説明

低温バルーン

【課題】治癒上の応答が改善された、アブレーション装置及び方法を提供すること。
【解決手段】低温療法、低温アブレーション又は低温形成法を行う装置及び方法である。低温療法装置10は、細長い軸と、該軸の末端に配置された冷却部材16と、該冷却部材に結合された圧力ゲージ12とを備えることができる。本発明はまた、低温形成法を行う方法を提供し、この方法は、上記のような低温療法装置を提供するステップと、低温療法装置を対象領域まで前進させるステップと、冷却部材の内側部材を冷却剤によりある圧力まで膨張させるステップと、圧力を圧力ゲージにて定量化するステップと、対象領域を冷却部材にて冷却するステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、低温療法の分野に関する。より具体的には、本発明は、低温誘発の壊死を生じさせるときに使用される低温アブレーションカテーテル及び再狭窄症を防止するため細胞自殺を生じさせるときに使用される低温形成カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
アブレーション技術又は装置を使用して多数の疾患状態を治療することができる。アブレーション技術の結果、全体として、対象とする領域の異常な組織の機能が破壊されることとなる。異常な組織の機能を破壊する結果、疾患状態が効果的に治療されることになる。例えば、心房細動は、左心房及び肺静脈の異常な電気的活動の結果であり、左心房及び(又は)肺静脈内部の異常な組織をアブレーションすることで治療することができる。
【0003】
心房細動は、心臓内の異常な電気的活動の結果である重大な疾患状態である。この異常な活動は、洞房(SA)結節、房室(AV)結節、ヒス束を含む心臓の領域にて又は心臓組織のその他の領域内にて生じる可能性がある。更に、心房細動は、心臓内の隔離された病巣中心内の異常な活動に起因することもある。これらの病巣は、肺静脈、特に、上肺静脈内に生じる可能性があると考えられる。
【0004】
異常な電気的活動を有する病巣をアブレーションする目的のため、肺静脈を標的とすべくアブレーションカテーテルを使用する最小侵襲性技術が記載されている。これらの技術は、典型的に、異常な電気的活動を有する病巣又はその他の領域内に損傷部を生じさせるべくエネルギを印加することを特徴とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
幾つかのアブレーション装置は、アブレーションのため高周波数(RF)エネルギを利用する。RFエネルギ装置は、対象領域を熱にてアブレーションするため使用することができる。しかし、アブレーションのためRFエネルギを使用することは、治療後、対象領域にコラーゲンが沈着するといったような許容し得ない治療上の応答を招来する可能性がある。更に、心房内にてRFアブレーシンすることは、心房の出力を減少させる可能性がある。このため、治癒上の応答が改善された、アブレーション装置及び方法が必要とされている。
【0006】
アブレーションのため冷却エネルギを使用する1つの代替的な治療法が開発されている。低温形成法又は低温療法と称される、この方法は、損傷部を冷却して影響を受けた領域の一部分を凍結すべく使用することができる。例えば、血管内の損傷部を凍結させて細胞自殺を生じさせるか、又は、さもなければ再狭窄症又は反跳に到るであろう病態を変化させるべく低温形成法を使用することができる。低温療法は、再狭窄症を防止し且つ遅らせ、また、反跳に対処するときに利用可能であることに加えて、アブレーション技術のため使用することができる。例えば、低温療法は、不全弁の静脈瘤の治療、弁の疾患、僧帽弁閉鎖不全症の療法、心房細動、胃の逆流症、胃食道の逆流症、GURD、食道疾患、胃又は子宮癌を含む癌の治療等にて効果的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、低温療法カテーテルに関する。より具体的には、本発明は、低温療法装置の膨張可能な部分内の圧力を監視する圧力ゲージと、圧力が過度に高くなった場合に、冷却液が逃げるための導管を備えることができる圧力解放管とを有する低温療法装置を備えている。本発明は、脈管構造及び心臓組織の再狭窄症を防止し得るように組織(肺静脈内の異常な組織のような)をアブレーションし、また、低温療法が有益な効果を生じるであろう、その他の標的領域をアブレーションするために使用することができる。
【0008】
