説明

低温プラズマ・紫外線複合殺菌装置

【課題】 一般家庭等でも容易に導入が可能であり、殺菌または滅菌効果に優れ、小型かつ安価な低温プラズマ・紫外線複合殺菌装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 被処理物を収納する収納室と制御ボックスが中間壁で区分けされている容器本体と、前記収納室を開閉するために、収納室の前面に開閉自在に取り付けられているドアと、前記被処理物に対して紫外線照射を行なうために、前記収納室内部の上面壁および下面壁に設けられた紫外線殺菌灯と、前記制御ボックス内に設置された低温プラズマイオン発生装置と、前記低温プラズマイオン発生装置で発生させたプラズマイオンを、前記収納室に導入するために、中間壁を貫通して設けられたダクトと、前記収納室内に導入された殺菌ガスを収納室内で循環させるために、中間壁の壁面に設けられた送風機と、前記機器・装置を制御する制御部とを備えている低温プラズマ・紫外線複合殺菌装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納室内に載置した食器や調理用具等の被処理物に対して、紫外線(UV)照射を行なうとともに低温プラズマイオンを循環させて、前記被処理物の表面に付着している菌類を殺菌又は滅菌する低温プラズマ・紫外線複合殺菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、理化学あるいは医療関連感染の対応策として、「滅菌と消毒」の各種方法が採用されてきた。そのなかで、被処理物に存在する全ての生物を完全に殺してしまう滅菌の条件が得られるものとして、(1)高圧蒸気滅菌器(例えば、特許文献1参照)、(2)乾熱滅菌器(例えば、特許文献2参照)、(3)EOGガス滅菌器(例えば、特許文献3参照)、(4)放射線照射滅菌装置(例えば、特許文献4参照)、(5)紫外線殺菌灯照射装置(例えば、特許文献5参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2008−73390号公報
【特許文献2】 特開2002−52070号公報
【特許文献3】 特開2005−288054号公報
【特許文献4】 特登録3644727号公報
【特許文献5】 特開2009−28588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの滅菌または殺菌装置および方法は、いずれも様々な欠点を有している。例えば、(1)高圧蒸気滅菌器や(2)乾熱滅菌器を用いた加熱による殺菌方法では、易熱性のプラスチック類は溶融による商品破損を来たす。(3)EOG(エチレンオキサイド)ガス滅菌器では、ガス自体の殺菌作用は強力であるが、発癌性、催奇形性の人体毒性があることから使用が制限されてきている。(4)放射線照射滅菌装置は、装置が大型となるため高額であり、かつ放射線被爆の影響が伴うことから一般には使用されていない。(5)紫外線(UV)殺菌灯照射は、光の性質からUV照射面は殺菌されるが、照射されない陰の部分は全く殺菌されないという問題点がある。
【0005】
このように、従来使用されてきた殺菌・滅菌装置の殆どが、高圧蒸気、毒性ガスまたは放射線等を用いた殺菌処理を利用するため、被処理物(例えば、プラスチック製の食器)によっては熱による変形や水浸しによる変質、薬物の残留等の問題が生じていた。また、オゾンガスの医療用利用に関しては、塩素ガスの10倍という強い酸化・殺菌作用が認められるものの、高濃度の急性人体毒性だけでなく低濃度の慢性人体毒性も大きいことから、人に関わる物品の殺菌方法としては使用制限が厳しくなる一方である。
【0006】
加えて、これまで商品化されてきた上記の滅菌・殺菌装置は、その何れもが理化学実験室や病院中央材料処理室向けに開発されてきたため、装置が大型で高価であることがネックとなり、一般家庭や小規模施設への導入が進んでいない現状にある。本発明は、かかる現状に鑑み、一般家庭等でも容易に導入が可能であり、殺菌または滅菌効果に優れ、小型かつ安価な低温プラズマ・紫外線複合殺菌装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1にかかる低温プラズマ・紫外線複合殺菌装置(以下、殺菌装置という)は、被処理物、例えば、布類(ガーゼ、マスク、ハンカチ、タオルなど)、食器類(箸、スプーン、コップなど)、理美容用具類(櫛、ハサミなど)等を収納する収納室と制御ボックスが中間壁で区分けされている容器本体に、前記収納室を開閉して、前記被処理物を出し入れするためのドアが、収納室の前面にヒンジ等により開閉自在に取り付けられている。
