説明

低屈折率コーティング組成物

本発明は、放射線硬化性コーティング組成物、これらの組成物を硬化させて得られるコーティング膜、このようなコーティング膜の製造方法、このようなコーティング膜を含む物品、及び反射防止コーティング系に関する。本発明の一つの局面は、ハードコート又はディスプレイシステムへのこのようなコーティング膜の適用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線硬化性組成物、この組成物を硬化してなるコーティング膜、そのコーティング膜の製造方法、そのコーティング膜を含む物品及び反射防止コーティング系に関する。本発明はハードコート又はディスプレイシステムに対するそのコーティング膜の適用に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティング組成物の開発において、様々な試みがなされているが、薄い膜厚で優れた表面硬度、耐擦傷性、耐摩耗性、及び硬化性を有する低屈折率コーティング層の作製に用いられるコーティング組成物の開発には依然関心がもたれている。
【0003】
低屈折率コーティング膜を製造するこれまでの試みは、多様な添加剤及び組成構成に関するものであった。例えば、米国特許番号第6,391,459号では、フッ素化ウレタンオリゴマーを含む放射線硬化性組成物が論じられている。さらに、米国特許番号第6,160,067号で言及されている、重合性不飽和基を有する反応性シリカ粒子が開発されている。
【0004】
低屈折率コーティングの分野で特に興味を持たれているのは、薄膜コーティング、例えば、1μm未満の厚さのコーティングである。多くの興味の対象であったけれども、そのような組成物を製造する伝統的な試みは、組成物の適切な硬化を阻害すると考えられる空気の存在によって阻止されてきた。それ故、そのようなコーティングの工業的製造は、これらの組成物を不活性の又は反応性の低い環境下で硬化させなければならないという必要条件によって制限されてきた。従って、薄膜に適用でき、空気中で硬化でき、一方、優れた硬度、耐擦傷性及び耐摩耗性を付与することもできる低屈折率コーティングは、コーティング産業において非常に価値がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、とりわけ、低屈折率コーティング組成物を形成するための放射線硬化性コーティング組成物を提供する。より詳細には、本発明のコーティング組成物は、反射防止コーティング系における薄膜コーティング層(thin coating layers)を形成するのに有用である。本発明のコーティング組成物は、空気又は酸素含有環境下で硬化できる薄層コーティング(thin layer coatings)を形成できる。さらに、本発明は、そのようなコーティングの製造方法及びコーティング組成物、これらのコーティング及び/又はコーティングを含む物品及び反射防止コーティング系に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様は、空気下で迅速に硬化する放射線硬化性コーティング組成物、例えば、薄膜コーティング(特に1ミクロン未満のもの)及び/又は低屈折率コーティングに関する。本発明の放射線硬化性コーティング組成物の特定の態様は、薄層における低放射線照射で硬化でき、反射防止系に好適な低屈折率コーティングをもたらすものに関係する。
【0007】
本発明の一つの態様は、2個より多いアクリレート基を有するアクリレート、1個以上のフッ素化結合(covalent fluorine bond)を有する1種以上の成分及び6重量%以上の光開始剤を含む放射線硬化性コーティング組成物である。
【0008】
本発明のもう一つの態様は、空気下で硬化させたときに、下記の特性を有する放射線硬化性コーティング組成物を提供する。
a.コーティング厚さが1.0μm未満のときに、95%相対RAU量(95% Relative RAU Dose)が0.7J/cm以下であり、
b.鉛筆硬度がH以上であり、かつ
c.屈折率が1.55未満である
【0009】
本発明の別の態様は、2個より多いアクリレート基を有するアクリレート、1個以上のフッ素化結合を有する1種以上の成分及び6重量%以上の光開始剤を含む、迅速硬化性、薄膜、低屈折率コーティング組成物の製造方法を提供する。
【0010】
本発明の他の実施形態は、低屈折率特性を有する低屈折率コーティング、ハードコート及び/又は光ファイバー用コーティング、フォトニック結晶ファイバー、インク及びマトリックス、光媒体及びディスプレイ等の多様な適用における使用に好適な薄膜コーティング層を含む物品をも提供する。
【0011】
本発明の他の側面としては、ディスプレイモニター(例えば、参照によって本明細書に組み入れられる米国特許番号第6,091,184号及び6,087,730号で検討されている技術を用いたもの等のフラットスクリーンコンピューター及び/又はテレビモニター)、光学ディスク、タッチスクリーン、スマートカード、フレキシブルグラス等に関する基材上の膜を形成する本発明の組成物の使用に関する。
【0012】
さらに、本発明の放射線硬化性組成物は、例えばLCD(液晶ディスプレイ)及びOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイ、又は他のフラットパネル又は薄型ディスプレイ若しくはディスプレイフィルターで用いられるプラスチック基材に好適である。
【発明の効果】
【0013】
他の本発明の目的、効果、特徴は、明細書中に記載されており、一部は以下の検討から当業者には明白であるか、又は、本発明の実施によって学ぶことができる。本願に開示されている本発明は、目的、効果、特徴の特定の集まりや組合せに限定されず、本明細書の教示及び一般知識の範囲内で適合させ、特定の設計基準に最適化及び/又は合致させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
ここで、特に断らない限り、下記の語句は、特定の化学基及び化合物を定義するために用いられる。
「空気」とは、15重量%を超える酸素を含む期待環境をいう。
「ナノ粒子」とは、粒子の混合物であって、その混合物の大部分の粒子の大きさが1μm未満のものをいう。
「反応性ナノ粒子」とは、少なくとも1つの反応基(例えば、重合性基)を有するナノ粒子である。
「ナノ粒子の大きさ」(又は(ナノ粒子の粒径))とは、球状の粒子については粒子の直径を言う。球状でない粒子については、ナノ粒子の断面の一番長い距離をいう(即ち、ナノ粒子の断面の一方の側から反対側に引くことができる最も長い直線)。
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレート、又はそれらの置換体(substitutes)、好ましくはアクリレート及びメタクリレートである。
【0015】
本発明の放射線硬化性コーティング組成物は、2個より多いアクリレート基を有するアクリレート、及び1個以上のフッ素化結合を有する成分を含むことができる。
【0016】
[2個より多いアクリレート基を有するアクリレート]
2個より多いアクリレート基を有するアクリレートは、2個より多い(メタ)アクリレート部分(例えば、3、4、5、又は6個のアクリレート基)を有する単一の化学種であるか、又は平均で2個より多い(メタ)アクリレート部分(例えば、2.1、2.3、2.5、2.7、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0又は5.5個よりも多いアクリレート基)を有する1種以上のアクリレート化合物の混合物であると理解される。(メタ)アクリレート部分は、置換されていてもいなくてもよい。
【0017】
本願の放射線硬化性コーティング組成物に使うことができる2個より多いアクリレート基を有するアクリレートの例としてサートマー社(Sartomer Company, Inc.)から市販されている以下の化合物が挙げられる。SR9035−エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート、SR454−エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、SR454HP−エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、SR499−エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、SR502−エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、SR415−エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート、CD9021−高プロポキシ化(5.5)グリセリルトリアクリレート、SR351LV−低粘度トリメチロールプロパントリアクリレート、SR444−ペンタエリスリトールトリアクリレート、SR9020−プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、SR9020HP−プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、SR492−プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、CD501−プロポキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、SR351−トリエチロールプロパントリアクリレート、SR350−トリメチロールプロパントリメチアクリレート、SR368−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、SR368D−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、SR355−ジートリメチロールプロパンテトラアクリレート、SR399−ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、Kayarad DPHA−ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、SR494−エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、SR399LV−低粘度ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、SR9041−ペンタアクリレートエステル、SR295−ペンタエリスリトールテトラアクリレート、Kayarad DPCA−20−カプロラクトン修飾されたジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、Kayarad DPCA60−カプロラクトン修飾されたジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等
