説明

低圧放電ランプ、低圧放電ランプの製造方法、照明装置および画像表示装置

【課題】直管形状の低圧放電ランプを屈曲させて作製されたものと比べてガラスバルブの屈曲部の強度が同等以上の屈曲された低圧放電ランプを提供することを目的とする。また、移動等の際、内部に備える低圧放電ランプのガラスバルブの屈曲部が破損するのを防止することを目的とする。
【解決手段】管軸が屈曲されたガラスバルブ101と、ガラスバルブ101の少なくとも一方の端部に配置された電極102とを有する低圧放電ランプ100であって、ガラスバルブ101の屈曲部101aを除く部分に少なくとも1つの接続痕101bが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧放電ランプ、低圧放電ランプの製造方法、照明装置および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の低圧放電ランプの概念図を図18に示す。図18に示すように、従来の低圧放電ランプ(以下、「ランプ1」という)は、コの字形状の曲管蛍光ランプであって、一端部をL字形状に曲げ加工して得た曲りランプ管2と直管ランプ管3との2本の蛍光ランプをつなげて作製されたものである(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−265848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明者らが検討したところ、屈曲された低圧放電ランプを1本の低圧放電ランプから作製する場合、長尺なものになるほど蛍光体層の形成や、ランプ作製のためのスペースの確保が困難となるため、ランプ1のように2本の低圧放電ランプをつなげて作製したほうが容易に長尺の屈曲された低圧放電ランプを作製することができることがわかった。
【0004】
コの字形状の低圧放電ランプにおいては、直管状の部分に負荷が加わった場合、屈曲部に機械的な負荷がかかる。ランプ1の場合、曲がりランプ管2と直管ランプ管3との接合部4が屈曲部に位置し、接合部に負荷がかかってしまう。そのために、直管形状の低圧放電ランプを屈曲させて作製したものに比べて屈曲部の強度が弱くなり、屈曲部が破損するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明に係る低圧放電ランプおよび低圧放電ランプの製造方法は、直管形状の低圧放電ランプを屈曲させて作製されたものと比べてガラスバルブの屈曲部の強度が同等以上の屈曲された低圧放電ランプを提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明に係る照明装置および画像表示装置は、移動等の際、内部に備える低圧放電ランプのガラスバルブの屈曲部が破損するのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る低圧放電ランプは、管軸が屈曲されたガラスバルブと、前記ガラスバルブの少なくとも一方の端部に配置された電極とを有する低圧放電ランプであって、前記ガラスバルブの屈曲部を除く部分に少なくとも1つの接続痕が形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る低圧放電ランプは、前記前記ガラスバルブにおける前記接続痕の部分の最小厚みが、前記ガラスバルブにおける他の部分の厚みの0.5[倍]であり、前記ガラスバルブにおける前記接続痕の部分の最大厚みが、前記ガラスバルブにおける他の部分の厚みの1.5[倍]以下であることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る低圧放電ランプは、前記ガラスバルブには、少なくとも一つの封止痕が形成されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る低圧放電ランプは、前記ガラスバルブは、その管軸が略コの字形状であって、一対の直管部と、前記一対の直管部の他端部にそれぞれ接続された屈曲部と、前記各々の屈曲部の間に形成された中間部とを有し、前記接続痕は、前記中間部に形成されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る低圧放電ランプは、前記ガラスバルブは、その管軸が略コの字形状であって、一対の直管部と、前記一対の直管部の他端部にそれぞれ接続された屈曲部と、前記各々の屈曲部の間に形成された中間部とを有し、前記接続痕は、少なくとも一方の前記直管部に形成されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る低圧放電ランプは、前記ガラスバルブの内面には、前記接続痕の形成されている部分を除く部分に蛍光体層が形成されていることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る低圧放電ランプは、前記一対の直管部は、一方の直管部における屈曲部側の蛍光体層の厚みが端部側の蛍光層の厚みよりも厚く、他方の直管部における屈曲部側の蛍光体層の厚みが端部側の蛍光体層の厚みよりも薄いことを特徴とする請求項7に記載の低圧放電ランプ。
【0014】
本発明に係る照明装置は、前記低圧放電ランプを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る画像表示装置は、前記照明装置を備えることを特徴とする画像表示装置。
【0016】
本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、一方の端部の内部に電極が設けられた直管状のガラス部材を少なくとも2本作製する工程と、一方の前記ガラス部材の電極とは反対側の端部を接続用のガラス管の一端部に接続し、他方の前記ガラス部材の電極とは反対側の端部を接続用のガラス管の他端部に接続してガラスバルブを作製する工程と、接続部を除いた部分で前記ガラスバルブを屈曲させる工程とを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る低圧放電ランプの製造方法は、前記接続用のガラス管には、排気管が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る低圧放電ランプおよび低圧放電ランプの製造方法は、直管形状の低圧放電ランプを屈曲させて作製されたものと比べてガラスバルブ101の屈曲部101aの強度が同等以上の屈曲された低圧放電ランプを提供することができる。
【0019】
また、本発明に係る照明装置および画像表示装置は、移動等の際、内部に備える低圧放電ランプのガラスバルブの屈曲部が破損するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプの管軸を含む断面図を図1に示す。本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプ(以下、「ランプ100」という)は、冷陰極蛍光ランプであって、管軸X101が屈曲されたガラスバルブ101と、ガラスバルブ101の少なくとも一方の端部に配置された電極102とを有する。
【0021】
ガラスバルブ101は、例えばタングステン線封着用のホウ珪酸ガラス製で、その管軸が略コの字形状であって、管軸に対して垂直に切った断面が略円環形状である。具体的には、例えば外径が4[mm]、内径が3[mm]、全長が1850[mm]である。
【0022】
ガラスバルブ101の屈曲部101aを除く部分に少なくとも1つの接続痕101bが形成されている。これにより、ガラスバルブ101に負荷がかかった場合においても、屈曲部において容易に破損し難く、直管形状の低圧放電ランプを屈曲させて作製したものと比べて屈曲部の強度を同等以上とすることができる。
【0023】
なお、ガラスバルブ101における接続痕101bの部分は、ガラスバルブ101における他の部分に比べて厚みが厚くなっていることが好ましい。この場合、接続痕101bの部分の強度を向上させることができる。さらに、ガラスバルブ101における接続痕101bの部分の最小厚みが、ガラスバルブ101における他の部分の厚み0.5[倍]以上であり、前記ガラスバルブにおける前記接続痕の部分の最大厚みが、前記ガラスバルブにおける他の部分の厚みの1.5[倍]以下であることが好ましい。この場合、ガラスバルブの接続痕101bの強度を適度に保つことができる。なお、より好ましくは、ガラスバルブ101における接続痕101bの部分の最小厚みが、ガラスバルブ101における他の部分の厚み0.7[倍]以上であり、前記ガラスバルブにおける前記接続痕の部分の最大厚みが、前記ガラスバルブにおける他の部分の厚みの1.5[倍]以下である。
