様々なポリマー系を調製するために用いることができることである。本発明による硫黄含有ヒドロキシ酸を適切な試剤を反応させて、本発明による硫黄含有ヒドロキシ酸を含む生成物を提供することができ、これはエーテル、ポリエーテル、エステル、ポリエステル、ウレタン、ポリウレタン、ウレタンアクリラート、ポリウレタンアクリラート、放射線硬化のためのアクリル化ポリウレタン若しくはアクリル化ポリエステル、またはこれらの混合された誘導体であり得る。本発明による硫黄含有ヒドロキシ酸は、フォトレジスト用途、顔料ペースト、接着剤において用いられるポリマー中に、可染性を改善するために、および木材のための艶出剤中に含まれ得る。
【0029】
本発明の他の利点は、本発明による硫黄含有ヒドロキシ酸は、水性ポリマー系のpHを調節して、エステル成分の最適な安定性を達成することができることである。
【0030】
本発明のさらなる利点は、上記硫黄含有ヒドロキシ酸を用いることによって、ポリマー系、例えば水系ポリウレタンの調製においていくつかの溶媒の中から選択することを可能にすることである。
【0031】
本発明の他の利点は、硫黄含有ヒドロキシ酸をポリマー系に取り込む際に、緩衝剤を加えることを要しないことである。
【0032】
発明の具体的な実施形態の詳細な説明
本発明の1つの実施形態において、一般式I
【化10】

【0033】
(式中、
zは1〜5、好ましくは1〜3の整数であり、
mは1〜3の範囲にある整数であり、各xは独立して、0〜1の整数であり、
Rは、
【化11】

【0034】
または少なくとも1つの末端ヒドロキシ基および2000以下の分子量を有するポリマーから成る群から選択され、
上記スペーサーは、脂肪族の、直鎖のおよび/若しくは分枝の炭素環若しくは炭素鎖、または芳香族化合物を含む)
を含み、任意に、酸素、窒素、硫黄またはハロゲンから成る群から選択されるヘテロ原子を含む硫黄含有ヒドロキシ酸、および上記硫黄含有ヒドロキシ酸の塩。
【0035】
式Iにおいて、Rは上記したように選択することができ、また式Iの他の部分への少なくとも1つの結合を有し、すなわち、Rは硫黄原子に結合する。Rは1を超える硫黄原子に結合することができ、これはスペーサーを介して少なくとも1つのカルボン酸基またはカルボキシラートに接続されており、ここで、上記硫黄原子、スペーサー、およびカルボン酸基またはカルボキシラートは、式Iの「他の部分」を構成する。各
【化12】