【0018】
2個より多いアクリレート基を有するそのようなアクリレートは、本願の放射線硬化性コーティング組成物に、硬化前において、溶媒を除いたコーティング組成物の総重量に対して1〜50重量%で、例えば、2〜30重量%、又は3〜8重量%のように3〜10重量%の量で含まれてもよい。
【0019】
[反応性ナノ粒子]
本発明の放射線硬化性コーティング組成物で用いられる反応性ナノ粒子の例としては、金属酸化物若しくは半金属酸化物ナノ粒子、例えば、珪素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、錫、アンチモン、及びセリウムの酸化物から誘導されるもの、又はこれらを含むものが挙げられる。これらのナノ粒子には、単一の金属酸化物若しくは半金属酸化物、及び/又は混合物及び/又は異なる若しくは1種以上の金属酸化物及び/又は半金属酸化物の組み合わせが含まれる。
【0020】
これらの反応性ナノ粒子は、少なくとも1つの反応基(下記記載を参照)、例えば重合性基を有する。
【0021】
金属酸化物ナノ粒子は、例えばパウダー状、又は水又は溶媒に分散した状態(ゾル)で用いてもよい。金属酸化物が分散した状態で用いる場合は、他の成分との相溶性及び分散性の観点から、分散媒体としては有機溶媒が好ましい。硬化物に優れた透明性が必要とされる用途では、反応性ナノ粒子の溶媒分散を用いることは特に望ましい。反応性ナノ粒子の溶媒として用いることができる有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、及びオクタノールのようなアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノンのようなケトン、エチルアセテート、ブチルアセテート、エチルラクテート及びγ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのようなエステル、エチレングリコールモノメチルエーテル及びジエチレングリコールモノブチルエーテルのようなエーテル、ベンゼン、トルエン及びキシレンのような芳香族炭化水素、及びジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドンのようなアミドが挙げられる。
【0022】
一実施形態において、反応性ナノ粒子を形成するために有用なナノ粒子には、コロイダルケイ素酸化物ナノ粒子が含まれる。そのようなケイ素ナノ粒子は、例えば、日産化学工業株式会社製のメタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等の商品名で入手可能である。
入手可能なパウダー状シリカの例としては、AEROSIL 130、AEROSIL 300、AEROSIL 380、AEROSIL TT600及びAEROSIL OX50(日本アエロジル株式会社製)、Sildex H31、H32、H51、H52、H121、H122(旭硝子株式会社製)、E220A、E220(日本シリカ工業株式会社製)、SYLYSIA470(富士シリシア化学株式会社製)、及びSG Flake(日本板硝子株式会社製)の商品名で入手可能な製品が挙げられる。
【0023】
本発明の放射線硬化性コーティング組成物に用いられる反応性ナノ粒子を形成するために使用し得る他の有用なナノ粒子として、アルミナ(酸化アルミニウム)が挙げられる。市販の水分散品であるアルミナ粒子分散品の例としては、アルミナゾル−100、−200、−520(商品名、日産化学工業株式会社製)、アルミナのイソプロパノール分散品であるAS−150l(商品名、住友大阪セメント株式会社製)、及びアルミナのトルエン分散品であるAS−150T(商品名、住友大阪セメント株式会社製)が挙げられる。本発明の放射線硬化性コーティング組成物に使用し得る反応性ナノ粒子の形成に用いられるジルコニアのトルエン分散品の例としては、HXU−110JC(商品名、住友大阪セメント株式会社製)が挙げられる。本発明の放射線硬化性コーティング組成物に用いる反応性ナノ粒子を形成するために使用できる他のナノ粒子としては、例えば、亜鉛アンモチン酸塩パウダーの水分散製品であるCelnax(商品名、日産化学工業株式会社製)が挙げられ、アルミナ、チタン酸化物、スズ酸化物、インジウム酸化物、亜鉛酸化物のパウダー及び溶媒分散製品の例としては、Nano Tek(シーアイ化成株式会社から商業的に入手可能)が、アンモチンドープ酸化錫の水分散ゾルの例としては、SN−100D(石原産業株式会社から商業的に入手可能)が、セリウム酸化物の水分散品の例としてはNeedral(多木化学株式会社から商業的に入手可能)がある。
【0024】
金属酸化物又は半金属酸化物のナノ粒子(A)の形状は、所望の用途に適した形状であればよく、球形、非球形、中空、多孔質、棒状、板状、繊維状、非晶質、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、ナノ粒子は棒状で中空、又は板状で多孔質等でよい。
【0025】
多数のナノ粒子(A)(例えば、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも94%、少なくとも96%、又は少なくとも98%)の粒径は、900nm未満であり、例えば、750nm未満、600nm未満、500nm未満、300nm未満、又は150nm未満、100nm未満、さらには75nm未満(even below 75 nm)であり、そして、少なくとも0.1nmであり、例えば、少なくとも1nm、少なくとも5nm、少なくとも10nm、又は少なくとも20nmである。
粒子サイズの測定方法としては、BET吸光度法、光学又は走査型電子顕微鏡法、又は原子間力顕微鏡法(AFM)イメージングが挙げられる。
【0026】
本発明の放射線硬化性コーティング組成物で用いるのに有用なナノ粒子としては、平均サイズは900nm未満であり、例えば、750nm未満、600nm未満、500nm未満、300nm未満、150nm未満、100nm未満、又はさらには75nm未満であり、そして少なくとも0.1nmであり、例えば、少なくとも1nm、少なくとも5nm、少なくとも10nm、又は少なくとも20nmである。
【0027】
本発明の放射線硬化性コーティング組成物に用いることができるナノ粒子上の反応性基の例としては、例えば、((メタ)アクリレート及び/又はビニルエーテル基を含む)エチレン性不飽和基等の反応性基を有する有機及び/又は無機−有機成分が挙げられる。
【0028】
本願の放射線硬化性コーティング組成物に有用な反応性ナノ粒子を製造するためにナノ粒子とグラフト化するか、反応させか、もしくは付加させることができる反応性基の例として
(a)下記式(1)で表される1個以上の基、
−X−C(=Y)−NH− (1)
(式中、XはNH、O(酸素原子)又はS(硫黄原子)であり、YはO又はSである。)
式(1)で表される基は、例えば、ウレタン結合[−O−C(=O)−NH−]、−O−C(=S)−NH−又はチオウレタン結合[−S−C(=O)−NH−]である。
(b)シラノール基又は加水分解でシラノール基を形成する基、
(c)ウレタン結合[−O−C(=O)−NH−]、及び/又はチオウレタン結合[−S−C(=O)−NH−]、及び分子中に少なくとも2つの重合性不飽和基を含むアルコキシシラン成分、
(d)トリメトキシシラン、イソホロンジイソチアネート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの反応生成物であるトリアクリレートウレタンシラン成分、
【0029】
(e)下記一般構造式(2)で示される成分
【化1】

(式中、Rはメチル基であり、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水素原子又はメチル基であり、mは0、1又は2であり、nは1〜5の整数であり、Xは炭素数1〜6の2価のアルキレン基であり、Yは直鎖状、環状、分岐鎖状の炭素数3〜14の2価の炭化水素基であり、Zは直鎖状、環状、分岐鎖状の炭素数2〜14の2価の炭化水素基であり、Zはエーテル結合を含んでもよい。)、及び
【0030】
式1
【化2】

【0031】
式(2)で示される成分は、例えば、メルカプトアルコキシシラン、ジイソシアネート及び水酸基水酸基含有多官能(メタ)アクリレートを反応させて調製できる。
【0032】
水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの例としては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。これら化合物は、式(2)で表される化合物中において、少なくとも2つの重合性不飽和基を形成する。
【0033】
メルカプトアルコキシシラン、ジイソシアネート及び水酸基含有多官能(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
式(2)で表される成分を調製する際に、メルカプトアルコキシシラン、ジイソシアネート及び水酸基含有多官能(メタ)アクリレートは、ジイソシアネートのメルカプトアルコキシシランに対するモル比が好ましくは0.8:1〜1.5:1、より好ましくは1.0〜1.2となるように用いる。モル比が0.8未満の場合、組成物の保存安全性が低下するおそれがある。一方、モル比が1.5を超える場合は、分散性が低下するおそれがある。
【0035】
