説明

低分子量有機分子の小球状粒子ならびにその調製方法および使用方法

本発明は、低分子量有機分子の均質な小球状粒子を提供し、この小球状粒子は、均一な形状、狭いサイズ分布および0.01〜200μmの平均直径を有する。本発明は、さらに、この小球状粒子の調製方法および使用方法を提供する。これらの小球状粒子は、均一なサイズおよび良好な空気力学的特性または流動特性を有するミクロンサイズまたはナノサイズの粒子の送達を必要とする用途に適している。これらの小球状分子から恩恵を受け得る送達経路には、肺投与、静脈内投与、および他の投与手段がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、仮出願番号第60/489,292号(2003年7月22日出願)、仮出願番号第60/540,594号(2004年1月30日出願)および仮出願番号第60/576,918号(2004年6月4日出願)に基づく優先権を主張し、これらの仮出願の各々は、その全体が本明細書中で参考として援用され、本明細書の一部分とされる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、低分子量活性薬剤の均質な小球状粒子に関する。これらの小球状粒子は、本発明の1つの好ましい形態では、実質的に均一な球形状、0.01〜200μmの平均直径、および狭いサイズ分布を特徴とする。これらの小球状粒子は、例えば、均一なサイズならびに良好な空気力学特性および流動特性を備えたミクロンサイズまたはナノサイズの粒子の送達を必要とする用途のために、潜在的に有利である。これらの小球状粒子から利益を受け得る送達経路には、肺投与、静脈内投与、および他の投与手段がある。
【背景技術】
【0003】
(連邦政府の後援による研究または開発)
適用されない。
【0004】
(発明の背景)
(背景技術)
治療効果または診断効果のために処方される、水溶液に難溶性の化合物の数は増加している。このような薬物は、種々の投与経路により送達するための課題を提供する。水に不溶の化合物は、粒子の安定な懸濁液として処方される場合、有意な利益を有し得る。粒径の制御は、これらの処方物の安全で有効な使用のために必須である。粒子は、塞栓を引き起こすことなく毛細血管を安全に通るために、直径が7ミクロン未満でなければならない(Allenら、1987;DavisおよびTaube、1978;Schroederら、1978;Yokelら、1981)。この問題に対する1つの解決策は、上記不溶薬物候補の小粒子の製造および小粒子懸濁液の作製である。このようにして、以前は不安定で水溶液ベースの系で処方できなかった薬物が、静脈内投与に適するようにされ得る。静脈内投与に適した粒子は、<7μmの粒径、低毒性(毒性の処方物成分または残存溶媒に由来する)、低賦形剤含量、およびその粒子形態に加工された後の、この活性薬剤のバイオアベイラビリティーの維持を有する。本発明は、より高い溶解速度を有する結晶形態(多形)を導き得る。それはまた、高い表面積/体積比を有し、それ故により高い溶解速度を有し得る粒子をもたらし得る。水不溶性薬物の小粒子の調製はまた、経口投与、肺投与、局所投与、眼(ophthalmic)投与、鼻投与、口腔投与、直腸投与、膣投与、経皮投与、眼(ocular)投与、眼内投与、耳投与、または他の投与経路に適切であり得る。
【0005】
低分子量疎水性薬剤の溶解性を高めることに向けた現在のアプローチは、主として微粉化技術を用いて処方される粒子の表面積を拡大することに焦点を当てており、これは、粒子の平均粒径を小さくすることにより、表面積/体積比を大きく高める。
【0006】
微粉化された粒子の凝集は、液体処方物および粉体処方物の両方に対するこの技術の周知の限界である。
【0007】
肺投与経路による薬物の非侵襲性送達は、呼吸器疾患および他の疾患の処置において重要な役割を有する。肺経路は、いくつかの歴然とした利点を有し、それらの中でも、初回通過代謝(first pass metabolism)の回避および胃腸管における分解の回避、および輸送のために利用可能な大きい表面積を有する高密度の毛細血管への接近が挙げられる。この大きい表面積は、経口投与経路と比較した場合、迅速な全身吸収を提供する。
【0008】
他の送達経路と比較すると、肺送達は、高レベルの患者のコンプライアンスを提供する。それは、一般に、移植可能投与経路および注射可能投与経路よりも優れると見なされており、鼻経路、経皮経路、および経粘膜経路に匹敵する。患者のコンプライアンスを向上するための努力の中で、注射可能形態でのみ利用可能であったより新しい薬物およびより以前の薬物の肺用処方物が、重篤な疾患(例えば、真性糖尿病)の処置のために開発されつつある。
【0009】
肺送達はまた、呼吸器疾患(例えば、喘息、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)および気腫)に対して、疾患部位へのその薬物の部位特異的送達を提供する。部位特異的送達は、その薬物の最も有効な使用を可能にし、その薬物のバイオアベイラビリティーが限られている場合には、特に望ましい。疾患部位への薬物の直接送達は、毒性を潜在的に低減し得る。なぜなら、その薬物の最高濃度が、体全体に分配されるのではなく、その標的に到達するからである。
【0010】
これらの独特な特性に起因して、肺経路は、全身薬物送達および局所薬物送達の両方に対して適切であり、タンパク質およびペプチドの送達を付与する経路である。近年、以前は注射可能物としてのみ利用可能であった薬物(例えば、インスリンおよびヒト成長ホルモン(hGH))が、肺送達のために固体製剤で処方されており、そして現在、臨床試験の進んだ段階にある。
【0011】
開発された最初の肺用薬物は、喘息および鼻炎のような疾患の処置のための低分子ベースの治療であった。天然のコルチゾールに類似の構造を有するコルチコステロイドが、強力な抗炎症性作用を有することが見出された。コルチコステロイド(例えば、プロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、およびプロピオン酸フルチカゾンなど)の肺用処方物が開発され、肺の炎症に関連する呼吸器疾患の治療のための普及した形態になった。
【0012】
薬学的研究における進歩は、肺経路により疾患を処置するための現存する薬物の新しい処方物の開発につながった。例えば、嚢胞性線維症の処置のためのTOBI(登録商標)(Chiron Corporation,Emeryville,CA)肺用トブラマイシン溶液が、肺の感染部位に直接送達され得る、保存剤を含まないネブライザ用製剤として開発された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
有機低分子(例えば、ステロイドおよびβ−アゴニスト)の肺への送達は、1950年代の最初の加圧式定量噴霧式吸入器の発明以来、実施されてきたが、多くの労力が新しい治療剤の発見および新規な吸入器デバイスの開発に向けられている。歴史的には、最適の空気力学的特性を備えた処方物の開発には、ほとんど焦点が当てられて来ず;それ故に、現在の処方物は、いくつかの欠点を抱えおり、その欠点としては、広い粒径分布を有する粒子、必要とされる粒径よりも大きいかまたは小さい平均粒径、および凝集した粒子が挙げられる。正確に所望の範囲にある粒径を有し、かつ狭い粒径分布を有する低分子の組成物の開発が非常に望ましい。
【0014】
肺用処方物は、特定の型の吸入器デバイスにより、送達される。最も普及したデバイスは、加圧式定量噴霧式吸入器(MDI)、ドライパウダー末吸入器(DPI)、およびネブライザー(US Food and Drug Administration,Center for Drug Evaluation and Research,1998)である。MDIは、噴霧剤(例えば、CFCまたはHFA)を利用して、上記薬物の溶液または懸濁液を送達するために使用され得る。MDIおよびDPIの活性化は、多くの場合、患者の運動神経の熟練および呼吸制御(respiratory coordination)を必要とし、これらは上記送達の効果を減少させ得る。DPIは、上記薬物の乾燥粉末を送達するために使用され得、そしてネブライザーは、通常、上記薬物の水性エアロゾル形態を送達する。ネブライザーは、一般に、その操作において、患者の吸入の労力をそれほど必要としない。ネブライザーは、大きくなりがちであり、そして主に、呼吸流量が限られている子供または高齢者により使用される。これらの人的因子と、最適化されていない処方物との組合せで、低い割合の送達された用量のみが、肺の標的領域に送達される。この投薬のほとんどは、代表的には、喉に、そして口に留められ、所望の位置が、上部気道であろうが、深部気道であろうが、そこには到達しない。
【0015】
肺におけるサルブタモールの沈着の放射性ラベル標識化研究において、Melhorら(1993)は、MDIについて20〜21%の沈着、そしてDPIについてわずか12%の沈着を報告した。このことは、慢性的に与えられる薬物に対しては、とりわけ望ましいことではない。なぜなら、大量のその薬物が、標的でない領域、主に口腔咽頭部に連続的に沈着されるからである。高い口腔咽頭部の沈着は、有害な局所的な効果(例えば、鵞口瘡またはガンジダ症)を及ぼし得る。コルチコステロイドの慢性的な使用から生じる有害な効果の危険性は、用量依存性であるので、送達される用量の減少は、副作用の危険を低下させると予測される(Correnら、2003)。所望のサイズ範囲および狭い粒径分布の粒子を有する薬物の乾燥粉末は、減少した投与量をもたらし得る。なぜなら、目的部位に到達する薬物の部分が増加し、それゆえに投与される用量を最小化し得るからである。このことは、フルチカゾン、ブデソニド、およびベルコメタゾンについて、Correnらにより実証されている(前出)。
【0016】
従来の肺用処方物は、代表的にはいくつかの段階を有する製薬のcGMP製造プロセスの直接の結果である。多くの製薬プロセスの最終段階のうちの1つは、結晶化であり、この結晶化は、精製段階として、そして溶液から固体を沈殿させる方法としての機能をを果たす。現在の結晶化技術は、種々の形状およびサイズを有する粒子を導き、得られる粉末のほとんどは、肺送達のために必要とされる粒子よりもずっと大きい粒子を有する。さらに、多くの活性な薬学的薬剤は、限られた溶解性およびそれゆえの限られたバイオアベイラビリティーを有する疎水性薬剤である。粒径の低下は、溶解に必要とされるエネルギー障壁を低下させる。このようにして、粒子サイズは、低下され得、そしてこのことが多くの場合、結晶化の間または結晶化後に物理的粉砕工程または微粉化工程を追加することにより達成される。
【0017】
例えば、Midlerらに対する米国特許第5,314,506号は、結晶化段階の前に、衝突噴射工程(impinging jet step)の追加により粒径を小さくするための方法を開示する。
【0018】
貧溶媒系を用いる溶液からの沈殿は、最も一般的な結晶化方法の1つである(Weyら、2001)。この型の結晶化システムでは、溶質は、その溶質が相対的に不溶である2次溶媒(貧溶媒)の添加により、1次溶媒から結晶化する。溶媒中の溶質の溶液(それは、多くの場合、飽和しているかまたは飽和に近い状態にある)が、最初に形成される。次いで、この1次溶媒と混和可能である貧溶媒が添加される。この貧溶媒は、上記溶質がこの貧溶媒に比較的不溶であるように、選択される。この貧溶媒が上記溶液に添加されると、上記溶質は、上記溶媒に比べるとこの二成分混合物への上記溶質の溶解性が低下することに起因して、この二成分混合物から沈殿する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の要旨)
