説明

低消費電力オゾン発生装置とCDI脱イオン式装置の水処理統合システム

【課題】水中汚染物質はイオン化物質と中性物質に分けられるが、これらの物質の両方を含む水中のすべての有害物質を経済的に安全に除去する自己完結的総合システムを提供する。
【解決手段】電気容量性脱イオン化(CDI)を行うため濾過キャパシター6を用いることにより水中のイオン化汚染物質を除去し、一方電気的に中性の汚染物質は、電気分解式オゾン発生器3を濾過することにより分解する。オゾン処理をするとガス状またはイオン化物質が発生し、CDIを経るとイオン化物質が副次的に除去される。電気分解式オゾン発生器3とFTCキャパシター6との組み合わせであるオゾン/CDI複合技術は水中の有害物質を除去する有効な方法であり、オゾン発生とCDIのFTCキャパシターを一体化し低消費エネルギーおよび二次汚染なしに水処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中のイオン化したあるいは電気的中性の汚染物質の除去を低消費電力で二次汚染無しに行う。具体的には2つの技術(低電圧オゾン発生装置とCDI式電気容量性脱イオン装置)を統合し、水の電導率と汚染率を削減し飲料水にする。水中の汚染物質はイオン化物質と中性物質の二つに大きく分けられる。イオン化物質は無機、有機イオンがあり、中性物質は無機質分子、有機質分子、有機的生物を含む。電気容量性脱イオン(CDI)にはフロースルーキャパシター(FTC)を用い、水中のイオン化汚染物質を効果的経済的に除去できる。一方、電気的に中性の汚染物質は、電気容量性脱イオン化の静電場では捕捉出来ないが、電気分解式オゾン発生装置を通過させることにより除去できる。
【背景技術】
【0002】
水中不純物の中には自由運動している、乳濁している、溶けているが解離前、そしてすでに解離したものがある。イオン化または中性の汚染物質を区別させるのは電化の有無である。水処理の目的は総溶解物質(TDS)、化学的酸素欲求量(COD)、生物化学的酸素要求量(BOD)、細菌数測定用培地のコロニー数(CFU)を削減することである。TDSはイオン種を測定するが、それ以外の指数は中性物質の汚染度を測定する。CODとBODを削減するにあたり、N−およびP−を含む栄養素と有機物が除去対象である。これら汚染物質でアンモニア(NH)が工業生産過程、生化学過程で生じる一般的な物質である。アンモニアは結合体(NH)あるいはイオン化状態(NH)で水中に溶け出している。結合体は水中の生き物にとって有害であるが、イオン化状態ではそうではない。しかしいずれの場合でも水源(川、湖、ダム等)での富栄養化を引き起こし、人体に有害である。現在アンモニアは生化学的汚水処理用に広く使用されている(米国特許、6,572,773,6,929,942,6,936,456,6,936,708,6,984,317,6,984,323,6,991,931,7,001,516,7,001,519)。吸収または沈殿作用でアンモニアは化学的に容易に除去できる(米国特許、5,294,348,6,838,069,6,994,793,7,005,072)。化学処理は高価な化学薬品が必要であるが二次汚染を起こす。緩速生物学的処理では炭素と化学薬品が微生物の生長に必要なだけでなく、pH、温度、酸素含有量、アンモニア量を予め決めなければならない。微生物のアンモニア摂取スピードは遅くリットル当たり700mg以下である。
【0003】
アンモニア除去スピードを加速しコストを下げる為、電気分解方式が開発された(米国特許、6,348,143,6,712,947,6,984,326)。電気分解方式処理はハロゲン化イオンとオゾン間の反応を利用し、次亜ハロゲンを発生させアンモニアを酸化させる。酸化力ではオゾンが次亜ハロゲンイオンより強力である。アンモニア、有機物質、細菌を分解するにあたりオゾン使用は効果も高く便利である。海中で発生する赤潮の発生をコントロールするのにもオゾンが使われる(米国特許6,984,330)、オゾンガスが郵便物、小包に噴射され炭疽菌を含む細菌の除去に使われている(米国特許 6,984,361)。上記のオゾン関連特許はすべてオゾン発生をコロナ放電現象によっている。これら装置には高電圧(2千ボルト以上)が要件で、かつ無声放電では酸素供給源、酸素伝送装置、ガス漏れ対策用シールドが必要になる。オゾンは容易に水中に溶解しないのでガス状か気泡で水中を通すことになる。高コストとオゾン低溶解度がコロナ放電水処理の難題である。この解決のため低電圧により水中内で直接オゾンを発生させ、同時に高電流で水を電気分解する方法が米国特許、6,984,295,6,984,304である。しかし、電気分解オゾン発生による汚染除去法にはまだ改善の余地がある。例えば、6,984,304ではオゾンと水素分離にイオン交換膜が使用されている。膜は大変高価で汚染に弱い。一方6,984,295では複数の電極と汚水フロースルー(流水通過)装置が必要になる。アンモニアとその他中性汚染物質を同時にオゾン泡で分解するのである。
【0004】
