説明

低消費電力の電気泳動ディスプレイ

本発明は、画像情報に対応するピクチャを表示するための電気泳動ディスプレイパネルであって、流体中に分散された帯電粒子を有する電気泳動材料のある量を各々有する、複数の画素と、更新駆動波形により規定される電位差を受けるために各々の画素に関連する第1電極及び第2電極と、各々の画素の前記更新駆動波形を制御するための駆動手段とを有する、電気泳動ディスプレイパネルであり、前記帯電粒子は、印加される前記更新駆動波形に依存して、前記ピクチャを表示するために前記電極間の中間位置及び前記電極の近傍の極端位置の1つである位置を占めるようになっていて、本質的に、前記更新駆動波形は、データ非依存性の第1シェーキング部分と、その間にリセット信号が前記画素に対して印加されるリセット部分と、データ非依存性である第2データ非依存性シェーキング部分と、それに続いて、その間にピクチャ電位差が、前記粒子が前記画像データ情報に対応する位置を占めることを可能にするために前記画素に対して、印加される駆動部分とを有する、電気泳動ディスプレイパネルであり、前記第1シェーキング部分の極性は前記第2シェーキング部分の極性の逆である電気泳動ディスプレイパネルに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報に対応するピクチャを表示するための電気泳動ディスプレイパネルであって:複数の画素であって、各々が、流体中に分散している帯電粒子を有する電気泳動材料のある量を有する、複数の画素と;更新駆動波形により規定される電位差を受けるために各々の画素に関連する第1及び第2電極と;各々の画素の前記更新駆動波形を制御するための駆動手段と;を有する電気泳動ディスプレイパネルであり、印加される更新駆動波形に依存して、帯電粒子は電極近傍の極端位置の1つである位置及びピクチャを表示するために電極間の中間位置を占めることができ、前記更新駆動波形は:データ非依存性の第1シェーキング部分と、その間にリセット信号が画素に対して印加される、リセット部分と、データ非依存性の第2データ非依存性シェーキング部分と、その間に粒子が画像データ情報に対応する位置を占めることを可能にするために画素に対してピクチャ電位差が印加される、続く駆動部分と、を本質的に有する、電気泳動ディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
電気泳動ディスプレイ装置は、電場の影響下で、帯電した、通常、カラード粒子の動きに基づいている。そのようなディスプレイは、電子新聞、電子日記等の紙のようなディスプレイ機能において適合可能である。1つの種類の電気泳動ディスプレイ装置は、流体で満たされた複数のマイクロカプセルを有する。各々のマイクロカプセルは又、複数の帯電粒子を有し、それらの帯電粒子の位置はマイクロカプセルに対する電場の印加により制御される。これは、通常、第1電極と第2電極との間にマイクロカプセルの層を挟むことにより成される。基本的実施形態においては、黒色粒子のようなカラード粒子が白色流体中に分散されている(以下、1粒子タイプという)。代替として、異なる帯電を有する少なくとも2つの異なるタイプの帯電粒子であって、例えば、黒色の負に帯電した粒子及び白色の正に帯電した粒子が透明な流体中に分散されている(以下、2粒子タイプという)。この後者の例示は、画素のコントラストを増加させ、ディスプレイの解像度を改善する、副画素アドレッシングを可能にする点で、優位性がある。後者のタイプのディスプレイの詳細について、図1に模式的に示している。
【0003】
上記のような電気泳動ディスプレイ装置の例については、特許文献、国際公開第02/027330号パンフレット(1粒子タイプ)に記載されている。
【0004】
上記の電気泳動ディスプレイパネルにおいては、各々のピクチャ要素は、ピクチャの表示中、各々のマイクロカプセル中の粒子の位置により決定される外観的特徴を有する。それ故、そのようなディスプレイの階調は、特定の期間の間、各々のピクチャ要素に対する更新駆動波形と呼ばれる、電圧パルスのシーケンスを印加することにより一般に生成される。非常に多数の階調は、自然に見えるピクチャを表示するために所望されている。この目的のために、種々の異なる更新駆動波形が異なる階調を生成するために開発されてきた。この種類のディスプレイに伴う問題点は、しかしながら、粒子の位置が印加される電位差又は波形に依存するばかりでなく、各々のピクチャ要素の前に印加された電位差の履歴に依存することである。更に、電気泳動ディスプレイにおける階調の正確度は、例えば、滞留時間と、温度と、湿度と、電気泳動材料の横方向の不均一性等の他の要因により強く影響される。開発された更新駆動波形の殆どは、表示される画像における各々のピクチャ要素の階調が現在の画像における状態と比較され、そしてこの比較に基づいて、波形の集合の1つが選択される。それ故、4つの階調を有する例においては、16個の異なる波形、即ち、4つの階調の何れの一から何れの他の一への各々の遷移からの1つの波形を記憶することが必要である。2粒子タイプのディスプレイにおける階調は類似する方法で生成される。
