説明

低温焼成低VOCの導電性下塗剤

本発明は通常、低い焼成温度で硬化されるシーラー/下塗剤を提供する。この組成物は、導電性及び可塑性基材上への被覆剤の付着を提供するための樹脂系を利用している。本発明は、低温で硬化されうる導電性下塗剤を作り出すために、アクリルを含む他の樹脂と組み合わせて、不飽和ポリエステルを含むようなポリエステル、架橋剤因子、及び導電性顔料を使用している。この組成物は、従来の塗布装置を介して塗布されうり、それが塗布された基材の表面にシーラーを塗り、塗装のような更なる処理手続きのための条件に合った表面へ硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2004年9月30日に出願された米国仮出願番号:60/614,620 の利益を主張し、その全内容は、参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
(本発明の詳細な記載)
【0002】
本発明は、被覆剤組成物、特に導電性下塗剤組成物に関する。本発明のこの被覆剤組成物は、より詳細には、低温焼成低VOCの導電性下塗剤である。
【背景技術】
【0003】
一般に、発明の主題の下塗剤組成物は、導電性及び可塑性基材上への被覆剤の付着を与える樹脂系を利用している。種々の被覆剤系が可塑性基材上への用途に存在するが、本発明は、アクリル、架橋剤因子及び導電性顔料と組み合わせた不飽和ポリエステルの新たな使用を提供する。得られる組成物は、低温で硬化されうる導電性下塗剤である。
【0004】
本明細書に開示されたこの下塗剤は、低温焼成若しくは高温焼成の保護膜のどちらかに使用されてよい。下に詳細が述べられているように、本発明は、下塗剤として機能するだけでなく、シーラー若しくは配合物としても利用されるであろう一般的に導電性の被覆剤組成物である。この新しい下塗剤は、可塑性基材への優れた付着及びその後の塗料層の静電気的塗布を可能にするための優れた導電性を提供し、発泡抵抗性若しくはガス抜けを改善する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
これに伴い、ある被覆剤組成物が提供される。この組成物は、低VOCで、導電性の低温で焼成硬化する下塗剤である。これについての被覆剤組成物は、一般に、(a)樹脂組成物、及び(b)導電性顔料若しくは顔料混合物の混合物を含んでいる。通常、この樹脂組成物は、樹脂系及び架橋剤を含んでいる。この樹脂系は、少なくとも一つのポリエステルを含むが、ポリエステル類の組み合わせを含んでいてもよいし、アクリル若しくはアクリル類の組み合わせを含んでいてもよい。通常、被覆剤組成物は、イソシアナートに架橋結合されたポリエステル及びアクリルを含んでいてもよい。
【0006】
別に示した場合を除いては、本明細書で用いられる”およそ”及び”ほぼ”という言葉は、±20 % を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書に開示された組成物のある実施態様は、(i)樹脂系の総重量を基準にしておよそ10 % からおよそ100 % のポリエステル、及び(ii)樹脂系の総重量を基準にしておよそ0 % からおよそ90 % のアクリルを含む樹脂系を含んでいる。さらに、この樹脂組成物は、およそ0.75から1.5 NCO:OHモル比に準拠してイソシアナートのような架橋剤を含んでいる。この実施態様の組成物は、総樹脂固形物の重量を基準にしておよそ2 % からおよそ15 % の導電性顔料を含んでいてもよい。本明細書で用いられる”総樹脂固形物”とは、樹脂組成物の全固形物重量を意味する。
【0008】
この顔料混合物は、(a)導電性顔料混合物、並びに(b)導電性顔料及び非導電性顔料の混合物を含む混合物中に導電性顔料及び非導電性顔料の両方を含んでいてもよい。ある実施態様においては、導電性カーボンブラック顔料が使用されていてもよい。
【0009】
本発明の樹脂組成物は通常、少なくとも一つのポリエステル、少なくとも一つのアクリル及び少なくとも一つの架橋剤を含んでいる。また一方、この樹脂組成物の他に採りうる実施態様が利用されてもよい。例えば、アクリルが利用されることは常に必要というわけではなく、その代わりに、少なくとも一つのポリエステル及び少なくとも一つのイソシアナートを含む樹脂組成物を有していることが好ましいかもしれない。他に採りうる実施態様の別の例は、架橋剤としてのイソシアナートの代わりに若しくは一緒に使用する架橋剤としてのアミノ樹脂の使用を含んでいる。他の架橋剤もまた利用可能である。
【0010】
本発明の実施態様に合致した使用に適したあるポリエステルは、不飽和ポリエステルを含んでいる。不飽和ポリエステルは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、トリエチレンングリコール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、1,2−,1,3−及び1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオール、2,4,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセロール、ペンタエリスリトール、マンニトール等のような飽和及び不飽和二価若しくはそれより多価の多価アルコールによって、無水マレイン酸、フマル酸、グルタコン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、アリルマロン酸、テトラヒドロフタル酸等のような少なくとも一つのエチレン性不飽和二価若しくはより多価のポリカルボン酸若しくは無水物のエステル化により得られたポリエステルである。二価若しくはそれより多価の多重酸の混合物、及び/若しくは二価若しくはそれより多価の多価アルコールの混合物が使用されていてもよい。エチレン不飽和の二価若しくはそれより多価のポリカルボン酸は部分的に、アジピン酸、琥珀酸、セバシン酸等のような飽和の二価若しくはそれ以上のポリカルボン酸で、並びに/若しくはフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、イソフタル酸及びテレフタル酸のような二価若しくはそれより多価の芳香族ポリカルボン酸で置き換えられていてもよい。飽和ポリエステル若しくは不飽和ポリエステル及び飽和ポリエステルの混合物がこの発明に合致して使用されてもよいことは理解されるであろう。
