説明

低光沢熱可塑性ポリオレフィン組成物

本発明は、ポリオレフィン、約40より大きいムーニー粘度を有するエラストマー及び約40より小さいムーニー粘度を有するエラストマーを含む耐衝撃性組成物に関する。本発明は、また、ポリオレフィン及び約40より大きいムーニー粘度を有するカップリングされたエラストマーを含む耐衝撃性組成物に関する。本発明は、更に、約150℃より高い結晶化熱を有するポリプロピレンブレンド、約40より大きいムーニー粘度を有するカップリングされたエチレン−α−オレフィン及び約30〜約40の間のムーニー粘度を有するエチレン−α−オレフィンを含む組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年5月14日に出願された仮出願第60/571,143号の優先権を主張するものであり、その仮出願は引用によりここに組み入れる。
【0002】
本発明は光沢と耐衝撃性との間の改善されたバランスを示す熱可塑性組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
低光沢熱可塑性材料は、最近では、自動車やその他の用途での使用に望ましいものとなった。以前には、艶消しの外観は、耐衝撃性及びモジュラス(剛性(stiffness))とは二律背反の関係にあった。光沢が低下する(より望ましい)につれて、耐衝撃性及びモジュラスも低下する(より望ましくない)。低光沢を達成するためには追加の充填材料が用いられてきた。しかしながら、多くの用途において、これらのタイプの充填剤は得られる製品の機械特性を低下させ、同時に、必ずしも均一な仕上りを提供することもできない。別の技術は、ゴムで強化された熱可塑性材料と、ムーニー粘度40〜110のエチレン−α−オレフィンコポリマーとを結合することであった。上記と同様に、原価効率手法においては、これらの材料は十分に高い耐衝撃性又はモジュラスを提供しない。
【0004】
低光沢は、また、射出成形金型で適当な表面織目模様付け(surface texture)を使用することによっても達成されうる。しかしながら、製造時間の間中、低光沢を維持することは、頻繁な表面浄化/再模様付け(surface cleaning/re-texturing)が必要となることがあり、それは高価で労働集約的となることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明者は、これらの不利益の1つ又はそれ以上を克服する組成物及び方法を見出すに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ポリオレフィン、約40より大きいムーニー粘度を有する第一のエラストマー及び約40より小さいムーニー粘度を有する第二のエラストマーを含む耐衝撃性組成物に関する。本発明はまた、ポリオレフィン及び約40より大きいムーニー粘度を有するカップリングされたエラストマー(coupled elastomer)を含む、少なくとも1種の耐衝撃性組成物に関する。更に本発明は、約150℃より高い結晶化熱を有するポリプロピレンブレンド、約40より大きいムーニー粘度を有するカップリングされたエチレン−α−オレフィンエラストマー、及び約30〜約40の間のムーニー粘度を有するエチレン−α−オレフィンエラストマーを含む組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、一方での耐衝撃性及びモジュラスと、他方での低光沢との間の原価効率的に、バランスされた熱可塑性組成物に関する。一つの具体例において、本発明の組成物は、3成分と少なく、即ち、ポリオレフィン;第一のエラストマー及び第二のエラストマーを含んでいればよい。その有益な特性に影響する物質ではない他の成分も使用することができる。別の具体例において、本発明の組成物は、ポリオレフィンと、約40より大きいムーニー粘度を有する少なくとも1種のカップリングされたエラストマーとを含む。
【0008】
前記ポリオレフィンは、オレフィン(即ちアルケン)の重合によりもたらされる任意の材料であってもよい。オレフィンの例としてはポリプロピレンが含まれる。更に、ポリオレフィンのホモポリマー、ランダムコポリマー、異相コポリマーブレンド(heterophasic copolymer blends)及びそれらの組合せが適当である。異相コポリマーには、典型的には、半結晶性ポリオレフィンマトリックスと、そのマトリックス内に分散された、ほとんど非晶質のエラストマー成分が含まれる。更に、分枝状コポリマー又はブロックコポリマーを含むものなどのポリオレフィンを含むブレンドもまた使用可能である。チーグラー−ナッタ触媒、拘束幾何学触媒(constrained geometry catalysts)、メタロセン触媒、これらの組合せ又は任意の他の適当な触媒を含む任意の触媒システムも、本発明のポリオレフィンを製造するために使用でき、チーグラー−ナッタ触媒が好ましい。ポリオレフィンの具体例には、少なくとも約150℃の結晶化熱、ASTM D−1238に従い230℃/2.16kgで試験して1〜100g/10分のメルトフローインデックス又はそれら両方を有するものを含むポリプロピレンが含まれる。ポリオレフィンは任意の密度のものでよい。
