説明

低分子RNA分子の検出のための組成物および方法

本発明は、多重反応における、低分子RNA分子の検出のための組成物および方法を提供する。本明細書に記載されるアッセイおよびキットは、癌、発生性疾患および変性性疾患、神経障害、ならびに幹細胞障害が挙げられるが、これらに限定されない障害を同定、診断およびモニターするために適用可能である。本発明は、(a)タグであって、ここで該タグは、第1のDNA配列、およびシグナルを生成する1個以上のレポーター分子が付着するレポーター付着領域を含み、ここで該第1のDNA配列は、異質DNA配列を含む、タグ;ならびに(b)ブリッジであって、ここで該ブリッジは、RNA分子に相補的な第2のDNA配列、および該タグの該第1のDNA配列に相補的な第3のDNA配列を含む、ブリッジを含む組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2010年2月11日に出願された米国仮特許出願61/303,517からの優先権を主張し、上記米国仮特許出願は、その全容が、本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、分子生物学の分野に関し、具体的には、混合物中の標的核酸分子の検出、同定、および定量の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ヒト身体におけるすべての細胞は、同じ遺伝物質を含むが、同一の遺伝子は、それら細胞のうちのすべてにおいて活性であるわけではない。遺伝子発現パターンにおける改変は、生物学的機能に対して顕著な効果を有し得る。遺伝子発現におけるこれらバリエーションは、改変された生理学的および病的プロセスのコアになる。従って、病的な細胞と比較して、正常細胞における遺伝子の発現を同定および定量することは、新薬および診断標的の発見を補助し得る。
【0004】
核酸は、それらの特定のポリヌクレオチド配列に基づいて、検出および定量され得る。既存の検出および定量の方法の根底にある基本的原理は、標識された相補的プローブ配列の、サンプル中の目的の標的配列へのハイブリダイゼーションである。二重鎖の形成は、上記サンプル中の上記標的配列の存在を示す。
【0005】
この技術(分子ハイブリダイゼーションといわれる)は、複雑な混合物中で特定の核酸配列を同定および分析するための有用なツールであった。この技術は、例えば、生物学的サンプル中の種々の微生物の核酸配列を検出するために、診断において使用されてきた。さらに、ハイブリダイゼーション技術は、個体間の遺伝的差異もしくは多型をマップするために使用されてきた。さらに、これら技術は、細胞の異なる集団においてもしくは異なる遺伝子で処理された細胞において、遺伝子発現における変化をモニターするために使用されてきた。
【0006】
ハイブリダイゼーション技術での低分子RNA分子、マイクロRNA(miRNA)分子の同定は、いくつかの特有な困難を示す。代表的miRNA標的の長さの短いRNA分子への検出プローブのハイブリダイゼーションは、低い融解温度で生じ、複数の検出部分による同時の結合を妨げる。低い融解温度ハイブリダイゼーションは、単一の核酸だけが異なり得るmiRNA配列を標的とするために複数のプローブの特異的結合には不都合である。さらに、miRNA配列は、非常に種々のハイブリダイゼーション融解温度を生じる一定の長さもしくは保存された長さを有するにもかかわらず、大きな多様性を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、複雑な混合物中の標的核酸分子の正確かつ敏感な検出、同定および定量が必要である。特に、複雑な混合物もしくは多重反応において、低分子RNA分子(例えば、miRNA分子)の特異的検出が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明の組成物および方法は、複雑な混合物もしくは多重反応において、低分子RNA分子(例えば、miRNA分子)の特異的検出のために長期間必要とされてきた解決法を提供する。これは、上記標的低分子RNAと、特有なタグの特異的付着を指向するブリッジ分子との間のハイブリダイゼーションの融解温度を標準化することによって、単一の温度での特有な配列特異的タグ分子への任意の低分子RNA分子の連結によって達成され得る。上記連結されたタグは、その後、タグ化低分子RNAの混合集団の融解温度を標準化し、このことは、上記混合集団が多重ハイブリダイゼーションアッセイに供されることを可能にする。上記アッセイにおいて、同じ温度で配列特異的様式において、低分子RNAを区別することは可能である。
【0009】
具体的には、本発明は、(a)タグであって、ここで上記タグは、第1のDNA配列およびシグナルを生成する1個以上のレポーター分子が付着するレポーター付着領域を含み、ここで上記第1のDNA配列は、異質DNA配列を含む、タグ;ならびに(b)ブリッジであって、ここで上記ブリッジは、RNA分子に相補的な第2のDNA配列および上記タグの上記第1のDNA配列に相補的な第3のDNA配列を含む、ブリッジ、を含む組成物を提供する。
【0010】
この組成物の一局面において、上記第2のDNA配列は、RNA分子もしくはその一部分に相補的である。上記RNA分子の一部分は、上記RNA分子の全長より短い。特定の局面において、上記一部分は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、もしくは上記RNA分子の全長の間での任意のパーセンテージ点である。さらに、上記一部分は、連続もしくは非連続のいずれかである。
【0011】
上記組成物の別の局面において、上記タグの第1のDNA配列は、異質DNAを含む。ここで上記異質DNAは、いずれの他のDNAとも、上記ブリッジの上記第3のDNA配列以外の上記組成物中のRNA分子とも、交差ハイブリダイズしない。代わりに、もしくはさらに、上記異質DNAは、DNAおよび上記ブリッジの上記第3のDNA配列以外の上記組成物中のRNA分子のうちの15%未満と交差ハイブリダイズする。具体的には、上記異質DNA配列は、15%以下、10%以下、5%以下、2%以下、1%以下もしくは上記ブリッジの上記第3のDNA配列以外の上記組成物中のDNAおよびRNA分子の間の任意のパーセンテージ点で交差ハイブリダイズする。上記組成物の特定の局面において、上記タグは、異質DNAから構成される第1のDNA配列を含み、上記異質DNAは、上記組成物中の任意の既知のDNAもしくはRNAに対して15塩基以下の最大連続相動性で、35塩基にわたって85%以下である。あるいは、上記異質DNAは、任意の既知のゲノムDNAもしくはRNA配列に対して15塩基以下の最大連続相動性で、35塩基にわたって85%以下の同一性を有する。さらに、上記異質DNAは、ゲノム(ここから、上記標的RNA分子が転写される)に由来するかもしくは上記ゲノムによって転写される任意の既知のDNAもしくはRNA配列に対して15塩基以下の最大連続相動性で、35塩基にわたって85%以下の同一性を有する。標的RNA分子は、任意の種(動物、植物、細菌、真菌およびウイルスが挙げられるが、これらに限定されない)のゲノムに由来するかもしくは上記ゲノムによって転写される。好ましい種は、哺乳動物(霊長類、このミズ育波、ヒトおよび齧歯類(ウサギ、ラットおよびマウスが挙げられる)が挙げられる)である。
【0012】
上記タグの特定の局面において、上記第1のDNA配列および上記レポーター付着領域は、接線方向(tangential)もしくは重複している。上記第1のDNA配列および上記レポーター付着領域は、1〜5、5〜10、10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜35、35〜40、40〜45、45〜50、50〜55、55〜60、60〜65、65〜70、75〜80、80〜85、85〜90、90〜95、95〜100、もしくはその間の任意のヌクレオチド数の範囲のDNAヌクレオチド数が重複し得る。さらに、上記第1のDNA配列および上記レポーター付着領域は、1〜5%、5〜10%、10〜15%、15〜20%、20〜25%、25〜30%、30〜35%、35〜40%、40〜45%、45〜50%、50〜55%、55〜60%、60〜65%、65〜70%、75〜80%、80〜85%、85〜90%、90〜95%、95〜100%、もしくはその間の上記第1のDNA配列のヌクレオチドの任意のパーセンテージの範囲に及ぶ、上記第1のDNA配列中に存在するヌクレオチド総数のパーセンテージが重複し得る。特定の局面において、上記レポーター付着領域は、上記第1のDNA配列内に全体的に含まれ得る。
【0013】
上記組成物の一実施形態において、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、連続している。あるいは、上記第2のおよび第3のDNA配列は、少なくとも2個のデオキシリボヌクレオチドを含むリンカー分子によってつながれる。上記組成物の特定の局面において、上記リンカー分子は、2〜100個の間のデオキシリボヌクレオチド、および具体的には、2〜10個の間のデオキシリボヌクレオチド、10〜20個のデオキシリボヌクレオチド、20〜30個のデオキシリボヌクレオチド、30〜40個のデオキシリボヌクレオチド、40〜50個のデオキシリボヌクレオチド、50〜60個のデオキシリボヌクレオチド、60〜70個のデオキシリボヌクレオチド、70〜80個のデオキシリボヌクレオチド、80〜90個のデオキシリボヌクレオチド、90〜100個のデオキシリボヌクレオチド、もしくはその間の任意の数のデオキシリボヌクレオチドを含む。上記リンカー分子は、任意の種から得られるかもしくは任意の種に由来するデオキシリボヌクレオチド(DNA)配列(異質もしくは合成配列を含む)を含み得る。
【0014】
上記組成物の特定の局面において、上記ブリッジの上記第2のDNA配列および上記RNA分子は、37〜95℃の間の融解温度を有するDNA/RNAヘテロ二重鎖を形成する。あるいは、上記ブリッジの上記第2のDNA配列および上記RNA分子は、44〜53℃の間の融解温度を有するDNA/RNAヘテロ二重鎖を形成する。他の局面において、上記ブリッジの上記第3のDNA配列および上記タグの上記第1の配列は、37〜95℃の間の融解温度を有するDNA/DNA二重鎖を形成する。あるいは、上記ブリッジの上記第3のDNA配列および上記タグの上記第1の配列は、44〜53℃の間の融解温度を有するDNA/DNA二重鎖を形成する。
【0015】
上記組成物の好ましい局面において、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、実質的に同じ融解温度を有する核酸二重鎖を形成する。特定の局面において、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、互いに1℃、2℃、5℃、10℃、15℃、20℃、もしくはその間の任意の程度以内の融解温度を有する核酸二重鎖を形成する。好ましくは、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、互いに1℃、2℃、もしくは5℃の中で融解温度を有する核酸二重鎖を形成する。
【0016】
上記組成物の別の実施形態において、上記第3のDNA配列は、異質DNA配列を含む。この実施形態の一局面において、上記第3のDNA配列は、異質DNA配列の一部分を含む。
【0017】
上記組成物の別の実施形態において、上記RNAは、非コードRNAを含む。例示的非コードRNAとしては、トランスファーRNA(tRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短い干渉RNA(siRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、反復関連低分子干渉RNA(rasiRNA)、およびpiwi相互作用RNA(piRNA)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい局面において、上記非コードRNAは、miRNAである。代わりにもしくはさらに、上記RNA分子は、10〜300個の間のリボヌクレオチドを含む。
【0018】
上記組成物の特定の実施形態において、上記RNA分子および/もしくは上記タグは、完全な相補性で上記ブリッジに特異的にハイブリダイズする配列を含む。代わりに、もしくはさらに、上記RNA分子および/もしくは上記タグは、部分的相補性で上記ブリッジに特異的にハイブリダイズする配列を含む。特定の局面において、部分的相補性は、完全未満もしくは100%未満の相補性として定義される。あるいは、部分的相補性は、100%未満、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、もしくはその間の任意のパーセンテージ値での結合として定義される。
【0019】
本発明は、(a)以下:(1)タグであって、ここで上記タグは、第1のDNA配列およびシグナルを生成する1個以上のレポーター分子が付着するレポーター付着領域を含む、タグ;ならびに(2)ブリッジであって、ここで上記ブリッジは、RNA分子に相補的な第2のDNA配列および上記タグの上記第1のDNA配列に相補的な第3のDNA配列を含むブリッジ、を含む組成物;ならびに(b)ボリュームエクスクルーダー(volume excluder)およびヌクレアーゼからなる群より選択される物質、を含むキットをさらに提供する。必要に応じて、上記キットは、リガーゼをさらに含む。
【0020】
上記キットの一実施形態において、上記選択された物質は、ボリュームエクスクルーダーである。好ましいボリュームエクスクルーダーの非限定的例は、ポリエチレングリコール(PEG)である。
【0021】
上記キットの別の実施形態において、上記選択された物質は、ヌクレアーゼである。上記ヌクレアーゼは、好ましくは、DNA特異的エキソヌクレアーゼである。DNA特異的エキソヌクレアーゼの非限定的例は、λエキソヌクレアーゼである。
【0022】
上記キットの特定の実施形態において、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、連続している。あるいは、上記第2のおよび第3のDNA配列は、リンカー分子によって繋げられる。上記キットの特定の局面において、上記リンカー分子は、2〜100個の間のデオキシリボヌクレオチド、および具体的には、2〜10個の間のデオキシリボヌクレオチド、10〜20個のデオキシリボヌクレオチド、20〜30個のデオキシリボヌクレオチド、30〜40個のデオキシリボヌクレオチド、40〜50個のデオキシリボヌクレオチド、50〜60個のデオキシリボヌクレオチド、60〜70個のデオキシリボヌクレオチド、70〜80個のデオキシリボヌクレオチド、80〜90個のデオキシリボヌクレオチド、90〜100個のデオキシリボヌクレオチド、もしくはその間のデオキシリボヌクレオチドの任意の数を含む。上記リンカー分子は、異質配列を含む、任意の種から得られるかもしくは任意の種に由来するデオキシリボヌクレオチド(DNA)配列を含み得る。
【0023】
上記キットの他の実施形態において、上記ブリッジの上記第2のDNA配列および上記RNA分子は、37〜95℃の間の融解温度を有するDNA/RNAヘテロ二重鎖を形成する。あるいは、上記ブリッジの上記第2のDNA配列および上記RNA分子は、44〜53℃の間の融解温度を有するDNA/RNAヘテロ二重鎖を形成する。さらなる実施形態において、上記ブリッジの上記第3のDNA配列および上記タグの上記第1の配列は、37〜95℃の間の融解温度を有するDNA/DNA二重鎖を形成する。あるいは、上記ブリッジの上記第3のDNA配列および上記タグの上記第1の配列は、44〜53℃の間の融解温度を有するDNA/DNA二重鎖を形成する。
【0024】
好ましい実施形態において、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、実質的に同じ融解温度を有する核酸二重鎖を形成する。特定の局面において、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、互いに1℃、2℃、5℃、10℃、15℃、20℃、もしくはその間の任意の程度以内の融解温度を有する核酸二重鎖を形成する。好ましくは、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、互いに1℃、2℃、もしくは5℃以内の融解温度を有する核酸二重鎖を形成する。
【0025】
別の好ましい実施形態において、上記第3のDNA配列は、異質DNA配列を含む。
【0026】
上記キットの特定の実施形態において、上記RNA分子および/もしくは上記タグは、完全な相補性で上記ブリッジに特異的にハイブリダイズする配列を含む。代わりに、もしくはさらに、上記RNA分子および/もしくは上記タグは、部分的相補性で上記ブリッジに特異的にハイブリダイズする配列を含む。特定の局面において、部分的相補性は、完全未満もしくは100%未満の相補性として定義される。あるいは、部分的相補性は、100%未満、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、もしくは10%の相補性での、またはその間の任意のパーセンテージ値での結合として定義される。
【0027】
本発明は、RNA分子を検出するための方法をさらに提供し、上記方法は、(a)少なくとも1個のRNA分子を含むサンプルを提供する工程;(b)タグを提供する工程であって、ここで上記タグは、第1のDNA配列およびシグナルを生成する1個以上のレポーター分子が付着するレポーター付着領域を含む、工程;(c)ブリッジを提供する工程であって、ここで上記ブリッジは、上記RNA分子に相補的な第2のDNA配列および上記タグの上記第1のDNA配列に相補的な第3のDNA配列を含む、工程;ならびに(d)緩衝液を提供する工程;(e)37〜95℃の間で上記RNA分子、ブリッジ、およびタグを特異的にアニーリングさせる工程;(f)37〜95℃の間で上記アニーリング反応物を保持する工程;(g)リガーゼ緩衝液を提供する工程;(h)リガーゼを、37〜95℃の間で上記アニーリングされた反応生成物に提供する工程;(i)37〜95℃の間の1つ以上の温度で上記RNA分子を上記タグに連結する工程;ならびに(j)上記シグナルを検出する工程、を包含する。
【0028】
特定の実施形態において、RNA分子を検出するためのこの方法は、37〜95℃の間で上記RNA分子、ブリッジ、およびタグを特異的にアニーリングさせる前に、上記RNA分子、ブリッジ、およびタグを変性する工程をさらに包含する。
【0029】
この方法の別の実施形態において、工程(e)、(f)、(h)、および(i)は、43〜52℃の間で行われる。
【0030】
他の実施形態において、RNA分子を検出するためのこの方法は、37〜95℃の間で上記アニーリング反応物を保持した後に、ボリュームエクスクルーダーを提供する工程をさらに包含する。ボリュームエクスクルーダーの非限定的例は、ポリエチレングリコール(PEG)である。
【0031】
特定の実施形態において、上記方法は、37〜95℃の間で上記RNA分子を上記タグに連結した後に、ヌクレアーゼを上記連結反応に提供する工程をさらに包含する。一局面において、上記ヌクレアーゼは、DNA特異的エキソヌクレアーゼである。上記DNA特異的エキソヌクレアーゼの非限定的実施例は、λエキソヌクレアーゼである。
【0032】