【0008】
前記被処理物に対しては、前記収納室内部の上面壁および下面壁に1対の紫外線殺菌灯(以下、UV殺菌灯という)を設けて、被処理物の表面に紫外線照射ができるようにしている。中間壁で区分けされた前記制御ボックス内に設置された低温プラズマイオン発生装置(以下、プラズマ発生装置という)で発生させたプラズマイオンは、中間壁を貫通して設けられたダクトを通して収納室に導入されている。また、前記収納室内に導入されたプラズマイオンを収納室内で循環させるために、収納室側の中間壁の壁面に送風機が設けられている。そして、これらを制御する制御部が、制御ボックス内に設けられている。
【0009】
この殺菌装置によれば、高電圧下に空気中の水分がイオン化して生成されるプラズマイオンのもつ緩やかな殺菌作用には人体毒性がなく、UV殺菌灯が保有する強力な殺菌作用は紫外線光を直接目で見たり、皮膚に浴びたりしない限り人体に対する残留毒性は全く発生しない。したがって、この殺菌装置を用いれば、収納室内に載置された被処理物に強力な紫外線照射を行い、あらゆる微生物の殺菌(殺細菌、殺ウイルス、殺カビ、殺ダニなど)を行なうとともに、発生させたプラズマイオンを送風機により収納室内全体に循環させることで紫外線照射の届かない部位も隈なく殺菌することができる。さらに、殺菌処理時間は10〜20分(被処理物の量により変動する)と短時間に処理できる。
【0010】
本発明の請求項2にかかる殺菌装置は、前記収納室の上面壁に、外部に通じるスリットが設けられた流体吐出口と該流体吐出口を開閉するシャッターが設けられている。この流体吐出口から収納室で内部循環していた流体、即ち、殺菌ガスを外部に吐出することにより、殺菌装置周辺の空間を殺菌するようにしている。なお、本発明において殺菌ガスとは、収納室内で紫外線が照射された空気とプラズマイオンの混合体であり、さらには、アロマオイルガスを加えた混合体を含むものと定義する。
【0011】
これによれば、収納室内に載置した被処理物の殺菌処理が終了すると、流体吐出口のシャッターが開状態となり、収納室内を内部循環していた殺菌ガスが外部に吐出される。この殺菌ガスは殺菌装置が設置された場所(例えば、居間)等の空気中に放出されるので、居間等の小空間の除菌を行なうことができる。
【0012】
本発明の請求項3にかかる殺菌装置は、前記制御ボックス内に、アロマオイルガス発生装置(以下、アロマ発生装置という)を設け、中間壁を貫通して設けられたダクトを通して収納室内にアロマオイルガスを導入している。
【0013】
これによれば、アロマオイルガスによる収納室内の殺菌力の増強、紫外線殺菌灯から発生するオゾン臭の除去および殺菌力の持続保持を行なうことができる。また、殺菌処理が終了すると、前記と同様にシャッターが開状態となり、収納室内を内部循環していた殺菌ガスが流体吐出口から外部に吐出される。この殺菌ガスは殺菌装置が設置された場所(例えば、居間)等の空気中に放出されるので、居間等の小空間の除菌を行なうとともに、人に爽快感を与えることができる。
【0014】
本発明の請求項4にかかる殺菌装置は、前記収納室内に、前記被処理物を載置するための保持手段が着脱自在に設けられている。この保持手段は、被処理物の載置面が格子状または網目状である棚板または自立形スタンドの形態に形成されており、何れも収納室から取り出すことが可能となっている。これによれば、被処理物の表面を隈なく赤外線照射することができる。また、収納室内における棚板または自立スタンドの配置を自由に変更することができるので、様々な大きさ、形状、処理量の被処理物を効率的に殺菌することができる。
【0015】