アクリル基の嫌気的重合及びアルコキシシランの加水分解を避けるため、式(2)で表される成分を乾燥空気中で調製するのが好ましい。反応温度は好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜80℃である。
【0036】
式(2)で表される成分の調製において、調製時間を短縮するため、ウレタン化反応において従来の触媒を用いてもよい。触媒としては、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジ(2−エチルへキサン塩)及びオクチルチントリアセテートが挙げられる。一実施形態において、触媒は、触媒及びジイソシアネートの総量に対して0.01〜1重量%加える。
【0037】
式(2)で表される化合物の熱重合を避けるため、調製の際に熱重合阻害剤を加えてもよい。熱重合阻害剤の例としては、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン等が挙げられる。熱重合阻害剤は、熱重合阻害剤及び水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの総量に対して、好ましくは0.01〜1重量%加える。
【0038】
式(2)で表される成分は、溶媒中で調製してもよい。溶媒としては、メルカプトアルコキシシラン、ジイソシアネート及び水酸基含有多官能(メタ)アクリレートと反応せず、沸点が200℃以下の任意の溶媒を適宜選択できる。
【0039】
そのような溶媒の具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノンようのようなケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル及び酢酸アミルのようなエステル、トルエン及びキシレンのような炭化水素等が挙げられる。
【0040】
アルコキシシラン成分の具体例としては、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及びビニルトリメトキシシランのような分子中に不飽和二重結合を有する成分、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのような分子中にエポキシ基を有する成分、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン及びγ−アミノプロピルトリメトキシシランのような分子中にアミノ基を有する化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシランのような分子中にメルカプト基を有する成分、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン及びフェニルトリメトキシシランのようなアルキルシラン等が挙げられる。これらのうち、表面処理された酸化物粒子の分散安定性の観点から、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン及びフェニルトリメトキシシランが好ましい。
【0041】
また、ナノ粒子の反応性基は、異なる基との組み合わせで重合性を示す基であってもよい。そのような組み合わせとして、例えば、カルボン酸及び/又はカルボン酸無水物とエポキシとの組み合わせ、酸とヒドロキシ化合物、特に2−ヒドロキシアルキルアミドとの組み合わせ、アミンとイソシアネート、例えばブロック化イソシアネート、ウレトジオン又はカルボジイミドとの組み合わせ、エポキシと、アミン又はジシアノジアミドとの組み合わせ、ヒドラジンアミドとイソシアネートとの組み合わせ、ヒドロキシ化合物とイソシアネート、例えばブロック化イソシアネート、ウレトジオン又はカルボジイミドとの組み合わせ、ヒドロキシ化合物と無水物との組み合わせ、ヒドロキシ化合物と(エーテル化)メチロールアミド(「アミノ樹脂」)との組み合わせ、チオールとイソシアネートとの組み合わせ、チオールとアクリレートとの組み合わせ(任意でラジカル開始)、アセトアセテートとアクリレートとの組み合わせ、及びカチオン架橋剤を用いる場合は、エポキシ化合物とエポキシ又はヒドロキシ化合物との組み合わせが挙げられる。従って、本発明に従うナノ粒子の例は、重合性基の組み合わせを構成するために、反応性基としてアミン基、さらには、反応性基として追加的なイソシアネート基を有してもよい。
【0042】
さらに反応性ナノ粒子の形成に用いることのできる反応性基として、水分硬化性イソシアネート、アルコキシ/アシルオキシシラン、アルコキシチタネート、アルコキシジルコネート、又は尿素−、尿素/メラミン−、メラミン−ホルムアルデヒド又はフェノールホルムアルデヒド(レゾール、ノボラック型)からなる水分硬化性混合物、又は例えばアクリレート、メタクリレート、マレエート/ビニルエーテル等の放射線硬化性(過酸化−、又は光開始)エチレン性不飽和モノ及び多官能性モノマー及びポリマー、又はスチレン及び/又はメタクリレート中の放射線硬化性(過酸化−、又は光開始)不飽和(例えばマレイン又はフマル)ポリエステル等を挙げられる。
【0043】
本発明の反応性粒子の製造方法の例としては、江利山らの米国特許番号6160067号及び国際公開00/4766号パンフレットに記載されているものが挙げられ、これら両文献の全てが援用により本明細書に組み入れられる。さらに、シラノール基形成成分と金属又は半金属酸化物ナノ粒子とを混合し、好ましくは水の存在下に、この混合物を撹拌しながら加熱して、及び有機成分に含まれるシラノール基形成部位と金属酸化物若しくは半金属酸化物のナノ粒子とを効率的に結合させることにより架橋反応性ナノ粒子を製造することができる。
【0044】
さらに、反応性ナノ粒子の形成するための合成に用いられる反応を促進するために、脱水剤を添加してもよい。脱水剤としては、ゼオライト、無水シリカ及び無水アルミナ等の無機化合物、及びメチルオルトホーメート、エチルオルトホーメート、テトラエトキシメタン及びテトラブトキシメタン等の有機化合物を用いることができる。
【0045】
また、反応性ナノ粒子及び少なくとも1つのフッ素化結合を有する反応性ナノ粒子の製造方法については、下記実施例に記載されている。
【0046】
一実施形態において、反応性ナノ粒子は、反応性基を有する1種以上の成分に加えて、反応性基を有さない1種以上の有機成分を含んでいてもよい。
【0047】
[少なくとも1個のフッ素化結合を有する成分]
1.フッ素化ナノ粒子
少なくとも1個のフッ素化結合を有する本発明の成分は、そのような結合を有する、少なくとも1種のナノ粒子(「フッ素化ナノ粒子」)を含むことができる。そのようなナノ粒子は、例えば、炭素−フッ素結合を含む部分をさらに有する反応性ナノ粒子(「フッ素化反応性ナノ粒子」)でありうる。これらのフッ素含有部分は、さらに反応性基を含んでいてもよい。
【0048】
フッ素化ナノ粒子は、例えば、パーフルオロヘキシルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリエトキシシラン、又はパーフルオロデシルエチルトリメトキシシラン等のフルオロアルキル分子成分を有するトリメトキシシラン種を有していてもよい。
【0049】
フッ素化ナノ粒子とフッ素化反応性ナノ粒子は1個以上の炭素−フッ素結合を有する有機ラジカルも有してもよい。このようなラジカルの例としては、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ジフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、テトラフルオロプロピル、ペンタフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロブチル、トリフルオロブチル、テトラフルオロブチル、ペンタフルオロブチル、ヘキサフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル、オクタフルオロブチル、ジフルオロペンチル、トリフルオロペンチル、テトラフルオロペンチル、ペンタフルオロペンチル、ヘキサフルオロペンチル、ヘプタフルオロペンチル、オクタフルオロペンチル、炭素数1〜30の分岐状又は直鎖状のアルカン又はアルコールの同様のパーフルオロ誘導体及び、炭素数1〜30の分岐状又は直鎖状のアルカン又はアルコールの1,1,2,2−テトラヒドロフルオロ誘導体、部分的にエトキシ化又はプロポキシ化された前記フッ素化アルカン/アルコール又は1,1,2,2−テトラヒドロフルオロアルカン/アルコールを挙げられる。一実施形態において、フッ素化ナノ粒子又はフッ素化反応性ナノ粒子は、フルオロアルキル基を含む。
【0050】
本発明では、望ましくは、反応性ナノ粒子及びフッ素化ナノ粒子を一緒に用いてもよい。フッ素化ナノ粒子に対する反応性ナノ粒子の重量比は、1:10〜20:1であり、例えば、1:9〜9:1、1:1〜15:1、3:1〜10:1、3:1〜約9:1又は6:1〜約8:1である。同様に、本発明では、反応性ナノ粒子とフッ素化反応性ナノ粒子とを一緒に用いてもよい。例えば、フッ素化反応性ナノ粒子に対する反応性ナノ粒子の重量比は、1:10〜20:1であり、例えば、1:9〜9:1、1:1〜15:1、3:1〜10:1、3:1〜約9:1又は6:1〜約8:1である。
【0051】
2.フッ素化アクリレート成分
少なくとも1個のフッ素化結合を有する成分は、少なくとも1個の炭素−フッ素結合及び少なくとも1個のアクリレート基を含有するフッ素化有機化合物であってもよい。そのような化合物は、例えば、フッ素化アクリレート又はフッ素化メタクリレート等のモノマー性の化合物であってよく、これらの化合物は、ポリマー性若しくはオリゴマー性であってもよい。
【0052】
好ましいフッ素化オリゴマーとしては、例えば、1個以上のエチレン性不飽和基と1個以上のウレタン基を有するフッ素化ウレタンオリゴマーが挙げられる。このようなフッ素化ウレタンオリゴマーは、フッ素化ポリオール、ポリイソシアネート及びエチレン性不飽和基を含む反応性モノマーの反応生成物でもよい。この反応性モノマーは、例えば(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、マレエート、フマレート又は他のエチレン性不飽和基をその構造中に含むことができる。
【0053】
