説明

低分子量ヒアルロン酸製造方法

本発明のストレプトコークス属ID9102により生産された高分子ヒアルロン酸を低分子ヒアルロン酸に作る方法に関する。具体的に、本発明は高分子ヒアルロン酸と活性炭を一定の分解条件下で反応させてヒアルロン酸固有の特性を維持し、ヒアルロン酸分子量は一定して減量する方法に関するものである。
本発明に伴う高分子ヒアルロン酸の低分子化方法は、pH処理の条件や各種反応触媒、さらに加熱などの複雑な追加処理条件を必要とする公知の方法に比べて工程が便利で、投入された材料の除去のための再処理の不便がなく、かえって不純物を除去する効果まで奏するので簡便で、かつ経済的で、高純度の低分子ヒアルロン酸を生産することができる。本発明に伴う低分子化方法は活性炭を利用した反応条件の変更により,低分子ヒアルロン酸の分子量を多様に調節できる長所がある。本発明により生産される低分子ヒアルロン酸はヒアルロン酸固有の特性は維持したまま医薬品規格に適合するように製造することができ、さらに、化粧品や食品用にも使用される規格に適合するように製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2009年09月15日に出願された大韓民国特許出願第10-2009-0087185号を優先権主張し、前記明細書全体は本出願の参考文献である。
【0002】
本発明は高分子のヒアルロン酸を粘度と弾性、さらに、水分吸収などの固有の特性を維持したまま低分子量ヒアルロン酸を製造する方法に関するものにして、ヒアルロン酸と反応する分解媒介体の種類と効率的な低分子生成条件を通じた産業的に適用しやすい高品質の低分子量ヒアルロン酸生産方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒアルロン酸((HA),Hyaluronan、(C14H20NNaO11)n (n>1000)は生体全般に存在する高分子にしてglycosaminoglycanと言う多糖類である。(図1)と同じ構造にしてβ-1.3結合のD-glucuronic acidとN-acetylglucosamineがone unitでβ-1.4結合が繰返し連結された構造である。水溶性物質であって有用な分子量は1,000〜13,000,000Da(ダルトン、daltons)に至る広範囲な直鎖構造である。
【0004】
ヒアルロン酸は1934年MeyerとPalmerにより牛眼の硝子液から初めて発見され、皮膚、目の硝子体、関節液、筋肉、臍帯、鶏冠などに多く分布されているので、これらの器官から分離抽出などを通じても得られる。特に、胎盤や関節内に多く分布しているものとして知られていて、大部分の生産は鶏冠から抽出する。しかし、生体組織からヒアルロン酸を生産することはコンドロイチンなどの高分子を分離し難く、動物由来の病原性物質に対する負担感が多いものとして知られている。
【0005】
ヒアルロン酸は塩構造として優れた効能効果を示しており、保湿効果が強く物理的摩擦状態で強力な潤滑作用として機能が極めて優れ、細菌などの侵入に対する保護効果などの効能と物性において、極めて好ましい長所を有することから最近ではヒアルロン酸を応用した多くの製品開発が流行っている。このような長所は医薬品や化粧品としての役割ばかりでなく、医薬部外品とバイオ素材、さらに、食品にまで適用することができて、ヒアルロン酸を基盤とする新たな分野の開発が継続されている。
【0006】
高分子ヒアルロン酸の機能的な面は粘度上昇や関節潤滑作用、さらに、水分吸収及び弾性能力などが相俟って医薬品として眼科用及び膝関節注射剤や点眼剤などに領域を広めて、最近では世界的に爆発的なヒアルロン酸市場増大現象を勘案すれば誘導体開発に対する可能性も伺われる。
【0007】
高分子ヒアルロン酸の役割に比べて低分子の可能性はこれに及ばなかったのも事実である。しかしながら、最近低分子の体内吸収能力に対する再照明により低分子ヒアルロン酸は、組織内吸収能力が要求される化粧品や食品などの使用に関心が高まりつつある状況である。これにより、低分子ヒアルロン酸の開発が要求される状況であり、ヒアルロン酸の固有機能は維持したまま分子量を低くする技術が必要になってきた。
【0008】
高分子ヒアルロン酸の分子量を低下させる方法は論文や特許を通じて多く報告されている。まず、酸と塩基による加水分解方法(日本特許公開昭63-57602,特許公開平1-266102、Y. Tokita et al., Polymer Degradation and Stability, 48, 269-273, 1995)がある。これは新たな工程の追加以外にも処理後のpHを規格内の値で増加又は減少させるなどの不便があった。ヒアルロン酸の濃度に伴うpHの変化速度が異なることは勿論実際の生産工場では使用し難い方法である。さらに、pH調整に伴う不純物の増加現象、特に、エンドトキシンの数値が増加することが確認され、不純物を除去する分離精製工程が追加される費用増加の面もある。適切なpHで高温で加熱するか又は超音波を利用した分解方法は、新たな装備の導入が必要となり、やはり分離精製工程で不要な費用追加が発生することが分かる。さらに、次亜塩素酸のような酸化剤を利用する方法(日本特許公開平2-245193)、過酸化水素による方法(日本特許公開平2-22301)、過硫酸アンモニウムの分解能力を利用する方法(韓国特許登録10-0369517)もやはり、加水分解能力の認定を受け得るものの、投与された分解材料の除去が必要で、エンドトキシンや新たな不純物の形成に伴う品質低下が予測される。
【0009】
前記の高分子ヒアルロン酸を低分子化させる方法などは、分離精製工程途中で分子量を調整するために、新たに導入される分解促進剤により分解作用のみが存在するようになる。分離工程上の原料の品質を改善するプロセスは止どめて、分子量調節のための新たな装備の導入や費用の追加が勘案されるべきであることから非効率的で、結局処理過程がさらに複雑となり工程の追加により所要時間が長くなり、これは費用上昇につながるので大量生産の産業的な面では極めて非経済的な要因であることが分かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここに、本発明者等は高分子ヒアルロン酸を低分子化させる方法において、不純物除去と分子量調節の二つの要因を一度で解決する方法の研究を進めている中、ヒアルロン酸を適切な条件で活性炭と接触させる場合、ヒアルロン酸の平均分子量が減少することを見出し本発明を完成した。
【0011】
本発明は、高分子ヒアルロン酸の低分子化において、公知の方法による不純物生成に伴う品質低下の問題と複雑な工程追加に伴う費用増加などの非効率性を解決して高品質の低分子ヒアルロン酸を経済的に生産する方法を提供する。
【0012】
本発明の目的は、ヒアルロン酸に活性炭と接触させる段階を含む低分子量のヒアルロン酸製造方法を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的はヒアルロン酸に活性炭と接触させる段階を含むヒアルロン酸の分子量減少方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するために、本発明はヒアルロン酸に活性炭を接触させる段階を含む低分子量のヒアルロン酸の製造方法を提供する。
【0015】
本発明の他の目的を達成するために、本発明はヒアルロン酸に活性炭を接触させる段階を含むヒアルロン酸の分子量減少方法を提供する。
【0016】
本発明は微生物培養や、鶏冠から抽出又はその他の方法で獲得した高分子ヒアルロン酸を一定の分子量水準の低分子ヒアルロン酸に造るために活性炭を反応媒介剤として使用する方法を提供する。
【0017】
本発明で使用される高分子ヒアルロン酸は微生物培養又は、鶏冠から抽出又はその他の方法により取得できる。微生物培養に伴う高分子ヒアルロン酸の取得方法の一例を紹介する。
【0018】
ストレプトコークス属ID9102(KCTC11395BP)をヒアルロン酸生産菌株に採択し、グルコース40-100g/L、酵母エクス2-5g/L、ケゼインペプトン10-20g/L、硫酸マグネシウム0.5-1g/L、リン酸一水素カリウム1-5g/L、塩化ナトリウム2-10g/L、グルタミン酸0.1-1g/L、pH6.0-7.0、32-37℃、0.1-1vvmの好気条件で75L発酵槽で培養すれば4-6g/L範囲内でヒアルロン酸生産性が維持され、平均分子量200万-400万Daのヒアルロン酸が生産される。
【0019】
ヒアルロン酸が含有された培養物は公知の方法である遠心分離や、フィルタープレス、デプスフィルター、メンブレン濾過などで菌体を除去してその濾液を本発明の高分子ヒアルロン酸に使用した。
【0020】
本発明で高分子ヒアルロン酸は、活性炭とその他の低分子化反応条件により特定範囲の平均分子量を有する低分子ヒアルロン酸に分解される。
【0021】
本発明はヒアルロン酸に活性炭を接触させる段階を含む低分子量のヒアルロン酸製造方法を提供する。
【0022】
