説明

低油脂ルウ

【課題】小麦粉以外の澱粉質原料を主成分とする澱粉質原料を含む低油脂ルウの、調理時の味を改善することを解決課題とする。
【解決手段】油脂、小麦粉以外の澱粉質原料、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、及び大豆パウダーを含有し、油脂の含有量が5〜25重量%であり、小麦粉以外の澱粉質原料の含有量が10〜45重量%であり、小麦粉を含有しない又は10重量%以下の量で含有することを特徴とする、調理時の風味が改善された低油脂ルウ、及びその製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂の含有量が低減され、且つ、小麦粉の含有量が0〜10重量%である、カレー、ハヤシ、シチュー等を作るために用いる低油脂ルウに関する。
【背景技術】
【0002】
カレー、ハヤシ、シチュー等を作るために用いられるルウとしては、多量の食用油脂を用いて小麦粉や調味料などを固めた固形ルウが一般的である。油脂含量が高い一般的な固形ルウは、食用油脂、小麦粉、調味料等を加熱混合して液状の流動性のある加熱溶融ルウを調製し、この加熱溶融ルウを容器に流し込んで充填し、冷却固化することにより製造される(例えば特許文献1参照)。
低カロリー化を図るために、特許文献2では、澱粉質原料、油脂及び調味料を加熱混合してルウを調製し、得られたルウを加圧成形して製造される、油脂含量が10〜25質量%に低減された低油脂ルウを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−332526号公報
【特許文献2】特許4584866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常のルウは、澱粉質原料として小麦粉を含有する。小麦粉と、コーンスターチ等の他の澱粉質原料とが組み合わされて澱粉質原料として用いられる場合でも、小麦粉が他の澱粉質原料よりも多量に用いられることが通常である。ルウ中の澱粉質原料は、調理時に熱水中で膨潤して粘性を発現する。粘性発現に関与する成分は澱粉であるが、小麦粉はタンパク質等の澱粉以外の成分も多く含むため、所定の粘度を付与するために必要な小麦粉の配合量は、他の澱粉質成分の配合量と比較して多い。このため小麦粉を主成分とする澱粉質原料を含むルウは、ルウ全体のカロリーを低くすることは難しい。
【0005】
そこで本発明者らは、澱粉質原料として小麦粉を使用せず、コーンスターチのみを用いて、特許文献2記載の低油脂ルウの製造を試みた。こうして製造された低油脂ルウは熱水中で十分な粘性を付与することが可能であり、かつ低カロリーであるものの、新たな課題を有することが見出された。すなわち、小麦粉と比較してコーンスターチ等の他の澱粉質原料は、ルウを用いた調理品の味に厚み及びコクが与えられないという課題が見出された。
【0006】
そこで本発明は、小麦粉以外の澱粉質原料を主成分とする澱粉質原料を含む低油脂ルウの、調理時の味を改善することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、驚くべきことに、小麦粉以外の澱粉質原料を主たる澱粉質原料として含む低油脂ルウにおいて、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、及び大豆パウダーを組み合わせて配合することにより、調理時の味を改善することができることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下の発明を包含する。
【0008】
(1)油脂、小麦粉以外の澱粉質原料、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、及び大豆パウダーを含有し、油脂の含有量が5〜25重量%であり、小麦粉以外の澱粉質原料の含有量が10〜45重量%であり、小麦粉を含有しない又は10重量%以下の量で含有することを特徴とする、低油脂ルウ。
(2)低油脂ルウ100gあたりの熱量が400kcal以下である(1)の低油脂ルウ。
(3)低油脂ルウの製造方法であって、
油脂原料と、小麦粉以外の澱粉質原料と、オニオンパウダーと、ガーリックパウダーと、大豆パウダーとを含有する第1原料を加熱混合する第1加熱混合工程と、
前記第1加熱混合工程後の第1原料と調味料とを含有する第2原料を加熱混合する第2加熱混合工程と、