【0036】
は、一般式IにおけるRと硫黄原子との間の結合を示す。限定されない例は、一般式A:
【化13】

【0037】
であり、式中X、スペーサーおよびmは上記した通りであり、1を超える
【化14】

【0038】
が同じR基において存在する場合には、1を超える「他の部分」が同一のR基に結合し得ると理解され、例えば式Aに開示する通りである。
【0039】
さらに、上記zを1〜3と定義しているが、zは3を超えていてもよく、例えば4および5である。このことは、例えばRがポリマーである場合であり得る。
【0040】
本発明によれば、硫黄含有ヒドロキシ酸とは、上記一般式Iに従って、硫黄、ヒドロキシおよび酸を含有する化合物を意味する。本発明によれば、硫黄含有ヒドロキシ酸は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、アンモニウム、または置換アンモニウム、例えばトリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、N−メチルモルホリン、テトラブチルアンモニウム、またはホスホニウムのいずれもの塩として得ることができる。
【0041】
硫黄含有ヒドロキシ酸を、メルカプトカルボン酸化合物とヒドロキシアルケンまたはエポキシドとの付加反応により生成することができる。
【0042】
本発明の1つの実施形態において、Rは少なくとも1つの末端ヒドロキシ基を有するポリマーであり、ここで、上記ポリマーは好ましくは、ポリエステル、例えば脂肪酸エステル、不飽和エステル、アルキド若しくはプロピレンエーテルポリエステル;またはポリエーテル、例えばアルコキシ化プロピレンエーテル、アルコキシ化ポリオールプロピレンエーテル、アルコキシ化グリセロールプロピレンエーテルである。
【0043】
本発明の1つの実施形態において、スペーサーは、直鎖または分枝のアルキル鎖、好ましくは1〜10個の炭素原子を含むものである。
【0044】
本発明の1つの実施形態において、上記メルカプトカルボン酸化合物は、好ましくは、脂肪族メルカプトカルボン酸、例えば2−メルカプトカルボン酸、例えばメルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプト−2−メチルプロピオン酸、2−メルカプト酪酸、2−メルカプトペンタン酸、2−メルカプトコハク酸;3−メルカプトカルボン酸、3−メルカプトプロピオン酸;α−メルカプトシクロヘキサンカルボン酸;または11−メルカプトウンデカン酸;または芳香族メルカプトカルボン酸、例えばオルト−、メタ−若しくはパラ−メルカプト安息香酸;若しくはメルカプトナフトエ酸である。
【0045】
本発明の1つの実施形態において、上記ヒドロキシアルケンは、不飽和アルコール、好ましくはアリルアルコール、例えばアリルアルコール、メタリルアルコール、若しくは1,4−ブタ−2−エンジオール;またはアリルアルコール誘導体、例えばアルコキシ化アリルアルコール、例えばアリルアルコールエトキシラート、例えばアリルアルコールモノエトキシラート、アリルアルコールジエトキシラート、アリルアルコールトリエトキシラート、アリルアルコールオリゴエトキシラート、アリルアルコールポリエトキシラート若しくはこれらのあらゆる組み合わせ、またはアリルアルコールプロポキシラート、例えばアリルアルコールモノプロポキシラート、アリルアルコールジプロポキシラート、アリルアルコールトリプロポキシラート、アリルアルコールオリゴプロポキシラート、アリルアルコールポリプロポキシラート若しくはこれらのあらゆる組み合わせ;またはメタリルアルコールエトキシラート(methallyl alcohol ethoxylated);またはメタリルアルコールプロポキシラート(methallyl alcohol propoxylated);またはアリル若しくはメタリルコポリ(エトキシラート−プロポキシラート)である。
【0046】
本発明の1つの実施形態において、ヒドロキシアルケンは、ポリオールアリルまたはメタリルエーテルであり、ここで、ポリオールアリルまたはメタリルエーテルは、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジ−トリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、アンヒドロエニアヘプチトール(anhydroenneaheptitol)、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,11−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,10,12−テトラオキサジスピロ[5.1.5.3]−ヘキサデカン−7−オール、グリセロール、ヘキサントリオール、エリスリトール、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、サッカロース(saccarose)、メチルグルコシド、ヒドロキノン、またはレゾルシノールのアリル−およびメタリルエーテルであり、但し、パーアリル(perallyl)エーテルである。
【0047】
本発明の1つの実施形態において、ヒドロキシアルケンは、グリセロールジアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ジトリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ジトリメチロールプロパンジアリルエーテル、ジトリメチロールプロパントリアリルエーテル、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノールテトラアリルエーテル、1,5−ビス(ヒドロキシメチル)−3−オキサビシクロ[3.3.1]ノナン−9−オールアリルエーテル、またはアルコキシ化アリルエーテル、例えばアルコキシ化ポリオールアリルエーテル、アルコキシ化グリセロールエーテルである。
【0048】
本発明の1つの実施形態において、ヒドロキシアルケンは、脂肪酸エステル、または不飽和エステル、例えばアルキドまたはアリルエーテルポリエステルである。
【0049】
本発明の1つの実施形態において、硫黄含有ヒドロキシ酸は、メルカプトカルボン酸化合物とエポキシドとの付加反応により生成する。ここで、上記エポキシドは、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、リモネンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、ジグリシジルエーテル、グリシジルアリルエーテル、ポリオールグリシジルエーテル、グリシドール、またはエポキシ化大豆油であり得る。
【0050】
本発明の1つの実施形態において、メルカプトカルボン酸化合物は、メルカプト硫黄酸、例えば2−メルカプトエチルスルホン酸、またはo−、m−若しくはp−メルカプトベンゼンスルホン酸である。
【0051】
本発明の1つの実施形態において、上記硫黄含有ヒドロキシ酸は、チオカルボン酸、例えばチオ酢酸、チオプロピオン酸、またはチオ安息香酸と、ヒドロキシアルケンまたはエポキシドとの付加反応、任意に続く中間(ヒドロキシアルキル)チオカルボン酸エステルの酸化および加水分解により生成する。
【0052】
本発明の1つの実施形態において、上記硫黄含有ヒドロキシ酸中の硫黄原子は、酸化剤、例えば空気、酸素、過酸化水素、過酢酸、過マレイン酸(permaleic acid)、過安息香酸、次亜塩素酸t−ブチル、過ホウ素酸ナトリウム、過硫酸水素カリウム、またはペルオキソ二硫酸アンモニウムにより、スルホンまたはスルホキシドにまで酸化される。
【0053】
本発明の1つの実施形態において、硫黄含有ヒドロキシ酸の調製方法が提供される。この方法は、メルカプトカルボン酸化合物とヒドロキシアルケンまたはエポキシドを提供すること、上記メルカプトカルボン酸化合物と上記ヒドロキシアルケンまたは上記エポキシドとを反応させることを含み、これにより上記硫黄含有ヒドロキシ酸が得られ、任意に硫黄含有ヒドロキシ酸を、任意のさらなるプロセス工程において、上記した酸化剤を使用することによりスルホキシドまたはスルホンにまで酸化する。酸化の効果を図1に示し、酸化は、酸強度を向上させる手段を提供する。上記の方法において、メルカプトカルボン酸化合物またはその塩を過剰量、当量、または不足量で、ヒドロキシアルケンまたはエポキシドに加えてもよいし、またはヒドロキシアルケン若しくはエポキシドを過剰量、当量、または不足量でメルカプト化合物に加えてもよい。反応温度は−20〜140℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは40〜90℃、最も好ましくは60〜85℃である。反応はニートで行うか、または溶媒、例えばアルコール、ケトン、エステル、芳香族化合物、若しくは塩素化溶媒の存在下で行う。反応は、開始剤、例えばビス−アゾイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、酸素または空気の存在下で行うことができ、ここで、反応混合物を、電磁放射線、例えばUV光または電子ビームによる照射により開始する。触媒が存在する場合には、反応物質の全質量のうちの開始剤の量は0〜3%、好ましくは0.0001〜1%、より好ましくは0.01〜0.75%、最も好ましくは0.05〜0.5%である。
【0054】
本発明によれば、「生成物」という語は、エーテル、ポリエーテル、エステル、ポリエステル、好ましくはアルキドエマルジョン、ウレタン、ポリウレタン、好ましくは水系ポリウレタン、ウレタンアクリラート、ポリウレタンアクリラート、放射線硬化のためのアクリル化ポリウレタン若しくはアクリル化ポリエステル、またはこれらのあらゆる混合物であり、これらは本発明による硫黄含有ヒドロキシ酸に基づいている。
【0055】
本発明によれば、「アクリラート」という語は、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸およびメタクリル酸エステルのいずれか1つによりアクリル化されている化合物を意味する。
【0056】
本発明の1つの実施形態において、上記硫黄含有ヒドロキシ酸は適切な試薬、例えば当業者に知られているエーテル化反応において用いられる一般的な試薬と反応し、生成物、例えばエーテルまたはポリエーテルが得られる。適切な試薬は、アルキレンオキシドであり得る。
【0057】
本発明の1つの実施形態において、上記硫黄含有ヒドロキシ酸を適切な試薬、例えばエステル化反応において用いられる当業者に知られる一般的な試薬と反応させて、生成物、例えばエステルまたはポリエステル、好ましくはアルキドを得る。適切な試薬はカルボン酸またはラクトン、例えばカプロラクトンであり得る。
【0058】
本発明の1つの実施形態において、上記硫黄含有ヒドロキシ酸を適切な試薬と反応させて、生成物、例えばウレタンまたはポリウレタンを得る。ここで、ポリウレタンは水系ポリウレタンであり得る。
【0059】
本発明の1つの実施形態において、上記硫黄含有ヒドロキシ酸を適切な試薬と反応させ、ここで、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを、ウレタンの調製方法に対して例えば溶媒として添加し、またはウレタン若しくはポリウレタンに添加して、続くエステルの重合により、生成物、例えばウレタンアクリラートまたはポリウレタンアクリラートが得られる。アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの重合を一般的なラジカル重合系、例えば熱的に誘導される重合またはレドックス重合系により行うことができる。上記ウレタンアクリラートまたはポリウレタンアクリラートを、コーティング、印刷インク、または接着剤において用いることができる。