本明細書中に記載される小球状粒子は、均一なサイズ(好ましくは0.1〜4ミクロンの範囲にある)を有し、そして実質的に均一な球形状を有する。これらの粒子は、より高い表面積/体積比、従来の微粉化粒子に比べて低下した凝集しようとする傾向、および均一な空気力学的形状を有する。処方された化合物の表面積の増加は、その薬物の溶解速度を高め得る。
【0020】
低分子量薬剤を含む均質な小球状粒子を調製するための方法が、さらに本明細書中に開示される。これらの方法は、いくつかの利点を提供し、その利点としては、低加工温度、狭いサイズ分布を有する、所望のサイズ範囲の小球状粒子の形成、およびバッチ毎の均一性が挙げられる。これらの方法は、従来の微粉化技術と比べると、高収量をもたらし、出発物質の実質的にすべてを所望のサイズ範囲で回収することを提供する。これらの方法は、大きすぎるサイズの粒子を除くための、別個の時間のかかる篩い分けの工程を必要としない。
【0021】
上記小球状粒子は、実質的に同じサイズおよび形状を有するので、バッチ毎の均一性が達成され得る。さらに、これらのプロセスは、従来のプロセスと比較した場合、製造時間および製造コストを有意に減少させ得る。本明細書中に記載される小球状粒子は、例えば、肺への標的化送達に特に適している。肺送達のために、この粒子は、一般的に、処置の標的とされる肺の領域(すなわち、肺深部、肺全体など)に依存して、5μm以下のMMADを有するべきである。上記小球状粒子は、肺の特定の領域に沈着するのに適したサイズ範囲で形成され得る。肺気道の疾患(例えば、喘息、COPD、気腫および他の疾患)は、その疾患により影響される肺の領域により特徴付けられ得る。喘息は、気道中心および肺の末梢の炎症を伴う、肺全体の疾患と考えられる(Correnら、2003)。肺末梢に到達するために、薬物の空気力学的粒子サイズは、0.5〜3.0ミクロンであるべきであることが公知である(Brown、2002)。このことは、薬物の肺胞への標的化送達を可能にする。さらに、肺を介しての全身への送達は、一般に、薬物が肺の末梢(すなわち、肺胞)に送達されることを必要とする。本明細書中に記載される小球状粒子は、疾患部位での有効な沈着を可能にするサイズ範囲で生成され得、そしてそれらの粒子は、実質的に同じサイズを有するので、所望の肺位置へ医薬品が高い効率で送達され得る。
【0022】
本発明のこれらおよび他の局面ならびに特性は、以下の図面および添付の明細書を参照して説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、多くの異なる形態の実施形態を有するが、その一方で図面に示され、かつ本明細書中で詳細に記載される趣旨は、本発明の特定の実施形態を有し、同時に本開示は、本発明の原理の例示と考えられるべきであり、本発明を示される特定の実施形態に限定する意図はないと理解されるべきである。
【0024】
(粒子)
本発明の小球状粒子は、動的光散乱法(例えば、光相関分光法(photocorrelation spectroscopy)、レーザー回折、低角度レーザー光散乱(LALLS)、中角度レーザー光散乱(MALLS)、または光オブスキュレーション(light obscuration)法(例えば、Coulter法)あるいは他の方法(例えば、レオロジー)または顕微鏡観察(光または電子)により測定される場合、好ましくは、約0.01μm〜約200μm、より好ましくは約0.1μm〜約10μm、そして最も好ましくは約0.1μm〜約4μmの平均粒径を有する。肺送達のための粒子は、TSI Corporation AerosizerまたはAndersen Cascade Impactorによる飛行時間測定により決定される空気力学的粒径を有する。
【0025】
上記小球状粒子は、実質的に球状である。実質的に球状とは、粒子断面の直交する軸にわたる長さの比が0.5〜2.0、より好ましくは0.8〜1.2、そして最も好ましくは0.9〜1.1であることを意味する。
【0026】
表面接触は、粒子の望ましくない凝集を最小にする実質的に球状の粒子間(between)および粒子の中(among)で最小にされる。小面を有する形状および薄片は、隣接する粒子との間の大きな接触領域のための機会を提示する平らな表面を有する。相対的に大きい粒子および相対的に小さい粒子の両方が存在する、広いサイズ分布を有する粒子に対して、より小さい粒子は、そのより大きい粒子の間の隙間を埋め得、それによって新しい接触表面を作製し得る。
【0027】
代表的には、本発明におけるプロセスにより作製される小球状粒子は、実質的に非多孔性であり、そして0.50/cmより大きい密度、より好ましくは0.750/cmより大きい密度、そして最も好ましくは約0.85/cmより大きい密度を有する。密度に対する好ましい範囲は、約0.50〜約2.00g/cm、そしてより好ましくは約0.75〜約1.750g/cm、そしてさらにより好ましくは約0.85〜約1.50g/cmである。これは、スプレードライ法により製造される肺用の、低密度粒子(代表的には約0.4g/cmで製造される)とは対照的である。より高い密度の粒子は、低密度粒子に比べて、より多い量の活性薬剤が患者に送達されることを可能にする。それは、あまり強力でない薬物(これによって、より多くの量の薬物が送達され得る)に対して、または慢性的に与えられる薬物(投薬量の減少は、有害な効果を低減し得、そして患者のコンプライアンスを高め得る)に対しては特に望ましい特徴である。
【0028】
上記小球状粒子は、滑らかな表面プロフィールまたは織物様の表面プロフィールを有し得る。滑らかな表面プロフィールは、全体的に滑らかであり、これは粒子の表面上の任意の点からその粒子の中心までの距離が同じ距離であることを意味する。織物様の表面プロフィールは、その粒子の直径全体よりもはるかに小さい寸法を有する表面変化をいうことが意図される。この織物様の表面は、規則的に間隔を開けた隆起もしくは不規則的に間隔を開けた隆起、または粒子表面のぎざぎざ、経線方向もしくは緯度方向に延びる線もしくは溝もしくは亀裂あるいは他の表面崩壊を含む多くの形態、あるいは薬物表面に生じ得る表面不規則性の他の形態または組合せを取り得る。粒子表面のざらつきは、その表面の単独部分の上または粒子の複数の部分の上、あるいはその粒子の実質的に表面全体にわたって位置し得る。
【0029】
上記小球状粒子の球形状は、それらの均一なサイズと合わせて、その粒子が均一なサイズの球である独特の組成物を提供し、そして球は、定義により、最少量の表面接触を有する物理的形態である。表面接触領域に沿っての粒子間の相互作用(例えば、静電気的、van der Waalsおよびその他)は、隣接する粒子間の距離に大きく依存する。従って、粒子間の接触領域の減少は、粒子間引力を低下させ、凝集に対する有意に低下した傾向を有する粒子を導き得る。上記小球状粒子間の低下した粒子間引力は、改善された流動性を有する粉末をもたらし得、そして懸濁液における場合、凝集に対する低下した傾向を示す。微粉化薬物の従来の粉末に比べて、本明細書中に開示される少球状粒子は、凝集(agglomerate)、沈降、または凝集(flocculate)する低下した傾向を示す有する。
【0030】
上記粒子はまた、好ましくは、実質的に同じ粒径を有する。相対的に大きい粒子および相対的に小さい粒子の両方が存在する、広いサイズ分布を有する粒子は、より小さい粒子がより大きい粒子の間の隙間を満たすことを可能にし、それによって新しい接触表面を作製する。広いサイズ分布は、凝集を結合するための多くの接触の機会の作成をもたらし得る。本発明は、狭いサイズ分布を有する球状粒子を作製し、それによって接触凝集のための機会を最小にする。狭いサイズ分布が意味することは、好ましい粒径分布が、5以下の、上記小球状粒子の百分位数10の直径に対する上記小球状粒子の百分位数90の直径の比を有することである。より好ましくは、粒径分布は、3以下の、上記小球状粒子の百分位数10の直径に対する上記小球状粒子の百分位数90の直径の比を有する。最も好ましくは、粒径分布は、2以下の、上記小球状粒子の百分位数10の直径に対する上記小球状粒子の百分位数90の直径の比を有する。
【0031】
幾何学的標準偏差(Geometric Standard Deviation)(GSD)がまた、狭いサイズ分布を示すために使用され得る。GSD計算は、15.9%および84.1%の百分率未満の累積質量での有効カットオフ直径(effective cutoff diameter)(ECD)の決定を包含する。GSDは、15.9%未満のECD累積質量に対する84.17%未満のECD累積質量の比の平方根に等しい。GSDが2.5未満、より好ましくは1.8未満の場合、GSDは、狭いサイズ分布を有する。
【0032】
この小球状粒子は、好ましくは、ほぼ100%の活性薬剤、またはいずれの賦形剤をも実質的に含まない活性薬剤の組合せもしくはブレンドである。「賦形剤を実質的に含まない」が意味することは、活性薬剤(単数または複数)が、水を除いて、この小球状粒子の約70重量%〜100重量%未満で存在することである。より好ましくは、活性薬剤は、この小球状粒子の約90重量%より多く、そして最も好ましくは、この小球状粒子は、95重量%以上の活性薬剤を有する。これらの範囲、および本明細書中で列挙されるすべての他の範囲は、その範囲の中の任意の範囲、部分範囲、またはその範囲中の範囲の組合せを含む。
【0033】
いくつかの例では、上記粒子が任意の充填剤または他の界面活性剤を含有することが望ましいが、ただし、これらの添加剤が、実質的に上記薬剤の効果を与えない限りにおいてである。充填剤としては、糖質、二糖、多糖および炭水化物が挙げられ得る。
【0034】
この小球状粒子は、結晶性、半結晶性、または非結晶性であり得る。
【0035】
(活性薬剤)
本発明の活性薬剤は、低分子量有機物質である。低分子量物質は、約1,500ダルトン以下の分子量を有する物質である。上に示されたように、この粒子は、単一の活性薬剤または1つより多い活性薬剤を有し得る。
【0036】
この活性薬剤は、疎水性であっても親水性であってもよい。好ましい実施形態では、この活性薬剤は、ほとんど水に溶解しない化合物である。ほとんど水に溶解しないが意味することは、この活性薬剤が、10mg/mL未満、好ましくは1mg/mL未満の水に対する溶解度を有することである。
【0037】
本発明の活性薬剤は、好ましくは、薬学的活性薬剤であり、この薬学的活性薬剤は、治療剤、診断剤、化粧品、栄養補助剤、または殺虫剤であり得る。
【0038】
本発明に適した活性薬剤の例としては、ステロイド、β−アゴニスト、抗菌剤、抗真菌剤、タキサン(抗有糸分裂剤および抗微小管剤)、アミノ酸、脂肪族化合物、芳香族化合物および尿素化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