を含み、
製造される低油脂ルウ中、油脂の含有量が5〜25重量%であり、小麦粉以外の澱粉質原料の含有量が20〜45重量%である、
前記方法。
(4)第1原料中、油脂原料の含有量が30〜50重量%であり、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、及び大豆パウダーの合計の含有量が10〜30重量%である、(3)の低油脂ルウの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小麦粉以外の澱粉質原料を主たる澱粉質原料として含む低油脂ルウの、調理時の味を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の低油脂ルウ製造方法の好ましい実施形態の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<ルウ>
本発明において「ルウ」とは、水と共に、肉や野菜などの食材を必要に応じて加え、煮込みなどの加熱調理をすることにより、カレー、ハヤシ、シチューなどの所望の食品を調理するための食品素材である。本発明のルウは、ブロック形状、粉状、粒状等の種々の形態であることができる。本発明のルウは、液状のルウを製造するための原料として使用することもできる。
【0012】
本発明の低油脂ルウは、油脂及び小麦粉の含有量の低減により低カロリー化を図ることが容易である。好ましくはルウ100gあたりの熱量が400kcal以下である。熱量の下限は特に限定されないが、典型的にはルウ100gあたりの熱量が300kcal以上である。
【0013】
<油脂>
本発明の低油脂ルウに含まれる油脂の含有量は5〜25重量%である。これにより本発明の低油脂ルウを使って調理した食品のカロリーを低減し、例えばカレールウであれば香辛料の香りを引き立たせることもできる。本発明の低油脂ルウの油脂含有量は、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは10〜18重量%である。本発明においてルウ中の油脂の含有量は、ルウを試料としてソックスレー抽出法により測定した油脂の含有量を指す。ルウ中の油脂は、油脂原料の形態で配合された油脂に加えて、香辛料等の他の材料の一部として配合された油脂も包含する。
【0014】
本発明でのルウの原料として用いる油脂原料及び他の材料の一部として含まれる油脂は、食用に使用される油脂であれば特に制限されるものではなく、天然油脂、加工油脂、これらの混合物などのいずれも使用することができる。具体的には、牛脂、豚脂などの動物油脂、パーム油、綿実油、コーン油などの植物油脂、或いはこれらのうち2種以上の混合物などが挙げられる。
【0015】
<澱粉質原料>
本発明のルウは小麦粉以外の澱粉質原料を主たる澱粉質原料として含有する。「小麦粉以外の澱粉質原料」としてはコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、米粉澱粉等が挙げられ、これらのうちのいずれか1種、又はこれらのうち2種以上の混合物等を用いることができるが、粘性の質の観点からコーンスターチが特に好ましい。小麦粉以外の澱粉質原料の含有量は、本発明のルウ全量中10〜45重量%であり、より好ましくは20〜40重量%である。
【0016】
本発明のルウは、小麦粉を含有しない又は含有していたとしても小麦粉の含有量はルウ全量中10重量%以下であることが好ましい。
【0017】
<オニオンパウダー、ガーリックパウダー、大豆パウダー>
本発明のルウはオニオンパウダー、ガーリックパウダー及び大豆パウダーを組み合わせて含有する。この3種の組み合わせによりルウの調理時の味に厚み及びコクが付与されるため、小麦粉の含有量の低減による味への負の影響を補填することができる。
【0018】
オニオンパウダーとは、オニオンを乾燥し、粉砕したものをいう。より具体的には、オニオンを適宜カットし、あるいはペーストにしたものを乾燥し、粉砕したものを例示することができる。
【0019】
ガーリックパウダーとは、ガーリックを乾燥し、粉砕したものをいう。より具体的には、オニオンを適宜カットし、あるいはペーストにしたものを乾燥し、粉砕したものを例示することができる。
【0020】
大豆パウダーとしては、全脂大豆パウダー、脱脂大豆パウダーが挙げられるが、脱脂大豆パウダーを用いるのが好ましい。
【0021】