【0060】
本発明の1つの実施形態において、上記硫黄含有ヒドロキシ酸を、当業者に既知であるアクリル化ポリマーまたは他の適切な試薬、例えばアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸若しくはメタクリル酸エステル、またはイソシアナートと反応させて、放射線硬化のためのアクリル化ポリウレタンまたはアクリル化ポリエステルを得る。上記アクリル化ポリウレタンまたはアクリル化ポリエステルは、放射線硬化コーティング、印刷インクまたは接着剤中で用いられる。
【0061】
上記した生成物は、基材、好ましくは木材、金属基材、革基材、テキスタイル基材、プラスチック基材および紙基材のコーティングにおいて用いられる。
【0062】
本発明の1つの実施形態において、
a)イソシアナートまたはイソシアナート混合物、例えばヘキサンジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、イソホロンジイソシナアート、ナフタレンジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、テトラメチルキシレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、またはこれらのダイマー、トリマー若しくはオリゴマー、
b)ポリオール、例えば低分子量ポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、オリゴエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、オリゴプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、デカンジオール、ドデカンジオール、還元ダイマー酸ジオール(reduced dimer acid diol)、脂肪酸ポリオール、例えばリシノール酸誘導体、エポキシ化油ポリオール誘導体、グリセロール、ネオペンチルポリオール、例えばネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバロイルヒドロキシピバラート、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジポリオール、例えばジネオペンチルグリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1−オール、アルコキシ化ネオペンチルポリオール、例えばエトキシ化若しくはプロポキシ化ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−2−オール、ポリエーテルポリオール、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン、ポリカルボナートポリオール、例えばポリ(1,4−ブタンジオールカルボナート)、ポリ(1,6−ヘキサンジオールカルボナート)、ポリ(2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールカルボナート)、ポリ(ネオペンチルグリコールカルボナート)、ポリ(ビスフェノールAカルボナート)、ポリラクトンポリオール、例えばポリカプロラクトン;ポリエステルポリオールであって、アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、デカンジオール、ドデカンジオールから調製されるもの、ネオペンチルポリオール、例えばネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバラート、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキサン)メタン、および酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オルトフタル酸若しくは無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、ジヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、無水マレイン酸、フマル酸、および任意に、モノカルボン酸、例えば安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、t−ブチル安息香酸、2−エチルヘキサン酸、植物由来または動物由来の酸であって、純粋なまたは天然混合物で、トランス体または他の転移体(rearranged form)であるもの、例えばオクタン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、およびシリコンジオール、例えば Wacker Chemie AG から入手可能な Silicone Fluid OH 15D、
c)上記の一般式に従う硫黄含有ヒドロキシ酸およびその混合物であって、任意に2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、またはヒドロキシピバル酸との混合物中のもの
d)任意に、触媒または触媒の混合物、例えばスズ化合物若しくはアミン、またはリン酸若しくはホスファートの存在下で、
e)任意に、溶媒または溶媒混合物、例えばラクタム、例えばN−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ビニルピロリドンまたはビニルカプロラクタム、例えばアルコール、例えばt−ブタノール若しくはジアセトンアルコール、エステル、例えばカプロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ギ酸エチル、酢酸エチル、プロピオン酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、二酢酸エチレングリコール、二酢酸プロピレングリコール、コハク酸ジメチル、グルタール酸ジメチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、ジアクリル酸エチレングリコール、アクリル酸メチルヘキサメチルグリコール、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、メタクリル酸アセトアセトキシエチル、またはエーテル、例えばジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、またはアミド、例えばジアセトンアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド、またはN−アセチルモルホリン、またはビニルシラン、例えばトリメトキシビニルシランの存在下で、
f)任意に、添加剤、例えば乾燥剤、表面改質剤、光学外観改変剤(optical appearance modifying agent)、UV吸収剤の存在下で、
g)任意に、中和塩基、例えばアミンまたはその混合物、例えばトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエタノール、または塩、例えば水酸化ナトリウム若しくは炭酸カリウムの存在下で、
h)鎖延長(chain extending)窒素化合物、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン、ヘキシレンジアミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジド、アミノポリアルキレンオキシド、またはこれらの混合物、
i)任意に酸化剤を加える、
j)任意にpH調節剤を加える
を反応させることを含む、ポリウレタン生成物の調製方法が提供され、ここで当業者に知られる一般的な反応のパラメータを用いることができ、例えば Polyurethanes for Coatings, M. Bock, Vinzentz Verlag, Hannover, ISBN 3-87870- 732-0 およびここに含まれる引用文献中に記載されている。上記した方法の範囲内で、存在する場合にはa)、b)、c)、d)、e)、f)およびg)をどの順番で加えてもよく、プレポリマーをもたらし得る。このプレポリマーを水と混合し、続いてh)による鎖延長化合物を添加し、および任意にi)およびj)が続く。
【0063】
本発明の1つの実施形態において、上記硫黄含有ヒドロキシ酸を、直鎖および/または分枝ポリエステルを調製するために用い、これらは、硫黄含有ヒドロキシ酸のホモ縮合、または硫黄含有ヒドロキシ酸とカルボン酸、例えばヒドロキシピバル酸、乳酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、またはこれらの混合物との共縮合、任意にアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、2−エチルヘキサノール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバラート、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジ−トリメチロールプロパン、ジ−ペンタエリスリトール、またはアルコキシ化ポリオールを含む、により調製することができ、ここで、ホモ縮合または共縮合は任意に、触媒、例えば酸、例えばp−トルエンスルホン酸、またはスズ化合物、例えばブチルスズ酸を含み、得られる生成物は、任意に、鎖延長、鎖停止(chain teminated)、および/または官能化されており、また得られる直鎖のおよび/または分枝のポリエステルを、
a)自然乾燥アルキド樹脂、
b)1−または2−成分ポリウレタンコーティングまたは接着剤、
c)飽和または不飽和ポリエステル、
d)熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、ポリウレタン、マレイミド、シアン酸エステル、フェノール/ウレア−ホルムアルデヒド樹脂、およびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、並びに/またはこれらから作られる複合材料のための強化剤、
e)無溶媒、溶媒系(solventborne)、水系(waterborne)コーティング、ポリオレフィン、および熱可塑性プラスチック,例えばポリカルボナート、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、およびポリウレタンのための顔料分散体、
f)アルキドエマルジョン、アクリル分散体およびポリウレタン分散体のための水分散性樹脂、
g)分散ポリマー若しくは樹脂、例えば反応性ポリマー表面活性剤であって、アルキド、ポリエステル、ポリエーテルおよびポリウレタンのためのもの、
h)ポリオレフィンおよび熱可塑性プラスチック、例えばポリカルボナート、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、およびポリウレタンのための加工助剤、
i)水硬性組成物、例えばセメントペースト、モルタルまたはコンクリートに流動性を与えるコンクリート混和剤、
j)ポリウレタン発泡体
の調製において、または調製のために用いる。
【0064】
上記直鎖のおよび/または分枝のポリエステルを、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、およびメタクリル酸エステルのような反応剤によりアクリル化することができ、放射線硬化コーティング、印刷インク、または接着剤において用いることができる生成物を与える。
【0065】