RNA分子を検出するこの方法の好ましい実施形態において、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、連続している。あるいは、上記第2のおよび第3のDNA配列は、リンカー分子によって繋げられる。この方法の特定の局面において、上記リンカー分子は、2〜100個の間のデオキシリボヌクレオチド、および具体的には、2〜10個の間のデオキシリボヌクレオチド、10〜20個のデオキシリボヌクレオチド、20〜30個のデオキシリボヌクレオチド、30〜40個のデオキシリボヌクレオチド、40〜50個のデオキシリボヌクレオチド、50〜60個のデオキシリボヌクレオチド、60〜70個のデオキシリボヌクレオチド、70〜80個のデオキシリボヌクレオチド、80〜90個のデオキシリボヌクレオチド、90〜100個のデオキシリボヌクレオチド、もしくはその間のデオキシリボヌクレオチドの任意の数を含む。上記リンカー分子は、異質配列を含む、任意の種から得られるかもしくは任意の種に由来するデオキシリボヌクレオチド(DNA)配列を含み得る。
【0033】
RNA分子を検出するためのこの方法の別の実施形態において、上記RNAは、非コードRNAを含む。例示的な非コードRNAとしては、トランスファーRNA(tRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短い干渉RNA(siRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、反復関連低分子干渉RNA(rasiRNA)、およびpiwi相互作用RNA(piRNA)が挙げられるが、これらに限定されない。この方法の好ましい局面において、上記非コードRNAは、miRNAである。
【0034】
RNA分子を検出するこの方法の特定の実施形態において、上記ブリッジの上記第2のDNA配列および上記RNA分子は、37〜95℃の間の融解温度を有するDNA/RNAヘテロ二重鎖を形成する。あるいは、上記ブリッジの上記第2のDNA配列および上記RNA分子は、44〜53℃の間の融解温度を有するDNA/RNAヘテロ二重鎖を形成する。他の実施形態において、上記ブリッジの上記第3のDNA配列および上記タグの上記第1の配列は、37〜95℃の間の融解温度を有するDNA/DNA二重鎖を形成する。あるいは、上記ブリッジの上記第3のDNA配列および上記タグの上記第1の配列は、44〜53℃の間の融解温度を有するDNA/DNA二重鎖を形成する。
【0035】
RNA分子を検出するためのこの方法の好ましい実施形態において、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、実質的に同じ融解温度を有する核酸二重鎖を形成する。特定の局面において、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、1℃、2℃、5℃、10℃、15℃、20℃、もしくは互いにその間の任意の程度以内で融解温度を有する核酸二重鎖を形成する。好ましくは、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、互いに1℃、2℃、もしくは5℃以内の融解温度を有する核酸二重鎖を形成する。
【0036】
RNA分子を検出するためのこの方法の一実施形態において、上記第3のDNA配列は、異質DNA配列を含む。
【0037】
RNA分子を検出するためのこの方法の特定の局面において、上記RNA分子および/もしくは上記タグは、完全な相補性で上記ブリッジに特異的にハイブリダイズする配列を含む。代わりに、もしくはさらに、上記RNA分子および/もしくは上記タグは、部分的相補性で上記ブリッジに特異的にハイブリダイズする配列を含む。特定の局面において、部分的相補性は、完全未満もしくは100%未満の相補性として定義される。あるいは、部分的相補性は、100%未満、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、もしくは10%の相補性での、またはその間の任意のパーセンテージ値での結合として定義される。
【0038】
本発明は、複数のRNA分子の多重検出(multiplex detection)のための方法をさらに提供し、上記方法は、(a)複数のRNA分子を含むサンプルを提供する工程;(b)複数のタグを提供する工程であって、ここで各タグは、第1のDNA配列およびシグナルを生成する1個以上のレポーター分子が付着する少なくとも1個のレポーター付着領域を含む、工程;(c)複数のブリッジを提供する工程であって、ここで各ブリッジは、1個のRNA分子に相補的な第2のDNA配列および上記タグの上記第1のDNA配列に相補的な第3のDNA配列を含み、ここで各ブリッジは、RNA分子の1種およびタグの1種に特異的にアニーリングし、ここで上記タグの1種は、上記RNAの1種が上記タグに結合される場合にRNA分子の他の種と比較して、RNA分子の1種を異なって標識するシグナルを生じる、工程;(d)緩衝液を提供する工程;(e)37〜95℃の間で上記RNA分子、ブリッジ、およびタグを特異的にアニーリングさせる工程;(f)37〜95℃の間で上記アニーリング反応物を保持する工程;(g)リガーゼ緩衝液を提供する工程;(h)リガーゼを、37〜95℃の間で上記アニーリング反応物に直接提供する工程;(i)37〜95℃の間の1つ以上の温度で上記RNA分子、ブリッジ、およびタグを、連結する工程;ならびに(j)1種以上のシグナルを検出する工程、を包含する。
【0039】
一実施形態において、複数のRNA分子のこの多重検出法は、37〜95℃の間で上記RNA分子、ブリッジ、およびタグを特異的にアニーリングさせる前に、上記RNA分子、ブリッジ、およびタグを変性する工程をさらに包含する。
【0040】
複数のRNA分子のこの多重検出法の別の実施形態において、工程(e)、(f)、(h)、および(i)は、43〜52℃の間で行われる。
【0041】
特定の実施形態において、複数のRNA分子のこの多重検出法は、37〜95℃の間で上記アニーリング反応物を保持した後に、ボリュームエクスクルーダーを提供する工程をさらに包含する。上記ボリュームエクスクルーダーの非限定的例は、ポリエチレングリコール(PEG)である。代わりに、もしくはさらに、上記方法は、37〜95℃において上記RNA分子を上記タグに連結した後に、ヌクレアーゼを上記連結反応物に提供する工程をさらに包含する。一局面において、上記ヌクレアーゼは、DNA特異的エキソヌクレアーゼである。上記DNA特異的エキソヌクレアーゼの非限定的な例は、λエキソヌクレアーゼである。
【0042】
複数のRNA分子のこの多重検出法の好ましい実施形態において、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、連続している。あるいは、上記第2のおよび第3のDNA配列は、リンカー分子によってつながれる。この方法の特定の局面において、上記リンカー分子は、2〜100個の間のデオキシリボヌクレオチド、および具体的には、2〜10個の間のデオキシリボヌクレオチド、10〜20個のデオキシリボヌクレオチド、20〜30個のデオキシリボヌクレオチド、30〜40個のデオキシリボヌクレオチド、40〜50個のデオキシリボヌクレオチド、50〜60個のデオキシリボヌクレオチド、60〜70個のデオキシリボヌクレオチド、70〜80個のデオキシリボヌクレオチド、80〜90個のデオキシリボヌクレオチド、90〜100個のデオキシリボヌクレオチド、もしくはその間の任意の数のデオキシリボヌクレオチドを含む。上記リンカー分子は、異質配列を含む、任意の種から得られるかもしくは任意の種に由来するデオキシリボヌクレオチド(DNA)配列を含み得る。
【0043】
別の好ましい実施形態において、上記第3のDNA配列は、異質DNA配列を含む。
【0044】
複数のRNA分子のこの多重検出法の別の実施形態において、上記RNA分子は、非コードRNAを含む。上記非コードRNAの非限定的な例としては、トランスファーRNA(tRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短い干渉RNA(siRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、反復関連低分子干渉RNA(rasiRNA)、もしくはpiwi相互作用RNA(piRNA)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、上記非コードRNAは、miRNAである。
【0045】
複数のRNA分子のこの多重検出法の特定の実施形態において、上記ブリッジの上記第2のDNA配列および上記RNA分子は、37〜95℃の間の融解温度を有するDNA/RNAヘテロ二重鎖を形成する。あるいは、上記ブリッジの上記第2のDNA配列および上記RNA分子は、44〜53℃の間の融解温度を有するDNA/RNAヘテロ二重鎖を形成する。他の実施形態において、上記ブリッジの上記第3のDNA配列および上記タグの上記第1の配列は、37〜95℃の間の融解温度を有するDNA/DNA二重鎖を形成する。あるいは、上記ブリッジの上記第3のDNA配列および上記タグの上記第1の配列は、44〜53℃の間の融解温度を有するDNA/DNA二重鎖を形成する。
【0046】
複数のRNA分子のこの多重検出法の好ましい実施形態において、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、実質的に同じ融解温度を有する核酸二重鎖を形成する。特定の局面において、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、互いに1℃、2℃、5℃、10℃、15℃、20℃、もしくはその間の任意の程度以内の融解温度を有する核酸二重鎖を形成する。好ましくは、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、互いに1℃、2℃、もしくは5℃以内の融解温度を有する核酸二重鎖を形成する。
【0047】
複数のRNA分子のこの多重検出法の一実施形態において、上記RNA分子および/もしくは上記タグは、完全な相補性で上記ブリッジに特異的にハイブリダイズする配列を含む。代わりに、もしくはさらに、上記RNA分子および/もしくは上記タグは、部分的相補性で上記ブリッジに特異的にハイブリダイズする配列を含む。特定の局面において、部分的相補性は、完全未満もしくは100%未満の相補性として定義される。あるいは、部分的相補性は、100%未満、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、もしくはその間の任意のパーセンテージ値での結合として定義される。
【0048】
本発明はまた、核酸ブリッジ分子を作製するための方法を提供し、上記方法は、(a)RNA分子を選択する工程;(b)上記RNA分子のセグメントを選択する工程であって、上記RNA分子の上記セグメントは、37〜95℃の間の融解温度を有する上記RNA分子の上記セグメントに特異的にハイブリダイズするDNA分子と、DNA/RNAヘテロ二重鎖を形成する工程;(c)第1のDNAブリッジ分子を生成する工程であって、上記第1のDNAブリッジ分子は、37〜95℃の間の融解温度を有する上記RNA分子の上記セグメントに特異的にハイブリダイズする工程;(d)タグを選択する工程であって、ここで上記タグは、異質配列であるDNA配列を含む、工程;(e)上記タグのセグメントを選択する工程であって、上記タグの上記セグメントは、37〜95℃の間の融解温度を有する上記タグの上記セグメントに特異的にハイブリダイズするDNA分子と、DNA/DNA二重鎖を形成する工程;(f)37〜95℃の間の融解温度を有する上記タグの上記セグメントに特異的にハイブリダイズする第2のDNAブリッジ分子を生成する工程;ならびに(g)上記第1のDNAブリッジ分子と、上記第2のDNAブリッジ分子とを一体化させ、それによって、37〜95℃の間の融解温度を有する上記標的RNA分子の上記セグメントおよび37〜95℃の間の融解温度を有する上記タグの上記セグメントに特異的にハイブリダイズする上記核酸DNAブリッジ分子を形成する工程を包含する。
【0049】
核酸ブリッジ分子を作製するためのこの方法の特定の実施形態において、上記一体化する工程は、上記第1のDNAブリッジ分子を上記第2のDNAブリッジ分子に連結する工程を包含する。あるいは、上記一体化する工程は、上記第1のDNAブリッジ分子の配列および上記第2のDNAブリッジ分子の配列を含む核酸DNAブリッジ分子を合成する工程を包含する。
【0050】
核酸ブリッジ分子を作製するこの方法の好ましい実施形態において、上記第1のDNAブリッジ分子および上記第2のDNAブリッジ分子は、実質的に同じ融解温度を有する。特定の局面において、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、互いに1℃、2℃、5℃、10℃、15℃、20℃、もしくはその間の任意の程度以内で融解温度を有する核酸二重鎖を形成する。好ましくは、上記ブリッジの上記第2のおよび第3のDNA配列は、互いに1℃、2℃、もしくは5℃以内で融解温度を有する核酸二重鎖を形成する。
【0051】
核酸ブリッジ分子を作製するこの方法の別の好ましい実施形態において、上記第2のDNAブリッジ分子は、上記タグの第1のDNA配列の5’末端から選択される。具体的には、上記第2のDNA分子は、2〜5個のヌクレオチド、2〜10個のヌクレオチド、2〜20個のヌクレオチド、2〜30個のヌクレオチド、2〜40個のヌクレオチド、2〜50個のヌクレオチド、2〜60個のヌクレオチド、2〜70個のヌクレオチド、2〜80個のヌクレオチド、2〜90個のヌクレオチド、2〜100個のヌクレオチドもしくは上記タグの第1のDNA配列の5’末端に由来するヌクレオチドの間の任意の範囲を含む、上記タグの第1のDNA配列の一部分から選択される。好ましくは、上記第2のDNA分子は、上記タグの第1のDNA配列の5’末端から2〜10個の間のヌクレオチドもしくは2〜20個の間のヌクレオチドを含む、上記タグの第1のDNA配列の一部分から選択される。
【0052】
核酸ブリッジ分子を作製するこの方法の特定の実施形態において、上記DNA/RNAヘテロ二重鎖は、43〜52℃の間の融解温度を有する。代わりに、もしくはさらに、上記DNA/DNA二重鎖は、43〜52℃の間の融解温度を有する。
【0053】
核酸ブリッジ分子を作製するためのこの方法の好ましい実施形態において、上記第1のDNAブリッジ分子および上記第2のDNAブリッジ分子は、連続している。あるいは、上記第2のおよび第3のDNA配列は、リンカー分子によって繋げられる。この方法の特定の局面において、上記リンカー分子は、2〜100個の間のデオキシリボヌクレオチド、および具体的には、2〜10個の間のデオキシリボヌクレオチド、10〜20個のデオキシリボヌクレオチド、20〜30個のデオキシリボヌクレオチド、30〜40個のデオキシリボヌクレオチド、40〜50個のデオキシリボヌクレオチド、50〜60個のデオキシリボヌクレオチド、60〜70個のデオキシリボヌクレオチド、70〜80個のデオキシリボヌクレオチド、80〜90個のデオキシリボヌクレオチド、90〜100個のデオキシリボヌクレオチド、もしくはその間の任意の数のデオキシリボヌクレオチドを含む。上記リンカー分子は、異質配列を含む、任意の種から得られるかもしくは任意の種に由来するデオキシリボヌクレオチド(DNA)配列を含み得る。
【0054】
核酸ブリッジ分子を作製するためのこの方法の他の実施形態において、上記RNA分子は、miRNAである。あるいは、上記RNA分子は、非コードRNAを含む。好ましくは、上記非コードRNAは、miRNAである。
【0055】
特に、上記RNA分子がmiRNAであるが、本明細書で提示されるすべての実施形態に関して、核酸ブリッジ分子を作製するためのこの方法のそれら実施形態において、上記第1のDNAブリッジ分子は、完全な相補性で上記RNA分子にハイブリダイズする。あるいは、上記第1のDNAブリッジ分子は、部分的相補性で上記RNA分子にハイブリダイズする。本明細書で提示されるすべての実施形態に関して、上記第2のDNAブリッジ分子は、完全な相補性で上記タグにハイブリダイズする。あるいは、上記第2のDNAブリッジ分子は、部分的相補性で上記タグにハイブリダイズする。特定の局面において、部分的相補性は、完全未満もしくは100%未満の相補性として定義される。あるいは、部分的相補性は、100%未満、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、もしくはその間の任意のパーセンテージ値での結合として定義される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、Tm(摂氏度(℃))に対するヒトmiRNAのパーセンテージ(%)として、ヒトmiRNA融解温度(Tm)分布を示すグラフである。
【図2】図2は、キメラRNA:DNAヘテロ二重鎖の模式図である。ここで上記レポーター付着領域(A)は、上記DNAタグを含み、上記DNA配列(C)および(D)は、上記ブリッジを含む。
【図3】図3は、キメラRNA:DNAヘテロ二重鎖の模式図である。ここで上記レポーター付着領域(A)およびさらなる配列(B)は、上記DNAタグを含み、上記DNA配列(C)および(D)は、上記ブリッジを含む。
【図4】図4は、ゲル電気泳動アッセイの写真である。45〜52℃の範囲の温度で完了し、miRNA、タグおよびその対応するブリッジを含む成功裏の連結反応の結果が、示される。
【図5−1】図5Aは、肺組織から単離された総RNAに対する、骨格筋から単離された総RNAにおけるmiRNA発現レベルを示すグラフである。サンプルを、nCounter(登録商標)miRNA発現アッセイキットを使用して測定した。図5Bは、結腸組織から単離された総RNAに対して、心臓組織から単離された総RNAにおけるmiRNA発現レベルを示すグラフである。サンプルを、nCounter(登録商標)miRNA発現アッセイキットを使用して測定した。
【図5−2】図5Cは、肺組織から単離された総RNAに対する、心臓組織から単離された総RNAにおけるmiRNA発現レベルを示すグラフである。サンプルを、nCounter(登録商標)miRNA発現アッセイキットを使用して測定した。図5Dは、骨格筋から単離された総RNAに対する、結腸組織から単離された総RNAにおけるmiRNA発現レベルを示すグラフである。サンプルを、nCounter(登録商標)miRNA発現アッセイキットを使用して測定した。
【図6】図6Aは、骨格筋、肺、結腸、および心臓組織から単離された総RNAにおける、ヒトmiRNAである、miR−133a、miR−143、miR−16、miR−21、miR−29a、およびmiR−30の発現レベルを示すグラフである。サンプルを、nCounter(登録商標)miRNA発現アッセイキットを使用して測定した。図6Bは、骨格筋、肺、結腸、および心臓組織から単離された総RNAにおけるヒトmiRNAであるmiR−1の発現レベルを示すグラフである。サンプルを、nCounter(登録商標)miRNA発現アッセイキットを使用して測定した。
【図7】図7は、同じ組織原から集められたホルマリン固定され、パラフィン包埋した(FFPE)か、または凍結ヒト肝臓サンプルのいずれかから精製した総RNAのうちの100ngに対して実施した55個のヒトmiRNAについての、多重nCounter(登録商標) miRNA発現活性の結果を示すグラフである。結果は、町治した凍結肝臓コントロールにおける計数に対する、マッチしたFFPE肝臓RNAにおける計数として表される。