窒素結合作用と脱窒素の二つの反応が生化学的アンモニア除去において行われる。最初は二つのバクテリア種(硝酸細菌と硝化バクテリア)が好気性条件で発熱酸化に利用されアンモニアを亜硝酸塩(NO)、亜硝酸塩(NO)に変化させる。次に陰イオンがバクテリアを脱窒素し嫌気性条件で窒素還元する。アンモニアが完全にイオン化されるとそれ以外の副産物等も生化学的方法以外で急速に除去される。汚水の複雑汚染に対しては逆浸透圧(RO)とイオン交換式は、水中からイオン化汚染物質を除去するには適さない。この二つの方法は、もしイオン種を、化学薬品や大規模設備による前処理を経ない継続的オゾン酸化による処理の場合は特に、禁止されるべきである。ROの膜とイオン交換樹脂は、磨耗、有機的汚染、粒子的汚染、生物学的汚染で簡単に使いものにならなくなる。実際すべての廃水は上記いずれかの汚染を受ける。容量性脱イオン化(CDI)の方がROやイオン交換より汚染に耐え、水中のイオン種を効果的に除去する。CDIはフロースルーキャパシター(FTC)と静電気を利用し水中のイオン化物質を取り除く。FTCの帯電電極を廃水が通過するとイオンは電極表面に吸収される。CDI処理でのイオン除去時の消費電力はごく小さく、残存電気もFTC電極の電気回生時に外部電源に直接回収される(米国特許、6,580,598、6,661,643)。CDIの能力を主に決定するのはFTCの性能である。砂漠などの乾燥地帯でのエンジンの排気管から集められる水の飲料水変換にNOとSO2−を除去するためFTCが実用化されている(米国特許7,000,409)。同特許では狭い範囲の総溶解物質(TDS)の除去のみが可能だがこれはこのFTCが大量の廃水処理には向いていないことを示す。イオン化および中性汚染物質を含む様々な廃水の処理にはフロースルーオゾン発生装置を処理システムに一体化できる高性能のFTCが必要である。
【特許文献】


【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
廃水の化学処理は高価な化学材料が必要で、かつそれが二次汚染を起こす場合が多い。オゾンは水中溶解度が低いので効果を出すにはガス状か気泡で水中を通すことになる。高いコストと溶解度の低さが難題である。この問題解決のため低電圧による水中内直接オゾン発生と同時に高電流で水電気分解の方法が(米国特許、6,984,295,6,984,304)あるが電気分解によるオゾン発生と汚染処理にはまだ改善の余地がある。本発明のオゾン発生とCDIフロースルーキャパシターの併用は低消費エネルギーおよび二次汚染なしに水処理を行い、非常に経済的である。
【発明を解決するための手段】
【0006】
発明を実施するための形態としては、流水通過式フロースルーオゾン発生装置、CDIを行うため並列に配置された流水通過式フロースルーキャパシター(FTC)、そしてオゾン発生およびFTCのための電力管理用スーパーキャパシターである。オゾン発生装置とFTCはそれぞれ同一構成の画期的電極セット(本発明)を持つ。しかしオゾン発生装置とFTCの電極用には違った種類の作用物質が用いられる。この電極セットは第一に縦に互いに並行な金属板複数枚、第二に、先の金属板に縦に並行な第二の金属板複数枚で出来ており、第一の金属板と第二の金属板は交互に配置する。第一の電気棒は第一と第二の金属板を貫通し電気的に第一の金属板を電力源に接続する。第一の電気棒と第一の金属板は第一の電極を形成する。第二の電気棒は第一と第二の金属板を貫通し電気的に第二の金属板を電力源に接続する。第二の電気棒と第二の金属板は第二の電極を形成する。第一の電気棒に配置される第一の複数個の絶縁体は第二の金属板と第一の電気棒を絶縁する。第二の電気棒に配置される第一の複数個の絶縁体は第一の金属板と第二の電気棒を絶縁する。
【0007】
オゾン発生に使用される金属板はメッシュ(網目)、薄いスクリーン、多孔板である。電極板の沢山の穴を密閉筐体内の水が通過する。或いは筐体に入れずそのまま水中に浸せば即席の浄水が出来る。オゾン発生装置の第一、第二の電極はそれぞれ別の電気棒につながる。複数の金属板は積み重ねる形で形成されるが同じ電極の金属板は並列で電気棒につながる。電気棒の極性は任意にスイッチ変換が出来、それぞれの金属板はオゾン発生のための陰極になる。スイッチによりオゾンの発生量が増えるだけでなく電極の寿命も延び、電極を汚染からも守りやすい。オゾン発生用の金属板に付ける薄膜フィルムの作用物質材料としてプラチナ、酸化イリジウム、人工ダイヤモンドが適当である。オゾン発生に要する電流はPWM(パルス幅変調)を経てスーパーキャパシターから送られる。作業中、オゾン発生装置は電気回生なしで継続的に活動できる。動作電圧範囲は直流24ボルトから3ボルトで、水の導電率に依存するが、動作電流はオゾン発生量と電極の寿命のバランスを考慮して決める。高電流はオゾン発生量を上げるがフィルムの作用物質材料の蒸着等の耐性に影響を与える。
【0008】
FTCこそが性能、コストの面でCDI水処理技術の根幹である。当発明はFTC用にオゾン発生装置と同じく電極を積み重ねた形成を行う。直流電源があれば、FTCは密閉容器内(クローズド方式)でも、そのまま水中に浸すこと(オープン方式)でも稼動することが出来る。FTCとオゾン発生装置には二つの違いがある。それは作用物質と電極の電気回生(リフレッシュ)である。FTCでは活性炭素やカーボンナノチューブ/フラーレン(C60)等の表面積の大きい作用物質でイオン吸収を行う。イオン吸収により電極が急速に飽和するため、FTCは継続的な電気回生が必要である。飽和したFTC電極はこれ以上イオン吸収の余地が無いからである。CDI式水処理はFTCの繰り返し放電/充電の一連のサイクルからなる。FTCの電気回生で電力を電源へ直接回収できるが、イオンをFTCから水流で自動排出するときを利用する。イオンの吸着が不完全だとCDI水処理の効果を半減させる。CDI処理の不完全さを取り除くことも当発明の目的の一部である。オゾン発生装置と同様にCDIの電力管理システムにスーパーキャパシターが用いられる。スーパーキャパシターはTDS削減用のエネルギー補助および貯蔵と駆動の機能を果たす。
【0009】
以上の通りCDIが制限された電力環境でエネルギーを効率よく利用するにはスーパーキャパシターは重要な構成要件である。スーパーキャパシターの急速充放電の特徴が電力増幅、電力回収をしながら、オゾン酸化、イオン除去、そして必要時の電力備蓄の機能を果たす。スーパーキャパシターの効果を最大限に利用することがオゾン発生とCDI処理の改善に欠かすことが出来ない。