本明細書中で用いられるAIBNはアゾビスイソブチロニトリルを意味し、KOHは水酸化カリウムを意味し、Fe−EDTAはエチレンジアミン四酢酸の鉄錯体(EDTA)を意味する。
【0066】
例1a グリセロールモノアリルエーテル−チオ乳酸付加物,GALAの合成
AIBN(3.5g)を、グリセロールモノアリルエーテル(894g,6.77mol)に溶解させた。この溶液を窒素下で撹拌しながら、チオ乳酸(718g,6.77mol)に、発熱反応の温度を85℃に保つ速度でゆっくりと加えた。添加が完了したら、温度を90℃に上げ、90℃に1時間保った。生成物は、1H−NMR(CDCl3):δ 1.42(d,3H,J=7Hz,SCHCH3),1.78−1.98(m,2H,CH2CH2CH2),3.65−3.92(m,2H,CH2S),3.38−3.78(m,7H),3.85−3.95(m,1H)を有し、水、メタノール、エタノール/トルエン(1/4)に可溶であり、ヘキサンに不溶であった。
【0067】
例1b チオ乳酸のグリセロールモノアリルエーテルへの空気促進(air promoted)付加,GALA
チオ乳酸(133.7g)を、効率的な撹拌プロペラを備えた反応フラスコに加え、90℃に加熱した。トリエチルアミン(6.4g)を加え、空気をフラスコに通し、グリセロールモノアリルエーテルを、温度を90℃に保つ速度で加えた。添加が完了したら、反応を90℃で3.5時間進めて、タイトル付加物を得た。
【0068】
例2 トリメチロールプロパンモノアリルエーテル−チオ乳酸付加物,TELAの合成
AIBN(1.5g)をトリメチロールプロパンモノアリルエーテル(497g,2.86mol)に溶解させた。この溶液を窒素下で撹拌しながら、チオ乳酸(300g,2.83mol)に、発熱反応の温度を80℃に保つ速度でゆっくりと加えた。添加が完了したら、温度を90℃に上げ、90℃に1時間保った。生成物は、1H−NMR(CDCl3):δ 1.11(t,3H,CH3CH2),1.53(q,2H,CH3CH2),2.00−2.20(m,2H,CH2CH2CH2),2.98−3.06(m,2H),3.65−4.02(m,9H)を有し、メタノールおよびトルエンに可溶であり、ヘキサンに不溶であった。
【0069】
例3 トリメチロールプロパンジアリルエーテル−チオ乳酸付加物,TDELAの合成
AIBN(100mg)をトリメチロールプロパンジアリルエーテル(10.08g,47mmol)に溶解させ、この混合物を撹拌しながら、チオ乳酸(10g,94mmol)に加えた。混合物をオーブンに60℃で16時間入れた。生成物は、1H−NMR(CDCl3):δ 0.70−0.80(m,3H,CH3CH2),1.20−1.50(m,4H),1.60−1.90(m,4H),2.65−2.80(m,4H),3.20−3.60(m,19H)を有した。
【0070】
例4 トリメチロールプロパンモノアリルエーテル−メルカプト酢酸付加物、TEMAの合成
AIBN(132mg)をトリメチロールプロパンモノアリルエーテル(25g,0.14mol)中に溶解させて、撹拌しながら、メルカプト酢酸(13.2g,0.14mol)に加えた。反応混合物を30分間85℃に加熱した。生成物は、1H−NMR(CDCl3):δ 0.90(t,3H,CH3),1.37(q,2H,CH3CH2),1.95(m,2H,CH2CH2CH2),2.80(t,2H,CH2CH2S),3.30(s,2H,CH2COOH),3.50(s,2H,CCH2OCH2),3.57(t,2H,CCH2OCH2),3.70(d,2H,CH2OH),3.80(d,2H,CH2OH)を有した。
【0071】
例5 グリセロール1−モノアリルエーテル−メルカプト酢酸,GAMAの合成
AIBN(50mg)を、グリセロール1−アリルエーテル(15g,0.11mol)に溶解させて、メルカプト酢酸(10.51,0.11mol)に撹拌しながら加えた。混合物をオーブンに60℃で15時間入れた。生成物は、1H−NMR(CDCl3):δ 1.93(p,2H,CH2CH2CH2,J=5Hz),2.79(t,2H,CH2CH2CH2S,J=6Hz),3.24(s,2H),3.5−3.75(m,6H),3.90(m,1H)を有した。
【0072】
例6 アリルオキシプロパノール−メルカプト酢酸付加物,APMAの合成
AIBN(100mg)を、アリルオキシプロパノール(10g,86mmol)に溶解させ、撹拌しながら、メルカプト酢酸(7.95g,86mmol)に加えた。反応混合物をオーブンに60℃で15時間入れた。生成物は、1H−NMR(CDCl3):δ 1.20(d,3H,CH3),1.95(p,2H,CH2CH2CH2),2.80(t,2H,CH2S),3.30(s,2H,CH2COOH),3.31(d,1H,CHOHCH2),3.45(d,1H,CHOHCH2),3.65(m,2H,OCH2CH2),4.05(m,1H,CHOH)を有した。
【0073】
例7 グリセロールモノアリルエーテル−3−メルカプトプロパン酸付加物,GAPAの合成
AIBN(50mg)を、グリセロール1−モノアリルエーテル(15g,0.11mol)に溶解させ、3−メルカプトプロパン酸(12.06,0.11mol)に撹拌しながら加えた。反応混合物をオーブンに60℃で15時間入れた。生成物は、1H−NMR(CDCl3):δ 1.83(p,2H,CH2CH2CH2,J=5Hz),2.59(m,4H),2.72(t,2H,J=6Hz),3.41−3.69(m,6H),3.86(p,1H,J=4Hz)を有した。
【0074】
例8 短鎖ポリエステルの合成およびチオ乳酸の添加
アジピン酸(244g,1.67mmol)、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル(674g,3.87mol)、および Fascat 4100(0.6g)を、水を共沸除去しながら、0.75mgKOH/gの酸価にまで反応させた。ポリエステル(150g)を、チオ乳酸(63.1g,0.60mol)およびAIBN630(mg)を用いて処理した。混合物を60℃で2時間撹拌した後、オーブンに60℃で15時間入れた。生成物は、1H−NMR(CDCl3):δ 1.80(m),2.60(m)を有し、添加の成功を示した。