【図8】図8は、2回の技術的複製の相関を示すグラフである。ここで676個のヒトmiRNAについての多重nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイを、ヒト脳総RNAのうちの100ngに対して実施した。上記データは、nCounter(登録商標)計数(技術的複製♯1)に対するnCounter(登録商標)計数(技術的複製♯2)として示す。
【図9】図9Aは、多重nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイにおいて基準ブリッジプールおよび改変体ブリッジプールでアッセイした5個の基準(左)、改変体1(中央)、もしくは改変体2(右) 合成miRNAの混合物を示す一連のグラフである。上記グラフは、3つの混合物の各々が、基準(黒棒)、改変体1(白棒)、および改変体2(灰色棒)のブリッジプールについてアッセイした場合の計数結果を示す。図9Bは、5個のmiRNAの各々について60% 基準(黒)、30% 改変体1(白)、および10%改変体2(灰色)を含む混合物を測定するために使用されるnCounter(登録商標) miRNA発現アッセイからの結果を示すグラフである。このアッセイにおいて測定された各種の相対量は、各miRNAの総シグナルのうちのパーセンテージとして示される。
【発明を実施するための形態】
【0057】
(詳細な説明)
本発明は、mRNA遺伝子発現の多重分析のための感度の高いハイブリダイゼーションベースの技術を提供する。本発明の特定の実施形態において、上記nCounter(登録商標)分析システムが使用される。上記nCounter(登録商標)分析システムを使用するmRNA検出実験において、高いハイブリダイゼーション反応温度(代表的には、65℃)は、70〜100塩基標的領域の特異的標的/レポーター相互作用を促進する。このようなアッセイは、このような短い配列の低い融解温度(T)に起因して、低分子核酸種(例えば、miRNA)の検出を可能にしない。従って、本発明は、上記nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイキットにおいて使用され得る新規なアッセイを提供することによってこの問題を解決する。これは、本明細書に記載されるnCounter(登録商標)分析システムと適合性であり、モデル系としてマイクロRNA(miRNA)を使用して、短いRNAの特異的かつ感度の高い検出を可能にする。上記アッセイは、低分子RNAの各別個の種に特異的DNAタグを付着させ、それによって、上記nCounter(登録商標)分析システムの標準的ハイブリダイゼーション条件と適合性であるように十分高いTでキメラRNA−DNA標的を作ることを含む。上記タグの付加は、単一のサンプルが、数百種もの低分子RNAについて同時にアッセイされ得るように、多重様式で行われ得る。本発明の重要な特徴は、上記タグ付着反応の特異性および効率が多重フォーマットで維持されるように、狭く規定された反応条件下での各タグの非常に特異的な付着である。ここで別個の相互作用のすべてが、同時にかつ同一の反応条件下で生じる。
【0058】
マイクロRNA(miRNA)は、長さが約21〜23個のヌクレオチドの、小さな内因性の調節性の非コード一本鎖RNA分子である。miRNAは一般に、非常に多くの配列多様性を示す一方で、miRNAの小さなグループ(miRNAファミリー)は、>90% 配列同一性で存在する。ほぼ同一の種の特異的検出のためのハイブリダイゼーションベースのアッセイは、上記標的種のT付近でハイブリダイゼーションが起こるときに最も感度が高い。このような条件は、標的種とミスマッチ種との間の熱力学的不安定化を最大にすることによって、ほぼ同一の配列の間の交差ハイブリダイゼーションを大いに減少させる。miRNAおよび他の低分子RNAの全体的な配列多様性は、それらのハイブリダイゼーションの特異的多重検出を複雑にする。なぜなら、それは、標的間で至適ハイブリダイゼーション温度(すなわち、標的T)が変動することを意味するからである(図1)。上記nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイキットの第2の重要な特徴は、天然に存在する低分子RNA配列の種々のTの標準化を可能にする各合成DNAタグの標的特異的設計である;言い換えると、個々のタグは、根底にある生物学的RNA配列のTに関わらず、最終的なRNA−DNAキメラ等価物のTを作製するように設計される。このことは、その後のハイブリダイゼーション検出アッセイが多様な種すべてについて単一の温度で行われることを可能にし、よって、検出反応の多重化を可能にする。
【0059】
(マイクロRNA)
マイクロRNA(miRNA)は、それらの標的mRNAの3’非翻訳領域(UTR)に結合することによってメッセンジャーRNA(mRNA)をタンパク質へと翻訳するのを阻害することによって作用すると仮定される、低分子の調節性非コードRNAである。MiRNAは、mRNA変性を引き起こすかもしくは翻訳自体を阻害するかのいずれかによって、mRNA翻訳を阻害する。
【0060】
MiRNAは、長さが約21〜23個のヌクレオチドである一本鎖のRNA分子である。MiRNAは、ゲノムDNAから転写される内因性および外因性遺伝子によってコードされる;しかし、miRNAは、代表的には、ポリペプチド配列へと翻訳されない。よって、miRNAは、「非コードRNA」として当該分野でみなされる。用語「内因性」遺伝子とは、本明細書で使用される場合、個体のゲノム内で天然に起こるすべての遺伝子を包含することが意味される。用語「外因性」遺伝子とは、本明細書で使用される場合、個体のゲノム内で天然には存在しないすべての遺伝子を含むことが意味される。例えば、miRNAは、ウイルスによって外因性に導入され得る。
【0061】
本発明のMiRNA分子は、pri−miRNA、pre−miRNA、および成熟miRNAを含む。成熟miRNAは、ゲノムDNAからpri−miRNAへと最初に転写される。Pri−miRNAは、各々長さが約70ヌクレオチドである少なくとも1個(ポリシストロンユニットから転写される場合、最大6個まで)のヘアピンループ構造を含む。単一のpri−miRNAは、複数のmiRNAを含む能力がある。Pri−miRNAはまた、RNA編集に供され得る。ここで上記miRNAプロセシングもしくは特異性が改変される。Pri−miRNAは、細胞核において、各ヘアピン構造(ステムへの2個のらせんRNAターン)の基部から約11ヌクレオチドを切断して、pre−miRNAを形成する。ジグザグ切断(Staggered cut)が、上記ヘアピンループアームの末端に導入され、3’末端に2個のヌクレオチドの突出部および5’末端にホスフェートを生じて、長さが約70ヌクレオチドのpre−miRNAを生成する。細胞質において、上記pre−miRNAは切断され、上記成熟miRNA鎖およびその反対側の相補的miRNA*鎖を含む長さが約20〜25ヌクレオチド対の不完全なmiRNA:miRNA*二重鎖を生じる。上記パッセンジャー鎖、もしくは相補的miRNA鎖*は、通常は分解され、定常状態では、細胞柱に低レベルで存在するが、上記二重鎖の両方の鎖が異なるmRNA集団を標的とする機能的miRNAになる場合もある。
【0062】
用語「miRNA」は、配列特異的遺伝子サイレンシングもしくは干渉(例えば、短い干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、干渉RNA(RNAi)、短いヘアピンRNA(shRNA)、短い干渉オリゴヌクレオチド、短い干渉核酸、短い干渉化学改変siRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)、および他の当該分野で認識されている等価物)を媒介し得る核酸分子を記載するために使用される他の用語に等価である。本明細書で使用される場合、用語「遺伝子サイレンシング」とは、遺伝子、転写物および/もしくはポリペプチド生成物のダウンレギュレーション、ノックダウン、分解、阻害、抑制(supression)、抑止(repression)、防止、もしくは低下した発現を記載することが意味される。遺伝子サイレンシングおよび干渉はまた、mRNA転写物をポリペプチドへ翻訳することの防止を記載する。mRNA転写物を分解するかもしくはmRNA翻訳をブロックすることによって、翻訳が防止されるか、阻害されるか、もしくは低下させられる。
【0063】
本発明のブリッジは、部分的配列相補性もしくは完全配列相補性のいずれかに基づいて、それらの標的miRNAに特異的に結合する。例示的miRNAは、以下の表1に提供される。
【0064】
【表1】

(nCounter(登録商標)分析システムプロトコルの概観およびデータフォーマット)
上記nCounter(登録商標)分析システムの基本は、アッセイされるべき各遺伝子に割り当てられた特有のコードである(国際特許出願PCT/US2008/059959およびGeissら.Nature Biotechnology.2008.26(3):317−325;これらの内容は、それら全体が本明細書に参考として援用される)。上記コードは、アッセイされるべき各標的の特有のバーコードを作る色つき蛍光スポットの規則正しいシリーズから構成される。プローブの対は、各標的に対して設計される(ビオチン化捕捉プローブおよび蛍光バーコードを有するレポータープローブ)。
【0065】
特異的レポータープローブおよび捕捉プローブは、各標的に対して合成される。簡潔には、配列特異的DNAオリゴヌクレオチドプローブが、コード特異的レポーター分子に付着する。捕捉プローブは、各表的に対する第2の配列特異的DNAオリゴヌクレオチドを、ビオチンを含むユニバーサルオリゴヌクレオチドに連結することによって作製される。レポータープローブおよび捕捉プローブは、タンパク質イルのハイブリダイゼーション混合物「プローブライブラリー」へとすべてプールされる。
【0066】
すべての標的の発現レベルは、単一の多重ハイブリダイゼーション反応において測定される。上記サンプルは、上記プローブライブラリーと合わせられ、ハイブリダイゼーションが溶液中で起こる。ハイブリダイゼーション後、三者のハイブリダイズした複合体が、上記捕捉プローブおよびレポータープローブに存在するユニバーサル配列に相補的なオリゴヌクレオチドに連結した磁性ビーズを使用する2工程手順において精製される。この2部分からなる精製プロセスは、上記ハイブリダイゼーション反応が、大過剰の標的特異的プローブでの完了へと駆動されることを可能にする。なぜなら上記標的特異的プローブは、最終的に除去されるからである。従って、上記サンプルの結合および画像化に干渉しない。すべてのハイブリダイゼーション後工程は、特注の液体取り扱いロボット(Prep Station,NanoString Technologies)でロボットにより取り扱われる。
【0067】
精製反応物は、プレップステーションによってサンプルカートリッジの個々のフローセルへと置かれ、上記捕捉プローブを介してストレプトアビジン被覆表面に結合させられ、電気泳動にかけられ、上記レポータープローブを伸長させ、そして固定化される。加工処理後、上記サンプルカートリッジは、完全自動化画像化およびデータ収集デバイス(Digital Analyzer,NanoString Technlogies)へと移される。標的の発現レベルは、各サンプルを画像化し、標的が検出されるコードの倍数を計数することによって測定される。各サンプルに関して、代表的には、上記結合表面の約10mmを表す600視野(fields−of−view)(FOV)が画像化される(1376×1024ピクセル)。代表的な画像化密度は、多重化の程度、RNAの量、および全体的な標的発現レベルに依存して、100〜1200計数レポーター/視野である。データは、サンプルあたりの計数/標的を列挙する単一のスプレッドシートフォーマットで出力される。
【0068】
(nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイサンプル調製プロトコル)
上記nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイにおいて、上記miRNAサンプルは、これらが上記のnCounter(登録商標) 分析システムのプローブハイブリダイゼーション反応へと導入され得る前に、タグ化されなければならない。別段示されなければ、提供される例におけるデータを、以下のnCounter(登録商標) miRNA発現アッセイキットサンプル調製プロトコルの実施形態、続いて、上記でおよびGeissらにおいて簡潔に記載された標準的nCounter(登録商標) アッセイプロトコルを使用して、生成した。
【0069】
アニーリング緩衝液(200mM Tris,750mM KCl)を、タグプールと混合した。上記タグプールは、表2に記載されるものに類似の上記合成DNAオリゴヌクレオチド(Integrated DNA Technologies,Coralville,IA)のセットの60nM各々を含む。このプールの正確な組成は、測定されている特異的miRNAに依存する。ブリッジプールの等量が、上記混合物に添加される。上記ブリッジプールは、表3に記載されるものに類似の合成DNAオリゴヌクレオチド(Integrated DNA Technologies)のセットの55nM各々からなる。このプールの正確な組成は、測定されている特異的miRNAに依存し、上記タグプールのプロフィールをマッチさせる。100ngの総RNAもしくは規定された量の合成RNA標的(Integrated DNA Technologies)が添加される。DEPC処理水(Ambion,Austin,TX)を添加して、各反応の容積を標準化した。サンプルを変性させ、サーモサイクラー(BioRad,Hercules,CA)でアニーリングした(℃)。50% PEG−4000(CalBioChem/EMD Biosciences,San Diego,CA)およびT4 DNAリガーゼ緩衝液(Enzymatics,Beverly,MA)の等パーツ混合物を、添加のために調製した。サンプルを、上記サーモサイクラーから一時的に取り出し、PEG/リガーゼ緩衝液ストック溶液を、各チューブに添加し、サンプルを混合し、遠心分離した。チューブを上記サーモサイクラーに戻し、T4 DNAリガーゼ(Enzymatics)を、上記サーモサイクラーからそれらを取り出すことなく、上記サンプルに直接添加した。すべてのサーモサイクラー反応を、45〜50℃の範囲の温度において行った(図4)。
【0070】
λエキソヌクレアーゼ(Enzymatics)を、室温において各サンプルに添加した。サンプルを、37℃において2時間にわたってインキュベートし、70℃において熱不活性化し、冷却した。サンプルを、DEPC処理水で10倍希釈し、製造業者の指示書に従って、miRNA検出のためのコードセット(NanoString Technologies,Seattle,WA)を使用して、nCounter(登録商標)ハイブリダイゼーション反応において基質として使用する。
【0071】
リガーゼの装填は、24サンプルあたり約6分間かかるはずである。48℃でのヒートブロック上の反応チューブへのリガーゼの直接添加は、重要な工程である。そうすることができなければ、特に、アッセイ特異性に関して、アッセイ性能の低下を生じる。
【0072】
本明細書に記載される変性、アニーリング、連結、および精製反応は、例えば、37〜95℃にわたるより広い温度範囲内で行われ得る。具体的には、本明細書に記載される変性、アニーリング、連結、および精製反応は、以下の範囲(37〜45℃、44〜53℃、45〜52℃、45〜50℃、50〜55℃、55〜60℃、65〜70℃、70〜75℃、75〜80℃、85〜90℃、および90〜95℃が挙げられるが、これらに限定されない)のうちの1つ以上で行われる。あるいは、本明細書で記載される変性、アニーリング、連結、および精製反応は、以下の範囲(37〜45℃、37〜50℃、37〜55℃、37〜60℃、37〜65℃、37〜70℃、37〜75℃、37〜80℃、37〜85℃、37〜90℃、および37〜95℃が挙げられるが、これらに限定されない)のうちの1つ以上で行われる。
以下の例におけるnCounter(登録商標)は、上記アッセイからのデータは、上記nCounter(登録商標)分析システムによって600視野において検出される計数として表す。計数は、上記標的RNAの発現レベルと相関する。
【0073】
以下、表1における対応するmrRNAの検出に適した例示的タグおよびブリッジ配列が示される。
【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

(ブリッジおよびタグの設計)
上記低分子RNA標的への特異的核酸タグの付加は、2つの主要な目的にかなう:1)それは、各RNA種に強く特有の識別子を付加し、ハイブリダイゼーションベースのアッセイにおいて密接に関連したRNA標的間を区別しやすくする;および2)それは、異なるRNA標的のためのハイブリダイゼーションアッセイが、同じ温度で多重化され得るように、上記標的の機能的Tの操作および均一化を可能にする。
【0076】
偽陽性シグナルをもたらす交差ハイブリダイゼーションを回避するために、上記タグ配列は、上記低分子RNA標的配列が由来する生物のトランスクリプトームにおける任意の他の配列に関連するべきではない。必要に応じて、上記タグ配列は、同じタグを使用して、任意の生物についてnCounter(登録商標)低分子RNA調製物アッセイキットを生成し得るように、任意の既知の生物のトランスクリプトームに関連するべきではない。交差ハイブリダイゼーション回避は、上記タグ配列を生成するために出発点として、External RNA Controls Consortium(ERCC)データベースからの新規な配列を使用することによって達成した。
【0077】
合成の容易さのために、上記核酸タグを、DNAオリゴヌクレオチドとして設計し、上記DNAオリゴヌクレオチドを、各RNAの3’末端に共有結合的に連結させ、検出のためのキメラRNA−DNA標的を形成した。上記検出アッセイ(NanoString’s nCounter(登録商標)分析システムに基づく)は、上記標的への2個の隣接するプローブ(各々、T 76℃〜84℃を有する)のハイブリダイゼーションに依拠する。上記最終的なRNA−DNAキメラ標的を、2つの領域(レポーター付着領域および捕捉付着領域(各々、T 約76℃〜84℃を有する))を含むように設計した。
【0078】
上記タグの連結は、個々にかつ多重化した状況の両方において、非常に特異的でなければならない。この特異性は、一方の末端において上記低分子RNAに、かつ他方の末端において上記特異的タグに配列特異的様式でアニーリングし(図2)、上記RNAおよびその割り当てられたタグを非常に近くで一緒にし、2つの間の共有結合を形成するために連結事象を可能にするDNAオリゴヌクレオチドブリッジの個々の設計を介して達成される。低分子RNAの数百もの異なる種の、それらそれぞれのタグへの連結を多重化する能力を、上記ブリッジ/RNA/タグ相互作用のTの計算に基づいて、上記ブリッジ配列およびタグ配列の注意深い設計によって達成した。その結果、上記ブリッジのすべては、計算されたTが44℃〜53℃の間である狭い温度範囲内でそれらの標的RNAおよびタグに特異的にアニーリングする。これらトリミングされた配列の例は、表4に示される。
【0079】
