低刺激の柔軟な先端部を有する眼内レンズ挿入装置
より小さい切り口を通って、眼内レンズ(IOL)を移植するための眼内レンズ挿入装置である。挿入装置は、眼内レンズを収納する挿入カートリッジを含み、ハンドピースと協働する。カートリッジは、搭載チャンバから開口末端までの断面が次第に狭くなる長いルーメンを含む。非常に柔軟な先端部を有する押出ロッドは、開口末端からカートリッジを介して眼内レンズを押す。柔軟な先端部は、最低伸び率が400%の低刺激の材料から作られる。先端が非常に柔軟な材料であるため、開口端部の外径は、2.0mm以下に低減でき、2.2mm以下の切り口を通過できる。柔軟な先端部は、比較的高い伸び率と伸び率100−300%で比較小さい弾性係数を有する熱可塑性エラストマーである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼内レンズ(IOL(s),intraocular lens(es))を眼に挿入するための装置に関する。特に、本発明は、極めて柔軟な先端部を有する押出ロッドによって眼内に押し出される眼内レンズが通る中空管を有する挿入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人の眼は、多くの疾患及び病気に罹りやすく、その中の多くが水晶体を襲う。例えば、白内障に罹ると、曇ったり、又は、くすんで変色した眼のレンズ(水晶体)を通したひどい視界になる。白内障は、しばしば弱視又は失明をもたらす。この場合、水晶体を取り除いて、眼内レンズに取り替えることができる。
【0003】
眼内レンズが眼に移植されると、生来の水晶体が置き換わるだけでなく、生来のレンズが残っている眼の視覚特性も変わる(修正した視界を提供する)。眼内レンズは、しばしば直径が約6mmの光学的に透明な板状の光学レンズ(optic)を含み、好ましくは、レンズを所定位置に固定するために、光学レンズから半径方向外側に伸びて眼に取り付けられる、少なくとも1つの柔軟な固定部又は支持部(haptic)を含む。そのような眼内レンズを眼に移植するために、角膜、強膜又は角膜縁(角膜と強膜の間)を介した切開を伴う。できる限り切り口を小さくすることは、外傷を低減し、治癒を早めるために、有用である。
【0004】
光学レンズは、ポリメチル・メタクリレート(PMMA)のような生体適合性の硬い材料、又は、高分子シリコン、高分子アクリル、高分子ヒドロゲル等のような変形可能な材料で作成される。変形可能な材料の場合、小さな切り口から眼内に挿入するために、眼内レンズは、巻いたり、又、折り畳んだりできる。そのような折り畳み可能なレンズの眼内への挿入を補助するために、相当な数の装置が提案されてきた。一般的な装置では、光学レンズは、タコス形で始まり、挿入カートリッジを通って押し出され、それによって、切り口に適合する管状に巻かれていく。そのような典型的な挿入システムは、マッカー(Makker)等による米国特許(番号5,942,277)に開示され、その内容は本明細書に参照することで、組み込まれる。
【0005】
変形可能な眼内レンズの2つの主要な材料は、シリコンとアクリルである。シリコン製眼内レンズは、より成形し易いため、挿入カートリッジに極度の負荷を掛けることなく、又、カートリッジから眼内レンズを乱暴に押し出すことになる過剰な押圧力を必要とすることなく、より小さい管状に折り畳むことができる。アクリル製レンズは、一部の患者に用いられ、アクリル系の低柔軟性によって生じる問題を緩和するために、より大きな内径のカートリッジを用いるものの、シリコンの場合とほぼ同様の方法で挿入される。カートリッジの内径が大きいので、切り口も必然的に大きくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
技術は開示されているが、より小さい切り口を介して眼内レンズを挿入できる眼内レンズ挿入装置は、常に有益である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、小さい切り口、特に2.2mm以下の切り口が形成されることを可能にすることによって、より迅速な眼内レンズ挿入システムを進歩させる。そのために、導入管の外径は、好ましくは2.0mm以下である。次に、これは、細い導入管を通る、超柔軟かつ変形容易な挿入システム押出ロッドのための新しい柔軟な先端部によって可能になる。中身が詰まった実施の形態では伸び特性、好ましくは、特定の伸び率又は変形率で比較的小さいものによって特徴付けられるが、柔軟な先端部には種々の材料が利用されてよい。
【0008】
一実施の形態によると、管を通って眼内レンズを挿入するための押出ロッドの端部のための柔軟な先端部は、最低でも400%の伸び率を有し、伸び率100%で、100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間の弾性係数を有する中身が詰まった材料からなる。好ましくは、柔軟な先端部の材料は、少なくとも780%の伸び率を有し、伸び率300%で、210psi(1448kPa)と540psi(3723kPa)の間の弾性係数を有する。好ましい柔軟な先端部の材料の場合、最高の硬さは、ショア硬度60Aであり、引っ張り強さは、少なくとも400psi(2758kPa)である。材料は、熱可塑性エラストマー、シリコン、又は、性能基準を満たす他の材料である。
【0009】
他の実施の形態によると、本発明は、管を介して眼内レンズを挿入するための押出ロッドの端部のための柔軟な先端部を提供し、その柔軟な先端部は、中身が詰まっており、好ましくは少なくとも780%であるところ、最低でも400%の伸び率を有する熱可塑性エラストマーからなる。熱可塑性エラストマーは、好ましくは、伸び率100%で100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間の弾性係数を有し、伸び率300%で210psi(1448kPa)と540psi(3723kPa)の間の弾性係数を有する。
【0010】
本発明の更なる形態によると、眼内レンズを眼に挿入するための装置は、眼内レンズを収納するための搭載チャンバを有するカートリッジを備える。搭載チャンバは、開口基端と、2.0mm以下の外径を有する開口で終端するテーパ状のルーメン(内腔)を有する導入管に配置される末端とを有する。押出ロッドは、それに連結された柔軟な先端部を有するものであって、押出ロッドを押す間に柔軟な先端部が、搭載チャンバの基端に入り、その中で眼内レンズを末端側に押すように、カートリッジに配置される。柔軟な先端部は、中身が詰まっており、最低でも400%の伸び率を有し、伸び率100%で100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間の弾性係数を有する材料からなる。好ましくは、柔軟な先端部は、より硬い、そこに挿入組み込み部を有し、挿入部は、取り外し可能に押出ロッドの末端に連結される。
【0011】
更に他の形態によると、本発明は、眼内レンズを眼に挿入するための方法を提供する。方法は、患者の角膜又は強膜で2.2mm以下の切り口を形成することを含む。カートリッジは、開口基端を有する搭載チャンバと、導入管に配置される開口末端とを備え、導入管は、2.0mm以下の外径を有する開口で終端するテーパ状のルーメンを有する。導入管は、対称な又は非対称なテーパ状の部分を有する。方法は、ロードチャンバに眼内レンズを位置付けること、押出ロッドに連結した柔軟な先端部をカートリッジの基端に挿入すること、切り口を介して導入管の開口を挿入すること、及び、テーパ状の内腔を介して搭載チャンバから眼内レンズを押し出すことを含む。眼内レンズは、押出ロッド及び柔軟な先端部によって導入管の開口から眼内に押し出される。ある実施の形態において、導入管の口は、1.8mm以下、好ましくは約1.4mmの外径を有する。柔軟な先端部は、膨脹しているか、膨脹可能であるか、又は、中身が詰まっている。好ましくは、中身が詰まっている柔軟な先端部は、伸び率100%で100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間、伸び率300%で210psi(1448kPa)と540psi(3723kPa)の間の弾性係数を有する。柔軟な先端部は、少なくとも400%の、好ましくは780%より大きい伸び率を有し、好ましくは熱可塑性エラストマーである。
【0012】
他の実施の形態によると、本発明は、管内レンズを眼に挿入するための装置を提供し、装置は、眼内レンズを収納するための搭載チャンバを備える。搭載チャンバは、開口基端と、2.0mm以下の外径を有する開口で終端するテーパ状のルーメンを有する導入管に配置される末端とを有する。押出ロッドは、それに連結され膨脹した柔軟な先端部を有するものであって、押出ロッドを押す間に柔軟な先端部が、搭載チャンバの基端に入り、その中で眼内レンズを末端側に押すように、カートリッジに配置される。柔軟な先端部と押出ロッドとは、互いに連結されていなくてもよい。好ましくは、柔軟な先端部は、導入管のテーパ状のルーメンを通過するにつれて変形するように、膨脹した状態である。
【0013】
以下の記載と特許請求の範囲を参照することで、本発明の内容及び利点が更に理解でき、特に、同一の参照符号を同一の部位に付した添付の図面を関連付けて考慮するとよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、従来可能であるよりも小さい切り口から眼内レンズを眼に移植することを可能にする改良された(improved)眼内レンズ導入システムを提供する。切り口の大きさを制限する要素は、導入管の外径である。現在では、外径が2.2mmまで小さくなった導入管を利用でき、その導入管は、約2.8mmより大きい切り口に適合する。非弾性組織の場合、切り口の長さLによって、導入管の最大外径ODは、式OD=2L/πを用いて決定される。しかし、切り口はいくらか伸びることが見込まれるため、より現実的な近似式は、OD=0.8Lとなる。本発明によると、導入管の大きさは小さくなり、その外径は2.0mmより小さく、好ましくは1.8mmより小さく、最も好ましくは約1.4mmになる。これによって、2.5mmより小さい、好ましくは2.2mmより小さい切り口を介した眼内レンズの導入が可能になる。切り口の長さの減少は僅かなように思えるかもしれないが、合併症及び治癒期間が付随して減少し、それらによって、幾らかの減少が非常に意義深いものになる。
【0015】
本発明は、導入管の末端の大きさが小さい直径になることを除いて、従来技術に記載されたものと同様の導入システムに組み込まれてもよい。そのような従来技術の導入システムは、シリンジ型プランジャ、ネジ型の進歩した機構を有するプランジャ等がある。更に、導入管を介して眼内レンズを押すために利用される押出ロッドは、低刺激な伸長の閾値を有する非常に柔軟な先端部を有する。すなわち、柔軟な先端部の材料は、非常に大きい伸び率を有し、好ましくはその最低は400%である。「低刺激」とは、非常に小さい負荷で容易に変形する材料の性質をいう。多くの材料が、そのような用途に適しており、本発明は、記載された特定の材料に限定されると考えるべきではない。代わりに、本発明は、一般に「低刺激」又は「高伸長」と言われる性質を有する多くの材料を提案する。好ましい材料を説明するために用いられる用語及び従来技術の用語をより理解するために、明確な定義が詳しく説明されなければならない。
【0016】
定義:
【0017】
ポリマー,名詞:多数の天然及び合成の、通常高分子化合物であって、多い場合には何百万と繰り返して連なった単位群からなり、各々は、比較的軽くて単純な分子である。重合によって形成され、必ず繰り返し構造の単位群から構成される化合物又は混合物である。
【0018】
エラストマー(例えば、シリコン),名詞:天然ゴムの弾性を有する種々のポリマーのいずれかである。変形させる力が除かれると元の形状を取り戻す点で、すなわち、元の長さの何倍にも伸びて、恒久的な変形ではなく元の形状に戻る点で、ゴムに類似した種々の弾性素材のいずれかである。
【0019】
泡(フォーム),名詞:梱包などで断熱材又は衝撃吸収剤に利用される、軽い、多孔性の、半剛性の、又は、スポンジのような素材である。
【0020】
プラスチック,名詞:重合によって製造され、種々の形状及びフィルムに成形加工され、押出成形され、流し込み成形され、又、織物繊維として利用される繊維状に引き出される。プラスチックは、成形しやすく、すなわち、容易に形付けられ、又成形加工される。熱いときに容易に成形したり又形付けたりできるプラスチックで、十分に熱い場合に溶けるものを熱可塑性プラスチック(下記参照)という。これは、熱硬化性樹脂(下記参照)と呼ばれる、溶けることがない架橋素材と対照的である。
【0021】
樹脂,名詞:ポリビニル、ポリスチレン及びポリエチレンのような熱可塑性の素材と、ポリエステル、エポキシ、シリコンのような、充填剤、安定剤、顔料、及び、プラスチックを形成する他のコンポーネントに利用される熱硬化性の素材を含む、種々の物理的に類似する合成繊維又は化学的に改良された天然樹脂のいずれかである。物理的に類似する種々の合成繊維又は、熱可塑性プラスチック及び熱硬化性樹脂を含む化学的に改良された種々の天然樹脂のいずれかである。
【0022】
熱可塑性プラスチック,名詞:ポリスチレン又はポリエチレンのような熱可塑性プラスチック樹脂。加熱されると柔軟になり、冷めると再び硬くなる素材(同義語:熱可塑性プラスチック樹脂)。加熱すると柔軟になるか又は溶け、室温にまで冷めると元の状態に戻るポリマー。熱可塑性プラスチックポリマーの分子鎖は、架橋されていない。ポリスチレンは、熱可塑性プラスチックである。熱を加えることによって柔軟になり、冷やすことで硬くなる素材の分類である。
【0023】