【0075】
例9 ヒドロキシ末端を有する分枝ポリエステルの合成
メルカプト酢酸(92.1g,1.0mol)を反応フラスコに入れた。AIBN(435mg)をトリメチロールプロパンモノアリルエーテル(174g,1.0mol)に溶解させ、この溶液を反応フラスコに、温度を80℃に保ってゆっくりと加えた。添加が完了した後、ヘプタンを加え、温度を130℃に上昇させた。濃縮した後水を回収し、酸価を滴定した。39mgKOH/gの酸価に到達したら濃縮を終了し、1450g/molの分子量に相当した。
【0076】
例10 カルボキシ末端を有する分枝ポリエステルの合成
メルカプト酢酸(92.1g,1.0mol)を反応フラスコに入れた。AIBN(400mg)をトリメチロールプロパンジアリルエーテル(107g,0.50mol)に溶解させ、溶液を、反応フラスコに、温度を80℃に保ってゆっくりと加えた。添加を完了したら、ヘプタンを加えて、温度を130℃にまで上昇させた。濃縮をした後水を回収した。最終生成物は粘稠性のシロップであった。
【0077】
例11 飽和ポリウレタン分散体の合成
IPDI(243g)を反応フラスコに加え、80℃に加熱した。GALA(43.9g)、ネオペンチルグリコール(26.7g)、トリメチロールプロパン(2.35g)、飽和ポリエステルジオール(232g,1010g/mol)、およびジアセトンアルコール(75g)の溶液を調製し、反応フラスコに、温度を80℃に保つ速度で加えた。イソシアナート含有量が5.3%に達したら、トリエチルアミン(16.8g)を加えた後、反応混合物を撹拌しながら、水(735g)に加えた。水(62g)中の1,2−エチレンジアミン(20.6g)を分散体にゆっくりと加えて、分子量を増加させた。粒径はZave65nmであった。
【0078】
例12 事後膨潤(post-swelling)によるポリウレタンアクリラートの合成
例11の分散体(350g)を窒素下で反応フラスコに加えた。メタクリル酸メチル(78.4g)とアクリル酸ブチル(40.6g)を撹拌しながらゆっくりと加えた。ラジカル重合を、Fe−EDTA(2.49g,5mM)、アスコルビン酸(4.23g,1%水溶液)、およびt−ブチルヒドロペルオキシドにより開始した。反応混合物を60℃にし、この温度に30分間保った。過酸化水素(5.46g,30%)を加え、60℃で30分間酸化を及ぼした。ジアセトンアルコール(5.5g)中の無水酢酸(1g)をゆっくり加えることにより、pHを5.48にまで下げた。粒径はZave72nmであった。分散体の3滴をpH4の水性緩衝液に加えた。凝集は認められず、酸性pHで良好な安定性を示した。
【0079】
例13 アクリラート溶媒法によるポリウレタンアクリラートの合成
IPDI(262g)を乾燥空気下で反応フラスコに加え、80℃に加熱した。GALA(54.2g)、ネオペンチルグリコール(13.0g)、トリメチロールプロパン(3.05g)、飽和ポリエステルジオール(269g,1027g/mol)、メタクリル酸メチル(178.54g)、およびp−メトキシフェノール(250mg)の混合物を調製して、反応器に温度を80℃に保って加えた。イソシアナート含有量が5.76%となったら、トリエチルアミン(23.0g)を加え、混合物を水(2149g)に撹拌しながら加えた。この分散体に、水(84g)中の1,2−エチレンジアミン(28.1g)を加えた。続いて分散体(850g)を新しい反応フラスコに移し、窒素をパージした。ジアセトンアクリルアミド(7.56g)、無水マレイン酸(1.4g)、メタクリル酸メチル(71g)、およびアクリル酸ブチル(55.5g)の混合物をゆっくりと加えた。ラジカル重合を、Fe−EDTA(10.5g,5mM)、アスコルビン酸(6.3g,1%)、およびt−ブチルヒドロペルオキシド(105mg)の添加により開始した。反応混合物を60℃に1時間保った。その後、過酸化水素を加え(9.26g,30%)、pH6.07で粒径Zave88nmの分散体を得た。
【0080】
例14 放射線硬化のためのアクリル化ポリウレタンの合成
アクリル化ポリエステルを、アクリル酸(133.6g,1.85mol)、アジピン酸(135.2g,0.92mol)、ヘキサンジオール(208.2g,1.76mol)、およびトリメチロールプロパン(89.44,0.67mol)から調製した。反応水の除去のためのディーン・スタークトラップを備えた反応フラスコ中で成分を混合した。ヘプタン(200g)、p−トルエンスルホン酸(2.87g)、メチルヒドロキノン(1.57g)、および2,6−ジ−t−ブチルクレゾール(0.55g)を加え、混合物を還流するまで加熱した。計算した量の水が除去されたら、ヘプタンを圧力を低下させることにより除去した。アクリル化ポリエステル(166.1g)、カプロラクトンヒドロキシエチルアクリラート付加物(1:1,57.8g)、GALA(51.3g)、およびトリエチルアミンを反応フラスコ中で混合し、IPDI(177.7g)を温度を60〜80℃に保ってゆっくりと加えた。全てのIPDIを加え、イソシアナート数が2.2%となったら、反応混合物を水に分散させて(40℃、622g)、エチレンジアミン水溶液(40%,20g)をゆっくりと加えた。分散体からフィルムを作製し、Irgacure 1173 を用いてUV光により硬化させた。このフィルムは、エタノール/水が1:1での300回の摩擦耐性を有した。
【0081】
例15 pKa値
pKa値は、硫黄含有ヒドロキシ酸(約1〜2mmol)を水(30ml)に溶解させ、加えた水酸化カリウム水溶液(0.1M)の体積の関数としてpHを記録することにより決定した。pKa値を水酸化カリウムの1/2当量体積(equivalent volume)としてとり、マレイン酸、コハク酸、メタクリル酸、プロパン酸およびペンタン酸から作成した標準曲線に対して補正する。
【表1】

