説明

低減レベルの内毒素を有する抗M−CSF抗体組成物

【課題】低減レベルの内毒素を有する抗M−CSF抗体組成物の提供。
【解決手段】本発明は、内毒素を実質的に含有しない抗M−CSF抗体の組成物を提供する。内毒素レベル低減を示す抗M−CSF抗体の製剤処方物を用いたM−CSF媒介性障害、例えば炎症性疾患および新生物形成障害の治療方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許および特許出願の引照
本出願は、米国特許出願第60/659,765号(2005年3月8日出願)(この記載内容は、参照により本明細書中で援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
内毒素は、患者への非経口投与時に発熱反応を生じ得るグラム陰性細菌の外側細胞壁と関連した約10キロダルトン(kDa)の低分子量複合体である。それは、全体的陰性電荷、高熱安定性および高分子量を有することにより特性化される。内毒素は、脂質、炭水化物およびタンパク質の複合体である。脂質および炭水化物構成成分は、リポ多糖を生成する。リポ多糖は、3つの異なる化学的領域、即ち最内部領域である脂質A、中間コア多糖、および内毒素の特定発熱性応答に関与する最外側O特異的多糖側鎖からなる。
【0003】
それらの潜在的発熱性のため、内毒素レベルは、非経口投与製剤を包含する任意の過程で最小限にされ、制御されるべきである。したがって取締り機関、例えば米国食品医薬品局(FDA)は、静脈内薬剤適用のための1回1時間の期間で体重1 kg当たり5 EUの上限を設定している(例えばThe United States Pharmacopoeial Convention (USP), Pharmacopeial Forum 26 (1): 223 (2000)参照)。
【0004】
非経口投与製剤のために一般的に用いられるタンパク質に含まれるのは、抗体である。医学的療法に有用な一抗体は、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)と特異的に結合する抗体である。
【0005】
M−CSFは、単球/マクロファージの機能、活性化および生存の重要な調節物質である。多数の動物モデルが、種々の疾患、例えば慢性関節リウマチおよび癌におけるM−CSFの役割を確証している。マクロファージは、慢性関節リウマチにおける重要なエフェクター細胞を含む。慢性関節リウマチにおける滑膜マクロファージ浸潤の程度は、根本的関節破壊の程度と密接に相関することが示されている。単球/マクロファージ、繊維芽細胞および内皮細胞によりリウマチ様関節に内因的に産生されるM−CSFは、単球/マクロファージ系列の細胞に作用して、それらの生存および骨破壊性破骨細胞への分化を促して、前炎症細胞機能、例えば細胞傷害性、スーパーオキシド産生、貪食作用、走化性および二次的サイトカイン産生を増強する。
【0006】
内毒素のレベル低減を示す、慢性関節リウマチ、癌およびその他のM−CSF媒介性疾患のような疾患を治療するために用いられ得るM−CSF抗体の処方に対する必要性が、当該技術分野には存在する。
【発明の開示】
【0007】
発明の要約
一態様において、本発明は、配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、および配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体を含む組成物であって、抗体がヒトM−CSFと結合し、そして組成物が内毒素を実質的に含有しない組成物を提供する。
【0008】
本発明は、モノクローナルIgG抗体の精製方法であって、以下の:抗体を、抗体と結合するアフィニティークロマトグラフィー樹脂と接触させて;アフィニティークロマトグラフィー樹脂をリン酸イオンおよび塩化物イオンを含む洗浄溶液で洗浄し;アフィニティークロマトグラフィー樹脂をpH5.5で酢酸イオンを含む洗浄液で洗浄し;アフィニティークロマトグラフィー樹脂から抗体を溶離して、抗体を含むアフィニティークロマトグラフィー溶離液を生成し;アフィニティークロマトグラフィー溶離液を抗体と結合するイオン交換樹脂と接触させ;そしてイオン交換樹脂から抗体を溶離することを包含する方法も提供する。
【0009】
本発明は、配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体であって、ヒトM−CSFと結合する抗体を含む組成物中の内毒素の量の低減方法であって、以下の:組成物を抗体と結合するアフィニティークロマトグラフィー樹脂と接触させ;アフィニティークロマトグラフィー樹脂から抗体を溶離して、抗体を含むアフィニティークロマトグラフィー溶離液を生成し;アフィニティークロマトグラフィー溶離液を抗体と結合するイオン交換樹脂と接触させ;そしてイオン交換樹脂から抗体を溶離する(ここで、抗体は内毒素を実質的に含有しない)ことを包含する方法も提供する。
【0010】
本発明は、配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列をさらに含む少なくとも1つの抗体、ならびに製薬上許容可能な賦形剤を含む液体製剤組成物であって、抗体がヒトM−CSFと結合し、そして組成物が内毒素を実質的に含有しない液体製剤組成物も提供する。
【0011】
本発明は、被験者におけるM−CSF媒介性障害の治療方法であって、配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(ここで、抗体はヒトM−CSFと結合し、組成物は内毒素を実質的に含有しない);および製薬上許容可能な賦形剤を含む治療的有効量の液体製剤組成物を被験者に投与することを包含する方法も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明の方法および技術は一般に、別記しない限り、当該技術分野で周知の、そして本明細書全体を通して引用され、考察される種々の一般的およびさらに特定の参考文献中に記載されているような慣用的方法に従って成し遂げられる(例えばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor N.Y. (1989)およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates (1992)およびHarlow and Lane Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1990)参照)。当該技術分野で一般的に成し遂げられるように、または本明細書中に記載されたように、メーカーの使用説明書に従って、酵素反応および精製技法が実施される。本明細書中に記載された分析化学、合成有機化学、ならびに医学および製薬化学と一緒に、そしてそれらの実験室手法および技法に用いられる命名法は、当該技術分野で周知の、そして当該技術分野で一般的に用いられるものである。標準技法は、化学合成、化学分析、製剤の調製、処方および送達、ならびに被験者の治療のために用いられる。
【0013】
定義:
以下の詳細な説明を理解するに際して読者を手助けするために、以下の定義が提供される:
【0014】
本明細書中で用いる場合、「抗体」という用語は、無傷抗体または特異的結合に関して無傷抗体と競合する抗原結合部分を指す(一般的にFundamental Immunology, Ch. 7 (Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y. (1989)参照)。抗原結合部分は、組換えDNA技術により、あるいは無傷抗体の酵素的または化学的切断により産生され得る。いくつかの実施形態では、抗原結合部分としては、Fab、Fab’、F(ab)2、Fd、Fv、dAbおよび相補性決定領域(CDR)断片、一本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、二重特異性抗体、ならびにポリペプチドと結合する特異的抗原を付与するのに十分である抗体の少なくとも一部分を含有するポリペプチドが挙げられる。N末端からC末端まで、成熟軽および重鎖可変ドメインはともに、領域FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabat, Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1987 and 1991)), Chothia & Lesk, J. Mol. Biol. 196-901-917 (1987)またはChotha et al., Nature 342: 878-883 (1989)の定義に従うものである。
【0015】
いくつかの実施形態では、抗体は、単一タンパク質鎖としてそれらを作製させる合成リンカーを介してVLおよびVHドメインが対合されて一価分子を形成する一本鎖抗体(scFv)である(Bird et al., Science 242: 423-426 (1988)およびHuston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 5879-5883 (1988))。いくつかの実施形態では、抗体は二重特異性抗体であり、即ちVHおよびVLドメインが単一ポリペプチド鎖上で、しかし同一鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを用いて発現され、それによりドメインを別の鎖の相補的ドメインと対合させて、2つの抗原結合部位を作製する二価抗体である(例えばHolliger P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)およびPoljak R.J. et al., Structure 2: 1121-1123 (1994)参照)。いくつかの実施形態では、本発明の抗体からの1つまたは複数のCDRは、共有的にまたは非共有的に分子中に組入れられて、それをM−CSFと特異的に結合するイムノアドヘシンにし得る。このような実施形態では、CDR(単数または複数)はより大きいポリペプチド鎖の一部として組入れられ、別のポリペプチド鎖と共有的に連結され得るし、あるいは非共有的に組入れられ得る。
【0016】
本明細書中で用いる場合、数により言及される抗体は、同数のハイブリドーマから得られるモノクローナル抗体と同一である。例えばモノクローナル抗体8.10.3Fは、ハイブリドーマ8.10.3Fから得られるものと同一の抗体である。例えばモノクローナル抗体8.10.3Fは、ハイブリドーマ8.10.3Fから得られるものと同一の重および軽鎖アミノ酸配列を有する。したがって抗体8.10.3Fへの言及は、それぞれ配列番号2および4で示される重および軽鎖アミノ酸配列を有する抗体を包含する。それは重鎖上の末端リシンを欠く抗体も含むが、これは製造中の抗体の一部で普通は損失されるためである。
【0017】
本明細書中で用いる場合、Fd断片とは、VHおよびCH1ドメインからなる抗体断片を意味し;Fv断片は抗体の単一腕のVLおよびVHドメインからなり;そしてdAb断片(Ward et al., Nature 341: 544-546 (1989))はVドメインからなる。
【0018】
本明細書中で用いる場合、「ポリペプチド」という用語は、ネイティブまたは人工タンパク質、タンパク質断片およびタンパク質配列のポリペプチド類似体を包含する。ポリペプチドは、単量体的または重合体的であり得る。
【0019】
「またはその抗原結合部分」という用語は、「抗体」という用語とともに用いられる場合、アミノ末端および/またはカルボキシ末端欠失を有するポリペプチドをさすが、しかしこの場合、残りのアミノ酸配列は天然配列における対応する位置と同一である。いくつかの実施形態では、その抗原結合部分は、少なくとも14、少なくとも20、少なくとも50、または少なくとも70、80、90、100、150または少なくとも200アミノ酸長であり得る。
【0020】
本明細書中で用いる場合、「特異的に結合し得る」という用語は、≦1 μM、好ましくは≦1 nM、最も好ましくは≦1 pMである解離定数で抗体が抗原と結合する場合を指す。ある種の実施形態では、KDは1 pM〜500 pMである。他の実施形態では、KDは500 pM〜1 μMである。その他の実施形態では、KDは1 μM〜100 nMである。その他の実施形態では、KDは100 mM〜10 nMである。
【0021】
本明細書中で用いる場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的均一抗体の一集団から得られる抗体を指し、即ちその集団を含む個々の抗体は、少量で存在するかまたはC末端リシンを欠く可能性がある考え得る天然突然変異を除いて、同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一抗原性部位に対して向けられる。さらに、異なる決定因子(エピトープ)に対して向けられる典型的には異なる抗体を含む慣用的(ポリクローナル)抗体調製物と対比して、各モノクローナル抗体は抗原上の単一決定因子に対して向けられる。修飾因子「モノクローナル」とは、抗体の実質的に均一な集団から得られる場合の抗体の性質を指し、任意の特定の方法による抗体の産生を要する、と解釈されるべきでない。例えば本発明に従って用いられるべきモノクローナル抗体は、Kohler, et al., Nature 256: 495 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法により製造され得るし、あるいは組換えDNA法(例えば米国特許第4,816,567号参照)により製造され得る。「モノクローナル抗体」は、例えばClackson, et al., Nature 352: 624-628 (1991)およびMarks, et al., J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1991)に記載された技法を用いてファージ抗体ライブラリーからも単離され得る。
【0022】
「単離タンパク質」、「単離ポリペプチド」または「単離抗体」という用語は、誘導のその起源または供給源に基づいて、以下のうちの1〜4つを有するタンパク質、ポリペプチドまたは抗体である:(1)そのネイティブ状態においてそれを伴う天然会合構成成分と会合されない、(2)同一種からの他のタンパク質を含有しない、(3)異なる種からの細胞により発現される、あるいは(4)天然に生じない。したがって化学的に合成されるかまたはそれが天然に生じる細胞とは異なる細胞系で合成されるポリペプチドは、その天然会合構成成分から「単離される」。単離タンパク質/抗体も、当該技術分野で周知のタンパク質精製技法を用いて、単離により、天然会合細胞構成成分を実質的に含有しないようにされ得る。
【0023】
単離/精製抗体の例としては、M−CSFを用いてアフィニティー精製された抗M−CSF抗体、in vitroでハイブリドーマまたは他の細胞株により合成された抗M−CSF、およびトランスジェニックマウス由来のヒト抗M−CSF抗体が挙げられる。したがって好ましい実施形態では、抗M−CSF抗体は、少なくとも約95%(w/w−抗M−CSF抗体の重量/製薬上許容可能な賦形剤以外の構成成分の重量)の純度を有し、そしてさらなる実施形態では、抗M−CSF抗体は、約95%w/w〜約99.5%w/wの純度を有する。
【0024】
抗体は、少なくとも約60〜75%の試料が単一種の抗体を示す場合、「実質的に純粋」、「実質的に均質」であるか、または「実質的に精製されている」。抗体は、単量体または多量体であり得る。実質的に純粋な抗体は、典型的には約50%、60%、70%、80%または90%w/wの抗体試料を、さらに通常は約95%を含み得るし、好ましくは99%より多くが純粋である。抗体純度または均質性は、当該技術分野で周知の多数の手段、例えば抗体試料のポリアクリルアミドゲル電気泳動と、その後の当該技術分野で周知の染色によるゲルの染色時の単一ポリペプチド帯域の可視化により示され得る。ある種の目的のために、HPLCまたは精製に関する当該技術分野で周知のその他の手段により、高い解像度が達成され得る。
【0025】
本明細書中で用いる場合、「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変部および定常部を有する抗体を含むよう意図される。本発明のヒト抗体は、例えばCDR中に、そして特にCDR3中に、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えばin vitroでのランダムまたは部位特異的突然変異誘発により、あるいはin vivoでの体細胞性突然変異により導入される突然変異)を含み得る。しかしながら「ヒト抗体」という用語は、本明細書中で用いる場合、別の哺乳類種、例えばマウスの生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に埋め込まれた抗体を含むよう意図されない。
【0026】
本明細書中で用いる場合、「組換えヒト抗体」という用語は、組換え手段により調製され、発現され、作製されまたは単離される全てのヒト抗体、例えば宿主細胞中にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現される抗体、組換え体から単離される抗体、組合せヒト抗体ライブラリー、ヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックである動物(例えばマウス)から単離される抗体(例えばTaylor, L.D., et al. (1992) Nucl. Acids Res. 20: 6287-6295参照)、あるいは他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを包含する任意のその他の手段により調製され、発現され、作製され、または単離される抗体を含むよう意図される。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変部および定常部を有する。しかしながらある種の実施形態では、このような組換えヒト抗体はin vitro突然変異誘発(あるいはヒトIg配列に関してトランスジェニックである動物が用いられる場合は、in vivo体細胞性突然変異誘発)に付され、したがって組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列に由来し、関連するが、しかしin vivoでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然では存在し得ない配列である。
【0027】
「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体と特異的に結合し得るか、そうでなければ一分子と相互作用し得る任意のタンパク質決定因子を包含する。エピトープ性決定因子は一般に、分子、例えばアミノ酸または糖側鎖の化学的活性表面群生体からなり、そして一般的に特定の三次元構造特質、ならびに特異的電荷特質を有する。エピトープは、「線状」または「立体配置的」であり得る。線状エピトープでは、タンパク質および相互作用分子(例えば抗体)間の相互作用の点の全てがタンパク質の一次アミノ酸配列に沿って線状に起こる。立体配置的エピトープでは、相互作用の点は、互いに分離されるタンパク質上のアミノ酸残基を横切って起こる。
【0028】
本明細書中で用いる場合、本明細書中で互換的に用いられる「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、少なくとも10塩基長のポリマー形態のヌクレオチド、リボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチド、あるいはいずれかの型のヌクレオチドの修飾形態を意味する。本用語は、一本鎖および二本鎖形態を包含する。
【0029】
「ポリヌクレオチド」または「核酸」配列への言及は、別記しない限りその補体を包含する。したがって特定の配列を有する核酸への言及は、その相補的配列とともにその相補鎖を包含すると理解されるべきである。
【0030】
本明細書中で用いる場合、「単離ポリヌクレオチド」または「単離核酸」という用語は、ゲノム、cDNAまたは合成起源のポリヌクレオチド、あるいはそのいくつかの組合せを意味し、単離ポリヌクレオチドは、誘導のその起源または供給源に基づいて、以下のうちの1〜3つを有する:(1)「単離ポリヌクレオチド」が現実に見出されるポリヌクレオチドの全部または一部と会合されない、(2)それが現実には連結されないポリヌクレオチドと操作可能的に連結され、あるいは(3)より大きい配列の一部として現実には生じない。
【0031】
「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書中で用いる場合、天然ヌクレオチド、ならびに天然および非天然オリゴヌクレオチド結合により一緒に連結される修飾ヌクレオチドを包含する。オリゴヌクレオチドは、一般的に200塩基またはそれより少ない長さを含むポリヌクレオチドサブセットである。好ましくはオリゴヌクレオチドは、10〜60塩基長、最も好ましくは12、13、14、15、16、17、18、19または20〜40塩基長である。オリゴヌクレオチドは、例えばプライマーおよびプローブとして、通常は一本鎖である。しかしながらオリゴヌクレオチドは、例えば遺伝子突然変異体の構築に用いるために、二本鎖であり得る。本発明のオリゴヌクレオチドは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。
【0032】
本明細書中で用いる場合、「天然ヌクレオチド」という用語は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを包含する。「修飾ヌクレオチド」という用語は、本明細書中で用いる場合、修飾または置換糖基等を有するヌクレオチドを包含する。「オリゴヌクレオチド結合」という用語は、本明細書中では、オリゴヌクレオチド結合、例えばホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホルアニラデート、ホスホロアミデート等を包含することを示す(例えばLaPlanche et al., Nucl. Acids Res. 14: 9081 (1986); Stec et al., J. Am. Chem. Soc. 106: 6077 (1984); Stein et al., Nucl. Acids Res. 16: 3209 (1988); Zon et al., Anti-Cancer Drug Design 6: 539 (1991); Zon et al., Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, pp. 87-108 (F. Eckstein, Ed., Oxford University Press, Oxford England (1991);米国特許第5,151,510号;Uhlmann and Peyman, Chemical Reviews 90: 543 (1990)参照)(これらの記載内容は、参照により本明細書中で援用される)。オリゴヌクレオチドは、所望により、検出のための標識を含み得る。
【0033】
本明細書中で用いる場合、「選択的にハイブリダイズする」という用語は、検出可能的且つ特異的に結合することを意味する。本発明のポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびその断片は、非特異的核酸との検出可能な結合の容易に感知可能な量を最小限にするハイブリダイゼーションおよび洗浄条件下で、核酸鎖と選択的にハイブリダイズする。「高緊縮性(ストリンジェンシー)」または「高度緊縮」条件は、当該技術分野で既知のようなそして本明細書中で考察されるような選択的ハイブリダイゼーション条件を達成するために用いられ得る。「高緊縮性」または「高度緊縮」条件の一例は、別のポリヌクレオチドを伴う一次ポリマーヌクレオチドのインキュベーションであって、この場合、一次ポリマーヌクレオチドは、6×SSPEまたはSSC、50%ホルムアミド、5×デンハート試薬、0.5%SDS、100 μg/ml変性断片化サケ精子DNAのハイブリダイゼーション緩衝液中で、42℃のハイブリダイゼーション温度で12〜16時間、固体表面、例えば膜に固着され、その後、1×SSC、0.5%SDSの洗浄緩衝液を用いて55℃で2回洗浄され得る(Sambrook et al.、上記、pp. 9.50-9.55も参照)。
【0034】
ポリヌクレオチドに適用される場合、「実質的同一性」、「同一性パーセント」または「%同一」という用語は、第一の連続配列が第二の連続配列と比較され、そして最大対応性に関して整列される場合の残基のパーセントを意味する。配列同一性比較の長さは、少なくとも約9つのヌクレオチド、通常は少なくとも約18ヌクレオチド、さらに通常は少なくとも約24ヌクレオチド、典型的には少なくとも約28ヌクレオチド、さらに典型的には少なくとも約32ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約36、48またはそれ以上のヌクレオチドのストレッチ全体に亘り得る。「実質的同一性」、「同一性パーセント」または「%同一」という用語は、ポリヌクレオチド分子が別のポリヌクレオチド分子(またはその相補鎖)に関する適切なヌクレオチド挿入または欠失を伴って適切に整列される場合、配列同一性の任意の周知のアルゴリズム、例えばFASTA、BLASTまたはGapにより測定されるように、少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約90%、さらに好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%のヌクレオチド塩基のヌクレオチド配列同一性が存在する、ということを意味する。ヌクレオチド配列同一性を測定するために用いられ得る当該技術分野で既知の多数の異なるアルゴリズムが存在する。例えばポリヌクレオチド配列は、FASTA、GapまたはBestfit(これらはWisconsin Package Version 10.0, Genetics Computer Group (GCG), Madison, Wisconsinにおけるプログラムである)を用いて比較され得る。例えばプログラムFASTA2およびFASTA3を含むFASTAは、質問および検索配列間の最良重複の領域のアルゴリズムおよび配列同一性パーセントを提供する(Pearson, Methods Enzymol. 183: 63-98 (1990); Pearson, Methods Mol. Biol. 132: 185-219 (2000); Pearson, Methods Enzymol. 266: 227-258 (1996); Pearson, J. Mol. Biol. 276: 71-84 (1998))。別記しない限り、特定のプログラムまたはアルゴリズムに関するデフォルトパラメーターが用いられる。例えば、FASTAをそのデフォルトパラメーター(ワードサイズ6、スコアリングマトリックスに関するNOPAM因子)とともに用いて、またはGCGバージョン6.1(参照により本明細書中で援用される)で提供されるようなそのデフォルトパラメーターとともにGapを用いて、核酸配列間の配列同一性パーセントが確定され得る。
【0035】