【0011】
不飽和ポリエステルがこの樹脂組成物中で使用される際、導電性及び可塑性基材への付着を促進する被膜中のポリエステルの不飽和状態を維持していることが好ましい。被覆剤組成物中における不飽和ポリエステルの従来の使用は、スチレン及びビニルエステルのような単量体とポリエステル不飽和の硬化を促進する。しかしながら、本発明は、主鎖上のポリエステルの不飽和を維持し、二重結合のフリーラジカル反応を促進しない。この不飽和ポリエステルは、被覆剤中でその二重結合を介してさらに架橋されないが、このポリエステルは、ヒドロキシル官能基を介して架橋される。
【0012】
優れた導電性及び付着を維持するために、このポリエステルは、およそ5 % からおよそ60 % の不飽和二塩基酸若しくは無水物を含んでいる。他に採りうる実施態様においては、およそ10 % からおよそ40 % の不飽和二塩基酸若しくは無水物を含んでいる。ある有用な実施態様においては、このポリエステルは、およそ25 % の無水マレイン酸を含んでいる。
【0013】
ある実施態様においては、このポリエステルは、トリメチロールプロパン(TMP)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(MPジオール),アジピン酸、無水フタル酸、プロピレングリコール、シクロヘキサン二価酸及び無水マレイン酸のような単量体群より調合される。ある有用な実施態様においては、このポリエステルは、TMP、プロピレングリコール、シクロヘキサン二価酸及び無水マレイン酸の組み合わせを含んでいる。
【0014】
ある実施態様においては、このポリエステルは、第一級及び第二級の両方のヒドロキシル基を含んでいる。この実施態様においては、このプロピレングリコールは、第二級のヒドロキシル基を提供し、このMPジオールは、第一級のヒドロキシル官能基を提供する。別の実施態様においては、第二級のヒドロキシル基を含むポリエステルが使用される。第二級のヒドロキシル官能基を含むポリエステルを用いることが特に有用である。このポリエステルは、一分子あたりおよそ1からおよそ20の自由なヒドロキシル基の平均ヒドロキシル官能価を有している。
【0015】
ある実施態様においては、このポリエステルは、およそ50からおよそ400 mg KOH/g のヒドロキシル価を有していてもよい。また一方、このポリエステルは、およそ100からおよそ300 mg KOH/g のヒドロキシル価を有していてもよい。ある有用な実施態様においては、このポリエステルは、およそ250 mg KOH/g のヒドロキシル価を有している。
【0016】
この不飽和ポリエステルは、およそ400からおよそ4000の重量平均分子量を有している。ある有用な実施態様においては、この不飽和ポリエステルの重量平均分子量は、およそ700からおよそ1300である。さらに別の有用な実施態様においては、この不飽和ポリエステルの重量平均分子量は、およそ900である。
【0017】
このポリエステルのガラス転移温度(Tg)は、一般に-40 ℃からおよそ20 ℃の範囲でありうる。ある有用な実施態様においては、そのTgは、-15 ℃である。
【0018】
ある実施態様においては、この樹脂組成物は、この樹脂系の総重量に基づいておよそ10 % からおよそ100 % の不飽和ポリエステルを含んでいる。別の有用な実施態様においては、この樹脂組成物は、この樹脂系の総重量に基づいておよそ10 % からおよそ90 % の不飽和ポリエステルを含んでいる。別の有用な実施態様においては、この樹脂組成物は、この樹脂系の総重量に基づいておよそ30 % からおよそ70 % の不飽和ポリエステルを含んでいる。さらに別の有用な実施態様においては、この樹脂組成物は、この樹脂系の総重量に基づいておよそ45 % の不飽和ポリエステルを含んでいる。
【0019】
本明細書に記載されたポリエステルの使用、特に不飽和ポリエステルの使用は、高導電性低粘度、これによって低VOC組成物をもたらす下塗剤を提供すると考えられる。ある不飽和ポリエステルは、低い焼成温度若しくは空気乾燥状態において優れた導電性を有する下塗剤を提供すると考えられる。
【0020】
本発明に合致して使用されてもよいアクリルは、あらゆる従来から知られているアクリルをも含んでいる。特に有用なアクリル単量体の例としては、スチレン、アルファ−メチルスチレン、p−メチルスチレン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル及び一価アルコールの(メタ)アクリレート、アクリルアミドのようなエチレン不飽和単量体、並びに、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、エチルアクリレート、アクリロニトリル及びアクリルアミド、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート等のような同様の(メタ)アクリレート酸誘導体、若しくはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
ある実施態様においては、このアクリルは、およそ20からおよそ200 mg KOH/g のヒドロキシル価を有している。また一方、このアクリルは、およそ50からおよそ100 mg KOH/g のヒドロキシル価を有していてもよい。ある有用な実施態様においては、このアクリルは、およそ84 mg KOH/g のヒドロキシル価を有している。
【0022】
このアクリルは、通常およそ1600からおよそ7000の重量平均分子量を有している。ある有用な実施態様においては、このアクリルの重量平均分子量は、およそ2000からおよそ5000である。さらに別の有用な実施態様においては、このアクリルの重量平均分子量は、およそ3300である。
【0023】
このアクリルのガラス転移温度(Tg)は、通常-10 ℃からおよそ80 ℃の範囲でありうる。ある実施態様においては、そのTgは35℃である。
【0024】
上文に述べられているように、通常、この樹脂組成物は、樹脂系の総重量に基づく重量で、およそ0 % からおよそ90 % の範囲の量でアクリルを含んでいる。別の有用な実施態様においては、アクリルは、樹脂系の総重量に基づく重量で、およそ30 % からおよそ70 % の量で存在する。さらに別の有用な実施態様においては、アクリルは、樹脂系の総重量に基づく重量で、およそ55 % の量で存在する。
