低温液化ガス用液面計
【課題】容器に収容された低温液化ガスの液面の位置を計測する精度を高めることができる低温液化ガス用液面計を提供する。
【解決手段】低温液化ガス用液面計1は並列回路部53、測定部13及び演算部15を備える。並列回路部53は複数の直列回路部35が並列に接続されて構成される。直列回路部35は超伝導体31と抵抗体33が直列に接続されて構成される。超伝導体31は低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する。演算部15は複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nを、測定部13で測定された並列回路部53の合成抵抗値R、及び、式:R=(一つの抵抗体33の抵抗値/N)を用いて演算する。
【解決手段】低温液化ガス用液面計1は並列回路部53、測定部13及び演算部15を備える。並列回路部53は複数の直列回路部35が並列に接続されて構成される。直列回路部35は超伝導体31と抵抗体33が直列に接続されて構成される。超伝導体31は低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する。演算部15は複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nを、測定部13で測定された並列回路部53の合成抵抗値R、及び、式:R=(一つの抵抗体33の抵抗値/N)を用いて演算する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低温液化ガスの液面の位置を計測する液面計に関する。
【背景技術】
【0002】
タンク内に貯蔵された液化水素、液化窒素及び液化ヘリウム等の低温液化ガスの液面の位置を計測する液面計として、超伝導を応用した技術が提案されている。例えば、超伝導体MgB2からなる長尺状単芯線のセンサが内部に固定されている筒を貯蔵容器内の低温液化ガスに浸し、センサに電流を流してセンサの両端の電位差を測定し、実験データから予め求めていた電圧値と液面の位置との関係式を用いて、液面の位置を計測する技術がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−139441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超伝導体からなる長尺状単芯線では、液面の上に位置する部分であっても熱伝導により超伝導状態になることがあり、これが液面の位置を計測する精度を低下させる原因となる。
【0005】
本発明は容器に収容された低温液化ガスの液面の位置を計測する精度を高めることができる低温液化ガス用液面計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の局面に係る低温液化ガス用液面計は、低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、同じ抵抗値を有する複数の抵抗体と、前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、前記複数の直列回路部が並列に接続された並列回路部と、前記並列回路部の合成抵抗値Rを測定する測定部と、前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数Nを、前記測定部で測定された前記合成抵抗値R、及び、式:R=(前記抵抗値/N)を用いて演算する演算部と、を備える。
【0007】
本発明の第1の局面では、複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数Nに応じて、測定部で測定される並列回路部の合成抵抗値Rが異なることを利用して、複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数を演算している。これにより、容器の深さ方向に並べて配置されている複数の超伝導体の中で超伝導状態にある一番上に位置する超伝導体を特定することができるので、液面の位置を計測することができる。そして、本発明の第1の局面によれば、隣り合う超伝導体の間にこれらを断熱する断熱体を設けることにより、液面の上に位置する超伝導体を常伝導状態にすることが可能なので、液面の位置を計測する精度を高めることができる。また、本発明の第1の局面によれば、測定部で測定された並列回路部の合成抵抗値Rを基にして超伝導体状態にある超伝導体の個数Nを演算して液面の位置を計測する。このため、測定部を超伝導体の個数に応じて設ける必要がなく、また測定部の配線が複雑にならないので、測定部の構成をシンプルにすることができる。
【0008】
本発明の第2の局面に係る低温液化ガス用液面計は、低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、同じ抵抗値を有する複数の抵抗体と、前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、前記複数の直列回路部を複数の組に分けて、各組の直列回路部が並列に接続された複数の並列回路部と、前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値Rを測定する測定部と、前記複数の並列回路部のそれぞれにおいて、超伝導状態にある超伝導体の個数nを、前記測定部で測定された前記合成抵抗値R、及び、式:R=(前記抵抗値/n)を用いて演算し、前記複数の並列回路部のそれぞれの前記個数nを加算して、前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数Nを演算する演算部と、を備える。
【0009】
本発明の第2の局面は上述した本発明の第1の局面の作用を有する。さらに本発明の第2の局面によれば、複数の直列回路部を複数の組に分けて、各組の直列回路部が並列に接続された複数の並列回路部を形成している。このため、複数の直列回路部の数を増やしても、一つの並列回路部を構成する直列回路部の数を減らすことができるので、液面の位置を計測する精度を高めることができる。
【0010】
上記構成において、前記複数の並列回路部は前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能である。
【0011】
この構成によれば、複数の並列回路部を一つ一つの並列回路部に分割することができるので、各並列回路部をユニット化できる。容器の深さに応じてユニットの数を変えることにより、どのような深さの容器についても液面の位置の計測が可能となる。
【0012】
本発明の第3の局面に係る低温液化ガス用液面計は、低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、複数の抵抗体と、前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、前記複数の直列回路部が並列に接続された並列回路部と、前記並列回路部の合成抵抗値と前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数とを対応付けて予め記憶している記憶部と、前記並列回路部の合成抵抗値を測定する測定部と、前記測定部で測定された前記並列回路部の合成抵抗値と前記記憶部に記憶されている前記並列回路部の合成抵抗値を比較して、前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数を特定する特定部と、を備える。
【0013】
本発明の第3の局面は上述した本発明の第1の局面の作用を有する。
【0014】
本発明の第4の局面に係る低温液化ガス用液面計は、低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、複数の抵抗体と、前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、前記複数の直列回路部を複数の組に分けて、各組の直列回路部が並列に接続された複数の並列回路部と、前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値と前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数とを対応付けて予め記憶している記憶部と、前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値を測定する測定部と、前記測定部で測定された前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値と前記記憶部に記憶されている前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値を比較して、前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数を特定する特定部と、を備える。
