説明

低残存モノマー含有量を有する超吸収剤の製造方法

低残存モノマー含有量の超吸収剤を製造するため、尿素塩及び無機酸を、重合前若しくは重合中モノマー混合物に、又は重合後で重合後の熱処理前ポリマーに添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低残存モノマー含有量を有する超吸収剤と、その製造方法及びその使用と、それを含む衛生品とに関する。
【0002】
超吸収剤は、既知である。かかる材料について、「高膨潤性ポリマー」、「ヒドロゲル」(しばしば乾燥形態についても使用される)、「ヒドロゲル形成ポリマー」、「吸水性ポリマー」、「吸収性ゲル形成材料」、「膨潤性樹脂」、「吸水性樹脂」、「吸水性ポリマー」等の名前も常用される。当該物質は、架橋親水性ポリマー、とりわけ(共)重合親水性モノマーのポリマー、適切なグラフトベース上の1つ以上の親水性モノマーのグラフト(コ)ポリマー、架橋セルロースエーテル又はデンプンエーテル、架橋カルボキシメチルセルロース、部分架橋ポリアルキレンオキシド又は水性液体において膨潤性である天然物、例えばグアー誘導体であり、それらの部分的に中和されたアクリル酸に基づく超吸収剤が最も普及している。超吸収剤の必須の性質は、それら自身の数倍の質量の水性液体を吸収し、且つ一定の圧力下でも再度液体を放出しない能力である。乾燥粉末の形態で使用される超吸収剤は、液体を吸収する際はゲルに転化され、通常通り水を吸収する際は同様にヒドロゲルに転化される。架橋は、水におけるポリマーの不溶性につながることから、合成超吸収剤に必須であり、通例の純粋増粘剤との重要な差異である。可溶物質は、超吸収剤として使用できない。超吸収剤の非常に重要な使用分野は、体液の吸収である。超吸収剤は、例えば、乳児のためのおむつ、成人のための失禁用製品、又は女性用衛生製品に使用される。他の使用分野は、例えば、市場園芸における水分保持剤として、防火用貯水として、食品包装における液体吸収のため、又は極一般的な吸湿のためである。
【0003】
超吸収剤は、それら自身の数倍の質量の水を吸収し、一定の圧力下でそれを保持することができる。一般に、かかる超吸収剤は、少なくとも5g/g、好ましくは少なくとも10g/g、より好ましくは少なくとも15g/gのCRC(「遠心分離保持能」、試験方法については下記参照)を有する。「超吸収剤」はまた、異なる個々の超吸収性物質の混合物、又はそれらが相互作用する場合にのみ超吸収性を示す成分の混合物であってよく;それは、物質組成というよりむしろ本明細書において重要な超吸収性である。
【0004】
その吸収能力のみならず、膨潤状態における加圧(保持)及び液体輸送下の液体を保持する能力も、超吸収剤にとって重要である。膨潤ゲルは、まだ膨潤していない超吸収剤への液体輸送を妨げる、又は防止することができる(「ゲルブロッキング」)。例えば、膨潤状態において高いゲル強度を有するヒドロゲルは、液体のための良好な輸送性を有する。低いゲル強度のみを有するゲルは、加圧(体圧)下で変形可能であり、超吸収性/セルロース繊維吸引体内の細孔をブロックし、液体の更なる吸収を防止する。ゲル強度の増加は一般に、より高い架橋度によって達成されるが、製品の吸収能力を減少させる。ゲル強度を増加させる的確な方法は、粒子の内部と比較して超吸収性粒子の表面における架橋度を増加させるものである。このためには、表面後架橋工程において通常乾燥させた、平均架橋密度を有する超吸収剤の細部を、その粒子の薄い表面層における更なる架橋に付す。表面後架橋は、超吸収性粒子の殻内の架橋密度を増加させ、それは、圧縮応力下における吸収量を高いレベルにまで上げる。超吸収性粒子の表面層内の吸収能力が低下すると共に、それらのコアは、可動性ポリマー鎖の存在の結果として、殻と比較して向上した吸収能力を有し、その結果、殻構造は、ゲルブロッキングが発生することなく液体伝導の向上を確保する。全体的に相対的に高度に架橋した超吸収剤が得られ、続いて、粒子内部における架橋度が粒子の外殻と比較して減少する可能性のあることが、同様に知られている。
【0005】
超吸収剤の製造方法も既知である。市場において最も一般的なアクリル酸に基づく超吸収剤は、架橋剤(「内部架橋剤」)の存在下でアクリル酸のフリーラジカル重合によって製造され、アクリル酸は、典型的には、アルカリ、通常水酸化ナトリウム水溶液を添加することによって重合の前、後、又は部分的に前、及び部分的に後にある程度中和される。こうして得られたポリマーゲルを微粉砕し(使用される重合反応器に準じ、重合と同時に行うことができる)、乾燥させる。粒子内部と比較してより高度に架橋した表面層を得るために、こうして得られた乾燥粉末(「ベースポリマー」)を、更なる架橋剤、例えば有機架橋剤、若しくは多価カチオン、例えばアルミニウム(通常、硫酸アルミニウムの形態において使用される)、又は両方と反応させることにより、粒子の表面上で典型的には後架橋させる。
【0006】
超吸収剤の場合においてしばしば生じる課題は変色であり、それは、高温又は高い空気湿度の下での貯蔵中に生じる。かかる条件は、熱帯又は亜熱帯の国における超吸収剤の貯蔵の場合においてしばしば生じる。超吸収剤は、かかる条件下で黄変する傾向があり;茶色又はほとんど黒色を呈する可能性さえある。実際には無色の超吸収性粉末のこの変色は、それがとりわけ所望の薄い衛生製品において可視であり、且つ消費者は見苦しい衛生製品を拒否することから、見苦しく、望ましくない。変色の原因は、完全には明らかにされていないが、重合による残存モノマー等反応性化合物、中和剤又は開始剤中の不純物、幾つかの開始剤の使用、表面後架橋剤又は安定剤、及び使用されるモノマー中の不純物が関与していると思われる。
【0007】
超吸収剤の製造における更なる課題は、望ましくなく高い割合の、残存モノマーとして既知の非転化モノマーを回避することである。過度に高い濃度において、これらは、毒物学的な懸念のある可能性が非常に高く;更にまた、反応性でもあり、望ましくない変色につながる可能性がある。
【0008】
更に、超吸収剤における望ましくなく高い含有量の鉄イオンは、課題につながる可能性がある。鉄不純物は、比較的高い含有量の残存モノマーと超吸収剤のより大きな黄変傾向とにつながる可能性がある。一般的な超吸収剤中の鉄の常習的な源は、水酸化ナトリウム溶液であり、それは、アクリル酸の部分中和に使用される。水酸化ナトリウム溶液は、鉄含有量も異なる各種純度において利用可能であるが、コストもまた純度と共に増加し、それによって、超吸収剤は、より経済的な実現性がなくなる。
【0009】
Fredric L.Buchholz and Andrew T.Graham(eds.)は、"Modern Superabsorbent Polymer Technology",J.Wiley & Sons,New York,U.S.A./Wiley−VCH,Weinheim,Germany,1997,ISBN 0−471−19411−5において、超吸収剤の包括的概要、それらの性質、及び超吸収剤の製造方法を示している。
【0010】
WO2008/055856A1は、リン酸又はリン酸塩、とりわけアルカリ金属リン酸塩の添加による超吸収剤製造中のアクリル酸の部分中和のために使用される水酸化ナトリウム溶液の過度に高い鉄含有量に起因する超吸収剤の変色の防止を教示している。JP05/086251Aは、変色に対する超吸収剤の安定剤としての、リン酸誘導体若しくはそれらの塩、とりわけ1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、又はそれらのアルカリ金属若しくはアンモニウム塩の使用を教示している。WO00/55245A1は、無機還元剤及び場合により金属塩による処理による、変色に対する超吸収剤の安定化を教示している。無機還元剤は、典型的には、次亜リン酸塩、亜リン酸塩、亜硫酸水素塩又は亜硫酸塩である。金属塩は、典型的には、無色(「無色」の性質は、しばしば単に「白色」とも称される)のリン酸塩、酢酸塩又は乳酸塩であるが、ハロゲン化物ではない。
【0011】
先行する国際特許出願PCT/EP2008/051009は、他の理由の中で変色に対する安定性を増加させるための超吸収剤への二価金属カチオンの塩基性塩の添加を教示している。先行する国際特許出願PCT/EP2008/051010は、同じ目的のための三価金属カチオンのカルボン酸塩及び/又は塩基性塩の使用を開示している。
【0012】
DE3831261A1は、粘着性のない、容易に粉砕可能な樹脂を得るための乾燥前の超吸収剤製造中の窒素を含有する熱分解可能な発泡剤の添加を教示している。可能な発泡剤として、尿素が特定される。WO02/096953A1の教示によれば、更なる多孔性を生じさせるため、尿素等の発泡剤を、カルボキシ多糖に基づく超吸収剤に添加することができる。WO2006/119828A1は、植物基質として適切な、ポリアクリレート超吸収剤と無機固形微粒子とから構成されるハイブリッド材料を教示している。この場合、重合中のCO2源として、即ち発泡剤として、又は施肥窒素源として、ハイブリッド材料、特に超吸収剤に尿素を含む特定の有機添加剤を添加することができる。
【0013】
WO98/58687A1は、ポリカルボキシ多糖超吸収剤のための可能な内部架橋剤としての尿素の使用を教示している。WO2004/018005A1及びWO2004/018006A1は、ポリアクリレート超吸収剤のための可能な表面後架橋剤としての尿素を特定している。
【0014】
WO95/17417A1は、尿素コーティングによって多糖の液吸収性が向上し得ることを開示している。
【0015】
WO95/19191A1は、超吸収剤によって血液吸収を向上させる非ポリマー向上剤の一覧において尿素を挙げている。
【0016】
WO83/00289A1は、血液及び漿体液のための吸収剤として、尿素でもよい超吸収剤及び添加剤の混合物を開示している。
【0017】
WO99/26987A1は、窒素化合物の塩をモノマー混合物に添加し、次いで120〜240℃の温度でポリマーを加熱することによる超吸収剤における残存モノマーレベルの減少を記載している。特定の窒素化合物は、アンモニア、ヒドロキシルアミン、脂肪族、脂環式及び芳香族モノ−及びポリアミン、複素環式アミン及びアルカノールアミンである。前記塩のアニオンは、無機又は有機酸のアニオンである。
【0018】
低残存モノマー含有量及びあるとしてもせいぜい許容可能な色を有する超吸収剤を製造するための新規な又は改良された方法が、本発明の目的である。圧力下においても、超吸収剤の使用性、とりわけ液に対するその吸収性、自由膨潤性及び液体を導くその能力、更にその自由流れは、仮にそうなったとしても、少なくとも著しく損なわれるべきではない。
【0019】
前記目的は、尿素と無機酸との塩を、重合の前若しくは間にモノマー混合物に、又は重合の後で、重合後の熱処理の前にポリマーに添加することによる超吸収剤を製造するための重合方法によって達成される。更に、この方法によって得られる超吸収剤と、この超吸収剤の使用と、この超吸収剤を含む衛生品とが見出された。
【0020】
本発明による方法は、それらの使用性が損なわれることのない低残存モノマー含有量及び低い変色傾向を有する超吸収剤をもたらす。
【0021】
本発明による重合方法は、重合の前、間、又は重合の後で、重合後の熱処理の前に尿素と無機酸との塩をモノマー混合物に添加するという点においてのみ、超吸収剤を製造するための公知の重合方法と異なる。換言すれば、超吸収剤を製造するための公知の重合方法のいずれも、発明の方法において尿素と無機酸との塩を添加することにより実施可能である。
【0022】
かかる塩の混合物を含む尿素と無機酸との任意の塩を使用することができる。換言すれば、「尿素と無機酸との塩」はまた、かかる塩の混合物を意味するとも理解される。還元的性質を有さない、即ち、通例の条件下でいずれの他の物質をも還元しない無機酸を使用することが好ましい。また、非酸化性酸、即ち、通例の条件下でいずれの他の物質をも酸化させない酸を使用することも好ましい。特に好ましい無機酸は、とりわけ硫酸、リン酸、ポリリン酸、ハロゲン化水素酸であり、前記ハロゲン化水素酸、とりわけフッ化水素酸及び塩化水素酸を含み、中でも後者が好ましい。非常に特に好ましい酸は、リン酸である。換言すれば:本発明による方法の非常に特に好ましい一実施形態において、重合の前、間、又は重合の後で、重合後の熱処理工程の前に、リン酸尿素が添加される。
【0023】
重合の前又は間に、より好ましくは重合前に、無機酸との(尿素塩類の混合物を含む)尿素塩を添加することが好ましい。換言すれば、尿素と無機酸との塩は、より好ましくはモノマー混合物に添加されて重合される。しかし、重合の開始後にのみ塩を添加する、又は完成ポリマーに添加することもできる。しかし、これは、ポリマーにおいて均一に塩を分散させる技術的な複雑性を増大させ、経済的実行可能性を減じる。
【0024】