【0005】
上記のタイプの電気泳動ディスプレイにおける適切な階調は、所謂、レール安定化方法を用いて達成されることが可能であり、それは、階調が基準黒色状態か又は基準白色状態のどちらか(即ち、2つのレール)から得られることを意味する。従来技術の駆動波形を表す例について、状態、白色(W)から濃い配位色(G1)へ、薄い灰色(G2)から濃い灰色(G1)へ、黒色(B)から黒色(B)へ、及び白色(W)から白色(W)へのそれぞれの画像遷移について、図2に模式的に示している。各々の更新駆動波形は、本質的に、第1シェーク期間(S1)(即ち、シェーキングパルスの第1期間)、リセット期間(R)、第2シェーク期間(S2)(即ち、シェーキングパルスの第2期間)及び階調駆動期間(D)を有する。画素の履歴への電気泳動ディスプレイユニットの光応答依存性を低減するために、プリセットデータ信号を有するシェーキングパルスが印加される。それらのプリセットデータ信号は、2つの電極の一における静止状態から電気泳動粒子を開放するに十分であるが、電気泳動粒子が電極の他の一に達するようにするには小さ過ぎるエネルギーに相当するデータパルスを有する。第1及び第2シェークパルス(S1、S2)の両方が、ディスプレイの消費電力を低減し、発光効率を向上させるように、各々の画素により表示されるべきデータ情報に依存することなく、ディスプレイの画素全てに対して同時に印加される。これは又、ハードウェアシェーキングと呼ばれる。それ故、白色から白色へ(W−W)又は黒色から黒色へ(B−B)のような同一レベルの遷移を受ける画素は又、第1及び第2シェーク期間それぞれの間、第1シェーキングパルス及び第2シェーキングパルスの両方を受ける。
【0006】
しかしながら、この方法の問題点は、上記のシェーキングパルスによりもたらされる輝度ずれを補正するために、上記の駆動パルスの後に付加単一極性駆動パルスが必要とされることである。これは、大きい消費電力及び画素における残存DC電圧をもたらし、次の画像更新において大きい画像残像に繋がる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、特に、従来技術の電気泳動ディスプレイの階調ずれに比べて低減された階調ずれを有する電気泳動ディスプレイを達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、少なくとも一部において、前記第1シェーキング部分の極性が第2シェーキング部分の極性と逆であることを特徴とする、冒頭のような電気泳動ディスプレイパネルにより達成される。前記第1シェーキング部分の極性が第2シェーキング部分の極性と全く逆であるように備えることにより、ハードウェアシェーキング(画素データに拘らず、シェーキングは全体のディスプレイにおいて起こる)によりもたらされる全階調ずれは著しく低減されることが可能である。更なる有利点は、これにより、同じレベルに階調遷移を有する画素を更新することが必ずしも必要ないことであり、そのことは、ディスプレイパネルの消費電力を著しく低減し、残存DC電圧を又、低減させることができる。
【0009】
好適には、シェーキング部分の各々は偶数個のシェーキングパルスを有する。これは、階調ずれを更に低減する。
【0010】
本発明の実施形態に従って、更新駆動波形は、前記第2シェーキング部分の後に付加駆動パルスを更に有する。前記更新波形は、極端光学状態にある又はそれに近い、一の階調から同じ階調への遷移のために用いられるように備えられている。これは、同じレベルへの遷移を用いる反復の更新の間に階調ずれを改善する。好適には、付加駆動パルスは、現在の光学状態に最も近い極端光学状態の方に粒子を移動させるような極性を有する。これは、非常に制限された量の残存DC電圧を伴って、階調ずれを更に抑える。
【0011】