すべてのDNA/DNA T計算を、Allawi H.T.,SantaLucia J.(1997) Thermodynamics and NMR of internal G−T mismatches in DNA.Biochemistry 36:10581−10594およびSantaLucia J.Jr,Allawi H.T.,Seneviratne P.A.(1996). Improved nearest−neighbor parameters for predicting DNA duplex stability.Biochemistry 35:3555−3562に記載される方法を使用して行った。
【0080】
すべてのRNA/DNA T計算を、Sugimoto N.,Nakano S.,Katoh M.,Matsumura A.,Nakamuta H.,Ohmichi T.,Yoneyama M.,Sasaki M.(1995). Thermodynamic parameters to predict stability of RNA/DNA hybrid duplexes,Biochemistry 34:11211−11216およびSantaLucia J.Jr,Allawi H.T.,Seneviratne P.A.(1996) Improved nearest−neighbor parameters for predicting DNA duplex stability,Biochemistry 35:3555−3562に記載される方法を使用して行った。上記DNA/RNA計算におけるNa濃度の調節は、SantaLuciaらにおける上記DNA二重鎖係数を使用して行ったことに注意のこと。
【0081】
(タグおよびブリッジの設計)
配列の出発プールを、配列のExternal RNA Controls Consortium(ERCC)データベース(http://ukpmc.ac.uk/articlerender.cgi?artid=486406において公に入手可能)から配列を選択することによって生成した。
【0082】
次いで、これら配列は、それらを35塩基の領域に分け、それらの推定Tを計算することによって、加工処理される。「レポーター付着プール」を、76℃〜84℃の間のDNA/DNA Tを有する35塩基の配列から作った。第2の「全体プール」を、無作為の長さの残りの配列から作った。各々の短いRNA配列(図2および図3において点線として示される)に関して、35塩基の配列を、上記レポーター付着プールから任意に選択し、上記レポーター付着領域として割り当てた(図2〜3,フラグメントA)。上記低分子RNAの逆相補体(RNA−RC配列)を生成し、上記RNA−RCがDNA鎖であった二重鎖の上記推定RNA/DNA Tを計算した。この計算の結果に基づいて、各特異的低分子RNA配列についての上記タグおよびブリッジの設計を、2つの設計ストラテジー(タイプ1およびタイプ2)のうちの一方に割り当てた。
【0083】
(タイプ1設計)
タイプ1タグおよびブリッジ計を、図2に図示する。上記RNA逆相補体DNA二重鎖(RNA−RC DNA二重鎖)の上記計算されたRNA/DNA Tが、76℃〜84℃の間であった場合、図2におけるフラグメントAは、全長タグを規定し、上記短いRNA配列(例えば、上記miRNA配列)は、捕捉付着領域を定義した。上記ブリッジ配列(図2,フラグメントC+D)を、その後、2部分(上記低分子RNAブリッジセグメント(C)および上記タグブリッジセグメント(D))で計算した。上記低分子RNAブリッジセグメントを、上記RNA−RC DNA配列をとり、計算されたRNA/DNA Tが44℃〜53℃の間である、最も5’末端における配列のフラグメントを同定することによって生成した。上記タグブリッジセグメントを、上記レポーター付着領域(A)の逆相補体をとり、計算されたDNA/DNA Tが44℃〜53℃の間である最も3’末端における配列のフラグメントを同定することによって生成した。完全ブリッジ配列を、上記低分子RNAブリッジセグメントの5’末端を、上記タグブリッジセグメント(C+D)の3’末端に連結することによって作った。
【0084】
(タイプ2設計)
タイプ2タグおよびブリッジ設計を、図2に図示する。上記RNA−RC DNA二重鎖の計算されたTが76℃未満であった場合、無作為のサイズのDNA配列のさらなるセグメントを、全体プール配列から選択し、上記RNA−RCの5’末端に付加し、この合わされた配列の推定DNA/DNA Tを計算した。この部分が最終的ハイブリダイゼーションアッセイにおいて形成する上記実際の二重鎖は、DNA/RNA−DNAキメラ二重鎖であるが、計算を、DNA/DNA相互作用を反映するように単純化した。このプロセスを、76℃〜84℃の間の推定DNA/DNA Tを有する配列組み合わせが見いだされるまで、反復した。配列のこのさらなるセグメントを、図3においてセグメントBとして示す。次いで、全長タグを、Bを、Aの5’末端へ連結することによって作った(図3)。セグメントBを合わせた上記低分子RNA配列は、上記捕捉付着領域を定義した。
【0085】
上記ブリッジ配列(C+D,図3)を、2部分(上記低分子RNAブリッジセグメント(C)および上記タグブリッジセグメント(D,図3))で計算した。上記低分子RNAブリッジセグメントを、上記のタイプ1設計において記載されるものと同一の様式において生成した。上記タグブリッジセグメントを、上記タイプ2タグ配列(B+A,図3)の逆相補体をとり、計算されたDNA/DNA Tが44℃〜53℃の間である最も3’末端における配列のフラグメントを同定することによって、生成した。上記完全ブリッジ配列を、上記低分子RNAブリッジセグメントの5’末端を、上記タグブリッジセグメント(C+D)の3’末端に連結することによって作った。
【0086】
【表4】

(異質DNA配列)
用語「異質DNA配列」とは、任意の既知のゲノムと最小限のもしくは無視できる程度の交差反応性を有する無作為化DNA配列を記載する。候補異質DNA配列の相同性および/もしくは同一性は、例えば、Altschulら,(J.Mol.Biol.215:403−10(1990))のNBLASTおよびBLASTプログラムを使用することによって、特定の種もしくはすべての種においてすべての既知の配列と比較される。異質DNA配列は、遺伝子も、それらの調節性エレメントもコード市内。むしろ、上記異質DNA配列は、本発明の組成物、方法、およびキット内の非コード機能を有する。
【0087】
異質DNA配列は、異質DNA配列を含む分子と、標的サンプル、ゲノム、細胞、動物、もしくはそれらの抽出物(例えば、標的RNA分子、非対応ブリッジ、非対応タグ、非対応レポーター分子)から単離される分子との間の相互作用(例えば、ハイブリダイゼーション)を最小にするかもしくは防止するために、本発明の組成物、方法、およびキット内で使用される。標的RNA分子および対応するブリッジ、おおびタグは、部分的配列相補性もしくは完全配列相補性のいずれかを共有するのに対して、標的RNA分子は、非対応ブリッジもしくはタグと、部分的配列相補性も完全配列相補性も、いずれも共有しない。レポーター分子および対応するタグは、部分的配列相補性もしくは完全配列相補性のいずれかを共有するのに対して、レポーター分子は、非対応タグとは部分的配列相補性も、完全配列相補性も、いずれも共有しない。
【0088】
タグ分子、レポーター分子、およびブリッジ分子は、異質DNA配列を含む。タグおよび対応するブリッジ内に含まれる上記異質DNA分子は、互いに特異的にハイブリダイズし、最適には、上記変性、アニーリング、連結、および/もしくは精製反応の間に、上記組成物中に存在する他の分子には特異的にハイブリダイズしない。あるいは、タグおよび対応するブリッジ内に含まれる上記異質DNA分子は、互いに特異的にハイブリダイズし、好ましくは、上記変性、アニーリング、連結、および/もしくは精製反応の間に、上記組成物に存在する他の分子に対して15塩基未満の最大連続相同性で、35〜50塩基にわたって15%未満の相同性を有する。異質DNA配列を含むレポーター分子は、上記精製反応後に対応するタグ化miRNA分子に特異的にハイブリダイズし得、最適には、上記組成物に存在する他の分子には特異的にハイブリダイズしない。あるいは、異質DNA配列を含むレポーター分子は、上記精製反応後に対応するタグ化miRNA分子に特異的にハイブリダイズし得、好ましくは、上記組成物に存在する他の分子に対して15塩基未満の最大連続相同性で、35〜50塩基にわたって15%未満の相同性を有する。
【0089】
本発明によって包含される例示的異質DNA配列は、任意の既知のゲノムDNA配列もしくはRNA配列に対して15塩基未満の最大連続相同性で、35〜50塩基にわたって85%以下の同一性を有する。さらに、上記異質DNAは、標的RNA分子が転写されるゲノムに由来するかもしくは上記ゲノムによって転写される任意の既知のゲノムDNA配列もしくはRNA配列に対して15塩基未満の最大連続相同性で、35〜50塩基にわたって85%以下の同一性を有する。標的RNA分子は、任意の種(動物、植物、細菌、真菌およびウイルスが挙げられるが、これらに限定されない)のゲノムに由来するかもしくは上記ゲノムによって転写される。標的RNA分子が由来する好ましい種としては、哺乳動物が挙げられ、最も好ましくは、ヒト、霊長類、およびマウスが挙げられる。
【0090】
異質DNA配列は、すべての既知のDNAおよびRNA分子に対して15塩基以下の最大連続相同性で、35〜50塩基にわたって15%未満の相同性を有する。具体的には、異質DNA配列は、組成物もしくはキットにおけるすべての上記DNAおよびRNA分子に対して15塩基以下の最大連続相同性で、35〜50塩基にわたって15%未満の相同性を有する。具体的には、上記異質DNA配列は、組成物もしくはキットにおけるDNAおよびRNA分子の15塩基以下の最大連続相同性で、35〜50塩基にわたって15%未満、10%、5%、2%、1%もしくはその間の任意のパーセンテージ点の相同性を有する。
【0091】
異質DNA配列は、DNA、もしくは具体的には、異質DNAを含むブリッジの一部分にハイブリダイズし得る。具体的には、上記異質DNA配列は、上記ブリッジの上記第3のDNA配列以外の、上記組成物における任意のDNAおよびRNA分子と15塩基以下の最大連続相同性で、35〜50塩基にわたって15%未満、10%、5%、2%、1%もしくはその間の任意のパーセンテージ点の相同性を有する。
【0092】
(核酸分子)
本発明は、ブリッジおよびタグ、例えば、低分子RNA分子(miRNA分子を含む)を結合する単離されおよび精製された核酸分子を提供する。例示的タグ分子としては、配列番号11〜20のデオキシリボ核酸分子が挙げられるが、これらに限定されない。例示的ブリッジ分子としては、配列番号21〜30のデオキシリボ核酸分子が上げられるが、これらに限定されない。
【0093】
本発明の他の局面において、単離された核酸分子(例えば、RNA分子およびDNAブリッジおよびタグ)は、1個以上の挿入、欠失、反転、フレームシフト、転座、組換え、もしくは置換を含む配列を結合する。
【0094】
本発明の単離された核酸分子は、一本鎖もしくは二本鎖のリボ核酸(RNA)およびデオキシリボ核酸(DNA)分子、ならびにすべての当該分野で認識されるアナログ、誘導体、もしくはこれらのハイブリッド分子を含む。本発明の単離された核酸分子はまた、RNA分子、ブリッジ、およびタグを合成するための試薬(例えば、単離された全長遺伝子、転写物、cDNA分子、プライマー、ベクター、プラスミド、内因性もしくは天然に存在するRNA分子、ブリッジ、タグ、およびこれらのフラグメント)を含む。
【0095】
本発明の単離された核酸分子は、核酸分子の天然の供給源に存在する大部分の他の核酸とは異なるRNA配列、DNA、もしくは「異質」DNA配列を結合するように操作される。さらに、「単離された」核酸分子は、他の細胞物質も、組換え技術によって生成される場合には培養培地も、化学合成される場合には化学前駆体も、他の化学物質も、実質的に含まない。核酸分子は、他のコード配列もしくは調節性配列に融合され得、なお「単離された」とみなされ得る。非ヒトトランスジェニック動物に存在し、動物において天然には存在しない核酸分子はまた、「単離された」とみなされる。例えば、ベクター中に含まれる組換え核酸分子は、「単離された」とみなされる。「単離された」核酸分子のさらなる例としては、異種宿主細胞中に維持される組換えDNAもしくはRNA分子、および溶液中で精製された(部分的にもしくは実質的に)DNAもしくはRNA分子が挙げられる。単離されたRNA分子としては、本発明の単離された核酸分子のインビボもしくはインビトロでのRNA転写物が挙げられる。さらに、単離されたRNA分子としては、トランスファーRNA(tRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短い干渉RNA(siRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、反復関連低分子干渉RNA(rasiRNA)、およびpiwi相互作用RNA(piRNA)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明に従う単離された核酸分子としては、合成で生成されたこのような分子がさらに挙げられる。
【0096】
一般に、単離された核酸分子は、RNA分子、ブリッジ、もしくはタグ(上記標的RNA、ブリッジ、もしくはタグ配列のいずれかの側に隣接するヌクレオチド配列を有する)に結合するように操作された1個以上の配列を含む。隣接する配列は、上記標的化RNA、ブリッジもしくはタグおよび/または異種ヌクレオチド配列と天然に会合したヌクレオチド残基を含み得る。好ましくは、上記隣接する配列は、上記標的RNA、ブリッジ、もしくはタグ配列、または全長遺伝子程度の長さ、全コード配列、もしくは非コード配列(もしくは任意のその一部分(例えば、エキソン、イントロン、または5’もしくは3’非翻訳領域)のいずれかの側にある最大約500個まで、300個、100個、60個、50個、30個、25個、20個、15個、10個、8個、もしくは4個のヌクレオチド(その間の任意の他の長さ)である。
【0097】
本明細書で使用される場合、用語「フラグメント」は、上記フラグメントが由来する、上記単離された核酸分子より短い単離された核酸分子を記載することが意味される。本発明の単離された核酸分子のフラグメントは、上記フラグメントが由来する上記単離された核酸分子の任意の一部を含み得るか、これからなり得るか、またはこれを含み得る。フラグメントは、代表的には、少なくとも約8個以上のヌクレオチド、より好ましくは、少なくとも約10個以上のヌクレオチド、およびさらにより好ましくは、少なくとも約15個以上のヌクレオチドの連続するヌクレオチド配列を含む。さらに、フラグメントは、長さが少なくとも約8個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、250個、もしくは500個(もしくはその間の任意の他の数)のヌクレオチドを含み得る。上記フラグメントの長さは、その意図される用途に基づく。次いで、標識されたプローブが、例えば、cDNAライブラリー、ゲノムDNAライブラリー、もしくはmRNAをスクリーニングして、目的の領域に対応する核酸を単離するために、使用され得る。さらに、プライマーおよびプローブは、例えば、RNAもしくはmiRNA遺伝子、ブリッジもしくはタグとのRNA分子の交差反応性、ブリッジもしくはタグ配列とのRNA分子の相同性、ブリッジもしくはタグ配列とのRNA分子の同一性をアッセイする目的で、またはRNA分子もしくは遺伝子、ブリッジ分子、またはタグ分子の特異的領域をクローニングするために、増幅反応において使用され得る。
【0098】
本発明の単離された核酸分子は、種々の核酸増幅法のうちのいずれか1つの生成物である、RNA分子、ブリッジもしくはタグをさらに含む。上記核酸増幅法は、核酸サンプル中の目的のポリヌクレオチドのコピー数を増大させるために使用される。このような増幅法は、当該分野で周知であり、上記増幅法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(米国特許第4,683,195号;および同第4,683,202号;PCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification, ed. H.A.Erlich,Freeman Press,NY,N.Y.,1992)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(WuおよびWallace,Genomics 4:560,1989;Landegrenら,Science 241:1077,1988)、鎖置換増幅法(SDA)(米国特許第5,270,184号;および同第5,422,252号)、転写媒介性増幅法(TMA)(米国特許第5,399,491号)、連結直線状増殖法(linked linear amplification)(LLA)(米国特許第6,027,923号)など、および等温増幅法(例えば、核酸配列ベースの増幅法(NASBA))、ならびに自立配列複製法(self−sustained sequence replication)(Guatelliら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874,1990)が挙げられるが、これらに限定されない。このような方法論に基づいて、当業者は、本明細書で開示されるRNA分子もしくは遺伝子に対して5’側もしくは3’側にある任意の適切な領域において容易にプライマーを設計し得る。さらに、増幅法は、本明細書に記載されるRNA分子、ブリッジ、もしくはタグをインシリコで合成する工程を包含する。
【0099】
本明細書で使用される場合、本発明の「増幅されたポリヌクレオチド」は、分子の数が、試験サンプル中のその出発量と比較して、インビトロで行われる任意の核酸増幅法によって少なくとも2倍増大した、単離された核酸分子である。他の好ましい実施形態において、増幅されたポリヌクレオチドは、試験サンプル中のその出発量と比較して、少なくとも10倍、50倍、100倍、1000倍、もしくはさらに10000倍の増大の結果である。一般に、増幅されたポリヌクレオチドは、長さが少なくとも約10個のヌクレオチドである。より代表的には、増大されたポリヌクレオチドは、長さが少なくとも約15個のヌクレオチドである。本発明の好ましい実施形態において、増幅されたポリヌクレオチドは、長さが少なくとも約20〜25個のヌクレオチドである。本発明のより好ましい実施形態において、増幅されたポリヌクレオチドは、長さが少なくとも約20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、もしくは100個のヌクレオチド、またはその間の任意の値である。本発明のなお別の好ましい実施形態において、増幅されたポリヌクレオチドは、長さが少なくとも約100個、200個、もしくは300個のヌクレオチド、またはその間の任意の値である。本発明の増幅されたポリヌクレオチドの全体の長さは、上記目的のRNA分子が存在するエキソン、イントロン、5’UTR、3’UTR、もしくは遺伝子全体程度の長さであり得る一方で、増幅された精製物は、代表的には、長さが約1,000個以下のヌクレオチドである(しかし、特定の増幅法は、長さが1000個のヌクレオチドより長い増幅された生成物を生じ得る)。
【0100】