超吸収剤を製造するための通例の方法において、重合は、水における、又は有機懸濁媒体における水性モノマー混合物の懸濁液における溶液重合として実施される。従って、重合後、熱処理工程−通常、単に「乾燥」として知られている−は、存在する水を除去するため、及び液体を吸収し得る乾燥超吸収剤を製造するために通常必要とされる。重合中に熱が放出される場合であっても、重合自体は、熱処理工程であるとは理解されない。除去すべき水がない場合においても、超吸収剤は、典型的には、表面後架橋のための熱処理工程を経る。本発明による方法における全ての場合において、尿素と無機酸との塩は、熱処理工程の前、好ましくは乾燥前に添加される。用いられる方法における特別の場合、いかなる熱処理工程が提供されなくても尿素と無機酸との塩は、重合の前、間、又は後に、好ましくは重合の前又は間に、より好ましくは重合の前に添加される。
【0025】
一般に、尿素と無機酸との塩は、各場合において完成超吸収剤に対して、少なくとも0.01質量%、好ましくは少なくとも0.1質量%、より好ましくは少なくとも0.2質量%、最も好ましくは少なくとも0.3質量%、一般に多くとも5質量%、好ましくは多くとも2.5質量%、より好ましくは多くとも1.5質量%、最も好ましくは多くとも1.0質量%の量で添加される。
【0026】
アクリレート超吸収剤を製造するための本発明による好ましい重合方法は、
a)酸性基を有し、且つ場合により少なくとも部分的に塩形態で存在する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)場合により、a)に指定されるモノマーと共重合可能な1種以上のエチレン性不飽和モノマー、
e)場合により1種以上の水溶性ポリマー、及び
f)尿素と無機酸との塩
を含むモノマー混合物の水溶液重合である。
【0027】
モノマーa)は、好ましくは水溶性であり、即ち、23℃の水における溶解度は、典型的には少なくとも1g/水100g、好ましくは少なくとも5g/水100g、より好ましくは少なくとも25g/水100g、最も好ましくは少なくとも35g/水100gである。
【0028】
適切なモノマーa)は、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸又はそれらの塩、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸及びイタコン酸又はそれらの塩である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。アクリル酸が、非常に特に好ましい。
【0029】
更に適切なモノマーa)は、例えば、エチレン性不飽和スルホン酸、例えば、スチレンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0030】
不純物は、重合にかなりの影響を及ぼす可能性がある。従って、使用される原料は、最高の純度を有するべきである。従って、特別にモノマーa)を精製することは、しばしば有利である。適切な精製方法は、例えば、WO2002/055469A1、WO2003/078378A1及びWO2004/035514A1に記載されている。適切なモノマーa)は、例えば、99.8460質量%のアクリル酸、0.0950質量%の酢酸、0.0332質量%の水、0.0203質量%のプロピオン酸、0.0001質量%のフルフラール、0.0001質量%の無水マレイン酸、0.0003質量%のジアクリル酸及び0.0050質量%のヒドロキノンモノメチルエーテルを含む、WO2004/035514A1に従って精製されるアクリル酸である。
【0031】
モノマーa)の総量におけるアクリル酸及び/又はその塩の割合は、好ましくは少なくとも50モル%、より好ましくは少なくとも90モル%、最も好ましくは少なくとも95モル%である。
【0032】
モノマー溶液は、各場合において中和されていないモノマーa)に対して、好ましくは多くとも250質量ppm、好ましくは多くとも130質量ppm、より好ましくは多くとも70質量ppmで、且つ好ましくは少なくとも10質量ppm、より好ましくは少なくとも30質量ppm、とりわけ約50質量ppmのヒドロキノンモノエーテルを含み;中和されたモノマーa)、即ちモノマーa)の塩は、中和されていないモノマーとしての計算目的のために考慮される。例えば、モノマー溶液は、適切な含有量のヒドロキノンモノエーテルと共に酸性基を有するエチレン性不飽和モノマーを使用して製造され得る。
【0033】
好ましいヒドロキノンモノエーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はα−トコフェロール(ビタミンE)である。
【0034】
適切な架橋剤b)は、架橋に適切な少なくとも2個の基を有する化合物である。かかる基は、例えば、ポリマー鎖にフリーラジカル重合され得るエチレン性不飽和基、及びモノマーa)の酸性基との共有結合を形成し得る官能基である。更に、モノマーa)の少なくとも2個の酸性基と配位結合を形成し得る多価金属塩はまた、架橋剤b)としても適切である。
【0035】
架橋剤b)は、好ましくは、ポリマー網目構造にフリーラジカル重合され得る少なくとも2個の重合性基を有する化合物である。適切な架橋剤b)は、例えば、EP530438A1に記載のエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン、EP547847A1、EP559476A1、EP632068A1、WO93/21237A1、WO2003/104299A1、WO2003/104300A1、WO2003/104301A1及びDE10331450A1に記載のジ−及びトリアクリレート、アクリレート基の他に、DE10331456A1及びDE10355401A1に記載の更なるエチレン性不飽和基を含む混合アクリレート、又は例えばDE19543368A1、DE19646484A1、WO90/15830A1及びWO2002/32962A2に記載の架橋剤混合物である。
【0036】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリスリチルトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、10〜20−tuplyエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、10〜20−tuplyエトキシ化トリメチロールエタントリアクリレート、より好ましくは15−tuplyエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコール鎖中に4〜30個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、3〜30−tuplyエトキシ化グリセロールのジ−及びトリアクリレート、より好ましくは10〜20−tuplyエトキシ化グリセロールのジ−及びトリアクリレート、並びにトリアリルアミンである。アクリル酸によって不完全にエステル化されたポリオールはまた、それ自体とのマイケル付加物の形態でここに存在する可能性もあり、その結果、テトラアクリレート、ペンタアクリレート又は更により高次のアクリレートが存在する可能性もある。
【0037】
非常に特に好ましい架橋剤b)は、例えばWO2003/104301A1に記載の、ジ−又はトリアクリレートを得るためにアクリル酸又はメタクリル酸によってエステル化されたポリエトキシ化及び/又は−プロポキシ化グリセロールである。3〜10−tuplyエトキシ化グリセロールのジ−及び/又はトリアクリレートが、特に有利である。1〜5−tuplyエトキシ化及び/又はプロポキシ化グリセロールのジ−又はトリアクリレートが、非常に特に好ましい。3〜5−tuplyエトキシ化及び/又はプロポキシ化グリセロールのトリアクリレート、とりわけ3−tuplyエトキシ化グリセロールのトリアクリレートが、最も好ましい。
【0038】
架橋剤b)の量は、各場合においてモノマーa)に対して、好ましくは0.05〜1.5質量%、より好ましくは、0.1〜1質量%、最も好ましくは0.3〜0.6質量%である。架橋剤含有量が増加するにつれ、遠心分離保持能(CRC)が低下し、0.3psi(AUL0.3psi)の圧力下における吸収量が増加する。
【0039】
開始剤c)は、重合条件下においてフリーラジカルを生成する全ての化合物、例えば熱開始剤、レドックス開始剤、光重合開始剤であってよい。適切なレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/重亜硫酸ナトリウム、及び過酸化水素/重亜硫酸ナトリウムである。ペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸等の熱開始剤及びレドックス開始剤の混合物を使用することが好ましい。しかし、使用される還元成分は、好ましくは、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩と2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸のジナトリウム塩と重亜硫酸ナトリウムとの混合物(L.Brueggemann KG,Salzstrasse 131,74076 Heilbronn,Germany,www.brueggemann.comから得られるBrueggolit(登録商標)FF6M又はBrueggolit(登録商標)FF7、或いはBRUGGOLITE(登録商標)FF6M又はBRUGGOLITE(登録商標)FF7として)である。
【0040】
酸性基を有するエチレン性不飽和モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーd)は、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、マレイン酸及び無水マレイン酸である。
【0041】
使用される水溶性ポリマーe)は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはデンプン、デンプン誘導体及び変性セルロースであってよい。
【0042】
尿素と無機酸f)との塩は、上記のものである。特に、尿素と、硫酸、リン酸、ハロゲン化水素酸との塩であり、前記ハロゲン化水素酸は、とりわけフッ化水素酸及び塩化水素酸を含み、前記ハロゲン化水素酸の中で後者が好ましい。リン酸尿素の添加が、非常に特に好ましい。
【0043】
典型的には、モノマー水溶液が使用される。モノマー溶液の水分含有量は、好ましくは40〜75質量%、より好ましくは45〜70質量%、最も好ましくは50〜65質量%である。また、モノマー懸濁液、即ち過飽和モノマー溶液を使用することもできる。水分含有量が上昇するにつれ、その後の乾燥におけるエネルギー必要量が増加し、水分含有量が低下するにつれて、重合熱が不適切に除去されるだけである。
【0044】
最適な作用のために、好ましい重合抑制剤は、溶存酸素を必要とする。従って、不活性化、即ち好ましくは窒素又は二酸化炭素に不活性気体を流すことによる重合の前に、モノマー溶液から溶存酸素を除去することができる。重合前に、モノマー溶液の酸素含有量は、好ましくは1質量ppm未満、より好ましくは0.5質量ppm未満、最も好ましくは0.1質量ppm未満に低下させられる。
【0045】
モノマー混合物は、更なる成分を含んでよい。溶液中の金属イオンを保つため、この種類のモノマー混合物において使用される更なる成分の例として、キレート剤が挙げられる。
【0046】
適切な重合反応器は、例えば混練反応器又はベルト反応器である。混練機内で、モノマー水溶液又は懸濁液の重合において形成されるポリマーゲルは、例えば、WO2001/38402A1に記載の反転撹拌機軸によって連続的に微粉砕される。ベルト上の重合は、例えばDE3825366A1及びUS6,241,928に記載されている。ベルト反応器内の重合は、ポリマーゲルを形成し、それは、例えば挽肉器、押出機又は混練機内で、更なる工程段階において微粉砕されなければならない。しかし、懸濁、噴霧又は液滴重合工程によって球状超吸収性粒子を生成することもできる。特に本発明により好ましいリン酸尿素の使用は、相対的に短い重合時間の、重合工程、例えば混練反応器又は液滴重合において特に有利である。
【0047】
得られたポリマーゲルの酸性基は、典型的には部分的に中和された。中和は、好ましくはモノマー段階で行われ;換言すれば、酸性基を有するモノマーの塩、又は、厳密には、酸性基を有するモノマーと酸性基を有するモノマーの塩との混合物(「部分的に中和された酸」)は、重合において成分a)として使用される。これは、典型的には、水溶液として、又は、好ましくは、重合が意図されるモノマー混合物へ、若しくは好ましくは酸性基を有するモノマーへ、固体若しくはその溶液としても、中和剤を混合することによって行われる。中和の程度は、通例の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩、更にそれらの混合物が使用され得る、好ましくは25〜95モル%、より好ましくは50〜80モル%、最も好ましくは65〜72モル%である。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用することもできる。特に好ましいアルカリ金属カチオンは、ナトリウム及びカリウムであるが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム、更にそれらの混合物が非常に特に好ましい。