オニオンパウダーの含有量は、ルウ全量中0.5〜10重量%であることが好ましく、1〜5重量%であることがより好ましい。
【0022】
ガーリックパウダーの含有量は、ルウ全量中0.1〜5重量%であることが好ましく、0.2〜4重量%であることがより好ましい。
【0023】
大豆パウダーの含有量は、ルウ全量中0.1〜5重量%であることが好ましく、0.2〜4重量%であることがより好ましい。
【0024】
<他の調味料>
本発明のルウは、上記のオニオンパウダー、ガーリックパウダー、大豆パウダー以外にルウ製造のために用いられる他の調味料を適宜含有することができる。
【0025】
他の調味料としては、カレー、ハヤシ、シチュー等のルウを製造するときに通常使用されるものを使用することができ、具体的には、食塩、砂糖などの糖類、グルタミン酸ナトリウム、トマト、リンゴ、ニンジン、チーズ、はちみつ、チャツネ、酵母エキス、フルーツ、ブイヨンなどの粉末あるいはペースト、粉乳などの着味成分が例示できる。低カロリー化を意図して糖類の一部または全部に代えて高感度甘味料や、糖アルコールを配合することもできる。高感度甘味料としてはスクラロース、アセスルファムK、アスパルテーム、糖転移ステビア、ソーマチン、ネオテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、ジヒドロカルコン、ステビオサイド、レバウディオサイドA,チクロ、羅漢果、カンゾウ等が挙げられる。糖アルコールとしてマルチトース、エリスリトース、キシリトール、マルトトライトール、オリゴ糖アルコール、ソルビトール等が挙げられる。これらの着味成分の含有量は所望により決定することができるが、好ましくはルウ製造のための原料全量あたり20〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%である。
【0026】
また、調味料として、カレーパウダー等の香辛料を用いてもよい。香辛料の含有量は所望により決定することができるが、好ましくはルウ製造のための原料全量あたり1〜15重量%である。
【0027】
調味料は、増粘剤、酸化防止剤、着香料、着色料などの機能成分を更に含有してもよい。
調味料はさらにデキストリンを含有してもよい。本発明のルウが固形ルウである場合、デキストリンはルウ中に分散して存在することが好ましい。ルウにおける油脂とデキストリンとの重量比は1:0.1〜1:1が好ましい。デキストリンとしてはDE値が5〜40のもの、より好ましくは5〜20のものを使用するとよい。カロリー低減のためにデキストリンとして難消化性デキストリンを使用することが好ましい。デキストリンの配合によりカレー等の食品に風味上の影響を与えることなく、ルウの熱水への溶解性を好適に高めることができる。さらに、ルウの溶解性を高めるために乳化剤を配合してもよい。
【0028】
<製造方法>
本発明のルウは原料を加熱混合して調製することができる。原料を加える順序は任意で決定することができる。低油脂ルウにおける加熱混合は、攪拌手段を有する加熱調理装置、具体的には、例えば特開平8−309171号公報に開示される混合攪拌装置(攪拌機付きクッカー)で行うことが好ましい。原料の加熱混合は、品温70〜130℃で10〜120分間行うことが好ましく、品温80〜120℃で20〜90分間行うことがより好ましい。
【0029】
低油脂ルウの風味の向上のためには、加熱混合を以下の2段階
油脂原料と、小麦粉以外の澱粉質原料と、オニオンパウダーと、ガーリックパウダーと、大豆パウダーとを含有する第1原料を加熱混合する第1加熱混合工程、および
前記第1加熱混合工程後の第1原料と調味料とを含有する第2原料を加熱混合する第2加熱混合工程
により行うことが好ましい。この場合、ルウの原料全てを一度に加熱混合する場合と比較して、第1原料中における油脂原料の含有量が相対的に多くなるため、オニオンパウダーと、ガーリックパウダーと、大豆パウダーとを高温で加熱混合することができ、これによりルウの味の厚み及びコクをより一層向上させることができる。
【0030】
第1加熱混合工程の加熱混合は、品温90〜140℃で10〜60分間行うことが好ましく、品温105〜130℃で20〜60分間行うことがより好ましい。
【0031】
第2加熱混合工程の加熱混合は、品温80〜120℃で10〜60分間行うことが好ましく、品温90〜100℃で20〜60分間行うことがより好ましい。
【0032】