低温療法装置は、その末端に配置された冷却部材を有する細長い軸を有することができる。圧力ゲージを冷却部材に結合することができる。圧力ゲージは、外科医が直接又は間接的に定量化することができる内側部材内の圧力を直接又は間接的に測定することの可能な歪みゲージを備えることができる。1つの代替的な実施の形態において、圧力ゲージは、水平歪みゲージを備えることができる。水平歪みゲージは、異なるパターンにて内側部材内に配置することができる点を除いて、上述した歪みゲージと実質的に同様である。圧力ゲージは、低温チャンバ内に配置された光学、圧電、磁気又は機械式マイクロセンサとすることもできる。
【0009】
圧力解放管は、基端と、末端と、貫通して延びる管腔とを有している。取り外し可能な弁を圧力解放管の基端に配置することができる。取り外し可能な弁は、圧力解放管から取り外して、圧力が内側部材から逃げるのを許容することができる。更に、感圧型弁を圧力解放管の末端に配置することができる。感圧型弁は、内側部材内の圧力が過度に高くなったならば、圧力解放管の管腔に対する開口部を提供する、末端に配置された弁であると理解される。圧力逃がし弁は、また、RFレリーフカッターのような穴開け装置の如き圧力逃がし機構とするか又はこれと代替的に、バルーンに穴を開け且つ、気体の解放状態を制御する機械的な針とすることもできる。気体の制御された解放は、低温チャンバを取り囲む隔離チャンバ内に向かうようにすることができる。
本発明は例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
低温療法装置において、
基端及び末端を有する細長い軸と、
末端に配置された冷却部材であって、外側部材及び内側部材を有する前記冷却部材と、
前記細長い軸内に配置された膨張管と、
前記細長い軸内に配置された排出管と、
内側部材に対する圧力測定装置とを備える、低温療法装置。
(項目2)
項目1に記載の低温療法装置において、圧力測定装置が内側部材に直結される、低温療法装置。
(項目3)
項目1に記載の低温療法装置において、細長い軸の基端に配置されたマニホルドを更に備える、低温療法装置。
(項目4)
項目3に記載の低温療法装置において、圧力ゲージがコネクタによりマニホルドに結合される、低温療法装置。
(項目5)
項目1に記載の低温療法装置において、圧力ゲージが歪みゲージを備える、低温療法装置。
(項目6)
項目1に記載の低温療法装置において、圧力ゲージがヒューズリンクを有する、低温療法装置。
(項目7)
項目1に記載の低温療法装置において、圧力ゲージが光学変換器と、光ファイバ出力部とを有する、低温療法装置。
(項目8)
項目1に記載の低温療法装置において、内側部材が外面及び内面を更に備える、低温療法装置。
(項目9)
項目8に記載の低温療法装置において、圧力測定装置が内面に配置される、低温療法装置。
(項目10)
項目8に記載の低温療法装置において、圧力測定装置が外面に配置される、低温療法装置。
(項目11)
項目8に記載の低温療法装置において、内側部材の内面に結合されたレリーフカッターを更に備える、低温療法装置。
(項目12)
項目11に記載の低温療法装置において、エネルギ源が無線周波数エネルギ源である、低温療法装置。
(項目13)
項目11に記載の低温療法装置において、エネルギ源が、光ファイバケーブルにより逃がし弁に接続されたレーザエネルギ源である、低温療法装置。
(項目14)
項目11に記載の低温療法装置において、エネルギ源が、逃がし弁に機械的に結合された超音波エネルギ源である、低温療法装置。
(項目15)
項目1に記載の低温療法装置において、基端と、末端と、貫通して延びる管腔とを有する圧力解放管を更に備える、低温療法装置。
(項目16)
項目15に記載の低温療法装置において、圧力解放管が内側部材と流体的に連通している、低温療法装置。
(項目17)
項目16に記載の低温療法装置において、圧力解放管が、その基端に配置された取り外し可能な弁を更に備える、低温療法装置。
(項目18)
項目15に記載の低温療法装置において、圧力解放管が、その末端に配置された感圧型弁を更に備える、低温療法装置。
(項目19)
項目15に記載の低温療法装置において、圧力解放管に結合されたヒューズリンクを更に備える、低温療法装置。
(項目20)
項目19に記載の低温療法装置において、ヒューズリンクが、圧力解放管内で開口部に配置され、ヒューズリンクが圧力ゲージに結合される、低温療法装置。
(項目21)
低温療法装置において、
基端及び末端を有する細長い軸と、
基端に配置されたマニホルドと、
末端に配置された冷却部材であって、内側部材及び外側部材を有する前記冷却部材と、