【0009】
ポリプロピレンが好ましいが、ポリエチレンも適当であり、環状オレフィンの重合から得られるものなどのより複雑なポリオレフィンでもいい。ポリオレフィンブレンド又は混合物が好ましいが、単一成分のポリオレフィンの使用も考えられる。最も好ましいのは、2種の異なる種類のポリプロピレンのブレンドである。任意のポリプロピレンを使用してもよいが、好ましいポリプロピレンは、ASTM D−1238に従って試験して、230℃/2.16kgで10〜70g/10分のメルトフローインデックスを有するものである。好ましい態様においてブレンド中の一つのポリプロピレンは、ポリプロピレンの異相コポリマー(heterophasic)及びポリプロピレンホモポリマーである。そのようなブレンドは、高めのモジュラスの材料と、耐衝撃性を改善する低めのモジュラスの材料とをバランスさせる。ポリプロピレンブレンドの2種の成分は、互いに、異相コポリマー:ポリプロピレンホモポリマーの約50:1〜約1:50の間の比率の任意の比率であってもよい。
【0010】
第一及び第二のエラストマーは、種々の入手可能な任意の天然及び合成ゴム、例えば熱可塑性加硫物、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、フッ素化エラストマー、ブチルゴム、EPDM、それらの組合せ等から選択することができる。好ましくは、第一及び第二のエラストマーは、エチレン−α−オレフィンエラストマーから選択される。そのようなエチレン−α−オレフィンは、エチレンとα−オレフィンのコポリマー、エチレン、α−オレフィン及び非共役ジエンのターポリマー並びにそれらの組合せを含む。
【0011】
前記α−オレフィンの炭素数は、通常3〜20、好ましくは3〜12である。前記α−オレフィンの例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン及び1−エイコセンがある。これらのα−オレフィンのうち、オクテンが好ましく、それにより、好ましいエラストマーとしてエチレン−α−オクテンが提供される。好ましくは、エラストマーはメタロセン触媒を用いて製造される。しかしながら、その他の触媒系(例えばチーグラー−ナッタ触媒、拘束幾何学触媒など)もまた適当である。
【0012】
第一及び第二のエラストマーは、少なくとも1つの物理特性、例えば粘度(例えばムーニー粘度)などによって識別されうる。例えば第一のエラストマーは、少なくとも約40、好ましくは約40〜約75、より好ましくは約40〜約60のムーニー粘度を有することが好ましい。第二のエラストマーは、約40より小さい、好ましくは約20〜約40、より好ましくは約30〜約40のムーニー粘度を有するのが好ましい。従来は、約40より大きいムーニー粘度を有するメタロセン触媒によるエチレン−α−オレフィンエラストマー、そして特にこの範囲のムーニー粘度を有するメタロセン触媒によるエチレン−α−オクテンエラストマーは知られていなかった。そのようなメタロセン触媒によるエチレン−α−オレフィンは、それらが、他の系の触媒による他のエラストマーに比較して経済的であるために望ましい。ムーニー粘度の上昇は、典型的には、エラストマーの分子量の増加を表す。第一のエラストマー:第二のエラストマーの適当な比率には、一方では、全部第一のエラストマー:第二のエラストマー無しから、他方では、第一のエラストマー無し:全部第二のエラストマーまでが含まれる。
【0013】
約40より大きいムーニー粘度を有する任意のタイプのエラストマーが、その組成及び使用された触媒システムにかかわりなく、第一のエラストマーとして適当である。例えば、DuPont Dow Elastomer社により“Nordel(登録商標)”なる名称で供給されるものなどの炭化水素ゴムが使用できる。
【0014】
好ましくは、メタロセン触媒によりカップリングされたエチレン−α−オレフィンが、第一のエラストマーとして使用される。カップリングされたエラストマーは、カップリング剤で処理されたエチレン−α−オレフィンである。カップリング剤はエラストマーの分子量を増大させる。このことは、カップリング剤で処理しなかったエラストマーと比較して、カップリングされたエラストマーのムーニー粘度が上昇していることを通じて観察することができる。
【0015】
カップリングされたエラストマーにおいては、ムーニー粘度の上昇に応じてメルトフローインデックスが低下する。好ましくは、カップリングされたエラストマーは、190℃/2.16kgで、約1g/10分より小さく、より好ましくは約0.2g/10分より小さいメルトフローインデックスを有する(ASTM D−1238)。比較すると、第二のエラストマーは、同じ条件で、好ましくは約1g/10分より小さく、より好ましくは約0.5g/10分より小さいメルトフローインデックスを有する。