【0025】
アクリルと組み合わせた不飽和ポリエステルは、優れた導電性の貯蔵安定性、導電性のポットライフ及び幅広い導電性用途領域を維持したまま、改良された被膜の硬さ及び改良された付着特性のような追加的利益を提供すると考えられる。
【0026】
この樹脂組成物中で利用されてもよい適切な架橋剤は、当業者によく知られ、モノ−、ジ−、トリ−及びマルチ−官能のイソシアナートを含むイソシアナート官能基物質、並びに、ジ−、トリ−及びマルチ−官能のイソシアナート物質を利用するポリイソシアナートから選択されたイソシアナートである。
【0027】
適切なイソシアナート官能物質としては、シクロヘキシルイソシアナート、フェニルイソシアナート、トルエンイソシアナート、1,3及び1,4フェニレンジイソシアナート、4−クロロ−1,3−フェニレンジイソシアナート、トルエン−2,4−若しくはトルエン−2,6−ジイソシアナート、1,2,4−ベンゼントリイソシアナート、1,5−及び1,4−ナフタレンジイソシアナート、2,4’及び4,4’ジフェニルメタンシイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニレンジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、イソフォロンジイソシアナート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、2,2,4(2,4,4)−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、1,4−ジイソシアナートペンタン、イソシアナートメチルシクロヘキシルイソシアナート、1,6,11−ウンデカントリイソシアナート、p−及びm−テトラメチルキシレンジイソシアナート、1,4−テトラメチレンジイソシアナート、1,10−デカメチレンジイソシアナート、m−キシレンジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン及びこれらの組み合わせのような芳香族、脂環式及び脂肪族のイソシアナートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
脂肪族のポリイソシアナートが、本発明に合致して特に有用であることが分かった。ブロックドイソシアナートも同様に使用されてもよい。また一方、あらゆる既知のイソシアナートが使用されてもよい。このイソシアナートのNCO基は、ポリエステル及びアクリル樹脂のヒドロキシル基と架橋を形成するために反応する。
【0029】
通常、この樹脂組成物は、ポリエステル及び/若しくはアクリル上のヒドロキシル基と架橋するのに十分な量の架橋剤を含んでいる。一般に、このイソシアナートは、NCO:OH率を基準にしておよそ0.75からおよそ1.5の率で存在する。ある有用な実施態様においては、このイソシアナートは、NCO:OH率を基準にしておよそ0.8:1.2の比率で存在する。
【0030】
ある実施態様においては、触媒がこの被覆剤組成物中に使用されていてもよい。触媒は、この反応を完成させるため若しくは効率よくするために役立つ。本発明に合致してイソシアナート−ヒドロキシル(hyroxyl)反応に使用されてもよい触媒としては、非金属触媒、例えば、第三アミンのようなアミン触媒が挙げられ、トリエチルジアミン、1−ジメチルアミノエチル−4−メチルピペラジン、1,1,3,5,5−ペンタメチル−ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルピペラジン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルを含むが、これらに限定されない。使用されてもよい別の触媒としては、ジブチルスズジラウレート(dibutyl tin diluarate)、ジブチルスズジアセテート(dibutyl tin diacetate)、ジブチルスズジオクトアート(dibutyl tin dioctoate)、亜鉛オクトアート(zinc octoate)、カリウムオクトアート(potassium octoate)及びジルコニウムオクトアート(zirconium octoate)を含む金属触媒が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
ある実施態様においては、この被覆剤組成物は、総樹脂固形物に基づく重量でおよそ0 % からおよそ1 % の上記のウレタン触媒のような触媒を含んでいる。別の有用な実施態様においては、この被覆剤組成物は、総樹脂固形物に基づく重量でおよそ0.10 % からおよそ0.60 % の触媒を含んでいる。さらに別の有用な実施態様においては、この被覆剤組成物は、総樹脂固形物に基づく重量でおよそ0.19 % の触媒を含んでいる。
【0032】
上記で述べたように、アミノ架橋剤のこの樹脂組成物の一部としての使用を採用することもまた有用である場合がある。アミノ樹脂としては、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、グリコールウリルホルムアルデヒド樹脂及びこれらの混合物が挙げられる。これらのアミノ樹脂は、メチル化、アルキル化、重合度及び官能性の程度の変化を含んでいてもよい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基若しくはイソ−ブトキシ基、若しくはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。このアミノ樹脂は、また、カルボン酸及び修飾された他の形態を含んでいてもよい。このアミノ樹脂は、ヒドロキシル基と反応し、架橋を形成するためにホモポリマー化する。このアミノ樹脂は、総樹脂固形物に基づく重量で5から50 % であってもよい。
【0033】
アミノ樹脂との使用に適した触媒としては、ブロックド若しくはアンブロックドp−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、アルキル過リン酸、フェニル過リン酸、リン酸、カルボン酸、並びに臭化マグネシウム、硝酸アルミニウム及び硝酸亜鉛のような金属塩が挙げられるが、これらに限定されない。触媒量は、総樹脂固形物に基づく重量で0.2から7 % の範囲に分布しうる。