ポリペプチドに適用される場合、「実質的同一性」、「同一性パーセント」または「%同一」という用語は、2つのペプチド配列が、例えばプログラムにより供給されるようなデフォルトギャップ重量を用いてプログラムGAPまたはBESTFITにより、最適に整列される場合、少なくとも70%、75%または80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%または95%の配列同一性、さらに好ましくは少なくとも97%、98%または99%の配列同一性を共有する、ということを意味する。ある種の実施形態では、同一でない残基位置は、保存的アミノ酸置換により異なる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の化学特性(例えば電荷または疎水性)を伴う側鎖R基を有する別のアミノ酸残基により置換されるものである。概して保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能的特性を実質的に変更しない。2またはそれ以上のアミノ酸配列が保存的置換により互いに異なる場合、配列同一性パーセントは、置換の保存的性質に関して補正するために上向きに調整され得る。この調整を行なうための手段は、当業者に周知である(例えばPearson, Methods Mol. Biol. 243: 307-31 (1994)参照)。類似の化学的特性を伴う側鎖を有するアミノ酸の群の例としては、以下のものが挙げられる:1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン;2)脂肪族−ヒドロキシル側鎖:セリンおよびトレオニン;3)アミド含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン;4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン;5)塩基性側鎖:リシン、アルギニンおよびヒスチジン;6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸;ならびに7)イオウ含有側鎖:システインおよびメチオニン。保存的アミノ酸置換群は、以下のものである:バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リシン−アルギニン、アラニン−バリン、グルタミン酸−アスパラギン酸およびアスパラギン−グルタミン。ポリペプチドに関する配列同一性は、典型的には配列分析ソフトウエアを用いて測定される。タンパク質分析ソフトウエアは、種々の置換、欠失およびその他の修飾、例えば保存的アミノ酸置換に割り当てられる類似性の測定を用いて配列を照合する。例えばGCGは、例えば異なる種の生物からの、あるいは野生型タンパク質とその突然変異体との間の相同ポリペプチドのような密接に関連するポリペプチド間の配列相同性または配列同一性を確定するために、プログラムで特定されるようなデフォルトパラメーターとともに用いられ得る「GaP」および「Bestfit」のようなプログラムを含有する(例えばGCGバージョン6.1参照)。ポリペプチド配列は、デフォルトまたは推奨パラメーターを用いたFASTAを用いても比較され得る(GCGバージョン6.1参照)。(University of Wisconsin WI)FASTA(例えばFASTA2およびFASTA3)は、質問および検索配列間の最良重複の領域のアルゴリズムおよび配列同一性パーセントを提供する(Pearson, Methods Enzymol. 183: 63-98 (1990); Pearson, Methods Mol. Biol. 132: 185-219 (2000)。別の好ましいアルゴリズムは、本発明の配列を異なる生物体からの多数の配列を含有するデータベースと比較する場合、プログラムを用いて供給されるようなデフォルトパラメーターを用いるコンピュータープログラムBLAST、特にblastpまたはtblastnである(例えばAltschul et al., J. Mol. Biol. 215: 403-410 (1990); Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25: 3389-402参照)。相同性に関して比較されるポリペプチド配列の長さは一般に、少なくとも約16アミノ酸残基、通常は少なくとも約20残基、さらに通常は少なくとも約24残基、典型的には少なくとも約28残基、好ましくは約35より多い。多数の異なる生物体からの配列を含有するデータベースを検索する場合、アミノ酸配列を比較するのが好ましい。
【0036】
「操作可能的に連結された」配列としては、当該遺伝子と隣接する発現制御配列、ならびにトランスでまたは一定距離で作用して当該遺伝子を制御する発現制御配列の両方が挙げられる。「発現制御配列」とは、本明細書中で用いる場合、それらが結繋されるコード配列の発現およびプロセシングを実行するために必要なポリヌクレオチド配列を意味する。発現制御配列としては、適切な転写開始、終結、プロモーターおよびエンハンサー配列;効率的RNAプロセシングシグナル、例えばスプライシングおよびポリアデニル化シグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を増強する配列(即ちコザック・コンセンサス配列);タンパク質安定性を増強する配列;ならびに所望される場合、タンパク質分泌を増強する配列が挙げられる。このような制御配列の性質は、宿主生物体によって異なる;原核生物の場合、このような制御配列は一般に、プロモーター、リボソーム結合部位および転写終結配列を包含し;真核生物の場合、一般にこのような制御配列は、プロモーターおよび転写終結配列を包含する。「制御配列」という用語は、最低でも、その存在が発現およびプロセシングのために不可欠である全ての構成成分を包含するよう意図され、そしてその存在が有益である付加的構成成分、例えばリーダー配列および融合パートナー配列も包含し得る。
【0037】
本明細書中で用いる場合、「ベクター」という用語は、それが連結された別の核酸を輸送し得る核酸分子を意味する。いくつかの実施形態では、ベクターは、プラスミド、即ち付加的DNAセグメントが結繋され得る環状二本鎖DNAループである。いくつかの実施形態では、ベクターはウイルスベクターであり、この場合、付加的DNAセグメントはウイルスゲノムに結繋され得る。いくつかの実施形態では、ベクターは、それらが導入される宿主細胞中で自律的複製を可能にする(例えば複製の細菌起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳類ベクター)。その他の実施形態では、ベクター(例えば非エピソーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞中への導入時に宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、それにより宿主ゲノムとともに複製される。さらにある種のベクターは、それらが操作可能的に結合される遺伝子の発現を指図し得る。このようなベクターは、本明細書中では、「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と呼ばれる。
【0038】
本明細書中で用いる場合、「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)という用語は、組換え発現ベクターが導入された細胞を意味する。「組換え宿主細胞」および「宿主細胞」は、特定の当該細胞だけでなく、このような細胞の子孫も意味する、と理解されるべきである。ある種の修飾は突然変異または環境的影響のために次の世代に起こり得るため、このような子孫は、実際、親細胞と同一でない可能性があるが、しかし本明細書中で用いられるような「宿主細胞」という用語の範囲内に依然として含まれる。
【0039】
「治療的有効量」とは、任意のM−CSF媒介性症状、例えば炎症性疾患および新生物障害の治療または予防的阻止を含む所望の療法的結果を達成するために、投薬量でそして必要な時間の間、有効な量を指す。投薬量値は、軽減されるべき症状の重症度に伴って変わり得る、ということに留意すべきである。さらに、任意の特定の被験者に関して、特定投薬量レジメンは、必要とする個体および組成物の投与を施すかまたは指図する人の専門的判断に従って長時間に亘って調整されるべきであり、そして本明細書中に記述された投薬量範囲は例示的であるに過ぎず、特許請求された組成物の範囲または実施を限定するよう意図されない、と理解されるべきである。同様に、抗体または抗体部分の治療的有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重、個体において所望の応答を引き出す抗体または抗体部分の能力、ならびに抗体処方物の所望の投与経路のような因子によって変わり得る。治療的有効量は、抗体または抗体部分の任意の毒性または有害作用より治療的有益作用が勝っている量でもある。
【0040】
本明細書中で用いる場合、治療の目的のための「被験者」という用語は、任意の被験者を包含し、そして好ましくはM−CSF媒介性障害の治療を必要とする被験者である。予防の目的のためには、被験者は任意の被験者であり、好ましくはM−CSF媒介性障害を発症する危険に直面しているかまたは発症し易い被験者である。「被験者」という用語は、生きている生物体、例えば原核生物および真核生物を含むよう意図される。被験者の例としては、哺乳類、例えばヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラットおよびトランスジェニック非ヒト動物が挙げられる。本発明の特定の実施形態では、被験者はヒトである。
【0041】
本明細書中で用いる場合、「M−CSF媒介性障害」という用語は、M−CSFレベル増大が、目下既知であるかまたは後にその障害の病理生理学に関与するかまたはその障害の悪化に関与する一因子であることが立証されるかまたは疑われるかにかかわらず、その障害に罹患している被験者におけるM−CSFの存在が正常健常被験者と比較して増大される疾患およびその他の障害を含むよう意図される。このような障害は、例えば分泌されるおよび/または細胞表面のM−CSFのレベル増大、あるいはその障害に罹患している被験者の罹患細胞または組織におけるc−fmsのチロシン自己リン酸化増大により立証され得る。M−CSFレベルの増大は、当業者に理解され得るように、例えば抗M−CSF抗体を用いて検出され得る。本発明に包含されるM−CSF媒介性障害の例としては、炎症性疾患、心臓血管性障害および新生物障害が挙げられる。
【0042】
本明細書中で用いる場合、本明細書中で互換的に用いられる「新生物」および「新生物障害」という用語は、正常増殖制御に対する、例えば「新生物性」細胞増殖に対する応答性の損失に起因する新規の細胞増殖を指す。新生物は、本明細書中では、「癌」という用語とも、そして本発明の目的のために互換的に用いられる。癌は、新生物の一亜型である。本明細書中で用いる場合、「新生物障害」という用語は、他の細胞性異常、例えば過形成、変質形成および形成異常も包含する。新生物形成、変質形成、形成異常および過形成という用語は本明細書中で互換的に用いられ、そして一般的に異常細胞増殖を経験している細胞を指す。
【0043】
本明細書中で用いる場合、「処置」という用語は、治療的処置および予防的または阻止的方策の両方を指し、この場合、目的は標的化病理学的状態または症状を阻止するかまたは遅らせる(低減する)ことである。処置を必要とするものとしては、すでに症状を有するもの、ならびに症状を有する傾向があるものまたは症状が阻止されるべきであるものが挙げられる。
【0044】
本発明またはその好ましい実施形態(単数または複数)の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1つまたは複数の要素が存在するということを意味するよう意図される。本明細書および特許請求の範囲全体を通して、「〜を含んでいる」、「〜を含む」、「〜を含む(単数)」、「〜を包含している」および「〜を有している」という用語は、包括的であるよう意図され、そして列挙された要素以外の付加的要素が存在し得るということを意味する。
【0045】
抗M−CSF抗体:
本発明に従って、配列番号4で示される軽鎖配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体を有する組成物が調製され、この場合、抗体はヒトM−CSFと結合し、そして組成物は実質的に内毒素を含有しない、ということが発見された。
【0046】
理論に縛られずに考えると、内毒素は炎症性/発熱性を有する生物学的作用を引き起こし得るため、一実施形態において、炎症性M−CSF媒介性障害を治療するよう意図される本明細書中に記載された方法のような内毒素夾雑抗M−CSF製剤療法の効力は、製剤療法が実質的に内毒素を含有しない場合には、妨害されるかまたは遮蔽され得る。
【0047】
本発明は、抗M−CSF抗体のための新規の処方物を提供する。本明細書中で用いる場合、「抗M−CSF抗体」という語句は、任意の動物内に存在するかまたは動物から単離され得るマクロファージコロニー刺激因子(「M−CSF」)ポリペプチドの任意部分に結合し得る任意の抗体またはその任意の部分を指す。ある種の実施形態では、M−CSFポリペプチドはヒトM−CSFポリペプチドである。
【0048】
本発明とともに用いるための適切な抗M−CSF抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体から選択され得る。ある種の態様では、モノクローナル抗M−CSF抗体は、ネズミ、キメラ、ヒト化またはヒト抗体であり得る。さらなる実施形態では、モノクローナル抗M−CSF抗体は、ヒトモノクローナル抗M−CSF抗体である。さらなる実施形態では、モノクローナル抗M−CSF抗体は、単離モノクローナル抗M−CSF抗体である。さらなる実施形態では、モノクローナル抗M−CSF抗体は組換えモノクローナル抗M−CSF抗体である。
【0049】
ある種の実施形態では、本発明とともに用いるのに適した抗M−CSF抗体としては、抗M−CSF抗体ならびに米国特許公開出願第20050059113号(Bedian等)に記載されているそれらの製造方法が挙げられる。他の実施形態では、本発明とともに用いるのに適した抗M−CSF抗体としては、米国特許公開出願第20050059113号(Bedian等)において252、88、100、3.8.3、2.7.3、1.120.1、9.14.4I、9.7.2IF、9.14.4、8.10.3、9.7.2、9.7.2C−Ser、9.14.4C−Ser、8.10.3C−Ser、8.10.3−CG2、9.7.2−CG2、9.7.2−CG4、9.14.4−CG2、9.14.4−CG4、9.14.4−Ser、9.7.2−Ser、8.10.3−Ser、8.10.3−CG4、8.10.3FG1または9.14.4G1と呼ばれる抗体の重鎖および軽鎖アミノ酸配列を有する抗M−CSFモノクローナル抗体の任意の1つまたは複数が挙げられる。さらに他の実施形態では、本発明とともに用いるのに適した抗M−CSF抗体としては、米国特許公開出願第20050059113号(Bedian等)において8.10.3Fと呼ばれる抗体の重鎖および軽鎖アミノ酸配列を有する抗M−CSFモノクローナル抗体が挙げられる。
【0050】
さらに、このような抗M−CSF抗体は、それらの重鎖の定常部におけるアミノ酸配列の差に基づいて選択され得る。例えば抗M−CSF抗体は、「γ」型重鎖を有するIgGクラスから選択され得る。抗M−CSF抗体のクラスおよびサブクラスは、当該技術分野で既知の任意の方法により確定され得る。概して抗体のクラスおよびサブクラスは、特定クラスおよびサブクラスの抗体に特異的である抗体を用いて確定され得る。このような抗体は、市販されている。クラスおよびサブクラスは、ELISAまたはウエスタンブロット、ならびにその他の技法により確定され得る。あるいはクラスおよびサブクラスは、抗体の重鎖および/または軽鎖の定常ドメインの全部または一部をシーケンシングし、それらのアミノ酸配列を種々のクラスおよびサブクラスの免疫グロブリンの既知のアミノ酸配列と比較し、そして抗体のクラスおよびサブクラスを確定することにより確定され得る。
【0051】
抗M−CSF抗体は、IgG、IgM、IgE、IgAまたはIgD分子であり得る。さらなる実施形態では、抗M−CSF抗体はIgGであり、そしてIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4サブクラスである。抗体が細胞を殺害する主要メカニズムの1つは、補体の固定およびCDCの関与によるものである。抗体の定常部は、補体を固定し、CDCに関与する抗体の能力と関連する重要な役割を演じる。したがって一般的に、補体固定の能力を提供するかまたは提供しない抗体のイソタイプを選択する。本発明の場合は一般的に、上記のように、細胞を殺害する抗体を利用するのは一般的に好ましくない。補体固定およびCDCを可能にする抗体の多数のイソタイプが存在し、例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ネズミIgM、ネズミIgG2a、ネズミIgG2b、ネズミIgG3、ヒトIgM、ヒトIgG1およびヒトIgG3。これに対比して、補体固定およびCDCを可能にし得ない好ましいイソタイプとしては、ヒトIgG2およびヒトIgG4が挙げられるが、これらに限定されない。重鎖配列差のほかに、IgG抗体は、ジスルフィド結合の数およびヒンジ領域の長さに基づいてそれらのサブクラス内で異なる。例えばIgG2サブクラスは、他のサブクラスとは異なるいくつかの差を有する。IgG2およびIgG4サブクラスは、それらのヒンジ領域内に4つのジスルフィド結合を有することが既知であり、一方、IgG1は2つの、そしてIgG3は11のジスルフィド結合を有する。IgG2抗体に関するその他の差異としては、胎盤を横断するそれらの能力の低減、ならびにIgG2抗体がリンパ球Fc受容体と結合できないこと、が挙げられる。したがってある種の実施形態では、抗M−CSF抗体は、サブクラスIgG2またはIgG4である。別の好ましい実施形態では、抗M−CSF抗体はサブクラスIgG2である。
【0052】
他の実施形態では、適切な抗M−CSF抗体は、それらの重鎖中のアミノ酸配列の差に基づいて選択され得る。例えば本発明の抗M−CSF抗体は、以下のヒトVH生殖系列遺伝子:VH1、VH2、VH3、VH4またはVH5:のいずれかを利用するヒトγ型重鎖を有し得る。本発明の目的のために、「重鎖可変部」という語句は、しばしば(VH)という用語で短縮される。ある種の実施形態では、抗M−CSF抗体は、ヒトVH3生殖系列遺伝子を利用する。さらなる実施形態では、抗M−CSF抗体は、ヒトVH3−48生殖系列遺伝子を利用する。さらなる実施形態では、抗M−CSF抗体は、D1−26ヒトDH遺伝子を利用する。さらなる実施形態では、抗M−CSF抗体は、JH4ヒトJH遺伝子を利用する。
【0053】
さらなる実施形態では、抗M−CSF抗体は、それらの軽鎖のアミノ酸配列の差に基づいて選択され得る。例えば適切な抗M−CSF抗体は、λ軽鎖またはκ軽鎖を有し得る。しかしながらある種の実施形態では、本発明の抗M−CSF抗体は、κ軽鎖を有する。抗M−CSF抗体がκ軽鎖を含むいくつかの実施形態では、軽鎖の可変部をコードするポリヌクレオチドは、ヒトVκL5、O12、L2、B3、L15またはA27遺伝子、ならびにヒトJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4またはJκ5遺伝子を含む。抗体がκ軽鎖を含むいくつかの実施形態では、軽鎖可変部(VL)は、一部は、ヒトVκA27遺伝子およびヒトJκ4遺伝子によりコードされる。本発明の特定の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、ヒトVκA27/Jκ3遺伝子によりコードされる。
【0054】
表1は、抗M−CSFモノクローナル抗体8.10.3Fに関する重鎖および軽鎖ヒト生殖系列遺伝子誘導および配列を列挙する。
【0055】
【表1】

【0056】
本発明のいくつかの抗M−CSF抗体は、ヒトVH3−48重鎖可変部の利用傾向を用いて生成された。XenoMouseTMマウスでは、抗体を生成するために用いる30より多い異なる機能性重鎖可変遺伝子が存在する。したがって抗原との結合および機能的活性という組合せ特性に関する抗体−抗原相互作用の好ましい結合モチーフを有する傾向がある。
【0057】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、ヒトV、DまたはJ遺伝子の生殖系列アミノ酸配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18の突然変異を含むアミノ酸配列をコードする。いくつかの実施形態では、上記の突然変異は重鎖可変部に存在する。いくつかの実施形態では、上記の突然変異はCDR領域に存在する。
【0058】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、モノクローナル抗体8.10.3FのVH中に見出されるアミノ酸突然変異と同一である生殖系列配列と比較して、1つまたは複数のアミノ酸突然変異をコードする。いくつかの実施形態では、核酸は、上に列挙したモノクローナル抗体のうちの1つに見出される少なくとも3つのアミノ酸突然変異と同一である生殖系列配列と比較して、少なくとも3つのアミノ酸突然変異をコードする。
【0059】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、抗体8.10.3Fのうちの1つのVL中に見出される変異と同一である生殖系列配列と比較して、1つまたは複数の変異体を含むVLアミノ酸配列をコードする。
【0060】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、抗体8.10.3のVL中に見出される生殖系列配列と比較して、少なくとも3つの核酸突然変異をコードする。
【0061】
いくつかの実施形態では、抗体は、単一タンパク質鎖としてそれらを作製させる合成リンカーを介してVLおよびVHドメインが対合されて一価分子を形成する一本鎖抗体(scFv)である(Bird et al., Science 242: 423-426 (1988)およびHuston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 5879-5883 (1988))。いくつかの実施形態では、抗体は二重特異性抗体であり、即ちVHおよびVLドメインが単一ポリペプチド鎖上で、しかし同一鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを用いて発現され、それによりドメインを別の鎖の相補的ドメインと対合させて、2つの抗原結合部位を作製する二価抗体である(例えばHolliger P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)およびPoljak R.J. et al., Structure 2: 1121-1123 (1994)参照)。いくつかの実施形態では、本発明の抗体からの1つまたは複数のCDRは、共有的にまたは非共有的に分子中に組入れられて、それをM−CSFと特異的に結合するイムノアドヘシンにし得る。このような実施形態では、CDR(単数または複数)はより大きいポリペプチド鎖の一部として組入れられ、別のポリペプチド鎖と共有的に連結され得るし、あるいは非共有的に組入れられ得る。
【0062】
別の実施形態では、抗M−CSF抗体は、任意の他のポリペプチドに対するその選択性より少なくとも100倍大きいM−CSFに対する選択性(または特異性)を有する。いくつかの実施形態では、抗M−CSF抗体は、M−CSF以外の任意の他のタンパク質との任意の容易に感知可能な特異的結合を示さない。本明細書の教示に従って、当該技術分野で周知の方法を用いてM−CSFに対する抗M−CSF抗体の選択性を確定し得る。例えばウエスタンブロット、FACS、ELISAまたはRIAを用いて、選択性を確定し得る。したがっていくつかの実施形態では、モノクローナル抗M−CSF抗体は、M−CSFと特異的に結合し得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、本発明の抗M−CSF抗体の重鎖のC末端リシンは存在しない。
【0064】
表1は、抗M−CSFモノクローナル抗体8.10.3Fに関する重鎖および軽鎖ならびに対応する予測アミノ酸配列を含む核酸の配列同一性(配列番号)を列挙する。シグナルポリペプチドをコードするDNA配列は配列同一体中に示されているが、しかしシグナルポリペプチドは一般的に翻訳後修飾中に排除されるため、抗体は典型的には、シグナルポリペプチドを含まない。本発明の種々の実施形態において、抗M−CSF抗体の重鎖および軽鎖の一方または両方がシグナル配列(またはシグナル配列の一部)を含む。本発明の他の実施形態では、抗M−CSF抗体の重鎖も軽鎖もシグナル配列を含まない。
【0065】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号4の抗体8.10.3Fの軽鎖アミノ酸配列と、あるいは配列番号6のVLアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である軽鎖アミノ酸配列をコードする。本発明の核酸分子としては、配列番号4の軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と、例えば上記のような高緊縮条件下でハイブリダイズするか、あるいは配列番号3のポリヌクレオチド配列を有する核酸分子が挙げられる。
【0066】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、モノクローナル抗体8.10.3Fの軽鎖アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列またはその一部分を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号3のモノクローナル抗体8.10.3Fの軽鎖ポリヌクレオチド配列をコードするポリヌクレオチド配列またはその一部分を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号6のモノクローナル抗体8.10.3FのVLアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列またはその一部分を含む。いくつかの実施形態では、上記部分は少なくともCDR2領域を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、上記抗体の軽鎖CDRのアミノ酸配列をコードする。いくつかの実施形態では、上記部分はCDR1〜CDR3を含む連続部分である。
【0067】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号2の抗体8.10.3Fの重鎖アミノ酸配列と、あるいは配列番号5のVHアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である重鎖アミノ酸配列をコードする。本発明の核酸分子としては、配列番号2の重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と、例えば上記のような高緊縮条件下でハイブリダイズするか、あるいは配列番号1のポリヌクレオチド配列を有する核酸分子が挙げられる。