【0016】
カップリングされたエチレン−α−オレフィンエラストマーを製造する1つの方法には、共有の米国特許第6,472,473号明細書に記載されたカップリングされたポリプロピレンを製造する方法が適用できる(この特許明細書は引用により本明細書に組み入れる)。このカップリングされたエラストマーを製造する方法は、カップリング剤を用いて、エチレン−α−オレフィンエラストマーをカップリングさせることを含む。カップリング反応は、反応性押出又は、カップリング剤をエチレン−α−オレフィンエラストマーと混合することができ、カップリング剤とエチレン−α−オレフィンエラストマーとの間のカップリング反応を惹き起こすのに十分なエネルギーを加えることを含む、その他の任意の方法によって実施する。この方法は、好ましくは、単一の容器、例えば溶融ミキサー又はポリマー押出機などの中で実施するが、ここで押出機はその最も広い意味を含むことを意図するもので、ペレットを押し出す装置と共に、フィルム、吹込成型品、異形材及びシート状押出製品、発泡製品並びにその他の製品に形成するための押出物を製造する押出機などの装置を含む。
【0017】
適当なカップリング剤は、脂肪族及び芳香族の両方で、ポリマー鎖のCH基、CH2基又はCH3基の炭素−水素結合中に挿入することができる、カルベン基又はニトレン基をそれぞれ生成することが可能な、少なくとも2つの反応性基を含む化合物を含む。これら反応性基は、協同して、ポリマー鎖をカップリングすることができる。カップリング剤がポリマー鎖をカップリングするのに効果的であるように、熱、音波エネルギー、放射線又はその他の化学的活性化エネルギーにより、カップリング剤を活性化することが必要であろう。カルベン基を生成できる活性基を含む化合物の例には、例えばジアゾアルカン類、1原子に1原子団が結合した置換メチレン基及びメタロカルベン類が含まれる。ニトレン基を生成できる活性基を含む化合物の例は、これらに限定するものではないが、例えばホスファゼンアジド類(phosphazene azides)、スルホニルアジド類、ホルミルアジド類及びアジド類を含む。好ましいカップリング剤は、ポリ(スルホニルアジド)であり、より好ましくはビス(スルホニルアジド)である。
【0018】
第一のエラストマーを単独で使用することも可能ではあるが(特にカップリングされたエラストマーを使用する場合)、第一及び第二のエラストマーを組合せて用いることが好ましい。カップリングされたエラストマーのための好ましい出発原料及び、好ましい第二のエラストマーには、DuPont Dow Elastomer社から入手できる“ENGAGE(登録商標)”ポリオレフィンが含まれる。その他の適当なエラストマーには、共有の米国特許第5,576,374号;第5,681,897号の各明細書及びそれらの継続出願明細書に記載したものが含まれるが、これらの特許明細書の全ては引用によってここに組み入れる。
【0019】
ポリオレフィン、第一のエラストマー及び、必要に応じての第二のエラストマーに加えて、本発明には多くの充填剤が含まれていてもよい。有用な充填剤には、無機質充填剤、例えばタルク、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭酸カルシウム、クレー、長石、霞石(nepheline)、シリカ、ガラス、ヒュームドシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、二酸化チタン、チタン酸塩、ガラス微小球、澱粉、白亜、天然又は合成繊維(例えばアラミド繊維、ポリオレフィン繊維、パルプ、綿等)が含まれる。これら充填剤のうち、タルク、炭酸カルシウム、シリカ/ガラス、アルミナ及び二酸化チタンが好ましく、タルクが最も好ましい。改善された低温耐衝撃性の配合に使用できる難燃性充填剤(ignition resistance fillers)には、酸化アンチモン、デカブロモビフェニルオキシド、三水和アルミナ、水酸化マグネシウム、ホウ酸塩及びハロゲン化化合物が含まれる。これら難燃性充填剤のうち、三水和アルミナ及び水酸化マグネシウムが好ましい。酸化防止剤[例えばヒンダードフェノール(“Irganox(登録商標)1010”など)]、ホスファイト(例えば“Irgafos(登録商標)168”)、紫外線吸収剤、粘着付与剤(cling additives)(例えば“PIB”)、粘着防止剤、熱安定剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、可塑剤、静電防止剤、顔料、着色剤等が含まれうるその他の添加剤もまた、本発明に含むことができる。
【0020】