一実施形態において、フッ素化ウレタンオリゴマーの分子量は約700〜約10000g/molであり、例えば、約1000〜約5000g/molである。
【0054】
フッ素化ウレタンオリゴマーの調製に用いることのできるフッ素化ポリオールとしては、例えばフッ素化ポリメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド又はそれらの共重合体が挙げられる。一実施形態において、フッ素化ポリオールは、エチレンオキサイドでエンドキャップされている。好適なフッ素化ポリオールとしては、例えばSolvay-Solexis Inc.で販売しているFluorolink液シリーズの製品(Fluorolink L,C,D,B,E,B1,T,L10,A10,D10,S10,C10,E10,T10又はF10)又はフォンブリンZドールTX(Fomblin Z-Dol TX)シリーズの製品が挙げられる。これらポリオールは、エチレンオキサイドでエンドキャップされたフッ素化ポリ(エチレンオキサイド−メチレンオキサイド)共重合体である。他の好適なフッ素化ポリオールとしては、ヘキサフルオロプロペン及びヒドロキシブチルアクリレートのアクリル共重合体、又はトリフルオロエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチルアクリレートのアクリル共重合体のような分岐鎖又は主鎖にフッ素化官能基を有するアクリルオリゴマー又はテレケロマー(telechelomer)等が挙げられる。他の好適なフッ素化ポリオールとしては、3M社で販売されているL−12075及びデュポン社で販売されているMPDシリーズのポリオールのようなポリオールが挙げられる。
【0055】
フッ素化ウレタンオリゴマーの調製に用いることができるポリイソシアネートとしては、様々な有機ポリイソシアネートの1種又はその混合物が挙げられる。ポリイソシアネートをフッ素化ポリオール及びエチレン性不飽和イソシアネート反応性化合物と反応させて、エチレン性不飽和フッ素化ウレタン成分を生成してもよい。
これらポリイソシアネートのうち、好ましくはジイソシアネートである。代表的なジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチレンジシクロヘキサンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、4−クロロ−1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,4−シクロへキシレンジイソシアネート、及びそれぞれTDI末端ポリテトラメチレンエーテルグリコール及びTDI末端ポリエチレンアジピン酸エステルのようなポリアルキルオキサイド及びポリエステルグリコールジイソシアネート等が挙げられる。
【0056】
フッ素化ポリオールとポリイソシアネートは、フッ素化ポリオールのポリイソシアネートに対する重量比が約1.5:1〜約7.5:1で、組み合わせることができる。フッ素化ポリオール及びポリイソシアネートは、反応を促進するため、触媒存在下で反応させてもよい。ウレタン化反応の触媒としては、ジブチリチンジラウレート等がこの目的のためには好適である。
【0057】
イソシアネート末端プレポリマーは、エチレン性不飽和官能基含有イソシアネート反応性官能性モノマーと反応させてエンドキャップしてもよい。エチレン性不飽和官能基としては、アクリレート、ビニルエーテル、マレエート、フマレート又は他の類似化合物が好ましい。
【0058】
所望の(メタ)アクリレート官能基でイソシアネート末端プレポリマーをエンドキャップするのに有用な好適なモノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシ官能性アクリレート等が挙げられる。
【0059】
所望のビニルエーテル官能基でイソシアネート末端プレポリマーをエンドキャップするのに有用な好適なモノマーとしては、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル及び1,4−シクロヘキサンジメチロールモノビニルエーテル等が挙げられる。所望のマレエート官能基でプレポリマーをエンドキャップするのに有用な好適なモノマーとしては、マレイン酸及びヒドロキシ官能性マレエート等が挙げられる。
【0060】
プレポリマー中に残る全てのイソシアネート官能基と反応し、所望の官能基でプレポリマーをエンドキャップするために、アクリレート、ビニルエーテル、マレエート又は他のエチレン性不飽和基を含むモノマー中に十分な量のイソシアネート反応性官能基を存在させてもよい。尚、「エンドキャップ」とは、官能基がプレポリマーの2つの末端のそれぞれをキャップすることをいう。
【0061】
イソシアネート反応性エチレン性不飽和モノマーは、次に、フッ素化ポリオール及びイソシアネートの反応生成物と直接反応させてもよい。このような反応は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)等のような抗酸化剤の存在下で行ってもよい。
【0062】
エチレン性不飽和フッ素化ウレタン成分は、23℃において、少なくとも2500センチポイズ(「cps」)の粘度を有し、例えば、少なくとも5000cps、少なくとも7500cps、少なくとも10000cps、少なくとも25000cps又は少なくとも50000cpsの粘度を有する。エチレン性不飽和フッ素化ウレタン成分の粘度は、10000000cps未満であり、例えば、5000000cps未満、又は1000000cps未満である。
【0063】
エチレン性不飽和フッ素化ウレタン成分の、全ての反応性粒子及びエチレン性不飽和フッ素化ウレタン成分の合計重量に対する百分率は、少なくとも0.75重量%であり、例えば、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、又は少なくとも5重量%であり得る。エチレン性不飽和フッ素化ウレタン成分の、全ての反応性粒子及びエチレン性不飽和フッ素化ウレタン成分の合計重量に対する百分率は、35重量%未満であり、例えば、25重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、又は8重量%未満であり得る。
【0064】
[光重合開始剤]
本発明で有用な光重合開始剤としては、例えば、ヒドロキシ又はアルコキシ官能性アセトフェノン誘導体、ヒドロキシアルキルフェニルケトン、及び/又はベンゾイルジアリールフォスフィンオキシドが挙げられる。光重合開始剤の具体例としては、Irgacure651(ベンジルジメチルケタール又は2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタノン、チバガイギー社製)、Irgacure184(1−ヒドロキシ−シクロへキシル−フェニルケトンが活性成分、チバガイギー社製)、Darocur1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンが活性成分、チバガイギー社製)、Irgacure907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、チバガイギー社製)、Irgacure369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オンが活性成分、チバガイギー社製)、Esacure KIP150(ポリ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン−1−オン}、フラテリランベルチ社製)、Esacure KIP100F(ポリ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン−1−オン}及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンの混合物、フラテリランベルチ社製)、Esacure KTO46(ポリ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン−1−オン}、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド及びメチルベンゾフェノン誘導体の混合物、フラテリランベルチ社製)、Lucirin TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、BASF社製)、Irgacure819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、チバガイギー社製)、Irgacure1700(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの25:75%の混合物、チバガイギー社製)、
IrgacureOXE01((1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−、2−(O−ベンゾイルオキシム)、チバガイギー社製)、Irgacure379(2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、チバガイギー社製)、Uvatone8302(アップジョン社製)、及びアップジョン社製のDEAPやUVATONE8301などのアルファ、アルファ−ジアルコキシアセトフェノン誘導体等が挙げられる。
【0065】
2つの異なるタイプのエチレン性不飽和基、即ち、ビニルエーテル基及び他のエチレン性不飽和基を有するオリゴマーは、これらの光重合開始剤の存在下、急速に共重合させて、急速に光硬化させてもよい。また、重合開始剤が無い場合に、電子線等の異なるタイプの放射線エネルギーに曝露して急速に相互作用させてもよい。
【0066】
1種以上の光重合開始剤が、溶媒を除いた組成物の総重量に対して、例えば少なくとも6.0重量%で本発明の放射線硬化性組成物に含まれてもよい。例えば、少なくとも、6.25、6.5、6.75、7.0、7.25、7.5、7.75、8.0、8.25、8.5、8.75、9.0、9.25、9.5、9.75、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、もしくは,少なくとも14.5重量%含まれてもよい。