【0024】
また、ガラスバルブ101に少なくとも一つの封止痕101cが形成されていることが好ましい。この場合、2[本]以上のガラス部材(図示せず)を接続してガラスバルブ101を作製した後に、細管(図示せず)によりガラスバルブ101の内部を排気し、希ガスや水銀を封入することができ、ランプ100の製造を容易にすることができる。さらに、封止痕101cは、電極とは反対側に設けられていることが好ましい。この場合、細管により、ガラスバルブの内部を排気する際、細管に排気ヘッドを接続しやすくすることができる。
【0025】
図1に示すガラスバルブ101は、その管軸X101が略コの字形状であって、一対の直管部101dと、一対の直管部101dの他端部にそれぞれ接続された屈曲部101aと、各々の屈曲部101aの間に形成された中間部101eとを有し、接続痕101cは、中間部101eに形成されている。この場合、バックライトユニット等の照明装置に用いる場合、中間部101eはカバーに隠れるため輝度むらの発生を抑制することができる。
【0026】
ガラスバルブ101の内部には、例えば3[mg]の水銀が封入され、またアルゴンやネオン等の希ガスが所定の封入圧、例えば40[Torr]で封入されている。なお、希ガスとしては、例えばアルゴンとネオンとの混合ガスがAr=10[mol%]、Ne=90[mol%]の比率で用いられる。
【0027】
また、ガラスバルブ101の内面には蛍光体層103が形成されている。また、ガラスバルブ101の内面と蛍光体層103との間には例えば酸化イットリウム(Y23)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)等の金属酸化物の保護膜(図示せず)を設けてもよい。
【0028】
なお、蛍光体層103は、接続痕101bの形成されている部分を除く部分に形成されていることが好ましい。この場合、ガラスバルブ101の接続の際、蛍光体層がその接続部に混入しにくく、接続痕101bの形成されている部分の強度を向上させることができる。さらに、蛍光体層103は、接続痕101bの形成されている部分よりも端部側に形成されていることが好ましい。この場合、バックライトユニット等の照明装置に用いる場合、中間部101eはカバーに隠れる部分に蛍光体層103を形成せずにガラスバルブ101に簡易的に作製することができる。
【0029】
さらに、蛍光体層103は、封止痕101cの形成されている部分を除く部分に形成されていることが好ましい。この場合、ガラスバルブ101の内部の排気や希ガスおよび水銀の封入のための細管をガラスバルブ101に接続する際、ガラスバルブ101を空気等で吹き破って細管との接続を確保するため、衝撃によって蛍光体層の一部がガラスバルブ101の内部に飛散するのを防止することができる。
【0030】
また、一対の直管部101dは、一方の直管部101dにおける屈曲101a側の蛍光体層103の厚みが端部側の蛍光体層103の厚みよりも厚く、他方の直管部101dにおける屈曲部101a側の蛍光体層103の厚みが端部側の蛍光体層103の厚みよりも薄いことが好ましい。この場合、ランプの長手方向における輝度むらを抑制することができる。
【0031】
電極102は、例えば有底筒状であって、内径が2.3[mm]、外径が2.7[mm]、底部の肉厚が0.2[mm]、全長が10[mm]であって、ニッケル(Ni)製である。電極の材料は、ニッケル、ニオビウム(Nb)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)およびタングステン(W)のいずれか1種以上等を用いることができる。
【0032】
電極102は、その外側底面の略中央部においてリード線104の一端面と接続されている。
【0033】
リード線104は、例えば、電極102の外側底面と一端面が接続され、側面の一部においてガラスビード105に封着される内部リード線104aと、内部リード線104aの他端部と一端部とが接続される外部リード線104bとの継線からなる。内部リード線104aと外部リード線104bとの接続部には、接続痕104cが形成されている。
【0034】
内部リード線104aは、線径が0.8[mm]であって、タングステン製である。なお、内部リード線104aは、ガラスバルブ101やガラスビード105の材料として用いるガラスの熱膨張係数に併せた材料を用いることが好ましい。例えば、ガラスバルブ101がコバールガラスの場合、鉄とニッケルとコバルトとの合金(コバール)を用いることが好ましい。また、ガラスバルブ101が鉛フリーガラスの場合、鉄とニッケルとの合金等を用いることが好ましい。
【0035】
外部リード線104bは、線径が0.6[mm]であって、ニッケル製である。なお、外部リード線104bの材料は、ニッケルに限らず、例えばニッケルとマンガンの合金、ジュメット線でもよい。
【0036】
ガラスビード105は、略球形状であって、その略中心軸に沿って内部リード線104aを封着しており、タングステン線封着用のホウ珪酸ガラス製である。なお、ガラスビード105は、封着性の観点から、ガラスバルブ101と同一の材料、またはガラスバルブ101と熱膨張係数が同一または近似する材料からなることが好ましい。なお、図1では、リード線104は、ガラスビード105を介してガラスバルブ101に封着されているが、ピンチシール法等によりガラスバルブ101に直接封着されていてもよい。
【0037】
ランプ100の変形例を図2に示す。ランプ100の変形例(以下、「ランプ107」という)は、接続痕101bが形成されている場所が異なる点を除いてはランプ100と実質的に同じ構成を有する。
【0038】
具体的には、ガラスバルブ101は、その管軸X101が略コの字形状であって、一対の直管部101dと、一対の直管部101dの他端部にそれぞれ接続された屈曲部101aと、各々の屈曲部101aの間に形成された中間部101eとを有し、接続痕101bは、少なくとも一方の直管部101dに形成されている。この場合、ガラスバルブ101の強度を向上させることができる。
【0039】
(実験)
続いて、発明者らは、本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプが、直管形状の低圧放電ランプを屈曲させて作製したものと比べて屈曲部の強度が同等以上であることを確認するために、強度試験による比較実験を行った。
【0040】
実験には、ランプ100と実質的に同じ構成のものを実施例1とし、ランプ107と実質的に同じ構成のものを実施例2とし、屈曲部に接続痕が形成されている点を除いてはランプ100と実質的に同じ構成のものを比較例1とし、ガラスバルブ101に屈曲部が形成されていない点を除いてはランプ100と実質的に同じ構成のものを比較例2として実験試料として用いた。
【0041】
実験方法の概念図を図3に示す。実験は、ガラスバルブの両端からそれぞれ管軸方向中央部側に15[mm]の位置において、チャック等で挟み、それぞれ同時に外側方向(図3の矢印AおよびBの方向)に引っ張り、実験前のリード線(図3中実線で図示)の先端面中央部の間隔L1と、ガラスバルブ101が破損したときのリード線(図3中鎖線で図示)の先端面中央部の間隔L2との変位量ΔL[mm]を比較する方法により行った。
【0042】
実験結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表1に示すように、実施例1および実施例2は、比較例1と同等以上のΔLの値を示し
ている。これは、実施例1および実施例2が比較例1と比べてガラスバルブの強度が同等以上であることを示している。これにより、ガラスバルブの屈曲部を除く部分に接続痕が形成されていることで、直管形状の低圧放電ランプを屈曲させて作製したものと比べてガラスバルブ101の屈曲部101aの強度が同等以上とすることができることがわかった。特に、実施例2については、比較例1を上回る値を示している。これにより、接続痕が直管部に形成されていることでさらにガラスバルブ101の強度を向上させることができることがわかった。
【0045】
一方、比較例2は、比較例1を大きく下回るΔLの値を示している。これは、比較例2
が比較例1と比べてガラスバルブの強度が弱いことを示している。これにより、屈曲部に接続痕が形成されていることで、直管形状の低圧放電ランプを屈曲させて作製したものと比べてガラスバルブ101の屈曲部101aの強度が劣ってしまうことがわかった。
【0046】
すなわち、実験の結果から、ガラスバルブの屈曲部を除く部分に少なくとも1つの接続痕が形成されていることにより、直管形状の低圧放電ランプを屈曲させて作製されたものと比べて同等以上の強度を有することがわかった。