【0068】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、モノクローナル抗体8.10.3Fの重鎖アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列またはその一部分を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号2のモノクローナル抗体8.10.3Fの重鎖ポリヌクレオチド配列をコードするポリヌクレオチド配列またはその一部分を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号5のモノクローナル抗体8.10.3FのVHアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列またはその一部分を含む。いくつかの実施形態では、上記部分は少なくともCDR2領域を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、上記抗体の軽鎖CDRのアミノ酸配列をコードする。いくつかの実施形態では、上記部分はCDR1〜CDR3を含む連続部分である。
【0069】
さらなる実施形態では、核酸分子は、8.10.3FのVHアミノ酸配列の少なくとも一部分をコードするポリヌクレオチド配列(配列番号5)、あるいは保存的アミノ酸突然変異および/または合計3またはそれより少ない非保存的アミノ酸置換を有する上記配列を含む。種々の実施形態において、配列は1つまたは複数のCDR領域、好ましくはCDR3領域、3つのCDR領域全て、CDR1〜CDR3を含む連続部分、または全VH領域をコードする。
【0070】
さらなる実施形態では、核酸分子は、配列番号1の重鎖アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列またはその一部分を含む。さらなる実施形態では、核酸分子は、配列番号5の重鎖可変ドメインアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列またはその一部分を含む。
【0071】
別の実施形態では、核酸は、8.10.3F、または配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖、および軽鎖の定常部、または突然変異を含む軽鎖から選択される抗体の全長軽鎖をコードする。さらに核酸は、配列番号3の軽鎖ポリヌクレオチド配列、および軽鎖の定常部をコードするポリヌクレオチド配列を含み得るし、あるいは軽鎖をコードする核酸分子は突然変異を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、8.10.3FのVHアミノ酸配列の少なくとも一部分をコードするポリヌクレオチド配列(配列番号5)、あるいは保存的アミノ酸突然変異および/または合計3またはそれより少ない非保存的アミノ酸置換を有する上記配列を含む。種々の実施形態において、配列は1つまたは複数のCDR領域、好ましくはCDR3領域、3つのCDR領域全て、CDR1〜CDR3を含む連続部分、または全VH領域をコードする。
【0073】
本発明の別の態様において、抗M−CSF抗体は、種および分子選択性の両方を実証する。いくつかの実施形態では、抗M−CSF抗体は、ヒト、カニクイザル(cynomologus monkey)およびマウスM−CSFと結合する。本明細書の教示に従って、当該技術分野で周知の方法を用いて抗M−CSF抗体に対する種選択性を確定し得る。例えばウエスタンブロット、FACS、ELISA、RIA、細胞増殖検定またはM−CSF受容体結合検定を用いて、種選択性を確定し得る。好ましい実施形態では、細胞増殖検定またはELISAを用いて種選択性を確定し得る。別の実施形態では、抗M−CSF抗体は、GM−/G−CSFに関するその選択性より少なくとも100倍大きいM−CSFに対する選択性を有する。いくつかの実施形態では、抗M−CSF抗体は、M−CSF以外の任意のその他のタンパク質との任意の容易に感知可能な特異的結合を示さない。本明細書の教示に従って、当該技術分野で周知の方法を用いて、M−CSFに対する抗M−CSF抗体の選択性を確定し得る。例えばウエスタンブロット、FACS、ELISAまたはRIAを用いて選択性を確定し得る。
【0074】
内毒素
内毒素の有害健康作用は、被験者に投与される物質用量中の内毒素の量に関連する。用量が物質によって変化し得るため、内毒素限度は、K/Mとして表される。Kは、5.0 EU/キログラム(kg)であり、これはヒトおよびウサギに関するおよその閾値発熱物質用量を表す。それは、物質が発熱性または非発熱性と判断されるレベルである。Mは、1回1時間の間に投与されるウサギ発熱物質試験用量または最大ヒト用量/kg(どちらが大きいか)を表す。内毒素のFDA最大許容レベルは、5 EU/薬物用量/被験者体重kgである(Guideline on Validation of the Limulus Amebocyte Lysate Test as an End-Product Endotoxin Test for Human and Animal Parenteral Drugs, Biological Products and Medical Devices, U.S. Dept. of Health & Human Services, FDA, December 1987参照)。例えば標準70 kgヒト被験者に関しては、最大許容内毒素レベルは350 EU(例えば5 EU×70 kg)である。変換に基づいて、それは約35 ngと等価である。したがって標的抗体用量が3 mg/kgであり、そして被験者が70 kgの体重である場合、的確な抗体投与量は抗体210 mgである。したがってこの環境に関しては、抗体に関する最大許容内毒素レベルは350 EU/抗体210 mg、または1.67 EU/抗M−CSF抗体1 mg(即ち、あるいは1.7 EU/抗M−CSF抗体1 mg)である。したがって投与が増大した場合には、抗体組成物中の内毒素の最大許容量は必然的に低減されねばならない。
【0075】
好ましい実施形態では、本明細書中に記載された方法は、内毒素を実質的に含有しない少なくとも1つのM−CSF抗体を含む組成物を生じ得る。
【0076】
本明細書中で用いる場合、「内毒素を実質的に含有しない」という用語は、抗M−CSF抗体組成物中の内毒素の濃度が、薬剤としてヒトまたは他の動物に投与されるべきタンパク質組成物中で、食品医薬品局(「FDA」)または等価の機関により認可される量より少ない、ということを意味する(Guideline on Validation of the Limulus Amebocyte Lysate Test as an End-Product Endotoxin Test for Human and Animal Parenteral Drugs, Biological Products and Medical Devices, FDA, December (1987)参照)。したがって内毒素濃度は、1)約5内毒素単位(EU)/用量/体重1kg未満(1時間の期間で静脈内投与される場合)、および/または2)約1.7 EU/抗M−CSF抗体1 mgであるよう選択される。
【0077】
他の実施形態では、本明細書中に記載された方法は、特定の抗体調製および用いられる精製方法のため、約1.7内毒素単位/抗M−CSF抗体1 mg(EU/mg)未満の内毒素濃度を有する少なくとも1つのM−CSF抗体を含む組成物を生じ得る。
【0078】
例えば本発明は、配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を、さらに配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列とすくも90%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体を含む組成物中の内毒素の量を低減する方法を提供するが、この場合、抗体はヒトM−CSFと結合し、方法は、抗体と結合するアフィニティークロマトグラフィー樹脂と組成物を接触させ;アフィニティークロマトグラフィー樹脂から抗体を溶離して抗体を含むアフィニティークロマトグラフィー溶離液を生成し;アフィニティークロマトグラフィー溶離液を抗体と結合するイオン交換樹脂と接触させて;そしてイオン交換樹脂から抗体を溶離する(ここで、抗体は内毒素を実質的に含有しない)ことを包含する。
【0079】
上記の方法、あるいは本明細書中で引用された任意のその他の方法またはプロセスは、記載された過程の順序で遂行され得るし、あるいはそれは任意に、過程の順序を変更することにより、または1つまたは複数の過程を反復さえして、遂行され得る。一実施形態では、組成物中の内毒素の量を低減する方法は、記載された過程の順序で遂行される。いくつかの実施形態では、アフィニティークロマトグラフィー樹脂接触、洗浄および溶離過程は、アフィニティークロマトグラフィー溶離液をイオン交換樹脂と接触させる前に、1回より多く、同一順序で反復される。当該方法は、各樹脂結合後に除去される1つまたは複数の溶離液で遂行され得る、例えば0.1ミクロン、0.22ミクロンまたは0.44ミクロンフィルターを用いた濾過過程も包含する。
【0080】
他の実施形態では、本発明は、配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体であって、ヒトM−CSFと結合する抗体を含む組成物中の内毒素の量の低減方法であって、以下の:組成物を抗体と結合するアフィニティークロマトグラフィー樹脂と接触させ;樹脂を洗浄し;アフィニティークロマトグラフィー樹脂から抗体を溶離して、抗体を含むアフィニティークロマトグラフィー溶離液を生成し;アフィニティークロマトグラフィー溶離液を抗体と結合するイオン交換樹脂と接触させ;樹脂を洗浄し;そしてイオン交換樹脂から抗体を溶離する(ここで、抗体は内毒素を実質的に含有しない)ことを包含する方法を提供する。
【0081】
さらに他の実施形態では、本発明は、モノクローナルIgG抗体の精製方法であって、以下の:抗体を、抗体と結合するアフィニティークロマトグラフィー樹脂と接触させて;アフィニティークロマトグラフィー樹脂をリン酸イオンおよび塩化物イオンを含む洗浄溶液で洗浄し;アフィニティークロマトグラフィー樹脂をpH5.5で酢酸イオンを含む洗浄液で洗浄し;アフィニティークロマトグラフィー樹脂から抗体を溶離して、抗体を含むアフィニティークロマトグラフィー溶離液を生成し;アフィニティークロマトグラフィー溶離液を抗体と結合するイオン交換樹脂と接触させ;そしてイオン交換樹脂から抗体を溶離することを包含する方法を提供する。
【0082】
アフィニティークロマトグラフィー
ある場合には、組成物をアフィニティークロマトグラフィー樹脂と接触させ、洗浄し、そしてアフィニティークロマトグラフィー樹脂から抗体を溶離する過程は、第一溶離液をイオン交換樹脂と接触させる前に1回より多く反復され得る。一実施形態では、アフィニティークロマトグラフィー樹脂は、組換えプロテインA(「rプロテインA」)樹脂を含む。適切な組換えプロテインA樹脂の一例は、rプロテインAセファロースFF(登録商標)樹脂(Amersham, Piscataway, NJ)である。別の実施形態では、適切なアフィニティークロマトグラフィー樹脂は、プロテインGクロマトグラフィー樹脂を含む。他の実施形態では、適切なアフィニティークロマトグラフィー樹脂は、混合プロテインA/プロテインG樹脂を含む。他の実施形態では、適切なアフィニティークロマトグラフィー樹脂は、4−メルカプトエチルピリジン・リガンド、例えばMEP ハイパーセルHyperCel(登録商標)樹脂(BioSepra, Cergy, Saint Christopher, France)を含む疎水性電荷誘導樹脂を含む。
【0083】
イオン交換クロマトグラフィー
いくつかの実施形態では、イオン交換樹脂は陰イオン交換樹脂を包含するのが好ましい。当業者に既知であるように、イオン交換体は、マトリックスと関連して、ならびに結合荷電基と関連して、種々の物質を基礎にし得る。例えば以下の物質が用いられ得る(記載された物質は多少架橋され得る):アガロースベースの(例えばセファロースCL−6B(登録商標)、セファロース・ファスト・フロー(登録商標)およびセファロース・ハイ・パフォーマンス(登録商標))、セルロースベースの(例えばDEAEセファセルSephacel(登録商標))、デキストランベースの(例えばセファデックス(登録商標))、シリカベースのおよび合成ポリマーベースの物質。陰イオン交換樹脂に関しては、マトリックスと共有結合される荷電基は、例えばジエチルアミノエチル、第四級アミノエチルおよび/または第四級アンモニウムであり得る。陰イオン交換樹脂は第四級アミン基を含むのが好ましい。抗M−CSF抗体を結合するために第四級アミン基を有する陰イオン交換樹脂の例は、Qセファロース(登録商標)樹脂(Amersham, Piscataway, NJ)である。
【0084】
他の態様において、組成物を上記のイオン交換クロマトグラフィー過程(例えば陰イオン交換)に付した後に所望されるより内毒素レベルが高い場合、組成物はさらに、例えば組成物を酔うイオン交換樹脂と接触させた後洗浄し、次にイオン交換樹脂から溶離することにより、二次イオン交換過程に付され得る。好ましい実施形態では、陽イオン交換樹脂は、結合のためにスルホン基を含む。陽イオン交換樹脂の例は、SP セファロース(登録商標)樹脂FF(Amersham, Piscataway, NJ)である。
【0085】
仕上げ過程
内毒素量は、イオン交換樹脂溶離液を濃縮しおよび/または透析する過程に試料を付すことにより、さらに低減され得る。例えばポリエーテルスルホン(PES)を含み得る0.22ミクロンフィルターを通して濾過することによりイオン交換溶離液を別の精製過程に付した後、イオン交換溶離液は、好ましくは脱塩され(即ち透析され)、そして任意に濃縮される。緩衝剤の変更および抗M−CSF抗体の濃縮は、併合プロセスにより遂行され得る。ダイアフィルトレーションおよび濃縮は、2つの別個の過程として遂行され得る、と意図される。しかしながら抗体の不必要な損失を低減するためには、1つの併合過程でジアフィルとレーションの方法により透析および濃縮を遂行するのが好ましい。
【0086】
最後に、濃縮および透析組成物は、さらなる精製のために、陰イオン交換官能基、例えばMillipore Intercept(Qセファロース(登録商標))フィルターを包含する1つまたは複数の付加的フィルター過程を通過させられ得る。ある種の実施形態では、濃縮および透析組成物は、タンデム結合された2つの陰イオン荷電フィルター(例えば2つのMillipore Intercept(Qセファロース(登録商標))フィルター)に通される。以後、濾過液体抗M−CSF抗体組成物は、内毒素を実質的に含有しない。
【0087】
ある種の実施形態では、ウイルス除去も、時宜に適した方法中の任意の時点で実行され得る。ウイルス除去は、低pH不活性化(pH3.5〜3.7、30〜90分間)により、あるいはPali DV20TM膜またはPlanova15TMまたは20Nフィルターのような膜を用いて、濾過(例えばナノ濾過)により成し遂げられ得る。
【0088】
組成物中の内毒素の量を低減する方法についての上記の説明は、順次的であるような過程を記載した;しかしながら、ある種の実施形態では、当該過程のいくつかは、内毒素の量が低減される限り、異なる順序でまたは同時的に遂行され得る、と当業者は理解する。例えば一次アフィニティークロマトグラフィー過程は、イオン交換クロマトグラフィー過程と置き換えられ、したがってイオン交換クロマトグラフィーが先ず実行され、そしてアフィニティークロマトグラフィー過程は次の過程で遂行される。
【0089】
したがって一実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体を含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物を提供する。別の実施形態では、組成物は、約1.7内毒素単位/M−CSF抗体1 mg(EU/mg)未満である内毒素の濃度を有する。
【0090】
別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体を含む組成物であって、約1.6 EU/mg未満の内毒素の濃度を有する、そして他の実施態様では、約1.5 EU/mg未満の、そして他の実施形態では、約1.4 EU/mg未満の、そして他の実施態様では、約1.3 EU/mg未満の、そして他の実施態様では、約1.2 EU/mg未満の、そして他の実施態様では、約1.1 EU/mg未満の、そして他の実施態様では、約1.0 EU/mg未満の、そして他の実施態様では、約0.09 EU/mg未満の、そして他の実施態様では、約0.08 EU/mg未満の、そして他の実施態様では、約0.05 EU/mg未満の、そして他の実施態様では、約0.04 EU/mg未満の内毒素濃度を有する組成物を提供する。
【0091】
別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体を含む組成物であって、約0.001 EU/mg〜約1.6 EU/mgの範囲の内毒素の濃度を、そして他の実施形態では、約0.005〜約1.0 EU/mgの範囲の、そして他の実施形態では、約0.01〜約0.5 EU/mgの範囲の、そして他の実施形態では、約0.02〜約0.4 EU/mgの範囲の、そして他の実施形態では、約0.03〜約0.3 EU/mgの範囲の、そして他の実施形態では、約0.04〜約0.2 EU/mgの範囲の、そして他の実施形態では、約0.05〜約0.1 EU/mgの範囲の内毒素濃度を有する組成物を提供する。
【0092】
いくつかの実施形態では、組成物は凍結乾燥フォーマットで提供され得るし、あるいはそれは任意に液体フォーマットで提供され得る。抗M−CSF抗体組成物は凍結乾燥フォーマットである場合、組成物は、一実施形態では、液体組成物への再構成後に内毒素を実質的に含有しない。凍結乾燥フォーマットに関する組成物1 mL当たりの内毒素濃度に言及する場合、言及濃度は再構成後の凍結乾燥組成物を説明するために用いられるものである。
【0093】
したがっていくつかの態様において、本発明は、M−CSF抗体を含む組成物であって、約3.0内毒素単位/ミリリットル(EU/mL)未満の内毒素の濃度を、そして別の実施形態では、約1.0 EU/mL未満の、そして別の実施形態では約0.5 EU/mL未満の内毒素濃度を有する組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、M−CSF抗体を含む組成物であって、約0.001 EU/mL〜約3.0 EU/mLの範囲である内毒素の濃度を、そして別の実施形態では、約0.01 EU/mL〜約3.0 EU/mLの範囲の、そして別の実施形態では約0.1 EU/mL〜約3.0 EU/mLの範囲の、そして他の実施形態では、約0.5 EU/mL〜約3.0 EU/mLの範囲の内毒素濃度を有する組成物を提供する。
【0094】
一実施形態では、抗M−CSF抗体組成物が被験者への投与のために意図される場合、組成物は、1時間に亘って静脈内投与される場合、約0.5内毒素単位(EU)/用量/体重1 kg未満の内毒素濃度を有し、そして他の実施形態では、組成物は、1時間に亘って静脈内投与される場合、約0.1内毒素単位(EU)/用量/体重1 kg未満の内毒素濃度を有する。別の実施形態では、抗M−CSF抗体組成物が被験者への投与を意図される場合、組成物は、1時間に亘って静脈内投与される場合、約0.01〜約0.5 EU/用量/体重1 kgの範囲である内毒素濃度を有し、そしてさらに他の実施形態では、内毒素濃度は、1時間に亘って静脈内投与される場合、約0.05〜約0.5 EU/用量/体重1 kgの範囲である。
【0095】
上に列挙した内毒素濃度の中間にある範囲も、本発明の一部であるよう意図される。例えば上限および/または下限として上記の値のいずれかの組合せを用いた値の範囲が含まれるよう意図される。
【0096】
内毒素検定
カブトガニアメーバ様細胞溶解物は、北米産カブトガニLimulus polyphemusの血球(アメーバ様細胞)の水性抽出物であり、これは細菌内毒素のリポ多糖(LPS)部分と反応する(Novitsky, T., Annals of the New York Academy of Sciences 851: 416-421 (1998)参照)。試薬の活性構成成分は、多数のタンパク質、例えば酵素(セリンプロテアーゼ)およびイオンからなる。酵素、因子CおよびB、ならびに前凝固酵素は、カスケード列で作用する。因子Cは、内毒素のリポ多糖により活性化され、次に因子Bを活性化して、これが次に前凝固酵素を活性化する。活性化前凝固酵素(タンパク質の凝固酵素と呼ばれる)は次に、コアギュロゲンと呼ばれるタンパク質を切断する。切断コアギュロゲンは、コアグリンと呼ばれる不溶性形態に再構成する。コアグリンは自己凝集して、混濁ゲルを形成する。
【0097】
所定の組成物中の内毒素の量の確定方法を、当業者は理解している。例えばFDAおよびUSPは、内毒素試験のために「カブトガニ血球溶解物」(LAL)と呼ばれる一検定の使用への種々のアプローチの妥当性を認識している。中でも、内毒素試験のために利用可能な3つの方法がある:即ち(i)ゲル・クロット;(ii)混濁度測定(分光測光);および(iii)色素産生検定である。
【0098】
ゲル・クロットLAL検定
一実施形態では、固形ゲルまたは「ゲル・クロット」の形成が、LAL検定のための終点として用いられる。精製LPS標準が用いられ,インキュベーション時間および温度が制御される場合、内毒素濃度は、固形ゲル・クロットを示す最高希釈を観察することにより確定され得る。ゲル・クロットLAL検定は、等容積(例えば0.1ミリリットル)の試料希釈液(20、10または2倍シリーズ)を、内毒素無含有10×75 mmガラス管中の等容積(即ち0.1ミリリットル)のLAL試薬に付加して、次に管を37℃で60分間インキュベートすることにより遂行され得る。
【0099】
次に管をひっくり返す。クロットが管の底に残存する場合、それは内毒素の存在に対して陽性であるとみなされる。液体が管を駆け下りる場合には、その希釈で内毒素に対して陰性であるとみなされる。用いた希釈および陽性対照の行動に基づいて、次に内毒素レベルが特定範囲内で算定され得る(Novitsky, T., Annals of the New York Academy of Sciences 851: 416-421 (1998)参照)。
【0100】
混濁度測定(分光測光)LAL検定
第二LAL検定形態は、反応物の混濁度を測定し(分光光度計、比濁計または光学的読取器を用いて)、そして終点検定(固定インキュベーション時間)または動態(混濁度増大速度)検定であり得る(Novitsky, T., et al., J. Clin. Microbiol. 20: 211-216 (1985)参照)。
【0101】
動態的色素産生LAL検定
動態的色素産生検定は、高感度且つ安価なLAL検定である。動態的色素産生検定は、色素産生基質を組入れる改質LAL試薬の使用を包含する(Lindsay, G. J. Clin. Microbiol. 27(5): 947-951 (1989)参照)。基質は、コアグリンの切断部位および発色団パラニトロアニリンを含む小ペプチドを含有する。この検定は、終点または動態検定でもあり、そして一般的に405 nmの典型的波長による分光光度計を用いる。標準内毒素基準に基づいたこれらの検定の感度は、0.03内毒素単位/ml(ゲル・クロット法)から、動態混濁度測定/色素産生法による約0.001 EU/mlまで変化する(1 EUは、約0.1ナノグラムの精製大腸菌Escherichia coliO113:H10:K(−)LPSと等しい)。終点色素産生検定のさらなる一変法は、545 nmでの読取りを用いたそのジアゾ誘導体への放出pNAの転化を包含する(Novitsky, T., Annals of the New York Academy of Sciences 851: 416-421 (1998)参照)。さらなる利点は、動態的色素産生検定が傾向分析およびプロセスモニタリングにおいて用いるための定量的データを提供する点である。したがって好ましい実施形態では、本発明は、色素産生LAL検定(例えばCambrex動態的定量色素産生LAL検定)を利用して、本明細書中に記載された組成物中の内毒素の量を確定する。この特定の検定の一実施形態は、実施例10にさらに詳細に記載される。
【0102】
ある種の実施形態では、内毒素の存在は、少なくとも約0.03 EU/mLの検出限界を有する内毒素検定を用いて確定される。他の実施形態では、内毒素の存在は、少なくとも約0.001 EU/mLの検出限界を有する内毒素検定を用いて確定される。
【0103】
他の実施形態では、内毒素の存在は、色素産生LAL検定により確定され;この場合、抗体は8.10.3Fであり;内毒素レベルは約0.04〜約1 EU/mgである。他の実施形態では、内毒素の存在は、色素産生LAL検定により確定され;この場合、抗体は8.10.3Fであり;内毒素レベルは約0.5〜約3 EU/mgである。
【0104】
抗M−CSF抗体の産生方法および抗体産生細胞株:
本発明に従った抗体は、挿入されたヒト抗体産生ゲノムの実質部分を有するが、しかし内因性ネズミ抗体の産生を欠くトランスジェニックマウスの利用により調製され得る。このようなマウスは、次に、ヒト免疫グロブリン分子および抗体を産生し得るし、そしてねずみ免疫グロブリン分子および抗体の産生を欠く。同じことを達しするために利用される技術は、下記で考察される。
【0105】
免疫感作時に、内因性免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体の全レパートリーを産生し得るトランスジェニック動物(例えばマウス)を生じ得る。しかしながら特にマウスおよびそれからの抗体のトランスジェニック産生の一実施形態は、米国特許公開出願第20050059113号(Bedian等)に開示されている。このような技法の使用により、M−CSFと結合する抗体およびこのような抗体を産生するハイブリドーマが調製され得る。
【0106】
ヒト抗体は、ネズミまたはラット可変部および/または定常部を保有する抗体に関連した潜在的問題を回避する。このようなネズミまたはラット由来タンパク質の存在は、抗体の迅速クリアランスをもたらし得るし、あるいはこのような抗体の投与を受ける被験者による抗体に対する免疫応答の生成をもたらし得る。
【0107】
例えば、キメラおよび生殖系列突然変異体マウスにおける抗体重鎖連結領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失は内因性抗体産生の完全抑制を生じる、と記載されている。このような生殖系列突然変異体マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移入は、抗原(例えばCTLA−4)誘発試験時にヒト抗体の産生を生じる(例えばJakobovits et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 2551 (1993); Jakobovits et al., Nature, 362: 255-258 (1993); Bruggermann et al., Year in Immuno., 7: 33 (1993);および Duchosal et al., Nature 355: 258 (1992)参照)。ヒト抗体は、ファージ表示ライブラリーからも得られる(Hoogenboom et al., J. Mol. Biol., 227: 381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222: 581-597 (1991); Vaughan et al., Nature Biotech 14: 309 (1996))。