好ましい実施形態では、この活性薬剤は、肺障害の処置のための治療剤である。このような化合物の例としては、ステロイド化合物、β−アゴニスト化合物、抗真菌剤化合物、および抗菌剤化合物が挙げられる。ステロイドの例としては、ベルコメタゾン(プロピオン酸ベルコメタゾンを含む)、フルチカゾン(プロピオン酸フルチカゾンを含む)、ブデソニド、エストラジオール、フルドロコルチゾン、フルシノニド、トリアムシノロン(トリアムシノロンアセトニドを含む)、およびフルニソリドが挙げられるがこれらに限定されない。β−アゴニストの例としては、サルメテロール、キシナフォエート、フマル酸フォルモテロール、レボアルブテロール、バンブテロールおよびツロブテロールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0040】
抗真菌剤の例としては、イトラコナゾール、フルコナゾール、およびアンホテリシンBが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
例えば、ステロイドおよびβ−アゴニスト(例えば、プロピオン酸フルチカゾンおよびサルメテロール、ブデソニドおよびフォルメテロール、など)を含む、活性剤の多くの組合せが所望され得る。
【0042】
これらの化合物の薬学的に受容可能な塩、エステル、水和物および溶媒和物もまた、含まれる。小有機分子の結晶(crystalline)、結晶性多形または擬多形もまた、上記化合物中に含まれる。
【0043】
本発明は、さらに、上記薬剤の溶解速度を最適化するために、薬剤の結晶構造を変えて所望のサイズ範囲およびまた所望の結晶構造の両方を有する薬剤を製造するためのさらなる工程を提供する。結晶構造という用語により意味することは、結晶格子内での分子の配置である。異なる結晶構造に結晶化され得る化合物は、多形であると言われる。同一の薬物の異なる多形性が溶解速度、治療活性、バイオアベイラビリティーおよび懸濁液の安定性における差異を示し得るので、多形の同定は、薬物処方において重要な工程である。従って、バッチ毎の再現性のために上記化合物の多形形態の一貫性を保証することが重要である。
【0044】
上記粒子の別の形態では、上記粒子は、上記薬剤の放出速度を変化させるための薬剤または処置のために特定の部位への上記薬剤の標的化を提供するための薬剤を含有し得る。
【0045】
肺障害の例としては、アレルギー性鼻炎、気管支炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、感染性疾患、嚢胞性線維症(CF)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
(任意の賦形剤)
本発明のシステムは、1以上の賦形剤を含み得る。上記賦形剤は、付加的特徴(例えば、上記粒子もしくは活性薬剤またはキャリア剤の安定性の増加、上記粒子からの上記活性薬剤の放出の制御あるいは生物組織を通した上記活性薬剤の改変された浸透)を有する活性薬剤または粒子を提供し得る。適切な賦形剤としては、炭水化物(例えば、トレハロース、スクロース、マンニトール)、カチオン(例えばZn2+、Mg2+、Ca2+)、アニオン(例えば,SO2−)、アミノ酸(例えば、グリシン)、脂質、リン脂質、脂肪酸、界面活性剤、トリグリセリド、胆汁酸またはそれらの塩(例えば、コレートもしくはその塩(例えば、コール酸ナトリウム);デオキシコール酸もしくはその塩)、脂肪酸エステル、およびポリマー(例えば、ポリエチレングリコールのような両親媒性ポリマー、親水性ポリマーまたは親脂性のポリマー)。
【0047】
(インビボにおける粒子の送達)
本発明の活性薬剤を含有する小球状粒子は、薬剤の必要な被験体に、適切な経路(例えば、注射可能な経路、局所経路、経口経路、直腸経路、鼻経路、肺経路、膣経路、バッカル経路、舌下経路、経皮経路、経粘膜経路、耳経路、眼内経路または眼経路)でインビボ送達するのに適している。上記粒子は安定な液体懸濁液、錠剤、乾燥粉末、噴射剤(例えば、CFCもしくはHFA)に懸濁された粉末として、またはネブライザー用形態で送達され得る。
【0048】
好ましい送達経路は、肺送達である。送達のこの経路において、上記粒子は、治療薬剤の必要な被験体の深部肺、肺の中央領域もしくは末梢領域または上部気道に沈着され得る。上記粒子は、ドライパウダー吸入器により粉末として送達され得、またはそれらの粒子は加圧式定量噴霧式吸入器もしくはネブライザーにより懸濁液で送達され得る。肺経路で送達される場合、上記活性薬剤は、被験体の肺に限られた呼吸器疾患を処置するために使用され得、または上記活性薬剤は、他の病気の処置のために全身循環に吸収され得る。
【0049】
別の好ましい送達経路は、非経口経路であり、それは静脈内経路、筋肉内経路、皮下経路、腹腔内経路、クモ膜下経路、硬膜外経路、動脈内経路、関節内経路などを含む。
【0050】
(方法および装置)
本発明の小球状粒子を調製する一つの方法は、以下:(1)第1溶媒の中で上記活性薬剤の溶液を提供する工程;(2)第2溶媒を上記溶液に添加して上記2つの溶媒と上記活性薬剤の3成分溶液を形成する工程であって、第2溶媒中での活性薬剤の溶解度が第1溶媒中より低い工程;(3)上記3成分溶液を表面に広げて薄膜を形成する工程;および(4)フィルム上に気体の流れを通すことにより上記溶媒を蒸発させ、その表面上に上記活性薬剤の小球状粒子を形成する工程であって、上記気体は上記活性薬剤とは反応しない工程、を包含する。
【0051】
上記小球状粒子は、上記蒸発工程の間に形成され、そして蒸発工程はまたその薄膜を、小球状粒子の形成が容易になるように冷却する。それらの工程が約25℃以下の周辺温度で実施されることが好ましい。上記粒子を作製するために使用される溶媒、気体、薬剤および装置の関連部分のうちの任意のもの、または全ては、粒子形成および上記表面からの除去を容易にするために冷却され得る。上記方法はまた、上記表面上の小球状粒子を乾燥し、その表面からその小球状粒子を除去し、そしてその小球状粒子の乾燥粉末を形成する付加的な工程を包含し得る。
【0052】
上記第1溶媒は、上記活性薬剤に依存して、有機溶媒または水性媒体であり得る。適切な有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリジノン(N−メチル−2−ピロリドン)、2−ピロリジノン(2−ピロリドン)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、アセトンのような揮発性ケトン、メチルエチルケトン、酢酸、乳酸、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、3−ペンタノール、n−プロパノール、ベンジルアルコール、グリセロール、テトラヒドロフラン(THF)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG−4、PEG−8、PEG−9、PEG−12、PEG−14、PEG−16、PEG−120、PEG−75、PEG−150、ポリエチレングルコールエステル、PEG−4ジラウレート、PEG−20ジラウレート、PEG−6イソステアレート、PEG−8パルミトステアレート、PEG−150パルミトステアレート、ポリエチレングリコールソルビタン、PEG−20ソルビタンイソステアレート、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、PEG−3ジメチルエーテル、PEG−4ジメチルエーテル、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレンアルギネート、PPG−10ブタンジオール、PPG−10メチルグルコース−テル、PPG−20メチルグルコースエーテル、PPG−15ステアリルエーテル、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、プロピレングリコールラウレート、およびグリコフロール(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエエーテル)、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンまたはこれらの組合せが挙げられるが、これに限定されない。
【0053】
上記活性薬剤が疎水性化合物である場合の好ましい実施形態では、第1溶媒は水混和性有機溶媒、例えば、エタノールのようなアルコールであり、上記第2溶媒は、水性媒体である。上記3成分系は、従って上記疎水性活性化合物、エタノールおよび水を含む。
【0054】
上記第1溶媒もしくは上記第2溶媒または上記第1溶媒と上記第2溶媒の両方は、好ましくは揮発性溶媒である。揮発性という意味は、その蒸気圧が水の蒸気圧より高いということである。好ましい実施形態では、上記第1溶媒は、上記第2溶媒より、より揮発性であり、例えば、エタノールは第1溶媒でありそして水が第2溶媒である。
【0055】
本発明の1つのプロセスにおいて、上記第1溶媒での上記活性薬剤溶液を提供する工程は、上記第1溶媒に上記活性薬剤を添加する工程および第1溶媒に上記活性薬剤を完全に溶解させるために第1溶媒を超音波処理する工程を包含する。
【0056】
本発明の1つのプロセスにおいて、上記混合物を薄膜が形成するように表面に広げる工程は、上記混合物を回転蒸発フラスコに移す工程およびフラスコの表面に混合物を塗布するために上記フラスコをゆっくりと回転する工程を包含する。
【0057】
上記溶液の薄膜から上記溶媒を蒸発させるために使用される気体は、好ましくは不活性気体であるが、不活性でなくてもよい。上記溶液の薄膜から上記溶媒を蒸発させるために使用され得る適切な気体の例としては、窒素、水素および希ガス(例えば、ヘリウムおよびアルゴン)が挙げられるが、これらに限定されない。上記気体の流量は、プロセスに使用される活性薬剤、第1溶媒および/または第2溶媒に従って最適化されべきである。上記気体の流入は、上記溶媒が完全に蒸発されると停止し得る。任意に、上記気体の流入は、上記表面上の小球状粒子を乾燥させるために、短時間(例えば、約3分)流量を低下して続き得る。
【0058】
上記方法はまた、上記表面から上記小球状粒子を除去する工程、および上記小球状粒子の乾燥粉末を形成する工程の付加的な工程を包含し得る。1つの実施形態では、上記表面から小球状粒子を除去する工程は、上記表面から上記小球状粒子を除去するために最小量の上記第2溶媒を添加する工程を包含する。好ましくは、上記第2溶媒は、約4℃の氷冷された水である。任意に、上記第2溶媒は、除去プロセスを容易にするために、好ましくは氷上で、超音波処理され得る。上記第2溶媒は、凍結乾燥(freeze−drying)または凍結乾燥(lyophilization)のようなプロセスにより乾燥粉末を形成させるために、さらに除去され得る。
【0059】
図12および図13は、ソース14から表面16へ上記3成分溶液を送達する液体送達デバイス、または液体送達システム12(図13)、表面16上で上記3成分溶液の薄膜19を形成するためにソース14に関して上記表面を運動させる運動デバイス18、および上記表面16もしくは上記フィルム19または両方に加圧下で気体を供給する気体送達デバイスまたは気体送達システムを含むこのプロセスに適切な装置を示す。
【0060】
