説明

低周波圧力センサを利用した動物の行動及び生理指標のモニタリング方法及びその装置

【課題】 動物の行動や生理指標を自動かつ連続的にモニタリングする方法および装置を提供する。
【解決手段】 動物の体表面に振動検知媒体を取り付け、動物の採食や反芻に伴う筋肉の動きや呼吸又は心拍動に伴い発生する振動を取得する。取得した低周波振動を利用して動物の行動や生理指標をモニタリングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行動及び生理指標をモニタリングする方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動物の体表面に装着して、動物の行動指標(採食や反芻)のデータを取得し、動物の健康管理を行う機器や装置はすでに知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の発明は、動物(例えば、牛等の家畜)の首輪に、加速度センサと温度センサを備えて構成される加速度/温度計測モジュールを取り付け、当該センサによって計測された加速度データおよび温度データに基づいて、動物の採食や反芻状態等を把握し、動物の健康状態を管理するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−228573号
【0005】
具体的には、動物は採食時、首を下げた体勢となるため、加速度センサの計測値が正であるときは採食状態にあり、反芻時又は休息時は首を上げた体勢となるため、計測値が負であるときは反芻或いは休息状態にあると判断する。また、反芻と休息の区別は、加速度の絶対値の大きさで判定し、絶対値が大きい場合は反芻、小さい場合は休息状態にあると判定する。
【0006】
また、温度センサを動物の顎側と体側の2箇所に設置し、動物の採食時に顎側の温度センサによる計測値が上昇し、動物の反芻時又は休息(横臥)時に体側の温度センサによる計測値が上昇することを利用し、両計測値の温度差データを利用することにより、外気温の影響を排除した上で、温度差データが正の場合は採食状態にあり、負の場合は反芻状態又は休息(横臥)状態にあると判定する。
【0007】
この装置によれば、加速度/温度計測モジュールを取り付けた首輪を動物の首に嵌めるだけで、動物の行動を把握することができるので、動物の健康管理に費やす管理者の労力を軽減でき、また、管理対象である動物の負担も小さくできる利点を備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
然るに、特許文献1記載の発明は、加速度センサと温度センサを用いて動物の採食や反芻等の行動指標を取得する構成であるので、動物の飼料が比較的高い位置に配される飼槽や草架(乾草を地面から離して入れる設備)においては、動物が採食時に首を下げることはなくなるため、加速度センサ又は温度センサによる計測値から採食状態と反芻状態又は休息状態を識別することが不可能となる。
【0009】
また、取得する行動指標は採食や反芻等であり、その他の行動指標(例えば、歩行に関する情報)や、心拍や呼吸等の生理指標の取得には適さないので、これらの情報に基づく動物の健康管理は不可能である。
【0010】
そこで、本発明は、動物の行動指標を加速度センサや温度センサによって取得するのではなく、圧力センサを利用して取得することにより、動物の採食や反芻行動を適切に把握するとともに、動物の採食や反芻等の行動指標に限らず、歩行に関する情報や心拍又は呼吸等の生理指標についても取得することのできる方法及び装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、動物の体の筋肉の動きに伴い発生する低周波振動を体表面に取り付けた振動検知媒体を通して取得し、その信号の周波数分析等によって動物の行動や生理指標をモニタリングするものである。
【0012】