【0047】
上記のとおり、本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプ100の構成によれば、直管形状の低圧放電ランプを屈曲させて作製されたものと比べてガラスバルブ101の屈曲部101aの強度を同等以上に向上させることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法について、以下に説明する。本発明の第2の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法は、屈曲された冷陰極蛍光ランプの製造方法であって、一方の端部の内部に電極が設けられた直管状のガラス部材を少なくとも2本作製する工程(ガラス部材作製工程)と、一方の前記ガラス部材の電極とは反対側の端部を接続用のガラス管の一端部に接続し、他方の前記ガラス部材の電極とは反対側の端部を接続用のガラス管の他端部に接続してガラスバルブを作製する工程(ガラスバルブ作製工程)と、前記ガラス部材と前記接続用のガラス管との接続痕を除いた部分で前記ガラスバルブを屈曲させる工程(屈曲工程)とを有する。以下、各工程について図4〜6を用いて詳細に説明する。
1.ガラス部材作製工程
ガラス部材作製工程は、ガラス管の内面に蛍光体層を形成する蛍光体形成工程と、ガラス管の一端部に電極構造体を封着する電極構造体封着工程とからなる。ガラス部材作製工程は、下記の工程を経ることにより、少なくとも2本のガラス部材を作製する。
1−1.蛍光体層形成工程
まず、図4(a)に示すように、準備した直管状のガラス管200を垂下させてその下端部をタンク201内の蛍光体懸濁液202に浸す。この蛍光体懸濁液202には、例えば青色、赤色、緑色の蛍光体粒子が含まれている。ガラス管200内を負圧にすることで、タンク201内の蛍光体懸濁液202を吸い上げ、ガラス管200内面に蛍光体懸濁液を塗布する。この吸い上げは光学的センサ(図示せず)により液面を検出することで、液面がガラス管200の所定高さになるように設定される。
【0049】
次に、負圧状態から大気に開放し、その後ガラス管200の下端部を蛍光体懸濁液202から引き上げ、ガラス管200内部の余分な蛍光体懸濁液202を外部に排出する。これにより、ガラス管200の内面の所定領域に蛍光体懸濁液が膜状に塗布される。
【0050】
続いて、ガラス管200内に塗布された蛍光体懸濁液202を乾燥させた後に、ガラス管200内面にブラシ等(図示せず)を挿入して、ガラス管200端部の不要な蛍光体部分を除去する。続いて、ガラス管200を不図示の加熱炉内に移送して焼成を行い、蛍光体層103を得る。
1−2.電極構造体封着工程
次に、図4(b)に示すように、ガラス管200の一方の端部の内部に電極構造体203を挿入し、ガラスビート105が位置するガラス管200の外表面をバーナー204で加熱し、ガラス管200の一端部に封着する。電極構造体203は、本発明の第1の実施形態において説明した、電極102、内部リード線104a、外部リード線104bおよびガラスビード105の総称である。
【0051】
以上の工程を経ることによりガラス部材205を2本作製する。
2.ガラスバルブ作製工程
続いて、図5(a)に示すように、ガラス部材作製工程により作製した2本のガラス部材205と、ガラス部材205と内径および外径が近似している接続用のガラス管206とを接続する。なお、接続用のガラス管206には、細管207が設けられていることが好ましい。この場合、後述するガラスバルブ(図示せず)内の排気および希ガス等の封入を行いやすくすることができる。
【0052】
具体的には、一方の前記ガラス部材205の電極とは反対側の端部を接続用のガラス管206の一端部に接続し、他方のガラス部材205の電極102とは反対側の端部を接続用のガラス管206の他端部に接続する。具体的には、例えば、一方のガラス部材205の電極102とは反対側の端面と接続用のガラス管206の一端面とをそれぞれガスバーナー等であぶって表面を溶かした後に、つき合わせて接合し、さらにその接合部分を外部からガスバーナーであぶることで接合部分をなめらかにする。この際、各接合部分には、接続痕101bが形成される。そして、同様の工程を他方のガラス部材205の電極102とは反対側の端面と接続用のガラス管206の他端面についても行う。これにより、ガラスバルブ101が作製される。
3.屈曲工程
続いて、図5(b)に示すように、ガラス部材205と接続用のガラス管206との接続痕101bを除いた部分でガラスバルブ101を屈曲させる。具体的には、ガラスバルブ101の屈曲予定部分をバーナー等(図示せず)で局部的に加熱した後に、屈曲させる。なお、図5(b)の場合においては、ガラスバルブ101の接続痕101bよりも端部側において、それぞれ屈曲させることで、ガラスバルブ101の屈曲部101aが形成される。
4.屈曲工程以降の工程
ガラスバルブ屈曲工程以降の工程は、細管の開口部へ水銀放出体を投入する工程(水銀放出体投入工程)と、ガラスバルブの内部空間を排気し、希ガス等を封入する工程(排気・封入工程)と、水銀放出体から水銀を放出させる工程(水銀放出工程)と、排気管を封止する(封止工程)とからなる。以下、順に説明する。
4−1.水銀放出体投入工程
続いて、図6(a)に示すように、細管207の開口部へ水銀放出体208を投入し、細管207のくびれ部207aに水銀放出体208を引っかけておく。なお、図6(a)、(b)においては、あらかじめ細管207にくびれ部207aが設けられた接続用のガラス管206を用いたが、これに限らず、水銀放出体208を投入する直前に、バーナー等によりくびれ部207aを形成してもよい。
4−2.排気・封入工程
続いて、図6(b)に示すように、ガラスバルブ101内の排気とガラスバルブ101内への封入ガスの充填を順次行う。具体的には、給排気装置(図示せず)のヘッド209をガラスバルブ101の細管207の開口部に装着し、先ず、ガラスバルブ101内を排気して真空にすると共に、加熱装置(図示せず)によってガラスバルブ101全体を外周から加熱する。これによって、蛍光体層103に潜入している不純ガスを含めガラスバルブ101内の不純ガスが排出される。加熱を止めた後、所定量の封入ガス(例えばネオン:95[mol%]、アルゴン:5[mol%]の比率の混合ガスのような混合希ガス等)が充填される。そして、封入ガスが充填されると、細管207の水銀放出体208側端部をバーナー等(図示せず)で加熱して封止する。
4−3.水銀放出工程
次に、図7(a)に示すように、水銀放出体208を細管207の周囲に配された高周波発振コイル210によって誘導加熱して水銀放出体208から水銀を放出させる。なお、水銀放出体208の加熱方法は、例えばバーナーでの加熱、光加熱または赤外線加熱のような種々の公知の方法を用いることができる。その後、細管207を加熱炉内で加熱して、放出させた水銀をガラスバルブ101の方へ移動させる。
4−4.封止工程
次に、図7(b)に示すように、細管のガラスバルブ101側の根元をバーナー等で加熱して、ガラスバルブ101を封着して気密封止する。そして、細管207の不要な部分切り離す。これにより封止痕101cが形成される。
【0053】
以上の工程により、低圧放電ランプ100が完成される。
5.その他の方法
なお、ガラスバルブ作製工程の前に屈曲工程を設けてもよい。この場合、図8(a)に示すように、ガラス部材205を作製した後に、ガラス部材205の一部を屈曲させる。そして、図8(b)に示すように、屈曲された一対のガラス部材205の電極102とは反対側の端部を接続用のガラス管206の一端部に接続し、他方のガラス部材205の電極102とは反対側の端部を接続用のガラス管206の他端部に接続する。これらの工程により屈曲されたガラスバルブを作製することもできる。この場合、ガラス部材205を接続させてから屈曲させるよりも省スペースで屈曲工程を行うことができる。
【0054】
上記のとおり、本発明の第2の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法の構成によれば、直管形状の低圧放電ランプを屈曲させて作製されたものと比べて屈曲部101aの強度が同等以上の屈曲された低圧放電ランプを提供することができる。
【0055】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る低圧放電ランプの管軸X300を含む断面図を図9に示す。本発明の第3の実施形態に係る低圧放電ランプ(以下、「ランプ300」という)は、内部外部電極蛍光ランプである。
