説明

低い適用温度のホットメルト接着剤

本発明は、低い適用温度のホットメルト接着剤に関する。より詳細には、低い適用温度のホットメルト接着剤は、190℃にて5g/10分よりも大きいが35g/10分未満の平均メルトインデックスを有するオレフィンコポリマーを含有する。接着剤は、不織布物品の構成において特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤に関する。接着剤は、不織布物品の構造において特に有用である。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤は、その溶融状態で基体へ施され、そして冷却されることにより接着剤層を硬化させる。このような接着剤は、様々な商業用途および工業用途、例えば、製品の組み立ておよび包装などに関して幅広く使用され、そして、幼児用おむつおよび大人用の失禁用製品を製造する不織布産業においても幅広く使用されている。これらの用途において、接着剤は、基体を第二の同様の基体または異なる基体へ接着させるために、少なくとも1つの基体、例えば、フィルム基体(例えば、ポリエチレン)、不織布基体(例えば、ポリオレフィン)、または弾性基体(例えば、スパンデックス)などに施される。
【0003】
スチレンブロックコポリマー系のホットメルト接着剤が、ホットメルト接着剤用の基本ポリマーとして商業的に使用されており、不織布構造用途、例えば、使い捨ての吸収性物品(例えば、おむつ、女性用の衛生物品、および大人用の失禁用物品など)における幅広い使用が見出されている。一般に、このような製品は、130℃よりも高い温度、および150℃よりも高い温度にて施される。120℃よりも低い温度に、このような製品の製造において使用される接着剤の塗布温度を低下させることは、塗布装置での熱劣化を改良し、熱による影響を低減させるか、または基体の坪量をより低くする。しかしながら、現在の塗布技術を用いて、120℃よりも低い温度で接着剤を塗布するためには、粘度を、綺麗な塗布および押出をおこなうのに十分な程度にまで低くしなければならない。粘度をより低くするために、ホットメルト接着剤の性能を犠牲にして、より低い分子量のポリマーとより高濃度の希釈剤が使用されている。これらの方法は、より低い機械強度をもたらし、昇温時の流れ抵抗について重大な減少を生じさせる。一方、希釈剤として機能するワックスと結晶質の強化剤の使用が既知であるが、この方法は、使い捨て物品を製造するのに使用される貼り合せ法において、接着剤が適切な結合を形成できる効果的なオープンタイムの減少に見舞われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接着のための適切なオープンタイムを有し、昇温時に高い流れ抵抗を有し、低温(すなわち、約120℃未満)にて塗布できるホットメルト接着剤に関する要求が継続的に存在している。このような特性は、使い捨ての物品の製造における使用に関して特に良好に適する接着剤を製造し得る。本発明はこの要求を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、190℃にて5g/10分よりも大きいが約35g/10分よりも小さい範囲の平均メルトインデックスを有するオレフィンコポリマー含有する、低い適用温度のホットメルト接着剤を提供する。オレフィンコポリマーは、ブロックコポリマーおよび/またはランダムコポリマーである。また、低い適用温度のホットメルト接着剤の配合は、粘着付与剤および希釈剤を含有し得る。低い適用温度のホットメルト接着剤の配合は、ワックスをさらに含有できる。
【0006】
別の実施態様において、低い適用温度のホットメルト接着剤は、190℃にて5g/10分よりも大きいが約35g/10分よりも小さい範囲の平均メルトインデックスを有するオレフィンコポリマーと、190℃にて約35g/10分よりも大きい平均メルトインデックスを有する水素化スチレンブロックコポリマー、非晶質ポリ-α-オレフィンおよびオレフィンコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の付加的なポリマーを含有する。低い適用温度のホットメルト接着剤の配合は、粘着付与剤および希釈剤も含有し得る。低い適用温度のホットメルト接着剤の配合は、ワックスをさらに含有できる。
【0007】
更なる実施態様において、低い適用温度のホットメルト接着剤は、190℃にて5g/10分よりも大きいが約35g/10分よりも小さい範囲の平均メルトインデックスを有するオレフィンコポリマーを少なくとも約5wt%と、190℃にて約35g/10分よりも大きい平均メルトインデックスを有する水素化スチレンブロックコポリマー、非晶質ポリ-α-オレフィンおよびオレフィンコポリマーからなる群から選択される付加的なポリマーを0よりも多いが約50wt%未満と、約40〜約70wt%の粘着付与剤と、約1〜約30wt%の希釈剤と、約0.5〜約5wt%のワックスと、および0〜約5wt%の酸化防止剤とを含有する。
【0008】
別の実施態様において、低い適用温度のホットメルト接着剤は、190℃にて5g/10分よりも大きいが約35g/10分よりも小さい範囲の平均メルトインデックスを有するオレフィンコポリマーを少なくとも約5wt%と、0よりも多いが約8wt%未満の付加的なポリマー(該付加的なポリマーは水素化スチレンブロックコポリマーである)と、約40〜約70wt%の粘着付与剤と、1〜約30wt%の希釈剤と、約0.5〜約4wt%のワックスと、および0〜約5wt%の酸化防止剤とを含有する。
【0009】
別の実施態様において、本発明による接着剤は、190℃にて5g/10分よりも大きいが約35g/10分よりも小さい範囲の平均メルトインデックスを有するオレフィンコポリマーを少なくとも約5wt%と、0よりも多いが約50wt%未満の非晶質ポリ-α-オレフィンと、約40〜約70wt%の粘着付与剤と、1〜約30wt%の希釈剤と、約0.5〜約4wt%のワックスと、および0〜約5wt%の酸化防止剤とを含有する。
【0010】
別の実施態様において、本発明による接着剤は、190℃にて約5g/10分よりも大きいが約35g/10分よりも小さい範囲の平均メルトインデックスを有するオレフィンコポリマーを少なくとも5wt%と、190℃にて約35g/10分よりも大きい平均メルトインデックスを有するオレフィンコポリマーを0よりも多いが約50wt%未満と、40〜70wt%の粘着付与剤と、約1〜30wt%の希釈剤と、0.5〜4wt%のワックスと、0〜5wt%の酸化防止剤とを含有する。
【0011】
さらなる実施態様において、配合された低い適用温度のホットメルト接着剤は、120℃にて約11000センチポイズ未満の粘度を有する。
【0012】
別の実施態様において、配合された低い適用温度のホットメルト接着剤は、25℃にて、約7psiよりも大きいが約50psi未満の降伏応力(12インチ/分の伸張速度)を有する。