本発明の実施形態に従って、更新駆動波形は、前記第2シェーキング部分の前の付加リセットパルスと、前記第2シェーキング部分の後の付加駆動パルスとを更に有する。前記更新駆動波形は、一の階調から同じ階調への遷移のために用いられるように備えられている。これは、同じ階調への遷移を伴う反復更新の間に、階調ずれを改善する。前記付加リセットパルス及び前記付加駆動パルスは等しい長さを有することが可能である。好適には、付加駆動パルスは、それらの現在の光学状態に最も近い極端光学状態のほうに粒子を移動させるような極性を有する。これは、付加DC電圧を導入することなく、階調ずれを更に抑える。代替として、前記付加駆動パルスは前記付加リセットパルスより長く、そのことは、残存DC電圧の非常に抑えられた量を伴って、更に、階調ずれを改善し、一定の階調を可能にする。
【0012】
本発明の上記の及び他の目的は又、電気泳動ディスプレイ装置を駆動するための駆動手段により達成され、その装置は、複数の画素であって、各々が、流体中に分散されている帯電粒子を有する電気泳動材料のある量を有する、複数の画素と、更新駆動波形により規定される電位差を受けるために各々の画素に関連する第1及び第2電極と、を有する装置であり、その駆動手段は更新駆動波形を制御するように備えられ、更新駆動波形は、データ非依存性である第1シェーキング部分と、その間にリセット信号が画素に対して印加されるリセット部分と、データ非依存性であり、前記第1シェーキング部分が前記第1シェーキング部分の極性と逆であることを特徴とする画像データ情報に対応する位置を粒子が続いて占めることを可能にする第2データ非依存性シェーキング部分と、を有する。上記と同様な方法で、本発明の駆動手段は、ハードウェアシェーキングによりもたらされる全階調ずれが著しく低減されることが可能であることが前提であることを確実にする。
【0013】
本発明は、以下、添付図面を参照して、好適な実施形態に関して詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明が適用されることが可能である電気泳動ディスプレイパネル1の実施形態を示している。ディスプレイパネル1は、第1透明基板2、第2対向基板3及び複数の画素4を有し、この場合の各々の画素はマイクロカプセル5を有している。各々のマイクロカプセルは、電気泳動材料であって、例えば、透明な流体中に浮遊している薄い色の粒子6及び濃い色の粒子7のある量を有する。マイクロカプセル中に用いられる電気泳動材料は従来技術において周知であり、それ故、ここでは、詳細説明は省略する。薄い色の粒子6及び濃い色の粒子7は互いに帯電が異なっている。この実施例においては、薄い色の粒子は実質的に白色で、正に帯電した粒子である一方、濃い色の粒子は実質的に黒色で、負に帯電した粒子である。電気泳動ディスプレイパネル1は、各々の画素4に関連している、第1電極手段8及び第2電極手段9を更に有する。それらの電極8、9は、電位差を受けるためにドライバ10に接続されている。ドライバ10は、印加される電位差を制御するために適切な更新ドライブ波形を電極8、9に供給するように備えられている。更に、各々の画素4に対する第2電極手段9は、副画素の解像度を与えるように、2つの個別に制御可能な電極9a、9b(図1参照)を有する又は有しないことが可能である。これらの電極は、特定の環境下で、基板面内の方向において粒子を移動させるために用いられることが可能である。アクティブマトリクスの実施形態においては、各々の画層4は、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)、ダイオード又はMIM素子を有する、それ自体周知のスイッチングエレクトロニクスを更に有する。
【0015】
電極8、9に対して、更新ドライブ波形、それ故、変化する電位差を印加することにより、マイクロカプセル内の帯電粒子6、7は、異なる部分を占めるように、それ故、マイクロカプセルの外観的特性を変えるように、マイクロカプセル内を移動されることが可能である。印加される電位差の大きさに依存して、帯電粒子6、7は、例えば、黒色(B)及び白色(W)の外観的特性を生じさせる第1及び第2極端位置間を移動されることが可能であり、例えば、薄い灰色(G2)及び濃い灰色(G1)を生じさせる中間位置に移動されることが又、可能である。勿論、非常に多くの階調を得ることが可能であるが、明確化のために、ここでの説明においては、4つの状態、即ち、B、W、G1及びG2を有する装置に焦点を当てることにする。前記状態の各々を全ての他の状態に移行するために、16個の特定の遷移ドライブ波形が、各々の遷移に対して1つ、用いられる。それ故、ドライバ10は、第1状態から第2状態に画素を遷移するために、画素に対して適切な前記ドライブ波形の1つを印加することにより各々の画素に対して印加される電位差を制御するように備えられている。各々のドライブ波形又はパルスシーケンスは、本質的には、4つの波形部分であって、持続時間tS1を有する第1シェーキングパルス部分S1、持続時間tを有するリセット部分R、持続時間tS2を有する第2シェーキングパルス部分S2及び持続時間tを有する階調駆動部分Dを有する。上記のような、従来技術に従った4つのそのようなドライブ波形の例について、図2に示している。