【0010】
当発明の画期的な点として水処理を継続的ライン施設として稼動のためフロースルーオゾン発生と脱イオンを統合システムとして一体化することである。簡単なフィルター処理で水中の中性汚染物質はオゾン発生装置により酸化されガス状のイオン化物質になる。イオン充填した水の流れはFTC装置に送り込まれイオン除去後、安全な水となる。オゾン/CDI混合システムでオゾンは灰化と同作用の酸化で中性物質に変換し、CDIは効率よく低消費電力ですべての帯電種を吸収する。こうしてオゾン/CDI混合システムは水中に一番多いイオン化および中性物質を除去する。いずれの方法も化学薬品は必要でなく、二次汚染の心配もない。
【0011】
オゾン/CDI混合式水処理システムのそれぞれの要素、FTC(フロースルーキャパシター)、フロースルーオゾン発生装置、スーパーキャパシターについて、そしてそれらを統合するシステムの説明を行う。
【0012】
FTCはCDIの根幹技術で、イオン除去を行い、TDSレベルを下げる。図1は米国特許6,462,935で開示されたFTCのロールである。二つの電極201と202が二つのセパレータ203と同心円状に102の水取り込み棒に巻きつけられている。巻く前は、それぞれの電極シートは(図では見えないが)電気リードで外部の電源とつながっている。巻いた後はFTCロールの両端は密封される。チューブ102にある孔から水がFTCに入り、FTCロールの横壁から出て行く。セパレータ203の厚さが電極間の放電ギャップを定義し、二つの電極を通じる電気ポテンシャルが生成する静電場に大きく影響する。そのギャップが小さいほど静電場は大きくなり、より多くのイオンが水中から吸収され除去される。しかしギャップが狭いとFTCを通過する水量が減り、FTC内に汚染水が残り電気回生が十分出来ない。 水道水のような処理水が低イオン種を含むとき、図1にシリンダー式FTCはイオンを急速に除去し硬水を軟水に変える。生の水道水もFTCの性能を劣化させずに電極の回生用に利用される。一方、海水を取り込むときはシリンダー型FTCの曲がりくねった長い通路は以下の難点がある。
1. 中央の孔から水を通過させると非均等のため電極の効率利用が半減する。電極表面のすべてが使われないのでイオン吸収、イオン除去の率が減り、TDSデータが改善しない。
2. FTC電気回生でイオンを洗い流せず、FTC内部に残ってしまう。この残滓が次のイオン除去時の汚染源となる。
【0013】
二次汚染を解決し電極の効率化を上げる為、当発明ではFTC構成に画期的デザインを提案する。図2は新FTC設計の概念図を示す。厚さTのチタンまたはステンレス金属板を基板として活性物質をコーティングしイオン吸収電極を形成する。活性物質は活性炭素、カーボンナノチューブ(CNT)かフラーレン(C60)である。またはカーボン布も基板および活性物質の代替になりそれ自体でイオン吸収電極にもなる。活性炭素が活性物質として選ばれた場合、塗装技術のローラーまたはスピンコーティングで塗布するのが良い。しかしバインダー塗布式はFTCの電極に対する活性炭素の有効面積を減らしてしまうため効果が落ちる。60%もの炭素表面積がバインダーにより影響を受ける。この不利益を避ける為CNT,C60を基板に吸着物質として直接生成させる。現在、新FTC用にバインダーの影響を受けない電極形成方法を内部的に研究中である。図2Aのとおり電極プレートに3つの異なった直径の孔がある。孔AとBは二つの電気棒をつなぐ為に設計され、Aは金属板と棒の絶縁用で、Bは金属板と棒の電気伝導用である。絶縁のため孔Aにプラスチック製絶縁体を挿入する。孔Bは金属棒と同じ径で金属板が棒を支えながら通電時には低抵抗で接続される。第3の孔Cは複数個あり直径2mm以下で、水が自由にプレート間を垂直または水平方向に自由に移動できる。孔Cの配列パターンは図以外にも水の保持率と流水率が最適化するように変更できる。もしFTCの電極用にカーボン布が使われるなら布の隙間のため、孔Cは必要ないこともありえる。フィルター浸透やイオン交換床での隙間を利用する濾過は一般的水処理の方法である。水処理の能力向上はいかに表面積を増やすかにある。
【0014】
図2Bは二つの電気棒に電極プレートを接続させる好ましい道具を示す。挿入リングIRはポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン、ベークライト等の絶縁体で作る。IRの外径(OD)は孔Aの直径と同じである。内径(ID)は電気棒の直径と同じ金属リングを挿入するためその径である(金属リングは図では見えない)金属リングは挿入リングIRと電気棒の両方にフィットする。IRの厚さは当発明のFTCの電極ギャップを決定する。電極プレートと電極棒間の電気ショートを防ぐ他の方法と電気接続を向上させるさらに他の方法が、当発明のFTC製作に用いられる。
【0015】