【0034】
ある実施態様においては、この被覆剤組成物は、また、導電性顔料を含んでいる。通常、本明細書で使用されるために検討された型の通常の導電性顔料は、導電性のカーボンブラック顔料を含んでいる。これらの導電性顔料は、著名かつ商業的に手に入れることができる化合物であり、通常は、乾物の導電性カーボンブラック顔料として確定している。また一方、あらゆる導電性顔料が導電性下塗剤の提供のために使用されてもよい。分散体は、単量体中若しくはオリゴマー中若しくは重合体中若しくはこれらの組み合わせ中のいかなる数の顔料からでも作製されうる。ある有用な実施態様においては、導電性顔料の混合物が採用されている。
【0035】
導電性を誘導若しくは高めるためにこの被覆剤系へ添加されうる他の成分は、上記で列挙された以外の追加的な導電性顔料を含み、黒鉛、スズ酸化物顔料がドープされたアンチモン、並びに金、プラチナ、銀、チタン、アルミニウム、銅、黒鉛及びこれらに類するもの、同様にこれらの混合物のような金属顔料が挙げられる。導電性顔料は、フレーク、粉末、球体、微小風船、マイクロカプセル若しくは他の物理的形状のような形式で提供される。本明細書で使用を検討される他の導電性物質としては、被包性顔料、導電性重合体、導電性繊維(フィブロル(fibrols)、フィブリル(fibrils))、導電性添加剤、さらにこれらの混合物が挙げられる。これらの付加的な導電性物質は、上記で特定された導電性顔料と連帯して使用されてもよい。本明細書で用いられるこの導電性エンハンサーは、この組成物の好ましい導電性水準に依存した量で存在するだろう。
【0036】
導電性物質の総量、つまりは、エンハンサーあり若しくはなしの顔料は、通常、顔料自身の性質及び特徴、つまりは顔料の導電性、顔料の粒子径等に依存した量で使用される。導電性顔料の量は通常、この組成物の最終的な好ましい導電性水準に依存して様々である。ある有用な実施態様においては、導電性のカーボンが導電性顔料として使用される。この実施態様においては、この導電性カーボンブラックは、総樹脂固形物に基づく重量でおよそ2 % からおよそ15 % の範囲の量で使用される。別の有用な実施態様においては、この導電性カーボンブラックは、総樹脂固形物に基づく重量でおよそ4 % からおよそ10 % の量で存在する。さらに別の有用な実施態様においては、この導電性カーボンブラックは、総樹脂固形物に基づく重量でおよそ6.76 % の量で存在する。
【0037】
本明細書で記載されているこの樹脂系使用の一つの利点は、この物質が提供する導電性の水準を妥協することなしに種々の粒子径の導電性物質が使用されることを許容することである。通常は、例えばカーボンブラックは、過粉砕にさらされると導電性が減少するか若しくは導電性が失われる。しかしながら、本発明の不飽和ポリエステルを使用すれば、導電性は、粉砕若しくは過粉砕のためにカーボンブラックの粒子径が非常に小さい時でさえも維持される。
【0038】
この組成物は、また、有機物若しくは無機物であってもよい充填剤若しくは増量剤、同様にこれらの混合物を含んでいてもよい。様々な特性のためにこの組成物に添加されてもよい好ましい充填剤若しくは増量剤としては、カーボネート(carbonates)、シリケート(silicates)、スルフェート(sulfates)、シリカ(silicas)、スルフィート(sulfites)、クレイ(clays)、カーバイド(carbides)、酸化物、ポリフッ化エチレン、フェライト、酸化アルミニウム、窒化物、重合体充填剤、繊維、セルロース誘導体、セラミック、並びに対応する沈殿物、派生体及び水和物等、同様にこれらの混合物のような広く使用されている充填剤若しくは増量剤が挙げられる。これらの増量剤は、処理された形態若しくは無処理の形態であってもよいし、自然発生的な生成物若しくは合成的に製造されたものであってもよい、さらに、再生され若しくは再利用され、同様にこれらが組み合わせされていてもよい。
【0039】
ある実施態様においては、非導電性の顔料は、結合剤に対しておよそ 0.5:2.0 の比率で存在していてもよい。本発明に合致して使用されうる非導電性顔料の一つの例は、硫酸バリウムである。
【0040】
この組成物はまた、組成物に色を導入するために種々の顔料を含んでいてもよい。使用される通常の顔料としては、二酸化チタン、フタロ(phthalos)、酸化鉄、油煙、カーボンブラック、種々の有機物顔料及び無機物顔料、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
上に記したとおり、ごく少量の分散剤が手伝う(例えば、重合体の分散剤のような)。陰イオンの分散剤、陽イオンの分散剤、酸・塩基両性の分散剤若しくは非イオンの分散剤のようなあらゆる種類の従来の分散剤が、本発明に合致して使用されてもよい。そのような分散剤としては、重合体分散剤が挙げられる。加えて、粒子分散剤もまた使用されてもよい。
【0042】
粒子分散剤は分散された顔料に極めて類似している粒子であって、その顔料粒子への吸着を促進する。Solsperse technologyやAveciaによって販売されているようなこれらの粒子分散剤は、修飾され、そして顔料分散剤を受け入れるための固着部位を含んでいる。
【0043】
ある実施態様においては、この被覆剤組成物は、組成物中の総顔料重量に基づく重量でおよそ0.5 % からおよそ30 % の分散剤を含んでいてもよい。別の有用な実施態様においては、この分散剤は、組成物中の総顔料重量に基づく重量でおよそ5 % からおよそ20 % の量で存在している。さらに別の有用な実施態様においては、分散剤は、組成物中の総顔料重量に基づく重量でおよそ8.8 % の量で存在している。
【0044】
フロー添加剤、消泡剤、脱気剤、懸濁補助剤、捕捉剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、非官能性若しくは非反応性希釈剤、炭化水素油、導電性添加剤等、同様にこれらの混合物が、下塗剤/シーラーの特性を調整するためにこの組成物の中に取り込まれていてもよい。これら及びその他の添加剤は通常、総樹脂固形物に基づく重量でおよそ0から2.5 %含まれている。