各成分の割合は重量%の範囲で選択できる。例えばポリオレフィンは約50重量%〜約90重量%の量で存在することができ、第一のエラストマーは約1重量%〜約30重量%の量で存在することができ、そして残りは充填剤で補充される。ポリオレフィン:第一のエラストマーの比率は、約90:1〜約5:3の範囲である。好ましい態様において、ポリプロピレンブレンドが約55重量%〜約65重量%の量で、第一のエラストマー約5重量%〜約20重量%の量と共に存在する。好ましい態様では、ポリオレフィン:第一のエラストマーの比率は、約13:1〜約2.75:1の範囲であるのがよい。同様に、第二のエラストマーが約0重量%〜約20重量%の量で存在することができる。ポリオレフィン:第二のエラストマーの比率は、約100:1〜約5:2の範囲であるのがよい。具体例となる組成は、以下の実施例にも示される。
【0021】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各成分を適当な手段、例えば種々のタイプの押出機、ミキサー(例えばバンバリーミキサー)、ニーダー、ロールミル等を用いて混合することにより得ることができる。それら成分の混合は、それらを一時に全て添加するか、又はそれらをいくつかの部分に分けて添加するかのいずれかによって達成することができる。それらの成分は、押出機を用いた多段添加システムにより混合してもよく、また混合し、次いで押出機によりペレット化してもよい。
【0022】
本発明に従う熱可塑性樹脂組成物は、公知の方法、例えば射出成型、シート形成、押出成型、真空成型、異形材成型、発泡成型、射出圧縮、吹込成型、熱成形、圧縮成型、回転成型、押出等によって、様々な製品に成形することができる。
【0023】
本発明はまた、1つの目的として、衝撃に抗する方法に関する。そのような方法は、前記で論じた材料から製品を成形することを含むことができる。その方法はまた、その製品に力がかかったときその製品の保全性を保持することを含んでいてもよい。力がかかっている間又はその後でその製品がそのままである(remains in tact)ことが好ましいが、このことは必須ではない。即ち製品は、力がかかっている間に、衝撃のエネルギーを吸収し又は放散する方法として、砕けたりその他の破壊を受けたりすることもできる。言い換えれば、この方法は、衝撃の対象もしくは力を外に逸らせ、衝撃エネルギーを吸収し、又は衝撃の対象もしくは力からの衝撃エネルギーを別に放散することによって、衝撃に抗することを含んでいてもよい。
【実施例】
【0024】
本発明に従った組成物を、各成分を二軸押出機を用いて配合することにより製造した。得られた組成物はペレット化し、射出成型して厚さ約1/8inchを有する5inch四方のプラックを形成した。このプラックの一方の表面は織目模様付けされた(textured)が、もう一方の側は平滑であった。各成分量は表Iに示す。ポリプロピレンA1はホモポリマーであり、一方、ポリプロピレンA2は異相コポリマーである。実施例Aはカップリングされたエチレン−α−オレフィン(“ENGAGE(登録商標)8180”がカップリングされたもの)のみを含み、一方、実施例Bは、第二のエチレン−α−オレフィンエラストマー(“ENGAGE(登録商標)8180”)も含んでおり、それらは、それぞれムーニー粘度約45及び約35を有している。実施例Cは、第二のエチレン−α−オレフィンエラストマーのみを含んでいる。実施例Dは、第二のエチレン−α−オレフィンエラストマー及びムーニー粘度約45を有する炭化水素ゴムを“Nordel(登録商標)3745P”の形態で含んでいる。比較例Eは“Nordel(登録商標)3745P”のみを含むが、比較例Fは、ムーニー粘度約75を有する別の炭化水素ゴムである“Nordel(登録商標)4770R”を含んでいる。
【0025】
【表1】

【0026】
実施例の組成物はそれぞれ、ASTM D−523に記載された記述を用い、“ガードナー(Gardener)”光沢計を用いて光沢試験にかけた。各組成物の織目模様付き表面と平滑表面は、入射角60°及び入射角20°で試験した。2つの測定値の間の差異、即ちΔは、その組成物の光沢の指標を与え、Δが低いほどそれだけ光沢も低いことを表す。
【0027】
【表2】

【0028】
各実施例の組成物は曲げモジュラス(ASTM D−790)、降伏時引張強度(ASTM D−638)、降伏時伸長率(ASTM D−638)、耐衝撃性(ASTM D−256:ノッチ付きアイゾット法)及び負荷歪み温度(DTUL)(ASTM D−648)を試験すること含む種々の物理特性試験にかけたが、それらは表IIIに列挙する。
【0029】
【表3】

【0030】
実施例A及びBに見られるように、カップリングされたエラストマーを含む、これらの両例は、ノッチ付きアイゾット法で測定したとき、比較例E及びFより優れた耐衝撃性を有しているが、織目模様付き表面の光沢は匹敵したものである。実施例C及びDは、前記比較例に対して、似通った耐衝撃性と匹敵した織目模様付き表面光沢を有している。全ての実施例は、コスト効率のよい材料がより高価な材料の代わりに、又はその一部の代わりに使用できることを示す一方、優れた又は匹敵した耐衝撃性、光沢又はそれらの両方を得ることができることを示している。