【0015】
本発明の第4の局面は上述した本発明の第2の局面の作用を有する。
【0016】
上記構成において、前記複数の並列回路部は前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能である。
【0017】
この構成によれば、複数の並列回路部を一つ一つの並列回路部に分割することができるので、各並列回路部をユニット化できる。容器の深さに応じてユニットの数を変えることにより、どのような深さの容器についても液面の位置の計測が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、容器に収容された低温液化ガスの液面の位置を計測する精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係る低温液化ガス用液面計の概略図である。
【図2】低温液化ガスを収容する容器の内部にセンサ部を取り付けた状態を示す図である。
【図3】直列回路部の一例を示す立体図である。
【図4】直列回路部の他の例を示す平面図である。
【図5】超伝導状態にある超伝導体の個数と液面の位置との対応関係の一例を示す表である。
【図6】第1実施形態に係る低温液化ガス用液面計を用いた液面の計測動作の一例を説明するフローチャートである。
【図7】上記計測動作における低温液化ガスの液面とセンサ部の関係を示す図である。
【図8】比較形態に係るセンサ部と低温液化ガスの液面の関係を示す図である。
【図9】第2実施形態に係る低温液化ガス用液面計の概略図である。
【図10】第3実施形態に係る低温液化ガス用液面計の概略図である。
【図11】第4実施形態に係る低温液化ガス用液面計の概略図である。
【図12】並列回路部の合成抵抗値と超伝導状態にある超伝導体の個数との対応関係の一例を示す表である。
【図13】第5実施形態に係る低温液化ガス用液面計の概略図である。
【図14】3つの並列回路部の合成抵抗値と超伝導状態にある超伝導体の個数との対応関係の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の第1実施形態に係る低温液化ガス用液面計1の概略図である。低温液化ガス用液面計1はセンサ部11、測定部13、演算部15、記憶部17、設定部19、表示制御部21及び表示部23を備える。
【0021】
センサ部11は複数の超伝導体31と複数の抵抗体33を備える。超伝導体31は低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する。気化された低温液化ガスによって超伝導体31が超伝導状態になれば液面の位置の正確な計測ができないので、超伝導体31の超伝導遷移温度は低温液化ガスの沸点付近であることが好ましい。低温液化ガスは、その沸点が超伝導体31の超伝導遷移温度よりも低ければ、本実施形態を適用することが可能である。
【0022】
超伝導体31としては、常伝導状態の抵抗値が抵抗体33の抵抗値に比べて、相当に大きいものが好ましい。例えば酸化物超伝導体(例えば、Y−Ba−Cu−O)のような常伝導状態の抵抗率が大きなものが好ましい。
【0023】
複数の抵抗体33はそれぞれ同じ抵抗値を有する。抵抗体33の個数は超伝導体31の個数と同じであり、複数の超伝導体31と複数の抵抗体33を用いて、超伝導体31と抵抗体33が直列に接続された複数の直列回路部35が形成されている。複数の直列回路部35は図2に示すように、低温液化ガスを収容する容器37の内部にセンサ部11を取り付けた際に、複数の直列回路部35が容器37の深さ方向Dに一列に並ぶように実装基板39に実装されている。したがって、複数の超伝導体31は低温液化ガスを収容する容器37の内部に容器37の深さ方向Dに並べて配置することが可能にされている。
【0024】
図3は直列回路部35の一例を示す立体図である。直列回路部35は電極基板41と、電極基板41の上に形成された超伝導体31と、超伝導体31の上に形成された抵抗体33と、抵抗体33の上に形成された電極層43と、を備える。超伝導体31、抵抗体33及び電極層43はスパッタリング又は蒸着により形成される。超伝導体31は超伝導体ペーストを焼成して形成してもよい。
【0025】
図4は直列回路部35の他の例を示す平面図である。この例では超伝導体31と抵抗体33が分離されている。超伝導体31は両端に電極45が形成されている超伝導体チップである。抵抗体33は両端に電極47が形成されている抵抗チップである。超伝導体31と抵抗体33は実装基板39に実装され、超伝導体31の一方の電極45と抵抗体33の一方の電極47が、実装基板39上の配線層49で接続されている。超伝導体31の一方の電極45と抵抗体33の一方の電極47をワイヤボンディングで接続してもよい。
【0026】
図1の説明に戻る。断熱体51は隣り合う直列回路部35の間に配置されており、隣り合う直列回路部35を断熱すると共に電気的に絶縁する。したがって、断熱体51は隣り合う超伝導体31の間に配置され、隣り合う超伝導体31を断熱する。断熱体51の材料としてFRP(Fiber Reinforced Plastics)等を例示することができる。
【0027】
超伝導体31の厚みT1と断熱体51の厚みT2は、低温液化ガス用液面計1の分解能に対応している。例えば厚みT1+厚みT2が1cmで、直列回路部35が100個であれば、100cmの範囲を1cm単位で計測できる。
【0028】
複数の直列回路部35が配線によって並列に接続されて並列回路部53が形成されている。測定部13は抵抗の測定器であり、並列回路部53の全体の抵抗値、言い換えれば並列回路部53の合成抵抗値Rを測定する。
【0029】
演算部15は複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nを、測定部13で測定された合成抵抗値R、及び、式:R=(一つの抵抗体33の抵抗値/N)を用いて演算する。式:R=(一つの抵抗体33の抵抗値/N)のデータが記憶部17に予め記憶されている。記憶部17に上記式を記憶する替わりに、演算部15が上記式を実行するワイヤードロジック回路としてもよい。
【0030】
設定部19では複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nに対応する液面57の位置が、低温液化ガス用液面計1の製造者等によって設定されて、記憶される。図5は設定部19に記憶されている個数Nと液面57の位置との対応を示す表の一例である。図2及び図5を参照して、個数Nが1であれば液面57の位置は容器37の底59から5cmであり、個数Nが2であれば液面57の位置は底59から6cmであり、個数Nが3であれば液面57の位置は底59から7cmであり、個数Nが4であれば液面57の位置は底59から8cmであり、個数Nが100であれば液面57の位置は底59から104cmである。
【0031】
表示制御部21は表示部23(例えば液晶パネル)の表示を制御し、演算部15での演算結果に応じた液面57の位置を表示部23に表示させる機能を有する。演算部15、設定部19及び表示制御部21はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等よって構成される。記憶部17はROMによって構成される。
【0032】
次に、第1実施形態に係る低温液化ガス用液面計1を用いた液面57の計測動作の一例について説明する。図6はその計測動作を説明するフローチャートである。図7はその計測動作における低温液化ガスの液面57とセンサ部11の関係を示す図である。抵抗体33の抵抗値は100オームとする。
【0033】
低温液化ガスの液面57は、容器37の底59から4番目の超伝導体31と5番目の超伝導体31の間の断熱体51のところに位置している。したがって、複数(例えば100個)の超伝導体31の中で4個の超伝導体31が低温液化ガスに浸っている。
【0034】
超伝導体31が低温液化ガスに浸っていれば、その超伝導体31は超伝導状態となり、その超伝導体31の抵抗値が0オームになるので、その超伝導体31を含む直列回路部35の抵抗値は抵抗体33の抵抗値である100オームとなる。一方、超伝導体31が低温液化ガスに浸っていなければ、その超伝導体31は常伝導状態となり、その超伝導体31の抵抗値の単位はメガオームとなるので、その超伝導体31を含む直列回路部35の抵抗値は∞と見なすことができる。
【0035】
したがって、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nは、式:R=(100オーム/N)を用いて演算することができる。複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nが1つであれば、並列回路部53の合成抵抗値Rは100オームとなる。個数Nが2つ、3つ、4つ、5つであれば、並列回路部53の合成抵抗値Rはそれぞれ50オーム、33.33・・・オーム、25オーム、20オームとなる。
【0036】