【0082】
例16 硫黄含有ヒドロキシ酸のチオエーテルの硫黄の酸化の効果
GALA(約2mmol)の5つの水溶液(35ml)を調製し、異なる量の過酸化水素(0.82〜2.17当量,30%)を加えた。2日後、室温で、酸化生成物の平均のpKa値を評価し、pKaとモル比H22/Sとの間の関係を図1に示す。
【0083】
すなわち、過酸化水素の添加により、pKa値を約1低下させることができ、低いpHにおける分散体/エマルジョン安定性のさらなる向上を伴った。
【0084】
例17 溶媒としてN−エチルピロリドン(NEP)を用いる、ポリウレタンアクリラート分散体の合成
IPDI(223.3g)を反応フラスコに加え、80℃に加熱した。NEP(91.8g)、GALA(43.8g)、脂肪族ポリカルボナート(Mw1000u,117.23g)、ネオペンチルグリコール(12.2g)、トリメチロールプロパン(2.25g)、脂肪族ポリエステル(Mw1000u,117.2g)の混合物を反応フラスコに、温度を80〜85℃に保ってゆっくりと加えた。全ての反応剤を加えて、NCO数が約6.2となったら、混合物をゆっくりと水(1017g)に加えて、続いて1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(水(70g)中44.5g)を添加して、低いpHにおいて高い安定性の分散体を完成した。任意に、過酸化水素の添加によって、分散体をさらにより安定にすることもできる。
【0085】
例18 自然に再生可能な(naturally renewable)ポリエステルを用いた、ポリウレタンアクリラート分散体の合成
IPDI(223.3g)を反応フラスコに加え、80℃に加熱した。メタクリル酸メチル(91.8g)、GALA(43.8g)、二量化脂肪酸ポリエステル(Mw1000u,117.23g)、ネオペンチルグリコール(12.2g)、トリメチロールプロパン(2.25g)、脂肪族ポリエステル(Mw1000u,117.2g)の混合物を反応フラスコに、温度を80〜85℃に保ってゆっくりと加えた。全ての反応剤を添加し、NCO数が約6.2となったら、混合物を水(1017g)にゆっくりと加えた後、ジアミノエタン(水(70g)中23.3g)を加えた。ペルオキソ二硫酸ナトリウム(50mlの水中650mg)およびピロ亜硫酸ナトリウム(50mlの水中500mg)の添加により、40℃でメタクリル酸メチルを重合させた。生成物のチオエーテルを過酸化水素(30%,38g)の添加により酸化した。
【0086】
例19 ソフトビルディングブロック(soft building block)を用いる、ポリウレタンアクリラート分散体の合成
IPDI(223.3g)を反応フラスコに加え、80℃にまで加熱した。NEP(91.8g)、GALA(43.8g)、ポリテトラヒドロフランジオール(Mw1000u,117.23g)、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール(15.6g)、脂肪族ポリエステル(Mw1000u,117.2g)の混合物を反応フラスコに、温度を80〜85℃に保ってゆっくりと加えた。全ての反応剤を加えて、NCO数が6.26となったら、混合物を水(1017g)にゆっくりと加えた後、アジピン酸ジヒドラジド(水(70g)中の66.1g)を添加して、低いpHにおいて高い安定性の分散体を完成した。生成物のチオエーテルを過酸化水素(30%,38g)の添加により酸化した。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】硫黄含有ヒドロキシ酸の酸化のpKa値に対する影響を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