【0048】
しかし、重合において形成されるポリマーゲルの段階で、重合後に中和を行うこともできる。ポリマーゲル段階で、実際にモノマー溶液に中和剤の一部を添加し、重合後のみにおける所望の最終中和度を設定することによって、重合前に、最高40モル%、好ましくは10〜30モル%、より好ましくは15〜25モル%の酸性基を中和することもできる。ポリマーゲルが少なくとも部分的に重合後に中和される場合、ポリマーゲルは、好ましくは、機械的に、例えば押出機によって微粉砕され、その場合、中和剤を噴霧する、撒く、又は注ぐことができ、次いで慎重に混合することができる。この目的のため、得られたゲル塊は、均質化のため繰り返し押出され得る。
【0049】
しかし、モノマー段階で中和を実施することが好ましい。換言すれば:非常に特に好ましい一実施形態において、使用されるモノマーa)は、100モル%の酸性基を有するモノマーに対して25〜95モル%、より好ましくは50〜80モル%、より好ましくは65〜72モル%の酸性基を有するモノマーの塩と残部との混合物である。この混合物は、例えば、アクリル酸ナトリウムとアクリル酸との混合物、又はアクリル酸カリウムとアクリル酸との混合物である。
【0050】
好ましい一実施形態において、中和のために使用される中和剤は、鉄含有量が一般に10質量ppm未満、好ましくは2質量ppm未満、より好ましくは1質量ppm未満のものである。同様に、低含有量の塩化物及び塩素の酸素酸のアニオンが望ましい。適切な中和剤は、例えば、典型的には「膜グレード」として取引される50質量%の水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液であり;更により純粋で且つ好ましいが、より高価なものとして、典型的には「アマルガムグレード」又は「水銀法」として取引される50質量%の水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液である。次いで、水溶液重合及び適切な場合その後の中和から得られるポリマーゲルは、残留湿気含有量が好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%、最も好ましくは2〜8質量%になるまで、好ましくはベルト乾燥機によって乾燥される(残留湿気又は水分含有量についての試験方法については下記参照)。過度に高い残留湿気含有量の場合、乾燥ポリマーゲルは、過度に低いガラス転移温度Tgを有し、かろうじて加工され得る。過度に低い残留湿気含有量の場合、乾燥ポリマーゲルは、非常に脆く、その後の微粉砕工程において、過度に低い粒径(「微粒子」)を有する望ましくなく大量のポリマー粒子が得られる。乾燥前のゲルの固形分含有量は、一般に25〜90質量%、好ましくは30〜80質量%、より好ましくは35〜70質量%、最も好ましくは40〜60質量%である。しかし、場合により、流動床乾燥機、又は機械的混合装置を有する加熱可能ミキサ、例えば、パドル乾燥機又は異なる設計の混合器具を有する同様の乾燥機を使用して乾燥することもできる。場合により、酸化黄変プロセスを防止するため、窒素若しくは別の非酸化不活性気体の下で、又は少なくとも低下した部分的酸素圧の下で、前記乾燥機を作動させることができる。しかし、一般に、水蒸気の十分な通気及び除去によって、合格品は得られる。非常に短い乾燥時間は、一般に色及び製品品質に関して有利である。一般的なベルト乾燥機の場合、通例の操作モードにおいて、低くとも50℃、好ましくは低くとも80℃、より好ましくは低くとも100℃、一般に高くとも250℃、好ましくは高くとも200℃、より好ましくは高くとも180℃の、乾燥に用いられる気体の温度が、この目的のために確立される。適切なベルト乾燥機は、しばしば幾つかのチャンバを有し;これらのチャンバ内の温度は異なってもよい。各乾燥機の種類において、運転条件は、所望の乾燥の結果が達成されるよう公知の方法において全体的に選択されるべきである。
【0051】
乾燥中、ポリマー粒子における残存モノマー含有量もまた減少し、開始剤の最後の残渣が破壊される。
【0052】
その後、乾燥ポリマーゲルを粉砕及び分級し、典型的には単段ロールミル又は多段ロールミル、好ましくは二段階又は三段階ロールミル、ピンミル、ハンマミル又は振動ミルを含む装置を、粉砕に使用することができる。しばしば依然として内側で乾燥しないオーバーサイズのゲル塊は、エラストマーであって、粉砕における課題ともなり、好ましくは粉砕前に除去され、それは、風による篩分けによって、又は篩(ミル用「防護篩」)によって、単純な方法で行われ得る。使用されるミルを鑑みて、篩のメッシュサイズは、オーバーサイズエラストマー粒子から生じる最小レベルの破壊が発生するように選択されるべきである。
【0053】
非常に大きく、不十分に微細に粉砕された超吸収性粒子は、それらの主な使用、おむつ等衛生製品における粗粒子として認識可能であり;それらはまた、超吸収剤の平均初期膨潤速度を低下させる。両方とも、望ましくない。従って、有利には、粗粒子ポリマー粒子は、製品から除去される。これは、典型的には、分級法(例えば、風による篩分け)によって、又は、大きくとも1000μm、好ましくは大きくとも900μm、より好ましくは大きくとも850μm、最も好ましくは大きくとも800μmのメッシュサイズを有する篩を通した篩分けによって行われる。例えば、メッシュサイズ700μm、650μm又は600μmの篩が使用される。コスト最適化のため、粗ポリマー粒子(「オーバーサイズ」)を粉砕及び篩分けサイクルに戻す、又は更に別々に加工することができる。
【0054】
過度に小さな粒径を有するポリマー粒子は、浸透性(SFC)を低下させる。従って、有利には、ポリマー微粒子も、この分級において除去される。篩分けが実施される場合、これは、便宜には、大きくとも300μm、好ましくは大きくとも200μm、より好ましくは大きくとも150μm、最も好ましくは大きくとも100μmのメッシュサイズの篩によって使用され得る。除去されたポリマー微粒子(「アンダーサイズ」又は「微粒子」)は、コスト最適化のため、ゲルの乾燥前に、モノマー流に、重合しているゲルに、又は完全に重合したゲルに、要望どおり戻される。
【0055】
生成分級物として除去されるポリマー粒子の平均粒径は、一般に小さくとも200μm、好ましくは小さくとも250μm、より好ましくは小さくとも300μm、一般に大きくとも600μm、より好ましくは大きくとも500μmである。小さくとも150μmの粒径を有する粒子の割合は、一般に少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%、最も好ましくは少なくとも98質量%である。大きくとも850μmの粒径を有する粒子の割合は、一般に少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%、最も好ましくは少なくとも98質量%である。
【0056】
このように製造されるポリマーは、超吸収性を有し、「超吸収剤」という用語によって包摂される。そのCRCは、典型的には比較的高いが、そのAUL又はSFCは、比較的低い。この種類の表面非後架橋超吸収剤は、しばしばそれから製造された表面後架橋超吸収剤からそれを区別するために「ベースポリマー」と称される。
【0057】
更に性質を向上させる、とりわけAUL値及びSFC値を上げるため(それによって、CRC値が低下する)、超吸収性粒子を表面後架橋させることができる。適切な後架橋剤は、結合を超吸収性粒子の少なくとも2つの官能基により形成することができる基を含む化合物である。市場に普及しているアクリル酸/アクリル酸ナトリウム系超吸収剤の場合、適切な表面後架橋剤は、少なくとも2個のカルボキシレート基との結合を形成し得る基を含む化合物である。好ましい後架橋剤は、一般式(I)
【化1】

[式中、
1は、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル又はC6〜C12−アリールであり、
2は、X又はOR6であり、
3は、水素、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル若しくはC6〜C12−アリール、又はXであり、
4は、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル又はC6〜C12−アリールであり、
5は、水素、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル、C1〜C12−アシル又はC6〜C12−アリールであり、
6は、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル又はC6〜C12−アリールであり、及び
Xは、一緒にR2及びR3基についてのカルボニル酸素であり、
ここでR1並びにR4及び/又はR5及びR6は、架橋C2〜C6−アルカンジイルであってよく、前記R1〜R6基はまた、合計1〜2つの自由原子価を有してもよく、これらの自由原子価による少なくとも1つの適切なベース構造に結合してよい]のアミド/アセタール又はカルバメート、
又は多価アルコールであって、好ましくはヒドロキシル基1個につき100g/モル未満、好ましくは90g/モル未満、より好ましくは、80g/モル未満、最も好ましくは70g/モル未満の分子量を有し、近接した基、ジェミナルな基、第二級又は第三級ヒドロキシル基を有さない多価アルコールであって、多価アルコールは、一般式(IIa)
【化2】

[式中、
7は、式−(CH2n−[式中、nは、3〜20、好ましくは3〜12の整数であり、両方のヒドロキシル基は、末端である]の非分枝状ジアルキル基であり、又はR7は、非分枝状、分枝状又は環状ジアルキル基である]のジオール、又は一般式(IIb)
【化3】

[式中、
8基、R9基、R10基、R11基は、各々独立して水素、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルオキシメチル、1−ヒドロキシプロパ−2−イルオキシメチル、2−ヒドロキシプロピルオキシメチル、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1,2−ジヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、又は4−ヒドロキシブチルであり、合計2、3又は4個、好ましくは2又は3個のヒドロキシル基が存在し、R8基、R9基、R10基及びR11基の内の1つ以下がヒドロキシルである]のポリオールである、
又は一般式(III)
【化4】

[式中、
12、R13、R14、R15、R16及びR17は、各々独立して水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル又はイソブチルであり、nは、0又は1である]の環状カーボネート、
又は一般式(IV)
【化5】

[式中、
18、R19、R20、R21、R22、R23、R24及びR25は、各々独立して水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル又はイソブチルであり、R26は、単結合、直鎖状、分枝状若しくは環状C2〜C12−ジアルキル基、或いは、例えばポリグリコールジカルボン酸が有する通りの1〜10個のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位で形成されたポリアルコキシジイル基である]のビスオキサゾリンである。
【0058】
一般式(II)の好ましい架橋剤は、2−オキサゾリドン、例えば2−オキサゾリドン及びN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン、N−メチル−2−オキサゾリドン、N−アシル−2−オキサゾリドン、例えばN−アセチル−2−オキサゾリドン、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン、二環式アミドアセタール、例えば5−メチル−1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン及び5−イソプロピル−1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、ビス−2−オキサゾリドン、及びポリ−2−オキサゾリドンである。
【0059】
一般式(I)の特に好ましい後架橋剤は、2−オキサゾリドン、N−メチル−2−オキサゾリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン、及びN−ヒドロキシプロピル−2−オキサゾリドンである。
【0060】
一般式(IIa)の好ましい後架橋剤は、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及び1,7−ヘプタンジオールである。式(IIa)の後架橋剤の更なる例として、1,3−ブタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、及び1,10−デカンジオールが挙げられる。
【0061】