逆に言えば、並列回路部53の合成抵抗値Rを測定すれば、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nが分かる。
【0037】
図7では、4つ超伝導体31が低温液化ガスに浸っているので、測定部13により測定される並列回路部53の合成抵抗値Rは25オームとなる(ステップS1)。測定部13で測定された合成抵抗値Rのデータは演算部15へ送られる。演算部15は記憶部17に記憶されている式:R=(100オーム/N)を用いて、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nを演算する(ステップS3)。ここでは個数Nが4となる。
【0038】
演算部15は設定部19を用いて個数Nが4の場合の液面57の位置の値を決定する(ステップS5)。ここでは図5に示す表から液面57の位置は容器37の底59から8cmとなる。表示制御部21によって表示部23に液面57の位置(ここでは8cm)が表示される(ステップS7)。
【0039】
第1実施形態の主な効果を説明する。第1実施形態では、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nに応じて、測定部13で測定される並列回路部53の合成抵抗値Rが異なることを利用して、個数Nを演算している。これにより、容器37の深さ方向Dに並べて配置されている複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある一番上に位置する超伝導体31を特定することができるので、液面57の位置を計測することができる。そして、第1実施形態によれば隣り合う超伝導体31の間にこれらを断熱する断熱体51を設けることにより、液面57の上に位置する超伝導体31を常伝導状態にすることができるので、液面57の位置を計測する精度を高めることができる。
【0040】
また、第1実施形態によれば測定部13の構成をシンプルにすることができる。この効果を比較形態と比較して説明する。図8は比較形態に係るセンサ部61と低温液化ガスの液面57の関係を示す図であり、図7と対応する。
【0041】
比較形態のセンサ部61は第1実施形態のセンサ部11と同様に複数の超伝導体31と断熱体51を備えているが、抵抗体33を備えていない。比較形態では複数の超伝導体31のそれぞれに電流計63が接続されている。超伝導体31が超伝導状態であれば、電流計63の値が∞となるので、これにより、各超伝導体31が常伝導状態か超伝導状態かを判断する。図8では4つの超伝導体31が低温液化ガスに浸っている。したがって、4つの電流計63において値が∞となるので、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nは4となり、図5から液面57の位置が8cmと決定される。
【0042】
しかしながら、比較形態では各超伝導体31に流れる電流を計測して、各超伝導体31が超伝導状態か常伝導状態かを判断するので、複数の超伝導体31の数だけ電流計63を設けなければならい。したがって、比較形態では測定部において、複数の超伝導体31の数だけ電流計63が必要となり、かつ電流計63と超伝導体31を接続する配線が多くなるので、測定部の構成が複雑になると共に液面計のコストが上がる。
【0043】
これに対して第1実施形態では測定部13で測定された並列回路部53の合成抵抗値Rを基にして超伝導体状態の超伝導体31の個数Nを演算して液面57の位置を計測する。このため、測定部13を超伝導体31の個数に応じて設ける必要がなく、また測定部13の配線が複雑にならないので、測定部13の構成をシンプルにすることができる。
【0044】
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態については第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を省略する。図9は第2実施形態に係る低温液化ガス用液面計3の概略図である。
【0045】
第2実施形態では複数の直列回路部35を3つの組(複数の組の一例)に分けて、各組の直列回路部35が並列に接続された3つの並列回路部71,73,75が形成されている。詳細に説明すると、複数の直列回路部35は下から順に1番目の直列回路部35、4番目の直列回路部35、7番目の直列回路部35、・・・、を第1の組とし、第1の組に属する直列回路部35を並列に接続して並列回路部71が形成されている。
【0046】
また、複数の直列回路部35は下から順に2番目の直列回路部35、5番目の直列回路部35、8番目の直列回路部35、・・・、を第2の組とし、第2の組に属する直列回路部35を並列に接続して並列回路部73が形成されている。さらに、複数の直列回路部35は下から順に3番目の直列回路部35、6番目の直列回路部35、9番目の直列回路部35、・・・、を第3の組とし、第3の組に属する直列回路部35を並列に接続して並列回路部75が形成されている。
【0047】
測定部77は並列回路部71の合成抵抗値Rを測定し、測定部79は並列回路部73の合成抵抗値Rを測定し、測定部81は並列回路部75の合成抵抗値Rを測定する。各測定部77,79,81で測定された合成抵抗値Rのデータは演算部15へ送られる。なお、測定部は一つでもよい。この場合は、測定部と並列回路部71を接続及び切り離しをするスイッチ部、測定部と並列回路部73を接続及び切り離しをするスイッチ部、及び測定部と並列回路部75を接続及び切り離しをするスイッチ部を設けて、それらのスイッチ部を切り替えて、並列回路部71,73,75のそれぞれの合成抵抗値Rを測定する。
【0048】
演算部15は並列回路部71,73,75のそれぞれにおいて、超伝導状態にある超伝導体の個数nを、式:R=(一つの抵抗体33の抵抗値/n)を用いて演算し、並列回路部71,73,75のそれぞれの個数nを加算し、これにより複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nを演算する。
【0049】
例えば、抵抗体33の抵抗値が100オームとすると、並列回路部71において、測定された合成抵抗値Rが50オームであれば、nは2であり、並列回路部73において、測定された合成抵抗値Rが100オームであれば、nは1であり、並列回路部75において、測定された合成抵抗値Rが100オームであれば、nは1である。したがって、個数Nは4となる。後のステップは図6に示す第1実施形態のステップS5及びステップS7と同様であり、液面57の位置が表示部23に表示される。
【0050】
第2実施形態の効果を説明する。図2に示す容器37の深さDが大きい場合又は液面57の位置の計測の分解能を高める場合は、複数の直列回路部35の数を増やす必要がある。図1に示す並列回路部53を構成する複数の直列回路部35の数が増えると、液面57の計測の精度が低下する。詳しく説明すると、第1実施形態で説明したように、並列回路部53の合成抵抗値R、抵抗体33の抵抗値、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nとすると、式:R=(抵抗値/N)が成立する。複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nが大きくなると、合成抵抗値Rの差が小さくなる。例えば、抵抗値が100オームとすれば、個数Nが200の場合の合成抵抗値Rと、個数Nが199の場合の合成抵抗値Rとの差が小さくなり、したがって、測定部13で合成抵抗値Rを測定した際に、測定に誤差が少しでも生じれば、本来は個数Nが200なのに199の合成抵抗値Rが測定される可能性が大きくなる。
【0051】
第2実施形態では複数の直列回路部35を3つの組に分けて、3つの並列回路部71,73,75を形成しているので、複数の直列回路部35の数を増やしても、一つの並列回路部を構成する直列回路部35の数を減らすことができるので、液面57の位置を計測する精度を高めることができる。
【0052】
次に、第3実施形態を説明する。第3実施形態については第2実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を省略する。図10は第3実施形態に係る低温液化ガス用液面計5の概略図である。
【0053】
第3実施形態では、図9に示す第2実施形態と同様に、複数の直列回路部35を3つの組(複数の組の一例)に分けて、各組の直列回路部35が並列に接続された3つの並列回路部71,73,75が形成されている。
【0054】
しかし、第3実施形態では3つの並列回路部71,73,75が容器37の深さ方向Dに並べて配置されている。詳細に説明すると、複数の直列回路部35の数が例えば150とすれば、下から順に1番目から50番目の直列回路部35を第1の組とし、第1の組に属する直列回路部35を並列に接続して並列回路部71が形成されている。また、51番目から100番目の直列回路部35を第2の組とし、第2の組に属する直列回路部35を並列に接続して並列回路部73が形成されている。さらに、101番目から150番目の直列回路部35を第3の組とし、第3の組に属する直列回路部35を並列に接続して並列回路部75が形成されている。