コネクタによりマニホルドに結合された圧力ゲージと、
軸内に配置された膨張管と、
軸内に配置された排出管と、
内側部材と流体的に連通した圧力解放管とを備える、低温療法装置。
(項目22)
項目21に記載の低温療法装置において、圧力ゲージが歪みゲージを有する、低温療法装置。
(項目23)
項目21に記載の低温療法装置において、圧力ゲージがヒューズリンクを有する、低温療法装置。
(項目24)
項目21に記載の低温療法装置において、内側部材が外面及び内面を更に備える、低温療法装置。
(項目25)
項目24に記載の低温療法装置において、圧力ゲージが内面に結合される、低温療法装置。
(項目26)
項目24に記載の低温療法装置において、圧力ゲージが外面に結合される、低温療法装置。
(項目27)
項目21に記載の低温療法装置において、圧力解放管が、基端と、末端と、貫通して延びる管腔とを有する、低温療法装置。
(項目28)
項目27に記載の低温療法装置において、圧力解放管が、その基端に配置された取り外し可能な弁を更に備える、低温療法装置。
(項目29)
項目27に記載の低温療法装置において、圧力解放管が、その末端に配置された感圧型弁を更に備える、低温療法装置。
(項目30)
項目27に記載の低温療法装置において、圧力解放管に結合されたヒューズリンクを更に備え、ヒューズリンクが、圧力解放管内で開口部に配置され、ヒューズリンクが圧力ゲージに結合される、低温療法装置。
(項目31)
低温形成法を行う方法において、
基端及び末端を有する細長い軸と、基端に配置されたマニホルドと、末端に配置された冷却部材であって、外側部材及び内側部材を有する前記冷却部材と、内側部材に結合され且つ、コネクタによりマニホルドに結合されて内側部材内の圧力をマニホルドにより定量化することができるようにした測定装置とを有する低温療法装置を提供するステップと、
低温療法装置を対象領域まで前進させるステップと、
冷却部材の内側部材を冷却剤によりある圧力まで膨張させるステップと、
圧力を圧力ゲージにて定量化するステップと、
対象領域を冷却部材にて冷却するステップとを備える、低温形成法を行う方法。
(項目32)
項目31に記載の方法において、圧力ゲージが歪みゲージを備え、圧力ゲージにて圧力を定量化するステップが歪みを定量化するステップを含む、方法。
(項目33)
項目31に記載の方法において、内側部材が外面及び内面を更に備える、方法。
(項目34)
項目33に記載の方法において、圧力ゲージが内面に結合され、圧力ゲージにて圧力を定量化するステップが内面における圧力を定量化するステップを含む、方法。
(項目35)
項目33に記載の方法において、圧力ゲージが外面に結合され、圧力ゲージにて圧力を定量化するステップが外面における圧力を定量化するステップを含む、方法。
(項目36)
項目31に記載の方法において、基端と、末端と、貫通して伸びる管腔とを有する圧力解放管を更に備える、方法。
(項目37)
項目36に記載の方法において、圧力解放管が、その基端に配置された取り外し可能な弁を更に備え、内側部材内の圧力を降下させ得るように取り外し可能な弁を圧力解放管から除去するステップを更に備える、方法。
(項目38)
項目36に記載の方法において、圧力解放管が、その末端に配置された感圧型弁を更に備え、内側部材内の圧力を降下させるステップを更に備える、方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】圧力ゲージ及び圧力解放管を有する低温療法装置の断面図である。
【図2】圧力解放管に結合されたヒューズリンクを有する低温療法装置の部分断面図である。
【図3】冷却チャンバの内側部材の内面に結合されたレリーフカッターを有する低温療法装置の部分断面図である。
【図4】代替的な圧力ゲージ及び圧力解放管を有する低温療法装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は、幾つかの図面の全体を通じて同様の要素を同様の参照番号で表示する図面を参照しつつ読むべきである。詳細な説明及び図面は、選んだ実施の形態を示すものであり、従って、限定的であることを意図するものではない。
図1は、圧力ゲージ12及び圧力解放管14を有する低温療法装置10の断面図である。圧力ゲージ12は、冷却部材16に、例えば内側部材26に、結合されている。圧力ゲージ12は、冷却部材16内の圧力を定量化するために使用することができる。冷却部材16は、細長い軸18に結合されている。更に、圧力逃がし管14の少なくとも一部分は、冷却部材16内に配置されている。圧力逃がし管14は、膨張/冷却媒体を冷却部材16から解放するために使用することができる。このことは、例えば、圧力ゲージ12により測定した冷却部材16内の圧力が所望の限界値を上廻るときに、行うことができる。