熱可塑性の,形容詞:熱せられると柔軟になり、冷えると硬くなること。熱せられると柔軟になるか又は融解し、室温に冷めると硬くなり元の状態に戻る性質を有すること。熱可塑性の素材は、明らかな化学変化をすることなく、再融解と冷却を何度も繰り返す(対義語:熱硬化性の)。
【0024】
熱硬化性樹脂,名詞:加熱し又は放射線を照射することによって、通常架橋反応で連結して、硬くなる又は矯正される素材の分類である。多くの場合、有機過酸化物のような「矯正」添加物又は他の化合物を加える必要がある。一旦矯正されると、熱硬化性の素材は、再融解したり、再処理することができない。
【0025】
熱硬化性の,形容詞:加熱又は矯正されると、恒久的に硬化する性質を有する。
【0026】
シリコン,名詞:酸素及び珪素原子の代わりに、他の有機物のグループと結合した多くのポリマーのいずれかである。シリコンは、オイル、ゲル又はプラスチックになり得るが、全ての形状で耐熱性及び耐水性であり、電気を導通しない。シリコンは、ウレタンのような他の素材と重合して、典型的な熱可塑性のエラストマーと同様の性質を有する熱可塑性の素材を形成する。シリコンは、過酸化物、湿気、プラチナ又は他の合成物によって矯正され得る熱硬化性の素材の典型例である。
【0027】
ゴム,名詞:特にゴムの木など種々の熱帯植物の乳白色の樹液又はラテックスから得られる黄色みがかった、非結晶の弾性素材であって、加硫処理又は架橋処理され、着色処理され、仕上げ処理されて、絶縁体、弾性のバンド又はベルト、タイヤ及び容器のような製品に加工される。架橋されたゴムは、異なるポリマー鎖の間で共有結合を有し、全体を1つの繋がった分子に結合する。ポリマー鎖が互いにこのように結合する場合、ポリマー鎖は元の位置からさらに伸ばし難く、そして、伸ばされたとき、ゴムはさらによく跳ねる。ポリマー鎖は互いに結合するため、ゴムが熱くなると、互いに流れ去り又互いに表面を流れることができなくなる。これが、ゴムが溶けない理由である。
【0028】
スポンジ,名詞:セルロース、プラスチック又はゴムのような吸収性の多孔質素材の一片であって、特に、洗浄及び清掃に利用される。
【0029】
ガラス遷移温度(Tg),名詞:非結晶ポリマーがこの温度より冷やされると、ガラスのように硬く脆くなる。ポリマーは、ガラス遷移温度より高温で利用されるものもあり、又それより低温で利用されるものもある。ポリスチレン及びポリ(ポリメチル・メタクリレート)のように硬いプラスチックは、ガラス遷移温度より低温で、すなわちガラス状態で利用される。それらの遷移温度(Tg)は、室温より十分に高く、共に100度程度である。ポリイソプレン及びポリイソブチレンのようなゴムエラストマーは、それらの遷移温度(Tg)より高温で、すなわち軟らかくて柔軟なゴム状態で利用される。
【0030】
非晶質ポリマー,名詞:鎖が秩序だった結晶構造に配列しておらず、固体であっても無秩序に散らばったポリマー。非結晶ポリマーの一部がエラストマーである。一部は、熱可塑である。非結晶ポリマーが熱可塑性であるかエラストマーであるかは、ガラス遷移温度によって決まる。非結晶ポリマーが室温より低い遷移温度(Tg)を有する場合、そのポリマーは、室温で軟らかいゴム状であるため、エラストマーである。非結晶ポリマーが室温より高い遷移温度(Tg)を有する場合、それは、室温で硬いガラス状であるため、熱可塑性である。非結晶ポリマーの第1の一般的な規則は、エラストマーは低い遷移温度のものであり、熱可塑性のものは高い遷移温度のものであるということである(これは非結晶ポリマーに有効なだけであり、結晶ポリマーには有効ではない)。
【0031】
ブロック・コポリマー:コポリマーは、1種より多くのモノマーから、すなわち、2以上のコモノマー(co−monomers)からなるポリマーである。ブロック・コポリマーは、コモノマーが長いセクションのポリマーの主鎖(backbone chain)に分かれたコポリマーである。ブロックと呼ばれるこれらセクションの各々は、一種のホモポリマーである。
【0032】
イオノマー:コポリマーの一種。繰り返し単位の小部分が、それに結合するイオンを含む付属グループを有するコポリマー。通常、ポリマーの主鎖は、無極性である。無極性ポリマーの主鎖は互いにグループ化し、極性のあるイオンを含む付随グループは互いにクラスター化する。イオンを含むグループのクラスターは、非極性の主鎖からそれら自体を完全に分離することができず、通常の架橋と同じように、主鎖同士を結びつけるのに役立つ。
【0033】
架橋ポリマー,名詞:架橋ポリマーは、通常架橋前に、形成され、又形付けられる。一旦架橋されると、通常高温でなされ、対象物はもはや形付けられなくなる。熱は通常、形状を恒久化する架橋を生じさせ、これらの素材は熱硬化性と呼ばれる。この名称は、架橋されず、又一旦形成された後も変形可能な熱可塑性と区別される。通常の架橋ポリマーは、溶解しないため、リサイクルできない。架橋が全ての重合の鎖を互いに結び付けるため、溶解せず、素材が流動できなくなる。
【0034】
熱可塑性エラストマー(TPE),名詞:TPEは、熱可塑性プラスチックの処理上での利点に関してエラストマーの性質を有する。丈夫で電気的に絶縁性のエラストマーであって、加硫処理されたゴムの物理的な性質を多く備えるが、従来の加硫ゴムとは異なり、熱可塑性プラスチックとして処理可能である。ほとんどが、二相システムであり、硬い相と軟らかい相とを有する。応用例として、接着剤、ワイヤ及びケーブルの被覆材、自動車のバンパ、履き物、医療装置、ポリマー修飾、振動ダンパがある。ポリマーの混合物又は複合物であって、溶融温度より高温で、二次加工品に成形できる熱可塑性の性質を示し、又、設計温度範囲内での加工中に架橋することなくエラストマーの性質を維持する。この処理は可逆であり、生産物は再処理及び再形成可能である(同義語:熱可塑性ゴム、TPE、TPOゴム)。
【0035】
熱可塑性エラストマーの背後の思想は、可逆性の架橋の考え方である。通常の架橋は、共有結合であり、ポリマーの鎖を1つの分子に化学的に相互に結合する。可逆性の架橋は、非架橋、すなわち、互いに結合するためにポリマーの鎖の間で二次的相互作用を利用する。これらの相互作用は、水素結合及びイオン結合を含む。架橋を形成するために、非共有相互作用を利用する利点は、素材が加熱された時、架橋が壊されることにある。これによって、素材を処理することができ、最も重要なことに、再利用することができる。再び冷めた場合、架橋は再形成する。イオノマーとブロックポリマーの2つのアプローチが試されている。
【0036】
これまでで、明確で基本的な定義が与えられたので、本発明の理解は容易になるであろう。上述のように、本発明は、究極的に、眼内レンズを導入する眼の角膜、強膜又は角膜及び強膜の間の角膜縁の切り口を小さくすることに帰結する。眼内レンズを眼に導入するための典型的なシステムを説明する。しかし、眼の切り口を通過し、眼内レンズが押し出される管の末端で終端するあらゆるシステムが、本発明の種々の形態から利益を得ることが理解されるべきである。従って、眼内レンズの導入及び挿入カートリッジは、そのようなシステム群の代表として理解されるべきである。
【0037】
図1−3は、本発明の眼内レンズ挿入カートリッジ10を示す。挿入カートリッジ10の本体は、一体的に形成され、例えば、ポリプロピレンを主原料として形成されたユニットである。搭載チャンバ12は、部分管第1部材16と部分管第2部材18とを含み、それらは、互いに固定又は接続され、カートリッジ10の長軸30に平行な線21に沿って互いに相対的に回動できる。
【0038】
導入管14は、基端部22と、末端部24と、開口末端26とを有する。補強カラー28は、導入管14の基端部22に設ける。開口末端26は、カートリッジ10の長軸30に対して約45°の角度で傾斜する。導入管14は、末端側の開口末端26から伸びて、導入管14の基端部22より手前で終端するスルースロット32を有する。スルースロット32は、カートリッジ10の長軸30と平行な方向に細長く伸びる。
【0039】
図1に示すように、カートリッジ10は開放状態である。これに対して、図2のカートリッジ10は閉塞状態である。閉塞状態において、搭載チャンバ12は、第1部材16及び第2部材18それぞれの第1ウィング38及び第2ウィング40の上端表面34,36の組み合わせである上端32を有する。第1及び第2ウィング38,40は、本明細書で後述するように、使用時にカートリッジ10を保持して操作するカートリッジの利用者にとって便宜である。
【0040】
図3は、ハンドピースの末端部50とともに挿入機を示し、図3を参照して、カートリッジ10について、より詳細に説明する。ハンドピースとともに使用される場合、カートリッジ10の搭載チャンバ12は、閉塞状態にある。閉塞状態の搭載チャンバ12及び搭載チャンバの最上部である上端32を有する導入管14の開口末端26は、(挿入機を上方から見た場合に)開口末端が概ね右向きとなるように、カートリッジ10の長軸30に対して45°の角度で傾斜する。更に、図1−3に示すように、スルースロット32は、存在する場合、開口末端の基端側の大部分で開口末端26と交差する。
【0041】
更に図3を参照すると、搭載チャンバ12は、カートリッジ10の長軸と平行な方向に細長く伸びる第1ルーメン52を形成する内壁51を有する。導入管14は、末端側に先細りになる第2ルーメン54を形成する先細り形状の内壁53を有する(例えば、先細り形状は、1つ以上の断面形状において、対称又は非対称である。)。長軸30に直交する第2ルーメン54の平均的な断面領域は、第1ルーメン52の平均的な断面領域より小さいか、又は、それに対する少なくとも1つの断面寸法において低減している。
【0042】
第1ルーメン52は、第1ルーメンの中の折り畳まれた眼内レンズが第1ルーメンから第2ルーメンに直接に通過するように、第2ルーメン54とともに配置される。第2ルーメン54の基端部58のテーパは、第2ルーメンの末端部60に存在する僅かなテーパよりも急峻である。基端部58の急峻なテーパは、眼内レンズ54が第2ルーメン54を通過するとき、眼内レンズを更に折り畳むために、有効である。このように更に折り畳むことによって、更に折り畳まれた眼内レンズがより小さな切り口を通って眼内に挿入されることが可能になるため、便宜である。
【0043】
カートリッジ10の材料に組み込まれた又はカートリッジ10の材料を覆う(例えば、共有結合等した)コンポーネントによって潤滑性を向上させることで、弱い力で更に折り畳むことが可能になる。他の利点は、より小さな切り口を介して眼内レンズを挿入できるように、眼内レンズを折り畳む程度が増すことにある。潤滑性が増したコンポーネントにより、眼内レンズが第1ルーメン52及び第2ルーメン54を通過するとき、眼内レンズを破り且つ/又は損傷する危険も効果的に低減する。
【0044】
図4に、ハンドピース70及び押出ロッド72と組み合わせたカートリッジ10を示す。ハンドピース70は、比較的大きくて細長い第1開口74と、比較的小さくて細長い第2開口76とを有する。ハンドピース70は、ハンドピースの基端80から末端82までに伸びる貫通孔78を有する。ハンドピース70の基端部84は、押出ロッド72の基端セグメント90のネジ88と係合して結合するように設けられたネジを含む。代わりに、シリンジ状の挿入機は、プランジャが回転せずに前進するように押圧するプランジャに利用されてもよい。押出ロッド72のシャフト92は、孔78、第1ルーメン52、第2ルーメン54、及び、開口末端26を通過できる配置と大きさであるハンドピース70及び押出ロッド72は、典型例としては金属(例えば、チタニウム、外科的グレードのステンレス鋼、又は、同様のもの)を用いて製造されるが、プラスチック及び他の材料(例えば、ポリプロピレン)が用いられてもよい。後述するように、シャフト92の末端の非常に柔軟な先端部は、カートリッジ10を通って実質的に眼内レンズに接触して押す。
【0045】
カートリッジ10は、以下のように、操作され、そして機能する。カートリッジ10に眼内レンズを搭載しようとする場合、挿入機は、図1に示すように位置付けられ、例えば手動で位置付けられる。開放状態の搭載チャンバ12の場合、眼内レンズは、概ね100に示すように、例えば第1及び第2部材16,18の間に位置付けられる。この位置付けによって、図1に示すように、光学レンズ104の前面102は上方を向く。光学レンズ104は、ガラスの遷移温度を有するシリコン又はアクリルのような材料を用いて製造される。3つの部分からなる眼内レンズでは、眼内レンズ100のフィレット支持部(fillet haptics)又は固定部106,108は、図示するように、固定部が長軸30に直交するというよりもむしろ、概ね平行になるように、位置付けられる。1片の眼内レンズでは、支持部は、光学レンズ104の中に包み込まれる。
【0046】
図1に示すように位置付けられた眼内レンズ100の場合、例えば第1及び第2ウィング38,40をともに、図2に示す閉塞状態に搭載チャンバ12に位置付けるように、手で移動させることによって、第1及び第2部材16,18は互いに相対的に回動する。搭載チャンバ12が閉塞状態の場合、眼内レンズ100は、光学レンズ104が畳み込まれた畳み込み状態にある。搭載チャンバを開放状態から閉塞状態に移動させる第1及び第2部材16,18の相対的に移動することは、光学レンズ104を折り畳むために有効である。折り畳まれた眼内レンズ100は、その時、図3の断面図に示すように、第1ルーメン52に位置付けられる。
【0047】
図3に示しように設定されたカートリッジ10及び第1ルーメン52に位置付けられて折り畳まれた光学レンズ104の場合、カートリッジ10は、図4に示すように、ハンドピース70と連結して位置付けられる。この設定では、導入管14の末端部24はハンドピース70の末端82を超えて末端側に伸びる。図3に示すように、ハンドピース70の末端部85は、補強カラー28を接触状態で収納するように設定される内壁87を有する。
