説明

低反発性エラストマーローラ

【課題】製造費を抑制することができ、また、種々の材質のエラストマーで製造可能な低反発性エラストマーローラを提供する。
【解決手段】基材3が、中空微小球ポリマーが配合されたエラストマーから成っている。エラストマーは、20乃至50Hs JIS Aの硬度を有している。中空微小球ポリマーは、弾性体であり、10乃至200マイクロメートルの外径を有し、不活性無機粉体でコーティングされている。中空微小球ポリマーは、エラストマーに対し1乃至10質量パーセントの割合で配合されている。基材3は、金属製のシャフト2の周囲に設けられ、円筒状を成している。基材3は、内周面3aがシャフト2の外周面2aに固定され、表面3bが研磨されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低反発性エラストマーローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエラストマーローラとして、連続気泡を有する導電性の発泡ウレタンゴム層と、その外周面を被覆する導電性のチューブとを具え、低弾性反発力で低硬度のゴムローラがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−304244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のゴムローラでは、発泡ウレタンゴム層およびチューブの二つの異なる層から成るため、製造工程が増え、製造費が嵩むという課題があった。また、材質が発泡ウレタンゴムを用いたものに限定されるという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、製造費を抑制することができ、また、種々の材質のエラストマーで製造可能な低反発性エラストマーローラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る低反発性エラストマーローラは、円筒状の基材から成り、前記基材は中空微小球ポリマーが配合されたエラストマーから成ることを、特徴とする。
【0007】
本発明に係る低反発性エラストマーローラは、中空微小球ポリマーが球状の弾性体であるため、基材にかけられた力を均一に分散させることができる。これにより、基材にかけられた力を押し戻す弾性力も分散されるため、柔らかい低反発性を有する。また、衝撃に対する強度を高めることもできる。このように、特定の材質のエラストマーに限定されることなく、種々の材質のエラストマーにより製造可能である。
【0008】
エラストマーに中空微小球ポリマーが配合されているため、基材を軽量化することができ、エラストマーの容量を減らしてエラストマーの材料費を低減することができる。基材がエラストマーに中空微小球ポリマーを配合して構成されるため、1つの層で構成することができ、その場合、複数の層から成るものに比べ、製造工程が少なく、製造費を抑制することができる。
【0009】
本発明に係る低反発性エラストマーローラにおいて、前記基材は表面が研磨されていることが好ましい。この場合、基材の表面の中空微小球ポリマーが研磨されることで、基材の表面に微小な孔がランダムに形成される。この基材の表面の凹凸により、搬送物を確実に捕らえて搬送することができる。また、搬送物が滑りにくく、ノンスリップ効果も高い。
【0010】
本発明に係る低反発性エラストマーローラにおいて、前記エラストマーは20乃至50Hs JIS Aの硬度を有し、前記中空微小球ポリマーは10乃至200マイクロメートルの外径を有し、不活性無機粉体でコーティングされており、前記エラストマーに対し1乃至10質量パーセントの割合で配合されていることが好ましい。この場合、低反発性エラストマーローラは、搬送用ローラに適した柔らかい低反発性を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製造費を抑制することができ、また、種々の材質のエラストマーで製造可能な低反発性エラストマーローラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図2は、本発明の実施の形態の低反発性エラストマーローラを示している。
図1乃至図2に示すように、低反発性エラストマーローラ1は、シャフト2と基材3とを有している。
【0013】
シャフト2は、金属製で、円筒状に形成されている。シャフト2は、用途に応じて端部の形状が異なっていてもよい。
基材3は、中空微小球ポリマーが配合されたエラストマーから成っている。エラストマーは、20乃至50Hs JIS Aの硬度を有している。中空微小球ポリマーは、弾性を有し、10乃至200マイクロメートルの外径を有し、不活性無機粉体でコーティングされている。中空微小球ポリマーは、エラストマーに対し1乃至10質量パーセントの割合で配合されている。基材3は、シャフト2の周囲に設けられ、円筒状を成している。基材3は、内周面3aがシャフト2の外周面2aに固定され、表面3bが研磨されている。
【0014】
なお、具体的な一例では、中空微小球ポリマーは、商品名「マツモト マイクロスフェアー(登録商標) MFL80CA」(松本油脂製薬株式会社製)を使用している。中空微小球ポリマーは、粒径が100マイクロメートルで、炭酸カルシウムでコーティングされている。中空微小球ポリマーは、エラストマーに対し5質量パーセントの割合で配合されている
【0015】
次に、作用について説明する。
低反発性エラストマーローラ1は、搬送用ローラとして好適に使用される。低反発性エラストマーローラ1は、中空微小球ポリマーが球状の弾性体であるため、基材3にかけられた力を均一に分散させることができる。これにより、基材3にかけられた力を押し戻す弾性力も分散されるため、柔らかい低反発性を有する。また、衝撃に対する強度を高めることもできる。
【0016】
本発明者らは、基材3として発泡ウレタンなどの様々な発泡体を利用して柔軟性のローラを製作し、低反発性エラストマーローラ1との比較を行った。その結果、低反発性エラストマーローラ1は、他の様々な発泡体から成るローラでは得ることのできない低反発性を有していることが見出された。特に、低反発性エラストマーローラ1は、中空微小球ポリマーの外径や配合量により、搬送用ローラに最も適した柔らかい低反発性を有している。
【0017】
エラストマーに中空微小球ポリマーが配合されているため、基材3を軽量化することができ、エラストマーの容量を減らしてエラストマーの材料費を低減することができる。基材3がエラストマーに中空微小球ポリマーを配合して構成されるため、1つの層で構成することができ、その場合、複数の層から成るものに比べ、製造工程が少なく、製造費を抑制することができる。
【0018】
基材3の表面3bの中空微小球ポリマーが研磨されているため、基材3の表面3bに10乃至200マイクロメートルの径を有する微小な孔がランダムに形成されている。この基材3の表面の凹凸により、搬送物を確実に捕らえて搬送することができる。また、搬送物が滑りにくく、ノンスリップ効果も高い。
低反発性エラストマーローラ1は、特定の材質のエラストマーに限定されることなく、種々の材質のエラストマーにより製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態の低反発性エラストマーローラを示す(a)正面図、(b)左側面図である。
【図2】図1に示す低反発性エラストマーローラの(a)A−A’線断面図、(b)B−B’線断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 低反発性エラストマーローラ
2 シャフト
3 基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の基材から成り、前記基材は中空微小球ポリマーが配合されたエラストマーから成ることを、特徴とする低反発性エラストマーローラ。
【請求項2】
前記基材は表面が研磨されていることを、特徴とする請求項1記載の低反発性エラストマーローラ。
【請求項3】
前記エラストマーは20乃至50Hs JIS Aの硬度を有し、前記中空微小球ポリマーは10乃至200マイクロメートルの外径を有し、不活性無機粉体でコーティングされており、前記エラストマーに対し1乃至10質量パーセントの割合で配合されていることを、特徴とする請求項1または2記載の低反発性エラストマーローラ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−207660(P2006−207660A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18769(P2005−18769)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(393005059)宮川ローラー株式会社 (2)
【Fターム(参考)】