【0056】
ランプ300は、その一端部の外表面に外部電極301を有し、それに伴う構成を除いては本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプ100と実質的に同じ構成を有する。よって、外部電極301とそれに伴う構成については詳細に説明し、それ以外の点については説明を省略する。
【0057】
外部電極301は、例えば、半田からなり、ガラスバルブ101の一端部の外表面を覆うように形成されている。
【0058】
また、外部電極301は、銀ペーストをガラスバルブ101の電極形成部分の全周に塗布することによって形成してもよいし、金属製のキャップをガラスバルブ101の一端部に被せてもよい。さらに、アルミニウムの金属箔を、シリコーン樹脂に金属粉体を混合した導電性粘着剤(図示せず)によってガラスバルブ101の一端部全体の外周面を覆うように貼着したものであってもよい。なお、導電性粘着剤において、シリコーン樹脂の代わりにフッ素樹脂、ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂等を用いてもよい。
【0059】
また、ガラスバルブ101の内面であって、外部電極301が形成された領域に例えば酸化イットリウム(Y23)の保護膜を設けてもよい。保護膜(図示せず)を設けることにより、ガラスバルブ101のその部分に水銀イオンが衝撃することによって起こるガラス削れやピンホールを防止することができる。
【0060】
なお、保護膜は、酸化イットリウムに代えて、例えばシリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、酸化亜鉛(ZnO)、チタニア(TiO2)等の金属酸化物を用いてもよい。特に、保護膜が酸化イットリウムやシリカで形成されている場合には、保護膜に水銀が付着し難く、水銀消費が少ない。
【0061】
もっとも、保護膜は、本発明において必須の構成要素ではなく、全く形成されていなくてもよいし、その一方で、ガラスバルブ101の内面の全体に亘って形成されていてもよい。
【0062】
上記のとおり、本発明の第3の実施形態に係る低圧放電ランプ300の構成によれば、直管形状の低圧放電ランプを屈曲させて作製されたものと比べてガラスバルブ101の屈曲部101aの強度を同等以上に向上させることができる。
【0063】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの管軸X400を含む断面図を図10に示す。本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプ400(以下、「ランプ400」という)は、外部電極蛍光ランプである。
【0064】
ランプ400は、その両端部の外表面に外部電極301を有し、それに伴う構成を除いては本発明の第3の実施形態に係る低圧放電ランプ300と実質的に同じ構成を有している。よって、外部電極301とそれに伴う構成については詳細に説明し、それ以外の点については省略する。
【0065】
ランプ400は、ガラスバルブ101の一端部が多層のガラスビード105で封着されており、他端部がガラスビードを用いずに封着されている。多層のガラスビード105は、本発明の第1の実施形態に係るガラスビード105と実質的に同一のものである。なお、ガラスバルブ101の両端部が多層のガラスビード105により封着されていてもよい。
【0066】
上記のとおり、本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプ400の構成によれば、直管形状の低圧放電ランプを屈曲させて作製されたものと比べてガラスバルブ101の屈曲部101aの強度を同等以上に向上させることができる。
【0067】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る低圧放電ランプの長手方向の中心軸を含む断面図を図11に示す。本発明の第5の実施形態に係る低圧放電ランプ(以下、「低圧放電ランプ500」という)は、熱陰極蛍光ランプであって、電極とそれに伴う構成を除いて本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプ100と実質的に同じ構成を有する。よって、電極とそれに伴う構成について詳細に説明し、その他の点については説明を省略する。
【0068】
電極501は、例えばタングステン製のフィラメントコイルである。電極501には、その巻線部にエミッタ(図示せず)が付着している。エミッタには、例えば(Ba,Sr,Ca)O等を用いることができる。
【0069】
電極501は、その両端部を一対のリード線502に担持されている。リード線502は、例えば、鉄(Fe)とニッケル(Ni)との合金製である。具体的には、50[wt%]以上52[wt%]以下の範囲内のニッケルと、残部の鉄との合金製であることが好ましい。
【0070】
一対のリード線502は、ガラスビード503により固定されている。ガラスビード503は、略玉子形状であって、リード線502の線軸に対して垂直に切った断面が略楕円形状となり、一対のリード線502の中点がガラスビード503の中点を通るようにリード線502を封着している。なお、ガラスビード503は、封着性の観点から、ガラスバルブ101と同一の材料、またはガラスバルブ101と熱膨張係数が同一または近似する材料からなることが好ましい。
【0071】
なお、図12に示すような熱陰極蛍光ランプ(以下、「ランプ505」という)であってもよい。ランプ505は、電極506がガラスバルブ101の管軸X101を旋回軸とした二重螺旋構造をしている。この場合、ランプ500に比べてガラスバルブ101を細径化しやすくすることができる。リード線507は、直線形状であって、形状を除いてはリード線502と実質的に同じ構成を有する。
【0072】
なお、図12に示すように、電極506とリード線507とは、接続部材508を介して接続されていることが好ましい。この場合、電極506とリード線507との接続をより確実に行うことができる。接続部材508は、例えばニッケル製である。
【0073】
さらに、電極506の周囲をスリーブ509で覆うことが好ましい。この場合、電極506からエミッタが飛散するのを抑制することができる。スリーブ509は、例えばニッケルまたは鉄にニッケルメッキを施したものであって、接続部材508に接続されている。
【0074】
上記のとおり、本発明の第5の実施形態に係る低圧放電ランプ500、505の構成によれば、直管形状の低圧放電ランプを屈曲させて作製されたものと比べてガラスバルブ101の屈曲部101eの強度が同等以上に向上させることができる。
【0075】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態に係る照明装置の分解斜視図を図13に示す。本発明の第6の実施形態に係る照明装置(以下、「照明装置600」という)は直下方式のバックライトユニットであり、一つの面が開口した直方体状の筐体601と、この筐体601の内部に収納された複数のランプ100と、ランプ100を点灯回路(図示せず)に電気的に接続するための一対のソケット602と、筐体601の開口部を覆う光学シート類603とを備えている。なお、ランプ100は、本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプ100である。
【0076】
筐体601は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製であって、その内面に銀などの金属が蒸着されて反射面604が形成されている。なお、筐体601の材料としては、樹脂以外の材料、例えば、アルミニウムや冷間圧延材(例えばSPCC)等の金属材料により構成してもよい。また、内面の反射面604として金属蒸着膜以外、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂に炭酸カルシウム、二酸化チタン等を添加することにより反射率を高めた反射シートを筐体601に貼付したものを用いてもよい。
【0077】
筐体601の内部には、ソケット602、絶縁体605およびカバー606が配置されている。具体的に、ソケット602は、ランプ100の配置に対応して筐体601の短手方向(縦方向)に各々所定間隔を空けて設けられている。ソケット602は、例えばステンレスやりん青銅からなる板材を加工したものであって、リード線104が嵌め込まれる嵌込部602aを有している。そして、リード線104を嵌込部602aを押し拡げるように弾性変形させて嵌め込む。その結果、嵌込部602aに嵌め込まれたリード線104は、嵌込部602aの復元力によって押圧され、外れにくくなる。これにより、リード線104を嵌込部602aへ容易に嵌め込むことができつつ、外れにくくすることができる。