図2Cは挿入リングIR、二つの電極棒R1とR2、金属板の接合を示す。IRの中央にある金属リングは図の複雑化を防ぐため描いてはいない。孔Aを通じてR1に接続した、そして孔Bを通じてR2に接続したすべての電極プレート。 これらプレートは互いに180度逆向きにサンドイッチ状にはさまれている。同様の構造が孔Bを経て電極棒R2に接続するすべての金属プレートにもいえる。当発明のFTCは電極棒R1とR2が金属プレートの孔AとBに交互に挿入され形成されている。つまり二つのお互いに隣り合う金属プレートを電極棒が貫通し孔Aと孔Bが向き合っている。 すべての金属プレートの孔Bは、上下二枚の隣り合う金属プレートのそれぞれの孔Aとサンドイッチになっている。当発明FTCの全容が図2Dに示される。電極棒R1とR2がそれぞれ並列に電極に接続される同じ枚数の金属プレートを保持する。FTCのすべての電極が積み上げられたとき、それぞれの金属プレートは同プレートの孔Bの上と下の二つのIR内の二つの金属リングと接触している。すべてのプレートは同じ素材のため正負いずれの極にもなる。プレートの極性は電極棒に帯電した状態に依存する。孔Bを経て接続された電極棒とすべてのプレートは同じ極を持つ。金属プレートと支持する棒が電気的接触を実現するため、2枚の絶縁板F1とF2が、ナットN1、N2(四個)を使い、積み重なった金属プレートと挿入リングの上下に装着される。金属プレートと挿入リングがお互いに圧力を受け、挿入リングの中央の金属リングが穴Bを通じて金属プレートに接触する。金属リングを経て金属プレートと棒が電気的に接続される。当発明のFTCに使われるすべてのナット、金属リング、電気棒は腐食に強いチタニウム等で作られる。代わりに銅やステンレスが使われる場合は腐食防止の対策が必要であろう。図2DのFTCは密閉筐体(クローズド式)または裸のまま(オープン式)CDI式水処理に使われる。密閉内ではFTCは容器等に入れられ、水はFTC内を通過して脱イオンする。また、オープン式では水深に関わりなく水中に沈められ、携帯用電源を使いイオン除去を行える。後者の携帯方法では電気が通っていない辺地でも問題は無い。図2DのFTCは内部の研究によると電極の効率はかなり高く、二次汚染もほとんど無いのが分かっている。
【0016】
図1と図2Dで描かれた二つのタイプのFTCは同じ手順で操作される。両タイプのFTCを複数個使いCDI水処理を行う場合、イオン除去のために並列でつなげられるので一つの電圧だけでよい。水の伝導率によるが動作電圧は直流3ボルトから9ボルトである。伝導率が高ければ動作電圧は低い。電流値が下がりFTCが飽和状態になると、FTCは電気回生が必要になる。回生中、少なくとも30%の電力がイオン除去で回収できる。エネルギー回収は飽和したFTCを単純に負荷装置、この場合はスーパーキャパシターにつなげることで可能になる。FTCの放電で吸収されたイオンは自動的に電極を離れ、回収後再利用に貯蔵できる。FTCが放電するとき、FTCは並列つなぎになっているので吸収されたイオンを完全に脱着し電力を回収する。
【0017】
次にオゾン発生装置であるが、図2Dの構造と同様の電極積み立て方式で画期的なオゾン発生装置を構築できる。これで水中で直接オゾンを発生させるのである。オゾン装置用の材料と製造方法は上記のFTCと良く似ている。しかし図2DのFTCと本発明のオゾン装置には違いがある。それらは以下の通り。
1.オゾン装置の基板にはチタニウムを使用するがFTCの方はステンレス等の安価な金属でよい。オゾン装置の環境は厳しく酸化腐食に耐える金属が必要である。
2.プラチナ、酸化イリジウム、合成ダイヤモンドフィルムがオゾン発生用の作用物質である。FTCには炭素系物質がイオン吸収媒体として用いられる。オゾンはこれら物質がアノードとして帯電すると発生する。
3.オゾン装置の電極はメッシュ、スクリーン、プレートの形状であるが、FTCの電極は比較的より小さな隙間でもよい。
4.オゾン装置は色々な中性の汚染物質を除去でき、BOD,CODを酸化により削減する。FTCはイオン種を除去し表面吸収でTDSを削減する。
5.オゾン装置はBODとCODを継続的に除去し、装置を回生する必要は無いが、FTCは頻繁に清掃する必要がある。
6.オゾン装置は包括的破壊処理であるがFTCは非破壊処理を行い、CDIシステムの各過程で異なったイオンを吸収、脱着できる。
7.オゾン装置は電力を消費するが、FTCは回生時に残留電力をエネルギー変換なしに直接回収できる。
8.オゾン装置の電極の極性は予めセットした間隔で反転できる。FTCは充電(イオン吸収)、放電(電極を回生)をオゾン装置より長い間隔で交互に行う。
【0018】
電極の製造方法が同じことに加えてオゾン発生装置とFTCは本発明では電力管理にスーパーキャパシターを重要な部品として共有する。エネルギー節約のため両技術ともにPWM(パルス幅変調)を使う。PWMにより水処理は一層エネルギー節約出来る。PWMを利用しないで間欠的電極供給をするとオゾン発生とイオン吸収プロセス間の均衡が崩れシステムとして不都合が生じかねない。PWMによりTDS,COD,BODの削減が一層促進されるであろう。図2DのFTCと同様、オゾン発生装置は密閉式でもオープン式でもよい。本発明オゾン発生装置の極性変換により次のメリットが確認できる。
1.反応装置の電極は水中オゾン発生用アノードとして機能できる。
2.電極は稼動中の半分の時間だけアノードとして機能するので電極の寿命は延びる。
3.電極はアノードとして機能し、オゾンが存在するので電極周りの汚染物質は常に除去される。
本発明のオゾン発生装置はイオン交換膜を一切使用しない。膜は水素からオゾンを分離しオキシダントが濃くなるが、膜は非常に高価で磨耗、汚染に弱い。本発明に膜を使用すれば密閉式オゾン処理でもオープン式でも本来の性能は出ない。何故なら膜が水流を妨げ、膜の汚染も避けられないからである。どちらの方式でもオゾン発生装置は汚染物質に囲まれるが、ただちに酸化ガスが発生し除去が始まる。その速度はオゾンを水素から分離する反応より早い。汚染物質除去用のオゾンは水中に無尽蔵にある。内部実験ではオゾン装置を通過した水はオゾン特有の臭気がある。一方、水素の存在は処理する水の汚染物質の除去には都合が良い。オゾンは焼却と同様の破壊的酸化作用がありすべての中性物質は、毒性の減ったガス状、イオン化、混合物質になる。汚染物質がイオン種になると、FTCは水中からイオン化した物質を除去する。