【0013】
別の実施態様において、配合された低い適用温度のホットメルト接着剤は、60℃にて約200%よりも小さいキューブフロー(cube flow)を有する。
【0014】
更なる実施態様において、配合された低い適用温度のホットメルト接着剤は、約70℃よりも高いクロスオーバー温度(G''=G'の場合)を有する。
【0015】
別の実施態様において、低い適用温度のホットメルト接着剤は、190℃にて5g/10分よりも大きいが約35g/10分よりも小さい範囲の平均メルトインデックスを有するオレフィンコポリマーを含有し、該接着剤は、120℃にて約11000センチポイズ未満の粘度と、25℃にて約7psiよりも大きいが約50psi未満の降伏応力(12インチ/分の伸張速度)と、60℃にて約200%よりも小さいキューブフローと、および約70℃よりも高いクロスオーバー温度(G''=G'の場合)を有する。
【0016】
更なる実施態様において、低い適用温度のホットメルト接着剤は、(1)190℃にて5g/10分よりも大きいが約35g/10分よりも小さい範囲の平均メルトインデックスを有するオレフィンコポリマーと、および(2)190℃にて約35g/10分よりも大きい平均メルトインデックスを有する水素化スチレンブロックコポリマー、非晶質ポリ-α-オレフィンおよびオレフィンコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の付加的なポリマーを含有し;該接着剤は、120℃にて約11000センチポイズ未満の粘度と、25℃にて約7psiよりも大きいが約50psi未満の降伏応力(12インチ/分の伸張速度)と、60℃にて約200%よりも小さいキューブフローと、および約70℃よりも高いクロスオーバー温度(G''=G'の場合)を有する。
【0017】
更なる実施態様において、低い適用温度のホットメルト接着剤は、(1)190℃にて5g/10分よりも大きいが約35g/10分よりも小さい範囲の平均メルトインデックスを有するオレフィンコポリマーと、(2)190℃にて約35g/10分よりも大きい平均メルトインデックスを有する水素化スチレンブロックコポリマー、非晶質ポリ-α-オレフィンおよびオレフィンコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の付加的なポリマーと、(3)約40〜約70wt%の粘着付与剤と、(4)約1〜約30wt%の希釈剤と、(5)約0.5〜約4wt%のワックスと、および(6)0〜約5wt%の酸化防止剤とを含有し、ならびに、該接着剤は、120℃にて約11000センチポイズ未満の粘度と、25℃にて約7psiよりも大きいが約50psi未満の降伏応力(12インチ/分の伸張速度)と、60℃にて約200%よりも小さいキューブフローと、および約70℃よりも高いクロスオーバー温度(G''=G'の場合)を有する。
【0018】
本発明による更なる実施態様は、接着剤を用いて、基体を同類または異なる基体に接着させるための方法を提供する。該方法は、溶融したホットメルト接着剤を少なくとも第1基体の少なくとも一部に施し、該第1基体上に存在する接着剤と第2基体とを接触させ、および接着剤を凝固させ、これにより該第1基体を該第2基体へ接着させることを含む。
【0019】
本発明の別の実施態様は、本発明による接着剤を用いて製造される物品に関する。接着剤は、不織布の吸収性物品および衣類、例えばおむつなどの構成において使用される場合、特に有利である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の詳細な説明
本発明は、約130℃未満の温度、好ましくは約120℃未満の温度にて施すことができる低い適用温度のホットメルト接着剤に関する技術を提供する。本発明による接着剤は、190℃にて約5g/10分よりも大きいが約35g/10分よりも小さい範囲の平均メルトインデックスを有するオレフィンコポリマーを含有する。接着剤におけるオレフィンコポリマーは、単一のオレフィンコポリマーまたはオレフィンコポリマーの混合物を含有する。オレフィンコポリマーは、ブロックコポリマーおよび/またはランダムコポリマーである。また、低い適用温度のホットメルト接着剤は、粘着付与剤、希釈剤、およびワックスを含有し得る。
【0021】
接着剤の必要成分は、エチレンと少なくとも1種のC3-C20αオレフィンとの、少なくとも1種のオレフィン系コポリマーである。これらのオレフィンコポリマーは、メタロセン触媒重合により製造される。オレフィンコポリマーはブロックコポリマーおよび/またはランダムコポリマーである。ここで、オレフィンコポリマーは、更なるモノマーを含み得るターポリマーおよびコポリマーを含む。コポリマーは、2種類のモノマーを有する任意のポリマーであり、ターポリマーは、3種類のモノマーを有する任意のポリマーである。代表的なモノマーは、エチレン、プロピレン、ブテンおよびオクテンである。これらのコポリマーは、それらが狭い分子量分布を有することを特徴とする。このようなポリマーは文献において既知であり、Infuse(ダウケミカル)、Engage(ダウケミカル)、Versity(ダウケミカル)、Vistamaxx(エクソンモービル)、Exact(エクソンモービル)、Tafmer(三井石油化学)およびLMPO(出光)などの商標名の下、さまざまな製造者から入手できる。
【0022】
低い適用温度の接着剤において使用されるオレフィンコポリマーは、190℃にて約5g/10分〜約35g/10分の範囲の平均メルトインデックスを有する。平均メルトインデックスは、以下の式により算出できる。
【0023】
【数1】

式中、MIAVGは算出された平均メルトインデックスであり、Nのwt%は、総接着剤組成物におけるNコポリマーの重量分率であり、およびMIはNコポリマーのメルトインデックス値である。メルトインデックス(メルトフローインデックスのように置換えて使用することもできる)MI値は、ASTM基準D-1238に従い、特定の温度にて、特定の長さおよび直径のダイを通り抜ける溶融ポリマーの押出し速度である。
【0024】
低い適用温度のホットメルト接着剤は、さらに付加的なポリマーを含有し得る。付加的なポリマーは、190℃にて約35g/10分よりも大きい平均メルトインデックス値を有する水素化スチレンブロックコポリマー、非晶質ポリ-α-オレフィンおよびオレフィンコポリマーからなる群から選択できる。
【0025】