一実施形態において、本発明は、例えば、配列番号1〜35のヌクレオチド配列を含むか、上記ヌクレオチド配列から本質的になるか、もしくは上記ヌクレオチド配列からなる核酸分子を提供する。本明細書に記載される技術は、検出を可能にするために、上記アッセイにおいて使用されるべき核酸分子の制限の内数およびバリエーションを提供するために使用され得る。核酸分子は、ヌクレオチド配列が、上記核酸分子の最終的なヌクレオチド配列のうちの少なくとも一部である場合に、上記ヌクレオチド配列を含む。このような様式において、上記核酸分子は、上記ヌクレオチド配列のみであり得るか、またはさらなるヌクレオチド残基(例えば、上記ヌクレオチド配列もしくは異種ヌクレオチド配列と天然に会合する残基)を有し得る。このような核酸分子は、1個から数個のさらなるヌクレオチドを有し得るか、またはより多くのさらなるヌクレオチドを含み得る。核酸分子は、最終的な核酸分子が、上記核酸配列および調節性配列もしくは維持配列のみを含む場合に、ヌクレオチド配列から本質的になる。調節性配列および維持配列は、上記ヌクレオチド配列が発現され、そして/または翻訳されることを可能にする配列である。核酸分子は、上記核酸分子の最終的なヌクレオチド配列が、その核酸配列のみを含む場合に、ヌクレオチド配列を含む。種々のタイプのこれら核酸分子がどのように容易に作成され得、単離され得るかの簡単な説明は、以下に提供され、このような技術は、当業者に周知である(SambrookおよびRussell,2000,Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press,NY)。
【0101】
単離された核酸分子は、RNAの形態(例えば、mRNAもしくはmiRNA)において、またはDNAの形態(cDNAおよびゲノムDNAが挙げられる)において存在し得る。これらは、例えば、分子クローニングによって得られてもよいし、化学合成技術によって生成されてもよいし、もしくはこれらの組み合わせによって生成されてもよい(SambrookおよびRussell,2000,Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press,NY)。さらに、単離された核酸分子はまた、部分的にもしくは完全に、核酸アナログ(例えば、ペプチド核酸(PNA)(米国特許第5,539,082号;同第5,527,675号;同第5,623,049号;同第5,714,331号)の1つ以上のタイプの形態にあり得る。上記核酸(特に、DNA)は、二本鎖もしくは一本鎖であり得る。一本鎖核酸は、コード鎖(センス鎖)もしくは相補的な非コード鎖(アンチセンス鎖)であり得る。DNA、RNA、もしくはPNAのセグメントは、合成核酸分子を提供するために、例えば、ヒトゲノムもしくは任意のゲノムのフラグメント(異質配列(DNAもしくはRNAの場合)もしくは単一ヌクレオチド、短いオリゴヌクレオチドリンカーが挙げられる)から、または一連のオリゴヌクレオチドから組み立てられ得る。核酸分子は、参照として本明細書で提供される配列を使用して容易に合成され得る;オリゴヌクレオチドおよびPNAオリゴマー合成技術は、当該分野で周知である(例えば、Corey,「Peptide nucleic acids: expanding the scope of nucleic acid recognition」,Trends Biotechnol.1997 June;15(6):224−9、およびHyrupら,「Peptide nucleic acids(PNA): synthesis, properties and potential applications」,Bioorg Med Chem.1996 January; 4(1):5−23を参照のこと)。さらに、大規模自動化オリゴヌクレオチド/PNA合成(アレイもしくはビーズ表面または他の個体死自体上での合成を含む)は、市販の核酸合成機(例えば、Applied Biosystems(Foster City,Calif.) 3900 High−Throughput DNA SynthesizerもしくはExpedite 8909 Nucleic Acid Synthesis System)、および本明細書で提供される配列情報を使用して、容易に達成され得る。
【0102】
本発明は、改変された、合成の、もしくは天然に存在しないヌクレオチド、または構造エレメントもしくは当該分野で公知である他の代替の/改変された核酸化学物質を含む核酸アナログを包含する。このような核酸アナログは、例えば、検出試薬(例えば、プライマー/プローブ)として有用である。さらに、これらアナログを含むキット/システム(例えば、ビーズ、アレイなど)はまた、本発明によって包含される。例えば、本発明の多型配列に基づくPNAオリゴマーが、具体的には企図される。PNAオリゴマーは、リン酸骨格がペプチド様骨格で置換されているDNAのアナログである(Lagriffoulら,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,4:1081−1082(1994)、Petersenら,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,6:793−796(1996)、Kumarら,Organic Letters 3(9):1269−1272(2001),WO96/04000)。PNAは、相補的なRNAもしくはDNAに、従来のオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドアナログより高い親和性および特異性でハイブリダイズする。PNAの特性は、伝統的なオリゴヌクレオチドおよびペプチドで達成不能な新規な分子生物学および生化学適用を可能にする。
【0103】
用語「単離された核酸分子」は、天然に存在するRNAもしくはDNAのみを含む分子に制限されないだけでなく、化学改変されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドをも包含する。特定の実施形態において、上記単離された核酸分子は、2’−ヒドロキシ(2’−OH)含有ヌクレオチドを欠いている。RNA分子、ブリッジ、もしくはタグにおいて作製される化学改変の非限定的な例としては、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結、2’−デオキシリボヌクレオチド、2’−O−メチルリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロリボヌクレオチド、「ユニバーサル塩基」ヌクレオチド、「非環式」ヌクレオチド、5−C−メチルヌクレオチド、ならびに末端グリセリルおよび/もしくは反転デオキシ非塩基残基組み込みが挙げられるが、これらに限定されない。これら化学改変は、RNA分子、ブリッジもしくはタグにおいて使用される場合、これら分子の機能を妨げ、安定性を増大させる。
【0104】
ヌクレオチドおよび非ヌクレオチドリンカーは、RNA分子、ブリッジもしくはタグへと組み込まれ得る。非ヌクレオチドリンカーは、非塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質、ポリ炭化水素(polyhydrocarbon)、もしくは他のポリマー化合物(例えば、ポリエチレングリコール(例えば、2〜100個の悦連グリコールユニットを有するもの))から構成され得る。具体例としては、以下によって記載されるものが挙げられる:SeelaおよびKaiser,Nucleic Acids Res.18:6353,1990およびNucleic Acids Res.15:3113,1987;CloadおよびSchepartz, J.Am.Chem.Soc.113:6324,1991;RichardsonおよびSchepartz, J.Am.Chem.Soc.113:5109,1991;Maら,Nucleic Acids Res.21:2585,1993およびBiochemistry 32:1751,1993;Durandら,Nucleic Acids Res.18:6353,1990;McCurdyら,Nucleosides & Nucleotides 10:287,1991;Jschkeら,Tetrahedron Lett.34:301,1993;Onoら,Biochemistry 30:9914(1991);Arnoldら,国際公開WO 89/02439;Usmanら,国際公開WO 95/06731;Dudyczら,国際公開WO 95/11910ならびにFerentzおよびVerdine, J.Am.Chem.Soc.113:4000,1991。「非ヌクレオチド」とは、1個以上のヌクレオチドユニットの代わりに核酸鎖に組み込まれ得る任意の基もしくは化合物(糖および/もしくはリン酸置換基のいずれかが挙げられる)をさらに意味し、残りの塩基がそれらの酵素活性を示すことを可能にする。上記基もしくは化合物は、例えば、糖のC1位において通常認識されるヌクレオチド塩基(例えば、アデノシン、グアニン、シトシン、ウラシルもしくはチミジン)を含まないという点で、非塩基であり得る。
【0105】
核酸の結合特性および/もしくは安定性を改善する核酸改変のさらなる例としては、塩基アナログ(例えば、イノシン、インターカレーター(米国特許第4,835,263号)および副溝結合剤(米国特許第5,801,115号))の使用が挙げられる。従って、核酸分子への本明細書中での言及は、PNAオリゴマーおよび他の核酸アナログを含む。核酸アナログおよび当該分野で公知の代替の/改変された核酸化学物質の他の例は、Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry,John Wiley & Sons,N.Y.(2002)に記載されている。本発明の単離された核酸は、以下が挙げられるが、これらに限定されない塩基アナログから構成される:DNAおよびRNAの公知の塩基アナログのうちのいずれか(例えば、4−アセチルシトシン、8−ヒドロキシ−N−6−メチルアデノシン、アジリジニルシトシン、プソイドイソシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−ブロモウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル1−2−チオウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルアデニン、1−メチルプソイドウラシル、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−メチルアデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシ−アミノメチル−2−チオウラシル、β−Dマンノシルキューオシン、5’−メトキシカルボニルメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、オキシブトキソシン、プソイドウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、2,6−ジアミノプリン、および2’−改変アナログ(例えば、O−メチル、アミノ−、およびフルオロ−改変アナログが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない)。
【0106】
特定の実施形態において、本発明のRNA分子、ブリッジおよびタグは、ヌクレアーゼ耐性基(例えば、2’−アミノ、2’−C−アルキル、2’−フルオロ、2’−O−メチル、および2’−H)での改変によって安定性を高めるように改変される(総説については、UsmanおよびCedergren,TIBS 17:34,1992;Usmanら,Nucleic Acids Symp.Ser.31:163,1994を参照のこと)。
【0107】
改変(塩基、糖および/もしくはリン酸)を有する核酸分子を化学合成すると、リボヌクレアーゼによるそれらの分解が防止される。このことは、本明細書に記載されるアッセイの効率を増大させる。例えば、Ecksteinら,国際公開WO 92/07065;Perraultら,Nature 344:565,1990;Piekenら,Science 253:314,1991;UsmanおよびCedergren,Trends in Biochem.Sci.17:334,1992;Usmanら,国際公開WO 93/15187;およびRossiら,国際公開WO 91/03162;Sproat,米国特許第5,334,711号;Goldら,米国特許第6,300,074号を参照のこと。上記参考文献はすべて、本明細書に記載される単離された核酸分子の塩基、リン酸および/もしくは糖部分に対して作製される種々の化学改変を記載する。
【0108】
一実施形態において、本発明は、1個以上のホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、モルホリノ、アミデートカルバメート、カルボキシメチル、アセトアミデート、ポリアミド、スルホネート、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタール、チオホルムアセタール、および/もしくはアルキルシリルを含むリン酸骨格改変、置換を有する、RNA分子、ブリッジ、およびタグを提供する。オリゴヌクレオチド骨格改変の総説については、HunzikerおよびLeumann,「Nucleic Acid Analogues: Synthesis and Properties, in Modern Synthetic Methods」,VCH,331−417,1995、およびMesmaekerら,「Novel Backbone Replacements for Oligonucleotides, in Carbohydrate Modifications in Antisense Research」,ACS,24−39,1994を参照のこと。
【0109】
配列番号1〜35として同定されるものが挙げられるが、これらに限定されない上記各散文詩のさらなる改変体(例えば、天然に存在する対立遺伝子改変体(ならびにオルソログおよびパラログ)もしくは変異誘発技術によって生成される合成改変体)は、当該分野で周知の方法を使用して、同定および/もしくは生成され得る。このようなさらなる改変体は、配列番号1〜35として開示される核酸配列(もしくはそのフラグメント)と、少なくとも70〜80%、80〜85%、85〜90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を共有するヌクレオチド配列を含み得る。従って、本発明は、配列番号1〜35の配列と比較して、配列改変のとくていの程度を有する単離された核酸分子を具体的に企図する。
【0110】
本発明のRNA分子、ブリッジおよびタグは、固相合成のような技術を介して慣用的に作製される。このような合成の装置は、いくつかの業者によって販売されている(例えば、Applied Biosystems,(Foster City,Calif.)が挙げられる)。当該分野で公知のこのような合成の任意の他の手段は、さらにもしくは代わりに使用される。オリゴヌクレオチド(例えば、上記ホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体)を調製するための類似の技術を使用することは周知である。
【0111】
オリゴヌクレオチドは、例えば、Caruthersら,Methods in Enzymology 211:3−19,1992;Thompsonら,国際PCT公開WO 99/54459;Wincottら,Nucleic Acids Res.23:2677−2684,1995;Wincottら,Methods Mol.Bio.74:59,1997;Brennanら,Biotechnol Bioeng.61:33−45,1998;およびBrennan,米国特許第6,001,311号に記載されるように、当該分野で公知のプロトコルを使用して合成される。RNA分子の合成は、例えば、Usmanら, J.Am.Chem.Soc.109:7845,1987;Scaringeら, Nucleic Acids Res.18:5433,1990;およびWincottら, Nucleic Acids Res.23:2677−2684,1995;Wincottら, Methods Mol.Bio.74:59,1997に記載されるように、一般的手順に従う。
【0112】
2つの配列間の配列比較および%同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る(Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press, New York,1988;Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith,D.W.,ed., Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data, Part 1,Griffin,A.M.,およびGriffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje,G.,Academic Press,1987;およびSequence Analysis Primer, Gribskov,M.およびDevereux,J.,eds., M Stockton Press,New York,1991)。好ましい実施形態において、2つのアミノ酸配列間の%同一性は、NeedlemanおよびWunschアルゴリズムを使用して決定される(J.Mol.Biol.(48):444−453(1970))。これは、Blossom 62マトリクスもしくはPAM250マトリクスのいずれか、およびギャップ重み付け16、14、12、10、8、6、もしくは4および長さ重みづけ1、2、3、4、5、もしくは6を使用するGCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムの中に組み込まれている。
【0113】
なお別の好ましい実施形態において、2つのヌクレオチド配列間の%同一性は、GCGソフトウェアパッケージにおけるGAPプログラム(Devereux,J.ら,Nucleic Acids Res.12(1):387(1984))を使用し、NWSgapdna.CMPマトリクスおよびギャップ重みづけ40、50、60、70、もしくは80および長さ重み付け1、2、3、4、5、もしくは6を使用して、決定される。別の実施形態において、2つのアミノ酸配列もしくはヌクレオチド配列の間の%同一性は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)の中に組み込まれたE.MyersおよびW.Millerのアルゴリズム(CABIOS,4:11−17(1989))を使用し、PAM120重み残基表、ギャップ長さペナルティー12、およびギャップペナルティー4を使用して決定される。
【0114】