CDI処理と同じく、オゾン発生装置の稼動電圧は処理水の伝導率に依存する。直流24ボルト以下が一般である。処理水が極めて高伝導であれば、海水などは電圧が5ボルト以下で良く、さもなければ装置に過電流が流れる。電流密度が1A/cm以上だとプラチナや酸化イリジウムなどのオゾン発生媒体が基板のチタニウムから剥離する可能性がある。水中のオゾン濃度は水温に敏感で、温度が低いと水中のオゾン存在を安定化させる。よってFTCの水通過の過程で水は攪拌されオゾン発生装置内の水温を低く一定にし、水流が汚染物質の酸化を促進する。高ハロゲン化イオン濃度、例えば50ppm以上では本発明FTCはオゾンに加えて次亜ハロゲン酸塩を発生する。次亜ハロゲン酸塩はBOD,COD除去に有効なオキシダントである。次亜ハロゲン酸塩はオゾンより水中で長い間存在し、除去用陰イオンを含む水は消毒用として保存、運搬に都合が良い。さらに本発明の次亜ハロゲン酸塩は稼動過程で発生し、殺菌後の残留イオンはCDIにより除去できる。
【0019】
スーパーキャパシターは本発明の根幹であるが、“スーパー”の名のとおり普通のキャパシターの何千倍のエネルギーを貯め、充放電ができる。小さな容積で大きなキャパシタンスを持つスーパーキャパシターはさらに以下の付加価値を持つ。
1. 定格内稼動電圧であればキャパシターはどんな大きさの電流でも充電される。飽和したFTCユニットの残存電流は大小にかかわらず後で使うために無駄なく急速にキャパシターに完全に移動する。飽和した複数の並列つなぎのFTCユニットを放電することによりキャパシターへの残存電流をより素早く転送できる。FTCの電極から吸収されたイオンの脱着も促進される。
2. 本発明のFTCユニットとオゾン発生装置は大きな電流を必要とするのでスーパーキャパシターがリアルタイムに補助する。これにより水処理に必要な電力のコストを軽減できる。例えば50Aの電力は高価である。既存の電力源の安価な低電力を使い、スーパーキャパシターで大規模水処理施設でも、数十倍に電流を増幅して供給できる。既存の電力源を使うので火事などの災害の心配もない。
3. スーパーキャパシターはトランスやコンバーター無しに出力電力を増大することが出来る。一方スーパーキャパシターはFTC回生から回収されるエネルギーの貯蔵用バッファーとしても機能する。このエネルギーは変換する必要はない。エネルギーはそのまま貯められほとんどロス無しに送電できる。水処理の電力管理にスーパーキャパシターを使うことにより処理用消費電力は低コストである。
4. スーパーキャパシターは維持管理が必要なく長寿命である。使用環境の劣悪な温度や外気にも耐用性がある。実際に氷点下でのエンジン始動でも使うことができる。
5. 本発明のFTCおよびオゾン発生装置の稼動電圧は低いのでスーパーキャパシターに要求される電圧も低い。低電圧であれば水処理は乾電池、燃料電池、太陽電池、風力というあらゆる簡単な電力源でも問題はない。スーパーキャパシターが補完する。
【0020】
図1のFTCはスーパーキャパシターの構成と実は同じである。どちらも電解質を使う。これによりキャパシター充放電時にイオンの吸収と脱着をそれぞれ行う。FTCとスーパーキャパシターの違いは、FTCの電解質は水中の処理水を使い、スーパーキャパシターでは電解質は密閉容器に格納されていることである。FTCを複数使い電極の総面積を増やすことで工業廃水等を淡水化するのだが、直列につながったFTCユニットの放電時の高電圧に対処するためスーパーキャパシターも直列につなぐ。FTC回生時の直列つなぎのスーパーキャパシターの充電は各スーパーキャパシター間の電圧分布にアンバランスをもたらす。一番高い電圧のスーパーキャパシターが最初に枯渇し他の足を引っ張る。一つのシステムとしてのスーパーキャパシターを組み立てる方法によりこの問題は回避できる。この方法はセル内(in−cell)接続式だがシステム内のすべてのスーパーキャパシターが一定の温度と圧力を保つことが出来る。したがって複数のスーパーキャパシターすべてが一体となって全電圧を均等に受け持ち、外部からみると一つの充放電体として機能する。電圧が、自動的に均等に分布するので直列につながった各スーパーキャパシター用の保護回路は必要が無い。他のエネルギー保存器機と同様に、スーパーキャパシターのすべての電力が完璧に活用されるわけではない。スーパーキャパシター放電時、スーパーキャパシターの電圧が稼動電圧以下に減衰したときスーパーキャパシター内の残存エネルギーは無駄になりうる。同じセットのスーパーキャパシター群を2セット用意し、それぞれ充電、放電(CDスウィングと呼ぶ)とサイクルさせればスーパーキャパシターの稼動電圧を継続的に利用、充電が同時にできエネルギー節約につながる。CDスウィングの稼動では1セットは常に放電し仕事をこなし、もう片一方は裏方で充電され待機している。前者のエネルギーが枯渇すると今度は後者が放電を始め前者は裏に回り充電を受ける。この方法によりCDスウィング式電力供給システムは本発明の提案の通りPWMや他のコントロールを使い水処理に必要なピーク電流を常に供給できる。CDスウィングはスーパーキャパシターを電力応用時のエネルギー効率化で設計したが、水処理現場でも同様にスーパーキャパシターを使い処理コスト削減が出来る。ちなみにCDIのオペレーションはCDスウィングである。すなわち複数のFTCが,充電放電を繰り返すからである。処理された水が並列のFTCユニットの充電で作られる。FTCユニットは放電し、回生され、電力とイオンは回収されることになる。
【0021】