【0108】
いくつかの実施形態では、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子座のうちのいくつかまたは全てをそのゲノム中に含む非ヒト動物をM−CSF抗原で免疫感作することにより産生される。好ましい実施形態では、非ヒト動物は、XENOMOUSETM動物(Abgenix Inc., Fremont, CA)である。用いられ得る別の非ヒト動物は、Medarex(Medarex, Inc., Princeton, NJ)により産生されたトランスジェニックマウスである。
【0109】
いくつかの実施形態では、ヒト抗M−CSF抗体は、組換えマウスがヒト抗体を産生するよう、そのゲノムがヒト免疫グロブリン遺伝子を含む非ヒトトランスジェニック動物、例えばXENOMOUSETMマウスを免疫感作することにより産生され得る。XENOMOUSETMマウスは、ヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子座の大型断片を含む工学処理マウス系統であり、マウス抗体産生を欠く。XENOMOUSETMマウスは、全ヒト抗体の成人様ヒトレパートリーを産生し、そして抗原特異的ヒト抗体を生成する。いくつかの実施形態では、XENOMOUSETMマウスは、ヒト重鎖遺伝子座およびκ軽鎖遺伝子座のメガ塩基サイズの生殖系列立体配置酵母人工染色体(YAC)断片の導入により、ヒト抗体V遺伝子レパートリーの約80%を含有する。他の実施形態では、XENOMOUSETMマウスはさらに、ほぼ全てのλ軽鎖遺伝子座を含有する(例えばGNGおよび米国特許第5,916,771号、第5,939,598号、第5,985,615号、第5,998,209号、第6,075,181号、第6,091,001号、第6,114,598号、第6,130,364号、第6,162,963号および第6,150,584号参照)。WO 91/10741、WO 94/02602、WO 96/34096、WO 96/33735、WO 98/16654、WO 98/24893、WO 98/50433、WO 99/45031、WO 99/53049、WO 00/09560およびWO 00/037504も参照されたい。
【0110】
いくつかの実施形態では、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含む非ヒト動物は、ヒト免疫グロブリン「ミニ遺伝子座」を有する動物である。ミニ遺伝子座アプローチでは、外因性Ig遺伝子座は、Ig遺伝子座からの個々の遺伝子の含入により模倣される。したがって1つまたは複数のVH遺伝子、1つまたは複数のDH遺伝子、1つまたは複数のJH遺伝子、mu定常ドメインおよび二次定常ドメイン(好ましくはγ定常ドメイン)は、動物への挿入のための構築物に形成される。このアプローチは、とりわけ米国特許第5,545,807号、第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,661,016号、第5,770,429号、第5,789,650号、第5,814,318号、第5,591,669号、第5,612,205号、第5,721,367号、第5,789,215号および第5,643,763号に記載されている。
【0111】
したがっていくつかの実施形態では、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子座のいくつかまたは全てをそのゲノム中に含む非ヒト動物をM−CSF抗原で免疫感作することにより産生され得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、M−CSF抗原は、単離および/または精製M−CSFである。好ましい実施形態では、M−CSF抗原はヒトM−CSFである。いくつかの実施形態では、M−CSF抗原は、M−CSFの一断片である。いくつかの実施形態では、M−CSF断片は、M−CSFの少なくとも1つのエピトープを含む。他の実施形態では、M−CSF抗原は、その表面にM−CSFまたはその免疫原性断片を発現するかまたは過剰発現する細胞である。さらに他の実施形態では、M−CSF抗原は、M−CSF融合タンパク質である。M−CSFは、既知の技法を用いて天然供給源から精製され得る。さらに組換えM−CSFタンパク質は、市販されている。
【0113】
好ましい実施形態では、非ヒト動物は、XENOMOUSETM動物(Abgenix Inc., Fremont, CA)である。用いられ得る別の非ヒト動物は、Medarex(Medarex, Inc., Princeton, NJ)により産生されたトランスジェニックマウスである。
【0114】
動物の免疫感作は、当該技術分野で既知の任意の方法により得る(例えばHarlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, New York: Cold Spring Harbor Press, 1990参照)。非ヒト動物、例えばマウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシおよびウマを免疫感作するための方法は、当該技術分野で周知である(例えばHarlow and Lane、上記および米国特許第5,994,619号参照)。好ましい実施形態では、M−CSF抗原はアジュバントとともに投与されて、免疫応答を刺激する。アジュバントの例としては、完全または不完全フロイントのアジュバント、RIBI(ムラミルジペプチド)またはISCOM(免疫刺激複合体)が挙げられる。このようなアジュバントは、局所的沈着物中にそれを封鎖することにより、急速分散からポリペプチドを保護し得るし、あるいはそれらは、マクロファージおよび免疫系のその他の構成成分に対して走化性である因子を分泌するよう宿主を刺激する物質を含有し得る。好ましくはポリペプチドが投与されている場合、免疫感作スケジュールは、数週間に亘って広げられるポリペプチドの2回またはそれ以上の投与を包含し得る。
【0115】
M−CSF抗原による動物の免疫感作後、抗体および/または抗体産生細胞が動物から得られる。いくつかの実施形態では、動物を採血するかまたは屠殺することにより、抗M−CSF抗体含有血清が動物から得られる。血清は動物からそれが得られる場合に用いられ、免疫グロブリン分画が血清から得られるし、または抗M−CSF抗体が血清から精製され得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、抗体産生免疫感作細胞株は、免疫感作動物から単離された細胞から調製される。免疫感作後、動物は屠殺され、リンパ節および/または脾臓B細胞が不死化される。細胞を不死化する方法としては、それらを癌遺伝子でトランスフェクトすること、それらを発癌性ウイルスに感染させること、不死化細胞に関して選択する条件下でそれらを栽培すること、それらを発癌性にさせるかまたは化合物を突然変異指せること、それらを不死化細胞、例えば骨髄腫細胞と融合すること、ならびに腫瘍抑制遺伝子を不活性化することが挙げられるが、これらに限定されない(例えばHarlow and Lane、上記、参照)。好ましい実施形態では、免疫感作動物は、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する非ヒト動物であり、そして脾臓B細胞は非ヒト動物と同一種からの骨髄腫細胞株と融合される。さらに好ましい実施形態では、免疫感作動物はXENOMOUSETM動物であり、そして骨髄腫細胞株は非分泌性マウス骨髄腫である。さらに好ましい実施形態では、骨髄腫細胞株はP3−X63−AG8−653である。骨髄腫細胞との融合が用いられる場合、骨髄腫細胞は好ましくは免疫グロブリンポリペプチドを分泌しない(非分泌性細胞株)。不死化細胞は、M−CSF、その一部分またはM−CSFを発現する細胞を用いてスクリーニングされる。好ましい実施形態では、初期スクリーニングは、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)またはラジオイムノアッセイを用いて遂行される。ELISAスクリーニングの一例は、WO 00/37504に提示されている。
【0117】
抗M−CSF抗体産生細胞、例えばハイブリドーマが選択され、クローン化され、そして望ましい特質、例えば活発な増殖、高抗体産生および以下で考察されるような望ましい抗体特質に関してさらにスクリーニングされる。ハイブリドーマは、in vivoで同系動物において、免疫系を欠く動物、例えばヌードマウスにおいて、あるいはin vitroでの培養細胞において拡張され得る。ハイブリドーマを選択し、クローニングしそして拡張する方法は、当業者に周知である。
【0118】
理解されるように、本発明の抗体は、ハイブリドーマ細胞株以外の細胞株中で組換え的に発現され得る。特定の抗体に関するcDNAまたはゲノムクローンをコードする核酸配列は、適切な哺乳類または非哺乳類宿主細胞の形質転換のために用いられ得る。
【0119】
本発明は、抗M−CSF抗体をコードする核酸分子も包含する。いくつかの実施形態では、異なる核酸分子が、抗M−CSF免疫グロブリンの重鎖および軽鎖をコードする。他の実施形態では、同一核酸が抗M−CSF免疫グロブリンの重鎖および軽鎖をコードする。一実施形態では、核酸は、本発明の抗M−CSF抗体をコードする。
【0120】
抗M−CSF抗体またはその部分の重鎖または全軽鎖をコードする核酸分子は、このような抗体を産生する任意の供給源から単離され得る。種々の実施形態において、核酸分子は、抗M−CSFで免疫感作された動物から単離されるB細胞から、あるいは抗M−CSF抗体を発現するこのようなB細胞由来の不死化細胞から単離される。抗体をコードするmRNAの単離方法は、当該技術分野で周知である(例えばSambrook, et al., Molecular Cloning 3rd Ed. Vol.3 (1989)参照)。mRNAは、抗体遺伝子のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはcDNAクローニングに用いるためのcDNAを生成するために用いられ得る。好ましい実施形態では、核酸分子は、非ヒトトランスジェニック動物からのヒト免疫グロブリン産生細胞をその融合相手の1つとして有するハイブリドーマから単離される。さらに好ましい実施形態では、ヒト免疫グロブリン産生細胞は、XENOMOUSETM動物から単離される。別の実施形態では、ヒト免疫グロブリン産生細胞は、上記のような非ヒト非マウストランスジェニック動物からである。別の実施形態では、核酸は、非ヒト非トランスジェニック動物から単離される。非ヒト動物から単離された核酸分子は、例えばヒト化抗体のために用いられ得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、本発明の抗M−CSF抗体の重鎖をコードする核酸は、任意の供給源からの重鎖定常ドメインをコードするヌクレオチド配列と枠内で接合される本発明のVHドメインをコードするヌクレオチド配列を含み得る。同様に、本発明の抗M−CSF抗体の軽鎖をコードする核酸分子は、任意の供給源からの軽鎖定常ドメインをコードするヌクレオチド配列と枠内で接合される本発明のVLドメインをコードするヌクレオチド配列を含み得る。
【0122】
本発明のさらなる態様では、重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変ドメインをコードする核酸分子は、全長抗体遺伝子に「転換」される。一実施形態では、VHまたはVLドメインをコードする核酸分子は、VHセグメントがベクター内のCHセグメント(単数または複数)と操作可能的に連結され、そしてVLセグメントがベクター内のCLセグメントと操作可能的に連結されるよう、それぞれ重鎖定常ドメイン(CH)または軽鎖定常ドメイン(CL)をすでにコードしている発現ベクター中への挿入により、全長抗体遺伝子に転換される。別の実施形態では、VHおよび/またはVLドメインをコードする核酸分子は、標準分子生物学的技法を用いて、VHおよび/またはVLドメインをコードする核酸分子をCHおよび/またはCLドメインをコードする核酸分子に連結する、例えば結繋することにより、全長抗体遺伝子に転換される。ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン定常ドメイン遺伝子の核酸配列は、当該技術分野で既知である(例えばKabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed., NIH Publ. No. 91-3242, 1991参照)。次に全長重鎖および/または軽鎖をコードする核酸分子はそれらが導入されていた細胞から発現され、そして抗CTLA−4抗体が単離され得る。
【0123】
本発明は、本発明の抗M−CSF抗体またはその抗原結合部分の重鎖をコードする核酸分子を含むベクターも提供する。本発明は、このような抗体またはその抗原結合部分の軽鎖をコードする核酸分子を含むベクターも提供する。本発明はさらに、融合タンパク質、修飾抗体、抗体断片およびそのプローブをコードする核酸分子を含むベクターを提供する。
【0124】
いくつかの実施形態では、本発明の抗M−CSF抗体または抗原結合部分は、必要な発現制御配列、例えば転写および翻訳制御配列と当該遺伝子が操作可能的に連結されるよう、上記のようにして得られる軽鎖および重鎖の一部または全長をコードするDNAを発現ベクター中に挿入することにより発現される。発現ベクターとしては、プラスミド、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、植物ウイルス、例えばカリフラワーモザイクウイルス、タバコモザイクウイルス、コスミド、YAC、EBV由来エピソーム等が挙げられる。抗体遺伝子は、ベクター内の転写および翻訳制御配列が抗体遺伝子の転写および翻訳を調節するというそれらの意図された機能に役立つよう、ベクターに結繋される。発現ベクターおよび発現制御配列は、用いられる発現宿主細胞と適合性であるよう選択される。抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子は、別個のベクター中に挿入され得る。好ましい実施形態では、両遺伝子は、同一ベクター中に挿入される。抗体遺伝子は、標準方法(例えば抗体遺伝子断片およびベクター上の相補的制限部位の結繋、あるいは制限部位が存在しない場合には、平滑末端結繋(ライゲーション))により発現ベクター中に挿入される。
【0125】
便利なベクターは、上記のように任意のVHまたはVL配列が容易に挿入され、そして発現されるよう工学処理された適切な制限部位を有する機能的に完全なヒトCHまたはCL免疫グロブリン配列をコードするものである。このようなベクターでは、スプライシングは通常は、挿入J領域中のスプライスドナー部位とヒトCドメインの前に位置するスプライスアクセプター部位との間で、そしてヒトCHエキソン内に生じるスプライス領域でも起こる。ポリアデニル化および転写終結は、コード領域の下流のネイティブ染色体部位で起こる。組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促すシグナルペプチドもコードし得る。抗体鎖遺伝子は、シグナルペプチドが免疫グロブリン鎖のアミノ末端と枠内で連結されるよう、ベクター中でクローン化され得る。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(即ち非免疫グロブリンタンパク質からのシグナルペプチド)であり得る。
【0126】
抗体鎖遺伝子のほかに、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中の抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を保有する。発現ベクターの設計、例えば調節配列の選択は、形質転換されるべき宿主細胞の選択、所望されるタンパク質の発現レベル等といったような因子によっている、と当業者に理解される。哺乳類宿主発現のための好ましい調節配列としては、哺乳類細胞中での高レベルのタンパク質発現を指図するウイルス素子、例えばレトロウイルス(例えばレトロウイルスLTR)、サイトメガロウイルス(CMV)(例えばCMVプロモーター/エンハンサー)、シミアンウイルス40(SV40)(例えばSV40プロモーター/エンハンサー)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、ポリオーマウイルス由来のプロモーターおよび/またはエンハンサー、ならびに哺乳類プロモーター、例えばネイティブ免疫グロブリンおよびアクチンプロモーターが挙げられる。ウイルス調節素子およびその配列についてのさらなる説明に関しては、例えば米国特許第5,168,062号、米国特許第4,510,245号および米国特許第4,968,615号を参照されたい。プロモーターおよびベクターについての説明、ならびに植物の形質転換を含めた植物における抗体の発現方法は、当該技術分野で既知である(例えば米国特許第6,517,529号参照)。細菌細胞または真菌細胞、例えば酵母細胞におけるポリペプチドの発現方法も、当該技術分野で周知である。
【0127】
抗体鎖遺伝子および調節配列のほかに、本発明の組換え発現ベクターは、付加的配列、例えば宿主中のベクターの複製を調節する配列(例えば複製の起点)、および選択可能マーカー遺伝子を保有し得る。選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を促す(例えば米国特許第4,399,216号、第4,634,665号および第5,179,017号参照)。例えば典型的には選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に、薬剤、例えばG418、ヒグロマイシンまたはメトトレキセートに対する耐性を付与する。好ましい選択可能マーカー遺伝子としては、ジヒドロフォレートレダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキセート選択/増幅に関してDHFR宿主細胞で用いるため)、ネオマイシン耐性遺伝子(G418選択のため)およびグルタミンシンセターゼ遺伝子が挙げられる。
【0128】
抗M−CSF抗体をコードする核酸分子ならびにこれらの核酸分子を含むベクターは、適切な哺乳類、植物、細菌または酵母宿主の形質転換のために用いられ得る。本発明の抗体は、当該免疫グロブリン重鎖および軽鎖配列に関してトランスジェニックである哺乳類または植物の生成、ならびにそれから回収可能な形態での抗体の産生によりトランスジェニックに産生され得る。
【0129】
形質転換は、宿主細胞中にポリヌクレオチドを導入するための、例えばウイルス中に(またはウイルスベクター中に)ポリヌクレオチドをパッケージングし、そしてウイルス(またはベクター)で宿主に形質導入するための任意の既知の方法による、あるいは米国特許第4,399,216号、第4,912,040号、第4,740,461号および第4,959,455号により例示されるような、当該技術分野で既知のトランスフェクション手法によるものであり得る。用いられる形質転換手法は、形質転換されるべき宿主によっている。哺乳類細胞中に異種ポリヌクレオチドを導入するための方法は当該技術分野で周知であり、例えばデキストラン媒介性トランスフェクション、リン酸カルシウム沈降法、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、電気穿孔、微粒子銃、リポソーム中のポリヌクレオチド(単数または複数)の封入、ペプチド複合体、デンドリマー、ならびに核中へのDNAの直接マイクロインジェクションが挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
発現のための宿主として利用可能な哺乳類細胞株は当該技術分野で周知であり、例としてはアメリカ培養細胞コレクション(ATCC)から入手可能な多数の不死化細胞株、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、SP2細胞、HeLa細胞、ハムスター乳仔腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えばHep G2)、ならびに多数のその他の細胞株が挙げられるが、これらに限定されない。非哺乳類細胞、例えば細菌(例えば大腸菌、ストレプトミセス種)、酵母(例えばシゾサッカロミセス ポンベ、ビール酵母菌およびピキア酵母)、昆虫(例えばSfg細胞)および植物細胞(これらに限定されない)も、組換え抗体を発現するために用いられ得る。
【0131】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における組換え抗体の産生は、特に抗体を産生するために、最も広範に用いられる哺乳類発現系である。最も一般的に用いられるCHO発現系は、DHFR遺伝子増幅系と結合された内因性ジヒドロフォレートレダクターゼ(DHFR)の産生を欠くCHO細胞の使用に基づいている。これらのDHFR-CHO細胞は、抗体遺伝子および機能的DHFR遺伝子のをともに含有する単一プラスミド、あるいは抗体(重鎖または軽鎖遺伝子)カセットとは別個のプラスミド上に含入されるDHFR遺伝子を有する2つのプラスミドを用いてトランスフェクトされる。他の実施形態では、DHFR遺伝子は、重鎖または軽鎖をコードするプラスミド上にある。
【0132】
トランスフェクト化細胞は、薬剤メトトレキセートの濃度漸増に際して選択される。高濃度のメトトレキセート(1〜10 μM)上での生存は、宿主染色体中への組込みまたは染色体の活性領域への組込み中のDHFR遺伝子の遺伝子増幅に関連する。DHFR遺伝子増幅段階中、抗体遺伝子も同時増幅され、宿主染色体中に組み込まれる。
【0133】
発現方法は、系が最高発現レベルを生じ、そして構成性M−CSF結合特性を有する抗体を産生することを確定する事により選択される。さらに産生細胞株からの本発明の抗体(またはそれからの他の部分)の発現は、多数の既知の技法を用いて増強され得る。例えばグルタミンシンセターゼおよびDHFR遺伝子発現系は、一定条件下で発現を増強するための一般的アプローチである。高発現細胞クローンは、慣用的技法、例えば限界希釈クローニングおよびマイクロドロップ法を用いて同定され得る。グルタミンシンセターゼ系は、全部または一部、欧州特許第0 216 846号、第0 256 055号および第0 323 997号、ならびに欧州特許出願第89303964.4号に関連して考察される。
【0134】
哺乳類におけるトランスジェニック産生に関連して、抗体は、ヤギ、ウシまたはその他の哺乳類の乳汁中でも産生され、それから回収され得る(例えば米国特許第5,827,690号、第5,756,687号、第5,750,172号および第5,741,957号参照)。
【0135】
抗M−CSF抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが宿主細胞中に導入される場合、抗体は、宿主細胞中での抗体の発現を、さらに好ましくは宿主細胞が増殖する培地中への抗体の分泌を可能にするのに十分な時間、宿主細胞を培養することにより産生される。抗体は、培地、全細胞、細胞溶解物中に、あるいは部分的に精製されたまたは実質的に純粋な形態で存在し得る。上記のような細胞株中で発現される抗体は、関連細胞物質から精製されるかおよび/または単離され得る。精製は、標準技法により、例えばアルカリ/SDS処理、カラムクロマトグラフィーおよびその他の当該技術分野で周知の技法により、他の細胞構成成分または他の夾雑物、例えば他の細胞核酸またはタンパク質を排除するために遂行される(Ausubel, F., et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley Interscience, New York (1987)参照)。一実施形態では、抗体は、タンパク質精製法、例えば本明細書中の実施例に記載された精製法を用いて、培地から回収され得る。
【0136】
本発明においては、異なる細胞株により、またはトランスジェニック動物中で発現される抗M−CSF抗体は、互いに異なるグリコシル化パターンを有する、ということが可能である。しかしながら本明細書中で提供される核酸およびアミノ酸によりコードされる抗M−CSF抗体は全て、それらのグリコシル化パターンあるいはその修飾または欠失と関係なく、本発明の一部とみなされる。したがって本発明の目的のために、抗M−CSF抗体はグリコシル化されるかまたは非グリコシル化され得る。抗M−CSF抗体がグリコシル化される場合、それらは任意の潜在的グリコシル化パターンを有し得る。グリコシル化を排除するための抗体CH2ドメインの部位特異的突然変異誘発も、グリコシル化に起因する免疫原性、薬物動態および/またはエフェクター機能における変化を防止するために、本発明に包含される。
【0137】
本明細書中で用いる場合、「グリコシル化」という用語は、抗体と共有結合される炭水化物単位のパターンを意味する。本明細書中の抗M−CSF抗体が特定のグリコシルパターンを有するといわれる場合、それは、言及される抗M−CSF抗体の大多数がその特定のグリコシル化パターンを有することを意味する。他の態様では、本明細書中の抗M−CSF抗体が特定のグリコシル化パターンを有すると言われる場合、それは、言及された抗M−CSF抗体の75%、90%、95%または99%以上がその特定のグリコシル化パターンを有する、ということを意味する。
【0138】
本発明の抗M−CSF抗体は、そのグリコシル化変異体(例えばグリコシル化部位の挿入による、あるいは適切なアミノ酸残基の欠失、挿入または置換による任意のグリコシル化部位の欠失による)も包含する。
【0139】
ポリペプチドのグリコシル化は、典型的にはN−結合またはO−結合される。抗体ポリペプチドのグリコシル化は、典型的にはN−結合され、そして二分岐構造を形成する。N−結合は、アスパラギン残基の側鎖との炭水化物部分の結合を指す。トリペプチド配列アスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−トレオニン(ここで、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖との炭水化物部分の酵素的結合のための認識配列である。したがって抗体中のこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的グリコシル化部位を作製する。
【0140】
二分岐グリカンの3つの異なる構造は、それぞれ0、1または2つの末端ガラクトース残基をグリカンの非還元末端上に有する「G0」、「G1」および「G2」と呼ばれるものである(Jefferis et al., Biochem. J., 268, 529-537 (1990)参照)。いくつかの場合、グリカン構造は、抗体中に見出されるアスパラギンアミノ酸と共有結合される(例えば位置297)N−アセチルグルコサミンと連結されたフコース残基も有し得る。フコース(F)が存在する場合、二分岐グリカン呼称は、末端ガラクトース残基の数によって、「G0F」、「G1F」または「G2F」に変更される(Teilaud, Expert Opin. Biol. Ther., 5(Suppl. 1): S1327 (2005)参照)。さらに抗体が2つの重鎖の両方を含有する場合、グリカン呼称は2つの重鎖の各々に関して反復される。さらに1つの抗体内の各重鎖は同一グリコシル化パターンを有し得るし、あるいは2つの重鎖は異なるグリコシル化パターンを有し得る。ある種の実施形態では、抗M−CSF抗体は、「G0F、G0F」;「G0F、G1F」;「G1F、G1F」;「G1F、G2F」およびその混合物からなる群から選択されるグリコシル化パターンを有する。