【0045】
ある実施態様においては、溶剤若しくは溶媒の混合物が本発明に合致して使用されていてもよい。塗料業界で使用される最も常套的な溶媒は、本発明に合致して使用されてもよいけれども、ある実施態様においては、有用な溶媒の例としては、酸素化溶媒及び炭化水素溶媒が挙げられる。酸化溶媒は通常は、ケトン及びエステルを含み、限定されるわけではないが、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、C−11ケトン、シクロヘキサン、ジイソブチルケトン及びメチルイソアミルケトン、同様に酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸2−エチルヘキシル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸n−ペンチル、3−エトキシルプロピオン酸エチル、酢酸プロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸エチレングリコールブチルエーテル及び酢酸ジエチレングリコールブチルエーテルが挙げられる。本発明に合致して使用されてもよい炭化水素溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、芳香族100、芳香族150、芳香族200及びパラクロロベンゾトリフルオライドのような芳香族溶媒及びハロゲン化された溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
この下塗剤(若しくは被覆剤組成物)は一般に、低温放熱の適用により硬化される。ある実施態様においては、この下塗剤は低温焼成炉で硬化される。ある実施態様においては、一度部分的に適用されたこの組成物は、およそ180°Fの炉温を有する炉で少なくともおよそ30分間で硬化されうるが、他の硬化手順もまた採用されてもよい。例えば、この炉温は、およそ140°Fからおよそ300°Fのどこかに合わせられてもよい。さらに、硬化時間は、炉温に依存しておよそ10分からおよそ60分の範囲で変動してもよい。従来の炉は、一度表面に適用された組成物を硬化させるために採用されうる。この下塗剤は代わりに、赤外線放射若しくはそれ以外の手段で硬化される能力を有している。硬化において、この物質は基材中及び基材の周りで重合して、基材への接着を供給する。
【0047】
ある有用な実施態様においては、本発明の重合体は、従来の炉内での照射、若しくは赤外線硬化を介して、若しくはこれらの組み合わせによるような熱照射によって硬化されてもよい。
【0048】
この被覆剤組成物の考えられる塗布方法としては、低水準の塗着効率を提供する従来のエアスプレー(液体塗料を霧状にするために20から80 psi の空気圧を使用する)、及び従来の塗布方法よりも高水準の塗着効率を提供する高容量低圧力(HVLP)(10 psi 未満の空気圧及び1分間に12から16立方フィートの空気を使用して、液体塗料を霧状化する)を含む空気噴霧装置の使用が挙げられる。
【0049】
付加的な塗布方法は、空気噴霧装置及び鐘状若しくは円盤状のような高速回転式塗布装置を使用する静電気塗布を含んでいる。静電気塗布は、他の非静電気塗布と比較して高水準の塗着効率を提供する。
【0050】
上記のように、本被覆剤組成物は、導電性の下塗剤及び導電性のシーラーの両方として有用である。表面に堆積された後に、他の導電性若しくは非導電性の被覆剤が、硬化された被覆剤の電気導電的な性質のお陰で静電気的若しくは他の塗布方法を介して塗布されるだろう。
【0051】
本明細書に開示されたこの下塗剤は、限定されないが、ABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン)、PC-ABS(ポリカーボネート−アクリロニトリル ブタジエン スチレン)、DCPD(ポリジシクロペンタジエン)、並びにUP(SMC(シートモールディングコンパウンド)、及びBMC(バルクモールディングコンパウンド)などの不飽和ポリエステル)、反応射出成形物(RIM)、反応熱成形物(RTM)、ポリカーボネート(PC)、PPO(ポリフェニレン酸化物)、PC ポリエステル(ポリカーボネートポリエステル)、ハイブリット成形物、並びにこれらの混合物、同様に他の従来からの熱可塑性及び熱硬化性物質などの熱可塑性及び熱硬化性プラスチック基材への優れた付着性をもつ。
【0052】
本発明のより完全な理解のために、下記に説明に役立つ実例を記載する。
【実施例】
【0053】
(ポリエステルの調合)
実施例1:
5リットル反応装置に、攪拌機、熱電対、窒素注入管、パックカラム、凝縮装置、及び受液器を備え付けた。この反応装置に、150.0 g のトリメチロールプロパン、1380.0 g のプロピレングリコール、360.0 g のアジピン酸、750.0 g の無水マレイン酸、360.0 g の無水フタル酸、及び3.0 g のジブチル錫オキシドを入れた。この混合物を、攪拌下及び窒素ブランケット下で徐々に210 ℃まで加熱し、酸性度指数が5から10 mg KOH/g に達するまで210 ℃で保持した。パックカラムの最上部における蒸気温度を、この工程の間100 ℃より下に維持した。この混合物を、それから冷却し、25−マイクロンフィルターバックを通して濾過し、排出した。
【0054】
実施例2:
5リットル反応装置に、攪拌機、熱電対、窒素注入管、パックカラム、凝縮装置、及び受液器を備え付けた。この反応装置に、144.4 g のトリメチロールプロパン、1325.4 g のプロピレングリコール、809.6 g の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、720.6 g の無水マレイン酸、及び2.1 g のブチルスタン酸(butyl stanoic acid)を入れた。この混合物を、攪拌下及び窒素ブランケット下で徐々に210 ℃まで加熱し、酸性度指数が5から10 mg KOH/g に達するまで210 ℃で保持した。パックカラムの最上部における蒸気温度を、この工程の間100 ℃より下に維持した。この混合物を、それから冷却し、25−マイクロンフィルターバックを通して濾過し、排出した。
【0055】
実施例3:
5リットル反応装置に、攪拌機、熱電対、窒素注入管、パックカラム、凝縮装置、及び受液器を備え付けた。この反応装置に、124.2 g のトリメチロールプロパン、1139.8 g のプロピレングリコール、1736.1 g の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1.8 g のブチルスタン酸(butyl stanoic acid)を入れた。この混合物を、攪拌下及び窒素ブランケット下で徐々に210 ℃まで加熱し、酸性度指数が5から10 mg KOH/g に達するまで210 ℃で保持した。パックカラムの最上部における蒸気温度を、この工程の間100 ℃より下に維持した。この混合物を、それから450 g の2−ヘプタノンを添加する前に145 ℃まで冷却した。この溶液を、25−マイクロンフィルターバックを通して濾過し、排出した。
【0056】
(アクリルの調合)
実施例4:
攪拌機、熱電対、凝縮装置、並びに窒素及び単量体の注入管を備え付けた5リットル反応装置に、712.2 g の100フラッシュ芳香族ナフサを加えた。この溶媒を、攪拌下及び窒素ブランケット下で150 ℃まで加熱した。367.1 g のメタクリル酸メチル、553.3 g のブチルアクリレート、525.4 g の2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、385.7 g のスチレンの混合物を、5時間以上反応容器に供給した。同時に、84.9 g の100フラッシュ芳香族ナフサ及び118.7 g の第3−アミルエチルヘキシルペルオキシカーボネイトの混合物もまた150 ℃で5時間以上供給した。この溶液を、3.6 g の第3−アミルエチルヘキシルペルオキシカーボネートを添加する前に30分間保持した。この溶液を、それからさらに2時間半の間保持し、154.2 g の酢酸ブチル及び81.5 g の100フラッシュ芳香族ナフサで薄め、冷却し、25−マイクロンフィルターを通して排出した。
【0057】
実施例5:
攪拌機、熱電対、凝縮装置、並びに窒素及び単量体の注入管を備え付けた5リットル反応装置に、807.5 g の2−ヘプタノンを加えた。この溶媒を、攪拌下及び窒素ブランケット下で135 ℃まで加熱した。847.9 g のメチルメタクリレート、403.8 g のスチレン、383.6 g のブチルアクリレート、383.6 g の2−ヒドロキシルエチルメタクリレートの混合物を、3時間以上反応容器に供給した。同時に、161.5 g の第3−ブチルペルオクトエートもまた135 ℃で3時間以上供給した。この溶液を、供給後30分間保持した。それから、6.1 g の第3−ブチルペルオクトエートを加え、さらなる6.1 g の第3−ブチルペルオクトエートの添加の前に30分間保持した。この溶液を、冷却、濾過、及び放出の前に2時間保持した。
【0058】
実施例6:
攪拌機、熱電対、凝縮装置、並びに窒素及び単量体の注入管を備え付けた5リットル反応装置に、991.6 g のトルエンを加えた。この溶媒を、攪拌下及び窒素ブランケット下で109 ℃まで加熱した。284.3 g の酢酸ブチル、313.7 g のメチルメタクリレート、404.1 g の2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、472.7 g のイソボルニルメタクリレートの混合物を、3時間以上反応容器に供給した。同時に、39.6 g のアゾビスイソブチロニトリル及び158.2 g のトルエンを含む溶液もまた109 ℃で3時間以上供給した。この溶液を、3.7 g のアゾビスイソブチロニトリル及び84.0 g のトルエンを添加する前に30分間保持した。この溶液を、それからさらに3時間保持し、さらに247.9 g のトルエンで薄め、冷却し、25−マイクロンフィルターを通して排出した。
【0059】
(下塗剤の調合)
実施例7:
80 g のシクロヘキサン、55.3 g の酢酸イソブチル、196.3 g の実施例1に記載されたポリエステル、100.6 g の実施例4に記載されたアクリル、及び44 g のDisperbyk 182(Byk Chemie)を実験用シェーカーミル容器に加えた。この内容物を、コールズタービン翼(cowles blade)で混合した。310 g のTi-Pure R-960 TiO2(Du Pont Company)、76 g の炭酸カルシウム、及び9 g のKetjen Black EC600 JD(Akzo Nobel)を溶剤攪拌下でゆっくり加えた。この内容物を、高速で30分間混合した。200 ml の2 mm スチール弾をこの内容物に加え、Red Devil塗料震盪器上で90分間7Hグラインド(grind)に達するまで振動した。40.3 g の酢酸イソプロピル及び80.8 g のアセトンを、この内容物に加えた。この媒体を、塗料から濾過した。
この下塗剤を、41.1 g のTolonate HDT-LV(Rhodia Inc.)及び95.8 g のMondur MRS-5(Bayer Corporation)で触媒し、65.9 g のアセトンで薄めた。
下塗剤及び保護膜を、塗布手順に示したとおり(下記を参照)Meridian SLI-269 SMCに塗布した。この下塗剤組成物は、6B室温及び7A冷凍グレーベロメーター(gravelometer)等級、乾燥付着損失0 % 、96時間湿気下での下塗剤の基材付着損失32 % 、240時間浸水下での下塗剤の基材付着損失10 % 、並びに240時間のクリーブランド(Cleveland)凝縮装置下での下塗剤の基材付着損失13 % を有していた。導電率は153であった。
【0060】
実施例8:
131.3 g の実施例2に記載されたポリエステル、175.9 g の実施例5に記載されたアクリル、22.9 g の酢酸n−ブチル、38.9 g のDisperbyk 103(Byk Chemie)、及び82.5 g のn−ブチルプロピオナートを実験用シェーカーミル容器に加えた。この内容物を、コールズタービン翼(cowles blade)で混合した。24.9 g のVulcan XC72R(Cabot Corporation)、418.3 g の硫酸バリウム、及び11.7 g の酢酸n−ブチルを溶剤攪拌下でゆっくり加えた。この内容物を、高速で30分間混合した。200 ml の2 mm セラミック媒体をこの内容物に加え、Red Devil塗料震盪器上で90分間6.5Hグラインド(grind)に達するまで振動した。24.37 g のメチルn−アミルケトン(MAK)、46 g の酢酸n−ブチル、0.78 g のByk 322、11.19 g の2 % ジブチルスズジラウレート(dibutyl tin diluarte)/酢酸n−ブチル 溶液(Air Products and Chemicals Inc.)、及び0.6 g のPolycat 8(Air Products and Chemicals Inc.)を、この内容物に加えた。この媒体を、塗料から濾過した。
