説明

低温殺菌したバイオマスからの微生物多不飽和脂肪酸含有オイルの調製

【課題】微生物バイオマスから単離される従来の多不飽和脂肪酸含有油に比べて安定な微生物油を提供する。
【解決手段】次の工程a)〜d)を含む、少なくとも1種の多不飽和脂肪酸を含有する油を微生物バイオマスから入手する方法:a)乾燥分が25〜80%のバイオマスを供給し、b)該バイオマスを顆粒に造粒し、c)該顆粒を乾燥して乾燥顆粒とし、次いで
d)該乾燥顆粒から該油を抽出もしくは分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多不飽和脂肪酸(PUFA)含有オイル、詳細には少なくとも1つの多不飽和脂肪酸を含有する純粋で安定な微生物オイルに関する。本発明のオイルは、低温殺菌を行ったバイオマスまたは発酵培養液から得ることができる。
【背景技術】
【0002】
種々の食品において、発酵プロセスから得られる多不飽和脂肪酸を含有する脂質産物が含まれる傾向が益々大きくなっている。重要なことに、多不飽和脂肪酸を幼児用処方に組み入れることが必要であることが最近確立された。
【0003】
多不飽和脂肪酸を含有する脂質またはオイルの発酵生産に関する種々の方法が記載されている。例えば、モルティエレラ(Mortierella)からのγ−リノレイン酸(GLA)含有脂質の生産に関する特許文献1;モルティエレラ(Mortierella)および/またはピチウム(Pythium)からのアラキドン酸(ARA)含有オイルの生産に関する特許文献2、特許文献3および特許文献4;クリプテコジニウム・コーニイ(Crypthecodinium cohnii)またはトラウストキトリウム(Thraustochytrium)からのドコサヘキサエン酸(DHA)含有オイルの生産に関する特許文献5および特許文献6;ニッツシア(Nitzschia)からのエイコサペンタエン酸(EPA)含有オイルの生産に関する特許文献7;および微藻類からのARAおよびEPAの生産に関する特許文献8。
【0004】
典型的には、所望の多不飽和脂肪酸を含有する脂質を産生する微生物種が適切な培地中で培養され、次いでバイオマスを集め、前処理の後に適切な溶媒を用いて微生物バイオマスから脂質を抽出することができる。このようにして抽出された脂質は粗製状態であり、従って多くの場合、いくつかの精製工程に付される。
【0005】
湿ったバイオマス塊の前処理は、通常、乾燥(例えば、スプレー乾燥または凍結乾燥など)および/または機械的な破壊(例えば、ホモジネーションまたは粉砕)による。バイオマスの乾燥は溶媒量を減少させ、そして取り扱いが面倒な乳化物が防止されるために好ましい。酸化および熱に敏感な脂質(例えば、多不飽和脂肪酸含有脂質など)を単離することが必要な場合には、酸素によって引き起こされる分解を高める好ましくない条件にできる限り曝さないように特に注意することが必要である。しかし、当該分野で使用されるバイオマスの前処理方法では、そのような好ましくない条件は避けられない。
【0006】
Yamadaら(単細胞オイルの工業的応用(Industrial applications of single cell oils)KyleおよびRatledge編、118〜138頁、1992年)は、トリグリセリド含有量が90%である、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)から精製されるアラキドン酸含有オイルを記載する。回収工程において、集められたバイオマスは乾燥され、そしてボールミルによる破砕の後にヘキサン抽出される。この方法はまた、好ましくない条件に曝されることを最小限にしない。
従って、当該分野で公知の方法による微生物バイオマスから単離される多不飽和脂肪酸含有脂質は、オイルの品質に対して好ましくない影響を与える酸化性条件に曝されている。
【特許文献1】欧州特許公開公報EP−A−0155420
【特許文献2】欧州特許公開公報EP−A−0223960
【特許文献3】欧州特許公開公報EP−A−0276541
【特許文献4】国際特許公開公報WO−A−92/13086
【特許文献5】国際特許公開公報WO−A−91/07498
【特許文献6】国際特許公開公報WO−A−91/11918
【特許文献7】国際特許公開公報WO−A−91/14427
【特許文献8】米国特許第5539133号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、当該分野における従来技術の上記問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面により、少なくとも1つの多不飽和脂肪酸(PUFA)を含有し、トリグリセリド含有量が90%より高い微生物オイルが提供される。本発明のオイルは、従来のPUFA含有オイルと比較して特に安定であることが見出されている。PUFAは、1つ以上の微生物によって、適切には発酵プロセスで産生される。PUFAは、種々の工程により、本質的には、PUFAを産生する発酵プロセスから得られる物質のバイオマスから回収される。
本発明のオイルは微生物的に得ることができるため、本発明のオイルは合成オイルを含まないことが理解される。理論により捕らわれたくないが、本出願人は、本発明のオイルが、本発明以前に記載されたオイルよりも安定である理由について多くの説明がなされるかもしれないと考える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のオイルは、バイオマス中に存在していた化合物を1つ以上含有する。一方、これらの化合物の多くは、抗酸化剤として作用し得る。あるいはまたはさらに、1つ以上のこれらの化合物は、オイル中に存在する酸化性(またはプロオキシダント)物質の1つ以上を不活性化(部分的に、または少なくとも阻害)し得る。
【0010】
多数の物質が、PUFA含有オイルの分解に関与し得る。これらの物質として、触媒として作用し得る金属、例えば銅、鉄および/または亜鉛が挙げられる。他に、同様の金属は、ラジカル開始剤として作用し得る。他の分解性の影響因子は、光と熱である。例えば、これらの金属の1つと錯体を形成し得る物質が1つ以上存在し得る。すなわち、それらは、ラジカル捕捉剤として作用し得る。
あるいは、本発明のオイルを得る方法は、バイオマス中に最初から存在していたかもしれない酸化性または酸化を引き起こす物質の1つ以上を除去し得る。
分解は、PUFAがARAである場合に特に高く、従ってオイル中の物質は、PUFAの分解を阻害または防止し得ると考えられる。
【0011】
本発明のオイルを得る方法(後にその詳細を記載する)は、微粒子の顆粒形態またはさらには乾燥顆粒を形成する工程を包含し得る。これらは、顆粒または顆粒化物の内部のPUFAが大気、特に酸素と接触することを少なくし、それにより酸化される機会を減少させ得る。
本発明の方法では、ステロール(例えば、5−デスモステロールなど)の最大量が重量で1.5%であるようにステロール含有量を減少させることができる。
従って、本発明のオイルは、ラジカル阻害剤、ラジカル捕捉剤および/または抗酸化剤を1つ以上含有する。
【0012】
上記のように、本発明は、高いトリグリセリド含有量(例えば、少なくとも90%)を有し、そして大きいランシマト(Rancimat)誘導時間(例えば、80℃で少なくとも5時間)を有する微生物の多不飽和脂肪酸(PUFA)含有オイルに関する。多不飽和脂肪酸は、C18、C20またはC22のω−3多不飽和脂肪酸、およびC18、C20またはC22のω−6多不飽和脂肪酸であり得る。好ましくは、C20またはC22のω−3多不飽和脂肪酸、あるいはC20のω−6多不飽和脂肪酸である。特に、PUFAは、アラキドン酸(ARA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)である。そのようなオイルの例は、モルティエレラ(Mortierella)から得られるアラキドン酸含有オイル、またはクリプテコジニウム(Crypthecodinium)から得られるドコサヘキサエン酸含有オイルである。
【0013】
本発明のオイルは、飲食物、食品または食品組成物において都合よく使用することができ、あるいは動物だけでなくヒトに対する栄養補給物として役立ち得る。さらに、本発明のオイルは、化粧品として使用することができる。顆粒状粒子または顆粒は、食品または飼料用の組成物または補給物として使用することができる。
【0014】
本発明のオイルは、多不飽和脂肪酸を1つ以上含有し、そして高いトリグリセリド含有量を有し得る。本発明のオイルは、当該分野で記載された微生物の多不飽和脂肪酸含有オイルよりもさらに高い酸化安定性を有する。
【0015】
本発明のオイルは、好ましくは以下の特徴を有する。本発明のオイルは、90%を超えるトリグリセリド含有量、好ましくは93%以上のトリグリセリド含有量を有する。しかし、適切には、トリグリセリド含有量は95%以上であり、必要に応じてトリグリセリド含有量は97%以上である。本発明のオイルは、さらに、80℃で5時間以上のランシマト誘導時間、好ましくは80℃で5〜16時間の誘導時間を有する。より適切には80℃で7〜16時間の誘導時間、必要に応じて80℃で10〜16時間の誘導時間を有し得る。ランシマト誘導時間は、80℃の温度で測定される。なぜなら、この温度は、多不飽和脂肪酸を含有するオイルについてよりよく適するからである。100℃で測定される場合、本発明のオイルは3〜5時間の誘導時間を有し得る。
【0016】
本発明のオイルのランシマト誘導時間は、外部から添加された安定化物質(例えば、抗酸化剤など)の非存在下で測定されることに注意しなければならない。オイル中に安定化の添加剤が存在すると、そのランシマト誘導時間は明らかに大きくなる。安定化用添加剤(例えば、抗酸化剤など)は、オイル回収プロセスの特定の工程、例えば、微生物が培養されている培地への添加またはオイル自身への添加に由来する。ランシマト試験は、試験物質に空気を吹き付けながら試験物質を加熱することを含む。試験物質が酸化された場合、その重量は増大する。通常、酸化は、特定の時間の後に急速に生じる。従って、この時間を、酸化に対する試験物質の安定性の指標とすることができる。
【0017】
本発明のオイルのさらなる特徴は、低いジグリセリド含有量(好ましくは、2%未満)および/または低いモノグリセリド含有量(好ましくは、0.1%未満)であり得る。本発明のオイルは、わずかに着色し、低いレベルの匂いおよび/または低いアニシジン値を有し得る(アニシジンは、アルデヒド(酸化による分解産物)に関する試験である)。
アニシジン値は、典型的には、0.1〜5の範囲、好ましくは0.1〜2の範囲、より好ましくは0.1〜1の範囲である。本発明のオイルの色は、典型的には、黄色から薄い黄色である。
【0018】
本発明の微生物オイルは、典型的には、1つの特定の多不飽和脂肪酸を主として(または唯一)含有するオイルであるが、より少ない量の他の多不飽和脂肪酸をさらに含有し得る。本発明はまた、2つ以上の多不飽和脂肪酸が存在する微生物オイルを含む。
【0019】
本発明の微生物オイル中に存在し得る多不飽和脂肪酸は、C20ω−3多不飽和脂肪酸ならびにC18、C20およびC22のω−6多不飽和脂肪酸である。特に、多不飽和脂肪酸として、γ−リノレイン酸(GLA)、ジホモ−γ−リノレイン酸(DLA)、アラキドン酸(ARA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、およびドコサヘキサエン酸(DHA)が挙げられる。
【0020】
本発明のオイルを含み得るか、または本発明のオイルを得ることができる微生物バイオマス、すなわちPUFA含有オイルを産生し得る任意のタイプの微生物は、例えば、細菌、酵母、菌類または藻類(あるいはそれらの混合)である。
【0021】