【0048】
図5を参照すると、生来の眼のレンズが以前占めていた、眼120の領域に眼内レンズ100を位置付けることができる。図5は、導入管14の末端部24が通過する切り口を有する角膜122を示す。代わりに、切り口は、強膜又は角膜縁に設けられてもよい。末端部24は、強膜122(又は角膜)における、2.2mmより短い長さの切り口を通って眼内に進入できるように、十分に小さい断面を有する。
【0049】
ハンドピース70内に位置付けられたカートリッジ10の場合、押出ロッド72は、基端80から始まるハンドピースの貫通孔78に位置付けられる。ネジ88はネジ86と接触して結合するため、押出ロッド72は、図5に示すように、ハンドピース70の基端部84の上に押出ロッドを螺合するように、回転する。押出ロッド72及びカートリッジ10は、シャフト92及び柔軟な先端部が搭載チャンバ12の基端に入り、そこで眼内レンズを末端側に押し出すように、配置される。ハンドピース70の孔78を介してシャフト92は徐々に移動することによって、折り畳まれた眼内レンズ100は、第1ルーメン52から第2ルーメン56までを移動して、更に開口末端26を通って、眼内に移動する柔軟な先端部によって、押し出される。眼内レンズがカートリッジを通って押し出される例示的なプロセスが、図6A−6Cを参照して、より詳細に説明され又図示される。
【0050】
導入管14は、眼内レンズ100を解放後に眼122に適切に、すなわち、前眼房、後眼房、水晶体嚢124又は溝(the sulcus)に配置可能な位置にまで、操作される。このように、手術によって、搭載チャンバ12の第1ルーメン52内に眼内レンズ100を保持しながら、導入管14の末端部24を制御して位置付けることが可能になる。一旦末端部24が位置付けられると、ハンドピース70上の押出ロッド72を回転させること(押出ロッド72のネジを回すこと)によって、第2ルーメン54の中に進入して通過し、そして導入管14の開口末端26を通って眼120の中にまで、シャフト92が眼内レンズ100を末端側に押し出す。
【0051】
眼内レンズがカートリッジ10から解放されるとき、眼内レンズ100の前面102は、概ね眼120の前方を向いている。言い換えると、眼内レンズ100は、反転又は他の配置ミスが生じることなく、第1ルーメン52、第2ルーメン54、開口末端26を通過して、眼120の中に進入する。眼内レンズ100を眼120に適切に配置するため、例外的に、挿入後に、比較的少量の再配置が必要になる。
【0052】
眼内レンズ100が眼内に挿入された後、シャフト92は、基端側の導入管14に移動し、導入管の末端部24が眼から取り除かれる。必要に応じて、眼内レンズ100は、同じ切り口に挿入される小さい曲がったニードル又は同様の道具によって、眼の中で再配置される。
【0053】
一旦眼内レンズ100が適切に眼120の中に配置され、カートリッジ10が眼から引き抜かれると、角膜、強膜、又は、角膜縁の切り口は、例えば確立された技術で、修復される。使用後に、カートリッジ10は適切に処分される。ハンドピース70及び押出ロッド72は、殺菌/消毒した後に、再利用され得る。柔軟な先端部も、通常は、処分される。
【0054】
図6A−6Cを参照すると、押出ロッドのシャフト92の端部が備える柔軟な先端部130の第1実施形態が、導入管14を通って眼内レンズを押し出す一連の図で示される。柔軟な先端部130については、すでに説明した挿入機カートリッジ10の箇所に記載されており、そのため同一の符号が用いられる。しかし、眼内レンズを眼に注入するためのこのシステムは例にすぎないことを、ここで繰り返し記載しておく。
【0055】
柔軟な先端部130は、好ましくはシャフト92の軸と一致する軸を有する円柱状の中身が詰まったブロックの材料からなる。代わりに、先端部は、シャフトの軸に対してオフセットした又は非対称な形状であってもよく、それによって、先端部は、先端がカートリッジの1つ以上の側部を優先的に押す。柔軟な先端部130が搭載チャンバ12の基端に入ることを促すために、その末端面132は、丸められ又は図示するように丸い面取り部を有してもよい。もちろん、搭載チャンバ12の中に通常備えられる潤滑性材料によって、柔軟な先端部130は容易に前進できる。更に又は代わりに、潤滑性の材料は、柔軟な先端部130に組み込まれてもよく、又、それを被覆してもよい。図6Aは、搭載チャンバ112の特に第1ルーメン52に部分的に進入した後の柔軟な先端部130を示す。末端面132は、挿入機カートリッジ10を通って眼内レンズを押し出す押圧面を形成する。眼内レンズが3つの部分、すなわち光学レンズ104及び2つの支持部106,108を有する場合、末端面132は、図示するように最初に後方支持部106に接触する。
【0056】
押出ロッドのシャフト92が更に末端方向に移動すると、やがて、図6Bに示すように柔軟な先端部130の末端面が光学レンズ14に接触して、眼内レンズの全てを導入管14のテーパ状の第2ルーメン54に押し出す。柔軟な先端部130の外径は、実質的に第1ルーメン52の内径と同じであり、そのため、柔軟な先端部は、先細りの第2ルーメン54に前進すると、図示するように変形し始める。特に柔軟な先端部130は、小さい径の第2ルーメン54に押し込まれるため、次第に、長くなる。後述するように、柔軟な先端部130の材料は、非常に弱い刺激で非常に容易に変形するものであり、この場合、テーパ状の第2ルーメン54からの負荷によって収縮するものである。柔軟な先端部130の変形の一部がシャフト92の周辺で基端方向に生じることは間違いないが、主要な変形は、第2ルーメン54の中で末端側に伸びることに現れる。
【0057】
最終的に、図6Cは、柔軟な先端部130がテーパ状の第2ルーメン54の中でかなり伸びた箇所で、導入管14の末端口26から眼内レンズ100を放出する場所に前進した、押出ロッドのシャフト92を示す。柔軟な先端部130の材料の高度の伸長性のため、それは、導入管14に半径方向の外方に過度の圧力を掛ける代わりに、伸長変形する。好ましい材料の例では、柔軟な先端部130は最低でも400%の伸び率を有する。このことは、同じ伸長性を有せず、そのため、それが、変形する代わりに、導入管の外方に圧力を掛けて、導入管を損傷する大きな圧力の下で位置付けられるだけあった従来の柔軟な先端部の重要な改善である。他に考えられることは、従来技術の柔軟な先端部が、小さすぎる導入管を通って圧縮されると、眼内レンズを損傷するかもしれない。
【0058】
柔軟な先端部130は、図6Cに示す形状に変形する十分な伸長性を有するが、それは必ずしも完全な変形ではないことはもちろんであって、種々の負荷の下である弾性係数を有するものである。そうでなければ、柔軟な先端部130は、眼内レンズに末端側への力を維持するだけの十分な品質を有することができず、先細りの第2ルーメン54から反力が大きくなると、眼内レンズの周囲で変形し、又は、押出ロッドの周囲で裏返ることになる。そのため、柔軟な先端部130は、非常に高い伸長性を備え、種々の伸び状態で比較的小さい弾性係数を維持する。好ましい材料の例では、柔軟な先端部130は、100−300%の伸びで、100−200psi(689−1448)の弾性係数を有する。
【0059】
ある種の熱可塑性エラストマー材料が柔軟な先端部130に適切であり、マックヘンリ・イリノイスのGLS社が提供するデータを用いて、次の表1に3種の詳細を示す。これらのデータは、http://www.glscorp.com/home.htmlで、オンラインで参照できる。
【表1】
【0060】
3種の熱可塑性エラストマー材料が、柔軟な先端部130に利用するためにテストした。第1に、ヴェルサフレックス(Versaflex)(登録商標)CL30が最善であり、第2に、ダイナフレックス(Dynaflex)(登録商標)G7930−9001−02は良好であり、第3に、ダイナフレックス G2703−1000−00は十分である。これら3種全ての材料が、比較的大きい破断点伸長率を有し(例えば、伸び率)、それらは600%より大きい。しかし、本発明の柔軟な先端部130は、最低でも400%の伸び率を有し、好ましくは、伸び率は780%以上である。更に、柔軟な先端部の材料の低刺激な性質によって、使用中、先細りになっている導入管のルーメンを通過するときの変形が可能になる。伸び率100%の場合、試験した熱可塑性エラストマー材料は、最低で100psi(689kPa)の弾性係数を有し、最大で310psi(2137kPa)の弾性係数を有した。伸び率300%の場合、試験した3つの材料は、際sy方で210psi(1448kPa)の弾性係数を有し、最大で540psi(3723kPa)の弾性係数を有した。好ましくは、柔軟な先端部130の材料は、伸び率が100−300%の場合、100−210psi(689−1448kPa)の間にある比較的小さい弾性係数を有する。
【0061】
更に、他の物理的な性質も重要であると考えられる。特定の形式の物理的な性質によって制限されるべきではないが、本発明の柔軟な先端部の効果は、要素、すなわち、材料の硬さ、引っ張り強さ、100%モジュラス、300%モジュラス及び伸び率の組み合わせに依存する。試験した材料から得られるデータによると、硬さは、最大でショア硬度60Aであって、好ましくは、ショア硬度30Aから58Aの間であって、更に好ましくは、ショア硬度40Aであり、又、引っ張り強さは、少なくとも400psi(2758kPa)であって、より好ましくは、400−1160psi(2758−7998kPa)である。
【0062】
試験及び上記の表1に記載した材料は、マックヘンリ・イリノイスのGLS社がから得られる。GLCによって提供されるTPE材料には、以下のクラスがあり、スチレン・ブロック・コポリマー、熱可塑性加硫物及び熱可塑性ポリウレタンがある。GLSは、クラトン(Kraton)、ダイナフレックス(DYNAflex)、ヴェルサフレックス(VERSAflex)、ヴェルスアロイ(VERSalloy)、ヴェルス(VERSollan)を含む有用な材料にちなんだ名で取り引きしている。
【0063】
好ましい材料は熱可塑性エラストマーであるが、同様の物理的な応答の特徴を有する他の材料が利用されてもよい。実際に、柔軟な先端部は、熱可塑性エラストマー又は熱硬化性エラストマーのいずれであってもよい。更に、シリコン又はシリコン・コポリマーの特性は、100%及び300%伸び率の場合の比較的小さいモジュラス値とともに、大きい伸び率を有する点で好適である。もう一度繰り返すが、柔軟な先端部の材料が低刺激性であることによって、それらは、先細りの導入間ルーメンを通過するときに変形ができる。
【0064】
更に、柔軟な先端部130は上述のように中身が詰まっているが、それは、いかなる断面においても連続的で切れ目のない物理的な形態を意味しており、後述する膨張した又は膨張可能な先端部のような他の形態は、望ましい高い伸び特性を有し、従って適切な機能を有する中身が詰まったものと似た作用をする。
【0065】
材料の伸び率に関する物理的な特徴によって、本発明の柔軟な先端部は、従来の技術のそれと最も峻別される。例えば、米国特許番号6,162,229(フェインゴールド(Feingold)等)に、「エラストマー(例えば、シリコン)、変形可能なプラスチック、変形可能な熱可塑性プラスチック、ゴム、フォーム、スポンジ、スター・サージカル(STAAR Surgical)によって作られるコラマー(COLLAMER)又は他の適切な弾性的に変形可能な材料」のような材料から作られる変形可能なプランジャの先端を有する眼内レンズ導入機が記載される。これらの種々の材料の特別な特徴について、それらが導入カートリッジ(挿入機カートリッジ)を通って変形する以外に、更に説明する必要はないであろう。導入カートリッジの先端部の大きさ、及び、その先端部が通る切り口の大きさも言うまでもないであろう。
【0066】
コラマーは、特許されたコラーゲン/ポリマー材料であり、物性がシリコンに類似し、又、スター・サージカル(それは、カリフォルニア州モンロヴィアにある。)によって眼内レンズに利用されるものである。スター・サージカルのウェブサイト(www.staar.com)では、コロマー又はシリコンを用いて作られた眼内レンズが説明されている。シリコンは、形成及び前処理によって伸び率が変化するものであり、スター社の材料に関するデータは、提供されていない。後述の導入カートリッジについては、スター・サージカルのウェブサイト(www.staar.com)に説明されている。切り口の最小の大きさが2.8mmであることは重要であり、そのため、利用されるシリコンは、本明細書で説明したものとは異なり、本出願で開示したような非常に細い導入管を通過できないと、出願人は、推測する。
【0067】
AQカートリッジ
【0068】
マイクロ・チップ・カートリッジ(MICRO−TIP CARTRIDGE)は、カートリッジ先端に、45度で傾斜した端部と2つのスリットを有する。このカートリッジは、小さいウィング状であり、2.8mmの大きさの切り口を通って挿入できる。このカートリッジは、スター社の3部分スタイルのレンズに適合するように設計されてきた。
【0069】
MTC−60cカートリッジ
【0070】
マイクロ・チップ・カートリッジは、60度で傾斜した端部を有し、スリットを有さない。このカートリッジは、小さいウィング状であり、2.8mmの大きさの切り口を通って挿入できる。このカートリッジは、スター社のプレート支持部(plate haptic)レンズに適合するように設計されてきた。
【0071】
