説明

低アルカリ度溶液のpHを測定するための方法及び装置

低アルカリ度試料のpHを測定するためのシステム及び方法が記載される。本発明は、各々が異なる指示薬濃度を有する複数のpH指示薬を含むpHセンサーアレイを提供する。既知のpHを有する試料溶液にセンサーアレイを適用し、各指示薬からのpH応答を各指示薬に関する指示薬濃度に対して同時に記録することで較正関数を生成する。較正後、未知のpHを有する低アルカリ度試料にセンサーアレイを適用する。次いで、各pH指示薬からの結果を較正曲線と比較し、当てはめ関数を外挿して低アルカリ度試料の実際のpHを求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にpH測定用のシステムに関し、さらに詳しくは、複数のpH指示薬センサーからの分光光度測定値を外挿することによって低アルカリ度溶液のpHを測定するための改良された方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水系のpH測定のためには多種多様のシステム及び方法が使用されてきた。例えば、実験室及び工業的環境におけるpH測定のためにはガラス電極が常用されている。別法として、pH測定のために分光測光技法が使用できることが知られている。pH測定のための例示的なシステム及び方法は、本願と同じ譲受人に譲渡された2006年8月22日付けの米国特許出願第11/507,689号(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす)に記載されている。
【0003】
先行技術の装置及びシステムは有用な製品を提供したものの、比較的簡単かつユーザーに親切なやり方で低アルカリ度水試料の迅速で簡単で正確な測定を可能にするという点で完全に満足できるものではなかった。低アルカリ度溶液のpH測定に伴う問題の1つは、試料溶液中への指示薬の導入によって誘起されるpHの動揺が無視できないことである。これは、指示薬自体が弱い酸又は塩基であることによる。言い換えれば、試料中に導入される指示薬濃縮物の量が溶液中の酸又は塩基の量に比べて多いという事実のため、弱く緩衝された(即ち、低アルカリ度)溶液のpHは激しく動揺することがある。
【0004】
先行技術では、(1)指示薬原液のpHを試料のpHの付近に調整すること、(2)指示薬添加量と試料体積との比を減少させること、及び(3)段階的な指示薬添加によって指示薬で誘起されるpH動揺を観察し、直線外挿法を用いて試料のpHを求めることにより、水性相中において指示薬で誘起される動揺を最小にし又は補正する試みが行われてきた。かかる先行技術の方法は有用な結果を与えることができるが、通例は非常に多くの時間を要しかつユーザーに親切でない。したがって、比較的原価効率がよくかつユーザーに親切なやり方で低アルカリ度試料の精密で正確で迅速なpH測定を可能にする改良された方法及びシステムに対する強い要望が今なお存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/092975号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Mosley, L. M., et al.: "Spectrophotometric pH measurement in estuaries using thymol blue and m-cresol purple", Marine Chemistry, 91(1-4), 2004, 175-186.