例えば、本発明のオイルは、好ましくは、藻類または菌類から得られるドコサヘキサエン酸(DHA)を含み得る。藻類として、渦鞭毛藻類(例えば、クリプテコジニウム(Crypthecodinium)属の藻類)が挙げられる。菌類は、ムコラレス(Mucorales)属、例えばトラウストキトリウム(Thraustochytrium)であり得る。γ−リノレイン酸(GLA)、ジホモ−γ−リノレイン酸またはアラキドン酸(ARA)は、好ましくは、菌類(例えば、モルティエレラ(Mortierella)、ピチウム(Pythium)またはエントモフトラ(Entomophthora)など)から得られる。エイコサペンタエン酸(EPA)含有オイルは、好ましくは、藻類(例えば、ポルフィリジウム(Porphyridium)またはニッツシア(Nitzschia)など)から得られる。典型的には、これらの生物から得られるオイルは、主として、1つの特定の多不飽和脂肪酸を含有する。しかし、オイルは、少量の他の多不飽和脂肪酸をさらに含有し得る。
【0022】
本発明はまた、本発明の第1の局面である多不飽和脂肪酸含有オイルを、微生物バイオマスから単離する方法に関する;この場合、微生物バイオマスは、オイルの抽出前に前処理することができる。前処理プロセスの比較的穏和な条件により、オイル中に存在する熱および酸化に敏感な多不飽和脂肪酸は、分解を引き起こす条件に曝され得ない。
【0023】
従って、本発明の第2の局面により、少なくとも1つの多不飽和脂肪酸(PUFA)を含むオイルを、(PUFAを産生する生物を含む)微生物バイオマスから得るための方法が提供される。本方法は、以下の工程を包含する:
a)乾燥物含有量が25〜80%であるバイオマスを提供または得る工程;
b)前記バイオマスを顆粒状粒子に造粒する工程;
c)前記顆粒状粒子を乾燥し、乾燥顆粒を得る工程;および
d)前記乾燥顆粒からオイルを抽出または単離する工程。
好ましくは、微粒子の顆粒形態は、平均して30〜70%の乾燥物含有量を有する。工程(c)から得られる乾燥顆粒は、適切には、平均して少なくとも80%の乾燥物含有量を有する。
【0024】
本発明の第3の局面において、微生物バイオマスから1つ以上の化合物を単離するための方法が提供される。本方法は、以下の工程を包含する:
a)化合物が(微生物によって)産生されるような条件下で微生物を発酵培養液中で培養する工程;
b)前記発酵培養液、または前記発酵培養液から得られる微生物バイオマスのいずれかを低温殺菌する工程;および
c)前記バイオマスから化合物を抽出、単離、または回収する工程。
【0025】
工程(b)における低温殺菌は、バイオマスまたは培養液中に存在し得る物質を分解する化合物の1つ以上を少なくとも部分的に不活性化することを意図する。そのような物質として、酵素(例えば、プロテアーゼ)などのタンパク質を挙げることができる。特に、リパーゼ、ホスホリパーゼおよび/またはリポキシゲナーゼを少なくとも部分的に不活性化することが求められている。
上記の化合物は、好ましくは、トリグリセリド(例えば、前記のPUFAの1つなど)を含む。
低温殺菌は、通常、発酵を終了させる。好ましくは、この低温殺菌は、造粒(あるいは、粉砕または混練)の前に行われる。適切には、低温殺菌は、発酵培養液で実施されるが、培養液から得られた微生物バイオマスで実施することができる。
低温殺菌により、化合物(例えば、PUFAなど)の分解を引き起こし得る物質の少なくともいくつかを避けることができると考えられる。この低温殺菌は、本発明により得ることができる高品質のPUFAに少なくとも貢献し得る。
【0026】
このように、低温殺菌は好都合である。なぜなら、微生物を殺すだけでなく、より重要なことに、化合物に悪影響を及ぼし得る酵素の1つ以上を不活性化することができるからである。例えば、低温殺菌は、種々のリパーゼを不活性化することができる。リパーゼは、トリグリセリド骨格から脂肪酸を切断し得る。このことは、高いトリグリセリド含有量が好ましい場合、PUFAにとって不利である。
低温殺菌後、しかし工程(c)における抽出の前に、本発明の第2の局面での工程(b)および(c)において上記のように、(顆粒状粒子を得るために)造粒を行い、顆粒状粒子を乾燥することができる。本発明の1局面の好ましい特徴は、適切な場合には、他の局面に同等に適用することができる。
【0027】
本発明の方法において、微生物の発酵が、最初に、産生され得る多不飽和脂肪酸の産生条件下で行われる。そのような発酵プロセスは、当該分野では周知である:微生物には、通常、炭素源および窒素源が、微生物の成育および/またはPUFAの産生を可能にする多数の添加用の化学品または物質とともに与えられる。適切な発酵条件を実施例22に示す。
【0028】
発酵から得られる物質(これは、しばしば、培養液と呼ばれる)は、次いで濾過され得るか、そうでなければ少なくとも一部の水成分を除くために処理され得る。適切には、バイオマス塊を得るために、大部分の水が除かれる。この段階でのバイオマスは、好ましくは25〜80%の乾燥物含有量を有する。次いで、バイオマスは、顆粒状粒子に造粒され得る。これは、好ましくは、押し出しによって達成される。しかし、造粒のためにどのような技術が選ばれたとしても、細胞の破壊を防止するかまたは最小限にするいずれかであることが好ましい。次いで、顆粒状粒子は乾燥され得る。顆粒は、その後の乾燥工程の効率を著しく高め得る。得られる(乾燥)顆粒は、浸績抽出または濾過抽出に特に適する。顆粒の粒子サイズは、乾燥および抽出を最適に行うために調節することができる。
【0029】
造粒条件(例えば、押し出し処理条件)は、好ましくは、微生物細胞の破壊を最小限にするように選択される。これにより、分解に対する抵抗性を増大させることができる。なぜなら、破壊されていない細胞は、多くの場合、細胞内に存在する多不飽和
肪酸の酸化的分解に対する保護の最良の形態であるからである。
【0030】
好ましくは、PUFAは、溶媒を用いて乾燥顆粒から抽出される。当業者に公知の任意の適切な溶媒を用いることができる。しかし、適切には、非極性溶媒が使用される:例えば、C1-6アルカン(例えば、ヘキサン)。同様に、超臨界状態の溶媒(例えば、液体の二酸化炭素)を使用することも可能である。
【0031】
本発明のプロセスは、PUFAオイルのコスト的に有効で効率的な抽出を可能にし、そして特に高品質のオイルを提供し得る。例えば、(バイオマスの)乾燥顆粒の形態は、特に効率的な濾過抽出プロセスの使用を可能にする。さらに、顆粒は、抽出に比較的低い温度を使用することを可能にする。これにより、PUFAの収量は必ずしも低下しない。さらに、乾燥顆粒は、少量の溶媒を抽出処理に必要とし得る。さらなる利点は、使用した溶媒をバイオマスから除くことをより効率的に行うことができることである(このプロセスは、多くの場合、脱溶媒加熱と呼ばれる)。
(溶媒)抽出(および脱溶媒加熱)の後に得られる残渣は、(例えば、動物の)飼料または飼料成分として使用することができる。
【0032】
抽出されたPUFA(オイル)は、さらに処理することなくその状態で使用することができるか、あるいは1つ以上のさらなる精製工程に付すことができる。乾燥顆粒から抽出されるPUFAオイルは比較的高品質であるので、必要とされるその後の精製はどれも、容易であるだけでなく、最小限にすることができる。オイルの精製は、標準的な技術を使用して行うことができる。例えば、オイルは、ゴム状物質の除去、脱酸、漂白および/または脱臭に付すことができる。本発明のPUFA含有オイルは、高いトリグリセリド含有量および/または高い酸化安定性を有し得る。これは、栄養物のためには特に適している。従って、本発明のPUFA含有オイルは、食物(最終的な食品または食品の調製中のいずれか)に添加することができる。本発明のPUFA含有オイルは、例えば、適切なカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)に包まれた場合、栄養補給物として役立ち得る。従って、PUFAオイルは、ヒトまたは動物のいずれかに対する食物組成物で使用することができる。例として、ミルク、健康飲料、およびパンが挙げられる。本発明のオイルは、幼児用処方での含有物に特に適する。さらに、本発明のオイルは、化粧品として使用できる。
【0033】
従って、本発明の第3の局面は、第1の局面の微生物オイルを含む組成物に関する。本発明の組成物は、ヒトおよび/または動物のいずれかに対する食物または飼料あるいは栄養補給物であり得る。そのような組成物は、食物組成物である場合、好ましくは幼児用に処方されたものである。あるいは、そのような組成物は、化粧用組成物であり得る。
【0034】
バイオマスの乾燥顆粒を使用することにより、単離される化合物の予想よりも高い収量が達成され得る。これは、抽出に使用される溶媒との接触を最大にし得る顆粒構造のためと考えられる。当然、粒子が大きすぎる場合には、表面積はより小さくなり、それに従って収量は低下し得る。しかし、粒子は小さすぎてはならない。そうでなければ、抽出において使用されるフィルターを詰まらせることがある。このため、本発明のプロセスは、粉砕、フレーク化または粉末化の工程または段階を包含しない。
【0035】
種々の段階での水分含有量もまた、収量に影響する。乾燥物含有量が高すぎる場合には、バイオマスは砕け、細粒または粉末となり得る。このことは、濾過抽出法を用いる場合には不利である。しかし、水分含有量が高すぎる場合には、水分が多くて顆粒にすることができないスラリーが得られる。
【0036】
造粒プロセスは当該分野で公知である。しかし、多くの場合、それらのプロセスは、上記のような不利をもたらす特定の段階での、粉砕またはフレーク化との組み合わせである。本発明においては、化合物の抽出に使用されるのは乾燥顆粒であり、粉砕またはフレーク化された形態ではない。さらに、造粒は、バイオマス内の細胞に対する損傷を最小限にすることができる。これは、化合物の収量を増大させるのに役立ち得る。米国特許第5,340,594号にはバイオマスの押し出しが開示されているが、押し出されたものは動物飼料として使用される:顆粒状形態によって、その顆粒状形態から特定の化合物を抽出した際に高い収量が得られるということは理解されていなかった。
【0037】
バイオマスの顆粒状粒子への処理は、乾燥処理を助ける。乾燥は、バイオマスを顆粒状形態に処理した後に、かなり容易に、そして効率よく行うことができる。
さらに、乾燥顆粒は、特に周囲温度または室温で、とりわけ安定であることが見出されている。バイオマスは、分解することなく、この形態でかなりの期間貯蔵することができる。理論により捕らわれたくないが、これは、化合物が顆粒の内部に存在し、その結果、特定の化合物に関して酸化分解を引き起こし得る環境から少なくとも部分的に保護されているために生じると考えられる。
【0038】
乾燥顆粒は、バイオマスの特に安定な形態であることが見出されている。顆粒は、分解またはその性質での変化をほとんど伴うことなく、(例えば、室温で)数年間でないとしても数週間貯蔵することができる。このことは、含有される化合物が同様に、安定に貯蔵(または、さらに輸送)することができることを意味する。さらに、顆粒は、室温で貯蔵することができる。これにより、従来技術のバイオマス物質の場合に必要な、特に低温での凍結または貯蔵を行う必要がない。貯蔵条件がかなり低廉になるような安定性は、明らかに有利である。
【0039】
バイオマスを造粒する好ましい方法は、押し出しによる。これにより、細胞の破壊を最小限にすることができる。細胞の最小限の破裂によって、バイオマスの安定性がより良好になることが見出されている。すなわち、本発明の方法を適用して、無傷のままである多数の細胞を最大限に利用することができる。このことは、化合物を単離するために細胞を破壊する多くの従来技術の抽出とは対照的である。
【0040】
本発明はまた、バイオマスの顆粒から1つ以上のPUFAを単離するための方法に関する。本方法は、以下の工程を包含する:
a)PUFAを産生する微生物を含む微生物バイオマスから得られ、乾燥物含有量が少なくとも80%である乾燥顆粒を提供する工程:および
b)乾燥顆粒から溶媒抽出によって前記PUFAまたは各PUFAを抽出または単離する工程。
【0041】