【0012】
低温療法装置10は、肺静脈アブレーション、肺動脈アブレーション、心房細動、不整脈及びその他の症状の治療を含む多数の方法を行うため熱伝導を使用することができる。更に、低温療法装置10は、脈管構造(肺動脈及び静脈を含む)、心臓組織(心房及び心室を含む)、及び低温療法が有利な効果を得ることのできるその他の標的領域の再狭窄症を防止すべく使用することができる。
【0013】
細長い軸18は、基端20及び末端22を有している。細長い軸18は、全体として管状であり、また、非限定的に、金属、ステンレス鋼、ニッケル合金、ニッケルチタン合金、熱可塑性樹脂、高性能エンジニアリング樹脂、ふっ化エチレンプロピレン(FEP)、重合体、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリスルホン、ナイロン、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、及びその組み合わせ体を含む材料から成るものとすることができる。更に、貫通して(及び冷却媒体16を貫通して)延びるガイドワイヤー管腔21を有するガイドワイヤー管19を軸18内に配置することができる。
【0014】
冷却部材16は、軸18の末端22に配置することができる。冷却部材16は、外側部材24と、内側部材26と、該部材の間の環状空間28とを備えることができる。1つの代替的な特徴として、真空圧源を装置10に流体的に接続して空間28を排気することができる。外側部材24及び内側部材26の双方は、例えば、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)から成るバルーンとすることができる。外側部材24及び内側部材26は、例えば、約6ないし24大気圧の破裂圧力を有するものとする。ポリエーテルブロックアミドは、ペンシルベニア州、バーズボローのアトケムポリマーズ(Atochem Polymers)からPEBAXという商標名にて市販されている。これと代替的に、冷却部材16は、上述した材料から成るものとしてもよい。
【0015】
内側部材26は、冷却液源と流体的に連通している。例えば、冷却液源は、各々が軸18内に配置された膨張管30及び排出管32により内側部材26に結合する。膨張管及び排出管は、その内容の全体を参考として引用し本明細書に含めた、ラフォンタイン(Lafontaine)に対する米国特許第5,868,735号及びラフォンタインに対する米国特許出願第09/849,892号に開示された類似の物品と実質的に同様である。外側部材24は、内側部材26から逃げ出す可能性のある冷却剤を保持することができる。低温療法装置10は、上述した参考文献に開示された追加的な要素及び特徴部を更に備えることができる。
【0016】
細長い軸18の基端20は、マニホルド34に接続することができる。マニホルド34は、冷却剤源を備えることができる。例えば、マニホルド34は、膨張管30を介して内側部材26に係合された冷却剤源を備えることができる。更に、マニホルド34は、膨張ポンプに接続し得るようにされた内側部材26を作動させる(即ち、膨張させる)手段を備えることができる。
【0017】
内側部材26は、内面36及び外面38を更に備えることができる。圧力ゲージ12を外面38に配置する。1つの代替的な実施の形態において、圧力ゲージ12は内面36に配置する。圧力ゲージ12は、コネクタ40によりマニホルド34に接続することが可能である。
【0018】
圧力ゲージ12は、例えば、歪みゲージ、ヒューズリンク、光ファイバ出力部を有する光学トランスミッター等を備えることができる。一般に、内側部材26の寸法及び(又は)圧力を増大させることにより(例えば、冷却剤にて膨張させることにより)圧力ゲージ12の長さを変化させることができる。このため、圧力ゲージ12の歪みは、内側部材26内の圧力の直接又は間接的な測定値から成ることができる。ヒューズリンクの実施の形態は、閾値の仕方にて圧力を測定することになろう。例えば、バルーン圧力がバルーンを、リンクを破断させる寸法まで膨張させるとき、導電性が失われたことが感知され且つ、過剰な圧力であることを示す。光ファイバ出力部を有する光学トランスミッターの実施の形態は、ユーザが内側部材26を視認して圧力を変化させるべきかどうかを判断することを許容する。例えば、コネクタ40は、光ファイバ出力部を備えることができ、マニホルド34は、光学トランスミッターを有することができる。一般に、光学的視認化は、当該技術分野にて既知の任意の仕方にて実現することができる。