通過式オゾン発生装置、FTC,電力源(直流、CDスウィング利用スーパーキャパシター)の三つが図3の通りコンパクトで自己完結型水処理システムとして構築できる。汚水はポンプで注入口1からオゾン/ODI混合水処理システムに入る。フィルター2で簡単な濾過をする。フィルターは砂、炭、活性炭素、他の安価な濾過媒体で作る。水は通過式オゾン発生装置で処理される。水中内のすべての電気的中性汚染物質は発生装置3と貯蔵タンク4の間を循環して酸化され、すべてガス状かイオン化の状態になる。オゾン化した水はフィルター5で処理され更に濾過しユニット6のFTCまで進む。オゾン化の過程で例えばFe2+などの原イオンは酸化されると微細になり沈殿し、Fe等になる。そのためCDI処理前に沈殿物のフィルターが必要である。他の酸化されにくいイオン種とオゾン化したイオンはFTC6で除去または収集される。FTC6でのCDI処理は希望するTDSレベルに到達するまで繰り返され、処理水は出口7で放流される。入り口1から出口7までの間、一切の薬品無しに継続してオゾン化と脱オゾン化処理される。フロースルーオゾン発生装置で説明したように同装置は自身を清浄するので継続稼動が可能である。一方FTCユニットは頻繁に電気回生と洗浄が必要である。ただ、その過程は同じく化学薬品を使わずスーパーキャパシターへの放電で完結する。よってオゾン/CDI混合水処理システムは安全で二次汚染も全く起きない。さらに本発明のオゾン/CDI混合水処理システムではアンモニア等の中性種の濃度に制限は無く、イオン含有量にも制限は無い。希釈処理抜きで海水のような高濃度水も直接に淡水化し飲料水に変換できるし、本オゾン発生装置にもFTCユニットにも損害を与えることも無い。
【0022】
図3の例はオゾン/CDI混合水処理システムを分かりやすく説明するために示したが本発明の応用例の一例に過ぎない。一日処理量10,000m以上の工業廃水にもオゾン発生装置およびFTユニットは対応出来る。両装置の電極の寸法、図2Dの金属板の枚数を増加し、さらにオゾン発生装置およびFTCユニットの数を増やすことで対応する。オゾン発生量とイオン吸収率は電極表面積に比例するので、オゾン/CDI混合水処理システムのスケールアップによりどんな規模にも対応できる。図3には表示されていないが半導体コントローラを使いオゾン化、脱オゾン化、そしてCDIと電気分解オゾン化間のインターフェイス、電力管理を統括する。コントローラ使用によりオゾン/CDI混合水処理システムは顧客の個別要求に合わせごく簡単に構築、建設でき、最低の人的監視で稼動できる。化学薬品を使わずオゾン発生装置もFTCユニットも場所を取らず、オゾン/CDI混合水処理システムは既存の複雑なコロナ放電式オゾン発生装置、逆浸透圧式、イオン交換式設備より簡略した設備を実現する。これは低コストを意味する。本発明のシステムを既存の水処理システムの非化学薬品式前処理設備として使えば、高価な逆浸透圧膜とイオン交換樹脂の消費も抑えることが出来る。図3にはスーパーキャパシターを表示していないが、直流電力供給源の中に含まれている。個別の電力管理によると、個別スウィッチング電力供給(SPS)が設備の規模に関わらずスーパーキャパシターを利用すれば構築できる。水処理の必要電力が決定されれば、スーパーキャパシター供給電力とそれ用の主電源を決定する。この顧客別SPS式により最大のエネルギー効率化と最低のコストでシステムを構築する。
【0023】
本発明オゾン発生装置とFTCは図2Dの電極積み上げ構造を利用する。よって水処理はクローズド方式およびオープン方式の両方で可能である。図3はクローズド方式で両ユニットともに筐体に配置する。クローズド方式では水は空気に触れないでオゾン化され脱イオンする。クローズド方式は処理現場でも組み立てられるし、又はトラック、トレーラ等の荷台にも取り付けられ緊急時の現場対応も出来る。これらの場合でもオゾン化、脱オゾンの電力源は電池、充電電池、発電機で対応できる。FTCユニットを回生するときの洗浄用水は、オゾン/CDI混合水処理システムからの処理済放水を少し使うだけでよい。この洗浄用水は汚染が進むまで繰り返し使える。その後、洗浄用水は当オゾン/CDI混合水処理システム内に組み入れ、再度処理を行い、純水に変える。このことにより処理水の還元率は90%以上になる。オープン方式では図2Dのようにオゾン発生装置とFTCをそのまま稼動することもできる。その場合、両ユニットとも水中に随意の深さに沈め、水中内でオゾン発生、脱イオンを行う。この場合クローズド式のようにオゾン化、そして脱イオン化という順序では処理はできないが水中の汚染物質は酸化され吸収される。オープン方式では当然だがポンプ、導管、貯水槽は必要ない。オゾン発生装置とFTCを船に取り付ける場合(船首、船尾、右舷、左舷いずれでもよい)、水上での水処理施設が出来上がる。電極間に固体が挟まることが無いようオゾン発生装置とFTCにはメッシュのスクリーンを装着する。例えば河川水に存在する中性汚染物質や藻類を破壊するには10ppbから10ppmの僅かなオゾンで済むし、オゾンレベルは装置への電力供給の操作でコントロールできるので空気中への過剰オゾンの放出は最小限に留めることが出来る。そのため環境にはやさしい。同様に、本発明FTCユニットも低電力で、6W(3Vx 2A)で河川水のイオン汚染物質も除去できる。低電力利用は人間や海中生物への感電事故を防げる。FTCユニットが飽和したら、船上に引き上げて回生を行い、同時に船上の回生済みを水中に沈め、イオン吸収を続ける。本発明の実際は次の例でのオゾン発生装置とFTCをそれぞれ、或いはシステムとして説明することにより一層理解が深まる。
【0024】