【0141】
例えば、一実施形態では、本明細書中に記載された抗M−CSF抗体8.10.3Fは、実施例10で報告されるような「G0F、G0F」のグリコシル化パターンを有する。「G0F、G0F」糖形態は、両重鎖が結合されたG0グリカンを有する種であり、そして各G0グリカンは、抗体8.10.3Fの重鎖中に見出される残基297のアスパラギンアミノ酸と共有結合されるN−アセチルグルコサミンに連結されたフコース(F)残基を有する。
【0142】
モノクローナル抗M−CSF抗体処方物の調製:
抗M−CSF抗体は典型的には、被験者への非経口投与のための組成物として処方される。一実施形態では、組成物は液体製剤組成物である。
【0143】
本発明の組成物は、1つまたは複数の本発明の抗M−CSFモノクローナル抗体を、ヒスチジンおよび/またはキレート剤を含む製薬上許容可能な賦形剤と組合せて含む。
【0144】
「製剤組成物」という用語は、活性成分の生物学的活性を有効にさせるような形態である調製物を指す。「製薬上許容可能な賦形剤」(ビヒクル、添加剤)は、用いられる有効量の活性成分を提供するために被験者に合理的に(即ち安全に)投与され得るものである。「賦形剤」または「担体」という用語は、本明細書中で用いる場合、薬剤のための希釈剤、ビヒクル、防腐剤、結合剤または安定剤として一般的に用いられる不活性物質を指す。本明細書中で用いる場合、「希釈剤」という用語は、製薬上許容可能な(ヒトへの投与のために安全且つ非毒性である)溶媒を指し、そして本明細書中の液体処方物の調製のために有用である。希釈剤の例としては、滅菌水および注射用静菌性水(BWFI)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
一実施形態では、液体製剤組成物は、配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%、95%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%、95%または99%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体、ならびにキレート剤を含むが、この場合、抗体はヒトM−CSFと結合し、そして組成物は実質的に内毒素を含有しない。
【0146】
別の実施形態では、液体製剤組成物は、配列番号4で示される軽鎖配列と少なくとも90%、95%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%、95%または99%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体、ならびにキレート剤を含むが、この場合、抗体はヒトM−CSFと結合し、そして組成物は実質的に内毒素を含有せず、そしてさらに、緩衝剤、等張化剤、酸化防止剤および界面活性剤から選択される少なくとも1つまたは複数の製薬上許容可能な賦形剤を含む。
【0147】
別の実施形態では、液体製剤組成物は、配列番号2の可変部を含む重鎖アミノ酸配列、および配列番号4の可変部を含む軽鎖アミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体、ならびにキレート剤を含むが、この場合、抗体はヒトM−CSFと結合し、そして組成物は実質的に内毒素を含有しない。
【0148】
別の実施形態では、液体製剤組成物は、抗体8.10.3Fの重鎖および軽鎖アミノ酸配列を有するヒトモノクローナルIgG2抗体を含む少なくとも1つの抗体ならびにキレート剤を含むが、この場合、抗体はヒトM−CSFと結合し、そして組成物は内毒素を実質的に含有しない。
【0149】
本発明の液体製剤組成物中の抗M−CSF抗体の濃度は、一般的に少なくとも約0.1ミリグラム/ミリリットル(mg/ml)またはそれ以上、少なくとも約1.0 mg/mlまたはそれ以上、少なくとも10 mg/mlまたはそれ以上、少なくとも20 mg/mlまたはそれ以上、少なくとも50 mg/mlまたはそれ以上、少なくとも100 mg/mlまたはそれ以上、あるいは少なくとも200 mg/mlまたはそれ以上である。ある種の実施形態では、抗M−CSF抗体の濃度は、一般的に約0.1 mg/ml〜約200 mg/ml、約0.5 mg/ml〜約100 mg/ml、約1 mg/ml〜約500 mg/ml、約2.0 mg/ml〜約35 mg/ml、約 5.0mg/ml〜約25 mg/ml、約7 mg/ml〜約15 mg/mlの範囲である。一実施形態では、本発明の液体製剤組成物中の抗M−CSF抗体の濃度は、一般的に約5 mg/ml、約10 mg/ml、約20 mg/ml、約50 mg/ml、約65 mg/ml、約70 mg/ml、約75 mg/ml、約80 mg/ml、約85 mg/mlまたは約100 mg/mlである。別の実施形態では、液体製剤組成物中の抗M−CSF抗体の濃度は、約1 mg/ml〜約50 mg/mlの範囲である。一実施形態では、液体製剤組成物中の抗M−CSF抗体の濃度は、約10 mg/mlである。別の実施形態では、液体製剤組成物中の抗M−CSF抗体の濃度は、約75 mg/mlである。
【0150】
別の実施形態では、液体製剤組成物中の抗M−CSF抗体の濃度は、約50 mg/ml〜約100 mg/mlの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物が皮下デリバリー(送達)のために意図される場合、より高い抗体の独活が用いられ得る。
【0151】
本明細書中で用いる場合、「キレート剤」という用語は一般に、金属イオンと少なくとも1つの結合(例えば共有、イオンまたはそうでない他の結合)を形成する賦形剤を指す。キレート剤は典型的には、不安定性を促進し得る主と錯体形成するための安定剤として選択液体組成物中に用いられ得る多歯状リガンドである。しばしば、キレート剤として作用する化合物は、富電子官能基を有する。適切な富電子官能基としては、カルボン酸基、ヒドロキシ基およびアミノ基が挙げられる。網のポリカルボン酸、ヒドロキシポリカルボン酸、ヒドロキシアミノカルボン酸等の中のこれらの基の配置は、金属と結合する能力を有する部分を生じる。
【0152】
しかしながら本発明は、金属イオンとの結合を形成するキレート剤の能力により主としてキレート剤に限定するよう意図されない。したがって本発明は、キレート剤が本発明の処方物中で作用する任意の特定のメカニズムにより限定されるよう意図されないし、本明細書中でキレート剤と呼ばれる賦形剤は、金属イオンとの結合を形成するキレート剤の能力に全く関連しないメカニズムによりそれらの特性を達成し得る。
【0153】
本発明で用いるのに適したキレート剤としては、アミノポリカルボン酸、ヒドロキシアミノカルボン酸、N−置換グリシン、2−(2−アミノ−2−オキソエチル)アミノエタンスルホン酸(BES)、デフェロキサミン(DEF)、クエン酸、ナイアシンアミドおよびデソキシコレートが挙げられるが、これらに限定されない。適切なアミノポリカルボン酸の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸5(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、N−2−アセトアミド−2−イミノ二酢酸(ADA)、ビス(アミノエチル)グリコールエーテル、N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、トランス−ジアミノシクロヘキサン四酢酸(DCTA)、グルタミン酸およびアスパラギン酸が挙げられる。適切なヒドロキシアミノカルボン酸の例としては、N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIMDA)、N,N−ビス−ヒドロキシエチルグリシン(ビシン)およびN−(トリスヒドロキシメチルメチル)10グリシン(トリシン)が挙げられる。適切なN−置換グリシンの一例は、グリシルグリシンである。適切なデソキシコレートの一例は、デソキシコール酸ナトリウムである。2またはそれ以上のキレート剤の混合物も、本発明に包含される。
【0154】
本発明に用いられるキレート剤は、可能な場合、遊離酸または遊離塩基形態の化合物(例えば本明細書中では「EDTA」または「エデテート」と互換的に呼ばれる)として、あるいは対応する塩形態(例えば対応する酸付加塩または塩基付加塩、例えばエデト酸二ナトリウム)として存在し得る。適切な酸付加塩としては、例えばアルカリ金属塩(例えばナトリウムまたはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩)が挙げられ、そして塩は、他の弱結合性金属イオンを用いて調製され得る。当該技術分野で既知であるように、塩の性質および中和されるべき電荷数は、存在するカルボキシル基の数、ならびに安定化キレート剤が供給されるpHによっている。当該技術分野で既知であるように、キレート剤は、特定の標的イオンが結合される種々の強度を有する。さらなる説明として、EDTAの適切な塩としては、エデト酸二カリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸三ナトリウムおよびエデト酸カリウムが挙げられる。そしてデフェロキサミン(DEF)の適切な塩は、メシル酸デフェロキサミン(DFM)である。
【0155】
本発明に用いられるキレート剤は、化合物または対応する塩の無水、溶媒和または水和形態として存在し得る。キレート剤が溶媒和または水和形態である場合、それは溶媒和または水和の種々の状態で存在し得る(例えば無水、水和、二水和および三水和形態)。さらなる説明として、EDTAの適切な水和物は、EDTA二ナトリウム二水和物である。クエン酸の適切な形態としては、無水クエン酸、クエン酸一水和物およびクエン酸三ナトリウム二水和物が挙げられる。
【0156】
さらにまた本発明の抗体組成物中に用いられる適切なキレート剤としては、例えばそれらを利用可能なO2と反応できないようにさせて、それにより抗体と自由に反応しそして分解するヒドロキシルラジカルの生成を最小限にするかまたは防止するために、溶液中の金属イオンと結合するものが挙げられる。キレート剤は、本発明の組成物中での還元酸素種の形成を低下させ、酸性種形成を低減し(例えば脱アミド)、抗体凝集を低減し、および/または抗体断片化を低減し得る。このようなキレート剤は、キレート剤の保護なしに処方される抗体の分解を低減するかまたは防止し得る。
【0157】
キレート剤の濃度が言及される場合、列挙される濃度は遊離酸または遊離塩基形態のキレート剤のモル濃度を表すよう意図される。例えばある種の液体製剤組成物中のキレート剤の濃度は一般に、約0.01マイクロモル〜約50ミリモル、約1マイクロモル〜約10.0ミリモル、約15マイクロモル〜約5.0ミリモル、約0.01ミリモル〜約1.0ミリモル、約0.03ミリモル〜約0.5ミリモルの範囲である。ある種の実施形態では、液体製剤組成物中のキレート剤の濃度は、約0.01ミリモル、約0.02ミリモル、約0.027ミリモル、約0.03ミリモル、約0.04ミリモル、約0.05ミリモル、約0.06ミリモル、約0.07ミリモル、約0.10ミリモル、約0.20ミリモル、約0.26ミリモル、約0.27ミリモル、約0.30ミリモル、約0.31ミリモル、約0.34ミリモル、約0.40ミリモル、約0.50ミリモルまたは約1.0ミリモルであり得る。ある種の実施形態では、キレート剤の濃度は、約0.027ミリモル、約0.05ミリモル、約0.13ミリモルまたは約0.27ミリモルである。一実施形態では、キレート剤の濃度は、約0.05ミリモルである。別の実施形態では、キレート剤の濃度は約0.13ミリモルである。
【0158】
別記しない限り、本明細書中に列挙される濃度は、周囲条件(即ち25℃および大気圧)での濃度である。上記のキレート剤濃度の中間にある範囲も、本発明の一部であるよう意図される。例えば上記の値のいずれかの組合せを上限および/または下限として用いる値の範囲は、含まれるべきものと意図される。
【0159】
一実施形態では、キレート剤は、EDTA、DTPA、DFMおよびその混合物からなる群から選択される。別の実施形態では、キレート剤はDFMである。別の実施形態では、キレート剤はEDTAである。別の実施形態では、キレート剤はDTPAである。別の実施形態では、液体製剤組成物は、一般的に約0.01マイクロモル〜約50ミリモル、約1マイクロモル〜約20.0ミリモル、約15マイクロモル〜約10.0ミリモル、約0.01ミリモル〜約5.0ミリモルまたは約0.03ミリモル〜約1ミリモルの範囲である量でEDTAを含む。ある種の実施形態では、液体製剤組成物中のEDTAの濃度は、約0.01ミリモル、約0.02ミリモル、約0.027ミリモル、約0.03ミリモル、約0.04ミリモル、約0.05ミリモル、約0.06ミリモル、約0.07ミリモル、約0.10ミリモル、約0.20ミリモル、約0.26ミリモル、約0.27ミリモル、約0.30ミリモル、約0.31ミリモル、約0.34ミリモル、約0.40ミリモル、約0.50ミリモルまたは約1.0ミリモルであり得る。ある種の実施形態では、EDTAの濃度は、約0.027ミリモル、約0.05ミリモル、約0.13ミリモルまたは約0.27ミリモルである。一実施形態では、EDTAの濃度は、約0.05ミリモルである。別の実施形態では、EDTAの濃度は約0.13ミリモルである。
【0160】
上記のように、本発明の組成物は任意に、キレート剤のほかに緩衝剤をさらに含み得る。本明細書中で用いる場合、「緩衝剤」という用語は、液体抗体処方物をpHの変化に耐性にさせる付加組成物を指す。
【0161】
ある種の実施形態では、付加緩衝剤は、その酸−塩基複合体構成成分の作用により、液体抗体処方物をpHの変化に耐性にさせる。例えば緩衝処方物は、L−ヒスチジン−HCl(L−ヒスチジン−塩酸塩)およびL−ヒスチジンを所望のpHを達成するのに適した量で付加することにより調製され得る。しかしながら、他の実施形態では、付加緩衝剤は、その酸−塩基複合体構成成分の作用により、液体抗体処方物をpHの変化に耐性にさせる。第二の例として、緩衝処方物は、酸、例えば塩酸およびLヒスチジンを所望のpHを達成するのに適した量で付加することにより調製され得る。
【0162】
適切な緩衝剤の例としては、錯酸塩(例えば酢酸ナトリウム)、コハク酸塩(例えばコハク酸ナトリウム)、グルコン酸塩、クエン酸塩(例えば)が挙げられるが、これらに限定されない。そしてその他の有機酸緩衝剤としては、例えばアミノ酸(例えばヒスチジン)、酢酸、リン酸およびリン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸、マレイン酸、グリシン、乳酸塩、乳酸、アスコルビン酸、イミダゾール、炭酸および重炭酸塩、コハク酸、安息香酸ナトリウムおよび安息香酸塩、グルコン酸塩、エデト酸塩(EDTA)、錯酸塩、リンゴ酸塩、イミダゾール、トリス、リン酸塩およびそれらの混合物のような緩衝剤が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、緩衝剤は錯酸塩である。
【0163】
別の実施形態では、緩衝剤はヒスチジンである。本発明の組成物を調製するために用いられるヒスチジン出発物質は、異なる形態で存在し得る。例えばヒスチジンは、エナンチオマー(例えばL−またはD−エナンチオマー)またはラセミ形態のヒスチジン、遊離酸または遊離塩基形態のヒスチジン、塩形態(例えば一塩酸塩、二塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩または錯酸塩)のヒスチジン、溶媒和形態のヒスチジン、水和形態(例えば一水和物)のヒスチジン、あるいは無水形態のヒスチジンであり得る。組成物を調製するために用いられるヒスチジン塩基および/または塩の純度は一般に、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%であり得る。本明細書中で用いる場合、「純度」という用語は、ヒスチジンの情況では、当該技術分野で理解されるような、例えばThe Merck Index, 13th ed., O’Neil et al. ed. (Merck & Co., 2001)に記載されたようなヒスチジンの化学的純度を指す。
【0164】
緩衝剤の濃度が言及される場合、列挙される濃度は遊離酸または遊離塩基形態の緩衝剤のモル濃度を表すよう意図される。例えばある種の液体製剤組成物中に存在する場合の緩衝剤の濃度は、約0.1ミリモル(mM)〜約100 mMの範囲であり得る。一実施形態では、緩衝剤の濃度は約1 mM〜約50 mMである。別の実施形態では、緩衝剤の濃度は約5 mM〜約30 mMである。種々の実施形態に置いて、緩衝剤の濃度は、約、1 mM、約5 mM、約10 mM、約15 mM、約20 mM、約25 mM、約30 mM、約35 mM、約40 mM、約45 mM、約50 mM、約55 mM、約60 mM、約65 mM、約70 mM、約75 mM、約80 mM、約85 mM、約90 mM、約95 mMまたは約100 mMである。一実施形態では、製剤組成物中のヒスチジンの濃度は、約10 mMである。別の実施形態では、製剤組成物は、約10 mMのL−ヒスチジンを含有する(塩基形態で)。別の実施形態では、製剤組成物中のヒスチジンの濃度は、約20 mMである。別の実施形態では、製剤組成物は、約20 mMのL−ヒスチジンを含有する(塩基形態で)。上記のヒスチジン濃度の中間にある範囲も、本発明の一部であるよう意図される。例えば上記の値のいずれかの組合せを上限および/または下限として用いる値の範囲は、含まれるべきものと意図される。
【0165】
概して緩衝剤は、液体製剤組成物中の許容可能なpHレベル(抗体安定性に影響を及ぼし得る)を保持するために用いられる。液体製剤組成物は典型的には、約4〜約8;約4.5〜約7;約5.0〜6.5;または約5.3〜約6.3の範囲のpHを保持するよう緩衝される。上記のpHの中間にある範囲も、本発明の一部であるよう意図される。例えば上記の値のいずれかの組合せを上限および/または下限として用いる値の範囲は、含まれるよう意図される。一実施形態では、液体製剤組成物は、約5.5のpHを保持するよう緩衝される。別の実施形態では、液体製剤組成物は、約6.0のpHを保持するよう緩衝される。
【0166】
上記のように、本発明の組成物は任意に、キレート剤のほかに製薬上許容可能な等張化剤をさらに含み得る。本明細書中で用いる場合、「等張化剤」または「等張剤」という用語は、液体抗体処方物の浸透圧を調整し得る賦形剤を指す。ある種の実施形態では、等張化剤は、抗体処方物が被験者の身体組織の細胞と生理学的に適合性であるよう等張に液体抗体処方物の浸透圧を調整し得る。さらに他の実施形態では、「等張化剤」は、本明細書中に記載された抗M−CSF抗体のいずれかの安定性の改良に寄与し得る。「等張性」処方物は、ヒト血液と本質的に同一浸透圧を有するものである。等張性処方物は一般に、約250〜350 mOsmの浸透圧を有する。「低張性の」という用語は、ヒト血液の浸透圧より低い浸透圧を有する処方物を説明する。したがって「高張性の」という用語は、ヒト血液の浸透圧より高い浸透圧を有する処方物を説明するために用いられる。等張性は、例えば蒸気圧または氷結型浸透圧計を用いて測定され得る。
【0167】
本発明の組成物を調製するために用いられる等張化剤は、異なる形態で存在し得る。等張化剤が言及される場合、これらの異なる形態の全てが等張化剤の名称に包含されるよう意図される。例えば等張化剤は、エナンチオマー(例えばL−またはD−エナンチオマー)またはラセミ形態;異性体、例えばαまたはβ、例えばα,α;またはβ,β;あるいはα,β;またはβ,α;遊離酸または遊離塩基形態;水和形態(例えば一水和物)、あるいは無水形態であり得る。
【0168】
一実施形態では、等張化剤はサッカリドである。本明細書中で用いる場合、「サッカリド」という用語は、多価アルコールの誘導体である分子の一クラスを指す。サッカリドは一般的に炭水化物と呼ばれ、そして異なる量の糖(サッカリド)単位、例えば単糖、二糖および多糖を含有し得る。本発明において等張化剤として用いるのに適しているサッカリドとしては、フルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、ラクトース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、水溶性グルカンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるサッカリドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0169】
別の実施形態では、等張化剤はポリオールである。本明細書中で用いる場合、「ポリオール」という用語は多数のヒドロキシル基を有する賦形剤を指し、例としては糖(還元および非還元糖)、糖アルコールおよび糖酸が挙げられる。一実施形態では、ポリオールは約600 kD未満(約120〜約400 kDの範囲)である分子量を有する。「還元糖」は、金属イオンを還元するかまたはタンパク質中のリシンおよびその他のアミノ基と共有的に反応し得るヘミアセタル基を含有するものであり、そして「非還元糖」は、還元糖のこれらの特性を有さないものである。本発明において等張化剤として用いるのに適しているポリオールとしては、マンニトール、トレハロース、ソルビトール、エリトリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、グリセロール、ラクチトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、イノシトールおよびそれらの混合物からなる群から選択されるポリオールが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、等張化剤は、トレハロース、スクロースおよびそれらの混合物からなる群から選択される非還元糖である。
【0170】
一実施形態では、等張化剤はマンニトールである。別の実施形態では、等張化剤はD−マンニトールである。別の実施形態では、等張化剤はトレハロースである。別の実施形態では、等張化剤はα,α−トレハロース二水和物である。別の実施形態では、等張化剤はスクロースである。
【0171】
一実施形態では、液体製剤組成物中の等張化剤の濃度は、約1ミリモル〜約600ミリモル、約1ミリモル〜約400ミリモル、1ミリモル〜約300ミリモル、または200ミリモル〜約275ミリモルの範囲である。別の一実施形態では、等張化剤はマンニトールであり、約247ミリモルの濃度で液体製剤組成物中に存在する。別の実施形態では、等張化剤はトレハロースであり、約222ミリモルの濃度で液体製剤組成物中に存在する。別の実施形態では、等張化剤はトレハロースであり、約238ミリモルの濃度で液体製剤組成物中に存在する。別の実施形態では、等張化剤はスクロースであり、約263ミリモルの濃度で液体製剤組成物中に存在する。
【0172】
一実施形態では、液体製剤組成物中の等張化剤の濃度は、約1 mg/ml〜約300 mg/ml、約1 mg/ml〜約200 mg/ml、または約50 mg/ml〜約150 mg/mlの範囲である。別の実施形態では、等張化剤はマンニトールであり、そして約45 mg/mlの濃度で液体製剤組成物中に存在する。別の実施形態では、等張化剤はトレハロースであり、そして約84 mg/mlの濃度で液体製剤組成物中に存在する。別の実施形態では、等張化剤はトレハロースであり、そして約90 mg/mlの濃度で液体製剤組成物中に存在する。別の実施形態では、等張化剤はスクロースであり、そして約90 mg/mlの濃度で液体製剤組成物中に存在する。
【0173】
一実施形態では、等張化剤は塩、例えば塩化ナトリウムである。一実施形態では、等張化剤が塩である場合、液体製剤組成物中の塩の濃度は約1 mg/ml〜約20 mg/mlの範囲である。別の実施形態では、等張化剤は塩化ナトリウムであり、そして液体製剤組成物中の塩化ナトリウムの濃度は約8.18 mg/mlである。
【0174】
上記の等張化剤濃度の中間にある範囲も、本発明の一部であるよう意図される。例えば上記の値のいずれかの組合せを上限および/または下限として用いる値の範囲は、含まれるよう意図される。
【0175】
上記のように、本発明の組成物は任意に、キレート剤のほかに製薬上許容可能な界面活性剤をさらに含み得る。本明細書中で用いる場合、「界面活性剤」という用語は、液体抗体処方物の表面張力を変え得る賦形剤を指す。ある種の実施形態では、界面活性剤は液体抗体処方物の表面張力を低減する。さらに他の実施形態では、「界面活性剤」は、本明細書中に記載された抗M−CSF抗体のいずれかの安定性の改良に寄与し得る。例えば界面活性剤は、処方抗体の凝集を低減しおよび/または処方物中の粒子の形成を最小限にしおよび/または吸着を低減し得る。界面活性剤は、凍結/解凍周期中および後の抗体の安定性も改良し得る。
【0176】
適切な界面活性剤としては、ポリソルベート界面活性剤、ポロキサマー(例えばポロキサマー18および407)、トリトン界面活性剤、例えばトリトンX−100(登録商標)、ポリソルベート界面活性剤、例えばトゥイーン20(登録商標)およびトゥイーン80(登録商標)、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オクチルグリコシドナトリウム、ラウリルスルホベタイン、ミリスチル−スルホベタイン、リノレイル−スルホベタイン、ステアリル−スルホベタイン、ラウリル−サルコシン、ミリスチル−サルコシン、リノレイル−サルコシン、ステアリル−サルコシン、リノレイル−ベタイン、ミリスチル−ベタイン、セチル−ベタイン、ラウロアミドプロピル−ベタイン、コカミドプロピル−ベタイン、リノレアミドプロピル−ベタイン、ミリスタミドプロピル−ベタイン、パルミドプロピル−ベタイン、イソステアラミドプロピル−ベタイン、ミリスタミドプロピル−ジメチルアミン、パルミドプロピル−ジメチルアミン、イソステアラミドプロピル−ジメチルアミン、ココイルメチルタウリン酸ナトリウム、オレイルメチルタウリン酸二ナトリウム、ジヒドロキシプロピルPEG5リノレアンモニウムクロリド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0177】
一実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの賦形剤を含むポリソルベート界面活性剤である。別の実施形態では、液体製剤組成物はポリソルベート80を含む。
【0178】
界面活性剤の濃度は、液体製剤組成物中に存在する場合、一般に約0.01 mg/ml〜約10 mg/ml、約0.05 mg/ml〜約5.0 mg/ml、約0.1 mg/ml〜約1.0 mg/mlまたは約0.2 mg/ml〜約0.7 mg/mlの範囲である。別の実施形態では、界面活性剤の濃度は約0.05ミリモル〜約1.0ミリモルの範囲である。別の実施形態では、界面活性剤は、約0.2 mg/mlである量で存在する。別の実施形態では、界面活性剤は約0.5 mg/mlである量で存在する。一実施形態では、液体製剤組成物は約0.2 mg/mlのポリソルベート80を含有する。別の実施形態では、液体製剤組成物は約0.4 mg/mlのポリソルベート80を含有する。別の実施形態では、液体製剤組成物は約0.5 mg/mlのポリソルベート80を含有する。
【0179】
上記の界面活性剤濃度の中間にある範囲も、本発明の一部であるよう意図される。例えば上記の値のいずれかの組合せを上限および/または下限として用いる値の範囲は、含まれるよう意図される。
【0180】