好ましい抽出方法は、適切には、化合物が溶解し得る溶媒を用いることである。好ましい抽出方法は、濾過を使用することである:この場合、溶媒は顆粒床を通過し得る。この技術に関して、粒子は小さすぎてはならない(例えば、粒子を粉砕または粉末化してはならない)ことが理解される。そうでなければ、フィルターを詰まらせる「粉末」(または細粉)があまりにも多く生じる。同様に、大きな粒子も避けるべきである。しかし、これらの両極端の間で、好ましくは、粒子がフィルターの孔よりも大きくなるように表面積を最適にすることができる。粒子は、好ましくは、抽出され得る化合物に溶媒が容易に接触できるように十分に多孔性である。
【0042】
微生物バイオマス塊の前処理による顆粒状粒子の形成は、その後の乾燥処理を著しく改善し得る。得られる乾燥顆粒状のバイオマスは、浸績抽出または濾過抽出のいずれかに特に適し得る。粒子サイズは、乾燥条件および抽出条件を最適にするために特別に調節することができる。本発明に従って前処理されたバイオマスを使用することによって、所望の化合物が、抽出に先立って細胞を破壊する必要もなく都合良く抽出される。
【0043】
本発明のプロセスを使用して、顆粒状粒子または乾燥顆粒を、ほとんど任意のタイプの微生物から調製することができる。微生物は、菌類または特定の細菌のような糸状形態であり得るか、または酵母、藻類および細菌のような単細胞のようであり得る。従って、本発明のバイオマスは、酵母、菌類、細菌または藻類である微生物を含むことができる。好ましくは、ムコラレス(Mucorales)目の菌類である。例えば、モルティエレラ(Mortierella)属、フィコマイセス(Phycomyces)属、ブラケスレア(Blakeslea)属、またはアスペルギルス(Aspergillus)属の菌類であり得る。好ましくは、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)種、ブラケスレア・トリスポラ(Blakeslea trispora)種およびアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)種の菌類である。
【0044】
酵母に関する限り、好ましくは、ピキア(Pichia)属の酵母、例えばピキア・シフェリイ(Pichia ciferrii)種などの酵母である。
細菌は、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属であり得る。
バイオマスが藻類を含む場合、藻類は、好ましくは、渦鞭毛藻および/またはクリプテコジニウム(Crypthecodinium)属に属する。好ましくは、クリプテコジニウム・コーニイ(Crypthecodinium cohnii)種の藻類である。
【0045】
本発明に従って調製された微生物バイオマスから単離され得る化合物は、細胞内に存在し得るか、細胞膜または細胞壁に結合し得るか、あるいは細胞外に産生され得る(従って、化合物は水に不溶であり得る)。
単離され得る化合物は、親水性または疎水性(例えば、親油性)のいずれかであり得る。そのような化合物の例として、細胞内のタンパク質または酵素、脂質、ビタミン(例えば、ビタミンB12)のような二次代謝産物、マクロライドまたはポリエンの抗生物質、風味提供物質、またはカロチノイドがある。好ましくは、微生物バイオマスから単離され得る化合物は、親油性化合物である。
【0046】
本発明に従って処理されたバイオマスから抽出される化合物は、高品質であり得る。なぜなら、処理プロセスにおいて使用される穏和な条件により、品質の劣化にさらされることは、あったとしてもほとんどないからである。従って、本発明は、熱および/または酸化に敏感な化合物を単離する必要がある微生物バイオマスの調製に特に適する。
【0047】
本発明の第2の局面は、高い不飽和度を有する化合物(例えば、多不飽和脂肪酸(PUFA)を含有する脂質など)を単離するための微生物バイオマスの調製に適する。好ましくは、PUFAは、C18、C20またはC22のω−3またはω−6の多不飽和脂肪酸である。例えば、そのような化合物は、(渦鞭毛藻のクリプテコジニウム(Crypthecodinium)または菌類のトラウストキトリウム(Thraustochytorium)などの藻類または菌類から得られる)ドコサヘキサエン酸(DHA)、(モルティエレラ(Mortierella)、ピチウム(Pithium)またはエントモフトラ(Entomophthora)などの菌類から得られる)γ−リノレイン酸(GLA)、ジホモ−γ−リノレイン酸またはアラキドン酸(ARA)、あるいは(ポルフィリジウム(Porphyridium)またはニッツシア(Nitzshia)などの藻類から得られる)エイコサペンタエン酸(EPA)であり得る。これらのPUFAはいずれも、独自に、またはより通常的には脂質の形態のいずれかで単離することができる。
【0048】
本発明(の第4の局面)に従って単離され得る化合物のさらなる例として、例えばムコラレス(Mucorales)目由来の菌類の属(例えば、フィコマイセス(Phycomyces)またはブラケスレア(Blakeslea))から得られるβ−カロチン、酵母ファフィア・ロードジマ(Phaffia rhodozyma)から得られるアスタキサンチン、酵母ピキア・シフェリイ(Pichia ciferrii)から得られるテトラアセチルフィトスフィンゴシン(TAPS)、および/またはプロピオニックバクテリアから得られるビタミンB12が挙げられる。
【0049】
抽出され得る他の化合物として、ロバスタチン、シクロスポリンおよびライドロマイシンなどの親油性/非極性の化合物が挙げられる。これらの中で、最初の2つは、細胞外に産生されるか、または細胞壁に結合しているかのいずれかである。従って、適切な溶媒として、ヘプタン、ヘキサン、アセトン、メタノールおよびトルエン、ならびにエタノールが挙げられる。しかし、後者の2つの化合物に関して、イソプロピルアルコールまたは酢酸ブチルがシクロスポリンに、そしてエタノールまたはメタノールがライドロマイシンに使用され得る。一般に、ヘキサンは、可溶性の抗生物質(例えば、ストレプトマイセス(Streptomyces)属の微生物によって産生される抗生物質など)に適する。
【0050】
他の化合物として、ポリケチドまたはポリケチド由来の代謝産物が挙げられる。これらは、多くの抗生物質を含む。好ましいポリケチドは、窒素を含有せず、芳香族性であり得、好ましくは少なくとも1つの6員環を含有するポリケチドである。好ましいポリケチドは、ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチンおよびコンパクチンを含むスタチンである。他の好ましい化合物は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤である。これは、血中のコレステロール値を低下させることができる。
抽出され得る別の種類の化合物として、ステロイドおよびステロール(例えば、エルゴステロールなど)が挙げられる。これらは、酵母およびカビにより産生される。
【0051】
本発明の方法に従って単離される化合物および本発明の組成物は、ヒトまたは動物用の食物(例えば、幼児用の処方)あるいは他の食用の組成物において、そして化粧品、健康管理用の組成物または補給物あるいは薬学的組成物において使用することに適する。
本発明の方法において、選択された微生物の発酵を最初に行い、その後の化合物の抽出に十分な量のバイオマスを得ることができる。発酵条件は、使用する微生物に依存し、得られるバイオマス中に高い含有量の化合物を得るために最適化することができる。
【0052】
発酵プロセスが終了した後、単離され得る化合物のタイプに依存して、発酵培養液の低温殺菌を行って、産生生物を殺し、そして望ましくない酵素を不活性化することができる。所望すれば、凝集剤および/または他の処理補助剤を培養液に添加して、その濾過性を改善することができる。
適切な凝集剤として、CaCl、Al(SO、および極性のカチオン性ポリアミドが挙げられる。これらは、重量で0.1〜2%で存在し得る。
【0053】
好ましくは、バイオマス(または培養液)の低温殺菌を行う。発酵後の低温殺菌は、衛生的な方法で処理され得るスラリーを得るために必要とされ得る。発酵糟内でのバイオマスの低温殺菌は、いくつかの点で有利であり得る。第1に、産生生物は環境に曝されない。さらに、目的化合物の品質に影響する不要な酵素活性を不活性化することができる。
【0054】
低温殺菌は、産生生物の種に依存して60〜100℃の温度で実施される。低温殺菌は、発酵糟内への蒸気による(直接的な)加熱によって、あるいは壁を通すか、または冷却コイルもしくは外部の熱交換器(例えば、公知のプレート型熱交換器または他の適切な熱交換器)によるかのいずれかにより、熱交換器を介して媒体を使用する(間接的な)加熱によって実施することができる。
以下の好ましい低温殺菌条件が、特にモルティエレラ(Mortierella)属の生物に用いることができる。
【0055】
発酵培養液(またはバイオマス)を低温殺菌して、微生物を殺し、そして酵素活性を不活性化する。これは、主発酵糟への接種の約144時間後であり得る。バイオマス(または培養液)は、適切には50〜95℃で、好ましくは60〜75℃で、最適には63〜68℃の間で低温殺菌される。これは、30〜90分間、好ましくは50〜75分間、最適には55〜65分間であり得る。この低温殺菌は、任意の適切な加熱手段によって行うことができるが、好ましくは、例えば主発酵糟への蒸気の直接導入による。
【0056】
低温殺菌の後に培養液は冷却される。これは、約4時間かけて、適切には約25℃にすることができる。
異なるバイオマスまたは発酵培養液からの2種類以上の生物がかかわる場合、各バイオマス(または培養液)を個々に低温殺菌することができる。あるいは、混合後に低温殺菌することができる。しかし、生物が異なると、異なる殺菌条件が用いられ得るために、前者が好ましい。
通常、低温殺菌は、発酵が行われる発酵糟内で行われる。しかし、いくつかの生物(例えば、細菌など)に関しては、多くの場合、最初に微生物を発酵糟から取り出し、次いで(例えば、集塊化処理においてスプレー乾燥を行う前に)低温殺菌を行うことが好ましい。
【0057】
理解されているように、低温殺菌は、通常、すべてではないが、大部分の微生物を殺す。従って、乾燥顆粒では、少なくとも95%(例えば、95%でない場合、少なくとも98%)の微生物が殺されている(すなわち、生存していない)。
特定の生物(例えば、ピキア(Pichia))については、好ましくは、低温殺菌は行われない。
【0058】
その後の処理工程の中で、低温殺菌されたバイオマスの再汚染を防止するために、増殖の危険性を減らす条件を考えることができる。1つの可能なことは、適切な酸で培養液を酸性化することである。多くの微生物種の増殖を防止するためには、低い処理温度との組み合わせで、3〜4のpH範囲で十分である。
さらに、アルコール、ソルビン酸塩などのような他の生物静止(biostatic)剤が、この目的に使用することができる。
【0059】
熱に安定な産物については、より高温(60〜100℃)で処理することができる。
好ましい酸性化条件(例えば、モルティエレラ(Mortierella)属の生物について)は、以下の通りである。
低温殺菌した培養液のpHを2〜5に、好ましくは3〜4の範囲のpHに、最適には約3.5のpHに調節して、微生物学的安定性を向上させる。
【0060】
(低温殺菌の前およびその後での)培養液の酸性化は、さらなる利点を有し得る。化合物がポリケチド(例えば、スタチン)である場合、化合物は、酸性化により沈澱し得る。多くの化合物、特に水溶性化合物については、培養液を濾過して水を除くときに化合物が失われないように、その後の処理工程の前に沈澱させることは好ましい。従って、低温殺菌の前およびその後で、(当業者に公知の他の任意の手段を用いることができるが、酸性化などにより)化合物を沈澱させることができる。
pHは、任意の適切な手段、例えば、85%リン酸、好ましくは55%の希釈リン酸、最適には33%の希釈リン酸で調節することができる。
この段階で、培養液の低温殺菌を行うことができる。次の段階で、微生物を周りの培地から分離することによりバイオマスを得ることができる。