【0078】
ソケット602は、互いに隣り合うソケット602同士で短絡しないように絶縁体605で覆われている。絶縁体605は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂で構成されている。なお、絶縁体605は、上記の構成に限定されない。ソケット602はランプ100の動作中に比較的高温となる電極102の近傍にあることから絶縁体605は耐熱性のある材料で構成することが好ましい。耐熱性のある絶縁体605の材料としては、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂やシリコンゴム等を適用することができる。
【0079】
筐体601の内部には、必要に応じた場所にランプホルダ607を設けてもよい。筐体601内側でのランプ100の位置を固定するランプホルダ607は、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂であり、ランプ100の外面形状に沿うような形状を有している。「必要に応じた場所」とは、ランプ100の長手方向の中央部付近のように、ランプ100が例えば全長600[mm]を越えるような長尺のものである場合に、ランプ100のたわみを解消するために必要な場所である。
【0080】
カバー606は、ソケット602と筐体601の内側の空間とを仕切るものであり、例えばポリカーボネート(PC)樹脂で構成し、ソケット602の周辺を保温するとともに、少なくとも筐体601側の表面を高反射性とすることにより、ランプ100の端部の輝度低下を軽減することができる。
【0081】
筐体601の開口部は、透光性の光学シート類603で覆われており、内部にちりや埃などの異物が入り込まないように密閉されている。光学シート類603は、拡散板608、拡散シート609およびレンズシート610を積層してなる。
【0082】
拡散板608は、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂製の板状体であって、筐体601の開口部を塞ぐように配置されている。拡散シート609は、例えばポリエステル樹脂製である。レンズシート610は、例えばアクリル系樹脂とポリエステル樹脂の貼り合せである。これらの光学シート類603は、それぞれ拡散板608に順次重ね合わせるようにして配置されている。
【0083】
上記のとおり、本発明の第6の実施形態に係る照明装置600の構成によれば、移動等の際、内部に備える低圧放電ランプ100のガラスバルブ101の屈曲部101aが破損するのを防止することができる。
【0084】
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態に係る照明装置の一部切欠斜視図を図14に示す。本発明の第7の実施形態に係る照明装置(以下、「照明装置700」という)は、エッジライト方式のバックライトユニットで、反射板701、ランプ100、ソケット(図示せず)、導光板702、拡散シート703およびプリズムシート704から構成されている。
【0085】
反射板701は、液晶パネル側(矢印Q)を除く導光板702の周囲を囲むように配置されており、底面を覆う底面部701bと、ランプ100の配置されている側を除く側面を覆う側面部701aと、ランプ100の周囲を覆う曲面状のランプ側面部701cとで構成されており、ランプ100から照射される光を導光板702から液晶パネル(図示せず)側(矢印Q)に反射させる。また、反射板701は、例えばフィルム状のPETに銀を蒸着したものやアルミ等の金属箔と積層したもの等からなる。
【0086】
ソケットは、本発明の第6の実施形態に係る照明装置600に用いられる接続端子602と実質的に同じ構成を有している。なお、図14において、図示の便宜上により、ランプ100の端部については省略している。
【0087】
導光板702は、反射板701により反射された光を液晶パネル側に導くためのものであって、例えば透光性プラスチックからなり、照明装置700の底面に設けられた反射板701の上に積重されている。なお、導光板702の材料としては、ポリカーボネート(PC)樹脂やシクロオレフィン系樹脂(COP)を適用することができる。
【0088】
拡散シート703は、視野拡大のためのものであって、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエステル樹脂製の拡散透過機能を有するフィルムからなり、導光板702の上に積重されている。
【0089】
プリズムシート704は、輝度を向上させるためのものであって、例えばアクリル系樹脂とポリエステル樹脂とを貼り合せたシートからなり、拡散シート703の上に積層されている。なお、プリズムシート704の上にさらに拡散板(図示せず)が積層されていてもよい。
【0090】
なお、本実施形態の場合には、ランプ100の周方向における一部分(照明装置700に挿入した場合における導光板702側)を除き、ガラスバルブ101の外面に反射シート(図示せず)を設けたアパーチャ型のランプであってもよい。また、ランプ100の形状は、コの字形状に限られず、L字形状であってもよい。
【0091】
上記のとおり、本発明の第7の実施形態に係る照明装置700の構成によれば、移動等の際、内部に備える低圧放電ランプ100のガラスバルブ101の屈曲部101aが破損するのを防止することができる。
【0092】
(第8の実施形態)
本発明の第8の実施形態に係る画像表示装置の概要を図15に示す。図15に示すように画像表示装置800は、例えば32[inch]液晶テレビ(液晶表示装置)であり、液晶パネル等を含む液晶画面ユニット801と本発明の第6の実施形態に係る照明装置600と点灯回路802とを備える。
【0093】
液晶画面ユニット801は、公知のものであって、液晶パネル(カラーフィルター基板、液晶、TFT基板等)(図示せず)、駆動モジュール等(図示せず)を備え、外部からの画像信号に基づいてカラー画像を形成する。
【0094】
点灯回路802は、照明装置600内部のランプ100を点灯させる。そして、ランプ100は、点灯周波数40[kHz]〜100[kHz]、ランプ電流3.0[mA]〜25[mA]で動作される。
【0095】
なお、図15では、画像表示装置800の照明装置として本発明の第6の実施形態に係る照明装置600に第1の実施形態に係る低圧放電ランプ100を挿入した場合について説明したが、これに限らず、本発明の第3の実施形態に係る低圧放電ランプ300や本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプ400や本発明の第5の実施形態に係る低圧放電ランプ500も適用することもできる。また、照明装置についても、本発明の第7の実施形態に係る照明装置700も用いることができる。
【0096】
上記のとおり、本発明の第8の実施形態に係る画像表示装置800の構成によれば、移動等の際、内部に備える低圧放電ランプ100のガラスバルブ101の屈曲部101aが破損するのを防止することができる。
【0097】
(変形例)
以上、本発明を上記した各実施形態に示した具体例に基づいて説明したが、本発明の内容が各実施形態に示した具体例に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例を用いることができる。
1.低圧放電ランプについて
(1)低圧放電ランプの変形例1
本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプの変形例2の管軸を含む断面図を図16に示す。図16に示すように、本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプの変形例2(以下、「ランプ108」という)は、ガラスバルブ101の形状を除いては、本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプ100と実質的に同じ構成を有する。よって、ガラスバルブ100の形状について詳細に説明し、その他の点については説明を省略する。
【0098】
ガラスバルブ101には、屈曲部101aの間に1つの接続痕101bが形成されている。そして、接続痕101bとは異なる位置に封止痕101cが形成されている。
【0099】