本発明の方法はヒアルロン酸を活性炭に接触させる段階を含むことに特徴がある。
【0023】
本発明のヒアルロン酸((HA)、Hyaluronan、(C14H20NNaO11)n (n>1000))は生体全般に存在する高分子にしてglycosaminoglycanと言う多糖類を意味する。本発明のヒアルロン酸は(図1)と同じ構造を有する。
【0024】
本発明のヒアルロン酸は鷄冠などの生体組織から分離精製して得られ、遺伝工学的方法により形質転換された微生物から生産できる。本発明の方法に材料として使用されるヒアルロン酸は前記方法により製造するか、または市販するものを購入して使用することもできる。本発明の方法に使用されるヒアルロン酸の平均分子量は、特に制限はされない。例えば、本発明の方法に使用されるヒアルロン酸の平均分子量は、10万Da乃至1300万Da、100万Da乃至1300万Da、350万Da乃至1300万Da、350万Da乃至1000万Da、350万Da乃至800万Daでもあり、さらには350万Da乃至1300Daでもあって、さらに、好ましくは、350万Da乃至800万Daでもある。
【0025】
本発明の一実施例ではヒアルロン酸を生産する能力を有するストレプトコークス属ID9102(KCTC11395BP)をヒアルロン酸生産菌株に採択し、グルコース40-100g/L、酵母エクス2-5g/L、ケゼインペプトン10-20g/L、硫酸マグネシウム0.5-1g/L、リン酸一水素カリウム1-5g/L、塩化ナトリウム2-10g/L、グルタミン酸0.1-1g/L、pH6.0-7.0、32-37℃、0.1-1vvmの好気条件で75L発酵槽で培養してヒアルロン酸を収得した。
【0026】
活性炭(activated carbon)は吸着性が強く、大部分の構成物質が炭素質からなる物質を意味する。製造方法は木材、褐炭、泥炭などを活性化剤である塩化亜鉛やリン酸のような薬品で処理して乾燥または木炭をスチームで活性化させて製造する。
【0027】
一般的に、活性炭は粉状または粒子状に製造されるが、粉状のものは粒子状に製造して使用することもある。用途は主に吸着剤として気体または湿気の吸収に使用され、その他に溶剤の回収剤とガスの精製用または脱色剤に使われるなど用途が多様である。
【0028】
本発明の活性炭は直接製造するかまたは、市販するものを購入して使用することもできる。本発明の方法に使用される活性炭はその種類が制限されず、例えば、粒状活性炭、粉状活性炭、成形活性炭でもあるが、好ましくは粉状活性炭でもある。粉状活性炭はスチーム活性法活性炭と、薬品活性法活性炭があって活性法には特に制限されない。
【0029】
前記接触させる段階はその接触方式が別に制限はされないが、好ましくは微生物培養方法で製造され、粗精製されたヒアルロン酸含有精製培養液、または、ヒアルロン酸を溶媒に希釈したヒアルロン酸希釈液に活性炭を投与して分散することにより達成できる。前記ヒアルロン酸を希釈するための溶媒は別に制限はされないが、例えば、水または炭素数1乃至6個の低級アルコールと水の混合溶媒でもあり好ましくは、水でもあり得る。
【0030】
前記ヒアルロン酸含有精製培養液またはヒアルロン酸希釈液からヒアルロン酸の濃度は別に制限はされないが、例えば、0.01乃至90%、0.1乃至50%、0.1乃至30%または、0.1乃至10%の内、最も好ましくは、0.1乃至10%である。
【0031】
前記接触によりヒアルロン酸は反応し、その結果、分子量が減少する。前記反応は刺激に対応して或る現象が起こること、または物質間で起こる化学的変化を意味する。
【0032】
本発明の製造方法は、前記反応終了後反応液からヒアルロン酸を収得する段階が追加できる。前記反応液からヒアルロン酸を収得する方法は、公知の分離及び精製方法であればどんな方法でも可能であり、通常的に活性炭などを除去するために遠心分離、濾過などを行うことができ、電気泳動及び各種カラムクロマトグラフィーなどを行うことができる。前記クロマトグラフィーはイオン交換クロマトグラフィー、ゲルー浸透クロマトグラフィー、HPLC、逆状−HPLC、親和性クロマトグラフィー及び限外濾過などの技法を単独または組み合わせで適用させてヒアルロン酸を収得することができる。
【0033】
本発明の方法はヒアルロン酸の分子量を減少させる効果がある。
【0034】
本発明の方法において、ヒアルロン酸と活性炭の比率は特に制限はされないが、好ましくは1:2乃至6である。
【0035】
本発明の方法において、ヒアルロン酸を活性炭に接触させる温度及び時間は特に制限はされず、活性炭と接触前にヒアルロン酸の分子量及び収得しようとするヒアルロン酸の分子量によって異なることもあって、好ましくは温度25℃乃至45℃でもあり、さらに好ましくは、35℃乃至45℃でもある。接触時間は好ましくは3時間乃至18時間であり、より好ましくは6時間乃至18時間でもある.
【0036】
活性炭の比率または接触させる温度が高いほど単位時間当りのヒアルロン酸の分子量減少量が高く、接触時間が長引くほど接触完了後製造されたヒアルロン酸の平均分子量が減少する。本発明の方法により製造されるヒアルロン酸の平均分子量は活性炭と接触前ヒアルロン酸の分子量、活性炭の比率、接触温度及び時間によって異なることもあるので特に制限はされず、例えば、本発明の方法により製造されるヒアルロン酸の平均分子量は、1万Da乃至300万Da、1万Da乃至10万Da、10万Da乃至50万Da、50万Da乃至100万Da、100万Da乃至200万Da、200万Da乃至300万Da、300万Da乃至400万Da、400万Da乃至500万Da、500万Da乃至600万Da、600万Da乃至700万Da、700万Da乃至800万Da、800万Da乃至900万Daである。本発明の方法により製造されるヒアルロン酸の平均分子量は好ましくは、1万Da乃至300万Daであり、より好ましくは、10万Da乃至200万Daでもある。
【0037】
本発明の方法は工程が簡単で、ヒアルロン酸の分子量減少率制御要素が活性炭の量、温度及び時間などの制御が極めて容易で、制御要素の変化によりヒアルロン酸の分子量減少率が比較的一定して変化することにより、一定の分子量を有するヒアルロン酸製造に極めて有用である。さらに、微生物培養によりヒアルロン酸を製造する場合、培養液に多量含有されているエンドトキシンも除去される効果がある。
【0038】
本発明の生産方法による場合、簡単な工程により特定分子量を有するヒアルロン酸を効率的に生産することができて、生産されるヒアルロン酸の分子量を活性炭の量、温度及び時間調節を通じて容易で安定的に調節することができる。
【0039】
一方、本発明はヒアルロン酸に活性炭を接触させる段階を含むヒアルロン酸の分子量減少方法を提供する。
【0040】
ヒアルロン酸が活性炭接触により分子量が減少することを本発明を通じて最初に公開されるのである。
【0041】
本発明の方法において、活性炭と接触するヒアルロン酸及びこれの分子量、活性炭及び活性炭の種類、ヒアルロン酸と活性炭との比率、接触方式、接触環境(溶媒、ヒアルロン酸の濃度など)、接触温度及び時間、接触効果、活性炭との接触結果分子量が減少されたヒアルロン酸の分子量及びその他の効果などに関する事項は前記生産方法に記載された通りである。
【0042】
このような本発明の特徴は本発明の実施例を通じて理解できる。
【0043】
本発明の一実施例ではストレプトコークス属ヒアルロン酸生産菌株を培養してヒアルロン酸を製造し、これを精製して多様な比率の活性炭を精製された培養液に分散させ、多様な温度条件で多様な時間のあいだ接触させ、ヒアルロン酸を回収してその分子量を測定した。
【0044】
25℃乃至45℃の条件で3時間乃至18時間接触させた結果、350万Daのヒアルロン酸で1万Daより300万Daまで多様な分子量のヒアルロン酸を製造できることを確認した。
【0045】
本発明の他の一実施例では、鷄冠から分離、精製されたヒアルロン酸を希釈して同一な実験を行いその結果を測定した。
【0046】
その結果、鷄冠から分離、精製されたヒアルロン酸を希釈して使用した場合にも、ヒアルロン酸生産菌株を利用した培養物を使用した場合と同じく分子量が減少されたヒアルロン酸を製造できることを確認した。
【0047】
これによって、本発明の方法はヒアルロン酸の生産方法または、ヒアルロン酸と活性炭の接触環境に関係なくヒアルロン酸の分子量を効率的に減少し得ることを確認した。
【0048】
本発明の一実施例では350万Daの平均分子量を有するヒアルロン酸を1t培養を通じて生産して反応温度45℃でヒアルロン酸重量の4倍の活性炭と4時間反応させ、平均分子量が200万Daのヒアルロン酸を製造した。
【0049】
本発明の他の実施例では前記実施例と同一な条件で反応時間をそれぞれ6,7または8時間にして、ヒアルロン酸を製造してその平均分子量を測定した。その結果、反応時間によって平均分子量が100万Da、50万Da及び10万Daのヒアルロン酸がそれぞれ製造されることを確認した。
【0050】