ジオールは、好ましくは水溶性であり、一般式(IIa)のジオールは、少なくとも30質量%程度、好ましくは少なくとも40質量%程度、より好ましくは少なくとも50質量%程度、最も好ましくは少なくとも60質量%程度23℃で水溶性であり、例えば、1,3−プロパンジオール、及び1,7−ヘプタンジオールである。25℃で液体であるそれらの後架橋剤が、更により好ましい。
【0062】
一般式(IIb)の好ましい後架橋剤は、ブタン−1,2,3−トリオール、ブタン−1,2,4−トリオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、(分子1個につき)1〜3−tuplyエトキシ化グリセロール、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパン、(分子1個につき)1〜3−tuplyプロポキシ化グリセロール、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパンである。2−tuplyエトキシ化又はプロポキシ化ネオペンチルグリコールが、更に好ましい。2及び3−tuplyエトキシ化グリセロール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、及びトリメチロールプロパンが、特に好ましい。
【0063】
好ましい多価アルコール(IIa)及び(IIb)は、23℃で、3000mPas未満、好ましくは1500mPas未満、選好的には1000mPas未満、より好ましくは500mPas未満、最も好ましくは300mPas未満の粘度を有する。
【0064】
一般式(III)の特に好ましい後架橋剤は、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートである。
【0065】
一般式(IV)の特に好ましい後架橋剤は、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)である。
【0066】
好ましい後架橋剤は、揮発性の、故に悪臭を放つ化合物をもたらす副反応及び後続反応を最小限に抑える。従って、好ましい後架橋剤で製造された超吸収剤は、湿潤状態においても臭気的に中性である。
【0067】
上記選択肢の個々の後架橋剤、又は異なる後架橋剤の任意の混合物を使用することができる。
【0068】
後架橋剤は一般に、各場合においてベースポリマーの質量に対して、少なくとも0.001質量%、好ましくは少なくとも0.02質量%、より好ましくは少なくとも0.05質量%、一般に多くとも2質量%、好ましくは多くとも1質量%、より好ましくは多くとも0.3質量%、例えば、多くとも0.15質量%又は多くとも0.095質量%の量において使用される。
【0069】
後架橋は典型的に、後架橋剤の溶液が乾燥ベースポリマー粒子上に噴霧される方法で実施される。噴霧塗布後、後架橋剤によってコーティングされたポリマー粒子を熱乾燥させ、乾燥の前又は間に後架橋反応が起こる可能性がある。重合性基を有する表面後架橋剤を使用する場合、表面後架橋はまた、一般的なフリーラジカル形成体による、又は高エネルギー放射線、例えばUV光によるかかる基のフリーラジカル誘起重合によって実施することもできる。これは、並行して、又はベースポリマー粒子の表面において官能基への共有結合若しくはイオン結合を形成する後架橋剤を使用する代わりに行われ得る。
【0070】
後架橋剤溶液の噴霧塗布は、好ましくは、動く混合器具を有するミキサ、例えばスクリューミキサ、ディスクミキサ若しくはパドルミキサ、又は他の混合器具を有するミキサにおいて実施される。縦型ミキサが、特に好ましい。しかし、流動床において後架橋剤溶液を噴霧することもできる。適切なミキサは、例えば、Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH,Eisener−Strasse 7−9,33102 Paderborn,GermanyのPflugschar(登録商標)プラウシェアミキサとして、又はHosokawa Micron BV,Gildenstraat26,7000 AB Doetinchem,the NetherlandsのSchugi(登録商標)Flexomix(登録商標)ミキサ、Vrieco−Nauta(登録商標)ミキサ若しくはTurbulizer(登録商標)ミキサとして入手可能である。
【0071】
使用可能な噴霧ノズルは、いかなる制限も受けない。適切なノズル及びアトマイゼーションシステムは、例えば、以下の参考文献:Zerstaeuben von Fluessigkeiten[Atomization of Liquids],Expert−Verlag,vol.660,Reihe Kontakt & Studium,Thomas Richter(2004)、及びZerstaeubungstechnik[Atomization Technology],Springer−Verlag,VDI−Reihe,Guenter Wozniak(2002)に記載されている。単分散及び多分散噴霧システムを使用することができる。多分散システムのうち、一物質圧力ノズル(噴流又は薄層を形成)、回転アトマイザ、二物質アトマイザ、超音波アトマイザ及び衝突ノズルがある。二物質アトマイザの場合、液相は、内部又は外部において気相と混合され得る。ノズルの噴霧プロファイルは重要ではなく、任意の所望の形態、例えば円形噴流、フラット噴流、広角円形ビーム又は円環噴霧のプロファイルを取ることができる。二物質アトマイザを使用する場合、非酸化性気体を使用することが有利であり、窒素、アルゴン又は二酸化炭素が特に好ましい。被噴霧液体は、かかるノズルに圧力下で供給され得る。噴霧液体は、特定の最低速度に到達した際、金型ボア内で減圧することにより霧化され得る。更に、本発明の目的のための一物質ノズル、例えばスロット金型又は衝突チャンバ(充円錐ノズル)(例えば、Duesen−Schlick GmbH,Germany、又はSpraying Systems Deutschland GmbH,Germany)を使用することもできる。かかるノズルは、EP0534228A1及びEP1191051A2にも記載されている。
【0072】
後架橋剤は、典型的には水溶液の形態で使用される。溶媒として水のみを使用する場合、有利には、界面活性剤又は解凝集助剤が、後架橋剤溶液又は実際にベースポリマーに添加される。これは、浸潤性能を向上させ、塊形成傾向を軽減させる。
【0073】
全てのアニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の界面活性剤が、解凝集助剤として適切であるが、皮膚適合性の理由から、非イオン性及び両性の界面活性剤が好ましい。また、界面活性剤は、窒素を含んでもよい。例えば、ソルビタンモノエステル、例えばソルビタンモノココエート及びソルビタンモノラウレート、又はそれらのエトキシ化変形物、例えばPolysorbat20(登録商標)が添加される。更に適切な解凝集助剤は、Lutensol XL(登録商標)及びLutensol XP(登録商標)(BASF SE,Carl−Bosch−Strasse38,67056Ludwigshafen,Germany)のブランド名で販売されている、2−プロピルヘプタノールのエトキシ化及びアルコキシ化誘導体である。
【0074】
解凝集助剤は、別々に計量しても、後架橋剤溶液に添加してもよい。単に解凝集助剤を後架橋剤溶液に添加することが好ましい。
【0075】
使用される解凝集助剤の量は、ベースポリマーに対して、例えば、0〜0.1質量%、好ましくは0〜0.01質量%、より好ましくは0〜0.002質量%である。解凝集助剤は、好ましくは、23℃の膨潤ベースポリマー及び/又は膨潤後架橋超吸収剤の水様抽物の表面張力が少なくとも0.060N/m、好ましくは少なくとも0.062N/m、より好ましくは少なくとも0.065N/m、有利には多くとも0.072N/mとなるよう計量される。
【0076】
また、後架橋剤水溶液は、少なくとも1種の後架橋剤の他に共溶媒を含むこともできる。非水溶媒の含有量又は溶媒の総量は、ポリマー粒子への後架橋剤の侵入深さを調整するために使用され得る。産業的に容易に得られる共溶媒は、C1〜C6−アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、又は2−メチル−1−プロパノール、C2〜C5−ジオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、又は1,4−ブタンジオール、ケトン、例えばアセトン、又はカルボン酸エステル、例えば酢酸エチルである。これらの共溶媒の一部の短所は、それらが典型的な固有の臭気を有する点にある。
【0077】
共溶媒自体は、反応条件下において、理想的には後架橋剤ではない。しかし、境界線上の場合、滞留時間及び温度に応じて、共溶媒が部分的に架橋に寄与する可能性がある。このことは、とりわけ後架橋剤が比較的不活性であり、そのためそれ自体もその共溶媒であり得る場合、例えば一般式(IV)の環状カーボネート、一般式(IIIa)のジオール、又は一般式(IIIb)のポリオールを使用する場合該当する。かかる後架橋剤は、より反応性の高い後架橋剤との混合物において、又は共溶媒としての機能において使用され得るが、これは、次いで実際の後架橋反応を、より反応性の高い架橋剤が存在しない場合より低い温度及び/又は短い滞留時間で実施できるためである。共溶媒は、比較的多量で使用され、また部分的に製品中に残留するため、毒性であってはならない。
【0078】
また、一般式(IIa)のジオール、一般式(IIb)のポリオール、及び一般式(III)の環状カーボネートも、本発明による方法において共溶媒として適切である。これらは、一般式(I)及び/又は(IV)の反応性後架橋剤、及び/又はジ−若しくはトリグリシジル化合物の存在下でこの機能を果たす。しかし、とりわけヒドロキシル基の反応が隣接する基によって立体的に阻害される場合、本発明による方法において好ましい共溶媒は、とりわけ一般式(IIa)のジオールである。かかるジオールは、原則として後架橋剤としても適切であるが、立体的に阻害されていないジオールよりも極めて高い反応温度、又は適切な場合には多くの使用量を必要とする。
【0079】
共溶媒としての低反応性後架橋剤と反応性後架橋剤との特に好ましい組み合わせは、好ましい多価アルコール、一般式(IIa)のジオール、及び一般式(IIb)のポリオールと、一般式(I)のアミドアセタール又はカルバメートとの組み合わせである。
【0080】
適切な組み合わせは、例えば、2−オキサゾリドン/1,2−プロパンジオール、及びN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン/1,2−プロパンジオール、及び、更に、エチレングリコールジグリシジルエーテル/1,2−プロパンジオールである。
【0081】
非常に特に好ましい組み合わせは、2−オキサゾリドン/1,3−プロパンジオール、及びN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン/1,3−プロパンジオールである。
【0082】
更に好ましい組み合わせは、エチレングリコールジグリシジルエーテル又はグリセリルジグリシジルエーテル若しくはグリセリルトリグリシジルエーテルと、以下の溶媒、共溶媒又は共架橋剤:イソプロパノール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、又はそれらの混合物との組み合わせである。
【0083】
更に好ましい組み合わせは、以下の溶媒、共溶媒又は共架橋剤:イソプロパノール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、又はそれらの混合物における2−オキサゾリドン又は(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドンの組み合わせである。
【0084】
しばしば、後架橋剤水溶液中の共溶媒の濃度は、後架橋剤溶液に対して15〜50質量%、好ましくは15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。水和度が限定されているだけの共溶媒の場合、適切な場合には共溶媒の濃度を低下させることによって1つの相のみが存在するよう、後架橋剤水溶液を調整することが有利である。
【0085】
好ましい一実施形態において、共溶媒は使用されない。後架橋剤は、次いで、適切な場合、解凝集助剤の添加によって、水における溶液としてのみ用いられる。
【0086】
後架橋剤水溶液中の少なくとも1種の後架橋剤の濃度は、後架橋剤溶液に対して、典型的には1〜20質量%、好ましくは1.5〜10質量%、より好ましくは2〜5質量%である。
【0087】
ベースポリマーに対する後架橋剤溶液の総量は、典型的には0.3〜15質量%、好ましくは2〜6質量%である。
【0088】