本発明の請求項5にかかる殺菌装置は、前記制御ボックスの前面に、UV殺菌灯、プラズマ発生装置、アロマ発生装置の少なくとも1以上を制御するための操作部が設けられている。例えば、全自動ボタンと手動ボタンがあり、手動ボタンを選択したときは、UV殺菌灯、プラズマ発生装置、アロマ発生装置のいずれか、またはこれらを組み合わせてON/OFFおよび作動時間設定が可能となっている。これによれば、被処理物に最適な殺菌方法を任意に設定することができるので、非常に効率的である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の殺菌装置によれば、収納室内に載置された被処理物に強力な紫外線照射を行い、あらゆる微生物の殺菌(殺細菌、殺ウイルス、殺カビ、殺ダニなど)を行なうとともに、発生させたプラズマイオンを送風機により収納室内全体に循環させることで紫外線照射の届かない部位も隈なく殺菌することができる。また、殺菌処理時間は10〜20分(被処理物の量により変動する)と短時間処理であることと、殺菌処理時の電力も30W以下と省電力化が図られている。
【0017】
本発明の殺菌装置によれば、収納室内に載置した被処理物の殺菌処理が終了すると、流体吐出口のシャッターが開状態となり、収納室内を内部循環していた殺菌ガスが外部に吐出されるので、居室など小部屋の空気中の除菌を行なうことができる。また、アロマオイルガスによる収納室内の殺菌力の増強、紫外線殺菌灯から発生するオゾン臭の除去および殺菌力の持続保持を行なうことができる。さらに、小部屋の空気中の除菌を行なうとともに、人に爽快感を与えることができる。
【0018】
本発明の殺菌装置によれば、被処理物の表面を隈なく赤外線照射することができる。また、収納室内における棚板または自立スタンドの配置を自由に変更することができるので、様々な大きさ、形状、処理量の被処理物を効率的に殺菌することができる。また、操作部には全自動スイッチと手動スイッチがあり、手動スイッチを選択したときは、紫外線殺菌灯、プラズ発生装置、アロマ発生装置のいずれか、またはこれらを組み合わせてON/OFFおよび作動時間設定が可能となっている。これによれば、被処理物に最適な殺菌方法を任意に設定することができるので、非常に効率的である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 本発明の実施形態の一例を示す全体斜視図である。
【図2】 図1の正面図(一部断面)である。
【図3】 図1の側面図である。
【図4】 本発明の操作部の一例を示す正面図である。
【図5】 本発明の実施形態の一例を示すシステム構成図である
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明の実施形態の一例を示す全体斜視図、図2は図1の一部を断面とした正面図、図3は図1の側面図である。図1〜図3において、容器本体1は、ステンレス鋼板等を用いて前面に取り付けられたドア4、上面壁11、下面壁12、両側面壁13、および後面壁14からなる略直方体に形成されており、被処理物、例えば、布類(ガーゼ、マスク、ハンカチ、タオルなど)、食器類(箸、スプーン、コップなど)、理美容用具類(櫛、ハサミなど)等を収納する収納室2とプラズマ発生装置56やアロマ発生装置57等を配置する制御ボックス3が中間壁15で区分けされている。
【0021】
収納室2の前面には、ステンレス鋼板等の枠部で囲まれた部分が透明ガラスまたは透明合成樹脂板(アクリルなど)からなるドア4が、該ドア4の下部に設けられたヒンジ(図示しない)等により開閉自在に取り付けられている。透明のガラスまたは合成樹脂板を用いると、収納室内部に載置された被処理物を収納室外部から視認することができるので便利である。なお、透明ガラスや合成樹脂板を半透明または不透明とすることや、ドア全体をステンレス鋼板等で形成することも可能である。ドア4の枠部と当接する収容室前面の所定位置には、ドア4の開閉によりUV殺菌灯52を消灯/点灯させるドア開閉感知スイッチ58(図示しない)を備えることにより、紫外線が人の目を直射しないようにしている。
【0022】
前記収納室内部の上面壁11および下面壁12には、被処理物の表面に紫外線照射ができるようにUV殺菌灯52が設けられている。このUV殺菌灯52は室内照明等に用いる直管式蛍光灯の形態であり、保護ガード(兼反射板)53の両端に設けられたコネクターに着脱自在に取り付けられている。また、前記保護ガード53は断面円弧状の長尺体であり、収納室2のドア4を開けたときに紫外線が人の目を直射しないように、UV殺菌灯52の照射を遮蔽する角度で取り付けられている。なお、収納室2の内面側において、前面に取り付けられたドア4を除くステンレス鋼製の上面壁11、下面壁12、両側面壁13、および後面壁14の表面を光沢仕上げとすれば、赤外線照射光を収納室内部で乱反射させることができるので、被処理物の表面を隈なく照射することができる。
