説明

低い遠心分離保持容量を有する吸水性ポリマー粒子の製造方法

連続ニーダー反応器中で、反応器容量1m3あたり多くても10m3/hの不活性ガス流量下で重合することによる、低い遠心分離保持容量を有する吸水性ポリマー粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、連続ニーダー反応器中で、反応器容積1m3あたり多くても10m3/hの不活性ガス流量下での重合によって、低い遠心分離保持容量(CRC)を有する吸水性ポリマー粒子の製造方法に関する。
【0002】
吸水性ポリマー粒子の製造は、モノグラフ"Modern Superabsorbent Polymer Technology",F.L.Buchholz及びA.T.Graham,Wiley−VCH,1998,第71〜103頁に記載されている。
【0003】
DE 34 32 690A1から、水溶性モノマーを架橋剤及び開始剤の存在で、撹拌ブレードを備えた多数の平行に相互に配置されている回転式撹拌軸を装備した反応器中で重合する、吸水性ポリマー粒子の連続的製造方法が公知である。前記重合は、連続して、少なくとも2つの軸線に平行な軸を有するニーダー反応器中で実施される。この反応器のタイプで、激しい逆混合が行われ、その結果、モノマー溶液が、細かく分割された含水ポリマーゲルに到達し、そしてモノマーの重合が、ポリマーゲルの表面上で進む。従って製造可能な吸水性ポリマー粒子は、比較的高い残留モノマー含有率を有する。
【0004】
EP 0 223 063 A2は、混合部分が、軸の方向で、ニーダー反応器の最初から終わりまで物質の運搬をもたらす単軸ニーダー反応器中での吸水性ポリマー粒子の連続的な製造方法を教示している。
【0005】
WO 2001/038402 A1及びWO 2003/022896 A1において、反応混合物がニーダーを通って軸方向に輸送される、少なくとも2つの軸線に平行な軸を有するニーダー反応器に吸水性ポリマー粒子の連続的な製造方法が開示されている。
【0006】
吸水性ポリマーは、おむつ、タンポン、生理帯及びその他の衛生用品を製造するために使用され、また一方で農業園芸における保水剤としても使用される。
【0007】
本発明の課題は、低い遠心分離保持容量(CRC)を有する吸水性ポリマー粒子の製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の課題は、
a)少なくとも部分的に中和されていてよい、少なくとも1種のエチレン性不飽和の酸基含有モノマー、
b)少なくとも1つの架橋剤、
c)少なくとも1つの開始剤、
d)場合により1つ以上のa)で挙げられたモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー及び
e)場合により1つ以上の水溶性ポリマー、
を含有するモノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合による、少なくとも2つの軸線に平行な軸を有する連続ニーダー反応器中で、不活性ガス流下での吸水性ポリマー粒子の製造方法において、
該不活性ガス流量が、反応器容積1m3あたり多くても10m3/hであり、かつ重合によって得られた均一に架橋された吸水性ポリマー粒子が、多くても38g/gの遠心分離保持容量を示すことを特徴とする吸水性ポリマー粒子の製造方法によって解決される。
【0009】
ベースポリーマーとしては、後架橋された吸水性ポリマー粒子を示さない。
本発明による方法によって得られる均一に架橋された吸水性ポリマー粒子(ベースポリマー)は、有利には多くても37g/g、有利には多くても36.5g/g、特に有利には多くても36g/g、極めて特に有利には多くても35.5g/gの遠心分離保持容量(CRC)を示す。前記吸水性ポリマー粒子の遠心分離保持容量(CRC)は、通常では少なくとも20g/gである。前記遠心分離保持容量は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)に推奨される試験方法番号WSP 241.2−05"Centrifuge Retention Capacity"によって定義され、その際該吸水性ポリマー粒子を測定前に5質量%より少ない含水率まで乾燥させ、かつ粒子サイズを、150〜850μmの範囲で粉砕する。
【0010】
前記遠心分離保持容量(CRC)は、架橋剤b)の値の適合によって所望の量に調整されることができる。該遠心分離保持容量(CRC)は、しかしながら、モノマーa)の中和の程度及び小粒のリサイクルの影響を受ける、すなわち低い中和の程度又は多くの小粒のリサイクルが、該遠心分離保持容量(CRC)を減少させる。
【0011】