例として、A-B-Aブロックコポリマー、例えばスチレン-ブタジエンおよびスチレン-イソプレンなど、例としてA-B1-B2-Aブロックコポリマー(この場合、B1およびB2は同一のモノマーであってもよく、異なるモノマーであってもよい)、例えばスチレン-エチレン-ブテンまたはそれらの混合物は、付加的なポリマーとして使用できる。また、一般的な立体配置:A-B-AまたはA-B-A-B-A-Bを有するブロックまたはマルチブロックコポリマーが含まれ、この場合、ポリマーブロックAは、20℃よりも高いガラス転移温度を有するホモポリマーのような、非弾性ポリマーブロックであり、一方、弾性状のポリマーブロックBは、部分的または実質的に水素化されたブタジエン若しくはイソプレン若しくはブタジエンイソプレンである。直鎖状および/または分岐状のいずれも、本発明の実施において使用できる。代表的な分岐状構造は、中心から放射状に広がることができるか、または相互に結合できる、少なくとも3つの分岐を有する弾性部分を含む。
【0026】
非弾性ブロックは、ビニルモノマー、例えばビニルアレーン、ビニルピリジン、ビニルハライドおよびビニルカルボキシレートなど、ならびにアクリルモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸のエステルなどのホモポリマーまたはコポリマーを含有できる。モノビニル芳香族炭化水素は、特に、例えば、スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、エチルビニルベンゼンなどのベンゼン系のそれら、ならびに、例えばビニルナフタレンなどの二環式モノビニル化合物を含む。別の非弾性ポリマーブロックはα-オレフィン、アルキレンオキシド、アセタール、ウレタンなどから誘導され得る。
【0027】
水素化スチレンブロックコポリマーは、スチレン末端ブロックと、エチレン-ブチレン、エチレン-プロピレン、ブチレン-ブテンまたはイソブチレン中間ブロックを有し、および約70%未満のジ−ブロック含有量(好ましくは約50%未満のジ-ブロック含有量、およびより好ましくは約30%未満のジ-ブロック含有量)を有する、実質的に飽和した材料である。スチレン含有量は、好ましくはブロックコポリマーの約10重量%〜約40重量%であり、より好ましくは約10重量%〜約35重量%であり、最も好ましくは、ブロックコポリマーの約10重量%〜約30重量%である。好ましくは、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロックコポリマーとスチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロックコポリマーである。スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロックコポリマーの限定されない例は、Septon(クラレ社、日本)である。スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマーの限定されない例は、Kraton G-1650(クレイトン社製)である。中間ブロックは、好ましくは、エチレン-ブチレン、エチレン-プロピレンもしくはブチレン-ブテンもしくはイソブチレンであり、より好ましくは、エチレン-ブチレンもしくはエチレン-プロピレンである。スチレン含有量は、好ましくは、ブロックコポリマーの約10重量%〜約40重量%であり、より好ましくは、約10重量%〜約35重量%であり、さらにより好ましくは、約10重量%〜約30重量%であり、最も好ましくは約10重量%〜約25重量%である。これらのブロックコポリマーのメルトインデックスは、好ましくは、約5g/10分よりも大きく、より好ましくは約10g/10分よりも大きい。有用な例は、クレイトン社から入手可能なKraton G-1652、約29%スチレンを有し約10g/10分のメルトインデックスを有する100%直鎖状のSEBSブロックコポリマーを含む。これらのブロックコポリマーは、接着剤の0wt%より多く約8wt%以下、好ましくは接着剤の約1wt%〜約6wt%、より好ましくは接着剤の約2wt%〜約5wt%であることが有用である。
【0028】
非晶質ポリ-α-オレフィンは、エチレン、プロピレンおよびブテンのランダムコポリマーまたはターポリマーと、別の実質的に非晶質または半結晶性のプロピレン-エチレンポリマーを含むことができるポリマーである。適当には、非晶質ポリ-α-オレフィン(APAO)は、約20%〜約80%のコポリマーもしくはターポリマーと、約20%〜約80%の別の実質的に非晶質または半結晶性のプロピレン-エチレンポリマーを含む。あるいは、APAOは、約30%〜約70%のコポリマーもしくはターポリマーと、約30%〜約70%の別の実質的に非晶質または半結晶性のプロピレン-エチレンポリマーを含む。あるいは、APAOは、約40%〜約60%のコポリマーもしくはターポリマーと、約40%〜約60%の別の実質的に非晶質または半結晶性のプロピレン-エチレンポリマーを含む。APAOは、約5000〜約30000の数平均分子量、具体的には約10000〜約20000の数平均分子量を有する、エチレンもしくはプロピレンを備える1-ブテンコポリマー、またはエチレンとプロピレンを備える1-ブテンターポリマーであってもよい。ブテン-1コポリマーは、約20重量%〜約65重量%の1-ブテン、または約30重量%〜約55重量%の1-ブテンを含むべきであり、コモノマーまたはモノマーのバランスを含むべきである。あるいは、APAOは、80%以下のエチレンを有するエチレン-プロピレンコポリマーを含んでもよい。本発明における使用に適する商業的に入手可能なAPAOの例は、Rextac(RexeneLLC社)、Eastoflex(イーストマン社)およびVestoplast(エボニック社)である。
【0029】
190℃にて約35g/10分よりも大きい平均メルトインデックス値を有するオレフィンコポリマーとそれらの混合物は、エチレンおよび少なくとも1種のC3〜C20α-オレフィンである。これらのオレフィンコポリマーも、メタロセン触媒重合により製造される。オレフィンコポリマーはブロックコポリマーおよび/またはランダムコポリマーである。ここで、オレフィンコポリマーは、更なるモノマーを含み得る、ターポリマーおよびコポリマーを含む。代表的なモノマーは、エチレン、プロピレン、ブテンおよびオクテンである。
【0030】
これらのコポリマーは、それらが狭い分子量分布を有することを特徴とする。このようなポリマーは、文献において既知であり、種々の製造業者から入手できる。1つの適当なオレフィンポリマーはダウケミカル社製のAFFINITYである。
【0031】
オレフィンコポリマーは、190℃にて約35g/10分よりも大きい平均メルトインデックス域を有する。平均メルトインデックスは、上で設定された式により決定できる。
【0032】
本発明による接着剤は、一般的に、約30〜約70重量%の粘着性付与樹脂、好ましくは約40〜約70重量%、より好ましくは約40〜約65重量%の粘着性付与剤を含有し、それらは、オレフィンコポリマーおよび熱可塑性エラストマーの中間ブロックと混合できる。約25℃よりも高い環球式軟化点を有する粘着付与剤が好ましい。