通常、ベースポリマー粒子の表面における表面後架橋剤と官能基との反応による実際の表面後架橋は、典型的には「乾燥」(典型的には非常により多くの液体が除去されなければならない、重合からのポリマーゲルの上記の乾燥と混同されない)と称される、表面後架橋剤溶液によって湿らされたベースポリマーを加熱することによって実施される。乾燥は、被覆の加熱によって、熱交換面によって、又は暖かい気体の吹込みによって、ミキサ自体において実施され得る。同時に例えば、流動床乾燥機において超吸収剤と表面後架橋剤とを混合し乾燥することができる。しかし、乾燥は、通常、下流の乾燥機、例えば、トレイ乾燥機、回転チューブ炉、パドル若しくはディスク乾燥機、又は加熱可能スクリューにおいて実施される。適切な乾燥機は、例えば、Bepex International LLC,333N.E.Taft Street,Minneapolis,MN55413,U.S.A.のSolidair(登録商標)又はTorusdisc(登録商標)乾燥機として、又はNara Machinery Co.,Ltd.,European Branch,Europaallee 46,50226 Frechen,Germanyのパドル乾燥機若しくは流動床乾燥機として入手可能である。
【0089】
乾燥と、表面後架橋を実施するための下流の乾燥機における接触面によって、又は暖かい不活性気体の供給によって、又は1種以上の不活性気体と蒸気との混合物によって、又は蒸気単独でポリマー粒子を加熱することができる。接触面による熱供給の場合、わずかに又は完全に低下した圧力で、不活性気体下で反応を実施することができる。本発明によれば、ポリマー粒子の直接加熱のために蒸気を使用する場合、標準圧又は高圧下で乾燥機を作動することが望ましい。この場合、後架橋工程を、蒸気による加熱工程と不活性気体下であるが蒸気のない反応工程とに分けることが、賢明であり得る。これは、1つ以上の装置において達成され得る。本発明によれば、ポリマー粒子は、後架橋ミキサにおける場合と同程度に早期に蒸気によって加熱され得る。使用されるベースポリマーは、上記工程段階からの、10〜120℃の温度を依然として有することができ;後架橋剤溶液は、0〜70℃の温度を有することができる。特に、後架橋剤溶液は、粘度を減少させるために加熱され得る。
【0090】
好ましい乾燥温度は、100〜250℃、好ましくは120〜220℃、より好ましくは130〜210℃、最も好ましくは150〜200℃の範囲内である。反応ミキサ又は乾燥機におけるこの温度での好ましい滞留時間は、好ましくは少なくとも10分間、より好ましくは少なくとも20分、最も好ましくは少なくとも30分、典型的には長くとも60分である。典型的には、超吸収剤が、一般に少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.2質量%、最も好ましくは少なくとも0.5質量%、一般に多くとも15質量%、好ましくは多くとも10質量%、より好ましくは多くとも8質量%の残留水分含有量を有するよう乾燥が行われる。
【0091】
後架橋は、標準大気条件下で起こり得る。「標準大気条件」は、後架橋反応が主に起こる装置(「後架橋反応器」、典型的には乾燥機)における酸化性気体の分圧、例えば大気酸素のそれを減少させるために技術的な事前の対策がとられないことを意味する。しかし、酸化性気体の減少した分圧下で後架橋反応を実施することが好ましい。酸化性気体は、23℃で、少なくとも1013mbarの蒸気圧を有し、且つ燃焼プロセスにおいて酸化剤として働く物質、例えば酸素、酸化窒素及び二酸化窒素、とりわけ酸素である。酸化性気体の分圧は、好ましくは140mbar未満、好ましくは100mbar未満、より好ましくは50mbar未満、最も好ましくは10mbar未満である。熱後架橋が周囲圧力、即ち約1013mbarの全圧で実施される場合、酸化性気体の全分圧は、それらの体積割合によって決まる。酸化性気体の割合は、好ましくは14体積%未満、好ましくは10体積%未満、より好ましくは5体積%未満、最も好ましくは1体積%未満である。
【0092】
後架橋は、減圧下、即ち1013mbar未満の全圧で実施され得る。全圧は、典型的には670mbar未満、好ましくは480mbar未満、より好ましくは300mbar未満、最も好ましくは200mbar未満である。乾燥及び後架橋が、20.8体積%の酸素含有量を有する空気の下で実施される場合、前記全圧に相当する部分酸素圧は、139mbar(670mbar)、100mbar(480mbar)、62mbar(300mbar)及び42mbar(200mbar)であり、特定の全圧は、括弧内に記す。酸化性気体の分圧を低下させる別の手段は、後架橋に使用する装置内への非酸化性気体、とりわけ不活性気体の導入である。適切な不活性気体は、後架橋温度及び所定の圧力にて後架橋乾燥機において気体形態で存在し、且つこれらの条件下で乾燥ポリマー粒子の成分に対する酸化作用を有さない物質、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン、蒸気であり、窒素が好ましい。不活性気体の量は、1kgの超吸収剤に対して、一般に0.0001〜10m3、好ましくは0.001〜5m3、より好ましくは0.005〜1m3、最も好ましくは0.005〜0.1m3である。
【0093】
本発明による方法において、不活性気体は、それが蒸気を含まない場合、ノズルを介して後架橋乾燥機内に吹込むことが可能であるが;超吸収剤と表面後架橋剤とを混合することによって実際にミキサ内の又はすぐ上流側のノズルを介して不活性気体をポリマー粒子流に添加することが特に好ましい。
【0094】
乾燥機から除去された共溶媒の蒸気を乾燥機の外側で再度凝結させ、適切な場合再利用することができることはいうまでもない。
【0095】
本発明の好ましい一実施形態において、多価カチオンは、後架橋の前、間又は後に、後架橋剤に添加して粒子表面に塗布される。これは、原則としてイオン性非共有結合による更なる表面後架橋であるが、場合により、当該金属イオンとの「錯体化」とも、又は単に当該物質(「錯化剤」)による「コーティング」とも称される。
【0096】
多価カチオンのこの塗布は、二価又は多価カチオン、通常二価、三価又は四価金属カチオン、更に、アミン基が常に−更に非常に高pH値で−部分的にプロトン化形態で存在してアンモニウム基を与える、部分的に又は完全に加水分解されたポリビニルアミド(いわゆる「ポリビニルアミン」)等のビニルアミンモノマーから、正式な意味において、完全に又は部分的に形成されるポリマー等の多価カチオンの溶液の噴霧塗布によって実施される。使用可能な二価金属カチオンの例は、とりわけ、元素周期表の2族(とりわけMg、Ca、Sr、Ba)、7族(とりわけMn)、8族(とりわけFe)、9族(とりわけCo)、10族(とりわけNi)、11族(とりわけCu)及び12族(とりわけZn)の金属の二価カチオンである。使用可能な三価金属カチオンの例は、とりわけ、元素周期表の、ランタニドを含む3族(とりわけSc、Y、La、Ce)、8族(とりわけFe)、11族(とりわけAu)、13族(とりわけAl)及び14族(とりわけBi)の金属の三価カチオンである。使用可能な四価カチオンの例は、とりわけ、ランタニド(とりわけCe)及び元素周期表の4族(とりわけTi、Zr、Hf)からの金属の四価カチオンである。金属カチオンは、単独で、又は互いの混合物において使用され得る。三価金属カチオンの使用が、特に好ましい。アルミニウムカチオンの使用が、非常に特に好ましい。
【0097】
挙げられた金属カチオンの中で、適切な金属塩は、使用する溶媒において十分な溶解度を有するもの全てである。特に適切な金属塩は、弱く錯体を形成するアニオンを有するもの、例えば、塩化物、硝酸塩及び硫酸塩、硫酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素又はリン酸二水素である。モノ−及びジカルボン酸、ヒドロキシ酸、ケト酸及びアミノ酸の塩、又は塩基性塩が好ましい。好ましい例としては、酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩が挙げられる。水酸化物の使用が、同様に好ましい。2−ヒドロキシ炭酸塩、例えばクエン酸塩及び乳酸塩の使用が、特に好ましい。特に好ましい金属塩の例は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属アルミネート及びそれらの水和物、例えば、アルミン酸ナトリウム及びその水和物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属乳酸塩及びクエン酸塩並びにそれらの水和物、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム及び乳酸アルミニウムである。
【0098】
挙げられたカチオン及び塩は、純粋形態において、又は異なるカチオン又は塩の混合物として使用され得る。使用される二価及び/又は三価の金属カチオンの塩は、更なる副次的成分、例えば、まだ非中和のカルボン酸及び/又は中和カルボン酸のアルカリ金属塩を含み得る。好ましいアルカリ金属塩は、ナトリウム及びカリウムのそれら、並びにアンモニウムのそれらである。それらは、典型的には、固体の塩を水に溶解して得られる、又は好ましくはこのように直接得られる水溶液の形態において使用され、それは、あらゆる乾燥及び精製工程を回避する。有利には、しばしば無水塩よりも水に速やかに溶解する、挙げられた塩の水和物を使用することもできる。
【0099】
使用される金属塩の量は、各場合においてベースポリマーの質量に対して、一般に少なくとも0.001質量%、好ましくは少なくとも0.01質量%、より好ましくは少なくとも0.1質量%、例えば少なくとも0.4質量%、一般に多くとも5質量%、好ましくは多くとも2.5質量%、より好ましくは多くとも1質量%、例えば多くとも0.7質量%である。
【0100】
三価金属カチオンの塩は、溶液又は懸濁液の形態で使用され得る。前記金属塩のために使用される溶媒は、水、アルコール、DMF、DMSO、及びこれらの成分の混合物であってよい。水、及び水/アルコール混合物、例えば水/メタノール、水/1,2−プロパンジオール、及び水/1,3−プロパンジオールが、特に好ましい。
【0101】
ベースポリマーは、乾燥工程を含む表面後架橋剤による処理と同じ方法で二価又は多価カチオンの溶液により処理される。表面後架橋剤及び多価カチオンは、組み合わせた溶液において、又は別々の溶液として噴霧され得る。超吸収性粒子への金属塩溶液の噴霧塗布は、表面後架橋の前又は後に実施され得る。特に好ましい方法において、金属塩溶液の噴霧塗布は、架橋剤溶液の噴霧塗布と同じ工程において実施され、両溶液は、2つのノズルを通して別々に及び前後して又は同時に噴霧され、又は架橋剤及び金属塩溶液は、1つのノズルを通して一緒に噴霧され得る。
【0102】
とりわけ三価又はより高い原子価の金属カチオン、例えばアルミニウムが、錯体化に使用され、二価の金属カチオンの塩基性塩又はかかる塩の混合物もまた、場合により添加される。塩基性塩は、酸性水溶液、好ましくは0.1N塩酸のpHを増加させるのに適した塩である。塩基性塩は、典型的には強塩基と弱酸との塩である。
【0103】
任意の塩基性塩の二価金属カチオンは、好ましくは元素周期表の2族の金属カチオン、より好ましくはカルシウム又はストロンチウム、最も好ましくはカルシウムである。
【0104】
二価金属カチオンの塩基性塩は、好ましくは、弱無機酸の、弱有機酸の塩、及び/又はアミノ酸の塩、より好ましくは、水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩及び/又はフマル酸塩、最も好ましくは水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、プロピオン酸塩及び/又は乳酸塩である。塩基性塩は、好ましくは水溶性である。水溶性塩は、20℃で、水1リットル当たり少なくとも0.5gの塩、好ましくは水1L当たり少なくとも1gの塩、選好的に水1L当たり少なくとも10gの塩、より好ましくは水1L当たり少なくとも100gの塩、最も好ましくは水1L当たり少なくとも200gの塩の水溶解度を有する塩である。しかし、本発明により、噴霧液の噴霧塗布温度でこの最低溶解度を有するそれらの塩類を使用することもできる。有利には、しばしば無水塩よりも水に速やかに溶解する、挙げられた塩の水和物を使用することもできる。
【0105】
二価金属カチオンの適切な塩基性塩は、例えば、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、プロピオン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロピオン酸ストロンチウム、乳酸ストロンチウム、乳酸亜鉛、炭酸カルシウム及び炭酸ストロンチウムである。
【0106】
水溶解度が、所望の濃度の噴霧液を製造するには不十分な場合、その飽和水溶液中の固体塩の分散液を使用することもできる。例えば、水性分散液として炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸ストロンチウム、リン酸カルシウム及びリン酸ストロンチウムを使用することも可能である。
【0107】