前記不活性ガス流量は、反応器容積1m3あたり0.001〜5m3/h、有利には反応器容積1m3あたり0.01〜2.5m3/h、特に有利には反応器容積1m3あたり0.1〜2m3/h、極めて特に有利には反応器容積1m3あたり0.2〜3m3/hである。
【0012】
不活性ガスとして、有利には、特に工業品質での窒素が使用される。工業用窒素は、通常、少なくとも窒素99.8体積%及び多くても酸素0.0005体積%を含む。不活性ガスとしての水蒸気の使用は、同様に可能である。
【0013】
本発明は、ニーダー反応器の不活性化のために、今までの通常の場合よりも明確に低い不活性ガス流量を使用することができる認識に基づく。本発明による方法は、従って、不活性ガスの場合に著しい節約が可能である。低すぎる不活性ガス流量は、高い遠心分離保持容量(CRC)を有する吸水性ポリマー粒子の製造の場合に、不均一な反応流量を導き、かつニーダー軸の高い電力消費を導く。
【0014】
従って、例えば、高い、すなわち38g/gより高い遠心分離保持容量(CRC)を有する吸水性ポリマー粒子の製造の場合に、ニーダー軸の電力消費と同時に不活性ガス流量下での反応が調整されうる。
【0015】
前記不活性ガス流量は、全体又は部分的に、モノマー溶液又はモノマー懸濁液と共に、共通の供給管を介して、ニーダー反応器中に供給されることができる。
【0016】
本発明の有利な一実施態様において、酸化還元開始剤が使用され、その際還元剤は、有利にはモノマー溶液又はモノマー懸濁液とは別々に、ニーダー反応器中に計量供給される。
【0017】
前記吸水性ポリマー粒子は、モノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合によって製造され、かつ通常水不溶性である。
【0018】
モノマーa)は、有利には水溶性であり、すなわち、23℃での水中での溶解度は、典型的には少なくとも1g/100g(水)、有利には少なくとも5g/100g(水)、特に有利には少なくとも25g/100g(水)、極めて有利には少なくとも35g/100g(水)である。
【0019】
適したモノマーa)は例えば、エチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、及びイタコン酸である。特に有利なモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。さらにアクリル酸が特に有利である。
【0020】
さらに適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチロールスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0021】
不純物は、重合に著しく影響を与えうる。従って、使用される原料は、できるだけ高い純度を有するべきである。従って、しばしばモノマーa)を精製することが特に有利である。適した精製方法は、例えば、WO 2002/055469 A1、WO 2003/078378 A1及びWO 2004/035514 A1に記載されている。好ましいモノマーa)は、例えば、アクリル酸99.8460質量%、酢酸0.0950質量%、水0.0332質量%、プロピオン酸0.0203質量%、フルフラール0.0001質量%、無水マレイン酸0.0001質量%、ジアクリル酸0.0003質量%、及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.0050質量%を有するWO 2004/035514 A1によって精製されたアクリル酸である。
【0022】
モノマーa)の全量におけるアクリル酸及び/又はその塩の割合は、有利には少なくとも50mol%、特に有利には少なくとも90mol%、極めて特に有利には少なくとも95mol%である。
【0023】
前記モノマーa)は、通常、貯蔵安定剤として、重合阻害剤、有利にはヒドロキノン半エーテルを含む。
【0024】
前記モノマー溶液は、それぞれ中和されていないモノマーa)に対して、有利には250質量ppmまで、有利には多くても130質量ppm、特に有利には多くても70質量ppm、有利には少なくとも10質量ppm、特に有利には少なくとも30質量ppm、殊に約50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有する。例えば、該モノマー溶液の製造のために、エチレン性不飽和の酸基を有するモノマーを、相応する含有量のヒドロキノン半エーテルと一緒に使用してよい。
【0025】
好ましいヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はアルファ−トコフェロール(ビタミンE)である。