【0055】
第3実施形態では3つの並列回路部71,73,75が容器37の深さ方向Dに並べて配置されている。したがって、並列回路部71と測定部77とで構成されるユニット、並列回路部73と測定部79とで構成されるユニット、並列回路部75と測定部81とで構成されるユニットに分割することができる。よって、容器37の深さに応じてユニットの数を変えることにより、どのような深さの容器37についても液面57の位置の計測が可能となる。
【0056】
次に、第4実施形態を説明する。第4実施形態については第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を省略する。図11は第4実施形態に係る低温液化ガス用液面計7の概略図である。第1実施形態では図1に示す演算部15において、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nを、式:R=(一つの抵抗体33の抵抗値/N)を用いて演算している。
【0057】
これに対して、第4実施形態では記憶部91は図12に示すように、並列回路部53の合成抵抗値Rと複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nとを対応付けて予め記憶している。第4実施形態では合成抵抗値Rと個数Nとを対応付けた表を用いて個数Nを特定するので、個数Nを求めるのに、式:R=(一つの抵抗体33の抵抗値/N)は利用されない。
【0058】
第1実施形態では、式:R=(一つの抵抗体33の抵抗値/N)を利用して個数Nを演算していたので、複数の抵抗体33の抵抗値を同じにしていた。第4実施形態では合成抵抗値Rと個数Nとを対応付けた表を用いて個数Nを特定するので、複数の抵抗体33の抵抗値は同じでなくてもよい。
【0059】
次に、第4実施形態に係る低温液化ガス用液面計7を用いた液面57の計測動作の一例について簡単に説明する。まず、測定部13によって並列回路部53の合成抵抗値Rが測定される。
【0060】
特定部93は、測定部13で測定された合成抵抗値Rと記憶部91に記憶されている図12に示す合成抵抗値Rを比較して、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nを特定する。後のステップは第1実施形態で説明した図6に示すステップS5及びステップS7と同じなので説明を省略する。第4実施形態は第1実施形態と同様の効果を有する。
【0061】
次に、第5実施形態を説明する。第5実施形態については第2実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を省略する。図13は第5実施形態に係る低温液化ガス用液面計9の概略図である。低温液化ガス用液面計9は図9に示す第2実施形態に係る低温液化ガス用液面計3の構成要素のうち、演算部15及び記憶部17を備えておらず、替わりに記憶部91及び特定部93を備えている。
【0062】
記憶部91は図14に示すように、3つの並列回路部71,73,75のそれぞれの合成抵抗値Rと複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nとを対応付けて予め記憶している。
【0063】
次に、第5実施形態に係る低温液化ガス用液面計9を用いた液面57の計測動作の一例について簡単に説明する。まず、測定部77によって並列回路部71の合成抵抗値Rが測定され、測定部79によって並列回路部73の合成抵抗値Rが測定され、測定部81によって並列回路部75の合成抵抗値Rが測定される。
【0064】
特定部93は測定部77,79,81で測定された並列回路部71,73,75のそれぞれの合成抵抗値Rと記憶部91に記憶されている図14に示す並列回路部71,73,75のそれぞれの合成抵抗値Rを比較して、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nを特定する。後のステップは第1実施形態で説明した図6に示すステップS5及びステップS7と同じなので説明を省略する。
【0065】
第5実施形態は第2実施形態と同様の効果を有する。第5実施形態に係る低温液化ガス用液面計9は、3つの並列回路部71,73,75を容器37の深さ方向Dに並べて配置することが可能である。すなわち、図10に示すセンサ部11を備えることが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1,3,5,7,9 低温液化ガス用液面計
31 超伝導体
33 抵抗体
35 直列回路部
37 容器
51 断熱体
53,71,73,75 並列回路部
【技術分野】
【0001】
本発明は低温液化ガスの液面の位置を計測する液面計に関する。
【背景技術】
【0002】
タンク内に貯蔵された液化水素、液化窒素及び液化ヘリウム等の低温液化ガスの液面の位置を計測する液面計として、超伝導を応用した技術が提案されている。例えば、超伝導体MgB2からなる長尺状単芯線のセンサが内部に固定されている筒を貯蔵容器内の低温液化ガスに浸し、センサに電流を流してセンサの両端の電位差を測定し、実験データから予め求めていた電圧値と液面の位置との関係式を用いて、液面の位置を計測する技術がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−139441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超伝導体からなる長尺状単芯線では、液面の上に位置する部分であっても熱伝導により超伝導状態になることがあり、これが液面の位置を計測する精度を低下させる原因となる。
【0005】
本発明は容器に収容された低温液化ガスの液面の位置を計測する精度を高めることができる低温液化ガス用液面計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の局面に係る低温液化ガス用液面計は、低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、同じ抵抗値を有する複数の抵抗体と、前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、前記複数の直列回路部が並列に接続された並列回路部と、前記並列回路部の合成抵抗値Rを測定する測定部と、前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数Nを、前記測定部で測定された前記合成抵抗値R、及び、式:R=(前記抵抗値/N)を用いて演算する演算部と、を備える。
【0007】
本発明の第1の局面では、複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数Nに応じて、測定部で測定される並列回路部の合成抵抗値Rが異なることを利用して、複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数を演算している。これにより、容器の深さ方向に並べて配置されている複数の超伝導体の中で超伝導状態にある一番上に位置する超伝導体を特定することができるので、液面の位置を計測することができる。そして、本発明の第1の局面によれば、隣り合う超伝導体の間にこれらを断熱する断熱体を設けることにより、液面の上に位置する超伝導体を常伝導状態にすることが可能なので、液面の位置を計測する精度を高めることができる。また、本発明の第1の局面によれば、測定部で測定された並列回路部の合成抵抗値Rを基にして超伝導体状態にある超伝導体の個数Nを演算して液面の位置を計測する。このため、測定部を超伝導体の個数に応じて設ける必要がなく、また測定部の配線が複雑にならないので、測定部の構成をシンプルにすることができる。
【0008】
本発明の第2の局面に係る低温液化ガス用液面計は、低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、同じ抵抗値を有する複数の抵抗体と、前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、前記複数の直列回路部を複数の組に分けて、各組の直列回路部が並列に接続された複数の並列回路部と、前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値Rを測定する測定部と、前記複数の並列回路部のそれぞれにおいて、超伝導状態にある超伝導体の個数nを、前記測定部で測定された前記合成抵抗値R、及び、式:R=(前記抵抗値/n)を用いて演算し、前記複数の並列回路部のそれぞれの前記個数nを加算して、前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数Nを演算する演算部と、を備える。
【0009】