二価金属カチオンの塩基性塩の量は、ベースポリマーの質量に対して、典型的には0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜2.5質量%、選好的に0.1〜1.5質量%、より好ましくは0.1〜1質量%、最も好ましくは0.4〜0.7質量%である。
【0108】
二価金属カチオンの塩基性塩は、溶液又は懸濁液の形態で使用され得る。その例は、乳酸カルシウム溶液又は水酸化カルシウム懸濁液である。典型的には、塩は、超吸収剤に対して、15質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、最も好ましくは2質量%以下の水量で噴霧される。
【0109】
超吸収剤上に塩基性塩の水溶液を噴霧することが好ましい。便宜的には、塩基性塩は、表面後架橋剤、錯化剤と同時に、又はこれらの剤の溶液の更なる成分として添加される。これらの塩基性塩について、錯化剤との混合物における添加が好ましい。塩基性塩の溶液が沈殿なしで錯化剤の溶液と混和できない場合、2つのノズルから、連続して別々に、又は同時に溶液を噴霧することができる。
【0110】
還元化合物はまた、場合により超吸収剤に添加される。還元化合物の例は、次亜リン酸塩、スルフィン酸塩又は亜流酸塩である。スルフィン酸誘導体、とりわけ式(V)
【化6】

[式中、
Mは、水素原子、アンモニウムイオン、一価金属イオン、又は元素周期表の1族、2族、8族、9族、10族、12族若しくは14族の1当量の二価金属イオンであり;
27は、OH又はNR3031であり、ここでR30及びR31は、各々独立してH又はC1〜C6−アルキルであり;
28は、H、又はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基若しくはアリール基であり、ここでこの基は、場合により、C1〜C6−アルキル、OH、O−C1〜C6−アルキル、ハロゲン及びCF3から各々独立して選択された1、2又は3個の置換基を有し;及び
29は、COOM、SO3M、COR30,CONR3031又はCOOR30であり、ここでM、R30及びR31は、各々上記で定義された通りであり、又は、R28が、上記で特定されたように場合により置換されるアリールである場合、Hでもある]の化合物、その塩、或いはかかる化合物及び/又はそれらの塩の混合物の添加が好ましい。
【0111】
上記式において、アルキルは、好ましくは1〜6個、とりわけ1〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基を表す。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル等である。O−アルキルにおけるアルキル基も同様である。アルケニルは、好ましくは3〜8個の炭素原子、とりわけ3〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルケニル基を表す。好ましいアルケニル基は、アリル基である。シクロアルキルは、とりわけC1〜C6−シクロアルキルを表し、シクロペンチル及びシクロヘキシルが特に好ましい。アリール(アラルキルにおいて含む)は、好ましくはフェニル又はナフチルを表す。アリール基が、フェニル基を表し、置換される場合、好ましくは2個の置換基を含む。これらは、とりわけ2位及び/又は4位において存在する。
【0112】
ハロゲンは、F、Cl、Br及びI、好ましくはCl及びBrを表す。
【0113】
Mは、好ましくはアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、又は1当量のアルカリ土類金属イオン若しくは亜鉛イオンである。適切なアルカリ金属イオンは、とりわけナトリウムイオン及びカリウムイオンであり;適切なアルカリ土類金属イオンは、特にマグネシウムイオン、ストロンチウムイオン及びカルシウムイオンである。
【0114】
27は、好ましくはヒドロキシル基又はアミノ基である。
【0115】
28は、好ましくは、水素原子、又は上記のように置換され得るアルキル基若しくはアリール基である。好ましくは、1又は2個のヒドロキシル及び/又はアルコキシ置換基を有する。
【0116】
29は、好ましくはCOOM若しくはCOOR30(M及びR30は、各々上記に定義された通りである)、又は、R27が、上記で特定されたように置換され得るアリールである場合、水素原子でもある。
【0117】
好ましい一実施形態において、超吸収剤に添加される化合物は、上記式(V)[式中、Mは、アルカリ金属イオン、又は1当量のアルカリ土類金属若しくは亜鉛イオンであり;R27は、ヒドロキシル基又はアミノ基であり;R28は、H又はアルキルであり、R29は、COOM又はCOOR30であり、ここで、R29がCOOMである場合、このCOOM基におけるMは、H、アルカリ金属イオン、又は1当量のアルカリ土類金属イオンであり、及び、R29がCOOR30である場合、R30は、C1〜C6−アルキルである]のものである。
【0118】
更なる好ましい一実施形態において、超吸収剤に添加される化合物は、上記式(V)[式中、Mは、アルカリ金属イオン、又は1当量のアルカリ土類金属若しくは亜鉛イオンであり;R27は、ヒドロキシル基又はアミノ基であり;R28は、上記で特定されたように場合により置換されるアリール、とりわけヒドロキシフェニル又はC1〜C4−アルコキシフェニルであり、R29は、水素原子である]のものである。
【0119】
現在のIUPACのナンバリング(International Union of Pure and Applied Chemistry,104 T.W.Alexander Drive,Building 19,Research Triangle Park,NC 27709,U.S.A.,www.iupac.org)(化学分野における命名を担う国際組織)における元素周期表の1族(H、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)、2族(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、8族(Fe、Ru、Os)、9族(Co、Rh、Ir)、10族(Ni、Pd、Pt)、12族(Zn、Cd、Hg)及び14族(C、Si、Ge、Sn、Pb)は、CAS(Chemical Abstracts Service,2540 Olentangy River Road,Columbus,OH 43202,U.S.A.,www.cas.org)に用いられるナンバリングにおけるIa族、IIa族、IIb族、IVa族及びVIIIb族に対応する。
【0120】
上記式(V)のスルフィン酸誘導体は、純粋形態で添加することができるが、場合により、対応する金属イオンの、及びかかる化合物の製造から通例の方法で得られる対応するスルホン酸の亜流酸塩との混合物においても添加することができる。上記式のかかるスルフィン酸誘導体の製造は、公知であり、例えばWO99/18067A1に記載されている。それらはまた、従来の商品でもあり、例えば、BRUEGGOLIT(登録商標)FF6M又はBRUEGGOLIT(登録商標)FF7、或いはBRUGGOLITE(登録商標)FF6M又はBRUGGOLITE(登録商標)FF7という名でL.Brueggemann KG(Salzstrasse 131,74076 Heilbronn,Germany,www.brueggemann.com)の2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩と2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸のジナトリウム塩と重亜硫酸ナトリウムとの混合物の形態で利用可能である。
【0121】
超吸収剤への1種以上の還元化合物の添加は、超吸収剤の製造の間又は後に、塊で、溶液として、又は溶媒若しくは懸濁媒体における懸濁液として化合物を添加することにより、通例の方法で実施される。典型的には、水又は有機溶媒における還元化合物の溶液又は懸濁液は、例えば、アルコール若しくはポリオールにおいて、又はそれらの混合物において使用される。適切な溶媒又は懸濁媒体の例は、水、イソプロパノール/水、1,3−プロパンジオール/水、及びプロピレングリコール/水であり、ここで混合質量比は、好ましくは20:80〜40:60である。界面活性剤は、溶液又は懸濁液に添加することができる。還元化合物を添加する場合、一般に、各場合において超吸収剤の全質量に対して、少なくとも0.0001質量%、好ましくは少なくとも0.001質量%、より好ましくは少なくとも0.025質量%、例えば少なくとも0.1質量%又は少なくとも0.3質量%、一般に多くとも3質量%、好ましくは多くとも2.5質量%、より好ましくは多くとも1.5質量%、例えば多くとも1質量%又は0.7質量%の量で添加される。
【0122】
一般に、還元化合物は、表面後架橋のための超吸収剤に塗布される表面後架橋剤を含む溶液又は懸濁液とまったく同じ方法で、それ自体公知の超吸収剤と混合される。還元化合物は、表面後架橋のために塗布される溶液の、又はそれらの成分の内の1種としてベースポリマーに塗布することができ、即ち、表面後架橋剤の溶液に、又はそれらの成分の内の1種に添加することができる。次いで、表面後架橋剤と還元化合物とによりコーティングされた超吸収性剤は、表面後架橋に必要な更なる工程段階、例えば表面後架橋剤と超吸収剤との熱誘起反応を経る。このプロセスは、比較的単純で、経済的に実現性がある。
【0123】
長期にわたる貯蔵の間に、変色に対する非常に高い安定性が必須である場合、還元化合物は、好ましくは、専用の工程段階における表面後架橋の後に塗布される。溶液又は懸濁液の形態で塗布する場合、塗布は、ベースポリマーへの表面後架橋剤の塗布と同じ方法で、既に表層後架橋された超吸収剤に対して実施される。この後、通常、しかし必ずというわけではなく、再度超吸収剤を乾燥させるため表面後架橋の場合と同様に加熱を行う。この乾燥工程において確立される温度は、還元化合物の望ましくない反応を防止するため、一般に高くとも110℃、好ましくは高くとも100℃、より好ましくは高くとも90℃である。前記温度は、乾燥ユニットにおける滞留時間に鑑み、超吸収剤の所望の水分含有量が達成されるように確立される。例えば表面後架橋の下流において接続された冷却機において、個別に、又は他の通例の助剤、例えば塵結合剤、固結防止剤、若しくは超吸収剤の再吸湿のための水と共に還元化合物を、これらの助剤について以下で記載されるように添加することは、十分に可能であり、且つ好都合でもある。この場合におけるポリマー粒子の温度は、0℃〜190℃、好ましくは160℃未満、より好ましくは130℃未満、更により好ましくは100℃未満、最も好ましくは70℃未満である。適切な場合、ポリマー粒子はコーティング後、還元化合物の分解温度未満に速やかに冷却される。
【0124】
表面後架橋及び/又は錯化剤による処理の後に乾燥工程を実施する場合、乾燥工程の後で生成物を冷却することは、有利であるが、必須というわけではない。冷却は、連続的に、又はバッチ式で実施可能であり;このために、生成物は、乾燥機の下流側において接続された冷却機内に連続的に運ばれる。このために、熱媒体ではなく、むしろ冷却媒体、例えば冷却水が投入されていなければ、粉状固体からの熱の除去で知られる任意の装置、とりわけ乾燥装置として上記で挙げられた任意の装置を使用することができるが、その結果、熱は、壁を介して、及び構成により撹拌機ユニット又は他の熱交換面を介しても超吸収剤に導入されず、むしろそれから除去される。生成物が移動する冷却機、即ち冷却ミキサ、例えばパドル冷却機又はディスク冷却機の使用が好ましい。また、超吸収剤は、冷気等の冷却気体における吹込みにより流動床において冷却することもできる。冷却条件は、更なる加工のために望ましい温度を有する超吸収剤が得られるように確立される。典型的には、一般に少なくとも1分間、好ましくは少なくとも3分間、より好ましくは少なくとも5分間、一般に多くとも6時間、好ましくは多くとも2時間、より好ましくは多くとも1時間の冷却機における平均滞留時間が確立され、冷却性能は、得られた生成物が、一般に少なくとも0℃、好ましくは低くとも10℃、より好ましくは低くとも20℃、一般に高くとも100℃、好ましくは高くとも80℃、より好ましくは高くとも60℃の温度を有するものである。
【0125】
表面後架橋超吸収剤は、場合により、通例の方法で粉砕、及び/又は篩分けされる。粉砕は、典型的にはここで必要ではないが、形成される凝集物又は微粒子の篩分けは、生成物の所望の粒径分布を確立するために通常適切である。凝集物及び微粒子は、廃棄され、又は好ましくは適切な時点で公知の方法で前記方法に再利用される(微粉砕後の凝集物)。表面後架橋超吸収剤のために望ましい粒径は、ベースポリマーに関するものと同じである。
【0126】
