説明

低品位鉄スクラップの原料化方法

【課題】銅線やプラスチック類などの非鉄分が混入した低品位鉄スクラップから、銅線などの非鉄分を除去して、高級鋼材用の製鉄原料として再利用可能な高純度鉄スクラップを的確に得ることができる低品位鉄スクラップの原料化方法を提供する。
【解決手段】低品位鉄スクラップをハンマ型破砕機11によって破砕・分離し、その破砕混合物を揺動反発式選別機13によって重量物と軽量物と小径物とに選別・回収し、重量物として選別・回収された破砕物を製鉄原料として利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅線などの非鉄分が混入した低品位の鉄スクラップ(低品位鉄スクラップ)から、銅線などの非鉄分を除去して、高級鋼材用の製鉄原料として再利用可能な高純度の鉄スクラップ(高純度鉄スクラップ)を得る方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、廃自動車や建築廃材に由来する鉄スクラップは、電炉製鉄法において、電炉での製鉄原料(鉄源)として利用されている。その際は、スクラップ工場で、廃自動車などを破砕し、磁力選別機で鉄主体のスクラップ(鉄スクラップ)を選別回収した後、貯蔵や搬送に都合のよいように、所定の形状にプレス成形されたり、裁断して結束されたりして、出荷されている。電炉工場では、入荷した鉄スクラップを解して、電炉に投入し、鉄源として利用している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
なお、後述する[発明を実施するための最良の形態]において、下記の特許文献2を引用するので、ここに併せて記載しておく。
【特許文献1】特開平10−195516号公報
【特許文献2】特開平10−225930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、鉄スクラップの利用拡大の観点から、高炉製鉄法においても、高炉溶銑に鉄スクラップを混合し、転炉やトピートなどの精錬設備に投入して、製鉄原料(鉄源)として活用するようになってきた。
【0005】
しかし、その際に、高級鋼材用の製鉄原料とするためには、従来は問題とならなかった鉄スクラップ中の銅線やプラスチック類などの非鉄混入物を十分に分離・除去して、高純度の鉄スクラップとする必要がでてきた。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、銅線やプラスチック類などの非鉄分が混入した低品位鉄スクラップから、銅線などの非鉄分を除去して、高級鋼材用の製鉄原料として再利用可能な高純度鉄スクラップを的確に得ることができる低品位鉄スクラップの原料化方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0008】
[1]銅線やプラスチック類が混入した鉄スクラップを破砕機によって破砕・分離し、その破砕混合物を揺動反発式選別機によって重量物と軽量物と小径物とに選別・回収し、重量物として選別・回収された破砕物を製鉄原料として利用することを特徴とする低品位鉄スクラップの原料化方法。
【0009】
[2]重量物として選別・回収された破砕物を磁力選別機によって磁性物と非磁性物に選別し、磁性物として回収された破砕物を製鉄原料として利用することを特徴とする前記[1]に記載の低品位鉄スクラップの原料化方法。
【0010】
[3]前記破砕混合物から風力選別機によって軽量プラスチックを除去した後、揺動反発式選別機によって重量物と軽量物と小径物とに選別・回収することを特徴とする前記[1]または[2]に記載の低品位鉄スクラップの原料化方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、低品位鉄スクラップから、銅線などの非鉄分を除去して、高級鋼材用の製鉄原料として再利用可能な高純度鉄スクラップを的確に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態を示す処理フロー図である。
【0014】
図1に示すように、廃自動車や建築廃材に由来し、銅線やプラスチック類等の非鉄分が混入した低品位鉄スクラッップを、ハンマ型破砕機11によって、100〜150mm程度の大きさの塊(中塊)に破砕する。その際に、ハンマ型破砕機11では、複数のハンマが回転することにより、投入された低品位鉄スクラッップが破砕されるとともに、破砕物同士が摩滅して、鉄部分にハンダ付け接合していた銅線が外れる。これによって、鉄分と銅線とプラスチック類とが一体化していた鉄スクラップが、鉄分と銅線とプラスチック類とに破砕・分離される。
【0015】
この後、この破砕混合物(鉄分と銅線とプラスチック類とが混合)から鉄分を磁力選別することで、高純度スクラップ鉄を得ることができればよいが、破砕混合物では銅線が鉄分やプラスチック類に絡み付いており、そのままの状態では適切に磁力選別を行うことが難しい。