本発明の第2の局面は上述した本発明の第1の局面の作用を有する。さらに本発明の第2の局面によれば、複数の直列回路部を複数の組に分けて、各組の直列回路部が並列に接続された複数の並列回路部を形成している。このため、複数の直列回路部の数を増やしても、一つの並列回路部を構成する直列回路部の数を減らすことができるので、液面の位置を計測する精度を高めることができる。
【0010】
上記構成において、前記複数の並列回路部は前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能である。
【0011】
この構成によれば、複数の並列回路部を一つ一つの並列回路部に分割することができるので、各並列回路部をユニット化できる。容器の深さに応じてユニットの数を変えることにより、どのような深さの容器についても液面の位置の計測が可能となる。
【0012】
本発明の第3の局面に係る低温液化ガス用液面計は、低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、複数の抵抗体と、前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、前記複数の直列回路部が並列に接続された並列回路部と、前記並列回路部の合成抵抗値と前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数とを対応付けて予め記憶している記憶部と、前記並列回路部の合成抵抗値を測定する測定部と、前記測定部で測定された前記並列回路部の合成抵抗値と前記記憶部に記憶されている前記並列回路部の合成抵抗値を比較して、前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数を特定する特定部と、を備える。
【0013】
本発明の第3の局面は上述した本発明の第1の局面の作用を有する。
【0014】
本発明の第4の局面に係る低温液化ガス用液面計は、低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、複数の抵抗体と、前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、前記複数の直列回路部を複数の組に分けて、各組の直列回路部が並列に接続された複数の並列回路部と、前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値と前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数とを対応付けて予め記憶している記憶部と、前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値を測定する測定部と、前記測定部で測定された前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値と前記記憶部に記憶されている前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値を比較して、前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数を特定する特定部と、を備える。
【0015】
本発明の第4の局面は上述した本発明の第2の局面の作用を有する。
【0016】
上記構成において、前記複数の並列回路部は前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能である。
【0017】
この構成によれば、複数の並列回路部を一つ一つの並列回路部に分割することができるので、各並列回路部をユニット化できる。容器の深さに応じてユニットの数を変えることにより、どのような深さの容器についても液面の位置の計測が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、容器に収容された低温液化ガスの液面の位置を計測する精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係る低温液化ガス用液面計の概略図である。
【図2】低温液化ガスを収容する容器の内部にセンサ部を取り付けた状態を示す図である。
【図3】直列回路部の一例を示す立体図である。
【図4】直列回路部の他の例を示す平面図である。
【図5】超伝導状態にある超伝導体の個数と液面の位置との対応関係の一例を示す表である。
【図6】第1実施形態に係る低温液化ガス用液面計を用いた液面の計測動作の一例を説明するフローチャートである。
【図7】上記計測動作における低温液化ガスの液面とセンサ部の関係を示す図である。
【図8】比較形態に係るセンサ部と低温液化ガスの液面の関係を示す図である。
【図9】第2実施形態に係る低温液化ガス用液面計の概略図である。
【図10】第3実施形態に係る低温液化ガス用液面計の概略図である。
【図11】第4実施形態に係る低温液化ガス用液面計の概略図である。
【図12】並列回路部の合成抵抗値と超伝導状態にある超伝導体の個数との対応関係の一例を示す表である。
【図13】第5実施形態に係る低温液化ガス用液面計の概略図である。
【図14】3つの並列回路部の合成抵抗値と超伝導状態にある超伝導体の個数との対応関係の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の第1実施形態に係る低温液化ガス用液面計1の概略図である。低温液化ガス用液面計1はセンサ部11、測定部13、演算部15、記憶部17、設定部19、表示制御部21及び表示部23を備える。
【0021】
センサ部11は複数の超伝導体31と複数の抵抗体33を備える。超伝導体31は低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する。気化された低温液化ガスによって超伝導体31が超伝導状態になれば液面の位置の正確な計測ができないので、超伝導体31の超伝導遷移温度は低温液化ガスの沸点付近であることが好ましい。低温液化ガスは、その沸点が超伝導体31の超伝導遷移温度よりも低ければ、本実施形態を適用することが可能である。
【0022】
超伝導体31としては、常伝導状態の抵抗値が抵抗体33の抵抗値に比べて、相当に大きいものが好ましい。例えば酸化物超伝導体(例えば、Y−Ba−Cu−O)のような常伝導状態の抵抗率が大きなものが好ましい。
【0023】
複数の抵抗体33はそれぞれ同じ抵抗値を有する。抵抗体33の個数は超伝導体31の個数と同じであり、複数の超伝導体31と複数の抵抗体33を用いて、超伝導体31と抵抗体33が直列に接続された複数の直列回路部35が形成されている。複数の直列回路部35は図2に示すように、低温液化ガスを収容する容器37の内部にセンサ部11を取り付けた際に、複数の直列回路部35が容器37の深さ方向Dに一列に並ぶように実装基板39に実装されている。したがって、複数の超伝導体31は低温液化ガスを収容する容器37の内部に容器37の深さ方向Dに並べて配置することが可能にされている。
【0024】
図3は直列回路部35の一例を示す立体図である。直列回路部35は電極基板41と、電極基板41の上に形成された超伝導体31と、超伝導体31の上に形成された抵抗体33と、抵抗体33の上に形成された電極層43と、を備える。超伝導体31、抵抗体33及び電極層43はスパッタリング又は蒸着により形成される。超伝導体31は超伝導体ペーストを焼成して形成してもよい。
【0025】
図4は直列回路部35の他の例を示す平面図である。この例では超伝導体31と抵抗体33が分離されている。超伝導体31は両端に電極45が形成されている超伝導体チップである。抵抗体33は両端に電極47が形成されている抵抗チップである。超伝導体31と抵抗体33は実装基板39に実装され、超伝導体31の一方の電極45と抵抗体33の一方の電極47が、実装基板39上の配線層49で接続されている。超伝導体31の一方の電極45と抵抗体33の一方の電極47をワイヤボンディングで接続してもよい。
【0026】
図1の説明に戻る。断熱体51は隣り合う直列回路部35の間に配置されており、隣り合う直列回路部35を断熱すると共に電気的に絶縁する。したがって、断熱体51は隣り合う超伝導体31の間に配置され、隣り合う超伝導体31を断熱する。断熱体51の材料としてFRP(Fiber Reinforced Plastics)等を例示することができる。
【0027】
超伝導体31の厚みT1と断熱体51の厚みT2は、低温液化ガス用液面計1の分解能に対応している。例えば厚みT1+厚みT2が1cmで、直列回路部35が100個であれば、100cmの範囲を1cm単位で計測できる。
【0028】
複数の直列回路部35が配線によって並列に接続されて並列回路部53が形成されている。測定部13は抵抗の測定器であり、並列回路部53の全体の抵抗値、言い換えれば並列回路部53の合成抵抗値Rを測定する。
【0029】
演算部15は複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nを、測定部13で測定された合成抵抗値R、及び、式:R=(一つの抵抗体33の抵抗値/N)を用いて演算する。式:R=(一つの抵抗体33の抵抗値/N)のデータが記憶部17に予め記憶されている。記憶部17に上記式を記憶する替わりに、演算部15が上記式を実行するワイヤードロジック回路としてもよい。