この下塗剤を、128.1 g のTolonate HDT-LV(Rhodia Inc.)で触媒し、45 g のメチルn−アミルケトン及び131 g のアセトンで薄めた。
下塗剤を、塗布手順に示したとおりMeridian SLI-269 SMCに塗布した。導電率は155であった。
【0061】
実施例9:
131.3 g の実施例3に記載されたポリエステル、175.9 g の実施例5に記載されたアクリル、22.9 g の酢酸n−ブチル、38.9 g のDisperbyk 103(Byk Chemie)、及び82.5 g のn−ブチルプロピオナートを実験用シェーカーミル容器に加えた。この内容物を、コールズタービン翼(cowles blade)で混合した。24.9 g のVulcan XC72R(Cabot Corporation)、418.3 g の硫酸バリウム、及び11.7 g の酢酸n−ブチルを溶剤攪拌下でゆっくり加えた。この内容物を、高速で30分間混合した。200 ml の2 mm セラミック媒体をこの内容物に加え、Red Devil塗料震盪器上で90分間6.5Hグラインド(grind)に達するまで振動した。24.37 g のメチルn−アミルケトン、46 g の酢酸n−ブチル、0.78 g のByk 322、11.19 g の2 % ジブチルスズジラウレート(dibutyl tin diluarte)/酢酸n−ブチル 溶液(Air Products and Chemicals Inc.)、及び0.6 g のPolycat 8(Air Products and Chemicals Inc.)を、この内容物に加えた。この媒体を、塗料から濾過した。
この下塗剤を、128.1 g のTolonate HDT-LV(Rhodia Inc.)で触媒し、45 g のメチルn−アミルケトン及び131 g のアセトンで薄めた。
下塗剤を、塗布手順に示したとおりMeridian SLI-269 SMCに塗布した。導電率は143であった。
【0062】
実施例10:
80 g のシクロヘキサン、25.5 g の酢酸イソブチル、195 g の実施例1に記載されたポリエステル、130 g の実施例6に記載されたアクリル、及び44 g のDisperbyk 182(Byk Chemie)を実験用シェーカーミル容器に加えた。この内容物を、コールズタービン翼(cowles blade)で混合した。310 g のTi-Pure R-960 TiO2(Du Pont Company)、76 g の炭酸カルシウム、及び9 g のKetjen Black EC600 JD(Akzo Nobel)を溶剤攪拌下でゆっくり加えた。この内容物を、高速で30分間混合した。200 ml の2 mm スチール弾をこの内容物に加え、Red Devil塗料震盪器上で90分間7Hグラインド(grind)に達するまで振動した。40.3 g の酢酸イソプロピル及び80.8 g のアセトンを、この内容物に加えた。この媒体を、塗料から濾過した。
この下塗剤を、41.9 g のTolonate HDT-LV(Rhodia Inc.)及び97.9 g のMondur MRS-5(Bayer Corporation)で触媒し、65.9 g のアセトンで薄めた。
下塗剤及び保護膜を、塗布手順に示したとおりMeridian SLI-269 SMCに塗布した。この下塗剤組成物は、6B室温及び6B冷凍グレーベロメーター(gravelometer)等級、乾燥付着損失0 % 、96時間湿気下での下塗剤の基材付着損失63 % 、240時間浸水下での下塗剤の基材付着損失23 % 、並びに240時間のクリーブランド(Cleveland)凝縮装置下での下塗剤の基材付着損失43 % を有していた。導電率は150であった。
【0063】
(下塗剤塗布手順)
下塗剤組成物を、それぞれ個々の実施例に記載があるとおり、混合して薄めた。この下塗剤を、洗浄済みSLI-269 SMC(シートモールディットコンパウンド(Sheet molded coumpound))パネル(Meridian Automotive Systems)に塗布した。この下塗剤を、従来のエアスプレー塗布装置で1から1.5ミルの厚さのドライフィルムに塗布した。この下塗剤を、180 °Fで30分間の焼成に引き続き、5から10分間洗い流した。
【0064】
(保護膜塗布手順)
この保護膜系は、OEM 1Kウェットオンウェット高温焼成の下塗り/透明塗料からなる。この下塗り及び透明塗料を、従来のエアスプレー塗布装置で塗布した。この下塗りを、0.8から1.2ミルの厚さのドライフィルムに塗布し、透明塗料を、1.2から1.5ミルの厚さのドライフィルムに塗布した。この透明塗料を、ウェットオンウェットで下塗りの上に塗布した。この下塗りを、透明塗料が塗布される前に10分間洗い流し、この下塗り/透明塗料の系を、280 °F で30分間の焼成に引き続き、10から15分間洗い流した。
【0065】
(塗料評価手順)
塗料を塗布した基材の試験は、下塗りした基材が保護膜を塗布された後3日経つや否や始まった。試験は、ASTM及びSAEの試験方法に記載されている特殊な方法と特殊な試験設備からなるものであった。全ての付着試験は、3回実行され、平均試験結果が報告された。
(ASTM参考文献)
ASTM D3359 Adhesion
ASTM D2247 Humidity
ASTM 870 Water Immersion
ASTM D4585 Cleveland Condenser
(SAE)
SAE J400 Gravelometer
【0066】