【0067】
[硬化促進剤]
本発明の低屈折率放射線硬化性コーティング組成物はまた、少なくとも1種の硬化促進剤を含んでいてもよい。このような試薬は、硬化性組成物が硬化、又はより完全に硬化した、若しくはより硬い最終生成物を製造することができる速度を速めることができる。このような硬化促進剤の例としては、ジアミン、ホスフィン、亜リン酸塩及びチオールが挙げられる。ジアミンの例としては、N,N,N−トリエチルエチレンジアミンが挙げられる。好適なホスフィン及び亜リン酸塩の例としては、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜20のアルキル若しくはアルキレン、又は置換若しくは非置換の、炭素数6〜20のアリールホスフィン若しくは亜リン酸塩、例えば、トリアルキル若しくはトリアリールホスフィン又は亜リン酸塩、例えば、トリフェニルホスフィン若しくはトリフェニル亜リン酸塩が挙げられる。好適なチオールの例としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)が挙げられる。
【0068】
「高分子界面活性剤]
本発明の低屈折率放射線硬化性コーティング組成物はまた、高分子界面活性剤を含んでいてもよい。このような高分子界面活性剤は、70℃を超える、例えば、100℃を超える、又は120℃を超えるガラス転移温度を有する界面活性剤を挙げることができる。少なくとも1種の高分子界面活性剤は、セルロースアセテートブチレート;メチルメタクリレート、エチルアクリレート及びメタクリル酸の重合によって製造されるポリアクリレート;又はメチルメタクリレート及びメタクリル酸の重合によって製造されるポリアクリレートから選択することができる。メチルメタクリレート、エチルアクリレート及びメタクリル酸の重合によって製造されるポリアクリレートの例としては、Elvacite 2669が挙げられ、メチルメタクリレート及びメタクリル酸の重合によって製造されるポリアクリレートの例としては、Elvacite 2008が挙げられる。高分子界面活性剤は、単独で用いてもよいし、溶媒若しくはアクリル酸等のモノマー中の高分子界面活性剤の溶液として添加してもよい。
【0069】
[希釈モノマー]
放射線硬化性コーティング組成物はまた、例えばコーティング組成物の粘度を下げるため、希釈モノマーを含むことができる。希釈モノマーとしては、分子中に1つの重合性ビニル基を有する重合性単官能ビニルモノマー、及び分子中に2個以上の重合性ビニル基を有する重合性多官能ビニルモノマーのような重合性ビニルモノマーが挙げられる。
【0070】
単官能希釈モノマーとしては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルピリジンのような単官能ビニルモノマー;イソボルニル(メタ)アクリレート又は4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートのようなアクリル構造を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0071】
多官能希釈モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、及びビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0072】
希釈モノマーはまた、例えばフッ素化等のハロゲン化されたものであってもよい。フッ素化希釈モノマーとしては、例えば、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート又は1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート等のフッ素化アクリレートモノマーが挙げられる。
【0073】
放射線硬化性コーティング組成物はまた、全ての反応性粒子及びエチレン性不飽和フッ素化ウレタン成分の総重量に対して、0〜20重量%の1種以上の希釈剤を含んでいてもよく、例えば、0.1〜10重量%、0.25〜5重量%又は0.5〜2.5重量%含んでいてもよい。
【0074】
[添加物]
本発明のコーティング組成物は、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、接着促進剤、コーティング表面改良剤、熱重合開始剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、防腐剤、可塑剤、潤滑剤、溶媒、フィラー、抗劣化剤及び湿潤改良剤のような様々な添加物を含んでもよい。抗酸化剤としては、Irganox1010、1035、1076、1222(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製)、アンチジーンP、3C、FR、スミライザーGA−80(住友化学工業株式会社製)等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、チヌビンP、234、320、326、327、328、329、213(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製)、Seesorb 102、103、110、501、202、712、704(シプロ化成株式会社製)等が挙げられる。光安定剤としては、チヌビン292、144、622LD(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製)、サノールLS770(三共株式会社製)、Sumisorb TM−061(住友化学工業株式会社製)等が挙げられる。接着促進剤としてのシランカップリング剤としては、γ−メルカプトプロピルメチルモノメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルモノエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β−メルカプトエチルモノエトキシシラン、β−メルカプトエチルトリエトキシシラン、β−メルカプトエチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシルプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシルプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これら化合物の市販品としては、SILAACE S310、S311、S320、S321、S330、S510、S520、S530、S610、S620、S710、S810(チッソ株式会社製)、Silquest A−174NT(OSIスペシャルティーズ−クロンプトン株式会社製)、SH6062、AY43−062、SH6020、SZ6023、SZ6030、SH6040、SH6076、SZ6083(東レダウコーニングシリコーン株式会社製)、KBM403、KBM503、KBM602、KBM603、KBM803、KBE903(信越シリコーン株式会社製)等が挙げられる。また、アクリル酸のような酸性接着促進剤を用いてもよい。ユーシービー株式会社のEb168又はEb170のようなリン酸エステルは好適な接着促進剤である。コーティング表面改良剤としては、ジメチルシロキサンポリエーテルのようなシリコン添加剤、及びDC−57、DC−190(ダウコーニング株式会社製)、SH−28PA、SH−29PA、SH−30PA、SH−190(東レダウコーニングシリコーン株式会社製)、KF351、KF352、KF353、KF354(信越化学工業株式会社製)、L−700、L−7002、L−7500、FK−024−90(日本ユニカー株式会社製)のような市販品が挙げられる。
【0075】
放射線硬化性コーティング組成物は、フッ素化アクリレート成分の総重量に対して、約0.01〜約10重量%の接着促進剤を含むこともできる。さらに、本発明の放射線硬化性コーティング組成物は、フッ素化アクリレート成分の総重量に対して、約0.01〜約5重量%の抗酸化剤を含むことができる。
【0076】
[物性]
本発明の放射線硬化性コーティング組成物は、硬化すると低屈折率のコーティング膜となる。この膜の屈折率は例えば、1.55未満であり、例えば、1.50未満であり、例えば、1.48未満、1.46未満であり、1.44未満であり、約1.35〜約1.50の範囲であり、例えば、約1.40〜約1.48、又は約1.42〜約1.46、例えば、約1.432〜約1.50である。
【0077】
本発明の放射線硬化性コーティング組成物は、優れた表面硬度及び優れた耐摩耗性を有する塗膜となり得る。これらは、膜硬度に関する鉛筆試験及び摩耗性試験で特徴づけられる。この塗膜は、少なくとも鉛筆硬度Hを有するか、又は少なくとも2H、又は2Hよりも高い鉛筆硬度を有する。
【0078】
低屈折率の放射線硬化性コーティング組成物は、空気中で硬化後、3より大きい、例えば、10より大きい又は、25より高いエタノール摩耗値(ethanol rub value)を有することができる。エタノール摩耗値の測定手順は実施例の項で説明する。
【0079】
組成物の硬化の程度は、反応したアクリル不飽和化の百分率(percentage of reacted acrylated unsaturation;%RAU)で示すことができる。%RAU測定の試験方法は本明細書の実施例において述べる。
本発明の放射線硬化性コーティング組成物は、空気下で硬化した場合、少なくとも40%、例えば45%〜98%又は55%〜70%の%RAUを有し、及び/又は、1μm未満、例えば0.8μm未満、又は0.5μm未満若しくは0.3μm未満の厚さで、0.7J/cm以下、例えば0.5J/cm未満、又は0.3J/cm未満を有し、又は、0.2J/cm未満の95%相対RAU量(95% Relative RAU Dose)を有する。
【0080】
本発明の放射線硬化性コーティング組成物の正反射率は、例えば、硬化後において1.0未満、例えば、0.5未満となり得る。
【0081】
本発明の放射線硬化性コーティング組成物の総反射率は、例えば、空気中で硬化した場合には、2.0未満、例えば、1.9未満又は1.8未満となり得る。
【0082】