【0030】
設定部19では複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nに対応する液面57の位置が、低温液化ガス用液面計1の製造者等によって設定されて、記憶される。図5は設定部19に記憶されている個数Nと液面57の位置との対応を示す表の一例である。図2及び図5を参照して、個数Nが1であれば液面57の位置は容器37の底59から5cmであり、個数Nが2であれば液面57の位置は底59から6cmであり、個数Nが3であれば液面57の位置は底59から7cmであり、個数Nが4であれば液面57の位置は底59から8cmであり、個数Nが100であれば液面57の位置は底59から104cmである。
【0031】
表示制御部21は表示部23(例えば液晶パネル)の表示を制御し、演算部15での演算結果に応じた液面57の位置を表示部23に表示させる機能を有する。演算部15、設定部19及び表示制御部21はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等よって構成される。記憶部17はROMによって構成される。
【0032】
次に、第1実施形態に係る低温液化ガス用液面計1を用いた液面57の計測動作の一例について説明する。図6はその計測動作を説明するフローチャートである。図7はその計測動作における低温液化ガスの液面57とセンサ部11の関係を示す図である。抵抗体33の抵抗値は100オームとする。
【0033】
低温液化ガスの液面57は、容器37の底59から4番目の超伝導体31と5番目の超伝導体31の間の断熱体51のところに位置している。したがって、複数(例えば100個)の超伝導体31の中で4個の超伝導体31が低温液化ガスに浸っている。
【0034】
超伝導体31が低温液化ガスに浸っていれば、その超伝導体31は超伝導状態となり、その超伝導体31の抵抗値が0オームになるので、その超伝導体31を含む直列回路部35の抵抗値は抵抗体33の抵抗値である100オームとなる。一方、超伝導体31が低温液化ガスに浸っていなければ、その超伝導体31は常伝導状態となり、その超伝導体31の抵抗値の単位はメガオームとなるので、その超伝導体31を含む直列回路部35の抵抗値は∞と見なすことができる。
【0035】
したがって、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nは、式:R=(100オーム/N)を用いて演算することができる。複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nが1つであれば、並列回路部53の合成抵抗値Rは100オームとなる。個数Nが2つ、3つ、4つ、5つであれば、並列回路部53の合成抵抗値Rはそれぞれ50オーム、33.33・・・オーム、25オーム、20オームとなる。
【0036】
逆に言えば、並列回路部53の合成抵抗値Rを測定すれば、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nが分かる。
【0037】
図7では、4つ超伝導体31が低温液化ガスに浸っているので、測定部13により測定される並列回路部53の合成抵抗値Rは25オームとなる(ステップS1)。測定部13で測定された合成抵抗値Rのデータは演算部15へ送られる。演算部15は記憶部17に記憶されている式:R=(100オーム/N)を用いて、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nを演算する(ステップS3)。ここでは個数Nが4となる。
【0038】
演算部15は設定部19を用いて個数Nが4の場合の液面57の位置の値を決定する(ステップS5)。ここでは図5に示す表から液面57の位置は容器37の底59から8cmとなる。表示制御部21によって表示部23に液面57の位置(ここでは8cm)が表示される(ステップS7)。
【0039】
第1実施形態の主な効果を説明する。第1実施形態では、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nに応じて、測定部13で測定される並列回路部53の合成抵抗値Rが異なることを利用して、個数Nを演算している。これにより、容器37の深さ方向Dに並べて配置されている複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある一番上に位置する超伝導体31を特定することができるので、液面57の位置を計測することができる。そして、第1実施形態によれば隣り合う超伝導体31の間にこれらを断熱する断熱体51を設けることにより、液面57の上に位置する超伝導体31を常伝導状態にすることができるので、液面57の位置を計測する精度を高めることができる。
【0040】
また、第1実施形態によれば測定部13の構成をシンプルにすることができる。この効果を比較形態と比較して説明する。図8は比較形態に係るセンサ部61と低温液化ガスの液面57の関係を示す図であり、図7と対応する。
【0041】
比較形態のセンサ部61は第1実施形態のセンサ部11と同様に複数の超伝導体31と断熱体51を備えているが、抵抗体33を備えていない。比較形態では複数の超伝導体31のそれぞれに電流計63が接続されている。超伝導体31が超伝導状態であれば、電流計63の値が∞となるので、これにより、各超伝導体31が常伝導状態か超伝導状態かを判断する。図8では4つの超伝導体31が低温液化ガスに浸っている。したがって、4つの電流計63において値が∞となるので、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nは4となり、図5から液面57の位置が8cmと決定される。
【0042】
しかしながら、比較形態では各超伝導体31に流れる電流を計測して、各超伝導体31が超伝導状態か常伝導状態かを判断するので、複数の超伝導体31の数だけ電流計63を設けなければならい。したがって、比較形態では測定部において、複数の超伝導体31の数だけ電流計63が必要となり、かつ電流計63と超伝導体31を接続する配線が多くなるので、測定部の構成が複雑になると共に液面計のコストが上がる。
【0043】
これに対して第1実施形態では測定部13で測定された並列回路部53の合成抵抗値Rを基にして超伝導体状態の超伝導体31の個数Nを演算して液面57の位置を計測する。このため、測定部13を超伝導体31の個数に応じて設ける必要がなく、また測定部13の配線が複雑にならないので、測定部13の構成をシンプルにすることができる。
【0044】
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態については第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を省略する。図9は第2実施形態に係る低温液化ガス用液面計3の概略図である。
【0045】
第2実施形態では複数の直列回路部35を3つの組(複数の組の一例)に分けて、各組の直列回路部35が並列に接続された3つの並列回路部71,73,75が形成されている。詳細に説明すると、複数の直列回路部35は下から順に1番目の直列回路部35、4番目の直列回路部35、7番目の直列回路部35、・・・、を第1の組とし、第1の組に属する直列回路部35を並列に接続して並列回路部71が形成されている。
【0046】
また、複数の直列回路部35は下から順に2番目の直列回路部35、5番目の直列回路部35、8番目の直列回路部35、・・・、を第2の組とし、第2の組に属する直列回路部35を並列に接続して並列回路部73が形成されている。さらに、複数の直列回路部35は下から順に3番目の直列回路部35、6番目の直列回路部35、9番目の直列回路部35、・・・、を第3の組とし、第3の組に属する直列回路部35を並列に接続して並列回路部75が形成されている。
【0047】
測定部77は並列回路部71の合成抵抗値Rを測定し、測定部79は並列回路部73の合成抵抗値Rを測定し、測定部81は並列回路部75の合成抵抗値Rを測定する。各測定部77,79,81で測定された合成抵抗値Rのデータは演算部15へ送られる。なお、測定部は一つでもよい。この場合は、測定部と並列回路部71を接続及び切り離しをするスイッチ部、測定部と並列回路部73を接続及び切り離しをするスイッチ部、及び測定部と並列回路部75を接続及び切り離しをするスイッチ部を設けて、それらのスイッチ部を切り替えて、並列回路部71,73,75のそれぞれの合成抵抗値Rを測定する。
【0048】
演算部15は並列回路部71,73,75のそれぞれにおいて、超伝導状態にある超伝導体の個数nを、式:R=(一つの抵抗体33の抵抗値/n)を用いて演算し、並列回路部71,73,75のそれぞれの個数nを加算し、これにより複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nを演算する。