【0061】
固液分離技術を用いて、バイオマスを発酵培養液から分離することができる。この(集められた)バイオマスは、通常、微生物のタイプに依存して、20〜35%の範囲の乾燥物含有量を有する。しかし、押し出し(およびその後の乾燥)のためには、バイオマスは、典型的は、25%〜80%の範囲の乾燥物含有量を有するはずである。
【0062】
バイオマスの水分含有量が(例えば、押し出しおよび/または乾燥に)高すぎる場合には、脱水を行うこと、および/またはその乾燥物含有量を増加させることができる。これは、多数の方法により達成することができる。最初に、バイオマスは、(さらなる)脱水に付すことができる。当業者に公知の任意の脱水方法を使用することができる;所望の乾燥物含有量は、25または30〜80%であり得る。
【0063】
好ましくは、機械的な脱水方法が使用される。しかし、機械的な脱水によって達成され得る最大の乾燥物含有量は、微生物のタイプに依存して変化する。特定の微生物(例えば、酵母)については、機械的な脱水後のバイオマスの乾燥物含有量は、35〜40%のレベルを超え得ない。その一方で、脂質に富む特定の微生物のバイオマスに対して同じ処理を行うことにより、45〜60%のより高い乾燥物含有量を得ることができる。
好ましい方法は、メンブランフィルタープレス(圧搾用メンブランによるプレートおよびフレームフィルタープレス)を使用することである。これは、固液分離を機械的な脱水と組み合わせることができ、所望の乾燥物含有量を得るためには特に適する。
【0064】
あるいはまたはさらに、微生物バイオマスの所望の乾燥物含有量は、粘稠性増加(または乾燥)剤を添加することにより高めることができる。このような粘稠性増加剤は、適切には乾燥しており、そして好ましくは、抽出工程および/または化合物の性質に好ましくない影響を与えない。例えば、粘稠性増加剤は、でんぷんおよび/または植物繊維(例えば、オートムギまたは小麦のぬかあるいはセルロースなど)を含み得る。(低い水分含有量の)別のバイオマスさえも、使用することができる。そのような物質は、押し出し性を改善する場合、自由に添加することができる。
【0065】
場合により、例えば、固液分離および/または機械的な脱水の後に、バイオマスを、大きな塊から成形することができる。これは、造粒(例えば、押し出し)には適し得ない。造粒を可能にし得るサイズ(例えば、押し出し機への供給に十分なサイズ)にバイオマスを小さくするために、バイオマスは、適切には、粉砕、混練および/または混合される。この粉砕および/混練は、高いせん断性の混合機で(短時間の)処理により達成することができる。必要に応じて、上記の粘稠増加剤または各粘稠増加剤を、この処理において添加することができる。
【0066】
次いで、(必要に応じて、粉砕または混練された)バイオマスは、引き続いて造粒処理に付されて、顆粒状粒子に形成され得る。造粒は、多数の異なる方法で達成することができる。
水分含有量を減少させる(すなわち、乾燥物含有量を増大させる)別の方法は、例えば、洗浄濾過を行うなどして塩(例えば、塩水)の洗浄(バイオマスの洗浄、または(好ましくは)培養液からバイオマスを分離した後での洗浄のいずれか)を行うことである。
【0067】
本発明の好ましい態様において、所望の粒子構造および粒子サイズが、押し出し処理により得られる。粒子構造および粒子サイズなどの粒子特性は、乾燥処理および/または抽出処理を最適にするために重要であり得る。乾燥工程において、粒子が小さすぎる場合には、粉末や微粉が発生し得るために、多くの問題が生じ得る。これに対して、大きすぎる粒子は流動化せず、乾燥を能率良く行うことができない。抽出において、小さすぎるサイズの顆粒は、バイオマス床での圧力低下が大きすぎるために、濾過処理を行うことができない。あまりにも多すぎる微粉は、その後の精製工程において問題を生じ得る。大きすぎるサイズは、抽出における溶媒の効率的な浸透を妨げ得る。さらに、粒子構造は、乾燥中および抽出中の崩壊を防止するために、十分に固められていなければならない。しかし、粒子(乾燥顆粒)は、好ましくは、抽出中の溶媒の(効率的な)通過を可能にする多孔性を有する。
【0068】
押し出し条件は、所望の構造およびサイズを有する顆粒状(バイオマス)粒子を得るために、当業者によって調節することができる。
押し出し条件を調節して、細胞の破壊を最小限にすることができる。細胞の破壊を最小限にすることによって、酸化によって引き起こされる分解に対する、酸化に敏感で不安定な化合物の最適な保護を確実なものにすることができる。従って、押し出しは、好ましくは、加熱手段を全く用いることなく、より低い温度で行われる。好ましくは、温度は20〜30℃の範囲内(例えば、室温付近)である。押し出し中に、顆粒状粒子が自然に成形され得る。「押し出し物」は、それ自身の重量で重力の影響により金型プレートから離れ、それにより粒子が形成される。しかし、バイオマスが、金型プレートにより押し出された後、押し出しによりスパゲッティのような長い糸状である場合、スパゲッティを切断して所望のサイズの粒子にすることができる。
【0069】
バイオマスの温度は、押し出しのときに得られる顆粒状粒子の性質に影響を及ぼすことが見出されている。好ましくは、バイオマスは、押し出し前は6〜15℃の温度である。しかし、押し出し機の中では、バイオマスの温度は10〜60℃に上昇し得るが、好ましくは15〜30℃である。この温度上昇は、バイオマスにかけられる圧力および乾燥物含有量に依存する。
押し出しにおいて、バイオマスは、通常、円筒部の中を通って金型プレートに向かって、多くの場合回転されながら押される。この円筒部は、好ましくは、加熱されていない。実際には、冷却することが好都合である。適切には、冷却剤(例えば、水などの水性溶液)の温度は、1〜4℃(例えば、約2℃)である。
【0070】
一般に、押し出しは、水分含有量を変化させない。このため、段階(b)においては、乾燥物含有量は段階(a)と同じである。しかし、理解されているように、他の造粒技術(例えば、後に記載される技術など)では、水分含有量が変化し、水分含有量の減少(すなわち、乾燥物含有量の増加)をもたらし得る。例えば、ムコラレス(Mucorales)目の菌類(特に、PUFAを産生する菌類)を含有するバイオマスに関して、段階(a)でのバイオマスの乾燥物含有量(通常、造粒(この場合、押し出し)時に作製される顆粒状粒子と同じである)は、適切には35〜60%の間、好ましくは50〜60%である。乾燥後、乾燥顆粒は、好ましくは、少なくとも90%(例えば、少なくとも95%)の乾燥物含有量を有する。
【0071】
好ましい造粒技術は、押し出し機を使用することである。押し出し機の良好な概略が、W. Pietschにより示されている(「集塊化によるサイズ拡大(Size Enlargement by Agglomeration)」;Wiley & Sons、1991年、385頁)。装置は、バッチ式または連続式の押し出し機であり得る。連続式押し出し機に関して、(軸方向および半径方向の両方に送る)上記の単純な単一のスクリュー型押し出し機が存在し得る。さらに、同方向または反対方向のいずれかに回転する対になったスクリュー型押し出し機が存在する。押し出され得るバイオマスは送られ、(部分的に)固められ、そして穿孔された(金型)プレートの中を通して押される。別のグループの押し出し機として、ペレット化用の機械が挙げられる。シリンダー状の押し出し具が、穿孔プレート上に堆積した物質層の上を回転しながら進む。
【0072】
顆粒が押し出しによって得られる場合、バイオマスは、押し出し可能な形態である必要がある。水分含有量は、必要ならば、バイオマスの状態、用いられる微生物および押し出し条件に依存して調節することができる。水は除去され得る。あるいは乾燥物含有量は、固体(例えば、でんぷん)を添加することによって増加させることができる。バイオマスは、このようにして適切な粘稠性に調節することができる。この粘稠性は、通常は、ペーストの粘稠性である。
顆粒は、化合物の抽出に使用することができるが、さらには、貯蔵可能なバイオマスの安定な形態である。顆粒は、他の使用法を有し得る:例えば、顆粒は、幼児用処方の調製において使用することができる(この場合、バイオマスは、1つ以上の多不飽和脂肪酸(PUFA)を含有する)。
【0073】
本発明はまた、(顆粒状)粒子の形成を可能にする他の造粒方法を包含する。例えば、多段階の乾燥処理は、スプレー乾燥および流動化床との組合せを含むことができ、それによって同様に顆粒状粒子を得ることができる。
他のタイプの造粒技術を用いることができる。一般的に、造粒は、サイズ拡大またはサイズ減少のいずれかによって顆粒状形態の固体を得る作用である。通常はサイズ拡大が用いられる。利用可能な造粒プロセスの良好な概略が、W. Pietsch、「集塊化によるサイズ拡大(Size Enlargement by Agglomeration)」(Wiley & Sons、1991年、上記)に記載されている。この中には、造粒に利用可能な多くの異なる技術が存在する。これは、後に記載されるいくつかの集塊化方法を含む。集塊化により、互いに接着する(集塊化する)小さい粒子が生じ、より大きな粒子(この場合、顆粒状粒子)を形成する。従って、最初の技術によって小さすぎる粒子が生じる場合、集塊化技術を用いて、より大きな(顆粒状)粒子を得ることができる。
【0074】
回転による集塊化は、通常、(粒子が一緒に接着するように)接着性を有する粉末を用いて、回転および循環式のドラム乾燥機またはコーン乾燥機を使用して達成される。場合によっては、特別な結合剤を添加して、混合することができる。この機構によって、球状粒子を形成させることができる。
【0075】
圧力による集塊化は、通常、特定の物質の塊に作用する大きな力によって特徴づけられる。一般に、この処理は、微細粉末または「可塑性」(非弾性)物質を用いて実施される。この処理は、通常、粉末化された物質に使用される。(しかし、これはまた、特定の粘稠性の柔らかい塊のための乾燥酵母の生産において使用される。)成形された粒子は、最適な貯蔵に適切な乾燥物含有量に乾燥することができる。圧力による集塊化は、ピストン、ローラー、静的および/または押し出し機によるプレスにより達成することができる。このタイプの装置の良好な説明が、Pietschの前記書籍に記載されている。
【0076】
押し出しによるプレスは、通常、可塑性物質が、穿孔または端が空いた金型の中を流れることを妨げる壁摩擦を利用する。特に、スクリュー型押し出し機においては、十分な混合が起こり、そして大きなせん断力が負荷される。
一般に、低い融解温度または可塑化温度を有する物質は、直接、集塊化し得る。
他の集塊化技術が可能である。例えば、流動床の集塊化機と組み合わせたスプレー乾燥器。最初に、バイオマスは、ノズルを通して粉状にすることにより、あるいはスプレー乾燥器内の回転盤を使用することによって乾燥することができる。細かい粒子は、スプレー部に戻される。生成する粘着性粉末は、流動床部でさらに集塊化される。場合によっては、粉末を再度湿らすことによって、集塊化プロセスを改善することができる。記載されたこの技術は、多段乾燥として公知である。
【0077】
多段乾燥をより詳細に説明すると、バイオマスは、最初にスプレー乾燥される。これにより、細かい粉末が生じる。スプレー乾燥の温度(空気導入部の温度)は、通常、160℃〜260℃である。空気排出部の温度は75〜90℃である。バイオマスは、小さな粒子を生成させる高速に回転するディスクまたはノズルによって霧状にされる。次いで、粒子は、重力下でスプレー乾燥塔の底の方に落下する。このときに、熱空気を使用して(適切には、90〜95℃で)乾燥を達成し得る流動床が提供され得る。このときに集塊化が起こり、そして粒子は互いに接着し得る。この後、集塊化(顆粒状)粒子は、例えば、ベルト乾燥床または準流動化床で乾燥に付される。処理開始時、バイオマスは30%未満の乾燥物含有量を有し得る。スプレー乾燥後、乾燥物含有量は75〜90%に増加し得る。集塊化後には90〜95%になり得る。乾燥後、乾燥物含有量は少なくとも95%に増加し得る。
【0078】