【発明の概要】
【0007】
低アルカリ度溶液のpH測定に伴う問題の1つは、試料溶液中への指示薬の導入によって誘起されるpH値の動揺が無視できないことである。その結果、弱く緩衝された(即ち、低アルカリ度)溶液中に指示薬濃縮物が導入されることでpH測定値は激しく動揺することがある。この問題に対処するため、本発明は、各々が異なる指示薬濃度を有する複数のpH指示薬を含むpHセンサーアレイを含んでなるシステム及び方法を開示する。センサーアレイは、既知のpHを有する試料溶液に該センサーアレイを適用することで較正される。各pH指示薬からの応答を同時に記録し、各指示薬濃縮物に関してpH応答と指示薬濃度との関係を表す較正関数(即ち、較正曲線)を生成する。較正後には、未知のpHを有する低アルカリ度試料溶液にセンサーアレイを適用することができる。各pH指示薬からのpH値に関する結果を較正曲線と比較し、各指示薬濃度からのpH応答を表す当てはめ関数(即ち、当てはめ式)を生成する。当てはめ式を生成して外挿することで切片(即ち、指示薬濃度がゼロである場合の交点)を決定し、かくして未知試料の元の(即ち、実際の)pHを求める。
【0008】
本発明の他の態様は、かかるシステム及び方法の使用、並びに低アルカリ度溶液のpHを測定するための例示的な方法に関する。本発明のさらなる態様及び先行技術に対するその利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を読むことで明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、様々な量のチモールブルーの添加後におけるpHの変化を示すグラフである。
【図2】図2は、指示薬添加の前後における様々な溶液のpH値を示す一連のプロットを表している。
【図3】図3は、pH測定値とフェノールレッド添加量との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、4種の指示薬濃度に関して生成された較正曲線を示している。
【図5】図5は、本発明の例示的な直線外挿法からの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、低アルカリ度溶液(例えば、低アルカリ度水試料)のpHを迅速かつ正確に測定するためのポリマーフィルム型センサーアレイを含んでなるシステム及び方法を記載する。アルカリ度又は緩衝能は水試料の基本特性の1つである。アルカリ度は、溶液が酸を中和する能力の尺度である。低いアルカリ度は、溶液に酸が添加された場合にpHの変化に抵抗する能力が小さいことを意味する。
【0011】
本発明の着想は、低アルカリ度溶液では、試料中への指示薬の導入によって誘起されるpHの動揺が無視できないという認識に基づいている。これは、指示薬自体が弱い酸又は塩基であることによる。その結果、試料中に導入される指示薬濃縮物の量が弱く緩衝された(即ち、低アルカリ度)溶液中に存在する酸又は塩基の量に比べて多いという事実のため、溶液のpHは激しく動揺することがある。このような動揺効果は、pH指示薬を添加したフィルムにおいてなお一層顕著である。
【0012】
この問題に対処するため、本発明の一態様では、低アルカリ度試料のpHを迅速かつ正確に測定するための外挿法が記載される。本発明は好ましくは、特に限定されないが、前記に引用した米国特許出願第11/507,689号に従って作成したセンサーアレイを使用する。かかるセンサーアレイは、各々が異なる指示薬濃度を有する複数の指示薬部分を有するように構成されている。作成後、センサーアレイを用いて試料のpHを分光測光法で測定することにより、各指示薬は離散した吸光度のpH測定値を同時に与える。各指示薬部分からのpH測定値をその指示薬濃度に対してプロットし、pH測定値を表す当てはめ関数(即ち、当てはめ式)を外挿することで、指示薬濃度がゼロである場合の切片を決定し、かくして試料の初期pH(即ち、真のpH)を求める。指示薬の添加によって引き起こされるpHの動揺を最小にしようとする代わりに、本発明は様々な指示薬濃度に由来するpHの動揺間の関係を利用することで、未知のpHを有する低アルカリ度試料からのpH測定値を決定するための基線参照パラメーターを与えるので、本発明のシステム及び方法は既知の方法に比べて有利である。
【0013】
本明細書中に開示される通り、本発明のシステム及び方法は、低アルカリ度溶液のpHを迅速かつ正確に決定するために特によく適している。特に(弱酸又は弱塩基である)指示薬の濃度が試料溶液中の酸又は塩基の量に比べて大きい場合には、溶液中への弱酸又は弱塩基指示薬の添加が動揺を誘起するので、低アルカリ度溶液のpHの測定は簡単なことではない。pH応答は比色計、分光光度計又は蛍光分光計によって測定できる。