上記のように、本発明の組成物は任意に、キレート剤のほかに製薬上許容可能な酸化防止剤をさらに含み得る。適切な酸化防止剤としては、メチオニン、チオ硫酸ナトリウム、カタラーゼおよび白金が挙げられるが、これらに限定されない。例えば液体製剤組成物は、1 mM〜約100 mMの範囲である、特に約27 mMである濃度でメチオニンを含有し得る。
【0181】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体を含む組成物を包含するが、この場合、抗体はヒトM−CSFと結合し、そして組成物は実質的に内毒素を含有しない。
【0182】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体を含む組成物を包含するが、この場合、抗体はヒトM−CSFと結合し、そして組成物は約0.001〜約1内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する。
【0183】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体を含む組成物を包含するが、この場合、抗体はヒトM−CSFと結合し、そして組成物は約0.001〜約0.5内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する。
【0184】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体を含む組成物を包含するが、この場合、抗体はヒトM−CSFと結合し、そして組成物は約0.001〜約0.2内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する。
【0185】
一実施形態では、本発明は、抗体8.10.3Fの重鎖および軽鎖アミノ酸配列を有する少なくとも1つのヒトモノクローナルIgG2抗M−CSF抗体を含む組成物を包含するが、この場合、抗体はヒトM−CSFと結合し、そして組成物は約0.001〜約1.0内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する。
【0186】
一実施形態では、本発明は、抗体8.10.3Fの重鎖および軽鎖アミノ酸配列を有する少なくとも1つのヒトモノクローナルIgG2抗M−CSF抗体を含む組成物を包含するが、この場合、抗体はヒトM−CSFと結合し、そして組成物は約0.001〜約0.5内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する。
【0187】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、ならびに製薬上許容可能な賦形剤を含む液体製剤組成物であって、実質的に内毒素を含有しない組成物を包含する。
【0188】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、ならびにキレート剤を含む液体製剤組成物であって、実質的に内毒素を含有しない組成物を包含する。
【0189】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合し、そして少なくとも約95%の純度を有する)、ならびにキレート剤を含む液体製剤組成物であって、実質的に内毒素を含有しない組成物を包含する。
【0190】
別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体およびキレート剤を含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体およびEDTAを含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体およびDTPAを含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、キレート剤および緩衝剤を含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、キレート剤およびヒスチジンを含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、EDTAおよびヒスチジンを含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、ヒスチジン、ポリソルベート80、EDTAおよびスクロースを含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。
【0191】
別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、キレート剤および等張化剤を含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、キレート剤およびマンニトールを含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、キレート剤およびトレハロースを含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、EDTAおよびトレハロースを含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、EDTAおよびマンニトールを含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、EDTAおよびスクロースを含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、DTPAおよびトレハロースを含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、DTPAおよびマンニトールを含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。
【0192】
別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、キレート剤および界面活性剤を含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、EDTAおよび界面活性剤を含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、DTPAおよび界面活性剤を含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、EDTAおよびDTPAからなる群から選択されるキレート剤、ならびにポリソルベート80を含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。
【0193】
別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、緩衝剤および界面活性剤を含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、ヒスチジンおよび界面活性剤を含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、ヒスチジンおよびポリソルベート80を含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。
【0194】
別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、キレート剤、緩衝剤および界面活性剤を含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、キレート剤、緩衝剤および等張化剤を含む組成物に向けられる。
【0195】
別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体、キレート剤、緩衝剤、界面活性剤および等張化剤を含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。別の実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体およびヒスチジンを含む組成物であって、内毒素を実質的に含有しない組成物に向けられる。
【0196】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、ならびにキレート剤を含む液体製剤組成物であって、約1.0 mg/ml〜約100 mg/mlの抗体濃度、および約0.001〜約1.0内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する組成物を包含する。
【0197】
一実施形態では、本発明は、抗体8.10.3Fの重鎖および軽鎖アミノ酸配列を有する少なくとも1つのヒトモノクローナルIgG2抗M−CSF抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、ならびにキレート剤を含む液体製剤組成物であって、約1.0 mg/ml〜約100 mg/mlの抗体濃度、および約0.001〜約1.0内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する組成物を包含する。
【0198】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、ならびにキレート剤を含む液体製剤組成物であって、少なくとも約5 mg/ml、少なくとも約10 mg/ml、少なくとも約15 mg/mlまたは少なくとも約20 mg/mlである抗体濃度を含有し、そして約0.001〜約1.0内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する組成物を包含する。
【0199】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、ならびにキレート剤を含む液体製剤組成物であって、少なくとも約10 mg/mlである抗体濃度を含有し、そして約0.001〜約1.0内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する組成物を包含する。
【0200】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、ならびにキレート剤を含む液体製剤組成物であって、少なくとも約20 mg/mlである抗体濃度を含有し、そして約0.001〜約1.0内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する組成物を包含する。
【0201】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、ならびに約0.01ミリモル〜約0.5ミリモルのキレート剤を含む液体製剤組成物であって、約1.0 mg/ml〜約100 mg/mlの抗体濃度、および約0.001〜約1.0内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する組成物を包含する。
【0202】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、ならびに約0.01ミリモル〜約0.5ミリモルのキレート剤を含む液体製剤組成物であって、約1.0 mg/ml〜約100 mg/mlの抗体濃度、および約0.001〜約0.5内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する組成物を包含する。
【0203】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、ならびに約0.01ミリモル〜約0.5ミリモルのキレート剤を含む液体製剤組成物であって、約1.0 mg/ml〜約100 mg/mlの抗体濃度、および約0.001〜約0.2内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する組成物を包含する。
【0204】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、ならびに約0.05ミリモルのキレート剤を含む液体製剤組成物であって、約1.0 mg/ml〜約100 mg/mlの抗体濃度、および約0.001〜約1.0内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する組成物を包含する。
【0205】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、ならびに約0.01ミリモル〜約0.5ミリモルのEDTAを含む液体製剤組成物であって、約1.0 mg/ml〜約100 mg/mlの抗体濃度、および約0.001〜約1.0内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する組成物を包含する。
【0206】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、ならびに約1.0ミリモル〜約100ミリモルのヒスチジンを含む液体製剤組成物であって、約1.0 mg/ml〜約100 mg/mlの抗体濃度、および約0.001〜約1.0内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する組成物を包含する。
【0207】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、約0.01ミリモル〜約0.5ミリモルのEDTA、ならびに約1ミリモル〜約50ミリモルのヒスチジンを含む液体製剤組成物であって、約1.0 mg/ml〜約100 mg/mlの抗体濃度、および約0.001〜約1.0内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する組成物を包含する。
【0208】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、約0.01ミリモル〜約0.5ミリモルのEDTA、約0.01ミリモル〜約0.5ミリモルのEDTA、約1ミリモル〜約50ミリモルのヒスチジン、並び荷約200 ミリモル〜約300ミリモルのマンニトールを含む液体製剤組成物であって、約1.0 mg/ml〜約100 mg/mlの抗体濃度、および約0.001〜約1.0内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する組成物を包含する。
【0209】
一実施形態では、本発明は、配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(この場合、抗体はヒトM−CSFと結合する)、約0.01ミリモル〜約0.5ミリモルのEDTA、約0.01ミリモル〜約0.5ミリモルのEDTA、約1ミリモル〜約50ミリモルのヒスチジン、および約200ミリモル〜約300ミリモルのトレハロースを含む液体製剤組成物であって、約1.0 mg/ml〜約100 mg/mlの抗体濃度、および約0.001〜約1.0内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する組成物を包含する。
【0210】
一実施形態では、本発明は、抗M−CSF抗体および製薬上許容可能なキレート剤を含む安定液体製剤組成物であって、抗体のモル濃度が約0.0006ミリモル〜約1.35ミリモルの範囲であり、そしてキレート剤のモル濃度が約0.003ミリモル〜約50ミリモルの範囲であり、そして抗体対キレート剤のモル比が約0.00001対約450;約0.0001対約100;約0.005対約50;約0.001対約10;約0.01対約5;約0.1対約1の範囲であるか、または約0.5であり、そして約0.001〜約1.0内毒素単位/抗体1ミリグラム(EU/mg)の内毒素濃度を有する組成物に向けられる。
【0211】
投与経路および投与量:
本発明の組成物は、流体溶液(例えば注射および注入溶液)であり得る。好ましい形態は、意図された投与方式および治療的用途によっている。典型的好ましい組成物は、注射または注入溶液の形態、例えばヒトの受動免疫のために用いられるものと類似の組成物である。好ましい投与方式は、滅菌注射用水性または油性懸濁液の形態で、非経口的(例えば静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内および胸骨内)、または注入技法によるものである。当業者に理解されるように、投与の経路および/または方式は、所望の結果によって変わる。好ましい実施形態では、抗体は、静脈内注入または注射により投与される。別の好ましい実施形態では、抗体は筋肉内または皮下注射により投与される。治療用組成物は、典型的には製造および貯蔵条件下で滅菌および安定である。
【0212】
組成物は、溶液、マイクロエマルション、分散液またはリポソームとして処方され得る。滅菌注射溶液は、上記の一成分または成分の組合せを有する適切な希釈剤中に必要量で抗M−CSF抗体を組入れ、必要な場合は、その後滅菌(例えばフィルター滅菌)することにより調製され得る。一般に分散液は、基礎分散媒質、ならびに上記のものからの必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクル中に活性化合物を組入れることにより調製される。このような懸濁液は、適切な分散または湿潤剤、ならびに沈殿防止剤またはその他の許容可能な作用物質を用いて、既知の技法により処方され得る。滅菌注射製剤は、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液でもあり得る。用いられ得る許容可能なビヒクルおよび溶媒の例は、水、リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに滅菌不揮発性油は、溶媒または懸濁媒質として慣用的に用いられる。この目的のために、任意の刺激の少ない不揮発性油、例えば合成モノ−またはジグリセリドが用いられ得る。さらにn−3ポリ不飽和脂肪酸は、注射用の製剤にその用途を見出し得る。
【0213】
滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、予め滅菌−濾過されたその溶液から活性成分+任意の付加的な所望の成分の粉末を産生する真空乾燥および凍結乾燥である。溶液の適正な流動度は、例えばレシチンのようなコーティングの使用により、分散液の場合には必要な粒子サイズの保持により、そして界面活性剤の使用により保持され得る。
【0214】
注射用組成物の長期吸収は、吸収を遅延する作用物質、例えば一ステアリン酸塩およびゼラチンを組成物中に含入することにより、あるいは長期吸収形態、例えばデポー剤、リポソーム、高分子微小球、高分子ゲルおよび移植片中に組成物を処方することにより、もたらされ得る。
【0215】
本明細書中に記載された抗体のその他の投与方法としては、被験者の皮膚に直接的に薬剤を放出する皮膚パッチが挙げられる。このようなパッチは、接着剤中に溶解および/または分散された、あるいはポリマー中に分散された任意緩衝流体溶液中に本発明の抗体を含有し得る。
【0216】
本明細書中に記載された抗体のさらに他の投与方法としては、点眼液が挙げられる。
【0217】
抗体は、1回投与され得るが、しかしさらに好ましくは多数回投与される。例えば抗体は、1日1回〜6ヶ月またはそれより長い期間毎に1回、投与されうる。投与は、1日3回、1日2回、1日1回、2日毎に1回、3日毎に1回、週1回、2週間毎に1回、月1回、2ヶ月毎に1回、3ヶ月毎に1回および6ヶ月毎に1回といったスケジュールであり得る。
【0218】
抗体は、ミニポンプにより連続的にも投与され得る。抗体は、腫瘍または炎症身体部分の部位に、腫瘍または炎症身体部分中に、あるいは腫瘍または炎症身体部分の部位から離れた部位に投与され得る。抗体は、1回、少なくとも2回、あるいは少なくとも症状が治療され、一時的に緩和されるか、または治癒されるまでの期間、投与され得る。抗体は一般に、腫瘍または炎症が存在する限り(但し抗体は、腫瘍または癌が増殖するのを停止させるか、あるいは重量または容積を低減させる)投与され得るし、あるいは炎症身体部分が炎症低減を経るまで投与され得る。抗体は典型的には、上記のような製剤組成物の一部として投与される。
【0219】
本発明の組成物は、治療的有効量のまたは予防的有効量の本発明の抗体または抗原結合部分を含み得る。組成物の調製に際しては、組成物中に存在する抗M−CSF抗体の治療的有効量は、例えば所望の用量容積および投与方式(単数または複数)、治療されるべき症状の性質および重症度、ならびに被験者の年齢およびサイズを考慮することにより確定され得る。
【0220】
本発明の製剤組成物の投与のための用量範囲の例としては、約0.01 mg/kg〜約200 mg/kg(被験者の体重1キログラム(kg)当たりで投与される抗M−CSF抗体のミリグラム(mg)に換算して表される)、約0.01 mg/kg〜約100 mg/kg、約0.01 mg/kg〜約10 mg/kg、約0.1 mg/kg〜約10 mg/kgまたは約0.1 mg/kg〜約3 mg/kgが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の目的のために、平均ヒト被験者は、約70 kgの体重である。さらに単位用量調製物当たりの有効構成成分の量は、特定の用途および有効構成成分の効力によって、0.1 mg〜100 mgおよび0.5 mg〜100 mgに変更されるか、または調整され得る。本明細書中に列挙された投与量のいずれかに対して中間にある範囲、例えば約0.01 mg/kg〜199 mg/kgも、本発明の一部であるよう意図される。例えば列挙された値のいずれかの組合せを上限および/または下限として用いる値の範囲は、含まれるよう意図される。
【0221】
投与量レジメンはまた、長時間に亘って被験者に数回分割用量を投与することにより最適所望応答(例えば治療的または予防的応答)を提供するよう調製され得るし、あるいは用量は、治療情況の緊急度により示されるように、比例的に低減または増大され得る。投与の容易性および投薬量の均一性のために、投与量単位形態で非経口組成物を処方するのが特に有益である。
【0222】
投与量単位形態は、本明細書中で用いる場合、治療されるべき哺乳類被験者のための一体成形投与量として適合された物理的離散単位を指す;各単位は、必要製剤担体と関連して所望の治療作用を生じるよう算定された予定量の活性化合物を含有する。本発明の投与量単位形態に関する明細は、(a)抗M−CSF抗体またはその部分の独特の特質、ならびに達成されるべき特定の治療的または予防的作用、ならびに(b)個体における感受性の治療のためにこのような抗体を調合する当該技術分野に固有の制限により示され、そして直接それらによっている。
【0223】
本発明の液体処方物は、単位剤形として調製され得る。例えば単位投与量/バイアルは、1〜1000ミリリットル(ml)の異なる濃度の抗M−CSF抗体を含有し得る。他の実施形態では、単位投与量/バイアルは、約1 ml、2 ml、3 ml、4 ml、5 ml、6 ml、7 ml、8 ml、9 ml、10 ml、15 ml、20 ml、30 ml、40 ml、50 mlまたは100 mlの異なる濃度の抗M−CSF抗体を含有し得る。必要な場合、これらの調製物は、滅菌希釈剤を各バイアルに付加することにより、所望濃度に調製され得る。
【0224】
本発明の液体処方物は、静脈内投与ラインまたはカテーテルに接続するのに適した滅菌袋または容器中の単位剤形としても調製され得る。
【0225】
治療方法:
本明細書中に記載された型の抗体のいずれかが、治療的に用いられ得る。好ましい実施形態では、抗M−CSF抗体はヒト抗体である。別の好ましい実施形態では、M−CSFはヒトM−CSFであり、そして被験者はヒト被験者である。さらに別の好ましい実施形態では、抗M−CSF抗体はヒトIgG抗体である。あるいは被験者は、抗M−CSF抗体が交差反応するM−CSFタンパク質を発現する哺乳類であり得る。抗体は、獣医学的目的のために、またはヒト疾患の動物モデルとして、抗体が交差反応するM−CSFを発現する非ヒト哺乳類(即ち霊長類)に投与されうる。このような動物モデルは、本発明の抗体の治療効力を評価するために有用であり得る。
【0226】
一実施形態では、本発明は、被験者におけるM−CSF媒介性障害の治療方法であって、配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(ここで、抗体はヒトM−CSFと結合し、組成物は内毒素を実質的に含有しない);および製薬上許容可能な賦形剤を含む治療的有効量の液体製剤組成物を被験者に投与することを包含する方法を提供する。
【0227】
一実施形態では、本発明は、被験者における炎症性疾患の治療方法であって、配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(ここで、抗体はヒトM−CSFと結合し、組成物は内毒素を実質的に含有しない);ならびにキレート剤を、単独であるいは緩衝剤、酸化防止剤、等張化剤または界面活性剤およびそれらの混合物から選択される他の賦形剤と組合せて含む製薬上許容可能な賦形剤を含む治療的有効量の液体製剤組成物を被験者に投与することを包含する方法を提供する。さらなる実施形態では、上記の被験者は炎症性疾患の治療を必要とする被験者である。他の実施形態では、本発明の方法および組成物は、アテローム硬化症、敗血症、喘息、自己免疫疾患、骨粗鬆症、慢性関節リウマチおよび変形性関節炎からなる群から選択される炎症性疾患の治療を包含する。
【0228】
別の実施形態では、本発明は、被験者における新生物形成障害の治療方法であって、配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(ここで、抗体はヒトM−CSFと結合し、組成物は内毒素を実質的に含有しない);ならびにキレート剤を、単独であるいは緩衝剤、酸化防止剤、等張化剤または界面活性剤およびそれらの混合物から選択される他の賦形剤と組合せて含む製薬上許容可能な賦形剤を含む治療的有効量の液体製剤組成物を被験者に投与することを包含する方法を提供する。さらなる実施形態では、上記の被験者は新生物形成障害の治療を必要とする被験者である。
【0229】
「新生物形成」および「新生物形成障害」という用語はともに、良性、前悪性、転移性または悪性であり得る「新生物」または腫瘍を指す。さらにまた良性、前悪性、転移性または悪性新生物形成は本発明に包含される。良性、前悪性、転移性または悪性腫瘍も本発明に包含される。したがって良性、前悪性、転移性または悪性新生物形成または腫瘍は全て本発明に包含され、そして新生物形成、新生物または新生物形成関連症状と互換的に言及され得る。腫瘍は一般に、新生物形成または「新生物性」細胞の塊であると当該技術分野で既知である。しかし、1個だけの新生物性細胞でも、本発明の目的のために、新生物あるいは新生物形成であるとみなされる、と理解されるべきである。
【0230】
本発明の抗M−CSF抗体により治療され得る新生物形成障害は任意の組織または器官を包含し、例としては骨、脳、肺、扁平上皮細胞、膀胱、胃、膵臓、乳房、頭、頚、肝臓、腎臓、卵巣、前立腺、結腸直腸、食道、婦人科学的(例えば子宮頸部および卵巣)、鼻咽頭または甲状腺癌が挙げられるが、これらに限定されない。さらにまた新生物形成障害という用語に包含されるのは、骨転移、黒色腫、リンパ腫、白血病および多発性骨髄腫である。特に本発明の抗M−CSF抗体処方物は、乳房、前立腺、結腸および肺の癌を治療するために有用である。
【0231】