【0026】
適した架橋剤b)は、少なくとも2つの架橋に適した基を有する化合物である。かかる基は、例えば、ポリマー鎖中でラジカル的に重合導入されることができるエチレン性不飽和基、及びモノマーa)の酸基と共有結合を形成することができる官能基である。さらに、架橋剤b)として、少なくとも2つのモノマーa)の酸基と配位結合を形成することができる多価の金属塩も適している。
【0027】
架橋剤b)は、有利には、ポリマー網目構造にラジカル的に重合導入されることができる少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適した架橋剤b)は、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン(例えばEP 0 530 438 A1に記載)、ジアクリレート及びトリアクリレート(例えばEP 0 547 847 A1、EP 0 559 476 A1、EP 0 632 068 A1、WO 93/21237 A1、WO 2003/104299 A1、WO 2003/104300 A1、WO 2003/104301 A1及びDE 103 31 450 A1に記載)、アクリレート基以外にさらに別のエチレン性不飽和基を含有する混合アクリレート(例えばDE 103 31 456 A1及びDE 103 55 401 A1に記載)、又は架橋剤混合物(例えばDE 195 43 368 A1、DE 196 46 484 A1、WO 90/15830 A1及びWO 2002/032962 A2に記載)である。
【0028】
適した架橋剤b)は、ペンタエリトリットトリアリルエーテル、テトラアロキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、15箇所エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリアリルアミンである。
【0029】
極めて有利な架橋剤b)は、例えばWO 2003/104301 A1に記載されているような、ジアクリレート又はトリアクリレートを得るためにアクリル酸又はメタクリル酸とエステル化された多箇所エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンである。3〜10箇所エトキシル化されたグリセリンのジアクリレート及び/又はトリアクリレートが特に有利である。さらに、1〜5箇所エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのジアクリレート又はトリアクリレートが特に有利である。3〜5箇所エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリン、特に3箇所エトキシル化されたグリセリンのトリアクリレートが最も有利である。
【0030】
架橋剤b)の量は、それぞれモノマーa)に対して、有利には0.05〜1.5質量%、特に有利には0.1〜1質量%、極めて特に有利には0.3〜0.6質量%である。架橋剤含有率が高まるにつれて、遠心分離保持容量(CRC)及び最大に浸透させた圧力21.0g/cm2(AUL0.3psi)下での吸収は低下する。
【0031】
開始剤c)として、全て、反応条件下で、ラジカルを生じる化合物、例えば熱開始剤、酸化還元開始剤、光開始剤が使用されることができる。適した酸化還元開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/亜硫酸水素ナトリウム及び過酸化水素/亜硫酸水素ナトリウムである。有利には、熱開始剤と酸化還元剤との混合物が使用され、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸である。しかし、還元化合物として、有利には、2−ヒドロキシ−2−スルフィナート−酢酸のナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナート酢酸の二ナトリウム塩、及びナトリウムビスルフィットが使用される。かかる混合物は、Brueggolite(登録商標)FF6及びBrueggolite(登録商標)FF7(Brueggeman Chemicals;Heilbronn;DE)として入手可能である。
【0032】
エチレン性不飽和な酸基を有するモノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーb)は、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0033】