本発明のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、例えば、他のファミリーメンバーもしくは関連配列を同定するために、配列データベースに対して検索を行うために「問い合わせ配列」としてさらに使用され得る。このような検索は、Altschulら(J.Mol.Biol.215:403−10(1990))のNBLASTプログラムおよびBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して行われ得る。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得るために、上記NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で行われ得る。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質に相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で行われ得る。比較目的でギャップを入れたアラインメントを得るために、Gapped BLASTが、Altschulら(Nucleic Acids Res.25(17):3389−3402(1997))に記載されるように利用され得る。BLASTおよびギャップを入れたBLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、BLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターが、使用され得る。BLASTに加えて、当該分野で使用される他の検索および配列比較プログラムの例としては、FASTA(Pearson, Methods Mol.Biol.25,365−389(1994))およびKERR(Dufresneら,Nat Biotechnol 2002 December;20(12):1269−71)が挙げられるが、これらに限定されない。バイオインフォマティクス技術に関するさらなる情報については、Current Protocols in Bioinformatics,John Wiley & Sons,Inc.,N.Y.を参照のこと。
【0115】
(治療適用)
本発明の組成物および方法は、病気もしくは障害を発症させるリスクのある被験体において遺伝子発現を検出するために使用される。さらに、本発明の組成物および方法は、病気もしくは障害と診断された被験体、および診断もしくは予後の必要性のある被験体での遺伝子発現を検出するために使用される。本明細書に記載される組成物および方法は、疾患進行および遺伝子発現および調節のレベルに対する治療の有効性をモニターするために使用される。さらに、本明細書に提供される組成物および方法は、障害を発症させる個人的リスクおよび将来の子供に障害を伝えるリスクについて個体をスクリーニングするために使用される。胚性細胞は、障害の存在もしくは非存在について、本発明の組成物および方法を使用して試験される。
【0116】
本発明は、特定の生物学的状態、特定の疾患(例えば、癌、遺伝的障害、発達障害、変性性障害、神経障害、幹細胞障害、もしくは他の生物学的状態)を発症させるリスクを決定するために使用され得る。さらに、本発明は、疾患の進行をモニターするか、もしくは治療への応答をモニターするために使用され得る。具体的には、本発明は、心臓、腎臓、尿管、膀胱、尿道、肝臓、前立腺、心臓、血管、骨髄、骨格筋、平滑筋、脳の種々の特定の領域(小脳扁桃、尾状核、小脳、脳梁、胎児、視床下部、視床が挙げられるが、これらに限定されない)、脊髄、末梢神経、網膜、鼻、気管、肺、口、唾液腺、食道、胃、小腸、大腸、視床下部、下垂体、甲状腺、膵臓、副腎、卵巣、卵管、子宮、胎盤、膣、入選、精巣、精嚢、陰茎、リンパ節、胸腺、および脾臓の疾患を検出するか、上記疾患の進行をモニターするか、もしくは上記疾患についての治療レジメンをモニターするために使用され得る。本発明は、特定の疾患(例えば、癌、遺伝的障害、発達障害、変性性障害、神経障害、幹細胞障害、もしくは他の生物学的状態)を検出するか、もしくは上記疾患の進行をモニターするか。もしくは上記疾患の治療レジメンをモニターするために使用され得る。
【0117】
本発明の方法は、種々の被験体(哺乳動物を含む)を包含する。特定の実施形態において、上記哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、もしくはウシであるが、これらの例に限定されない。ヒト以外の哺乳動物は、有利なことには、特定の障害の動物モデルを代表する被験体として使用される。好ましい被験体は、ヒトである。本発明の方法はまた、種々の被験体(非哺乳動物を含む)を包含する。これらとしては、トリ、は虫類、植物、細菌、真菌、原生動物およびウイルスが挙げられる。天然に存在するかもしくは合成の低分子RNA分子を含む任意のサンプルが、上記アッセイの被験体として使用され得る。
【0118】
(癌)
本発明の組成物および方法は、癌を発症するリスクのある細胞および被験体または癌を発症する素因を有し得るそれら細胞および被験体を同定するために使用される。さらに、本発明の組成物および方法は、癌を発症するリスクのある被験体もしくは癌を発症した被験体を診断もしくは予後予測の目的で、癌細胞タイプ、癌サブタイプ、腫瘍グレード、もしくは癌ステージを区別するために使用される。本発明の組成物および方法は、腫瘍、癌、もしくは処置レジメンをモニターするか、またはこれらの進行をモニターするためにさらに使用される。さらに、本発明の組成物および方法は、癌を発症する任意の遺伝的素因について個体をスクリーニングするために使用される。
【0119】
用語「癌」とは、固形腫瘍、ならびに血液腫瘍および/もしくは血液悪性疾患を含む。「前癌細胞」もしくは「前癌性細胞」とは、前癌もしくは前癌状態である細胞増殖障害を発現する細胞である。「癌細胞」もしくは「癌性細胞」とは、癌である細胞増殖障害を発現する細胞である。任意の再現可能な測定手段は、癌細胞もしくは前癌性細胞を同定するために使用され得る。癌細胞もしくは前癌性細胞は、組織サンプル(例えば、生検団プル)の組織学的タイプ分類もしくはグレード分類によって同定され得る。癌細胞もしくは前癌性細胞は、分子マーカーの使用を介して同定され得る。
【0120】
本発明の組成物および方法は、癌の重篤度をさらに決定するために使用される。なぜなら、癌は、ステージ、腫瘍グレード、および細胞外マトリクスを分解し、脈管化を誘導し、細胞接着を阻害し、そして転位を可能にする因子の発現によって特徴付けられるからである。
【0121】
例示的な癌としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:副腎皮質癌、AIDS関連癌、AIDS関連リンパ腫、肛門癌、肛門直腸癌、肛門管の癌、虫垂癌、小児小脳星細胞腫(childhood cerebellar astrocytoma)、小児大脳星細胞腫(childhood cerebral astrocytoma)、基底細胞癌、皮膚癌(非メラノーマ)、胆道癌、肝外胆管癌、肝内胆管癌、膀胱癌(bladder cancer)、膀胱癌(uringary bladder cancer)、骨関節癌(bone and joint cancer)、骨肉腫および悪性線維性組織球腫、脳の癌、脳腫瘍、脳幹グリオーマ、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性グリオーマ、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍(supratentorial primitive neuroectodeimal tumor)、視覚路および視床下部グリオーマ(visual pathway and hypothalamic glioma)、乳癌、気管支腺腫/カルチノイド、カルチノイド腫瘍、胃腸神経系癌(gastrointestinal, nervous system cancer)、神経系リンパ腫、中枢神経系癌、中枢神経系リンパ腫、子宮頸癌、小児癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、リンパ系新生物、菌状息肉腫、セザリー症候群(Seziary Syndrome)、子宮内膜癌、食道癌、頭蓋外胚細胞腫(extracranial germ cell tumor)、性腺外胚細胞腫(extragonadal germ cell tumor)、肝外胆管癌、眼の癌、眼内メラノーマ、網膜芽細胞腫、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド(gastrointestinal carcinoid tumor)、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍(gestational trophoblastic tumor glioma)、頭頸部癌、肝細胞(肝)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内メラノーマ、眼の癌、膵島細胞腫瘍(内分泌膵臓)、カポージ肉腫、腎臓癌(kidney cancer)、腎癌(renal cancer)、腎臓癌、喉頭癌、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリーセル白血病、口唇癌および口腔癌、肝臓癌、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、髄芽腫、メラノーマ、眼内(眼)のメラノーマ、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、中皮腫、転移性扁平上皮頚部癌、口腔癌(mouth cancer)、舌癌、多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性障害、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、口腔癌(oral cancer)、口腔癌(oral cavity cancer)、口腔咽頭癌、卵巣癌、上皮性卵巣癌、卵巣低悪性度腫瘍(ovarian low malignant potential tumor)、膵臓癌、膵島細胞膵臓癌、副鼻腔癌および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体芽腫およびテント上原始神経外胚葉腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、前立腺癌、直腸癌、腎盂および尿管移行上皮がん、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、カポージ肉腫、軟組織肉腫、子宮癌、子宮肉腫、皮膚癌(非メラノーマ)、皮膚癌(メラノーマ)、メルケル細胞皮膚癌、小腸癌、軟組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、テント上原始神経外胚葉腫瘍、精巣癌、咽頭癌、胸腺腫、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺がん、腎盂および尿管および他の泌尿器器官の移行上皮がん、妊娠性絨毛腫瘍、尿道癌、子宮内膜癌、子宮肉腫、子宮体癌、膣癌、外陰癌、およびウィルムス腫瘍。
【0122】
(発達障害および変性性障害)
本発明の組成物および方法は、発達障害もしくは変性性障害を発症するリスクのある細胞および被験体、または発達障害もしくは変性性障害を発症する素因を有し得る細胞および被験体を同定するために使用される。さらに、本発明の組成物および方法は、発達障害もしくは変性性障害を現すリスクのある被験体もしくは発達障害もしくは変性性障害と診断された被験体を診断もしくは予後予測する目的で、発達障害、変性性障害、もしくは変性性障害からくる発達障害を区別するために使用される。本発明の組成物および方法は、発達障害、変性性障害、もしくは処置レジメンの進行をモニターするためにさらに使用される。さらに、本発明の組成物および方法は、発達障害もしくは変性性障害を彼自身/彼女自身が現すことについて、または発達障害もしくは変性性障害を有する子供をもうけることについて、何らかの遺伝的素因に対して個体をスクリーニングするために使用される。
【0123】
用語「発達障害」とは、妊娠期間もしくは早期の出産後発生の間に、個体において最初に現れる任意の障害を含む。早期の出産後発生は、出生から18歳までの期間を包含する。発達障害は、しばしば、精神障害、感情障害、もしくは認知障害を引き起こす精神上の障害と類義語とみなされるが、用語「発達障害」は、上記要害と関連した特異的徴候もしくは症状にかかわらず、胎児もしくは18歳以下の小児のいずれかに存在する任意の障害を包含することが意味される。さらに、発達障害は、代表的には、生物学的もしくは心理学的プロセスの不適切なもしくはうまく機能しない発生によって特徴付けられる。発達障害はまた、発生の間に存在し、そして成人において疾患(例えば、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症もしくはALS、および統合失調症)を発症する個体のリスクを予測するかもしくは示す行動特性、家族歴、脳形態、もしくは遺伝的/バイオマーカーによって特徴付けられる。
【0124】
特定の発達障害は、1つの発生領域に選択的に影響を及ぼし、発生の本質的にすべての他の領域には影響を及ぼさない(sparing)。特定の発達障害は、主に、聴覚、視覚、言語、もしくは代謝に影響を及ぼす。しかし、広汎性発達障害は、多くの基本的スキル(最も顕著なのは、他者とつきあう能力)の発達における遅延を含む。なぜなら、これら状態は、子供のコミュニケーションをとる能力および想像力を働かせる能力に影響を及ぼすからである。広汎性発達障害としては、自閉症および自閉症スペクトラム障害、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害、レット症候群、注意欠陥障害(ADD)、および特定されないが広汎性の障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
例示的な発達障害としてはまた、以下が挙げられるが、これらに限定されない:自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、中枢性聴覚処理障害(central auditory processing disorder)(CAPD)、脳性まひ、ダウン症候群、表出性言語障害、IsoDendric 15(省略型 idic(15))、ランドウ・クレフナー症候群(Lanau−Kleffner Syndrome)、神経管欠損、フェニルケトン尿症(PKU)、プラダー・ウィリー症候群、発作性障害(seizure disorder)、癲癇、トゥレット症候群、ウィリアムス症候群、聴覚喪失、聾、盲、視力障害、黄疸/核黄疸、速話症(言語非流ちょう性(speech disfluency))、失認(視覚、聴覚、および体性感覚)、神経性無食欲症(anorexia nervosa disorder)、急性ストレス障害、適応障害、双極性障害、身体醜形障害、呼吸関連睡眠障害(breathing−related sleep disorder)、喘息、短時間の精神病的エピソード(brief psychotic episode)、神経性過食症、統合失調症、ハンチントン病(HD)、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、慢性運動性あるいは音声チック障害、概日リズム睡眠障害、行為障害、コミュニケーション/言語障害、コルネリアデランゲ症候群、致死性家族性不眠症(FFI)、ファール病(もしくは特発性基底核石灰化)、片頭痛、新生物(良性および悪性)、全身性エリテマトーデス、自己免疫障害、糖尿病(I型)、ウィルソン病、ベル麻痺、先天性心疾患、小頭症、新生児脳炎、水頭症、パーキンソン病、ナルコレプシー、筋ジストロフィー、ギラン・バレー症候群、神経線維腫症、フォンヒッペル・リンダウ病、失読症、家族性高コレステロール血症、多発性嚢胞腎、遺伝性球状赤血球症、遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian syndrome)、マルファン症候群、鎌状赤血球貧血、鎌状赤血球症、嚢胞性線維症、ムコ多糖症、糖原病、ガラクトース血症(glactosemia)、血友病、男性型脱毛症、レーバー遺伝性視神経萎縮症(Lebner’s hereditary optic neuropathy)、自己免疫疾患、口蓋裂、肥満、ゴーシェ病、レット症候群、毛細血管拡張性運動失調症(ataxia telagiectasia)、QT延長症候群、アルポート症候群、壮年性脱毛症、SRY性別決定、軟骨形成不全症、コケイン症候群、ディ・ジョージ症候群、脆弱X症候群、重症複合免疫不全症、ワーデンブルグ症候群、ウェルナー症候群、ツェルウェガー症候群、副腎白質ジストロフィー、グルコース・ガラクトース吸収不良症、遺伝性ヘモクロマトーシス、レッシュ・ナイハン症候群、メープルシロップ尿症、メンケス症候群、ニーマン・ピック症候群、ポルフィリン症、レフサム病、タンジャー病、テイ・サックス病、捻曲性骨異形成症、エリス・バン・クレフェルト症候群(軟骨外胚葉異形成症)、発作性夜間ヘモグロビン尿症、サラセミア、クローン病、ベスト病、緑内障、網膜芽細胞腫、先天性副腎過形成、多腺性自己免疫症候群、多発性内分泌腫瘍、家族性地中海熱、高IgMを伴う免疫不全、シャルコーマリートゥース症候群、進行性骨化性線維異形成症、筋強直性ジストロフィー、本態性振戦、フリードライヒ運動失調症、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳性運動失調、結節性硬化症、α−1アンチトリプシン欠損症、およびペンドレッド症候群。
【0126】
用語「変性性障害」とは、成人個体に最初に示される任意の障害を含む。用語成人とは、18歳から死亡するまでの期間を包含する。変性性障害は、しばしば、精神的障害、感情的障害、もしくは認知障害を引き起こす精神上の障害と類義語であるとみなされるが、用語「変性性障害」は、上記要害と関連した特定の徴候もしくは症状にかかわらず、18歳以上の年齢の成人に存在する任意の障害を包含することが意味される。さらに、変性性障害は、代表的には、通常に機能する生物学的プロセスもしくは心理学的プロセスの規制解除(deregulation)および機能不全によって特徴付けられる。変性性障害は、遺伝的素因、環境因子、もしくは病原体(例えば、ウイルスもしくはプリオン)への曝露から生じ得る。
【0127】
定時的な変性性障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アルツハイマー病、痴呆、老衰、失認(視覚、聴覚、および体性感覚)、急性ストレス障害、適応障害、双極性障害、身体醜形障害、呼吸関連睡眠障害(睡眠時無呼吸)、短時間の精神病的エピソード、神経性過食症、統合失調症、ハンチントン病(HD)、パーキンソン病、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、カプグラ(妄想)症候群、慢性疲労症候群(chronic fatique syndrome)、概日リズム睡眠障害、行為障害、コミュニケーション/言語障害、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、クールー、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)、致死性家族性不眠症(FFI)、循環障害(cyclothymic disorder)、後天性免疫不全症候群(AIDS)、鬱病、耽溺、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症(hyperadrenocorticismまたはhypercorticism)ともいわれる)、新生物(良性および悪性)、脳卒中、糖尿病(II型)、動脈瘤、心血管疾患(心疾患を含む)、メニエール病、聾、盲、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病、アテローム硬化症(artherosclerosis)、進行性核上性麻痺、癌、テイ・サックス病、円錐角膜、黄斑変性、炎症性腸疾患(IBD)、前立腺炎(prostatis)、壮年性脱毛症、肥満、発作性夜間ヘモグロビン尿症、サラセミア、クローン病、ベスト病、緑内障、脳回転状脈絡網膜萎縮、シャルコーマリートゥース症候群、進行性骨化性線維異形成症、筋強直性ジストロフィー,変形性関節症、骨粗鬆症、関節炎、関節リウマチ。