請求項2記載の発明は、動物の体表面に取り付けられ、動物の体の筋肉の動きに伴い発生する低周波振動を取得する振動検知媒体を備え、該振動検知媒体で取得した信号の周波数分析等から動物の行動や生理指標をモニタリングする装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、振動検知媒体を利用して動物の行動をモニターするので、加速度センサや温度センサを利用してモニターする場合のように、飼料が比較的高い位置に配置される飼槽や草架においても、動物の採食や反芻行動を的確に把握することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、動物の行動指標や生理指標を無人状態で連続的に取得することができるので動物管理の負担を飛躍的に軽減することができるとともに、採食や反芻に限らず、心拍や呼吸或いは歩行に関する情報の取得をも可能としたので、総合的な健康管理ツールとしての活用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の低周波検出装置を取り付けた動物(牛)の斜視図である。
【図2】前記低周波検出装置の斜視図である。
【図3】(a)は前記低周波検出装置を構成する本体部を示す横断面図であり、(b)は前記本体部の縦断面図である。
【図4】前記低周波検出装置を取り付けた動物(牛)の正面図である。
【図5】肢に取り付けるための低周波検出装置の斜視図である。
【図6】(a)は肢に取り付ける低周波検出装置を構成する本体部の上段部を示す横断面図であり、(b)は前記本体部の下段部を示す横断面図であり、(c)は前記本体部の縦断面図である。
【図7】前記低周波検出装置を肢に取り付けた動物(牛)の正面図である。
【図8】前記低周波検出装置を肢に取り付けた動物(牛)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図1乃至図4を用いて説明する。図1は本発明に係る低周波検出装置Aを動物(本実施例では牛)1に取り付けた状態を示す斜視図であり、低周波検出装置Aは、動物(牛)1の首周りにベルト2を利用して取り付けられる。
【0017】
図2に前記低周波検出装置Aの全体構成の詳細を示す。図2に示すように、本発明の低周波検出装置Aは、当該装置Aを動物(牛)1の首周りに固定するベルト2と、ベルト2に挿通して取り付けられる収納袋3、ベルト2を締め付け、その締付位置を固定するバックル4と、収納袋3と相対する側に取り付けられるバランスウェイト5、及び、収納袋3とバランスウェイト5間に取り付けられる錘6を備えて概略構成されている。
【0018】
7は収納袋3内に収納される本体部を示しており、収納袋3に備えたファスナー3aを開閉することにより収納袋3内に収納される。つづいて、図3を用いて、本体部7の構造について説明する。
【0019】
図3(a)は、本体部7の横断面図である。当該図に示すように、本体部7は、センサ部8と電池部9を備えて構成されている。センサ部8は、ケース10内に、低周波振動(例えば、0.2〜100Hz)の検出が可能な圧力センサ(以下、高感度センサという)11と、高感度センサ11で検出した行動指標(採食や反芻)を外部の受信装置へ送信するための無線モジュール12を収容して構成されている。
【0020】
一方、電池部9はそのケース13内に電池(例えば、単4電池を3本)の取り付けが可能な電池ボックス14が収納されている。
【0021】
図3(b)は、同図(a)に示す本体部7の縦断面図である。図3(b)に示すように、センサ部8と電池部9は、曲反可能な接続板(例えば、バネ性のある樹脂板)15によって物理的に連結されており、また、電池部9内の電池ボックス14に取り付けられる電池の電力をセンサ部8側へ供給する電力線16によって電気的に接続されている。
【0022】
詳しくは、電力線16は同図(a)に示すように、センサ部8内に収納固定される接続基板17を介して、これと電気的に接続される高感度センサ11及び無線モジュール12と電気的に接続されて電力を供給する。
【0023】
また、同図(b)に示すように、センサ部8のケース10内には、高感度センサ11や無線モジュール12が配置される側(室)と仕切り18を隔てて、第1の空気室19が形成されている。空気室19の仕切り18と対向する一面には、動物(牛)1から発せられる振動を検知するための検知面20が取り付けられている。
【0024】
前記検知面20は、例えば、樹脂フィルムによって構成されており、検知面20上には、検知面20が動物(牛)1から発せられる振動の検知を確実にするために略凸形状に成形した突起部21が取り付けられている。