これで本発明の方法は活性炭の比率、温度、反応時間など多様な因子の調節を通じて製造されるヒアルロン酸の分子量を容易に調節することができ、本発明の生産方法は産業的に適用が容易な高品質の低分子ヒアルロン酸の製造方法であることを確認した。
【発明の効果】
【0051】
本発明に伴う高分子ヒアルロン酸の低分子化方法は、pH処理の条件や各種の反応触媒さらに、加熱などの複雑な追加処理条件を必要とする公知の方法に比べて工程が便利で投入された材料の除去のための再処理の不便がなく、同時に不純物を除去する効果まで奏するものであるため、簡便でかつ、経済的で高純度の低分子ヒアルロン酸を生産することができる。本発明に伴う低分子化方法は活性炭を利用した反応条件の変更によって、低分子ヒアルロン酸の分子量を多様に調節できる長所がある。本発明により生産されるヒアルロン酸はヒアルロン酸固有の特性を維持したまま医薬品規格に適合するよう製造することができ、さらに、化粧品や食品用にも使用される規格に適合するよう製造することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1はD-glucuronic acidとN-acetylglucosamineがβ-1,3とβ-1,4が結合するヒアルロン酸の繰返し単位を示す図。
【図2】図2は25℃で各種の活性炭の種類と、それぞれの濃度によってヒアルロン酸の分子量が多様に変わるのを示すグラフ(2X,4X,6X:ヒアルロン酸対比投与された活性炭の量、それぞれ2倍、4倍及び6倍を示す、CA1,CGSP,CASP,CN1,SX-PLUS,SX-ULTRA,DARCO KBB,DARCO A-51:使用された活性炭の種類、それぞれNorit(登録商標) CA1,Norit(登録商標) CGSP,Norit(登録商標) CASP,Norit(登録商標) CN1,Norit(登録商標) SX-PLUS,Norit(登録商標) SX-ULTRA,Norit(登録商標) DARCO KBB,Norit(登録商標) DARCO A-51を示す)。
【図3】図3は35℃で各種の活性炭の種類と、それぞれの濃度によってヒアルロン酸の分子量が多様に変わるのを示すグラフ(2X,4X,6X:ヒアルロン酸対比投与された活性炭の量、それぞれ2倍、4倍及び6倍を示すCA1,CGSP、CASP、CN1、S-51HF、SA-SUPER、SX-PLUS、SX-1G、SX-ULTRA、PAC-200C、DARCO KBB、DARCO A-51:使用された活性炭の種類、それぞれNorit(登録商標) CA1、Norit(登録商標) CGSP、Norit(登録商標) CASP、Norit(登録商標) CN1、Norit(登録商標) S-51HF、Norit(登録商標) SA-SUPER、Norit(登録商標) SX-PLUS、Norit(登録商標) SX-1G、Norit(登録商標) SX-ULTRA、Norit(登録商標) PAC-200C、Norit(登録商標) DARCO KBB、Norit(登録商標) DARCO A-51を示す)。
【図4】図4は45℃で各種の活性炭の種類と、それぞれの濃度によってヒアルロン酸の分子量が多様に変わるのを示すグラフ(2X,4X,6X:ヒアルロン酸対比投与された活性炭の量、それぞれ2倍、4倍及び6倍を示す、CA1、CGSP、CASP、CN1、S-51HF、SA-SUPER、SX-PLUS、SX-1G、SX-ULTRA、PAC-200C、DARCO KBB、DARCO A-51:使用された活性炭の種類、それぞれNorit(登録商標) CA1、Norit(登録商標) CGSP、Norit(登録商標) CASP、Norit(登録商標) CN1、Norit(登録商標) S-51HF、Norit(登録商標) SA-SUPER、Norit(登録商標) SX-PLUS、Norit(登録商標) SX-1G、Norit(登録商標) SX-ULTRA、Norit(登録商標) PAC-200C、Norit(登録商標) DARCO KBB、Norit(登録商標) DARCO A-51を示す)。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0054】
本発明で溶液内に存在するヒアルロン酸濃度はカバゾル方法(T. Bitter, Anal. Biochem.、1962, 4, 330-334)により確認した。ヒアルロン酸の平均分子量はゲル濾過クロマトグラフィー方法(Narlin B. Beaty et al, Anal. Biochem., 1985, 147, 387-395)で求めた。分析条件は下記の通りである。カラムはToyo Soda TSK gel G6000PWXLを使用し、移動相は150 mM NaCl、3 mM Na2HPO4 (pH 7.0)、0.02% NaN3であるDetectionは、a refractive index detector(Shodexを使用し、標準物質は、polyethylene oxide、2 mg/ml濃度で調剤して使用した。エンドトキシンはチャールスリバエンドセーフコリア社で販売するLAL reagentを使用して定量した。最大有効希釈倍数を越えない範囲で希釈倍数を3pointに定めて希釈した。陰性対照群よりエンドトキシンが検出されないことを確認し、positive product controlを通じて反応干渉因子がないことを確認した。
【0055】
以下の実施例では微生物から抽出した高分子ヒアルロン酸と、鷄冠から抽出して製造された高分子ヒアルロン酸をそれぞれ一定濃度に調節した後、低分子ヒアルロン酸に作る媒介体である活性炭と細部反応条件の変化に伴う低分子ヒアルロン酸の生産方法と、生成された低分子ヒアルロン酸の平均分子量変化に対してさらに詳細に説明する。
【0056】
ただ、下記の実施例等は本発明を例示するものであって本発明の範囲が実施例に限定されるものではない。
【0057】
実施例1
CA1活性炭を利用して低分子ヒアルロン酸を作る方法
本実施例では低分子ヒアルロン酸生産のための原料に、ストレプトコークス属ID9102(KCTC11395BP)を生産菌株にして培養して得た培養物から分離精製した調整物を利用し、原料に含まれたヒアルロン酸の平均分子量は350万Daでありエンドトキシンの濃度が0.5 EU/mgをはるかに上回る。
【0058】
先ず、培養条件は下記の通りである。
【0059】
ストレプトコークス属ID9102(KCTC11395BP)をヒアルロン酸生産菌株に採択して、グルコース40-100g/L、酵母エクス2-5g/L、ケゼインペプトン10-20g/L、硫酸マグネシウム0.5-1g/L、リン酸一水素カリウム1-5g/L、塩化ナトリウム2-10g/L、グルタミン酸0.1-1g/L、pH6.0-7.0、32-37℃、0.1-1vvmの好気条件で75L発酵槽で培養した。
【0060】
反応の基本的な条件は下記の通りである。
【0061】
限外濾過を通過して粗精製されたヒアルロン酸とNoritCA1(以下、CA1と称す、Norit社、オランダ、以下実施例に使用されたNoritが付せられた活性炭の製造社はNorit社を意味する)活性炭が適切な撹拌力と反応性を有するためには、ヒアルロン酸を2.5 gHA/Lの濃度に一括的に調整して1Lガラスビーカーに300mlずつ分注し、CA1活性炭はヒアルロン酸濃度対比2倍、4倍、6倍濃度でガラスビーカー内に投入後、テフロン(登録商標)材質のインペラー(直径5cm)を300rpm速度で回転させて一定の反応条件を維持し、反応終了時まで不純物の混入や反応液の蒸発などを最大限防ぐためにインペラーの回転部分を除いた残りの部分は蓋で覆い密封した。反応温度はそれぞれ25℃、35℃、45℃の条件で実施した。
【0062】
3時間、6時間、18時間反応後に各サンプル別に採取してエンドトキシン、ヒアルロン酸濃度、平均分子量を前記の分析法により分析して(表1)と同じ結果を得た。反応温度が増加するに従いCA1活性炭の分解能力が増加して、ヒアルロン酸が低分子化される速度が速くなることを確認することができた。25℃、CA1 2X条件で6時間に200万Daのヒアルロン酸を得ることができ、18時間かけて150万Da分子量を得た。25℃、CA1 4Xでは18時間に約100万Daの分子量を得て、CA1 6Xでは6時間に約100万Da、18時間に約50万Daの分子量に分解することができた。35℃の場合には25℃に比べて反応性が2Xずつ低い濃度で25℃と同じ水準の分子量分解能力を示した。35℃、6Xの場合には18時間に13万Daの分子量まで作ることを確認した。45℃の場合にも35℃に比べて反応性が2Xずつ低い濃度で同じ水準の分子量分解能力を示した。6Xの場合には1.5万Daの分子量まで作ることを確認した。全ての反応条件内でエンドトキシンが0.5 EU/mg以下であることが確認でき、反応温度の増加はエンドトキシンをより多く減らすのに効果的であることを確認した。さらに、ヒアルロン酸の濃度は全体の反応条件で92%以上の濃度は維持するものと確認されたので消失の恐れがないことを確認した。
【0063】
【表1】