【0014】
本発明の例示的な実施形態に従えば、四部分フィルムアレイを用いてpHセンサーアレイを作成したが、本発明の技術的範囲から逸脱することなしにそれ以上又はそれ以下のフィルムを使用できることは言うまでもない。各センサーフィルムは異なるpH指示薬濃度を有していたが、これらをそれぞれIn1、In2、In3及びIn4と表す。本明細書中の実施例の目的では、各フィルムの指示薬濃度は約0.01〜10%の範囲内にあった。
【0015】
固体フィルムは、通例、水溶性ポリマー、酢酸セルロース又はポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)から形成される。指示薬は比色用pH指示薬、蛍光pH指示薬、或いは当技術分野で公知であるか又は後に開発される他の好適なpH指示薬であり得る。比色用pH指示薬は、好ましくは、フェノールレッド、クレゾールレッド、m−クレゾールパープル、チモールブルー、ブロモクロロフェノールブルーW.S.、ブロモクレゾールグリーン、クロロフェノールレッド、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、ニュートラルレッド、フェノールフタレイン、o−クレゾールフタレイン、ナイルブルーA、チモールフタレイン、ブロモフェノールブルー、メタクレゾールパープル、マラカイトグリーン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、メチルグリーン、メチルバイオレット2B、ピクリン酸、ナフトールイエローS、メタニルイエロー、塩基性フクシン、フロキシンB、メチルイエロー、メチルオレンジ及びアリザリンからなる群から選択される。
【0016】
本発明の着想を実証するため、我々は、試料溶液中に様々な濃度の指示薬を添加することに原因する低アルカリ度溶液のpH変化(即ち、動揺)の理論的計算を実施した。本明細書中に開示される実施例は本発明の広汎な応用可能性を実証するために示されているが、当業者であれば、本明細書中の実施例に開示される技法は本発明者らによって発見された技法であり、したがって本発明の例示的な実施形態をなすと見なし得ることが理解されるはずである。しかし、本明細書の開示内容に照らせば、本発明の技術的範囲から逸脱することなく開示された特定の実施形態に数多くの変更を施すことができ、それでも同様又は類似の結果が得られることが当業者には理解されるはずである。また、本明細書中に開示される較正法及び外挿法を使用すれば、比色計、分光光度計又は蛍光分光計によって測定されたpH応答を用いて低アルカリ度試料のpHを決定できる。
【0017】
図1のグラフは、溶液中に様々な量のチモールブルーを導入した後にどのようなpH変化が実現するかを示している。図1の結果は、溶液中に添加される指示薬濃度が増加するほどΔpH(即ち、真のpH−pH測定値)が益々大きくなることを表している。この結果は、弱く緩衝された(即ち、低アルカリ度)溶液が指示薬の添加によって激しく動揺し得ることを明確に示している。
【0018】
なおも図1について述べれば、pH動揺の理論的計算は、アルカリ度が低くなるほどΔpHは大きくなることを実証している。したがって我々は、指示薬の添加量が多くなり、またアルカリ度が低くなるほど、溶液のpHは大きく変化又は動揺するという結論を引き出すことができる。
【0019】
この結論を立証するために我々は、一連の100ppm炭酸塩緩衝液を用意し、指示薬添加の前後に様々な溶液のpH値を測定するという第1の実験を行った。この第1の実験からの結果を図2に示す。図2に示すように、一連のプロットは指示薬添加の前後に測定した様々な溶液のpH値を示している。これらの結果に基づけば、20ppmのフェノールレッド(酸型)を溶液に添加した場合、pH測定値はわずかに減少したことが明らかである。図2はまた、フェノールレッドの量が0ppm(菱形)から100ppm(正方形)まで増加するのに伴ってpHが徐々に減少したことも示している。より多くのフェノールレッド(100ppm)を添加した場合、pHは大きく動揺した。図2に示すように、100ppmのフェノールレッドを添加すると、約8.0より高いpHを有する溶液は本質的に識別できなくなった。これらの結果に基づけば、指示薬の添加によって誘起されるΔpHの補正を考慮することで溶液の実際のpH(真のpH)を求め得ることが明らかとなる。
【0020】