例1として、10種類の試薬としての薬用純水塩を使う。CuSO,FeSO,Ca(NO.Fe(NO,Al(NO,NaNO,Zn(NO,KPO,NaPO、NaClを別々に1リットルの脱イオン水に溶かし10種類の純水溶液を作る。TDSは700から1000ppmである。各水溶液は図1の円筒型FTC5台を直列につないだ600mlの容積のプラスチック容器内で密閉する。テスト中、各水溶液は毎分1リットルの水流でFTCパック内を通過する。各FTCは巻き状の電極の表面積1400cmを持ち、イオン除去用に二つの電極に直流3Vを通す。五台のFTCは回路的に並列につながっているので各FTCは3Vの電圧を受ける。トータルの電流は6Aである。図4は各水溶液のTDSの削減を表わす。1サイクルに3分間の脱イオン化、2分間の放電と回生のための洗浄を行い、それを3サイクル行った。SO2−を含んだ塩基以外はTDSが200ppm以下に減り、CDI処理で陽イオンと陰イオンが大量に除去されたことを示す。SO2−の除去と全般的塩分除去は更に電圧を上げればより向上する。
【0025】
例2として、1%のアンモニア(NH)水溶液1.5リットルを用意しオゾン発生装置を使用しオゾン化を行う。(米国特許6,984,295)プラチナをコーティングしたチタン製メッシュ2枚(幅10cm、長さ10cm、3.5mm x 6.5mmの開口)を使いオゾン発生装置を構成する。オゾン発生装置は1.5リットルのアンモニア水の入った容器に入れ、PWM管理下で平均8.5ボルト、1.75Aの電流を流す。オゾン化の間はアンモニア水のTDSのみを計測し、一時間ごとの変化を図5Aに示した。オゾン化開始後約6時間でTDSは一定になりアンモニアの分解が終わったことを示す。ほとんどのアンモニアはオゾンにより次のとおり分解される。

次にオゾン化した水は例1のとおり、一台のFTCを通り使い脱イオンされるが直流3ボルトを通す。図5Bの通り水のTDSは600から150ppmへとスムースに減っていく。水溶液のTDSが確実に削減されるのは自由なアンモニア分子が存在しないことを示し、さもなければアンモニアは電気分解されTDSの上昇につながる。図5BではTDSのカーブに4つの局面がある。局面AとCでFTCは普通の水道水で洗浄し、局面BではFTC脱イオン水で洗浄される。洗浄時は500mlの水道水または脱イオン水を使う。局面Dでは別の新しいFTCが使われ、後で水道水を使い洗浄される。新しいFTCが使われるとTDSが急に減り始める。よって図1の巻き状FTCの脱イオン能力は汚染により落ちてしまう。FTCを洗浄する際きれいな水、脱イオン水を使えば汚染は最小限に食い止められる。これは局面BのTDS削減の急なカーブで分かる。よりきれいな水による洗浄や複数のFTCユニットの使用等の方法で、汚染を和らげることが出来る。それにもかかわらず例2が示すのは、オゾン/CDI混合水処理システムにより低エネルギー消費と化学薬品やバクテリアの使用なしに、アンモニア汚染水を飲料水のレベルに浄化したことである。処理中、中性のアンモニア分子は脱イオン前に酸化されるべきである。何故なら消費電流を抑える為、分子がCDI操作であえて電気分解の必要を起こさないためである。
【0026】
アンモニア(6g)を2リットルの水道水と1リットルの濾過後の海水(TDS=35,000ppm)に溶かす。塩分入りの同アンモニア水をまず図2の電極配置を使うクローズド式オゾン発生装置(例1)で酸化する。チタニウム製メッシュに酸化イリジウム(IrO)をオゾン発生用コーティングする。メッシュには1.5mm×3.0mmの開口がある。直径5.3cmのIrO/Ti円盤、32枚を装置に入れる。オゾン用電力は12V×10Aとし、一分毎に電極の極性を変換する。アンモニア塩水はオゾン発生装置と貯水槽の間を循環する。表1はTDS,pH,オゾン化用電圧および電流値を一時間毎に示す。
【表1】

もし2リットルの水道水を1リットルの海水と混ぜると、pHは7.6である。この混合水にアンモニアを混ぜるとpHは10.4にはね上がる。オゾン化が進むとアンモニア塩水のpHは減っていく。よってアンモニアを完全に酸化させるには表によると3時間から4時間かかる。もしアンモニアとオゾンも比重が1:1なら、本発明のオゾン発生装置が毎時1.5gのオゾンを発生できる。中立なpHレベルで水中のすべての中立のアンモニア分子がアンモニウム(NH)になる。アンモニアが気化する水中のpHレベルは10.5である。オゾン化用使用電流は10Aで規定するが、動作電圧は水の伝導率で自動的に決定される。常に循環しているため水温は23℃から25℃である。オゾン化の後、オゾン水は図2Dの構成のFTCで脱イオンされる。このFTCユニットはチタニウム円盤80枚(厚さ0.5mm、直径5.3cm、図2Aの小さなパターン孔)にイオン吸収用の活性炭素をコーティングする。電極円盤は2つのグループに分け、それぞれ電気の通じる棒に接続する。直流3Vを棒に通し水を酸化させる(表1)。30サイクルのCDI操作で、水のTDSは12,400から10,000ppmに下がる。2000ppmのアンモニアと最低10,000ppmの塩を含む3リットルの水(生化学方式と化学薬品なしのROでは処理できないレベル)も本発明システムで二次汚染なしで処理できる。
【0027】
製鉄所から出る20リットルの工業廃水は314ppmから100pm以下のCOD削減に成功した。水は図3のオゾン/CDI混合ユニットでまず酸化され、塩を抜かれる。結果は表2の通り。
【表2】

表2でオゾン発生装置の電極全表面積はCDIのそれよりずっと小さく、COD削減の結果に現れている。水はNHを含んでいて、それはNOまたはNOに酸化されるので、オゾンによるイオン酸化より、CDIの方がイオン除去を早く行う。両処理とも毎分1.5リットルの水流を使い、FTCモジュールを通過するのに13分かけて処理を行った。もう一度、水がFTCユニットを通過するならばCODは更に削減される。化学薬品、バクテリアは一切使用していないので本オゾン/CDI混合ユニットはクリーンで経済的そして早い。