別の技術は、流動化床の集塊化機を使用することである。粉末は、ガス流の中で流動化され得る。粒子床において、流動物は、粉末を湿らしそして集塊化を高める水とともに噴霧される。
一般に、記載される集塊化処理は、可塑化され得る乾燥粉末に関する。例外は、多段乾燥器での乾燥である。乾燥後の流動床との組合せでのスプレー乾燥のこの組合せは、多くの異なるタイプのバイオマスの集塊化に適する。しかし、本方法は、熱に不安定な産物または(熱)空気による酸化に対して敏感な産物には必ずしも適切ではない。顆粒化された乾燥バイオマスを得る良好な方法は、機械的に脱水した濾過塊の押し出し、その後の流動床または準流動化床の乾燥のような適切な乾燥工程である。
【0079】
(乾燥)バイオマス集塊化の別の方法が、(スプレー)乾燥された産物を再度湿らし、その後の押し出し工程、および例えば流動床乾燥器での再乾燥によって実施され得る。低い融点または低い可塑化温度を有する(または、細胞内オイルの量が多い特定の乾燥バイオマスの場合、押し出し機内の力のために部分的に融解する)粉末は、押し出すことができる。適切なペレットが金型で形成される。
【0080】
上記の工程(c)でのように、(押し出されたか、そうでなければ)造粒されたバイオマスは、適切には、粒子を無傷のままであることを可能にする条件下で乾燥され得る。造粒処理後のバイオマスの粒子構造およびサイズは、バイオマスの効率的な乾燥を可能にすると考えられる。乾燥は、種々の乾燥器(例えば、ベルト乾燥器、真空乾燥器または真空ベルト乾燥器、流動化床または準流動化床の乾燥器)を使用して行うことができる。当業者は、バッチ処理または連続処理との間で選択することができる。
【0081】
流動化床または準流動化床の乾燥器を使用することは、本発明の方法において特に好ましい。乾燥は、空気中または窒素下で行うことができる。流動化床または準流動化床の乾燥に関して、床内での温度は、所定の値に調節することができる。この値は、例えば35℃〜120℃(例えば、50〜90℃)、必要に応じて60〜80℃の広い範囲であり得る。不安定な化合物をバイオマスから単離することが必要である場合、乾燥工程の温度は容易に低い範囲に調節され、酸化または分解の危険性を最小限にすることができる。
あるいはまたはさらに、真空乾燥処理は、例えば1〜2時間行うことができる。
【0082】
いくつかの利点が乾燥工程から生じる。第1に、(顆粒を形成するために)バイオマス粒子を乾燥することによって、長期間安定して貯蔵することができる中間物質を得ることができる。バイオマスの(比較的)高い乾燥物含有量は、バイオマスから単離され得る化合物の分解を防止することができる。このように、乾燥顆粒は、バイオマス中に存在するか、またはバイオマスと結合した化合物の安定な処方物と見なすことができる。
例えば、顆粒は酵素のキャリアとして機能し得る。それによって、酵素は、適切量の架橋化剤(例えば、グルタルアルデヒド)を、押し出し前のバイオマスに混合することにより顆粒内に固定化される。
【0083】
さらに、本発明に従って調製される乾燥顆粒は、例えば、食品または飼料用の組成物または添加物として、そのままで、都合よく使用することができる。
(押し出しにより調製された)粒子および/または顆粒は、以下の特性を有し得る。
顆粒はチョコレートコンフェティの形態であり得る。(押し出された)顆粒の直径は、0.1〜12mm(例えば、0.3〜10mm)の範囲であり得る。より好ましくは、1.5mm〜6mmである。最適には、(乾燥時の抽出のためには)直径は2〜3mmである。顆粒の長さは、直径の約2〜5または6倍であり得る。顆粒は、包装において容易な取り扱いができ、そして(床の透過性を保証するために)市販の抽出機とともに使用することができる。通常、(実質的はすべてではないが)大部分の顆粒は、同じサイズを有する。実際に、高い均一性または均質性の顆粒を得ることができる。この場合、すべての顆粒の少なくとも80%(例えば、少なくとも90%)は、定められた範囲内に特定の特性を有し得る。
【0084】
第2の局面の組成物(顆粒)は、好ましくは、高い流動性を有する。本組成物は、概略的に、形状はシリンダー状であり得る。これは、押し出しを使用して達成することができる。従って、粒子は、(若干大きいかもしれないが)押し出しに使用される金型プレートの穴とほぼ同じの直径であり得る。この処理において、粒子は、金型プレートから出るときに自動的に形成され得る。その場合、粒子の長さは変化し得る。しかし、粒子の長さは、例えば、切断手段、例えばナイフ(例えば、金型プレートに隣接する1つ以上の回転刃)を使用する場合に影響を受け得る。このとき、(すべてではないが)大部分の粒子は、実質的に同じ長さである。そのような粒子の好ましい長さは、少なくとも2mm(例えば、少なくとも3mm)である。最適には、顆粒は、「流し込む」ことを可能にし、貯蔵および輸送をより容易にするサイズおよび水分含有量である。一般に、大部分の粒子は、現実には、細長いが、ほぼ球状のものもあり得る。顆粒の好ましい脂質含有量は、好ましくは重量で30〜50%である。
顆粒の嵩密度は、通常、400〜1100kg/m3である。
【0085】
議論してきたように、顆粒は、抽出され得る化合物に溶媒を接触させるために、好ましくは多孔性である。好ましくは、顆粒は中空の溝を有する。溝は、顆粒の中心に向かってそしてその中心に広がる。溝の数は、顆粒の容量で、40〜60%(例えば、45〜55%)、最適には約50%が中空(空気)であるようであり得る。溝に関する限り、その長さは、その平均的な直径の10〜20倍であり得る。一般に、顆粒の外側は、本質的に、中心部と同じ物質である点で、顆粒は組成物において均質である。これは、相対的に固い外側を有するが、相対的に空気孔を有し得る従来の酵母組成物とは対照的である。
顆粒は、最終的に抽出され得る化合物に最適な温度で安定に貯蔵することができる。
【0086】
乾燥顆粒の好ましい乾燥物含有量は、80%よりも大きく、好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも90%であり、最適には93〜97%の範囲である。水と混合し得る溶媒が抽出に使用され得る場合、より低い乾燥物含有量の顆粒を使用することができる。
このように、(乾燥)顆粒は、通常、多孔性であり、従って抽出で使用される溶媒は、顆粒(の内部)に容易に侵入することができる。従って、押し出し中および乾燥中において、粉末量を最小限にすることができ(これにより収量を増大させる)、そして(溶媒)抽出物をさらに濾過することなく、抽出物の蒸発を行うことができる。
【0087】
顆粒の多孔度は、顆粒粒子の(水分または)乾燥物含有量に依存する。多くの場合、顆粒粒子内の水分は乾燥時に蒸発して、(中空の)孔が残る。乾燥顆粒の多孔度は、好ましくは15〜50%(例えば、20〜40%)で、最適には25〜35%である。
【0088】
好ましくは、顆粒内の細胞の大部分(実質的にすべてではない)は、無傷である(すなわち、破壊されていない)。特に菌類のバイオマスから得られる顆粒は、全体的には0.3〜10mmの直径、好ましくは0.7〜5mmの直径、最適には1〜3mmの直径を有するバイオマス粒子であり得る。普通には、粒子は所望の長さで自動的に形成される。そうでなければ、粒子は所望の長さに切断することができる。造粒を押し出しによって行った場合、押し出し機の金型プレートの穴は、一般に、顆粒の直径に相当し得る。
【0089】
必要に応じて、抗酸化剤が、造粒処理の前または処理中に添加され得る。抗酸化剤は、例えば、(重量で)0.1%まで存在するトコフェロールおよびアスコビルパルミチテートを含むことができる。
【0090】
従って、本発明は、化合物のコスト的に有利で効率的な抽出を可能にし得る特徴を有するバイオマス物質を提供し得る。次いで、存在する化合物を、精製、単離または(好ましくは)抽出することができる。本発明のプロセスは、濾過抽出プロセスの使用を可能にし得る。この抽出プロセスによって得られる利点は、構造およびサイズならびに高い乾燥物含有量によるようである。乾燥した押し出し物は、価値のある化合物をそこから抽出するために少ない量の溶媒を必要とする。さらに、脱溶媒化の加熱処理(すなわち、バイオマスからの使用溶媒の放出)は、押し出し物の形態のバイオマスに関して、より良好にそしてより効率的に行うことができる。
【0091】
脱溶媒加熱の処理後に得られる押し出し物の残渣は、飼料成分として都合よく使用することができる。
押し出し物の90〜95%を越える乾燥物含有量は、押し出し物の安定な貯蔵を可能にし得る。一方、85%を超える乾燥物含有量は、その後の抽出処理において大きな利点をもたらし得る。
【0092】
抽出は、好ましくは、溶媒を使用して行われる。用いられる溶媒は、抽出され得る化合物に依存して、特に、C1−10アルキルのエステル(例えば、酢酸エチルまたは酢酸ブチル)、トルエン、C1−3アルコール(例えば、メタノール、プロパノール)、およびC3−6アルカン(例えば、ヘキサン)、および/または超臨界流体(例えば、液体COまたは超臨界プロパン)を挙げることができる。従来技術においては、溶媒が、培養液中の微生物に対して直接用いられていた。しかし、顆粒に対して抽出を行うことによって、必要とされる溶媒量を著しく減らすことができる。本出願人のいくつかの実施例では、抽出を実施するために、20〜30倍少ない溶媒が必要とされた。このことは、より少ない溶媒が使用されるために、著しい経済的な節約をもたらすだけでなく、発散問題を最小限にする。顆粒を使用することにより、溶媒に対する利用可能な表面積は特に大きくなり、従って良好な収量が得られる。
抽出され得る化合物が疎水性である場合、好ましくは、非極性溶媒が使用される。親水性化合物については、適切には、極性溶媒(例えば、アルコールなど)が用いられる。
【0093】
抽出は、種々の技術を使用して行うことができる。好ましい方法は、フィルターを使用する濾過抽出である。この場合、カラムは、乾燥顆粒を用いて充填され得る。次いで、溶媒(ヘキサン)を添加して、顆粒を覆う。溶媒は、カラムの中および乾燥顆粒を一回通過し得るが、好ましくは(閉鎖系または解放系のいずれかとして)再循環される。適切には、溶媒は、3〜7回(例えば、約5回など)、適切には0.5〜1.5時間(例えば、約1時間など)の時間再循環される。図3に、最適な濾過抽出装置を示す。溶媒は容器に保たれ、その後乾燥顆粒を含有する濾過抽出機に添加される。溶媒は、ポンプにより循環される。ポリッシュフィルターは、微粉を除去することを目的とする。
【0094】
他の濾過抽出機を用いることができる。これらは、向流的または交差的に設計されたものであり得る。前者では、乾燥顆粒は、種々のセクターに分けられた回転シリンダー(例えば、カルーセル)内に保持され得る。溶媒は、1つのセクター内で一方向に顆粒の中を通過し、次いで別の(例えば、隣接する)セクター内の顆粒の中を(好ましくは、同じ方向で)通過する。この機械は、多くの場合、カルーセル抽出機と呼ばれ、Kripp社(ドイツ)から入手可能である
【0095】
別の技術において、顆粒は、例えば、実質的には溶媒と逆の方向に移動する可動(例えば、多孔性)ベルトまたはコンベヤー上に置くことができる。これは、既に他の顆粒の中を通過した溶媒によって、新たな顆粒が抽出されること、そして溶媒による抽出が以前に行われた顆粒に新しい溶媒が加えられることを意味する。このような配置によって、最大の効率を得ることができる。
交差技術では、個々のバッチの顆粒が、新しい溶媒部分による抽出に付される。
【0096】
本発明の方法を使用して、2つ以上の微生物の混合物から顆粒状粒子または顆粒を調製することによって、2つ以上の化合物の混合物を異なる微生物から得ることもできる。このような微生物の混合物は、発酵終了後、2つ以上の異なる微生物の発酵培養液を直接混合するか、または造粒(例えば、押し出し処理)の直前に2つ以上の微生物から得られるバイオマスを合わせることによって得ることができる。抽出処理に先立って2つ以上の異なる微生物の押し出し物を混合することも可能である。
【0097】
従って、本発明による好ましい方法は、以下の通りであり得る:
a)1つ以上の微生物を適切な培地中で、所望の化合物を微生物に産生させる条件下で発酵を行う工程であって、(周りの培地中の微生物の)培養液を得ることができる、工程;
b)必要に応じて、酸性化などにより化合物を沈澱させるかまたは固体化する工程;
c)バイオマスを得るために、微生物を培養液中の培地から分離する工程であって、濾過などの固液分離により行うことができる、工程;
d)工程(a)から得られる培養液または工程(c)から得られるバイオマスのいずれかを低温殺菌する工程;
e)必要に応じて、例えば、乾燥物または乾燥物質を添加することによるか、または例えば、脱水技術または乾燥技術によって水分含有量を減少させることにより、バイオマスの乾燥物含有量を高める工程;
f)得られるバイオマスを粉砕および/または混練する工程(および必要に応じて、1つ以上の乾燥物質を添加することによって乾燥物含有量を高める工程);
g)押し出しなどによってバイオマスを造粒して、顆粒状粒子を得る工程;
h)顆粒状粒子を乾燥させて、乾燥顆粒を得る工程;および
i)適切な溶媒の使用などによって1つ以上の化合物を抽出する工程。
【0098】
本発明に従って単離される化合物は高品質であり、ヒトまたは動物用の栄養物での使用に適し得る。特に、本発明に従って単離される多不飽和脂肪酸(PUFA)含有脂質は、栄養目的、特に幼児用処方での取り込みに適する。
【実施例】
【0099】
本発明を、実例として提供される以下の実施例に関して、例として説明する。以下の図面が実施例に添付される。
図1は、時間に対する温度および乾燥物(%)のグラフであり、異なる温度で押し出された異なる量のバイオマスの乾燥挙動を示す;
図2は、異なる温度で押し出されたバイオマスから得られる、温度に対するオイル収量のグラフである;
図3は、(公知の)濾過抽出処理の流れ図である;
図4は、時間に対するオイル収量のグラフであり、オイルの抽出量とその抽出時間との関係を示す。
【0100】
実施例1〜6
モルティエレラ属の発酵ブロスの処理
予め68℃で1時間低温殺菌したモルティエレラ・アルピナ(パレット上での増殖物)の発酵ブロス160リットルを標準的なディーフェンバッハプレートとフレームフィルタープレス(クロスタイプ: nycot 2794)を用いる濾過処理に付した。該ブロスの濾過処理の最大圧は1.0barとした。20分以内に160リットルのブロスはフィルターの全面積4.35mの条件下で濾過した(平均流量:約110リットル/mh)。フィルターケークをその3倍容量(150リットル)のプロセス水を用いて洗浄した。
約30kgの湿潤ケークを得た(乾燥分:約25%)。3種の乾燥を用いた。
【0101】
(i)真空乾燥法
真空(約50mbar)棚型乾燥機(乾燥表面積:約1m)内においてフィルターケーク10kgを25℃で24時間乾燥させることによって乾燥バイオマス(乾燥分:約94%)を約2.5kg得た。この乾燥バイオマスは粉々のバイオマスと若干の大きな塊から成るものであった。真空乾燥に多くの時間を要したのはこのような大きな塊に起因すると考えられる。
【0102】
(ii)棚型換気乾燥法
棚型換気乾燥機(乾燥表面積:約1m)内においてフィルターケーク10kgを35℃で24時間乾燥させた(窒素雰囲気下)。全体で約2.5kgの乾燥バイオマスを得た(乾燥分:約93%)。乾燥バイオマスは粉々のバイオマスと若干の大きな塊から成るものであった。棚型換気乾燥に多くの時間を要したのはこのような大きな塊に起因すると考えられる。
【0103】
(iii)流動床乾燥法
実験室規模の流動床乾燥機「AEROMATIC(MP−1型)内においてフィルターケーク5kgを乾燥させた(流入空気温度:約200℃)。出口温度は約40℃であった。湿潤バイオマスを約45分間乾燥させることによって乾燥バイオマスを約1kg得た(乾燥分:約81%)。
【0104】
6つの異なった温度におけるヘキサンによる油抽出には上記の方法(iii)で得られた乾燥バイオマスを用いた(実施例1〜6)。乾燥バイオマス150gをヘキサン1500mlを用いて加熱還流下(窒素雰囲気中)で90分間抽出した。細胞マスを濾去し、得られたミセル中の溶剤を回転エバポレーター内において真空下で蒸発させることによって粗製PUFA油を得た。得られた結果を以下の表1に示す。室温での抽出の場合に収率は低下した。良好な収率は昇温下で得られた。
【0105】
【表1】

トリグリセリドに富む油分は淡黄色油であり、若干の固形分を含有した。
【0106】
実施例7および比較の実施例8
モルティエレラ属の発酵ブロスの処理
先の実施例に記載のようにして予め低温殺菌したブロス500リットルを膜フィルタープレス(SCHULE社製)を用いる濾過処理に付した(圧力差:約0.5bar)。フィルターケークをその10倍容量のプロセス水を用いて洗浄した後、5.5barの条件下での圧搾処理に30分間付した。得られたケークの乾燥分は約46%であった。このようにして得られたケークをパイロット押出機(ODEKERKE;異形バレルの直径: 50mm)を用いる押出処理に付した。ダイプレートは10個の穴(直径:1.6mm)を有した。全体で19kgのフィルターケークを約45分間で押出した。
このようにして得られた押出物をパイロットプラント規模の流動床乾燥機(T4 AEROMATIC;乾燥表面積:0.26m)を用いて乾燥させた。押出物を65℃で約45分間乾燥させることによって乾燥分が約85%の乾燥物を得た(実施例7)。
【0107】
上記の実験において押出処理をおこなわずに、真空棚型乾燥機内において40℃で乾燥させた(比較の実施例8)。大きな塊に起因して乾燥には非常に長い時間を必要とした。
上記の2種の乾燥物をヘキサンを用いる抽出処理に付したところ、次の特性が判明した。
乾燥押出物(実施例7)・・・・主としてプレットから成り、抽出処理は比較的容易であった。
真空乾燥バイオマス(比較の実施例8)・・・・抽出処理は困難であり、濾過特性は劣った。
【0108】
実施例9および10
実施例7と同じブロスを用いる押出実験を以下の押出機を用いておこなった。LALESSE社(アルンヘム、オランダ)製:
実施例9においては、「LALESSE」(一軸スクリュー万能押出機)を使用した。この型の押出機は通常はスナック食品の製造に使用されている。粉にしたトウモロコシ(乾燥分: 約95%)を試験物として押出機へ送給し、加熱加圧下でトウモロコシを押出した。ダイから出た押出物は膨張した。
この型の押出機のバレルは異形(profiled)バレルであり、処理されたトウモロコシは移送される。押出用スクリューの型は被処理物の種類によって左右される。スクリューは万能輸送スクリューまたは圧縮スクリュー(直径:48mm)を用いた。「LALESSE」押出機は最大容量で駆動する7.5Kwのパイロット装置である。この装置の全所要動力は12.1Kwである。この押出機のバレルは加熱または冷却することができる。バイオマスの押出には直径が1.8mm、2.0mmおよび2.2mmの穴を1〜4つ有するダイプレートを使用した。
モルティエレラ属のバイオマス処理能(冷却バレル)は約40Kg/hであった。ダイプレート中の穴の長さ/直径(L/D)比は押出中に変化させた。
ALMEX社(ズートフェン、オランダ)製:
【0109】
実施例7と同じモルティエレラ属のバイオマスを用いる実施例10においては、ALMEX社製のエキスパンダー押出機を用いた。この型の押出機はペット用食品の製造に用いられている。この押出機はバイオマスを輸送させるピンを有する平滑バレルを具備する。該ピンはLALESSE社製押出機のバレルのプロフィールと同じ機能をする。エキスパンダー押出機のスクリューはモジュールスクリューである。
テクニカルデータ:ALMEX コンティバール(Contivar)150
L/D(スクリューの長さと直径の比):10
最大スクリュー速度:180rpm
最大容量駆動:22Kw
スクリューの直径:150mm
冷却媒体:水道水
ダイプレート:直径1.8mmの穴を有するリング3個
バイオマスの温度は処理中に約25℃まで上昇した。1時間あたりの押出機の処理能はモルティエレラ属のバイオマス約250kgであった。
【0110】
比較の実施例11
異なる方法によっておこなった固体/液体分離の比較
デカンター:
モルティエレラ・アルピナの発酵から得られたブロス350リットルを「FLOTTWEG」デカンター(Z 23−3/441型)を用いてデカントした。処理速度は約4000rpmに調節した。操作中の差速度の範囲は7.5〜20rpmで変化した。供給は400リットル/hでおこなった。バイオマスは洗浄しなかった。全体で350リットルのブロスをデカントした。供給物の温度は8℃とし、上澄みの温度は15℃とした。得られたバイオマスの乾燥分は約25%であった。
【0111】
デカンター+真空ドラムフィルター:
上記のデカンター実験において得られたバイオマス(乾燥分:25%)20kgをプロセス水(NaClを10kg溶解させた水)500リットルに懸濁させた。得られたスラリーをベルト状ディスチャージ(discharge)を備えた真空ドラムフィルター(PAXMAN、クロスタイプ:865.912 K/5 ポリプロプ)を用いて濾過した。濾過物は洗浄しなかった。ドラムの速度は1rpmとし、最大圧力差は600mbarとした。全体で400リットルのスラリーを15分間で濾過した。実効濾過表面積は約0.3mで、平均流量は5000リットル/mh(濾過表面)とした。濾過速度は非常に良好であったが、ケークの形成が若干みられた。濾取されたバイオマスの乾燥分は約35%であった。
【0112】
プレート・フレームフィルタープレス:
プレート・フレームフィルタープレス(スタンダードR&B、クロスタイプ:nycot 2794)を用いてブロス500リットルを濾過した。ブロスは圧力差0.3barで濾過した。500リットルのブロスは15分以内に濾過された(全濾過面積:5m、平均流量:±175リットル/mh)。フィルターケークはその約2.5倍容量のプロセス水を用いて洗浄した(平均流量:400リットル/mh)。このケークを30分間送風乾燥させることによってバイオマスを得た(乾燥分:約25%)。
【0113】
膜フィルタープレス:
膜フィルタープレス(SCHULE社製、クロスタイプ: propex 46K2)を用いてブロス700リットルを濾過した。ブロスは圧力差0.3barで濾過した。ブロス700リットルは30分以内に濾過された(全フィルター面積:6.8m、平均流量:約205リットル/mh)。
フィルターケークはその3倍容量(約300リットル)のプロセス水を用いて7分間洗浄した(平均流量:375リットル/mh)。
プレート・フレームプレスに比べたときの膜フィルタープレスの利点は、濾過後のケークを高圧で圧搾できるので、ケークの乾燥分が増加することである。ケークを5.5barの圧力下で30分間圧搾することによってバイオマス(乾燥分:約45%)を得た。
【0114】
別の実験においては、ブロス1100リットル膜フィルタープレス(SCHULE社製、クロスタイプ: propex 46K2)を用いて濾過した。ブロスは圧力差0.3barで濾過した。1100リットルのブロスは45分以内に濾過された(全フィルター面積:12.3m、平均流量:約120リットル/mh)。フィルターケークはその3倍容量(約600リットル)の1%NaCl溶液を用いて洗浄した(平均流量:162リットル/mh)。
ケークを6barの圧力下で30分間圧搾することによってフィルターケークを得た(乾燥分:約55%)。
圧搾と1%塩溶液による洗浄はフィルターケークの乾燥分に有意な効果をもたらした。
【0115】
実施例12
乾燥分含有量を異なるバイオマスの押出
実施例7に記載の方法によって得られた乾燥分含有量が異なるバイオマスを押出した(表2参照)。押出は異形バレルと万能スクリューを備えた一軸スクリューを用いておこなった。押出には異なる数の穴(直径:2mm)を有するダイプレートを用いた。
押出によって直径が約2mmの粒子が得られた。
押出性能と押出物の品質は押出に用いたバイオマス中の乾燥分の割合に左右される。乾燥分が25%のものは最も悪い結果をもたらしたが、他の微生物に対してはこのような低含有量のものでも許容される。