本明細書で記載されている粒子を連続的に調製するプロセスにおいて、上記流体送達デバイスは、ある量の上記溶液22を有するソース14、上記表面16へ上記溶液を供給するためのデバイス24を備え、そしてこの場合は、移動ローラーである。上記移動ローラー24は、軸の周りを回転するように据付けられ、上記表面16上に上記溶液の薄膜19を形成するためにその表面16にかみ合うローラーの外側の周辺部に運ばれる溶液に接触して置かれている外側の周辺部分を有する。上記送達デバイス24は、多くの形態を取り得、そして、アプリケータが薄膜19を表面16上に形成するように、制御された様式で表面16上に溶液を沈着することができる限り、多くの異なるアプリケータ(例えば、スプレーアプリケータもしくは他の型のアプリケータ)を含み得ることが企図されている。
【0061】
バッチプロセスにおいて、上記溶液は、当該分野で周知のピペッティング技術または他の技術のような標準的な実験室技術を使用して、反応容器に添加され得る。
【0062】
上記表面16は、平坦、湾曲、円形、楕円形、波型または不規則を含む種々の断面形状を有し得る。図12および図13に示されるように、本発明の一つの好ましい形態において、上記表面は、湾曲しており、そして好ましくは、ほぼ円筒状26である。湾曲した表面はまた、円錐状、切頭円錐状、球状であり得ることが企図されている。図12および図13に示されるように、上記表面16は、ガラスシリンダー26の内部表面16または外部表面16’上に運ばれ得る。上記ガラスシリンダーは、好ましい形態では、容器を封止するために締められ得る任意のガラス反応器頭29を有する10リットルのガラス反応容器である。
【0063】
上記表面16は、滑らかなプロフィールを有し、その表面全体に実質的に一定の高さの寸法を有するか、または上記表面は、その表面上の溶液の接触角を減少させるために、もしくはその表面上の溶液の湿潤性を増加させるために織物様にされ得る。織物様の表面は、上記表面上のどの点をとっても一定の高さを有さない表面プロフィールを有する表面を含む。織物様の表面としては、マット表面、つや消し表面、浮き彫り表面などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好ましい形態において、上記方面は滑らかな表面である。
【0064】
適切な表面は、ポリマー、金属、セラミックまたはガラスのような材料から作製される。上記材料は、剛直、半剛直または可撓性であり得る。可撓性という意味は、20,000psi未満の弾性率を有するということである。剛直という意味は、40,000psiより大きい弾性率を有するということである。半剛直材料は、20,000psiと40,000psiの間の弾性率を有するということである。本発明の最も好ましい形態では、上記表面はガラスである。
【0065】
上記表面を形成する適切なポリマーとしては、活性薬剤と反応しないものが挙げられ、そしてポリオレフィン、環状オレフィン、橋かけ多環式炭化水素、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンと炭化水素とのコポリマー、合成ゴムなどが挙げられる。本明細書で使用される用語ポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネンおよびデセンのホモポリマーならびにそれらのコポリマーを含むと意味される。適切なエチレンのコポリマーとしては;(a)3〜10の炭素を有するαーオレフィン、低級アルキルおよび低級アルキレン置換カルボン酸ならびにそれらのエステルおよび酸無水物誘導体の群より選択されるモノマーと共重合されたエチレン、(b)エチレンプロピレンゴム、(c)EPDM、(d)エチレンビニルアルコールおよび(e)アイオノマーが挙げられる。好ましくは、カルボン酸は、3〜10の炭素を有する。そのようなカルボン酸としては、従って、酢酸、アクリル酸および酪酸が挙げられる。適切なアクリル酸含有ポリマーとしては、Plexiglasという商品名で販売されているPMMAが挙げられる。用語低級アルケンおよび低級アルキルは、2〜18の炭素、より好ましくは、2〜10そして最も好ましくは、2〜8の炭素を有する炭素鎖を含むことが意味される。このようにコモノマーのこの群の部分集合としては、代表的であるが非限定的な例として、酢酸ビニル、アクリル酸ビニル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エチルおよびエチルアクリル酸が挙げられる。
【0066】
環状オレフィン、橋かけ多環炭化水素の適切なホモポリマーおよびコポリマーならびにそれらのブレンドは、米国特許第4,874,808号;同第5,003,019号;5,008,356号;同第5,288,560号;同第5,218,049号;同第5,854,349号;同第5,863,986号;同第5,795,945号;および同第5,792,824号に見出され得、それらは全体として本明細書に参考として援用され、そして本明細書の1部にもなっている。本発明の好ましい形態では、これらのホモポリマー、コポリマーおよびポリマーブレンドは、50℃より高いガラス転移温度を、より好ましくは約70℃〜約180℃のガラス転移温度を、0.910g/ccより高い密度、より好ましくは、0.910g/cc〜約1.3g/ccそして最も好ましくは、0.980g/cc〜約1.3g/ccの密度を有し、そしてポリマーの骨格に、少なくとも約20モル%の環状脂肪族または橋かけ多環、より好ましくは、約30〜65モル%、そして最も好ましくは約30〜60モル%有する。
【0067】
本発明の好ましい形態では、適切な環状オレフィンモノマーとしては環に5〜約10の炭素を有する単環化合物である。上記環状オレフィンは、置換および非置換のシクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクテンおよびシクロオクタジエンからなる群より選択され得る、適切な置換基としては、低級アルキル、アクリレート誘導体などが挙げられる。
【0068】
本発明の好ましい形態において、適切な橋かけ多環炭化水素モノマーは、2つ以上の環および好ましくは少なくとも7の炭素を含む。上記環は、置換され得または非置換であり得る。適切な置換基としては、低級アルキル基、アリール基、アラルキル基、ビニル基、アリルオキシ、(メタ)アクリルオキシなどが挙げられ得る。上記橋かけ多環炭化水素は上記の援用されている特許および特許出願に開示されている橋かけ多環炭化水素からなる群より選択される。最も好ましい多環炭化水素はノルボルネンホモポリマーまたはエチレンとノルボルネンのコポリマーである。ポリマーを含有する適切なノルボルネンは、TOPASという商品名でTiconaにより、ZEONEXおよびZEONORという商品名でNippon Zeonにより、CZ樹脂という商品名で,Daikyo Gomu Seikoにより、ならびにAPELという商品名でMitsui Petrochemical Companyにより販売されている。
【0069】
上記ポリマー材料は、押出し、共押出し、ラミネーション、押出しラミネーション、射出成形、ブロー成形、熱成形または他の加工技術により表面に形成され得る。上記材料は、可撓性、半可撓性または剛直であり得る。上記材料は単層フィルムまたは多層フィルムであり得る。上記フィルムは、米国特許第6,309,723号に開示されているフィルムのようなタンパク質適合性表面を有し得る。その特許は全体として本明細書に参考として援用されており、本明細書の部分になっている。上記材料はまた、所望の通り、多数の形状およびサイズで作製され得る。
【0070】
適切な金属としては、アルミニウム、ステンレス鋼、バナジウム、白金、チタン、金、ベリリウム、銅、モリブデン、オスミウム、ニッケルまたは他の適切な合金または金属または金属コンポジットが挙げられる。
【0071】
【化1】

【0072】
【化2】

CVD、炭化ケイ素、焼結α、炭化ケイ素、昇華、炭化タンタル、炭化チタン、TiC、炭化バナジウム、炭化タングステン、W2C、炭化タングステン、WC、炭化ジルコニウム、炭化ケイ素(6H)単結晶基質、GE Advanced Ceramics炭化タンタルセラミックス(TaC)コーティング、GE Advanced Ceramics炭化ニオビウムセラミックス(NbC)コーティング、GE Advanced Ceramics炭化ジルコニウム(ZrC)コーティング、AREMCO Cerama−castTM673、Ceralloy 546、炭化ホウ素、B4C、Ceralloy146、炭化ケイ素,SiC、Destech Silicon Carbide、固形または発泡、Gouda Vuurvast CURON 140 K Dense Refractory Castable、Gouda Vuurvast CURON 160 H SiC GM Dense Refractory Castable、Gouda Vuurvast VIBRON 160 H SiC Dense Vibrating Refractory Castable、Gouda Vuurvast VIBRON 160 K Dense Vibrating Refractory Castable、Gouda Vuurvast VIBRON 160 K 50 Dense Vibrating Refractory Castable、Gouda Vuurvast VIBRON 162 K Sp Dense Vibrating Refractory Castable、フッ化マグネシウム、MgF、(Sellaite)、Bischofite(MgCl−6HO)、Tachhydrite(2MgCl−CaCl−12HO)、Reade Advanced Materials合成氷晶石粉末(NaAlFまたは3NaF.AlF)、臭化銅,CuBr、正6面体、臭化銅、CuBr、6方晶形、塩化銅.CuCl、正6面体(緑青)、塩化銅,CuCl、6方晶形、フッ化銅、CuF、ヨウ化銅、CuI、正6面体(マーシャイト)、ヨウ化銅、CuI、6方晶形、臭化銀,AgBr(Bromirite)、ヨウ化銀、AgI(Iodagirite)、ヨウ化銀、AgI、(マイエルサイト)、臭化アクチニウム,AcBr、塩化アクチニウム,AcCl、フッ化アクチニウム、AcF、ヨウ化アクチニウム,AcI、臭化アルミニウム、AlBr、塩化アルミニウム,AlCl、フッ化アルミニウム、AlF、ヨウ化アルミニウム、AlI、臭化アメリシウム(III)、AmBr、塩化アメリシウム(III),AmCl、フッ化アメリシウム(III)、AmF、ヨウ化アメリシウム(III)、AmI、フッ化アメリシウム(IV)、AmF、臭化アンチモン(III)、SbBr、塩化アンチモン(III),SbCl、ジルコニア、ZrO2、酸化ジルコニウム セラミック、MgO安定化ジルコニア、酸化ジルコニウム セラミック−ジルコニア、Y2O3安定化、酸化ジルコニウム セラミック−ジルコニア、4方晶形、Y2O3安定化、Ceraflex 3Y 薄ジルコニアセラミックス、イットリア安定化、Ceraflex 8Y 薄ジルコニアセラミック 酸素イオンコンダクター、イットリア安定化、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ) 単結晶基質、AREMCO 516Ultra−temp、AREMCO Cerama−castTM 583、AREMCO Cerama−castTM 646、AREMCO Pyro−PaintTM 634−ZO、Ceram Tec Grade 950 強化アルミナ(Al−ZrO)、Ceram Tec Gade 965 強化アルミナ(Al−ZrO)、Ceram Tec Grade 848 ジルコニア(ZrO)、Channel Industries 5400 チタン酸ジルコニウム鉛 圧電用、Channel Industries 5500 チタン酸ジルコニウム鉛 圧電用、Channel Industries 5600 チタン酸ジルコニウム鉛 圧電用、AREMCO Pyro−Putty(登録商標)653、AREMCO Pyro−Putty(登録商標)1000、AREMCO Pyro−Putty(登録商標)2400、AREMCO Pyro−Putty(登録商標)2500、ホウ化バリウム、BaB6、ホウ化カルシウム、ホウ化セリウム、CeB6、GE Advanced Ceramics AC6043 ホウ化チタン/窒化ホウ素コンポジット、GE Advanced Ceramics ホウ化チタン/窒化ホウ素コンポジット、真空金属化ボート、GE Advanced Ceramics HCT−30 ホウ化チタン(TiB)粉末、GE Advanced Ceramics HCT−40 ホウ化チタン(TiB)粉末、GE Advanced Ceramics HCT−30D ホウ化チタン(TiB)粉末、GE Advanced Ceramics HCT−F ホウ化チタン(TiB)粉末、GE Advanced Ceramics HCT−S ホウ化チタン(TiB)粉末、Ceralloy 225、ホウ化チタン、TiBおよび他の市販のセラミック。