【0064】
実施例2
CGSP活性炭を利用して低分子ヒアルロン酸を作る方法
実施例1で使用したヒアルロン酸試料と反応条件を同一に使用し、ただ、CA1活性炭の代わりにNorit(登録商標) CGSP(以下CGSPと称す)活性炭を加水分解物して媒介体に使用して低分子ヒアルロン酸生産能力を比較分析した。
【0065】
サンプル収去時間は3時間、6時間、18時間反応後に各サンプル別に採取してエンドトキシン、ヒアルロン酸濃度、平均分子量を前記の分析方法により分析して(表2)と同様な結果を得た。CA1活性炭と類似した反応温度が増加するにつれて、CGSP活性炭の分解能力が増加して低分子化される速度が速くなることを確認することができた。25℃、CGSP 4X条件で18時間かけて100万Daのヒアルロン酸を得ることができ、6Xの場合には18時間に50万Daのヒアルロン酸を得ることができた。35℃の場合には25℃に比べて反応性が2Xずつ低い濃度で同じ水準の分子量分解能力をしめした。特に、45℃の場合には6Xで1万Daの水準まで加水分解される結果を得た。この際、エンドトキシン濃度は0.5 EU/mg以内に減ることを確認し、CA1の結果のように反応温度の増加はエンドトキシンをより多く減らすのに効果的であることを確認した。さらに、ヒアルロン酸濃度は全体反応条件で少なくとも93%以上の濃度は維持するものと確認され、ヒアルロン酸の安定性とCGSP活性炭効果を確認した。
【0066】
【表2】