【0116】
【表2】

【0117】
実施例13および14並びに比較の実施例15
モルティエレラ・アルピナの常套のバイオマスと押出バイオマスの乾燥
真空乾燥:
常套法によって得られた非押出バイオマス(比較の実施例15)を真空棚型乾燥機(40℃)を用いて約50時間乾燥させた。塊が存在するために乾燥は非常に遅延した。この方法によって得られた乾燥バイオマス中の乾燥分は約92.5%であった。
比較のために、実施例11で得られた押出物(粒径:2mm、乾燥分:55%)約20gを実験室規模の回転エパポレーター(rotarvapor)を用いて乾燥させた(水浴の温度:68℃、圧力:40mbar)。乾燥性能は適性なものであったが、乾燥バイオマスが器壁に固着し、若干の油成分のにじみがみられた。乾燥後の乾燥分含有量は92.3%であった。
【0118】
流動床乾燥:
実施例13においては、バイオマスを異なる温度で乾燥させた。バイオマスの前処理をおこなわない場合には、バイオマスの大きな塊は完全に乾燥しなかった。この場合には、乾燥バイオマスは粒径の点で非常に不均一であった。
バイオマスを乾燥前に押出処理に付すことによって、乾燥性能は実質的に改善され、バイオマスの粒径はより均一となった。
これらの結果により、流動床乾燥法は異なる形態で単離されたバイオマスに適用でき、該乾燥法は押出物を用いることによって改善されることが明らかとなった。
【0119】
別の実験(実施例14)においては、空気を用いる流動床乾燥機(8000Nm/mh)内において異なる量(15kgおよび30kg)の押出物を乾燥させた。乾燥中に試料を採取して乾燥分の含有量を計算した。図1においては、2種の異なった量の押出物の乾燥分の含有量と温度との関係を示す。
流動床の温度は80℃とした。バイオマス押出物の粒径は1.3mmであった。乾燥後のバイオマス押出物の乾燥分含有量は約96%であった。
【0120】
実施例16
モルティエレラ・アルピナの乾燥押出物からの脂質の抽出
異なる温度下での乾燥押出物の撹拌抽出:
乾燥分含有量が93.4%および97.8%である乾燥押出物の試料100gをヘキサン500ml(20℃、35℃および50℃)またはプロパノール−2 500ml(20℃、40℃および70℃)を用いて3時間抽出した。スラリーは4つ口丸底フラスコ内に装備した2枚羽根撹拌機を用いて撹拌した(加熱はマントルヒーターを用いておこなった)。蒸発したヘキサンまたはプロパノール−2は還流クーラーを用いて循環させた。
抽出中、30分毎に撹拌機を停止させて上澄み試料15mlをフラスコ内から採取し、粒子を沈降させ、予め秤量したエッペンドルフ管(2ml)内へ試料1mlをピペットを用いて注入した。真空下において40℃で一夜乾燥させた後、エッペンドルフ管を秤量し、全油分量を計算した。この実験で得られた結果を図2に示す。
【0121】
ヘキサン抽出の結果:
i)抽出される脂質の全量に対する温度の影響はなかった。即ち、比較的低い抽出温度での脂質の収率は良好であった。
ii)全脂質が抽出された時間に対する温度の影響は小さかった。
iii)20℃よりも高温において5倍容量のヘキサンを用いることによって全脂質はバイオマスから30分以内に抽出された。
【0122】
プロパノール−2抽出の結果:
i)抽出される脂質の全量に対する温度の影響は大きかった。
ii)全脂質が抽出される時間に対する温度の影響は大きかった。
iii)73℃において5倍容量のプロパノール−2を用いることによって全脂質は2時間以内に抽出された。
油分の組成は使用する抽出溶剤によって左右された(表3参照)。抽出溶剤の極性が強いほどより多くのリン脂質が抽出された。溶剤の極性は油分の組成を最適化するように選択することができる。
【0123】
【表3】

【0124】
大規模な実験においては、ミセルの濾過に関する問題が認められたが、これは抽出過程中の高速撹拌によって押出物が小さな粒子に崩解することに起因する。
このような問題は撹拌抽出法の代わりにパーコレーション抽出法を用いることによって回避された。
【0125】
乾燥押出物のヘキサンを用いるパーコレーション抽出:
いくつかのパーコレーション抽出をパイロット実験規模でおこなった(図3に示すプロセスのダイヤグラム参照)。乾燥したバイオマス押出物約40〜45kgをヘキサンを用いて20℃で抽出した(最初のヘキサン/バイオマス比=4.4リットル/kg)。歯車ポンプの流動は1.5m/hとした。約0.1barの保圧容器を用いて少量の窒素をパージした。
抽出は4時間おこなった(抽出中に温度は18℃から25℃に上昇した)。30分毎に試料をミセルから採取した。各々の試料100mlを回転エパポレーター(水浴の温度: 64℃)を用いて実験室規模で真空下(約50mbar)において20分間の蒸発処理に付して油分量を測定した。結果を表4に示す。2時間で平衡に達した。次いで、抽出されたバイオマスを約0.6床容量のヘキサンを用いて洗浄した。抽出中、床高は変化しなかった。
ミセルは蒸発前にポリッシュ濾過処理に付した。抽出中、ミセルはより透明に変化したが、これは粒子床にわたる深部濾過に起因するものである。
【0126】
実施例17および比較の実施例18
ブラケスレア・トリスポラからのβ−カロテン油の回収
予め75℃で15分間低温殺菌した真菌ブラケスレア・トリスポラの発酵ブロス10リットルを実験室用濾過装置を用いる採取処理に付した。ブロスの濾過能を改善するためにCaClを添加した(最終濃度:5g/リットル)。このようにして回収されたバイオマスを一般的なフルーツプレス(柑橘類用プレス;HAFICO D.G.M.)を用いて実験室規模で機械的に脱水(圧搾)し、乾燥分を45%とした。得られたケークを、直径1.8mmの穴を4つ有するダイプレートを具備するステンレス鋼製シリンジを用いて押出した。得られた押出物は実験室規模の流動床乾燥機を用いて乾燥させた(空気の温度: 40℃、乾燥時間:90分間、空気の流量:150Nm/h;AEROMATIC MP−1)。このようにして乾燥したバイオマス中の乾燥分の含有量は約95%であった。
【0127】
乾燥押出物の試料約50gを酢酸エチルを用いるパーコレーション抽出法によって抽出した(最初の溶剤体積/バイオマスの比=30リットル/kg)。50℃で抽出を2時間おこなった後、抽出物を真空濾過によって採取した。バイオマスは1床容量の酢酸エチルを用いて洗浄した。このようにして回収した抽出物は蒸発処理の前に脱塩水を用いて2回洗浄した(抽出物/水=5v/v)。酢酸エチルを50℃(水浴の温度)で蒸発させることによってβ−カロテンの濃度を8g/リットルとした。
β−カロテンの結晶は濃厚液からの制御された結晶化とその後の濾過処理によって回収した。
押出処理に付さないで混合して乾燥したバイオマスを用いて同じ実験をおこなった(実施例18)。混合乾燥したバイオマスの抽出後の濾過能は乾燥押出物に比べて劣った。
【0128】
実施例19
クリプテコジニウムからのDHA油の回収
予め65℃で1時間低温殺菌した藻類クリプテロジニウム・コーニイ(Crypthecodinium cohnii)の発酵ブロス 7リットルから実験室規模の遠心分離機(BECKMANN JM/6E型)を用いてバイオマスを採取した。ブロスを800mlずつにわけて5000rpmで2分間の遠心分離処理に付すことによって透明な上澄みを得た。
【0129】
全体で224gのバイオマス(乾燥分:13%)を回収した。このことは、発酵ブロスの採取におけるバイオマスの濃度が約4g/kgであったことを意味する。回収したバイオマスにデンプン(ROQUETTE、バッチnr.10EV0024)300gを添加して乾燥分を増加させた。この方法によって得られたケークは万能スクリューと異形バレルを備えた実験室用一軸スクリュー押出機を用いて押出した。ダイプレート中の穴の直径は2mmであり、ダイプレートの厚さは6mmであり、また、ダイプレートのL/Dは3であった。得られた平滑押出物を真空下において50℃で一夜乾燥させることによってひびの入った乾燥押出物を得た。このようにして乾燥したバイオマス中の乾燥分は約94%であった。
【0130】
乾燥押出物の試料約180gをヘキサンを用いて抽出した(最初の溶剤体積/バイオマスの比=5リットル/kg)。60℃での抽出処理を3時間おこなった後、ミセルをワットマンフィルターを用いて濾過した。得られた抽出バイオマスを精製直後のヘキサン1000mlを用いて1回洗浄した。このようにして得られた濾過ミセルを蒸発処理に付した(水浴温度:68℃)。得られた油分を含有する粗製DHAを得た。GC分析によれば、油分中のDHAの濃度は32.6%であった。このようにして得られた油分はトリグリセリド約67%、ジグリセリド12%、ステロール3.7%および消泡剤約0.2%含有した(NMR)。油分の他の特性はカロテノイドの濃度である(β−カロテン0.15mg/mlおよびγ−カロテン5mg/ml)。
【0131】
実施例20
プロピオニバクテリウムsp.からのビタミンB12の回収
プロピオニバクテリウムsp.(28トン)の大規模発酵によるブロス(90℃で2分間の熱衝撃処理をおこなった)をBRPX−213−SGV型の清澄機(ALFA LAVAL社製;3〜7トン/h)を用いて採取した(G−ファクター:約5000)。このようにして清澄したブロスはポリエチレンスルホン膜(約150m)(カットオフ値: 5kD)を螺旋状に巻き付けたABCOR KOCHモジュール(HFK 131−VSV型)を用いる限外濾過処理に付した。得られた限外濾液をプロセス水を用いる透析濾液処理に付した(500%濃縮容積)。得られた透析濾液は真空蒸発処理によって3分の1に濃縮した。
【0132】
得られた濃縮液をNIRO社製250多段乾燥機(流動床噴霧乾燥機/凝集機)を用いて造粒乾燥させた。乾燥機の入口での空気温度は約250℃とし、出口での空気温度は約70℃とした。空気の流量は約3000m/hとした。この条件下での生成物の温度は約70〜80℃であった。乾燥機へ送給した濃縮液の密度は約1050kg/mであった。
【0133】
乾燥顆粒の試料約2gをコニカルフラスコ内において約75%のエタノール(この含水量は最適な抽出/技術的性能をもたらす)125ml用いて撹拌下、周囲温度で抽出した(透明な抽出物が得られた)。抽出後、抽出されたバイオマスをワットマン紙フィルターを用いて濾過した(濾過は容易におこなわれた)。このようにして回収された淡紅色の透明濾液中に含まれるビタミンB12を分析した。得られたバイオマスは約75%のエタノール25mlを用いて洗浄した。この方法により、顆粒化バイオマスから約90%のビタミンB12が抽出された(表4参照)。
【0134】
【表4】

【0135】
実施例21
C.コーニイとM.アルピナの同時押出
真菌モルティエレラ・アルピナの発酵ブロス 10リットルおよびクリプテコジニウム・コーニイの発酵ブロス 10リットルを混合した。この混合ブロスの濾過能を改善するためにCaClを添加した(最終濃度:5g/l)。混合ブロスを濾過し、得られたケークを一般的なフルーツプレス(HAFICO社製の柑橘類用プレス)を用いる機械的脱水処理に付した。
【0136】
得られたケークを万能輸送スクリュー、異形バレルおよび直径2mmの穴を1つ有するダイプレートを具備する実験室用一軸スクリュー押出機を用いて押出した。得られた押出物を実験室用流動床乾燥機(空気温度:40℃、乾燥時間:約1時間、空気流動:150Nm/h; AEROMATIC MP−1)を用いて乾燥させた。乾燥バイオマス中の乾燥分は約92%であった。
【0137】
乾燥押出物の試料約100gをヘキサンを用いて抽出した(最初の溶剤体積/バイオマスの比:4リットル/kg)。周囲温度での抽出を2時間おこなった後、ミセルを真空蒸発処理によって回収した。抽出物中に残存する押出物はその4倍容量の精製直後のヘキサンを用いて洗浄した(最初の溶剤体積/バイオマスの比:4リットル/kg)。洗浄ヘキサンをミセルと混合し、得られたミセルを50℃(水浴の温度)で蒸発させた。この方法により、ARA(C20:4 ω6)およびDHA(C22:6 ω3)を含有する粗製PUFA油が得られた。
この粗製油は食用植物油に有用な方法によって精製した。
【0138】
比較の実施例22