図7−9を参照すると、本発明に利用するための中身が詰まった柔軟な先端部の種々の形態が開示される。図7において、上述の材料のいずれかを用いて作られた柔軟な先端部140は、末端面142と、基端面144と、それらの間の部分円錐外表面146とを有する。すなわち、末端面142は、基端面144より小さい直径を有する。押出ロッド150は、基端表面144から分離して示されており、そこに末端面プレート152を有している。面プレート152は、柔軟な先端部140の基端面144に接触して押圧するが、そこに連結されているわけではない。面プレート152は、柔軟な先端部140への押圧力をより広く分散するために、押出ロッド150の表面領域を広げている。
【0072】
図8は、上述の材料のいずれかを用いて作られた円筒状の柔軟な先端部160を示す。押出ロッド162は、末端部164を内部に埋め込むことによって柔軟な先端部160に取り付けられている。末端部164は、柔軟な先端部160の基端面に予め開けられた穴に隙間なく嵌り合い、すなわち、接着剤等を用いるよりも堅固に固定される。図示しないが、末端部164は、スナップ式の形状、又は、より固い連結のために柔軟な先端部160に似た形状の穴と連結する形状である。そのようなロッド/先端部の形状は、米国特許番号6,254,607(マッカー(Makker)等)に開示されており、本明細書で参照することによって、その内容は、明らかに組み込まれる。
【0073】
最後に、図9は、内部に組み込まれたより硬い管状挿入部172を有する円筒状の柔軟な先端部170を示す。挿入部172のネジ穴174は、柔軟な先端部170の基端面176で開口する。ネジ穴174は、押出ロッド180のネジ部178を収納する。この方法の場合、押出ロッド180と柔軟な先端部170との連結が強固になる一方で、柔軟な先端部の材料の利点が活かされる。更に、この方法によると、使用と使用の間に、柔軟な先端部170を容易に位置づけることが可能になる。
【0074】
図10A−10Cを参照すると、押出ロッドのシャフト192の端部に備える膨張した柔軟な先端部190の代替例が、導入間14を通って眼内レンズを押し出す一連の図として示される。柔軟な先端部130の利用法は、上述の挿入機カートリッジ10の箇所において説明され、同一符号が用いられる。
【0075】
柔軟な先端部190は、例えば、ラテックス又はシリコンの膨張可能な又は膨張した部位を含み、好ましくは円筒状であり、シャフト192の軸と一致した軸を有する。柔軟な先端部190が、搭載チャンバ12の基端に入りやすいように、末端面は図示するように丸められる。図10Aは、搭載チャンバ112、特に第1ルーメン52に部分的に入った後の柔軟な先端部190を示す。末端面は、挿入機カートリッジ10を通って眼内レンズを押し出す。
【0076】
押出ロッドのシャフト192が更に末端方向に移動すると、柔軟な先端部190の末端面は、光学レンズ104に接触し、図10Bに示すように、導入間14の先細りの第2ルーメン54に眼内レンズの全てを押し出す。柔軟な先端部190の外形は、部分的に第1ルーメン52の内径と同じであり、そのため、図示するように、柔軟な先端部が先細りの第2ルーメン54に前進すると、それは変形し始める。特に、柔軟な先端部190は、直径が小さい第2ルーメン54に押し込まれると、次第に長くなる。この変形を容易にするため、柔軟な先端部190は、好ましくは膨張状態にあり、そのため、伸張形状に搾り出される。柔軟な先端部190の一部がシャフト192の周囲で基端方向に変形することは間違いないが、大部分は、第2ルーメン54の中で末端側に伸びる。
【0077】
最後に、図10Cは、柔軟な先端部190が先細りの第2ルーメン54の中で、導入管14の末端口26から眼内レンズ100を放出する所定位置に十分に長くなる箇所まで前進した押出ロッドのシャフト192を示す。膨張状態の柔軟な先端部190は、その材料の伸び率が大きいため、導入管14に半径方向の外方への過剰な負荷を掛けず、代わりに長さ方向に変形する。好ましい実施の形態において、柔軟な先端部190は、最低で400%の伸び率を有する中身が詰まった先端部と同様に変形する程度にまで膨張している。
【0078】
本明細書に記載した本発明の具体例及び実施の形態に、本発明の範囲から逸脱しない限りで種々の変形がなされ得ることは、当業者に十分に理解されるであろう。本明細書で説明した本発明の実施の形態は、本出願に開示する発明の思想の具体例として理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】開放状態の搭載チャンバを有する本発明に係る眼内レンズ挿入カートリッジの正面側方からの斜視図である。
【図2】閉塞状態の搭載チャンバを有する図1の眼内レンズ挿入カートリッジの側方からの斜視図である。
【図3】図3は、導入ハンドピース内に配置された眼内レンズ挿入カートリッジの側方からの図4の3−3線に沿った部分断面図である。
【図4】図4は、ハンドピースに搭載された図2の眼内レンズ挿入カートリッジの正面方向からの斜視図である。
【図5】図5は、眼内レンズを眼に挿入するために利用されている、部分断面のハンドピースを有する図3の眼内レンズ挿入カートリッジ及びハンドピースを示す概略図である。
【図6A−6C】図6A−6Cは、導入管から眼内レンズを押し出すために、カートリッジ及び導入管ルーメンを介する、押出ロッドと典型的な中身が詰まった柔軟な先端部との前進を示す、導入ハンドピースの眼内レンズ挿入カートリッジの側方断面図である。
【図7−9】図7−9は、本発明の柔軟な先端部の典型的な形状と、それに押出ロッドを接続する態様との斜視図である。
【図10】図10A−10Cは、本発明の押出ロッドと、膨脹した又は膨脹可能な柔軟な先端部との前進を示す、導入ハンドピースの眼内レンズ挿入カートリッジの側方断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼内レンズ(IOL(s),intraocular lens(es))を眼に挿入するための装置に関する。特に、本発明は、極めて柔軟な先端部を有する押出ロッドによって眼内に押し出される眼内レンズが通る中空管を有する挿入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人の眼は、多くの疾患及び病気に罹りやすく、その中の多くが水晶体を襲う。例えば、白内障に罹ると、曇ったり、又は、くすんで変色した眼のレンズ(水晶体)を通したひどい視界になる。白内障は、しばしば弱視又は失明をもたらす。この場合、水晶体を取り除いて、眼内レンズに取り替えることができる。
【0003】
眼内レンズが眼に移植されると、生来の水晶体が置き換わるだけでなく、生来のレンズが残っている眼の視覚特性も変わる(修正した視界を提供する)。眼内レンズは、しばしば直径が約6mmの光学的に透明な板状の光学レンズ(optic)を含み、好ましくは、レンズを所定位置に固定するために、光学レンズから半径方向外側に伸びて眼に取り付けられる、少なくとも1つの柔軟な固定部又は支持部(haptic)を含む。そのような眼内レンズを眼に移植するために、角膜、強膜又は角膜縁(角膜と強膜の間)を介した切開を伴う。できる限り切り口を小さくすることは、外傷を低減し、治癒を早めるために、有用である。
【0004】
光学レンズは、ポリメチル・メタクリレート(PMMA)のような生体適合性の硬い材料、又は、高分子シリコン、高分子アクリル、高分子ヒドロゲル等のような変形可能な材料で作成される。変形可能な材料の場合、小さな切り口から眼内に挿入するために、眼内レンズは、巻いたり、又、折り畳んだりできる。そのような折り畳み可能なレンズの眼内への挿入を補助するために、相当な数の装置が提案されてきた。一般的な装置では、光学レンズは、タコス形で始まり、挿入カートリッジを通って押し出され、それによって、切り口に適合する管状に巻かれていく。そのような典型的な挿入システムは、マッカー(Makker)等による米国特許(番号5,942,277)に開示され、その内容は本明細書に参照することで、組み込まれる。
【0005】
変形可能な眼内レンズの2つの主要な材料は、シリコンとアクリルである。シリコン製眼内レンズは、より成形し易いため、挿入カートリッジに極度の負荷を掛けることなく、又、カートリッジから眼内レンズを乱暴に押し出すことになる過剰な押圧力を必要とすることなく、より小さい管状に折り畳むことができる。アクリル製レンズは、一部の患者に用いられ、アクリル系の低柔軟性によって生じる問題を緩和するために、より大きな内径のカートリッジを用いるものの、シリコンの場合とほぼ同様の方法で挿入される。カートリッジの内径が大きいので、切り口も必然的に大きくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
技術は開示されているが、より小さい切り口を介して眼内レンズを挿入できる眼内レンズ挿入装置は、常に有益である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、小さい切り口、特に2.2mm以下の切り口が形成されることを可能にすることによって、より迅速な眼内レンズ挿入システムを進歩させる。そのために、導入管の外径は、好ましくは2.0mm以下である。次に、これは、細い導入管を通る、超柔軟かつ変形容易な挿入システム押出ロッドのための新しい柔軟な先端部によって可能になる。中身が詰まった実施の形態では伸び特性、好ましくは、特定の伸び率又は変形率で比較的小さいものによって特徴付けられるが、柔軟な先端部には種々の材料が利用されてよい。
【0008】
一実施の形態によると、管を通って眼内レンズを挿入するための押出ロッドの端部のための柔軟な先端部は、最低でも400%の伸び率を有し、伸び率100%で、100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間の弾性係数を有する中身が詰まった材料からなる。好ましくは、柔軟な先端部の材料は、少なくとも780%の伸び率を有し、伸び率300%で、210psi(1448kPa)と540psi(3723kPa)の間の弾性係数を有する。好ましい柔軟な先端部の材料の場合、最高の硬さは、ショア硬度60Aであり、引っ張り強さは、少なくとも400psi(2758kPa)である。材料は、熱可塑性エラストマー、シリコン、又は、性能基準を満たす他の材料である。
【0009】
他の実施の形態によると、本発明は、管を介して眼内レンズを挿入するための押出ロッドの端部のための柔軟な先端部を提供し、その柔軟な先端部は、中身が詰まっており、好ましくは少なくとも780%であるところ、最低でも400%の伸び率を有する熱可塑性エラストマーからなる。熱可塑性エラストマーは、好ましくは、伸び率100%で100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間の弾性係数を有し、伸び率300%で210psi(1448kPa)と540psi(3723kPa)の間の弾性係数を有する。
【0010】
本発明の更なる形態によると、眼内レンズを眼に挿入するための装置は、眼内レンズを収納するための搭載チャンバを有するカートリッジを備える。搭載チャンバは、開口基端と、2.0mm以下の外径を有する開口で終端するテーパ状のルーメン(内腔)を有する導入管に配置される末端とを有する。押出ロッドは、それに連結された柔軟な先端部を有するものであって、押出ロッドを押す間に柔軟な先端部が、搭載チャンバの基端に入り、その中で眼内レンズを末端側に押すように、カートリッジに配置される。柔軟な先端部は、中身が詰まっており、最低でも400%の伸び率を有し、伸び率100%で100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間の弾性係数を有する材料からなる。好ましくは、柔軟な先端部は、より硬い、そこに挿入組み込み部を有し、挿入部は、取り外し可能に押出ロッドの末端に連結される。
【0011】
更に他の形態によると、本発明は、眼内レンズを眼に挿入するための方法を提供する。方法は、患者の角膜又は強膜で2.2mm以下の切り口を形成することを含む。カートリッジは、開口基端を有する搭載チャンバと、導入管に配置される開口末端とを備え、導入管は、2.0mm以下の外径を有する開口で終端するテーパ状のルーメンを有する。導入管は、対称な又は非対称なテーパ状の部分を有する。方法は、ロードチャンバに眼内レンズを位置付けること、押出ロッドに連結した柔軟な先端部をカートリッジの基端に挿入すること、切り口を介して導入管の開口を挿入すること、及び、テーパ状の内腔を介して搭載チャンバから眼内レンズを押し出すことを含む。眼内レンズは、押出ロッド及び柔軟な先端部によって導入管の開口から眼内に押し出される。ある実施の形態において、導入管の口は、1.8mm以下、好ましくは約1.4mmの外径を有する。柔軟な先端部は、膨脹しているか、膨脹可能であるか、又は、中身が詰まっている。好ましくは、中身が詰まっている柔軟な先端部は、伸び率100%で100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間、伸び率300%で210psi(1448kPa)と540psi(3723kPa)の間の弾性係数を有する。柔軟な先端部は、少なくとも400%の、好ましくは780%より大きい伸び率を有し、好ましくは熱可塑性エラストマーである。
【0012】
他の実施の形態によると、本発明は、管内レンズを眼に挿入するための装置を提供し、装置は、眼内レンズを収納するための搭載チャンバを備える。搭載チャンバは、開口基端と、2.0mm以下の外径を有する開口で終端するテーパ状のルーメンを有する導入管に配置される末端とを有する。押出ロッドは、それに連結され膨脹した柔軟な先端部を有するものであって、押出ロッドを押す間に柔軟な先端部が、搭載チャンバの基端に入り、その中で眼内レンズを末端側に押すように、カートリッジに配置される。柔軟な先端部と押出ロッドとは、互いに連結されていなくてもよい。好ましくは、柔軟な先端部は、導入管のテーパ状のルーメンを通過するにつれて変形するように、膨脹した状態である。
