説明

低温焼成用導電性ペースト組成物

【課題】高いアスペクト比と優れた電気的特性および接着力を示す低温焼成用導電性ペースト組成物を提供する。
【解決手段】本発明の低温焼成用導電性ペースト組成物は、板状粉末、球状粉末およびナノ粉末からなる導電性銅粉末、メラミン系バインダーおよび有機溶媒を含んでなるものである。本発明によれば、優れた印刷性と共に高いアスペクト比を有する導電性配線の形成が可能であり、金属配線の低価格化が可能であるうえ、200℃以下の低温焼成でも優れた電気的特性および接着力を実現することができるため、太陽電池、タッチパネル、PCB、RFID、PDPなどの多様な製品の電極形成用導電材料として有用に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温焼成用導電性ペースト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、プリント基板(PCB)またはRFID(Radio−Frequency Identification)、タッチパネル、PDP(plasma display panel)、太陽電池用電極の低費用化および低温焼成化に対する要求が高まっており、このため、低温焼成でも優れた電気的特性を持つ低価格の導電性ペーストに対する関心が高まっている。
【0003】
従来では、銀を主成分とする導電性ペーストを採用してきたが、銀の場合、高価の貴金属で低費用化に対する要求を満足させることが難しかった。よって、銀の代わりに低価格のアルミニウムや亜鉛、銅などの材料を用いようと努力をしているが、酸化に対する安定性が低く、低温における焼成時の高い抵抗特性により適用が難しいのが、実情である。
【0004】
例えば、特許文献1では、亜鉛粉末および有機バインダーからなる低温焼成用導電性ペーストを提示しているが、実際提示された低温焼成温度が480℃程度と高く、そのときに得られた比抵抗も50〜300μΩ・cmと高いため、低温焼成用電極材料として適用することが難しい。
【0005】
また、特許文献2では、高価格の銀粉末を代替するために、メッキ法によって、銀でコートされた球状および板状の銅粉末、フェノールおよびエポキシ樹脂からなる導電性ペーストを開示しているが、170〜200℃の熱処理の際に、優れた接着力を示すが、100〜1000μΩ・cmに達する非常に高い比抵抗値を示しており、低温焼成で優れた電気的特性を実現するための電極材料として適さない。
【0006】
一方、特許文献3では、金属ナノ粒子が表面に修飾されているマイクロメートルサイズの銀または銀コート銅板状粒子からなる低温焼成用ペーストを開示している。ところが、このような板状粒子として、銀の代わりに銅を適用した場合、表面に修飾されたナノ粒子の含量が少なく、低温焼成の際に、良好な電気的特性を得ることが難しい。
【0007】
また、特許文献4では、エポキシ樹脂および鱗状(板状)の銀粉末と有機物がコートされた20nm以下のナノ銀粉末からなる導電性銀ペーストの製造方法を開示しているが、板状粉末とナノ粉末の構成のみでは、金属配線の充填密度を高め難く、このような粉末構成を銅とする場合にも低温焼成で良好な電気的特性を得るには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第2011−0033770号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2005−0104357号公報
【特許文献3】韓国公開特許第2010−0108098号公報
【特許文献4】特開2005−251542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明者は、粒径、形状および構成比を最適化した導電性銅粉末と主有機バインダーとしてのメラミン系バインダーからなる導電性ペーストが高いアスペクト比を有する配線形成が可能であり、既存の銀粉末を主とした導電性ペーストに比べて低価格化が可能であるとともに、200℃以下の低温でも焼成が可能であるうえ、優れた電気的特性および接着力を示すことを見出し、これに基づいて本発明の完成に至った。
【0010】
よって、本発明の目的は、高いアスペクト比と、優れた電気的特性および接着力を示す低温焼成用導電性ペースト組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明によれば、板状粉末、球状粉末およびナノ粉末からなる導電性銅粉末、メラミン系バインダーおよび有機溶媒を含んでなる、低温焼成用導電性ペースト組成物を提供する。
【0012】