【0025】
一方、電池部9のケース13内には、電池ボックス14が配置される側(室)と仕切り22を隔てて第2の空気室23が形成されており、第2の空気室23の仕切り22と対向する一面には、センサ部8の構造と同様、検知面24(樹脂フィルム)が取り付けられている。
【0026】
また、検知面24上にもセンサ部8と同様の目的で略凸形状に成形した突起部25が取り付けられている。つまり、突起部21,25は、動物(牛)1から発せられる振動の検知を確実にするため、その表面形状を動物(牛)1の体表面に適合させ(本実施例では首周りに違和感を与えることなく密着させる程度の湾曲をもたせ)、動物(牛)1の体表面に伝達された振動の検出精度を向上させている。
【0027】
センサ部8と電池部9の各々の空気室19,23は、接続口26,27を介して接続ホース28によって連通しており、電池部9の空気室23内の空気圧変化がセンサ部8の空気室19に伝達される構造となっている。
【0028】
センサ部8の空気室19は、図3(a)に示すように、仕切り18の貫通孔29に取り付けられる接続口30と高感度センサ11の接続口31とを接続ホース32で接続することにより、高感度センサ11と連通されている。
【0029】
以上のごとく構成した本体部7は、前述の通り図2に示す収納袋3のファスナー3aを開くことにより収納袋3内に収納されるのであるが、収納袋7内に本体部7を収納する際には、図3(b)に示す検知面20,24上に取り付けた突起部21,25が動物(牛)1の体表面(首周り)に接触する側に向く方向で収納する。本体部7を収納袋3内に収納した後はファスナー3aを閉め本体部7が収納袋3から脱落しないようにする。
【0030】
本体部7を収納袋3内に収納した低周波検出装置Aを図1に示すように動物(牛)1の首周りに取り付ける場合は、低周波検出装置Aに備えたベルト2を動物(牛)1の首周りに巻き付ける。
【0031】
このとき、図2に示す錘6が動物(牛)1の首下に位置するように巻き付ける。つまり、図4に示すように、動物(牛)1の首周りの一側面側(図4の左側)に収納袋3が配置され、これと対向する他側面側(図4の右側)にバランスウェイト5が配置されるように、ベルト2を動物(牛)1の首周りに巻き付ける。
【0032】
そして、首周りの上部側(図4の上側)において、ベルト2をバックル4に通した後、バックル4によってベルト2を固定することにより、動物(牛)1の首周りに低周波検出装置Aを揺動不能に固定する。
【0033】
この結果、バランスウェイト5が本体部7を収納した収納袋3の重量と釣合うので、収納袋3が動物(牛)1の首周りにおいて片側によじれることはなく、低周波検出装置Aの取付位置を固定することができる。
【0034】
収納袋3内に収納した本体部7の一対の検知面20,24は、動物(牛)1の首周りの中央付近及びやや上部にある動物(牛)1の筋肉のある部位の2箇所に各々配置される。正確に言えば、図3に示す検知面20,24上に貼付した突起部21,25が収納袋3の裏面部33(図4参照)を介して動物(牛)1の筋肉のある部位に接触する。
【0035】
つまり、動物(牛)1の首周りの形状に適合させた形状に成形した突起部21,25を介して動物(牛)1の筋肉の部位に物理的に接触させることにより、検知面20,24を直接動物(牛)1の筋肉の部位に接触させる場合と比較して、より確実に動物(牛)1の筋肉の動きを検知することができる。この結果、例えば、動物(牛)1の首の上げ下げによって首の筋肉の盛り上がりやへこみの状態が変化しても、突起部21,25は確実に動物(牛)1の首周りに密着して、振動を精度良く検知することが可能となる。
【0036】
なお、図4に示す錘6は、低周波検出装置Aを下方へ引っ張る役割をなし、以って、検知面20,24を突起部21,25及び収納袋3の裏面部33を介して動物(牛)1の筋肉の部位に一定の強さで付勢させることができる。
【0037】
収納袋3は破損防止が可能な耐久性のある素材、例えば、皮革(人工、天然を問わず)を採用する。
【0038】
つづいて、本発明の低周波検出装置Aによって動物(牛)1の行動指標を取得する方法について説明する。上述したように、本発明の低周波検出装置Aは、例えば、動物(牛)1の行動指標のうち、採食や反芻の検知に好適である。