【0049】
例えば、抵抗体33の抵抗値が100オームとすると、並列回路部71において、測定された合成抵抗値Rが50オームであれば、nは2であり、並列回路部73において、測定された合成抵抗値Rが100オームであれば、nは1であり、並列回路部75において、測定された合成抵抗値Rが100オームであれば、nは1である。したがって、個数Nは4となる。後のステップは図6に示す第1実施形態のステップS5及びステップS7と同様であり、液面57の位置が表示部23に表示される。
【0050】
第2実施形態の効果を説明する。図2に示す容器37の深さDが大きい場合又は液面57の位置の計測の分解能を高める場合は、複数の直列回路部35の数を増やす必要がある。図1に示す並列回路部53を構成する複数の直列回路部35の数が増えると、液面57の計測の精度が低下する。詳しく説明すると、第1実施形態で説明したように、並列回路部53の合成抵抗値R、抵抗体33の抵抗値、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nとすると、式:R=(抵抗値/N)が成立する。複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nが大きくなると、合成抵抗値Rの差が小さくなる。例えば、抵抗値が100オームとすれば、個数Nが200の場合の合成抵抗値Rと、個数Nが199の場合の合成抵抗値Rとの差が小さくなり、したがって、測定部13で合成抵抗値Rを測定した際に、測定に誤差が少しでも生じれば、本来は個数Nが200なのに199の合成抵抗値Rが測定される可能性が大きくなる。
【0051】
第2実施形態では複数の直列回路部35を3つの組に分けて、3つの並列回路部71,73,75を形成しているので、複数の直列回路部35の数を増やしても、一つの並列回路部を構成する直列回路部35の数を減らすことができるので、液面57の位置を計測する精度を高めることができる。
【0052】
次に、第3実施形態を説明する。第3実施形態については第2実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を省略する。図10は第3実施形態に係る低温液化ガス用液面計5の概略図である。
【0053】
第3実施形態では、図9に示す第2実施形態と同様に、複数の直列回路部35を3つの組(複数の組の一例)に分けて、各組の直列回路部35が並列に接続された3つの並列回路部71,73,75が形成されている。
【0054】
しかし、第3実施形態では3つの並列回路部71,73,75が容器37の深さ方向Dに並べて配置されている。詳細に説明すると、複数の直列回路部35の数が例えば150とすれば、下から順に1番目から50番目の直列回路部35を第1の組とし、第1の組に属する直列回路部35を並列に接続して並列回路部71が形成されている。また、51番目から100番目の直列回路部35を第2の組とし、第2の組に属する直列回路部35を並列に接続して並列回路部73が形成されている。さらに、101番目から150番目の直列回路部35を第3の組とし、第3の組に属する直列回路部35を並列に接続して並列回路部75が形成されている。
【0055】
第3実施形態では3つの並列回路部71,73,75が容器37の深さ方向Dに並べて配置されている。したがって、並列回路部71と測定部77とで構成されるユニット、並列回路部73と測定部79とで構成されるユニット、並列回路部75と測定部81とで構成されるユニットに分割することができる。よって、容器37の深さに応じてユニットの数を変えることにより、どのような深さの容器37についても液面57の位置の計測が可能となる。
【0056】
次に、第4実施形態を説明する。第4実施形態については第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を省略する。図11は第4実施形態に係る低温液化ガス用液面計7の概略図である。第1実施形態では図1に示す演算部15において、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nを、式:R=(一つの抵抗体33の抵抗値/N)を用いて演算している。
【0057】
これに対して、第4実施形態では記憶部91は図12に示すように、並列回路部53の合成抵抗値Rと複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nとを対応付けて予め記憶している。第4実施形態では合成抵抗値Rと個数Nとを対応付けた表を用いて個数Nを特定するので、個数Nを求めるのに、式:R=(一つの抵抗体33の抵抗値/N)は利用されない。
【0058】
第1実施形態では、式:R=(一つの抵抗体33の抵抗値/N)を利用して個数Nを演算していたので、複数の抵抗体33の抵抗値を同じにしていた。第4実施形態では合成抵抗値Rと個数Nとを対応付けた表を用いて個数Nを特定するので、複数の抵抗体33の抵抗値は同じでなくてもよい。
【0059】
次に、第4実施形態に係る低温液化ガス用液面計7を用いた液面57の計測動作の一例について簡単に説明する。まず、測定部13によって並列回路部53の合成抵抗値Rが測定される。
【0060】
特定部93は、測定部13で測定された合成抵抗値Rと記憶部91に記憶されている図12に示す合成抵抗値Rを比較して、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nを特定する。後のステップは第1実施形態で説明した図6に示すステップS5及びステップS7と同じなので説明を省略する。第4実施形態は第1実施形態と同様の効果を有する。
【0061】
次に、第5実施形態を説明する。第5実施形態については第2実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を省略する。図13は第5実施形態に係る低温液化ガス用液面計9の概略図である。低温液化ガス用液面計9は図9に示す第2実施形態に係る低温液化ガス用液面計3の構成要素のうち、演算部15及び記憶部17を備えておらず、替わりに記憶部91及び特定部93を備えている。
【0062】
記憶部91は図14に示すように、3つの並列回路部71,73,75のそれぞれの合成抵抗値Rと複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nとを対応付けて予め記憶している。
【0063】
次に、第5実施形態に係る低温液化ガス用液面計9を用いた液面57の計測動作の一例について簡単に説明する。まず、測定部77によって並列回路部71の合成抵抗値Rが測定され、測定部79によって並列回路部73の合成抵抗値Rが測定され、測定部81によって並列回路部75の合成抵抗値Rが測定される。
【0064】
特定部93は測定部77,79,81で測定された並列回路部71,73,75のそれぞれの合成抵抗値Rと記憶部91に記憶されている図14に示す並列回路部71,73,75のそれぞれの合成抵抗値Rを比較して、複数の超伝導体31の中で超伝導状態にある超伝導体31の個数Nを特定する。後のステップは第1実施形態で説明した図6に示すステップS5及びステップS7と同じなので説明を省略する。
【0065】
第5実施形態は第2実施形態と同様の効果を有する。第5実施形態に係る低温液化ガス用液面計9は、3つの並列回路部71,73,75を容器37の深さ方向Dに並べて配置することが可能である。すなわち、図10に示すセンサ部11を備えることが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1,3,5,7,9 低温液化ガス用液面計
31 超伝導体
33 抵抗体
35 直列回路部
37 容器
51 断熱体
53,71,73,75 並列回路部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、
隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、
同じ抵抗値を有する複数の抵抗体と、
前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、
前記複数の直列回路部が並列に接続された並列回路部と、
前記並列回路部の合成抵抗値Rを測定する測定部と、
前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数Nを、前記測定部で測定された前記合成抵抗値R、及び、式:R=(前記抵抗値/N)を用いて演算する演算部と、を備える低温液化ガス用液面計。
【請求項2】
低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、
隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、
同じ抵抗値を有する複数の抵抗体と、
前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、