水溶性ポリマーe)として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、改質セルロース、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール又はポリアクリル酸、有利にはデンプン、デンプン誘導体、及び改質セルロースが使用されうる。
【0034】
通常、水性モノマー溶液が使用される。モノマー溶液の含水率は、有利には、40〜75質量%、特に有利には45〜70質量%、極めて特に有利には50〜65質量%である。モノマー懸濁液、すなわち過飽和モノマー溶液を使用することも可能である。含水率が高くなるにつれて、続く乾燥の際のエネルギー消費は高くなり、かつ含水率が低くなるにつれて、重合熱は十分に取り除かれない。
【0035】
有利な重合阻害剤は、最適な作用のために溶解した酸素を必要とする。従って、モノマー溶液が重合前に、不活性化、即ち不活性ガス、有利には窒素又は二酸化炭素による貫流により溶解した酸素が取り除かれてよい。有利には、前記モノマー溶液の酸素含量を重合前に、1質量ppmより少なく、特に有利には0.5質量ppmより少なく、極めて特に有利には0.1〜0.3質量ppm低下させる。
【0036】
本発明による方法において、使用可能なニーダー反応器は、例えばArisdorfのList AG製であり、かつCH 0 664 704 A5、EP 0 517 068 A1、WO 97/12666 A1、DE 21 23 956 A1、EP 0 603 525 A1、DE 195 36 944 A1及びDE 41 18 884 A1において記載されている。
【0037】
二軸を有するかかるニーダー反応器は、混練要素及び輸送要素の配置によって、連続重合のための重要な要求である高い自己洗浄を達成する。有利には、互いに逆方向の二軸は回転する。混練要素及び輸送要素として、例えばクローズクリアランスの(wandgaengig)ミキシングバー及びL字型又はU字型のアタッチメントが適している。
【0038】
前記反応は、100〜800mbar、特に200〜600mbarの減圧下でも実施されうる。
【0039】
前記ニーダー反応器を、必要に応じて、暖める又は冷却することができる。前記モノマー溶液又はモノマー懸濁液は、その中で、有利には0〜140℃、特に有利には30〜120℃、極めて特に有利には50〜100℃の範囲での温度で重合される。
【0040】
有利には、本発明による方法は、放熱の割合が、反応混合物からの水の蒸発による、反応熱に対して、少なくとも5%、特に有利には少なくとも15%、極めて特に有利には少なくとも20%であるように実施される。
【0041】
さらに、生成物搬出による放熱の割合は、反応熱に対して、少なくとも25%、有利には少なくとも45%、極めて有利には少なくとも55%である変法が有利である。。
【0042】
有利には、反応混合物からの水の蒸発による放熱の割合、及び反応物搬出による放熱の割合は、反応熱に対して、全部で有利には少なくとも50%、特に有利には少なくとも70%、極めて特に有利には少なくとも90%である方法が有利である。
【0043】
しかし、固体の中和剤、例えば炭酸水素ナトリウムの溶解熱を越える熱の割合も可能である。
【0044】
1つの極めて特に有利な変法に従って、ニーダー反応器の反応器内壁及び少なくとも1つの、有利には全部の軸が冷却される。
【0045】
重合で生じたポリマーゲルは、通常は、残留モノマー含有率3000〜6000質量ppmを有する。
【0046】
前記製造方法は、反応器中での少ない滞留時間、及び優れた空時収率において優れている。従って、それ自体、30分より少ない滞留時間で、少なくとも500lの反応器容量で、高いモノマー転化率を有する吸水性ポリマー粒子が見出される。20分より少ない、及びさらに15分より少ない滞留時間を可能にする高い質量流量を有する変法が特に有利である。
【0047】
ピーク温度(Peak−Temperatur)まで達する時間は、本発明による方法において、有利には5分以下、特に有利には2分〜4分の範囲である。前記範囲で、反応器中での流量及び生成物品質(低い凝集、良好な残留モノマー値)に関して最適である。
【0048】
ニーダー反応器から出たポリマーゲルは、引き続き、滞留時間容器中で、有利には50〜120℃、特に有利には80〜100℃の温度で貯蔵されうる。前記滞留時間は、有利には3分から3時間まで、特に有利には5〜30分である。前記容器は、上へ開いている容器であってよく、しかし緩やかな真空が適用される閉じた容器でもよい。
【0049】