【0019】
歪み及び(又は)応力を定量化する手段は、アナログ読み取り装置又はディスプレイ、デジタル読み取り装置又はディスプレイ、歪みを定量化すべくコンピュータ利用システムに結合するコネクタ、その他のデータを処理するコンピュータ利用システム、及びその組み合わせ体を含むことができる。当該技術分野の当業者は、本発明の多数の実施の形態に従って、歪みを定量化し且つ歪み測定値を圧力測定値に変換する上記及び代替的な手段を熟知しているであろう。
【0020】
圧力解放管14は、基端42と、末端44と、貫通して伸びる管腔46とを備えることができる。圧力解放管14は、上記に掲げたものと同様の材料で出来たものとすることができる。圧力解放管14は、その内部の圧力が所望の限界値を超えたならば、冷却剤が内側部材26から逃げるための導管を備えることができる。例えば、内側部材26は8大気圧の破裂圧力を備えることができる。圧力解放管14は、内側部材26と流体的に連通するものとすることができる。内側部材26内の圧力が破裂圧力に近付くならば、冷却剤を圧力解放管14を通じて内側部材26から除去することができる。
【0021】
取り外し可能な弁48は圧力解放管14の基端42に配置する。この実施の形態によれば、内側部材26内の圧力が、例えば、破裂圧力のような所望の限界値に近付くならば、取り外し可能な弁48を圧力解放管14から取り外して圧力が内側部材26から逃げるのを許容する。取り外し可能な弁48はマニホルド34の基端側に配置して、該弁が低温療法装置10のユーザが利用可能であるようにすることが可能である。
【0022】
使用時、内側部材26内の圧力を圧力ゲージ12により測定し且つ、定量化する。医療方法を行う臨床医は、内側部材26内の圧力の程度を利用できる。圧力が内側部材26内で過度に高くなったならば、又はその破裂圧力に近付くならば、臨床医は取り外し可能な弁48を圧力解放管14から除去することができる。取り外し可能な弁48を圧力解放管14から除去することは、内側部材16内の圧力を降下させることになろう。
【0023】
圧力逃がし管14の末端44に感圧型弁50を配置することができる。感圧型弁50は、内側部材26内の圧力が過度に高くなった場合(例えば、内側部材26の破裂圧力のような所望の限界値に近付いたならば)、管腔46に対する開口部を提供する末端44に配置された弁であることが理解される。感圧型弁50は、取り外し可能な弁48と共に又は該弁無しで使用することができる。
【0024】
図2は、圧力逃がし管14に結合されたヒューズリンク52を有する低温療法装置10の部分断面図である。ヒューズリンク52は、独立的に又は弁48、キャップ50と共に使用し、或いはその双方が可能である。ヒューズリンク52は、圧力逃がし管14内の排気開口部54を覆い且つ、圧力センサ(P)に結合された一部分を有しており、このため、圧力が限界レベルを上廻ったとき、ヒューズリンク52内の電流(I)は、ヒューズリンク52を焼き切り且つ、排気開口部54を露出させ、冷却チャンバ16を排気することを許容するのに十分な程度に増大する。圧力センサは、歪みゲージ12、圧電MEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステムズ)センサ、光ファイバセンサ、光センサ、冷却チャンバ16の壁、冷却チャンバ16内に配置された磁気又は機械的マイクロセンサ等のような多数の物を備えることができる。図2にはマニホルド34にて圧力ゲージ12のコネクタ40に接続された圧力ゲージが示されていることを理解すべきである。しかし、上述した圧力センサの任意のものを置換し且つ、冷却チャンバ16内のマニホルド34等のような任意の便宜な位置にてヒューズリンク52に結合することができる。
【0025】
圧力センサ及びヒューズリンク52は、電気回路に結合することができる。例えば、圧力信号を増幅し、次に、第二の増幅器にて圧力限界値と比較することができる。圧力限界値は、内側部材26の破裂圧力近く且つ(又は)破裂圧力以下の所望のレベルに設定することができる。破裂圧力を上廻る圧力は、更に増幅し(例えば、信号を補正し又は増大させるため)、ヒューズリンク52を焼き切り、開口部54を露出させることができる。本発明の精神から逸脱せずに、電気回路のその他の適宜な形態に置換することができることが理解できる。
【0026】