【0128】
(神経障害)
本発明の組成物および方法は、神経障害を発症させるリスクがある細胞および被験体もしくは神経障害を発祥させる素因を有し得る細胞および被験体を同定するために使用される。さらに、本発明の組成物および方法は、神経障害を示すリスクがある被験体もしくは神経障害と診断された被験体を診断もしくは予後予測する目的で、神経障害を区別するために使用される。本発明の組成物および方法は、神経障害もしくは処置レジメンの進行をモニターするためにさらに使用される。さらに、本発明の組成物および方法は、神経障害を彼自身/彼女自身が現すことについて、もしくは神経障害を有する子供をもうけることについて、何らかの遺伝的素因に対して個体をスクリーニングするために使用される。
【0129】
用語「神経障害」とは、個体の神経系内に最初に示される任意の障害を含む。神経障害は、種々の徴候および症状とともにあり、これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:心理学的変化、気分変化、もしくは行動変化;1つ以上の感覚(視覚、聴覚、触覚)の喪失もしくは鋭敏さの低下;増大した疼痛もしくは灼熱感;協調もしくはバランスの欠如;記憶の喪失;随意運動もしくは不随意運動に対する制御の喪失;言語もしくはバランス;幻視もしくは幻聴;発作;頭痛;運動の低下;および最終的には、昏睡もしくは死亡。神経障害は、上記神経障害を発症させる遺伝的素因、上記個体の遺伝的素因を増強するように上記障害を誘導する1種以上の環境因子、または感染性因子(例えば、上記障害を誘導するかもしくは上記個体の遺伝的素因を増強するウイルス、細菌、真菌もしくはプリオン)への個体の曝露から生じ得る。
【0130】
例示的神経障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、双極性障害、注意欠陥障害(ADD)、中枢性聴覚処理障害(CAPD)、脳性まひ、ダウン症候群、表出性言語障害、IsoDendric 15(省略型 idic(15))、ランドウ・クレフナー症候群、神経管欠損、発作障害、癲癇、トゥレット症候群、外傷性脳損傷(TBI)、小児期崩壊性障害、失認(視覚、聴覚、および体性感覚)、神経性無食欲症、急性ストレス障害、適応障害、双極性障害、身体醜形障害、呼吸関連睡眠障害、短時間の精神病的エピソード、神経性過食症、統合失調症、ハンチントン病(HD)、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、カプグラ(妄想)症候群、慢性運動性あるいは音声チック障害、概日リズム睡眠障害、速話症(言語非流ちょう性)、行為障害、コミュニケーション/言語障害、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、クールー、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)、致死性家族性不眠症(FFI)、鬱病、耽溺、ファール病(もしくは特発性基底核石灰化)、片頭痛、新生物(良性および悪性)、失語、麻痺、ベル麻痺、脳血管疾患、脳炎、水頭症、小頭症、パーキンソン病、三叉神経痛、ナルコレプシー、筋ジストロフィー、ギラン・バレー症候群、神経線維腫症、失読症、レット症候群、脆弱X症候群、副腎白質ジストロフィー、毛細血管拡張性運動失調症、コケイン症候群、聾、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ゴーシェ病、レッシュ・ナイハン症候群、メープルシロップ尿症、メンケス症候群、フェニルケトン尿症、プラダー・ウィリー症候群、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳性運動失調、結節性硬化症、ニーマン・ピック症候群、レフサム病、テイ・サックス病、シャルコーマリートゥース症候群、進行性骨化性線維異形成症、筋強直性ジストロフィー、およびメニエール病。
【0131】
(幹細胞障害)
本発明の組成物および方法は、「幹細胞」障害を発症するリスクのある細胞および被験体、もしくは幹細胞障害を発症する素因を有し得る細胞および被験体を同定するために使用される。さらに、本発明の組成物および方法は、幹細胞障害を示すリスクのある被験体もしくは幹細胞障害と診断された被験体を診断もしくは予後予測する目的で、幹細胞障害を区別するために使用される。本発明の組成物および方法は、幹細胞障害もしくは処置レジメンの進行をモニターするためにさらに使用される。さらに、本発明の組成物および方法は、幹細胞障害を彼自身/彼女自身が示すことについて、もしくは幹細胞障害を有する子供をもうけることについて、何らかの遺伝的素因に対して個体をスクリーニングするために使用される。
【0132】
用語「幹細胞障害」とは、個体の全能性を有する(totipotent)(もしくは全能の(omnipotent))、多能性の(pluripotent)、多能の(multipotent)、少数能(oligopotent)、もしくは単能(unipotent)幹細胞内に最初に示される任意の障害を含む。あるいは、もしくはさらに、幹細胞障害は、幹細胞を含む組成物を上記個体に投与することによって処置もしくは予防され得る任意の障害を含む。幹細胞は、娘細胞を生成するそれらの能力によって特徴付けられ、娘細胞のうちの一方は分化し、そのうちの他方は、未分化幹細胞のままである。幹細胞の能力は、特定の細胞運命に約束された娘細胞の分化能力に関連する。具体的には、用語全能性を有する幹細胞もしくは全能の幹細胞は、両方の胚性幹細胞を生じ得る幹細胞を記載するか、もしくは代わりに、上記幹細胞は、ヒト身体における細胞のあらゆるタイプを生成し得る。多能性幹細胞は、全能性を有する幹細胞より能力は制限さているが、これら幹細胞は、3種の胚葉(外胚葉、中胚葉もしくは内胚葉)のうちのいずれかに由来する細胞を生成し得る。多能の幹細胞は、多能性幹細胞より能力は制限されているが、これら幹細胞は、関連した系統内の細胞を生成し得る。多能の幹細胞は、しばしば、成体幹細胞とみなされる。なぜなら、それらは、例えば、成体の脳(ニューロンおよび神経膠のすべてのタイプを生じる神経幹細胞)および骨(血球のすべてのタイプを生じる骨髄幹細胞)で見いだされるからである。少数能の幹細胞は、多能の幹細胞より能力は制限されているが、これら幹細胞は、幾つかの関連するタイプの細胞を生成し得る。例えば、角膜上皮は、角膜細胞および結膜細胞のみを生成する少数能の幹細胞を含む。単能の細胞は、最も制限された細胞タイプである。なぜなら、それらは、それら自体の細胞タイプを再生できるに過ぎないからであるが、それらは、自己再生能を維持する。筋幹細胞は、単能の幹細胞の非限定的な例である。
【0133】
例示的な幹細胞障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:自閉症スペクトラム障害(ASD)、神経管欠損、発作障害、癲癇、聴覚喪失、聾、盲、視覚障害、黄疸/核黄疸、速話症(言語非流ちょう性)、失認(視覚、聴覚、および体性感覚)、ハンチントン病(HD)、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、 慢性運動性あるいは音声チック障害、概日リズム睡眠障害、アルツハイマー病、痴呆、老衰、糖尿病、パーキンソン病、筋ジストロフィー、ギラン・バレー症候群、鎌状赤血球貧血もしくは鎌状赤血球症、毛細血管拡張性運動失調症、コケイン症候群、ディ・ジョージ症候群、重症複合免疫不全症、ポルフィリン症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、サラセミア、家族性地中海熱、高IgMを伴う免疫不全、シャルコーマリートゥース症候群、進行性骨化性線維異形成症、筋強直性ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳性運動失調、およびゴーシェ病。
【0134】
(キット)
キットは、少なくとも1つのタグ(例えば、表2示されるとおり)、少なくとも1個のブリッジ(例えば、表3に示されるとおり)、およびボリュームエクスクルーダーもしくはヌクレアーゼのいずれかである物質を含む組成物を含む。あるいは、キットは、1個以上のタグ(例えば、表2に示されるとおり)、1個以上のブリッジ(例えば、表3に示されるとおり)、およびボリュームエクスクルーダーもしくはヌクレアーゼのいずれかである物質を含む組成物を含む。タグは、上記ブリッジとは別個に提供される。あるいは、タグは、ブリッジを含む混合物中に提供される。なぜなら、タグとブリッジ分子との交差ハイブリダイゼーションの程度は、無視できるからである。特定の実施形態において、キットはまた、リガーゼを含む。特定の実施形態において、キットは、少なくとも1つのタグ、少なくとも1つのブリッジおよびリガーゼを含み得る。これら実施形態において、キットはまた、ボリュームエクスクルーダーもしくはヌクレアーゼを含み得る。
【0135】
好ましいリガーゼの非限定的例は、T4 DNA リガーゼであるが、すべてのリガーゼが、本発明によって含まれる。リガーゼは、EC 6.1(ホルム炭素−酸素結合(form carbon−oxygen bonds))、EC 6.2(ホルム炭素−酸素結合)、EC 6.3(ホルム炭素−窒素結合(form carbon−nitrogen bonds))、EC 6.4(ホルム炭素−炭素結合(form carbon−carbon bonds))、EC 6.5(ホルムリン酸エステル(form phosphoric ester bonds))、およびEC 6.6(ホルム窒素−金属結合(form nitrogen−metal bonds))といわれるクラスへとしばしば分けられる。代わりに、もしくはさらに、リガーゼは、それらが結合する分子のタイプによって分類される。RNAリガーゼおよびDNAリガーゼ(タイプI〜IV)が企図される。上記T4 DNAリガーゼが本明細書で示されるが、他の天然の、組換えの、合成の、もしくは操作されたリガーゼは、本発明によって包含される。
【0136】
好ましいボリュームエクスクルーダーの非限定的例は、ポリエチレングリコール(PEG)である。PEGは本明細書で示されるが、他のポリエーテル分子が、本発明によって包含され、これらとしては、エチレンオキシドポリマーのサイズによって変動するポリ(エチレンオキシド)(PEO)およびポリオキシエチレン(POE)が挙げられる。類似のサイズ、電化、およびPEGへの可溶性を有する他の天然の、組換えの、合成の、もしくは操作されたポリマーは、本発明によって包含される。具体的には、PEGは、水、メタノール、ベンゼン、ジクロロメタンに溶解性であり、ジエチルエーテルおよびヘキサンに不溶性である。
【0137】
ヌクレアーゼの非限定的な例は、DNA特異的エキソヌクレアーゼである。λエキソヌクレアーゼが本明細書で示されるが、他の天然の、組換えの、合成の、もしくは操作されたエキソヌクレアーゼは、本発明によって包含される。
【0138】
キットさらに、必要に応じて、コントロールRNA分子を含む。コントロールRNA分子は、好ましくは、単離されかつ精製されたmiRNA分子であり、これに対してコントロールブリッジが特異的にハイブリダイズし、そしてこれに対して特異的タグが連結される。その対応するコントロールブリッジおよびタグ分子が提供され、よって標識される。
【0139】
キットはまた、閉じ込められた組成物および物質を取り扱うための指示書、ならびに上記閉じ込められた組成物および物質を使用して、単一のもしくは多重化した変性、アニーリング、連結、および/もしくは精製反応を行うためのプロトコルを含む。さらに、上記指示書は、上記nCounter(登録商標) 分析システムを使用して検出するために、得られるタグ化RNA分子を調製するためのガイダンスを提供する。
【実施例】
【0140】
(実施例1:MiRNA検出キットプロトコル)
上記nCounter(登録商標) miRNAサンプル調製キットは、特有のオリゴヌクレオチドタグをmiRNAに連結し、これら短いRNAが上記標準的nCounter(登録商標) 遺伝子発現アッセイにおいて高い特異性および感度で検出されることを可能にするための試薬を提供する。上記miRNAタグ連結反応は、総RNAのバックグラウンドにおいて行われ得る。
【0141】
サンプル調製は、多重化された、それらの標的miRNAへの上記特異的タグのアニーリング、連結反応、および連結されていないタグを除去するための酵素精製を含んだ。各miRNAとその適切なタグとの間の配列特異性を、アニーリングおよび連結温度の注意深い、段階的な制御によって確実にした。コントロールRNAは、ユーザーが、上記反応の各工程を介して連結効率および特異性をモニターすることを可能にした上記nCounter(登録商標) ヒトmiRNAサンプル調製キットにおいて含まれた。上記サンプル調製反応のための合計実践時間(hands−on time)は、約30分間、経過時間は約3時間であった。
【0142】
上記nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイを、上記nCounter(登録商標)分析システムで行った。上記システムは、2つの機器、ハイブリダイゼーション後加工処理のために使用されるプレップステーションおよびデータ収集のために使用されるデジタル分析器から構成されていた。
【0143】
ハイブリダイゼーション後、過剰なプローブを、上記nCounter(登録商標)プレップステーションの2工程の磁性ビーズベースの精製を使用して洗い流した。上記捕捉プローブおよび上記レポータープローブに相補的な短い核酸配列で誘導体化した磁性ビーズを、逐次的に使用した。第1に、標的/プローブ複合体を含む上記ハイブリダイゼーション混合物を、上記捕捉プローブ上の配列に相補的な磁性ビーズに結合させた。洗浄工程を行って、過剰なレポータープローブおよび非標的細胞転写物を除去した。洗浄後、上記捕捉プローブおよび標的/プローブ複合体を、上記ビーズから溶出した。これを、上記レポータープローブ上の配列に相補的な磁性ビーズへとハイブリダイズさせた。さらなる洗浄を行って、過剰な捕捉プローブを除去した。最後に、上記精製した標的/プローブ複合体を上記ビーズから溶出し、データ収集のために上記カートリッジに固定化した。
【0144】
データ収集を、上記nCounter(登録商標)デジタル分析器で行った。デジタル画像を加工処理し、上記バーコード計数を、カンマ区切り値(CSV)フォーマットにおいて表にした。
【0145】
(材料)
【0146】
【表1−1】

(サーモサイクラー)
上記miRNAサンプル調製プロトコルに使用されるサーモサイクラーは、加熱したふた(例えば、表1.2に列挙されるMJ Research/BioRadモデル)を有した。加熱したふた付きの他のサーモサイクラーも、十分に機能すると予測され、上記アッセイキットは、適切な精嚢を確認するためのコントロールを含む。上記サーモサイクラーは、このアッセイを使用する前に、較正されるべきである。
【0147】
【表1−2】

上記nCounter(登録商標) miRNA調製プロトコルは、すべての反応工程の注意深い温度制御を使用した。加熱されたふた付きサーモサイクラーを、この手順のために使用した。始まる前に、上記サーモサイクラープロトコルを、以下のようにプログラムした。
【0148】
【表1−3】

【0149】
【表1−4】

【0150】
【表1−5】

(MiRNAサンプル調製プロトコル)
すべての実験を、12セットのアッセイにおいて設計した。以下のプロトコルは、12アッセイのうちの1セットについてである。すべての試薬は、12反応のありコートで供給する。
1.RNAサンプルを、DEPC(もしくはRNAse非含有)HOを使用して、33ng/μLに標準化した。
2.上記miRNAアッセイコントロールの1:500希釈物を、調製した。499μL DEPC HOを、滅菌美章園心チューブの中で、上記miRNAアッセイコントロールの1μLへと添加した。上記チューブを、ボルテックスすることによって混合、短時間遠心分離にかけ、氷上で保存した。
3.アニーリングマスターミックスを、13μLのアニーリング緩衝液、26μLのnCounter(登録商標) miRNAタグ試薬および工程2において調製した6.5μLの上記1:500 miRNAアッセイコントロール希釈物を合わせることによって、調製した。これを、ピペットで上下させることによって十分に混合した。
4.3.5μLの上記アニーリングマスターミックスを、各チューブにアリコートに分けた。
5.3μL(100ng)のRNAサンプルを、各チューブに添加した。チューブにキャップをし、軽くたたいて混合し、遠心分離にかけた。
6.上記ストリップを、上記サーモサイクラーの中に入れ、上記アニーリングプロトコルを開始した。
7.19.5μL PEGを、13μL 連結緩衝液と合わせて、連結マスターミックスを調製した。
8.上記アニーリングプロトコルの完了後、上記サーモサイクラーが48℃に達したとき、2.5μLの上記連結マスターミックスを各チューブに添加した(上記サーモサイクラーを、工程9および工程10に関して48℃で維持されるように、静置した)。上記チューブを軽くたたいて、混合し、遠心分離にかけた。
9.上記チューブを、48℃のサーモサイクラーに戻し、上記ふたを閉め、上記チューブを48℃において5分間にわたってインキュベートした。
10.上記サーモサイクラーを開け、上記キャップをチューブから注意深く外し、上記チューブを上記ブロックの上に残し、1.0μLのリガーゼを各チューブに直接添加し、その間にそれらを48℃でインキュベートした。上記ピペットチップをチェックして確認し、上記リガーゼのすべてを上記反応系に添加した。混合する必要はなかった。
注意:PEGは粘性であり、ゆっくりとピペットですって、上記混合物の中に正確に移すことを確実にした。これを、ピペットで上下させることによって十分に混合した。
注意:工程10に関しては、上記チューブを上記サーモサイクラーから外さず、上記チューブの温度を48℃で維持した。
11.リガーゼを上記最後のチューブに添加した直後、上記チューブに再度キャップをし、ヒートブロック中に置いた。上記サーモサイクラーを閉じ、上記連結プロトコルを開始した。
12.連結プロトコルの完了後、1μL 連結クリーンアップ酵素を、各反応系に添加した。上記チューブを、この工程のために上記ヒートブロックから外した。上記チューブを軽くたたいて、混合し、遠心分離にかけた。
13.上記チューブを上記サーモサイクラーに戻し、上記精製プロトコルを開始した。