【0013】
以下の記載と特許請求の範囲を参照することで、本発明の内容及び利点が更に理解でき、特に、同一の参照符号を同一の部位に付した添付の図面を関連付けて考慮するとよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、従来可能であるよりも小さい切り口から眼内レンズを眼に移植することを可能にする改良された(improved)眼内レンズ導入システムを提供する。切り口の大きさを制限する要素は、導入管の外径である。現在では、外径が2.2mmまで小さくなった導入管を利用でき、その導入管は、約2.8mmより大きい切り口に適合する。非弾性組織の場合、切り口の長さLによって、導入管の最大外径ODは、式OD=2L/πを用いて決定される。しかし、切り口はいくらか伸びることが見込まれるため、より現実的な近似式は、OD=0.8Lとなる。本発明によると、導入管の大きさは小さくなり、その外径は2.0mmより小さく、好ましくは1.8mmより小さく、最も好ましくは約1.4mmになる。これによって、2.5mmより小さい、好ましくは2.2mmより小さい切り口を介した眼内レンズの導入が可能になる。切り口の長さの減少は僅かなように思えるかもしれないが、合併症及び治癒期間が付随して減少し、それらによって、幾らかの減少が非常に意義深いものになる。
【0015】
本発明は、導入管の末端の大きさが小さい直径になることを除いて、従来技術に記載されたものと同様の導入システムに組み込まれてもよい。そのような従来技術の導入システムは、シリンジ型プランジャ、ネジ型の進歩した機構を有するプランジャ等がある。更に、導入管を介して眼内レンズを押すために利用される押出ロッドは、低刺激な伸長の閾値を有する非常に柔軟な先端部を有する。すなわち、柔軟な先端部の材料は、非常に大きい伸び率を有し、好ましくはその最低は400%である。「低刺激」とは、非常に小さい負荷で容易に変形する材料の性質をいう。多くの材料が、そのような用途に適しており、本発明は、記載された特定の材料に限定されると考えるべきではない。代わりに、本発明は、一般に「低刺激」又は「高伸長」と言われる性質を有する多くの材料を提案する。好ましい材料を説明するために用いられる用語及び従来技術の用語をより理解するために、明確な定義が詳しく説明されなければならない。
【0016】
定義:
【0017】
ポリマー,名詞:多数の天然及び合成の、通常高分子化合物であって、多い場合には何百万と繰り返して連なった単位群からなり、各々は、比較的軽くて単純な分子である。重合によって形成され、必ず繰り返し構造の単位群から構成される化合物又は混合物である。
【0018】
エラストマー(例えば、シリコン),名詞:天然ゴムの弾性を有する種々のポリマーのいずれかである。変形させる力が除かれると元の形状を取り戻す点で、すなわち、元の長さの何倍にも伸びて、恒久的な変形ではなく元の形状に戻る点で、ゴムに類似した種々の弾性素材のいずれかである。
【0019】
泡(フォーム),名詞:梱包などで断熱材又は衝撃吸収剤に利用される、軽い、多孔性の、半剛性の、又は、スポンジのような素材である。
【0020】
プラスチック,名詞:重合によって製造され、種々の形状及びフィルムに成形加工され、押出成形され、流し込み成形され、又、織物繊維として利用される繊維状に引き出される。プラスチックは、成形しやすく、すなわち、容易に形付けられ、又成形加工される。熱いときに容易に成形したり又形付けたりできるプラスチックで、十分に熱い場合に溶けるものを熱可塑性プラスチック(下記参照)という。これは、熱硬化性樹脂(下記参照)と呼ばれる、溶けることがない架橋素材と対照的である。
【0021】
樹脂,名詞:ポリビニル、ポリスチレン及びポリエチレンのような熱可塑性の素材と、ポリエステル、エポキシ、シリコンのような、充填剤、安定剤、顔料、及び、プラスチックを形成する他のコンポーネントに利用される熱硬化性の素材を含む、種々の物理的に類似する合成繊維又は化学的に改良された天然樹脂のいずれかである。物理的に類似する種々の合成繊維又は、熱可塑性プラスチック及び熱硬化性樹脂を含む化学的に改良された種々の天然樹脂のいずれかである。
【0022】
熱可塑性プラスチック,名詞:ポリスチレン又はポリエチレンのような熱可塑性プラスチック樹脂。加熱されると柔軟になり、冷めると再び硬くなる素材(同義語:熱可塑性プラスチック樹脂)。加熱すると柔軟になるか又は溶け、室温にまで冷めると元の状態に戻るポリマー。熱可塑性プラスチックポリマーの分子鎖は、架橋されていない。ポリスチレンは、熱可塑性プラスチックである。熱を加えることによって柔軟になり、冷やすことで硬くなる素材の分類である。
【0023】
熱可塑性の,形容詞:熱せられると柔軟になり、冷えると硬くなること。熱せられると柔軟になるか又は融解し、室温に冷めると硬くなり元の状態に戻る性質を有すること。熱可塑性の素材は、明らかな化学変化をすることなく、再融解と冷却を何度も繰り返す(対義語:熱硬化性の)。
【0024】
熱硬化性樹脂,名詞:加熱し又は放射線を照射することによって、通常架橋反応で連結して、硬くなる又は矯正される素材の分類である。多くの場合、有機過酸化物のような「矯正」添加物又は他の化合物を加える必要がある。一旦矯正されると、熱硬化性の素材は、再融解したり、再処理することができない。
【0025】
熱硬化性の,形容詞:加熱又は矯正されると、恒久的に硬化する性質を有する。
【0026】
シリコン,名詞:酸素及び珪素原子の代わりに、他の有機物のグループと結合した多くのポリマーのいずれかである。シリコンは、オイル、ゲル又はプラスチックになり得るが、全ての形状で耐熱性及び耐水性であり、電気を導通しない。シリコンは、ウレタンのような他の素材と重合して、典型的な熱可塑性のエラストマーと同様の性質を有する熱可塑性の素材を形成する。シリコンは、過酸化物、湿気、プラチナ又は他の合成物によって矯正され得る熱硬化性の素材の典型例である。
【0027】
ゴム,名詞:特にゴムの木など種々の熱帯植物の乳白色の樹液又はラテックスから得られる黄色みがかった、非結晶の弾性素材であって、加硫処理又は架橋処理され、着色処理され、仕上げ処理されて、絶縁体、弾性のバンド又はベルト、タイヤ及び容器のような製品に加工される。架橋されたゴムは、異なるポリマー鎖の間で共有結合を有し、全体を1つの繋がった分子に結合する。ポリマー鎖が互いにこのように結合する場合、ポリマー鎖は元の位置からさらに伸ばし難く、そして、伸ばされたとき、ゴムはさらによく跳ねる。ポリマー鎖は互いに結合するため、ゴムが熱くなると、互いに流れ去り又互いに表面を流れることができなくなる。これが、ゴムが溶けない理由である。
【0028】
スポンジ,名詞:セルロース、プラスチック又はゴムのような吸収性の多孔質素材の一片であって、特に、洗浄及び清掃に利用される。
【0029】
ガラス遷移温度(Tg),名詞:非結晶ポリマーがこの温度より冷やされると、ガラスのように硬く脆くなる。ポリマーは、ガラス遷移温度より高温で利用されるものもあり、又それより低温で利用されるものもある。ポリスチレン及びポリ(ポリメチル・メタクリレート)のように硬いプラスチックは、ガラス遷移温度より低温で、すなわちガラス状態で利用される。それらの遷移温度(Tg)は、室温より十分に高く、共に100度程度である。ポリイソプレン及びポリイソブチレンのようなゴムエラストマーは、それらの遷移温度(Tg)より高温で、すなわち軟らかくて柔軟なゴム状態で利用される。
【0030】
非晶質ポリマー,名詞:鎖が秩序だった結晶構造に配列しておらず、固体であっても無秩序に散らばったポリマー。非結晶ポリマーの一部がエラストマーである。一部は、熱可塑である。非結晶ポリマーが熱可塑性であるかエラストマーであるかは、ガラス遷移温度によって決まる。非結晶ポリマーが室温より低い遷移温度(Tg)を有する場合、そのポリマーは、室温で軟らかいゴム状であるため、エラストマーである。非結晶ポリマーが室温より高い遷移温度(Tg)を有する場合、それは、室温で硬いガラス状であるため、熱可塑性である。非結晶ポリマーの第1の一般的な規則は、エラストマーは低い遷移温度のものであり、熱可塑性のものは高い遷移温度のものであるということである(これは非結晶ポリマーに有効なだけであり、結晶ポリマーには有効ではない)。
【0031】
ブロック・コポリマー:コポリマーは、1種より多くのモノマーから、すなわち、2以上のコモノマー(co−monomers)からなるポリマーである。ブロック・コポリマーは、コモノマーが長いセクションのポリマーの主鎖(backbone chain)に分かれたコポリマーである。ブロックと呼ばれるこれらセクションの各々は、一種のホモポリマーである。
【0032】
イオノマー:コポリマーの一種。繰り返し単位の小部分が、それに結合するイオンを含む付属グループを有するコポリマー。通常、ポリマーの主鎖は、無極性である。無極性ポリマーの主鎖は互いにグループ化し、極性のあるイオンを含む付随グループは互いにクラスター化する。イオンを含むグループのクラスターは、非極性の主鎖からそれら自体を完全に分離することができず、通常の架橋と同じように、主鎖同士を結びつけるのに役立つ。
【0033】
架橋ポリマー,名詞:架橋ポリマーは、通常架橋前に、形成され、又形付けられる。一旦架橋されると、通常高温でなされ、対象物はもはや形付けられなくなる。熱は通常、形状を恒久化する架橋を生じさせ、これらの素材は熱硬化性と呼ばれる。この名称は、架橋されず、又一旦形成された後も変形可能な熱可塑性と区別される。通常の架橋ポリマーは、溶解しないため、リサイクルできない。架橋が全ての重合の鎖を互いに結び付けるため、溶解せず、素材が流動できなくなる。
【0034】
熱可塑性エラストマー(TPE),名詞:TPEは、熱可塑性プラスチックの処理上での利点に関してエラストマーの性質を有する。丈夫で電気的に絶縁性のエラストマーであって、加硫処理されたゴムの物理的な性質を多く備えるが、従来の加硫ゴムとは異なり、熱可塑性プラスチックとして処理可能である。ほとんどが、二相システムであり、硬い相と軟らかい相とを有する。応用例として、接着剤、ワイヤ及びケーブルの被覆材、自動車のバンパ、履き物、医療装置、ポリマー修飾、振動ダンパがある。ポリマーの混合物又は複合物であって、溶融温度より高温で、二次加工品に成形できる熱可塑性の性質を示し、又、設計温度範囲内での加工中に架橋することなくエラストマーの性質を維持する。この処理は可逆であり、生産物は再処理及び再形成可能である(同義語:熱可塑性ゴム、TPE、TPOゴム)。
【0035】
熱可塑性エラストマーの背後の思想は、可逆性の架橋の考え方である。通常の架橋は、共有結合であり、ポリマーの鎖を1つの分子に化学的に相互に結合する。可逆性の架橋は、非架橋、すなわち、互いに結合するためにポリマーの鎖の間で二次的相互作用を利用する。これらの相互作用は、水素結合及びイオン結合を含む。架橋を形成するために、非共有相互作用を利用する利点は、素材が加熱された時、架橋が壊されることにある。これによって、素材を処理することができ、最も重要なことに、再利用することができる。再び冷めた場合、架橋は再形成する。イオノマーとブロックポリマーの2つのアプローチが試されている。
【0036】
これまでで、明確で基本的な定義が与えられたので、本発明の理解は容易になるであろう。上述のように、本発明は、究極的に、眼内レンズを導入する眼の角膜、強膜又は角膜及び強膜の間の角膜縁の切り口を小さくすることに帰結する。眼内レンズを眼に導入するための典型的なシステムを説明する。しかし、眼の切り口を通過し、眼内レンズが押し出される管の末端で終端するあらゆるシステムが、本発明の種々の形態から利益を得ることが理解されるべきである。従って、眼内レンズの導入及び挿入カートリッジは、そのようなシステム群の代表として理解されるべきである。
【0037】
図1−3は、本発明の眼内レンズ挿入カートリッジ10を示す。挿入カートリッジ10の本体は、一体的に形成され、例えば、ポリプロピレンを主原料として形成されたユニットである。搭載チャンバ12は、部分管第1部材16と部分管第2部材18とを含み、それらは、互いに固定又は接続され、カートリッジ10の長軸30に平行な線21に沿って互いに相対的に回動できる。
【0038】
導入管14は、基端部22と、末端部24と、開口末端26とを有する。補強カラー28は、導入管14の基端部22に設ける。開口末端26は、カートリッジ10の長軸30に対して約45°の角度で傾斜する。導入管14は、末端側の開口末端26から伸びて、導入管14の基端部22より手前で終端するスルースロット32を有する。スルースロット32は、カートリッジ10の長軸30と平行な方向に細長く伸びる。
【0039】
図1に示すように、カートリッジ10は開放状態である。これに対して、図2のカートリッジ10は閉塞状態である。閉塞状態において、搭載チャンバ12は、第1部材16及び第2部材18それぞれの第1ウィング38及び第2ウィング40の上端表面34,36の組み合わせである上端32を有する。第1及び第2ウィング38,40は、本明細書で後述するように、使用時にカートリッジ10を保持して操作するカートリッジの利用者にとって便宜である。
【0040】
図3は、ハンドピースの末端部50とともに挿入機を示し、図3を参照して、カートリッジ10について、より詳細に説明する。ハンドピースとともに使用される場合、カートリッジ10の搭載チャンバ12は、閉塞状態にある。閉塞状態の搭載チャンバ12及び搭載チャンバの最上部である上端32を有する導入管14の開口末端26は、(挿入機を上方から見た場合に)開口末端が概ね右向きとなるように、カートリッジ10の長軸30に対して45°の角度で傾斜する。更に、図1−3に示すように、スルースロット32は、存在する場合、開口末端の基端側の大部分で開口末端26と交差する。