本発明の一実施例において、前記組成物は50〜95重量%の導電性銅粉末、0.01〜5重量%のメラミン系バインダー、および残量の有機溶媒を含んでもよい。
【0013】
本発明の他の実施例において、前記導電性銅粉末は粒径1〜20μmの板状粉末、粒径0.1〜5μmの球状粉末、粒径1〜100nmのナノ粉末から構成されてもよい。
【0014】
本発明の別の実施例において、前記導電性銅粉末は板状粉末30〜90重量%、球状粉末5〜60重量%およびナノ粉末1〜30重量%から構成されてもよい。
【0015】
本発明の別の実施例において、前記板状粉末の長/短径比は1.5〜10の範囲であってもよい。
【0016】
本発明の別の実施例において、前記ナノ粉末の表面は脂肪酸系、アミン系、アルコール系、チオール系および高分子ポリマー系分散剤よりなる群から一つまたはそれ以上選択された成分でコートされてもよい。
【0017】
本発明の別の実施例において、前記メラミン系バインダーはメチル化メラミン、メチル化イミノメラミン、ブチル化メラミン、ブチル化イミノメラミン、イソブチル化メラミン、メチル−ブチル混合メラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、および尿素メラミン樹脂よりなる群から一つまたはそれ以上選択されてもよい。
【0018】
本発明の別の実施例において、前記組成物は0.01〜10重量%のセルロース系バインダーをさらに含んでもよい。
【0019】
本発明の別の実施例において、前記セルロース系バインダーはエチルセルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロースよりなる群から一つまたはそれ以上選択されてもよい。
【0020】
本発明の別の実施例において、前記組成物は0.01〜10重量%のアクリル系バインダーをさらに含んでもよい。
【0021】
本発明の別の実施例において、前記アクリル系バインダーはポリメチルメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、およびブチルアクリレートよりなる群から一つまたはそれ以上選択されてもよい。
【0022】
本発明の別の実施例において、前記有機溶媒はテルピネオール、ジヒドロテルピネオール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジヒドロテルピネオールアセテート、エチルカルビトールアセテート、およびブチルカルビトールアセテートよりなる群から一つまたはそれ以上選択されてもよい。
【0023】
本発明の別の実施例において、前記組成物は可塑剤、増粘剤、分散剤、チキソトロープ剤および脱泡剤よりなる群から選ばれた一つまたはそれ以上の成分をさらに含んでもよい。
【0024】
本発明の別の実施例において、前記組成物は太陽電池、タッチパネル、PCB、RFIDまたはPDPの電極形成用導電材料であってもよい。
【0025】
本発明の別の実施例において、前記電極はスクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサー印刷、インクジェット印刷、ディップコーティングまたはスプレーコーティングで形成されてもよい。
【0026】
本発明の別の実施例において、前記組成物は100〜200℃の温度範囲で焼成されてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の導電性ペースト組成物は、板状、球状およびナノの混合銅粉末を導電材料として使用し、有機バインダーとしてメラミン系バインダーを導入することにより、優れた印刷性と共に高いアスペクト比を有する導電性配線の形成が可能であり、金属配線の低価格化が可能であるうえ、200℃以下の低温焼成でも優れた電気的特性および接着力を実現することができるため、太陽電池、タッチパネル、PCB、RFID、PDPなどの多様な製品の電極形成用導電材料として有用に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る低温焼成用銅ペーストの粒子構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明をより具体的に説明する。
【0030】
前述したように、本発明に係る導電性ペースト組成物は、導電性銅粉末、メラミン系バインダー、および溶剤などから必須的に構成され、前記ペースト内に銅粉末の粒径、形状および構成比を最適化して高いアスペクト比を有する配線形成が可能であり、200℃以下の低温焼成でも優れた電気的特性を持つ導電性ペーストを提供することができる。
【0031】