(式中、
zは1〜3の整数であり、
mは1〜3の整数であり、
各xは独立して、0〜1の整数であり、
Rは、
【化2】

または少なくとも1つの末端ヒドロキシ基および2000以下の分子量を有するポリマーから成る群から選択され、
スペーサーは、脂肪族の、直鎖のおよび/若しくは分枝の炭素環若しくは炭素鎖、または芳香族化合物を含む)
を含み、任意に、酸素、窒素、硫黄またはハロゲンから成る群から選択されるヘテロ原子を含む硫黄含有ヒドロキシ酸、および前記硫黄含有ヒドロキシ酸の塩。
【請求項2】
前記ポリマーがポリエステルまたはポリエーテルである請求項1に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸。
【請求項3】
前記ポリエステルが、脂肪酸エステル、不飽和エステル、アルキドまたはアリルエーテルポリエステルから成る群から選択され、および前記ポリエーテルが、アルコキシ化プロピレンエーテル、アルコキシ化ポリオールプロピレンエーテル、アルコキシ化グリセロールプロピレンエーテルから成る群から選択される請求項2に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸。
【請求項4】
前記スペーサーが直鎖または分枝アルキル鎖である請求項1〜3のいずれか一項に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸。
【請求項5】
前記スペーサーが、1〜10個の炭素原子を含む直鎖または分枝アルキル鎖である請求項4に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸。
【請求項6】
前記スペーサーが、メチレンまたはエチレンから選択される請求項5に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸。
【請求項7】
メルカプトカルボン酸化合物のヒドロキシアルケンまたはエポキシドへの付加により得ることができる請求項1〜6のいずれか一項に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸。
【請求項8】
前記メルカプトカルボン酸化合物が、脂肪族または芳香族メルカプトカルボン酸であり、前記ヒドロキシアルケンが、不飽和アルコール、好ましくはアリルアルコール若しくはアリルアルコール誘導体、不飽和ポリエステル、好ましくはアルキド若しくはマレイン酸ポリエステル若しくはアリルエーテルポリエステル、または脂肪酸エステルであり、および前記エポキシドが、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、リモネンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、ジグリシジルエーテル、グリシジルアリルエーテル、ポリオールグリシジルエーテル、グリシドール、またはエポキシ化大豆油である請求項7に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸。
【請求項9】
一般式II
【化3】

(式中、各xおよびyは独立して、0または1である)
により示される請求項1に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸。
【請求項10】
一般式III
【化4】

(式中、各xおよびyは独立して、0または1である)
により示される請求項1に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸。
【請求項11】
一般式IV
【化5】

(式中、各xおよび各yは独立して、0または1である)
により示される請求項1に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸。
【請求項12】
一般式V
【化6】

(式中、各xおよび各yは独立して、0または1である)
により示される請求項1に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸。
【請求項13】