【0041】
更に図3を参照すると、搭載チャンバ12は、カートリッジ10の長軸と平行な方向に細長く伸びる第1ルーメン52を形成する内壁51を有する。導入管14は、末端側に先細りになる第2ルーメン54を形成する先細り形状の内壁53を有する(例えば、先細り形状は、1つ以上の断面形状において、対称又は非対称である。)。長軸30に直交する第2ルーメン54の平均的な断面領域は、第1ルーメン52の平均的な断面領域より小さいか、又は、それに対する少なくとも1つの断面寸法において低減している。
【0042】
第1ルーメン52は、第1ルーメンの中の折り畳まれた眼内レンズが第1ルーメンから第2ルーメンに直接に通過するように、第2ルーメン54とともに配置される。第2ルーメン54の基端部58のテーパは、第2ルーメンの末端部60に存在する僅かなテーパよりも急峻である。基端部58の急峻なテーパは、眼内レンズ54が第2ルーメン54を通過するとき、眼内レンズを更に折り畳むために、有効である。このように更に折り畳むことによって、更に折り畳まれた眼内レンズがより小さな切り口を通って眼内に挿入されることが可能になるため、便宜である。
【0043】
カートリッジ10の材料に組み込まれた又はカートリッジ10の材料を覆う(例えば、共有結合等した)コンポーネントによって潤滑性を向上させることで、弱い力で更に折り畳むことが可能になる。他の利点は、より小さな切り口を介して眼内レンズを挿入できるように、眼内レンズを折り畳む程度が増すことにある。潤滑性が増したコンポーネントにより、眼内レンズが第1ルーメン52及び第2ルーメン54を通過するとき、眼内レンズを破り且つ/又は損傷する危険も効果的に低減する。
【0044】
図4に、ハンドピース70及び押出ロッド72と組み合わせたカートリッジ10を示す。ハンドピース70は、比較的大きくて細長い第1開口74と、比較的小さくて細長い第2開口76とを有する。ハンドピース70は、ハンドピースの基端80から末端82までに伸びる貫通孔78を有する。ハンドピース70の基端部84は、押出ロッド72の基端セグメント90のネジ88と係合して結合するように設けられたネジを含む。代わりに、シリンジ状の挿入機は、プランジャが回転せずに前進するように押圧するプランジャに利用されてもよい。押出ロッド72のシャフト92は、孔78、第1ルーメン52、第2ルーメン54、及び、開口末端26を通過できる配置と大きさであるハンドピース70及び押出ロッド72は、典型例としては金属(例えば、チタニウム、外科的グレードのステンレス鋼、又は、同様のもの)を用いて製造されるが、プラスチック及び他の材料(例えば、ポリプロピレン)が用いられてもよい。後述するように、シャフト92の末端の非常に柔軟な先端部は、カートリッジ10を通って実質的に眼内レンズに接触して押す。
【0045】
カートリッジ10は、以下のように、操作され、そして機能する。カートリッジ10に眼内レンズを搭載しようとする場合、挿入機は、図1に示すように位置付けられ、例えば手動で位置付けられる。開放状態の搭載チャンバ12の場合、眼内レンズは、概ね100に示すように、例えば第1及び第2部材16,18の間に位置付けられる。この位置付けによって、図1に示すように、光学レンズ104の前面102は上方を向く。光学レンズ104は、ガラスの遷移温度を有するシリコン又はアクリルのような材料を用いて製造される。3つの部分からなる眼内レンズでは、眼内レンズ100のフィレット支持部(fillet haptics)又は固定部106,108は、図示するように、固定部が長軸30に直交するというよりもむしろ、概ね平行になるように、位置付けられる。1片の眼内レンズでは、支持部は、光学レンズ104の中に包み込まれる。
【0046】
図1に示すように位置付けられた眼内レンズ100の場合、例えば第1及び第2ウィング38,40をともに、図2に示す閉塞状態に搭載チャンバ12に位置付けるように、手で移動させることによって、第1及び第2部材16,18は互いに相対的に回動する。搭載チャンバ12が閉塞状態の場合、眼内レンズ100は、光学レンズ104が畳み込まれた畳み込み状態にある。搭載チャンバを開放状態から閉塞状態に移動させる第1及び第2部材16,18の相対的に移動することは、光学レンズ104を折り畳むために有効である。折り畳まれた眼内レンズ100は、その時、図3の断面図に示すように、第1ルーメン52に位置付けられる。
【0047】
図3に示しように設定されたカートリッジ10及び第1ルーメン52に位置付けられて折り畳まれた光学レンズ104の場合、カートリッジ10は、図4に示すように、ハンドピース70と連結して位置付けられる。この設定では、導入管14の末端部24はハンドピース70の末端82を超えて末端側に伸びる。図3に示すように、ハンドピース70の末端部85は、補強カラー28を接触状態で収納するように設定される内壁87を有する。
【0048】
図5を参照すると、生来の眼のレンズが以前占めていた、眼120の領域に眼内レンズ100を位置付けることができる。図5は、導入管14の末端部24が通過する切り口を有する角膜122を示す。代わりに、切り口は、強膜又は角膜縁に設けられてもよい。末端部24は、強膜122(又は角膜)における、2.2mmより短い長さの切り口を通って眼内に進入できるように、十分に小さい断面を有する。
【0049】
ハンドピース70内に位置付けられたカートリッジ10の場合、押出ロッド72は、基端80から始まるハンドピースの貫通孔78に位置付けられる。ネジ88はネジ86と接触して結合するため、押出ロッド72は、図5に示すように、ハンドピース70の基端部84の上に押出ロッドを螺合するように、回転する。押出ロッド72及びカートリッジ10は、シャフト92及び柔軟な先端部が搭載チャンバ12の基端に入り、そこで眼内レンズを末端側に押し出すように、配置される。ハンドピース70の孔78を介してシャフト92は徐々に移動することによって、折り畳まれた眼内レンズ100は、第1ルーメン52から第2ルーメン56までを移動して、更に開口末端26を通って、眼内に移動する柔軟な先端部によって、押し出される。眼内レンズがカートリッジを通って押し出される例示的なプロセスが、図6A−6Cを参照して、より詳細に説明され又図示される。
【0050】
導入管14は、眼内レンズ100を解放後に眼122に適切に、すなわち、前眼房、後眼房、水晶体嚢124又は溝(the sulcus)に配置可能な位置にまで、操作される。このように、手術によって、搭載チャンバ12の第1ルーメン52内に眼内レンズ100を保持しながら、導入管14の末端部24を制御して位置付けることが可能になる。一旦末端部24が位置付けられると、ハンドピース70上の押出ロッド72を回転させること(押出ロッド72のネジを回すこと)によって、第2ルーメン54の中に進入して通過し、そして導入管14の開口末端26を通って眼120の中にまで、シャフト92が眼内レンズ100を末端側に押し出す。
【0051】
眼内レンズがカートリッジ10から解放されるとき、眼内レンズ100の前面102は、概ね眼120の前方を向いている。言い換えると、眼内レンズ100は、反転又は他の配置ミスが生じることなく、第1ルーメン52、第2ルーメン54、開口末端26を通過して、眼120の中に進入する。眼内レンズ100を眼120に適切に配置するため、例外的に、挿入後に、比較的少量の再配置が必要になる。
【0052】
眼内レンズ100が眼内に挿入された後、シャフト92は、基端側の導入管14に移動し、導入管の末端部24が眼から取り除かれる。必要に応じて、眼内レンズ100は、同じ切り口に挿入される小さい曲がったニードル又は同様の道具によって、眼の中で再配置される。
【0053】
一旦眼内レンズ100が適切に眼120の中に配置され、カートリッジ10が眼から引き抜かれると、角膜、強膜、又は、角膜縁の切り口は、例えば確立された技術で、修復される。使用後に、カートリッジ10は適切に処分される。ハンドピース70及び押出ロッド72は、殺菌/消毒した後に、再利用され得る。柔軟な先端部も、通常は、処分される。
【0054】
図6A−6Cを参照すると、押出ロッドのシャフト92の端部が備える柔軟な先端部130の第1実施形態が、導入管14を通って眼内レンズを押し出す一連の図で示される。柔軟な先端部130については、すでに説明した挿入機カートリッジ10の箇所に記載されており、そのため同一の符号が用いられる。しかし、眼内レンズを眼に注入するためのこのシステムは例にすぎないことを、ここで繰り返し記載しておく。
【0055】
柔軟な先端部130は、好ましくはシャフト92の軸と一致する軸を有する円柱状の中身が詰まったブロックの材料からなる。代わりに、先端部は、シャフトの軸に対してオフセットした又は非対称な形状であってもよく、それによって、先端部は、先端がカートリッジの1つ以上の側部を優先的に押す。柔軟な先端部130が搭載チャンバ12の基端に入ることを促すために、その末端面132は、丸められ又は図示するように丸い面取り部を有してもよい。もちろん、搭載チャンバ12の中に通常備えられる潤滑性材料によって、柔軟な先端部130は容易に前進できる。更に又は代わりに、潤滑性の材料は、柔軟な先端部130に組み込まれてもよく、又、それを被覆してもよい。図6Aは、搭載チャンバ112の特に第1ルーメン52に部分的に進入した後の柔軟な先端部130を示す。末端面132は、挿入機カートリッジ10を通って眼内レンズを押し出す押圧面を形成する。眼内レンズが3つの部分、すなわち光学レンズ104及び2つの支持部106,108を有する場合、末端面132は、図示するように最初に後方支持部106に接触する。
【0056】
押出ロッドのシャフト92が更に末端方向に移動すると、やがて、図6Bに示すように柔軟な先端部130の末端面が光学レンズ14に接触して、眼内レンズの全てを導入管14のテーパ状の第2ルーメン54に押し出す。柔軟な先端部130の外径は、実質的に第1ルーメン52の内径と同じであり、そのため、柔軟な先端部は、先細りの第2ルーメン54に前進すると、図示するように変形し始める。特に柔軟な先端部130は、小さい径の第2ルーメン54に押し込まれるため、次第に、長くなる。後述するように、柔軟な先端部130の材料は、非常に弱い刺激で非常に容易に変形するものであり、この場合、テーパ状の第2ルーメン54からの負荷によって収縮するものである。柔軟な先端部130の変形の一部がシャフト92の周辺で基端方向に生じることは間違いないが、主要な変形は、第2ルーメン54の中で末端側に伸びることに現れる。
【0057】
最終的に、図6Cは、柔軟な先端部130がテーパ状の第2ルーメン54の中でかなり伸びた箇所で、導入管14の末端口26から眼内レンズ100を放出する場所に前進した、押出ロッドのシャフト92を示す。柔軟な先端部130の材料の高度の伸長性のため、それは、導入管14に半径方向の外方に過度の圧力を掛ける代わりに、伸長変形する。好ましい材料の例では、柔軟な先端部130は最低でも400%の伸び率を有する。このことは、同じ伸長性を有せず、そのため、それが、変形する代わりに、導入管の外方に圧力を掛けて、導入管を損傷する大きな圧力の下で位置付けられるだけあった従来の柔軟な先端部の重要な改善である。他に考えられることは、従来技術の柔軟な先端部が、小さすぎる導入管を通って圧縮されると、眼内レンズを損傷するかもしれない。
【0058】
柔軟な先端部130は、図6Cに示す形状に変形する十分な伸長性を有するが、それは必ずしも完全な変形ではないことはもちろんであって、種々の負荷の下である弾性係数を有するものである。そうでなければ、柔軟な先端部130は、眼内レンズに末端側への力を維持するだけの十分な品質を有することができず、先細りの第2ルーメン54から反力が大きくなると、眼内レンズの周囲で変形し、又は、押出ロッドの周囲で裏返ることになる。そのため、柔軟な先端部130は、非常に高い伸長性を備え、種々の伸び状態で比較的小さい弾性係数を維持する。好ましい材料の例では、柔軟な先端部130は、100−300%の伸びで、100−200psi(689−1448)の弾性係数を有する。
【0059】
ある種の熱可塑性エラストマー材料が柔軟な先端部130に適切であり、マックヘンリ・イリノイスのGLS社が提供するデータを用いて、次の表1に3種の詳細を示す。これらのデータは、http://www.glscorp.com/home.htmlで、オンラインで参照できる。
【表1】
【0060】
3種の熱可塑性エラストマー材料が、柔軟な先端部130に利用するためにテストした。第1に、ヴェルサフレックス(Versaflex)(登録商標)CL30が最善であり、第2に、ダイナフレックス(Dynaflex)(登録商標)G7930−9001−02は良好であり、第3に、ダイナフレックス G2703−1000−00は十分である。これら3種全ての材料が、比較的大きい破断点伸長率を有し(例えば、伸び率)、それらは600%より大きい。しかし、本発明の柔軟な先端部130は、最低でも400%の伸び率を有し、好ましくは、伸び率は780%以上である。更に、柔軟な先端部の材料の低刺激な性質によって、使用中、先細りになっている導入管のルーメンを通過するときの変形が可能になる。伸び率100%の場合、試験した熱可塑性エラストマー材料は、最低で100psi(689kPa)の弾性係数を有し、最大で310psi(2137kPa)の弾性係数を有した。伸び率300%の場合、試験した3つの材料は、際sy方で210psi(1448kPa)の弾性係数を有し、最大で540psi(3723kPa)の弾性係数を有した。好ましくは、柔軟な先端部130の材料は、伸び率が100−300%の場合、100−210psi(689−1448kPa)の間にある比較的小さい弾性係数を有する。