【0031】
更に、複数の成分又は工程の機能又は構造が、単一の成分又は工程に結合させることができ、或いは1つの工程又は成分の機能又は構造を、複数の工程又は成分に分割させることができることを認識されたい。本発明はこれらの全ての組合せを熟慮したものである。別段の記載がない限り、ここで述べられている種々の成分の量及び範囲は、本発明を限定するものとして意図されたものではなく、それ以外の量及び範囲でも可能である。更に、本発明の特徴は、詳説されたただ1つの態様の文脈の中に記載されることができたが、そのような特徴は、いずれか所期の用途のため、その他の態様の1つ又はそれ以上の特徴と結合されることもできる。ここでの新規な組成物の製造及びその使用もまた、本発明に従う方法を構成するということもまた上記から認識されよう。別段の言及がない限り、“a”又は“an”の使用はその他の工程又は成分を排除するものとして意図されたものである。「第一」又は「第二」などの用語の使用は、付加的な工程又は成分を排除するものではないし、異なる順番で工程を終了し、又は成分を添加することを排除するものでもない。
【0032】
ここに提供された説明及び詳説は、本発明、その原理及びその実際の応用、を当業者に熟知させることを意図したものである。当業者なら、個々の使用での要求に最も適合するように、本発明をその多様な形態で適用し応用することができよう。従って、記述された本発明の特定の態様は、本発明を閉鎖的なものとし、又は限定することを意図するものではない。従って本発明の範囲は、上記の記述を参照して決定すべきではなく、その代わりに、添付された請求項を参照して、そのような請求項が権利付与される均等の全範囲を含め、決定されるべきである。特許の出願及び公開を含む全ての記載や引用文献の開示は、あらゆる目的のため、引用により組み入れる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の材料は、耐衝撃性が望まれる任意の用途に使用することができ、好ましい用途は輸送業界、例えば陸上車輌、ボート又は航空機の用途であり、最も好ましい用途分野は自動車(例えば乗用車、トラック、バス等)である。自動車の中で、本発明の材料を、自動車の装備部品、バンパーの板(bumper facia)、車体パネル、車輪の穴(wheel wells)、車体底面パネル、内装装備部品、ラゲージ・ドア(デッキリッド)(deck lids)、座席部品、ハンドル、貨物用内張(cargo liners)、計器盤、エンジン室部品等として使用することが可能である。本発明の材料を異なる材料と層状に結合して組合せることにより、複合製品を製造することも可能である。その他の材料には、金属、プラスチック、セラミック、それらの組合せ等が含まれる。例えば有機ホウ素系接着剤(例えば国際出願公開第01/44311号パンフレット、米国特許出願番号第09/466,321号明細書の「アミン有機ホウ素複合重合開始剤及び重合性組成物」を参照されたく、この出願は引用によりここに組み入れる)などの接着剤が、二層の材料を一緒に結合するために用いられうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン;
一つの物理特性を有する第一のエラストマー;及び
第一のエラストマーの物理特性とは異なる大きさの前記物理特性を有する第二のエラストマー:
を含んでなり、低光沢性を示す耐衝撃性組成物。
【請求項2】
前記物理特性がムーニー粘度である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第一のエラストマーのムーニー粘度が約40より大きく、且つ第二のエラストマーのムーニー粘度が約40より小さい請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
第一のエラストマーがカップリングされたエラストマーである請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
カップリングされたエラストマーがメタロセン触媒されたエチレン−α−オレフィンエラストマーである請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
第二のエラストマーがメタロセン触媒されたエチレン−α−オレフィンエラストマーである請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
カップリングされたエラストマーが第二のエラストマーのカップリングされたバージョンである請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ポリオレフィンが少なくとも2種のポリプロピレンのブレンドである請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