本発明の放射線硬化性コーティング組成物は、空気中で硬化した場合、反射防止コーティング系における高屈折率膜上のコーティングとして好適な反射防止効果を提供するような、正反射率及び/又は総反射率を有することができる。
【0083】
本発明の組成物は、反射防止ディスプレイシステム用低屈折率層として用いることができる。反射防止ディスプレイシステムは、基材、基材上のハードコート層、ハードコート層上の高屈折率層、次いで低屈折率層を含むことができる。
【0084】
本組成物はコーティング組成物として使用できる。例えば、本組成物は基材をコーティングするために使用できる。コーティングに好適な基材には有機基材が挙げられる。有機基材としては、ポリノルボルネン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリイミド、フルオレンポリエステル(例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンとイソフタル酸、テレフタル酸又は、その混合物から誘導された繰り返し中間重合単位から本質的になるポリマー)、セルロース(例えばトリアセテートセルロース)及び/又は、ポリエーテルナフタレンを含む基材などの高分子(「プラスチック」)基材が好ましい。特に好ましい基材としてポリノルボルネン基材、フルオレンポリエステル基材、トリアセテートセルロース基材、及びポリイミド基材が挙げられる。
【0085】
ディスプレイ用の好適な基材としては、有機基材等が挙げられ、例えば、ポリノルボルネン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリイミド、セルロース、セルローストリアセテート、フルオレンポリエステル及び/又はポリエーテルナフタレン等のプラスチック基材が挙げられる。基材の他の例としては、例えば、ガラス又はセラミック基材のような無機基材が挙げられる。
【0086】
基材は、コーティングする前に前処理されていてもよい。例えば、基材をコロナ又は高エネルギー処理に付してもよい。また、基材はエマルジョン塗布のような化学処理をしてもよい。
【0087】
基材は、ヒドロキシル基、カルボン酸基、及び/又はトリアルコキシシラン基(例えばトリメトキシシラン)のような官能基を含んでいてもよい。このような官能基を含むと、基材に対する塗膜の接着性が改善され得る。
【0088】
本発明の放射線硬化性コーティング組成物は、光ファイバーの1次コーティング、光ファイバーの2次コーティング、マトリックスコーティング、結束材料、インクコーティング、フォトニック結晶ファイバーコーティング、光ディスク用接着剤、ハードコートコーティング又はレンズーコーティングとして用いることもできる。
【0089】
一実施形態において、本発明は、
a.2より多いアクリレート基を有するアクリレート、
b.少なくとも1個のフッ素結合を有する少なくとも1種の成分、及び
c.1種以上の光開始剤
を含み、組成物中の光開始剤の合計量が、溶剤を除く組成物全重量に対して少なくとも6重量%である組成物を硬化させて得られる低屈折率コーティング膜を含む物品を提供する。この物品は、高屈折率層をさらに含んでいてもよく、別の実施形態では、この物品は、基材、及びハードコート層をさらに含んでいてもよく、ハードコート層は、基材上に直接コーティングされており、高屈折率層はそのハードコート層の上にある。
【0090】
本発明の他の実施形態では、
a.高屈折率コーティング膜、及び
b.低屈折率コーティング膜
を含み、低屈折率コーティング膜は、
i.2より多いアクリレート基を有するアクリレート、
ii.少なくとも1個のフッ素結合を有する少なくとも1種の成分、及び1種以上の光開始剤を含んでおり、組成物中の光開始剤の合計量が、溶剤を除く組成物全重量に対して少なくとも6重量%である組成物からなる、反射防止コーティング系を提供する。一つの実施形態では、高屈折率コーティング膜は、少なくとも1.58の屈折率を有している。他の実施形態では、低屈折率コーティング膜は、1.55未満の屈折率を有している。
【0091】
また、本発明は、
a.2より多いアクリレート基を有するアクリレート、
b.少なくとも1個のフッ素結合を有する少なくとも1種の成分、及び
c.1種以上の光開始剤を、
該組成物中の該光開始剤の合計量が、溶剤を除く組成物全重量に対して少なくとも6重量%で混合することを含む高速硬化薄膜低屈折率コーティング組成物の製造方法を提供する。
【実施例】
【0092】
本発明の特定の実施形態として及び本発明の実施及び効果を示すために実施例を以下に記す。下記実施例は、例示のためのものであって、いかなる方法によっても明細書又は特許請求の範囲を限定するものではない。
【0093】
以下の成分名は実施例中で使われており、化合物や組成物に言及すると考えられている。
【0094】
SR−351 − トリメチロールプロパントリアクリレート、サートマー社より市販;
SR−399 − ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、サートマー社より市販;
Darocur 1173 − 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チバ社より市販;
Irgacure 907 − 2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、チバ社より市販;
Irgacure 819 − ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、チバ社より市販;
Irgacure 369 − 2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、チバ社より市販;
Irgacure 184 − 1−ヒドロキシ−シクロへキシル−フェニルケトン、チバ社より市販;
Darocur 4265 − 50%のアシルホスフィンオキシドと50%の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの混合物、チバ社より市販;
Irganox 1035 − ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート)、チバ社より市販。
BHT − 3,5−ジ―tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン;
Fluorolink E − エチレンオキサイドでエンドキャップされたポリ(エチレンオキサイド―メチレンオキサイド)共重合体、ソルベイ−ソレクシス社より市販;
Lucirin TPO − 2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド;
トリアクリレートウレタンシランは、メルカプトアルコキシシラン、ジイソシアネート及びヒドロキシ基含有多官能(メタ)アクリレートの反応生成物である;
MT−ST − メタノール中のナノシリカ粒子分散物(30重量%粒子)、日産化学社より市販;
MEK−ST − メチルエチルケトン中のナノシリカ粒子調製品(30重量%粒子)、日産化学社より市販;
CAB − セルロースアセテートブチラート、イーストマンケミカル社より入手可能;
CAB/AA − アクリル酸中の20重量%CAB溶液;
PET − ポリエチレンテレフタレート;
HQMME − ヒドロキノンモノメチルエーテル;
H−I−Fluorolink E−I−H − 2−ヒドロキシエチルアクリレート(8.18重量%)、イソフロンジイソシアネート(15.70重量%)、Fluorolink E(76.01重量%)、BHT(0.07重量%)及びジブチルチンジアルレート(0.04重量%)を反応させたフッ素化アクリレート成分であり、「H」は2−ヒドロキシエチルアクリレート、「I」はイソホロンジイソシアネートを示しており、Fluorolink E(76.01重量%)はエチレンオキサイドでエトキシ化されたペルフルオロポリエステルジオールからなる樹脂を示している。
【0095】
[フッ素化アクリレート前駆組成物の調製]
フッ素化アクリレート前駆組成物は表1に示す成分を混合することにより調製した。
【0096】
【表1】

【0097】
[フッ素化反応性ナノ粒子ゾルの調製]
フッ素化反応性ナノ粒子ゾルの調製に用いる成分及びそれらの相対量を下記表2に示す。トリアクリレートウレタンシラン及びHQMMEをMT−STに添加した。MT−ST懸濁液の約1.7重量%が水であった。この混合物を撹拌しながら少なくとも3時間還流させ、その後にフッ素化アルコキシシラン化合物(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシランを加え、得られた混合物を再度撹拌しながら60℃で少なくとも1時間還流させた。これに続き、アルコキシシラン化合物であるメチルトリメトキシシランを添加し、得られた混合物を撹拌し、60℃で少なくとも1時間還流した。脱水剤であるトリメチルオルト蟻酸エステルを添加し、得られた混合物を撹拌し、60℃で少なくとも1時間還流させた。
【0098】
【表2】

【0099】
[反応性ナノ粒子ゾルの調製]
反応性ナノ粒子ゾルを調合するために使用した成分とその相対量を下記表3に示す。トリアクリレートウレタンシラン及びHQMMEをMEK−STに加えた。(**英文が誤記していると思われます)少量の水(MEK−STの総重量に対して1.7重量%)をMEK−ST懸濁液に加えた。次いで、その混合物を60℃で少なくとも3時間、撹拌しながら還流させ、その時点でアルコキシシラン化合物である、メチルトリメトキシシランを加え、得られた混合物を60℃でさらに1時間還流し、撹拌した。脱水剤である、トリメチルオルトギ酸を加え、得られた混合物を撹拌し、少なくとも1時間60℃で還流した。
【0100】
【表3】

【0101】
[実施例1〜4及び比較例A〜D]
実施例1〜4及び比較例A〜Dの組成物を調製するために使用した成分とその相対量を下記表4に示す。
【0102】
【表4】

【0103】
[一般的手順及び試験方法]
[試験サンプルの製造]
PET基材(.007”マイラーポリエステルドローダウンシート(.007" Mylar