【0033】
適当な粘着付与剤には、任意の相溶性樹脂またはそれらの混合物、例えば(1)天然または変性ロジン、例えばゴムロジン、ウッドロジン、トールロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量体化ロジンおよび重合ロジンなど、(2)天然または変性ロジンのグリセロールおよびペンタエリスリトールエステル、例えば、ペール(pale)、ウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、およびロジンのフェノール変性ペンタエリスリトールエステルなど、(3)天然テルペンのコポリマーおよびターポリマー、例えば、スチレン/テルペンおよびα-メチルスチレン/テルペン、(4)ASTM法E28,58Tにより測定される場合、約80℃〜150℃の軟化点を有するポリテルペン樹脂;一般に、後者のポリテルペン樹脂は、適度に低い温度にて、フリーデル-クラフツ触媒の存在下、テルペン炭化水素、例えば、ピネンとして既知の二環式のモノテルペンなどの重合からもたらされる;また水素化ポリテルペン樹脂も含まれる、(5)フェノール変性テルペン樹脂およびそれらの水素化誘導体、例えば、酸性媒体中で、二環式テルペンとフェノールの縮合から生成される樹脂生成物など、(6)約70℃〜135℃の環球式軟化点を有する脂肪族石油炭化水素樹脂、後者の樹脂は、オレフィンとジオレフィンを主成分とするモノマーの重合から得られ、また、水素化された脂肪族石油炭化水素樹脂も含まれる、(7)脂環式石油炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体、および(8)脂肪族/芳香族または脂環式/芳香族コポリマーおよびそれらの水素化誘導体などを含む。
【0034】
所望される、詳細な粘着付与剤の選択は、採用されるオレフィンコポリマーの具体的な種類に基づくことができる。ここで使用される好ましい粘着付与剤は、ポリテルペン、脂肪族樹脂、脂環式樹脂、脂肪族/芳香族、脂環式/芳香族、および天然および変性ロジンエステルを含む。より好ましくは、脂肪族樹脂、脂環式樹脂、ポリテルペン、天然および変性ロジンエステルおよびそれらの混合物である。例には、サートマー(Sartomer)製のWingtack Extra、イーストマンケミカル社製のPiccotac、エクソンモービルケミカル社製のEscorez、アリゾナケミカル社製のSylvagumおよびSylvalite、およびアッシュランド製のPiccolyteが含まれる。
【0035】
ここで、希釈剤は、オイル、可塑剤、液体粘着付与剤(約25℃よりも低い環球式軟化点を有する)、合成液体オリゴマー、およびそれらの混合物として定義される。希釈剤が存在する場合、本発明による組成物は、一般的に、約30wt%未満の量で希釈剤を含有する。希釈剤が存在する場合、接着剤は少なくとも約1wt%、より一般的には少なくとも約5wt%の希釈剤を含有する。
【0036】
オイルの限定されない例には、パラフィン系およびナフテン系石油オイル、硬度に精密な工業銘柄のホワイトミネラルオイル、例えばCrompton-Witco製のKaydolオイルなど、およびナフテン系オイル、例えばCalument Lubricant製のCalsol5550などが含まれる。
【0037】
可塑剤の限定されない例には、極性可塑剤、固体可塑剤、液体可塑剤(天然および合成)、および主に脂肪族の性質であり、オレフィンコポリマーおよび熱可塑性エラストマー中間ブロックと相溶性がある可塑剤を含む。固体可塑剤は、周囲温度にて固体であり、好ましくは、約60℃より高い軟化点を有する。接着剤中で後に再結晶化できる任意の固体可塑剤が適当である。例には、1,4-シクロヘキサンジメタノールジベンゾエート、Genoviqueスペシャリティーズから入手できるBenzoflex 352が含まれる。天然液体可塑剤の限定されない例は、植物油である。合成液体可塑剤は、液体ポリオレフィン、イソ-パラフィン、または中程度から高分子量のパラフィンを含む。例には、エクソンモービルケミカル製のSpectraSyn Plus 6が含まれる。
【0038】
(約25℃よりも低い環球式軟化点を有する)液体粘着付与剤の例には、ポリテルペンを含む液体粘着付与希釈剤、例えば、Sartomerから入手可能なWingtack 10、およびエクソンモービルケミカルから入手可能なEscorez 2520が含まれる。
【0039】
合成液体オリゴマーは、恒久的に流体状である、ポリブテン、ポリプロペン、ポリテルペンなどの高粘度オリゴマーである。例には、ポリイソプレン、クラレからLIP50として入手可能、およびIndopolの名前の下入手できるAmoco製のポリブテンが含まれる。
【0040】
最も好ましい希釈剤は、Sartomer製のWingtack 10、および合成液体オリゴマーポリブテン、例えばAmoco製のIndopol 300である。
【0041】
本発明によるホットメルト接着剤は、ワックスを含有してもよい。石油系の、常套のワックス、天然系のワックス、官能化ワックス、およびポリオレフィンコポリマーを、本発明の実施において使用できる。石油誘導ワックスの用語には、約1300Fから約2250Fの範囲内に融点を有するパラフィンおよび微結晶性ワックス、ならびに合成ワックス、例えば、低分子量ポリエチレンまたはフィッシャー-トロプッシュワックスが含まれる。最も好ましいのは、少なくとも約1750F、より好ましくは少なくとも約1950Fおよびそれ以上の融点を有するポリエチレンまたはフィッシャー-トロプッシュワックスである。限定されない例には、2050Fの融点を有するパラフィンH4ワックス(Salsowaxアメリカ社から入手可能)が含まれる。所望の特性をもたらすのに必要なポリエチレンまたはフィッシャー-トロプッシュワックスの量は、一般に、約0.5〜約10wt%の範囲のワックス、好ましくは5wt%未満、およびより好ましくは、総組成物の4wt%未満である。
【0042】
低い適用温度のホットメルト接着剤は、添加剤、例えば、酸化防止剤、安定剤、顔料などを所望により含有できる。これらの添加剤は、総組成物の5wt%以下で添加され得る。
【0043】