【0016】
そこで、この実施形態においては、破砕混合物を揺動反発式選別機(揺動回転式選別機)13によって、重量物と軽量物と小径物とに選別・回収することで、鉄分やプラスチック類への銅線の絡み付きを無くしてから、磁力選別を行うようにしている。
【0017】
ここで、揺動反発式選別機13は、前記特許文献2にも記載されているように、クランク軸の回転により搭載物を傾斜上方に送るような揺動運動(振幅は30mm以上)をする傾斜スクリーン上に被選別物を投入し、被選別物を構成する物体の重量、形状および硬度の差により傾斜スクリーン上で反発する弾道が異なることを利用して、被選別混合物を選別する形態選別装置であり、傾斜スクリーン上での跳ね返りが大きい重量物は傾斜スクリーンの傾斜下方に回収され、傾斜スクリーン上での跳ね返りが小さい軽量物は傾斜スクリーンの傾斜上方に回収され、傾斜スクリーンの篩目より小さい小径物は傾斜スクリーンの篩下に回収されるような構造になっている。
【0018】
したがって、このような揺動反発式選別機13に、鉄分と銅線とプラスチック類とが混合した破砕混合物を投入すると、傾斜スクリーンの傾斜上方の軽量物側に、軽量プラスチックと銅線が回収され、傾斜スクリーンの篩下に、脆性プラスチック等の小径物が回収され、傾斜スクリーンの傾斜下方の重量物側に、鉄分と一部の非鉄混入物が回収される。
【0019】
そして、揺動反発式選別機13で重量物側に回収された破砕物(鉄分と一部の非鉄混入物)を、磁力選別機14によって、磁性物(鉄分)と非磁性物(非鉄混入物)に選別する。
【0020】
これにより、磁力選別機14で磁性物として選別された破砕物は、高純度な鉄スクラップとなっており、高級鋼材用の製鉄原料として再利用することができる。
【0021】
なお、上記においては、ハンマ型破砕機11によって低品位鉄スクラッップを鉄分と銅線とプラスチック類とに破砕・分離しているが、低品位鉄スクラッップを鉄分と銅線とプラスチック類とに破砕・分離できるものであれば、他の破砕機(例えば、ギロチン式破砕機)を用いてもよい。
【0022】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態を示す処理フロー図である。
【0023】
前述の第1の実施形態において、揺動反発式選別機13での選別の際に、発泡ウレタンは軽量であるけれども、ブロック状の形態の場合、重量物側に回収されてしまう。それにより、その後の磁力選別機14での選別の際に、銅線ほどではないが、発泡ウレタンが鉄分に絡み付いてしまうことがある。
【0024】
そこで、この第2の実施形態においては、ハンマ型破砕機11による破砕混合物を風力選別機12に投入して、発泡ウレタンを除去してから、揺動反発式選別機13に投入するようにしている。
【0025】
これにより、磁力選別機14での選別の際に、発泡ウレタンが鉄分に絡み付くことがなくなるので、磁力選別機14で磁性物として選別された破砕物は、より一層高純度な鉄スクラップとなる。
【0026】
なお、上記の第1の実施形態および第2の実施形態において、揺動反発式選別機13で重量物側に回収された破砕物の鉄純度が良好であれば、その後の磁力選別機14での選別を行わずに、そのまま製鉄原料として使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態における処理フロー図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における処理フロー図である。
【符号の説明】
【0028】
11 ハンマ型破砕機
12 風力選別機
13 揺動反発式選別機
14 磁力選別機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅線やプラスチック類が混入した鉄スクラップを破砕機によって破砕・分離し、その破砕混合物を揺動反発式選別機によって重量物と軽量物と小径物とに選別・回収し、重量物として選別・回収された破砕物を製鉄原料として利用することを特徴とする低品位鉄スクラップの原料化方法。
【請求項2】
重量物として選別・回収された破砕物を磁力選別機によって磁性物と非磁性物に選別し、磁性物として回収された破砕物を製鉄原料として利用することを特徴とする請求項1に記載の低品位鉄スクラップの原料化方法。
【請求項3】
前記破砕混合物から風力選別機によって軽量プラスチックを除去した後、揺動反発式選別機によって重量物と軽量物と小径物とに選別・回収することを特徴とする請求項1または2に記載の低品位鉄スクラップの原料化方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−84603(P2009−84603A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252819(P2007−252819)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】