更に、超吸収性粒子の表面に、非後架橋のものであるにせよ、後架橋されたものであるにせよ、製造プロセスの任意の工程段階において、必要な場合、全ての公知のコーティング剤、例えば塗膜形成ポリマー、熱可塑性ポリマー、デンドリマー、ポリカチオン性ポリマー(例えばポリビニルアミン、ポリエチレンイミン又はポリアリルアミン)、水不溶性多価金属塩、例えば炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム若しくはリン酸カルシウム、当業者に公知の全ての水溶性一価若しくは多価金属塩、例えば硫酸アルミニウム、ナトリウム塩、カリウム塩、ジルコニウム塩若しくは鉄塩、又は親水性無機粒子、例えば粘土鉱物、ヒュームドシリカ、コロイド状シリカゾル、例えばLevasil(登録商標)、二酸化チタン、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウムを塗布することが、場合により可能である。有用なアルカリ金属塩の例は、硫酸ナトリウム及び硫酸カリウム、並びに乳酸ナトリウム及び乳酸カリウム、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム及びソルビン酸カリウムである。これによって、更なる効果、例えば、製造プロセスの特定の工程段階における最終生成物若しくは中間体の粘結性傾向の減少、加工性の向上、又は更に食塩水流れ誘導性(SFC)の向上が達成される。添加剤が、分散液の形態で使用、及び噴霧される場合、好ましくは水性分散液として使用され、更に抗粉塵剤を塗布して添加剤を超吸収剤の表面上に固定することが好ましい。次いで、抗粉塵剤を、無機粉状添加剤の分散液に直接添加する、又は;場合により、それを、噴霧塗布による無機粉状添加剤の塗布の前、間又は後に別々の溶液として添加することもできる。後架橋工程における後架橋剤、抗粉塵剤、及び粉状無機添加剤の同時噴霧塗布が最も好ましい。しかし、更に好ましい方法の変形物において、抗粉塵剤は、例えば、上、下又は側面から噴霧塗布により、冷却機において別々に添加される。超吸収性粒子の表面上に粉状無機添加剤を固定し得る特に適切な抗粉塵剤は、400〜20000g/モルの分子量を有するポリエチレングリコール、ポリグリセロール、3〜100−tuplyエトキシ化ポリオール、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ソルビトール及びネオペンチルグリコールである。7〜20−tuplyエトキシ化グリセロール又はトリメチロールプロパン、例えばPolyol TP70(登録商標)(Perstorp,Sweden)が、特に適切である。より詳しくは、後者は、超吸収性粒子の水様抽出物の表面張力をわずかに低下させるだけであるという利点を有する。
【0127】
水を添加することによって本発明の超吸収剤を所望の水分含有量に調整することが同様に可能である。
【0128】
場合により、本発明の超吸収剤は、変色に対して安定化させる更なる添加剤と共に提供される。例として、とりわけ変色に対する公知の安定剤、とりわけ還元物質が挙げられる。なかでも、ホスフィン酸(H3PO2)の固体の又は溶解した塩、及びこの酸自体が好ましい。例えば、アンモニウム及びアルカリ土類金属のものを含むアルカリ金属の全てのホスフィン酸塩が適切である。ホスフィン酸塩イオン、及びナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、マグネシウムから選択される少なくとも1種のカチオンを含むホスフィン酸の水溶液が特に好ましい。ホスフィン酸(H3PO3)の塩及びこの酸自体が、同様に好ましい。例えば、アンモニウム及びアルカリ土類金属のものを含むアルカリ金属の全ての第一級及び第二級ホスホン酸塩が適切である。第一級及び/又は第二級ホスホン酸塩イオン、並びにナトリウム、カリウム、カルシウム、ストロンチウムから選択される少なくとも1種のカチオンを含むホスフィン酸の水溶液が、特に好ましい。
【0129】
全てのコーティング、固体、添加剤及び助剤は、別々の工程段階において各々添加されるが、最も、好都合な方法は、通常、−ベースポリマーと表面後架橋剤とを混合する間にそれらを添加しない場合−例えば、溶液の噴霧塗布、又は微粉固体形態若しくは液体形態での添加により、冷却機において超吸収剤にそれらを添加することである。
【0130】
超吸収剤のL値(CIE色数)は、非貯蔵状態において、典型的には少なくとも75、好ましくは少なくとも80、より好ましくは少なくとも85、多くとも100である。
【0131】
超吸収剤のa値(CIE色数)は、非貯蔵状態において、典型的には−2.5〜+2.5、好ましくは−2.0〜+2.0、より好ましくは−1.5〜+1.5である。
【0132】
超吸収剤のb値(CIE色数)は、非貯蔵状態において、典型的には0〜10である。
【0133】
本発明は、本発明による方法によって入手可能であり、更に、具体的には、モノマー混合物における相対的に高含有量の鉄イオンの場合、他の超吸収剤と比較して低い残存モノマー含有量を有し、一方で比較的無色でもある超吸収剤を更に提供する。
【0134】
一般に、本発明の超吸収剤は、少なくとも5g/g、好ましくは少なくとも10g/g、より好ましくは少なくとも20g/gの遠心分離保持能(CRC)を有する。CRCの更に適切な最小値は、例えば25g/g、30g/g又は35g/gである。典型的には40g/g以下である。表面後架橋超吸収剤についての典型的なCRCの範囲は、28〜33g/gである。
【0135】
表面後架橋する場合、本発明の超吸収剤は、典型的には、少なくとも18g/g、好ましくは少なくとも20g/g、選好的には少なくとも22g/g、より好ましくは少なくとも23g/g、最も好ましくは少なくとも24g/g、典型的には30g/g以下の荷重下吸収量(AUL0.7psi、試験方法については下記参照)を有する。
【0136】
本発明の超吸収剤は、少なくとも10×10-7cm3s/g、好ましくは少なくとも30×10-7cm3s/g、選好的には少なくとも50×10-7cm3s/g、より好ましくは少なくとも80×10-7cm3s/g、最も好ましくは少なくとも100×10-7cm3s/g、典型的には1000×10-7cm3s/g以下の食塩水流れ誘導性(SFC、試験方法については下記参照)を更に有する。
【0137】
本発明は、50〜100質量%、好ましくは60〜100質量%、選好的には70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、最も好ましくは90〜100質量%の本発明の超吸収剤から成る吸収剤層(もちろん吸収剤層のシェルを除く)を含む、本発明の超吸収剤を含む衛生品、好ましくは超薄のおむつを更に提供する。
【0138】
本発明の超吸収剤は、例えばUS2003/0181115及びUS2004/0019342に記載の積層体及び複合構造体の製造のためにも非常に特に有利である。かかる新規な吸収性構造を製造するための両文献に記載のホットメルト接着剤と、とりわけ、US2003/0181115に記載されている、超吸収性粒子が結合するホットメルト接着剤から構成される繊維とに添加して、本発明の超吸収剤はまた、例えばAC Resin(登録商標)(BASF SE,Carl−Bosch−Strasse38,67056 Ludwigshafen,Germany)として販売されているUV架橋性ホットメルト接着剤を使用する完全に類似した構造体を製造するのにも適切である。これらのUV架橋性ホットメルト接着剤は、120〜140℃でも加工可能であるという利点を有し;それ故、多くの熱可塑性基体とのより良好な適合性がある。更に重要な利点は、UV架橋性ホットメルト接着剤が、毒性学的に完全に安全であり、且つ衛生品においていかなる蒸発も引き起こさないということである。本発明の超吸収剤に関連する非常に重要な利点は、加工及び架橋の間に黄変する傾向がないというUV架橋性ホットメルト接着剤の性質である。これは、超薄の又は部分的に透明な衛生品を製造する場合にとりわけ有利である。従って、本発明の超吸収剤とUV架橋性ホットメルト接着剤との組み合わせは、特に有利である。適切なUV架橋性ホットメルト接着剤は、例えば、EP0377199A2、EP0445641A1、US5,026,806、EP0655465A1及びEP0377191A2に記載されている。
【0139】
また、本発明の超吸収剤は、液体、とりわけ水又は水溶液を吸収する産業の他の分野においても使用され得る。これらの分野は、例えば、貯蔵、包装、輸送(水又は湿気に敏感な物品、例えば花の輸送のための包装材料の成分として、更に機械的影響に対する保護として);動物の衛生(猫のトイレにおいて);食品包装(魚、生肉の輸送;生魚又は肉の包装における水、血液の吸収);医薬(創傷プラスター、熱傷包帯剤のための又は他の滲出創傷のための吸水性材料)、化粧品(医薬化学製品及び薬剤のためのキャリア材料、リウマチ用プラスター、超音波ゲル、冷却ゲル、美容用増粘剤、日焼け止め剤);水中油型又は油中水型エマルジョン用増粘剤;織物(蒸発冷却のための、織物、靴の中敷、例えば保護衣、手袋、ヘッドバンドにおける湿気の調節);化学工学的用途(有機反応のため、酵素等の大きな官能分子の固定化のための触媒として、凝集物、熱貯蔵品、濾過補助器具、ポリマー積層体における親水性成分、分散剤、液化機における接着剤として);粉末射出成形における、建築及び建設業における助剤として(ローム系下塗りにおける取付け、振動阻害媒体、水に富んだ地面中でのトンネル掘削における助剤、ケーブル・シースとして);水処理、廃物除去、水除去(除氷装置、再使用可能なサンドバッグ);クリーニング;農薬産業(潅漑、雪解け水及び露沈着物の保持、堆肥添加剤、菌/昆虫の侵襲からの森の保護、植物への活性成分の遅延放出);消防活動のため、又は防火のため;熱可塑性ポリマーにおける共押出剤(例えば、多層膜の親水化のため);水を吸収することができる膜及び熱可塑性成形品の製造(例えば、農業のための雨及び露を貯蔵する膜;湿性膜で包装された果物及び野菜の新鮮さを維持するための超吸収剤を含む膜;例えば、食品、例えば肉、魚、鶏肉、果物及び野菜を包装するための超吸収剤−ポリスチレン共押出物);又は活性成分調合物におけるキャリア物質として(医薬品、作物保護)である。
【0140】
液体の吸収のための本発明の物品は、それらが本発明の超吸収剤を含むという点で公知の例と異なる。
【0141】
また、液体の吸収のための物品、とりわけ衛生品の製造方法であって、当該の物品の製造における少なくとも1種の本発明の超吸収剤を使用することを含む製造方法も見出された。更に、超吸収剤を使用してかかる物品を製造するための方法が分かった。
【0142】
試験方法
以下に記載する試験方法によって超吸収剤を試験する。
【0143】
以下に記載する「WSP」と称される標準試験方法は、以下に記載されている:the Worldwide Strategic Partners EDANA(European Disposables and Nonwovens Association,Avenue Eugene Plasky,157,1030 Brussels,Belgium,www.edana.org)及びINDA(Association of the Nonwoven Fabrics Industry,1100 Crescent Green,Suite 115,Cary,North Carolina 27518,U.S.A.,www.inda.org)によって共同で公開されている"Standard Test Methods for the Nonwovens Industry",2005 edition。この刊行物は、EDANA、INDA両方から入手可能である。
【0144】
以下に記載される全ての方法は、特に明記しない限り、23±2℃の周囲温度及び50±10%の相対空気湿度で実施されるべきである。超吸収性粒子を、特に明記しない限り測定前に十分混合する。
【0145】
遠心分離保持能(CRC)
超吸収剤の遠心分離保持能を、標準試験方法No.WSP241.5−02「遠心分離保持能」によって測定する。
【0146】
0.3psi(AUL0.3psi)の荷重下吸収量
超吸収剤の2068Pa(0.3psi)の荷重下吸収量を、標準試験方法No.WSP242.2−05「圧力下吸収量」によって測定する。
【0147】
0.7psi(AUL0.7psi)の荷重下吸収量
超吸収剤の4826Pa(0.7psi)の荷重下吸収量を、(0.3psiの荷重につながる)21g/cm2の質量の代わりに(0.7psiの荷重につながる)49g/cm2の質量を使用することを除いて標準試験方法No.WSP242.2−05「圧力下吸収量」と同様にして測定する。
【0148】
超吸収剤の湿気含有量(残留湿気、水分含有量)
超吸収性粒子の水分含有量を、標準試験方法No.WSP230.2−05「水分含有量」によって測定する。
【0149】
平均粒径
製品分級物の平均粒径を、標準試験方法No.WSP220.2−05「粒径分布」によって測定する。
【0150】
残存モノマー含有量
超吸収性粒子における残存モノマーの含有量を、標準試験方法No.WSP210.2−05「残存モノマー」によって測定する。
【0151】
CIE色数(Lab)
測色を、「LabScan XE S/N LX17309」比色計(HunterLab,Reston,U.S.A.)によりCIELAB法(Hunterlab,volume 8,1996,book 7,pages1to 4)に従って行う。この方法は、3次元システムの座標L、a及びbを介して色を表すものである。Lは輝度を示し、ここでL=0は黒色を、L=100は白色を意味する。a及びb値は、赤/緑及び黄/青の色軸上における色の位置を示し、+aは赤色を、−aは緑色を表し、+bは黄色を、−bは青色を表す。