【0039】
つまり、採食や反芻は、動物(牛)1の咀嚼に伴う口の開閉動作を伴うが、動物(牛)1が口を開閉する回数は、70〜80回/分(1.17〜1.33Hz)であり、低周波領域の振動を発生する。
【0040】
ここで、本発明の低周波検出装置Aは、低周波振動(0.2〜100Hz)を検出することが可能な高感度センサ11を備えて構成されているので、この高感度センサ11を利用して、低周波領域にある動物(牛)1の口の開閉動作を検出することが可能となる。
【0041】
つまり、本発明の低周波検出装置Aは、動物(牛)1の採食や反芻動作に伴う振動を動物(牛)1の首周りに取り付けた低周波検出装置Aの検知面20,24によって検知するものである。
【0042】
そして、検知面20,24は各々のケース10,13内の空気室19,23の一面を形成しているので、検知面20,24に伝達された振動は、空気室19,23内の空気圧変化としてセンサ部8の空気室19と接続ホース32で接続された高感度センサ11によって検出される。
【0043】
特に、センサ部8の空気室19と、電池部9の空気室23が接続ホース28で接続される構造であることから、電池部9の検知面24に伝達された振動も電池部9の空気室23内の空気圧変化が接続ホース28からセンサ部8の空気室19を介して、接続ホース32によってセンサ部8に備えた高感度センサ11によって検出される。
【0044】
検知面20,24をセンサ部8と電池部9の両方(2箇所)に設けた理由は、例えば、動物(牛)1の体勢によっては検知面20,24の何れかと動物(牛)1の体表面間の接触具合が悪化し、検知面20,24によって振動を良好に検知できなくなる場合が想定されるので、これを防止するため、検知面20,24を2箇所に設け、動物(牛)1の体勢に影響されずに行動指標の検出を確実に実行するためである。
【0045】
このようにして高感度センサ11によって検出した動物(牛)1の行動指標は、図3に示す無線モジュール12に送られ、当該モジュール12によって外部の受信装置(図示せず)に無線送信される。
【0046】
受信装置に無線送信された行動指標データは、コンピュータによって取り込むことにより、コンピュータにインストールされたパターン認識ソフトを利用して、動物(牛)1の状態を連続的にモニターすることができる。
【0047】
つまり、本発明の低周波検出装置Aを動物(牛)1に装着することにより、動物
(牛)1の行動指標を無人状態で自動取得することができ、その信号を処理することによって、飼料が高所位置に配される飼槽や草架を備える畜舎内で飼育される動物(牛)1であっても、採食と反芻を確実に識別してモニタリングすることが可能となる。採食と反芻の識別は、反芻時にみられる低周波振動の特徴的なスペクトルパターンにより識別することができる。
【0048】
なお、上記実施例では、高感度センサ11で検出した動物(牛)1の行動指標データを、無線モジュール12を利用して外部へ無線送信する場合について説明したが、本発明はこれに限定せず、例えば、無線モジュール12に代えて、データロガーやSDカードなどの記憶媒体(図示せず)に行動指標データを保存させても良い。
【0049】
そして、記憶媒体に保存された行動指標データを利用する場合は、収納袋3のファスナー3aを開けて本体部7を収納袋3から取り出し、外部のコンピュータにセンサ部8を接続するか、或いは、センサ部8からSDカード等を取り出して利用すれば良い。
【0050】
このように、本体部7を収納袋3から取り出す場合においても、本発明の低周波検出装置Aは、収納袋3のファスナー3aを開けるだけで本体部7を収納袋3の外部へ取り出すことができるので、ベルト2を緩めて低周波検出装置Aを動物(牛)1の首回りから取り外す必要はなく、簡単にデータの利用ができるばかりか、取り外し又は装着時において、動物(牛)1を拘束する負担を排除することができる。
【0051】
さらに、低周波検出装置Aを構成する電池部9内の電池交換作業においても、これと同様に、低周波検出装置Aを動物(牛)1の首周りから取り外す必要がないので、作業者と動物(牛)1の負担を軽減することができる。特に一旦ベルト2を緩めて低周波検出装置Aを動物(牛)1から取り外してしまうと、再度、取り付ける際に、元の取付具合(取付位置及び取付圧力)と同様に取り付けることが非常に困難であることに鑑みれば、ベルト2を取り外さずに本体部7の取り出しができることは非常に有効である。