polyester drawdown sheets))を、マスキングテープを用いて厚さ3mmのガラス板に貼り付けた。このPET基材に、標準#6巻き線型コーティング塗布ロッド(BYK−Gardner社製)を用いて、UV硬化性ハードコート(Desolite(登録商標) 4D5−15、メチルエチルケトン中の固形分50%、DSM Desotech Inc.)を塗布し、厚さ約13ミクロンのウェットフィルムを得た。次いで、このウェットフィルムの溶剤を室温、3分間かけて蒸発させた。次に、乾燥されたハードコートに、空気雰囲気下で、Fusion 300W H−ランプを用いて1.0J/cmのUN照射線量を照射した。UV線量は、International Light model IL 390B Light Bug 紫外線放射計を用いて確認した。サンプル基材を、カミソリの刃でこれらの硬化フィルムを3”×3”平方に切断し、ガラス板から剥がすことによって製造した。
【0104】
上記のハードコートされた3”×3”PET基材上にスピンコートすることにより、高屈折率コーティング層(Desolite(登録商標) KZ7987C、日本特殊コーティング株式会社、硬化膜の屈折率は1.69、メチルエチルケトン中の固形分5%に希釈した)を塗布し、厚さ約0.1〜0.15ミクロンの高屈折率塗膜を得た。標準Headway Research model EC101DTスピンコーターを用い、スピンコーターチャックプラットフォーム(spin-coater chuck platform)上に載置された固定された3”×3”基材上に液状組成物1mLを溶着(deposit)させることによってスピンと膜を製造した。次に、塗布液体/基材を、スピン加速度3000rpm/sで、7500rpmで、12秒間スピンコートした。スピンコーティングによって得られた薄いウェットフィルムを、さらに室温で60秒間乾燥させた。乾燥した薄膜を、空気雰囲気下で300W Fusion H−ランプを用いて、1.0J/cmの線量でUV照射した。UV線量は、International Light model IL 390B Light Bug紫外線放射計を用いて確認した。
【0105】
同様に、実験用の低屈折率コーティング組成物(発明の及び比較のサンプルを、メチルエチルケトン中4.6%の固形分量に希釈したもの)を、3”×3”ハードコート/高屈折率コーティングしたPET基材上に(上記のように)スピンコーティング機によってスピンコートし、硬化させて、最表面に硬化させた低屈折率実験用塗膜を有する3層コーティング構造の「試験サンプル」を得た。
【0106】
[鉛筆硬度試験方法(引っ掻き硬度)]
鉛筆硬度は、標準方法ASTM D3363に準拠して試験した。スレッド荷重750gで、試験サンプルの低屈折率コーティング表面に対して45°の角度で鉛筆を固く保持し、試験者から離れるように押して6.5mm(1/4インチ)のストロークで押した。測定は、一番硬い鉛筆から始め、硬度を落としながら鉛筆が膜を引っ掻くことができなくなるまで(引っ掻き硬度)繰り返した。
【0107】
膜の鉛筆硬度はASTM鉛筆硬度スケールに従って測定した。
6B−5B−4B−3B−2B−B−HB−F−H−2H−3H−4H−5H−6H
柔らかい 硬い
ここで、隣接する2つ表示の差は、硬度の一つの単位であると考えるものとする。
【0108】
[屈折率の試験方法]
顕微鏡のスライドガラスを試験用コーティング組成物でコーティングし、溶剤を蒸発させた後に、空気雰囲気下で、Fusion 300 W H−ランプからの1.0J/cmの照射量でUV照射することによって硬化させた。次に、カミソリの刃を用いて、硬化膜に2mm×2mm四角形を切り、硬化膜から、交互に四角形を取り除いた。次に、スライドを平行軸透過光用の10倍顕微鏡に設置し、開口率(numerical aperture)が少なくとも0.7までの対物レンズを取り付けた。顕微鏡に備え付けの照明機構の通り道に狭い帯域幅の干渉フィルターを設置して、単色光とし、波長589nmの光(ナトリウムのD線)を得た。硬化膜を屈折率が既知の標準液(カーギル液体屈折率指数、McCrone Microscopy Inc.から市販されている標準グループ)と比較した。ボトルアプリケーターロッドを用いて硬化膜の除去された四角形によってできた空間部分に屈折率液の小滴を塗布した。顕微鏡の焦点を合わせ、サンプルと対物レンズ間の距離を広げ、ベッケ線は高屈折率媒体の方へ移動する。塗膜がこの公知の屈折率の液体より高屈折率であるならば、焦点を「上」に動かすに連れて、とベッケ線が四角形の輪郭の方に動く。この工程を、四角形の輪郭が消えるまで繰り返した。
【0109】
塗膜の四角形の輪郭が消えず、組み合わされた互いに隣り合う2つの液体が、ベッケ線移動と反対の符号を示すことが見出されるなら、そのときは、その材料の屈折率は2つの値の間にある、多分その範囲の中心にある。
【0110】
[反射率試験方法]
全反射率測定は、1インチの黒色ビニルテープのストリップを含むように適合させた試験サンプルに関して行った。サーモスタット制御された硫化鉛(PbS)検出器と5nmのスリットを有する60mmの積分球を備えるPerkin Elmer Lambda 800/900 UV−Vis分光光度計を用い、250nm/分の走査スピードで、試験サンプルを、8°のサンプルホルダーに載置した。8°の搭載を除いて同様にして拡散反射率を測定した。これらの測定から、全反射率から拡散反射率を引くことによって、対象とする低屈折率塗膜の鏡面反射率を決定した。
【0111】
[エタノール摩耗試験方法]
Qチップ(綿の塗布器)をエタノール中に浸し、絞って過剰のエタノールを除去した。(手動で)媒体圧力をかけることにより、何らかの不良(例えば、塗膜の一部の除去)が検出されるまでの、試験サンプルに沿って湿ったQ−チップで個別に擦った回数を係数した。
【0112】
[95%相対RAU量の試験方法]
1.0ミクロンを超えない厚さ試験用コーティングで完全に覆われるまで、KBr結晶上に所望のコーティング液滴をスピンコーティングした。このサンプルを100同時スキャン(100 co−added scans)によりスキャンし、スペクトルを吸光度に変換した。次いで、コーティング液の810cm−1におけるアクリレート吸光度のネットピーク面積を測定した。
【0113】
ネットピーク面積は、ピークのどちらか一方側で、吸光度の極小値に接してベースラインを引くベースライン法を用いて測定した。ベースライン法とは、次に、ピークの下方及びベースラインの上方の面積を決定した。
【0114】
サンプルを、大気中で100Wの水銀ランプ(Oriel Corp.製モデル6281)に暴露した。サンプルのFTIRスキャン及び硬化塗膜のスペクトルに対するネットピーク吸光度の測定を繰り返す。ベースライン頻度はコーティング液と必ずしも同じである必要はないが、測定帯のどちらか一方側で、吸光度の極小値に対してベースラインが接するように選んだ。コーティング液及び硬化塗膜のスペクトルのアクリレートではない基準ピークについて、ピーク面積の測定を繰り返す。同じ構成のその後の各分析については、同じベースラインポイントを有する同じ基準ピークを利用した。
【0115】
コーティング液の、基準吸光度に対するアクリレート吸光度の比は、下記式を用いて決定した。
=AAL/ARL
(式中、AAL=コーティング液のアクリレート吸光度の面積
RL=コーティング液の基準吸光度の面積
=コーティング液の面積比)
【0116】
同様に、硬化塗膜の、基準吸光度に対するアクリレート吸光度の比は、下記式を用いて決定した。
=AAF/ARF
(式中、AAF=硬化塗膜のアクリレート吸光度の面積
RL=硬化塗膜の基準吸光度の面積
=硬化塗膜の面積比)
【0117】
反応したアクリレート不飽和百分率(%RAU)としての硬化度を、下記式を用いて計算した。
【数1】

(式中、R=コーティング液の面積比
=硬化塗膜の面積比)
多官能アクリレートを相当量含む組成物は、十分硬化した場合であっても(「%究極RAU」)、比較的低い%RAUであることが知られており、通常、55−70%台である
【0118】
「%相対RAU」は、コーティング組成物の%究極RAUに対する硬化度を示し、下記式によって定義される。
%相対RAU=((試験組成物の%RAU)/(%究極RAU))×100
【0119】
記載されている本発明の具体的実施形態については、当業者にその多くの修飾が容易に明らかであったり、示唆され得ることが理解されるであろう。従って、本発明は添付の請求項の精神及び範囲のみに限定されることを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気下で硬化させたときに、下記特性を有する放射線硬化性コーティング組成物。
a.コーティング厚さが1.0μm未満のときに、95%相対RAU量(95% Relative RAU Dose)が0.7J/cm以下であり、
b.鉛筆硬度がH以上であり、かつ
c.屈折率が1.55未満である
【請求項2】
コーティング厚さが0.8μm未満のときに、前記コーティング組成物の95%相対RAU量が0.7J/cm以下である請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記コーティング組成物の95%相対RAU量が0.5J/cm以下である請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記コーティング組成物の95%相対RAU量が0.3J/cm以下である請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記コーティング組成物の95%相対RAU量が0.2J/cm以下である請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
空気下で硬化させた後の鏡面反射率(specular reflectance)が1.0未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
空気下で硬化させた後の鏡面反射率が0.5未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
空気下で硬化させた後のエタノール摩耗値(ethanol rub value)が3より大きい請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