【0028】
上の例および内部での他の試験から結論づけられるのは、本発明は化学薬品を使わずエネルギー節約で省スペースの様々な形態の水処理を提供出来るということである。TDS,COD,BODの除去が一つのラインで又はオープン式で出来るのである。本オゾン/CDI混合ユニットをどの規模にスケールアップするのはとても簡単である。オゾン発生装置もFTCユニットもモジュールとして提供出来るので水処理量が増えるにつれてユニットを追加すればよい。オゾン発生装置もFTCユニットとも使用材料は環境にやさしく、金属材料もリサイクル出来る。オゾン発生とイオン汚染物質の吸収脱着もクリーンで効率よい電力利用で達成出来る。スーパーキャパシターを使い顧客別の用途に合わせた混合式水処理施設をエネルギー節約の観点から信頼性の高いものに仕上げられる。化学薬品もバクテリアも一切使用しないので、本システム内のイオンは原型を留めてリサイクル出来る。海水に含まれる一般的な塩分でさえ地球上では重要な資源である。本発明オゾン/CDI混合システムは無限の応用分野で利用されるだろう。最も重要なことは、本システムは水処理を環境に悪影響を与えずに経済的に提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】CDI式水処理のシリンダー型FTCの概念図(米国特許6,462,935)
【図2】A: 厚さTの金属プレート。3つの異なる大きさの穴。最大穴Aは電気絶縁した一本の電気棒にプレートを挿入。Bはプレートと他の電気棒を電気的につなぐ。Cは水を通す。B: 絶縁用挿入リング。一本の電気棒を電極プレートに固定。C: 2本の電気棒と金属プレートを接合。金属プレートは電気的に一本の棒に接続、もう一本とは絶縁。D: オゾン反応装置またはFTCの電極セット。
【図3】ラインとしてのオゾン/CDI混合水処理システム図。
【図4】FTCを5台モジュールにして処理したTDSの削減カーブ(10種類の無機塩)
【図5】A: 1%のアンモニア水の分解。水溶液の導電率の増加。オゾン反応器を浸して実験。B: 一台のFTCを使いオゾン処理されたアンモニア水の伝導率低下。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の水から汚染物質を除去する水処理システムの構成は:
(1)対象物の水を取り入れる注入口。
(2)上記注入口から水を受け取り、水を電気分解しオゾンを提供する最低一つのオゾン発生装置。
(3)上記オゾン発生装置は次を含む:
(ア) 水中に沈めるための第一の電極セットで、この第一電極セットは第一の電極と第二の電極から構成され、
(イ) 第一の電極セットに24ボルト以下の直流電流電圧を作る第一の電源。第一の電源は予め決めた間隔で第一と第二の電極の極性を転換できる機能を持つ。
(4)オゾン発生装置を通過してきた水に、電気容量性脱イオン化を行う最低一つのフロースルー(水通過式)キャパシター(FTC);FTCは水からイオン化汚染物質を除去する。
(5)FTCは次を含む:
(ア) 水中に沈められる第二の電極セット。第二の電極セットは第三の電極と第四の電極から成る。
(イ) 第二の電極に約1〜3ボルトの直流電流電圧をかける第二の電源。
(ウ) FTCから対象物の水を排出する出口。
【請求項2】
請求項1記載の水処理システムの構成で、第一の電極セットは以下を含む。
(1)第一の金属シーを同一製法で複数枚。お互いに並行に並べ縦の方向に積む。
(2)第二の金属シーを同一製法で複数枚。第一の複数の金属シートに並行に並べ縦の方向に積む。第一の金属シート複数と第二の金属シート複数は交互に配置される。第一と第二の金属シートを貫通する第一の電気棒一本。この電気棒は第一の金属シートと第一の電源を接続し、第一の電気棒と第一の金属シートは第一の電極を構成する。
(3)第二の金属棒は第一と第二の金属シートを貫通し、第二の金属シートと第一の電源を電気的に接続する。第二の電気棒と第二の金属シートは第二の電極を構成する。
(4)第二の金属シート複数と第一の電気棒間の電気絶縁用に、第一の電気棒に装着される複数の第一の絶縁物は、同時に第一の金属シート複数と第二の電気棒間の電気的絶縁用に、第二の電気棒にも装着される。
【請求項3】
請求項1記載の水処理システムで第二の電極セットはいかを含む。
(1)第三の金属シートを同一製法で複数枚。お互いに並行に並べ縦の方向に積む。
(2)第四の複数の同一金属シートを複数の第三の金属シートに並行に縦の方向に積む。第三の金属シート複数と第四の金属シート複数は交互に配置される。第三の電気棒一本が第三と第四の金属シート複数を貫通し、第三の金属シートと第二の電源を電気的に接続する。この第三の電気棒と第三の金属シートは第三の電極を構成する。
(3)第四の金属シート複数と第三の電気棒間の電気絶縁用に、第三電気棒に装着される複数の第二の絶縁物は、同時に第三の金属シート複数と第四の電気棒間の電気的絶縁用に第四の電気棒に装着される。
【請求項4】
請求項3記載の水処理システムで、第三と第四の金属シート複数はチタニウムまたはステンレススチール製で、活性炭素、カーボンナノチューブ或いはフラーレン(C60)をコーティングする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−132466(P2008−132466A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348482(P2006−348482)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(306011610)リンクロス株式会社 (12)
【Fターム(参考)】