【0023】
前記UV殺菌灯52による照射を安定させるために、制御ボックス3の内部にUV安定器54を設けている。このUV安定器54は、紫外線出力を安定(光出力を脈動がなく一定にする)させるとともに、出力電圧を一定(電源電圧変動によるランプ出力の変動は必ず電源電圧変動値以下に保つ)に保持する機能等を有している。
【0024】
前記収納室内部に存在する殺菌ガスを収納室内で隈なく循環させるために、収納室内部に面する中間壁15の壁面に送風機55が設けられている。この送風機55は、コンピュータや事務機等に使用されている超静粛設計で省電力設計の超小型送風機(例えば、日本ブロア株式会社製のスケールファン、SF−38)を採用することができる。なお、前記中間壁15に貫通口を設けて、該貫通口に前記送風機55を嵌合するように設置すれば、制御ボックス3の殺菌ガスを収納室2に循環させることができる。
【0025】
前記容器本体1の側面壁(制御ボックスの側面)13には、制御ボックス3の内部に設置されているプラズマ発生装置56等の保全を行なうための点検カバー7が、開閉自在に取り付けられている。この点検カバー7の任意位置には外部空気が流入するスリット状の空気流入口(図示しない)が形成されており、制御ボックス3を経由して収納室2に流入した空気は、収納室2の上部壁11に設けられた流体吐出口5から排出される。
【0026】
前記制御ボックス3には、プラズマ発生装置56が設けられている。プラズマ発生方法は既知であり、本発明に用いるプラズマ発生装置56も既知の製品を使用することが可能であり、例えば、電解水ミストを発生させる三洋電機製の小型空気清浄機VWP−MF10Aが挙げられる。この小型空気清浄機から発生した電解水ミストは、該小型空気清浄機の風洞から制御ボックス内に放出され、中間壁15に設けられたダクト6を通じて収納室内部に導入される。
【0027】
この電解水ミストが放出される仕組みは以下のとおりである。まず、小型空気清浄機の本体内部で水道水から活性酸素を多く含む電解水を生成し、ミスト発生部の超音波振動によってミストを発生させる。これによりウイルスを抑制するOHラジカルと、空気中でも持続性の高い次亜塩素酸が、浮遊菌やウイルスなどにしっかり届いて抑制する。
【0028】
収納室2内の殺菌処理が終了すると、流体吐出口5のシャッターが自動的に開状態となり、収納室2内を内部循環していた殺菌ガスが外部に吐出される。これにより殺菌装置が設置された場所、例えば居室内の空気中の除菌を行なうことができる。
【0029】
また、前記制御ボックス3内には、アロマ発生装置57が設けられている。該アロマ発生装置57は、電動式の小型アロマ発生器が用いられており、中間壁15に設けられたダクト6を通じて、アロマガスが収納室2に導入される。アロマの香りを燻蒸させてアロマの香りを収納室2の内部に流入させることにより、収納室2内の殺菌力の増強、紫外線殺菌灯から発生するオゾン臭の除去および殺菌力の持続保持を行なうことができる。なお、電動式の小型アロマ発生器に代えて、前記小型空気清浄機にアロマガス発生機能を付加するか、2機の小型空気清浄機を設置して、1機にアロマガス発生機能を付加してもよい。
【0030】
収納室2内の殺菌処理が終了すると、流体吐出口5のシャッターが自動的に開状態となり、収納室2内を内部循環していた殺菌ガスが外部に吐出される。これにより殺菌装置が設置された場所、例えば居室内の空気中の除菌を行なうとともに、人に爽快感を与えることができる。
【0031】
前記収納室2内部には、被処理物を載置するための保持手段として載置部が格子状または網目状である棚板81または自立形スタンド82が着脱自在に設けられている。前記棚板81は、複数段設けられた棚受具83に係止することにより、棚板間の空間高さを適宜変更することができる。また、棚板81と自立型スタンド82を組み合わせて用いれば、被処理物の大小、形状、処理量に合わせて、多様な配置とすることができる。これにより、被処理物の表面を隈なく紫外線照射することができる。
【0032】