【化7】

(式中、各硫黄原子は、任意に、スルホキシドまたはスルホンにまで酸化されている)
のいずれか1つにより示される請求項1に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸。
【請求項14】
式Iにおける硫黄原子が、スルホキシドまたはスルホンにまで酸化されている請求項1〜13のいずれか一項に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸を製造するための方法であって、前記方法は、
a)メルカプトカルボン酸化合物またはその塩を提供すること、
b)ヒドロキシアルケンまたはエポキシドを提供すること、
c)前記メルカプトカルボン酸化合物と前記ヒドロキシアルケンまたはエポキシドとを反応させて、前記硫黄含有ヒドロキシ酸を得ること、
d)任意に、いずれのさらなるプロセス工程において、前記硫黄含有ヒドロキシ酸の硫黄原子をスルホキシドまたはスルホンにまで酸化すること
を含む方法。
【請求項16】
前記メルカプトカルボン酸化合物が、脂肪族または芳香族メルカプトカルボン酸であり、および前記ヒドロキシアルケンが、不飽和アルコール、好ましくはアリルアルコール若しくはアリルアルコール誘導体、不飽和ポリエステル、好ましくはアルキド若しくはマレイン酸ポリエステル若しくはアリルエーテルポリエステル、または脂肪酸誘導体であり、および前記エポキシドが、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、リモネンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、ジグリシジルエーテル、グリシジルアリルエーテル、グリシドール、またはポリオールグリシジルエーテルである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
反応温度が−20〜140℃、好ましくは0〜100℃、好ましくは40〜90℃である請求項15および17に記載の方法。
【請求項18】
前記反応を、
a)ニートで、または
b)溶媒の存在下で、
c)開始剤の存在下で、若しくは
d)反応混合物に電磁放射線を照射して
またはこれらのあらゆる組合せで
行う請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
反応剤の全質量に基づく開始剤の量が、0〜3%、好ましくは0.0001〜1%である請求項15に記載の方法。
【請求項20】
エーテル、ポリエーテル、エステル、ポリエステル、好ましくはアルキドエマルジョン、ウレタン、ポリウレタン、好ましくは水系(waterborne)ポリウレタン、ウレタンアクリラート、ポリウレタンアクリラート、放射線硬化のためのアクリル化(acrylated)ポリウレタン若しくはアクリル化ポリエステル、またはこれらのあらゆる混合物であり、これらは、請求項1〜14のいずれか一項に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸に基づく生成物。
【請求項21】
前記ポリエステルが直鎖および/または分枝ポリエステルである請求項20に記載の生成物。
【請求項22】
前記ポリエステルがアクリル化されている請求項21に記載のポリエステル。
【請求項23】
請求項1〜14に記載の前記硫黄含有ヒドロキシ酸を、前記生成物を得るために用いられる一般的な試薬と反応させる請求項20〜22に記載の生成物の調製方法。
【請求項24】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の前記硫黄含有ヒドロキシ酸のホモ縮合(homocondensation)、または請求項1〜14のいずれか一項に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸のカルボン酸またはその混合物との共縮合、任意にアルコールを含みおよび任意に触媒を含む、により調製され、任意に鎖延長、鎖停止(chain teminated)および/または官能化される、請求項21または22に記載の直鎖および/または分枝ポリエステルの調製のための請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリウレタン生成物を、
a)イソシアナートまたはイソシアナート混合物、
b)ポリオール、
c)請求項1〜14のいずれか一項に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸またはこれらの混合物であって、任意に2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、またはヒドロキシピバル酸との混合物中のもの、
d)任意に触媒または触媒の混合物、
e)任意に溶媒または溶媒混合物の存在下で、
f)任意に添加剤の存在下で、
g)中和塩基または中和塩基の混合物、
h)任意に鎖延長窒素化合物、または窒素化合物の混合物の存在下で、
i)任意に酸化剤を加えて、
j)任意にpH調節剤を加えて
を反応させることにより調製する請求項20に記載のポリウレタン生成物を調製するための方法。
【請求項26】
アクリル酸エステルをウレタンまたはポリウレタンに加え、続いてアクリル酸エステルを重合する、または請求項25に記載の方法にアクリル酸エステルを加えた後、アクリル酸エステルを重合する請求項20に記載のウレタンアクリラートまたはポリウレタンアクリラートの調製方法。
【請求項27】
アクリル化エステルまたはアクリル化ポリエステルを、イソシアナート、請求項1〜14のいずれか一項に記載の硫黄含有ヒドロキシ酸、中和塩基または塩基の混合物と、任意に触媒または触媒の混合物、鎖延長窒素化合物または窒素化合物の混合物の存在下で反応させる、放射線硬化のための請求項20に記載のアクリル化ポリウレタンの調製のための請求項23に記載の方法。
【請求項28】
基材、好ましくは木材、金属基材、革基材、テキスタイル基材、プラスチック基材および紙基材のコーティングにおける、請求項20に記載の生成物の使用。
【請求項29】
前記生成物が、ポリウレタン、ウレタンアクリラート、ポリウレタンアクリラート、放射線硬化のためのアクリル化ポリウレタン若しくはアクリル化ポリエステル、またはこれらのあらゆる混合物である、木材のコーティングにおける請求項28に記載の生成物の使用であって、前記木材が、木製タイルおよび/または寄木張り床であり、前記生成物は任意に水系である使用。
【請求項30】
放射線硬化コーティング、印刷インクまたは接着剤における、請求項20に記載の放射線硬化のためのアクリル化ポリウレタンまたはアクリル化ポリエステルの使用。
【請求項31】
a)自然乾燥アルキド樹脂、
b)1−または2−成分ポリウレタンコーティングまたは接着剤、
c)飽和または不飽和ポリエステル、
d)熱硬化性樹脂および/またはこれらから作られる複合材料のための強化剤、
e)無溶媒、溶媒系(solventborne)、水系(waterborne)コーティング、ポリオレフィン、および熱可塑性プラスチックのための顔料分散体、
f)アルキドエマルジョン、アクリル分散体およびポリウレタン分散体のための水分散性樹脂、
g)分散ポリマーまたは樹脂、
h)ポリオレフィンおよび熱可塑性プラスチックのための加工助剤、
i)水硬性組成物に流動性を与えるコンクリート混和剤、または
j)ポリウレタン発泡体
の調製におけるまたは調製のための、請求項21に記載の直鎖および/または分枝ポリエステルの使用。
【請求項32】
放射線硬化コーティング、印刷インクまたは接着剤における、請求項22に記載のアクリル化ポリエステルの使用。

【図1】
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【公表番号】特表2009−523789(P2009−523789A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551218(P2008−551218)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【国際出願番号】PCT/SE2006/001495
【国際公開番号】WO2007/081261
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(508215153)ビーダブリュイー・アイ・マルモ・エービー (1)
【Fターム(参考)】