本発明において、金属粉末は、導電性フィラーとして、多様な粒径と形状の銅粉末を使用する。低温焼成用導電性ペーストの場合、優れた電気的特性を実現するために、導電性粉末の粒径、粒度、形状および含量を調節して、優れた粒子充填率を確保しなければならないが、同時に優れた印刷性も確保しなければならないので、導電性粉末の調節が重要であるといえる。
【0032】
本発明では、優れた電気的特性および印刷性を実現するために、粒径1〜20μmの板状銅粉末、粒径0.1〜5μmの球状銅粉末および粒径100nm以下、好ましくは1〜100nmのナノ銅粉末からなる混合銅粉末を使用する。
【0033】
図1は、本発明に係る低温焼成用銅ペーストの粒子構成を概略的に示すものである。
【0034】
本発明において、板状粉末は、バックボーン粒子であって、粒子間の接触面積が広くなって導電性を向上させる上で有利であり、ペーストのTI(Thixotropic index)比を高めて、1回の印刷でも高いアスペクト比(aspect ratio)の金属配線を形成することができる。このために、板状粉末の粒径は、1〜20μmの範囲が好ましい。板状粉末の粒径が1μm未満であれば、上述した板状粉末の効果を期待することが難しく、板状粉末の粒径が20μm超過であれば、ペースト内の分散性が低下し、スクリーン目詰まりにより、印刷性が低下するという問題が発生する。
【0035】
また、前記板状粉末の長/短径の比は、1.5〜10が好ましいが、前記長/短径の比が1.5未満であれば、その形状が球状に近くなり、前記板状の形態による効果が殆どなく、前記長/短径の比が10超過であれば、充填特性および分散性が低下する傾向がある。
【0036】
一方、前記ペースト内における板状粉末の含量は、30〜90重量%が好ましい。前記ペースト内における板状粉末の含量が30重量%未満であれば、板状粒子の添加による導電性の向上および高いアスペクト比の配線形成が難しく、90重量%超過であれば、分散性および印刷性の低下問題が発生し、充填率が低下して電気的特性の改善が難しい。
【0037】
本発明において、前記球状粉末は、分散性に優れて印刷時の微細線幅を実現する上で有利であり、板状粉末間の空隙を効果的に充填することにより、ペーストの金属充填率を高める役目をする。充填率が高くなると、焼成後の内部気孔が減少し、収縮を防止することができるため、導電性を高める上で有利である。このため、球状粉末の粒径は、0.1〜5μmの範囲が好ましい。前記球状粉末の粒径が0.1μm未満であれば、充填特性が低下し、前記球状粉末の粒径が5μm超過であれば、接触面積が減少して電気的特性が低下する。
【0038】
前記ペースト内の球状粉末の含量は、5〜60重量%が好ましい。前記ペースト内の球状粉末の含量が5重量%未満であれば、板状粉末間の空隙を十分充填することができず、60重量%超過であれば、配線の厚さが減少し、粒子間の接触面積が減少して電気的特性が低下する。
【0039】
本発明において、ナノ粉末の場合、ナノサイズの効果により、低温でも融解および金属化が可能であるが、相対的に大きいサイズの板状バックボーン(backbone)粉末および球状粉末の間で溶けて包み、粒子間の連結性を増加させることにより、導電性を向上させる役目をする。このため、ナノ粉末の粒径は、100nm以下、好ましくは1〜100nmであることが好ましい。1nm未満のナノ粉末は、作業性が低下し、100nm超過の粉末は、低温焼成効果による導電性向上効果を期待することが難しい。
【0040】
前記ペースト内におけるナノ粉末の含量は、1〜30重量%が好ましいが、30重量%超過であれば、ナノ粉末の大きい比表面積によりペーストの粘度上昇が現れ、焼成後の収縮による配線厚さの減少およびクラックの発生により電気的特性が低下し、1重量%未満であれば、添加効果が殆どない。
【0041】
一方、前記ナノ粉末は、表面が脂肪酸系、アミン系、アルコール系、チオール系および高分子ポリマー系などよりなる群から一つまたはそれ以上選択された分散剤でコートされた粉末を使用することができるが、表面が分散剤でコートされたナノ粉末の場合、ナノ粉末の分散を容易に行うことができるという利点がある。ところが、表面がコートされたナノ粉末に制限して使用するのではなく、適用しようとするナノ粉末のサイズ(50nm以下のナノ粉末の場合、分散性を高めるために、分散剤でコートされているナノ粉末を使用することが好ましい)およびペーストの有機バインダーまたは有機溶媒の組成に応じて、表面がコートされていないナノ粉末を適用することができる。
【0042】