1種又はそれ以上の無機質充填剤、熱安定剤、難燃性充填剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤、静電防止剤及びこれらの組合せを更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
ポリプロピレンブレンドが約50重量%〜約90重量%の範囲で存在し、カップリングされたエラストマーが約5重量%〜約20重量%の範囲で存在し、第二のエラストマーが約5重量%〜約20重量%の範囲で存在し、そして残りが1種又はそれ以上の充填剤である請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ポリプロピレンブレンドが約60重量%〜約70重量%の範囲で存在し、カップリングされたエラストマーが約5重量%〜約20重量%の範囲で存在し、第二のエラストマーは約12.5重量%〜約17.5重量%の範囲で存在し、そして残りが1種又はそれ以上の充填剤である請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
低光沢が、ASTM D−523で測定して、約5.00より低い織目模様付き表面(textured surface)のΔ(デルタ)光沢である請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
低光沢が、ASTM D−523で測定して、約16.00より低い平滑表面(smooth surface)のΔ光沢である請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
ポリオレフィン;
約40より大きいムーニー粘度を有するカップリングされたエラストマー:
を含んでなる耐衝撃性組成物。
【請求項15】
約40より小さいムーニー粘度を有する第二のエラストマーで更に構成される請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
カップリングされたエラストマーがメタロセン触媒されたエチレン−α−オレフィンエラストマーである請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
第二のエラストマーがメタロセン触媒されたエチレン−α−オレフィンエラストマーである請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
カップリングされたエラストマーが第二のエラストマーのカップリングされたバージョンである請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
ポリオレフィンが少なくとも2種のポリプロピレンブレンドである請求項14に記載の組成物。
【請求項20】
1種又はそれ以上の無機質充填剤、熱安定剤、難燃性充填剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤、静電防止剤及びそれらの組合せを更に含む請求項14に記載の組成物。
【請求項21】
ポリプロピレンブレンドが約50重量%〜約90重量%の範囲で存在し、カップリングされたエラストマーが約5重量%〜約20重量%の範囲で存在し、第二のエラストマーが約5重量%〜約20重量%の範囲で存在し、そして残りが1種又はそれ以上の充填剤である請求項14に記載の組成物。
【請求項22】
ポリプロピレンブレンドが約60重量%〜約70重量%の範囲で存在し、カップリングされたエラストマーが約5重量%〜約20重量%の範囲で存在し、第二のエラストマーが約12.5重量%〜約17.5重量%の範囲で存在し、そして残りが1種又はそれ以上の充填剤である請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
約150℃より高い結晶化熱を有するポリプロピレンブレンド;
約40より大きいムーニー粘度を有するカップリングされたエチレン−α−オレフィン;
約30〜約40の間のムーニー粘度を有するエチレン−α−オレフィンを含んでなる組成物。
【請求項24】
ポリプロピレンブレンドが約60重量%〜約70重量%の範囲で存在し、カップリングされたエチレン−α−オレフィンが約5重量%〜約20重量%の範囲で存在し、エチレン−α−オレフィンが約12.5重量%〜約17.5重量%の範囲で存在し、そして残りが1種又はそれ以上の充填剤である請求項22に記載の組成物。

【公表番号】特表2007−537352(P2007−537352A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513463(P2007−513463)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/017092
【国際公開番号】WO2005/113668
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】