【0016】
本発明は、第1及び第2データ非依存性シェーキング部分S1及びS2の極性が更新駆動波形の全てのタイプにおいて互いに全く逆である場合、低減された消費電力を有し、安定な階調を示す、少なくとも2つのビット階調を有するアクティブマトリクス電気泳動ディスプレイ装置を達成することが可能である。例えば、図3に示しているように、各々のシェーキングパルスは等しい長さ(即ち、ts1=ts2)を有し、同数のパルスを有するが、それらの極性は全く逆である。このように、ハードウェアシェーキングによりもたらされる全階調ずれは著しく低減される(画素データに拘らず、シェーキングは全体の表示において生じる)。それ故、同じ階調(例えば、白色から白色)に階調遷移を有する画素を常に更新する必要はなく、そのことは、消費電力及び残存DC電圧、並びに、それ故、画像残像を更に低減することが可能である。
【0017】
通常、偶数個のシェーキングパルスは、各々のシェーキングパルス期間S1、S2内で用いられる。それにも拘らず、ディスプレイの輝度は異なる階調の方にずれる傾向にある。極端光学状態にある又はそれの近くにある画素に対しては、初期より、極端状態の方に粒子を更に移動させることは困難であり、何れの正味の動きは極端光学状態から遠ざかるものであるため、階調のズレは中央の階調の方に向かう、即ち、極端光学状態から遠ざかる傾向にある。中間光学状態における画素に対しては、粒子の移動度は一連のプリセットパルスの間に増加し、それ故、粒子の動きは第1パルス(及び、続く前の奇数個のパルス全て)より第2パルス(続く偶数個のパルス全て)に対してより大きいため、光学的ずれはシェーキングパルスの極性に依存する。このずれの程度は、それ故、シェーキングパルス期間、シェーキングパルス数及び最後のシェーキングパルスの符号に強く依存する。それ故、偶数個のシェーキングパルスが各々のシェーキングパルス期間S1、S2内で用いられるときでさえ、小さい輝度ずれが観測される。しかしながら、このようなずれは、奇数個のパルスが適用される場合、更に大きくなる可能性がある。更に、全階調ずれが、同じ極性を有するシェーク1及びシェーク2が用いられるとき、倍化されることとなる。この例を図6に示している。この模式図は、書き込み状態における一連の12個のシェーキングパルスによりもたらされた輝度ずれの例を示している。シェーキングパルス期間は、正のパルスで開始し、負のパルスで終了するまでの20msecであり、それは、シェーキング語の最小の輝度ずれを与える。約2.5Lの輝度ずれが観測される。しかしながら、このずれは、最後のパルスが正符号で終了する場合、非常に大きい(例えば、7.5L)。全階調ずれは、同じ極性を有するシェーク及びシェーク2が従来技術におけるように用いられるとき、倍化される(図2参照)。
【0018】
本発明の第1実施形態について、以下、図3を参照して更に詳細に説明する。代表的な駆動波形は、図2の従来技術に従った駆動波形に対応する。図3から分かるように、第2シェーク部分S2の極性は、第1シェーク部分S1の極性とは全く逆である。第1シェーキング部分S1は正のパルス(正電圧)から開始し、負のパルス(負電圧)で終了する。第1シェーキング部分S1の後、白色状態は僅かにずれる一方、黒色状態は幾分か大きくずれる。しかしながら、続く第2シェーキング部分S2は逆の極性を有し、負のパルス(負電圧)から開始し、正のパルス(正電圧)で終了する。このようにして。ずれた黒色状態は、最後の正のパルスにより所望のより濃い状態に補正される一方、白色状態は本質的に一定のまま維持される。このようにして、本発明に従った駆動波形を用いると、黒色状態及び白色状態の両方の輝度は実質的に変化せず、人間の眼では分からない。それ故、消費電力及び残存DC電圧並びに、それ故、画像残像を著しく低減する、同じ階調への遷移のための波形を用いて画素を更新することは必要ない。
【0019】