空気下で硬化させた後のエタノール摩耗値が10より大きい請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
空気下で硬化させた後のエタノール摩耗値が25より大きい請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
空気下で硬化させた後の全反射率が2.0未満である請求項1〜10のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
空気下で硬化させた後の全反射率が1.9未満である請求項1〜10のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
空気下で硬化させた後の全反射率が1.8未満である請求項1〜10のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
空気下で硬化させた後の硬度がHより大きい請求項1〜13のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
空気下で硬化させた後の硬度が2Hより大きい請求項1〜13のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
金属酸化物又は半金属(metalloid)酸化物を含むフッ素化アクリル化ナノ粒子(fluorinated acrylated nanoparticles)をさらに含む請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
前記金属酸化物又は半金属酸化物が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化アンチモン又はそれらの混合物から選択される請求項16に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
前記ナノ粒子が半金属酸化物を含む請求項16又は17に記載のコーティング組成物。
【請求項19】
前記半金属酸化物が酸化ケイ素である請求項16〜18のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項20】
フッ素化オリゴマーをさらに含む請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項21】
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンをさらに含む請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項22】
1種以上の光開始剤をさらに含み、該1種以上の光開始剤の合計量が、溶媒を除く組成物全量に対して6.0重量%以上である請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項23】
1種以上の光開始剤をさらに含み、該1種以上の光開始剤の合計量が、溶媒を除く組成物全量に対して8.0重量%以上である請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項24】
少なくとも1種の硬化促進剤(cure enhancing agent)をさらに含む請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1種の硬化促進剤が、ジアミン、ホスフィン又は亜リン酸塩から選択される請求項24に記載のコーティング組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1種の硬化促進剤がジアミンを含む請求項24又は25に記載のコーティング組成物。
【請求項27】
前記ジアミンがN,N,N−トリエチルエチレンジアミンを含む請求項24〜26のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項28】
高分子界面活性剤(polymeric surfactant)をさらに含む請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項29】
前記高分子界面活性剤のガラス転移温度(Tg)が70℃より高い請求項28に記載のコーティング組成物。
【請求項30】
前記高分子界面活性剤がセルロースアセテートブチレートである請求項28に記載のコーティング組成物。
【請求項31】
前記高分子界面活性剤が[Elvacite 2669]である請求項28に記載のコーティング組成物。
【請求項32】
前記高分子界面活性剤が[Elvacite 2008]である請求項28に記載のコーティング組成物。
【請求項33】
a.2より多いアクリレート基を有するアクリレート
b.少なくとも1個のフッ素結合(covalent fluorine bond)を有する少なくとも1種の成分、及び
c.1種以上の光開始剤
を含む放射線硬化性コーティング組成物であって、
該組成物中の該光開始剤の合計量が、溶媒を除く組成物の全重量に対して少なくとも6重量%であるコーティング組成物。
【請求項34】
前記アクリレートが3個より多いアクリレート基を有する請求項33に記載のコーティング組成物。
【請求項35】
前記アクリレートが4個より多いアクリレート基を有する請求項33に記載のコーティング組成物。
【請求項36】
前記アクリレートがペンタエリスリトールテトラアクリレートである請求項33又は34に記載のコーティング組成物。
【請求項37】
前記アクリレートがジペンタエリスリトールペンタアクリレートである請求項33〜35のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項38】
前記ジペンタエリスリトールペンタアクリレートを、溶媒を除く組成物全重量に対して3〜25重量%含む請求項37に記載のコーティング組成物。
【請求項39】
金属酸化物又は半金属酸化物からなるナノ粒子をさらに含む請求項33〜38のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項40】
前記ナノ粒子が酸化ケイ素を含む請求項39に記載のコーティング組成物。
【請求項41】
前記少なくとも1個のフッ素結合を有する少なくとも1種の成分が、フッ素化アクリル化部分(fluorinated acrylated moiety)を有するナノ粒子である請求項33〜40のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項42】
前記少なくとも1個のフッ素結合を有する少なくとも1種の成分がフッ素化オリゴマーである請求項33〜40のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項43】
前記1種以上の光開始剤が2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンを含む請求項33〜42のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項44】
前記1種以上の光開始剤を、溶媒を除く組成物全重量に対して少なくとも8.0重量%含む請求項33〜43のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項45】
少なくとも1種の硬化促進剤をさらに含む請求項33〜44のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項46】
前記少なくとも1種の硬化促進剤がジアミン、ホスフィン又は亜リン酸塩から選択される請求項45に記載のコーティング組成物。
【請求項47】
請求項33〜46のいずれか1項に記載の組成物を硬化させることによって得られたコーティング膜を含む反射防止系(antireflective system)。
【請求項48】
a.高屈折率コーティング膜、及び
b.請求項35に記載の低屈折率コーティング膜
を含む反射防止コーティング系。
【請求項49】
空気下で硬化させたときに、前記高屈折率コーティング膜が少なくとも1.58の屈折率を有する請求項48に記載の反射防止コーティング系。
【請求項50】
空気下で硬化させたときに、前記低屈折率コーティング膜が1.55以下の屈折率を有する請求項48に記載の反射防止コーティング系。
【請求項51】
請求項33〜46のいずれか1項に記載の組成物を硬化させて得られた低屈折率コーティング膜を含む物品(article)。
【請求項52】
高屈折率コーティング膜をさらに含む請求項51に記載の物品。
【請求項53】
a.基材、及び
b.ハードコート層
をさらに含み、
該ハードコート層が該基材上に直接コーティングされており、前記高屈折率コーティング膜が該ハードコート層の上にある請求項51又は52に記載の物品。
【請求項54】
前記物品が反射防止ディスプレイパネルである請求項51又は52に記載の物品。
【請求項55】
a.2より多いアクリレート基を有するアクリレート、
b.少なくとも1個のフッ素結合を有する少なくとも1種の成分、及び
c.1種以上の光開始剤を、
該組成物中の該光開始剤の合計量が、溶剤を除く組成物全重量に対して少なくとも6重量%で混合することを含む低屈折率コーティング組成物の製造方法。
【請求項56】
a.2より多いアクリレート基を有するアクリレート、
b.少なくとも1個のフッ素結合を有する少なくとも1種の成分、及び
c.1種以上の光開始剤を、
該組成物中の該光開始剤の合計量が、溶剤を除く組成物全重量に対して少なくとも6重量%で混合することを含む高速硬化薄膜低屈折率コーティング組成物の製造方法。

【公表番号】特表2007−535590(P2007−535590A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509407(P2007−509407)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000288
【国際公開番号】WO2005/103175
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】