【0152】
比色測定は、DIN5033−6による三範囲法に対応する。
【0153】
実施例
実施例1:ベースポリマーの調製(比較)
2本のSigma軸を備えた混練機(Coperion Werner & Pfleiderer GmbH & Co.KG,Stuttgart,Germany製model LUK 8.0 K2)から不活性化用窒素を除去し、次いで窒素による散布によって酸素を除去した、5166gの37.7質量%のアクリル酸ナトリウム水溶液と574gのアクリル酸と720gの脱塩水との、混合物を投入した。続いて、6.2gの3−tuplyエトキシ化グリセリルトリアクリレートを内部架橋剤として添加し、その後、開始剤として、16.5gの0.75質量%のアスコルビン酸水溶液、38.6gの15質量%の過硫酸ナトリウム水溶液、及び3.4gの3質量%の過酸化水素水溶液を添加した。一方の軸において98回転数/分、他方の軸において49回転数/分の速度で混練機を作動させた。過酸化水素溶液の添加の直後、加熱流体(80℃)を通すことにより混練機の加熱外被を通して前記溶液を加熱した。混練機内の温度がそれ以上の上昇を終えるとすぐに、加熱を停止し、ポリマーゲルを更に14分間反応させた。続いて、前記ゲルを約65℃に冷却し、混練機から取り除いた。前記ゲルを、各々400g通風乾燥機によって160℃で22分間乾燥し、その間、この温度の空気が下方から流れる篩インサートにおいて乾燥させた前記ゲルを、熱風送風機によって加熱した。この乾燥の間、熱風は、底から上方向へゲルを通って流れる。最後に、1000μm、600μm及び400μmのギャップ幅を連続して設定し、乾燥ゲルをロールミル(Bauermeister Zerkleinerungstechnik GmbH,Norderstedt,Germany製LRC 125/70 model)で3回粉砕した。超吸収剤を篩分けし、300〜600μmの篩分けられた分級物をベースポリマーとして得た。
【0154】
実施例2(比較)
10.3gの尿素(=アクリルモノマーに対して0.5質量%:アクリル酸ナトリウムを、計算のためにアクリル酸に転化し、遊離アクリル酸に添加する。下記の量に関する全ての更なる記述は、同様に算出したものである。)をモノマー混合物に添加したことを除いて実施例1を繰り返した。
【0155】
実施例3(比較)
20.7gの尿素をモノマー混合物に添加した(=アクリルモノマーに対して1.0質量%)ことを除いて実施例1を繰り返した。
【0156】
実施例4
10.3gのリン酸尿素をモノマー混合物に添加した(=アクリルモノマーに対して0.5質量%)ことを除いて実施例1を繰り返した。
【0157】
実施例5
20.7gのリン酸尿素をモノマー混合物に添加した(=アクリルモノマーに対して1.0質量%)ことを除いて実施例1を繰り返した。
【0158】
実施例6
アクリルモノマーに対して15質量ppmの硫酸鉄(II)(FeSO4・7H2O)を更にモノマー混合物に添加した(=アクリルモノマーに対して3質量ppmの鉄イオン)ことを除いて実施例5を繰り返した。
【0159】
実施例7
アクリルモノマーに対して50質量ppmの硫酸鉄(II)(FeSO4・7H2O)を更にモノマー混合物に添加した(=アクリルモノマーに対して10質量ppmの鉄イオン)ことを除いて実施例5を繰り返した。
【0160】
実施例8:ベースポリマーの調製(比較)
2本のSigma軸を備えた混練機(Coperion Werner & Pfleiderer GmbH & Co.KG,Stuttgart,Germany製model LUK 8.0 K2)から不活性化用窒素を除去し、次いで窒素による散布によって酸素を除去した、4701gの37.7質量%のアクリル酸ナトリウム水溶液と522gのアクリル酸と1237gの脱塩水との混合物を投入した。続いて、4.7gの3−tuplyエトキシ化グリセリルトリアクリレートを内部架橋剤として添加し、その後、開始剤として、15.0gの0.75質量%のアスコルビン酸水溶液、35.1gの15質量%の過硫酸ナトリウム水溶液、及び3.1gの3質量%の過酸化水素水溶液を添加した。一方の軸において98回転数/分、他方の軸において49回転数/分の速度で混練機を作動させた。過酸化水素溶液の添加の直後、加熱流体(80℃)を通すことにより混練機の加熱外被を通して前記溶液を加熱した。混練機内の温度がそれ以上の上昇を終えるとすぐに、加熱を停止し、ポリマーゲルを更に14分間反応させた。続いて、前記ゲルを約65℃に冷却し、混練機から取り除いた。前記ゲルを、各々400g通風乾燥機によって160℃で22分間乾燥し、その間、この温度の空気が下方から流れる篩インサートにおいて乾燥させた前記ゲルを、熱風送風機によって加熱した。この乾燥の間、熱風は、底から上方へゲルを通って流れる。最後に、1000μm、600μm及び400μmのギャップ幅を連続して設定し、乾燥ゲルをロールミル(Bauermeister Zerkleinerungstechnik GmbH,Norderstedt,Germany製LRC 125/70 model)で3回粉砕した。超吸収剤を篩分けし、300〜600μmの篩分けられた分級物をベースポリマーとして得た。
【0161】
実施例9(比較)
アクリルモノマーに対して15質量ppmの硫酸鉄(II)(FeSO4・7H2O)を更にモノマー混合物に添加した(=アクリルモノマーに対して3質量ppmの鉄イオン)ことを除いて実施例8を繰り返した。
【0162】
実施例10(比較)
アクリルモノマーに対して15質量ppmの硫酸鉄(II)(FeSO4・7H2O)を更にモノマー混合物に添加し(=アクリルモノマーに対して3質量ppmの鉄イオン)、且つアクリルモノマーに対して29質量ppmのKH2PO4を更に添加したことを除いて実施例8を繰り返した。
【0163】
実施例1〜10からの超吸収剤の特性を、第1表にまとめる。第1表における実施例の比較は、尿素の添加が、アクリルモノマーに対して(=bam、表についての説明を参照)1質量%の量のみ残存モノマー含有量を所望のレベルに低下させるが(実施例1、2及び3)、一方でリン酸尿素は、0.5質量%bamの量で既にこれを達成する(実施例1,4及び5)ことを示す。しかし、1.0質量%bamの尿素添加による超吸収剤は、より大きな望ましくない黄変(b色数の増加)傾向を示す。更に、鉄不純物は、残存モノマー含有量を増加させ(実施例8及び9)、且つより重大な黄変傾向につながる(実施例8及び9、並びに1、6及び7)ことが明らかになる。リン酸塩の添加は、残存モノマー含有量にも黄変にも影響しない(実施例9及び10)。本発明の実施例は、リン酸尿素が、鉄の存在下でより重大な黄変傾向があるものの、尿素及びリン酸塩成分とは対照的に、比較的少量でも、鉄不純物の存在下でも、非常に著しく残存モノマー含有量を低下させることを示す。
【0164】
実施例11(比較):表面後架橋超吸収剤の製造
卵泡立て器を備えた食品加工機(製造業者:Robert Bosch GmbH,Robert−Bosch−Platz 1;70839 Gerlingen−Schillerhoehe,Germany,"Profimixx47/MUM4700"model)に、実施例1のポリマー250gを投入し、レベル4で混合した。6.82gの脱塩水と、2.92gのイソプロパノールと、等質量部の1,3−プロパンジオール及びN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノンの0.25gの混合物と、0.010gのソルビタンモノココエート(「Span(登録商標)20」)とから構成した10gの溶液を、キャリアガスとして窒素(圧力0.25バールゲージ)によって作動する二物質ノズル(Buechi Labortechnik GmbH,Am Porscheplatz 5,45127 Essen,Germany,www.buechigmbh.de;品目番号004364、0.7mm)によって、20秒以内に混合ベースポリマーに噴霧し、次いでそれを更に2分間混合した。モータを停止し、撹拌ボウル壁及び器具上に付着しているポリマーを再度除去した。続いて、撹拌ボウルの内容物を更に100秒間混合した。
【0165】
ポリマーを金属シート上に配置し、非常に均一に広げ、200℃に予熱した通風乾燥キャビネットにおいて45分間乾燥させた。室温に冷却後、凝集物及び粗粒子を、メッシュサイズ850μmの篩によって表面後架橋超吸収剤から除去した。
【0166】
実施例12
実施例11を、実施例2のポリマーで繰り返した。
【0167】
実施例13
実施例11を、実施例3のポリマーで繰り返した。
【0168】
実施例14
実施例11を、実施例4のポリマーで繰り返した。
【0169】
実施例15
実施例11を、実施例5のポリマーで繰り返した。
【0170】
実施例16
実施例11を、実施例6のポリマーで繰り返した。
【0171】
実施例17
実施例11を、実施例7のポリマーで繰り返した。
【0172】
実施例18
蓋上に2つの対向する丸い混合羽根及びバッフルを供えた実験室用ミキサ(製造業者:Waring Products,Inc.,Torrington,Connecticut,U.S.A.,model 34 BL 99(8012))(同等の結果はまた、後架橋溶液の塗布間の良好な混合によって多くの他のミキサにおいても達成されるが、撹拌機ユニットが超吸収剤を微粉砕しないようにするべきである−撹拌機速度は、対応して設定されるべきである)に、実施例8のポリマー20gを最初に投入した。使い捨て注射器を使用して、0.3gのイソプロパノールと0.7gの水と20mgのエチレングリコールジグリシジルエーテル(Nagase ChemteX Corporation,Osaka,JapanのDenacol(登録商標)EX−810)から構成される混合物を、ミキサの中程度の撹拌機レベルで混合ポリマーに滴下した。
【0173】
続いて、通風乾燥キャビネット内の時計皿上で前記ポリマーを150℃で1時間乾燥し、最後に、塊を除去するため、850μmの篩を通して篩分けした。
【0174】
実施例19
実施例9のポリマーで実施例18を繰り返した。
【0175】
実施例20
実施例10のポリマーで実施例18を繰り返した。
【0176】
実施例11〜20の超吸収剤の特性を第2表にまとめる。第2表における実施例の比較は、尿素、リン酸塩、リン酸尿素のいずれの添加も表面後架橋に著しい影響を示さないことを示す。実施例1〜10の超吸収剤は、各場合において実施される表面後架橋について予想されるように表面後架橋によって変更されるだけである。
【0177】
【表1】

【0178】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿素と無機酸との塩を、重合の前若しくは間にモノマー混合物に、又は重合の後であるが、重合後の熱処理の前にポリマーに添加することによって超吸収剤を製造するための重合方法。
【請求項2】
尿素と、硫酸、リン酸又はハロゲン化水素酸との塩が添加されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リン酸尿素が添加されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
モノマー混合物の水溶液が重合され、前記モノマー混合物が:
a)酸性基を有し、場合により少なくとも部分的に塩形態で存在する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)場合により、a)で挙げられるモノマーと共重合可能な1種以上のエチレン性不飽和モノマー、
e)場合により、1種以上の水溶性ポリマー、及び
f)尿素と無機酸との塩
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記無機酸が、硫酸、リン酸又はハロゲン化水素酸であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記無機酸がリン酸であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれかに定義される方法によって得られる超吸収剤。
【請求項8】
表面後架橋されることを特徴とする、請求項7に記載の超吸収剤。
【請求項9】
請求項7又は8において定義される超吸収剤の1つを含む、液体を吸収するための物品。
【請求項10】
液体の吸収のための物品の製造方法であって、前記製造において請求項7又は8において定義される超吸収剤を使用することを特徴とする前記方法。

【公表番号】特表2011−530636(P2011−530636A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522492(P2011−522492)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060315
【国際公開番号】WO2010/018143
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】