例えば、前記脂肪酸系分散剤は、線形または分岐形のC6〜C22の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸から選択される1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができるが、これに限定されるものではなく、前記アミン系分散剤は、線形または分岐形のC6〜C22の脂肪族アミンから選択される1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができるが、これに限定されるものではない。しかも、前記アルコール系分散剤としては、高級アルコール硫酸エステル、アルカノールアミド、グリセリン、ソルビタンおよびソルビタンエステル、脂肪酸ジエタノールアミンなどがあり、前記チオール系分散剤としては、エタンチオール、メタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールまたはメルカプトチオールなどがあり、前記高分子ポリマー系分散剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、カルボキシメチルセルロース、および/またはポリアクリル酸などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
一方、本発明では、有機バインダーとして、メラミン系バインダーを用いて低温焼成でも優れた接着力を実現した。本発明に使用可能なメラミン系バインダーは、メチル化メラミン、メチル化イミノメラミン、ブチル化メラミン、ブチル化イミノメラミン、イソブチル化メラミン、メチル−ブチル混合メラミン、ヘキサメトキシメチルメラミンおよび尿素メラミン樹脂よりなる群から一つまたはそれ以上選択される。これらのメラミン樹脂は、別途の硬化剤なしでも100〜200℃の温度範囲で自己縮合反応を起こして熱硬化し、焼成中の銅粉末のパッキングを促進して電気的特性を高めるのに役立つ。
【0044】
エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの他の熱硬化性樹脂において、硬化に必要な硬化剤および触媒の場合、セルロース系バインダーとの相溶性がない、または低い場合が大部分である。よって、共に使用する場合、ペーストの分散性および安定性を低下させる原因になるが、本発明で使用されたメラミン系バインダーは、硬化剤および触媒が不要であって、セルロース系バインダーと共に使用する際に優れた分散性および安定性を実現することができる。硬化したメラミン樹脂は、優れた硬度および接着力をもって、ポリイミド、シリコン、ITO(Indium tin oxide)などの多様な基材上で優れた接着力を示した。
【0045】
本発明に係る導電性ペースト組成物は、前記メラミン系バインダーの他にも、0.01〜10重量%のセルロース系バインダーをさらに含んでもよい。前記セルロース系バインダーは、ペーストにチキソトロープ性を与えて印刷を容易にするが、例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロースなどの多様な種類のセルロース樹脂を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。前記セルロース系バインダーの使用量が0.01重量%未満であれば、添加効果が殆どなく、10重量%超過であれば、粘度が高くなって印刷時の作業性が低下し、電気的特性が低下する傾向がある。
【0046】
前記メラミン系およびセルロース系バインダーの他にも、アクリル系バインダーを0.01〜10重量%の範囲でさらに使用する場合、接着力をさらに向上させることができる。前記アクリル系バインダーとしては、ポリメチルメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどの多様な種類のアクリル樹脂を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができ、これに限定されるものではない。前記アクリル系バインダーの使用量が0.01重量%未満であれば、添加効果が殆どなく、前記アクリル系バインダーの使用量が10重量%超過であれば、粘度が高くなって印刷時の作業性が低下し、電気的特性が低下する傾向がある。
【0047】
本発明において、前記有機溶媒は、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジヒドロテルピネオールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどの多様な種類の有機溶媒を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0048】