本発明の第2実施形態について、図5を参照して、更に詳細に説明する。代表的な駆動波形は、図2の従来技術に従った駆動波形に対応する。この実施形態は、極体光学状態における又はそれに近い同じ階調への遷移、即ち、白色から白色へ(W−W)の又は黒色から黒色へ(B−B)の遷移を制御する波形は、第2シェーキング部分S2の後に位置する付加駆動パルスDPを更に有する点で、上記の第1実施形態とは異なる。好適な実施形態においては、付加駆動パルスは、現在の光学状態に最も近い極端光学状態の方に粒子を移動させるような極性を有する。この実施形態は、極端光学状態にある又はそれに近い同じ階調への遷移を伴って画素が連続して更新されるとき、本質的に有利である。この場合、従来技術の駆動波形を用いると、全階調ドリフトは積分され、最終的には、許容されないようになる。本発明者は、本出願の背後で、極端光学状態における又はそれに近い光学応答は中間階調の方に、即ち、極端光学状態から遠ざかる方に移動する傾向にあることを実験的に観測した。それ故、この本発明の実施形態に従って、上記のような第2シェーキング部分の後に付加駆動パルスが印加され、非常に抑えられた残存DC電圧の量が導入される場合、階調を一定レベルに維持することが可能である。
【0020】
本発明の第3実施形態について、以下、図4を参照して更に詳細に説明する。代表的な駆動波形は、図2の従来技術に従った駆動波形に対応する。この実施形態は、白色から白色(W−W)又は濃い灰色から濃い灰色へ(DG−DG)への遷移のような、同じ会長への遷移を制御するようになっている波形は、第2シェーキング部分S2の反対側において対象的に配置されている、リセットパルスRP及び付加駆動パルスDPを更に有する点で、上記の第1実施形態とは異なる。この実施形態は、画素が同じ階調への遷移を伴って連続して更新されるようになっているとき、特に有利である。この場合、従来技術の駆動波形を用いると、全階調ドリフトは積分され、最終的に、許容されないようになる。本発明者は、本出願の背後で、光学応答がシェーキングパルスの前にシェーキングパルスの後より非常に少ないことを実験的に観測した。それ故、この本発明の実施形態に従って、DCがバランスを保たれている間、上記のようにシェーキングパルスの前後で対称的なパルス(即ち、リセットパルスRP及び駆動パルスDP)を印加する場合でさえ、階調が一定レベルに維持されることが可能である。一変形に従って、リセットパルス及び駆動パルスは同じ長さを有する。好適な実施形態においては、付加駆動パルスは、現在の光学状態に最も近い極端光学状態の方に粒子を移動させるような極性を有する。これは、負かDC電圧を導入することなく、階調ずれを更に抑える。第2変形に従って、駆動パルス、即ち、第2シェーキング部分S2の後に印加されるパルスは第2シェーキング部分S2の前の印加されるリセットパルスより長いことが可能である。この後者の変形は、画素が同じ階調への遷移を伴って連続して高い頻度で更新されるとき、有利である。このように、階調は、残存DC電圧の非常に抑えられて量を伴って一定に維持されることが可能である。他の変形に従って、駆動パルス、即ち、第2シェーキング部分S2の後に印加されるパルスは、第2シェーキングパルスS2の前に印加されるリセットパルスより長いことが可能である。この後者の変形は、画素が同じ階調への遷移を伴って頻度高く且つ連続して更新されるようになっているとき、有利である。このように、階調は、非常に抑えられた残存DC電圧を伴って、一定に維持されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来技術に従ったディスプレイ装置における2つの隣接マイクロカプセルの模式的断面図であり、それに対して、本発明を適用することができる。
【図2】図1に示すマイクロカプセルを駆動するために用いられる従来技術の波形の例を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に従った駆動波形の実施例の集合を示す図である。
【図4】本発明の他の実施形態に従った駆動波形の実施例の集合を示す図である。
【図5】本発明の更に他の実施形態に従った駆動波形の実施例の集合を示す図である。
【図6】シェーキングパルスの集合の間の階調ずれを模式的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に対応するピクチャを表示するための電気泳動ディスプレイパネルであって:
流体中に分散された帯電粒子を有する電気泳動材料のある量を各々有する、複数の画素;
更新駆動波形により規定される電位差を受けるために各々の画素に関連する第1電極及び第2電極;並びに
各々の画素の前記更新駆動波形を制御するための駆動手段;
を有する、電気泳動ディスプレイパネルであり、前記帯電粒子は、印加される前記更新駆動波形に依存して、前記ピクチャを表示するために前記電極間の中間位置及び前記電極の近傍の極端位置の1つである位置を占めるようになっていて、本質的に、前記更新駆動波形は:
データ非依存性の第1シェーキング部分;
その間にリセット信号が前記画素に対して印加されるリセット部分;
データ非依存性である第2データ非依存性シェーキング部分;及び、それに続いて