図3は、内側部材26の内面36に結合されたレリーフカッター56を有する低温療法装置10の部分断面図である。レリーフカッター56は、独立的に又は弁48、キャップ50、ヒューズリンク52と共に使用し、又はその組み合わせで使用することができる。レリーフカッター56は、内側部材26の内面36に沿って配置された1又は多数のワイヤー58(例えば、直径約0.1778mm(0.007インチ)又はそれ以上或いはそれ以下)から成るものとすることができる。例えば、レリーフカッター56は、内面36に取り付けた2つの平行な絶縁線を備えることができる。線は、ある距離(例えば、約0.508mm(0.02インチ)又はそれ以上或いはそれ以下)だけ隔て且つ、無線周波数(RF)エネルギ源、レーザエネルギ源、超音波エネルギ源等のような、ポテンシャルエネルギ(V)源に接続することができる。電極60は、スパーク又はその他の切断手段を発生させるべく線58の端部に配置することができる。1つの代替的な実施の形態において、レリーフカッター56は、針、引張りワイヤー又はその他の適宜な物の如き機械式の穴開け装置を備えることができる。
【0027】
レリーフカッター56を作動させるため、エネルギ(RF)を線58に印加し、このエネルギは、電極60にスパーク又はその他の適宜な切断手段を形成する。スパークの結果、内側部材26内に比較的小さい穴(例えば、直径約6.35mm(0.25インチ)又はそれ以上或いはそれ以下)を形成することができる。該穴は、内側部材26内に保持された冷却剤が外側部材24内に排気され且つ、外側管腔62を通ってカテーテル外に出ることを許容する。外側管腔62は、マニホルド34と流体的に連通しており、マニホールドの内部に排気した任意の冷却剤を保持することができる。例えば、マニホルド34は、冷却剤がマニホルド34内の保持容器を通じて且つ、保持容器内に排出するための開口部64を有することができる。レリーフカッター56は、内側部材26を更に引裂き又は切裂くことなく、内側部材26に小さい穴を形成するものと考えられる。
【0028】
レリーフカッター56は、電気回路を介して圧力ゲージ(例えば、上述した歪みゲージ12及びその他のもの)に接続することができる。このことは、圧力が内側部材26の破裂圧力に近付くとき、レリーフカッター56を自動的に作動させることを許容する。例えば、エネルギ源は、圧力ゲージからの増幅された信号によりスイッチを入れることができる(圧力信号がヒューズリンク52を作動させるのと同様の方法にて)。
【0029】
図4は、1つの代替的な圧力ゲージ112及び圧力逃がし管14を有する低温療法装置110の断面図である。低温療法装置110は、圧力ゲージ112が水平歪みゲージ又はヒューズリンクを備える点を除いて、低温療法装置10と実質的に同様である。水平歪みゲージは、異なるパターンにて内側部材26に配置することのできる点を除いて、上述した歪みゲージと実質的に同様である。異なるパターンは、内側部材26内における異なる圧力の分布状態を定量化することができる。本発明の精神から逸脱せずに、圧力ゲージ112に対し任意の数の異なる形状又はパターンを使用することができることが理解できる。
【0030】
上述したことと同様に、低温療法装置110は、圧力逃がし管14を更に有することができる。更に、装置110は、ヒューズリンク52及び(又は)レリーフカッター56を有する。ヒューズリンク52及び(又は)レリーフカッター56は、上述した圧力ゲージ112又はその他の物品或いはその他の形態と共に使用することが可能である。
【0031】
本明細書が対象とする本発明の多数の有利な効果について上記の説明にて記述した。しかし、この開示は、多くの点にて、単に一例にしか過ぎないことが理解されよう。本発明の範囲を超えずに、細部、特に、形状、寸法、及びステップの配置の点にて変更を加えることができる。本発明の範囲は、勿論、特許請求の範囲を表現する用語にて規定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−17570(P2010−17570A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218181(P2009−218181)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【分割の表示】特願2003−585612(P2003−585612)の分割
【原出願日】平成15年4月10日(2003.4.10)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】