前記複数の直列回路部を複数の組に分けて、各組の直列回路部が並列に接続された複数の並列回路部と、
前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値Rを測定する測定部と、
前記複数の並列回路部のそれぞれにおいて、超伝導状態にある超伝導体の個数nを、前記測定部で測定された前記合成抵抗値R、及び、式:R=(前記抵抗値/n)を用いて演算し、前記複数の並列回路部のそれぞれの前記個数nを加算して、前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数Nを演算する演算部と、を備える低温液化ガス用液面計。
【請求項3】
前記複数の並列回路部は前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能である請求項2に記載の低温液化ガス用液面計。
【請求項4】
低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、
隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、
複数の抵抗体と、
前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、
前記複数の直列回路部が並列に接続された並列回路部と、
前記並列回路部の合成抵抗値と前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数とを対応付けて予め記憶している記憶部と、
前記並列回路部の合成抵抗値を測定する測定部と、
前記測定部で測定された前記並列回路部の合成抵抗値と前記記憶部に記憶されている前記並列回路部の合成抵抗値を比較して、前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数を特定する特定部と、を備える低温液化ガス用液面計。
【請求項5】
低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、
隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、
複数の抵抗体と、
前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、
前記複数の直列回路部を複数の組に分けて、各組の直列回路部が並列に接続された複数の並列回路部と、
前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値と前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数とを対応付けて予め記憶している記憶部と、
前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値を測定する測定部と、
前記測定部で測定された前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値と前記記憶部に記憶されている前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値を比較して、前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数を特定する特定部と、を備える低温液化ガス用液面計。
【請求項6】
前記複数の並列回路部は前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能である請求項5に記載の低温液化ガス用液面計。
【請求項1】
低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、
隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、
同じ抵抗値を有する複数の抵抗体と、
前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、
前記複数の直列回路部が並列に接続された並列回路部と、
前記並列回路部の合成抵抗値Rを測定する測定部と、
前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数Nを、前記測定部で測定された前記合成抵抗値R、及び、式:R=(前記抵抗値/N)を用いて演算する演算部と、を備える低温液化ガス用液面計。
【請求項2】
低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、
隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、
同じ抵抗値を有する複数の抵抗体と、
前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、
前記複数の直列回路部を複数の組に分けて、各組の直列回路部が並列に接続された複数の並列回路部と、
前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値Rを測定する測定部と、
前記複数の並列回路部のそれぞれにおいて、超伝導状態にある超伝導体の個数nを、前記測定部で測定された前記合成抵抗値R、及び、式:R=(前記抵抗値/n)を用いて演算し、前記複数の並列回路部のそれぞれの前記個数nを加算して、前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数Nを演算する演算部と、を備える低温液化ガス用液面計。
【請求項3】
前記複数の並列回路部は前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能である請求項2に記載の低温液化ガス用液面計。
【請求項4】
低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、
隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、
複数の抵抗体と、
前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、
前記複数の直列回路部が並列に接続された並列回路部と、
前記並列回路部の合成抵抗値と前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数とを対応付けて予め記憶している記憶部と、
前記並列回路部の合成抵抗値を測定する測定部と、
前記測定部で測定された前記並列回路部の合成抵抗値と前記記憶部に記憶されている前記並列回路部の合成抵抗値を比較して、前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数を特定する特定部と、を備える低温液化ガス用液面計。
【請求項5】
低温液化ガスを収容する容器の内部に前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能であり、前記低温液化ガスの沸点よりも高い超伝導遷移温度を有する複数の超伝導体と、
隣り合う前記超伝導体の間に配置され、隣り合う前記超伝導体を断熱する断熱体と、
複数の抵抗体と、
前記超伝導体と前記抵抗体が直列に接続された複数の直列回路部と、
前記複数の直列回路部を複数の組に分けて、各組の直列回路部が並列に接続された複数の並列回路部と、
前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値と前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数とを対応付けて予め記憶している記憶部と、
前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値を測定する測定部と、
前記測定部で測定された前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値と前記記憶部に記憶されている前記複数の並列回路部のそれぞれの合成抵抗値を比較して、前記複数の超伝導体の中で超伝導状態にある超伝導体の個数を特定する特定部と、を備える低温液化ガス用液面計。
【請求項6】
前記複数の並列回路部は前記容器の深さ方向に並べて配置することが可能である請求項5に記載の低温液化ガス用液面計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−52832(P2012−52832A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193589(P2010−193589)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】
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