本発明は、その実施態様の記載によって説明されてきたし、その実施態様は、かなり詳細に記載されてきたけれども、特許請求の範囲の発明の範囲をそのような詳細な説明に制限するか、又は多少なりとも限定することは、出願人の意図ではない。追加的な効果及び追加的な修正は、当業者にとって容易に明白である。それ故に、本発明は、そのより広範な解釈において、明らかにされ記載されたその特定の説明、代表の実験装置、及び説明に役立つ実施例に限定されない。従って、新発展は、出願人の一般的発明概念の精神若しくは意図から逸脱することなく、そのような詳細から作り出されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの不飽和ポリエステル及び少なくとも1つのアクリルを含む樹脂系;
(b)架橋剤、及び
(c)導電性顔料を含む、被覆剤組成物であって:
前記不飽和ポリエステルが、ポリエステルの主鎖において不飽和であり、その二重結合を介して被覆剤組成物においてさらに架橋されていない被覆剤組成物。
【請求項2】
前記ポリエステルが、およそ5 % からおよそ60 % の不飽和二塩基酸若しくは無水物を含む請求項1の組成物。
【請求項3】
前記ポリエステルが、およそ25 % の無水マレイン酸を含む請求項1の組成物。
【請求項4】
前記ポリエステルが、第2級ヒドロキシル官能基を含む請求項1の組成物。
【請求項5】
前記ポリエステルが、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、シクロヘキサンジアシド、無水マレイン酸、アジピン酸、無水フタル酸及びこれらの混合物より選択した単量体の群より調製される請求項1の組成物。
【請求項6】
前記ポリエステルが、およそ700からおよそ1300の重量平均分子量を有する請求項1の組成物。
【請求項7】
前記ポリエステルが、およそ50からおよそ400 mg KOH/g のOH値を有する請求項1の組成物。
【請求項8】
前記ポリエステルが、およそ100からおよそ300 mg KOH/g のOH値を有する請求項1の組成物。
【請求項9】
前記アクリルが、(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル若しくはこれらの混合物のようなエチレン性不飽和単量体よりなる群より選択される少なくとも1つの単量体を含む請求項1の組成物。
【請求項10】
前記アクリルが、およそ20からおよそ200 mg KOH/g のOH値を有する請求項1の組成物。
【請求項11】
前記アクリルが、およそ50からおよそ100 mg KOH/g のOH値を有する請求項1の組成物。
【請求項12】
前記アクリルが、およそ1600からおよそ7000の重量平均分子量を有する請求項1の組成物。
【請求項13】
不飽和ポリエステルのアクリルに対する重量比率が、樹脂系においておよそ10 % からおよそ90 % のポリエステルである請求項1の組成物。
【請求項14】
前記架橋剤が、イソシアナートである請求項1の組成物。
【請求項15】
前記イソシアナートが、脂肪族イソシアナートである請求項14の組成物。
【請求項16】
架橋剤が、ポリエステル、アクリル及び架橋剤のNCO:OHの割合に基づきおよそ0.8からおよそ1.2の割合で存在する請求項1の組成物。
【請求項17】
導電性顔料が、カーボンブラックである請求項1の組成物。
【請求項18】
可塑性基材の下塗り及びシーリングの方法であって、基材に被覆剤組成物を吹き付けることを含み、被覆剤組成物が:
(a)少なくとも1つの不飽和ポリエステル及び少なくとも1つのアクリルを含む樹脂系;
(b)架橋剤、及び;
(c)導電性顔料を含み:
前記不飽和ポリエステルが、ポリエステルの主鎖において不飽和であり、その二重結合を介して被覆剤組成物においてさらに架橋されていない不飽和ポリエステルである方法。
【請求項19】
前記ポリエステルが、およそ5 % からおよそ60 % の不飽和二塩基酸若しくは無水物を含む請求項18の方法。
【請求項20】
前記ポリエステルが、第2級ヒドロキシル官能基を含む請求項18の方法。
【請求項21】
前記のポリエステルが、およそ700からおよそ1300の重量平均分子量を有する請求項18の方法。
【請求項22】
前記ポリエステルが、およそ50からおよそ400 mg KOH/g のOH値を有する請求項18の方法。
【請求項23】
前記アクリルが、およそ20からおよそ200 mg KOH/g のOH値を有する請求項18の方法。
【請求項24】
前記アクリルが、およそ1600からおよそ7000の重量平均分子量を有する請求項18の方法。
【請求項25】
不飽和ポリエステルのアクリルに対する重量比率が、樹脂系においておよそ10 % からおよそ90 % のポリエステルである請求項18の方法。
【請求項26】
前記架橋剤が、イソシアナートである請求項18の方法。
【請求項27】
基材が、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート−アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリジシクロペンタジエン、シートモールディングコンパウンド、バルクモールディングコンパウンド、反応射出成形物、反応熱成形物、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネートポリエステル及びハイブリッド成形物よりなる群より選択される請求項18の方法。
【請求項28】
(a)不飽和ポリエステル;
(b)架橋剤、及び;
(c)導電性顔料を含む、
電気導電性のシーラー/下塗剤組成物であって:
前記不飽和ポリエステルが、ポリエステルの主鎖において不飽和であり、その二重結合を介して被覆剤組成物においてさらに架橋されておらず、
前記不飽和ポリエステルが第2級ヒドロキシル官能基を含む組成物。

【公表番号】特表2008−514804(P2008−514804A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534862(P2007−534862)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/035480
【国際公開番号】WO2006/039647
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(591003150)ザ シャーウィン−ウィリアムズ カンパニー (7)
【Fターム(参考)】