【0073】
上記運動デバイス18は、ソース22に対して上記表面を、または上記溶液が最初に塗布される表面領域に対して上記表面16を動かすためである。上記運動デバイスは、上記表面に対して溶液の表面を、またはソースに対して上記表面、またはその両方をを動かし得る。上記運動は、回転運動、垂直方向または水平方向に往復運動し、該表面の相対する横方向の両端または相対する垂直方向の両端が相互に(即ち、上記表面に対してほぼ垂直方向に)往復する往復運動、ねじれ運動、波状運動またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0074】
図12において、運動デバイス18は、溶液ソースに対して上記表面を動かす駆動モータ27およびシャフト28を有する。上記駆動モータ27は、低いRPMで、一定の速度で回転することができる。上記モータ27は、回転速度(RPM)およびプログラムされている一連の回転に入る回転の時間または回転の方向(即ち時計回り、半時計回りもしくはこれらの2つの方向の交互)の調整する制御および選択する制御(示されていない)を有する。
【0075】
上記気体送達デバイスまたはシステム20は、上記表面16に気体コントローラ44を使用して、制御された様式で、ソースから気体流を分配する気体マニホールド42に供給する気体ソース40を有する。上記気体ソ−ス40は、液体窒素を気体窒素に変換する液体窒素蒸発器46を含む。流体通路48は、上記蒸発器46から上記コントローラ44を通って上記マニホールド42に気体を運ぶ。
【0076】
上記マニホールド42は、上記表面16が内部表面か、または外部表面に位置するかに依存して、多くの形態を採り得る。図12は、上記シリンダー26の内部表面上の表面16を示し、そして図13は、上記シリンダー26の外部表面に位置する表面16を示す。図12に示されているマニホールド42は、複数の穴52を有するチューブ50である。上記チューブは剛直、半剛直または可撓性であり得る。
【0077】
図13は、外部表面16’に気体を運ぶマニホールド42の1つの実施形態を示し、可撓性、半剛直または剛直材料の穴の開いた気体充満空間を備える。そして本発明の好ましい形態では、上記マニホールド42には、外部表面16’の湾曲にほぼ従った半円筒状の外側部分を有する。
【0078】
上記モータ27は、垂直上昇棒58を有する支持フレーム56に据付られ、本装置の好ましい実施形態では、床のような水平表面に対して、角度αに調整され得る。その装置の好ましい実施形態では、その角度αは、20度〜160度で、より好ましくは45度〜135度で、さらにより好ましくは75度〜115度で、そして最も好ましくは、80〜100度である(またはその範囲のいずれの範囲でもまたは組合せでもよい)。
【0079】
第2シリンダー30は、フランジによりシャフト28に据付られ、そして第1シリンダー26を同軸的に収容するよう寸法を合わせて作製されたスリーブを規定する。上記第2シリンダーは、第1シリンダーに適切な本明細書で記載された任意の材料から作製され得る。好ましい形態では、第2シリンダーは、ポリマー材料(例えば、COC、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、または置換もしくは非置換アクリル酸、メタクリル酸、またはエチルアクリル酸(ethyacrylic acid)含有ポリマー)から製造され得る。上記装置の最も好ましい形態では、ポリ(メタクリル酸メチル)または商品名Plexiglasで販売されているPMMAである。
【0080】
上記装置は、バッチ方式(図12)または連続方式(図13)で、上述される粒子を作製することができる。バッチ方式プロセスに関しては、ある量の上記3成分溶液を第1シリンダー26の内部に添加する。上記第1シリンダー26は、スタンド56を使用して、溶液の液体レベルがガラス容器の上から下までほぼ同じレベルになるように高さを合わせる(その容器の口の部分のガラス注ぎ口は上記溶液が流れ出すのを防ぐ)。上記モータ27は、その後第2シリンダー26およびガラス容器26を、上記容器の内部表面に均一なコーティング19が形成されるまで、数秒間回転する。制御された様式で、窒素ガスは、その後上記マニホールドの穴52が、ガラスの表面を覆う溶液の薄層19の表面上に均一に気体を分配するように、マニホールド42に流入される。
【0081】
これは液体表面上に窒素ガスの層流を生じ、境界層効果を減少させ加熱なしで有効な蒸発を促進する。蒸発を容易にする薄膜の表面に、いくらか有利な窒素の乱流混合があり得るが、全体の効果としては、薄膜の表面上および上記容器の開口部からの上記気体の層流である。上記窒素ガスは、溶媒蒸気を含有し、容器の口から出て、ドラフトまたは適切な排気装置または溶媒回収系に吐出される。
【0082】
例えば1分のような短期間のうちに、溶液の薄膜19は、不透明になり、それから、ガラスの表面上でかすんだ薄膜に乾燥する。生じた小球状粒子を完全に乾燥するために数分間低速で、上記窒素が流される。その後気体流入が停止され、上記窒素マニホールドが除去される。サンプルはその容器のいずれの場所からも容易に得られ得る。その容器を後に傾けて上記小球状粒子が、それらが容易に収集されるその容器の底で洗浄され得る。
【0083】
連続操作に関しては、図13は保持タンクの溶液22が、ローラー24により表面16’に連続的に塗布されることを示す。圧力洗浄機60は、水のような洗浄流体で乾燥フィルムおよび除去デバイス62(スクイージ、スクレーパーもしくは滑らかな刃のナイフなどのような滑らかな刃を有する部材と表面とをかみ合わせることにより粒子を連続的に除去する)に噴霧する。
【0084】
図14は、連続的に粒子を形成する他の装置の一部分を示し、そして矢印により示されている方向に動きうる表面16’を含む。上記表面は、コンベヤベルトにより運ばれる。そのコンベヤベルトは駆動ローラー66の周りに向けられる。駆動ローラーの1つまたは両方は、モータコントロールを有する上述のモータのような起動源と接続される。上記装置は、上記ローラー24を備え、それは上記溶液を上記表面16’に塗布する。上記コンベヤは、上記表面を動かして溶液の薄膜を形成させるよう活性化される。上記フィルムは、それから上記気体に曝露され、洗浄されスクイージ62により除去される。上記コンベヤ装置は、溶液が上記コンベヤベルトの同じ側から塗布されかつ除去されるよう改変され得る。
【実施例】
【0085】
(実施例)
特に特定しない限り、全ての活性薬剤を、Spectrum、Chemicals & Laboratory Productsから購入した。
【0086】
(実施例1:プロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)の小球状粒子)
微粉化プロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)USPを、秤り、そしてエタノールUSPに溶解し10mg/mlBDP−エタノール溶液を作製した。1.2mlの上記BDP−エタノール溶液を0.8mlの脱イオン水と混合し3:2容量/容量のBDP−エタノール/水溶液を作製した。上記溶液を1000mlの改良回転エバポレータ(改良Rotavapor−R complete、Buchi)の丸底Pyrex(登録商標)フラスコに移し2、3秒回転し、上記フラスコの内部表面上に薄膜を形成させた。その薄膜を生じさせた後、制御された65〜75LPMの流量で、純粋な窒素をフラスコに流入した。液相が蒸発するので、残存する混合溶媒の薬物の溶解度は、急速に減少し相分離が起こった。上記薬物分子の析出が観察され、上記フラスコの表面に半透明の層を形成した。上記薬物が析出した後も、フラスコの回転および窒素流入を、液相の完全な蒸発および小球状粒子の乾燥を確認するために、数分間続けた。生じた小球状粒子を、それらを少量の氷冷した脱イオン水に再懸濁し、そしてその懸濁液を、小球状粒子がそのフラスコの内部表面から分離するのを容易にするために超音波処理することにより収集した。最終工程は急速凍結および凍結乾燥であった。
【0087】
以下の実施例の粒子形態を、走査型電子顕微鏡(SEM、FEI Quanta 200、Hilsboro、OR)を使用して得た。上記サンプルを、アルミニウムのサンプル台に固定された両面テープ上に少量載せて、分析用に調製した。そのサンプルをCressingtonスパッターコーター108Autoを使用して、90秒20mAでスパッターコートした。2番目のSEM装置(Amray 1000,Bedford、MA)を使用して、より高分解能の小球状粒子の更なる画像を得た。
【0088】
図1は、微粉化BDP出発材料のSEM顕微鏡写真を示す。図2は、得られた小球状粒子の顕微鏡写真を示す。上記微粉化されたBDP出発材料は、形状およびサイズも様々で、5〜50ミクロンの広い粒径分布を有し、一方粒子のあるものは、50ミクロンより大きい(図1)。対照的に、上記BDP小球状粒子は均一な球状形状を有し、狭い粒径分布を有しそして約1〜2ミクロンの平均直径を有する。上記小球状粒子は、微粉化出発材料の粗い表面と比較して滑らかな表面を有する(図2)。
【0089】
X線粉末回折(XRPD)測定を、BDP出発材料(BDP#1)および2バッチのBDP小球状粒子(BDP#2およびBDPJM0710)について、出発材料の結晶化度を調べそしてBDP小球状粒子の結晶性とを比較するために実施した。上記XRPDパターンを、回転アノードを有するX線粉末回折計(Shimadzu XRD−6000)を使用して得た。上記粉末を、CuKα放射線を使用して、2.5°〜40°の2θ範囲にわたって、3°/分(0.4秒/0.02°工程)で、走査した。回折放射線を、NaIシンチレーション検出器で検出し、XRD−6000v.4.1を使用して分析した。
【0090】