【0052】
なお、上記実施例では、低周波検出装置Aの本体部7を、センサ部8と電池部9に分離して構成(図3参照)した場合について説明したが、低周波検出装置Aは、分離して構成するものに限定せず、センサ部8と電池部9の機能を1つのユニットとして構成しても良いことは勿論である。
【0053】
また、上記実施例では、低周波検出装置Aを動物(牛)1の首周りに取り付ける場合について説明したが、腹部周りに取り付けることにより、動物(牛)1の呼吸情報を取得することも可能である。例えば、牛の呼吸数は10〜30回/分(0.16〜0.5Hz)であるが、前記高感度センサ11によって検出可能な低周波領域である。
【0054】
つづいて、低周波検出装置を動物(牛)1の肢周りに取り付ける場合について説明する。なお、肢周りに低周波検出装置を取り付ける場合に検出する行動指標としては歩行に関する情報があり、また、生理指標としては心拍に関する情報がある。
【0055】
以下に、心拍に関する情報を取得する場合について説明する。動物のうち、牛の心拍数は36〜80回/分(0.6〜1.3Hz)であり、本発明の低周波検出装置を構成する高感度センサ11において検出可能な低周波領域である。
【0056】
肢周りに取り付ける低周波検出装置Bは、図5に示すように、略矩形状の箱形に形成した収納袋33と、収納袋33に接続される一対の基端部34,35、基端部34に接続されるベルト36、および、収納袋33の上部開口を開閉する蓋37と、収納袋33の前面に備えたベルト通部38に挿通する外周ベルト39によって概略構成される。
【0057】
ベルト36の内側面と基端部35の表側面には、両者を止着する例えば、面ファスナー40,41が備えられており、蓋37の内側面および収納袋33の正面にも、両者を止着する面ファスナー42,43が備えられている。また、外周ベルト39の両端部の表裏面にも、該両端部を止着する面ファスナー44,45が備えられている。
【0058】
収納袋33内に収納する本体部46は、図6(b)に示すように、ケース47内に、高感度センサ48と、高感度センサ48で検出した生理指標(心拍)を外部の受信装置(図示せず)へ送信する無線モジュール49と接続基板50を収容して構成される。
【0059】
高感度センサ44および無線モジュール45の上方には、図6(a)に示すように、設置台51上に電池ボックス52が載置されており、電池ボックス48の電力は電力線53に接続される接続基板50を介して高感度センサ48や無線モジュール49に供給される。
【0060】
図6(c)は同図(a),(b)に示す本体部46の縦断面図である。図6(c)に示すように、高感度センサ48が設置される側(室)と仕切り54を隔てて、空気室55が形成されている。
【0061】
空気室55の仕切り54と対向する一面には、動物(牛)1から発せられる振動を検知するために、例えば、樹脂フィルムによって構成した検知面56が取り付けられており、検知面56上には、略凸形状に成形した突起部57が取り付けられている。
【0062】
そして、空気室55は、仕切り54の貫通孔58(同図(b)参照)に取り付けられる接続口59(同図(c)参照)と高感度センサ48の接続口60とを接続ホース61によって接続することにより、高感度センサ48と連通している。
【0063】
以上のように構成された本体部46は、その検知面56が動物(牛)1の肢周りに接触する側に向く方向で、図5に示す低周波検出装置Bの収納袋33内に収納され、蓋37を面ファスナー42,43を利用して閉じることにより、収納袋33内に収納される。
【0064】
図5に示す低周波検出装置Bを動物(牛)1の肢周りに取り付ける場合は、動物(牛)1の管部(繋ぎの上部にある肢の最も細い部位)に低周波検出装置Bを宛がい、ベルト36を肢首周りに巻き付け、ベルト36と基端部35の面ファスナー40,41を利用して止着することにより、図7に示すように動物(牛)1の肢周りに固定する。その後、外周ベルト39を動物(牛)1の肢周りに巻き付け、面ファスナー44,45を止着することにより、収納袋36内の本体部46を動物(牛)1の肢に押し付ける。なお、収納袋33は破損防止が可能な耐久性のあるテント地等を採用する。