【0067】
実施例3
CGSP活性炭を利用して低分子ヒアルロン酸を作る方法
実施例1で使用した条件を同様に使用した。CA1活性炭の代わりにNorit(登録商標) CASP(以下CASPと称す)活性炭に代えて比較分析した。
【0068】
サンプル収去時間は3時間、6時間、18時間反応後に各サンプル別に採取してエンドトキシン、ヒアルロン酸濃度、平均分子量を前記の分析方法により分析して(表3)と同様な結果を得た。CA1、CGSP活性炭と類似した反応温度が増加するに従い、CASP活性炭または分解力が増加して低分子化される速度が速くなることを確認することができた。25℃、CASP 4X条件で18時間かけて100万Daのヒアルロン酸を得ることができ、35℃の場合には25℃に比べて反応性が2Xずつ低い濃度で同じ水準の分子量分解能力を示した。45℃の場合には加水分解能力が極めて高くなりCASP 2X条件で6時間に100万Da、18時間に50万Daのヒアルロン酸を得ることができ、CASP 4X場合には6時間に50万Da、18時間に約10万Daのヒアルロン酸を得ることができた。6Xの場合には加水分解力が優れて6時間に1.5万Da、18時間では1万Daの水準まで作れることが確認できた。エンドトキシン濃度は0.5 EU/mg以下で維持されることを確認してCA1、CGSPの結果と同じく反応温度の増加がエンドトキシンの減量にははるかに効果的であることを確認した。さらに、ヒアルロン酸の濃度はCASP全体の反応条件で少なくとも93%以上の濃度は維持することを確認した。
【0069】
【表3】

【0070】
実施例4
CN1活性炭を利用して低分子ヒアルロン酸を作る方法
実施例1で使用した条件を同じく使用した。CA1活性炭の代わりにNorit(登録商標) CN1(以下CN1と称す)活性炭に代えて比較分析した。
【0071】
サンプル収去時間は3時間、6時間、18時間反応後に各サンプル別に採取してエンドトキシン、ヒアルロン酸濃度、平均分子量を前記の分析方法により分析して(表4)と同じ結果を得た。反応温度増加に従いCN1活性炭または分解力が増加して低分子化される速度が速くなることを確認することができた。25℃、CN1 4X条件で18時間かけて100万Daのヒアルロン酸を得ることができ、35℃の場合には加水分解物能力が極めて高くなり、CN1 4Xの条件で6時間に100万Da、18時間に50万Daのヒアルロン酸を得ることができる。45℃の場合、CN12Xの条件で6時間に100万Da、4X CN1条件で6時間に約50万Daのヒアルロン酸を得ることができ、CN1 6Xの条件では18時間に1万Daのヒアルロン酸を得ることができた。エンドトキシン濃度は0.5 EU/mg以下で維持されることを確認し、前記の実験例の活性炭等の結果と同一に反応温度の増加がエンドトキシンの減量には、はるかに効果的であることを確認した。さらに、ヒアルロン酸の濃度はCN1全体の反応条件で少なくとも93%以上の濃度は維持することを確認した。
【0072】
【表4】