また、酸化防止剤または安定剤は、約3重量%以下の量、より一般的には約0.5%の量で、ここに記載される接着剤組成物中に含まれてもよい。ここで有用な安定剤または酸化防止剤に含まれるものは、ヒンダードフェノール、または第2級酸化防止剤、例えばジステアリルチオジプロピオネート(DSTDP)またはジラウリルチオ-ジプロピオネート(DLTDP)などと併用されるヒンダードフェノールである。代表的なヒンダードフェノールには以下のものが含まれる:1,3,5−トリメチル2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル) ベンゼン;ペンタエリスリチルテトラキス−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート;ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオジプロピオネート);n-オクタデシル-3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)-プロピオネート;4,4’−メチレンビス (2,6−tert−ブチルフェノール);4,4’−チオビス (6−tert−ブチル−o−クレゾール);2,6-ジ-tertブチルフェノール;6−(4−ヒドロキシフェノキシ)−2,4−ビス(n−オクチル-チオ)−1,3,5−トリアジン;ジ−n−オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ-ベンジル-ホスホネート;2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ-ベンゾエート;およびソルビトールヘキサ[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]。好ましくは、IRGAFOS 168、第二級酸化防止剤(チバ社から入手可能)、およびIRGANOX 1010、ヒンダードフェノール第1級酸化防止剤(チバ社から入手可能)である。別の酸化防止剤には、ETHANOX 330、ヒンダードフェノール(Albermarle製)、SANTOVAR、2,5 ジtert-アミルヒドロキノン(Monsanto製)、およびNAVAGARD P、tris(p-ノニルフェニル)ホスファイト(Uniroyal製)が含まれる。
【0044】
種々の特性を満足し、具体的な適用要件を満たす、ホットメルト添加剤において使用される常套の別の添加剤も、本発明による接着剤組成物に添加できる。このような添加剤は、例えば、充填剤、顔料、流れ調整剤、染料を含み、それらは、目的に応じて、接着剤配合内へ少量または多量で包含され得る。
【0045】
1実施態様において、低い適用温度のホットメルト接着剤は、120℃にて約11000cP未満の粘度と、25℃にて約7psiよりも大きいが約50psiよりも低い降伏応力(12インチ/分の伸張速度)と、60℃にて約200%よりも低いキューブフローと、および約70℃よりも高いクロスオーバー温度(G''=G'の場合)を有する。
【0046】
別の実施態様において、低い適用温度のホットメルト接着剤は、120℃にて約9500センチポイズ未満の粘度と、25℃にて約15〜約45psiの範囲の降伏応力(12インチ/分の伸張速度)と、60℃にて約100%未満のキューブフローと、および約75℃よりも高いクロスオーバー温度(G''=G'の場合)を有する。
【0047】
別の実施態様において、低い適用温度のホットメルト接着剤は、120℃にて約8500センチポイズ未満の粘度と、25℃にて約16〜約40psiの範囲の降伏応力(12インチ/分の伸張速度)と、60℃にて約0%のキューブフローと、および約80℃よりも高いクロスオーバー温度(G''=G'の場合)を有する。
【0048】
溶融粘度は、溶融状態における剪断に対する抵抗であり、流れている物質における任意の地点において、剪断応力を剪断速度で除した割合として定量化される。低い適用温度のホットメルト接着剤に関する溶融粘度は、基体上へ施すために、120℃にて約11000cP未満であるべきである。
【0049】
降伏応力は、そこを越えるとポリマーに対する降伏が生じる応力である。これは、物質が塑性的に変形する降伏点として定義される。降伏点の前においては、物質は弾性的に変形し、施された応力を取り除いた場合、その元の形状へ戻り得る。一度降伏点を超えると、変形の一部は不変であり、復元できない。これは、応力に付されるポリマーに対する上限を導くのに有用である。25℃にて約7psiよりも大きいが約50psiよりも低い降伏応力(12インチ/分の伸張速度)値を有する接着剤は、応力に抵抗する凝集強さと、回復不能な変形をもたらすことの良好なバランスを有するが、可撓性基体との良好な接着を維持するのに十分な柔軟性を示す。
【0050】
キューブフローは流れ抵抗を測定する。流通条件と貯蔵温度条件下での老化における接着剤の接着強さの安定性は、基体間界面に流れる接着剤の抵抗と関連する。キューブフロー値は、昇温時における凝集力または接着率(adhesive modulus)を示す。低いキューブフロー値は、経時的に多孔性の基体内へ過度に浸透すること(滲み出すこと)に対する接着剤の抵抗力と相関する。
【0051】
クロス-オーバー温度は、貯蔵弾性率G'と損失弾性率G''が等しくなる温度である。弾性率(G')は、接着剤の剛性を示し、当該技術分野において常套のようにして測定できる。クロスオーバー温度よりも上方では、損失弾性率G''が優位に立ち、接着剤は流入を開始する。半-結晶質オレフィン接着剤におけるクロスオーバー温度は、結晶質ドメインの溶融温度と結晶質ハードセグメントの強度に相互に関連する。高いクロス-オーバー温度は、結晶質相のより高い融点と、昇温時におけるより優れた全体の凝集強さを示す。接着剤の好ましいクロス-オーバー温度は、約70℃よりも高く、より好ましくは、約75℃よりも高く、そして、正により好ましくは約80℃よりも高い。
【0052】
ホットメルト接着剤は、技術分野において既知の方法を用いて調製できる。一般的には、接着剤組成物は、均質のブレンドが得られるまで、一般的に約2時間、約100℃〜200℃の温度にて、溶融状態で成分を混合するにより調製され、混合における様々な方法が既知であり、均質なブレンドを製造する任意の方法が満足できる。
【0053】
本発明による特性は、不織布用途、および、例えば瓶のラベル付けまたは、プラスチック接着もしくは取り外し可能な感圧接着剤用途を含む他の用途において、特に有用である。
【0054】
接着剤は、その溶融状態の間に基体へ施され、冷却され、接着剤層を硬化させる。別の基体、例えば薄い織物、不織布、または関係のない材料(例えば、低密度ポリオレフィン若しくは他の常套に採用される基体)などに対して、物品を接着させるのに十分な量でコーティングまたは噴霧することを含む様々な方法によって、接着剤生成物を基体、例えば不織布物品などへ施すことができる。
【0055】
本発明による1実施態様において、使い捨ての吸収性製品が提供される。使い捨ての吸収性製品は、一般的に、(1)液体透過性の表面シート、(2)液体不透過性の後部シート、該表面シートは後部シートに接着でき、(3)表面シートと後部シートの間に位置する吸収性の構造、および(4)ここに記載される性能を有するホットメルト接着剤を含有する。
【0056】