得られたポリマーゲルの酸基は、通常、部分的に中和される。前記中和は、有利には、前記モノマーの工程で実施される。通常、中和を、中和剤を水溶液として、又は有利には固体として混合導入することによって実施する。前記中和の程度は、有利には25〜95mol%、特に有利には30〜80mol%、極めて特に有利には40〜75mol%であり、その際通常の中和剤、有利にはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩、並びにそれらの混合物が使用される。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩も使用できる。ナトリウム及びカリウムは、アルカリ金属として特に有利であるが、しかしながら水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム並びにこれらの混合物がさらに特に有利である。
【0050】
しかしながら、中和を、重合前に、重合の際に生じるポリマーゲルの工程で実施することも可能である。さらに、中和剤の一部をすでにモノマー溶液に添加し、かつ所望された最終的な中和度は重合後に初めてヒドロゲルの段階で調節することで、40モル%まで、有利には10〜30モル%、特に有利には15〜25モル%、重合前に酸基を中和することが可能である。ポリマーゲルが少なくとも部分的に重合後に中和される場合、該ポリマーゲルは、有利には機械的に、例えば押出機により粉砕され、その際、中和剤は、噴霧されるか、散布されるか又は注ぎ込まれ、次に注意深く混合してよい。そのために、得られたゲル材料は、さらに数回均質化のために押出すことができる。
【0051】
次いで、該ポリマーゲルは、有利にはベルト型乾燥機を用いて、残留湿分が、有利には0.5〜15質量%、特に有利には1〜10質量%、極めて特に有利には2〜8質量%であるまで乾燥させられ、その際、残留湿分は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨された試験法番号WEP 230.2−05"Moisture Content"に従って測定される。高すぎる残留湿分の場合に、乾燥させたポリマーゲルは、低すぎるガラス転移温度Tgを示し、かつさらに加工することが困難なだけである。低すぎる残留湿分の場合に、乾燥させたポリマーゲルは脆く、かつ続く粉砕工程で、望ましくない大量の低すぎる粒子サイズ("細かい")を有するポリマー粒子が生じる。ゲルの固体含有率は、乾燥前で、有利には25〜90質量%、特に有利には35〜70質量%、極めて特に有利には40〜60質量%である。しかしながら、選択的に、この乾燥のために、流動床乾燥機又は加熱された鋤刃型ミキサーを使用することもできる。
【0052】
乾燥されたポリマーゲルは、この後に粉及び分級され、その際、粉砕のために、通常は一段式又は多段式のロールミル、有利には二段式又は三段式のロールミル、ピンミル、ハンマーミル又は振動ミルを使用することができる。
【0053】
生成物画分として分離されたポリマー粒子の平均粒度は、有利には少なくとも200μm、特に有利には250〜600μm、極めて有利には300〜500μmである。生成物画分の平均粒度は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験法番号WSP 220.2−05"Partikel Size Distribution"に従って測定されることができ、その際、篩画分の質量割合が累積的にプロットされ、かつ平均粒度がグラフを用いて決定される。この場合、平均粒度は、累積して50質量%であるメッシュ幅の値である。
【0054】
少なくとも150μmの粒子サイズを有する粒子の割合は、有利には少なくとも90質量%、特に有利には少なくとも95質量%、極めて特に有利には98質量%である。
【0055】
低すぎる粒子サイズを有するポリマー粒子は、透湿性(SFC)を低下させる。したがって、小さすぎるポリマー粒子(細かい)の割合は、低くあるべきである。
【0056】
高くても850μmの粒子サイズを有する粒子の割合は、有利には少なくとも90質量%、特に有利には少なくとも95質量%、極めて特に有利には98質量%である。
【0057】
大きすぎる粒子サイズを有するポリマー粒子は、膨潤速度を低下させる。したがって、大きすぎるポリマー粒子の割合は、同様に低くあるべきである。
【0058】
ポリマー粒子は、特性のさらなる改善のために後架橋してよい。適した後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2つのカルボキシレート基と共有結合を形成することができる。適した化合物は、例えば、多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド(EP 0 083 022 A2、EP 0 543 303 A1及びEP 0 937 736 A2に記載)、二官能性又は多官能性アルコール(例えばDE 33 14 019 A1、DE 35 23 617 A1及びEP 0 450 922 A2に記載)、又はβ−ヒドロキシアルキルアミド(例えばDE 102 04 938 A1及びUS 6,239,230に記載)である。