前記制御ボックス3の前面には操作パネル31が設けられている。図4において、32は全自動ボタン(兼ランプ)、33は手動ボタン(兼ランプ)、34はUV殺菌灯タイマーツマミ、35はプラズ発生装置タイマーツマミ、36はアロマ発生装置タイマーツマミである。全自動ボタン32を押すと全自動ボタン32のランプが点灯し、予め殺菌時間が設定された条件でUV殺菌灯52、プラズ発生装置56およびアロマ発生装置57のタイマーが始動する。一方、手動ボタン33を押すと手動ボタン33のランプが点灯し、UV殺菌灯タイマーツマミ34、プラズ発生装置タイマーツマミ35、およびアロマ発生装置タイマーツマミ36を任意(例えば、0〜60分)の殺菌時間に設定することができる。
【0033】
全自動ボタン32を押した場合、予め設定された殺菌時間が終了すると、流体吐出口5のシャッターが自動的に開状態となり、収納室内部の殺菌ガスが排出される。一方、手動ボタン33を押した場合は、UV殺菌灯タイマーツマミ34、プラズマ発生装置タイマーツマミ35、およびアロマ発生装置タイマーツマミ36いずれかを単独作動することが可能であり、複数作動の場合は最も長い殺菌時間に設定したタイマーが終了すると、流体吐出口5のシャッターが自動的に開状態となり、収納室内部の殺菌ガスが排出される。なお、前記UV殺菌灯タイマーツマミ34、プラズ発生装置タイマーツマミ35、およびアロマ発生装置36タイマーツマミは、デジタル表示とすることも可能である。
【0034】
図5は本発明のシステム構成図である。図5において、51はコンピュータ、52はUV殺菌灯、56はプラズマ発生装置、57はアロマ発生装置、55は送風機、54はUV安定器、58はドア開閉感知スイッチ、31は操作パネルである。前記コンピュータ51は制御回路が組み込まれたプリント基板であり、制御ボックス内に取り付けられている。
【0035】
前記UV殺菌灯52および送風機55は、前記コンピュータ51に連結されており、容器本体前部のドア4を開閉することにより作動するように、前記ドアに対応する前記容器本体前面の枠部に配置されているドア開閉感知スイッチとも連結されているため、前記ドア4が閉じられている状態ではUV殺菌灯52と送風機55は作動するが、収納室内における被処理物の有無に関わらず、前記ドア4を開くと、UV殺菌灯52および送風機55の作動が停止して使用者の安全を図るようになっている。
【0036】
このように構成されている殺菌装置は以下に示すように作動する。
1)殺菌したい被処理物を収納室内の棚板81または自立スタンド82に載置してドア4を閉める。
2)全自動ボタン32を押すと、予め設定された条件(UV殺菌灯52、プラズマ発生装置56およびアロマ発生装置57の殺菌時間)で殺菌が開始されると同時に、送風機55が作動する。
3)手動ボタン33を押すと、事前に任意に設定した条件(UV殺菌灯52、プラズマ発生装置56およびアロマ発生装置57の作動時間)で殺菌が開始されると同時に、送風機55が稼動する。この場合、UV殺菌灯52、プラズマ発生装置56またはアロマ発生装置57は、夫々単独で作動させることが可能であるため、少なくともいずれか1つの装置について殺菌時間を設定する必要がある。
4)殺菌(作動時間)が終了すると、収納室2の上部壁11に設けられている流体吐出口5のシャッターが自動的に開状態となり、収納室内の殺菌ガスが収納室外に放出される。
5)ドア4を開けて、殺菌された被収納物を取り出す。なお、殺菌中にドア4を開けると、ドア開閉感知スイッチ58が作動して、UV殺菌灯52および送風機55は停止するが、ドア4を閉めるとUV殺菌灯52および送風機55が再作動する。
【実施例】
【0037】
本発明の殺菌装置において、下記条件で殺菌処理をした結果は以下のとおりである。
供試菌:黄色ブドウ球菌、大腸菌、枯草菌
使用培地:標準寒天培地平板
試験方法:
寒天培地平板に黄色ブドウ球菌、大腸菌、枯草菌をそれぞれ塗抹したもの各数枚を準備し、殺菌装置に入れ、シャーレの蓋を取り除いた状態で、全自動ボタン(UV殺菌灯、プラズ発生装置およびアロマ発生装置の全てが作動する)を作動させて、0分、5分、10分、30分、60分の作動時間毎にシャーレを取り出して、インキュペータに入れ、37℃で48時間培養した。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