【0061】
更に、他の物理的な性質も重要であると考えられる。特定の形式の物理的な性質によって制限されるべきではないが、本発明の柔軟な先端部の効果は、要素、すなわち、材料の硬さ、引っ張り強さ、100%モジュラス、300%モジュラス及び伸び率の組み合わせに依存する。試験した材料から得られるデータによると、硬さは、最大でショア硬度60Aであって、好ましくは、ショア硬度30Aから58Aの間であって、更に好ましくは、ショア硬度40Aであり、又、引っ張り強さは、少なくとも400psi(2758kPa)であって、より好ましくは、400−1160psi(2758−7998kPa)である。
【0062】
試験及び上記の表1に記載した材料は、マックヘンリ・イリノイスのGLS社がから得られる。GLCによって提供されるTPE材料には、以下のクラスがあり、スチレン・ブロック・コポリマー、熱可塑性加硫物及び熱可塑性ポリウレタンがある。GLSは、クラトン(Kraton)、ダイナフレックス(DYNAflex)、ヴェルサフレックス(VERSAflex)、ヴェルスアロイ(VERSalloy)、ヴェルス(VERSollan)を含む有用な材料にちなんだ名で取り引きしている。
【0063】
好ましい材料は熱可塑性エラストマーであるが、同様の物理的な応答の特徴を有する他の材料が利用されてもよい。実際に、柔軟な先端部は、熱可塑性エラストマー又は熱硬化性エラストマーのいずれであってもよい。更に、シリコン又はシリコン・コポリマーの特性は、100%及び300%伸び率の場合の比較的小さいモジュラス値とともに、大きい伸び率を有する点で好適である。もう一度繰り返すが、柔軟な先端部の材料が低刺激性であることによって、それらは、先細りの導入間ルーメンを通過するときに変形ができる。
【0064】
更に、柔軟な先端部130は上述のように中身が詰まっているが、それは、いかなる断面においても連続的で切れ目のない物理的な形態を意味しており、後述する膨張した又は膨張可能な先端部のような他の形態は、望ましい高い伸び特性を有し、従って適切な機能を有する中身が詰まったものと似た作用をする。
【0065】
材料の伸び率に関する物理的な特徴によって、本発明の柔軟な先端部は、従来の技術のそれと最も峻別される。例えば、米国特許番号6,162,229(フェインゴールド(Feingold)等)に、「エラストマー(例えば、シリコン)、変形可能なプラスチック、変形可能な熱可塑性プラスチック、ゴム、フォーム、スポンジ、スター・サージカル(STAAR Surgical)によって作られるコラマー(COLLAMER)又は他の適切な弾性的に変形可能な材料」のような材料から作られる変形可能なプランジャの先端を有する眼内レンズ導入機が記載される。これらの種々の材料の特別な特徴について、それらが導入カートリッジ(挿入機カートリッジ)を通って変形する以外に、更に説明する必要はないであろう。導入カートリッジの先端部の大きさ、及び、その先端部が通る切り口の大きさも言うまでもないであろう。
【0066】
コラマーは、特許されたコラーゲン/ポリマー材料であり、物性がシリコンに類似し、又、スター・サージカル(それは、カリフォルニア州モンロヴィアにある。)によって眼内レンズに利用されるものである。スター・サージカルのウェブサイト(www.staar.com)では、コロマー又はシリコンを用いて作られた眼内レンズが説明されている。シリコンは、形成及び前処理によって伸び率が変化するものであり、スター社の材料に関するデータは、提供されていない。後述の導入カートリッジについては、スター・サージカルのウェブサイト(www.staar.com)に説明されている。切り口の最小の大きさが2.8mmであることは重要であり、そのため、利用されるシリコンは、本明細書で説明したものとは異なり、本出願で開示したような非常に細い導入管を通過できないと、出願人は、推測する。
【0067】
AQカートリッジ
【0068】
マイクロ・チップ・カートリッジ(MICRO−TIP CARTRIDGE)は、カートリッジ先端に、45度で傾斜した端部と2つのスリットを有する。このカートリッジは、小さいウィング状であり、2.8mmの大きさの切り口を通って挿入できる。このカートリッジは、スター社の3部分スタイルのレンズに適合するように設計されてきた。
【0069】
MTC−60cカートリッジ
【0070】
マイクロ・チップ・カートリッジは、60度で傾斜した端部を有し、スリットを有さない。このカートリッジは、小さいウィング状であり、2.8mmの大きさの切り口を通って挿入できる。このカートリッジは、スター社のプレート支持部(plate haptic)レンズに適合するように設計されてきた。
【0071】
図7−9を参照すると、本発明に利用するための中身が詰まった柔軟な先端部の種々の形態が開示される。図7において、上述の材料のいずれかを用いて作られた柔軟な先端部140は、末端面142と、基端面144と、それらの間の部分円錐外表面146とを有する。すなわち、末端面142は、基端面144より小さい直径を有する。押出ロッド150は、基端表面144から分離して示されており、そこに末端面プレート152を有している。面プレート152は、柔軟な先端部140の基端面144に接触して押圧するが、そこに連結されているわけではない。面プレート152は、柔軟な先端部140への押圧力をより広く分散するために、押出ロッド150の表面領域を広げている。
【0072】
図8は、上述の材料のいずれかを用いて作られた円筒状の柔軟な先端部160を示す。押出ロッド162は、末端部164を内部に埋め込むことによって柔軟な先端部160に取り付けられている。末端部164は、柔軟な先端部160の基端面に予め開けられた穴に隙間なく嵌り合い、すなわち、接着剤等を用いるよりも堅固に固定される。図示しないが、末端部164は、スナップ式の形状、又は、より固い連結のために柔軟な先端部160に似た形状の穴と連結する形状である。そのようなロッド/先端部の形状は、米国特許番号6,254,607(マッカー(Makker)等)に開示されており、本明細書で参照することによって、その内容は、明らかに組み込まれる。
【0073】
最後に、図9は、内部に組み込まれたより硬い管状挿入部172を有する円筒状の柔軟な先端部170を示す。挿入部172のネジ穴174は、柔軟な先端部170の基端面176で開口する。ネジ穴174は、押出ロッド180のネジ部178を収納する。この方法の場合、押出ロッド180と柔軟な先端部170との連結が強固になる一方で、柔軟な先端部の材料の利点が活かされる。更に、この方法によると、使用と使用の間に、柔軟な先端部170を容易に位置づけることが可能になる。
【0074】
図10A−10Cを参照すると、押出ロッドのシャフト192の端部に備える膨張した柔軟な先端部190の代替例が、導入間14を通って眼内レンズを押し出す一連の図として示される。柔軟な先端部130の利用法は、上述の挿入機カートリッジ10の箇所において説明され、同一符号が用いられる。
【0075】
柔軟な先端部190は、例えば、ラテックス又はシリコンの膨張可能な又は膨張した部位を含み、好ましくは円筒状であり、シャフト192の軸と一致した軸を有する。柔軟な先端部190が、搭載チャンバ12の基端に入りやすいように、末端面は図示するように丸められる。図10Aは、搭載チャンバ112、特に第1ルーメン52に部分的に入った後の柔軟な先端部190を示す。末端面は、挿入機カートリッジ10を通って眼内レンズを押し出す。
【0076】
押出ロッドのシャフト192が更に末端方向に移動すると、柔軟な先端部190の末端面は、光学レンズ104に接触し、図10Bに示すように、導入間14の先細りの第2ルーメン54に眼内レンズの全てを押し出す。柔軟な先端部190の外形は、部分的に第1ルーメン52の内径と同じであり、そのため、図示するように、柔軟な先端部が先細りの第2ルーメン54に前進すると、それは変形し始める。特に、柔軟な先端部190は、直径が小さい第2ルーメン54に押し込まれると、次第に長くなる。この変形を容易にするため、柔軟な先端部190は、好ましくは膨張状態にあり、そのため、伸張形状に搾り出される。柔軟な先端部190の一部がシャフト192の周囲で基端方向に変形することは間違いないが、大部分は、第2ルーメン54の中で末端側に伸びる。
【0077】
最後に、図10Cは、柔軟な先端部190が先細りの第2ルーメン54の中で、導入管14の末端口26から眼内レンズ100を放出する所定位置に十分に長くなる箇所まで前進した押出ロッドのシャフト192を示す。膨張状態の柔軟な先端部190は、その材料の伸び率が大きいため、導入管14に半径方向の外方への過剰な負荷を掛けず、代わりに長さ方向に変形する。好ましい実施の形態において、柔軟な先端部190は、最低で400%の伸び率を有する中身が詰まった先端部と同様に変形する程度にまで膨張している。
【0078】
本明細書に記載した本発明の具体例及び実施の形態に、本発明の範囲から逸脱しない限りで種々の変形がなされ得ることは、当業者に十分に理解されるであろう。本明細書で説明した本発明の実施の形態は、本出願に開示する発明の思想の具体例として理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】開放状態の搭載チャンバを有する本発明に係る眼内レンズ挿入カートリッジの正面側方からの斜視図である。
【図2】閉塞状態の搭載チャンバを有する図1の眼内レンズ挿入カートリッジの側方からの斜視図である。
【図3】図3は、導入ハンドピース内に配置された眼内レンズ挿入カートリッジの側方からの図4の3−3線に沿った部分断面図である。
【図4】図4は、ハンドピースに搭載された図2の眼内レンズ挿入カートリッジの正面方向からの斜視図である。
【図5】図5は、眼内レンズを眼に挿入するために利用されている、部分断面のハンドピースを有する図3の眼内レンズ挿入カートリッジ及びハンドピースを示す概略図である。
【図6A−6C】図6A−6Cは、導入管から眼内レンズを押し出すために、カートリッジ及び導入管ルーメンを介する、押出ロッドと典型的な中身が詰まった柔軟な先端部との前進を示す、導入ハンドピースの眼内レンズ挿入カートリッジの側方断面図である。
【図7−9】図7−9は、本発明の柔軟な先端部の典型的な形状と、それに押出ロッドを接続する態様との斜視図である。
【図10】図10A−10Cは、本発明の押出ロッドと、膨脹した又は膨脹可能な柔軟な先端部との前進を示す、導入ハンドピースの眼内レンズ挿入カートリッジの側方断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管を通じて眼内レンズを挿入する装置のための押出ロッドの端部の柔軟な先端部であって、
上記柔軟な先端部は、最低で400%の伸び率を有する中身が詰まった材料を用いて作られ、100%の伸び率で100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間の弾性係数を有することを特徴とする柔軟な先端部。
【請求項2】
上記柔軟な先端部の材料は、少なくとも780%の伸び率を有することを特徴とする請求項1に記載の柔軟な先端部。
【請求項3】
上記柔軟な先端部の材料は、300%の伸び率で、210psi(1448kPa)と540psi(3723kPa)の間の弾性係数を有することを特徴とする請求項1に記載の柔軟な先端部。
【請求項4】
上記柔軟な先端部の材料は、最大でショア60Aの硬さを有することを特徴とする請求項1に記載の柔軟な先端部。
【請求項5】
上記柔軟な先端部の材料は、少なくとも400psi(2758kPa)の引っ張り強さを有することを特徴とする請求項1に記載の柔軟な先端部。
【請求項6】
上記柔軟な先端部は、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1に記載の柔軟な先端部。
【請求項7】
上記柔軟な先端部は、シリコンであることを特徴とする請求項1に記載の柔軟な先端部。
【請求項8】
管を通じて眼内レンズを挿入する装置のための押出ロッドの端部の柔軟な先端部であって、
上記柔軟な先端部は、中身が詰まっており、最低で400%の伸び率を有する熱可塑性エラストマーを用いて作られていることを特徴とする柔軟な先端部。
【請求項9】
上記熱可塑性エラストマーは、少なくとも780%の伸び率を有することを特徴とする請求項8に記載の柔軟な先端部。
【請求項10】
上記熱可塑性エラストマーは、100%の伸び率で100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間の弾性係数を有することを特徴とする請求項8に記載の柔軟な先端部。
【請求項11】
上記熱可塑性エラストマーは、300%の伸び率で、210psi(1448kPa)と540psi(3723kPa)の間の弾性係数を有することを特徴とする請求項8に記載の柔軟な先端部。
【請求項12】
上記熱可塑性エラストマーは、最大でショア60Aの硬さを有することを特徴とする請求項8に記載の柔軟な先端部。
【請求項13】
上記熱可塑性エラストマーは、少なくとも400psi(2758kPa)の引っ張り強さを有することを特徴とする請求項8に記載の柔軟な先端部。
【請求項14】
眼内レンズを眼に挿入するための装置であって、
眼内レンズを収納するための搭載チャンバを有するカートリッジを備え、
上記搭載チャンバは、上記開口で終端する先細りのルーメンを有する導入管に配置された開口基端と末端とを有し、
上記開口は、2.0mm以下の外径を有し、
連結された柔軟な先端部を有する押出ロッドを備え、
上記押出ロッド及び上記カートリッジは、上記押出ロッドが押し出している間、上記柔軟な先端部が上記搭載チャンバの上記基端に進入し、上記眼内レンズを末端側に押すように配置され、