【0059】
さらに、DE 40 20 780 C1の中で環状カーボネートが、DE 198 07 502 A1の中で2−オキサゾリドン及びその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、DE 198 07 992 C1の中でビス−及びポリ−2−オキサゾリジノンが、DE 198 54 573 A1の中で2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体が、DE 198 54 574 A1の中でN−アシル−2−オキサゾリドンが、DE 102 04 937 A1の中で環状尿素が、DE 103 34 584 A1の中で二環状アミドアセタールが、EP 1 199 327 A2の中でオキセタン及び環状尿素が、またWO 2003/031482 A1の中でモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が、適した後架橋剤として記載されている。
【0060】
有利な後架橋剤は、エチレンカーボネート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応生成物、及びプロピレングリコールと1,4−ブタンジオールの混合物である。
【0061】
極めて特に有利な後架橋剤は、2−ヒドロキシエチルオキサゾリジン−2−オン、オキサゾリジン−2−オン及び1,3−プロパンジオールである。
【0062】
さらに、DE 37 13 601 A1に記載されているような、付加的な重合可能なエチレン性不飽和基を含有する後架橋剤も使用することができる。
【0063】
後架橋剤の量は、それぞれポリマー粒子に対して、有利には0.001〜2質量%、特に有利には0.02〜1質量%、極めて特に有利には0.05〜0.2質量%である。
【0064】
本発明の有利な一実施態様において、後架橋の前、間又は後に加えて、多価カチオンが粒子表面上に塗布される。
【0065】
例えば、本発明による方法において使用可能な多価カチオンは、二価カチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄及びストロンチウムのカチオン、三価カチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類元素及びマンガンのカチオン、四価カチオン、例えばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウム及び乳酸アルミニウムが有利である。金属塩以外に、多価カチオンとしてポリアミンも使用することができる。
【0066】
多価カチオンの使用量は、それぞれポリマー粒子に対して、例えば0.001〜1.5質量%、有利には0.005〜1質量%、特に有利には0.02〜0.8質量%である。
【0067】
後架橋は、通常、後架橋剤の溶液が乾燥させたポリマー粒子上に噴霧されるように実施される。この噴霧に引続き、架橋剤で被覆されたポリマー粒子について加熱乾燥を行い、その際、後架橋反応は乾燥前でも乾燥中でも生じうる。
【0068】
架橋剤の溶液の噴霧は、有利には、可動式混合装置を有するミキサー、例えばスクリューミキサー、ディスクミキサー、プローシェアーミキサー及びパドルミキサー中で実施される。特に有利には、横型ミキサー、例えば鋤刃型ミキサー及びパドルミキサー、極めて特に有利に縦型ミキサーである。好適なミキサは、例えばLoedige(登録商標)ミキサー、Bepex(登録商標)ミキサー、Nauta(登録商標)ミキサー、Processall(登録商標)ミキサー及びSchugi(登録商標)ミキサーである。しかしながら、流動床における後架橋剤溶液を噴霧することも可能である。
【0069】
後架橋剤は、典型的に、水溶液として使用される。非水性溶剤の含有率、又は溶剤の合計量に関して、ポリマー粒子中に後架橋剤の浸透の厚さを調整することができる。
【0070】
溶剤としてもっぱら水を使用する場合に、有利に界面活性剤を使用する。それによって湿潤挙動が改善され、かつ塊を形成する傾向が低減される。しかしながら、有利には、溶剤混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3−プロパンンジオール/水及びプロピレングリコール/水が使用され、その際混合質量比は、有利には20:80〜40:60である。