したがって我々は、pHを決定するために外挿法が有用であり得ることを示すための第2の実験を行った。この第2の実験では、元のpHが8.12及び8.53である2種の100ppm炭酸塩緩衝液を選択した。約6.8〜8.2のpH応答範囲を有する指示薬フェノールレッドを使用した。弱く緩衝された炭酸塩溶液に酸型のフェノールレッドを添加した場合、pHメーターを用いて溶液のpHをモニターした。
【0021】
図3に示すように、各々の100ppm炭酸塩緩衝液に関し、pH測定値と100ppm指示薬添加量との間に直線関係がプロットされた。各指示薬タイプからのpH測定値を表す直線関数を指示薬パーセントがゼロである場合に外挿することで切片を求めた。図3に示すように、切片(即ち、8.13及び8.46)は指示薬濃度がゼロである場合の溶液のpHを表している。このように、切片は指示薬添加前における溶液の元のpHを表す。切片が炭酸塩緩衝液の初期pH値(即ち、それぞれ8.12及び8.53)に非常に近いことは容易に明らかである。かくして我々の実験は、アルカリ度が非常に低い場合、指示薬添加に原因するpHの動揺は無視できないことを実証している。その上に我々の実験は、本発明の例示的な直線外挿技法が試料の元のpHを求めるために極めて有用であることも実証している。例示的な直線外挿技法で使用されるアルゴリズムを以下に一層詳しく記載する。
【0022】
指示薬添加によって誘起されるpHの変化を補正するため、一連の指示薬濃度を有する固体pHセンサーに対して十分に高いアルカリ度を有する合成冷却用標準溶液を用いて較正曲線を作成した。この第3の実験では、同じpHセンサーを用いて試料のpHを測定し、各指示薬濃度に関するpH測定値を計算した。次いで、pH測定値を指示薬濃度に対してプロットし、当てはめ式を生成して指示薬濃度がゼロである場合に外挿することで、未知試料の初期pH(即ち、真のpH)を求めた。
【0023】
図4に示すように、4種の指示薬濃度(0.5%、1.0%、1.5%、2.0%)に関して較正曲線を生成した。(100ppm未満の)低いアルカリ度を有する未知試料のpH値を測定した。
【0024】
図5は、本発明の例示的な直線外挿法からの結果を示すグラフである。図5からわかる通り、式の切片(即ち、指示薬濃度がゼロである場合の交点)は9.18である。切片は指示薬添加前のpHを表すので、我々の外挿法は、9.18の切片がpHメーターで測定した実際のpH値(9.07)に対する非常に良好な近似であることを実証している。
【0025】
図4及び図5に示した結果を得るためには、各センサーフィルムが異なるpH指示薬濃度(即ち、それぞれIn1、In2、In3及びIn4)を有する四部分フィルムアレイを用いてpHセンサーアレイを作成した。次に、各pHセンサーフィルムに関し、一定の既知アルカリ度値を有する一連のpH標準溶液からの吸光度応答を測定した。
【0026】
次に、各pHセンサーフィルムに関し、前述の第2の段階で測定したデータから較正曲線を生成した。下記に示す計算のため、較正関数をf1、f2、f3及びf4と表示する。
【0027】
次に、未知のpH試料をpHセンサーアレイに適用し、各フィルムから吸光度値を測定した。下記に示す計算のため、フィルム1、2、3及び4に関する吸光度値をそれぞれA1、A2、A3及びA4と表示する。
【0028】
次に、各フィルムに関し、各々の対応する較正関数及び吸光度値から予備pH値を計算する。例えば、フィルム1〜4に関するpHは、それぞれpH1=f1(A1)、pH2=f2(A2)、pH3=f3(A3)及びpH4=f4(A4)として表される。未知試料のアルカリ度値が較正標準溶液のアルカリ度値に等しければ、これらのpH値はすべて同一になることに注意されたい。しかし、未知試料のアルカリ度値が較正標準溶液のアルカリ度値に等しくなければ、pH1、pH2、pH3及びpH1はすべて異なる値を有する。
【0029】
最終段階では、下記に示す外挿アルゴリズムに基づき、未知試料に関する実際のpHを予備pH値pH1、pH2、pH3及びpH1から計算する。
【0030】
式1
【0031】
【数1】

式中、
iはフィルムの指数であり、
Iniはi番目のフィルムにおける指示薬濃度を表し、
pHiはi番目のフィルムの吸光度及び対応較正関数fiから計算される見掛けのpH値であり、
NはpHフィルムの枚数である。
【0032】
図5は、例示的な外挿アルゴリズムを示すグラフである。図5に示す結果を得るための計算及び対応する数学的手順を下記に示す。
【0033】
【数2】

上述の結果に基づくと、本発明はこのように、複数の指示薬濃度を有するセンサーアレイを用意し、既知試料から生成した較正曲線に対して未知試料のpH測定値を較正して未知試料のpHを求めることによって低アルカリ度試料のpHを直接に測定するためのシステムを提供する。本発明に従えば、適当な時期にこれらの測定を同時に記録することで、段階的な指示薬添加に伴う厄介で冗長な測定及び計算が回避される。一例としては、本発明の例示的な固体フィルムセンサーは標的に対する迅速な応答を実証したのであって、インサイチュ(オンフィールド)試験に関しては約5分以内に結果が得られた。