【0073】
実施例5
S-51HF活性炭を利用して低分子ヒアルロン酸を作る方法
<実施例1>で使用した条件を同じく使用した。CA1活性炭の代わりにNorit(登録商標) S-51HF(以下S-51HFと称す)活性炭に代えて比較分析した。
【0074】
サンプル収去時間は3時間、6時間、18時間反応後に各サンプル別に採取してエンドトキシン、ヒアルロン酸濃度、平均分子量を前記の分析方法により分析して(表5)と同様な結果を得た。反応温度増加に従いS-51HF活性炭または分解力が増加して低分子化される速度が速くなることを確認することができた。35℃ S-51HF 6X条件で6時間かけて100万Daのヒアルロン酸を得ることができた。45℃の場合、S-51HF 2Xの条件で6時間かけて100万Da、4X S-51HFの条件で6時間に約50万Daのヒアルロン酸を得ることができ、S-51HF 6Xの条件では18時間に1万Daのヒアルロン酸を得ることができた。エンドトキシン濃度は0.5 EU/mg以下で維持されることを確認し、前記の実験例の活性炭等の結果と同じく反応温度の増加がエンドトキシンの減量には、はるかに効果的であることを確認した。さらに、ヒアルロン酸の濃度はS-51HF全体の反応条件で少なくとも93%以上の濃度は維持することを確認した。
【0075】
【表5】

【0076】
実施例6
SA-SUPER活性炭を利用して低分子ヒアルロン酸を作る方法
実施例1で使用した条件を同じく使用した。CA1活性炭の代わりにNorit(登録商標) SA-SUPER(以下SA-SUPERと称す)活性炭に代えて比較分析した。
【0077】
サンプル収去時間は3時間、6時間、18時間反応後に各サンプル別に採取してエンドトキシン、ヒアルロン酸濃度、平均分子量を前記の分析方法により分析して(表6)と同様な結果を得た。35℃、SA-SUPER 2X、4X条件で18時間かけて100万Daのヒアルロン酸を得ることができた。45℃の場合、SA-SUPER 2Xの条件で18時間かけて50万Da、6X SA-SUPERの条件で18時間に約10万Daのヒアルロン酸を得ることができた。エンドトキシン濃度は0.5 EU/mg以下で維持されることを確認して前記の実験例の活性炭等の結果と同じく反応温度の増加が、エンドトキシンの減量にはるかに効果的であることを確認した。さらに、ヒアルロン酸の濃度はSA-SUPER全体の反応条件で少なくとも93%以上の濃度は維持することを確認した。
【0078】
【表6】

【0079】
実施例7
SX-PLUS活性炭を利用して低分子ヒアルロン酸を作る方法
実施例1で使用した条件を同じく使用した。CA1活性炭の代わりにNorit(登録商標) SX-PLUS(以下SX-PLUSと称す)活性炭に代えて比較分析した。
【0080】
サンプル収去時間は3時間、6時間、18時間反応後に各サンプル別に採取してエンドトキシン、ヒアルロン酸濃度、平均分子量を前記の分析方法により分析して(表7)と同様な結果を得た。25℃、SX-PLUS6Xの条件で18時間かけて約100万Daのヒアルロン酸を得ることができ、35℃の場合にはSX-PLUS2Xの条件で18時間かけて100万Daのヒアルロン酸を得ることができて、SX-PLUS4Xの条件で4Xで18時間に約50万Daのヒアルロン酸を得ることができた。45℃の場合SX-PLUS2Xの条件で6時間に100万Da、4X SX-PLUSの条件で6時間に約50万Daのヒアルロン酸を得ることができ、SX-PLUS6X条件では18時間に1万Daのヒアルロン酸を得ることができた。エンドトキシン濃度は0.5 EU/mg以下で維持されることを確認し、前記実験例の活性炭等の結果と同じく反応温度の増加が、エンドトキシンの減量にはるかに効果的であることを確認した。さらに、ヒアルロン酸の濃度はSX-PLUS全体の反応条件で少なくとも93%以上の濃度は維持することを確認した。
【0081】
【表7】

【0082】
実施例8
SX-1G活性炭を利用して低分子ヒアルロン酸を作る方法
実施例1で使用した条件を同じく使用した。CA1活性炭の代わりにNorit(登録商標) SX-1G(以下SX-1Gと称す)活性炭に代えて比較分析した。
【0083】
サンプル収去時間は3時間、6時間、18時間反応後に各サンプル別に採取してエンドトキシン、ヒアルロン酸濃度、平均分子量を前記の分析方法により分析して(表8)と同様な結果を得た。35℃、SX-1G 6Xの条件で6時間かけて約100万Da、18時間に約50万Daのヒアルロン酸を得ることができた。45℃の場合にはSX-1G 2Xの条件で18時間かけて約50万Da、6X SX-1Gの条件で18時間に1万Daのヒアルロン酸を得ることができた。エンドトキシンの濃度は0.5 EU/mg以下で維持されることを確認し、前記実験例の活性炭等の結果と同じく反応温度の増加がエンドトキシンの減量には、はるかに効果的であることを確認した。さらに、ヒアルロン酸の濃度はSX-1G全体の反応条件で少なくとも93%以上の濃度は維持することを確認した。
【0084】
【表8】

【0085】
実施例9
SX-ULTRA活性炭を利用して低分子ヒアルロン酸を作る方法
実施例1で使用した条件を同じく使用した。CA1活性炭の代わりにNorit(登録商標) SX-ULTRA(以下SX-ULTRAと称す)活性炭に代えて比較分析した。
【0086】
サンプル収去時間は3時間、6時間、18時間反応後に各サンプル別に採取してエンドトキシン、ヒアルロン酸濃度、平均分子量を前記の分析方法により分析して(表9)と同様な結果を得た。25℃、SX-ULTRA 4Xの条件で18時間かけて約100万Daのヒアルロン酸を得ることができ、35℃の場合にはSX-ULTRA 2Xの条件で18時間かけて約100万Daのヒアルロン酸を得ることができて、SX-ULTRA 4Xの条件で18時間かけて50万Daのヒアルロン酸を得ることができた。45℃の場合SX-ULTRA 2Xの条件で6時間かけて約100万Da、4X SX-ULTRA条件で6時間かけて約50万Daのヒアルロン酸を得ることができ、SX-ULTRA 6Xの条件では18時間かけて1万Daのヒアルロン酸を得ることができた。エンドトキシン濃度は0.5 EU/mg以下で維持されることを確認し、前記実験例の活性炭等の結果と同じく反応温度の増加がエンドトキシンの減量には、はるかに効果的であることを確認した。さらに、ヒアルロン酸の濃度はSX-ULTRA全体の反応条件で少なくとも93%以上の濃度は維持することを確認した。
【0087】
【表9】