【0071】
この加熱乾燥は、有利には接触乾燥器、特に有利にはパドル型乾燥器、極めて特に有利にはディスク型乾燥器中で実施する。適した乾燥機は、例えばBepex乾燥機およびNara乾燥機である。さらに、流動床乾燥機も使用することができる。
【0072】
乾燥は、混合機それ自体中で、ジャケットの加熱又は熱風の吹き込みによって行なうことができる。後接続された乾燥機、例えば箱形乾燥機、回転管炉か又は加熱可能なスクリューは、同様に好適である。特に有利には、流動層乾燥機中で混合および乾燥される。
【0073】
有利には、乾燥温度は、100〜250℃、有利には120〜220℃、特に有利には130〜210℃、極めて特に有利には150〜200℃の範囲である。反応ミキサーまたは乾燥器中でのこの温度での有利な滞留時間は、有利には少なくとも10分間、特に有利には少なくとも20分間、極めて特に有利には少なくとも30分間、かつ通常多くても60分である。
【0074】
続いて、後架橋したポリマー粒子を、再度分級することができる。
【0075】
後架橋させたポリマー粒子は、特性のさらなる改善のために被覆又は後で湿らせることができる。膨潤及び透過率(SFC)を改善するために適した被覆は、例えば無機不活性物質、例えば水不溶性金属塩、有機ポリマー、カチオンポリマー並びに二価又は多価の金属カチオンである。ダスト結合のために適した被覆は、例えばポリオールである。適した被覆は、通常ポリマー粒子、例えば熱分解シリカ、例えばAerosil(登録商標)200、及び界面活性剤、例えばSpan(登録商標)20である。
【0076】
本発明による方法に従って製造された吸水性ポリマー粒子は、有利には0〜15質量%、特に有利には0.2〜10質量%、極めて特に有利には0.5〜8質量%の湿分を示し、その際、含水率は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨された試験法番号WEP 230.2−05"Moisture Content"に従って測定される。
【0077】
本発明による方法に従って得られる後架橋された吸水性ポリマー粒子は、典型的には少なくとも20g/g、有利には少なくとも22g/g、有利には少なくとも24g/g、特に有利には少なくとも26g/g、極めて特に有利には30〜32g/gの遠心保持容量(CRC)を示す。
【0078】
実施例
実施例1(比較例)
水、50質量%の水酸化ナトリウム溶液およびアクリル酸の連続的な混合によって、中和度が72mol%となるように、アクリル酸/アクリル酸ナトリウム溶液を製造した。モノマー溶液の固体含有率は、39質量%であった。該モノマー溶液を、成分の混合後に、熱交換器によって連続的に冷却した。
【0079】
複数箇所エチレン化された不飽和架橋剤は、3箇所エトキシ化されたグリセリルトリアクリレートが使用される。使用量は、モノマー溶液1tあたり、1.1kgであった。
【0080】
ラジカル重合の開始のために、以下の成分を使用した:過酸化水素(モノマー溶液1tあたり、1kg(0.25質量%))、ペルオキソ二硫酸ナトリウム(モノマー溶液1tあたり、1.50kg(30質量%))、並びにアスコルビン酸(モノマー溶液1tあたり、15kg(1質量%))。
【0081】
モノマー溶液の処理量は、18t/hであった。
【0082】
個々の成分を、容積6.3m3を有する反応器List Contikneter(List社、Arisdorf、スイス)に連続的に供給する。
【0083】
さらに、粒子サイズ150μm未満を有する分離された小粒900kg/hを、反応器の中央で供給した。
【0084】
反応溶液は、供給部で30℃の温度を有していた。反応器は、38rpmのシャフト回転数で運転した。反応器中における反応混合物の滞留時間は15分間であった。
【0085】
前記モノマー溶液を、2.4m3(窒素)/hで不活性化し、窒素を、モノマー溶液と共にニーダー反応器中に計量供給した。そして、さらに96m3(窒素)/hを、直接ニーダー反応器中に計量供給した。これは、反応器容積1m3あたり15.6m3/hの不活性ガス流量に相当した。ニーダー軸の電力消費は、最大電力消費の72%であった。
【0086】
重合およびゲルの粉砕の後で、水性ポリマーゲルを内気循環バンド乾燥機で乾燥させた。バンド乾燥機での滞留時間は、37分間であった。
【0087】
乾燥させたヒドロゲルを微粉砕し、150〜850μmのポリマー粒子に篩い分けた。乾燥させたポリマー粒子は、39g/gの遠心分離保持容量を有した。
【0088】
実施例2(比較例)