【0034】
本明細書中に記載される通り、本発明のシステム及び方法には、一連の異なる指示薬濃度を有する固体ポリマー型pHセンサーフィルムアレイが組み込まれている。作成後、既知のpH及びアルカリ度を有する試料溶液にセンサーアレイを適用する。各指示薬濃度からのpH応答を同時に測定記録する。次に、pH測定値を各指示薬濃度に対してプロットすることで較正関数(即ち、較正曲線)を生成する。かくして、較正曲線は指示薬濃度に対するpH測定値のプロットを表す。次に、各pH測定値を表す当てはめ関数(即ち、当てはめ式)を生成する。当てはめ式を外挿することで、指示薬濃度がゼロである場合の切片を決定し、かくして指示薬添加前における試料の元のpHの正確な表示を得る。このようにすれば、較正曲線は基線参照関数を表し、これを用いて各指示薬部分からの離散結果を較正することで、様々な指示薬添加量に由来するpHの動揺を迅速かつ容易に利用して低アルカリ度試料のpHを外挿で求めることができる。
【0035】
以上、典型的な例示的実施形態で本発明を例示し説明してきたが、本発明の技術的範囲及び技術思想から決して逸脱せずに様々な修正及び置換を行うことができるので、本発明は示された細部に限定されることはない。したがって、単に日常的な実験を用いるだけで、当業者には本明細書中に開示された発明のさらなる修正例及び同等例を想起することができよう。かかる修正例及び同等例のすべてが、特許請求の範囲で定義される本発明の技術的範囲内に含まれると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
pHを測定するための方法であって、
各々が異なる指示薬濃度を有する複数のpH指示薬を含むpHセンサーアレイを用意する段階と、
既知のpHを有する試料溶液に前記センサーアレイを適用する段階と、
各々の前記指示薬からの第1のpH応答を同時に測定する段階と、
前記第1のpH応答を表す較正関数を生成する段階と、
未知のpHを有する低アルカリ度試料溶液に前記センサーアレイを適用する段階と、
各々の前記指示薬からの第2のpH応答を同時に測定する段階と、
前記第2のpH応答を前記較正関数と比較して各々の前記指示薬から予備pH値を得る段階と、
前記予備pH値を表す当てはめ関数を生成する段階と、
指示薬濃度がゼロである場合に前記当てはめ関数を外挿して前記未知試料の実際のpHを推定する段階と
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記外挿段階が、前記当てはめ関数の直線切片を生成して前記未知試料のpHを得ることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記外挿段階が下記の式によって決定される外挿アルゴリズムを含む、請求項2記載の方法。
【数1】

式中、
iは各pH指示薬に対応する指数であり、
Iniはi番目の指示薬の指示薬濃度であり、
pHiはi番目の指示薬の第2のpH測定値であり、
NはpH指示薬の数である。
【請求項4】
前記指示薬が固体ポリマーを基材とするpH指示薬含有フィルムである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記指示薬が比色用pH指示薬又は蛍光pH指示薬である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記比色用pH指示薬が、フェノールレッド、クレゾールレッド、m−クレゾールパープル、チモールブルー、ブロモクロロフェノールブルーW.S.、ブロモクレゾールグリーン、クロロフェノールレッド、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、ニュートラルレッド、フェノールフタレイン、o−クレゾールフタレイン、ナイルブルーA、チモールフタレイン、ブロモフェノールブルー、メタクレゾールパープル、マラカイトグリーン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、メチルグリーン、メチルバイオレット2B、ピクリン酸、ナフトールイエローS、メタニルイエロー、塩基性フクシン、フロキシンB、メチルイエロー、メチルオレンジ及びアリザリンからなる群から選択される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記pH応答が比色計、分光光度計又は蛍光分光計によって測定される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記固体フィルムが水溶性ポリマーから形成される、請求項4記載の方法。