(試験結果)
表1の数値は、各被検菌の培養菌の発育集落数を示している。表1に示すように、0分のみに菌の発育を認め、以降の殺菌時間毎の培地では菌の発育を全てにおいて認めなかった。即ち、寒天培地表面に付着した細菌は完全に殺菌作用が働くことが実証できた。また、収納室内部の隅や方向により紫外線照射量の減衰が懸念される部位についても、殺菌ガスが送風機により循環していることで、細部にわたる緻密な殺菌作用・効果が発揮できていると思われる。
【産業上の利用分野】
【0040】
本発明は、収納室内に載置した食器や調理用具等の被処理物に対して、紫外線(UV)照射を行なうとともに低温プラズマイオンおよびアロマオイルガスを循環させて、前記被処理物の表面に付着している菌類を殺菌又は滅菌する低温プラズマ・紫外線複合殺菌装置である。本装置は、家庭、給食・調理場、理容・美容店、介護施設、救急車等の車内における簡易殺菌装置等として広く利用することが可能なものである。
【符号の説明】
【0041】
1 容器本体
2 収納室
3 制御ボックス
4 ドア
5 流体吐出口
6 ダクト
7 点検カバー
11 上面壁
12 下面壁
13 側面壁
14 後面壁
15 中間壁
31 操作パネル
32 全自動ボタン(兼ランプ)
33 手動ボタン(兼ランプ)
34 UV殺菌灯タイマーツマミ
35 プラズマ発生装置タイマーツマミ
36 アロマ発生装置タイマーツマミ
52 UV殺菌灯
53 保護ガード
54 UV安定器
55 送風機
56 プラズマ発生装置
57 アロマ発生装置
58 ドア開閉感知スイッチ
81 棚板
82 自立スタンド
83 棚受具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を収納する収納室と制御ボックスが中間壁で区分けされている容器本体と、
前記収納室を開閉するために、収納室の前面に開閉自在に取り付けられているドアと、
前記被処理物に対して紫外線照射を行なうために、前記収納室内部の上面壁および下面壁に設けられた紫外線殺菌灯と、
前記制御ボックス内に設置された低温プラズマイオン発生装置と、
前記低温プラズマイオン発生装置で発生させたプラズマイオンを、前記収納室に導入するために、中間壁を貫通して設けられたダクトと、
前記収納室内に導入されたプラズマイオンを、収納室内で循環させるために、収納室側の中間壁の壁面に設けられた送風機と、
前記機器・装置を制御する制御部と、
を備えていることを特徴とする低温プラズマ・紫外線複合殺菌装置。
【請求項2】
前記収納室の上面壁に、容器本体外部に通じる流体吐出口を設け、収納室内で内部循環していた流体を外部に吐出することにより、容器本体周辺の空間を殺菌することを特徴とする請求項1に記載の低温プラズマ・紫外線複合殺菌装置。
【請求項3】
前記制御ボックス内に、アロマオイルガス発生装置を設けて、前記ダクトを介して、収納室にアロマオイルガスを導入し、収納室内の殺菌力の増強、紫外線殺菌灯から発生するオゾン臭の除去および殺菌力の持続保持を行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載の低温プラズマ・紫外線複合殺菌装置。
【請求項4】
前記収納室内に、前記被処理物を載置するための保持手段が着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の低温プラズマ・紫外線複合殺菌装置。
【請求項5】
前記制御ボックスの前面に、紫外線殺菌灯、低温プラズマイオン発生装置、アロマオイルガス発生装置の少なくとも1以上を制御するための操作部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の低温プラズマ・紫外線複合殺菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−81215(P2012−81215A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239045(P2010−239045)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(510283797)有限会社シャンティー (1)
【Fターム(参考)】