実施例1と同様に実施した。モノマー溶液の不活性化のために使用される窒素量を使用した。不活性ガス流量は、従って反応器容積1m3あたり0.38m3/hであった。ニーダー軸の電力消費は、最大電力消費の79%に上昇した。この実験を中止した。
【0089】
実施例3(比較例)
実施例1と同様に実施した。3箇所エトキシ化されたグリセリルトリアクリレートの使用量は、モノマー溶液1tあたり1.5kgであり、そして小粒の返送させた量は、1000kg/hに増加した。ニーダー軸の電力消費は、最大電力消費の72%であった。
【0090】
乾燥させたポリマー粒子は、34.5g/gの遠心分離保持容量を有した。
【0091】
実施例4
実施例3と同様に実施した。モノマー溶液の不活性化のために使用される窒素量を使用した。不活性ガス流量は、従って反応器容積1m3あたり0.38m3/hであった。ニーダー軸の電力消費は、引き続き最大電力消費の72%であった。
【0092】
実施例3と実施例4との比較は、低い遠心分離保持容量(CRC)を有する吸水性ポリマー粒子を製造する場合の不活性ガス流量は、ニーダー軸の電力消費に影響しないことを証明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下、
a)少なくとも部分的に中和されていてよい、少なくとも1種のエチレン性不飽和の酸基含有モノマー、
b)少なくとも1つの架橋剤、
c)少なくとも1つの開始剤、
d)場合により1つ以上のa)で挙げられたモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー及び
e)場合により1つ以上の水溶性ポリマー、
を含有するモノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合による、少なくとも2つの軸線に平行な軸を有する連続ニーダー反応器中で、不活性ガス流下での吸水性ポリマー粒子の製造方法において、
該不活性ガス流量が、反応器容積1m3あたり多くても10m3/hであり、かつ重合によって得られた均一に架橋された吸水性ポリマー粒子が、多くても38g/gの遠心分離保持容量を示すことを特徴とする、吸水性ポリマー粒子の製造方法。
【請求項2】
前記ニーダー反応器の反応器容量が1〜10m3であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応混合物を、軸方向にニーダー反応器によって輸送することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記不活性ガスが窒素であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記不活性ガス流量を、少なくとも部分的に、共通の供給管を通って、モノマー溶液又はモノマー懸濁液と共に、ニーダー反応器中に計量供給することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記不活性ガス流量を、共通の供給管を通って、モノマー溶液又はモノマー懸濁液と共に、ニーダー反応器中に計量供給することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記モノマー溶液が、モノマーa)に対して、少なくとも1つのヒドロキノンモノエーテル0.001〜0.013質量%を含有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記重合が、酸化還元重合であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記モノマー溶液又はモノマー懸濁液とは別々に前記還元剤を、ニーダー反応器中に計量供給することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記吸水性ポリマー粒子を後架橋することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記吸水性ポリマー粒子が、少なくとも15g/gの遠心保持容量を有することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−515520(P2011−515520A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500168(P2011−500168)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053030
【国際公開番号】WO2009/115472
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】