前述した成分以外にも、導電性ペーストの印刷性、分散性、安定性などを向上させるために、ジオクチルフタレートなどの可塑剤、高級脂肪酸、脂肪族アミン塩、アルキルリン酸エステルなどの分散剤、シリカ、ベントナイト、炭酸カルシウム、ワックス、酢酸ポリエチレンなどの増粘剤およびチキソトロープ剤、ポリシロキサン、シリコンなどの脱泡剤などを単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0049】
このように、本発明の導電性ペースト組成物は、スクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサー印刷、インクジェット印刷、ディップコーティングまたはスプレーコーティングなどの方法でプリントされることで電極を形成することができる。しかも、前記組成物は、上述した方法で印刷された後、100〜200℃の温度範囲で焼成が行われてもよい。
【0050】
このような本発明の導電性ペースト組成物は、低温焼成でも優れた比抵抗、接触抵抗、アスペクト比および接着力を実現することができるため、太陽電池電極用導電材料として非常に適し、太陽電池の他にもタッチパネル、PCB、RFIDおよびPDPなどの配線用電極材料として有用に適用できる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範疇を限定するものではない。
【0052】
(実施例1〜5)
下記表1に記載された各組成の成分を混合して、3本ロールの混練機で分散させて導電性ペーストを製造し、前記ペーストを、スクリーン印刷機で太陽電池用シリコン基板上に約100μmの線幅で印刷した。その後、還元雰囲気下、約200℃で1時間焼成を行った後、比抵抗、接触抵抗、アスペクト比および接着力を評価した。結果を、下記表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
前記表1において、アクリル樹脂は、エチルヘキシルメタクリレートを使用し、可塑剤は、ジオクチルフタレートを使用した。
【0055】
(比較例1〜5)
下記表2に記載された各組成の成分を混合して、3本ロールの混練機で分散させて導電性ペーストを製造し、前記ペーストを、スクリーン印刷機で太陽電池用シリコン基板上に約100μmの線幅で印刷した。その後、還元雰囲気下、約200℃で1時間焼成を行った後、比抵抗、接触抵抗、アスペクト比および接着力を評価した。結果を、下記表2に示す。
【0056】
【表2】

【0057】
前記表2において、エポキシ系樹脂は、EA6615(SK Cytec(株))であり、当量1750〜2100g/eq、粘度8,000〜9,000cP(25℃、Rheometer)、固形分50%、Ts115〜125℃のものを使用し、ポリウレタン系樹脂は、AUP−220(愛敬化学(株))であり、重量平均分子量(Mw)15,000、粘度10,000〜11,000cP(25℃、Rheometer)、固形分50%、Tg45℃のものを使用し、可塑剤は、ジオクチルフタレートを使用した。
【0058】
前記表1の結果より、板状粒子、球状粒子およびナノ粒子が適切な比率で混合されている実施例1〜5のペーストの場合、高いアスペクト比を持つ配線形成が可能であり、電気的特性および接着力に優れていることが分かる。ところが、表2の比較例1、4および5のように、球状粒子がないペーストでは、充填密度が低くなるため、配線厚さが低く、電気的特性および接着特性が低下した。そして、比較例2および比較例3の場合、メラミン樹脂の不在により、接着力が弱化した。ナノ粒子がない比較例3の場合、配線厚さは、高い方であるが、低温での焼成特性が低下して、非常に低い電気的特性を示した。
【0059】
このように、本発明の導電性ペースト組成物は、銅を導電材料として用い、メラミン系バインダーを導入することにより、金属配線の低価格化が可能であり、低温焼成でも優れた電気的特性および接着力を実現することができるため、太陽電池、タッチパネル、PCB、RFID、PDPなどの多様な製品の電極形成用導電材料として有用に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、太陽電池、タッチパネル、PCB、RFID、PDPなどの多様な製品の電極形成用導電材料として用いることができる低温焼成用導電性ペースト組成物に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状粉末、球状粉末およびナノ粉末からなる導電性銅粉末、メラミン系バインダーおよび有機溶媒を含んでなる、低温焼成用導電性ペースト組成物。