【0065】
そして、動物(牛)1が静止した状態で心拍による振動が肢の管部表面に伝達されると、収納袋33の裏面部を介して、低周波検出装置Bの検知面56はその振動を検知し、図6(c)に示す空気室55内の空気圧を変化させる。
【0066】
この空気圧変化は、空気室55と接続ホース61で連通された高感度センサ48によって検出され、動物(牛)1の生理指標(心拍)として同図(b)に示す無線モジュール49に送信される。無線モジュール49は外部の受信装置(図示せず)に当該データを無線送信し、外部に備えたコンピュータのパターン認識ソフトを利用して動物(牛)1の生理指標を連続的にモニターすることができる。
【0067】
なお、上記実施例では、動物(牛)1の前肢の管部に低周波検出装置Bを取り付けた場合について説明したが、図8に示すように、動物(牛)1の後肢の管部に取り付けても良いことは当然である。
【0068】
以上説明したように、本発明の低周波検出装置Aによれば、低周波域の振動を低周波圧力センサによって検出して、動物の行動指標(採食、反芻)を取得するように構成したので、従来の加速度センサや温度センサを利用した管理システムと異なり、飼料を比較的高所に配する飼槽や草架を備えた畜舎で飼育される動物においても、その採食状態と反芻状態或いは休息状態を確実に識別することが可能となる。
【0069】
また、低周波検出装置A,Bによれば、動物の行動及び生理指標を無人状態で連続的に自動取得して動物を管理することが可能となり、かつ、取得する情報は採食や反芻のみでなく、歩行や心拍或いは呼吸に関する情報の取得も可能であるので、種々の行動指標および生理指標を組み合わせて、総合的な健康管理ツールとして利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
動物の行動及び生理指標の自動取得、特に家畜の行動及び生理指標を連続的に取得して総合的な健康管理ツールとして利用することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 牛
2,36 ベルト
3,33 収納袋
3a ファスナー
4 バックル
5 バランスウェイト
6 錘
7,46 本体部
8 センサ部
9 電池部
10,13,47 ケース
11,48 高感度センサ
12,49 無線モジュール
14,52 電池ボックス
15 接続板
16,53 電力線
17,50 接続基板
18,22,54 仕切り
19,23,55 空気室
20,24,56 検知面
21,25,57 突起部
26,27,30,31,59,60 接続口
28,32,61 接続ホース
29,58 貫通孔
34,35 基端部
36 ベルト
37 蓋
38 ベルト通部
39 外周ベルト
40,41,42,43,44,45 面ファスナー
A,B 低周波検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の体の筋肉の動き、又は呼吸や心拍動に伴い発生する低周波振動を体表面に取り付けた振動検知媒体を通して取得し、取得した周波数を分析することによって動物の行動や生理指標をモニタリングすることを特徴とする低周波圧力センサを利用した動物の行動及び生理指標のモニタリング方法。
【請求項2】
動物の体表面に取り付けられ、動物の体の筋肉の動き、又は呼吸や心拍動に伴い発生する低周波振動を取得する振動検知媒体を備え、該振動検知媒体で取得した信号の周波数分析から動物の行動や生理指標をモニタリングすることを特徴とする低周波圧力センサを利用した動物の行動及び生理指標のモニタリング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−22001(P2013−22001A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162682(P2011−162682)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000116666)愛知電機株式会社 (93)
【出願人】(504300088)国立大学法人帯広畜産大学 (96)