BDP出発材料の上記XPRDパターン(図3下)は、反射の分解能を示しており、サンプルが結晶性であることを示す。2つのBDPミクロスフェアバッチ(図3中央と上)はまた、反射の分解能を示しており、結晶性サンプルを示す。しかしながら、小球状粒子サンプルのXRPDパターンは、微粉化出発材料のXRPDパターンと2θにおけるピーク位置に関して異なっており、それはサンプルが出発材料とは異なる形態または形態の混合物から構成されていることを示唆している。2つのロットの小球状粒子は、同一ピークを示し、上述の方法に従って調製されるこれらの独立したバッチは、結晶化度に関して均一な小球状粒子であることを示唆している。さらに、それはそのプロセスが再現性があることを示す。
【0091】
(実施例2:ブデソニドの小球状粒子)
微粉化ブデソニドUSPを、秤り、そしてエタノールUSPに溶解し10mg/mlブデソニド−エタノール溶液を作製した。1.2mlの上記ブデソニド−エタノール溶液を0.8mlの脱イオン水と混合し3:2容量/容量のブデソニド−エタノール/水溶液を作製した。上記溶液を1000mlの改良回転エバポレータ(改良Rotavapor−R complete、Buchi)の丸底Pyrex(登録商標)フラスコに移し、BDP含有小球状粒子の実施例1に記載のようにプロセスを続けた。
【0092】
以下の実施例の粒子形態を、走査型電子顕微鏡(SEM、FEI Quanta 200、Hilsboro、OR)を使用して得た。図4は微粉化ブデソニド出発材料のSEMを示し、そして図5は、得られたブデソニドの小球状粒子を示す。
【0093】
実施例1と同様、微粉化ブデソニド出発材料は、形状およびサイズにおいて様々であり、そして5〜100ミクロンの広い粒径分布を有する。粒子のあるものは、100ミクロンより大きい(図4)。反対に、ブデソニド小球状粒子は均一な球形を有し、狭いサイズ分布を有し、そして平均サイズは1〜2ミクロンである(図5)。
【0094】
XRPD測定を、ブデソニド出発材料(RN0020)およびブデソニド小球状粒子の1つのバッチで、出発材料の結晶化度を調査し、それをブデソニド小球状粒子の結晶性と比較するために実施した(図6)。ブデソニド出発材料の上記XRPDパターンは、結晶性状態に特徴的な明瞭なピークを示した。反対に、ブデソニド小球状粒子のXRPDは、連続的で、非晶性または無定形の典型である。
【0095】
空気力学粒径分布を、TSI Corporation Aerosizer(TSI、St.Paul、MN)を使用して、飛行時間法により測定した。図7は、90%の粒子が2〜4ミクロン以下の狭い空気力学粒径分布を示す。
【0096】
(実施例3:イトラコナゾールの小球状粒子)
微粉化イトラコナゾールUSP(Wycoff、Inc.)を秤り、ある量のアセトンUSPを添加し10mg/mlのイトラコナゾール−アセトン懸濁液を作製した。上記懸濁液を、アセトンが早く蒸発しないように、スクリューキャップ付のガラス製バイアルビンで作製した。シールしたバイエルをボルテックスで混合し、そして予め70℃に加熱された水浴に入れた。そのバイエルを、5〜10分その浴に放置しイトラコナゾールを溶解しイトラコナゾール−アセトン溶液を作製した。そのバイエルを70℃浴から取り出して、室温まで冷却した。冷却後,2.48mlのイトラコナゾール−アセトン溶液を1.52mlの脱イオン水中の10%エタノールと混合し、62%のイトラコナゾール−アセトン/38%/水−エタノール容量/容量溶液を作製した。上記イトラコナゾール−アセトン/水−エタノール溶液の全容量は、4mLであった。上記溶液を1000mlの改良回転エバポレータ(改良Rotavapor−R complete、Buchi)の丸底Pyrex(登録商標)フラスコに移し、BDP含有小球状粒子の実施例1に記載のようにプロセスを続けた。
【0097】
図8は、微粉化イトラコナゾール出発材料のSEMを示し、そして図9は、得られたイトラコナゾール小球状粒子のSEMを示す。微粉化イトラコナゾール出発材料は、形状およびサイズにおいて様々であり、そして0.1〜20ミクロンの広い粒径分布を有する。粒子のあるものは、20ミクロンより大きい(図8)。対照的に、イトラコナゾール小球状粒子は均一な球形を有し、狭いサイズ分布を有し、そして平均サイズは0.5〜2ミクロンである(図9)。
【0098】
粒径分布を、Coulter装置(Beckman Coulter LS 230、Miami、FL)を使用して光散乱により測定した。イトラコナゾール小球状粒子の標準化数、標準化表面積および標準化体積サイズ分布が、図10に示される。上記3つの分布は重なり、それは、上記粒子の単分散性を実証した。それはまた、その微粒子が、界面活性剤の存在下で水溶液中に均一に分布し、それらが凝集する傾向はないことを示す。
【0099】
(実施例4:エストラジオールの小球状粒子)
微粉化エストラジオールUSP(Akzo Nobel)を秤り、スクリューキャップ付ガラス管に入れた。エタノールUSPを、その管に添加して5mg/mlのエストラジオールのエタノール溶液を作製した。
【0100】
エストラジオールの小球状粒子を、2つの方法で作製した。第1の方法は、エストラジオール−エタノールの溶液の1滴をスライドガラスの上に置いて、乾燥するまで周辺空気にさらした。エタノールが液滴から蒸発するにつれて、エストラジオールは溶液から析出しスライド上で半透明フィルムを形成した。上記スライドを、さらに20分実験室の実験台に放置しエタノールを完全に蒸発させた。
【0101】
第2の方法は、溶液の1滴を氷床上に置いたスライドガラス上に置いた。そのスライドの吸湿を防ぐためにアルミホイルで覆った。乾燥するまで周辺空気にさらした。エタノールが、液滴から蒸発するにつれて、エストラジオールが溶液から析出し、スライド上で半透明フィルムを形成した。そのスライドをさらに氷床上で20分間放置しエタノールを完全に蒸発させた。
【0102】
上記スライドを、小球状粒子の存在を証明することと得られたエストラジオールの小球状粒子のサイズ分布を推測するために光学顕微鏡下で調べた。小球状粒子は、周辺空気温度で放置したものと、氷浴場に放置したものの両方のスライド上に形成されていた。
【0103】
(実施例5:フルドロコルチゾンの小球状粒子)
微粉化フルドロコルチゾンUSPを秤り、スクリューキャップ付ガラス管に入れた。エタノールUSPを、その管に添加して5mg/mlのフルドロコルチゾンのエタノール溶液を作製した。
【0104】
フルドロコルチゾンの小球状粒子を、2つの方法で作製した。第1の方法では、フルドロコルチゾン−エタノールの溶液の1滴をスライドガラスの上に置いて、乾燥するまで周辺空気にさらした。エタノールが液滴から蒸発するにつれて、フルドロコルチゾンは溶液から析出しスライド上で半透明フィルムを形成した。上記スライドを、さらに20分間実験室の実験台に放置しエタノールを完全に蒸発させた。
【0105】
第2の方法では、溶液の1滴を氷床上に置いたスライドガラス上に置いた。そのスライドの吸湿を防ぐためにアルミホイルで覆った。乾燥するまで周辺空気にさらした。エタノールが蒸発するにつれて、フルドロコルチゾンが溶液から析出し、スライド上で半透明フィルムを形成した。そのスライドをさらに氷床上で20分間放置しエタノールを完全に蒸発させた。
【0106】
上記スライドを、小球状粒子の存在を証明することと得られたフルドロコルチゾンの小球状粒子のサイズ分布を推測するために光学顕微鏡下で調べた。小球状粒子は、周辺空気温度で放置したものと、氷浴場に放置したものの両方のスライド上に形成されていた。
【0107】
(実施例6:フルシノニドの小球状粒子)
微粉化フルシノニドUSPを秤り、スクリューキャップ付ガラス管に入れた。相当容量のエタノールUSPを、その管に添加して5mg/mlのフルシノニドのエタノール溶液を作製した。上記懸濁液を予め45℃に加熱された温浴に入れた。フルシノニドの一部は高い温度では溶解しなかったが、さらなる加熱は避けた。
【0108】
フルシノニド−エタノール溶液の1滴をスライドガラス上に置いた。完全に乾燥するまで、スライドを周辺空気にさらした。フルシノニドの半透明フィルムがスライド上で形成された。そのスライドを実験室の実験台にさらに20分間放置して完全にエタノールを蒸発させた。
【0109】
上記スライドを、小球状粒子の存在を証明することと得られたフルシノニドの小球状粒子のサイズ分布を推測するために光学顕微鏡下で調べた。得られたフルシノニドの小球状粒子は、均一な粒径分布を有し、そして平均直径は1〜1.15ミクロンであった。
【0110】
(実施例7:ステロイド小球状粒子形成における種々の第1溶媒および第2溶媒の効果)
2つのステロイド、プロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)およびプロピオン酸フルチカゾン(FP)の小球状粒子形成能力を、アセトン、エタノール、メタノールおよびメチルエチルケトン(MEK)を個別に第1位溶媒として、そして水およびヘプタンを個別に第2溶媒として使用して、マトリックス実験で試験した。第1溶媒/ステロイド溶液に添加する第2溶媒の量を、0%、10%、20%、30%、および40%(容量/容量)として変化させた。MEKは水と混和性ではなく、メタノールはヘプタンと混和性ではないのでこれらの組合せは実験には含めていない。
【0111】
BDPまたはFPのいずれかを秤り、大きなスクリュー付ガラス管に入れ、選択した溶媒を添加(重量/容量)し、最終濃度が2mg/mLになるようにした。その管をボルテックスで混合し、超音波処理をしてステロイドを完全に溶解した。これらの溶液を含有するシールした管を、引き続き適切な第2溶媒と混合のためのストック溶液として使用した。使用直前に、適切な量の第2溶媒を、第1溶媒/ステロイド溶液に、早まった析出を避けるために混合しながら、ゆっくりと添加した。第2溶媒を添加した後、上記溶液を視覚的に早まった析出が起こっていないことを確認するために調べた。
【0112】
直径0.125インチのオリフィスのノズルを光学顕微鏡用の標準的なスライドガラス上1.75インチに位置するように固定具を構築した。窒素ガスを、そのノズルを通してスライド上に、毎分5リットルで気体の流れの方向がそのスライドの表面に垂直になるように流した。試験溶液の1滴または2滴をオリフィスの直下のスライドに置き、そして窒素の吹き出しをそのスライドが完全に乾燥するまで続けた(溶液組成に依存して1〜3分)。各スライドを、その後偏光顕微鏡(Leica EPISTAR、Buffalo、NY)下で光入射を使用して試験した。各スライドを主に小球状粒子(+)、小球状粒子と非球状粒子の混合物(+/−)および主に非球状粒子(−)の存在に評価分類した。サイズおよびサイズ分布の変化を異なる試験溶液で観察した。結果は下記の表にする。
【0113】
【表1】

【0114】
【表2】

0%濃度に水を添加しなかったが、いくらかの水は実験中に空気から吸収したと思われる。しかしながら、溶媒に吸収された水の量は10%以下と想定される。結果は、小球状粒子を形成する能力が、以下:1)使用された有機低分子、2)第1溶媒組成物、3)第2溶媒組成物および4)最終処方物の中の第2溶媒の量、に従って変化することを示す。種々の第1溶媒および水以外の第2溶媒が、この方法により小球状粒子を作製するのに使用され得る事実はまた、注目すべきである。このケースではアルカンヘプタンを水に第2溶媒として置換して、BDPおよびFPの小球状粒子を使用して作製に成功した。
【0115】
(実施例8:BDP小球状粒子形成時の蒸発冷却)