【請求項2】
前記組成物は50〜95重量%の導電性銅粉末、0.01〜5重量%のメラミン系バインダー、および残量の有機溶媒を含むことを特徴とする、請求項1に記載の低温焼成用導電性ペースト組成物。
【請求項3】
前記導電性銅粉末は粒径1〜20μmの板状粉末、粒径0.1〜5μmの球状粉末、および粒径1〜100nmのナノ粉末から構成されることを特徴とする、請求項1に記載の低温焼成用導電性ペースト組成物。
【請求項4】
前記導電性銅粉末は板状粉末30〜90重量%、球状粉末5〜60重量%およびナノ粉末1〜30重量%から構成されることを特徴とする、請求項1または3に記載の低温焼成用導電性ペースト組成物。
【請求項5】
前記板状粉末の長/短径比は1.5〜10の範囲であることを特徴とする、請求項1または3に記載の低温焼成用導電性ペースト組成物。
【請求項6】
前記ナノ粉末の表面は脂肪酸系、アミン系、アルコール系、チオール系および高分子ポリマー系分散剤よりなる群から一つまたはそれ以上選択された成分でコートされたことを特徴とする、請求項1に記載の低温焼成用導電性ペースト組成物。
【請求項7】
前記メラミン系バインダーは、メチル化メラミン、メチル化イミノメラミン、ブチル化メラミン、ブチル化イミノメラミン、イソブチル化メラミン、メチル−ブチル混合メラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、および尿素メラミン樹脂よりなる群から一つまたはそれ以上選択されたことを特徴とする、請求項1に記載の低温焼成用導電性ペースト組成物。
【請求項8】
前記組成物は0.01〜10重量%のセルロース系バインダーをさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の低温焼成用導電性ペースト組成物。
【請求項9】
前記セルロース系バインダーは、エチルセルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロースよりなる群から一つまたはそれ以上選択されたことを特徴とする、請求項8に記載の低温焼成用導電性ペースト組成物。
【請求項10】
前記組成物は0.01〜10重量%のアクリル系バインダーをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の低温焼成用導電性ペースト組成物。
【請求項11】
前記アクリル系バインダーは、ポリメチルメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、およびブチルアクリレートよりなる群から一つまたはそれ以上選択されたことを特徴とする、請求項10に記載の低温焼成用導電性ペースト組成物。
【請求項12】
前記有機溶媒は、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジヒドロテルピネオールアセテート、エチルカルビトールアセテート、およびブチルカルビトールアセテートよりなる群から一つまたはそれ以上選択されたことを特徴とする、請求項1に記載の低温焼成用導電性ペースト組成物。
【請求項13】
前記組成物は、可塑剤、増粘剤、分散剤、チキソトロープ剤および脱泡剤よりなる群から選ばれた一つまたはそれ以上の成分をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の低温焼成用導電性ペースト組成物。
【請求項14】
前記組成物は太陽電池、タッチパネル、PCB、RFIDまたはPDPの電極形成用導電材料であることを特徴とする、請求項1に記載の低温焼成用導電性ペースト組成物。
【請求項15】
前記電極はスクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサー印刷、インクジェット印刷、ディップコーティング、またはスプレーコーティングで形成されたことを特徴とする、請求項14に記載の低温焼成用導電性ペースト組成物。
【請求項16】
前記組成物は100〜200℃の温度範囲で焼成されることを特徴とする、請求項1に記載の低温焼成用導電性ペースト組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2013−69654(P2013−69654A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−277357(P2011−277357)
【出願日】平成23年12月19日(2011.12.19)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】