吸収性の構造は、一般的に不織布を含有する。不織布は柔軟性、多孔性および保全性により特徴づけられる結合繊維ネットワークとして定義される。不織布を構成するのに使用される個々の繊維は、合成繊維、天然素材、または2つの組合せであってもよい。個々の繊維は機械的、化学的または熱的に相互に結合される
【0057】
不織布は、断熱材、梱包材料(例えば、肉などの食品)、家庭用の雑巾、外科用ドレープ、包帯、および、使い捨て物品、例えば、おむつ、大人用の失禁用製品および生理用ナプキンなどを含む種々の用途に対して、商業的に使用される。ティッシューは、個々の繊維が相互に化学的に結合してもよくまたは結合しなくてもよい材料と密接に関わる。
【0058】
本発明による接着剤は、不織布若しくはティッシューを別の基体若しくは構成要素に接着させるのに使用できる。第二の基体は、別の不織布、ティッシューまたは、関連のない材料、例えばポリプロピレンなどであってもよい。接着剤は、表面シートを後部シートへ貼り付けるのに使用できる。あるいは、接着剤は、表面シート若しくは後部シートを、使い捨ての吸収性製品の別の構成要素、例えばティッシュー層、レッグフラップ(leg flaps)、固定耳(fastening ears)、テープ若しくはタブ(tabs)など、あるいは、当業者にとって既知な使い捨て可能な吸収性製品を構成するのに一般的に使用される他の構成要素に接着させるのに使用できる。
【0059】
当業者は、表面シートおよび後部シートとして使用するのに適する材料を理解する。
【0060】
表面シートとしての使用に適する材料の例は、液体透過性材料、例えば、約10〜約25g/m2の基本重量を有するスパンボンドされたポリプロピレンまたはポリエチレンなどである。
【0061】
使い捨て可能な吸収性製品においてしばしば使用される後部シートは、該使い捨て可能な吸収性製品の吸収性コア内における、液体、例えば、水、尿、メンス又は血液のような液体を封じ込め、希釈剤または可塑剤からベッド及び/又は着用物の外衣を保護する機能を果たす液体不透過性材料から一般的に調製される。使い捨て可能な吸収性製品における後部シートとして有用な材料は、一般に液体に対しては不透過性であるが、蒸気に対しては透過性である。例えば、液体不透過性材料、例えばポリオレフィンフィルム(例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレン)など、および蒸気透過性材料、例えば、微孔性ポリオレフィンフィルム(通気性フィルムと称される場合もある)などである。
【0062】
特に望ましい後部シート材料は、ポリオレフィンポリマー、例えば直鎖状の低密度ポリエチレンなどと充填剤を含有するフィルムである。ここで使用されるように「充填剤」は、微粒子および、押出し混合されるフィルムポリマーへ添加でき、押出しフィルムと化学的に干渉しないか悪影響を及ぼさないが、フィルムの至る所で均一に分散できる材料の他の形態を含むことを意味する。フィルムが加工中に延伸される場合、一般に、充填剤は、フィルム中に形成される孔の網状組織をもたらす。このような孔は、一般に液体の通過を妨げるのに十分小さいが、一般に、蒸気を孔に通過させるのに十分大きい。一般に、充填剤は微粒子形態であり、通常、約0.1〜約7ミクロンの範囲に平均粒径を有するやや球状のものである。本発明による実施において使用できる有機および無機充填剤は、フィルム形成工程妨げないものがもたらされる。充填剤の例には、炭酸カルシウム(CaCO)、様々な種類の粘度、シリカ(SiO)、アルミナ、硫酸バリウム、炭酸ナトリウム、タルク、硫酸マグネシウム、二酸化チタン、ゼオライト、硫酸アルミニウム、セルロース型の粉末、珪藻土、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、カオリン、マイカ、炭素、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、パルプ粉末、木粉、セルロース誘導体、キチン、およびキチン誘導体が含まれる。
【実施例】
【0063】
サンプルの調製
【0064】
接着剤サンプルは、技術分野において既知の技術を用いて配合された。各接着剤サンプルに対する成分は、表1〜3において記載される。例示的な方法は、撹拌機を装備する、ジャケット形の混合ケトル中に、総粘着付与剤のほぼ半分を配置することを含み、約100℃〜200℃の範囲へ温度を上昇させることを含んだ。使用される精密な温度は、具体的な粘着付与剤の軟化点に依存する。粘着付与剤が溶融している場合、攪拌を開始させ、成分の残りを添加する。混合と加熱は、滑らかで均質な塊が得られるまで継続する。
【0065】
成分
【0066】
Infuse 9817は、ダウケミカル社から入手可能な、0.877g/ccの密度と、190℃にて測定した場合15g/10分のメルトインデックスを有する、オレフィンブロックコポリマーである。
【0067】
Engage 8402は、ダウケミカル社から入手可能な、0.902g/ccの密度と、190℃にて測定した場合30g/10分のメルトインデックスを有する、エチレン/1-オクテンコポリマーである。
【0068】
Engage 8200は、ダウケミカル社から入手可能な、0.870g/ccの密度と、190℃にて測定した場合5g/10分のメルトインデックスを有する、エチレン/1-オクテンコポリマーである。
【0069】
Vistamaxx 6202は、エクソンモービル社から入手可能な、0.861g/ccの密度と、190℃にて測定した場合7.4g/10分のメルトインデックスを有する、プロピレン/エチレンコポリマーである。
【0070】
Kraton G1650は、クレイトン社から入手可能な、スチレンの末端ポリマーブロックと、エチレン-ブテンの中間ブロックとを有する、選択的に水素化されたブロックコポリマー(SEBS)である。
【0071】
Rextac RT 2732は、レキセン(Rexene)社から入手可能な、非晶質1-ブテン-プロペンコポリマーである。
【0072】
Affiniy GA1900は、ダウケミカル社から入手可能な、0.870g/ccの密度と、177℃にて測定した場合8200cpsのブルックフィールド粘度を有する、エチレン/1-オクテンコポリマーである。
【0073】
Escorez 5400は、エクソンケミカル社から入手可能な、103℃の軟化点を有する脂環式の樹脂である。
【0074】
Regalite 1090は、イーストマンケミカル社から入手可能な、88℃の軟化点を有する水素化炭化水素である。
【0075】
Paraffin H4ワックスは、サソロワックス・アメリカ(Sasolwax America)社から入手可能な、96℃の融点を有する、合成フィッシャー・トロプシュワックスである。
【0076】
Kaydolは、クロンプトン-ヴィトコ(Crompton-Witco)社から入手可能な、ホワイト鉱油である。
【0077】