その間にピクチャ電位差が、前記粒子が前記画像データ情報に対応する位置を占めることを可能にするために前記画素に対して、印加される駆動部分;
を有する、電気泳動ディスプレイパネルであり、
前記第1シェーキング部分の極性は前記第2シェーキング部分の極性の逆である;
ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項2】
請求項1に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記第1及び第2シェーキング部分の各々は偶数個のシェーキングパルスを有する、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記更新駆動波形は、前記第2シェーキング部分の後に付加駆動パルスを更に有する、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項4】
請求項3に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記更新駆動波形は一の階調から同じ階調への遷移のために用いられるように備えられている、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記付加駆動パルスは、現在の光学状態に最も近い極端光学状態の方に前記粒子を移動させるような極性を有する、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れ一項に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記更新駆動波形は、前記第2シェーキング部分の前の付加リセットパルスと前記第2シェーキング部分の後の付加駆動パルスとを更に有する、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項7】
請求項6に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記付加リセットパルス及び前記付加駆動パルスは逆の極性を有する、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記付加駆動パルスは、現在の光学状態に最も近い極端光学状態の方に前記粒子を移動させるような極性を有する、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項9】
請求項6乃至8の何れ一項に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記付加リセットパルス及び前記付加駆動パルスは同じ極性を有する、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項10】
請求項6乃至8の何れ一項に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記付加駆動パルスは前記付加リセットパルスより長い、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項11】
電気泳動ディスプレイ装置を駆動するための駆動手段であって:
流体中に分散された帯電粒子を有する電気泳動材料のある量を各々有する、複数の画素;及び
更新駆動波形により規定される電位差を受けるために各々の画素に関連する第1電極及び第2電極;
を有する駆動手段であり、前記駆動手段は前記更新駆動波形を制御するように備えられ、前記更新駆動波形は:
データ非依存性の第1シェーキング部分;
その間にリセット信号が前記画素に対して印加されるリセット部分;及び
データ非依存性であり、続いて、前記粒子が画像データ情報に対応する位置を占めることを可能にする第2データ非依存性シェーキング部分;
を有する、電気泳動ディスプレイパネルであり、
前記第1シェーキング部分の極性は前記第2シェーキング部分の極性の逆である;
ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−530986(P2007−530986A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520084(P2006−520084)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051193
【国際公開番号】WO2005/008624
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】