先の実施例に記載のバイオマスとブロスを得るのに採用した種々の培養条件を以下の表5に示す。
【0139】
【表5】

【0140】
発酵技術に関する参考文献
i)マイスターH.G.、ロゴビンS.P.、ストドラF.H.、ヴッカーハム L.J.、「微生物による細胞外スフィンゴ脂質の形成IV.ハンセヌラ・シフェリイによるテトラアセチルフィトスフィンゴシンのパイロットプラント規模での製造」、Appl. Microbiol.、第10巻、第401頁〜第406頁(1962年)。
ii)ズーイ・リー、イングイン・ル、ヤドワドV.B.、ワードO.P.、「モルティエレラ・アルピナ菌株によるアラキドン酸濃縮物の製造」、Can.J.Biochem.Eng.、第73巻、第135頁〜第139頁(1995年)。
iii)フィンケルシュタインM.、フアングC−C.、ビングG.S.、ツァウB−R.、リーチJ.、「β−カロテンの生産を増大させ得るブラケスレア・トリスポラ交配カルチャー」、米国特許第5,422,247号(1995年)。
iv)コジマI.、コウジK.、サトウH.、オグチY.、「発酵技術によるビタミンB12の製造法およびビタミンB12生産性微生物」、米国特許第4,544,633号(1985年)。
v)キールD.J.、レープS.E.、シコッテV.J.、「焔色植物によるデコサヘキサエノン酸の生産」、米国特許第5,407,957号(1995年)。
【0141】
実施例23
粗製油と精製油の分析
実施例1記載の方法(流動床乾燥およびヘキサン抽出)によって粗製油のバッチを調製した。
油分についての全ての分析はアメリカン・オイル・ケミスト・ソサイアティ(AOCS)に記載の方法に従っておこなった。トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドおよびリン脂質の含有量はH−NMR(600MHz)を用いて決定した。
粗製油は次の組成等を有した。
バッチ a b c
トリグリセリド(%) 96.6 96.5 96.6
酸価 mg/g 1.7 0.3 0.2
過酸化物価 meq/kg 2.7 1.3 1.3
アニシジン価 <1.0 0.3 0.1
粗製油は食用油の加工分野において既知の標準的な方法によって精製した。手短かに言えば次の通りである。
【0142】
粗製油を取込まれた空気を除去しながら80〜90℃まで穏やかに加熱し、これにNaOHの希釈溶液を添加した(遊離の脂肪酸の量に対して化学量論量の125%当量)。反応を30分間おこなった後、水性相を遠心分離によって分離させ、油性相はフェノールフタレインの中和反応まで水洗した。この目的のためには、油分体積の10%の水で3回洗浄すれば十分である。水性層を遠心分離によって除去した。最後の水洗が終了後、油分を真空下、70℃で乾燥させた。漂白性土類(bleaching earth)「Tonsil Supreme FF」を2重量%添加することによって乾燥油を漂白した。漂白性土類は60℃で10〜15mbarの条件下において1時間接触させた。反応終了後、漂白性土類をリーフフィルターを用いて濾去した(窒素圧:1bar)。濾過した油分は180℃で2〜5mbarの条件下でのバッチ脱臭処理に2時間付した。ストリッピング媒体としてはスチームを用いた。この場合のスチームは油分に添加した水分からその場で発生させた。反応終了後、油分を冷却した。反応容器内の圧力は窒素ガスの導入によって1barにした。
【0143】
上記方法で得られた透明油は次の組成等を有した。
バッチ a b c
リン脂質 (%) <0.05 <0.05 <0.05
トリグリセリド (%) 96.6 96.5 96.6
ジグリセリド (%) 1.6 1.3 1.0
酸価 mg/g 0.2 0.15 0.1
過酸化物価 meq/kg 1.6 0.8 0.4
アニシジン価 4.1 1.9 3.1
ランシマート誘導時間:
130℃ (hours) 2.5
100℃ (hours) >4 >4 >4
80℃ (hours) >10 >10 >10
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明による微生物油は、例えば、ヒト用または動物用の食用組成物、化粧用組成物または栄養補給剤等の調製のために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】時間に対する温度および乾燥物(%)のグラフであり、異なる温度で押し出された異なる量のバイオマスの乾燥挙動を示す;
【図2】異なる温度で押し出されたバイオマスから得られる、温度に対するオイル収量のグラフである;
【図3】公知の濾過抽出処理の流れ図である;
【図4】時間に対するオイル収量のグラフであり、オイルの抽出量とその抽出時間との関係を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリグリセリド含有量が90%よりも多い多不飽和脂肪酸(PUFA)を少なくとも1種含有する微生物油。
【請求項2】
80℃におけるランシマート誘導時間が5時間以上である請求項1記載の油。
【請求項3】
多不飽和脂肪酸がC18、C20もしくはC22ω−3またはC18、C20もしくはC22ω−6多不飽和脂肪酸である請求項1または2記載の油。
【請求項4】
PUFAがC20もしくはC22ω−3またはC20ω−6多不飽和脂肪酸である請求項1または2記載の油。
【請求項5】
PUFAがアラキドン酸(ARA)、エイコサペンタエノン酸(EPA)および/またはドコサヘキサエノン酸(DHA)である請求項1から4いずれかに記載の油。
【請求項6】
PUFAがARAのみである請求項1から5いずれかに記載の油。
【請求項7】
PUFAが真菌によって生産される請求項1から6いずれかに記載の油。
【請求項8】
真菌がモルティエレラ属の真菌である請求項1から7いずれかに記載の油。
【請求項9】
PUFAが藻類によって生産される請求項1から5いずれかに記載の油。
【請求項10】
藻類がクリプテコジニウム属の藻類である請求項8記載の油。
【請求項11】
下記の工程a)〜d)を含む、少なくとも1種の多不飽和脂肪酸(PUFA)を含有する油を微生物バイオマスから入手する方法:
a)乾燥分が25〜80%のバイオマスを供給し、
b)該バイオマスを顆粒に造粒し、
c)該顆粒を乾燥して乾燥顆粒とし、次いで
d)該乾燥顆粒から該油を抽出もしくは分離する。
【請求項12】
顆粒中の乾燥分の平均含有量が30〜70%である請求項11記載の方法。
【請求項13】
乾燥顆粒中の乾燥分の平均含有量が少なくとも80%である請求項12または13記載の方法。
【請求項14】
油を適当な溶剤を用いて抽出する請求項11から13いずれかに記載の方法。
【請求項15】
抽出油の精製工程をさらに含む請求項11から14いずれかに記載の方法。
【請求項16】
工程b)において造粒化をバイオマスの抽出によっておこなう請求項11から15いずれかに記載の方法。
【請求項17】
バイオマスを造粒化前に粉々にするか、または練り合わせる請求項16記載の方法。
【請求項18】
工程a)のバイオマスを発酵ブロスの固体/液体分離によって得る請求項11から17いずれかに記載の方法。
【請求項19】
固体/液体分離を機械的脱水処理と併用する請求項18記載の方法。
【請求項20】
工程a)において乾燥分の含有量が25〜80%のバイオマスを、バイオマスへの固体状成分の添加によって得る請求項11から19いずれかに記載の方法。
【請求項21】
工程c)において造粒バイオマスの乾燥によってその乾燥分含有量を少なくとも80%にする処理を流動床乾燥または半流動床乾燥によっておこなう請求項11から20いずれかに記載の方法。
【請求項22】
バイオマスが真菌を含有するか、または真菌を起源とする請求項11から21いずれかに記載の方法。
【請求項23】
真菌がムコラレス目に属する請求項22記載の方法。
【請求項24】
真菌がモルティエレラ属に属する請求項22または23記載の方法。
【請求項25】
真菌がモルティエレラ・アルピナである請求項22から24いずれかに記載の方法。
【請求項26】
バイオマスが藻類を含有するか、または藻類を起源とする請求項11から21いずれかに記載の方法。
【請求項27】
藻類が焔色植物であるか、および/またはクリプテコジニウム属に属する請求項26記載の方法。
【請求項28】
藻類がクリプテコジニウム・コーニイである請求項26または27記載の方法。
【請求項29】
化合物が所望により脂質中に含まれる多不飽和脂肪酸(PUFA)である請求項11から28いずれかに記載の方法。
【請求項30】
多不飽和脂肪酸がC18、C20もしくはC22ω−3またはC18、C20もしくはC22ω−6多不飽和脂肪酸である請求項29記載の方法。
【請求項31】
PUFA化合物がC20もしくはC22ω−3またはC20ω−6多不飽和脂肪酸である請求項30記載の方法。
【請求項32】
PUFAがアラキドン酸(ARA)、エイコサペンタエノン酸(EPA)および/またはドコサヘキサエノン酸(DHA)である請求項11から31いずれかに記載の方法。
【請求項33】
食用組成物もしくは化粧用組成物または栄養補給剤の調製のための請求項1から10いずれかに記載の微生物油の使用。
【請求項34】
食用組成物が幼児用フォーミュラを含有する請求項33記載の使用。
【請求項35】
請求項1から10いずれかの油を含有するヒト用もしくは動物用の食用組成物もしくは化粧用組成物または栄養補給剤。
【請求項36】
幼児用フォーミュラである請求項35記載の食用組成物。
【請求項37】
下記の工程a)〜c)を含む、微生物バイオマスからの1種もしくは複数種の化合物の分離法:
a)微生物が該化合物を生産する条件下で該微生物を発酵ブロス中で培養させ、
b)該発酵ブロスまたは該発酵ブロスから誘導される微生物バイオマスを低温殺菌処理に付し、次いで
c)該微生物バイオマスから該化合物を抽出、分離もしくは回収する。
【請求項38】
低温殺菌によって、バイオマス中もしくはブロス中に存在する物質を分解する1種もしくは複数種の化合物を少なくとも部分的に不活性化させる請求項37記載の方法。
【請求項39】
物質がプロテアーゼまたはトリグリセリド分解酵素である請求項38記載の方法。
【請求項40】
酵素がリパーゼ、ホスホリパーゼまたはリポキシゲナーゼである請求項39記載の方法。
【請求項41】
低温殺菌処理が50〜100℃での加熱を含む請求項37から40いずれかに記載の方法。
【請求項42】
加熱が65〜95℃での加熱である請求項41記載の方法。
【請求項43】
加熱を30〜90分間おこなう請求項41または42記載の方法。
【請求項44】
発酵ブロスを発酵容器内で低温殺菌する請求項37から43いずれかに記載の方法。
【請求項45】
低温殺菌を発酵終了後におこなう請求項37から44いずれかに記載の方法。
【請求項46】
化合物にトリグリセリドが含まれる請求項37から45いずれかに記載の方法。
【請求項47】
化合物に少なくとも1種の多不飽和脂肪酸(PUFA)が含まれる請求項37から46いずれかに記載の方法。
【請求項48】
低温殺菌後に発酵ブロスを脱水処理および/または濾過処理に付して微生物バイオマスを製造する請求項37から47いずれかに記載の方法。
【請求項49】
所望により、バイオマスをその乾燥分含有量が25〜80%になるように処理する請求項48記載の方法。
【請求項50】
得られたバイオマスを顆粒に造粒化し、該顆粒を次いで乾燥処理に付す請求項49記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−270150(P2007−270150A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108918(P2007−108918)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【分割の表示】特願平9−534883の分割
【原出願日】平成9年3月21日(1997.3.21)
【出願人】(594178859)ギスト ブロカデス ベスローテン フェンノートシャップ (3)
【Fターム(参考)】