第1原料は、第1原料中、油脂原料の含有量が30〜50重量%、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、及び大豆パウダーの合計の含有量が10〜30重量%となるように調製されることが好ましい。第1原料に配合されるオニオンパウダー、ガーリックパウダー、及び大豆パウダーの比率は、オニオンパウダー1重量部に対し、ガーリックパウダー0.1〜1重量部、大豆パウダー0.1〜1重量部であるのが好ましい。油脂原料とオニオンパウダー、ガーリックパウダー、及び大豆パウダーとをあらかじめ加熱混合することによりルウの風味を向上させることができる。ルウ製造に用いられる油脂原料、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、及び大豆パウダーのそれぞれについて、全量が第1原料に配合される必要はなく、一部が第1原料に配合され、残部が第2原料に配合されてもよい。
【0033】
第1原料中の小麦粉以外の澱粉質原料の含有量は特に限定されないが、第1原料中5〜60重量%であることが好ましく、5〜50重量%であることがより好ましい。本発明の低油脂ルウの原料として用いられる小麦粉以外の澱粉質原料の全量が第1原料中に配合される必要はなく、一部のみが第1原料に配合され、残部は第2原料に他の調味料とともに配合されてもよい。小麦粉以外の澱粉質原料の第1原料に配合される量と、第2原料に配合される量との比率は特に限定されない。
ルウ原料として小麦粉を使用する場合、その全部または一部を第1原料に配合することができる。
【0034】
第2原料は、第1加熱混合工程後の第1原料と、調味料とを少なくとも含む。調味料の具体例は上述のとおりであり、調味料の配合量は、最終的な低油脂ルウ中での配合量にあわせて適宜決定することができる。小麦粉以外の澱粉質原料、小麦粉、油脂原料、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、及び/又は、大豆パウダーの一部のみが第1原料に配合される実施形態では、残部を第2原料に配合する。
【0035】
加熱混合により調製された低油脂ルウを適当な形状に加工することができる。例えば低油脂ルウを冷却して塊状とし、さらに適宜粉砕することにより様々な大きさの粒状および粉末状のルウを含む粉粒ルウを製造することができる。この粉粒ルウはそのまま製品として利用してもよいし、さらに成形型に充填して加圧成形して固形ルウを製造したり、適当な形状の粒に造粒したりすることもできる。第2加熱混合工程後のルウの冷却方法は特に限定されないが、例えば調製した低油脂ルウを冷却装置付きのベルトコンベアで上方及び/又は下方から冷却しながら搬送することによって行うことができる。ここでの冷却は、ルウ中に含まれる油脂の融点以下の温度(品温)にルウを冷却することが好ましい。より好ましくは、油脂の融点よりも10℃以上低い温度に冷却することが好ましい。具体的には、例えば油脂の融点が30〜60℃の場合、低油脂ルウを5〜28℃に冷却するのがよい。このように、低油脂ルウに含まれる油脂の融点以下の温度まで冷却することにより、粉粒ルウを生成するための粉砕機に低油脂ルウが付着して当該粉砕機の能力が低下するのを抑制することができる。なお、ここで、油脂の融点は、上昇融点のことを指し、油脂の殆どが液相に転じ、残ったわずかな量の固相が存在したまま全体が流動を開始する温度をいい、この温度は採用した油脂によって様々である。
【0036】
調製した低油脂ルウから粉粒ルウを生成するための手段に特に制限はなく、公知の粉砕機を用いて行えばよい。粉粒ルウは様々な大きさの粒状及び/又は粉末のルウが混在していることが好ましいが、さらに好ましくは、粉粒ルウの最大大きさが規定されるのがよく、この最大大きさは5000μmであるのが好ましく、より好ましくは4000μmである。このような粉粒ルウの最大大きさを整えるのに、例えば目開き5000μmや4000μmのようなスクリーンの開口を通じて粉砕機から粉粒ルウを排出し、粉砕機が排出した粉粒ルウを、固形ルウ等の製造に用いることができる。このような粉砕機を使って粉粒ルウの整粒を行ったときには、粉砕機が排出した粉粒ルウは、約5000μm(目開き5000μmのスクリーンを使用した場合)又は約40000μm(目開き4000μmのスクリーンを使用した場合)を最大大きさとして、それ以下の様々な大きさのルウが混在することになる。
【0037】