上記柔軟な先端部は、中身が詰まっており、最低で400%の伸び率を有する材料を用いて作られ、100%の伸び率で100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間の弾性係数を有することを特徴とする装置。
【請求項15】
上記柔軟な先端部の材料は、300%の伸び率での弾性係数が210psi(1448kPa)と540psi(3723kPa)の間であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
上記柔軟な先端部の材料は、少なくとも780%の伸び率を有することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
上記柔軟な先端部の材料は、最大でショア60Aの硬さを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
上記柔軟な先端部の材料は、少なくとも400psi(2758kPa)の引っ張り強さを有することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項19】
上記柔軟な先端部は、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項20】
上記柔軟な先端部は、シリコンであることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項21】
上記柔軟な先端部は、上記押出ロッドの末端部を取り外し可能に連結する硬い挿入組み込み部を有することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項22】
眼内レンズを眼に挿入するための方法であって、
患者の角膜又は強膜に2.2mm以下の切り口を形成し、
外径が2.0mm以下である開口で終端する先細りのルーメンを有する導入管に配置された開口基端及び末端を有する搭載チャンバを有するカートリッジを提供し、
上記眼内レンズを上記搭載チャンバの中に位置付け、
押出ロッドに連結された柔軟な先端部を上記カートリッジの上記基端に挿入し
上記押出ロッドと柔軟な先端部を用いて末端側に上記眼内レンズを押圧することによって、上記搭載チャンバから上記先細りのルーメンを通って、上記導入管の上記開口から上記眼内レンズを放出することを特徴とする眼内レンズを眼に挿入するための方法。
【請求項23】
上記開口は、1.8mm以下の外径を有することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
上記柔軟な先端部は、膨張可能部材であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
上記柔軟な先端部は、中身が詰まっていることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
上記柔軟な先端部の材料は、100%の伸び率で100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間の弾性係数を有することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
上記柔軟な先端部の材料は、少なくとも400%の伸び率を有することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
上記柔軟な先端部の材料は、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
眼内レンズを眼に挿入するための装置であって、
眼内レンズを収納するための搭載チャンバを有するカートリッジを備え、
上記搭載チャンバは、上記開口で終端する先細りのルーメンを有する導入管に配置された開口基端と末端とを有し、
上記開口は、2.0mm以下の外径を有し、
連結された柔軟な先端部を有する押出ロッドを備え、
上記押出ロッド及び上記カートリッジは、上記押出ロッドが押し出している間、上記柔軟な先端部が上記搭載チャンバの上記基端に進入し、上記眼内レンズを末端側に押すように配置されていることを特徴とする装置。
【請求項30】
上記柔軟な先端部及び上記押出ロッドは、互いに連結されていないことを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
上記柔軟な先端部は、上記導入管の先細りのルーメンを通って移動しながら変形するように膨張していることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項1】
管を通じて眼内レンズを挿入する装置のための押出ロッドの端部の柔軟な先端部であって、
上記柔軟な先端部は、最低で400%の伸び率を有する中身が詰まった材料を用いて作られ、100%の伸び率で100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間の弾性係数を有することを特徴とする柔軟な先端部。
【請求項2】
上記柔軟な先端部の材料は、少なくとも780%の伸び率を有することを特徴とする請求項1に記載の柔軟な先端部。
【請求項3】
上記柔軟な先端部の材料は、300%の伸び率で、210psi(1448kPa)と540psi(3723kPa)の間の弾性係数を有することを特徴とする請求項1に記載の柔軟な先端部。
【請求項4】
上記柔軟な先端部の材料は、最大でショア60Aの硬さを有することを特徴とする請求項1に記載の柔軟な先端部。
【請求項5】
上記柔軟な先端部の材料は、少なくとも400psi(2758kPa)の引っ張り強さを有することを特徴とする請求項1に記載の柔軟な先端部。
【請求項6】
上記柔軟な先端部は、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1に記載の柔軟な先端部。
【請求項7】
上記柔軟な先端部は、シリコンであることを特徴とする請求項1に記載の柔軟な先端部。
【請求項8】
管を通じて眼内レンズを挿入する装置のための押出ロッドの端部の柔軟な先端部であって、
上記柔軟な先端部は、中身が詰まっており、最低で400%の伸び率を有する熱可塑性エラストマーを用いて作られていることを特徴とする柔軟な先端部。
【請求項9】
上記熱可塑性エラストマーは、少なくとも780%の伸び率を有することを特徴とする請求項8に記載の柔軟な先端部。
【請求項10】
上記熱可塑性エラストマーは、100%の伸び率で100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間の弾性係数を有することを特徴とする請求項8に記載の柔軟な先端部。
【請求項11】
上記熱可塑性エラストマーは、300%の伸び率で、210psi(1448kPa)と540psi(3723kPa)の間の弾性係数を有することを特徴とする請求項8に記載の柔軟な先端部。
【請求項12】
上記熱可塑性エラストマーは、最大でショア60Aの硬さを有することを特徴とする請求項8に記載の柔軟な先端部。
【請求項13】
上記熱可塑性エラストマーは、少なくとも400psi(2758kPa)の引っ張り強さを有することを特徴とする請求項8に記載の柔軟な先端部。
【請求項14】
眼内レンズを眼に挿入するための装置であって、
眼内レンズを収納するための搭載チャンバを有するカートリッジを備え、
上記搭載チャンバは、上記開口で終端する先細りのルーメンを有する導入管に配置された開口基端と末端とを有し、
上記開口は、2.0mm以下の外径を有し、
連結された柔軟な先端部を有する押出ロッドを備え、
上記押出ロッド及び上記カートリッジは、上記押出ロッドが押し出している間、上記柔軟な先端部が上記搭載チャンバの上記基端に進入し、上記眼内レンズを末端側に押すように配置され、
上記柔軟な先端部は、中身が詰まっており、最低で400%の伸び率を有する材料を用いて作られ、100%の伸び率で100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間の弾性係数を有することを特徴とする装置。
【請求項15】
上記柔軟な先端部の材料は、300%の伸び率での弾性係数が210psi(1448kPa)と540psi(3723kPa)の間であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
上記柔軟な先端部の材料は、少なくとも780%の伸び率を有することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
上記柔軟な先端部の材料は、最大でショア60Aの硬さを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
上記柔軟な先端部の材料は、少なくとも400psi(2758kPa)の引っ張り強さを有することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項19】
上記柔軟な先端部は、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項20】
上記柔軟な先端部は、シリコンであることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項21】
上記柔軟な先端部は、上記押出ロッドの末端部を取り外し可能に連結する硬い挿入組み込み部を有することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項22】
眼内レンズを眼に挿入するための方法であって、
患者の角膜又は強膜に2.2mm以下の切り口を形成し、
外径が2.0mm以下である開口で終端する先細りのルーメンを有する導入管に配置された開口基端及び末端を有する搭載チャンバを有するカートリッジを提供し、
上記眼内レンズを上記搭載チャンバの中に位置付け、
押出ロッドに連結された柔軟な先端部を上記カートリッジの上記基端に挿入し
上記押出ロッドと柔軟な先端部を用いて末端側に上記眼内レンズを押圧することによって、上記搭載チャンバから上記先細りのルーメンを通って、上記導入管の上記開口から上記眼内レンズを放出することを特徴とする眼内レンズを眼に挿入するための方法。
【請求項23】
上記開口は、1.8mm以下の外径を有することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
上記柔軟な先端部は、膨張可能部材であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
上記柔軟な先端部は、中身が詰まっていることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
上記柔軟な先端部の材料は、100%の伸び率で100psi(689kPa)と310psi(2137kPa)の間の弾性係数を有することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
上記柔軟な先端部の材料は、少なくとも400%の伸び率を有することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
上記柔軟な先端部の材料は、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
眼内レンズを眼に挿入するための装置であって、
眼内レンズを収納するための搭載チャンバを有するカートリッジを備え、
上記搭載チャンバは、上記開口で終端する先細りのルーメンを有する導入管に配置された開口基端と末端とを有し、
上記開口は、2.0mm以下の外径を有し、
連結された柔軟な先端部を有する押出ロッドを備え、
上記押出ロッド及び上記カートリッジは、上記押出ロッドが押し出している間、上記柔軟な先端部が上記搭載チャンバの上記基端に進入し、上記眼内レンズを末端側に押すように配置されていることを特徴とする装置。
【請求項30】
上記柔軟な先端部及び上記押出ロッドは、互いに連結されていないことを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
上記柔軟な先端部は、上記導入管の先細りのルーメンを通って移動しながら変形するように膨張していることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【公表番号】特表2008−544816(P2008−544816A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519643(P2008−519643)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/025745
【国際公開番号】WO2007/005692
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(502049837)アドバンスト メディカル オプティクス, インコーポレーテッド (50)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/025745
【国際公開番号】WO2007/005692
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(502049837)アドバンスト メディカル オプティクス, インコーポレーテッド (50)
【Fターム(参考)】
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