BDP小球状粒子を、アセトンを第1溶媒および水を第2溶媒として使用し、窒素ガスの流量を毎分2.5リットルとした以外は実施例7と同じ方法により、スライドガラス上に作製した。溶媒が蒸発するにつれて、スライド上の小滴の温度を非接触赤外センサー(Cole−Parmer、Vernon Hills、IL、Model#A39671−22)を使用して測定した。窒素ガス吹き出し下で、スライド上に小滴を置く時間間隔および記録した最低温度を記した。10%水および40%水(容量/容量)含有サンプルを比較した。
【0116】
窒素吹き出しで乾燥したスライドの表面上で測定された温度は、各実験作業を始める前数分間測定した一定した21.8℃であった。従って、窒素ガス自身は試験期間の間は、温度を変化しなかった。10%水/アセトン/BDP溶液が蒸発するにつれて、温度は、7秒の間に21.8℃から、9.6℃まで低下した。繰返し作業は7秒の間に9.8℃まで温度が低下する結果になり、この試験方法は再現性がある。対照的に40%水/アセトン/BDP溶液が蒸発するにつれて、12秒間で21.8℃から11.6℃まで温度が低下した。上記温度低下における量的減少および最低温度到達までの増加した時間は、40%水サンプルにおけるアセトンの減少する量により説明され得る。
【0117】
BDPの小球状粒子をスライドガラスの全てについて光学顕微鏡(実施例7に記載されている)で観察したが、そこでは40%水は、直径1〜2ミクロンと推定される均一な粒径分布を与えた。対照的に、10%水のスライドは、直径0.5〜10ミクロンと推定される広い微小球のサイズ分布になった。これらの結果は、蒸発的冷却が、BDP微小球を作製する方法を使用して起こり、そして異なる冷却速度および絶対温度変化が小球状粒子の異なるサイズ分布と関連することを示す。
【0118】
特定の実施形態が説明され記載されたが、さらなる改変は本発明の趣旨から離れずに想像され得、および保護の範囲は、付随する請求項の範囲によりのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1は、実施例1に記載されるプロセスにおける出発物質として使用される微粉化プロピオン酸ベルコメタゾン(BDP)の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。この像は、多くの微粉化低分子量薬物の特徴を提示する。上記BDPの粒径は、数百ナノメートルと50ミクロンとの間で変化する。粒径分布は広く、粒子はランダムな形状を有する。
【図2】図2は、実施例1に記載される方法に従って調製されたプロピオン酸ベルコメタゾン(BDP)の小球状粒子を示す。これらの小球状粒子は、均一な形状、2ミクロンの平均粒径、および非常に狭いサイズ分布により特徴付けられる。この小球状粒子は、実質的に球状であり、そして実質的に同じサイズを有する。
【図3】図3は、微粉化プロピオン酸ベルコメタゾン出発物質のX線粉末回折パターン(XRPD)(下図)、および実施例1に従って製造された2つのバッチのBDP小球状粒子のXRPDパターンを提示する。
【図4】図4は、実施例2において出発物質として使用される微粉化ブデソニドのSEM像である。このブデソニドの粒径は、数百ナノメートル〜100ミクロンの間の範囲にある。粒径分布は広く、そしてこれらの粒子はランダムな形状を有する。
【図5】図5は、実施例2に記載される方法に従って調製されたブデソニドの小球状粒子を示す。これらの小球状粒子は、均一な形状、2ミクロンの平均粒径、および非常に狭いサイズ分布により特徴付けられる。この小球状粒子は、実質的に球状であり、そして実質的に同じサイズを有する。
【図6】図6は、微粉化ブデソニド出発物質のXRPD(上図)、および実施例2に従って製造されたブデソニドの小球状粒子のXRPDパターン(下図)を提示する。
【図7】図7は、Aerosizerにより測定されたブデソニド小球状粒子の空気力学的粒径分布(PSD)を提示する。この分布は、飛行時間に基づいて計算される。
【図8】図8は、実施例3において出発物質として使用される微粉化イトラコナゾールのSEM像である。このイタコナゾールの粒径は、数百ナノメートル〜数ミクロンの間の範囲にある。粒径分布は広く、そしてこれらの粒子はランダムな形状を有する。
【図9】図9は、実施例3に記載される方法に従って調製されたイトラコナゾールの小球状粒子を示す。これらの小球状粒子は、均一な形状、1ミクロンの平均粒径、および非常に狭いサイズ分布により特徴付けられる。この小球状粒子は、実質的に球状であり、そして実質的に同じサイズを有する。
【図10】図10は、光散乱による、イトラコナゾール微小球(ミクロスフェア)の粒径分布を示す。これらの小球状粒子は、界面活性剤を用いて脱イオン水に懸濁された。
【図11】図11は、プロピオン酸ベルコメタゾン(BDP)の小球状粒子を作製するプロセスを要約する概略のフロー図である。
【図12】図12は、小球状粒子を調製するための装置の概略図である。
【図13】図13は、小球状粒子を調製するための装置の概略端面図である。
【図14】図14は、小球状粒子を調製するための装置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小球状粒子であって、該小球状分子は、1500ダルトン未満の分子量を有する有機分子を含み、狭い粒径分布を有し、ここで該有機分子は、該粒子の少なくとも70重量%かつ100重量%以下である、粒子。
【請求項2】
前記有機分子が、前記粒子の90重量%以上である、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記有機分子が、前記粒子の95重量%以上である、請求項1に記載の粒子。
【請求項4】
約0.01μm〜約200μmの平均粒径を有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項5】
約0.1μm〜約10μmの平均粒径を有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項6】
約0.1μm〜約5μmの平均粒径を有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項7】
前記有機分子が疎水性である、請求項1に記載の粒子。
【請求項8】
前記有機分子が親水性である、請求項1に記載の粒子。
【請求項9】
前記有機分子がほとんど水に溶解しない、請求項1に記載の粒子。
【請求項10】
前記有機分子が10mg/mL未満の、水への溶解度を有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項11】
前記有機分子が1mg/mL未満の、水への溶解度を有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項12】
前記活性薬剤が、薬学的治療剤、診断剤、化粧品、栄養補助剤、および殺虫剤からなる群より選択される、請求項1に記載の粒子。
【請求項13】
前記薬学的治療剤が、ステロイド、β−アゴニスト、抗真菌剤および抗菌剤、静菌剤、タキサン、アミノ酸、脂肪族化合物、芳香族化合物および尿素化合物からなる群より選択される、請求項12に記載の粒子。
【請求項14】
前記ステロイドが、ベルコメタゾン、ブデソニド、フルチカゾン、フルニソリド、フルオシノロン、ベタメタゾン、モメタゾン、シクレソニド、プレドニゾロン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、デクサメタゾン、トリアムシノロン、モメタゾン、およびこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩、エステル、水和物および溶媒和物からなる群より選択される、請求項13に記載の粒子。
【請求項15】
前記β−アゴニストが、速効型のβアドレナリン作動性アゴニストまたは持続型のβアドレナリン作動性アゴニストである、請求項13に記載の粒子。
【請求項16】
前記速効型のβ−アドレナリン作動性アゴニストが、サルブタモール、ピルブテロール、メタプロテレノール、テルブタリン、およびフェノテロールからなる群より選択される、請求項15に記載の粒子。
【請求項17】
前記持続型のβ−アドレナリン作動性アゴニストが、サルメテロール、フォルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、プロカテロール、ビトレテロール、ブロキサテロールおよびツロブテロール、ならびにこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩、エステル、水和物および溶媒和物からなる群より選択される、請求項15に記載の粒子。
【請求項18】
前記小球状粒子が、2つ以上の活性薬剤の組合せを含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項19】
さらに、ブロッキング剤を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項20】
前記抗真菌剤が、イトラコナゾール、フルコナゾール、ポサコナゾールからなる群より選択される、請求項13に記載の粒子。
【請求項21】
0.5/cmより大きい密度を有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項22】
0.75/cmより大きい密度を有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項23】
0.85/cmより大きい密度を有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項24】
約0.5〜約2g/cmの密度を有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項25】
約0.75〜約1.75g/cmの密度を有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項26】
約0.85〜約1.5g/cmの密度を有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項27】
前記有機分子が、さらに、該有機分子の多形または擬多形を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項28】
前記有機分子が、結晶性、半結晶性または非結晶性である、請求項1に記載の粒子。
【請求項29】
前記粒子が、前記有機分子の制御された放出をもたらすよう修飾されている、請求項1に記載の粒子。
【請求項30】
前記粒子が、非経口投与経路、局所投与経路、経口投与経路、直腸投与経路、鼻投与経路、肺投与経路、膣投与経路、口腔投与経路、舌下投与経路、経皮投与経路、経粘膜投与経路、眼投与経路、経眼投与経路、および耳投与経路からなる群より選択される投与経路に適している、請求項1に記載の粒子。
【請求項31】
前記粒子が、肺送達に適している、請求項1に記載の粒子。
【請求項32】
前記肺送達が、肺の上部気道、肺の気道中心および/または肺の末梢への送達を含む、請求項31に記載の粒子。
【請求項33】
前記粒子が、胃腸管への経口送達に適している、請求項1に記載の粒子。
【請求項34】
前記粒子が、粉末薬吸入器、加圧式定量噴霧式吸入器およびネブライザーからなる群より選択されるデバイスによる送達に適している、請求項1に記載の粒子。