他の実施形態では、本発明の方法および組成物は、末端性黒子性黒色腫、光線性角化症、腺癌、腺様嚢胞性癌、腺腫、家族性腺腫様ポリープ症、家族性ポリープ、結腸ポリープ、ポリープ、腺肉腫、腺扁平上皮癌、腺皮質癌、AIDS関連リンパ腫および癌、神経膠星状細胞腫瘍、バルトリン腺癌、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳癌、気管支腺癌、毛細管癌、カルチノイド、癌腫、ファローピウス管の癌腫、子宮内膜の癌腫、癌肉腫、空洞性、中枢神経系リンパ腫、大脳星状細胞腫、胆管癌、軟骨肉腫、絨毛叢乳頭腫/癌、明細胞癌、皮膚癌、脳癌、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、嚢胞腺腫、内胚葉洞腫瘍、子宮内膜過形成、子宮内膜間質部肉腫、類子宮内膜腺癌、上衣類上皮食道癌、ユーイング肉腫、性腺外生殖細胞腫瘍、繊維層板性、病巣性、結節性過形成、胆嚢癌、ガストリノーマ、生殖細胞腫瘍、妊娠栄養膜腫瘍、神経膠芽細胞腫、神経膠腫、グルカゴノーマ、血管芽細胞腫、血管内皮腫、血管腫、肝腺腫、肝腺腫症、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、視床下部および視覚経路神経膠腫、膵島細胞腺腫、上皮内新生物形成、上皮間扁平上皮細胞新生物形成、眼内黒色腫、侵襲性扁平上皮細胞癌、大細胞癌、島細胞癌、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌、平滑筋肉腫、黒子悪性黒色腫、白血病関連症状、口唇および口腔癌、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、悪性中皮腫、悪性胸腺腫、髄芽腫、髄上皮腫、黒色腫、髄膜メルケル細胞癌、中皮性転移性癌、類粘膜上皮癌、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、菌状息肉腫、脊髄形成異常性症候群、骨髄増殖性症状、鼻腔および副鼻腔洞癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、神経上皮腺癌結節性黒色腫、中枢神経系の新生物(例えば原発性CNSリンパ腫、脊椎腫瘍、脳幹神経膠腫または下垂体腺腫)、非ホジキン病性リンパ腫、燕麦細胞癌、乏突起神経膠細胞性、口腔癌、口咽頭癌、骨肉種、膵臓ポリペプチド、卵巣癌、卵巣生殖細胞腫瘍、膵臓癌、乳頭状漿液性腺癌、松果体細胞、下垂体腫瘍、形質細胞腫、偽肉腫、肺芽細胞腫、上皮小体癌、陰茎癌、クロム親和性細胞腫、松果体およびテント上原神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞新生物、胸膜肺芽細胞腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、漿液性癌、小細胞癌、小腸癌、柔組織癌、ソマトスタチン分泌性腫瘍、扁平上皮癌、扁平上皮細胞癌、中皮下表在性拡散性黒色腫、テント上原神経外胚葉腫瘍、甲状腺癌、未分化癌、尿道癌、子宮癌、ブドウ膜黒色腫、いぼ状癌、膣癌、ビポーマ、外陰部癌、ワルデンストレームマクログロブリン血症、分化型癌およびウィルムス腫瘍からなる群から選択される新生物形成障害の予防および治療を包含する。
【0232】
さらに好ましい実施形態では、抗M−CSF抗体は、乳癌、前立腺癌、肺癌または結腸癌を有する被験者に投与される。さらに好ましい実施形態では、当該方法は、癌が異常増殖するのを停止させ、あるいは重量または体積の増大を引き起こさせず、あるいは重量または体積を低減させる。
【0233】
本発明の組成物は、哺乳類における癌を治療するために有用な作用物質、例えば化学療法薬と組合せて用いられ得る。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、有糸分裂阻害薬、アルキル化薬、抗代謝薬、挿入抗生物質、増殖因子阻害薬、細胞周期阻害薬、酵素、トポイソメラーゼ阻害薬、生物学的応答修飾薬、タモキシフェン、抗ホルモン、例えば抗アンドロゲン、ならびに抗血管新生薬からなる群から選択される。
【0234】
さらに本発明のヒト抗M−CSFモノクローナル抗体の組成物はまた、シグナル伝達阻害薬、例えばEGF−R(上皮成長因子受容体)応答を抑制し得る作用物質、例えばEGF−R抗体、EGF抗体およびEGF−R阻害剤である分子;VEGF(血管内皮細胞成長因子)阻害剤、例えばVEGF受容体およびVEGFを抑制し得る分子;ならびにerbB2受容体阻害剤、例えばerbB2受容体と結合する有機分子または抗体、例えばHERCEPTINTM(Genentech, Inc.)とともに用いられ得る。EGFR阻害剤としては、モノクローナル抗体C225および抗EGFR22 Mab(ImClone Systems Incorporated)、ABX−EGF(Abgenix/Cell Genesys)、EMD−7200(Merck KgaA)、EMD−5590(Merck KgaA)、MDX−447/H−477(Medarex Inc.およびMerck KgaA)ならびに化合物ZD−1834、ZD−1838およびZD−1839(AstraZeneca)、PKI−166(Novartis)、PKI−166/CGP−75166(Novartis)、PTK787(Novartis)、CP701(Cephalon)、レフルノミド(Pharmacia/Sugen)、CI−1033(Warner Lambert Parke Davis)、CI−1033/PD183,805(Warner Lambert Parke Davis)、CL−387,785(Wyeth-Ayerst)、BBR−1611(Boehringer Mannheim GmbH/Roche)、ナアミジンA(Bristol Myers Squibb)、RC−3940-II(Pharmacia)、BIBX−1382(Boehringer Ingelheim)、OLX−103(Merck & Co.)、VRCTC−310(Ventech Research)、EGF融合毒素(Seragen Inc.)、DAB−389(Seragen/Lilgand)、ZM−252808(Imperial Cancer Research Fund)、RG−50864(INSERM)、LFM−A12(Parker Hughes Cancer Center)、WHI−P97(Parker Hughes Cancer Center)、GW−282974(Glaxo)、KT−8391(Kyowa Hakko)およびEGF−Rワクチン(York Medical/Centro de Immunologia Molecular (CIM))が挙げられるが、これらに限定されない。これらのおよびその他のEGF−R阻害薬は、本発明に用いられ得る。
【0235】
VEGF阻害薬、例えばSU−5416およびSU−6668(Sugen Inc.)、AVASTINTM(Genentech)、SH−268()およびNX−1838(NeXstar)も、本発明の化合物と組合せられ得る。抗炎症薬は、本発明の抗M−CSF抗体処方物と一緒に用いられ得る。炎症性疾患、例えば慢性関節リウマチの治療のために、本発明のヒト抗M−CSF抗体は、TNF−α阻害薬、例えばTNF薬(例えばREMICADETM、CDP−870およびHUMIRATM)およびTNF受容体免疫グロブリン分子(例えばENBRELTM)、CTLA−4Ig、抗CD20抗体(例えばリツキサマブ)、IL−6抗体、IL−6受容体抗体(例えばトシリツマブ)、IL−1阻害薬、IL−1受容体アンタゴニストまたは可溶性IL−1ra(例えばキネレットまたはICE阻害薬)、COX−2阻害薬(例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブおよびエトリコキシブ)、メタロプロテイナーゼ阻害薬(好ましくはMMP−13選択性阻害薬)、p2X7阻害薬、α2δリガンド(例えばNEURONTINTMおよびPREGABALINTM)、低用量メトトレキセート、スルファサラジン、メサラミン・レフルノミド、ヒドロキシクロロキン、d−ペニシラミン、アウラノフィン、あるいは非経口または経口金のような作用物質と組合せられ得る。
【0236】
本発明の組成物は、変形性関節炎の治療のために既存の治療薬と組合せても用いられ得る。組合せて用いられるべき適切な作用物質としては、標準非ステロイド系抗炎症薬(以後、NSAIDと呼ぶ)、例えばピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸、例えばナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェン、フェナム酸塩、例えばメフェナミン酸、インドメタシン、スリンダク、アパゾン、ピラゾロン、例えばフェニルブタゾン、サリチル酸塩、例えばアスピリン、COX−2阻害薬、例えばセレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブおよびエトリコキシブ、鎮痛薬、ならびに関節内治療薬、例えばコルチコステロイドおよびヒアルロン酸、例えばヒアルゲンおよびシンビスクが挙げられる。
【0237】
本発明のヒト抗M−CSF抗体組成物は、心臓血管薬、例えばカルシウムチャンネル遮断薬、脂質低下薬、例えばスタチン(例えばアトルバスタチンカルシウム)、フィブレート、β遮断薬、ACE阻害薬、アンギオテンシン−2受容体アンタゴニストおよび血小板凝集阻害薬と組合せても用いられ得る。
【0238】
本発明の組成物は、CNS薬、例えば抗うつ薬(例えばセルトラリン)、抗パーキンソン病薬(例えばデプレニル、L−ドーパ、REQUIPTM、MIRAPEXTM、MAOB阻害薬、例えばセレギンおよびラサギリン、comP阻害薬、例えばタスマル、A−2阻害薬、ドーパミン再取込み阻害薬、NMDAアンタゴニスト、ニコチンアゴニスト、ドーパミンアゴニストおよびニューロン性一酸化窒素シンターゼの阻害薬)、ならびに抗アルツハイマー病薬、例えばドネペジル、タクリン、α2ΔLIGANDS(例えばNEUROTINTMおよびPREGABALINTM)阻害薬、COX−2阻害薬、プロペントフィリンまたはメトリフォネートと組合せても用いられ得る。
【0239】
本発明の抗M−CSF抗体組成物は、骨粗鬆症薬、例えばロロキシフェン、ドロロキシフェン、ラソフォキシフェンまたはフォソマックス、ならびに免疫抑制薬、例えばFK−506およびラパマイシンと組合せても用いられ得る。
【0240】
製造物品
本発明の別の実施形態では、内毒素を実質的に含有しない、本発明の少なくとも1つのモノクローナル抗M−CSF抗体を製薬上許容可能な賦形剤と組合せて含む液体製剤組成物を収容し、そして任意にその使用のための使用説明書を提供する容器を含む製造品が提供される。適切な容器としては、例えばボトル、袋、バイアルおよび注射器が挙げられる。容器は、種々の物質、例えばガラスまたはプラスチックから生成され得る。容器の一例は、3〜20 cc一回使用ガラスバイアルである。あるいは多数回投与処方物のためには、容器は、3〜100 ccガラスバイアルであり得る。容器は処方物を収容し、そして容器上のまたは随伴するラベルは使用法を示し得る。製造品は、商業的および使用者の見地から望ましいその他の物質、例えば他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、注射器、ならびに用途、禁忌および/または考え得る副作用の一覧に関する使用説明書を伴うパッケージ挿入物をさらに含み得る。
【0241】
本発明は、抗体の液体組成物を調製するためのキットであって、モノクローナル抗M−CSF抗体8.10.3F、を含む第一容器(内毒素を実質的に含有しない)および製薬上許容可能な賦形剤を含む第二容器を包含するキットも提供する。
【0242】
以下の実施例は、本発明の実施形態を説明する。本明細書中の特許請求の範囲内の他の実施形態は、本明細書中に開示されたような本発明の明細または実行の考察から当業者に明らかになる。明細書は、実施例とともに、例示のためだけのものであり、本発明の範囲および精神は実施例に続く特許請求の範囲により示されるよう意図される。実施例において、パーセンテージは全て、別記しない限り重量を基礎にして示されている。実施例に列挙された重量および/または重量対容積比は、列挙成分の当該技術分野で認識された分子量を用いて、モルおよび/またはモル濃度に変換され得る、と当業者は理解する。本明細書中に例示された重量(例えばグラム)は、列挙された(例えば緩衝液、抗体処方物等の)容積に関する。重量は、異なる処方物容積が所望される場合、比例的に調整され得る、と当業者は理解する。
【実施例】
【0243】
実施例1
本実施例は、米国特許公開出願第20050059113号(Bedian等)に記載されたような抗M−CSF抗体を産生するハイブリドーマ細胞株の生成を示す。
【0244】
免疫感作およびハイブリドーマ生成
8〜10週齢XENOMOUSETMマウスを、ヒトM−CSF(10 μg/投与/マウス)を用いて、腹腔内でまたはそれらの後足蹠で免疫感作した。この投与を、3〜8週間に亘って5〜7回反復した。融合の4日前に、マウスに、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のヒトM−CSFの最終注射を投与した。免疫感作マウスからの脾臓およびリンパ節リンパ球を非分泌製骨髄腫P3−X63−Ag8.653細胞株と融合し、融合細胞をHAT選択に付した(Galfre, G. and Milstein, C., “Preparation of monoclonal antibodies: strategies and procedures.” Methods Enzymol. 73: 3-46 (1981)参照)。M−CSF特異的ヒトIgG2およびIgG4抗体を全て分泌するハイブリドーマのパネルを回収した。Babcook, J.S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 7843-48, 1996に記載されたようなXENOMAXTM技法を用いて、抗体も生成した。本発明の抗体を産生するよう遺伝子操作された9つの細胞株をさらなる試験のために選択し、252、88、100、3.8.3、2.7.3、1.120.1、9.14.4、8.10.3および9.7.2と命名した。ブダペスト条約に従った条項下で、2003年8月8日に、アメリカ培養細胞コレクションAmerican Type Culture Collection (ATCC), 10801 University Blvd., Manassas, VA 20110-2209に、ハイブリドーマを寄託した。ハイブリドーマは、以下の寄託番号を割り当てられた:
ハイブリドーマ3.8.3(LN 15891) PTA-5390
ハイブリドーマ2.7.3(LN 15892) PTA-5391
ハイブリドーマ1.120.1(LN 15893) PTA-5392
ハイブリドーマ9.7.2(LN 15894) PTA-5393
ハイブリドーマ9.14.4(LN 15895) PTA-5394
ハイブリドーマ8.10.3(LN 15896) PTA-5395
ハイブリドーマ88−γ(UC25489) PTA-5396
ハイブリドーマ88−κ(UC25490) PTA-5397
ハイブリドーマ100−γ(UC25491) PTA-5398
ハイブリドーマ100−κ(UC25492) PTA-5399
ハイブリドーマ252−γ(UC25493) PTA-5400
ハイブリドーマ252−κ(UC25494) PTA-5401
【0245】
実施例2
本実施例は、抗M−CSF抗体を産生する組換え哺乳類細胞株の生成を示す。
モノクローナル抗体8.10.3の重鎖および軽鎖をコードするDNAをそれぞれのハイブリドーマ細胞株8.10.3からクローン化し、そして当業者に既知の方法によりDNA配列を確定した。ハイブリドーマ細胞株8.10.3からのDNAを可変ドメイン中の特定のフレームワーク領域で突然変異化して、8.10.3Fを得た。抗体8.10.3Fの核酸配列および予測アミノ酸配列から、各抗体鎖に関する遺伝子用法の同一性を、(「VBASE」)により確定した。表2は、本発明による抗体8.10.3Fの遺伝子利用を記述する。
【0246】
【表2】

【0247】
抗体8.10.3F DNA配列挿入物をハイブリドーマ細胞株から得て、発現ベクター中にサブクローニングした。次に発現ベクターをマウス骨髄腫(NS0)宿主細胞株中にトランスフェクトして、8.10.3Fの重鎖および軽鎖配列を有する抗M−CSF抗体を産生する一次トランスフェクト体細胞株を生成した。最後に、8.10.3F抗体産生NS0細胞株の試料を凍結し、液体窒素中に保存した。
【0248】
実施例3
本実施例は、実施例2に従って生成されたNS0細胞株からの抗M−CSF8.10.3F抗体の産生を示す。
8.10.3Fサブクローン化NS0細胞のバイアルを、実施例2に記載したたような液体窒素保管所から取り出した。最終氷結晶が消失するまで、凍結細胞を37℃に急速解凍した。次に解凍バイアルの全内容物(1ミリリットル)ピペットで75 cm2Tフラスコ中に移した。14ミリリットルの予熱(36.5℃±1.0℃)CDハイブリドーマ増殖培地(Invitrogen, Carlsbad, CAから入手可能)(ウシ胎仔血清(Invitrogen, Carlsbad, CAから入手可能)を含有する10%低IgGを含有)を、ピペットでTフラスコ中に徐々に移した。
【0249】
約2.0×106〜約5.0×106細胞/mlの標的生存可能細胞密度で、フラスコに植え付けた。次にフラスコを、9%の二酸化炭素レベルおよび36.5℃の温度を有するインキュベーター中に入れて、細胞を約3日間増殖させた。この期間の終了時に、標的化細胞数は1.0〜3.0×106細胞/mlのオーダーであった。
【0250】
細胞を約3日間増殖させた後、2.5×106〜約0.5×106の標的細胞密度が達成されるよう、それらを分割し、次に使い捨て振盪フラスコ(即ちシードフラスコ)を細胞密度に基づいて播種した。各振盪フラスコは、ウシ胎仔血清を含有する10%低IgGを含有するCDハイブリドーマ増殖培地を含有し、細胞および培地の最終容積は25ミリリットルであった。次にフラスコを100±10 rpmで36.5℃±1.0℃で約3日間振盪した。この期間の終了時の各フラスコ中の細胞密度は、1.0〜3.0×106細胞/mlで、80%より多い細胞が生育可能であった。
【0251】
細胞を約3日間増殖させた後、ブロスを収穫した。7000 rpmで15分間遠心分離後に清澄化ブロスを得て、その後、滅菌0.22 μm4インチOpticapTMMilliporeTMフィルターで滅菌TC−TechTM袋中に濾過した。
【0252】
実施例4
本実施例は、実施例3に従って調製されたこうM−CSF8.10.3F抗体を含有する清澄化ブロスの内毒素含量の低減方法を示す。一連の内毒素レベルが表されている以下の精製に関する値は全て、ゲル・クロット検定を用いて確定した(実施例8参照)。内毒素レベルが単一測定値として表される場合、Cambrex動態的定量的色素産生LAL検定により、内毒素レベルを確定した(実施例7参照)。
【0253】
rプロテインAクロマトグラフィー
実施例3に従って調製した清澄化ブロスを、50 mMリン酸ナトリウムおよび250 mM塩化ナトリウムを含有する平衡溶液(pH7.0)で平衡されたrプロテインAセファロース(登録商標)FF樹脂(Amersham, Piscataway, NJ)を詰め込まれた150×50 mmカラム上に直接載せた。樹脂床高15 cmを用いた。カラムに関する投入、洗浄および溶離は、150 cm/時の線状流量を用いた。
【0254】
一旦清澄化ブロスがカラム上に投入されたら(最大投入量25 mg/ml樹脂)、50 mMリン酸ナトリウム(一および二塩基性リン酸ナトリウムの混合物)および250 mM塩化ナトリウムを含有する5カラム容積の一次洗浄溶液(pH7.0)で、その後、25 mM酢酸ナトリウムを含有する5カラム容積の二次洗浄溶液(pH5.5)でカラムを洗浄した。
【0255】
次に、25 mM酢酸ナトリウムを含有する4カラム容積の溶離緩衝液(pH3.5)でカラムを溶離した。清澄化ブロスをrプロテインAカラムに通した後、ゲル・クロットLAL検定により、内毒素含量を4.1〜10.2 EU/抗M−CSF抗体1 mgと測定した。次に溶離液を、50 mMトリスおよび25 mM塩化ナトリウムを含有する溶液(pH8.0)で1:1に希釈した。次に、1.5 Mトリス塩基で希釈溶離液のpHを8.0に調整し、そして滅菌水で伝導率を6 mS/cm未満に調整した。
【0256】
陰イオン交換クロマトグラフィー
次にrプロテインAカラム溶離液を、Qセファロース(登録商標)FFカラム(Amersham, Piscataway, NJ)上に載せた。Qセファロース(登録商標)カラムはイオン交換クロマトグラフィーカラムであり、そして特に、第四級アンモニウム基を含有する陰イオン交換カラムである。上記のように、15 cm床高を用い、カラム直径を1〜5 cmに変えた(投入物質によって)。カラムを用いる前に、それを、50 mMトリスおよび25 mM塩化ナトリウムを含有する6カラム容積の溶液(pH8.0)で平衡させた。次に、rプロテインAカラム溶離からの物質を、150 cm/時の流量でイオン交換カラム上に直接入れた。カラムに用いた典型的投入最大量は20 mg/樹脂1 mlであった。通過物(非結合分画)は当該物質を含有し、そしてrプロテインAカラムからの物質全てが一旦投入されたら、50 mMトリスおよび25 mM塩化ナトリウムを含有する4カラム容積の溶液(pH8.0)でカラムを洗浄し、通過物質を収集した。通過物質を投入物質とともにプールし、そして0.22ミクロン膜を通して濾過した。Qセファロース(登録商標)カラムを1回通過後、ゲル・クロット検定により、内毒素含量を0.38〜0.9 EU/抗M−CSF抗体1 mgと測定した。
【0257】
内毒素レベルがこの時点で所望される値より高い場合(例えば3またはそれより高い内毒素単位/ミリリットル(EU/ML))、上記の手法を用いて2回目の陰イオン交換カラム通過を任意に実行し得る。陰イオン交換過程を、所望に応じて多数回反復し得る。特に2回目通過に関しては、カラムを先ず、1 M水酸化ナトリウム中の1.0 M塩化ナトリウム3カラム容積で再生し、次に50 mMトリスおよび25 mM塩化ナトリウムを含有する6カラム容積の溶液(pH8.0)で再平衡させた。次に陰イオン交換溶離液物質を再生および再平衡カラムに再適用した。カラムを再び、50 mMトリスおよび25 mM塩化ナトリウムを含有する4カラム容積の溶液(pH8.0)で洗浄し、通過物質をフロースルー分画中に収集した。Qセファロース(登録商標)カラム2回目通過後、ゲル・クロット検定で測定した場合、内毒素レベルは0.15〜0.38 EU/抗M−CSF抗体1 mgの範囲に低減された。
【0258】
Qセファロース(登録商標)カラムの2度の通過後、Cambrex動態的定量色素産生LAL法により確定した場合、rプロテインA溶離液物質の内毒素レベルは0.32 EU/抗M−CSF抗体1 mgであった。
【0259】
陽イオン交換クロマトグラフィー
陰イオン交換溶離液物質の内毒素レベルによって2つの異なる経路がとられるのは、この段階でである。所望の内毒素目標レベル(例えば約3内毒素単位/ミリリットル(EU/mL)未満)が陰イオン交換溶離液中の量の約5倍以内である場合、陰イオン交換溶離液は、下記の「仕上げ」過程に移され得る。
【0260】
しかしながら陰イオン交換溶離液が、所望されるより高い内毒素レベルを有する場合(例えば約3内毒素単位/ミリリットル(EU/mL)より高い)、陽イオン交換カラム(例えばSPセファロース(登録商標)FF;Amersham, Piscataway, NJ)を含む任意のクロマトグラフィー過程を付加する可能性も存在する。SPセファロース(登録商標)カラムはイオン交換クロマトグラフィーカラムであり、そして特に、スルホプロピル基を含有する陽イオン交換カラムである。この過程を実行するために、陰イオン交換カラム過程からの物質を約5〜10 mg/mlに濃縮し、25 mM酢酸ナトリウムを含有するSPセファロース(登録商標)平衡緩衝液(pH5.5)中で透析した。次に陰イオン交換溶離液物質を、25 mM酢酸ナトリウムを含有する溶液(pH5.5)で樹脂を平衡させた後、陽イオン交換カラム上に投入した。カラム床高は15 cmで、カラム直径は、投入物質の量によって、1〜5 cmであった。カラム投入は、150 cm/時の流量で、約20 mgタンパク質/樹脂1 mlでであった。
【0261】
一旦物質を樹脂に吸着させたら、25 mM酢酸ナトリウムを含有する5カラム容積の洗浄溶液(pH5.5)で、150 cm/時の流量でカラムを洗浄した。次に、25 mM酢酸ナトリウムおよび140 mM塩化ナトリウムを含有する8カラム容積の溶離緩衝液(pH5.5)で物質を溶離した。次に陽イオン交換溶離液物質を、下記の仕上げ過程に通した。
【0262】
仕上げ過程
この時点で、溶離液物質を、ポリエーテルスルホン(PES)製の0.22ミクロンフィルターに通して濾過し、濃縮して(目標濃度は10 mg/8.10.3F抗体1 mlより高い)、次に5〜8回交換(AmiconTM撹拌細胞濃縮機;30 kDaカットオフ)のために、20 mM酢酸ナトリウムおよび140 mM塩化ナトリウムを含有する8カラム容積の溶離緩衝液(pH5.5)中に透析した。処方物緩衝液中に溶離液物質を透析後、色素産生LAL検定により確定した場合、内毒素レベルは0.32 EU/mgであると確定された。
【0263】
一旦この緩衝液中に入れて、次に物質を0.22ミクロンフィルターを通して濾過し、Millipore InterceptTMQカートリッジ(直径25 mm)を用いて最終仕上げのための準備をした。最初に、20 mM酢酸ナトリウムおよび140 mM塩化ナトリウムを含有する処方物緩衝液(pH5.5)でカートリッジを平衡させた。一旦平衡したら、縦一列に並べた2つのMillipore InterceptTMQセファロース(登録商標)カートリッジに通して物質を濾過した(最大200 mL/カートリッジ対)。
【0264】
InterceptTMQカートリッジを1回通過後、色素産生LAL検定により測定して、内毒素レベルは0.23 EU/抗M−CSF抗体1 mgに低減した。1回通過後、次に物質を再びカートリッジに通して再濾過し、次に0.22ミクロンフィルターに通して、実施例7に記載した色素産生LAL検定により測定した場合に0.12 EU/抗M−CSF抗体1 mgであった内毒素量を有する抗M−CSF抗体8.10.3Fを含む最終水性生成物を得た。
【0265】
実施例5
本実施例は、実施例3に従って調製した抗M−CSF8.10.3F抗体を含有する清澄化ブロスの内毒素含量の低減方法を示す。一連の内毒素レベルが表される以下の精製に関する値を、ゲル・クロット検定を用いて全て確定した(実施例8参照)。内毒素レベルが単一測定値として表される場合、Cambrex動態的定量的色素産生LAL検定により、内毒素レベルを確定した(実施例7参照)。
【0266】
rプロテインAクロマトグラフィー
実施例3に従って調製した清澄化ブロスを、50 mMリン酸ナトリウムおよび250 mM塩化ナトリウムを含有する平衡溶液(pH7.0)で平衡されたrプロテインAセファロース(登録商標)FF樹脂(Amersham, Piscataway, NJ)を詰め込まれた150×50 mmカラム上に直接載せた。樹脂床高15 cmを用いた。カラムに関する投入、洗浄および溶離は、150 cm/時の線状流量を用いた。
【0267】
一旦清澄化ブロスがカラム上に投入されたら(最大投入量25 mg/ml樹脂)、50 mMリン酸ナトリウム(一および二塩基性リン酸ナトリウムの混合物)および250 mM塩化ナトリウムを含有する5カラム容積の一次洗浄溶液(pH7.0)で、その後、25 mM酢酸ナトリウムを含有する5カラム容積の二次洗浄溶液(pH5.5)でカラムを洗浄した。