この場合、ランプ108を製造する際、接続用ガラス管(図示せず)を用いずに、L字状に屈曲されたガラス部材の開口部同士を接続させることで、接続箇所を減らして容易にガラスバルブ101を作製することができる。
(2)低圧放電ランプの変形例2
本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプの変形例2の管軸を含む断面図を図17に示す。図17に示すように、本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプの変形例2(以下、「ランプ109」という)は、ガラスバルブ101の形状を除いては、本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプ100と実質的に同じ構成を有する。よって、ガラスバルブ101の形状について詳細に説明し、その他の点については説明を省略する。
【0100】
ガラスバルブ101には、屈曲部101aの間に1つの接続痕101bが形成されており、接続痕101bが形成されている位置と重なる位置に封止痕101cが形成されている。
【0101】
この場合、ランプ100を製造する際、L字状に屈曲されたガラス部材の開口部同士を接続させるとの同時に排気および封入用の細管(図示せず)をその接続部に接続させることができるため、ガラス部材の接続工程とは別に細管の接続工程を設ける必要がなく、ガラスバルブ101を容易に作製することができる。
2.電子放射性物質について
電極102の表面には、電子放射性物質層(図示せず)が形成されていてもよい。この場合、電子放射性物質層が設けられていないランプに比べてランプ電圧を下げることができる。具体的には、電子放射性物質層は、例えば電極102の内面に形成されている。電子放射性物質層は、例えば希土類元素を含む。冷陰極蛍光ランプにおいて、ランプ電圧を下げるのに効果的なためである。さらに、希土類元素は、ランタン(La)およびイットリウム(Y)のうちいずれか1種以上であることがより好ましい。
【0102】
電子放射性物質層は、さらに珪素(Si)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、硼素(B)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)、リン(P)および錫(Sn)のうちいずれか1種以上を含むことが好ましい。この場合、ランプ電圧の低減効果をより持続させることができる。
【0103】
さらに、電子放射性物質層に、セシウム(Cs)化合物が含まれていてもよい。この場合、ランプの暗黒始動特性をさらに向上させることができる。また、電子放射性物質層とは別に、電極102の内面や外面にセシウム化合物を付着させてもよい。なお、セシウム化合物は、例えば、硫酸セシウム、アルミン酸セシウム、ニオブ酸セシウム、タングステン酸セシウム、モリブデン酸セシウムおよび塩化セシウムのうちいずれか1種以上を用いることが好ましい。また、セシウム化合物は、電極102の外側側面に付着されていることがより好ましい。この場合、冷陰極蛍光ランプの製造工程において、セシウム化合物を適度に活性化させやすくすることができる。さらには、電極102の外側側面におけるランプ中央部側の先端部に付着されていることがさらにより好ましい。
3.ガラスバルブについて
(1)ガラスバルブ101の熱膨張係数は、3.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下の範囲内のものを用いることができる。特に、ガラスバルブ101の熱膨張係数は、8.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下の範囲内であることが好ましい。この場合、ガラスの強度が弱くなるため、本発明の作用効果を特に発揮できる。
(2)紫外線吸収について
ガラスバルブ101の材料であるガラスに遷移金属の酸化物をその種類によって所定量をドープすることにより254[nm]や313[nm]の紫外線を吸収することができる。具体的には、例えば酸化チタン(TiO2)の場合は、組成比率0.05[mol%]以上ドープすることにより254[nm]の紫外線を吸収し、組成比率2[mol%]以上ドープすることにより313[nm]の紫外線を吸収することができる。ただし、酸化チタンを組成比率5.0[mol%]より多くドープした場合には、ガラスが失透してしまうため、組成比率0.05[mol%]以上5.0[mol%]以下の範囲でドープすることが好ましい。
【0104】
また、酸化セリウム(CeO2)の場合は、組成比率0.05[mol%]以上ドープすることにより254[nm]の紫外線を吸収することができる。ただし、酸化セリウムを組成比率0.5[mol%]より多くドープした場合には、ガラスが着色してしまうため、酸化セリウムを組成比率0.05[mol%]以上0.5[mol%]以下の範囲でドープすることが好ましい。なお、酸化セリウムに加えて酸化スズ(SnO)をドープすることにより、酸化セリウムによるガラスの着色を抑えることができるため、酸化セリウムを組成比率5.0[mol%]以下までドープすることができる。この場合、酸化セリウムを組成比率0.5[mol%]以上ドープすれば313[nm]の紫外線を吸収することができる。ただし、この場合においても酸化セリウムを組成比率が5.0[mol%]より多くドープした場合には、ガラスが失透してしまう。
【0105】
また、酸化亜鉛(ZnO)の場合は、組成比率2.0[mol%]以上ドープすることにより254[nm]の紫外線を吸収することができる。ただし、酸化亜鉛を組成比率20[mol%]より多くドープした場合、ガラスが失透してしまうおそれがあるため、酸化亜鉛を2.0[mol%]以上20[mol%]以下の範囲でドープすることが好ましい。
【0106】
また、酸化鉄(Fe23)の場合は、組成比率0.01[mol%]以上ドープすることにより254[nm]の紫外線を吸収することができる。ただし、酸化鉄を組成比率2.0[mol%]より多くドープした場合には、ガラスが着色してしまうため、酸化鉄を組成比率0.01[mol%]以上2.0[mol%]以下の範囲でドープすることが好ましい。
(3)赤外線透過係数について
ガラスバルブ101の材料であるガラス中の水分含有量を示す赤外線透過率係数は、0.3以上1.2以下の範囲、特に0.4以上0.8以下の範囲となるように調整することが好ましい。赤外線透過率係数が1.2以下であれば、長尺の冷陰極放電ランプ等の高電圧印加ランプに適用可能な低い誘電正接を得やすくなり、0.8以下であれば誘電正接が十分に小さくなって、さらに高電圧印加ランプに適用可能となる。
【0107】
なお、赤外線透過率係数(X)は下式で表すことができる。
【0108】
[数1]X=(log(a/b))/t
a:3840[cm-1]付近の極小点の透過率[%]
b:3560[cm-1]付近の極小点の透過率[%]
t:ガラスの厚み
(4)鉛フリーガラスについて
ガラスバルブ101に用いるガラスは、酸化物換算で、SiO2が60[wt%]〜75[wt]%、Al23が1[wt%]〜5[wt%]、Li2Oが0[wt%]〜5[wt%]、K2Oが3[wt%]〜11[wt%]、Na2Oが3[wt%]〜12[wt%]、CaOが0[wt%]〜9[wt%]、MgOが0[wt%]〜9[wt%]、SrOが0[wt%]〜12[wt%]、BaOが0[wt%]〜12[wt%]の組成を有していてもよい。この場合、鉛成分を含有せず、環境に優しい冷陰極放電ランプを提供することができる。さらには、ガラスバルブ101に用いるガラスは、酸化物換算で、SiO2が60[wt%]〜75[wt]%、Al23が1[wt%]〜5[wt%]、B23が0[wt%]〜3[wt%]、Li2Oが0[wt%]〜5[wt%]、K2Oが3[wt%]〜11[wt%]、Na2Oが3[wt%]〜12[wt%]、CaOが0[wt%]〜9[wt%]、MgOが0[wt%]〜9[wt%]、SrOが0[wt%]〜12[wt%]、BaOが0[wt%]〜12[wt%]の組成を有していることがより好ましい。
【0109】
また、ガラスバルブ101に用いるガラスは、酸化物換算で、SiO2が60[wt%]〜75[wt]%、Al23が1[wt%]〜5[wt%]、Li2Oが0.5[wt%]〜5[wt%]、K2Oが3[wt%]〜7[wt%]、Na2Oが5[wt%]〜12[wt%]、CaOが1[wt%]〜7[wt%]、MgOが1[wt%]〜7[wt%]、SrOが0[wt%]〜5[wt%]、BaOが7[wt%]〜12[wt%]の組成を有していてもよい。この場合、ランプへの加工を行いやすく、かつ鉛成分を含有せず、環境に優しい冷陰極蛍光ランプを提供することができる。