【0088】
実施例10
PAC-200C活性炭を利用して低分子ヒアルロン酸を作る方法
実施例1で使用した条件を同じく使用した。CA1活性炭の代わりにNorit(登録商標) PAC-200C(以下PAC-200Cと称す)活性炭に代えて比較分析した。
【0089】
サンプル収去時間は3時間、6時間、18時間反応後に各サンプル別に採取してエンドトキシン、ヒアルロン酸濃度、平均分子量を前記の分析方法により分析して(表10)と同様な結果を得た。35℃、PAC-200C 6Xの条件で6時間かけて約100万Daのヒアルロン酸を得ることができた。45℃の場合PAC-200C 2Xの条件で18時間に50万Da、4X PAC-200Cの条件で6時間かけて約100万Daのヒアルロン酸を得ることができ、PAC-200C 6Xの条件では18時間かけて1万Daのヒアルロン酸を得ることができた。エンドトキシン濃度は0.5 EU/mg以下で維持されることを確認し、前記実験例の活性炭等の結果と同じく反応温度の増加がエンドトキシンの減量には、はるかに効果的であることを確認した。さらに、ヒアルロン酸の濃度はPAC-200C全体の反応条件で少なくとも93%以上の濃度は維持することを確認した。
【0090】
【表10】

【0091】
実施例11
DARCO KBB活性炭を利用して低分子ヒアルロン酸を作る方法
実施例1で使用した条件を同じく使用した。CA1活性炭の代わりにNorit(登録商標) DARCO KBB(以下DARCO KBBと称す)活性炭に代えて比較分析した。
【0092】
サンプル収去時間は3時間、6時間、18時間反応後に各サンプル別に採取してエンドトキシン、ヒアルロン酸濃度、平均分子量を前記の分析方法により分析して(表11)と同様な結果を得た。25℃、DARCO KBB 4Xの条件で18時間かけて100万Daのヒアルロン酸を得ることができ、35℃の場合には加水分解能力が極めて高く、DARCO KBB 2Xの条件で18時間かけて100万Da、4X条件では18時間かけて50万Daのヒアルロン酸を得ることができた。45℃の場合DARCO KBB 2Xの条件で18時間に50万Da、4X DARCO KBB 条件で6時間に約50万Daのヒアルロン酸を得ることができ、DARCO KBB 6Xの条件では18時間に1万Daのヒアルロン酸を得ることができた。エンドトキシン濃度は0.5 EU/mg以下で維持されることを確認し、前記実験例の活性炭等の結果と同じく反応温度の増加がエンドトキシンの減量には、はるかに効果的であることを確認した。さらに、ヒアルロン酸の濃度はDARCO KBB全体の反応条件で少なくとも92%以上の濃度は維持することを確認した。
【0093】
【表11】

【0094】
実施例12
DARCO A-51活性炭を利用して低分子ヒアルロン酸を作る方法
実施例1で使用した条件を同じく使用した。CA1活性炭の代わりにNorit(登録商標) DARCO A-51(以下DARCO A-51と称す)活性炭に代えて比較分析した。
【0095】
サンプル収去時間は3時間、6時間、18時間反応後に各サンプル別に採取してエンドトキシン、ヒアルロン酸濃度、平均分子量を前記の分析方法により分析して(表12)と同様な結果を得た。25℃、DARCO A-51 4Xの条件で18時間かけて100万Daのヒアルロン酸を得ることができ、35℃の場合には加水分解能力が極めて高く、DARCO A-51 6Xの条件で6時間かけて100万Da、18時間に10万Daのヒアルロン酸を得ることができた。45℃の場合DARCO A-51 2Xの条件で18時間に50万Da、4X DARCO A-51の条件で6時間で約50万Daのヒアルロン酸を得ることができ、DARCO A-51 6Xの条件では18時間に1万Daのヒアルロン酸を得ることができた。エンドトキシン濃度は0.5 EU/mg以下で維持されることを確認し、前記実験例の活性炭等の結果と同じく反応温度の増加がエンドトキシンの減量には、はるかに効果的であることを確認した。さらに、ヒアルロン酸の濃度はDARCO A-51全体の反応条件で少なくとも93%以上の濃度は維持することを確認した。
【0096】
【表12】

【0097】
実施例13
鷄冠由来の低分子ヒアルロン酸を作る方法
本実施例で使用した高分子ヒアルロン酸原料は鷄冠から抽出精製したヒアルロン酸を使用して平均分子量は350万Daである。
【0098】
試験の一例としてCA1活性炭を分子量調節剤に選択して鷄冠由来のヒアルロン酸の結果と、微生物由来のヒアルロン酸の既存結果を比較するためであって具体的な方法は下記の通りである。
【0099】
鷄冠由来のヒアルロン酸原料を2.5 gHA/L濃度で調剤して、1Lのガラスビーカーに300 mlずつ分注してCA1活性炭はヒアルロン酸濃度対比2倍、4倍、6倍の濃度で投与してテフロン(登録商標)材質のインペラー(直径5cm)で300rpm速度で混合し、反応期間中不純物の混入や反応液の蒸発などを最大限防止するために、インペラーの回転部分を除いた残りの部分は密封処理した。反応温度は25℃の条件で実施した。
【0100】
対照群には実施例1のCA1結果を引用して鷄冠由来のヒアルロン酸の反応結果を比較し、サンプル収去時間は3時間、6時間、18時間反応後に各サンプル別に反応試料を採取して、変化を分析し、(表13)に鷄冠由来のヒアルロン酸平均分子量の変化を表記した。
【0101】
前記実施例1の微生物由来のヒアルロン酸反応と同じく鷄冠由来ヒアルロン酸もCA1活性炭により分解される反応が表われることを確認し、これは微生物由来の原料や鷄冠由来の原料は低分子に作る製造過程で特別な差がないことを意味する。
【0102】
【表13】