Krystol 350は、ペトロ・カナダから入手可能なホワイト鉱油である。
【0078】
Calsol 5550は、カールメント・ルブリカント(Calument Lubricant)社から入手可能なナフテン系オイルである。
【0079】
Irganox 1010は、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社から入手可能な、ヒンダードフェノール酸化防止剤である。
【0080】
Eastotac H100は、イーストマンケミカル社から入手可能な、100℃の軟化点を有する水素化炭化水素樹脂である。
【0081】
Komotac KT100Bは、ガンドンKOMO社から入手可能な、100℃の軟化点を有するポリテルペン樹脂である。
【0082】
Piccolyte C85は、アッシュランド社から入手可能な、85℃の軟化点を有するポリテルペン樹脂である。
【0083】
Piccolyte A115は、アッシュランド社から入手可能な、115℃の軟化点を有するポリテルペン樹脂である。
【0084】
Sylvagum TR90は、アリゾナケミカル社から入手可能な、90℃の軟化点を有するポリテルペン樹脂である。
【0085】
Sylvalite RE100XLは、アリゾナケミカル社から入手可能な、100℃の軟化点を有するトールオイルロジン(tall oil rosin)のペンタエリスリトールエステルである。
【0086】
接着剤の性能特性化
【0087】
1.接着剤の粘度は、120℃にて、スピンドル27、標準ブルックフィールド粘度計を用いて測定された。
【0088】
2.降伏応力は、0.125''のサンプルサイズ、2.5''の厚さ、1''×1''のエンドタブと0.5''×0.5''の試験領域を有する長い犬の骨型の接着剤サンプルを用いて測定された。試験領域は、12インチ/分の速度にて、圧縮空気式のグリップを有するインストロン試験機により伸張され、結果を記録した。
【0089】
3. 60℃でのキューブフロー:溶融した接着剤を離型鋳型内へ注入して1''の立方体を形成させ、24時間、25℃の条件に調整した。立方体を鋳型から取り出し標準的なグラフ用紙(1cmの正方形または同等のもの)上に配置し、24時間、130oFにて、制御されたオーブン中に配置した。次いで、立方体をオーブンから取り出し、接着剤により覆われた正方形の数を記録した。パーセントフローは、以下の方程式を用いて算出された。
%フロー=(最終面積-初期面積)/初期面積
【0090】
4.クロスオーバー温度(G''=G'): レオメトリックス・ダイナミック・メカニカル・アナライザー (Rheometrics Dynamic Mechanical Analyzer)(モデルRDA700)を用いて、温度に対する弾性率(G’)と損失弾性率(G'')を測定した。その装置をRhiosソフトウエア バージョン4.3.2で制御した。直径が8mmで約2mmの隙間で離れた並行プレートを使用した。サンプルを装着し、次いで約−100℃に冷却して、時間のプログラムを開始させた。プログラムの試験は、5℃の間隔で温度を上昇させ、各温度にて10秒のソーク時間(soak time)が続く。サンプルを収容している対流式オーブンを窒素で連続的にフラッシュした。周期数を10rad/秒に維持した。試験の開始時における初期歪は0.05%(プレートの外部端で)であった。ソフトウエアにおける自動歪(autostrain)のオプションを使用し、試験を通じて正確に測定可能なトルクを維持した。オプションは、ソフトウエアによって可能な最大適用歪が80%であるように構成された。以下の手順を用いることが保証される場合、自動歪プログラムは各温度増分における歪みを調整した。トルクが200g‐cmを下回れば、歪を現状の値の25%まで増加させた。トルクが1200g‐cmを上回れば、その歪を現状の値の25%まで減少させた。トルクが200g‐cmと1200g‐cmの間にある場合、その温度増分において歪の変更を行わなかった。せん断貯蔵又は弾性率(G’)と、損失弾性率(G'')は、トルクと歪のデータからソフトウエアによって計算された。
【0091】
接着剤は、表1Aにおいて示される配合で調製され、接着剤の性能特性は、上述のようにして試験された。結果は、表1Bに示される。
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】

【0094】
上述のように、5よりも高く〜35よりも小さい範囲の範囲に平均メルトインデックスを有し、120℃にて約11000センチポイズ未満の粘度を有し、25℃にて約7〜50psiの範囲の降伏応力(12インチ/分の伸張速度)を有し、60℃にて約200%よりも低いキューブフローと、約70℃よりも高いクロスオーバー温度(G''=G'の場合)を有するオレフィンコポリマーで、接着剤サンプル1-8を調製した。平均メルトインデックスが5であるオレフィンコポリマーを用いる、サンプルAは、サンプル1-8において示される幾つかの性能において、満足しない。
【0095】
接着剤サンプル3は、種々の量のワックスを用いて調製された(表2参照)。種々の量のワックスを有する接着剤の性能特性(上述のようにして試験された)を、表2に示す。
【0096】
【表3】

【0097】
表2において示されるように、5wt%よりも少ないワックスを含有する接着剤サンプルは、120℃にて11000センチポイズ未満の粘度を有し、25℃にて約7〜50psiの範囲の降伏応力(12インチ/分の伸張速度)を有し、60℃にて約200%よりも低いキューブフローと、約70℃よりも高いクロスオーバー温度(G''=G'の場合)を有した。
【0098】
接着剤サンプル12-17は、種々の粘着付与剤を用いて調製された。種々の粘着付与剤を用いる接着剤の性能特性(上述のようにして試験された)は、表3に示される。
【0099】
【表4】

【0100】
表3において示されるように、天然の粘着付与剤、例えば脂環式樹脂、ポリテルペン樹脂およびロジンエステル粘着付与剤などで配合されたサンプルは、120℃にて約11000センチポイズ未満の粘度を有し、25℃にて約7〜50psiの範囲の降伏応力(12インチ/分の伸張速度)を有し、および約70℃よりも高いクロスオーバー温度(G''=G'の場合)をもたらした。
【0101】
本発明による種々の改良と変形は、その精神と範囲から逸脱することなく行うことができ、そのことは当業者にとって明白である。ここに記載される具体的な実施例は、実施例のために提供され、発明は、この請求項が得る権利を有する均等な全ての範囲に従い、添付の請求項の用語によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィンコポリマーを含有する低い適用温度のホットメルト接着剤であって、
該オレフィンコポリマーは、190℃にて5g/10分よりも大きく約35g/10分よりも小さい範囲の平均メルトインデックスを有し、および