【請求項35】
前記小球状粒子が、局所処置または全身処置に適している、請求項1に記載の粒子。
【請求項36】
前記粒子が、経皮送達に適している、請求項1に記載の粒子。
【請求項37】
前記粒子が、静脈内送達、筋肉内送達、または皮下送達に適している、請求項1に記載の粒子。
【請求項38】
低分子量有機分子活性薬剤の小球状粒子を調製するための方法であって、該方法は、以下:
第1溶媒中の該活性薬剤の溶液を調製する工程であって、該活性薬剤は、該第1溶媒中の溶解度を有する、工程;
第2溶媒を該溶液に添加して、該2つの溶媒および該活性薬剤の三成分溶液を形成する工程であって、ここで該第2溶媒中の該活性薬剤の溶解度は、該第1溶媒中の溶解度よりも低い、工程;
該溶液を表面上に広げて、該表面上に該溶液の薄膜を形成する工程;ならびに
該表面上に小球状粒子のコーティングを形成するために該膜の上に気体の流れを通すことにより、該溶媒を該溶液から蒸発させて、該表面上に該活性薬剤の小球状分子を形成する工程であって、該気体は、該活性薬剤とは反応しない、工程、
を包含する、方法。
【請求項39】
さらに、前記小球状粒子を、前記表面から除去する工程を包含する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記除去工程が、前記表面に第3溶媒を添加する工程を包含する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第3溶媒が、単一の溶媒または溶媒の混合物である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記第3溶媒が、前記第1溶媒または前記第2溶媒と同一である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第3溶媒が、前記第2溶媒と同一である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
さらに、前記第2溶媒を除去して、前記小球状粒子の乾燥粉末を形成する工程を包含する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1溶媒中の前記活性薬剤の溶液の調製の工程が、該第1溶媒への該活性薬剤を添加する工程および該混合物を超音波処理して該第1溶媒中に該活性薬剤を溶解させる工程による、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記表面が、ポリマー、金属、セラミック、またはガラスより選択される材料である、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記表面が、ガラス表面である、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
前記表面が、ポリオレフィン、環状オレフィン、橋かけ多環式炭化水素、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンと炭化水素のコポリマー、および合成ゴムからなる群より選択されるポリマーである、請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記表面が、アルミニウム、ステンレス鋼、バナジウム、白金、チタン、金、ベリリウム、銅、モリブデン、オスミウム、ニッケル、または他の適切な合金もしくは金属あるいは金属複合材からなる群より選択される金属である、請求項38に記載の方法。
【請求項50】
前記表面が、セラミックである、請求項38に記載の方法。
【請求項51】
前記セラミックが、金属酸化物である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記材料が、剛直、半剛直、または可撓性である、請求項38に記載の方法。
【請求項53】
前記表面に前記混合物を広げる工程が、さらに、該表面を動かす工程を包含する、請求項38に記載の方法。
【請求項54】
前記表面が、回転運動、該表面の相対する横方向の両端または相対する垂直方向の両端が相互にねじられながら往復して運動する往復運動、波状運動またはこれらの組合せからなる群より選択される様式で動かされる、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記表面が、滑らかな表面または織物様の表面を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項56】
前記表面が、平坦、湾曲、波型、または不規則からなる群より選択される断面形状を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項57】
前記溶液を表面に広げて、薄膜を形成する工程が、該溶液を回転蒸発用フラスコへ移して、そして該フラスコをゆっくりと回転させて、該フラスコの内側表面上に該溶液のコーティングを形成する工程を包含する、請求項38に記載の方法。
【請求項58】
前記気体が、窒素、水素、ヘリウム、およびアルゴンからなる群より選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項59】
前記気体が、窒素である、請求項38に記載の方法。
【請求項60】
小球状粒子形成が開始された後に、該小球状粒子を乾燥するために、前記気体の流入を低下した流量で継続する工程をさらに包含する、請求項38に記載の方法。
【請求項61】
前記第2の溶媒が、前記活性薬剤の溶解度を低下させる温度まで冷却されている、請求項38に記載の方法。
【請求項62】
前記小球状粒子を前記表面から除去する工程が、さらに、該溶液を超音波処理する工程を包含する、請求項39に記載の方法。
【請求項63】
前記超音波処理する工程が、氷上で実施される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記第2の溶媒を除去する工程が、凍結乾燥する工程を包含する、請求項44に記載の方法。
【請求項65】
前記第1の溶媒が、有機溶媒であり、以下:N−メチル−2−ピロリジノン(N−メチル−2−ピロリドン)、2−ピロリジノン(2−ピロリドン)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、揮発性ケトン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸、乳酸、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、3−ペンタノール、n−プロパノール、ベンジルアルコール、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG−4、PEG−8、PEG−9、PEG−12、PEG−14、PEG−16、PEG−120、PEG−75、PEG−150、ポリエチレングリコールエステル、PEG−4ジラウレート、PEG−20ジラウレート、PEG−6イソステアレート、PEG−8パルミトステアレート、PEG−150パルミトステアレート、ポリエチレングリコールソルビタン、PEG−20ソルビタンイソステアレート、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、PEG−3ジメチルエーテル、PEG−4ジメチルエーテル、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレンアルギネート、PPG−10ブタンジオール、PPG−10メチルグルコースエーテル、PPG−20メチルグルコースエーテル、PPG−15ステアリルエーテル、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、プロピレングリコールラウレート、およびグリコフロール(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル)、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンまたはこれらの組合せからなる群より選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項66】
前記第1の溶媒もしくは前記第2の溶媒または該第1の溶媒および該第2の溶媒の両方が揮発性である、請求項38に記載の方法。
【請求項67】
前記第1の溶媒が、エタノールであり、前記第2の溶媒が水である、請求項38に記載の方法。
【請求項68】
前記第2の溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカンからなる群より選択されるアルカンである、請求項38に記載の方法。
【請求項69】
前記工程が、約25℃以下で実施される、請求項38に記載の方法。
【請求項70】
低分子量薬剤を含む溶液から、小球状粒子を形成するための装置であって、該装置は、以下:
運動のために取付けられた表面;
該溶液を該表面のある領域に塗布するための流体送達デバイス;
起動デバイスであって、該流体送達デバイスに対して該領域を動かすために、該表面に接続される、起動デバイス;および
気体充満空間であって、加圧下で、該表面に気体を提供するために、該表面の近位に配置される、気体充満空間、
を備える、装置。
【請求項71】
前記表面が、平坦、湾曲、波型、または不規則からなる群より選択される断面形状を有する、請求項70に記載の装置。
【請求項72】
前記表面の前記断面形状が、湾曲している、請求項70に記載の装置。
【請求項73】
前記起動デバイスが、前記湾曲した表面を回転するためのシャフトを有するモーターである、請求項72に記載の装置。
【請求項74】
前記湾曲した表面が、シリンダーの外側表面または内側表面に配置される、請求項73に記載の装置。
【請求項75】
前記シリンダーが、ポリマー、金属、セラミックまたはガラスからなる群より選択される材料から作製される、請求項74に記載の装置。、
【請求項76】
前記気体充満空間が、長さを有し、そして該長さに沿って複数の穿孔を有する、請求項75に記載の装置。
【請求項77】
さらに、前記溶液を前記表面に塗布するためのアプリケーターを備える、請求項75に記載の装置。
【請求項78】
前記アプリケーターが、前記溶液を前記表面上に噴霧するか、または該表面との直接の接触によりそれを塗布する、請求項77に記載の装置。
【請求項79】
前記アプリケーターが、前記溶液に接触する第1の部分および前記表面に接触する第2の部分を有するローラーである、請求項77に記載の装置。
【請求項80】
さらに、前記表面から前記膜を除去するためのスクイージを備える、請求項77に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−508240(P2007−508240A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521213(P2006−521213)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/023481
【国際公開番号】WO2005/009375
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】