調製したルウを細かくして様々な大きさの粒状及び/又は粉末が混在した粉粒ルウは、流動性を備えているため成形型の成形キャビティーに均一に充填することが容易となり、堅固に加圧成形しなくても適度な嵩密度の固形ルウを生成することが可能である。例えば固形ルウを成形するときの加圧条件として好ましくは0.5〜80kg/cm、より好ましくは1.0〜50kg/cmである。得られる固形ルウは嵩密度が0.85〜1.35g/cmであるのが好ましく、より好ましくは0.90〜1.35g/cm、更に好ましくは0.95〜1.20g/cmであり。
【0038】
第2加熱混合工程後の低油脂ルウを粉状、粒状等の他の形態に加工する方法についても特に限定されず、適当な手段を用いて行うことができる。
【実施例】
【0039】
【表1】

【0040】
(製法)
上記配合に示す原料を用いて固形ルウを製造した。すなわち、先ず、植物油脂、コーンスターチ、オニオンパウダー、ガーリックパウダー及び脱脂大豆パウダーを攪拌機付きクッカーに投入して加熱混合を開始し、品温120℃に達したら、この温度で30分間保持した(第1加熱混合工程)。さらに、これに他の原料を加えて加熱混合を継続し、品温が98℃に達したら、この温度で20分間保持してルウを調製した(第2加熱混合工程)。次に、得られたルウをベルト式冷却装置(ベルトフリーザー)で20℃に冷却して塊状のルウを作った。次に、塊状のルウを粉砕機に投入し、この粉砕機内で目開き4mmのスクリーンを通過させて最大大きさ4000μmに砕き、成形型(大きさ縦2cm×横3cm)に充填して加圧成形することにより固形ルウを得た。実施例1及び比較例1〜3の固形ルウは、油脂含量が15重量%、コーンスターチの含有量が32重量%、カロリーが350kcal/100gのものであった。
【0041】
(評価)
実施例1及び比較例1〜3の固形ルウを用いてカレーソースを作り、各ソースの風味を評価した結果を表2に示す。表2に示すとおり、実施例1では、小麦粉を使用しない低油脂ルウであるにもかかわらず、味の厚み及びコクを有するカレーソースが得られたのに対し、比較例1及び2では味の厚みが得られず、比較例3では味のコクが得られなかった。
【0042】
【表2】

【0043】
また、実施例2の固形ルウは、油脂含量が15重量%、コーンスターチの含有量が27重量%、カロリーが380kcal/100gのものであり、この実施例2の固形ルウを用いて作ったカレーソースも、小麦粉を使用しない低油脂ルウであるにもかかわらず、味の厚み及びコクを有するものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂、小麦粉以外の澱粉質原料、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、及び大豆パウダーを含有し、油脂の含有量が5〜25重量%であり、小麦粉以外の澱粉質原料の含有量が10〜45重量%であり、小麦粉を含有しない又は10重量%以下の量で含有することを特徴とする、低油脂ルウ。
【請求項2】
低油脂ルウ100gあたりの熱量が400kcal以下である請求項1の低油脂ルウ。
【請求項3】
低油脂ルウの製造方法であって、
油脂原料と、小麦粉以外の澱粉質原料と、オニオンパウダーと、ガーリックパウダーと、大豆パウダーとを含有する第1原料を加熱混合する第1加熱混合工程と、
前記第1加熱混合工程後の第1原料と調味料とを含有する第2原料を加熱混合する第2加熱混合工程と、
を含み、
製造される低油脂ルウ中、油脂の含有量が5〜25重量%であり、小麦粉以外の澱粉質原料の含有量が20〜45重量%である、
前記方法。
【請求項4】
第1原料中、油脂原料の含有量が30〜50重量%であり、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、及び大豆パウダーの合計の含有量が10〜30重量%である、請求項3の低油脂ルウの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−110982(P2013−110982A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257940(P2011−257940)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000111487)ハウス食品株式会社 (262)
【Fターム(参考)】