該接着剤は、120℃にて約11000センチポイズ未満の粘度と、25℃にて約7〜約50psiの範囲の降伏応力(12インチ/分の伸張速度)と、60℃にて約200%よりも小さいキューブフローと、約70℃よりも大きいクロス-オーバー温度(G''=G'の場合)を有する、該低い適用温度のホットメルト接着剤。
【請求項2】
請求項1に記載の低い適用温度のホットメルト接着剤であって、
該接着剤は、120℃にて約9500センチポイズ未満の粘度と、25℃にて約15〜約45psiの範囲の降伏応力(12インチ/分の伸張速度)と、60℃にて約100%よりも小さいキューブフローと、約75℃よりも大きいクロス-オーバー温度(G''=G'の場合)を有する、該低い適用温度のホットメルト接着剤。
【請求項3】
請求項2に記載の低い適用温度のホットメルト接着剤であって、
該接着剤は、120℃にて約8500センチポイズ未満の粘度と、25℃にて約16〜約40psiの範囲の降伏応力(12インチ/分の伸張速度)と、60℃にて約0%のキューブフローと、約80℃よりも大きいクロス-オーバー温度(G''=G'の場合)を有する、該低い適用温度のホットメルト接着剤。
【請求項4】
粘着付与剤および希釈剤をさらに含有する、請求項1に記載の低い適用温度のホットメルト接着剤。
【請求項5】
以下のものを含有する、低い適用温度のホットメルト接着剤:
a)少なくとも約5wt%のオレフィンコポリマーであって、該オレフィンコポリマーが、190℃にて5g/10分よりも大きく約35g/10分よりも小さい範囲の平均メルトインデックスを有し、
b)約40〜約70wt%の粘着付与剤、
c)約0.5〜約5wt%のワックス、
d)約1〜約30wt%の希釈剤、および
e)0〜約5wt%の任意成分、
ただし、総wt%の合計は100に等しい。
【請求項6】
付加的なポリマーを約50wt%まで更に含有する、請求項5に記載の低い適用温度のホットメルト接着剤であって、
該付加的なポリマーが、190℃にて約35g/10分よりも大きい平均メルトインデックスを有する、水素化スチレンブロックコポリマー、非晶質ポリ-α-オレフィンおよびオレフィンコポリマーからなる群から選択される、該低い適用温度のホットメルト接着剤。
【請求項7】
請求項5に記載の低い適用温度のホットメルト接着剤であって、
粘着付与剤が、ポリテルペン、脂肪族樹脂、脂環式樹脂、脂肪族/芳香族、脂環式/芳香族、天然および変性ロジンエステル、ならびにそれらの混合物から選択される、該低い適用温度のホットメルト接着剤。
【請求項8】
請求項5に記載の低い適用温度のホットメルト接着剤であって、
任意成分が、酸化防止剤、充填剤、顔料、流れ調整剤、染料およびそれらの混合物から選択される、該低い適用温度のホットメルト接着剤。
【請求項9】
(a)、(b)を含有する低い適用温度のホットメルト接着剤であって、
(a)少なくとも約5wt%のオレフィンコポリマーであって、該オレフィンコポリマーが、190℃にて5g/10分よりも大きく約35g/10分よりも小さい範囲の平均メルトインデックスを有する、該オレフィンコポリマー、
(b)ゼロよりも大きいが約50wt%よりも少ない付加的なポリマーであって、該付加的なポリマーは、190℃にて約35g/10分よりも大きいメルトインデックスを有する、水素化スチレンブロックコポリマー、非晶質ポリ-α-オレフィンおよびオレフィンコポリマーからなる群から選択される、該付加的なポリマー、
該接着剤は120℃にて約11000センチポイズ未満の粘度と、25℃にて約7〜約50psiの範囲の降伏応力(12インチ/分の伸張速度)と、60℃にて約200%よりも小さいキューブフローと、および約70℃よりも大きいクロス-オーバー温度(G''=G'の場合)を有する、該低い適用温度のホットメルト接着剤。
【請求項10】
請求項9に記載の低い適用温度のホットメルト接着剤であって、
該接着剤が、120℃にて約9500センチポイズ未満の粘度と、25℃にて約15〜約45psiの範囲の降伏応力(12インチ/分の伸張速度)と、60℃にて約100%よりも小さいキューブフローと、および約75℃よりも大きいクロス-オーバー温度(G''=G'の場合)を有する、該低い適用温度のホットメルト接着剤。
【請求項11】
請求項10に記載の低い適用温度のホットメルト接着剤であって、
該接着剤は、120℃にて約8500センチポイズ未満の粘度と、25℃にて約16〜約40psiの範囲の降伏応力(12インチ/分の伸張速度)と、60℃にて約0%のキューブフローと、および約80℃よりも大きいクロス-オーバー温度(G''=G'の場合)を有する、該低い適用温度のホットメルト接着剤。
【請求項12】
約40〜約70wt%の粘着付与剤と、約1〜約30wt%の希釈剤と、約0.5〜約5wt%のワックス、および5wt%までの任意成分を更に含有する、請求項11に記載の低い適用温度のホットメルト接着剤、ただし、総wt%の合計は100に等しい。
【請求項13】
粘着付与剤がポリテルペン、脂肪族樹脂、脂環式樹脂、脂肪族/芳香族、脂環式/芳香族、天然および変性ロジンエステル、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項12に記載の低い適用温度のホットメルト接着剤。
【請求項14】
以下の工程を含む、第1基体と第2基体を接着させる方法:
(a)請求項1に記載の接着剤を、第1基体の少なくとも一部に施し、
(b)該第2基体を、該第1基体上に存在する該接着剤と接触させ、および
(c)該接着剤を凝固させ、それにより、該第1基体を該第2基体へ接着させる。
【請求項15】
基体の少なくとも1種が、液体-透過性の基体であり、他の基体が液体-不透過性の基体である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
接着剤が、約120℃および/または約120℃未満で第1基体へ施される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載の接着剤を用いて製造された物品。
【請求項18】
請求項17に記載の物品が使い捨ての吸収性製品である、該物品。
【請求項19】
請求項18に記載の物品が、おしめ、大人用の失禁製品または生理用ナプキンである、該物品。

【公表番号】特表2013−502493(P2013−502493A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525678(P2012−525678)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/045954
【国際公開番号】WO2011/022523
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】