【請求項9】
前記固体フィルムがポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)又は酢酸セルロースから形成される、請求項4記載の方法。
【請求項10】
前記センサーアレイが約0.01〜10%程度の濃度を有する4種以上のpH指示薬を含む、請求項4記載の方法。
【請求項11】
さらに、前記較正関数及び前記当てはめ関数を表すグラフを生成する段階を含む、請求項3記載の方法。
【請求項12】
pHを測定するためのシステムであって、
各々が異なる指示薬濃度を有する複数のpH指示薬を含むpHセンサーアレイと、
既知のpHを有する試料溶液に前記センサーアレイを適用する手段と、
各々の前記指示薬からの第1のpH応答を同時に測定する手段と、
前記第1のpH応答を表す較正関数を生成する手段と、
未知のpHを有する低アルカリ度試料溶液に前記センサーアレイを適用する手段と、
各々の前記指示薬からの第2のpH応答を同時に測定する手段と、
前記第2のpH応答を前記較正関数と比較して各々の前記指示薬から予備pH値を得る手段と、
前記予備pH値を表す当てはめ関数を生成する手段と、
指示薬濃度がゼロである場合に前記当てはめ関数を外挿して前記未知試料の実際のpHを推定する手段と
を含んでなるシステム。
【請求項13】
前記外挿手段が、前記当てはめ関数の直線切片を生成して前記未知試料のpHを得ることを含む、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記外挿手段が下記の式によって決定される外挿アルゴリズムを含む、請求項13記載のシステム。
【数2】

式中、
iは各pH指示薬に対応する指数であり、
Iniはi番目の指示薬の指示薬濃度であり、
pHiはi番目の指示薬の第2のpH測定値であり、
NはpH指示薬の数である。
【請求項15】
前記指示薬が固体ポリマーを基材とするpH指示薬含有フィルムである、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記指示薬が比色用pH指示薬又は蛍光pH指示薬である、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記比色用pH指示薬が、フェノールレッド、クレゾールレッド、m−クレゾールパープル、チモールブルー、ブロモクロロフェノールブルーW.S.、ブロモクレゾールグリーン、クロロフェノールレッド、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、ニュートラルレッド、フェノールフタレイン、o−クレゾールフタレイン、ナイルブルーA、チモールフタレイン、ブロモフェノールブルー、メタクレゾールパープル、マラカイトグリーン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、メチルグリーン、メチルバイオレット2B、ピクリン酸、ナフトールイエローS、メタニルイエロー、塩基性フクシン、フロキシンB、メチルイエロー、メチルオレンジ及びアリザリンからなる群から選択される、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記固体フィルムが水溶性ポリマー、ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)又は酢酸セルロースから形成される、請求項15記載のシステム。
【請求項19】
前記センサーアレイが約0.01〜10%程度の濃度を有する4種以上のpH指示薬を含む、請求項15記載のシステム。
【請求項20】
さらに、前記較正関数及び前記当てはめ関数を表すグラフを生成する段階を含む、請求項14記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−527001(P2010−527001A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507502(P2010−507502)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/060321
【国際公開番号】WO2008/137260
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】