【0103】
実施例14
産業工程で平均分子量 200万Daのヒアルロン酸を作る方法
1tonの発酵槽でストレプトコークス属ID9102(KCTC11395BP)を<実施例1>と同じ培養培地条件で培養して500Lの培養物を得た。この培養物を分離精製して組成物500Lを製造した。ヒアルロン酸の平均分子量は350万Daであり、ヒアルロン酸の濃度は5g/Lであって、エンドトキシン濃度は5.0 EU/mgをはるかに上回る。
【0104】
活性炭を分子量調節剤に選択し、活性炭はヒアルロン酸の4倍を投与した。低分子化反応はテフロン(登録商標)でコーティングされた500Lの反応槽で進行され、反応温度は45℃である。反応4時間で吸着剤を除去して反応を終了させた。反応終了後培養物のヒアルロン酸濃度、エンドトキシン濃度及びヒアルロン酸の平均分子量を測定した。
【0105】
測定結果、ヒアルロン酸の平均分子量は200万Daで、ヒアルロン酸の濃度は5g/Lであって、エンドトキシンの濃度は0.005 EU/mg以下であることを確認した。
【0106】
低分子化されたヒアルロン酸の濾液を沈殿及び乾燥を通じて2kgの平均分子量200万Daのヒアルロン酸を製造した。
【0107】
実施例15
産業工程で平均分子量 100万Daのヒアルロン酸を作る方法
実施例14と同じ条件でヒアルロン酸組成物500Lを製造した。ヒアルロン酸の平均分子量は350万Daで、ヒアルロン酸の濃度は5g/L、エンドトキシン濃度は5.0 EU/mgをはるかに上回る。
【0108】
活性炭の反応条件は実施例14と同じく、反応時間は6時間にした。6時間経過後吸着剤を除去して反応を終了させた。反応終了後反応物のヒアルロン酸濃度、エンドトキシン濃度及びヒアルロン酸の平均分子量を測定した。
【0109】
測定結果、ヒアルロン酸の平均分子量は100万Daで、ヒアルロン酸の濃度は5g/L、エンドトキシン濃度は0.005 EU/mgであることを確認した。
【0110】
低分子化されたヒアルロン酸の濾液を沈殿及び乾燥を通じて2kgの平均分子量100万Daのヒアルロン酸を製造した。

【0111】
実施例16
産業工程で平均分子量50万Daのヒアルロン酸を作る方法
実施例14と同じ条件でヒアルロン酸組成物500Lを製造した。ヒアルロン酸の平均分子量は350万Daで、ヒアルロン酸の濃度は5g/L、エンドトキシン濃度は5.0 EU/mgをはるかに上回る。
【0112】
活性炭反応条件は実施例14と同じく、反応時間は7時間にした。7時間経過後吸着剤を除去して反応を終了させた。反応終了後反応物のヒアルロン酸濃度、エンドトキシン濃度及びヒアルロン酸の平均分子量を測定した。
【0113】
測定結果、ヒアルロン酸の平均分子量は50万Daで、ヒアルロン酸の濃度は5g/L、エンドトキシン濃度は0.005 EU/mg以下であることを確認した。
【0114】
低分子化されたヒアルロン酸の濾液を沈殿及び乾燥を通じて2kgの平均分子量50万Daのヒアルロン酸を製造した。
【0115】
実施例17
産業工程で平均分子量10万Daのヒアルロン酸を作る方法
実施例14と同じ条件でヒアルロン酸組成物500Lを製造した。ヒアルロン酸の平均分子量は350万Daで、ヒアルロン酸の濃度は5g/L、エンドトキシン濃度は5.0 EU/mgをはるかに上回る。
【0116】
活性炭反応条件は実施例14と同じく、反応時間は8時間にした。8時間経過後吸着剤を除去して反応を終了させた。反応終了後反応物のヒアルロン酸濃度、エンドトキシン濃度及びヒアルロン酸の平均分子量を測定した。
【0117】
測定結果、ヒアルロン酸の平均分子量は10万Daで、ヒアルロン酸の濃度は5g/L、エンドトキシン濃度は0.005 EU/mg以下であることを確認した。
【0118】
低分子化されたヒアルロン酸の濾液を沈殿及び乾燥を通じて2kgの平均分子量10万Daのヒアルロン酸を製造した。
【0119】
<実施例14>乃至<実施例17>を通じて産業工程で産業的に適用しやすい高品質の低分子ヒアルロン酸生産方法を開発した。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明に伴う高分子ヒアルロン酸の低分子化方法はpHの処理条件や、各種反応触媒、さらに、加熱などの複雑な追加処理条件を必要とする公知の方法に比べて工程が便利で、投入された材料の除去のための再処理の不便がなく、かえって不純物を除去する効果まで奏するものであるので簡便で、かつ経済的で、高純度の低分子ヒアルロン酸を生産することができる。本発明に伴う低分子化方法は活性炭を利用した反応条件の変更により,低分子ヒアルロン酸の分子量を多様に調節できる長所がある。本発明により生産される低分子ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸固有の特性は維持したまま医薬品規格に適合するように製造することができ、さらに、化粧品や食品用にも使用される規格に適合するように製造することができて産業上利用可能性が大きい。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒアルロン酸に活性炭を接触させる段階を含む低分子量のヒアルロン酸の製造方法。
【請求項2】
前記ヒアルロン酸と活性炭の比率は1:2乃至6であることを特徴とする第1項記載の方法。
【請求項3】
前記ヒアルロン酸に活性炭を接触させる温度は25℃乃至45℃で、前記ヒアルロン酸に活性炭を接触させる時間は3時間乃至18時間であることを特徴とする第1項記載の方法。
【請求項4】
ヒアルロン酸に活性炭を接触させる段階を含むヒアルロン酸分子量減少方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−504679(P2013−504679A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529671(P2012−529671)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/KR2010/006312
【国際公開番号】WO2011/034341
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(511301913)イルドン ファーム カンパニー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】