14.精製プロトコルの完了後、40μL DEPC(もしくはRNAse非含有)HOを、各サンプルに添加した。これを十分に混合し、遠心分離にかけた(必要であれば、この段階において、上記精製サンプル調製反応を、最大数週間にわたって、−20℃で貯蔵した)。上記ハイブリダイゼーションプロトコルに進む前にサンプルを変性させた(miRNAハイブリダイゼーションプロトコルの工程5)。
【0151】
(ハイブリダイゼーションプロトコル)
上記最終ハイブリダイゼーション反応系は、以下の成分を含んでいた:10μL レポーターコードセット、10μL ハイブリダイゼーション緩衝液、上記miRNAサンプル調製プロトコルから5μL アリコート、および5μL 捕捉プローブセット。
1.上記レポーターコードセットおよび捕捉プローブセット試薬の両方のアリコートを、冷凍庫から出して、氷上で融解した。上記アリコートを数回転倒して十分に混和した。上記試薬を短時間、<1000rpmにおいて遠心分離にかけた。
2.130μLの上記レポーターコードセットおよび130μLのハイブリダイゼーション緩衝液を含むマスターミックスを、上記ハイブリダイゼーション緩衝液を、上記レポーターコードセットを含む上記チューブに添加することによって作った。上記マスターミックスを転倒混和し、遠心分離にかけた。
3.チューブにラベルを付けた。
4.20μLのマスターミックスを、上記12本のチューブの各々に添加した。
5.上記miRNAサンプル調製プロトコルのサンプルを、85℃において5分間にわたって変性させ、氷上で急冷した。上記miRNAサンプル調製プロトコルからの5μL アリコートを、各チューブに添加した。上記アッセイの設定の間に、上記チューブをたたくかもしくは転倒混和することによって、混合を行った。
6.上記サーモサイクラーを予め65℃へと温め、次いで、30μL 容積を使用してプログラムし、温度を計算し、ふたおよび「永遠」時間設定を加熱した。
7.5μLの捕捉プローブセットを、65℃に置く直前に各チューブに添加した。チューブにキャップをし、上記試薬を、上記ストリップチューブを数回転倒し、たたいて、完全に混合されることを確実にすることによって混合した。上記チューブを<1000rpmにおいて短時間遠心分離にかけ、直ぐに、上記チューブを、上記65℃のサーモサイクラーの中に入れた。
8.ハイブリダイゼーションアッセイを、少なくとも12時間にわたってインキュベートした。ハイブリダイゼーションを、加工処理の準備ができるまで65℃で放置した。最大ハイブリダイゼーション時間は、30時間を超えなかった。
9.上記サーモサイクラーからいったん外したら、本発明者らは、上記nCounter(登録商標) プレップステーションでハイブリダイゼーション後加工処理を直ぐに進めた。
【0152】
(実施例2:多重nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイキットは、高い特異性でmiRNAの個々の種を区別する)
55個の異なるmiRNAについてのアッセイの多重セットを、上記連結において3pMでおよび最終ハイブリダイゼーション反応において300fMで存在する個々の合成miRNA標的に対して行った(表5)。10個の標的に対する代表的データおよびその対応する10個のアッセイ(55個の多重アッセイの部分セット)を示す。データは、600視野あたりの計数である。上記多重セット内の各アッセイは、検出されるように設計されている上記miRNAに対して強い特異性を示す。
【0153】
【表5】

(実施例3:多重nCounter(登録商標) アッセイキットは、異なる組織タイプにおけるMiRNA発現レベルを明らかにする)
MiRNAは、ある範囲の組織において類似のレベルで発現され得るが、多くは、異なる組織タイプにおいて異なった発現も示す。これら実験において、619個のヒトmiRNAに対する多重nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイを、種々のヒト組織から精製した総RNA(Ambion)に対して行った。上記組織としては、肺、骨格筋、結腸および心臓が挙げられる。データを、対様式のセットで比較した。数百ものマイクロRNAを、各サンプル中で特異的に検出した。図5A〜Dにおいて、対角線上にあるデータ点は、両方の組織において類似のレベルで発現されたmiRNAである。対角線の外側にあるものは、2つの組織タイプにおいて異なって調節されたmiRNAを代表する。これら結果は、非常に多重化した状況における上記nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイキットが、数百もの低分子RNAの差次的発現を測定する能力があることを示す。
【0154】
図6A〜Bは、同じデータセットからとり、4つの組織タイプにおける幾つかの特異的miRNAの差次的発現を強調する。図6Aにおいて、6個のヒトmiRNA(miR−133a、−143、−16、−21、−29aおよび−30b)の異なる発現レベルは、約0〜25,000計数の範囲まで認められ得る一方で、図6Bは、肺および結腸組織において本質的に検出されないが、骨格筋において200,000を超える計数および心臓組織において75,000計数を与えるヒトmiR−1の筋肉特異的発現を示す。これらデータは、非常に多重化された状況における上記nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイキットが、発現レベルの広い範囲にわたる所定のmiRNAの特異的発現における差異を測定できる能力があることを示す。
【0155】
(実施例4:nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイキットは、臨床サンプルにおいてRNAを同定する)
種々のサンプルタイプにおいてRNAを検出する能力は、遺伝子発現アッセイにおいて重要な特徴である。低分子RNAの分野における特に重要な興味は、臨床サンプル中のそれらの発現レベルを測定する能力である。ここでそれらは、予後情報、診断情報もしくは治療情報を提供し得る。臨床組織サンプルは、頻繁に、ホルマリン固定のパラフィン包埋(FFPE)サンプルとして保存される。このことは、上記標的RNA構造の改変をもたらす。すべての遺伝子発現アッセイが、FFPEサンプルから単離されたRNAと適合性であるわけではない。総RNAを、miREasy FFPEキット(Qiagen,Gaithersburg,MD)を使用して、製造業者の指示に従ってFFPEサンプルから単離し、これらサンプルを使用して上記nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイキットから得たデータを、凍結サンプルとして貯蔵した同じ組織から単離した総RNAを使用して得たデータと比較した。これら実験の結果は、上記nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイキットが、FFPEサンプル中の低分子RNAを、総RNA中と同じ特異性および感度で検出し得ることを実証する。図7に示される代表的データセットは、上記2つのサンプルタイプに由来するデータの間で極めて高い相関を示す(R値は0.99より大きい)。
【0156】
(実施例5:nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイキットは、多重フォーマットを提供する)
nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイキットは、多重フォーマットにおいて再現性のあるデータを生じる。図8は、676個のヒトmiRNAに対する多重アッセイを、100ngのヒト脳参照総RNA(Stratagene,LaJolla,CA)に対して行った2回の技術的複製からのデータの相関を示す。上記2つの複製実験からのデータは、極めて高い相関を示す(R値は0.999より大きい)。
【0157】
(実施例6:nCounter miRNA発現アッセイキットは、miRNAの3’配列改変体のプロファイリングを可能にする)
miRNAの3’配列改変体を研究するために、nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイブリッジを作り得る。これは、上記改変miRNAの上記タグ化を指向する。ここで、本発明者らは、目的の各miRNAについて2個の最も一般的な3’改変体(任意に改変体1および改変体2と称される)を測定した。各サンプルを、3つに分け、基準ブリッジプール、上記改変体1ブリッジプールおよび上記改変体2ブリッジプールで別個にアッセイした。この実験において、上記ブリッジは、上記改変体を上記基準配列と同じタグに指向し、従って、別個のアッセイにおいて検出されなければならなかった。各改変体を特有のタグに指向し、同じアッセイにおいてすべての改変体の検出を可能にするブリッジを設計することもまた可能である。上記プラットフォームの特異性は、5個の基準miRNA、改変体1、もしくは改変体2の合成miRNAの混合物を、上記3つのブリッジプールの各々でアッセイすることによって示された。本発明者らは、各ブリッジプールが、他の改変体の最小のバックグラウンド検出を伴って、上記目的のmiRNA種を信頼性高く区別することを見いだした(図9A)。本発明者らはまた、60% 基準miRNA、30% 改変体1、および10% 改変体2を含む合成miRNAの混合物をアッセイしたところ、一般に、基準miRNA 対 改変miRNAの正確な比が、識別され得ることを見いだした(図9B)。これら結果は、上記nCounter(登録商標) miRNA発現アッセイが、miRNAの3’配列改変体の発現を調査するために、強いプラットフォームを提供することを実証する。
【0158】
(他の実施形態)
本発明は、その詳細な説明とともに記載されてきたが、前述の説明は、本発明の範囲を例示するのであって、限定することは意図されない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。他の局面、利点、および改変は、以下の特許請求の範囲内にある。
【0159】
本明細書で言及される特許および科学文献は、当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書で引用されるすべての米国特許および公開もしくは非公開の米国特許出願は、参考として援用される。本明細書で引用されるすべての公開された外国特許および特許出願は、本明細書に参考として援用さらえる。本明細書で引用されるアクセッション番号によって示されるGenbankおよびNCBIの寄託は、本明細書に参考として援用される。本明細書で引用されるすべての他の刊行された参考文献、文書、写本および科学文献は、本明細書に参考として援用される。
【0160】
本発明は、その好ましい実施形態を参照しながら具体的に示されかつ記載されてきたが、形態および詳細における種々の変化が、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく本明細書で行われ得ることは、当業者によって理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)タグであって、ここで該タグは、第1のDNA配列、およびシグナルを生成する1個以上のレポーター分子が付着するレポーター付着領域を含み、ここで該第1のDNA配列は、異質DNA配列を含む、タグ;ならびに
(b)ブリッジであって、ここで該ブリッジは、RNA分子に相補的な第2のDNA配列、および該タグの該第1のDNA配列に相補的な第3のDNA配列を含む、ブリッジ
を含む組成物。
【請求項2】
前記ブリッジの前記第2のDNA配列および前記第3のDNA配列は、連続している、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記RNAは、非コードRNAを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記非コードRNAは、トランスファーRNA(tRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短い干渉RNA(siRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、反復関連低分子干渉RNA(rasiRNA)、もしくはpiwi相互作用RNA(piRNA)である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記非コードRNAは、miRNAである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ブリッジの前記第2のDNA配列および前記RNA分子は、37〜95℃の融解温度を有するDNA/RNAヘテロ二重鎖を形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ブリッジの前記第2のDNA配列および前記RNA分子は、43〜52℃の融解温度を有するDNA/RNAヘテロ二重鎖を形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ブリッジの前記第3のDNA配列および前記タグの前記第1の配列は、37〜95℃の融解温度を有するDNA/DNA二重鎖を形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ブリッジの前記第3のDNA配列および前記タグの前記第1の配列は、43〜52℃の融解温度を有するDNA/DNA二重鎖を形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ブリッジの前記第2のDNA配列および前記第3のDNA配列は、実質的に同じ融解温度を有する核酸二重鎖を形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記第3のDNA配列は、異質DNA配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記RNA分子および/もしくは前記タグは、完全な相補性で前記ブリッジに特異的にハイブリダイズする配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記RNA分子および/もしくは前記タグは、部分的な相補性で前記ブリッジに特異的にハイブリダイズする配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
(a)組成物であって:
(1)タグであって、ここで該タグは、第1のDNA配列、およびシグナルを生成する1個以上のレポーター分子が付着するレポーター付着領域を含む、タグ;ならびに
(2)ブリッジであって、ここで該ブリッジは、RNA分子に相補的な第2のDNA配列、および該タグの該第1のDNA配列に相補的な第3のDNA配列を含む、ブリッジ
を含む、組成物;ならびに
(b)ボリュームエクスクルーダーおよびヌクレアーゼからなる群より選択される物質、
を含む、キット。
【請求項15】
RNA分子を検出する方法であって、該方法は、
(a)少なくとも1個のRNA分子を含むサンプルを提供する工程;
(b)タグを提供する工程であって、ここで該タグは、第1のDNA配列、およびシグナルを生成する1個以上のレポーター分子が付着するレポーター付着領域を含む、工程;
(c)ブリッジを提供する工程であって、ここで該ブリッジは、RNA分子に相補的な第2のDNA配列、および該タグの該第1のDNA配列に相補的な第3のDNA配列を含む、工程;
(d)緩衝液を提供する工程;
(e)該RNA分子、該ブリッジ、および該タグを、37〜95℃で特異的にアニーリングさせる工程;
(f)該アニーリング反応物を、37〜95℃で保持する工程;
(g)リガーゼ緩衝液を提供する工程;
(h)リガーゼを、37〜95℃でアニーリング反応物に直接提供する工程;
(i)該RNA分子を、37〜95℃の1つ以上の温度で該タグに連結する工程;ならびに
(j)該シグナルを検出する工程、
を包含する、方法。
【請求項16】
複数のRNA分子の多重検出の方法であって、該方法は、
(a)複数のRNA分子を含むサンプルを提供する工程;
(b)複数のタグを提供する工程であって、ここで各タグは、第1のDNA配列、およびシグナルを生成する1個以上のレポーター分子が付着する少なくとも1個のレポーター付着領域を含む、工程;
(c)複数のブリッジを提供する工程であって、ここで各ブリッジは、1個のRNA分子に相補的な第2のDNA配列、および1個のタグの第1のDNA配列に相補的な第3のDNA配列を含み、ここで各ブリッジは、RNA分子のうちの1種およびタグのうちの1種に特異的にアニーリングし、ここで該タグのうちの1種は、該RNA分子のうちの1種が該タグに結合される場合にRNA分子のうちの他の種と比較して、該RNA分子のうちの1種を異なって標識するシグナルを生成する、工程;
(d)緩衝液を提供する工程;
(e)該RNA分子、該ブリッジ、および該タグを、37〜95℃で特異的にアニーリングさせる工程;
(f)該アニーリング反応物を、37〜95℃で保持する工程;
(g)リガーゼ緩衝液を提供する工程;
(h)リガーゼを、37〜95℃でアニーリング反応物に直接提供する工程;
(i)該RNA分子、該ブリッジ、該およびタグを、37〜95℃の1つ以上の温度で連結する工程;ならびに
(j)1種以上のシグナルを検出する工程、
を包含する、方法。
【請求項17】
核酸ブリッジ分子を作製する方法であって、該方法は、
(a)RNA分子を選択する工程;
(b)該RNA分子のセグメントを選択する工程であって、該RNA分子のセグメントは、37〜95℃の融解温度を有する該RNA分子の該セグメントに特異的にハイブリダイズするDNA分子と、DNA/RNAヘテロ二重鎖を形成する、工程;
(c)37〜95℃の融解温度を有する該RNA分子の該セグメントに特異的にハイブリダイズする第1のDNAブリッジ分子を生成する工程;
(d)タグを選択する工程であって、ここで該タグは、異質配列であるDNA配列を含む、工程;
(e)該タグのセグメントを選択する工程であって、該タグのセグメントは、37〜95℃の融解温度を有する該タグの該セグメントに特異的にハイブリダイズするDNA分子と、DNA/DNA二重鎖を形成する、工程;
(f)37〜95℃の融解温度を有する該タグの該セグメントに特異的にハイブリダイズする第2のDNAブリッジ分子を生成する工程;ならびに
(g)該第1のDNAブリッジ分子と、該第2のDNAブリッジ分子とを一体化させ、37〜95℃の融解温度を有する該標的RNA分子の該セグメントおよび37〜95℃の融解温度を有する該タグの該セグメントに特異的にハイブリダイズする該核酸DNAブリッジ分子を形成する工程、
を包含する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−519378(P2013−519378A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553031(P2012−553031)
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2011/024519
【国際公開番号】WO2011/100541
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(511037366)ナノストリング テクノロジーズ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】