【0110】
さらに、ガラスバルブ101に用いるガラスは、酸化物換算で、SiO2が65[wt%]〜75[wt]%、Al23が1[wt%]〜5[wt%]、B23が0[wt%]〜3[wt%]、Li2Oが0.5[wt%]〜5[wt%]、 K2Oが3[wt%]〜7[wt%]、Na2Oが5[wt%]〜12[wt%]、 CaOが2[wt%]〜7[wt%]、MgOが2.1[wt%]〜7[wt%]、SrOが0[wt%]〜0.9[wt%]、BaOが7.1[wt%]〜12[wt%]の組成を有していてもよい。この場合、鉛成分を含有せず、照明用途に適した電気絶縁性を有し、かつ、失透を起こりにくくすることができる。さらには、ガラスバルブ101に用いるガラスは、酸化物換算で、SiO2が65[wt%]〜75[wt]%、Al23が1[wt%]〜3[wt%]、B23が0[wt%]〜3[wt%]、Li2Oが1[wt%]〜3[wt%]、 K2Oが3[wt%]〜6[wt%]、Na2Oが7[wt%]〜10[wt%]、 CaOが3[wt%]〜6[wt%]、MgOが3[wt%]〜6[wt%]、SrOが0[wt%]〜0.9[wt%]、BaOが7.1〜10[wt%]の組成を有していることがより好ましい。
(5)ガラスバルブ101の形状について
ガラスバルブ101の形状は、直管形状のものに限られず、例えばL字形状、U字形状、コの字形状、渦巻き形状等であってもよい。また、その管軸に対して略垂直に切った断面は、略円形状のものに限られず、例えばトラック形状や角丸形状のような扁平形状や楕円形状等であってもよい。
4.蛍光体層の蛍光体について
(1)紫外線吸収について
例えば、近年、液晶カラーテレビの大型化に伴って、バックライトユニットの開口を塞ぐ拡散板に寸法安定性の良いポリカーボネートが使用されるようになっている。このポリカーボネートは、水銀が発する313[nm]の波長の紫外線により劣化しやすい。このような場合には、波長313[nm]の紫外線を吸収する蛍光体を利用すると良い。なお、313[nm]の紫外線を吸収する蛍光体としては、以下のものがある。
【0111】
(a)青色
ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム[Ba1-x-ySrxEuyMg1-zMnzAl1017]又は[Ba1-x-ySrxEuyMg2-zMnzAl1627
ここで、x,y,zはそれぞれ0≦x≦0.4、 0.07≦y≦0.25、 0≦z<0.1なる条件を満たす数であるであることが好ましい。
【0112】
このような蛍光体としては、例えば、ユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム[BaMg2Al1627:Eu2+]、[BaMgAl1017:Eu2+] (略号:BAM−B)や、ユーロピウム付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム[(Ba,Sr)Mg2Al1627:Eu2+]、[(Ba,Sr)MgAl1017:Eu2+](略号:SBAM−B)等がある。
【0113】
(b)緑色
・マンガン不活マグネシウムガレート[MgGa24:Mn2+](略号:MGM)
・マンガン付活アルミン酸セリウム・マグネシウム・亜鉛[Ce(Mg,Zn)Al1119:Mn2+](略号:CMZ)
・テルビウム付活アルミン酸セリウム・マグネシウム[CeMgAl1119:Tb3+](略号:CAT)
・ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム[Ba1-x-ySrxEuyMg1-zMnzAl1017]又は[Ba1-x-ySrxEuyMg2-zMnzAl1627
ここで、x,y,zはそれぞれ0≦x≦0.4、 0.07≦y≦0.25、 0.1≦z≦0.6なる条件を満たす数であり、zは0.4≦x≦0.5であることが好ましい。
【0114】
このような蛍光体としては、例えば、ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・マグネシウム[BaMg2Al1627:Eu2+,Mn2+]、[BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+](略号:BAM−G)や、ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・ストロンチウム・マグネシウム[(Ba,Sr)Mg2Al1627:Eu2+,Mn2+]、[(Ba,Sr)MgAl1017:Eu2+,Mn2+](略号:SBAM−G)等がある。
【0115】
(c)赤色
・ユーロピウム付活リン・バナジン酸イットリウム[Y(P,V)O4:Eu3+](略号:YPV)
・ユーロピウム付活バナジン酸イットリウム[YVO4:Eu3+](略号:YVO)
・ユーロピウム付活イットリウムオキシサルファイド[Y22S:Eu3+](略号:YOS)
・マンガン付活フッ化ゲルマン酸マグネシウム[3.5MgO・0.5MgF2・ GeO2:Mn4+](略号:MFG)
・ジスプロシウム付活バナジン酸イットリウム[YVO4:Dy3+](赤と緑の2成分発光蛍光体であり、略号:YDS)
なお、一種類の発光色に対して、異なる化合物の蛍光体を混合して用いても良い。例えば、青色にBAM−B(313[nm]を吸収する。)のみ、緑色にLAP(313[nm]を吸収しない。)とBAM−G(313[nm]を吸収する。)、赤色にYOX(313nmを吸収しない。)とYVO(313[nm]を吸収する。)の蛍光体を用いても良い。このような場合は、前述のように波長313[nm]を吸収する蛍光体が、総重量組成比率で50%より大きくなるように調整することで、紫外線がガラスバルブ外に漏れ出ることをほとんど防止できる。したがって、313[nm]の紫外線を吸収する蛍光体を蛍光体層202に含む場合には、上記のバックライトユニットの開口を塞ぐポリカーボネート(PC)からなる拡散板等の紫外線による劣化が抑制され、バックライトユニットとしての特性を長時間維持することができる。
【0116】
ここで、「313[nm]の紫外線を吸収する」とは、254[nm]付近の励起波長スペクトル(励起波長スペクトルとは、蛍光体を波長変化させながら励起発光させ、励起波長と発光強度をプロットしたものである。)の強度を100[%]としたときに、313[nm]の励起波長スペクトルの強度が80[%]以上のものと定義する。すなわち、313[nm]の紫外線を吸収する蛍光体とは、313[nm]の紫外線を吸収して可視光に変換できる蛍光体である。
【0117】
(2)高色再現について
液晶カラーテレビで代表される液晶表示装置では、近年における高画質化の一環としてなされる高色再現化に伴い、当該液晶表示装置のバックライトユニットの光源として用いられる冷陰極放電ランプや外部電極放電ランプにおいて、再現可能な色度範囲の拡大化の要請がある。
【0118】
このような要請に対して、例えば、以下の蛍光体を用いることで、実施の形態での蛍光体を用いる場合よりも、色度範囲の拡大を図ることができる。具体的には、CIE1931色度図において、高色再現用の当該蛍光体の色度座標値が、実施の形態で使用した3つの蛍光体の色度座標値を結んでできる三角形を含んで色再現範囲を広げる座標に位置する。
【0119】
(a)青色
・ユーロピウム付活ストロンチウム・クロロアパタイト[Sr10(PO46Cl2:Eu2+](略号:SCA)、色度座標:x=0.151、y=0.065
上記以外に、ユーロピウム付活ストロンチウム・カルシウム・バリウム・クロロアパタイト[(Sr,Ca,Ba)10(PO46Cl2:Eu2+](略号:SBCA)も使用でき、上記波長313(nm)の紫外線も吸収できるSBAM−Bも高色再現用に使用できる。
【0120】
(b)緑色
・BAM−G、色度座標:x=0.139、y=0.574
・CMZ、色度座標:x=0.164、y=0.722
・CAT、色度座標:x=0.267、y=0.663
なお、これらは上述したように、波長313[nm]の紫外線も吸収でき、また、ここで説明した3つの蛍光体粒子以外にも、MGMも高色再現用に使用することもできる。
【0121】
(c)赤色
・YOS、色度座標:x=0.651、y=0.344
・YPV、色度座標:x=0.658、y=0.333
・MFG、色度座標:x=0.711、y=0.287
なお、これらは上述したように、波長313[nm]の紫外線も吸収でき、また、ここで説明した3つの蛍光体粒子以外にも、YVO、YDSも高色再現用に使用することもできる。
【0122】