【0268】
次に、25 mM酢酸ナトリウムを含有する4カラム容積の溶離緩衝液(pH3.5)でカラムを溶離した。次に溶離液を、50 mMトリスおよび25 mM塩化ナトリウムを含有する溶液(pH8.0)で1:1に希釈した。次に、1.5 Mトリス塩基で希釈溶離液のpHを8.0に調整し、そして滅菌水で伝導率を6 mS/cm未満に調整した。
【0269】
陰イオン交換クロマトグラフィー
次にrプロテインAカラム溶離液を、Qセファロース(登録商標)FFカラム(Amersham, Piscataway, NJ)上に載せた。Qセファロース(登録商標)カラムはイオン交換クロマトグラフィーカラムであり、そして特に、第四級アンモニウム基を含有する陰イオン交換カラムである。上記のように、15 cm床高を用い、カラム直径を1〜5 cmに変えた(投入物質によって)。カラムを用いる前に、それを、50 mMトリスおよび25 mM塩化ナトリウムを含有する6カラム容積の溶液(pH8.0)で平衡させた。次に、rプロテインAカラム溶離からの物質を、150 cm/時の流量でイオン交換カラム上に直接入れた。カラムに用いた典型的投入最大量は20 mg/樹脂1 mlであった。通過物(非結合分画)は当該物質を含有し、そしてrプロテインAカラムからの物質全てが一旦投入されたら、50 mMトリスおよび25 mM塩化ナトリウムを含有する4カラム容積の溶液(pH8.0)でカラムを洗浄し、通過物質を収集した。
【0270】
rプロテインAカラムの溶離液を収集し、3つのQセファロース(登録商標)カラムを通過させた。各付加的通過に関しては、陰イオンカラムを先ず1 M水酸化ナトリウム中の1.0 M塩化ナトリウム3カラム容積で再生し、次に50 mMトリスおよび25 mM塩化ナトリウムを含有する6カラム容積の溶液(pH8.0)で再平衡させた。次に陰イオン交換溶離液物質を再生および再平衡カラムに再適用した。カラムを再び、50 mMトリスおよび25 mM塩化ナトリウムを含有する4カラム容積の溶液(pH8.0)で洗浄し、通過物質をフロースルー分画中に収集した。
【0271】
Qセファロース(登録商標)カラムを1回通過後の内毒素含量は、0.83〜2.07 EU/抗M−CSF抗体1 mgと測定された。Qセファロース(登録商標)カラム上の2回目通過後、内毒素レベルは、ゲル・クロットLAL検定により0.52〜1.03 EU/抗体1 mgであると測定され、Qセファロース(登録商標)カラム上3回目通過後、内毒素は0.29〜0.58 EU/抗体1 mgであると測定された。3回目通過後、最終通過物質を投入物質とともにプールし、そして0.22ミクロン膜を通して濾過した。
【0272】
陽イオン交換クロマトグラフィー
次に、3つの陰イオン交換過程からの最終溶離液を約5〜10 mg/mlに濃縮し、25 mM酢酸ナトリウムを含有するSPセファロース(登録商標)平衡緩衝液(pH5.5)中で透析した。陰イオン交換溶離液を、25 mM酢酸ナトリウムを含有する平衡緩衝液(pH5.5)で樹脂を平衡させた後、陽イオン交換カラム(例えばSPセファロース(登録商標)FF;Amersham, Piscataway, NJ)上に投入した。SPセファロース(登録商標)カラムはイオン交換クロマトグラフィーカラムであり、そして特に、スルホプロピル基を含有する陽イオン交換カラムである。カラム床高は15 cmで、カラム直径は、投入物質の量によって、1〜5 cmであった。カラム投入は、150 cm/時の流量で、約20 mgタンパク質/樹脂1 mlでであった。
【0273】
一旦物質を樹脂に吸着させたら、25 mM酢酸ナトリウムを含有する5カラム容積の洗浄溶液(pH5.5)で、150 cm/時の流量でカラムを洗浄した。次に、25 mM酢酸ナトリウムおよび140 mM塩化ナトリウムを含有する8カラム容積の溶離緩衝液(pH5.5)で物質を溶離した。
【0274】
SPセファロース(登録商標)カラムを1回通過後、内毒素含量は0.16〜1.2 EU/抗体1 mgの範囲であった。次に陽イオン交換溶離液物質を、下記の仕上げ過程に通した。
【0275】
仕上げ過程
この時点で、溶離液物質を0.22ミクロンフィルターに通して濾過し、濃縮して(目標濃度は10 mg/の8.10.3F抗体1 mgより高かった)、次に5〜8回交換(AmiconTM撹拌細胞濃縮機;30 kDaカットオフ)のために、20 mM酢酸ナトリウムおよび140 mM塩化ナトリウムを含有する8カラム容積の溶離緩衝液(pH5.5)中に透析した。
【0276】
一旦この緩衝液中に入れて、次に物質を0.22ミクロンフィルターを通して濾過し、Millipore InterceptTMQカートリッジ(直径25 mm)を用いて最終仕上げのための準備をした。最初に、20 mM酢酸ナトリウムおよび140 mM塩化ナトリウムを含有する処方物緩衝液(pH5.5)でカートリッジを平衡させた。一旦平衡したら、縦一列に並べた2つのMillipore InterceptTMQセファロース(登録商標)カートリッジに通して物質を濾過した(最大200 mL/カートリッジ対)。
【0277】
QInterceptTMカートリッジを1回通過後、内毒素レベルは0.16〜0.32 EU/抗M−CSF抗体1 mgであった。1回通過後、次に物質を再びカートリッジに通して再濾過し、次に0.22ミクロンフィルターに通して、実施例7に記載した色素産生LAL検定により測定した場合に0.046 EU/抗M−CSF抗体1 mgである内毒素量を有する抗M−CSF抗体8.10.3Fを含む最終水性生成物を得た。
【0278】
実施例6
本実施例は、実施例3に従って調製した抗M−CSF8.10.3F抗体を含有する清澄化ブロスの内毒素含量の低減方法を示す。一連の内毒素レベルが表される以下の精製に関する値を、ゲル・クロット検定を用いて全て確定した(実施例8参照)。内毒素レベルが単一測定値として表される場合、Cambrex動態的定量的色素産生LAL検定により、内毒素レベルを確定した(実施例7参照)。
【0279】
rプロテインAクロマトグラフィー
実施例3に従って調製した清澄化ブロスを、50 mMリン酸ナトリウムおよび250 mM塩化ナトリウムを含有する平衡溶液(pH7.0)で平衡されたrプロテインAセファロース(登録商標)FF樹脂(Amersham, Piscataway, NJ)を詰め込まれた150×50 mmカラム上に直接載せた。樹脂床高15 cmを用いた。カラムに関する投入、洗浄および溶離は、150 cm/時の線状流量を用いた。
【0280】
一旦清澄化ブロスがカラム上に投入されたら(最大投入量25 mg/ml樹脂)、50 mMリン酸ナトリウム(一および二塩基性リン酸ナトリウムの混合物)および250 mM塩化ナトリウムを含有する5カラム容積の一次洗浄溶液(pH7.0)で、その後、25 mM酢酸ナトリウムを含有する5カラム容積の二次洗浄溶液(pH5.5)でカラムを洗浄した。
【0281】
次に、25 mM酢酸ナトリウムを含有する4カラム容積の溶離緩衝液(pH3.5)でカラムを溶離した。次に溶離液を、50 mMトリスおよび25 mM塩化ナトリウムを含有する溶液(pH8.0)で1:1に希釈した。次に、1.5 Mトリス塩基で希釈溶離液のpHを8.0に調整し、そして滅菌水で伝導率を6 mS/cm未満に調整した。
【0282】
rプロテインAカラム溶離液をゲル・クロットLAL検定により測定した。内毒素レベルは6.8〜27.1 EU/抗M−CSF抗体1 mgであった。
【0283】
陰イオン交換クロマトグラフィー
次にrプロテインAカラム溶離液を、Qセファロース(登録商標)FFカラム(Amersham, Piscataway, NJ)上に載せた。Qセファロース(登録商標)カラムはイオン交換クロマトグラフィーカラムであり、そして特に、第四級アンモニウム基を含有する陰イオン交換カラムである。上記のように、15 cm床高を用い、カラム直径を1〜5 cmに変えた(投入物質によって)。カラムを用いる前に、それを、50 mMトリスおよび25 mM塩化ナトリウムを含有する6カラム容積の溶液(pH8.0)で平衡させた。次に、rプロテインAカラム溶離からの物質を、150 cm/時の流量でイオン交換カラム上に直接入れた。カラムに用いた典型的投入最大量は20 mg/樹脂1 mlであった。通過物(非結合分画)は当該物質を含有し、そしてrプロテインAカラムからの物質全てが一旦投入されたら、50 mMトリスおよび25 mM塩化ナトリウムを含有する4カラム容積の溶液(pH8.0)でカラムを洗浄し、通過物質を収集した。
【0284】
rプロテインAカラムの溶離液を収集し、2つのQセファロース(登録商標)カラムを通過させた。2回目通過に関しては、陰イオンカラムを先ず1 M水酸化ナトリウム中の1.0 M塩化ナトリウム3カラム容積で再生し、次に50 mMトリスおよび25 mM塩化ナトリウムを含有する6カラム容積の溶液(pH8.0)で再平衡させた。次に陰イオン交換溶離液物質を再生および再平衡カラムに再適用した。カラムを再び、50 mMトリスおよび25 mM塩化ナトリウムを含有する4カラム容積の溶液(pH8.0)で洗浄し、通過物質をフロースルー分画中に収集した。
【0285】
Qセファロース(登録商標)カラムを1回通過後の内毒素含量は、8〜3.6 EU/抗M−CSF抗体1 mgと測定された。2回目通過後、最終通過物質を投入物質とともにプールし、そして0.22ミクロン膜を通して濾過した。
【0286】
陽イオン交換クロマトグラフィー
次に、2つの陰イオン交換過程からの最終溶離液を約5〜10 mg/mlに濃縮し、25 mM酢酸ナトリウムを含有するSPセファロース(登録商標)平衡緩衝液(pH5.5)中で透析した。濃縮および透析後、内毒素レベルは、1.04〜2.08 EU/抗M−CSF抗体1 mgと測定された。
陰イオン交換溶離液を、25 mM酢酸ナトリウムを含有する平衡緩衝液(pH5.5)で樹脂を平衡させた後、陽イオン交換カラム(例えばSPセファロース(登録商標)FF;Amersham, Piscataway, NJ)上に投入した。SPセファロース(登録商標)カラムはイオン交換クロマトグラフィーカラムであり、そして特に、スルホプロピル基を含有する陽イオン交換カラムである。カラム床高は15 cmで、カラム直径は、投入物質の量によって、1〜5 cmであった。カラム投入は、150 cm/時の流量で、約20 mgタンパク質/樹脂1 mlでであった。
【0287】
一旦物質を樹脂に吸着させたら、25 mM酢酸ナトリウムを含有する5カラム容積の洗浄溶液(pH5.5)で、150 cm/時の流量でカラムを洗浄した。次に、25 mM酢酸ナトリウムおよび140 mM塩化ナトリウムを含有する8カラム容積の溶離緩衝液(pH5.5)で物質を溶離した。
【0288】
SPセファロース(登録商標)カラムを1回通過後、内毒素含量は0.1〜0.2 EU/抗体1 mgの範囲であった。次に陽イオン交換溶離液物質を、下記の仕上げ過程に通した。
【0289】
仕上げ過程
この時点で、溶離液物質を0.22ミクロンフィルターに通して濾過し、濃縮して(目標濃度は10 mg/8.10.3F1 ml抗体より高かった)、次に5〜8回交換(AmiconTM撹拌細胞濃縮機;30 kDaカットオフ)のために、20 mM酢酸ナトリウムおよび140 mM塩化ナトリウムを含有する処方物緩衝液(pH5.5)中に透析した。
【0290】
一旦この緩衝液中に入れて、次に物質を0.22ミクロンフィルターを通して濾過し、Millipore InterceptTMQカートリッジ(直径25 mm)を用いて最終仕上げのための準備をした。最初に、20 mM酢酸ナトリウムおよび140 mM塩化ナトリウムを含有する処方物緩衝液(pH5.5)でカートリッジを平衡させた。一旦平衡したら、縦一列に並べた2つのMillipore InterceptTMQセファロース(登録商標)カートリッジに通して物質を濾過した(最大200 mL/カートリッジ対)。
【0291】
QInterceptTMカートリッジを1回通過後、内毒素レベルは0.16〜0.32 EU/抗M−CSF抗体1 mgであった。1回通過後、次に物質を再びカートリッジに通して再濾過し、次に0.22ミクロンフィルターに通して、実施例7に記載した色素産生LAL検定により測定した場合に0.085 EU/抗M−CSF抗体1 mgである内毒素量を有する抗M−CSF抗体8.10.3Fを含む最終水性生成物を得た。
【0292】
実施例7
本実施例は、実施例4〜6における抗M−CSF抗体組成物中の内毒素の量を確定するために用いた色素産生LAL検定を示す。
【0293】
下記のようにCambrex動態的定量色素産生LAL法(K−QCL)を用いて、細菌内毒素を定量した。内毒素の存在は、無色基質からの黄色パラ−ニトロアニリン(pNA)の分割を触媒するLALプロ酵素を活性化する。この変色副産物を、405 nmで測光的に定量した。反応時間(黄色の出現に要する時間)は、存在する内毒素の量に逆比例する。ELISAマイクロプレート読取機を用いて、96ウエルフォーマットでこれらの検定を実行した。
【0294】
先ず、全ての作業表面をアルコールまたは認可消毒薬で清浄にした。無発熱物質試薬、水および使い捨て用品のみを用いた。大腸菌内毒素標準を、元のバイアル中でEC6レベルに再水和した(大腸菌055:B5として入手可能;製品番号#E50−643;Cambrex, East Rutherford, New Jerseyから)。再構成容積を分析証明書に列挙した。内毒素バイアルを、使用前に15〜30℃で10分間またはそれより長い間、激しく撹拌した。大腸菌内毒素標準バイアルに再水和時間および日付のラベルを貼って、2〜7℃で保存した。内毒素標準は、24時間以内にそれを再使用するために利用可能である。再使用する場合、内毒素標準を、使用前に先ず15〜30℃(≧30分)でインキュベートし、そして10分またはそれより長い時間激しく撹拌した。内毒素標準に関する一連の希釈液を、以下の濃度(0.005、0.05、0.5、5.0、50 EU/mL)で調製した。
【0295】
生成物抑制が起きていなかったことを保証するために、検査されるべき96ウエルELISA微小滴定プレート中で、全希釈液の陽性対照を調製した(公称内毒素値が0.5 EU/mlであるよう、内毒素でスパイクされたし量の10倍希釈液)。
【0296】
検定されるべき当該物質の一連の試料希釈液も、同一96ウエル微小滴定プレート中で調製した。1/2、1/4、1/8および1/16のオーダーでの純試料希釈液を調製するために、試料の1000倍までの希釈液を設定した。最終容積が一致するよう(最終容積:100ミリリットル)、適量の試料、標準および水をピペットで微小滴定プレートに移した。微小滴定プレートを、37℃で少なくとも10分間、平衡させた。50 mMトリス緩衝液(Cambrex#S50−642または等価物;各バイアルをトリス緩衝液2.6 mLで再構成した)中に再構成されたLAL基質試薬(Cambrex#K50−643または等価物)100ミリリットルを、微小滴定プレートに付加した。一旦LAL基質が付加されたら、微小滴定プレートをELISAプレート読取機(Bio-TekELx808または等価物。405 nmフィルターを装備)に入れて、読取り周期を開始した。Cambrex Kinetic-QCLソフトウエアにより、ELISA読取機を駆動した。一旦検定を終了したら、ソフトウエアを用いて、試料中の内毒素濃度を算定した。以下の方程式を用いて、EU/抗体の1 mgA280を算定した。方程式は、既知の内毒素濃度(EU/mL)÷タンパク質濃度(mg/mL)であり、結果はEU/mgA280での濃度と等しい。
【0297】
実施例8
本実施例は、実施例4〜6における抗M−CSF抗体組成物中の内毒素の量を確定するために用いたゲル・クロットLAL検定を示す。
【0298】
エタノールで清浄にしておいたバイオハザード・フード中で検定されるべき試料物質の一連の希釈液を調製し、活性の開始前に、15分間作動させた。注射用の滅菌水を用いて10×75 mm無発熱物質ガラス管中で、試料物質を10倍および20倍に希釈した。より高い希釈液では、パイロゾル(Cape Cod Associates, #BR051)をpH指示薬とともに付加して、より多量の試料物質が試験溶液のpHを変えないことを保証した。
【0299】
陽性対照を選択希釈液で平衡して設定して、生成物抑制が起きていないことを保証した。概して、各希釈液に関する1ミリリットルという最終目標容積が達成された。一旦希釈液ができたら、0.2ミリリットルの各希釈液を、凝固剤(Cape Cod Associates, 0.06 EU/ml試験に関しては#GS006)を含有する単一試験管にピペットで移した。管に栓をして、37℃で60分間インキュベートした。
【0300】
次に試験管を反転させた。塊が管の底に残存した場合、それは内毒素の存在に関して陽性であるとみなされた。液体が管を流れ落ちた場合には、それは陰性であるとみなされた。用いた希釈液に基づいて、次に内毒素レベルを特定範囲内で算定し、実施例4〜6で報告した。例えば0.06 EU/ml試験キットにおいて10倍希釈液が陽性であり、20倍希釈液が陰性であった場合、試料中の内毒素レベルは0.6〜1.2 EU/mlであるとみなされた。実施例7に記載した変換のための方程式に従って、抗体のEU/mgA208を確定した。
【0301】
実施例9
本実施例は、抗M−CSF抗体8.10.3F、L−ヒスチジン一塩酸塩一水和物、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物、マンニトールおよびポリソルベート80を含有する液体製剤組成物の製造を説明する。
【0302】
【表3】

【0303】
処方物の調製
処方物の調製に用いられた物質としては、以下のものが挙げられる:マンニトール、ヒスチジン、ポリソルベート80、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物、注射用水、塩酸/水酸化ナトリウム(これらはpHを調整するための希釈溶液として用いた)、ならびに抗体ストック溶液(例えば実施例4に従って調製された、しかしヒスチジン、EDTAおよびマンニトール処方物溶液中に透析されなかったモノクローナル抗M−CSF抗体8.10.3F精製物質)。
【0304】
処方物溶液成分を以下に示す:45グラム/リットル(g/L)のマンニトール、1.55 g/Lのヒスチジン、0.02 g/Lのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物。1 M塩酸溶液を、注射用水で濃塩酸から適切に希釈することにより調製した。次に、所望の容積の約90%で水中に先行成分(上記)を溶解することにより、溶液を調製した:マンニトール、ヒスチジン、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物。ポリソルベート80以外の賦形剤の全ての付加後、溶液が生成され、そして1 M塩酸溶液で溶液のpHをpH6に調整した。塩酸溶液の付加後、最終量の水を付加して、容積を所望量の100%までにした。次に緩衝溶液を滅菌容器中に濾過(0.22ミクロンフィルター)した。
【0305】
上記調製処方物緩衝液(45 g/Lマンニトール、1.55 g/Lヒスチジン、0.02 g/Lエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物、pH6)により、100%ポリソルベート80溶液を適切に希釈することにより、ポリソルベート80溶液20 g/Lを調製した。
【0306】
抗M−CSF抗体物質に、以下のように3周期の緩衝液交換を施した。抗体溶液を所望の緩衝溶液で10倍に希釈し、分子量カットオフ膜(例えば30 kD)を用いて3000×gで遠心分離して、容積を10分の1に低減した。この周期を全部で3回反復した。適切な希釈液により抗体溶液の最終容積を調整して、8.4 mg/mlという所望の抗体濃度を達成した。20 g/Lポリソルベート80溶液の付加を行なって、抗体処方物中の0.2 g/Lポリソルベート80を達成した。
【0307】
次に処方物を0.2μ滅菌等級フィルターに通して濾過し、そしてバイアルに充填した。2 mlタイプ1ガラスバイアル中には、充填容積0.5〜1 mlを用いた。バイアルをDaikyo777−1Flurotec(登録商標)被覆栓で密閉して、波形封止した。
【0308】
本明細書中に引用した参考文献は、全ての論文、出版物、特許、特許出願、講演発表、教科書、報告書、原稿、小冊子、書物、インターネット郵便物、季刊誌、定期刊行物等(これらに限定されない)を含めて全て、これらの記載内容が参照により本明細書中で援用される。本明細書中の参考文献の考察は、それらの著者によりなされた主張を単に要約するよう意図され、任意の参考文献が従来技術を構成するということの承認をなすものではない。出願人等は、引用参考文献の精度および付属物に異議を申し立てる権利を保有する。
【0309】
本発明の範囲を逸脱しない限り種々の変更が上記の方法および組成物においてなされ得るので、上記の記載内容中に含入される事項は全て、例示的と解釈されるべきであり、限定的意味を有するものではない、と意図される。さらに種々の実施形態の態様は全部または一部において互換され得る、と理解されるべきである。
【0310】
【化1】

【0311】
【化2】

【図面の簡単な説明】
【0312】
【図1−1】図1A〜1Dを含み、抗M−CSF抗体8.11.3Fに関するヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。図1Aは、8.11.3F重鎖に関する全長ヌクレオチド配列を示す(配列番号1)。図1Bは、8.11.3F重鎖に関する全長アミノ酸配列を示し(配列番号2)、そして8.11.3F重鎖可変部に関するアミノ酸配列は、大文字であり、そして括弧「[]」間に示されている(配列番号5)。各8.11.3F重鎖CDRのアミノ酸配列は下線を施されており、小文字である。重鎖CDRアミノ酸配列を以下に示す:CDR1:GFTFSSFSMT(配列番号7);CDR2:YISSRSSTISYADSVKG(配列番号8);およびCDR3:DPLLAGATFFDY(配列番号9)。
【図1−2】図1Cは、8.11.3F軽鎖に関するヌクレオチド配列を示す(配列番号3)。図1Dは、8.11.3F軽鎖に関するアミノ酸配列を示し(配列番号4)、そして8.11.3F軽鎖可変部に関するアミノ酸配列は、大文字で、そして括弧「[]」間に示されている(配列番号6)。各軽鎖CDRのアミノ酸配列を以下に示す:CDR1:RASQSVSSSYLA(配列番号10);CDR2:GASSRAT(配列番号11);およびCDR3:QQYGSSPLT(配列番号12)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列;および
配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列
を含む少なくとも1つの抗体を含む組成物であって、抗体がヒトM−CSFと結合し、そして組成物が内毒素を実質的に含有しない組成物。
【請求項2】
組成物が液体組成物であり、抗体がヒトIgG2抗体であって、抗体がシグナル配列を含まない、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
抗体が配列番号2と少なくとも99%の配列同一性を有する重鎖アミノ酸配列および配列番号4と少なくとも99%の配列同一性を有する軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
抗体が配列番号2の可変部を含む重鎖アミノ酸配列および配列番号4の可変部を含む軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
抗体が配列番号2を含む重鎖アミノ酸配列および配列番号4を含む軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
抗体が抗体8.10.3Fの重および軽鎖アミノ酸配列を有する単離ヒトモノクローナルIgG2抗M−CSF抗体を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
約0.001〜約1.6内毒素単位/抗体1 mgの内毒素濃度を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
約0.5内毒素単位/ml(EU/mL)〜約3.0内毒素単位/ml(EU/mL)の内毒素濃度を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
内毒素の存在が色素産生LAL検定により確定される、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
モノクローナルIgG抗体の精製方法であって、以下の:
・抗体を、抗体と結合するアフィニティークロマトグラフィー樹脂と接触させて;
・アフィニティークロマトグラフィー樹脂をリン酸イオンおよび塩化物イオンを含む洗浄溶液で洗浄し;
・アフィニティークロマトグラフィー樹脂をpH5.5で酢酸イオンを含む洗浄液で洗浄し;
・アフィニティークロマトグラフィー樹脂から抗体を溶離して、抗体を含むアフィニティークロマトグラフィー溶離液を生成し;
・アフィニティークロマトグラフィー溶離液を抗体と結合するイオン交換樹脂と接触させ;そして
・イオン交換樹脂から抗体を溶離する
ことを含む前記方法。
【請求項11】
配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体であって、ヒトM−CSFと結合する抗体を含む組成物中の内毒素の量の低減方法であって、以下の:
・組成物を抗体と結合するアフィニティークロマトグラフィー樹脂と接触させ;
・アフィニティークロマトグラフィー樹脂から抗体を溶離して、抗体を含むアフィニティークロマトグラフィー溶離液を生成し;
・アフィニティークロマトグラフィー溶離液を抗体と結合するイオン交換樹脂と接触させ;そして
・イオン交換樹脂から抗体を溶離する(ここで、抗体は内毒素を実質的に含有しない)
ことを含む前記方法。
【請求項12】
以下の:
製薬上許容可能な賦形剤;および
以下の:
配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、
配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列
を含む少なくとも1つの抗体
を含む液体製剤組成物であって、抗体がヒトM−CSFと結合し、そして組成物が内毒素を実質的に含有しない液体製剤組成物。
【請求項13】
被験者におけるM−CSF媒介性障害の治療方法であって、配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、そしてさらに配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗体(ここで、抗体はヒトM−CSFと結合し、組成物は内毒素を実質的に含有しない);および製薬上許容可能な賦形剤を含む治療的有効量の液体製剤組成物を被験者に投与することを含む前記方法。
【請求項14】
M−CSF媒介性障害が新生物障害である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
M−CSF媒介性障害が炎症性疾患である、請求項13記載の方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【公開番号】特開2006−249082(P2006−249082A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−56742(P2006−56742)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】