また、上記で示した色度座標値は各々の蛍光体の粉体のみで測定した代表値であり、測定方法(測定原理)等に起因して、各蛍光体の粉体が示す色度座標値は、上掲した値と若干異なる場合があり得る。参考として上記実施の形態1の各蛍光体の粉体の色度座標値は、YOX(x=0.644、y=0.353)、LAP(x=0.351、y=0.585)、BAM−B(x=0.148、y=0,056)で構成されている。
【0123】
さらに、赤、緑、青の各色を発光させるために用いる蛍光体は各波長につき1種類に限らず、複数種類を組み合わせて用いることとしても良い。
【0124】
ここで、上記の高色再現用の蛍光体粒子を用いて蛍光体層202を形成した場合について説明する。ここでの評価は、CIE1931色度図内においてNTSC規格の3原色の色度座標値を結ぶNTSC三角形(NTSCtriangle)の面積を基準とした、高色再現用の蛍光体を用いた場合の3つの色度座標値を結んできる三角形の面積の比(以下、NTSC比という。)で行なう。
【0125】
例えば、青色としてBAM−B、緑色としてBAM−G、赤色としてYVOを用いると(例1)NTSC比が92[%]となり、また、青色としてSCA、緑色としてBAM−G、赤色としてYVOを用いると(例2)NTSC比が100[%]となり、また、青色としてSCA、緑色としてBAM−G、赤色としてYOXを用いると(例3)、NTSC比が95[%]となり、例1及び2に比べて輝度を10[%]向上させることができる。
【0126】
なお、ここでの評価に用いた色度座標値は、ランプ等が組み込まれた液晶表示装置とした状態で測定したものである為、カラーフィルターとの組み合わせにより色再現範囲が上記値より前後する可能性がある。
5.封入ガスについて
希ガスにクリプトンが含まれていてもよい。この場合、低圧放電ランプが冷陰極蛍光ランプである場合に赤外線放射を抑制することができる。さらには、希ガスにクリプトンが0.5[mol%]以上5[mol%]以下の範囲内で含まれていることが好ましい。この場合、ランプ電圧を大きく変化させることなく、冷陰極蛍光ランプの赤外線放射を抑制することができる。例えば、例えばアルゴンが0[mol%]以上9.5[mol%]以下の範囲内、ネオンが90[mol%]以上95.5[mol%]以下の範囲内、クリプトンが0.5[mol%]以上5[mol%]以下の範囲内である。さらには、希ガスにクリプトンが0.5[mol%]以上3[mol%]以下の範囲内で含まれていることがより好ましい。さらには、希ガスにクリプトンが1[mol%]以上3[mol%]以下の範囲内で含まれていることがさらにより好ましい。
6.ランプの種類について
上記の各実施形態においては、低圧放電ランプとして、冷陰極蛍光ランプ、内部外部電極蛍光ランプ、外部電極蛍光ランプおよび熱陰極蛍光ランプを中心に説明したが、ガラスバルブの内面に蛍光体層の形成されていない紫外線ランプであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、低圧放電ランプ、低圧放電ランプの製造方法、照明装置および液晶表示装置に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプの管軸を含む断面図
【図2】同じく低圧放電ランプの変形例の管軸を含む断面図
【図3】実験方法の概念図
【図4】(a)本発明の第2の実施形態に係る低圧放電ランプの製造方法の蛍光体層形成工程の概念図、(b)同じく電極部材封着工程の概念図
【図5】(a)同じくガラスバルブ作製工程の概念図、(b)同じく屈曲工程の概念図
【図6】(a)同じく水銀放出体投入工程の概念図、(b)同じく封止・排気工程の概念図
【図7】(a)同じく水銀放出工程の概念図、(b)同じく封止工程の概念図
【図8】(a)同じく屈曲工程の変形例の概念図、(b)同じくガラスバルブ作製工程の概念図
【図9】本発明の第3の実施形態に係る低圧放電ランプの管軸を含む断面図
【図10】本発明の第4の実施形態に係る低圧放電ランプの管軸を含む断面図
【図11】本発明の第5の実施形態に係る低圧放電ランプの管軸を含む断面図
【図12】同じく低圧放電ランプの変形例の管軸を含む断面図
【図13】本発明の第6の実施形態に係る照明装置の分解斜視図
【図14】本発明の第7の実施形態に係る照明装置の一部切欠斜視図
【図15】本発明の第8の実施形態に係る画像表示装置の斜視図
【図16】本発明の第1の実施形態に係る低圧放電ランプの変形例1の管軸を含む断面図
【図17】同じく変形例2の管軸を含む断面図
【図18】従来の低圧放電ランプの管軸を含む断面図
【符号の説明】
【0129】
101 ガラスバルブ
102、501、506 電極
103 蛍光体層
104、502、507 リード線
105 ガラスビード
100、107、300、400、500 低圧放電ランプ
104a 内部リード線
104b 外部リード線
200 ガラス管
600、700 照明装置
800 画像表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管軸が屈曲されたガラスバルブと、前記ガラスバルブの少なくとも一方の端部に配置された電極とを有する低圧放電ランプであって、
前記ガラスバルブの屈曲部を除く部分に少なくとも1つの接続痕が形成されていることを特徴とする低圧放電ランプ。
【請求項2】
前記ガラスバルブにおける前記接続痕の部分の最小厚みが、前記ガラスバルブにおける他の部分の厚みの0.5[倍]以上であり、
前記ガラスバルブにおける前記接続痕の部分の最大厚みが、前記ガラスバルブにおける他の部分の厚みの1.5[倍]以下であることを特徴とする請求項1に記載の低圧放電ランプ。
【請求項3】
前記ガラスバルブには、少なくとも一つの封止痕が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の低圧放電ランプ。
【請求項4】
前記ガラスバルブは、その管軸が略コの字形状であって、一対の直管部と、前記一対の直管部の他端部にそれぞれ接続された屈曲部と、前記各々の屈曲部の間に形成された中間部とを有し、
前記接続痕は、前記中間部に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の低圧放電ランプ。
【請求項5】
前記ガラスバルブは、その管軸が略コの字形状であって、一対の直管部と、前記一対の直管部の他端部にそれぞれ接続された屈曲部と、前記各々の屈曲部の間に形成された中間部とを有し、
前記接続痕は、少なくとも一方の前記直管部に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の低圧放電ランプ。
【請求項6】
前記ガラスバルブの内面には、前記接続痕の形成されている部分を除く部分に蛍光体層が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の低圧放電ランプ。
【請求項7】
前記一対の直管部は、一方の直管部における屈曲部側の蛍光体層の厚みが端部側の蛍光層の厚みよりも厚く、他方の直管部における屈曲部側の蛍光体層の厚みが端部側の蛍光体層の厚みよりも薄いことを特徴とする請求項6に記載の低圧放電ランプ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の低圧放電ランプを備えることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項8に記載の照明装置を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
一方の端部の内部に電極が設けられた直管状のガラス部材を少なくとも2本作製する工程と、
一方の前記ガラス部材の電極とは反対側の端部を接続用のガラス管の一端部に接続し、他方の前記ガラス部材の電極とは反対側の端部を接続用のガラス管の他端部に接続してガラスバルブを作製する工程と、
前記ガラス部材と前記接続用のガラス管との接続痕を除いた部分で前記ガラスバルブを屈曲させる工程とを有することを特徴とする低圧放電ランプの製造方法。
【請求項11】
前記接続用のガラス管には、排気管が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の低圧放電ランプの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−212051(P2010−212051A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56212(P2009−56212)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】